説明

ポリアミンの新規な蛍光誘導体、その製造方法、および癌性腫瘍の治療における診断手段としてのその使用

本発明は、ベンズオキサジアゾール基を有するポリアミンの新規蛍光性誘導体、その製造方法、ならびに、上記誘導体の使用であって、癌細胞においてポリアミン輸送系を強調してその治療を適応させるためおよび腫瘍を有する患者を選択してその治療を適応させるための診断手段としての、使用に関する。上記誘導体は、式(I) を有するもの、またはその薬学上許容可能な塩である:


(上記式中、R1は、4または6位における1個以上のNO2基、またはSO2Ph、SO2NMe2、SO2NH2またはSO3H基であり、R2は、水素、C1-6アルキル、ベンジル、ペルフルオロアルキル基であり、a、b、cの値は、互いに独立して2〜5の範囲であり、アミノ基同士を引き離しているアルキレン鎖を表し、dおよびeの値は独立して0または1であることができる)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
生体分子のマーキングおよび生物学的現象の追跡には、生物学的媒体の構造的および機能的研究に欠かすことができない手段となっている蛍光プローブのデザインが必要である。
【0002】
蛍光プローブは、適切な生物学的環境と特異的相互作用特性を有する基に共有結合したフルオロフォアまたは蛍光色素基からなる接合分子である。
【0003】
この蛍光プローブは、十分に画定された波長で受け取られる光エネルギーを吸収した後、このエネルギーを放射相と呼ばれる蛍光の形態で復活させる特性を有する。従って、励起後に光子のエネルギーが吸収されると、この分子は電子的に励起された状態にあり、次いで光子を放出することによって基底エネルギー状態に戻る。この光子放出の蛍光発光現象は、励起波長より若干長い波長で起こる。次いで、分子に特異的な蛍光スペクトルを記録することができる。
【0004】
次に、蛍光プローブを適当な波長で励起することによって、蛍光顕微鏡またはフローサイトメーターを用いて生物学的媒質にこの調製物を配置することができる。
【0005】
フルオレセインまたはローダミンの誘導体などの多種多様な蛍光色素がある。それらの総てが、生物学的追跡調査に適当であるというわけではない。本質的特徴は、調査の実行可能性についての励起および発光波長の値、調査に用いるプローブの濃度に適合した消光係数、エネルギー損失なしに有意なシグナルを得ることができかつ経時的に安定な、すなわち励起状態でかなり長い半減期を有する量子収量である。
【0006】
さらに、選択されたフルオロフォアは測定中のその環境内で可能な最小限化学反応に加わることが望ましく、さもなければ、これはその蛍光特性を喪失する、すなわちシグナルを喪失することになる。
【0007】
ベンゾフラザンとも呼ばれるベンズオキサジアゾール骨格を有する誘導体は、必要な蛍光特性を有する。励起および発光に用いられる波長の値およびこの現象の強度および安定性における品質は、化合物およびその置換基の構造に関係している。
【0008】
これらの誘導体は既知のものであり、それらの置換基およびそれらの製造に関連する蛍光の研究は、文献(J. Chem. Soc. Perkin Trans 2, 1998, 2165、J. Chem. Soc、Perkin Trans 2, 1999, 569)に記載されている。
【0009】
生物学的用途のベンズオキサジアゾール蛍光誘導体は研究されている(Anal. Chim. Acta, 2005, 550, 173, Bioorg. Med. Chem. Lett. 2003, 13, 1717, Luminscence, 2002, 17, J. Med. Chem. 1999, 42, 3101)。
【0010】
癌は、西欧世界における死亡率の主要な原因の一つである。癌と闘う手段、すなわち予防、手術、放射線療法、免疫療法および化学療法は、多くの症例において、この疾患を根絶することはできていない。
【0011】
この失敗の理由は、部分的には腫瘍細胞を識別して、健康な組織を余り損なうことなく選択的に腫瘍細胞を治療することが困難であることにある。
【0012】
ベンズオキサジアゾール - ポリアミンの接合ハイブリッド分子は、この問題に解答をもたらすことができる。
【0013】
