説明

ポリアルキレングリコールおよび遷移金属を用いて生体高分子を単離する方法

本発明は、組成物中の生体高分子を単離する方法に関する。具体的には、本発明は、不純物を含む組成物中の生体高分子を単離する方法に関し、この方法は、その組成物にポリアルキレングリコールを添加する工程、その組成物に遷移金属を添加する工程、およびその不純物からその生体高分子を分離する工程を包含する。ポリアルキレングリコールと遷移金属との組み合わせは、不純物から生体高分子を相乗的に分離し、著しく収量を改善する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、組成物中の生物学的な高分子を単離する方法に関する。具体的に、本発明は、不純物を含有する組成物中の生体高分子を単離する方法に関し、該方法は、該組成物にポリアルキレングリコールを添加する工程と、該組成物に遷移金属を添加する工程と、該不純物から該生体高分子を分離する工程と、を含む。
【0002】
組み換えタンパク質または抗体等の生物学的な高分子(即ち、生体高分子)は、多様な技術において重要である。従来から、生体高分子は、数例を挙げると、例えば、濾過、遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、または前述の組み合わせ等のいくつかの異なる方法を用いて、精製されてきた。精製の方法は、通常、組成物中に生体高分子と共存する1つ以上の不純物とそれを区別する、生体高分子の特徴に基づいて選択される。膨大な数の生体高分子が商業的に重要であり、タイムリーにかつ費用効率の良い方法で、大量の生体高分子を精製する能力が望まれている。
【0003】
商業的に重要な生体高分子としては、例えば、タンパク質および核酸(例えばDNAおよびRNA)が挙げられる。多くの場合、工業規模で単離される生体高分子の2つの例は、モノクローナル抗体および融合タンパク質である。これらの抗体および融合タンパク質は、種々の診断および治療分野において価値があり、例えば、遺伝性および後天性の免疫不全症ならびに感染症等の種々の疾患を治療するために用いられている。
【0004】
哺乳類細胞または細菌細胞を含有する工業規模のバイオリアクターからの生体高分子の収集は、通常、濾過または遠心分離のいずれかを用いて行われる。しかしながら、細胞培養においてタンパク質産生量の増加を引き起こすための最近の動きとしては、より高い細胞密度で作用するバイオリアクターが必要であり、これは、DNA、宿主細胞タンパク質、および他の培地成分等の不純物の量を増加させる。汚染物質レベルの増加は、細胞回収作業(例えば、濾過および遠心分離工程)、ならびに下流精製工程(例えば、クロマトグラフィおよび透析工程)の両方に対して、より高い需要を求めている。これらの高濃度の不純物の存在は、実施すべき必要がある精製工程の数を増やし、ひいては、費用を引き上げ、全体的な生産処理量を低減させ得る。増加したタンパク質産生は、一部のクロマトグラフ法の容量でさえ飽和し得る。
【0005】
精製抗体を生成するための従来からの手法には、遠心分離、イオン交換クロマトグラフィ(例えば、DEAEまたはヒドロキシアパタイト)、免疫親和性精製法(例えば、タンパク質Aまたはタンパク質G)、および透析が含まれ得る。例えば、Antibodies: A Laboratory Manual,Harlow and Lane,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)を参照のこと。上述の方法の組み合わせの使用は、一般的である(例えば、エタノール分画、次いで、イオン交換クロマトグラフィおよび/またはカプリル酸(CA)沈澱を用いる血漿からの抗体精製)。例えば、非特許文献1、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6を参照のこと。加えて、発酵の酸性化を用いて、抗体および組み換えタンパク質の回収ならびに安定性が改善されてきている。例えば、非特許文献2を参照のこと。
【0006】
抗体の単離および/または精製のために、種々の他の方法が、開発されている。例えば、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、および特許文献15を参照のこと。しかしながら、これらの方法の多くは、大量の原料および回収損失をもたらす、工業規模で生産費用を高くする、および/または低処理量を有する可能性がある。
【0007】
沈殿剤の導入により誘発された生体高分子の沈殿は、生体高分子を回収するのに迅速かつ効果的な方法であり得る。従来の沈殿技術としては、硫安沈殿法およびカプリル酸沈殿法が挙げられる。沈殿の従来からの短所の1つは、沈殿が完了した後、沈殿剤の除去を必要とすることである。この短所のために、多くの場合、沈殿は、上流精製法として用いられる。沈殿の別の短所は、所望の結果を得るために高濃度の沈殿剤を必要とし、ひいては、多量の廃棄物を生み出すことである。
【0008】
これまでは、ポリエチレングリコール(PEG)を使用して、種々の生体高分子を沈殿してきた。例えば、非特許文献3および国際公開第WO2008/100578号を参照のこと。PEGは、種々の環境下で、非変性であることが見出された。しかしながら、高濃度のPEGを使用して、例えば、全量の20%の所望の結果を達成している。高濃度のPEGは、容量の著しい増加をもたらし、多量の廃棄物を生み出し、組成物の粘度を増加させる。さらに、必要とされる高濃度のPEGは、精製に伴う費用を増大させる。
【0009】
これまでに、金属親和性の沈殿も試みている。例えば、非特許文献4、および非特許文献5を参照のこと。しかしながら、所望の沈殿(最大80mM)を達成するためには、高濃度の亜鉛も必要とされる。したがって、これらの高濃度での金属親和性の使用は、相当量の廃棄物を生成し、費用を大幅に引き上げる。
【0010】
前述の問題および非効率の結果として、生体高分子の単離のための戦略を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,164,495号明細書
【特許文献2】米国特許第4,177,188号明細書
【特許文献3】米国再発行特許発明第31,268号明細書
【特許文献4】米国特許第4,939,176号明細書
【特許文献5】米国特許第5,164,487号明細書
【特許文献6】国際公開第2008/100578号
【特許文献7】米国特許第7,038,017号明細書
【特許文献8】米国特許第7,064,191号明細書
【特許文献9】米国特許第6,846,410号明細書
【特許文献10】米国特許第5,429,746号明細書
【特許文献11】米国特許第5,151,504号明細書
【特許文献12】米国特許第5,110,913号明細書
【特許文献13】米国特許第4,933,435号明細書
【特許文献14】米国特許第4,841,024号明細書
【特許文献15】米国特許第4,801,687号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】McKinney et al.,J.Immunol.Methods 96:271−278(1987)
【非特許文献2】Lydersen et al.,Annals New York Academy of Sciences 745:222−31(1994)
【非特許文献3】Ingham,K.,“Precipitations of Proteins with Polyethylene Glycol,” 301−306(1990)
【非特許文献4】Van Dam,M.et al.,“Metal Affinity Precipitation of Proteins,” Biotechno.Appl.Biochem,492−502(1989)
【非特許文献5】Zaworski,P.G., et al.,“Precipitation of Proteins from Culture Supernatants Using Zinc,” Analytical Biochem 440−444(1988)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、不純物を含有する組成物中の生体高分子を単離する方法に関し、該方法は、(a)該組成物にポリアルキレングリコールを添加する工程と、(b)該組成物に遷移金属を添加する工程と、(c)該不純物から該生体高分子を分離する工程と、を含む。ポリアルキレングリコールと遷移金属との組み合わせは、不純物から生体高分子を相乗的に分離し、著しく収量を改善する。
【0014】
種々のポリアルキレングリコールが使用され得る。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、ポリペンチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリエチレングリコールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールである。種々の分子量のポリアルキレングリコールが、使用され得る。いくつかの実施形態では、該ポリエチレングリコールは、1,000Da〜20,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、該ポリエチレングリコールは、2,000Da〜15,000Daの分子量を有する。
【0015】
種々の濃度のポリアルキレングリコールが、本発明の方法において使用され得る。いくつかの実施形態では、該組成物中のポリアルキレングリコールの濃度は、約0.5%〜約30%(w/v)である。いくつかの実施形態では、該組成物中のポリアルキレングリコールは、約2.0%〜約10%(w/v)である。本発明のいくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、約1%〜2%(w/v)で、該組成物に存在する。
【0016】
遷移金属を、本発明の方法において使用し、不純物からの生体高分子の分離を増加させることが可能である。いくつかの実施形態では、該遷移金属は、亜鉛、ニッケル、銅、コバルト、またはマンガンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該遷移金属は、亜鉛である。種々の濃度の遷移金属が、使用され得る。いくつかの実施形態では、組成物中の遷移金属の濃度は、約1mM〜約50mMである。いくつかの実施形態では、組成物中の遷移金属の濃度は、約2.5mM〜約15mMである。いくつかの実施形態では、組成物中の遷移金属の濃度は、約0.5mM〜約15mMである。いくつかの実施形態では、組成物中の遷移金属の濃度は、約1.5mM〜3.5mMである。
【0017】
種々の方法を使用して、不純物から該生体高分子を分離することができる。いくつかの実施形態では、該分離は、該組成物を濾過することによって行われ、該濾過する工程が透過流れおよび固体流れを形成する。いくつかの実施形態では、該濾過する工程は、デッドエンドフィルタによって行われる。いくつかの実施形態では、該生体高分子は、実質的に該固体流れに存在する。いくつかの実施形態では、該分離する工程が、該組成物を濾過することによって行われ、該生体高分子は、該固体のままであり、該濾過する工程が膜間圧をもたらし、そして該膜間圧が該濾過する工程間、実質的に一定のままである。いくつかの実施形態では、該分離する工程は、該組成物を遠心分離に供することによって行われ、該遠心分離が上清および沈渣を形成する。いくつかの実施形態では、該生体高分子は、実質的に沈渣に存在する。
【0018】
本発明に従って、種々の生体高分子を単離し得る。いくつかの実施形態では、該生体高分子は、タンパク質である。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、可溶性タンパク質である。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、抗体である。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明は、不純物を含有する組成物から生体高分子を単離するための方法である。いくつかの実施形態では、該組成物は、真核細胞物質を含む。いくつかの実施形態では、該不純物は、成長培地成分、タンパク質、脂質、核酸、リボ核酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ポリアルキレングリコールまたは遷移金属を利用するのみの方法と比較して、組成物から生体高分子の回収を増加させる。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の添加が、該生体高分子の回収を、3%を超えて増加させる。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の回収が、該生体高分子の回収を、10%を超えて増加させる。いくつかの実施形態では、該生体高分子の回収は、ポリアルキレングリコールまたは遷移金属のみの使用と比較すると、ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の両方を使用する場合、相乗作用がある。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、1,000Da〜20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコールであり、該遷移金属は、亜鉛であり、該分離する工程は、該溶液中の該生体高分子を沈殿させ、その後、該沈殿物を分離するように該組成物を遠心分離にかけることによって行われ、該生体高分子は、抗体である。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、1,000Da〜20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコールであり、該遷移金属は、亜鉛であり、該分離する工程は、該溶液中の該生体高分子を沈殿させ、その後、該生体高分子を単離するように該組成物を濾過することによって行われ、該生体高分子は、抗体である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】Ab C沈殿に対する、pHの効果を示す。Ab Cの試料を、pH7、pH8、およびpH9に滴定し、1時間放置した(Ab Cの等電点は、約8.5である)。次いで、試料を濾過し、沈殿物(もしあれば)を捕捉し、A280での吸光度を測定した。滴定した試料に対する吸光測定を、出発物質(「CCM」)と比較した。pH7、pH8、およびpH9に滴定した試料に対する回収吸光度は、それぞれ、101.7%、99.1%、100.3%であった。これは、収集した生成物の濃度で、pHのみでは、沈殿を誘発するのに十分ではないことを示す。
