説明

ポリアミノアセトニトリル、これらの製造および使用方法

ジアミノアセトニトリルの製造方法に第一級アミン基を2個含有するアミンとシアノヒドリンを接触させて反応させることを包含させる。その後、その生じさせたジアミノアセトニトリルを重合体の製造で用いることができそして/またはエポキシ樹脂用の硬化剤として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
適用無し
【0002】
連邦政府支援研究開発に関する供述
適用無し
【0003】
本開示は一般にポリアミノアセトニトリル、ポリアミノアセトニトリルの製造方法およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
ホルムアルデヒドとシアン化水素の反応を窒素源を用いて起こさせることでアミノアセトニトリルを生じさせることができることは一般に公知である。例えば、ホルムアルデヒドとシアン化水素の反応をアンモニアまたはアルキルアミンを用いて2未満のpHで起こさせることでアミノアセトニトリルを生じさせる方法が特許文献1に教示されている。シアン化水素とアンモニアの気体状混合物、ホルムアルデヒドと未反応メタノールの気体状混合物および追加的窒素源の接触をpH制御水溶液存在下の反応性吸収装置内で起こさせることでアミノアセトニトリルを生じさせることが特許文献2に教示されている。
【0005】
更に、最初にグリコールニトリルとアルキルアミンを反応させて反応生成物を生じさせた後にそれをホルムアルデヒドおよびシアン化水素と反応させることでアミンの窒素に存在する各水素をアセトニトリルに置き換える方法が特許文献3に記述されている。主にアミノアセトニトリルに存在するニトリル基にさらなる修飾を受けさせて最終生成物である置換アミノ酸またはイミノ二酢酸を生じさせる目的でグリコールニトリルとモノアミンを反応させる方法が特許文献4、5、6および7に記述されている。最後に、グリコールニトリルとエチレンアミンを反応させる方法が高級エチレンアミンを生じさせる代替経路として特許文献8、9、10、11および12に教示されている。
【0006】
このように、鎖延長剤および/または硬化剤として働き得る新規なアミノアセトニトリル化合物を見つけだす必要性がまだ存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,478,759号
【特許文献2】米国特許第5,008,428号
【特許文献3】ヨーロッパ特許第0481394B1
【特許文献4】米国特許第5,817,613号
【特許文献5】米国特許第5,210,271号
【特許文献6】米国特許第2,169,736号
【特許文献7】米国特許第1,972,465号
【特許文献8】米国特許第3,925,389号
【特許文献9】米国特許第3,067,255号
【特許文献10】米国特許第2,519,803号
【特許文献11】米国特許第2,429,876号
【特許文献12】英国特許第798,075号
【発明の概要】
【0008】
要約
1つの態様では、第一級アミン基を少なくとも2個含有するアミンとシアノヒドリンを接触させて反応させることを伴う方法を用いてポリアミノアセトニトリルを生じさせる。この反応はpHを8以上にして大気圧下約20°から約70℃の範囲の温度で実施可能である。
【0009】
別の態様では、重合体の製造方法に、少なくとも1種のイソシアネートを含有して成る1番目の成分と本発明に従って生じさせたポリアミノアセトニトリルを含有して成る2番目の成分を接触させて反応させることを包含させる。
【0010】
更に別の態様では、硬化性組成物を硬化させる方法に、エポキシ樹脂と本発明に従って生じさせたポリアミノアセトニトリルを混合しそしてその硬化性組成物に熱をかけることを伴わせる。
【0011】
さらなる態様として、本発明は、前記方法で得たポリアミノアセトニトリル、重合体および硬化生成物を提供する。
【0012】
さらなる態様として、本発明は、新規なポリアミノアセトニトリルを教示する。
【0013】
好適な態様の説明
以下に行う用語および方法の説明は、本化合物、組成物および方法をより良好に記述しかつ本開示の実施に関する指針を通常の当業者に示す目的で与えるものである。また、本開示で用いる専門用語は単に個々の態様および実施例を記述する目的で用いるものであり、限定することを意図したものではないことも理解されるべきである。
【0014】
本明細書および以下の請求項で言及する様々な用語は以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0015】
用語“アルキル基”は、炭素原子を有する分枝もしくは非分枝飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシルなどを指す。
【0016】
用語“アルケニル基”は、炭素−炭素二重結合を少なくとも1個含有する炭素原子を有する分枝もしくは非分枝炭化水素基を指す。
【0017】
用語“アルキニル基”は、炭素−炭素三重結合を少なくとも1個含有する炭素原子を有する分枝もしくは非分枝炭化水素基を指す。
【0018】
用語“ハロゲン置換アルキル基”または“ハロアルキル基”は、この上で定義した如きアルキル基に存在する水素原子の1個以上がハライドに置き換わっている基を指す。
【0019】
用語“シクロアルキル基”は、炭素原子を少なくとも3個含有する炭素系の非芳香環を指す。この用語には、辺を共有することでか或は橋渡し原子で連結しているかに拘わらず環を1個以上有する種が含まれ得る。シクロアルキル基の例には、これらに限定するものでないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。用語“ヘテロシクロアルキル基”は、この上で定義した如きシクロアルキル基の環の炭素原子の中の少なくとも1個がヘテロ原子、例えばこれらに限定するものでないが窒素、酸素、硫黄または燐などに置き換わっている基である。
【0020】
用語“アリール基”は、いずれかの炭素系芳香基を指し、それには、これらに限定するものでないが、ベンゼン、ナフタレンなどが含まれる。用語“芳香”にはまた“ヘテロアリール基”も含まれ、それは芳香基の環の中に組み込まれているヘテロ原子を少なくとも1個有する芳香基であると定義する。ヘテロ原子の例には、これらに限定するものでないが、窒素、酸素、硫黄および燐が含まれる。アリール基は、これらに限定するものでないが、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ハライド、ニトロ、エステル、ケトン、ヒドロキシ、カルボン酸またはアルコキシを包含する1個以上の基で置換されていてもよいか、或はアリール基は置換されていなくてもよい。
【0021】
用語“アラルキル”は、この上で定義した如きアルキル基を有するアリール基を指し、前記アルキル基はアリール基と結合している。アラルキル基の例はベンジル基である。
【0022】
用語“ヒドロキシ基”は式−OHで表される。用語“アルコキシ基”は式-OR[式中、Rは、場合により上述した如きアルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロゲン置換アルキルまたはヘテロシクロアルキル基で置換されていてもよいアルキル基であってもよい]で表される。
【0023】
用語“ヒドロキシアルキル基”は、アルキル基が有する少なくとも1個の水素原子がヒドロキシル基に置き換わっている基を指す。用語“アルコキシアルキル基”は、アルキル基が有する少なくとも1個の水素原子が上述したアルコキシ基に置き換わっている基であると定義する。適宜、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基のアルキル部分はアリール、アラルキル、ハライド、ヒドロキシまたはアルコキシ基を有していてもよい。
【0024】
用語“エステル”は、式−OC(O)R[式中、Rは、上述したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロゲン置換アルキルまたはヘテロシクロアルキル基であってもよい]で表される。
【0025】
用語“カルボン酸”は、式−C(O)OHで表される。
【0026】
用語“ケトン基”は、式−−C(O)R[式中、Rは、上述したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロゲン置換アルキルまたはヘテロシクロアルキル基である]で表される。
【0027】
用語“カルボニル基”は、式C=Oで表される。
【0028】
用語“ハライド”は、F、Cl、BrまたはIであると定義する。
【0029】
用語“ニトロ基”は、式NOで表される。
【0030】
本明細書で用いる如き用語“アルカノイルオキシ基”は、基R−C(=O)−O[ここで、Rは炭素原子数が1から5のアルキル基である]を指す。
【0031】
用語“置換”は、表示原子もしくは基が有するいずれかの1個以上の水素が指定基から選択した基に置き換わっていることを意味するが、但しその表示原子の通常の原子価を越えないことを条件とする。
【0032】
本発明のジアミノアセトニトリルの調製は、第一級アミン基を2個含有するアミンをシアノヒドリンと接触させて反応させることを伴う1段階工程で実施可能である。驚くべきことに、そのようなジアミノアセトニトリルを後でポリウレタン、ポリ尿素およびポリウレタン−尿素重合体および硬化エポキシ樹脂の製造に関連して用いた時に生じる反応速度もしくは硬化速度がよりゆっくりであることを見いだした。反応速度および硬化速度がよりゆっくりであることは非常に好ましいことである、と言うのは、それによってより高い構造一体性を有する成形品および被膜を生じさせることができるからである。加うるに、反応速度がよりゆっくりであると実際の使用に充分なゲル化時間を示すコーキングおよびシーラント配合物を生じさせることが可能になる。その上、硬化速度がよりゆっくりであると作業時間を長くすることができることでより滑らかでより光沢のある被膜を生じさせることが可能になり、それは美的により好ましいことである。最後に、作業時間をより長くすることができると、また、2つの表面を接触させている時間がより長いことが成功にとって重要である接着剤およびシーラント用途でも利益がもたらされる。
【0033】
シアノヒドリンと反応させる第一級アミン基を少なくとも2個含有するアミンは、式