癌細胞の増殖のためには、ポリアミン(スペルミン、スペルミジン、プトレシン)など多数の本質的生物学的要素を必要とする。ポリアミンは、あらゆる細胞の増殖に欠くことができないものである。通常の条件下では、ポリアミンの内因性合成は細胞にとって十分であるが、癌細胞では、外因性のポリアミンの寄与が能動輸送によってほとんどの場合に必要である。この能動輸送の検出により、癌細胞を検出しかつ増殖および転移に関するそれらの進行を追跡することができる。しかしながら、現時点では、ヒト細胞におけるポリアミン輸送体は、分子レベルでは確認されていない。従って、その存在を明らかにする唯一の方法は、細胞内に蓄積することによって、輸送体の活性に情報を与えるこの輸送体によって認識されるプローブを用いることである。
【0014】
ポリアミン輸送体は、タンパク質複合体であるが、その構造は詳細には知られていない。
この輸送体は、天然ポリアミン、すなわちプトレシン、スペルミジンおよびスペルミンの細胞内導入に重要な役割を果たしている。
【0015】
これらのポリアミンは、細胞成長および発育に本質的である。細胞内代謝は、通常は健康な細胞の必要とするものを提供する。この代謝は、細胞のアミノ酸からこれらのポリアミンを提供する。アルギニンはオルニチンに転換し、オルニチンは脱炭酸を受けてプトレシンを提供する。このプトレシン(C4)はアデノシンメチオニンの後、脱炭酸によってC3鎖だけ伸張して、スペルミジンを提供することができる。後者は、これもまたもう一つのメチオニン残基によってC3鎖だけ伸張して、スペルミンを提供することができる。
【0016】
これらのポリアミンはまた、ポリアミンオキシダーゼで酸化することによって分解し、これによってスペルミジンおよびプトレシンに転換することもできる。
【0017】
細胞内機構が妨害される場合には(例えば、癌細胞)、細胞内代謝は最早細胞の要求を満たすことができないので、細胞外からポリアミンを獲得することになる。
これは、ポリアミン輸送体が関与することになる場合である。これは、フィーダーおよびレギュレーターとして作用する。
【0018】
例えば、特許出願WO 2005/100363号明細書の実施例27における化合物の場合には、スペルミンにグラフトした「エピポドフィロトキシン」構造残基は、ポリアミン輸送体の認識を変更するとは思われず、この化合物を腫瘍細胞でインターナライズすることができ、続いて細胞毒性薬としてのその役割を果たす。同様に、ポリアミン残基を有する蛍光プローブは、ポリアミン輸送体によって認識される。
【0019】
癌腫学において検討された細胞系のパネルの中には、ポリアミン輸送体の発現に変動性がある。診断用プローブを用いると、どの細胞が治療に感受性でありかつどの細胞が感受性でないかを予め(抗腫瘍治療前に)決定することが可能である。
【0020】
細胞内蛍光が大きくなれば、考慮中の細胞のより多くがターゲッティングした抗癌剤(例えば、特許出願WO 2005/100363号明細書の実施例27の化合物)による治療に感受性となる。
【0021】
本発明は、従って、蛍光を有する置換ベンズオキサジアゾール残基に結合したポリアミン残基から構成され、上記プローブとして用いることができる化合物に関する。これらの分子のポリアミン部分は効果的にポリアミン輸送系によって認識され、この分子は癌細胞中でインターナライズされ、一方、蛍光を有する部分は生物学的媒質中で通常の分析系によって検出され、これによってポリアミン輸送系を発現する腫瘍を選択することができる。
【0022】
その結果、このポリアミン輸送系の検出によって、抗癌化合物の作用機構に関わりなく、ポリアミン輸送系によって媒介される(vectored by)抗癌化合物で治療することができる担癌患者を選択することができる。
【0023】
従って、生験によって採取された腫瘍または入院患者から穿刺によって採取された白血病細胞では、ポリアミン輸送体の発現に比例する蛍光を検出することが可能である。これらの腫瘍患者を次に選択して、好ましくはポリアミン輸送系に向けられた(vectored toward)抗癌化合物で治療し、治療応答を一層良好にすることができる。
【0024】
米国特許第6,172,261号明細書およびAnal. Chim. Acta, 1983, 149, 305には、フルオロフォア基に結合したポリアミンが記載されている。さらに詳細には、B.R. Wareは、Langmuir (1988, 4, 458)にベンズオキサジアゾール基を有するスペルミン誘導体(その式は、下記に示す)、およびオリゴヌクレオチドとのその相互作用についての研究における蛍光ポリアミン誘導体としてのその使用を報告している。
【化1】

