説明

ポリイミドフィルムロールおよびその梱包方法

【課題】 従来の吸湿による外観不良が抑止されたポリイミドフィルムロールおよびその梱包方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 円筒状巻芯に巻き取られたフィルムロールの端面に、巻芯貫通孔を有するシート状乾燥剤が付設され、かつ端面及びロールフィルム面が防湿性フィルムで覆われたことを特徴とするポリイミドフィルムロール、並びにその梱包方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリイミドフィルムに関するものであり、さらに詳しくはポリイミドフィルムのロール(フィルムの巻物を意味する。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナイロンフィルム等の吸湿性の高いフィルムのロールを、使用に供するまでの保管や輸送中の吸湿から保護するために、防湿包装するなどの手段を施すことが知られている。また、比較的吸湿性の低いポリエステルフィルムにおいても、磁気テープ等の高精度の加工を必要とする用途に供する場合においては防湿包装することが行われている。
【0003】
近年その耐熱性と高い機械的性質とで注目されているポリイミドフィルムは、薄手のフィルムであっても取扱上必要な剛性や耐熱性が満たされるため、フレキシブルプリント基板のベースフィルムや半導体実装テープのベースフィルムとして活用されるに至っている。しかしながら、ポリイミドはナイロンとポリエステルの中間の吸湿特性を持つため、吸湿によるフィルムの膨張が無視できず、特に薄手のフィルムにおいては保管時にフィルムロールの変形やフィルムのシワを生じることが多い。
【0004】
ポリイミドフィルムのロール保管時の変形やシワの発生を防止するために防湿包装することが既に提案されているが、わずかの水分の進入は防ぎきれず、ロール表面のみならず内層のフィルムにまでロールの巻き方向に沿った連続した鋭いシワ(以下「縦シワ」と称する。)が発生し、加工後もシワがフィルムに付形されたまま残り、最終製品の性能不良などの原因となっている。
【0005】
これに対し、ポリイミドフィルムのロールの外側に金属材料からなる包装用シート材を配置しフィルムのシワ発生を抑止することが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、市場においては、上記のシワ発生等がさらに抑止されたポリイミドフィルムロールの提供が求められている。
【特許文献1】特開2002−370788
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポリイミドフィルムの吸湿によるシワの発生を防止する梱包方法を施すことによって、保管におけるシワの発生が抑止されたポリイミドフィルムロールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムロールの保管時の吸湿によるシワ等の外観不良が抑止されたポリイミドフィルムロールを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の第1は、円筒状巻芯に巻き取られたフィルムロールの端面に、巻芯貫通孔を有するシート状乾燥剤が付設され、かつ端面及びロールフィルム面が防湿性フィルムで覆われたことを特徴とする、ポリイミドフィルムロールに関する。
【0009】
好ましい実施態様は、シート状乾燥剤が、シリカゲル含有プラスチックシート、脱湿性無機質含有プラスチックシート、1〜10mm厚みの袋状に包装されたシリカゲルから選ばれる1種以上であることを特徴とする、前記のポリイミドフィルムロールに関する。
【0010】
好ましい実施態様は、防湿性フィルムが、アルミニウム蒸着プラスチックフィルム、酸化ケイ素蒸着プラスチックフィルム、酸化アルミニウム蒸着プラスチックフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムから選ばれる1種以上であることを特徴とする、前記いずれかのポリイミドフィルムロールに関する。
【0011】
好ましい実施態様は、ポリイミドフィルム厚みが1〜40μmであることを特徴とする、前記のポリイミドフィルムロールに関する。
【0012】
本発明の第2は、ポリイミドフィルムロールの梱包方法であって、円筒状巻芯に巻き取ったフィルムロールの端面に、巻芯貫通孔を有するシート状乾燥剤を設け、かつ端面及びロールフィルム面を防湿性フィルムで覆うことを特徴とする、ポリイミドフィルムロールの梱包方法に関する。
【0013】
好ましい実施態様は、シート状乾燥剤が、シリカゲル含有プラスチックシート、脱湿性無機質含有プラスチックシート、1〜10mm厚みの袋状に包装されたシリカゲルから選ばれる1種以上であることを特徴とする、前記のポリイミドフィルムロールの梱包方法に関する。
【0014】
