説明

ポリアルキレンカーボネートの製造方法および成型材料

【課題】環状エーテルと二酸化炭素を原料として得られるポリアルキレンカーボネートの製造方法において、これまで以上に効率的な触媒を提供する。
【解決手段】
環状エーテルと二酸化炭素を原料からポリアルキレンカーボネートの製造法において、これまで知られていない酸化亜鉛−アミノ酸混合物触媒を用いることによる高効率でかつ分子量の高いポリマーを製造する方法を見出した。本製造法は、生成物の重合体と触媒の分離を容易であり、また、溶媒の使用量を従来より極端に少くすることができるなどの環境側面からのメリットを併せ持つものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性かつ透明で高い耐熱性を有し、溶融成形が可能なポリアルキレンカーボネートの製造方法およびそれを含有する成形材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素と環状エーテルからポリアルキレンカーボネートを合成する方法は、古くはジエチル亜鉛-水触媒(非特許文献1)による方法、亜鉛酸化物のカルボン酸を複合したものを触媒とする方法(特許文献1、2)、また近年ではβ-ジイミン型配位子をもつ亜鉛触媒(特許文献3)などが知られている。
【非特許文献1】ディー・マクロモレキュラー・ケミー 130号 210ページ〜220ページ 1969年発刊(Die Makromolekular Chemie 130 (1969) 210- 220)
【特許文献1】ドイツ国特許 第10147712号公報
【特許文献2】ドイツ国特許 第19737547号公報
【特許文献3】米国特許 第6133402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これまでの製造法では、触媒が均一系触媒の場合、その触媒の除去が困難であるため、製造されるポリマーに異物が生じたり、製品中に着色が生じたりするなどの製品の問題があったり、多量の溶媒をもちいることによるための環境負荷の大きいプロセスであるなどの課題があった。
【0004】
また不均一系の触媒においても、その反応速度が十分満足いくものでなかったり、触媒の安全性や発火性などの課題を抱えており、決して製造上好ましい合成法とは言えず、まだまだ改善の必要のあるものばかりであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、高効率でかつ高い分子量をもつポリアルキレンカーボネートを重合する新規な製造方法を見出した。
【0006】
即ち、本発明は、
(1)環状エーテルと二酸化炭素を亜鉛酸化物およびアミノ酸の存在下で重合させることを特徴とするポリアルキレンカーボネートの製造方法。
(2)環状エーテルが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびシクロヘキセンオキサイドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)記載のポリアルキレンカーボネートの製造方法。
(3)環状エーテルが、シクロヘキセンオキサイドであることを特徴とする(2)記載のポリアルキレンカーボネートの製造方法。
(4)亜鉛酸化物が、水酸化亜鉛または酸化亜鉛であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか1項記載のポリアルキレンカーボネートの製造法。
(5)アミノ酸が、プロリン、ピペコリン酸およびピコリン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)から(4)のいずれか1項記載のポリアルキレンカーボネートの製造方法。
(6)(1)から(5)のいずれか1項記載の方法で得られたポリアルキレンカーボネートを含有してなる成形材料。
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明を用いれば、ポリアルキレンカーボネートを高効率かつ高い分子量のものを工業的に実施しやすい形で製造することができ、さらに溶媒を使用しなくとも製造できる点から、環境低負荷型の製造法である。
【0008】
また触媒除去が格段に実施しやすいため、これまでにない高付加価値製品を得ることができる製造法であるため、産業上非常に有用な技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係るポリアルキレンカーボネートの重合方法について具体的に説明する。
【0010】
本発明のポリアルキレンカーボネートの重合方法は、環状エーテルと二酸化炭素を原料とし、触媒として亜鉛酸化物とアミノ酸の混合物を用いることを特徴とする。
【0011】