【図2】Ab Cの沈殿および回収に対する、PEG3350濃度(w/v)の効果を示す。収集したAb Cの試料を、pH9.0に調節し、0% PEG3350、4% PEG3350、7% PEG3350、10% PEG3350、13% PEG3350、および20% PEG3350で処理した。試料は、2〜8℃で、30〜60分間放置し、14,000rpmで3分間、遠心分離にかけた。上清をデカントし、沈渣を再懸濁緩衝液中で再懸濁した。対照として、収集したAb C試料を用いて、サイズ排除クロマトグラフィによって回収率を計算した。Ab Cを沈殿させ、>95%の回収率を達成するためには、少なくとも10% PEG3350を必要とした。
【図3A】異なるPEG濃度での、PEGのpHおよび分子量の効果を示す。Ab Cの試料を、pH7、8、および9に滴定し、5%、10%、または15%のPEG分子量400、1000、3350、および8000Daで処理した。データは、PEG1000〜PEG8000が全て、5%以上の量で、高い回収率を生じることを示す。試料は、2〜8℃で、30〜60分間放置し、14,000rpmで3分間、遠心分離にかけた。上清をデカントし、沈渣を再懸濁緩衝液中で再懸濁した。対照として、収集したAb C試料を用いて、サイズ排除クロマトグラフィによって回収率を計算した。
【図3B】Ab C回収に対する、PEG分子量の効果を示す。Ab Cの試料を、pH8に滴定し、2〜8℃または周囲温度で、10% PEG3350またはPEG8000で処理した。試料は、2〜8℃または周囲温度で、30〜60分間放置し、14,000rpmで3分間、遠心分離にかけた。上清をデカントし、沈渣を再懸濁緩衝液中で再懸濁した。対照として、収集したAb C試料を用いて、サイズ排除クロマトグラフィによって回収率を計算した。PEG3350およびPEG8000はともに、高収率をもたらす。
【図4A】PEG沈殿前の抗体Ab C製剤の純度を示す。
【図4B】pH8.0で、10% PEG8000で沈殿した後の抗体Ab Cの製剤の純度を示す。
【図5A】PEG沈殿前の抗体Ab D製剤の純度を示す。
【図5B】pH8.0で、10% PEG8000で沈殿した後の抗体Ab Dの製剤の純度を示す。
【図6A】PEG沈殿前の抗体Ab E製剤の純度を示す。
【図6B】pH8.0で、10% PEG8000で沈殿した後の抗体Ab Eの製剤の純度を示す。
【図7A】PEG沈殿前の抗体Ab F製剤の純度を示す。
【図7B】pH8.0で、10% PEG8000で沈殿した後の抗体Ab Fの製剤の純度を示す。
【図8A】Ab Cの沈殿に対する、0mM ZnClおよび10mM ZnClの効果を示す。また、種々のZnCl濃度で、5% PEGを添加する効果も示す。
【図8B】PEG沈殿前、ならびにpH7.2で、5% PEG3350および5mM ZnClで沈殿した後の抗体Ab C製剤の純度を示す。
【図9】種々のPEGおよびZnClの濃度が、pH7.0で、組成物中の抗体の沈殿において有する効果を示す。
【図10】種々のPEGおよびZnClの濃度が、pH8.0で、組成物中の抗体の沈殿において有する効果を示す。
【図11】種々のPEGおよびZnClの濃度が、pH9.0で、組成物中の抗体の沈殿において有する効果を示す。
【図12】イミダゾールの存在下で、PEG3350およびZnClで沈殿した後のAb Fのサイズ排除分析を示す。その後、Ab Fの再可溶化画分を、アニオン交換工程および疎水性相互作用クロマトグラフィを通して精製した。
【図13A】身体供給量の異なる濃度による、Ab F沈殿物のデッドエンド(Nutsche)濾過を示す。差圧(psi)対処理量(L/m)を(A)に示し、濾液の容量(mL)対時間(分)を(B)に示した。
【図13B】身体供給量の異なる濃度による、Ab F沈殿物のデッドエンド(Nutsche)濾過を示す。差圧(psi)対処理量(L/m)を(A)に示し、濾液の容量(mL)対時間(分)を(B)に示した。
【図14】洗浄液の増加するダイア量(diavolume)(DV)で、洗浄したAb F沈殿ケーキのサイズ排除分析を示す。低分子量の不純物(LMW)を、矢印で強調する。
【図15】イミダゾールの存在下および非存在下で、PEGおよびZnClによる沈殿による低分子量の除去を示す。10倍に濃縮したAb F HCCFを(A)に示す。イミダゾールの非存在下で、PEG3350およびZnClを用いたAb Fの沈殿を、(B)(低分子量レベル約6%)に示し、イミダゾールの存在下で、3350およびZnClによるAb Fの沈殿を、(C)(1%未満の低分子量レベル)に示した。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の両方の組み合わせの添加は、組成物中の生体高分子の沈殿を改善することが見出された。該生体高分子のこの沈殿は、該組成物に存在する不純物から該生体高分子の分離をもたらした。本発明は、不純物を含有する組成物中の生体高分子を単離する方法に関し、該方法は、(a)該組成物にポリアルキレングリコールを添加する工程と、(b)該組成物に遷移金属を添加する工程と、(c)該不純物から該生体高分子を分離する工程と、を含む。
【0025】
別途文脈から明確にされない限り、「a」または「an」のもの(entity)という用語は、1つ以上のそのものを指し、例えば、「タンパク質(a protein)」は、1つ以上のたんぱく質を表すように理解されることに留意すべきである。このように、「a」(または「an」)、「1つ以上の(one or more)」、および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書で同じ意味で使用され得る。
【0026】
「単離する(isolating)」および「単離(isolation)」という用語は、該組成物中に見出される少なくとも1つの他の望ましくない成分または不純物から生体高分子を分離することを指す。「単離する(isolating)」という用語には、「精製する(purifying)」および「浄化する(clarifying)」が含まれる。生体高分子の単離の特定レベルは必要とされないが、いくつかの実施形態では、不純物の少なくとも50%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%(w/w)が、該生体高分子から分離される。例えば、いくつかの実施形態では、生体高分子の単離は、該組成物に元来は存在する、80%の宿主細胞タンパク質(HCP)から該生体高分子を分離する工程を含む。
【0027】
「浄化する(clarifying)」および「浄化(clarification)」という用語は、組成物からの大粒子の除去を指す。例えば、細胞培養および成長培地に適用される場合、「浄化する」という用語は、例えば、原核および真核(例えば、哺乳類)細胞、脂質、ならびに/または細胞培養からの核酸(例えば、染色体およびプラスミドDNA)の除去を指す。
【0028】
「精製する(purifying)」および「精製(purification)」という用語は、不純物の大きさにかかわらず、組成物中の不純物または他の汚染物質から本発明の生体高分子を分離することを指す。したがって、精製という用語は、「浄化」を包含するが、浄化中、除去されたもの(例えば、タンパク質、脂質、核酸、ならびに細胞残屑、ウイルス残屑、汚染されている細菌残屑、培地成分等の他の形態)よりもさらに小さい不純物をさらに包含し得る。生体高分子の精製の特定レベルは必要とされないが、いくつかの実施形態では、不純物の少なくとも50%、70%、80%、90%、または95%(w/w)は、該生体高分子から精製される。例えば、いくつかの実施形態では、生体高分子の精製は、組成物に元来は存在する、80%のHCPから生体高分子を分離する工程を含み得る。
【0029】
本明細書に使用される、「相乗作用(synergy)」、「相乗的な(synergistic)」、または「相乗効果(synergistic effect)」という用語は、添加物よりも大きい規模を有する効果を説明する。本発明のいくつかの実施形態では、ポリアルキレングリコールと遷移金属をあわせた両方の使用は、生体高分子の相乗的な生成物の回収または相乗的な沈殿を提供する。例えば、3%(w/v)ポリアルキレングリコールのみの使用により、5%の生体高分子を沈殿し、10mM 最終濃度の遷移金属のみの使用により、5%の同一の生体高分子を沈殿した場合、3% ポリアルキレングリコールと10mM 遷移金属をあわせて両方を用いた生体高分子を沈殿する相加効果は、10%の該生体高分子の沈殿であり得る。したがって、比較すると、3% ポリアルキレングリコールと10mM 遷移金属をあわせて両方を用いた場合の相乗効果は、10%を超える任意の範囲で、生体高分子の沈殿であり得る。
【0030】
種々のポリアルキレングリコールが、使用され得る。いくつかの実施形態では、ポリアルキレンという用語は、一般式I:
【0031】
【化1】

の化合物であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、nは、約10〜約5,000、約20〜約2,500、約50〜約2,000、または約100〜約500であり得、mは、約1〜約10である。さらなるポリアルキレングリコール分子は、前述されている。好適な例としては、米国特許第5,643,575号に記載されるもの等のポリプロピレングリコールが挙げられる。本発明の方法において有用な他のポリアルキレングリコールは、Shearwater Polymers,Inc.のカタログ「Polyethylene Glycol and Derivatives 2001」に記載される。各々の開示は、参照することにより本明細書に援用される。
【0033】
いくつかの実施形態では、ヘテロポリマーが使用され得、式中、異なるアルキル置換基は、ポリアルキレン分子(例えば、式IIのポリアルキレン分子)に含有され、
【0034】
【化2】

式中、R、R、R、Rは独立して、水素または置換もしくは非置換アルキル、アリルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリルアルキル、リン酸塩、ホスホアルキル、硫酸塩、またはスルホアルキルであり得、式中、各zサブユニットは同一または異なり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、yは、約1〜約10であり得る。いくつかの実施形態では、yの値は、任意に、各zサブユニットに対して異なり得る。いくつかの実施形態では、zは、約10〜約5,000、約20〜約2,500、約50〜約2,000、または約100〜約500であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、室温で、水溶性である。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、ポリペンチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリエチレングリコールからなる群から選択され、式中、アルキル置換基のいずれかは、任意に、非置換であるか、またはアルキル、アリルアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリルアルキル、リン酸塩、ホスホアルキル、硫酸塩、もしくはスルホアルキルと置換される。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールである。
【0037】
種々の分子量のポリアルキレングリコールが、使用され得る。ポリアルキレングリコールは、平均分子量で、実質的に異なり得るが、いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、約1,000Da〜約100,000Daの平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、1,000Da〜50,000Da、約2,000Da〜約25,000Da、約3,000Da〜約20,000Da、または約4,000Da〜約10,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、約3,000Da、4,000Da、5,000Da、6,000Da、7,000Da、8,000Da、または9,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、2,000Da〜15,000Daの分子量を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである場合、該ポリエチレングリコールは、1,000Da〜50,000Da、約2,000Da〜約25,000Da、約3,000Da〜約20,000Da、または約4,000Da〜約10,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、該ポリエチレングリコールは、約3,000Da、4,000Da、5,000Da、6,000Da、7,000Da、8,000Da、または9,000Daの分子量を有する。いくつかの実施形態では、該ポリエチレングリコールは、2,000Da〜15,000Daの分子量を有する。
