説明

ポリアルケニルスルホン酸の過塩基化方法

【課題】ポリアルケニルスルホン酸の改良された製造方法を提供する。
【解決手段】ポリアルケニルスルホン酸を過塩基化する方法であって、促進剤として水を使用して、ポリアルケニルスルホン酸をアルカリ土類金属の塩基性塩で過塩基化することからなる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スルホネートは、家庭や工場、研究所の洗浄の用途、身辺の手入れ品および農業生産物、金属工作液、工業プロセス、乳化剤、腐食防止剤に、並びに潤滑油の添加剤として使用される化学薬品の一部類である。潤滑油用途に使用されるスルホネートの幾つかの望ましい性状としては、低価格、混合性、水分許容性(耐水性)、腐食防止性、乳化性能、摩擦
特性、高温安定性、さび性能および淡色性を挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
潤滑油用途に使用されるスルホネートは、中性の低過塩基性(LOB)スルホネート、あるいは高過塩基性(HOB)スルホネートのいずれかに分類されている。
【0003】
過去においては、天然スルホネートと呼ばれる潤滑油スルホネートは、ホワイト油およびプロセス油製造の副生物として製造されていた。近年になって、原料利用の拡大およびそれによる経済性改善の要望があり、アルキル芳香族供給原料から誘導された合成スルホネートの使用が増加してきている。不運にも、合成スルホネートは天然スルホネートに比べて性能特性が劣っていて、よって、天然スルホネートにより近い性能特性を備えた経済的に存立しうるスルホネートの探求は、継続中の研究領域である。
【0004】
ポリアルケニルスルホネートは、潤滑油用途において望ましい性能特性を有するスルホネートの一部類である。最もよく用いられているスルホン化技術の一つは、三酸化硫黄SO3と空気の混合物(SO3/空気)を利用する。ポリアルケニルスルホン酸の製造は最も経済的には、気液反応でポリアルケンをSO3ガスでスルホン化することにより遂行され
る。ポリアルケンが気液反応で三酸化硫黄(SO3)と反応するとき、所望とするポリア
ルケニルスルホン酸の質および量を低下させる望ましくない副反応が生じる。次の三つの基本的な副反応が最も優勢に生じる:(1)ポリアルケニルスルホン酸の分解、(2)スルトン分子の生成、および(3)分解反応による低分子量ポリアルケニルスルホン酸の生成。ポリアルケニルスルホン酸の分解は、所望のポリアルケニルスルホン酸の収率を下げ、それにつれてスルトンの生成が起こる。ポリアルケニルスルホン酸分子の分解は結果として、望ましくない短鎖スルホン酸をもたらす。上述した用途に使用できるスルホネートを製造するために、通常、スルホン酸は過塩基化されるが、低収率のスルホン酸はスルホネート生成物の収率も低下させる結果となる。
【0005】
特許文献1には、20モルパーセントより多いアルキルビニリデンと1,1−ジアルキル異性体を含むポリアルケンの混合物から、ポリアルケニルスルホン酸を誘導するポリアルケニルスルホネートの製造方法、およびその製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献2には、非発泡性清浄分散添加剤、およびそのような添加剤をアルカリ土類金属のアルカリールスルホネートから製造する方法が開示されている。
【0007】
特許文献3には、スルホン酸を塩基性水酸化物又は酸化物の水/希釈剤混合分散液に添加して反応混合物を形成することにより、スルホネートを製造する方法が開示されている。反応混合物の塩基度を維持するために、スルホン酸は反応中の段階で添加される。
【0008】
特許文献4には、数平均分子量が約250〜500のプロペン又はブテン重合体とガス状の三酸化硫黄を、落下フィルム式又は静的反応器内で反応させることにより、アルケニルスルホネートを製造する方法が開示されている。中和生成物中のスルトン含量を低減してスルホネートを増加させるために、スルホン化生成物のアンモニアまたは水酸化ナトリ
ウムによる二段階中和を使用している。
【0009】
特許文献5には、80モルパーセント以上の末端ビニリデン基を含み、平均分子量が500乃至5000ダルトンである高反応性ポリイソブテンを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6410491号明細書、ハリソン、外
【特許文献2】米国特許第4764295号明細書、ルコアン、外
【特許文献3】米国特許第5789615号明細書、アルコック、外
【特許文献4】米国特許第3954849号明細書、カール、外
【特許文献5】米国特許第5408018号明細書、ラス 上記関連文献の米国特許第6410491号明細書(ハリソン、外)、米国特許第4764295号明細書(ルコアン、外)、米国特許第5789615号明細書(アルコック、外)、米国特許第3954849号明細書(カール、外)、および米国特許第5408018号明細書(ラス)のそれぞれに記載されている内容は、参照事項として本明細書の記載とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ポリアルケン−三酸化硫黄の気液反応でポリアルケニルスルホン酸を製造する改良された方法であって、ポリアルケンスルホン酸の分解反応やスルトンおよび分解生成物の生成を減少させて、ポリアルケニルスルホン酸生成物を安定化させる方法が、今回見いだされた。
【0012】
本発明は、ポリアルケニルスルホン酸および対応する過塩基性スルホネートの改良された製造方法を提供するものである。この改良方法は、ポリアルケニルスルホン酸を安定化してスルトン生成量および分解反応を減少させることにより、長鎖ポリアルケニルスルホン酸の収率を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、一つの観点では、本発明は、安定化ポリアルケニルスルホン酸を製造する方法であって、下記の工程からなる方法に関する:
(a)第一反応容器内でポリアルケンをSO3と反応させる工程、そして
(b)工程(a)の生成物が第一反応容器を出て、更なる反応または保存のための第二容器に入る前またはそれと同時に、工程(a)の生成物を中和剤で中和することにより安定化する、ただし、中和はアンモニアまたは水酸化ナトリウムの不在下で生じさせる。中和剤はアルカリ土類金属水酸化物であることが好ましい。
【0014】
別の観点では、本発明は、促進剤として水を使用して、ポルアルケニルスルホン酸をアルカリ土類金属で過塩基化する方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