【0025】
同様に、Ohbaは、ベンズオキサジアゾール基を有するプトレシンの誘導体(その式は、下記に示す)を報告している(Tetrahedron, 2007, 63, 37-54)。
【化2】

【0026】
しかしながら、これらの公表文献のいずれにも、ポリアミン輸送系を発現する腫瘍細胞の立証における、ポリアミン-ベンズオキサジアゾールの誘導体の使用は記載されていない。
【0027】
本発明は、蛍光性残基が結合するポリアミン残基、すなわち置換ベンズオキサジアゾールからなる新規な蛍光誘導体、誘導体の製造方法、および細胞中のポリアミン輸送系の検出におけるそれらの使用に関する。本発明はまた、腫瘍ポリアミン輸送系を発現する腫瘍の選択におけるそれらの使用および腫瘍の患者におけるそれらの使用に関する。
【0028】
これらの誘導体は、下記の式1の化合物、または薬学上許容可能なその塩に相当する:
【化3】

(上記式中、
R1は、4および/または6位における1または2個のNO2基を表すか、またはSO2Ph、SO2NMe2、SO2NH2、SO3Hを表し、
ポリアミン鎖は、5、6または7位にあることができ、
R2は、水素、C1-6アルキル、ベンジル、ペルフルオロアルキル基であり、
a、b、cの値は、互いに独立して2〜5であることができ、アミノ基同士を引き離しているアルキレン鎖を表し、
dおよびeの値は、独立して0または1であることができるが、同時に0であることはできず、
但し、e = 0であるときには、R2は水素であることはできず、かつ
R1 = 4-NO2、R2 = H、a = 3、b = 4、c = 3およびd = e = 1である化合物を除く)。
本発明の化合物は、無機または有機付加塩の形態であることができる。
【0029】
本発明において「薬学上許容可能な」とは、一般的に安全で、無毒でかつ生物学的にまたは生物学的にではないにせよ望ましくないものではなく、かつ獣医使用およびヒト医薬使用に許容可能な医薬組成物を製造するのに用いることができることを意味する。
【0030】
本発明における化合物の「薬学上許容可能な塩」とは、本明細書で定義されるような薬学上許容可能でありかつ親化合物の所望な薬理活性を有する塩を意味する。
【0031】
本発明の意味における「付加塩」とは、特に無機または有機酸の付加塩を意味する。
【0032】
例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成した、または酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2-ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル-L-酒石酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸と形成した酸付加塩を挙げることができる。
【0033】
本発明における「4-NO2」とは、4位におけるNO2(ニトロ)基を意味する。
【0034】
本発明における「アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を含んでなる飽和の直鎖または分岐鎖状炭化水素を意味する。詳細には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、第三-ブチル、イソブチル、ペンチルまたはヘキシルであることができる。
【0035】
本発明における「ペルフルオロアルキル」とは、上記で定義したような総てのアルキル基がフッ素原子によって置換されているアルキル基を意味する。
【0036】
有利には、R1は4および/または6位における1または2個のNO2基を表し、更に詳細には4位におけるNO2基を表す。
【0037】
さらに詳細には、本発明は、
- R1 = 4-NO2、R2 =C1-6、a = 3、b = 4、c = 3、d = e =1、
- R1 = 4-NO2、R2 = HまたはC1-6アルキル、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1、
- R1 = 4-NO2、R2 = HまたはC1-6アルキル、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1、または
- R1 = 4-NO2、R2 =C1-6アルキル、a = 4、b = 0、c = 0、d = 1、e = 0
である化合物に関する。
【0038】
さらに詳細には、本発明は、下記の化合物に関する:
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a =3、b= 4、c = 3、d = e =1)に相当するN-(3-アミノプロピル)-N'-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-1,4-ジアミン、
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1)に相当するN-(3-アミノプロピル)-N'-メチル-N'-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-l,4-ジアミン、
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = H、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1)に相当するN-(3-アミノプロピル)-N'-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-l,4-ジアミン、
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1)に相当するN*1*-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-1,4-ジアミン、
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = H、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1)に相当するN*1*-[3-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル-アミノ)-プロピル]-ブタン-l,4-ジアミン、および
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 4、b = 0、c = 0、d = 1、e = 0)に相当するN*1*-メチル-N*1*-(7-ニトロベンゾ[l ,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-1,4-ジアミン。
【0039】
本発明は、式1の化合物の合成方法であって、下記の工程a)、b)およびc)を含んでなることを特徴とする、方法に関する:
a) 式2のベンズオキサジアゾールの誘導体の5、6または7位、すなわちオルトまたはパラ位のR1基におけるカップリングであって、
【化4】

(上記式中、
R1は、4および/または6位における1または2個のNO2基を表すか、またはSO2Ph、SO2NMe2、SO2NH2またはSO3Hを表し、有利には、4位におけるNO2基であり、
R3は、R1基のオルトまたはパラ位に可動のハロゲン置換基である)
式6のポリアミンとのカップリング:
【化5】

