説明

ポリアンヒドログルクロン酸及びその塩を調製する方法

ポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩を調製する方法が記載されている。酸化によって得たポリアンヒドログルクロン酸材料に部分又は完全加水分解を施して均一系を形成し、続けて該均一系でイオン交換を行い、かつ1又は複数の有機又は無機過酸化物の存在下で補足的な酸化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアンヒドログルクロン酸(PAGA)及びその塩からなる生成物を調製するための方法並びにその利用に関する。前記生成物は特に、医薬、薬用及び美容生成物に適している。本明細書中で使用する用語ポリアンヒドログルクロン酸及びその塩には、その共重合体、特にアンヒドログルコースとの共重合体が含まれる。
【背景技術】
【0002】
タンパク質以外では、多糖が生物圏で発見された最も一般的な生体高分子を代表している。一例として、一年当たり最大1012メートルトンのセルロース、1,4β−D−グルカンが自然に合成されている。大部分が微生物起源である、例えば主鎖が1,2、1,3、1,4及び1,6、又は1,2及び1,4グリコシド結合により結合された他のα及びβグルカンが、当該分野における研究の進行とともに重要性を増している。オリゴ糖又は多糖の主鎖におけるグルクロン酸単位の存在こそが、それらのモル質量及び主要なグリコシド結合の型とともに、それらの免疫亢進効果、抗腫瘍効果、抗凝固効果、又は他の止血効果(1)の基礎を構成する。
【0003】
グルクロノグルカンは、好適にも、窒素酸化物による天然多糖のグルコピラノース単位のC6炭素原子の位置にある第1アルコール基の比較的特異的な選択的酸化によって調製することができ、その基本単位のC1アルデヒド基はグリコシド結合により保護されている。
【0004】
グルクロノグルカン及びグルクロン(glucuronanes)を天然グルカンから調整するために、ガス形態で(2,DE0941289、DE0967144)、水素添加炭化水素のような不活性液体の非極性反応環境中で(USSR SU937462、USP4347057、EP0492990)、又はとりわけNaNOのような還元性物質の計量導入を通してNOが主に酸化溶液中で直接生成される(GB709684、CS AO185366、GB1593513、(3),(4))、若しくは反応環境が液体NOをHNO水溶液に導入することによって形成される(USP4100341)、HNO、HPO若しくはこれらとHSOとの混合物のような酸の水溶液の極性環境中のいずれかにおいてNOの酸化作用を用いる様々な方法が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの方法の不利な点は、それらがグルカン分子に与える酸化作用が不均一であり、かつ、グリコピラノース単位のC6炭素のウロン酸型のカルボキシル基の形成以外に、他のタイプの連続的な反応(C6でのONO及びNO基の形成)や副次的反応(末端炭素C1及びC4、そして特にC2及びC3炭素でのCOOH及び他の酸化基の形成のような)が生じるという点において比較的特異的なだけである、という事実に関係している。多数の刊行物(5、6、7、8)によれば、NOの作用によって製造されるポリアンヒドログルクロン酸の広範な試験から、本願発明者らは、C6炭素のカルボキシル基以外に、ポリアンヒドログルクロン酸生成物の安定性に根源的な影響を有する他の幾つかのアルデヒド、ケトン及びこれらの縮合生成物が形成されるとの結論に至った。
【0006】
近年((9、10)及びUS6,127,573)には、TEMPO方法と呼ばれる新しい多糖の酸化の方法があり、次亜塩素酸ナトリウムによるC6炭素での酸化が、臭化物イオンの存在下で2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカルにより触媒される。この方法の不利な点は、NOによる酸化に類似し、同様に、とりわけ結晶領域における不均一な反応による生成物の不均一性が高いことである。
【0007】
必要な物理的及び化学的特徴を有し、医薬や美容の用途を目的とする安定なPAGA生成物を製造することは決して簡単でないことが、上記説明から明白である。
【0008】
保健管理の実際では、傷害時に又は外科的介入に関連して毛細管の出血が起こる場合にしばしば遭遇する。創傷の治療は多くの場合、特に感染に対する創傷の保護として役立つ素早いホメオスタシスの達成と凝血塊の形成に依存する。表面の傷害又は実質器官からの出血、骨性出血を止める非毒性の再吸収性局所止血剤として、及び一般に従来の止血手段の使用が困難であるか又は機能が緩慢で有効性が劣る場合に、D−グルクロノ−1,4−β−D−グルカン、所謂酸化セルロースを適用することは、同様な場合に特に有効であることが証明されている。
【0009】
上述した公知の方法の他の不利な点は、個々の多糖粒子又は繊維の酸化及び減成双方の程度が不均一であること、結合窒素の含有量が不均一であること、及び巨大分子中の他の不安定な部位に加えて、これらの分子質量の分布が広範囲なことであり、これらの要素が一緒になって、前記生成物を止血剤として適用したときの生物での再吸収を不均一にしたり、他の物質又は麻酔薬、抗生物質若しくは細胞増殖抑止剤のような医薬の結合を不均一にする可能性がある。
【0010】
国際公開WO98/33822公報には、目的とする用途に適合させて物理化学的特性を制御し、それにより、従来製造されている生成物の欠点を減少させ又は十分に抑制するとともに、その潜在的な適応範囲を拡大する安定なポリアンヒドログルクロン酸を調製する方法が記載されている。上述した欠点の多くがWO98/33822公報記載の事項によって解消される。安定な微細分散PAGAが低い結晶化度で調製され、そのアンヒドログルコースとの共重合体及びその塩が高い純度で調製される。調製した安定な微細分散PAGAは、簡単に制御可能な物理化学的特性を有する。
【0011】
酸化セルロース生成物を調製するための方法は、その改良により広い用途が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、ポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩を調製するために、
ポリアンヒドログルクロン酸含有材料を加水分解して均一系を形成する過程と、
それに続けて前記加水分解過程の生成物にイオン交換を行う過程とからなる方法が提供される。
【0013】
ある実施例では、前記ポリアンヒドログルクロン酸含有材料を適当な多糖の酸化により得る。
【0014】
ある実施例では、前記ポリアンヒドログルクロン酸含有材料を窒素酸化物での酸化により、又はTEMPO触媒の存在下で次亜塩素酸ナトリウムを用いて得る。
【0015】
ある実施例では、前記方法が、1又は複数の有機又は無機過酸化物の存在下における前記イオン交換過程の生成物の補足的な酸化過程を有する。