【0039】
種々の濃度のポリアルキレングリコールが、組成物中で使用され得る。該ポリエチレンは、濃縮された、または任意に純粋な、原料からの組成物に添加され得る。組成物に添加する際、該濃縮された原料は、希釈される。いくつかの実施形態では、該組成物に該ポリアルキレングリコールを添加する工程は、約1%〜約40%(w/v)、約2%〜約35%(w/v)、約2.5%〜約30%(w/v)、または約3%〜約30%(w/v)のポリアルキレングリコール濃度を有する、組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコール濃度は、該組成物の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、11%、12%、13%、14%、または15%(w/v)である。いくつかの実施形態では、該組成物に該ポリアルキレングリコールを添加する工程は、約2.0%〜約10%(w/v)のポリアルキレングリコール濃度を有する組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、該組成物に該ポリアルキレングリコールを添加する工程は、約0.5%〜約30%(w/v)のポリアルキレングリコール濃度を有する組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、該組成物に該ポリアルキレングリコールを添加する工程は、約0.5%〜約2.5%(w/v)のポリアルキレングリコール濃度を有する組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、遷移金属と組み合わせて使用したポリアルキレングリコールの濃度は、遷移金属を添加しないで用いたポリアルキレングリコールの濃度よりも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%低く、当量の分離生体高分子を得る。このような実施形態では、ポリアルキレングリコールの使用の軽減、および精製後の残留廃棄物の生成を軽減したことに伴い、費用を削減することが可能である。
【0040】
当業者は、異なる濃度、分子量、または種類のポリアルキレングリコール類が、異なる生体高分子に対してさらに有効であり得ることを理解されよう。いかなる方法論にも制限されることなく、遷移金属および生体高分子を含む組成物に、種々の濃度、分子量、または種類のポリアルキレングリコールを添加し、次いで、該生体高分子を精製する最も有効な方法を決定することによって、好適な濃度のポリアルキレングリコールを、決定することができる。
【0041】
遷移金属を、本発明において使用し、不純物からの生体高分子の分離を増加させることが可能である。「遷移金属」という用語は、亜鉛、カドミウム、および水銀を含む、周期表のdブロックにある任意の元素を指す。遷移金属の例としては、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、銅、コバルト、およびマンガンが挙げられる。いくつかの実施形態では、該遷移金属は、亜鉛、ニッケル、銅、コバルト、またはマンガンである。いくつかの実施形態では、該遷移金属は、亜鉛である。いくつかの実施形態では、1種類以上の遷移金属が、使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、亜鉛、ニッケル、銅、コバルト、およびマンガンのうちの2種またはそれ以上の組み合わせが、使用され得る。いくつかの実施形態では、該遷移金属を微粉化し、遷移金属粒子の平均サイズを低下させる。
【0042】
種々の濃度の組成物中の遷移金属が、本発明で用いるのに適している。当業者により、種々の内因性量の遷移金属は、通常は、組成物、例えば、収集採取物(内因性遷移金属)中に少量で存在し、種々の量の遷移金属を、本発明に従って収集採取物(外因性遷移金属)に添加することが可能であることを認識されよう。いくつかの実施形態では、該遷移金属の濃度は、外因性および内因性カチオンの両方を含む。しかしながら、実践上、内因性遷移金属の量は、通常、外因性遷移金属の量に比べて相対的に少ないため、外因性遷移金属のみを考慮することによって、該遷移金属の濃度を計算することができる。いくつかの実施形態では、濃縮された(または純粋な)原料からの遷移金属のアリコートを、本発明の組成物に添加して、所望の最終濃度の組成物中の遷移金属を得る。いくつかの実施形態では、組成物を遷移金属にさらに添加して、組成物中の遷移金属の濃度を希釈する。いくつかの実施形態では、該組成物に該遷移金属を添加する工程は、約0.1mM〜約1M、約0.1mM〜約100mM、約0.2mM〜約75mM、約0.5mM〜約50mM、または約1mM〜約20mMの遷移金属濃度を有する組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、該組成物に該遷移金属を添加する工程は、約1.5mM〜約15mM、2.5mM〜約15mM、または約0.3mM〜約7.0mMの遷移金属濃度を有する組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、ポリアルキレングリコールと組み合わせて使用した遷移金属の濃度は、ポリアルキレングリコールを添加しないで使用した遷移金属の濃度よりも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%低く、当量の分離生体高分子を得る。このような実施形態では、遷移金属の使用の軽減、および精製後の残留廃棄物の生成の軽減とともに、費用を削減することが可能である。
【0043】
当業者により、異なる濃度の遷移金属が、異なる生体高分子に対してさらに有効であり得ることを認識されよう。いかなる方法論にも制限されることなく、ポリアルキレングリコールおよび生体高分子を含む組成物に、種々の濃度の遷移金属を添加し、次いで、最大量の生体高分子を回収することが可能な最低濃度を決定することによって、好適な濃度の遷移金属を、決定することができる。
【0044】
当業者は、遷移金属が、塩形態に存在し得、例えば、CuCl等の銅塩は、水溶液中に入れる場合、銅カチオンを生成することができることを認識されよう。したがって、本明細書に使用される、「遷移金属を添加する工程」という句は、その帯電状態での遷移金属の添加だけでなく、本発明の組成物に導入する際、遷移金属を生成し得る塩または他の化合物の添加も包含し得る。いくつかの実施形態では、該遷移金属は、塩(例えば、CuCl、NiCl、ZnCl、MnCl、CuBr、NiBr、ZnBr、MnBr、CuSO、NiSO、ZnSO、およびMnSO)、またはこれらのカチオンもしくは塩のうちの1つ以上の組み合わせである。いくつかの実施形態では、該遷移金属は、例えば、CuCl、NiCl等のハロゲン化塩である。いくつかの実施形態では、該遷移金属は、銅グリシン酸塩、ニッケルグリシン酸塩、亜鉛グリシン酸塩、またはマンガングリシン酸塩である。特定の遷移金属が、精製/単離され得る異なる生体高分子にさらに適し得ることが期待され得る。しかしながら、当業者は、どの遷移金属が、対象の生体高分子の最大回収を達成するかを決定するために、多くの遷移金属を容易にかつ迅速に試験することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、集合体において金属イオン結合に影響を及ぼす競合リガンドは、本発明において有用である。このようなリガンドの例としては、イミダゾール、グリシン、トリプトファン、システイン、ヒスチジン、ヒスタミン、塩化アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。(Kagedal,L,“Immobilized Metal Ion Affinity Chromatography” in Protein Purification: Principles,High Resolution Methods,and Applications(Janson,J−C,1998)、およびPrzbycien et al. “A Model for Metal Affinity Precipitation” J.Coll.Int.Sci(1996)を参照のこと)。
【0046】
本発明において、「組成物」という用語は、本発明の生体高分子の少なくとも1つの分子と、任意に少なくとも1つの不純物との混合物を指し、ここで、不純物および生体高分子は同一ではない。いくつかの実施形態では、該組成物は、生体高分子、細胞宿主生物(例えば、哺乳類細胞)、および宿主生物を繁殖させ、対象の生体高分子の発現を可能にするのに十分な成長培地を含む。成長培地の選択および使用は、当業者には既知である。いくつかの実施形態では、該成長培地は、細胞培養培地である。細胞培養培地は、繁殖される細胞培養の種類に応じて異なる。いくつかの実施形態では、該細胞培養培地は、商業的に入手可能な培地である。いくつかの実施形態では、該組成物は、例えば、無機塩類、炭水化物(例えば、ブドウ糖、ガラクトース、マルトース、またはフルクトース等の糖類)、アミノ酸、ビタミン(例えば、ビタミンB群(例えば、B12)、ビタミンA、ビタミンE、リボフラビン、チアミン、およびビオチン)、脂肪酸および脂質(例えば、コレステロールおよびステロイド)、タンパク質およびペプチド(例えば、アルブミン、トランスフェリン、フィブロネクチン、およびフェチュイン)、血清(例えば、ウシ胎仔血清、新生子牛血清、およびウマ血清等のアルブミン、成長因子、および成長抑制剤を含む組成物)、微量元素(例えば、亜鉛、銅、セレニウム、およびトリカルボン酸中間体)、ならびにこれらの組み合わせを含有する成長培地を含む。成長培地の例としては、基本培地(例えば、MEM、DMEM、GMEM)、複合培地(RPMI 1640、Iscoves DMEM、Leibovitz L−15、Leibovitz L−15、TC 100)、無血清培地(例えば、CHO、Ham F10および誘導体、Ham F12、DMEM/F12)が挙げられるが、これらに限定されない。成長培地に見出される一般の緩衝液には、PBS、Hanks BSS、Earles塩、DPBS、HBSS、およびEBSSが挙げられる。哺乳類細胞を培養するための培地は、当該技術分野において公知であり、例えば、Sigma−Aldrich Corporation(St.Louis,MO)、HyClone(Logan,UT)、Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA)、Cambrex Corporation(E.Rutherford,NJ)、JRH Biosciences(Lenexa,KS)、Irvine Scientific(Santa Ana,CA)、および他より入手可能である。成長培地に見出される他の成分には、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、システイン/シスチン、グルタミン、葉酸、グルタチオン、リレイン酸、リポ酸、オレイン酸、パルミチン酸、ピリドキサール/ピリドキシン、リボフラビン、セレニウム、チアミン、およびトランスフェリンが含まれ得る。当業者により、本発明の範囲内で可能な成長培地への修正があることを認識されよう。
【0047】
いくつかの実施形態では、該組成物は、収集採取物をさらに含む。「収集採取物(harvest feed)」という用語は、細胞が、収集直前に存在する培地、または収集された細胞が、収集直後に入れられ、これに細胞を再懸濁する培地を指す。収集採取物には、成長培地、または収集された細胞もしくは細胞画分を再懸濁するのに適している他の培地について、上で列挙した組成物のいずれかを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、該収集培地は、水、緩衝液、浸透剤、抗分解剤等を含有してもよい。いくつかの実施形態では、本発明は、収集採取物から生体高分子を分離する方法に関する。
【0048】
本発明の生体高分子は、細胞培養を含む組成物から単離され得、ここで、該細胞培養は、成長培地、および例えば、哺乳類細胞等の種々の真核細胞を含む。本発明の哺乳類細胞には、培養において増殖することが可能な、任意の哺乳類細胞が含まれる。例示的な哺乳類細胞には、例えば、CHO細胞(CHO−K1、CHO DUKX−B11、CHO DG44を含む)、VERO、BHK、HeLa、CV1(Cos;Cos−7を含む)、MDCK、293、3T3、C127、骨髄腫細胞株(特に、マウス)、PC12、HEK−293細胞(HEK−293TおよびHEK−293Eを含む)、PER C6、Sp2/0、NS0、ならびにW138細胞が含まれる。また、前述の細胞のいずれかに由来する哺乳類細胞を使用してもよい。
【0049】