本発明における亜鉛酸化物とは、原子価として1価以上の亜鉛であり、好ましくは工業的に入手可能な、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩化亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、過酸化亜鉛、ケイフッ化亜鉛、青化亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛などが挙げられ、より好ましくは、酸化亜鉛、水酸化亜鉛である。
【0012】
本発明における、アミノ酸は、分子内にアミノ基とカルボキシル基をそれぞれ1官能基以上ずつ持つものであり、塩、水和物も使用できる。アミノ酸としては天然アミノ酸、脂肪族非天然アミノ酸、芳香族非天然アミノ酸、N−複素環型非天然アミノ酸が使用できる。天然型アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、プロリン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、トリプトファン等が挙げられる。
【0013】
脂肪族非天然アミノ酸としては、イミノジ酢酸、N−メチルイミノジ酢酸、N−(2−ヒドロキシメチル)二酢酸、ニトリロ三酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N−ジメチルグリシン、サルコシン(N−メチルグリシン)、トリシン(TRICINE)、バイシン(BICINE)、α−アミノシクロヘキサンプロピオン酸、3−クロロアラニン、N,N−ジプロピルアラニン、2−アミノイソブチル酸、2−(メチルアミノ)イソブチル酸、2−アミノブチル酸、ターシャリーロイシン、ノルバリン、2−アミノ−4−ペンテン酸、ノルロイシン、2,3−ジアミノプロピオン酸、2−アミノカプリリック酸、1−アミノプロピオン酸(β−アラニン)、3−(ジエチルアミノ)プロピオン酸、3−アミノイソブチル酸、4−アミノブチル酸、4−(メチルアミノ)ブチル酸、4−(ジメチルアミノ)ブチル酸、5−アミノバレル酸(5−アミノ吉草酸)、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、イソセリン、ホモセリン、アロスレオニン、4−アミノ−3−ヒドロキシブタン酸、スタチン、ムラミック酸、5−ヒドロキシリジン、5−アミノレブリン酸、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸、トランス−4−(アミノメチル)−シクロヘキサンカルボン酸、5−アミノ−1,3−シクロヘキサンジエン−1−カルボン酸、2−アミノ−2−ノルボルナンカルボン酸、2−アゼチジンカルボン酸、3−アゼチジンカルボン酸、N−メチルプロリン、シス−3−ヒドロキシプロリン、トランス−3−ヒドロキシプロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、カイニン酸、3,4−デヒドロプロリン、トランス−3−アザビシクロ[3.1.0]−ヘキサン−2−カルボン酸、ピペコリン酸、ニペコチン酸(NIPECOTIC ACID)、イソニペコチン酸(ISONIPECOTIC ACID)、1−ピペリジンプロピオン酸、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンカルボン酸、3,5−ジヨード−4−ピリドン−1−酢酸、ミモシン、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノブタン酸、オルニチン、2−メチルオルニチン、N−ε―メチル−リジン、α−[2−(2−アミノエトキシ)−ビニル]グリシン、N−メチルアスパラギン酸、2−メチルグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、2,6−ジアミノピメリン酸(2,6−DIAMINOPIMELIC ACID)、オクトピン(OCTOPINE)、γ−カルボキシリックグルタミン酸、ペニシラミン、ホモシステイン、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、S−メチルシステイン、S−(ターシャリーブチルチオ)システイン、エチオニン、S−(カルボキシメチル)システイン、ランチオニン、シスチン、ペンシルアミンジスルフィド、チアゾリジン−4−カルボン酸、テトラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−四酢酸などが挙げられる。
【0014】