【0016】
本発明のある側面では、ポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩からなる生成物を調製するために、適当な多糖の酸化により得られるポリアンヒドログルクロン酸含有材料に次の処理、即ち
水系における部分又は完全加水分解、
イオン交換、及び
あらゆる有機及び無機過酸化物の1つ又は複数の存在下での補足的な酸化を行う方法が提供される。
【0017】
前記方法は、有機溶媒の混和物であり得る水系で行うことができる。前記有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール又は他の水混和性アルコール若しくは有機溶媒のいずれか1つ又は複数から選択することができる。
【0018】
ある実施例では、前記水系が、少なくとも1つの無機及び/又は有機塩及び/又は塩基からなる。前記無機及び/又は有機塩及び/又は塩基は、0.001乃至5モル/lの範囲の濃度で、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、炭酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリアミン及びアルカノールアミンのいずれか1つ又は複数から選択することができる。
【0019】
ある実施例では、前記イオン交換過程が、水溶性及び/又は一部水溶性の無機/有機塩又は塩基の存在下で行われる。前記無機及び/又は有機塩及び/又は塩基は、水酸化物、塩化物、硝酸塩、ホウ酸塩、硫化物、硫酸塩及び酢酸塩のいずれか1つ又は複数から選択することができる。
【0020】
前記方法は、−5℃から50℃の温度で、好ましくは15〜30℃の温度で実施することができる。
ある実施例では、加水分解を約15分から約30分の時間で行う。
イオン交換は、約15分から約30分の時間で行うことができる。
ある場合には、前記補足的な酸化を約15分から約30分の時間で行う。
ある実施例では、前記方法が、前記生成物を沈澱させ、洗浄しかつ乾燥させる過程を有する。
【0021】
前記方法は、生成物を脱水する過程を含むことができる。pHは、沈澱の前に2.0〜8.5の範囲に調整することができる。前記生成物は、適当な水混和性又は部分水混和性の有機溶媒を用いて、洗浄しかつ/又は脱水し、かつ/又はその後の目的とする使用のために適当に転換することができる。
【0022】
前記生成物は、20〜105℃の範囲の温度で乾燥させることができる。乾燥後に、前記生成物を粉砕しかつ/又はふるい分けすることができる。
【0023】
ある実施例では、補足的な酸化の際の酸化環境を、過酸化水素、過酸化ナトリウム又は過酸化マグネシウム、ペルオキソ酸若しくはその塩、次亜塩素酸塩及び塩化物の1つ又は複数から選択される酸化剤の存在によって形成する。
【0024】
前記ポリアンヒドログルクロン酸含有材料は、天然又は再生のセルロース又は澱粉を含む適当な多糖の酸化によって得ることができる。
【0025】
また、本発明によれば、本発明の方法により調製した安定な微細分散ポリアンヒドログルクロン酸及びその塩が提供される。
【0026】
前記安定な微細分散ポリアンヒドログルクロン酸及びその塩は、その高分子鎖に8〜30重量%のカルボキシル基を含み、該基の少なくとも80重量%がウロン酸型であり、最大5重量%のカルボニル基及び最大0.5重量%の結合窒素を含むことができる。
【0027】
前記高分子鎖の分子質量は、1×10〜8×10ダルトンの範囲にすることができる。
前記生成物のバルク体積は、1グラム当たり0.5〜30mlの範囲とすることができる。
前記生成物の比表面積は、1グラム当たり0.3〜200mの範囲とすることができる。
【0028】
また、本発明によれば、ポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩からなる、即ち本発明の方法により調製した生成物を含む医薬、美容又は栄養薬品組成物が提供される。
【0029】
前記組成物は、少なくとも1つの生体適合性を有する生物学的活性物質を含むことができる。
前記組成物は、少なくとも1つの生物学的に許容し得るアジュバントを含むことができる。
【0030】
本発明によれば、ポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩からなる生成物を調製するために、適当な多糖の酸化により得られるポリアンヒドログルクロン酸含有材料に次の処理、即ち
水系における部分又は完全加水分解(即ち、別言すると、中和又は溶解)、
イオン交換、及び
あらゆる有機及び無機過酸化物の1つ又は複数の存在下での補足的な酸化を行う方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は添付図面を参照しつつ、以下に単なる実施例として記載される詳細な説明からより明確に理解することができる。
【0032】
本願発明者らは、酸化セルロース生成物を調製するための改良された酸化的イオン交換加水分解(低温処理)方法が、他の公知の方法に対して、特に酸化的加水分解(高温処理)とも称されかつ本明細書中で比較方法IまたはIIと称する、WO98/33822号公報に記載の方法に対して大きな利点を有することを見出した。
【0033】
本発明の方法は、余分な水溶性の、NaOH,KOH,LiOH,NHOH,NaCO,及びR-NHのような水酸化物、塩又は有機塩基から酸化セルロース(OC)のその塩への変換に関連する。水酸化物(塩、有機塩基)溶液中の酸化セルロースを十分に溶解させ、かつ対応するOCの塩を形成する。異なる型のカチオンを有する無機及び/又は有機水溶性塩又は塩基(塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩などのような)を用いてイオン交換を行い、OCの複塩を形成する。それにより元のイオンの一部分を新しいカチオンのOC塩に変換する。前記イオン交換は、使用する無機及び/又は有機塩の量によって十分に制御される。必要な場合に酸化、沈澱、洗浄、水溶性又は部分水溶性の有機溶媒での脱水、及び乾燥を続けて行う。
【0034】
本発明の低温処理は、比較方法I及びIIの完全な不均一系と対照的に、より均一な反応系に関係している。関係するすべての過程が、−10〜50℃、好ましくは25℃の温度で行うことができる。
【0035】
更に、有機溶媒(EtOH、イソプロパノール又は他の水溶性アルコール若しくは有機溶媒のような)の混和物を水系に加水分解の前又はその際に添加し、それにより適用可能な反応温度の範囲を低温側に50℃未満までシフトし、かつ反応系の熱容量を減少させてエネルギの節約を実現する。
【0036】
一例として、例えばナトリウム/カルシウム塩の調製のための反応スキームを次のように概略説明する。
【0037】
1.加水分解(OCのナトリウム塩を形成する)
【化1】