好ましい実施態様は、防湿性フィルムが、アルミニウム蒸着プラスチックフィルム、酸化ケイ素蒸着プラスチックフィルム、酸化アルミニウム蒸着プラスチックフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムから選ばれる1種以上であることを特徴とする、前記いずれかのポリイミドフィルムロールの梱包方法に関する。
【0015】
ポリイミドフィルム厚みが1〜40μmであることを特徴とする、前記のポリイミドフィルムロールの梱包方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により得られたポリイミドフィルムロールは、ロール保管時における吸湿によるシワの発生や変形等が低減されており、外観不良を抑止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明にかかるポリイミドフィルムロールおよびポリイミドフィルムの梱包方法について、実施の形態の1例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されない。最初にポリイミドフィルムの製造方法を述べ、その後、本発明に係るポリイミドフィルムロールおよびその梱包方法について述べる。
【0018】
<ポリイミドフィルムの製造方法>
一般に、ポリイミドフィルムは不溶不融であるため、ポリイミドフィルムの製造においては、その前駆体物質の有機溶媒溶液をドラムあるいはベルト等の支持体に流延塗布するソルベントキャスト法が用いられており、本発明にかかるポリイミドフィルムの製造においても、この方法が好適に用いられる。
【0019】
本発明にかかるポリイミドフィルムは、公知の各種原料から得られるものであり、特に限定されるものではない。ポリイミドフィルムは、主として有機テトラカルボン酸二無水物と有機ジアミンとを原料として用い、各成分を実質的に等モル使用して、有機溶媒溶液中で重合して得られるポリアミド酸ワニスを経由して得られるものである。
【0020】
前記ポリアミド酸ワニスは、基本的に、例えば、ピロメリット酸二無水物を代表とする芳香族テトラカルボン酸二無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびパラフェニレンジアミンを代表とする芳香族ジアミンを有機極性溶媒中で重合反応させたポリアミド酸組成物が有機極性溶媒中に均一に溶解しているものである。このポリアミド酸ワニスには、安定してポリイミドフィルムを形成する目的で、例えば、リン酸水素カルシウム、シリカ、マイカ、酸化チタン、アルミナ、ガラスビーズ等のフィラー等を添加してもよい。
【0021】
前記ポリアミド酸の重合反応は、公知の方法が使用でき、特に制限されない。
【0022】
重合方法の1例を挙げると、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種あるいは2種のジアミンを、有機溶剤に溶解もしくはスラリー状に拡散させる。この溶液もしくはスラリーに少なくとも1種以上のテトラカルボン酸二無水物を固体の状態または有機溶剤溶液の状態もしくはスラリー状態で添加し、ポリアミド酸ワニスを得ることができる。この際の反応温度は、−20℃から50℃の範囲であることが好ましく、望ましくは−20℃から20℃以下の範囲である。反応時間は、一般的には1時間から6時間の間であるのが好ましい。
【0023】
また、この反応において、上記添加順序とは逆に、まずテトラカルボン酸二無水物を有機溶剤に溶解もしくはスラリー状に拡散させ、この溶液もしくはスラリー中に、前記ジアミンの固体または有機溶剤による溶液もしくはスラリーを添加してもよい。また、同時に反応させてもよく、テトラカルボン酸二無水物成分、ジアミン成分の添加順序は限定されない。
【0024】
また、ポリアミド酸の重合は、一般に2段階で行われる。1段階目にプレポリマーと呼ばれる低粘度のポリアミド酸を重合し、その後、有機溶媒にテトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物を溶解等させた有機溶媒を添加しつつ高粘度のポリアミド酸を得ることができる。この1段階目から2段階目に移行する際に、フィルター等にてプレポリマー中の不溶解原料や混入異物を取り除く工程を設けて、最終的にフィルム中に残存する異物や欠陥を減少させることができる。上記フィルターの目開きは、取得フィルム厚みの1/2以下であることが好ましく、より好ましくは1/5以下、更に好ましくは1/10以下が良い。
【0025】
有機溶媒中のポリアミド酸の重量分率については、取扱い性の観点から、有機溶媒中にポリアミド酸が5〜40重量%溶解されているのが好ましく、10〜30重量%がより好ましく、更には13〜25重量%溶解されているのが特に好ましい。なお、ポリアミド酸の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリエチレングリコール換算での分子量が、10000〜1000000の範囲であるのが好ましく、より好ましくは50000〜500000の範囲、最も好ましくは100000〜500000の範囲である。ポリアミド酸の重量平均分子量が前記範囲を外れて低い場合には、得られるポリイミドフィルムの引裂き伝播抵抗の測定のR値および150℃で100%RHの環境下に12時間放置後の引裂き伝播抵抗の保持率で所定の効果が発現せず、結果としてフィルム機械強度および接着性を満足しなくなる場合がある。また、ポリアミド酸の重量平均分子量が前記範囲よりも高い場合には、取り扱い性が悪く生産性を大きく落としてしまう場合がある。