(上記式中、
Pはアミン官能基の保護基であり、a、b、c、dおよびeは上記と同じ意味を有する)。
【0040】
保護基Pは、R1基 = NO2であるときには、酸性媒質(HClまたはトリフルオロ酢酸(TFA))中で開裂可能なBOC(第三ブチルオキシカルボニル)基であることができる。ベンズオキサジアゾールがスルホニルまたはスルファミド基を有するときには、Pは水素化分解によって開裂することができるベンジルオキシカルボニル型の保護基であることができる。
【0041】
このカップリング反応中に、ポリアミンは、不活性溶媒中、塩基で処理することによるハロゲンの置換によって、ベンズオキサジアゾールと反応する。
【0042】
更に詳細には、式2の化合物は、4-ニトロ-7-クロロベンズオキサジアゾールである。
【0043】
更に詳細には、不活性溶媒はアセトニトリルであり、かつ塩基は炭酸セシウムである。
【0044】
別のベンズオキサジアゾールは、下記の公表文献に記載されている: J. Chem. Soc. Perkin Trans 2, 1998, 2165, J. Chem. Soc, Perkin Trans 2, 1999, 569。
【0045】
ポリアミン誘導体の例である、スペルミン誘導体3個のベンジルオキシカルボニルまたは第三ブチルオキシカルボニル基によって保護されたスペルミン誘導体は、公表文献に記載されている(Tet. Let. 1998, 39, 439)。
【0046】
b) カップリング反応a)から誘導された化合物を、不活性溶媒中塩基の存在下、ハロゲン化アルキルでアルキル化する。好ましくは、THF (テトラヒドロフラン)が溶媒として用いられる。
【0047】
好ましくは、水素化ナトリウムまたは炭酸アルカリが塩基として用いられる。
また、好ましくは、THFは溶媒として用いられる。
【0048】
c) 工程b)から誘導される化合物を、次に酸性媒質中周囲温度で脱保護し、式1の化合物を得る。
好ましくは、この脱保護工程は、塩酸またはトリフルオロ酢酸中で行われる。
【0049】
本発明はまた、ポリアミン輸送系を発現する腫瘍を検出するための診断用蛍光プローブとしての、下式1の化合物または薬学上許容可能なその塩の使用に関する:
【化6】

(上記式中、
R1は、4および/または6位における1または2個のNO2基を表すか、あるいは、SO2Ph、SO2NMe2、SO2NH2またはSO3H基を表し、
ポリアミン鎖は、5、6または7位にあることができ、
R2は、水素、C1-6アルキル、ベンジル、ペルフルオロアルキル基を表し、
a、b、cの値は、互いに独立して2 - 5であることができ、アミノ基同士を引き離しているアルキレン鎖を表し、
dおよびeの値は、独立して0または1であることができるが、同時に0であることはできない)。
【0050】
本発明の化合物は、無機または有機付加塩の形態であることができる。
有利には、e = 0であるときには、R2は水素ではない。
有利には、R1は4および/または6位における1または2個のNO2基であり、更に詳細には4位におけるNO2基である。
【0051】
更に詳細には、診断用蛍光プローブとして用いることができる式1の化合物は、
- R1 = 4-NO2、R2 =C1-6アルキル、a = 3、b = 4、c = 3、d = e =1、
- R1 = 4-NO2、R2 = HまたはC1-6アルキル、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1、
- R1 = 4-NO2、R2 = HまたはC1-6アルキル、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1、または
- R1 = 4-NO2、R2 =C1-6アルキル、a = 4、b = 0、c = 0、d = 1、e = 0
である化合物に関する。
【0052】
更に詳細には、式1の化合物は、下記の化合物、すなわち
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a =3、b= 4、c = 3、d = e =1)に相当するN-(3-アミノプロピル)-N'-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-1,4-ジアミン、
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1)に相当するN-(3-アミノプロピル)-N'-メチル-N'-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-l,4-ジアミン、
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = H、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1)に相当するN-(3-アミノプロピル)-N'-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-l,4-ジアミン、
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1)に相当するN*1*-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-1,4-ジアミン、
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = H、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1)に相当するN*1*-[3-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル-アミノ)-プロピル]-ブタン-l,4-ジアミン、および
・ 式1の化合物(式中、R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 4、b = 0、c = 0、d = 1、e = 0)に相当するN*1*-メチル-N*1*-(7-ニトロベンゾ[l ,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-1,4-ジアミン
に関する。
【0053】
下記の実施例によって、本発明の化合物を製造する様々なこつ低を説明するが、本発明を制限するものではない。
【0054】
実施例1: N-(3-アミノプロピル)-N'-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-l,4-ジアミンの合成
【化7】