【0038】
2.イオン交換(双方の塩の混合物を形成する=MDOC Ca/Na)
【化2】

【0039】
3.酸化(投入した原材料に存在する残余末端のCHOH及び/又はカルボニル基の酸化)
【化3】

【0040】
4.pHの調整(余分なアルカリエンティティの除去)
【化4】

【0041】
酸化セルロースは、
【化5】

の共重合体である。
【0042】
本発明の低温処理によって、最終生成物の高い収量、均一な色、及び反応方法に炭酸塩源が無いので無機炭酸塩含有量ゼロが得られる。未反応の無機炭酸塩は、比較方法I又はIIのような別の方法を用いて形成される好ましくない副生成物である。更に、生成物のいくつかの用途について、特に内服の用途について悪影響を有する虞がある原料のままのセルロース及び/又は未反応の酸化セルロース繊維の存在の可能性が、前記混合物が均一であることによって中和後に濾過できるので、減少する。
【0043】
この方法によって、より多くのエネルギの節約を得られることになる製造時間が短いこと(7時間未満)及び製造コストが少ないことを含めて、酸化セルロースを調製するための他の公知の方法に対して多くの利点が得られる。更に、最終生成物中のカチオンの含有量が、使用する塩の適当な計量を用いて、より良好に制御される。また、この方法によって、形成される粉末の色が薄くなって、最終生成物の外観が高められ、かつより狭い粒径分布が得られる。特に後者は、生成物のエアゾルパッケージにとって重要である。
【0044】
図1は、本発明の低温処理の概要を示している。加水分解は、−10〜+50℃の範囲の温度で、好ましくは25℃で行われる。イオン交換及び酸化は同じ温度で行われる。反応混合物のpHは、最終生成物に必要なpHによって鉱酸又は有機酸を用いて2.0〜9.5の範囲の値に調整する。pHを調整したのち、前記混合物を水混和性有機溶媒によって沈澱させ、かつ分離したフィルタケーキを、残余の無機塩を除去するために適当な水/有機溶媒混合物中で必要に応じて繰返し洗浄により処理する。前記溶媒混合物は、最終生成物に必要な粒径によってEtOH/水、濃縮エタノール、イソプロパノール、メチラール又は他のエーテルを含むことができる。最後に、分離した湿性生成物を、使用する乾燥機によって25〜100℃の温度で乾燥させ、又は必要な場合に粉砕しかつ/又はふるい分けする。
【0045】
その結果、酸化セルロースの繊維が微細分散酸化セルロース(MDOC)(MDOCのナトリウム−カルシウム塩のような)に変換される。この止血特性、抗生特性及び/又は他の有用な特性を有する微細分散形態は、更なる処理(スプレ又はプラスタ(膏薬)などの製造のような)において用いることができる。
【0046】
本願発明者らは、むしろ、粉末(MDOC・I)及び顆粒化物(MDOC・II)とそれぞれ呼ばれる2つの形態の微細分散酸化セルロース(MDOC)に集中した。MDOC・Iは主にエアゾル缶の充填に使用される粉末であり、MDOC・IIは創傷パッド及びプラスタの止血剤として使用される。両生成物は、同じ化学成分を有し、かつ粒径のみが互いに異なる。MDOC・Iは、スプレバルブを通過する粉末の最大粒径が50μmでなければならないのに対し、MDOC・IIは、生成物の後の処理が一般に乾燥方法によって行われ、かつ処理したMDOC・IIは過度のダスティングを起こさせるべきでなくかつ最小粒径を100μm以上に維持する必要があることから、凝集物の形態で製造される。
【0047】
いずれの場合にも、MDOCの乾燥処理後に、一次粒子の凝集物が得られる。必要に応じて、前記凝集物を更に粉砕し、かつMDOC・IIの場合には更にふるい分けする。MDOC・Iの凝集物は微細かつ柔軟であり、非常に硬くかつ脆いMDOC・II凝集物と比較して、ミリング加工によって、非常に小さい粒子(μm単位)が得られる。これは、最終的なフィルタケーキ(即ち、乾燥前のフィルタケーキ)の含水量の結果である。MDOC・Iの場合には、理想的には水分のないフィルタケーキが要求されるのに対し、MDOC・IIの場合には、少なくとも5〜75%w/wの含水量が要求される。従って、最後のフィルタケーキに存在する水分は、形成される凝集物及びその性質に強い影響を有する。
【0048】
本発明の方法により調製されるMDOCは、WO98/33822号公報に記載されるように、薬用又は美容組成物に用いることができ、該公報はその記載内容の全部が本明細書中に記載されているものとする。
【0049】
本発明は、以下に単なる実施例として記載される以下の詳細な説明からより充分に理解することができる。