この改良方法の利点は、ポリアルケニルスルホン酸から製造して得られるスルホネートの量の増加とともに、低分子量スルホン酸を生成させる分解反応の低減、およびスルトン生成の低減にある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】550MW PIBのSO3/空気スルホン化により製造した安定化前のPIBスルホン酸について、40℃(104°F)で保存したときの時間の関数として、シクロヘキシルアミン滴定法により決定したスルホネートとしての%Caレベルおよび%硫酸レベルを示す。
【図2】40℃(104°F)および60℃(140°F)で保存した安定化前のPIBスルホン酸の、ハイアミン滴定法により決定した%Caスルホネートを示す。
【図3】SO3/空気スルホン化により製造した後PIBスルホン酸を(石灰スラリーでの)中和により安定化したPIBスルホン酸について、40℃(104°F)および60℃(140°F)で保存したときの時間の関数として、(ハイアミン滴定法により決定した)%Caスルホネートを示す。
【図4】SO3/空気スルホン化により製造した安定化前の550MWポリイソブテンスルホン酸の陰イオン電子噴霧質量スペクトル(ESMS)を示す。
【図5】石灰の油スラリーで中和して安定化した550MW PIBスルホン酸の陰イオン電子噴霧質量スペクトル(ESMS)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[定義]
以下の用語は、特に断わらない限りは以下の意味を有する。
【0018】
「PIB」−特に断わらない限りは、数平均分子量が約300乃至約1000のポリイ
ソブテン。
【0019】
「スルホネートとしての%Ca」は、シクロヘキシルアミン滴定と呼ばれる分析技術を用いた滴定により決定される。
【0020】
「%スルホン酸」は、シクロヘキシルアミン滴定と呼ばれる分析技術を用いた滴定により決定される。
【0021】
「%Caスルホネート」は、ハイアミン滴定と呼ばれる分析技術を用いた滴定により決定される。
【0022】
「%ハイアミン活性度」または「%ハイアミン活性技法(HAT)」は、ハイアミン滴定と呼ばれる分析技術を用いた滴定により決定される。
【0023】
「低過塩基性」−約0乃至約100のTBN。
「中過塩基性」−約101乃至約250のTBN。
「高過塩基性」−約251乃至約400のTBN。
「超高過塩基性」−約400より大きいTBN。
【0024】
「TBN」は、分析的滴定測定値であり、全塩基価を意味し、そして滴定される試料グラム当りのKOHのミリ当量に等しい。
【0025】
「アルキルビニリデン異性体」は、下記構造式を意味する。ただし、R1およびR2はアルキル基である:
【0026】
【化1】

【0027】
「メチルビニリデン異性体」は、R1またはR2がメチルである上記の構造を意味する。
【0028】
「1,1−ジアルキル異性体」は、下記構造式を意味する。ただし、R3、R4およびR5はアルキル基である:
【0029】
【化2】

【0030】
「1,1−ジメチル異性体」は、R4およびR5がメチルである上記の構造を意味する。
【0031】
「中和度」は、酸のモル数で割った中和剤のモル当量数を100倍した値を意味する。
【0032】
[スルホン化]
本発明のポリアルケニルスルホン酸生成物は、時間と温度による分解に対して安定であ
り、そして通常SO3/空気スルホン化の過程で生成する少量のスルトンと少量の分解生
成物も含んでいる。一般に、本発明の生成物は、ポリアルケニルスルホン酸、硫酸、回収ポリアルケン、スルトンおよび三酸化硫黄の混合物である。混合物は、ポリアルケニルスルホン酸の低分子量の分解生成物も含んでいる。本発明によれば、スルトンと分解生成物の低減は、ポリアルケンとSO3反応の反応生成物が第一反応容器を出て、更なる反応ま
たは保存のために使用する第二容器に入る前もしくはそれと同時に(あるいは並行して)生成物を中和して安定化することによって達成することができる。ポリアルケニルスルホン酸の製造方法では、下記の工程のうちの少なくとも一つを追加して用いることができる:最適スルホン化条件を使用すること、ポリアルケン供給原料を希釈すること、およびポリアルケン供給原料にカルボン酸を添加すること。
【0033】
本発明において、一般的にはC2〜C6オレフィンから誘導され、好ましくはポリイソブテン(PIB)であるポリアルケンは、三酸化硫黄との反応に使用される出発物質である。反応は、連続法(例えば、落下フィルム式反応器)およびバッチ法のどちらでも起きる気液反応である。ポリアルケンと三酸化硫黄の反応は、よく知られたやり方で実施することができる。好ましくは、ポリアルケンと三酸化硫黄との反応は、アルキルビニリデンと1,1−ジアルキル異性体を20モルパーセントより多く含むポリアルケンの混合物を、次のうちの一つの原料と反応させることにより遂行する:三酸化硫黄と空気、水和三酸化硫黄、三酸化硫黄アミン錯体、三酸化硫黄エーテル錯体、三酸化硫黄リン酸エステル錯体、アセチル硫酸エステル、三酸化硫黄と酢酸の混合物、スルファミド酸、アルキル硫酸エステルまたはクロロスルホン酸。ポリアルケンの混合物は、一般に、数平均分子量が約300乃至約1000、好ましくは約300乃至約750、より好ましくは約350乃至約600、そして更に好ましくは約350乃至約550であるポリイソブテンを含む。最も好ましいのは、メチルビニリデン含量が20%より多い、好ましくは50%より多い、より好ましくは70%より多く、そして数平均分子量が好ましくは約350乃至約600、更に好ましくは約350乃至約550であるポリイソブテンである。
【0034】
1995年4月18日発行の米国特許第5408018号(ラス)には、末端ビニリデン基を80モルパーセントより多く含むポリイソブテンの好適な製造方法が記載されていて、その内容の全ておよび添付の参考文献も参照として本明細書の記載とする。
【0035】
好ましくはC2〜C6オレフィンから誘導され、ポリアルケニルスルホン酸を製造するのに使用されるポリアルケンは、一般に分子量が約300乃至約1000のポリアルケンの混合物である。ポリアルケンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテンおよびヘキセンなどの低級アルキレン単量体から誘導することが好ましい。より好ましくは、ポリアルケンはポリイソブテン(PIB)である。ポリイソブテンなどのポリアルケンまたはポリアルケンの混合物は、アルキルビニリデンと1,1−ジアルキル異性体を好ましくは20モルパーセントより多く、より好ましくは50モルパーセントより多く、そして最も好ましくは70モルパーセントより多く含む。好ましいアルキルビニリデン異性体はメチルビニリデン異性体であり、好ましい1,1−ジアルキル異性体は1,1−ジメチル異性体である。
【0036】