【0055】
式1の化合物の合成は、下記に示す工程図に従って行う。
【化8】

【0056】
工程1: 式3のトリBOC スペルミンの製造(Bioorg. Med. Chem. 2002, 10, 2397)。
【化9】

【0057】
スペルミン40 gをCH2Cl2 300 mlに溶解し、0℃に冷却する。トリフルオロ酢酸エチル23.8 mlをCH2Cl2 50 mlに溶解したものを滴加する。溶液を、室温にて1時間攪拌する。得られる残渣をTHF 600 mlに溶解し、トリエチルアミン140.28 mlを加える。次に、BOC2O 174.48 gをTHF 200 mlに溶解したものを、温度を20℃に維持しながら加える。室温での攪拌を3時間継続した後、反応媒質を水に投入し、イソプロピルエーテルで抽出する。傾瀉し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、蒸発させた後、有機溶液を蒸発させる。次いで、得られた残渣を、MeOH/H2Oの8/2混合物900 mlに溶解させる。炭酸セシウム192.6 gを加え、全体を3時間還流させる。メタノールを真空蒸留した後、水を加えて、イソプロピルエーテルで抽出する。有機相を傾瀉し、0.5 N塩酸をこの有機相に加える。それを沈澱させる。3相が形成するのが見られる。油状形態の中間相は、塩酸塩形態の予想生成物を含む。この相を傾瀉し、CH2Cl2に溶解し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。濾過および蒸発の後、トリBOCスペルミン塩酸塩54 gが無色油状生成物の形態で得られ、これは次の工程に直接用いられる(収率 = 50%)。TLC SiO2: CH2Cl2-MeOH-NH4OH (90-10-10) Rf = 0.5。
【0058】
工程2: フルオロフォアとの縮合。
工程1で得られた油状生成物5.39 gをアセトニトリル100 ml、炭酸セシウム6.42 gおよび4-クロロ-7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール2 gに攪拌しながら溶解する。混合物を1時間還流する。反応媒質をシリカ上に固定し、溶媒を蒸発させる。固形残渣をフラッシュクロマトグラフィーカラムの頂部に置き、純ヘプタンからヘプタン-AcOEt (50-50)までのグラディエントで溶出する。これにより、赤色油状生成物4.4 g (66%)が得られる。TLC: SiO2 ヘプタン/AcOEt (50-50) Rf = 0.3。APCI-MS m/z = 666.3 (MH+); 1H NMR (CDCl3): 8.47(d, 1H, J = 8Hz, H5), 7.96(m, 1H, NH), 6.17(d, 1H, J = 8Hz, H6), 3.53(m, 2H, NHCH2), 3.38(m, 2H, CH2NH), 3.10-3.21(m, 8H, NCH2), l.92(m, 2H, CH2), l.66(m, 2H, CH2), 1.43-1.51(m, 31H, CH2, t-Bu)。
【0059】
工程3: R2のアルキル化。式5の(3-{t- ブトキシカルボニル-[4-(t-ブトキシカルボニル-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4- イル)-アミノ]-プロピル}-アミノ)-ブチル]-アミノ}-プロピル)-カルバミン酸の第三ブチルエステルの製造。
上記工程で得られた化合物(4.4 g)を、炭酸セシウム4 gおよびヨウ化メチル2.05 mlの存在下にてアセトニトリル150 mlに溶解する。反応媒質を、常温で4時間攪拌する。溶媒を蒸発させることによって媒質をシリカ上に固定した後、直径50 mmのフラッシュカラム上でクロマトグラフィーを行う。 Par elution en gradient a partir 純ヘプタンからヘプタン-AcOEt (50-50)混合物までのグラディエント溶出によって、赤色油状生成物4.2 gが得られる(収率 = 93%)。TLC: ヘプタン-AcOEt (30-70) Rf = 0.4。ESI-MS m/z = 680.4 (MH+); 1H NMR (DMSO): 8.48(d, 1H, J = 8Hz, H5), 6.40(d, 1H, J = 8Hz, H6), 3.47(m, 2H, NHCH2), 3.33(s, 3H, NCH3), 3.24(m, 2H, CH2NH), 3.15(m, 2H, NCH2), 3.08(m, 4H, NCH2), 2.88(m, 2H, NCH2), l.91(m, 2H, CH2), l.54(m, 2H, CH2), l.36(m, 31H, CH2, t-Bu)。
【0060】
工程4: 上記工程から得られた化合物4.2 gを4M HClのジオキサン溶液20 mlに溶解し、常温で3時間攪拌する。次いで、塩酸塩の橙色沈澱を濾過して、メタノールに続いてエチルエーテルで洗浄する。真空乾燥後、式1のN-(3-アミノプロピル)-N'-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-1,4-ジアミン2.8 g (92%)が得られる。F=260℃。ESI-MS m/z = 380.2 (MH+); 1H NMR (D2O): 8.50(d, 1H, J = 8Hz, H5), 6.41(d, 1H, J = 8Hz, H6), 4.27(m, 2H, NHCH2), 3.54(s, 3H, NCH3), 3.11-3.27(m, 10H, CH2NH), 2.26(m, 2H, CH2), 2.11(m, 2H, CH2), l.82(m, 4H, CH2)。
【0061】
同様にして、式1の化合物(式中、d = 0、e = 1およびb = 3、c = 4またはb = 4およびc = 3)は、ジ保護スペルミンを用いる以下と同様の方法に従って製造することができる。式6 (P =ベンジルオキシカルボニルまたは第三ブチルオキシカルボニル)のこれらの保護されたポリアミンの製造に用いられる様々な方法は、特許出願WO 2005/100363号明細書に記載されているか、またはそこに引用されている公表文献に示されている。
【0062】
実施例2: N-1-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル]ブタン-l,4-ジアミンの合成
【化10】