【実施例】
【0050】
本発明の方法は「低温処理技術」と称する。これと比較して、実施例中に使用する他の比較方法は「高温処理技術」(比較方法I及びII)と称する。
【0051】
比較方法Iは、加水分解、酸化、それに続く沈澱、洗浄及び乾燥の各過程を有する。加水分解は85℃の温度で行われ、酸化は65℃の温度で行われる。この方法はWO98/33822号公報に詳細に記載されており、その記載内容は本明細書中に詳細に記載されているものとする。
比較方法IIは、使用されるバッチサイズが約3倍小さい点を除いて、比較方法Iと同じ過程を有する。
比較方法I及びIIの概要は実施例3a及び3bに記載されている。
【0052】
実施例1−本発明の低温処理を用いたMDOCの調製
この実施例では、微細分散ポリアンヒドログルクロン酸塩を調製するための原料が、99.1重量%のα−セルロースを含有し、かつGBP709684の方法と同様にして28℃の温度で3.6%の亜硝酸との混合物で60%の硝酸中で酸化したコットンリンターであった。
【0053】
600lの脱塩水を反応器に供給し、28kgの水酸化ナトリウムを添加し、かつ形成した溶液を撹拌しつつ20〜25℃に冷却する。塩化カルシウム六水和物の溶液をポリエチレン容器中に用意し、80lの脱塩水及び54kgの塩化カルシウム六水和物を混合する。上述した原材料から調製されかつ80℃で3時間乾燥させた140kgの未処理の酸化セルロースを前記反応器に継続的に添加し、それにより140kgの乾物が入っている反応器を絶えず撹拌する。投入の際に、温度を20〜25℃に保持する。反応器内の懸濁液は、投入の間に黄色に褪色する。最後の酸化セルロースを投入した後に、少なくとも30分をかけて撹拌する。反応混合物を濾過する。約40分をかけて、塩化カルシウム溶液の全量を、撹拌しつつ、目盛り付容器を用いて連続的に添加し、かつ次に反応混合物を20〜25℃の温度で更に45分間撹拌する。約30分をかけて、目盛り付容器を用いて過酸化水素の全量(36l)を注意深く添加する。反応混合物の温度は25℃を超えないようにすべきである。次に、前記懸濁液を更に30分間、20〜25℃の温度で撹拌する。前記懸濁液は純白色に褪色する。反応混合物のpHを塩酸によって、4.0〜4.8のpHが得られるまで調整する。前記混合物を、塩酸を添加する毎にその後15分間撹拌する。1000lのエタノールを前記反応器に目盛り付容器を用いて、絶えず撹拌しつつ供給する。形成した懸濁液を更に15分間20〜25℃の一定温度で撹拌する。母液を遠心分離することによって未加工の生成物を分離する。分離したフィルタケーキを400lの水にTurrax(商標)撹拌機を用いて分散させる。650lのエタノールを前記反応器に、Turrax撹拌機を用いて絶えず撹拌しつつ目盛り付容器を用いて30分間に亘って徐々に供給する。形成した懸濁液を20〜25℃の一定温度で更に30分間撹拌する。母液を遠心分離することによって未加工の生成物を分離する。分離したフィルタケーキを800lのエタノールにTurrax撹拌機を用いて分散させ、かつ懸濁液を少なくとも120分間撹拌する。母液を遠心分離することによって未加工の生成物を分離する。分離したフィルタケーキを800lのイソプロピルアルコールにTurrax撹拌機を用いて分散させる。母液を遠心分離することによって未加工の生成物を分離し、かつフィルタケーキを80℃の温度で棚段式乾燥機で乾燥させる。15時間の乾燥後に、サンプルを品質制御のために提供して、乾物の含有量を調べる。前記乾燥処理は、乾物の含有量が93%を越えると、終了する。乾燥させた粉末を、Alpine(商標)ミルを用いて粉砕する。
【0054】
実施例2
5バッチのMDOCを実施例1で記載したように室温で製造した。製造パラメータ及び分析の結果を次の表1〜4に要約する。
【0055】
表1は、使用した成分の量を示している。表2は、使用した各製造パラメータを示している。表3には、調製したバッチのそれぞれの化学分析の結果が記載されている。表4には、最終乾燥生成物の50μmふるいにかけた残滓の量が記載されている。バッチ内の個々のパッケージ番号は、別個にパッケージされかつサンプリングしたドラムに対応している。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
表2及び表4にまとめたデータ及び図2に示す粒径分布曲線は、高せん断(Turrax)撹拌の時間を増加させかつ脱水の全体時間がより大きいことが、スプレーの製造を目的とする最終製品MDOC・Iの粒径に好ましい影響を与えることを明確に示している。