【0026】
ポリアミド酸の重合に使用される有機溶媒としては、例えば、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類を挙げることができる。通常これらの溶媒を単独で用いるが、必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0027】
また、本発明で使用される溶媒は、市販されている特級や一級グレードのものをそのまま使用しても差し支えないが、例えば、必要に応じてこれらの溶媒を乾燥蒸留等の通常の操作により脱水精製処理を実施したものを使用しても良い。
【0028】
また、本発明において上記溶媒を使用した後、揮発した溶媒を回収精製処理し、再度本発明に使用しても良い。この際、ある種の混合溶媒が精製後に得られる可能性があり得る。具体的には回収溶媒中に溶媒分解物等が混入する可能性があるが、得られるフィルムの物性を鑑みながら、適宜使用することができる。
【0029】
ポリイミドはポリアミド酸をイミド化して得られるものであるが、本発明において、イミド化には、熱キュア法及び化学キュア法のいずれも用いることができる。熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法である。また化学キュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤と、イソキノリン、ピリジン、β−ピコリン等ピリジン誘導体等の第三級アミン類等に代表される触媒とを作用させる方法である。例えば、化学キュア法に熱キュア法を併用してもよい。イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ、熱キュア法及び/または化学キュア法の選択等により、変動し得るものである。イミド化は、フィルムの靭性、破断強度、及び生産性の観点から、化学的に硬化することが好ましい。
【0030】
次に、ポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
【0031】
本発明において、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の製造に使用されるのに好適なテトラカルボン酸二無水物は、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、具体的に例示することができる。これらを単独で、または2種以上を任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
【0032】
これらのうち、本発明におけるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において最も好適なテトラカルボン酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)であり、これらを単独で、または2種以上を任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
【0033】
一般にテトラカルボン酸二無水物は水分による開環物であるテトラカルボン酸およびテトラカルボン酸モノ無水物を不純物として含むが、本発明において用いることのできるテトラカルボン酸二無水物は、得られるポリイミドフィルムの機械的強度および接着性の観点から高純度であることが好ましく、その純度は不純物量が1.5重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは不純物量が1重量%以下、最も好ましくは不純物量が0.5重量%以下である。
【0034】
本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において使用し得る好適なジアミンは、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,4-ジアミノベンゼン(パラフェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン及びそれらの類似物を含み、具体的に例示することができる。これらを単独で、または2種以上を任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
【0035】
これらジアミンにおいて、最も好適なジアミンは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであり、これらを単独で、または2種以上を任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