本発明の生体高分子を、成長培地、ならびに例えば、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌等の種々の原核または非哺乳類細胞、ならびに例えば、緑膿菌(P. aeruginosa)等のシュードモナス属、例えば、サッカロミセス属、ピチア属、ハンゼヌラ、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、シュワニオミセス属、およびヤロウイア属等の酵母細胞、例えば、イラクサギンウワバ(Trichoplusia)、チョウ類(Lipidotera)、蛾類(Spodoptera)、ショウジョウバエ属およびSf9のような昆虫細胞、または例えば、シロイヌナズナ等の植物細胞内の種々の種を含む、細胞培養から単離することができる。当業者は、対象の生体高分子に応じて、適切な原核または非哺乳類細胞を選択することができる。
【0050】
本発明に従って、種々の生体高分子を、単離し得る。いくつかの実施形態では、該生体高分子は、抗体、組み換えタンパク質、または融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、可溶性タンパク質である。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、抗体である。
【0051】
本明細書に使用される、「生物学的な生体高分子」または「生体高分子」という用語は、1kDaを超える分子量を有する分子を指し、これを、生物から、または例えば、真核(例えば、哺乳類)細胞培養または原核(例えば、細菌)細胞培養等の細胞培養から単離することができる。いくつかの実施形態では、生体高分子という用語は、50kDa、75kDa、100kDa、125kDa、または150kDaを超える分子量を有する分子を指す。いくつかの実施形態では、該用語の使用は、例えば、核酸(DNA、RNA等)、ポリペプチド(タンパク質等)、炭水化物、および脂質のようなバイオポリマー等のポリマーを指す。いくつかの実施形態では、「生体高分子」という用語は、タンパク質を指す。いくつかの実施形態では、「生体高分子」という用語は、組み換えタンパク質または融合タンパク質を指す。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、可溶性である。いくつかの実施形態では、該生体高分子は、例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体等の抗体である。
【0052】
本明細書に使用される、「タンパク質」という用語は、単数の「タンパク質」、ならびに複数の「タンパク質」を包含することを意図する。したがって、本明細書に使用される、「ペプチド」、「ポリペプチド」、「アミノ酸鎖」が挙げられるが、これらに限定されない用語、またはアミノ酸の鎖(単数または複数)を指すのに使用される、いずれかの他の用語を、「タンパク質」の定義に含み、「タンパク質」という用語を、これらの用語のいずれかの代わりに、または置き換え可能に使用し得る。該用語には、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、または非天然由来のアミノ酸による修飾等の翻訳後の修飾を行っているタンパク質がさらに含まれる。タンパク質には、例えば、ダイマー、トリマー等のマルチマーを形成する、ポリペプチドも含まれる。タンパク質という用語には、例えば、タンパク質(またはタンパク質のフラグメント)を、抗体(または抗体のフラグメント)に付着する、遺伝子融合プロセスにより産生されるタンパク質等の融合タンパク質も含まれる。本発明の融合タンパク質の例には、ヒトIgG1およびヒトIgE、ならびにリンホトキシンβ受容体免疫グロブリンG1から結合されたFc領域からなるジスルフィド結合された二官能性タンパク質が含まれる。
【0053】
本発明の方法に従って、抗体を精製し得る。「抗体」という用語は、ポリクローナル、モノクローナル、多特異的な、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab発現ライブラリにより生成されたフラグメント、抗イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、本発明の抗体への抗−Id抗体を含む)、ならびに上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントを指す。いくつかの実施形態では、「抗体」という用語は、モノクローナル抗体を指す。「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、即ち、抗原を免疫学的に結合する抗原結合部位を含有する分子も指す。本発明の方法によって精製され得る免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子のいずれかの種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)、またはサブクラスからなり得る。本発明の抗体には、キメラ、単鎖、およびヒト化抗体も含まれる。本発明の抗体の例には、ナタリズマブ(ヒト化抗−a4インテグリンモノクローナル抗体)、ヒト化抗−αVβ6モノクローナル抗体、ヒト化抗−VLA1 IgG1κモノクローナル抗体;huB3F6(ヒト化IgG1/κモノクローナル抗体)等の市販抗体が含まれる。
【0054】
本発明の方法によって精製された抗体は、鳥類および哺乳類を含む任意の動物起源からであり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法によって精製された抗体は、ヒト、げっ歯類(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ抗体である。本明細書に使用される、「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体、ならびにヒト免疫グロブリンライブラリからの、または1つ以上のヒト免疫グロブリンのための遺伝子組み換えの動物から単離される抗体、ならびに内因性免疫グロブリンを発現しない抗体が含まれる。例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号を参照のこと。いくつかの実施形態では、「抗体」という用語は、ナタリズマブ(TYSBARI(登録商標),Elan Pharmaceuticals,San Diego,CA)等の市販抗体を含む、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の方法によって精製され得る抗体には、例えば、自然抗体、無傷モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷抗体から形成された多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体フラグメント(例えば、1つ以上の抗原に結合するおよび/または認識する抗体フラグメント)、ヒト化抗体、ヒト抗体(Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature 362:255−258(1993)、Bruggermann et al.,Year in Immunol.7:33(1993)、米国特許第5,591,669号および第5,545,807号)、抗体ファージライブラリから単離された抗体および抗体フラグメント(McCafferty et al.,Nature 348:552−554(1990)、Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)、Marks et al.,Bio/Technology 10:779−783(1992)、Waterhouse et al.,Nucl.Acids Res.21:2265−2266(1993))が含まれる。本発明の方法によって精製され得る抗体は、NもしくはC末端において異種ポリペプチドに組み換え技術によって融合され得る、またはポリペプチドまたは他の組成物に化学的に共役され得る(共有結合的な、および非共有結合的な共役を含む)。例えば、本発明の方法によって精製される抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子、および異種ポリペプチド等のエフェクタ分子、薬物、または毒素に組み換え技術によって融合されるか、または共役され得る。例えば、PCT公開第WO92/08495号、第WO91/14438号、第WO89/12624号、米国特許第5,314,995号、およびEP第396,387号を参照のこと。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の生体高分子または組成物は、薬学的に許容可能である。「薬学的に許容可能な」とは、音声医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に比例する過剰な毒性または他の合併症がなく、ヒトおよび動物の組織と接触するのに適している、生体高分子または組成物を指す。
【0057】
いくつかの実施形態では、該生体高分子は、可溶性タンパク質である。「可溶性」という用語は、例えば、細胞質、ペリプラズムまたは細胞外培地等の細胞宿主の親水性、または水性環境に、実質的に局在するタンパク質の傾向を指す。したがって、細胞分別中、可溶性タンパク質は、一般的に、宿主細胞の細胞質、ペリプラズム、または細胞外成分で、実質的に単離され得る。いくつかの実施形態では、可溶性タンパク質は、洗浄剤の不在下で、水溶性である。当業者は、ポリペプチドの細胞局在、あるいはタンパク質の細胞分別も完全ではないことを認識されよう。したがって、「実質的に局在する」という句は、タンパク質の50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%が、例えば、細胞質、ペリプラズム、または細胞外培地等の指定された細胞局在に存在するタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、細胞質タンパク質、または膜結合タンパク質であり得る。
【0058】
本発明は、不純物を含有する組成物から生体高分子を単離するのに有用である。いくつかの実施形態では、該組成物は、真核細胞物質を含む。いくつかの実施形態では、該不純物は、成長培地成分、タンパク質、脂質、核酸、リボ核酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0059】
「不純物」という用語は、本発明の生体高分子とは異なる組成物の1つ以上の成分を指す。いくつかの実施形態では、該不純物には、無傷哺乳類細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)またはマウス骨髄腫細胞(NSO細胞))、または部分細胞(例えば、細胞残屑)を含み得る。いくつかの実施形態では、該不純物は、タンパク質(例えば、HCP等の可溶性もしくは不溶性タンパク質、またはタンパク質のフラグメント)、脂質(例えば、細胞壁物質)、核酸(例えば、染色体もしくは染色体外DNA)、リボ核酸(t−RNAもしくはmRNA)、またはこれらの組み合わせ、または対象の生体高分子とは異なるいずれかの他の細胞残屑を含む。いくつかの実施形態では、該不純物は、対象の生体高分子を生成した、または含有した宿主生物が起源であり得る。例えば、不純物は、対象のタンパク質を発現した原核または真核細胞の細胞成分(例えば、細胞壁、細胞タンパク質、DNAもしくはRNA等)であり得る。いくつかの実施形態では、該不純物は、宿主生物からのものではなく、例えば、不純物は、細胞培養培地もしくは成長培地、緩衝液、または培地添加物からのものであり得る。本明細書に使用される、不純物には、単一の望ましくない成分、またはいくつかの望ましくない成分の組み合わせを含み得る。
【0060】
種々の手段を使用して、1つ以上の不純物から本発明の生体高分子を分離することができる。不純物から生体高分子を分離する手段の例としては、沈殿、免疫沈殿、クロマトグラフィ、濾過、限外濾過、透析濾過(diafiltration)、Nutshe濾過、交差流濾過、遠心分離、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、不純物から生体高分子を分離する工程は、沈殿によって達成され、即ち、「分離する」および「沈殿する」という語は、置き換え可能であり得る。沈殿とは、溶液中の固体組成物の製剤を指す。いくつかの実施形態では、該固体は、溶液よりも高密度からなり、溶液相から「析出し」、溶液の底に沈降する(堆積)。いくつかの実施形態では、沈殿は、遠心分離によって強化または加速し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、該組成物に該遷移金属および該ポリアルキレングリコールを添加すると、該生体高分子は、実質的に、該組成物から離れて沈殿する。いくつかの実施形態では、沈殿した生体高分子から単に該不純物をデカントし、それによって、該生体高分子を単離する。いくつかの実施形態では、50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の該生体高分子は、該組成物から沈殿される。
【0063】