芳香族非天然アミノ酸としては、2−フェニルグリシン、2,2−ジフェニルグリシン、N−ベンジルグリシン、N−ベンジルイミノグリシン、N−フェニルグリシン、N,N’−エチレンビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)グリシン]、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、N−(2−カルボキシフェニル)グリシン、N,N’−ジメチルフェニルアラニン、2−メチルフェニルアラニン、1−メチルフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、S−ベンジルシステイン、S−トリルシステイン、(2−フルオロフェニル)グリシン、(3−フルオロフェニル)グリシン、(4−フルオロフェニル)グリシン、(2−クロロフェニル)グリシン、(3−クロロフェニル)グリシン、(4−クロロフェニル)グリシン、(2−ブロモフェニル)グリシン、(3−ブロモフェニル)グリシン、(4−ブロモフェニル)グリシン、(2−ヨードフェニル)グリシン、(3−ヨードフェニル)グリシン、(4−ヨードフェニル)グリシン、3,3’,5−トリヨードチロニン、チロキシン、メタチロシン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、O-メチルチロシン、2−フルオロチロシン、3−フルオロチロシン、4−フルオロチロシン、2−ヨードチロシン、3−ヨードチロシン、4−ヨードチロシン、2−ニトロチロシン、3−ニトロチロシン、4−ニトロチロシン、3,5−ジヨードチロシン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、3−(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)アラニン、3−アミノチロシン、4−アミノフェニルアラニン、4−ニトロフェニルアラニン、3,5−ジニトロチロシン、α−メチルチロシン、O−ベンジルチロシン、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−メチルアラニン、スレオ−3−フェニルセリン、エリスロ−3−フェニルセリン、2,2’−(エチレンジオキシ)ジアニリン−N,N,N’,N’−四酢酸、2−フェニル−N−(トリフルオロアセチル)グリシン、N−トリチルグリシン、N−α−ベンゾイルアルギニン、カルボベンジロキシグリシン、N−アセチルフェニルアラニン、N−(4−アミノベンゾイル)−β−アラニン、カルボベンジロキシアラニン、N−カルボベンジロキシ−2−メチルアラニン、N−カルボベンジロキシ−N−メチル−2−メチルアラニン、N−カルボベンジロキシイソロイシン、N−カルボベンジロキシロイシン、N−カルボベンジロキシセリン、N−カルボベンジロキシスレオニン、N−カルボベンジロキシバリン、6−(カルボベンジロキシアミノ)−カプロイックアシッド、N6−カルボベンジロキシリジン、N2−(カルボベンジロキシ)リジン、N−カルボベンジロキシアスパラギン酸、N−カルボベンジロキシグルタミン酸、N−(4−ニトロベンゾイル)−L−グルタミン酸、N−(4−ニトロベンゾイル)−β−アラニン、N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−α−フェニルグリシン、N−(3,5−ジニトロベンゾイル)ロイシン、N−カルボベンジロキシ−グルタミン酸、N−(4−ニトロベンゾイル)グルタミン酸、N−カルボベンジロキシグルタミン酸、N−カルボベンジロキシプロリン、S−ベンジロキシ−N−カルボベンジロキシシステイン、N2−カルボベンジロキシアルギニン、N−(ターシャリーブトキシカルボニル)フェニルアラニン、N−カルボベンジロキシフェニルアラニン、N−カルボベンジロキフェニルアラニンクロロメチルケトン、N−カルボベンジロキシチロシン、N−(ターシャリーブトキシカルボニル)チロシン、N−α−ベンゾイルアルギニン、1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸等が挙げられる。
【0015】
N−複素環型非天然アミノ酸としては、2−ピロールカルボン酸、N−メチル−2−ピロールカルボン酸、4−アセチル−3,5−ジメチル−2−ピロールカルボン酸、3−カルボキシ−1,4−ジメチル−2−ピロール酢酸、ポルフォビリノゲン、4−ピラゾールカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、3−アミノ−4−ピラゾールカルボン酸、4−ニトロ−3−ピラゾールカルボン酸、5−ニトロピラゾールカルボン酸、4−(3−メチル−5−オキソ−2−ピラゾリン−1−イル)ベンゾイックアシッド、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、インドール−2−カルボン酸、インドール−3−カルボン酸、インドール−4−カルボン酸、N−メチルインドール−2−カルボン酸、インドール−3−酢酸、インドール−3−プロピオン酸、インドール−4−ブタン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、3−ピリジン酢酸、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸、トランス−3−(3−ピリジル)アクリル酸、イソニコチン酸、4−ピリジル酢酸、(4−ピリジルチオ)酢酸、フサリックアシッド、2−メチルニコチン酸、3−メチルニコチン酸、4−メチルニコチン酸、5−メチルニコチン酸、6−メチルニコチン酸、2−フルオロニコチン酸、3−フルオロニコチン酸、4−フルオロニコチン酸、5−フルオロニコチン酸、6−フルオロニコチン酸、2−クロロニコチン酸、3−クロロニコチン酸、4−クロロニコチン酸、5−クロロニコチン酸、6−クロロニコチン酸、2−ブロモニコチン酸、3−ブロモニコチン酸、4−ブロモニコチン酸、5−ブロモニコチン酸、6−ブロモニコチン酸、2−ヨードニコチン酸、3−ヨードニコチン酸、4−ヨードニコチン酸、5−ヨードニコチン酸、6−ヨードニコチン酸、2−クロロ−6−メチルニコチン酸、2,6−ジクロロニコチン酸、5,6−ジクロロニコチン酸、6−ヒドロキシニコチン酸、6−ヒドロキシニコチニックアシッド、3−ヒドロキシピコリン酸、2−ヒドロキシピコリン酸、2−ヒドロキシ−6−メチルピリジン−3−カルボン酸、5−クロロ−6−ヒドロキシニコチニックアシッド、4−ピリドキシリックアシッド、2,6−ジメトキシニコチニックアシッド、2−メルカプトニコチニックアシッド、6−メルカプトニコチニックアシッド、2−(メチルチオ)ニコチニックアシッド、6,6’−ジチオジニコチニックアシッド、シトラジニックアシッド、2−アミノニコチニックアシッド、6−アミノニコチニックアシッド、4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸、3−ベンゾイル−2−ピリジンカルボン酸、2,3−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンカルボン酸、3,4−ピリジンカルボン酸、2,5−ピリジンカルボン酸、3,5−ピリジンカルボン酸、2,6−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2,3−ピリジンカルボン酸、2,6−ジメチル−3,5−ピリジンカルボン酸、シェリダミック酸(CHELIDAMIC ACID)、ニフルミック酸(NIFLUMIC ACID)等が挙げられる。
【0016】
好ましくは、上記に挙げた、天然アミノ酸、脂肪族非天然アミノ酸、N−複素環型非天然アミノ酸であり、さらに好ましくは、プロリン、ピペコリン酸、ピコリン酸である。
【0017】
これらのアミノ酸は不斉炭素を持つものがあり、それらについては光学異性体が存在するが、本発明においてはD体、L体をおよびDL体のラセミ混合物のいずれであっても構わない。
【0018】
また2つ以上の不斉炭素を持つ場合は、鏡像体でない立体異性体(ジアステレオマー)が存在するが、これらの異性体であってもかまわない。
【0019】
本発明でいうアミノ酸および亜鉛酸化物は、特に純度など限定されることはなく、工業的に入手できるものを使用する。純度は高いほうが好ましいが、若干不純物が含まれているのが通常であり、これらが含まれていてもかまわない。
【0020】
本発明でいう、亜鉛酸化物とアミノ酸の触媒は、事前に調整し、アミノ酸の亜鉛塩の形態にしておいても良いし、実質上重合時に反応系中で調整されてもよい。
【0021】
事前に調整する場合、通常知られている方法により得ることができるが、具体的に例示するならば、亜鉛酸化物とアミノ酸を水や有機溶媒などの溶媒中で混合し、調整が終了した後に、ろ過等の精製を行い、その後に、乾燥を行う。
【0022】
このときの反応温度は、−20度〜200度、好ましくは0度〜150度、より好ましくは、室温〜100度の範囲で実施される。この範囲で混合させれば、効率よく触媒を調整することが可能である。
【0023】
また、このときの亜鉛酸化物とアミノ酸の混合比は、亜鉛酸化物に対して、アミノ酸は0.1重量部〜100重量部、好ましくは0.1重量部〜50重量部、さらに好ましくは、0.5重量部〜4重量部である。この範囲の混合比であれば、高活性な触媒を得ることができる。
【0024】
また、このときの反応時間は、0.1時間から100時間、好ましくは、0.1時間から50時間、より好ましくは、0.1時間から10時間である。
【0025】
この範囲で調整を行えば、余計な不純物を作ることなく、高活性な触媒を得ることができる。
【0026】