ポリイソブテニルスルホン酸又はスルホネートを製造するのに、アルキルビニリデンと1,1−ジアルキル異性体のモルパーセントが20モルパーセントより多いポリイソブテンを使用すると、得られた生成物の分子量分布は、分子量が56ダルトンのちょうど倍数で分離されたポリイソブテニルスルホン酸又はスルホネートを少なくとも80%有する。言い換えれば、スルホン酸又はスルホネートの分子量分布において20%以下のポリイソブテニルスルホン酸又はスルホネートは、4で均等に割れない総数の炭素原子を含んでいる。本発明の方法により製造されたポリイソブテニルスルホン酸は、56ダルトンのちょうど倍数で分離された分子量を有することが好ましい。
【0037】
ポリイソブテンなどのポリアルケンと三酸化硫黄との反応は、落下フィルム式反応器などの反応容器でもバッチ反応器でもどちらでも起こりうる。好ましいSO3源は、触媒上
で中間生成物SO2と空気との反応から得られる生成物である。落下フィルム式反応器内
で反応を起こすならば、ポリイソブテンは、ポリイソブテンが表面に薄膜として分布している容器内で、空気の存在下でSO3と反応する。このポリイソブテンの分布は、SO3との効率の良い接触および反応の熱の除去の両方を可能にする。バッチ反応器内で反応を起こすならば、ポリイソブテンは、反応温度を制御するのにSO3の添加速度がより重要で
ある容器内で、空気の存在下でSO3と反応する。好ましいSO3源は三酸化硫黄と空気の混合物である。
【0038】
本明細書で使用するとき、「ポリイソブテン」または「PIB」は、本発明に用いられるポリアルケンの一例として使用される。
【0039】
本発明の一態様では、数平均分子量が約300乃至約1000のポリアルケン、好ましくはポリイソブテン、を反応条件下で三酸化硫黄源と反応させる。PIBスルホン酸、硫酸、回収PIB、低分子量PIBスルホン酸、スルトンおよび三酸化硫黄の混合物を含む反応溶出液は、周囲温度であっても反応し続ける。スルホン酸の量は減少し、ガンマとデルタ異性体の混合物からなるスルトンの量が増加する。
【0040】
PIBとSO3の反応は、PIBスルホン酸、PIBスルトンおよび回収PIBを含む
混合物を生成させる。PIBスルホン酸は、下記の構造を有する(ただし、Rはポリブテン尾である):
【0041】
【化3】

【0042】
この生成物は、1H及び13C NMR分光法により同定することができる。PIBスルホン酸(CDCl3に溶解)の化学シフトは、次のようにして帰属される:1H NMR、
5.58ppm(一重項、1H、ビニルプロトンHA)、3.71ppm(一重項、2H
、SO3H基に対する炭素原子C1アルファ上のプロトン)、1.94ppm(一重項、3H、炭素原子C4上のメチルプロトン);13C NMR、120.0ppm(オレフィン炭素C2)、147.1ppm(オレフィン炭素C3)、63.8ppm(SO3H基に対す
る炭素C1アルファ)。異なる構造を持つ他のPIBスルホン酸も少量で混合物中に存在
しうる。
【0043】
PIBスルホン酸の分子量分布は、陰イオン電子噴霧イオン化質量分光測定など任意の好適な技術により、都合良く決定することができる。
【0044】
PIBとSO3の反応生成物では、二種類のPIBスルトンが同定されている。これら
は、下記の構造を有するガンマスルトンとデルタスルトンである:
【0045】
【化4】

【0046】
これらの生成物は、1H及び13C NMR分光法により同定することができる。ガンマスルトンの化学シフトは、次のように帰属できる:1H NMR、4.40ppm(多重項、1H、HA)、1.60ppm(多重項、2H、C4上のプロトン);13C NMR、8
4.18ppm(O原子に隣接する炭素C3)、63.21ppm(SO2基に隣接する炭素C1)。デルタスルトンの化学シフトは、次のように帰属できる:1H NMR、4.
50ppm(1H、三重項、J=3.9Hz、HB)、3.00及び2.90ppm(2
H、多重項、SO2基に隣接する炭素C5上のプロトン)、2.28ppm(1H、多重項、炭素C6上のHCプロトン)。13C NMR、90.04ppm(酸素原子に隣接する炭
素C8)、50.82ppm(SO2基に隣接する炭素C5)。他のPIBスルホン酸も少
量で混合物中に存在しうる。
【0047】
PIBスルホン酸混合物中のPIBスルホン酸、PIBスルトンおよび回収PIBの相対的な量は、PIBのSO3によるスルホン化過程で使用される反応条件に依存する。重
要な反応操作パラメータとしては、供給温度、SO3/PIB CMR、流速、滞留時間と空間速度、反応器温度、供給物の粘度、薄膜の厚み、希釈剤の量、およびカルボン酸など添加される調節剤の有無を挙げることができる。
【0048】
驚くべきことに、PIBスルホン酸は、アルキルベンゼンスルホン酸のような他のスルホン酸よりも温度に敏感であることが分かった。高温ではPIBスルホン酸は反応して回収PIBと硫酸を生成させ、分解して低分子量PIBスルホン酸になり、また転位してPIBスルトンになる。混合物中のPIBスルホン酸の総収率を上げるためには、上記に列挙した重要な反応操作パラメータを最適化することが重要である。
【0049】
生成物中のスルホン酸収率を上げてスルトンの量を減らすには、反応生成物が第一反応容器(すなわち、スルホン化反応器)を出て、更なる反応または保存に使用される第二容器に入る前もしくはそれと同時に、反応溶出液を中和剤を用いて安定化する。好適な中和剤としては、アルカリ土類金属水酸化物、および過塩基性清浄剤、例えば中過塩基性又は高過塩基性清浄剤を挙げることができる。好ましい中和剤はアルカリ土類金属水酸化物である。より好ましくは、中和剤は水酸化カルシウムである。PIBスルホン酸が中和されなければそのときは、PIBスルホン酸、硫酸、回収PIB、スルトンおよび三酸化硫黄の混合物を含む反応溶出液は、反応し続け、結果としてスルトンおよびポリイソブテンスルホン酸の分解が増加することになる。生成物が落下フィルム反応器を離れた時に生成物を中和することは、スルホン酸の分解を防ぎ、スルトンの生成を防ぐことによって生成物の質を著しく向上させる。得られた生成物は一般に、スルトンを10%以下で含み、そして生成物に含まれるPIBスルホン酸分解物の比率は20%以下である。反応生成物を中和により安定化して、約30%乃至約150%、好ましくは約60%乃至約100%、最
も好ましくは約70%乃至約90%の中和を形成する。中和は、20℃から150℃の間の温度、好ましくは50℃乃至110℃の温度、最も好ましくは60℃乃至90℃の温度で行うことができる。PIBスルホン酸が第一反応器を離れた時から中和により安定化される時までの時間は、2秒から1時間の間であるべきで、好ましくは10秒から10分の間である。中和反応自体は、10分乃至10時間、好ましくは30分乃至7時間、最も好ましくは45分乃至5時間の時間で行うべきである。
【0050】
スルホン酸および/または部分又は完全中和により安定化したスルホン酸を同定するのに、二種類の滴定法が使用される:(1)シクロヘキシルアミン滴定法、および(2)ハイアミン滴定法。シクロヘキシルアミン滴定法は、ジャーナル・オブ・アメリカン・オイル・ケミスト・ソサエティ(Journal of American Oil Chemist Society)第55巻、p.