NH−R−NH (1)

[式中、
Rは、
(i)置換もしくは非置換C3−20シクロアルキル基、
(ii)置換もしくは非置換C6−14アリール基、
(iii)式
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、xは約2から約70である)
で表される分子量が約230g/モルから約4000g/モルのポリエーテル化合物、
(iv)式(3)
【0036】
【化2】

【0037】
(式中、bは約2から約40であり、a+cは約1から約6でありそしてJおよびMは各々独立して水素、メチル基またはエチル基である)
で表される分子量が約220g/モルから約2000g/モルのポリエーテル化合物、
(v)式
【0038】
【化3】

【0039】
(式中、dは2または3である)
で表されるポリエーテル化合物、
(vi)式
【0040】
【化4】

【0041】
(式中、Rは水素またはエチル基であり、pは0または1であり、e+f+gは約5か
ら約85である)
で表される分子量が約440g/モルから約5000g/モルのポリエーテル化合物、および
(vii)式
【0042】
【化5】

【0043】
(式中、Zは独立して水素、メチル基またはエチル基から選択され、hは整数である)
で表される数平均分子量が約100から約8000の範囲のポリオキシアルキレン化合物、
(viii)式(8):
【0044】
【化6】

【0045】
で表されるポリエーテル化合物、および
(ix)非置換もしくは置換C4−12アルキル基、および
(x)式(11):
【0046】
【化7】

【0047】
(式中、q+tは約2から約30でありそしてsは約5から約20である)
で表されるグリコール、および
(xi)式(12):
【0048】
【化8】

【0049】
(式中、uは約1から約40である)
で表されるグリコール、
から選択される]
で表されるアミン化合物である。
【0050】
1つの態様として、前記式(2)で表されるポリエーテル化合物は、xが約2.5から約68、好適には約6から約33である化合物である。別の態様として、前記式(2)で表されるポリエーテル化合物は、xが約6.1である化合物である。更に別の態様として、前記式(2)で表されるポリエーテル化合物は、xが約33である化合物である。
【0051】
別の態様として、前記式(3)で表されるポリエーテル化合物をbが約2.0でありそしてa+cが約1.2である化合物、bが約9.0でありそしてa+cが約3.6である化合物、bが約12.5でありそしてa+cが約6.0である化合物、およびbが約39でありそしてa+cが約6.0である化合物から選択する。
【0052】
更に別の態様として、前記式(5)で表されるポリエーテル化合物は、Rがエチル基であり、pが1でありそしてe+f+gが約5から6である化合物である。別の態様として、前記式(5)で表されるポリエーテル化合物は、Rが水素であり、pが0でありそしてe+f+gが50である化合物である。更に別の態様として、前記式(5)で表されるポリエーテル化合物は、Rが水素であり、pが0でありそしてe+f+gが85である化合物である。さらなる態様として、前記式(6)で表されるポリオキシアルキレン化合物は、Zが水素である化合物である。追加的態様として、前記式(6)で表されるポリオキシアルキレン化合物は、ブロック共重合体化合物、ランダム/ブロック共重合体化合物またはランダム共重合体化合物であってもよい。
【0053】
1つの態様として、前記式(11)で表されるポリプロピレングリコール化合物の平均s値は約8であり、平均q+t値は約24であり、そしてこの式の分子量は約2000である。別の態様として、前記式(11)で表される化合物の平均s値は約13.5であり、平均q+t値は約17であり、そしてこの式の分子量は約2000である。さらなる態様として、前記式(11)で表される化合物の平均s値は約8であり、平均q+t値は約7であり、そしてこの式の分子量は約1000である。更に別の態様として、前記式(11)で表される化合物の平均s値は約13であり、平均q+t値は約7であり、そしてこの式の分子量は約1400である。
【0054】
1つの態様として、前記式(12)で表されるポリテトラメチレングリコールの分子量は約232から約3000である。
【0055】
式(1)で表されるアミン化合物の例には、これらに限定するものでないが、フェニレンジアミン、メタ−キシレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキシルアミン、1,2−および1,4−ジアミノシクロヘキサン、p−アミノシクロヘキシルメタンおよび
JEFFAMINE(登録商標)ブランドのポリエーテルアミン、例えば、JEFFAMINE(登録商標)D−4000、D−2000、D−400、D230、HK−511、ED−600、ED−900、ED−2003、EDR−148、EDR−176、T−403、T−3000およびT−5000ポリエーテルアミン(Huntsman Corporationから入手可能)が含まれる。また、式(1)で表されるアミン化合物の混合物も使用可能である。前記化合物の他の誘導体も意図し、それらには、さらなるアルキルまたはアミン置換基を有する誘導体が含まれる。例えば、式(1)に関して上に示した化合物に追加的アミン置換基を持たせると結果としてトリアミンまたはテトラアミン種がもたらされるであろう。
【0056】
1つの態様として、前記式(1)で表されるアミン化合物はビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)またはこれの誘導体である。PACMの誘導体には、これらに限定するものでないが、2,2’−ジメチルビス(アミノシクロヘキシル)メタン、3,3’−ジメチルビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび3,3’-ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン[これをBASF Corporation(Mount Olive、New Jersey)が商標名DIMETHYLDICYKANの下で販売している]が含まれる。他の誘導体には、PACMの構造を有するがさらなる付加または置換基を有する分子が含まれ得る。他の誘導体は、この上に示した構造のさらなるアミン置換基を含有する可能性があり、その結果として、トリアミンまたはアミン置換基が2個の場合にはテトラアミンがもたらされるであろう。
【0057】
別の態様として、前記式(1)で表されるアミン化合物はイソホロンジアミンまたはこれの誘導体である。イソホロンジアミンの誘導体には、イソホロンジアミンの構造を有するがさらなる付加または置換基を有する分子が含まれる。他の誘導体はさらなるアミン置換基を含有する可能性があり、それによって、トリアミンまたはテトラアミンがもたらされるであろう。
【0058】
前記式(1)で表されるアミン化合物をカルボニル含有化合物とシアニド含有化合物の反応生成物と接触させることでポリアミノアセトニトリルを生じさせる。前記カルボニル含有化合物はアルデヒド、ケトンまたはこれらの組み合わせであってもよい。前記シアニド含有化合物はシアン化水素、アルカリ金属シアニド(例えばNaCNまたはKCN)またはこれらの組み合わせであってもよい。1つの態様として、カルボニル含有化合物とHCNの反応を前記式(1)で表されるアミン化合物の存在下で起こさせることで本ポリアミノアセトニトリルを得ることができる。式(5)の場合、前記カルボニル含有化合物とシアニド含有化合物の反応生成物が前記式(1)で表されるアミン化合物が有するあらゆるアミン基を持つことになるであろう。従って、前記式(5)で表されるR基を含有する前記式(1)で表されるアミン化合物を用いると結果としてトリアミノアセトニトリルがもたらされるであろう。
【0059】
別の態様として、前記式(1)で表されるアミン化合物を式
【0060】
【化9】