この化合物は、Ohba et al.の公表文献に記載されている(Tet. 2007, 63, 3754)。
これは、本発明に準じて下記の方法によって合成される。
【0063】
工程1: アセトニトリル5 ml中で、4-クロロ-7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール200 mgおよび(4-アミノブチル)-カルバミン酸の第三ブチルエステル190 mgおよび炭酸セシウム320 mgからなる混合物を30分間還流する。冷却後、媒質を水に投入し、酢酸エチルで抽出する。これを傾瀉し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥する。濾過および真空留去する。シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより、純ヘプタンから純酢酸エチルまでの30分間のグラディエントで溶出し、油状の[4-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-ブチル]-カルバミン酸の第三ブチルエステル280 mg (収率80%)を単離することができる。TLC SiO2: ヘプタン-AcOEt (30-70), Rf= 0.5。ESI-MS m/z = 352.1 (MH+); 1H NMR (DMSO) 9.55(s, 1H, NH), 8.50(d, 1H, J = 8Hz, H5), 6.83(m, 1H, NH), 6.42(d, 1H, J = 8Hz, H6), 3.47(m, 2H, NHCH2), 2.96(m, 2H, CH2NH), l.66(m, 2H, CH2), l.48(m, 2H, CH2), l.36(s, 9H, t-Bu)。
【0064】
工程2: 上記工程で得られたカルバメート280 mgを塩化メチレン15 mlとトリフルオロ酢酸2 mlに溶解した後、室温で15分間攪拌する。溶媒を留去した後、油状残渣をイソプロピルエーテルから結晶させる。N-1-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル]ブタン-l,4-ジアミントリフルオロアセテート150 mg (収率51%)が、単離される。TLC SiO2: CH2C12-MeOH-NH4OH (90/10/1), Rf = 0.7。ESI-MS m/z = 252.1 (MH+); 1H NMR (DMSO) 9.54(s, 1H, NH), 8.53(d, 1H, J = 8Hz, H5), 7.70(s, 2H, NH2), 6.44(d, IH, J = 8Hz, H6), 3.50(m, 2H, NHCH2), 2.84(m, 2H, CH2NH), l.59-1.76(m, 4H, CH2CH2)。
【0065】
実施例3: N-(3-アミノプロピル)-N'-[3-(7-メチルベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-プロピル]-ブタン-1-4-ジアミンの合成
【化11】