【0061】
実施例3
本発明の方法による低温処理(実施例1及び2)と元の高温処理の2つの様式(比較方法I及びII)との遡及的比較を行った。
【0062】
実施例3a−比較方法I(WO98/33822号公報の実施例1)
この実施例では、微細分散ポリアンヒドログルクロン酸塩を調製するための原料が、99.1重量%のα-セルロースを含有し、かつGBP709684の方法と同様にして28℃の温度で3.6%の亜硝酸との混和物で60%の硝酸中で酸化したコットンリンターであった。得られた生成物は次のものを含有していた:
カルボキシル基 … 13.7 重量%
カルボニル基 … 4.2 重量%
結合窒素 … 0.48 重量%
【0063】
3000mlの実験室混合機中で、水1000ml及び酢酸カルシウム0.158gを60℃まで加熱し、600rpmで撹拌した。酢酸カルシウムを溶解させた後、約8%の揮発性物質を含有する上記酸化コットンリンター2gを添加し、温度を98℃に上昇させ、この温度を維持しながらこの混合物を2800rpmで15分間撹拌した。続けて、温度を60℃に下げ、水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを8.5に調整し、30%過酸化水素25gを加え、この下げた温度で更に15分間加水分解を続けた。その後、この反応系を40℃まで冷却し、300rpmに下げて撹拌し、92%エタノール1500mlを約10分間で少しずつ加えた。続けて、得られたコロイド分散溶液をろ過し、残渣を50%の水−エタノール混合物中に分散させ、1時間放置した。更に1回ろ過した後、残渣をイソプロパノール100ml中に再度分散させ、6時間放置した。同じ過程をもう1回繰り返し、その後生成物をろ過し、かつ真空乾燥器中40℃の温度で乾燥させた。
【0064】
得られた生成物を分析して次の結果を得た:
乾燥での損失 … 1.25重量%
カルボキシル基含有量 … 16.8重量%
カルボニル基 … 0.5重量%
結合窒素含有量 … 0.13重量%
カルシウム含有量 … 2.1重量%
ナトリウム含有量 … 5.2重量%
粒径 … 2〜5μm
比表面積 … 98m2/g
分子量 … 6×104ダルトン
この生成物は、止血用粉末として又はエアゾル粉末スプレーの1成分として直接使用することができる。
【0065】
実施例3b−比較方法I(WO98/33822号公報の実施例2)
使用した原料は、乾燥した固形亜硝酸ナトリウムと75重量%の亜硝酸との反応で生成した気体窒素酸化物による微生物の(1→6)-βD-グルコ(1→3)-βD-グルカンの酸化により調製され、次のものを含有していた:
カルボキシル基 … 17.3 重量%
カルボニル基 … 1.3 重量%
結合窒素 … 0.44重量%
【0066】
1500mlの実験室混合機中で、水500mlと風乾した酸化原料80gを一緒に混合し、250rpmで撹拌した。過酸化ナトリウム12gを撹拌しながら徐々に添加した。次に、撹拌機の回転数を1800rpmに設定し、かつこの系を52℃の温度で30分間維持した。次に、温度を35℃に下げ、撹拌機を120rpmに設定し、水酸化ナトリウム溶液を添加することによりpHを6.0に調整し、92%エタノール480mlを添加し、かつこの系を800rpmで5分間撹拌した。その後、D-グルクロノ-(1→6)-βD-グルコ−(1→3)-βD-グルカンのナトリウム塩のコロイド分散液を含有する前記反応系をろ過し、残渣を純水で4日間透析した。この透析生成物を80%エタノール500ml中に再分散させ、かつ再度ろ過した。残渣をイソプロパノール400ml中に再分散させ、かつ24時間放置した。最後に、生成物をろ過し、かつ真空乾燥器中40℃の温度で乾燥させた。
【0067】
次の特徴を有する生成物62gを得た:
乾燥での損失 … 2.3 重量%
カルボキシル基含有量 … 18.9 重量%
カルボニル基 … 1.1 重量%
結合窒素含有量 … <0.1重量%
カルシウム含有量 … 2.1 重量%
ナトリウム含有量 … 6.99 重量%
粒径 … 10〜20μm
比表面積 … 28m2/g
分子量 … ダルトン
この生成物は、止血用粉末として、恐らくはエアゾル処方物の活性成分として、かつ/又は恐らくは美容用処方物及びその類似物の活性成分として、直接使用することができる。
【0068】
表5には、元の手順のバッチの化学パラメータの平均値が記載されている。
【0069】
【表5】