【0061】
[式中、
およびRは、独立して、水素、置換もしくは非置換C1−20アルキル、置換もしくは非置換C3−20シクロアルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニルおよび置換もしくは非置換C6−14アリールから選択される]
で表されるシアノヒドリン化合物と接触させる。以下に記述するように、この化合物をカルボニル化合物とシアン化水素の反応によってインシトゥで生じさせることができる。
【0062】
1つの態様として、RおよびRを独立して水素またはC1−2アルキルから選択する。さらなる態様として、RおよびRは水素である。
【0063】
更に別の態様として、RまたはRはC3−20シクロアルキル基、好適には炭素数が5または6のシクロアルキル基(即ちシクロペンチルまたはシクロヘキシル)である。別の態様として、RまたはRは、1個以上のC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシまたはC1−4アルカノイルオキシ基で置換されているC3−20シクロアルキルである。
【0064】
前記式(7)で表されるシアノヒドリンの生成は当該技術分野で良く知られている方法を用いて実施可能であり、例えばカルボニル含有化合物、例えばアルデヒドまたはケトンなどをシアン化水素(HCN)と反応させることなどで実施可能である。
【0065】
別の態様として、シアノヒドリン、例えば式(7)で表されるシアノヒドリンなどの生成を前記式(1)で表されるアミン化合物の存在下で実施することも可能であり、例えばアルデヒドまたはケトンと過剰量のアルカリ金属シアニド(例えばNaCNまたはKCN)を前記式(1)で表されるアミン化合物の存在下で反応させることなどで本ポリアミノアセトニトリルを生じさせることができる。
【0066】
好適な態様として、第一級アミン基を少なくとも2個含有するアミンとシアノヒドリンの間の反応を前記式(1)で表されるアミン化合物と前記式(7)で表されるシアノヒドリン化合物を接触させることで実施する。1つの態様として、この反応を前記式(1)で表されるアミン化合物と前記式(7)で表されるシアノヒドリン化合物をアミン:シアノヒドリンのモル比が1:1.0−2.0になるように混合することで実施する。
【0067】
別の態様に従い、前記式(1)で表されるアミン化合物と式(7)で表されるシアノヒドリン化合物の間の反応を前記シアノヒドリン化合物と前記アミン化合物の反応が起こるに充分なpH、例えば約8以上のpHなどで実施する。別の態様として、この反応を約8から14のpHで実施する。前記式(1)で表されるアミン化合物は一般に反応混合物が示すpHを8以上にするに充分な塩基性を示す。別法として、当該反応を好ましくなく妨害することのない塩基性材料のいずれか、例えば水酸化ナトリウムなどを用いてpHを反応前または反応中に調整することも可能である。
【0068】
前記式(1)で表されるアミン化合物と前記式(7)で表されるシアノヒドリン化合物の間の反応は約20℃から約70℃の範囲の温度でバッチ式または連続的に実施可能である。この反応は減圧、大気圧または加圧下で実施可能である。このように、1つの態様では、この反応を大気圧下約30℃から約40℃の温度範囲で実施する。
【0069】
また、この反応を水または溶媒の存在下で実施することも可能である。従って、1つの態様に従い、反応用媒体に前記式(1)で表されるアミン化合物、式(7)で表されるシアノヒドリン化合物および水または溶媒を含有させる。そのような溶媒はアミンとシアノヒドリンの両方を溶かす溶媒、例えばイソプロピルアルコールまたは炭素原子数が4以下の他の脂肪族アルコールのいずれであってもよい。水または溶媒の総量をアミンとシアノヒドリンの混合物の総量を基準にして約10重量パーセントから約90重量パーセント、
より好適には約15重量パーセントから約50重量パーセントの範囲にしてもよい。
【0070】
別の態様に従い、本発明に従って生じさせたポリアミノアセトニトリルを重合体の製造で用いてもよい。本明細書で用いる如き用語“重合体”には、これらに限定するものでないが、ポリ尿素、ポリウレタンおよびポリ尿素−ポリウレタン混成物が含まれる。従って、1つの態様では、少なくとも1種のイソシアネートを含有して成る1番目の成分を本発明の少なくとも1種のポリアミノアセトニトリルを含有して成る2番目の成分と接触させて反応させることを伴う方法を用いて重合体を生じさせる。
【0071】
上述したように、前記1番目の成分に少なくとも1種のイソシアネートを含有させる。用語“イソシアネート”には、当業者がポリ尿素、ポリウレタンおよびポリ尿素−ポリウレタン混成重合体材料の製造で用いるに有用であると認識する幅広く多様な材料が含まれる。その定義には、当該技術分野で一般に良く知られているように、脂肪族および芳香族イソシアネートの両方ばかりでなくそのようなイソシアネートを出発材料として用いて生じさせた1種以上のプレポリマーまたは準プレポリマーも含まれる。
【0072】
脂肪族イソシアネートの好適な例は、米国特許第4,748,192号(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている種類の脂肪族イソシアネートばかりでなく脂肪族ジイソシアネート、より特別には三量化またはビウレット形態の脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(“HDI”)およびテトラアルキルキシレンジイソシアネートの二官能単量体、例えばテトラメチルキシレンジイソシアネートなどである。また、シクロヘキサンジイソシアネートも有用な脂肪族イソシアネートであると見なすべきである。他の有用な脂肪族ポリイソシアネートが米国特許第4,705,814号(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。それらには脂肪族ジイソシアネート、例えば、アルキレン基中の炭素原子数が4から12のアルキレンジイソシアネート、例えば1,12−ドデカンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネートおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどが含まれる。また、脂環式ジイソシアネート、例えば1,3および1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどばかりでなくそのような異性体の任意混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4’−,2,2’−および2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、H12MDI(メチレンビスフェニルイソシアネート)、水添MDIに加えて相当する異性体混合物なども有用である。
【0073】
また、本発明に従う重合体を生じさせる目的で幅広く多様な芳香族ポリイソシアネートを用いることも可能であり、それらには、p−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−メチル−3−イソ−シアナトフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタンおよび4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネートに加えMDIが基になった準プレポリマーも含まれ、それには、これらに限定するものでないが、2,4−メチレンビスフェニルイソシアネートおよび4,4’−メチレンビスフェニルイソシアネート、例えばRUBINATE(登録商標)9480 MDI、RUBINATE(登録商標)9484 MDIおよびRUBINATE(登録商標)9495 MDI(Huntsman Corporation)として商業的に入手可能なそれらが含まれる。
【0074】
本発明の実施で使用可能な他の芳香族ポリイソシアネートは、官能性が約2から約4のメチレン橋渡しポリフェニルポリイソシアネート混合物である。後者のイソシアネート化
合物の製造は一般に相当するメチレン橋渡しポリフェニルポリアミン(これの製造は通常ホルムアルデヒドと第一級芳香族アミン、例えばアニリンなどの反応を塩酸および/または他の酸性触媒の存在下で起こさせることで行われる)とホスゲンの反応で行われる。ポリアミンおよびそれから生じさせる相当するメチレン橋渡しポリフェニルポリイソシアネートの公知製造方法が文献および数多くの特許、例えば米国特許第2,683,730号、2,950,263号、3,012,008号、3,344,162号および3,362,979号(これらの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。メチレン橋渡しポリフェニルポリイソシアネート混合物は一般にメチレンジフェニル−ジイソシアネート異性体を約20から約100重量パーセント含有し、その残りは官能性がより高くかつ分子量がより高いポリメチレンポリフェニルジイソシアネートである。それらの典型はジフェニル−ジイソシアネート異性体の含有量が約20から約100重量パーセントであるポリフェニルポリイソシアネート混合物であり、それの約20から約95重量パーセントは4,4’−異性体であり、その残りは分子量および官能性がより高いポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートであり、それの平均官能性は約2.1から約3.5である。そのようなイソシアネート混合物は公知の市販材料であり、それらの製造は米国特許第3,362,979号(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている方法を用いて実施可能である。
【0075】
本発明は、また、イソシアネート異性体混合物の使用も包含し、その混合物をホスゲン反応時に同時に生じさせるか、或はその混合物は個別のホスゲン反応を2回以上行うことで生じさせた2種以上のイソシアネートの任意混合物(イソシアネートの2種以上の混合物またはイソシアネートの混合物を伴う単一のイソシアネートを包含)である。1つの好適な芳香族ポリイソシアネートは、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)または“MDI”である。高純度のMDI、MDIの準プレポリマー、高純度MDIの修飾物などが本発明に従う材料の製造で用いるに有用である。高純度のMDIは固体であることで使用がしばしば不便であることから、本明細書ではまたMDIまたはメチレンビス(4−フェニルイソシアネート)が基になった液状生成物の使用も有用である。米国特許第3,394,164号に液状のMDI生成物が記述されている。より一般的には、また、高純度のMDIにウレトンイミンによる修飾を受けさせた生成物も含まれる。そのような生成物の製造は蒸留しておいた高純度のMDIを触媒の存在下で加熱することで行われる。そのような液状生成物は高純度のMDIと修飾を受けたMDIの混合物である。用語イソシアネートにはまたイソシアネートの準プレポリマーまたは活性水素を有するポリイソシアネートを含有する材料も含まれる。
【0076】
本発明では、上述したイソシアネートのいずれもイソシアネート成分として単独または他の上述したイソシアネートとの組み合わせのいずれかで使用可能である。本開示の利益を得た当業者は個々の用途で用いるに適したイソシアネートを認識するであろう。
【0077】
上述したように、前記2番目の成分に本発明に従って生じさせたポリアミノアセトニトリルを含有させる。この2番目の成分にまた本発明に従って生じさせたポリアミノアセトニトリルの混合物を含有させることも可能である。
【0078】
別の態様として、前記1番目の成分または2番目の成分または両方に場合により少なくとも1種のポリオールを含有させてもよい。ポリオールには、これらに限定するものでないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリル系ポリオール、他のポリオール、例えばフェノール樹脂ポリオール、エポキシポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、重合体ポリオール(アクリロニトリルまたはスチレンの重合体が中に分散しているか或はビニルが付加している)、尿素分散ポリオールおよびポリオール系鎖延長剤、例えば1,4−ブタンジオール触媒などが含まれる。ポリオールを用いると
、混成重合体、例えばポリ尿素−ポリウレタン混成重合体などが生じる。本発明では、ポリアミノアセトニトリルをそのような混成重合体で用いることを教示する。本開示の利益を得た当業者は本発明で用いるに適した他のポリオールを認識するであろう。
【0079】
本発明の更に別の態様では、前記1番目の成分または2番目の成分または両方に更に1種以上の添加剤も含有させてもよい。そのような添加剤には、第一級ポリエーテルアミン、第一級アミン系鎖延長剤、例えば3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(またIPDAまたはイソホロンジアミンとしても知られる)、アスパラギン酸エステルアミン、ジエチルトルエンジアミン[またDETDA、CAS No.68479−98−1(これはAlbemarle Corporation(Baton Rouge、La)から商標名ETHACURE(登録商標)100硬化剤の下で商業的に入手可能である)としても知られる]、ジメチルチオトルエンジアミン[またDMTDA、CAS No.106264−79−3(これはAlbemarle Corporation(Baton Rouge、La)から商標名ETHACURE(登録商標)300硬化剤の下で商業的に入手可能である)としても知られる]、第二級アミン系鎖延長剤、例えばN,N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン[Dorf Ketal Chemicals,LLC(Stafford、Tex)から商標名UNILINK 4200(登録商標)ジアミンの下で商業的に入手可能]、ビス(N−s−ブチルアミノシクロヘキシル)メタン[Dorf Ketal Chemicals,LLC(Stafford、Tex)から商標名CLEARLINK(登録商標)1000 ジアミンの下で商業的に入手可能]、ビス(N−s−ブチル3−メチルアミノシクロヘキシル)メタン[Dorf Ketal Chemicals,LLC(Stafford、Tex)から商標名CLEARLINK(登録商標)3000 ジアミンの下で商業的に入手可能]、N,N’−イソプロピル(3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン)[Huntsman Petrochemical Corporationから商標名JEFFLINK(登録商標)754 ジアミンの下で商業的に入手可能]、1,3ビスアミノメチルシクロヘキサンおよびこれの二次的アミン副生成物(ケトンによるアルキル化で生じた)、顔料、抗酸化性添加剤、表面活性添加剤、チキソトロープ、接着促進剤、紫外線吸収剤、これらの誘導体およびこれらの組み合わせが含まれ得る。本開示の利益を得た当業者は、本発明の重合体および方法で用いるに適した他の添加剤を認識するであろう。
【0080】