いくつかの実施形態では、該不純物から生体高分子を分離する工程は、フィルタの使用によって達成される。「濾過(filtration)」または「濾過する(filtering)」という用語は、特定の細孔直径の1つ以上の半透性の細胞膜(または培地)に組成物を通過させることによって、組成物から懸濁粒子を除去するプロセスを指す。濾過に言及する場合、「透過流れ」という用語は、濾過中、フィルタ孔隙を通過する組成物の画分を指す。濾過に言及する場合、「固体流れ」という用語は、濾過中、フィルタ上に残留するか、またはフィルタ孔隙を通過しない組成物の画分を指す。いくつかの実施形態では、濾過後、本発明の生体高分子は、実質的に、透過流れ(即ち、それはフィルタ孔隙を通過し、制御される)に存在するが、不純物(例えば、細胞残屑、DNA、および/またはHCP)は、実質的に、固体流れに存在する。いくつかの実施形態では、濾過後、本発明の生体高分子は、実質的に、固体流れに存在するが、不純物は、実質的に、透過流れに存在する。いくつかの実施形態では、「ベンチスケールの」濾過を使用して、工業規模の濾過のための適切な条件を予測することができる。
【0064】
特定の生体高分子を精製するための好適なフィルタの種類、化学、およびモジュール構成は、当業者には既知であり、例えば、濾過され得る組成物の成分の量および大きさ、濾過され得る組成物の容量、ならびに濾過され得る組成物の細胞密度および生存率等の種々の要因に基づいて、選択することができる。例えば、Reynolds T,Boychyn M,Sanderson T,Bulmer M,More J,Hoare,M,Biotechnology and Bioengineering,83(4),pp.454−464(2003)を参照のこと。いくつかの実施形態では、膜フィルタ、プレートフィルタ、カートリッジフィルタ、バッグフィルタ、圧力葉フィルタ、回転ドラムフィルタ、または真空フィルタ等のフィルタが、使用され得る。いくつかの実施形態では、デプスフィルタ(depth filter)またはクロスフィルタ(cross filter)が使用される。本発明に適用される、交差流フィルタモジュールの種類には、中空糸、管状、平板(加圧板)、スパイラル型、または渦流れ(例えば、回転)フィルタ形状が含まれる。いくつかの実施形態では、接線流フィルタが使用される。いくつかの実施形態では、接線流(交差流)の形態において、中空糸、管状、および平板膜モジュールが、利用された。採用され得る商業的に入手可能なフィルタは、Millipore Corporation(Billerica,MA)、Pall Corporation(East Hills,NY)、GE Healthcare Sciences(Piscataway,NJ)、およびSartorius Corporation(Goettingen,Germany)等の種々の製造供給元により製造される。いくつかの実施形態では、デッドエンドフィルタが使用される。採用され得る商業的に入手可能なデッドエンドフィルタは、Millipore Corporation(Billerica,MA)、Pall Corporation(East Hills,NY)、GE Healthcare Sciences(Piscataway,NJ)、およびSartorius Corporation(Goettingen,Germany)等の種々の製造供給元により製造される。
【0065】
本発明のフィルタの孔径は、単離され得る生体高分子の種類および組成物に存在する不純物の種類に従って異なり得る。いくつかの実施形態では、フィルタの孔径は、0.1μm〜4.0μm、0.2μm〜2.0μm、または0.2μm〜1.5μmの直径であり得る。
【0066】
濾過中、フィルタを通して、収集採取物等の組成物の活動は、膜抵抗によって生じる膜間圧を生成する。膜表面が、細胞物質で堆積する(または極性化する)場合、一定の流速で細胞膜を横断して流れることに対する抵抗性が増加し、このようにして、駆動力または膜間圧を増加させる。細胞膜の表面付近の細胞物質の量が減少する、または細胞膜が極性化しなくなる合、膜間圧は、実質的に、一定のままである傾向がある。膜電位を計算する方法は、当業者には既知であり、これには、圧力トランスデューサー(pressure transducer)またはゲージの使用が含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、膜間圧は、供給および固体流れの出口圧と透過流れの圧力との間の差異を得ることによって計算することができる。
【0067】
概して、組成物(例えば、収集採取物)の濾過中、フィルタの膜間圧は、いっそう多くの組成物をフィルタに負荷する場合、有意に増加する。例えば、いくつかの実施形態では、膜間圧は、フィルタの孔が詰まるにつれて、濾過プロセスの開始(組成物の第1の量が、フィルタ中に設置される場合)から濾過プロセスの終了(典型的に、細胞物質の7〜10倍の濃縮および3〜5倍の透析濾過に続く)まで、5psi、7psi、10psi、15psi、または20psiもしくはそれ以上増加する。したがって、膜間圧に言及する場合、「実質的に一定(substantially constant)」という用語は、濾過の経過にわたって、4psi、3psi、または2psiを超えて増加しない、膜間圧を指す。いくつかの実施形態では、本発明は、組成物中の生体高分子を精製する方法を対象にし、該方法は、(a)該組成物にポリアルキレングリコールを添加する工程と、(b)該組成物に遷移金属を添加する工程と、(c)細胞膜を通して該組成物を濾過する工程と、を含み、該濾過する工程は、膜間圧をもたらし、ここで、該膜間圧は、濾過する工程の間、実質的に一定のままである。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、タンパク質のフィルタ排出を減少させる。「タンパク質のフィルタ排出」という用語は、等式R=(1−[C/C])によって例証され得、式中、Rは、タンパク質のフィルタ排出係数を示し、Cは、対象の生体高分子の瞬時の透過濃度であり、Cは、対象の生体高分子の瞬時の固体濃度である。いくつかの実施形態では、本発明は、該組成物にポリエチレングリコールを添加する工程と、該組成物に遷移金属を添加する工程と、該生体高分子を濾過する工程と、を含む、組成物中の生体高分子を単離する方法を対象にし、ここで、タンパク質のフィルタ排出係数の値は、ポリアルキレングリコールおよび/または遷移金属を添加しない、組成物中の生体高分子と比較して、所定の容量処理量が低い。
【0069】
生体高分子を単離する場合、いくつかの実施形態では、大容量の組成物(例えば、収集採取物)が、例えば、市販の製造プロセス中、存在し得る。大容量は、精製プロセスにとっていくつかの課題がある。例えば、フィルタを通して流速の少量の変化が、単離される生体高分子の回収において有する効果は、大容量を使用する場合、増幅される。同様に、大容量を使用する場合、収穫採取物における細胞密度の増加が生成物回収において有する効果もまた、増幅される。したがって、大容量の組成物は、増幅され、かつ少量の使用と比較して、より大きな悪影響を及ぼす独自の問題がある。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、大容量の組成物に存在する生体高分子を単離する方法を対象にする。「大容量」という用語は、市販のおよび/または工業生成物の生体高分子に関連する容量を指す。いくつかの実施形態では、「大容量」という用語は、10〜30,000リットル、20〜20,000リットル、50〜15,000リットルを指す。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、該組成物を遠心力に供する(即ち、遠心分離)ことによって、不純物から該生体高分子を分離する工程を含み、遠心分離が、上清および沈渣を形成する。遠心分離の種々の形態は、当該技術分野において既知である。例えば、Boychyn M,Doyle W,Bulmer M,More J,Hoare M,Biotechnology and Bioengineering,69(1),pp.1−10(2000)を参照のこと。いくつかの実施形態では、遠心分離は、不純物(細胞または細胞残屑)および濃縮された細胞/細胞残屑沈渣が実質的にない、上清を形成する。遠心分離に言及する場合、「沈渣(pellet)」または「固体ケーキ(solid cake)」という用語は、遠心分離中、沈殿され(または沈渣され)、細胞/細胞残屑集団を形成する、組成物の画分を指す。「上清(supernatant)」という用語は、遠心分離中、沈殿されない(または沈渣されない)組成物の画分、例えば、該組成物中の水相に残留する組成物の画分を指す。いくつかの実施形態では、遠心分離後、本発明の生体高分子は、実質的に、上清に存在する(即ち、それは、該組成物の液体画分中に実質的に懸濁されたままである)。いくつかの実施形態では、遠心分離後、本発明の生体高分子は、実質的に、沈渣に存在する(例えば、それは、溶液から凝結するか、または遠心分離から得られる沈渣に存在する)。いくつかの実施形態では、該生体高分子の50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%(w/w)は、沈渣に存在する。いくつかの実施形態では、密度勾配を使用して、該不純物から該生体高分子を分離する。したがって、いくつかの実施形態では、該生体高分子および該不純物はともに、遠心分離後、異なる濃度、ひいては、遠心分離装置の異なる場所にもかかわらず、上清に残留する。
【0071】
種々の遠心分離装置が、使用され得る。いくつかの実施形態では、該遠心分離は、ディスクスタック(disc stack)遠心分離機によって達成され得る。いくつかの実施形態では、「ベンチスケールの」濾過を使用して、工業規模の濾過のための適切な条件を推定することができる。遠心分離の変数は、対象の生体高分子の最適な単離を達成するために異なり得る。例えば、いくつかの実施形態では、生体高分子回収の質および/または生体高分子回収の量を増加させるために、種々の回転速度または流速が、使用され得る。
【0072】
本発明は、初期高密度の生物学的物質を有する細胞培地を含有するバイオリアクターから生体高分子を単離する場合、有用であり得る。例えば、いくつかの高密度培地では、フィルタを横切る膜間圧を、多くの場合、高濃度の細胞物質のため、膜表面の付着物の結果として推定されるように、著しく低下する。同様に、フィルタ付着物の増加は、回収した生体高分子の量に影響を及ぼし得、産出を低下させ、透過流れにおいて、比較的に高い不純物レベルをもたらす。場合によっては、フィルタの機械的特性を超えた値まで、膜間圧を増加させ、ひいては、完了する前に操作を停止させ、著しく低い産出高を生じ得る。フィルタ膜間圧を低減するために、固体流れにおけるタンパク質回収を増加し、固体流れにおける不純物の量を削減し、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、濾過前に、ポリアルキレングリコールおよび遷移金属を添加する工程を含み、これは、他の不純物(DNA等)の沈殿とともに、大きな細胞および細胞残屑の凝集を引き起こす。大粒子への不純物(細胞、細胞残屑、およびDNA)の凝集は、フィルタの表面付近の組成物の物質移動を改善し、ひいては、所定の透過流れの流量または流速でフィルタを横切る膜間圧を低減し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、高細胞密度の組成物(例えば、収集採取物)から生体高分子を収集するのに有益であるか、または望ましい。高細胞密度の組成物は、正常な細胞密度の組成物と比較して独自の問題がある。例えば、高細胞密度の組成物は、組成物に存在するより高い量の不純物を有し、それによって、精製プロセス中、除去する必要がある不純物の量を増加させ得る。例えば、高細胞密度の組成物は、より迅速にフィルタを汚染し、それによって、組成物の濾過を妨げ得る。いくつかの実施形態では、高細胞密度の組成物は、より多くのフィルタ、またはより大きい表面積を有するフィルタの使用を必要とする。これらの要件は両方とも、濾過および/または製造損失に関連するより多くの費用をもたらし得る。本発明では、ポリアルキレングリコールおよび遷移金属を、該組成物に添加し、それによって、一部の不純物を除去し、より高い細胞密度の組成物の精製を可能にする。したがって、本発明におけるいくつかの実施形態は、高細胞密度の組成物に存在する生体高分子を単離する方法を対象にする。「高細胞密度」という用語は、一般に、哺乳類細胞に対して、1mLあたり約1×10〜3.5×10、約1.0×10〜約1.0×10、または約5.0×10〜約9.0×10細胞の収集採取物の細胞密度を指す。当然ながら、当業者により、種々の細胞は、従来は、異なる細胞密度で成長することを理解されよう。したがって、いくつかの実施形態では、「高細胞密度の」細胞培地とは、その細胞株のために従来は実行される密度よりも高い密度で細胞に含有する細胞培地を指す。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態では、該組成物のpHは、該不純物から該生体高分子を分離する前に調節される。例えば、いくつかの実施形態では、該組成物のpHは、収集採取物のpHよりも低いpHに調節される。例えば、収集採取物を含むもの等の本発明の組成物は、一般に、調節しないで、約6.0〜約8.0、約6.5〜約7.5、または約6.8〜約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、該収集採取物のpHよりも低いいずれかのpHは、本発明の単離に使用され得る。いくつかの実施形態では、該組成物のpHは、約1.0〜約6.0、約2.0〜約5.5、約3.0〜約6.5、約3.0〜約5.0、約4.0〜約5.0、約4.0〜約4.7、約4.3〜約5.0、または約4.7〜約5.0の範囲内のpHまで低減させる。いくつかの実施形態では、該組成物のpHは、約4.0〜約4.7の範囲内のpHまで低減させる。いくつかの実施形態では、該pHは、pH約3.5まで低減させる。いくつかの生体高分子に対して、3.5より低いpHは、対象の生体高分子の変性または不安定性をもたらし、したがって、望ましくない。いくつかの実施形態では、該組成物のpHは、約6.0〜約10.0、約6.5〜約9.5、約7.0〜約9.0、約7.5〜約8.5、約7.0〜約8.0、または約7.5の範囲内のpHまで上昇させる。いくつかの実施形態では、該組成物のpHは、約7.0〜約9.0の範囲内まで上昇させる。いくつかの実施形態では、該pHは、pH約8.0〜約9.0まで上昇させ得る。