359(1978年)、S.山口著に報告されているように、パーセント硫酸、パーセントスルホン酸、スルホネートとしてのパーセントCa、およびスルホン酸試料の酸価を測定する電位差滴定法である(ASTM D 4711法)。ハイアミン滴定法は、パーセントCaスルホネート、およびパーセントハイアミン活性度又はHAT(ハイアミン活性技法)を決定する比色法であり、後者は%Caスルホネートから算出され、スルホン酸および部分又は完全中和したスルホン酸試料の両方で、シクロヘキシルアミン滴定法から求めた%スルホン酸値と同等である(ASTM D 3049法)。シクロヘキシルアミン滴定法は、スルホン酸の分子量に関係なく試料中に存在する全てのスルホン酸を測定する。ハイアミン法は、高分子量(C10+アルキル芳香族とC14+アルファスルホン酸又はスルホネート)のスルホン酸もしくは部分中和又は完全中和スルホネート試料だけを測定する。
【0051】
図1は、550MW PIBのSO3/空気スルホン化により製造した未処理のPIBスルホン酸について、40℃(104°F)で保存したときの時間の関数として、シクロヘキシルアミン滴定法により決定したスルホネートとしての%Caレベルおよび%硫酸レベルを示す。図1のデータは、二つの試料の平均である。試料は熱安定性研究を開始するまで室温で保存した。その後、試料をオーブン内で温度を維持し、ほぼ4週間の間ほぼ3日毎に滴定を行った。ポリイソブテンスルホン酸のスルホネートとしての%Caは時間がたつにつれて減少し、また%硫酸含量は数週間に渡って増加することが認められる。
【0052】
図2は、40℃(104°F)および60℃(140°F)で保存した安定化前のPIBスルホン酸の、ハイアミン滴定法により決定した%Caスルホネートの比較を示す。試料は熱安定性研究を開始するまで室温で保存した。その後、試料をオーブン内で温度を維持し、約5週間の間ほぼ3日毎に滴定を行った。図2のデータは、各温度で二つの試料の平均である。40℃のデータは、550MW PIBスルホン酸のものであり、60℃の
データは、450MW PIBスルホン酸のものである。これら両方の安定化前のPIB
スルホン酸では、%Caスルホネートは1週間以内に急激に減少し、その後はほぼ一定のままであることが認められる。
【0053】
図1及び2のデータは、SO3/空気スルホン化から誘導したポリイソブテンスルホン
酸が熱的に安定ではなく、中温(40℃と60℃)で保存したときに所望のPIBスルホン酸の量が減少することを示している。
【0054】
対照的に、図3は、SO3/空気スルホン化により製造した後PIBスルホン酸を(石
灰スラリーでの)中和により安定化したPIBスルホン酸について、40℃(104°F)および60℃(140°F)で保存したときの時間の関数として、(ハイアミン滴定法により決定した)%Caスルホネートを示す。試料は熱安定性研究を開始するまで室温で保存した。その後、試料をオーブン内で温度を維持し、ほぼ7週間の間ほぼ3日毎に滴定を行った。図3に示したデータは、二つ以上の試料の平均であり、そして60℃のデータは安定化450MW PIBスルホン酸のものであり、40℃のデータは安定化550M
W PIBスルホン酸のものである。安定化PIBスルホン酸の%Caスルホネートは、
40℃でも60℃でも少なくとも21日間はほぼ一定のままであることが認められる。
【0055】
従って、図3は、PIBスルホン酸を中和により安定化しなかった場合と比較して、試料を中和により安定化した場合にはPIBスルホン酸の量がずっと安定であることを実証している(図1及び2参照)。
【0056】
三酸化硫黄/空気でのスルホン化により製造したPIBスルホン酸の試料を安定化しないならば、そのスルトンレベルは室温であっても保存中に増加するにちがいない。
【0057】
後述する実施例のSO3/空気スルホン化により製造した550MWポリイソブテンス
ルホン酸試料中のスルトンは、カラムクロマトグラフィーにより単離され、安定化前のPIBスルホン酸では22.0質量%存在することが分かった。550MWポリイソブテンスルホン酸を、SO3/空気スルホン化に続いて直ちに石灰の油スラリーで中和して安定
化したなら、クロマトグラフィーにより単離されたスルトンのレベルは11.7質量%であった。よって、本発明の別の利点は、SO3/空気スルホン化により製造してPIBス
ルホン酸の中和により安定化したポリイソブテンスルホン酸中に存在するスルトンの量の低減にあり、そのことは試料中のPIBスルホン酸の量を増加させる。
【0058】
本発明の別の観点は、分解生成物の量が減少した安定化ポリイソブテンスルホン酸生成物の製造方法にある。図4は、SO3/空気スルホン化により製造した安定化前の550
MWポリイソブテンスルホン酸の陰イオン電子噴霧質量スペクトル(ESMS)を示す。m/e190のピークはC8スルホン酸であり、m/e247のピークはC12スルホン酸
である。C8及びC12スルホン酸は分解反応の結果である。図5は、石灰の油スラリーで
中和して安定化した550MW PIBスルホン酸のESMSを示す。図5のPIBスル
ホン酸は、SO3/空気スルホン化により製造した。図4と図5を比較すると、中和によ
るPIBスルホン酸の安定化は結果的に、分解(フラグメンテーション、低分子化)反応により生成したC8及びC12PIBスルホン酸の量の減少をもたらす。
【0059】
表1に、SO3/空気スルホン化により製造し、石灰−油スラリーで中和して安定化し
た数種類の550MW PIBスルホン酸、および安定化前の550MW PIBスルホン酸のESMS分析により得られた結果をまとめて示す。表1は、中和度および中和の仕方(バッチまたはインライン)を変えてPIBスルホン酸を安定化したときの、試料中に存在するC8及びC12PIBスルホン酸の量に対する効果を示している。表1のデータは、
PIBスルホン酸を中和により安定化するためには完全中和は必要とせず、バッチ中和とインライン中和とでは差異が無いことを示している。
【0060】
表 1
安定化前と安定化した550MW PIBスルホン酸の
陰イオン電子噴霧質量スペクトル(ESMS)による分解物の比較
────────────────────────────────────
試料 中和度 中和の 質量%C8 質量%C12
(%) 仕方 PIBスルホン酸 PIBスルホン酸
────────────────────────────────────
1 0 無 12.0 4.7
2 36.4 インライン 1.1 1.2
3 58.3 バッチ 1.3 0.6
4 58.3 インライン 1.0 1.4
5 78.6 インライン 2.1 0.7
6 87.4 インライン 1.4 1.5
7 101.9 インライン 2.2 0.6
8 116.5 インライン 2.2 1.1
────────────────────────────────────
【0061】
本発明の別の態様は、安定化PIBスルホン酸、回収PIB、分解ポリイソブテン分子およびスルトンを含む反応生成物にある。PIBスルホン酸の分解の好ましい比率は15%以下である。ポリアルケンスルホン酸中のスルトンの好ましい比率は15%以下である。ポリアルケンスルホン酸中のスルトンのより好ましい比率は10%以下である。ポリアルケンスルホン酸中のスルトンの最も好ましい比率は5%以下である。
【0062】