【0070】
図3は、比較方法I及び比較方法IIにより調製した酸化セルロースと本発明の方法により製造したOCとの無作為に選択したサンプルの比較を示している。表6は、本発明の方法と比較方法I及びIIとの相異を示している。
【0071】
【表6】

【0072】
実施例4−本発明の低温処理を用いたMDOC・IIの調製
1050lの脱塩水を反応器に供給し、40kgの水酸化ナトリウムを添加し、かつ形成した溶液を撹拌しつつ20〜25℃に冷却する。塩化カルシウム六水和物の溶液をポリエチレン容器に用意し、60lの脱塩水及び73.00kgの塩化カルシウム六水和物を混合する。実施例1のように調製しかつ40重量%の濃縮エタノールで湿らせた350kgの未加工の酸化セルロースを継続的に前記反応器に添加し、その結果210kgの乾物が入っている反応器を絶えず撹拌する。前記投入の間、温度を20〜25℃に保持する。反応器内の懸濁液は、前記投入の間に黄色に褪色する。酸化セルロースを最後に投入した後、少なくとも30分間撹拌する。反応混合物を濾過する。約30分間に亘って、目盛り付容器を用いて、塩化カルシウム溶液の全量を、撹拌しつつ継続的に添加し、次に反応混合物を更に45分間20℃〜25℃の温度で撹拌する。約30分間に亘って、目盛り付容器を用いて過酸化水素の全量(54l)を注意深く添加する。反応混合物の温度は25℃を超えてはならない。次に、前記懸濁液を20〜25℃の温度で更に30分間撹拌する。前記懸濁液は純白色に褪色する。反応混合物のpHを塩酸によって、4.0〜4.5のpHが得られるまで調整する。前記混合物を、塩酸を添加する毎にその後15分間撹拌する。1500lのエタノールを前記反応器に目盛り付容器を用いて、絶えず撹拌しつつ供給する。形成した懸濁液を更に15分間20〜25℃の一定温度で撹拌する。母液を遠心分離することによって未加工の生成物を分離する。分離したフィルタケーキを1000lの水にTurrax撹拌機を用いて分散させる。1400lのエタノールを前記反応器に、Turrax撹拌機を用いて絶えず撹拌しつつ、目盛り付容器を用いて30分間徐々に供給する。形成した懸濁液を更に30分間20〜25℃の一定温度で撹拌する。母液を遠心分離することによって未加工の生成物を分離する。分離したフィルタケーキを900lのエタノールにTurrax撹拌機を用いて分散させ、かつ1100lのエタノールを前記反応器に目盛り付容器を用いて添加し、かつ懸濁液を少なくとも60分間撹拌する。母液を遠心分離することによって未加工の生成物を分離させ、かつフィルタケーキを回転式真空乾燥機で真空中80℃の温度で乾燥させる。15時間の乾燥後に、品質制御のためにサンプルを提供して乾物の含有量を調べる。乾燥処理は、前記乾物の含有量が93%を超えると、終了する。生成物をふるいスクリーニング機で分画して、90〜400μmの粒径を得る。
【0073】
実施例5
3バッチのMDOC・IIを実施例4に記載したように室温で製造した。製造パラメータ及び分析の結果を表7〜10に要約する。
【0074】
表7は、使用した成分の量を大まかに示している。表8は、使用した各製造パラメータを大まかに示している。表9には、調製した各バッチの化学分析の結果が記載されている。表10は、得られた収量を大まかに示している。
【0075】
【表7】