【0075】
本発明の該組成物のpHは、種々の手段によって調節され得る。いくつかの実施形態では、該pHは、該組成物に酸または塩基を添加することによって低減させる。好適な酸としては、過塩素酸(HClO)、ヨウ化水素酸(HI)、臭化水素酸(HBr)、塩酸(HCl)、硝酸(HNO)、硫酸(二陽子)(HSO)等の強酸、酢酸(CHCOOH)(例えば、氷酢酸)、クエン酸(C)、ギ酸(HCOOH)、シアン化水素酸(HCN)、硫酸水素塩イオン(HSO)等の弱酸、または上に列挙される酸のいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な塩基としては、水酸化カリウム(KOH)、水酸化バリウム(Ba(OH))、水酸化セシウム(CsOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)等の強塩基、またはアンモニア等の弱塩基、または上に列挙される塩基のいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
いくつかの実施形態では、該組成物のpHは、リン酸塩緩衝液(例えば、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウム)、重炭酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液、トロメタミン緩衝液、HEPES緩衝液、ならびにこれらの組み合わせ等の緩衝液の使用まで調節され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、該組成物への遷移金属の添加は、単離すると、対象の生体高分子、ならびに不純物の共沈を生じ、該生体高分子の還元された純度を生じる。いくつかの実施形態では、該組成物へのポリエチレングリコールの添加は、対象の生体高分子の回収を増加させるのに適している。「回収の増加(increased recovery)」という用語は、同一の精製方法であるが、遷移金属またはポリアルキレングリコールを添加しない方法と比較して、(ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の両方の添加を伴う)本発明の方法との比較を指す。例えば、方法Aは、(該収集採取物への遷移金属の添加を含まないことを除いては)本発明の方法であり、100mgの対象の生体高分子を産出し、方法Bは、(方法Bは、該収集採取物への遷移金属の添加を含むことを除いては)方法Aと同一であり、110mgの生体高分子を産出する場合、方法Bは、10%の「回収の増加」を有することが決定され得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、該生体高分子の回収を、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、または25%を超えて増加させる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、回収を、最大10%、15%、20%、25%、30%、または50%まで増加させる。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の添加が、該生体高分子の回収を、3%を超えて増加させる。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の回収が、該生体高分子の回収を、10%を超えて増加させる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態では、ポリアルキレングリコールを該組成物に添加する。本発明のいくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、1,000Da〜20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコールであり、該遷移金属は、亜鉛であり、該分離する工程は、該溶液中の該生体高分子を沈殿させ、その後、該沈殿物を分離するように該組成物を遠心分離にかけることによって行われ、該生体高分子は、抗体である。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールは、1,000Da〜20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコールであり、該遷移金属は、亜鉛であり、該分離する工程は、該溶液中の該生体高分子を沈殿させ、その後、該沈殿物を分離するように該組成物を濾過することによって行われ、該生体高分子は、抗体である。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の方法は、濾過プロセスの堅牢性を増加させる方法を対象にし、該方法は、(a)組成物にポリアルキレングリコールを添加する工程と、(b)該組成物に遷移金属を添加する工程と、(c)細胞膜を通して該組成物を濾過する工程と、を含む。「堅牢性の増加」という用語は、所定のフィルタに対するより広範囲の流速を使用するが、膜間圧、不純物濃度、または製造損失を増大させない、能力を指す。「堅牢性の増加」という用語は、所定のフィルタに対するより大容量、またはより高い細胞密度の収集採取物を濾過する、膜間圧、不純物濃度、または製造損失を増加させない、能力も指す。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態では、該方法は、濾過前、例えば、収集採取物等の生体高分子を含む組成物を浄化する方法に示され、該方法は、(a)該組成物にポリアルキレングリコールを添加する工程と、(b)該組成物に遷移金属を添加する工程と、(c)該組成物中の不純物から生体高分子を分離する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、組成物を浄化する工程は、Hach 2100AN Turbidimeter(Hach Co.,Loveland,CO)等の濁度計によって測定される、濁度の低下と相関する。
【0082】
本発明の方法の工程は、種々の順序で順序付けることができる。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールを添加する工程は、遷移金属を添加する工程および該不純物から生体高分子を分離する工程の前に存在する。いくつかの実施形態では、まず、該ポリアルキレングリコールを添加し、次いで、該遷移金属を添加し、次いで、生体高分子を不純物から分離する。他の実施形態では、まず、該遷移金属を添加し、第2に、該ポリアルキレングリコールを添加し、次いで、該生体高分子を分離する。いくつかの実施形態では、1つ以上の精製手順は、(a)ポリアルキレングリコールを添加する工程、(b)遷移金属を添加する工程、あるいは(c)該不純物から生体高分子を分離する工程の間に存在し得る。代替的に、本発明の方法の工程(a)、(b)、または(c)は、例えば、工程(a)、(b)、および(c)の間に追加の精製手順がない、連続的なものであり得る。しかしながら、工程(a)、(b)、および(c)が連続的である場合、追加の精製手順は、工程(a)、(b)、および(c)の前、または後に存在し得る。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールおよび該遷移金属は、組成物を添加する前に、共に混合し、一般の原料を形成する。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールおよび該遷移金属を、該組成物に同時に添加する。いくつかの実施形態では、該ポリアルキレングリコールおよび該遷移金属を、任意の順序で、該組成物に逐次添加する。
【0083】
いくつかの実施形態では、沈殿前の生体高分子の濃縮は、該生体高分子の沈殿および回収に必要とされるポリアルキレングリコールおよび/または遷移金属の量を低減するのに有用である。例えば、沈殿前の濃縮は、ポリアルキレングリコールおよび/または遷移金属の量を、約2〜約40倍減少させ得る。限外濾過、精密濾過、および生体高分子濃縮の他の方法は、沈殿前濃縮の有効な方法である。
【0084】
いくつかの実施形態では、該沈殿物を洗浄して、生体高分子を再溶解する前に、不純物をさらに除去し得る。例えば、該沈殿物は、水またはポリアルキレングリコール(例えば、約0.5%〜約5%(w/v)の濃度で)、遷移金属(例えば、約0.5mM〜約5mMの濃度で)、キレート剤(例えば、EDTA)、芳香族複素環化合物(例えば、イミダゾール)、または様々な緩衝液を含有する溶液が挙げられるが、これらに限定されない、1つもしくは複数の溶液(または溶液の組み合わせ)で洗浄され得る。いくつかの実施形態では、洗浄は、溶液の添加、溶液中の沈殿物の沈降、および/または沈殿物からの溶液のデカントもしくはサイホニング(siphoning)によって達成される。
【0085】
いくつかの実施形態では、該生体高分子は、1つ以上の生物活性、次いで、沈殿および再溶解を保持する。いくつかの実施形態では、該生体高分子は、1つ以上の生物活性、次いで、沈殿、洗浄、および再溶解を保持する。「生物活性」という用語は、該生体高分子の天然由来の機能を指す(「天然由来」には、タンパク質、抗体、または酵素等の生体高分子の突然変異を経由して誘発される異常もしくは変性した機能も含み得る)。抗体に対するある生物活性の一例としては、抗原への抗体の特異結合が含まれる。酵素に対する生物活性の一例としては、特異的酵素または酵素の触媒活性が含まれる。いくつかの実施形態では、該生体高分子は、(沈殿前、または沈殿および洗浄前の該生体高分子の比活性と比較して)約50%〜約100%の範囲の生物活性を保持する。例えば、該生体高分子は、沈殿前、または沈殿および洗浄前のその比生物活性の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約100%を保持し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、該溶液のpHは、該生体高分子から遷移金属(亜鉛等)の再溶解および/または非結合にさらに影響を及ぼすように低減させる。
【実施例】
【0087】
実施例
本発明は、具体例としてさらに詳細に説明される。以下の実施例は、例証目的で提示され、いかようにも本発明を限定することを意図しない。当業者は、本発明に従って、代替的な実施形態を得るために変更または修正され得る種々の重要ではないパラメータを容易に認識するであろう。
【0088】
実施例1
細胞培地化合物からの種々の抗体および他のタンパク質の沈殿を調査するために、いくつかの方法を試験し、これには、以下のものを含む。(1)単一の添加において、ポリエチレングリコール(PEG)3350のみを用いた、沈殿、(2)単一の添加において、塩化亜鉛のみを用いた、沈殿、(3)単一の添加において、PEGと塩化亜鉛との組み合わせを用いた、沈殿、(4)漸増削減において、PEGのみを用いた(即ち、PEGの増分加算)、沈殿、ならびに(5)漸増削減において、PEGと亜鉛との組み合わせを用いた(即ち、PEGおよび/もしくは亜鉛の漸増添加)、沈殿。
【0089】
単一の削減においてPEGのみを用いて、抗体Ab C、Ab D、およびAb Eの沈殿を調査するために、該抗体を含有する浄化された収集採取物は、2M トリス塩基を用いて、pH8.0に調節した。次いで、該収集採取物を、2〜8℃の温度に調節し、精製プロセスを通してその温度で放置した。次いで、該収集採取物を、0.22μmのフィルタを通して濾過した。10% PEG3350濃度に達するように、70% PEG3350原料を濾過した物質に添加した。該物質を、10分間撹拌し、1時間放置した。次いで、10% PEG組成物は、3,000xgで10分間、遠心分離にかけ、その後、上清をデカントした。得られた沈渣を、1時間、振動/混合することによって、PEG−Znの再懸濁緩衝液中で再懸濁した。再懸濁緩衝液は、緩衝液およびキレート剤を含む。
【0090】
収集試料、再懸濁試料、および上清を、SEC−HPLCによってアッセイし、いかなる希釈または濃縮要因も考慮して、純度および回収率を決定した。さらに、該収集試料および再懸濁試料を、ElisaおよびQPCR方法によって、HCPおよびDNA含有量に関してアッセイした。「力価」という用語は、精製前の原料中の生成物の濃度を指す。結果を表1に示す。
【0091】
【表1】

実施例2
単一の削減において塩化亜鉛のみを用いて、抗体Ab C、Ab D、およびAb Eの沈殿を調査するために、該抗体を含有する浄化された収集採取物は、2M トリス塩基を用いて、pH7.2に調節した。次いで、該収集採取物を、2〜8℃の温度に調節し、精製プロセスを通してその温度で放置した。該収集採取物を、0.22μmのフィルタを通して濾過した。最終濃度が10mM ZnClに達するように、250mM 塩化亜鉛原料を濾過した物質に添加した。該物質を、10分間撹拌し、1時間放置した。