本発明の別の態様は、分解が低減し、かつスルトン生成が減少したポリイソブテンスルホン酸の製造方法にある。反応容器内において、その方法は、数平均分子量が約300乃至約1000のポリイソブテンを三酸化硫黄源と反応させる前に、PIB供給原料を希釈剤で希釈することを含む。PIB供給原料に添加される希釈剤の量は、一般には30質量%までである。二種基油およびヘプタンなどの非芳香族溶媒は好適な希釈剤の例である。PIBを希釈することは生成物に対して二つの効果がある。第一に、PIBの希釈は出発物質の粘度を低減し(すなわち、PIBの粘性が低くなり)、そのことが落下フィルム式反応器に付着するPIB薄膜の質を向上させる。第二に、PIBの希釈は、PIBが三酸化硫黄と反応するときに発生する過剰の熱を吸収する冷却用放熱器として作用する。PIBスルホン酸の分解は温度の影響を受ける。分解の増加は、PIBが三酸化硫黄と反応するときのPIBの温度の増加による。しかしながら、反応器供給物を加熱することは粘度を最小にするために必要であり、それが順次反応器の内側の薄膜の質を向上させる。PIBを中性の低粘度希釈剤で希釈することが、薄膜の質を高め、反応器供給物の加熱の必要性を最小にし、それによってPIB分子分解が減少する。さらに、希釈剤は冷却用放熱器として作用するので、発熱反応により発生した過剰の熱は希釈剤によって吸収される。希釈剤を添加した後に、希釈したPIBを三酸化硫黄と反応させる。希釈したPIBと三酸化硫黄との反応生成物が第一反応容器を出て、更なる反応または保存に使用される第二容器に入る前もしくはそれと同時に(それと並行して)、反応生成物を中和剤を用いて安定化する。得られた生成物は一般に、PIBスルホネートの分解を15%に等しいか、それ以下で生じる。
【0063】
本発明の別の態様では、PIBとSO3を反応させる前に、低濃度のカルボン酸をPI
B供給原料に添加する。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、酪酸または安息香酸を好ましく挙げることができる。より好ましくは、カルボン酸は酢酸である。反応容器内で、低濃度の酢酸をPIB供給原料に添加するが、PIB供給原料は希釈剤で希釈してあってもしてなくてもよい。PIB供給原料の数平均分子量は、一般に約300乃至約1000である。酢酸は10質量%に等しいか、それ以下の量でPIB供給原料に加えることが好ましい。より好ましくは、5質量%に等しいかそれ以下の量でPIB供給原料に加える。最も好ましくは、3質量%に等しいかそれ以下の量でPIB供給原料に加える。次いで、酢酸を含むPIB供給原料からなる混合物を、前述したようにSO3源と反応させる。PIB
とSO3の反応生成物が第一反応容器を出たのち、更なる反応または保存に使用される第
二容器に入る前もしくはそれと同時に、反応生成物を中和剤で安定化する。得られた反応生成物のPIBスルホン酸分解は、一般にPIB供給原料の分子量に依存する。最大でも、安定化PIBスルホン酸の分解は一般に15%以下である。
【0064】
本発明の別の態様では、PIB供給原料の希釈およびカルボン酸、好ましくは酢酸の添加を、PIB供給原料とSO3の反応後の中和工程による安定化と組み合わせることがで
きる。従って、希釈剤で希釈したPIB供給原料にカルボン酸を添加し、次いでSO3
と反応させる。次に、反応生成物が第一反応容器を出た後、更なる反応または保存に使用される第二容器に入る前もしくはそれと同時に、生成物を水酸化カルシウムなどの中和剤
で安定化する、それにより少量のスルトンを含み、安定化PIBスルホン酸の分解が低減した生成物が生成する。
【0065】
本発明の別の態様では、上述した方法により生成物を製造することができる。
【0066】
[過塩基化]
本発明の別の態様では、本発明の方法により製造した安定化ポリアルケニルスルホン酸を更に過塩基化操作によって処理して、過塩基性スルホネートを生成させることができる。過塩基性物質の特徴は、過塩基化対象のスルホネート中に金属カチオンの化学量論に従って存在するであろう金属含量よりも多い金属含量にある。よって、アルカリ土類金属化合物(またはアルカリ土類金属の塩基性塩)を用いて、より好ましくはカルシウム化合物を用いて、最も好ましくは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を用いて中和するとき、
モノスルホン酸は、各当量の酸に対して1当量のカルシウムを含む標準のスルホネートを生成させる。言い換えれば、標準の金属スルホネートは、各2モルのモノスルホン酸に対して1モルのカルシウムを含むことになる。
【0067】
過塩基性の量は、全塩基価(「TBN」)として表すことができ、1グラムのスルホネート中の1ミリグラムのKOHと等価な塩基の量を意味する。よって、TBN価が高いほど生成物のアルカリ性が強く、従って保有するアルカリ度が高いことを反映している。組成物のTBNは、ASTM試験法D2896または他の同等の方法により容易に決定される。本発明の好ましい過塩基性ポリアルケニルスルホネートは、比較的低いTBN、すなわち約0乃至約100のTBNを示す。
【0068】
比較的低いTBNのスルホネートの過塩基化操作については、米国特許第4764295号(ルコアン)及び米国特許第5789615号(アルコック、外)に記載されていて、その内容も参照として本明細書の記載とする。公知の低過塩基性(LOB)スルホネートの過塩基化技術では一般に、2−エチルヘキサノールまたはトルエンなどの溶媒の存在下で、CaCl2やカルボン酸などの促進剤を用いる。本発明では、前述した方法により
製造した安定化ポリアルケニル、好ましくはポリブテニルスルホン酸を、促進剤として水だけを用いて過塩基化することが好ましい。本発明の更なる観点としては、CaCl2
添加することが挙げられるが、許容可能な性状を備えた生成物を生成させるのに必要なことではない。過塩基化に使用される水の量は、全安定化PIBスルホン酸の0.5乃至8.0質量%の範囲にあり、より好ましくは0.75乃至3.00質量%の範囲にある。本発明の更に別の態様では、過塩基化工程を、当該分野で既に知られているよりもずっと高い温度および圧力で行う。過塩基化温度は100℃乃至170℃、好ましくは110℃乃至150℃であり、一方、過塩基化工程中の圧力は15乃至65psia、より好ましくは16乃至50psiaの範囲にある。過塩基化はまた、周囲圧力、および約100℃乃至約150℃、より好ましくは約110℃乃至約130℃、最も好ましくは約115℃乃至約130℃の温度で、水を還流することによっても遂行することができる。
【0069】
上述した過塩基化条件を利用して、安定化したポリアルケニルスルホン酸および安定化前のポリアルケニルスルホン酸の両方を過塩基化することができる。
【0070】
[潤滑油組成物]
本発明の方法により製造されたポリアルケニルスルホネートは、潤滑油の添加剤として有用なものである。ポリアルケニルスルホネートは、水に対して良好な許容度を示し、淡色であり、そして良好な性能特性をもたらす。
【0071】
本発明の方法により製造することができる潤滑油組成物は、主要量の潤滑粘度の油成分、および少量の本発明のポリアルケニルスルホネートを含有する。油成分は、石油から誘