重合体を生じさせるための前記1番目の成分と2番目の成分の間の反応を前記1番目の成分と前記2番目の成分を接触させることで起こさせる。本発明に従う重合体を生じさせる目的で、イソシアネートを含有させた1番目の成分とポリアミノアセトニトリルを含有させた2番目の成分の接触を通常の製造装置を用いて手動的または自動的のいずれかで起こさせる。この重合体製造工程中、前記1番目と2番目の成分を通常は使用時に接触させるまで互いに分離した状態に維持、例えば個別の容器に入れることなどで維持する。従って、本発明の1つの態様では、少なくとも1種のイソシアネートを含有する前記1番目の成分を入れるための1番目の容器と本発明に従って生じさせた少なくとも1種のポリアミノアセトニトリルを含有する前記2番目の成分を入れるための2番目の容器が備わっている装置を提供する。前記1番目の容器または2番目の容器または両方に更に上述したポリオールおよび他の添加剤も入れてもよい。
【0081】
前記1番目の成分と2番目の成分の接触を当業者に公知の様々な方法で起こさせてもよく、例えばブレンド、混合、高圧衝突混合噴霧、低圧静的混合噴霧、低圧静的混合分注(コーキングガン)、手による技術(手または手工具で混合した後にその混合物をブラシ、ローラーまたは他の手段で手動的に付着させることを包含)およびこれらの組み合わせなどで起こさせてもよい。本開示の利益を得た当業者は前記1番目の成分と2番目の成分を接触させるに適した方法を認識するであろう。
【0082】
本発明の方法に従って生じさせた重合体は幅広い範囲の最終使用で用いるに適し、そのような使用には、これらに限定するものでないが、下記が含まれる:コンクリート用被膜、ジオテキスタイル上の被膜、塗膜、橋、橋パイロン、橋デッキ、防水層、トンネル、マンホール、魚用池、二次的封じ込め、滑り止め層、床材、ガレージ、航空機格納庫、下水管復旧、水道管、コンクリート管への噴霧、金属用被膜[エッチング工程用マスキング層、腐食保護、船体、船デッキ、航空母艦デッキ、潜水艦、他の軍用車両、ヘリコプター回転翼、橋、構造部材、遊び場、自動車、トラック荷台のライナー、車台、車体、列車およびホッパー、トレーラー、平台トラック、18輪トラック、大型の泥除去用装置、ローラー、航空宇宙機用の被膜を包含]、タンク用被膜(内側および外側)、パイプ用被膜(内側および外側)、他の基質用の被膜、例えばファイバーグラス製ボート、路面標示、コンクリート標示など用の被膜、映画セット、アミューズメントパーク、山車、ペイントボール小道具、電子機器封入材のための様々な基質上の装飾/保護層、様々な基質用の屋根材トップコート、ポリスチレン、ワックス、氷またはプロトタイピングで用いられる他の媒体用の被膜、成形品、例えば反応射出成形品および他の成形技術を用いて作られた製品、プロトタイプ部品、靴構成要素、ゴルフボール、装飾部品、自動車部品、バンパー、ハブキャップなどの製造、防音、断熱、衝撃吸収用のポリ尿素フォーム、およびポリウレタンフォームが様々な技術分野で有用であることが知られている他の最終使用用途、コンクリート床材およびシーラントが用いられる他の建築用途用のコーキング、幅広く多様な基質および接着剤が通常用いられる用途において2つの構成要素を接着させるための接着剤、および幅広く多様な非建築用途、例えば海洋船舶甲板などのためのシーラント。本出願の利益を得た当業者は本発明の態様に適した他の使用を認識するであろう。
【0083】
本発明のポリアミノアセトニトリルはまたエポキシ樹脂の硬化でも使用可能である。従って、別の態様は、1,2−エポキシ基の数が平均で1分子当たり1より大きいエポキシ樹脂と本発明のポリアミノアセトニトリルを含有して成る硬化性組成物に関する。
【0084】
本発明に従うそのような組成物を生じさせようとする場合、エポキシ樹脂技術で通常用いられるエポキシ樹脂が使用に適する。1,2−エポキシ基の数が平均で1分子当たり1より大きいエポキシ樹脂の例には下記が含まれる:
A)カルボキシル基を分子中に少なくとも2個有する化合物をそれぞれエピクロロヒドリンおよびβ−メチル−エピクロロヒドリンと反応させることで得ることができるポリグリシジルおよびポリ(β−メチルグリシジル)エステル[この反応を有利には塩基の存在下で実施する。脂肪族ポリカルボン酸をカルボキシル基を分子中に少なくとも2個有する化合物として用いることができる。そのようなポリカルボン酸の例はしゅう酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびリノール酸の二量体もしくは三量体である。しかしながら、また、脂環式ポリカルボン酸、例えばテトラヒドロ−フタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸または4−メチルヘキサヒドロ−フタル酸なども使用可能である。また、芳香族ポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸なども使用可能である]、
B)遊離のアルコール系ヒドロキシ基および/またはフェノール系ヒドロキシ基を少なくとも2個有する化合物とエピクロロヒドリンまたはβ−メチルエピクロロヒドリンの反応をアルカリ性条件下でか或は酸触媒の存在下で起こさせた後にアルカリで処理することで得ることができるポリグリシジルまたはポリ(β−メチルグリシジル)エーテル[この種類のグリシジルエーテルは、例えば非環式アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコールおよび高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオールまたはポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロール−プロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールな
どから生じ、そしてまたポリエピクロロヒドリンからも生じる。この種類のさらなるグリシジルエーテルは、脂環式アルコール、例えば1,4−シクロ−ヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタンまたは2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンなどからも生じるか、或は芳香基および/またはさらなる官能基を含有するアルコール、例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンまたはp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンなどからも生じる。そのようなグリシジルエーテルはまた単核フェノール、例えばレゾルシノールまたはヒドロキノンなどまたは多核フェノール、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンまたは2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが基になっていてもよい。グリシジルエーテルの製造で用いるに適したさらなるヒドロキシ化合物はノボラックであり、これは、アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロラールまたはフルフラルデヒドなどを非置換または塩素原子もしくはC1−9アルキル基で置換されているフェノールもしくはビスフェノール、例えばフェノール、4−クロロフェノール、2−メチルフェノールまたは4−t−ブチルフェノールなどと縮合させることで得ることができる]、
C)アミンの水素原子を少なくとも2個含有するアミンとエピクロロヒドリンの反応生成物に脱塩化水素を受けさせることで得ることができるポリ(N−グリシジル)化合物[そのようなアミンは、例えばアニリン、n−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、m−キシリレンジアミンまたはビス(4−メチルアミノフェニル)メタンなどである。しかしながら、ポリ(N−グリシジル)化合物にはまたイソシアヌール酸トリグリシジル、シクロアルキレン尿素、例えばエチレン尿素または1,3−プロピレン尿素などのN,N’−ジグリシジル誘導体およびヒダントイン、例えば5,5−ジメチルヒダントインなどのジグリシジル誘導体も含まれる]、
D)ポリ(S−グリシジル)化合物、例えばジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオールまたはビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルなどから誘導されたジ−S−グリシジル誘導体など、
E)脂環式エポキシ樹脂、例えばビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,3−エポキシシクロ−ペンチルグリシジルエーテル、1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタンまたは3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなど。
【0085】
しかしながら、また、1,2−エポキシ基が異なるヘテロ原子もしくは官能基と結合しているエポキシ樹脂を用いることも可能であり、そのような化合物には、例えば4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、グリシジルエーテル−サリチル酸グリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントインおよび2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンなどが含まれる。
【0086】
本発明に従うエポキシ樹脂組成物を製造しようとする時、液状または固体状のポリグリシジルエーテルまたはエステル、特にビスフェノールAまたはビスフェノールFまたはこれらの混合物の液状または固体状ジグリシジルエーテル、または脂環式または芳香族ジカルボン酸の固体状または液状ジグリシジルエステル、または脂肪族エポキシ樹脂、例えばトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなど、または脂環式エポキシ樹脂、例えばヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルなどの使用が好適である。また、エポキシ樹脂の混合物を用いることも可能である。
【0087】
本発明に従って生じさせたポリアミノアセトニトリルを有利には他のエポキシ硬化剤、特に通常のアミン系硬化剤と組み合わせて用いることができる。
【0088】
通常のアミン系硬化剤の例には、脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式アミン、例えばビス(4−アミノフェニル)メタン、アニリン−ホルムアルデヒド樹脂、ベンジルアミン、n−オクチルアミン、プロパン−1,3−ジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(ネオペンタンジアミン)、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、N,N−ビス(3−アミノ−プロピル)メチルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジアミン、m−キシリレンジアミン、1,2−および1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンおよび3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロン−ジアミン)、ポリアミノイミダゾリンおよびポリアミノアミド、例えば脂肪族ポリアミンと脂肪酸二量体もしくは三量体から誘導されたポリアミノアミドなど、ポリオキシアルキレンアミン、1,14−ジアミノ−4,11−ジオキサテトラデカン、ジプロピレン−トリアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、第二級ポリオキシプロピレン−ジ−および−トリアミン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、ビス(アミノ−メチル)トリシクロペンタジエン、m−アミノベンジルアミン、1,8−ジアミノ−p−メンタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジペンチルアミン、ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンおよび3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンが含まれる。
【0089】
更に、そのような硬化性エポキシ樹脂/ジアミノアセトニトリル混合物に強化剤、例えば当業者にゴム用強化剤として公知のコア/シェル重合体または弾性重合体または弾性重合体含有グラフト重合体などを含有させることも可能である。適切な強化剤が例えばヨーロッパ特許出願公開第449 776(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)などに記述されている。
【0090】
加うるに、そのような硬化性エポキシ樹脂/ポリアミノアセトニトリル混合物に充填剤、例えば金属粉末、木粉、ガラス粉末、ガラスビード、半金属および金属の酸化物、例えばSiO(Aerosils、石英、石英粉末、融解石英粉末)、コランダムおよび酸化チタンなど、半金属および金属の窒化物、例えば窒化ケイ素、窒化ホウ素および窒化アルミニウムなど、半金属および金属の炭化物(SiC)、金属の炭酸塩(ドロマイト、チョーク、CaCO)、金属の硫酸塩(バライト粉、石膏)、粉砕された鉱物および天然もしくは合成の鉱物(主にケイ酸塩系の)、例えばゼオライト(特にモレキュラーシーブ)、タルク、マイカ、カオリン、珪灰石、ベントナイトなどを含有させることも可能である。
【0091】
上述した添加剤に加えて、前記硬化性エポキシ樹脂/ポリアミノアセトニトリル混合物にまた通常の添加剤、例えば抗酸化剤、光安定剤、可塑剤、染料、顔料、チキソトロピー剤、じん性向上剤、消泡剤、帯電防止剤、滑剤および離型剤などを含有させることも可能である。
【0092】
成形品、被膜などを生じさせる目的で本発明に従うエポキシ樹脂組成物を硬化させようとする時、これをエポキシ樹脂技術に通常の様式、例えば熱をかけることなどでか或はH.LeeおよびK.Neville著の“Handbook of Epoxy Resins”、1967に記述されているようにして実施する。従って、1つの態様では、当
該エポキシ樹脂とポリアミノアセトニトリルを混合して硬化性組成物を生じさせた後にその組成物に熱をかけることで硬化させる。
【0093】
本発明は、更に、1,2−エポキシ基の数が平均で1分子当たり1より大きいエポキシ樹脂および本発明に従うポリアミノアセトニトリルを含有して成る硬化性組成物を硬化させることで得た架橋製品にも関する。
【0094】
本発明に従う硬化性組成物は、多様な用途、例えば塗装用組成物、接着剤、複合材料用の結合用組成物または成形品製造用の鋳込み用樹脂などで用いるに適する。
【0095】
別の態様として、本発明は、式(9):
【0096】
【化10】