【0092】
次いで、10mM ZnCl組成物は、3,000xgで10分間、遠心分離にかけ、その後、上清をデカントした。得られた沈渣を、1時間、振動/混合することによって、pH7.2で、PEG−Znの再懸濁緩衝液中で再懸濁した。
【0093】
収集試料、再懸濁試料、および上清を、SEC−HPLCによってアッセイし、いかなる希釈または濃縮要因も考慮して、純度および回収率を決定した。さらに、該収集試料および再懸濁試料を、ElisaおよびQPCR方法によって、HCPおよびDNA含有量に関してアッセイした。結果を表2に示す。
【0094】
【表2】

実施例3
単一の添加において、PEGと塩化亜鉛との組み合わせを用いて、抗体Ab CおよびAb Fの沈殿を調査するために、該抗体を含有する浄化された採取物は、2M トリス塩基を用いて、pH7.2に調節した。次いで、該収集採取物を、2〜8℃の温度に調節し、精製プロセスを通してその温度で放置した。次いで、該収集採取物を、0.22μmのフィルタを通して濾過した。
【0095】
1回目の削減は、濃度が1.6% PEGに達するように、70% PEG3350原料を濾過した物質に添加し、そして、最終濃度が2.7mM ZnClに達するように、250mM ZnClを濾過した物質に添加する工程で構成された。次いで、該物質を、10分間撹拌し、1時間放置した。次いで、得られた試料を、0.22μmのフィルタを通して濾過し(「1濾液削減」)、濾液を保持した。
【0096】
2回目の削減は、濾過試料の最終濃度が5.5%、および塩化亜鉛の最終濃度が5mMになるように、PEGを添加することにより行われた。本物質を1時間放置した。
【0097】
得られた沈殿物は、3,000xgで10分間、遠心分離にかけ、その後、上清をデカントした。得られた沈渣を、1時間、振動/混合することによって、pH7.2で、PEG−Znの再懸濁緩衝液中で再懸濁した。
【0098】
収集試料、1回目の削減濾液、上清、および再懸濁した試料を、SEC−HPLCによってアッセイし、いかなる希釈または濃縮要因も考慮して、純度および回収率を決定した。さらに、該収集試料および再懸濁試料を、ElisaおよびQPCR方法によって、HCPおよびDNA含有量に関してアッセイした。結果を表3に示す。
【0099】
【表3】

実施例4
2回目の漸増削減においてPEGのみを用いて、抗体Ab Fの沈殿を調査するために、該抗体を含有する浄化した収集採取物は、2M トリス塩基を用いて、pH8.0に調節した。次いで、該収集採取物を、2〜8℃の温度に調節し、精製プロセスを通してその温度で放置した。次いで、該収集採取物を、0.22μmのフィルタを通して濾過した。
【0100】
1回目のPEG削減は、濃度が4.75% PEGに達するように、70% PEG3350原料を濾過した物質に添加する工程で構成された。次いで、該物質を、10分間撹拌し、次いで、1時間放置した。次いで、得られた試料を、0.22μmのフィルタを通して濾過し(「1濾液削減」)、濾液を保持した。
【0101】
2回目の削減は、最終濃度が10.5%になるように、PEGを濾過試料に添加することにより行われた。本物質を、1時間放置し、得られた沈殿物は、3,000xgで10分間、遠心分離にかけた。得られた上清をデカントし、得られた沈渣を、1時間、振動/混合することによって、pH4.0で、PEG−Znの再懸濁緩衝液を用いて再懸濁した。
【0102】
収集試料、1回目の削減濾液、上清、および再懸濁した試料を、SEC−HPLCによってアッセイし、いかなる希釈または濃縮要因も考慮して、純度および回収率を決定した。さらに、該収集試料および再懸濁試料を、ElisaおよびQPCR方法によって、HCPおよびDNA含有量に関してアッセイした。結果を表4に示す。
【0103】
【表4】

実施例5
Ab F沈殿の必要条件である試薬における力価効果(濃度)を検査した。Ab Fの収集した細胞培地流体(HCCF)(HCCFの初期濃度6.5g Ab F/L)を、2〜8℃で、2Mトリス塩基を用いて、pH7.2に調節した。HCCFを、PELLICON−2(登録商標)50キロダルトン(kDa)カートリッジ(Millipore,Inc.)を用いて、32.5g/Lあるいは65g/Lまで濃縮し、次いで、65g/Lでの1つの試料を、pH7.2にて、約7mS/cmの伝導度で、6℃で、5mM リン酸ナトリウム緩衝液に透析濾過した(緩衝液交換した)。4つの異なる試料を以下のように生産した。細胞培地流体(CCF)中の6.5g/L Ab Fでのもの、CCF中の32.5g/L Ab Fでのもの、CCF中の65g/L Ab Fでのもの、およびリン酸ナトリウム緩衝液中の65g/Lでのもの。塩化亜鉛およびPEG3350を、各々の試料に対する所望の収率を得るように、要求される濃度に添加した。実験条件を表5に示し、実験結果を表6に示す。
【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

実施例6
種々のIgG1分子の沈殿における種々の他の沈殿剤の効果を調査した。抗体Ab AあるいはAb Bのいずれかを発現する細胞培地を、種々の量のポリエチレングリコール、塩化亜鉛、エタノール、カプリル酸、あるいはリバロールのいずれかでインキュベートした。次いで、沈殿した抗体の量を、サイズ排除クロマトグラフィ(塩化亜鉛、エタノール、カプリル酸、およびリバロールに対して)によって、またはタンパク質A HPLCによって決定した。結果を表7に示す。
【0106】
【表7】

上のデータは、PEG、エタノール、および亜鉛の存在が、モノマー収率、ならびに細胞物質の除去(OD280により測定される)を増加させることを示唆している。データは、カプリル酸が、モノマー収率を除去するが、OD280に影響を及ぼさないことを示唆している。リバロールでは、いずれの物質も沈殿しなかった。
【0107】
実施例7
製造規模の用途に必要とされる沈殿剤の量を、10,000Lの成長室に基づいて決定することができる。表8は、提案された(1)沈殿に必要とされる、エタノール、塩化亜鉛、およびPEGの濃度および量、(2)沈殿剤により添加された追加の容量、(3)沈殿剤と関連する有害性、(4)さらなる下流処理に必要とされる除去問題、ならびに(5)沈殿剤の特別な処分要求、を列挙する。
【0108】
【表8】

実施例8
1つ以上の沈殿剤を利用する効果を、pH7.0で、Ab C抗体を含有する組成物において調査した。0.5% PEG、1% PEG、2% PEG、あるいは4% PEGのいずれか、および2.5mM ZnCl、5mM ZnCl、あるいは10mM ZnClのいずれかを含有するように、組成物を調節した。結果を表9に示す。
【0109】
以下のように、PEGおよびZnClの両方の添加は、単にPEGまたはZnClのみよりも著しく高い沈殿効果を提供した。沈殿効果の増加はまた、PEGまたはZnClの相加効果よりも大きかった。したがって、PEGおよびZnClは、合わせて使用する場合、生成物の回収率において相乗効果を示す。
【0110】
実施例9
1つ以上の沈殿剤を利用する効果を、pH8.0で、Ab C抗体を含有する組成物において調査した。0.5% PEG、1% PEG、2% PEG、あるいは4% PEGのいずれか、および2.5mM ZnCl、5mM ZnCl、あるいは10mM ZnClのいずれかを含有するように、組成物を調節した。結果を図10に示す。
【0111】
以下のように、PEGおよびZnClの両方の添加は、単にPEGまたはZnClのみよりも著しく高い沈殿効果を提供した。沈殿効果の増加はまた、PEGまたはZnClの相加効果よりも大きかった。したがって、PEGおよびZnClは、合わせて使用する場合、生成物の回収率において相乗効果を示す。
【0112】
実施例10
1つ以上の沈殿剤を利用する効果を、pH9.0で、Ab C抗体を含有する組成物において調査した。0.5% PEG、1% PEG、2% PEG、あるいは4% PEGのいずれか、および2.5mM ZnCl、5mM ZnCl、あるいは10mM ZnClのいずれかを含有するように、組成物を調節した。結果を図11に示す。
【0113】
以下のように、PEGおよびZnClの両方の添加は、単にPEGまたはZnClのみよりも著しく高い沈殿効果を提供した。この相乗的な沈殿効果はまた、PEGおよびZnClを伴う、期待された相加効果よりも大きかった。
【0114】
実施例11
種々の他の抗体の沈殿における、PEG、ZnCl、および両方の組み合わせの効果を調査した。4つの異なる抗体:2つのIgG1抗体、および2つのIgG4抗体を試験した。生成物の回収率の結果を表9に表す。
【0115】
【表9】

表9のデータは、PEGとZnClとの組み合わせが、種々の種類およびクラスの抗体の沈殿における相加効果よりも大きいことを示す。例えば、抗体Ab Cを含む組成物に5% PEG(4%)および10mM ZnCl(35%)を添加する際の期待された相加効果は、39%であった。しかしながら、抗体Ab Cの91.1%が沈殿するため、相乗効果が、観察される。
【0116】
実施例12
Nutsche濾過で捕捉し、沈殿物を洗浄することにより、濃縮後、Ab Fの沈殿を行った。
【0117】
Ab Fの収集した細胞培地流体(HCCF)(HCCFの初期濃度6.7g Ab F/L)を、2〜8℃で、2Mトリス塩基を用いて、pH7.2に調節した。HCCFを、PELLICON−2(登録商標)50キロダルトン(kDa)カートリッジ(Millipore,Inc.)を用いて、67g/Lまで濃縮し、次いで、試料を、pH7.2にて、5mM リン酸ナトリウム緩衝液に透析濾過した(緩衝液交換した)(注:濃縮は、様々な精密濾過/限外濾過膜およびフィルタもしくは方法、例えば、遠心力緩衝液交換または撹拌細胞等の他の濃縮方法を用いて、達成され得る)。激しく撹拌しながら、pH3.0で、250mM 塩化亜鉛を含有する原液を、最終濃度が2.5mMになるように、濃縮した試料に単回ボーラスで添加した。塩化亜鉛を添加した後、30% PEG3350および100mM イミダゾールを、最終濃度が1.5% PEG3350および10mM イミダゾールになるように、該撹拌試料に単一ボーラスで直ちに添加した。得られた沈殿物を、30分間撹拌した。次いで、珪藻土(CELPURE(登録商標)1000)を、最終濃度が60g/L(w/v)になるように、撹拌沈殿物に添加し、一定の流速で、デッドエンドNutsche(加圧された)フィルタに供給した。フィルタ圧が30psiに達する場合、沈殿ケーキを形成した。その後に、水を含む、少なくとも3当量の一連の溶液で、濾過ケーキを洗浄した。次いで、得られた沈殿ケーキを、pH5.0で、40mM EDTA、60mM 酢酸塩で再可溶化した。注:沈殿試料は、pH7.2で、100mM EDTA;pH5.0で、100mM 酢酸塩;pH5.0で、2.5mM EDTAおよび60mM 酢酸塩;pH8.0で、250mM トリスを含む、溶液の範囲で、再可溶化することができる。次いで、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、SDS−PAGEおよびゲルチップSDS−PAGE、宿主細胞タンパク質、ならびにDNA含有量によって、再可溶化された試料を、純度に関してアッセイした。
【0118】
その後、再可溶化されたmAbを、2つのクロマトグラフの工程:アニオン交換クロマトグラフィ、および疎水性交換クロマトグラフィを通して精製した。SEC、宿主細胞タンパク質、およびDNA含有量によって、各々の得られた溶出液を、アッセイした。結果を図12〜14に示す。
【0119】
実施例13
捕捉および洗浄、ならびに沈降およびサイホニングによって、濃縮後、Ab Fの沈殿を、実行した。
【0120】
Ab Fの収集した細胞培地流体(HCCF)(HCCFの初期濃度6.7g Ab F/L)を、2〜8℃で、2Mトリス塩基を用いて、pH7.2に調節した。HCCFを、PELLICON−2(登録商標)50キロダルトン(kDa)カートリッジ(Millipore,Inc.)を用いて、67g/Lまで濃縮し、次いで、試料を、pH7.2にて、5mM リン酸ナトリウム緩衝液に透析濾過した(緩衝液交換した)。(注:濃縮は、様々な精密濾過/限外濾過膜およびフィルタもしくは方法、例えば、遠心力緩衝液交換または撹拌細胞等の他の濃縮方法を用いて、達成され得る)。35mM 塩化亜鉛を、最終濃度が2.5mMになるように、濃縮した試料と混合した。塩化亜鉛を添加した後、11% PEG3350および200mM イミダゾールを、最終濃度が1.5% PEG3350および10mM イミダゾールになるように、該試料に添加した。得られた沈殿物を、30分間撹拌した。沈殿物を、2時間沈降させ、上清を吸引によって除去した。沈殿ケーキを、水を含む、少なくとも2当量のいくつかの溶液を用いて、元の容量に沈殿物を再懸濁することによって洗浄し、各々の沈殿物を洗浄する間の2時間、沈殿物を沈降させた。次いで、得られた沈殿ケーキを、pH5.0で、40mM EDTA、60mM 酢酸塩で再可溶化した。次いで、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、SDS−PAGEおよびゲルチップSDS−PAGE、宿主細胞タンパク質、ならびにDNA含有量によって、再可溶化された試料を、純度に関してアッセイした。結果を表10に示す。
【0121】
【表10】

実施例14
PEG3350およびZnClによるAb Fの沈殿を、低分子量の不純物を除去するために実行した。
【0122】