本発明でいう環状エーテルは、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、1−ペンテンオキサイド、2−ペンテンオキサイド、3−ペンテンオキサイド、1−ヘキセンオキサイド、2−ヘキセンオキサイド、3−ヘキセンオキサイド、1−ヘプテンオキサイドなどの脂肪族アルキレンオキサイド、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド、シクロオクテンオキサイドなどの脂肪族環状アルキレンオキサイド、スチレンオキサイド、スチルベンオキサイドなどの芳香族アルキレンオキサイド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの脂肪族環状エーテルなどがあげられ、好ましくは、脂肪族アルキレンオキサイド、芳香族を持つアルキレンオキサイドなどであり、より好ましくはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイドなどあり、特に好ましくはシクロヘキセンオキサイドである。
【0027】
これら環状エーテルは、単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもかまわない。
【0028】
本環状エーテルは、特に純度など限定されることはなく、工業的に入手できるものを使用する。純度は高いほうが好ましいが、若干不純物が含まれているのが通常であり、これらが含まれていてもかまわない。
【0029】
本発明では、反応に溶媒を用いても、用いなくてもよい。当然ながら、溶媒を使用しな方が、効率面、製造コスト面、回収面、環境面などから有利に思われる。しかし、包括的な損益の面から溶媒を使用したほうがよい場合は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n-デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から少なくとも1種類から選ばれる溶媒を用いて実施することが可能である。
【0030】
この場合、使用する溶媒の量は、原料である環状エーテルに対して1%から80%、好ましくは1%から60%、さらに好ましくは、1%から40%程度である。
【0031】
本発明を実施する場合、反応容器に触媒と環状エーテルと二酸化炭素を加えて実施する。
【0032】
このときのこれらを加える順番は、特に問わないが、具体的に例示するならば、反応容器に環状エーテルと溶媒を加え、触媒を加え、最後に二酸化炭素を加える。
【0033】
本発明では、亜鉛酸化物およびアミノ酸の存在下で重合を行うことが重要である。亜鉛酸化物とアミノ酸は、先にも述べたとおりあらかじめ調整しておいても良いし、別々に添加し、反応系中で活性な触媒を発生させても良い。
【0034】
本発明で、触媒をあらかじめ調整する場合は先に述べた方法で調整するが、別々に添加する場合は、その亜鉛酸化物とアミノ酸の混合比は、亜鉛酸化物に対して、アミノ酸は0.1当量〜100当量、好ましくは0.1当量〜50当量、さらに好ましくは、0.5当量〜4当量である。この範囲の混合比であれば、高活性な触媒を得ることができる。
【0035】
あらかじめ調整する場合にも、別々に調整する場合においても、その触媒の使用量としては、原料となる環状エーテルに対して、0.01重量%から80重量%、好ましくは、0.01重量%から20重量%であり、さらに好ましくは、0.01重量%から1重量%である。
【0036】
また、反応に必要とする圧力は、常温で1kg/cmから70kg/cmが好ましく、さらに好ましくは、1kg/cmから50kg/cmであり、より好ましくは、1kg/cmから30kg/cmである。
【0037】
本発明の重合時間は、触媒量、反応温度等の条件により著しく異なる。通常は、0.1〜200時間、好ましくは、0.2〜150時間、さらに好ましくは、0.5〜100時間である。
【0038】
本発明の重合方法は、反応温度は任意の温度で達成できるが、反応温度が低すぎると、反応速度が遅すぎる場合があり、反応温度があまり高いと副反応が多くなることがある。好ましくは、−50℃〜200℃、特に好ましくは、室温〜200℃である。
【0039】
この範囲で触媒を使用することにより、効率よくポリアルキレンカーボネートを製造することができる。
【0040】
本発明に用いる反応装置は、連続式、回分式、半回分式のいずれでもよい。回分式、半回分式の場合、攪拌を行っても、行わなくても良いが、行ったほうが、収率よくポリアルキレンカーボネートを得ることができるので好ましい。
【0041】
回分式、半回分式などで、1kg/cm以上で反応を行う際は、耐圧容器を用いて反応した方が好ましい。
【0042】
本発明で得られた重合体は、触媒との分離を行うために、ろ過、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、蒸留、遠心分離、沈殿分離などの精製を行うことができる。操作が簡便であることから、ろ過法が好ましく、生成物の純度を上げるために再沈殿を行ってもよい。
【0043】
本方法を以ってポリアルキレンカーボネートを製造すれば、高効率でかつ高分子量のポリアルキレンカーボネートを製造することができる。
【0044】
また、本発明の製造法により得られるポリアルキレンカーボネートは、実質的には一般式(1)
【0045】
【化1】

【0046】
(式中Rは、アルキル基、置換アルキル基を示す。)