【0076】
【表8】

【0077】
【表9】

【0078】
【表10】

【0079】
表7及び表10に要約したデータは、洗浄混合物の含水量を増加させることが、プラスタの製造を目的とする最終生成物MDOC・IIの凝集に好ましい影響を与えることを明確に示している。
【0080】
凝集物の製造(MDOC・II)には、回転式真空乾燥機を用いるのが良く、かつ粉末の製造(MDOC・I)には、棚段式乾燥機がより適している。乾燥前のフィルタケーキの含水量は、最終生成物の粒径に大きな役割を果たす。
【0081】
実施例6
本発明による低温処理(実施例4及び5)と高温処理(MDOC・II製造のための比較方法I及びII)について遡及的比較を行った。
【0082】
表11には、元の手順のバッチの化学パラメータの平均値が記載されている。表12は、本発明の方法とMDOC・IIのための比較方法I及びIIとの相異を示している。
【0083】
【表11】

【0084】
【表12】

【0085】
WO98/33822号公報に記載される方法の加水分解及び陰イオン交換は、未加工の酸化セルロースがほぼ完全に非水溶性で、得られる生成物の大部分−PAGAの2成分系又は多成分系の塩−が部分的にのみ水溶性であり、別言すれば反応物及び生成物双方が恒久的な「液−固」不均一系を形成するので、不均一系で同時に行われる。この事実によって、十分な反応速度及びそれにより合理的な反応時間を達成するには、より高い温度が必要である。更に、得られるPAGA結合カチオンの割合は制御することができず、かつ前記反応系に確立される物理化学的な平衡にのみ依存する。
【0086】
対照的に、本発明の方法では、未加工の酸化セルロースの加水分解後に、均一系が形成される。反応は低温で行うことができる。次のイオン交換も、不均一性の程度が低いことによって低温で行うことができる(この場合、系の不均一性は2成分系又は多成分系のPAGA塩が形成されることによってのみ形成される)。更に、得られるカチオンの割合は、投入する別の(即ち追加の)塩(塩基)の重量によって直接制御可能である。
【0087】
これによって、次のような追加の利益さえ得られる。
・低い反応温度を用いることによって、酸化セルロースの減成が減少し、かつそれによって生成物の収量が増加する(実施例3、表6及び実施例6、表11)。
・低い反応温度を用いることによって、製造時間/コストが減少することになる(製造時の反応容器の加熱及び冷却)。
・均一的な加水分解が、撹拌条件への依存を抑制し、かつ製造方法の拡大をより簡単にする(実施例1対実施例5で未加工の酸化セルロースの処理量を比較)。
・均一な加水分解が、後の濾過によって未加工の酸化セルロースに導入された非酸化セルロースを除去することを可能にし、かつそれによって生成物の純度が高まる。
【0088】
本明細書を通して用語「適当な」多糖は、その化学的性質によってPAGAを調製するための開始原料として役立ち得る多糖を含むものである。
【0089】
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、その詳細において様々に変化させることができる。
【0090】
参考資料
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Eigenschaften and Nutzung, Springer Verlag, Berlin 1985, p.144
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3. Painter J. 外, Carbohydrate Research
140, 61(1985);
4. Alhaique F., Chim. Oggi 11-15,
17(1986)
5. Kaversneva E.P., Doklady AN
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6. Nevell T.P., J. Text. Ind. 42, 91
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7. Sihtola M. 外, J. Polym. Sci, Part C,
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8. Pasteka M., Chemicke Zvesti
(Slovakia) (20), 855(1966)
9. Saito T., Isogai A.,
Biomacromolecules 5(5), 1983(2004);
10. Li 外, Oxidation of primary alcohols
to carboxylic acids with a TEMPO catalyst using NaClO2 and NaClO
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の方法を概略的に示す図である。
【図2】本発明の方法を用いて調製した多数のバッチについて、MASTERSIZER(Malvern Instruments Ltd. Ser. No.34044-02、分散剤エタノール)を用いて測定した粒径分布の相対百分率を示す線図である。
【図3】本発明の方法(低温処理)を用いて調製した生成物の粒径分布を2つの異なる様式の「高温処理技術」(比較方法I及びII)を用いて調製した生成物と比較してその相異を示す線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩を調製するために、
ポリアンヒドログルクロン酸含有材料を加水分解して均一系を形成する過程と、
それに続けて前記加水分解過程の生成物にイオン交換を行う過程とからなる方法。
【請求項2】