【0097】
で表されるポリアミノアセトニトリルを開示する。
【0098】
式(9)中のRは置換もしくは非置換C3−20シクロアルキル基または置換もしくは非置換C6−14アリール基であってもよい。Rはまた式(2)、(3)、(4)、(5)、(7)または(8)で表されるポリエーテル化合物であってもよい。Rは式(6)で表されるポリオキシアルキレン化合物、式(11)または(12)で表されるグリコール化合物および/または非置換もしくは置換C4−12アルキル基であってもよい。
【0099】
Rは、また、式(10):
【0100】
【化11】

【0101】
[式中、
は水素またはエチル基であり、pは0または1であり、e+f+gは約5から約85である]
で表されるポリエーテル化合物であってもよく、前記式(5)で表されるポリエーテル化合物の分子量は約440g/モルから約5000g/モルである。
【0102】
本発明の態様として、前記式(9)で表されるポリアミノアセトニトリルはジアミノアセトニトリル、トリアミノアセトニトリル[例えばRが式(10)である時など]またはテトラアミノアセトニトリルであり得る。
【0103】
以下の実施例を考慮することで本発明を更に説明するが、本実施例は本発明の例示を意図したものである。本実施例に示す部およびパーセントは特に明記しない限り全部が重量が基になっている。
【0104】
[実施例]
【実施例1】
【0105】
アセトニトリル置換アミノ化プロポキシル化ポリテトラメチレングリコール(1080モル重量)の合成。150gのアミノ化プロポキシル化ポリテトラメチレン(モル重量〜1000)と150gのイソプロピルアルコールを1000mlのフラスコの中で一緒にした。31.4gのグリコロニトリル(水中55%)の添加を温度が<40に維持されるようにゆっくり行った後の反応混合物を室温で3時間反応させる。その混合物を濾過した後、真空下60℃で揮散させることでアミン価が1.9meq/gのの液体を142.5g(88%の収率)得る。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0106】
【化12】