で表される単一の繰り返し単位からなるものであるが、重合中に一般式(1)以外の重合単位が共重合成分として存在する場合もありうる。複数の環状エーテルが原料となり、製造物が共重合体として得られる場合、共重合成分は任意のもので構わない。
【0047】
さらに、本発明で得られるポリアルキレンカーボネートに対しては、所望によりフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、熱安定剤、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、耐光安定剤、アミン系などの帯電防止剤、脂肪族アルコールなどのエステル、アミドなどの滑剤、離型剤、多価アルコールのエーテルなどの改質剤および染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上添加できる。
【0048】
さらに、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/環状オレフィン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体などのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマーなどの熱可塑性樹脂あるいはメラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を配合してもかまわない。
【0049】
熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の配合量には、特に制限はなく、熱可塑性および/または熱可塑性樹脂の改質、あるいはポリアルキレンカーボネートの改質などに応じて適宜配合することができる。一般にポリアルキレンカーボネートと熱可塑性樹脂/熱硬化性樹脂の合計に対して、約1〜99重量%の範囲で用いることができる。
【0050】
また、繊維状および/または粒状の充填剤を添加することにより、ポリアルキレンカーボネートの強度、剛性、耐熱性を大幅に向上させることができる。このような充填剤の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどがあげられ、なかでもチョップストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。繊維状および/または粒状の充填剤を添加量に特に制限はなく、ポリアルキレンカーボネートを含む樹脂成分100重量部に対して通常400重量部以下、好ましくは0.1〜350重量部以下の範囲で添加することができる。
【0051】
透明性が必要とされる用途の場合は、透明性を損なわれない範囲で使用する。
【0052】
かくして得られる本発明のポリアルキレンカーボネートおよびポリアルキレンカーボネートを含有してなる組成物は、溶融成型可能であるため成形材料として有用であり、具体的にはフィルム、シートなどの溶融プレス成形品、押出機で押し出しされる部品、例えばフィルム、シート、管、パイプ、ロッドおよび繊維など、あるいは希望する任意の形状と大きさを持った射出成形品に有用である。
【0053】
本発明で得られるポリアルキレンカーボネートおよびポリアルキレンカーボネートは、例えば、電気機器のハウジング、OA機器のハウジング、各種カバー、各種ギアー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドケース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気、電子部品、;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアドライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響機器、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスク、などの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される、家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミネーター、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却センサー、油温センサー、ブレーキパッドウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関連部品、デュストリビュター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルターおよびその点火装置ケースなど、これら各種の用途にとって有用である。
【0054】