【0036】
また、イミド化を化学キュア法により行う場合、本発明にかかるポリアミド酸組成物に添加する化学的転化剤は、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。そのうち、脂肪族酸無水物が好ましい。ここで、脂肪族酸無水物としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、これらが互いに混合された無水物、及び芳香族モノカルボン酸、例えば安息香酸、ナフトエ酸等の無水物との混合物、及び炭酸及び蟻酸並びに脂肪族ケテン類(ケテン、及びジメチルケテン)の無水物との混合物無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族無水物またはそれらの2種以上の混合物が挙げられる。なかでも無水酢酸を好ましく用いることができる。化学的転化剤の使用量としては、ポリアミド酸ワニスにおけるアミド酸1モルに対してモル比で1.0〜8.0倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜5.0倍の割合で用い得る。化学的転化剤の使用量が少なすぎるとイミド化率が好適な範囲より小さくなる傾向があり、多すぎると部分的に硬化及び/または部分的に乾燥されたポリアミド酸フィルムを形成する過程で分解が進行し目標の機械物性を発現しなくなる場合がある。
【0037】
また、イミド化を効果的に行うためには、化学的転化剤と共に触媒を同時に用いることが好ましい。触媒としては、例えば脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。それらのうち複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用いられ得る。具体的にはキノリン、イソキノリン、ピリジンおよびβ−ピコリン、3,5−ルチジン等のピリジン誘導体が好ましく用いられる。触媒の量としては、ポリアミド酸ワニスにおけるアミド酸1モルに対してモル比で0.2〜2.0倍が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.5倍の割合で用い得る。少なすぎるとイミド化率が好適な範囲より小さくなる傾向があり、多すぎると硬化が速くなり、支持体上に流延するのが困難となる場合がある。また、物性に影響を及ぼさない程度であればアセチルアセトン等のイミド化遅延剤を併用してもよい。
【0038】
なお、ポリアミド酸有機溶媒溶液またはこれに添加する化学イミド化剤溶液には、必要に応じて、例えば酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、無機のフィラー類、或いは各種の強化剤等を添加してもよい。
【0039】
ポリイミドフィルムの製造においては、例えば、上記の方法で得られたポリアミド酸ワニスと化学イミド化剤を混合した後、スリットダイから平滑な薄膜状のカーテンとして連続的に押出されエンドレスベルト上にキャストされ、乾燥冷却により自己支持性を有するゲルフィルムが形成される。このゲルフィルムをさらに加熱処理することにより目的の機械物性を有するポリイミドフィルムを得ることができる。
【0040】
また、上記方法において、ポリアミド酸ワニスと化学イミド化剤を混合した樹脂溶液組成物のダイ中での粘度は、450ポイズ以下であることが好ましく、さらに300ポイズ以下がより好ましく、特に好ましくは50〜300ポイズである。この範囲以上の粘度であると得られるフィルムの膜厚のばらつきが顕著に高くなり、保管時の変形やシワの発生が発生しないポリイミドフィルムロールを得ることができない場合がある。また、泡の巻き込み現象が起こりやすくなる場合がある。また50ポイズ以下であると、ダイを用いた流延方法を用いた場合においては、安定的に製膜することが困難になる場合がある。なお、前記粘度は、B型粘度計を用いて測定した値である。
【0041】
また、膜厚のばらつきを低く抑え、ポリイミドフィルムロールに保管時の変形やシワを発生させない目的で、ダイの開口部のクリアランスを制御することが好ましい。
【0042】
次に、本発明にかかるポリイミドフィルムの製造工程について、例をあげて説明する。
【0043】
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸をイミド化し、最終的にポリイミドフィルムの製品とするための製造工程は、一般に、エンドレスベルトあるいはキャスティングドラム上に流延塗布しゲルフィルムを得るベルト室もしくはドラム室と、後加熱キュアを行うテンター室とに分けられる。
【0044】
本発明にかかるポリイミドフィルムの製造工程の1例を示す。まずベルト室での工程で、ミキサーで混合したポリイミド前駆体をTダイによりフィルム状に押し出す工程を行い、反応硬化室においてはTダイより押し出されたフィルム状のポリイミド前駆体をエンドレスベルトもしくはキャスティングドラム上にフィルム状に形成する。フィルム状に形成された前駆体は、ベルトあるいはドラムの回転により移動させられながら、加熱手段により加熱されてイミド化される。このベルト室内においては反応に伴って生成した生成物、主として水、有機溶媒等が蒸発する。