【0107】
で表される。
【実施例2】
【0108】
アセトニトリル置換アミノ化プロポキシル化ポリテトラメチレングリコール(2480モル重量)の合成。実施例1に示した様式と同様にして、1000gのアミノ化プロポキシル化ポリテトラメチレン(モル重量〜2400)に変換を受けさせることでアミン価が0.8meq/gの液体を973g(94%の収率)得た。
【実施例3】
【0109】
アセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンの合成。実施例1に示した様式と同様にして、150gのJEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が0.96meq/gの液体を146g(94%の収率)得た。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0110】
【化13】

【0111】
で表される。
【実施例4】
【0112】
アセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンの合成(大規模)。実施例1に示した様式と同様にして、24ポンドのJEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が1.0meq/gの液体を23.8ポンド(95%の収率)得た。
【実施例5】
【0113】
アセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)D−400ポリエーテルアミンの合成。実施例1に示した様式と同様にして、100gのJEFFAMINE(登録商標)D−400ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が3.7meq/gの液体を133.8g(91%の収率)得た。
【実施例6】
【0114】
アセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)D−230ポリエーテルアミン(アミノ化)の合成。実施例1に示した様式と同様にして、100gのJEFFAMINE(登録商標)D−230ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が6.5meq/gの液体を133.8g(90%の収率)得た。
【実施例7】
【0115】
アセトニトリル置換ヘキサメチレンジアミンの合成。実施例1に示した様式と同様にして、100gのヘキサメチレンジアミンに変換を受けさせることでアミン価が10.3meq/gの液体を151g(92%の収率)得た。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0116】
【化14】

【0117】
で表される。
【実施例8】
【0118】
アセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)T−403ポリエーテルアミン(トリアミン)の合成。実施例1に示した様式と同様にして、150gのJEFFAMINE(登録商標)T−403ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が5.
8meq/gの液体を160g(91%の収率)得た。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0119】
【化15】