また透明性に優れている点から、映像機器関連部品として、カメラ、VTR、プロジェクションTV等の撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ等、光記録・光通信関連部品として各種光ディスク(VD,CD,DVD,MD,LD等)基板、各種ディスク基板保護フィルム、光ディスクプレーヤーピックアップレンズ、光ファイバー、光スイッチ、光コネクター等、情報機器関連部品として、液晶ディスプレー、フラットパネルディスプレー、プラズマディスプレーの導光板、フレネルレンズ、偏光板、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、ピックアップレンズ、タッチパネル用導光フィルム、カバー等、自動車等の輸送機器関連部品として、テールランプレンズ、ヘッドランプレンズ、インナーレンズ、アンバーキャップ、リフレクター、エクステンション、サイドミラー、ルームミラー、サイドバイザー、計器針、計器カバー、窓ガラスに代表されるをグレージング等、医療機器関連部品として、眼鏡レンズ、メガネフレーム、コンタクトレンズ、内視鏡、分析用光学セル等、建材関連部品として、採光窓、道路透光板、照明カバー、看板、透光性遮音板、バスタブ用材料等、これら各種の用途にとって極めて有用である。
【実施例】
【0055】
本発明を、以下の実施例をもって具体的に説明するが、本実施例は、本発明を何ら制限するものではない。
【0056】
また、各種物性は、核磁気共鳴装置、ゲル・パーメンデーションクロマトグラフィー、示差熱量測定装置以下の機器を用い測定した。詳細な分析条件は以下の通りである。
核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製:AL−400
ゲル・パーメンデーション・クロマトグラフィー(GPC):
島津製作所社製LC−10Aシリーズを下記の条件で使用し、標準ポリスチレンよる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
カラム:昭和電工社製KL−806+KL−804
移動相:THF、流速:1.0ml/min
検出:示差屈折率計
示差熱量測定装置(DSC):セイコーインスルメンツ社製 ロボットDSC RDC220U
測定条件:10℃/分 昇温
赤外分光光度計(IR):PerkinElemer社製 System2000FT-IR
【0057】
参考例1 触媒調整:DL−プロリンを用いた触媒の調整方法
冷却管を備えた50mlナスフラスコに、DL−プロリン(東京化成株式会社製)5.76g、酸化亜鉛(関東化学社製)2.04g、水30mlを加え、100℃下3時間加熱攪拌した。反応終了後、熱時ろ過を行い、ろ液の温度を徐々に降下させ、一晩かけてゆっくり結晶を析出させた。得られた析出物をろ取し、60℃下加熱真空乾燥を行い、目的とするアミノ酸−酸化亜鉛触媒を1.66g得た。
【0058】
参考例2 触媒調整:DL−ピペコリン酸を用いた触媒の調整方法
冷却管を備えた50mlナスフラスコに、DL−ピペコリン酸(東京化成株式会社製)2.58g、酸化亜鉛(関東化学社製)0.81g、水15mlを加え、100℃下3時間加熱攪拌した。反応終了後、ろ液の温度を徐々に降下させ、一晩かけてゆっくり結晶を析出させた。得られた析出物をろ取し、60℃下加熱真空乾燥を行い、目的とするアミノ酸−酸化亜鉛触媒を2.15g得た。
【0059】
参考例3 触媒調整:DL−ピコリン酸を用いた触媒の調整方法
冷却管を備えた50mlナスフラスコに、DL−ピコリン酸(東京化成株式会社製)2.46g、酸化亜鉛(関東化学社製)0.81g、水15mlを加え、100℃下3時間加熱攪拌した。反応終了後、熱時ろ過を行い、ろ液の温度を徐々に降下させ、一晩かけてゆっくり結晶を析出させた。得られた析出物をろ取し、60℃下加熱真空乾燥を行い、目的とするアミノ酸−酸化亜鉛触媒を2.11g得た。
【0060】
実施例1(ポリアルキレンカーボネートの重合)
ポリアルキレンカーボネートの重合は以下の方法で実施した。
【0061】
不活性ガス下中、カルシウムハイドライド(和光純薬株式会社製)から蒸留したシクロヘキセンオキサイド(東レ株式会社製)5.0gと触媒である参考例1で合成したアミノ酸−酸化亜鉛触媒(DL−プロリンを用いたもの)149.8mgを50mlオートクレーブに加え、二酸化炭素で3回置換した後、常温で30kg/cmになるよう二酸化炭素を調整した。反応容器を145℃のオイルバス中で24時間加熱し、反応終了後、冷却を行った。内部のガスを抜き、常圧に戻した後に、反応液をクロロホルム50mlに溶解し、触媒を濾過により除去後、濃縮を行った。得られた濃縮液をメタノール中で再沈殿を行うことにより、白色のポリシクロヘキセンカーボネートを得た。収量3.37g、収率46%。重量平均分子量Mw=16500。ガラス転移温度(DSC法) 125℃
H−NMR(400MHz:CDCl):δ1.36(4H,br)、1.71(2H、br)、2.12(2H、br)、4.63(2H、br)。