【0045】
前記加熱手段は、樹脂から蒸散した可燃性の揮発成分に引火する危険を防止するため、あるいは樹脂自体が発火することを防止するために、雰囲気温度、およびベルトもしくはドラムの回転速度を調整しつつ加熱し、たとえば温風、熱風、放射熱による加熱、ベルト加熱等の手段を用い得る。
【0046】
これらの工程により、ポリイミド前駆体のフィルムをイミド化しながら、フィルムが自己支持性を有する程度まで加熱、乾燥を行った後、エンドレスベルトもしくはキャスティングドラムから引き剥がして、ゲルフィルムを得ることができる。なお、本発明においてゲルフィルムとは、自己支持性を有する程度まで加熱、乾燥を行ったフィルムであるが、残揮発物を含む、部分イミド化が進行したものである。
【0047】
ところで、通常フィルムを上記工程を通して搬送しつつイミド化を行う場合において、ゲルフィルムの形状及び表面状態を最良に保持し、フィルムの剥がれ・シワ等の表面上の難点を防止し、自己支持性を有するフィルムを搬送上若しくは加工上の問題なく製造する指標として、残揮発物量の測定が行われている。
【0048】
ゲルフィルムの残揮発物量は、以下の(式1)から算出され、その揮発分含量は5〜300%の範囲であるのが好ましく、より好ましくは5〜100%の範囲、特に好ましくは10〜80%の範囲、最も好ましくは15〜60%の範囲にある。この範囲のゲルフィルムを用いることが好適であり、外れるとポリイミドフィルムとしての機械特性、接着特性等の一般特性が発現しにくい場合がある。
(A−B)×100/B・・・・(式1)
(式1中、A、Bは以下のものを表す。A:ゲルフィルムの重量、B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量)
【0049】
また、赤外線吸光分析法を用いて以下の(式2)から算出されるゲルフィルムのイミド化率は、50%以上の範囲が好ましく、より好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上の範囲である。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、外れるとポリイミドフィルムとしての機械特性、接着特性等の一般特性が発現しにくい場合がある。
(C/D)×100/(E/F)・・・・(式2)
(式2中、C、D、E、Fは以下のものを表す。C:ゲルフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さ、D:ゲルフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さ、E:ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピーク高さ、F:ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピーク高さ)
【0050】
このようにして得られたゲルフィルムは、熱処理工程を行うテンター室に供給され、端部を固定されテンター室にて加熱処理される。例えば、テンター室は、加熱炉及び徐冷炉で構成され、ピンでフィルムを固定したピンシートをピンコンベアの回転駆動により可動させることにより、フィルムがテンター室内を移動する。熱キュアを行う加熱炉内において徐々に加熱することによりゲルフィルムをさらにイミド化することができる。加熱炉内では、通常200℃程度の温度から徐々に昇温して、ポリイミドへのイミド化を完了させうる。
【0051】
残留揮発分を完全に除去し、かつポリアミド酸を完全にポリイミドに転化するためには、常法に従い、段階的、連続的に加熱し、最終的に短時間の高温加熱を用いるのが好ましい。具体的には、最終的に400〜650℃の温度で、より好ましくは450〜620℃の温度で10〜400秒加熱するのが好ましい。上記熱キュアの工程において、完全にイミド化されたポリイミドフィルムは徐冷炉において徐々に冷却されうる。
【0052】
また、テンター室にゲルフィルムを供給する前に、ゲルフィルムに表面処理液を塗布したり、ゲルフィルムを表面処理液に浸漬したりしても良く、処理する表面処理液もフィルムの機械的物性および外観を著しく悪化させない程度のものであれば特に限定されない。
【0053】
また、上記で得られたポリイミドフィルムは、コロナ放電処理やプラズマ放電処理等の公知の物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理を施し、さらに良好な特性を付与し得る。
【0054】
また、上記のフィルムは、必要であれば200℃以上、500℃以下の熱処理を受けた後、円筒状巻芯上に巻き取られてフィルムロールを形成することができる。ここで上記熱処理は、緊張下、定長下または弛緩状態で行うことができ、これらを組み合わせて2段階以上で行うこともできる。