【0120】
で表される。
【実施例9】
【0121】
アセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)T−3000ポリエーテルアミン(トリアミン)の合成。実施例1に示した様式と同様にして、150gのJEFFAMINE(登録商標)T−3000ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が1.0meq/gの液体を147g(96%の収率)得た。
【実施例10】
【0122】
アセトニトリル置換IPDAの合成。実施例1に示した様式と同様にして、100gのIPDAに変換を受けさせることでアミン価が8.1meq/gの液体を134g(92%の収率)得た。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0123】
【化16】

【0124】
で表される。
【実施例11】
【0125】
アセトニトリル置換ETHACURE(登録商標)100LC硬化剤の合成。実施例1に示した様式と同様にして、150gのETHACURE(登録商標)100LC硬化剤に変換を受けさせることでアミン価が7.8meq/gの暗色液体を218g(100%の収率)得た。
【実施例12】
【0126】
アセトニトリル置換IPDA B側混成(side composite)混合物の合成。144gのJEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミン、10gのJEFFAMINE(登録商標)T−403ポリエーテルアミンおよび74gのIPDAを500mlのフラスコ内で40gのイソプロピルアルコールと一緒にした。温度を<40に維持しながら113.3gのグリコロニトリル(水中55%)をゆっくり加えた後の反応混合物を40℃で2時間反応させる。その混合物を濾過した後、真空下70℃で揮散させることでアミン価が4.0meq/gの液体を241g(89%の収率)得る。
【実施例13】
【0127】
アセトニトリル置換IPDA B側混成混合物の合成(大規模)。実施例12に示した様式と同様にして、12.7ポンドのJEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミン、0.88ポンドのJEFFAMINE(登録商標)T−403ポリエーテルアミンおよび6.5ポンドのIPDAに変換を受けさせることでアミン価が4.0meq/gの液体を20.2ポンド(85%の収率)得た。
【実施例14】
【0128】
アセトニトリル置換ETHACURE(登録商標)100LC硬化剤B側混成混合物の合成。実施例12に示した様式と同様にして、90gのJEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンおよび90gのETHACURE(登録商標)100LC硬化剤に変換を受けさせることでアミン価が4.9meq/gの暗色液体を216g(85%の収率)得た。
【実施例15】
【0129】
ジメチルアセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)D−400ポリエーテルアミンの合成。100gのJEFFAMINE(登録商標)D−400ポリエーテルアミンおよび250gのイソプロピルアルコールを1000mlのフラスコに仕込んだ。温度を<40℃に維持しながら43gのヒドロキシイソブチロニトリル(アセトンシアノヒドリン)を加えた。その反応混合物を45℃で3時間反応させた。その反応混合物を濾過した後、真空下70℃で揮散させることでアミン価が3.7meq/gの液体を121g(91%の収率)得た。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0130】
【化17】

【0131】
で表される。
【実施例16】
【0132】
ジメチルアセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンの合成。実施例15に示した様式と同様にして、300gのJEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が0.9meq/gの液体を300g(94%の収率)得た。
【実施例17】
【0133】
ジメチルアセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンの合成(大規模)。実施例15に示した様式と同様にして、8000gのJEFFAMINE(登録商標)D−2000ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が0.9meq/gの液体を8326g(98%の収率)得た。
【実施例18】
【0134】
ジメチルアセトニトリル置換JEFFAMINE(登録商標)D−230ポリエーテルアミンの合成。実施例15に示した様式と同様にして、100gのJEFFAMINE(登録商標)D−230ポリエーテルアミンに変換を受けさせることでアミン価が5.5meq/gの液体を141g(89%の収率)得た。
【実施例19】
【0135】
ジメチルアセトニトリル置換IPDAの合成。実施例15に示した様式と同様にして、100gのIPDAに変換を受けさせることでアミン価が6.6meq/gの液体を155g(87%の収率)得た。
【実施例20】
【0136】
アセトニトリルが50%でジメチルアセトニトリルが50%の混合置換PACMの合成。80gのPACMおよび150gのイソプロピルアルコールを1000mlのフラスコに仕込んだ。33.7gのヒドロキシイソブチロニトリル(アセトンシアノヒドリン)と41gのグリコロニトリル(水中55%)を一緒にして前記PACM溶液に温度を<40℃に維持しながら加えた。その反応混合物を45℃で3時間反応させ、濾過した後、真空下70℃で揮散させることでアミン価が5.5meq/gの流れの悪い液体を95g(91%の収率)得た。
【実施例21】
【0137】
アセトニトリルが80%でエチルアセトニトリルが20%の混合置換IPDAの合成。1200gのIPDAおよび300gの脱イオン水を5000mlのフラスコの中で混合する。365.7gのHCl(29%)を分割して加えた後の混合物全体を10℃に冷却する。189.2gのシアン化カリウムを前記フラスコに加える。168.8gのプロピオンアルデヒド(97%)を100gのメタノールと混合する。そのプロピオンアルデヒド溶液を前記IPDA混合物に温度を<15℃に維持しながらゆっくり加える(約3時間)。その混合物を室温にした後、1181gのグリコロニトリル(水中55%)を温度を<40℃に維持しながらゆっくり加える。その最終混合物に揮散を真空下70℃で受けさせることで揮発性材料を除去した後、濾過を行うことでKClを除去する。アミン価が7.7meq/gの液状生成物が1565g(86%の収率)生じた。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0138】
【化18】

【0139】
で表される。
【実施例22】
【0140】
アセトニトリルが90%でエチルアセトニトリルが10%の混合置換IPDAの合成。実施例21に示した様式と同様にして、1200gのIPDAに変換を受けさせることでアミン価が7.9meq/gの液体を1607g(90%の収率)得た。
【実施例23】
【0141】
アセトニトリルが67%でエチルアセトニトリルが33%の混合置換PACMの合成。実施例21に示した様式と同様にして、1200gのPACMに変換を受けさせることでアミン価が6.5meq/gの液体を1430g(82%の収率)得た。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0142】
【化19】

【0143】
で表される。
【実施例24】
【0144】
100%エチルアセトニトリル置換PACMの合成。実施例21に示した様式と同様にして、100gのPACMに変換を受けさせることでアミン価が5.8meq/gで融点が65℃の砕け易い固体を150g(92%の収率)得た。その生じたポリアミノアセトニトリルは
【0145】
【化20】

【0146】
で表される。
【0147】
この上に開示した主題は例示として見なされるべきであり、制限として見なされるべきでなく、かつ本発明の真の範囲内に入るそのような修飾形、改善形および他の態様の全部を添付請求項に包含させることを意図する。このように、本発明の範囲は以下の請求項およびこれらの相当物の最も幅広い許容される解釈によって法が許容する最大限に決定されるべきであり、この上で行った詳細な説明によって制限も限定もされるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミノアセトニトリルであって、式

NH−R−NH (1)

[式中、
Rは、
(i)置換もしくは非置換C3−20シクロアルキル基、
(ii)置換もしくは非置換C6−14アリール基、
(iii)式
【化1】

(式中、xは約2から約70である)
で表される分子量が約230g/モルから約4000g/モルのポリエーテル化合物、
(iv)式(3)
【化2】

(式中、bは約2から約40であり、a+cは約1から6でありそしてJおよびMは各々独立して水素、メチル基またはエチル基である)
で表される分子量が約220g/モルから約2000g/モルのポリエーテル化合物、
(v)式
【化3】

(式中、dは2または3である)
で表されるポリエーテル化合物、
(vi)式
【化4】

(式中、Rは水素またはエチル基であり、pは0または1であり、e+f+gは約5から約85である)
で表される分子量が約440g/モルから約5000g/モルのポリエーテル化合物、
(vii)式
【化5】