IR(film、cm−1):3028、2867、1740、1455。
【0062】
実施例2(ポリアルキレンカーボネートの重合)
不活性ガス下中、カルシウムハイドライド(和光純薬株式会社製)から蒸留したシクロヘキセンオキサイド(東レ株式会社製)5.0gと触媒である参考例2で合成したアミノ酸−酸化亜鉛触媒(DL−ピペコリン酸を用いたもの)160.9mgを50mlオートクレーブに加え、二酸化炭素で3回置換した後、常温で30kg/cmになるよう二酸化炭素を調整した。反応容器を145℃のオイルバス中で24時間加熱し、反応終了後、冷却を行った。内部のガスを抜き、常圧に戻した後に、反応液をクロロホルム50mlに溶解し、触媒を濾過により除去後、濃縮を行った。得られた濃縮液をメタノール中で再沈殿を行うことにより、白色のポリシクロヘキセンカーボネートを得た。収量3.40g、収率47%。重量平均分子量Mw=19300。
【0063】
実施例3(ポリアルキレンカーボネートの重合)
不活性ガス下中、カルシウムハイドライド(和光純薬株式会社製)から蒸留したシクロヘキセンオキサイド(東レ株式会社製)5.0gと触媒である参考例3で合成したアミノ酸−酸化亜鉛触媒(DL−ピコリン酸を用いたもの)154.8mgを50mlオートクレーブに加え、二酸化炭素で3回置換した後、常温で30kg/cmになるよう二酸化炭素を調整した。反応容器を145℃のオイルバス中で24時間加熱し、反応終了後、冷却を行った。内部のガスを抜き、常圧に戻した後に、反応液をクロロホルム50mlに溶解し、触媒を濾過により除去後、濃縮を行った。得られた濃縮液をメタノール中で再沈殿を行うことにより、白色のポリシクロヘキセンカーボネートを得た。収量3.22g、収率44%。重量平均分子量Mw=21300。
【0064】
比較例1
従前より知られている触媒であるグルタル酸−酸化亜鉛触媒を用い、実施例1と同じ条件下で重合行い、それぞれの反応時間と収率の結果を図1に示した。実施例1で用いた触媒のほうが短い時間で最終収率に到達しており、反応活性が高い触媒であるといえる。
【0065】
このことから、本発明の触媒を用いた方が、反応活性が高く、従来知られたものより高効率であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は無色透明性、生分解性、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂を製造する方法であり、各種プラスチック原料、成型材料への利用に役立つ。特に、通常公知の溶融成形や溶媒キャスト法などを用いて成形することができるのでフィルム材料として有用である。また、射出成形、押出成形、圧縮成形、シート成形、フィルム成形などが可能であることから、あらゆる形状の成形品とすることができるので、
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1および比較例1における反応時間とポリアルキレンカーボネートの収率の関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状エーテルと二酸化炭素を亜鉛酸化物およびアミノ酸の存在下で重合させることを特徴とするポリアルキレンカーボネートの製造方法。
【請求項2】
環状エーテルが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびシクロヘキセンオキサイドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のポリアルキレンカーボネートの製造方法。
【請求項3】
環状エーテルが、シクロヘキセンオキサイドであることを特徴とする請求項2記載のポリアルキレンカーボネートの製造方法。
【請求項4】
亜鉛酸化物が、水酸化亜鉛または酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のポリアルキレンカーボネートの製造法。
【請求項5】
アミノ酸が、プロリン、ピペコリン酸およびピコリン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のポリアルキレンカーボネートの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の方法で得られたポリアルキレンカーボネートを含有してなる成形材料。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−257374(P2006−257374A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80748(P2005−80748)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】