Ab Fの収集した細胞培地流体(HCCF)(HCCFの初期濃度6.7g Ab F/L)を、2〜8℃で、2Mトリス塩基を用いて、pH7.2に調節した。HCCFを、PELLICON−2(登録商標)50キロダルトン(kDa)カートリッジ(Millipore,Inc.)を用いて、67g/Lまで濃縮し、次いで、試料を、pH7.2にて、5mM リン酸ナトリウム緩衝液に透析濾過した(緩衝液交換した)(注:濃縮は、50kDa MWCO PELLICON−2(登録商標)を含む、様々な限外濾過膜を用いて、または遠心力緩衝液交換もしくは撹拌細胞を含む他の方法によって、達成され得る)。激しく撹拌しながら、pH3.0で、250mM 塩化亜鉛を含有する原液を、最終濃度が2.5mMになるように、濃縮した試料に単回ボーラスで添加した。塩化亜鉛を添加した後、30% PEG3350および100mM イミダゾールを、最終濃度が1.5% PEG3350および10mM イミダゾールになるように、該撹拌試料に単回ボーラスで直ちに添加した。得られた沈殿物を、30分間撹拌し、試料採取し、再可溶化し、SECによってアッセイし、低分子量の不純物含有量(LMW)を決定した。イミダゾールの存在下で、ZnClおよびPEG3350による沈殿は、ほぼゼロまでLMW不純物レベルを低減させることが見出され、イミダゾールの非存在下で、PEGおよびZnClによる沈殿は、低分子量の不純物のレベルを約16%〜約6%まで低減させることが見出された。結果を図15に示す。
【0123】
本発明は、記載される特定の実施形態によって範囲内に限定されるものではなく、それは、本発明の個々の態様の単なる説明として意図され、機能的に同等である任意の組成物または方法は、本発明の範囲内である。実際には、本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の種々の修正は、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかであろう。このような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図する。
【0124】
本明細書において言及する、全ての刊行物および特許出願は、各々の個々の刊行物または特許出願が、具体的かつ個別に参照することによって援用されるように示された場合と同じ程度に、本明細書中に参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含有する組成物中の生体高分子を単離する方法であって、
(a)前記組成物にポリアルキレングリコールを添加する工程と、
(b)前記組成物に遷移金属を添加する工程と、
(c)前記不純物から前記生体高分子を分離する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記ポリアルキレングリコールは、ポリペンチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリエチレングリコールは、1,000Da〜20,000Daの分子量を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエチレングリコールは、2,000Da〜15,000Daの分子量を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアルキレングリコールを添加する工程は、約0.5%〜約30%(w/v)のポリアルキレングリコール濃度を有する組成物をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリアルキレングリコールを添加する工程は、約2.0%〜約10%(w/v)のポリアルキレングリコール濃度を有する組成物をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記遷移金属は、亜鉛、ニッケル、銅、コバルト、またはマンガンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記遷移金属は、亜鉛である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記遷移金属を添加する工程は、約1mM〜約50mMの遷移金属濃度を有する組成物をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記遷移金属を添加する工程は、約2.5mM〜約15mMの遷移金属濃度を有する組成物をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記(c)の分離する工程は、前記組成物を濾過することによって行われ、前記濾過する工程が、透過流れおよび固体流れを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記濾過する工程は、デッドエンドフィルタによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生体高分子は、実質的に前記固体流れに存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記(c)の分離する工程は、前記組成物を遠心分離に供することによって行われ、前記遠心分離が、上清および沈渣を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記生体高分子は、実質的に前記沈渣に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記生体高分子は、タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記タンパク質は、可溶性タンパク質である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記タンパク質は、抗体である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物は、真核細胞物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記不純物は、タンパク質、脂質、核酸、リボ核酸、成長培地、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の添加が、前記生体高分子の回収を、3%を超えて増加させる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリアルキレングリコールおよび遷移金属の添加が、前記生体高分子の回収を、10%を超えて増加させる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記(c)の分離する工程が、前記組成物を濾過することによって行われ、前記濾過する工程が膜間圧をもたらし、前記膜間圧が、前記濾過する工程の間、実質的に一定のままである、請求項1〜14および17〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
(a)前記ポリアルキレングリコールは、1,000Da〜20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコールであり、
(b)前記遷移金属は、亜鉛であり、
(c)前記分離する工程は、前記溶液中の前記生体高分子を沈殿させ、その後、前記沈殿物を分離するように前記組成物を遠心分離にかけることによって行われ、
(d)前記生体高分子は、抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
(a)前記ポリアルキレングリコールは、1,000Da〜20,000Daの分子量を有するポリエチレングリコールであり、
(b)前記遷移金属は、亜鉛であり、
(c)前記分離工程は、前記溶液中の前記生体高分子を沈殿させ、その後、前記沈殿物を分離するように前記組成物を濾過することによって行われ、
(d)前記生体高分子は、抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリアルキレングリコールおよび前記遷移金属の添加は、前記生体高分子の沈殿への相乗効果を有する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記生体高分子の沈殿物を形成し、その後、洗浄する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記沈殿物を、水で洗浄する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記沈殿物を、約0.5mM〜約5mMの濃度で、ZnClを含む溶液で洗浄する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記沈殿物を、約0.1%〜約2.5%の濃度で、ポリアルキレングリコールを含む溶液で洗浄する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記生体高分子の単離のための、以下からなる群から選択される化合物の使用をさらに含む、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法
a)イミダゾール、
b)グリシン、
c)トリプトファン、
d)システイン、
e)ヒスチジン、
f)ヒスタミン、および
g)塩化アンモニウム。
【請求項33】
前記化合物は、イミダゾールである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ポリアルキレングリコールは、約0.5%〜約5%(w/v)の範囲内の濃度で、前記生体高分子の単離のために使用される、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
ポリアルキレングリコールは、以下からなる群から選択される濃度(w/v)で、前記生体高分子の単離のために使用される、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法
a)約0.5%、
b)約1%、
c)約1.5%、
d)約2%、
e)約2.5%、
f)約3%、
g)約3.5%、
h)約4%、
i)約4.5%、および
j)約5%。
【請求項36】
遷移金属は、約0.5mM〜約5mMの範囲内の濃度で、前記生体高分子の単離のために使用される、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
遷移金属は、以下からなる群から選択される濃度で、前記生体高分子の単離のために使用される、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法
a)約0.5mM、
b)約1mM、
c)約1.5mM、
d)約2mM、
e)約2.5mM、
f)約3mM、
g)約3.5mM、
h)約4mM、
i)約4.5mM、および
j)約5mM。
【請求項38】
前記ポリアルキレングリコールを、前記組成物に添加して、約1.5%(w/v)の濃度のポリアルキレングリコールをもたらし、前記遷移金属を、前記組成物に添加して、約2.5mMの濃度の遷移金属をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記生体高分子は、ポリアルキレングリコールまたは遷移金属を添加する前に、濃縮される、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記生体高分子は、ポリアルキレングリコールおよび遷移金属を添加する前に、濃縮される、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記添加前濃縮は、前記生体高分子の単離に必要とされるポリアルキレングリコールまたは遷移金属の量を、約2〜約40倍減少させる、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記添加前濃縮は、前記生体高分子の単離に必要とされるポリアルキレングリコールまたは遷移金属の量を、以下からなる群から選択される因数分減少させる、請求項39または40に記載の方法
a)約2倍、
b)約3倍、
c)約4倍、
d)約5倍、
e)約10倍、
f)約15倍、
g)約20倍、
h)約25倍、
i)約30倍、
j)約35倍、および
k)約40倍。
【請求項43】
前記生体高分子は、沈殿前、または沈殿および洗浄前の前記生体高分子の比活性と比較して、約50%〜約100%の生物活性を保持する、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記生体高分子は、沈殿前、または沈殿および洗浄前の前記生体高分子の比活性と比較して、以下からなる群から選択される値の生物活性を保持する、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法
a)約50%、
b)約60%、
c)約70%、
d)約80%、
e)約90%、
f)約95%、および
g)約100%。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−518156(P2011−518156A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505029(P2011−505029)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/002390
【国際公開番号】WO2009/128935
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】