(式中、Zは独立して水素、メチル基またはエチル基から選択され、hは整数である)
で表される数平均分子量が約100から約8000の範囲のポリオキシアルキレン化合物、
(viii)式(8):
【化6】

で表されるポリエーテル化合物、および
(ix)式(11):
【化7】

(式中、q+tは約2から約30でありそしてsは約5から約20である)
で表されるグリコール、および
(x)式(12):
【化8】

(式中、uは約1から約40である)
で表されるグリコール、
から選択される]
で表されるアミン化合物をカルニル含有化合物とシアニド含有ボ化合物の反応生成物とか或は式
【化9】

[式中、
およびRは、独立して、水素、置換もしくは非置換C1−20アルキル、置換もしくは非置換C3−20シクロアルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニルおよび置換もしくは非置換C6−14アリールから選択される]
で表されるシアノヒドリン化合物と接触させて反応させることを含んで成る方法で生じさせたポリアミノアセトニトリル。
【請求項2】
およびRが水素である請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項3】
Rが前記式(2)で表されるポリエーテル化合物である請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項4】
xが約6.1である請求項3記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項5】
xが約33である請求項3記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項6】
前記式(1)で表されるアミン化合物がフェニレンジアミン、メタ−キシレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキシルアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサンおよびp−アミノシクロヘキシルメタンから成る群より選択される請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項7】
前記式(1)で表されるアミン化合物がビス(アミノシクロヘキシル)メタンまたはこれの誘導体である請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項8】
前記式(1)で表されるアミン化合物がイソホロンジアミンまたはこれの誘導体である請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項9】
Rがアミン置換誘導体である請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項10】
Rがジアミン置換誘導体である請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項11】
ポリアミノアセトニトリルの製造方法であって、式

NH−R−NH (1)

[式中、
Rは、
(i)置換もしくは非置換C3−20シクロアルキル基、
(ii)置換もしくは非置換C6−14アリール基、
(iii)式
【化10】

(式中、xは約2から約70である)
で表される分子量が約230g/モルから約4000g/モルのポリエーテル化合物、
(iv)式(3)
【化11】

(式中、bは約2から約40であり、a+cは約1から6でありそしてJおよびMは各々独立して水素、メチル基またはエチル基である)
で表される分子量が約220g/モルから約2000g/モルのポリエーテル化合物、
(v)式
【化12】

(式中、dは2または3である)
で表されるポリエーテル化合物、
(vi)式
【化13】

(式中、Rは水素またはエチル基であり、pは0または1であり、e+f+gは約5から85である)
で表される分子量が約440g/モルから約5000g/モルのポリエーテル化合物、
(vii)式(6):
【化14】

(式中、Zは独立して水素、メチル基またはエチル基から選択され、hは整数である)
で表される数平均分子量が約100から約8000の範囲のポリオキシアルキレン化合物、および
(vii)式(8):
【化15】

で表されるポリエーテル化合物、
(ix)式(11):
【化16】

(式中、q+tは約2から約30でありそしてsは約5から約20である)
で表されるグリコール、および
(xi)式(12):
【化17】

(式中、uは約1から約40である)
で表されるグリコール、
から選択される]
で表されるアミン化合物をカルボニル含有化合物とシアニド含有化合物の反応生成物とか或は式
【化18】

[式中、
およびRは、独立して、水素、置換もしくは非置換C1−20アルキル、非置換も
しくは置換C3−20シクロアルキル、C3−8アルケニル、C3−8アルキニルおよび置換もしくは非置換C6−14アリールから選択される]
で表されるシアノヒドリン化合物と接触させて反応させることを含んで成る方法。
【請求項12】
前記反応を約8から14のpHで実施する請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記反応を大気圧下約20°から約70℃の範囲の温度で実施する請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記反応を前記式(1)で表されるアミン化合物と前記式(7)で表されるシアノヒドリン化合物をアミン:シアノヒドリンのモル比が1:1.0−2.0になるように混合することで実施する請求項11記載の方法。
【請求項15】
重合体の製造方法であって、少なくとも1種のイソシアネートを含有して成る1番目成分と請求項1記載のポリアミノアセトニトリルを含有して成る2番目の成分を接触させて反応させることを含んで成る方法。
【請求項16】
前記1番目の成分と2番目の成分の接触をブレンド、混合、高圧衝突混合噴霧、低圧静的混合噴霧または低圧静的混合分注で起こさせる請求項15記載の方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法に従って生じさせた重合体。
【請求項18】
装置であって、少なくとも1種のイソシアネートを含有する1番目の成分を入れるための1番目の容器および請求項1記載の少なくとも1種のジアミノアセトニトリルを含有する2番目成分を入れるための2番目の容器が備わっている装置。
【請求項19】
前記1番目の容器または2番目の容器または両方に更にポリオールも入れる請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記1番目の容器または2番目の容器または両方に更に添加剤も入れる請求項18記載の装置。
【請求項21】
硬化性組成物であって、1,2−エポキシ基の数が平均で1分子当たり1より大きいエポキシ樹脂および請求項1記載のジアミノアセトニトリルを含有して成る硬化性組成物。
【請求項22】
硬化性組成物を硬化させる方法であって、1,2−エポキシ基の数が平均で1分子当たり1より大きいエポキシ樹脂と請求項1記載のジアミノアセトニトリルを混合することで硬化性組成物を生じさせそして前記硬化性組成物に熱をかけることで前記硬化性組成物を硬化させることを含んで成る方法。
【請求項23】
請求項22の方法に従って生じさせた架橋製品。
【請求項24】
ポリアミノアセトニトリルであって、
式(9)
【化19】

[式中、
Rは、
(i)置換もしくは非置換C3−20シクロアルキル基、
(ii)置換もしくは非置換C6−14アリール基、
(iii)式
【化20】

(式中、xは約2から約70である)
で表される分子量が約230g/モルから約4000g/モルのポリエーテル化合物、
(iv)式(3)
【化21】

(式中、bは約2から約40であり、a+cは約1から6でありそしてJおよびMは各々独立してメチル基またはエチル基である)
で表される分子量が約220g/モルから約2000g/モルのポリエーテル化合物、
(v)式
【化22】

(式中、dは2または3である)
で表されるポリエーテル化合物、
(vi)式
【化23】

(式中、Rは水素またはエチル基であり、pは0または1であり、e+f+gは約5から約85である)
で表される分子量が約440g/モルから約5000g/モルのポリエーテル化合物、
(vii)式(6):
【化24】

(式中、Zは独立して水素、メチル基またはエチル基から選択され、hは整数である)
で表される数平均分子量が約100から約8000の範囲のポリオキシアルキレン化合物、および
(viii)式(8):
【化25】

で表されるポリエーテル化合物、
(ix)式(11):
【化26】

(式中、q+tは約2から約30でありそしてsは約5から約20である)
で表されるグリコール、および
(x)式(12):
【化27】

(式中、uは約1から約40である)
で表されるグリコール、
から選択される]
を包含するポリアミノアセトニトリル。
【請求項25】
前記式(1)で表されるアミン化合物がトリアミノアセトニトリルである請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。
【請求項26】
前記式(1)で表されるアミン化合物がテトラアミノアセトニトリルである請求項1記載のポリアミノアセトニトリル。

【公表番号】特表2012−508168(P2012−508168A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534584(P2011−534584)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059775
【国際公開番号】WO2010/053649
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(509344984)ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】