導することもできるし、あるいは合成することもできる。油成分は、パラフィン系、ナフテン系、ハロ置換炭化水素、合成エステル、またはそれらの組合せであってもよい。潤滑粘度の油の粘度は、100°Fで35乃至55000SUSの範囲にあり、通常は100°Fで約50乃至10000SUSの範囲にある。潤滑油組成物は、本発明のポリアルケニルスルホネートを分散性を与えるのに充分な量で含有し、一般には約0.1質量%乃至10質量%であり、好ましくは約0.5質量%乃至約7質量%である。
【0072】
本発明のポリアルケニルスルホネートと組み合わせて使用することができるその他従来の添加剤としては、酸化防止剤、消泡剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、および分散剤等を挙げることができる。
【0073】
本発明の方法により製造された潤滑油組成物は、内燃機関や自動変速機を潤滑にするのに、また油圧作動油、熱伝達油、トルク液など工業油として有用である。
【0074】
清浄剤または分散剤として使用するとき、これら添加剤は、全潤滑油組成物の約0.2質量%乃至約10質量%、好ましくは約0.5質量%乃至約8質量%、より好ましくは全潤滑油組成物の約1質量%乃至約6質量%で使用することができる。
【0075】
これら添加剤組成物と一緒に使用される潤滑油は、粘性の鉱油であっても合成油であってもよく、好ましくは内燃機関のクランクケースでの使用に適したものである。クランクケース潤滑油は通常は粘度が、0°F(−18℃)で約1300cSt乃至210°F(9
9℃)で22.7cStである。潤滑油は、合成または天然の原料から誘導することができ
る。炭化水素合成油としては例えば、エチレン、ポリアルファオレフィン又はPAO油の重合から製造された油、もしくはフィッシャー・トロプシュ法など一酸化炭素と水素ガスを用いた炭化水素合成法から製造された油を挙げることができる。本発明で基油として使用される鉱油としては、パラフィン系、ナフテン系、および通常潤滑油組成物に使用されるその他の油を挙げることができる。合成油としては、炭化水素合成油と合成エステルの両方が挙げられる。使用できる合成炭化水素油としては、適正な粘度を持つアルファオレフィンの液体重合体が挙げられる。特に有用なものは、C6〜C12アルファオレフィンの
水素化液体オリゴマー、例えば1−デセン三量体である。適正な粘度のアルキルベンゼン、例えばジドデシルベンゼンも使用することができる。
【0076】
合成油とブレンドした炭化水素油も使用することができる。例えば、10乃至25質量%の水素化1−デセン三量体と75乃至90質量%の150SUS(100°F)鉱油のブレンドは、潤滑油基材として好ましいものである。
【0077】
本発明の別の態様は、潤滑油濃縮物にある。これら濃縮物は、通常は約90質量%乃至約10質量%、好ましくは約90質量%乃至約50質量%の潤滑粘度の油と、約10質量%乃至約90質量%、好ましくは約10質量%乃至約50質量%の前記添加剤とを含有する。一般に濃縮物は、輸送や貯蔵の間その取り扱いを容易にするのに充分な量の希釈剤を含んでいる。濃縮物に適した希釈剤としては、任意の不活性希釈剤、好ましくは潤滑粘度の油が挙げられ、それにより濃縮物を潤滑油と容易に混合して潤滑油組成物を製造することができる。希釈剤として使用できる好適な潤滑油は一般に、粘度が100°F(38℃)で約35乃至約500セイボルトユニバーサル秒(SUS)の範囲にあるが、任意の潤滑粘度の油も用いることができる。
【0078】
使用することができる他の添加剤としては、さび止め添加剤、消泡剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、酸化防止剤、およびその他公知の各種の添加剤を挙げることができる。
【0079】
[その他の添加剤成分]
以下の添加剤成分は、本発明に好ましく用いることができる成分の幾つかの例である。これら添加剤の例は、本発明を説明するために記されるのであって本発明を限定するものではない:
【0080】
1)金属清浄剤
硫化又は未硫化のアルキル又はアルケニルフェネート、アルキル又はアルケニル芳香族スルホネート、多ヒドロキシアルキル又はアルケニル芳香族化合物の硫化又は未硫化金属塩、アルキル又はアルケニルヒドロキシ芳香族スルホネート、硫化又は未硫化のアルキル又はアルケニルナフテネート、アルカノール酸の金属塩、アルキル又はアルケニル多酸の金属塩、およびそれらの化学的及び物理的混合物。
【0081】
2)酸化防止剤
酸化防止剤は、鉱油がサービス中に劣化する傾向を低減するものであり、金属表面のスラッジやワニス状堆積物などの酸化生成物および粘度増加がその劣化の証拠となる。本発明に使用できる酸化防止剤の例としては、これらに限定されるものではないが、フェノール型(フェノール系)酸化防止剤、例えば4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−5メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−I−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−10−ブチルベンジル)−スルフィド、およびビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)を挙げることができる。ジフェニルアミン型酸化防止剤としては、これらに限定されるものではないが、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−アルファ−ナフチルアミン、およびアルキル化−アルファ−ナフチルアミンを挙げることができる。その他の酸化防止剤としては、金属ジチオカルバメート(例えば、亜鉛ジチオカルバメート)、およびメチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)が挙げられる。酸化防止剤は、一般にエンジン油全量当り約0乃至10質量%、好ましくは0.05乃至3.0質量%の量でエンジン油に混合される。
【0082】
3)耐摩耗剤
その名称が意味するように、これら添加剤は可動金属部分の摩耗を低減する。そのような添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、リン酸エステル、カルバメート、エステル、およびモリブデン錯体を挙げることができる。
【0083】
4)さび止め添加剤(さび止め剤)
(a)非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、およびポリエチレングリコールモノオレエート。
(b)その他の化合物:ステアリン酸およびその他の脂肪酸、ジカルボン酸、金属石鹸、脂肪酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールの部分カルボン酸エステル、およびリン酸エステル。
【0084】
5)抗乳化剤
アルキルフェノールと酸化エチレンの付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびポリオキシエチレンソルビタンエステル。
【0085】
6)極圧耐摩耗剤(EP/AW剤)
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(第一級アルキル、第二級アルキルおよびアリール型)、硫化ジフェニル、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛、中和リン酸エステル、ジチオリン酸エステル、および無硫黄リン酸エステル。