【0066】
工程1: 実施例1の工程1で得られたトリBOC スペルミン250 mgを、アセトニトリル10 ml中トリエチルアミン0.17 mlの存在下にて4-フルオロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-スルホン酸のジメチルアミド100 mgと常温で攪拌下にて30分間反応させる。反応媒質をHClで酸性にした水に投入し、酢酸エチルで抽出する。傾瀉し、NaClで飽和した水で有機相を洗浄した後、溶液をNa2SO4上で乾燥し、濾過して、溶媒を留去する。黄色油状生成物250 mgが得られる(収率 = 84%)。ESI-MS m/z = 728.5 (MH+); 1H NMR (DMSO): 7.83(d, 1H, J = 8Hz, H5), 6.30(d, 1H, J = 8Hz, H6), 3.35(m, 2H, NHCH2), 2.68(s, 6H, NMe2), 3.23(m, 2H, CH2N), 3.14(m, 6H, CH2N), 2.87(m, 2H, NCH2), l.86(m, 2H, CH2), l.55(m, 2H, CH2), l.36(m, 31H, CH2, t-Bu)。
【0067】
工程2: 上記で得られた保護された化合物250 mgを、トリフルオロ酢酸2 mlおよびCH2Cl2 10 ml中で室温にて30分間攪拌する。溶媒を留去した後、微量のアセトンを加えたイソプロピルエーテル中でN-(3-アミノプロピル)-N'-[3-(7-メチルベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-プロピル]-ブタン-l-4-ジアミンのトリフルオロアセテートを、260 mgの定量的収率で結晶化を行う。ESI-MS m/z = 428.3 (MH+); 1H NMR (DMSO): 7,84(d, 1H, J = 8Hz, H5), 6.37(d, 1H, J = 8Hz, H6), 2.85-3.05(m, 12H, NHCH2), 2.70(s, 6H, NMe2), 2.00(m, 2H, CH2), l.90(m, 2H, CH2), l,62(s, 4H, CH2)。
【0068】
実施例4: 薬理学的検討
1. 腫瘍細胞に対するプローブの選択性
生験によって採取した細胞を、考察中の組織の構成によってトリプシンの存在下または非存在下で機械的に分離する。造血細胞を、血液細胞の通常の調製方法によって分離および単離する。検討を行う細胞を、その生存能力を確保した後に短時間で単離し、細胞を例えば実施例1〜3で合成したようなプローブの存在下に置き、アミノグアニジンの存在下で考察中の組織に推奨される培地でインキュベーションする。アミノグアニジンは、イン・ビトロでのポリアミンの変性を防止する目的で用いられる。血清は用いない(過剰のポリアミンは、測定誤差の原因となる)。1〜4時間のインキュベーション時間で十分であり、蛍光プローブの置換基と適合する励起および発光波長を選択することによって免疫化学またはフローサイトメトリーにより蛍光を検出することができる。この分析は、下記の検討における標準的方法に従ってフローサイトメトリーまたは組織化学により、実施例1で得られたプローブであるN-(3-アミノプロピル)-N'-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-1,4-ジアミンを488nm光源で励起し、525nmで蛍光発光を測定することによって行われる。この同実施例においては、ヒト肺癌腫(非小細胞)由来のA549細胞を、健康な肺に由来しかつ細胞系バンクから発売されているMRC-5細胞と比較することによって分析した。
【0069】
結果:
添付図1は、スライド培養細胞の標準的蛍光顕微鏡で得られた像を示す。この図は、健康な組織由来の細胞(図1B)よりも腫瘍細胞(図1A)において実施例1のプローブの取込が多いことを示している。この差は、フローサイトメトリーによっても確認した。
【0070】
この結果は、本発明の化合物をポリアミン輸送体によって媒介される(vectored by)抗癌化合物を用いる治療に適している腫瘍を選択することができる蛍光診断プローブとして用いることの利点を裏付けるものである。
【0071】
2. ポリアミン輸送系へ向けられた(vectored toward)抗癌剤に対する応答の予想可能性
上記プローブの取込を比較し、ポリアミン輸送系へ向けられた薬剤に対する応答の予想性を示すため、細胞毒性を標準的方法(ここでは、Perkin-Elmer製ATPliteキットを用いる残留ATPの測定)を用いて測定した。抗癌化合物としては、細胞内浸透がポリアミン輸送体によって変化する特許出願WO 2005/100363号明細書の実施例27に記載の化合物のエピポドフィロトキシンの誘導体と、参照化合物として非媒介(non-vectored)エピポドフィロトキシンであるエトポシドが用いられた。これらの2種類の化合物は、癌細胞に対して同じ作用機序を有しており、それらは両方ともトポイソメラーゼ2の阻害剤である。
【0072】
白血病系のパネル分析し、プローブの取り込みを確認した。ここでは、特許出願WO 2005/100363号明細書の実施例27の化合物のような媒介薬剤(vectored agent)に対する感受性に関して、非媒介エトポシドと比較することによって、実施例1に記載のものを分析した。特許出願WO 2005/100363号明細書の実施例27の化合物またはエトポシドと72時間のインキュベーション時間の後、細胞毒性をATPliteキットを用いて評価した。同じ系由来の細胞も、実施例1に記載のプローブの存在下にてインキュベーションし、フローサイトメトリーによって分析した。525nmで測定した蛍光強度を0から1時間30分まで追跡し、強度変動の勾配を計算した。
【0073】
結果:
最初に、特許出願WO 2005/100363号明細書の実施例27の化合物と同様な作用様式を有するエトポシドとの細胞毒性を、IC50比の測定により比較することによって、ベクタリング(vectoring)が化合物の効力に支配的役割を有している白血病を同定することができた。
【0074】
分析を行った総ての系について、フローサイトメトリーによって測定される蛍光を特徴とする蛍光プローブを取り込む能力も測定した。
【0075】
これらの結果を、下表1に示す。
【表1】