前記ポリアンヒドログルクロン酸含有材料を適当な多糖の酸化により得る請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリアンヒドログルクロン酸含有材料を窒素酸化物での酸化により、又はTEMPO触媒の存在下で次亜塩素酸ナトリウムを用いて得る請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1又は複数の有機又は無機過酸化物の存在下における前記イオン交換過程の生成物の補足的な酸化過程を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記加水分解が水系で行われる請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記水系が有機溶媒の混和物からなる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記有機溶媒がエタノール、イソプロパノール、又は他の水混和性アルコール若しくは有機溶媒のいずれか1つ又は複数から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記水系が少なくとも1つの無機及び/又は有機塩及び/又は塩基からなる請求項5乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記無機及び/又は有機塩及び/又は塩基が、0.001乃至5モル/lの範囲の濃度で、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、炭酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリアミン及びアルカノールアミンのいずれか1つ又は複数から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記イオン交換過程が、水溶性及び/又は一部水溶性の無機/有機塩又は塩基の存在下で行われる請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記無機及び/又は有機塩及び/又は塩基が、水酸化物、塩化物、硝酸塩、ホウ酸塩、硫化物、硫酸塩及び酢酸塩のいずれか1つ又は複数から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
−5℃から50℃の範囲の温度で行われる請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
15〜30℃の温度で行われる請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
加水分解を15〜30分の時間で行う請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
イオン交換を15〜30分の時間で行う請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
補足的な酸化を15〜30分の時間で行う請求項4乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記生成物を沈澱させ、洗浄しかつ乾燥させる過程を含む請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記生成物を脱水する過程を含む請求項1乃至17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
沈澱の前にpHを2.0〜8.5の範囲に調整する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記生成物を、適当な水混和性又は部分水混和性の有機溶媒を用いて、洗浄しかつ/又は脱水し、かつ/又はその後の目的とする使用のために適当に転換する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記生成物を20〜105℃の範囲の温度で乾燥させる請求項17乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
乾燥後に、前記生成物を粉砕しかつ/又はふるい分けする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
補足的な酸化の際の酸化環境を、過酸化水素、過酸化ナトリウム又は過酸化マグネシウム、ペルオキソ酸若しくはその塩、次亜塩素酸塩及び塩化物の1つ又は複数から選択される酸化剤の存在によって形成する請求項4乃至22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記ポリアンヒドログルクロン酸含有材料を、天然又は再生のセルロース又はデンプンを含む適当な多糖の酸化によって得る請求項1乃至23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれかに記載される方法により調製される安定な微細分散ポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩。
【請求項26】
その高分子鎖に8〜30重量%のカルボキシル基を含み、該基の少なくとも80重量%がウロン酸型であり、最大5重量%のカルボニル基及び最大0.5重量%の結合窒素を含む請求項25に記載の安定な微細分散ポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩。
【請求項27】
前記高分子鎖の分子質量が1×10〜8×10ダルトンの範囲内である請求項26に記載のポリアンヒドログルクロン酸及び/又はその塩。
【請求項28】
前記生成物のバルク体積が1グラム当たり0.5〜30mlの範囲である請求項26に記載のポリアンヒドログルクロン酸及びその塩。
【請求項29】
前記生成物の比表面積が1グラム当たり0.3〜200mの範囲である請求項26に記載のポリアンヒドログルクロン酸及びその塩。
【請求項30】
請求項25乃至29のいずれかに記載される、又は請求項1乃至24のいずれかに記載の方法により調製したポリアンヒドログルクロン酸塩からなる生成物を含む医薬、美容又は栄養薬品組成物。
【請求項31】
少なくとも1つの生体適合性を有する生物学的活性物質を含む請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
少なくとも1つの生物学的に許容し得るアジュバントを含む請求項30又は31に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−507102(P2009−507102A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528648(P2008−528648)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/IE2006/000093
【国際公開番号】WO2007/026341
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(507007337)オールトレイセル・ディベロップメント・サービシズ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】