【0086】
7)摩擦緩和剤
脂肪アルコール、脂肪酸、アミン、ホウ酸化エステル、およびその他のエステル。
【0087】
8)多機能添加剤
硫化オキシモリブデンジチオカルバメート、硫化オキシモリブデン有機リンジチオエート、オキシモリブデンモノグリセリド、オキシモリブデンジエチレートアミド、アミン−モリブデン錯化合物、および硫黄含有モリブデン錯化合物。
【0088】
9)粘度指数向上剤
ポリメタクリレート型重合体、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水和スチレン−イソプレン共重合体、ポリイソブチレン、および分散剤型粘度指数向上剤。
【0089】
10)流動点降下剤
ポリメチルメタクリレート。
【0090】
11)消泡剤
アルキルメタクリレート重合体、およびジメチルシリコーン重合体。
【0091】
12)金属不活性化剤
ジサリチリデンプロピレンジアミン、トリアゾール誘導体、メルカプトベンゾチアゾール、およびメルカプトベンズイミダゾール。
【0092】
前述した添加剤は、油圧作動油や船用クランクケース潤滑剤等において分散剤および清浄剤として使用することも考えられる。そのように使用するとき、添加剤は油に対して約0.1乃至10質量%で添加される。好ましくは、添加剤は0.5乃至8質量%で添加される。
【実施例】
【0093】
(スルホン化実施例)
[実施例1] 中和による安定化のスルトン生成に対する効果
落下フィルム式反応器内で、空気中のSO3をMnが550MWのPIBと次のような
条件を用いて反応させた:SO3/PIBモル比=1.015、供給温度:90℃、反応
器温度=77.6℃、空気中のSO3濃度=1.5%、SO3荷重=0.371kg/cm-hr、SO3/空気ガス流入口温度=50℃、PIB供給流速=12.0kg/hr、SO3流速=1.77kg/hr。スルホン化反応器内での生成後直ちに(5秒以内に)、
PIBスルホン酸を、石灰−油スラリー(Ca(OH)210.6質量%のI種100N
油)を用いて中和することにより安定化した。中和度は145%であった。PIBスルホン酸を石灰スラリーと混合した後、混合物をインライン静的ミキサーに通し、次いで72℃に保持した撹拌タンク型中和容器に移した。安定化生成物のクロマトグラフィー分析は、生成物が回収PIB29.0質量%、スルトン11.7質量%、およびスルホン酸59.2質量%を含むことを示した。
【0094】
[比較例1A] 未中和の酸のスルトン生成
実施例1においてスルホン化後に、PIBスルホン酸を中和により安定化しなかったことを除いては実施例1と厳密に同じにして、落下フィルム式反応器内でSO3をMnが5
50MWのPIBと反応させた。この安定化前の未中和PIBスルホン酸のクロマトグラフィーによる分析は、回収PIB23.0質量%、スルトン22.0質量%、およびスルホン酸54.0質量%を含むことを示した。
【0095】
[実施例2] 中和による安定化及びPIB油希釈のスルトン生成に対する効果
落下フィルム式反応器内で空気中のSO3を、Mnが550MWのPIB70質量%と
油(I種100ニュートラル油)30質量%との混合物と、次のような条件を用いて反応させた:SO3/PIBモル比=0.900、供給温度:90℃、反応器温度=67.5
℃、空気中のSO3濃度=1.4%、SO3荷重=0.347kg/cm-hr、SO3/空気ガス流入口温度=50℃、PIB供給流速=18.10kg/hr、SO3流速=1.
66kg/hr。スルホン化反応器内での生成後直ちに(5秒以内に)、PIBスルホン酸と油の混合物を、石灰−油スラリー(Ca(OH)210.6質量%のI種100N油
)を用いて中和することにより安定化した。中和度は145%であった。PIBスルホン酸を石灰スラリーと混合した後、混合物をインライン静的ミキサーに通し、次いで72℃に保持した撹拌タンク型中和容器に移した。安定化生成物のクロマトグラフィー分析は、希釈油の補正をして、生成物が回収PIB26.0質量%、スルトン4.7質量%、およびスルホン酸69.3質量%を含むことを示した。
【0096】
[比較例2A] 油で希釈した未中和の酸のスルトン生成
実施例2においてスルホン化後に、PIBスルホン酸を中和により安定化しなかったことを除いては実施例2と厳密に同じにして、落下フィルム式反応器内で空気中のSO3
、Mnが550MWのPIB70質量%と油(I種150ニュートラル油)30質量%との混合物と反応させた。この安定化前の未中和PIBスルホン酸のクロマトグラフィーによる分析は、回収PIB21.2質量%、スルトン23.0質量%、およびスルホン酸55.6質量%を含むことを示した。
【0097】
表2に、実施例1−2および比較例1A−2Aの結果をまとめて示す。
【0098】
表 2
安定化(中和)及び安定化前(未中和)の550MW PIBスルホン酸の
クロマトグラフィー分析結果の比較
─────────────────────────────────────
試料 回収 スルトン PIB
PIB(%) (%) スルホン酸(%)
─────────────────────────────────────
実施例1
中和PIBスルホン酸 29.0 11.7 59.2
─────────────────────────────────────
比較例1A
安定前(未中和)の 23.0 22.0 54.0
PIBスルホン酸
─────────────────────────────────────
実施例2
希釈PIBで安定化(中和) 26.0 4.7 69.3
PIBスルホン酸
─────────────────────────────────────
比較例2A
希釈PIBで安定前(未中和) 21.2 23.0 55.6
のPIBスルホン酸
─────────────────────────────────────
【0099】
[実施例3] 最適条件を用いた450MW PIBのスルホン化
落下フィルム式反応器内で、空気中のSO3をMnが450MWのPIBと次のような
条件を用いて反応させた:SO3/PIBモル比=1.035、供給温度:75℃、反応
器温度=60℃、空気中のSO3濃度=4.0%、SO3荷重=0.875kg/cm-h
r、SO3/空気ガス流入口温度=50℃、PIB供給流速=22.74kg/hr、S
3流速=4.19kg/hr。スルホン化反応器内での生成後直ちに(5秒以内に)、
PIBスルホン酸を、石灰−油スラリー(石灰25.0質量%の油)を用いてPIBスルホン酸ポンド当りスラリー0.21ポンドの比率で、インラインミキサー中で55℃で中和することにより安定化した。PIBスルホン酸を石灰スラリーと混合した後、混合物をインライン静的ミキサーに通し、次いでほぼ72℃に保持した撹拌タンク型容器に移した。中和度は89%であった。得られた安定化PIBスルホン酸の分析は次の通りであった:ハイアミン滴定による%Caスルホネート=1.93、%Ca=2.26、%S=4.83、粘度=207cSt(100℃)。
【0100】
[実施例4] 安定化550MW PIBスルホン酸の大規模製造
落下フィルム式反応器内で空気中のSO3を、Mnが550MWのPIB70質量%と