【0076】
ベクタリング(vectoring)も有力な細胞において、蛍光強度が一層大きいことは明らかである。
【0077】
結論として、プローブ取込を測定することによって、特許出願WO 2005/100363号明細書の実施例27の化合物のような抗癌化合物の一層良好な効力および一層良好な抗腫瘍選択性を予測することができる。これらの結果は、ポリアミンの高い能動輸送を有し、ポリアミン輸送体によって媒介される抗癌化合物によって効果的に治療することができる白血病細胞を、プローブ取込の追跡によって識別することができることを示している。
【0078】
フローサイトメトリーによって得られる差は、組織化学で見られるものに匹敵する。所定の時間に蛍光を測定することのみにより、一層簡易な分析を行うことができる。これは、1時間30分のみのインキュベーション時間の後、この蛍光測定を行うことによって実証された。これは、応答細胞の選択について速やかな結果を提供する上で、病院環境において有利であろう。
【0079】
更に、上記測定は、日常分析中に血液採取または腰椎穿刺によって採取された患者の血液芽細胞に応用することができる。蛍光強度の測定は、細胞学および/または解剖病理学ユニットを備えた総ての病院で日常的フローサイトメトリーまたは組織細胞化学を用いて行うことができる。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミン輸送系を発現する腫瘍を検出するための診断用蛍光プローブとしての、一般式1の化合物または薬学上許容可能なその塩の使用:
【化1】

(上記式中、
R1は、4および/または6位における1または2個のNO2基を表すか、またはSO2Ph、SO2NMe2、SO2NH2、SO3H基を表し、
ポリアミン鎖は、5、6または7位にあることができ、
R2は、水素、C1-6アルキル、ベンジル、ペルフルオロアルキル基を表し、
a、b、cの値は、互いに独立して2〜5であることができ、アミノ基同士を引き離しているアルキレン鎖を表し、
dおよびeの値は、独立して0または1であることができるが、同時に0であることはできない)。
【請求項2】
一般式1の化合物、または薬学上許容可能なその塩:
【化2】

(上記式中、
R1は、4および/または6位における1または2個のNO2基を表すか、またはSO2Ph、SO2NMe2、SO2NH2、SO3Hを表し、
ポリアミン鎖は、5、6または7位にあることができ、
R2は、水素、C1-6アルキル、ベンジル、ペルフルオロアルキル基を表し、
a、b、cの値は、互いに独立して2 - 5であることができ、アミノ基同士を引き離しているアルキレン鎖を表し、
dおよびeの値は、独立して0または1であることができるが、同時に0であることはできず、
但し、e = 0であるときには、R2は水素であることはできず、かつ
R1 = 4-NO2、R2 = H、a = 3、b = 4、c = 3およびd = e = 1である化合物を除く)。
【請求項3】
R1 = 4-NO2、R2 = C1-6アルキル、a = 3、b = 4、c = 3、d = e = 1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R1 = 4-NO2、R2 = HまたはC1-6アルキル、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
R1 = 4-NO2、R2 = HまたはC1-6アルキル、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
R1 = 4-NO2、R2 = C1-6アルキル、a = 4、b = 0、c = 0、d = l、e = 0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a =3、b= 4、c = 3、d = e =1である、N-(3-アミノプロピル)-N'-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-1,4-ジアミン、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1である、N-(3-アミノプロピル)-N'-メチル-N'-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-l,4-ジアミン、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
R1 = 4-NO2、R2 = H、a = 0、b = 4、c = 3、d = 0、e = 1である、N-(3-アミノプロピル)-N'-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-l,4-ジアミン、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1である、N*1*-{3-[メチル-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-アミノ]-プロピル}-ブタン-1,4-ジアミン、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
R1 = 4-NO2、R2 = H、a = 0、b = 3、c = 4、d = 0、e = 1である、N*1*-[3-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル-アミノ)-プロピル]-ブタン-1,4-ジアミン、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
R1 = 4-NO2、R2 = メチル、a = 4、b = 0、c = 0、d = 1、e = 0である、N*1*-メチル-N*1*-(7-ニトロベンゾ[l,2,5]オキサジアゾール-4-イル)-ブタン-l,4-ジアミン、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
式1の化合物の合成方法であって、
a) 式2のベンズオキサジアゾールの誘導体と、
【化3】

(上記式中、
R1は、4および/または6位における1または2個のニトロ基を表すか、またはSO2Ph、SO2NMe2、SO2NH2、SO3H基を表し、
R3は7位における可動性のハロゲン置換基である)
式6のポリアミンとをカップリングし、
【化4】

(上記式中、
Pはアミン官能基の保護基であり、a、b、cは、互いに独立して2〜 5の間にあり、dおよびeは、独立して0または1であることができる)
b) カップリング反応a)から誘導された化合物を、不活性溶媒中塩基の存在下、ハロゲン化アルキルでアルキル化し、
c)工程b)から誘導された化合物を、酸性媒質中室温で脱保護して、式1の化合物を得ること
を含んでなる、方法。

【公表番号】特表2010−534638(P2010−534638A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517421(P2010−517421)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059890
【国際公開番号】WO2009/013360
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(500033483)ピエール、ファーブル、メディカマン (73)
【Fターム(参考)】