油(I種100ニュートラル油)30質量%との混合物と、次のような条件を用いて反応させた:SO3/PIBモル比=0.825、供給温度:90℃、反応器温度=67.5
℃、空気中のSO3濃度=3.6%、SO3荷重=0.800kg/cm-hr、SO3/空気ガス流入口温度=50℃、PIB供給流速=41.4kg/hr、SO3流速=3.8
3kg/hr。スルホン化反応器内での生成後直ちに(5秒以内に)、PIBスルホン酸と油の混合物を、石灰−油スラリー(Ca(OH)225.0質量%のI種100N油)
を用いて、スルホン化反応器を出た生成物のポンド当りスラリー0.21ポンドの比率で中和することにより安定化した。中和度は87.4%であった。PIBスルホン酸/希釈油を石灰スラリーと混合した後、混合物をインライン静的ミキサーに通し、次いで5ガロン撹拌タンク型中和容器に移した。一旦撹拌タンク型中和容器が一杯になったら別の5ガロン容器と交換し、そして前の5ガロン容器を更に30分間撹拌した。このようにして、全部でほぼ30ガロンの安定化PIBスルホン酸を製造した。
【0101】
(過塩基化実施例)
[実施例5]
3.5リットルオートクレーブに、実施例4に従って製造した安定化550MW PI
Bスルホン酸1824グラムを充填した。次いで、CaCl232%溶液7.5グラムお
よび水40グラムを、石灰45グラムおよび100Nニュートラル油121グラムと一緒に撹拌しながらオートクレーブに加えた。オートクレーブを1時間かけて149℃まで加熱し、この加熱過程で温度が45℃に達した時点で、如何なる水蒸気の逃散も防ぐためにオートクレーブの通風路を閉じた。次に、オートクレーブを149℃で3時間維持し、この間中オートクレーブ内の圧力を最大40psiaに上げた。3時間維持した後、オートクレーブを緩やかに通風して大気圧にした。次に、温度を5分かけて160℃まで上げ、圧力
をほぼ0.4psiaまで下げた。オートクレーブをこれらの条件で15分間維持した後、窒素を用いて大気圧まで加圧し、室温まで冷却した。粗生成物は沈降物0.4容量%を有していた。生成物を濾過し、そして濾過生成物の分析は生成物が次のような性状を有することを示した:TBN=19、粘度(100℃)=113cSt、塩化物=660ppm、ハ
イアミン滴定法による%Caスルホネート=1.32、総%Ca=2.4。
【0102】
[実施例6]
実施例5において、オートクレーブが149℃であった時間中ずっとオートクレーブに大気を通したこと以外は、実施例5に記載した操作を厳密に繰り返した。粗生成物は沈降物1.8容量%を有していた。濾過生成物の分析は生成物が次のような性状を有することを示した:TBN=8、粘度=215cSt(100℃)。
【0103】
[実施例7]
実施例5において、オートクレーブに水を加えなかったこと以外は実施例5に記載した操作を厳密に繰り返した。粗生成物の沈降物レベルは1.0容量%であり、濾過生成物の分析は生成物が次のような性状を有することを示した:TBN=15、粘度=109cSt
(100℃)。
【0104】
[実施例8]
実施例5において、水の充填量が80グラムであったこと以外は実施例5に記載した操作を厳密に繰り返した。粗生成物の沈降物レベルは1.0容量%であり、濾過生成物の分析は生成物が次のような性状を有することを示した:TBN=17、粘度=134cSt(
100℃)。
【0105】
[実施例9]
実施例5において、オートクレーブの温度として149℃の代わりに120℃を用いたこと、そしてオートクレーブを149℃で3時間の代わりに120℃で5時間維持したこと以外は、実施例5に記載した操作を厳密に繰り返した。粗生成物は沈降物1.6容量%を有し、濾過生成物の分析は生成物が次のような性状を有することを示した:TBN=17、粘度=114cSt(100℃)。
【0106】
[実施例10]
10ガロン反応器に、実施例3で製造した安定化450MW PIBスルホン酸159
98グラム、次に希釈油(I種、100N)5698グラム、次に石灰614グラム、CaCl235質量%水溶液83グラム、および水203グラムを撹拌しながら充填した。
実施例5と同様にして、反応器を1時間かけて149℃まで加熱し、反応器が52℃に達した時点で反応器の通風路を閉じ、そして反応器を149℃で3時間維持し、この間中反応器内の圧力を29psiaに上げた。3時間後、反応器を緩やかに通風して大気圧にし、次いで圧力を1psiaまで下げた。反応器を149℃、1psiaで30分間維持した。次に、反応器の圧力を窒素を用いて大気圧まで上げ、周囲温度まで冷却した。濾過した後、最終生成物の分析は次のような性状を有することを示した:TBN=22、粘度=106cSt(
100℃)、塩化物=859ppm、%カルシウム=3.05、ハイアミン滴定法による%Caスルホネート=1.65。
【0107】
(クロマトグラフィー実施例)
[実施例11] クロマトグラフィーによるスルトンの単離
以下は、安定化及び安定化前のPIBスルホン酸からスルトンを単離するのに使用したクロマトグラフィー操作の実施例である。実施例2の生成物4.05グラムをヘキサンほぼ30mlに溶解し、そしてクロマトグラフィー用カラム(カラム容積75ml、オルテック・コーポレーションから得たシリカゲル、パート番号139310、10gを含有)に入れ
た。次いで、カラムを順次大量の溶剤で溶出し、三つの画分を集め、溶媒を除去して濃縮し、その後、画分中に単離した物質を計量した。次のような結果が得られた:画分1、ヘキサン100ml、1.93gは油1.21gと回収PIB0.72g(PIBに基づき26質量%)とからなる;画分2、容量比50:50のトルエン:ジクロロメタン100ml、スルトン0.13g(4.7質量%);画分3、メタノール100ml、PIBスルホン酸1.92g(69.3質量%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルケニルスルホン酸を過塩基化する方法であって、促進剤として水を使用して、ポリアルケニルスルホン酸をアルカリ土類金属の塩基性塩で過塩基化することからなる方法。
【請求項2】
使用する水の量が、ポリアルケニルスルホン酸の0.5乃至8.0質量%である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
過塩基化工程の温度が100℃乃至170℃である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
過塩基化工程の圧力が103kPa乃至448kPaである請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−190285(P2011−190285A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149270(P2011−149270)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【分割の表示】特願2004−264680(P2004−264680)の分割
【原出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(598037547)シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー (135)
【Fターム(参考)】