【0055】
<ポリイミドフィルムロールの梱包方法>
ポリイミドフィルムをロール状に巻き取るに当たって、フィルムの幅方向の厚みむらによりロールに太さむらや、いわゆるゲージバンドが生じることを軽減するために、フィルムを蛇行させつつ巻き取ることも好ましい実施態様の一例である。巻き取りに当たって、フィルムの耳を切り取り、ロールの端面を揃えることも好ましく行われる。また、それらの表面に樹脂層を形成したものなど、従来用いられた手段が、本発明の効果を損ねない限り、用いられうる。
【0056】
本発明にかかるポリイミドフィルムは、厚み1μmから数百μmのシート状物を含む広義のフィルムを意味し、用途に応じてその厚みを選択することができる。なかでも、吸湿により発生するフィルムロール外観不良である縦シワはフィルム厚みが薄い程に発生しやすいことから、フィルム厚みが1〜40μmのポリイミドフィルムが、本発明において好適に用いることができる。上述のようにして、製造されたポリイミドフィルムは、ユーザーの要求するフィルム巾、フィルム長さにスリットされ、ポリイミドフィルムロールとなる。
【0057】
次に、本発明に係るポリイミドフィルムロールを梱包する方法を以下で述べる。
【0058】
上述のようにして得られたポリイミドフィルムロールに対して、本発明においては、フィルムロールの端面に、巻芯貫通孔を有するシート状乾燥剤を設け、かつ端面およびロールフィルム面を防湿性フィルムで覆うことが好ましく、防湿性フィルムが透明なフィルムであれば外からロール表面を観察することができるため、より好ましい。前記防湿性フィルムはポリイミドフィルムロールの両端面に沿ってそのほぼ全面を覆うことが好ましい。
【0059】
ポリイミドフィルムロールに防湿性フィルムが直接接触することが好ましくない場合には、ロールを一旦包装フィルムで被覆し、その上から防湿性フィルムを配置して梱包されてもよい。上記包装フィルムとしては、例えば、汎用のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどを用いることができる。
【0060】
本発明に係る防湿性フィルムとしては、アクリロニトリル系フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム等が例示されるほか、ポリエチレンまたはポリプロピレンとポリ塩化ビニリデンを共押出し法やコーティング加工法により複合したフィルム等を例示することができる。これらのなかではポリ塩化ビニリデンフィルムが最も好ましい。フィルムの厚みについては特に制限はないが、あまりにも薄いフィルムでは取り扱いや輸送時に破損のおそれがあり、またあまりにも厚いものではフィルムの剛性が高くなり取り扱い上問題を生じやすいことから、通常10μm〜200μm程度の範囲内で選ばれる。
【0061】
また、その他の防湿性フィルムとしては、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属箔、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムにアルミニウム、銅、ステンレス等の金属をラミネートしたフィルム、またはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムにアルミニウム、クロム、銅等の金属を蒸着した金属蒸着フィルム等を用いることができる。また、無機酸化物膜層を含む防湿性フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムに酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着したフィルムを用いることができる。これらのなかでは、プラスチックフィルムにアルミニウム蒸着したもの、酸化ケイ素蒸着したもの、酸化アルミニウム蒸着したものが好ましい。これらフィルムの厚みについては特に制限はないが、あまりにも薄いフィルムでは取り扱いや輸送時に破損のおそれがあり、またあまりにも厚いものではフィルムの剛性が高くなり取り扱い上問題を生じやすいことから、通常10μm〜200μm程度の範囲内で選ばれる。
【0062】
本発明において、防湿性フィルムの封止方法についても特に限定されるものではなく、実質的に水分の侵入が阻止または抑制できるものであればよく、フィルムの両端を円筒状巻芯に密着させたり貼り付けたりする方法、フィルムの両端を円筒状巻芯の内面に折り込み、円筒状巻芯のパッドで押さえつけて封止する方法、金属材料からなるシート材や包装フィルムを袋状にし、入り口を加熱するなどして接着する方法などが任意に用いられる。
【0063】
次に円筒状巻芯の材質は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチック、または、ガラス繊維とエポキシ樹脂、紙とフェノール樹脂、炭素繊維とエポキシ樹脂などの組み合わせからなる繊維強化プラスチック(FRP)、ステンレス鋼などの金属、紙製の円筒状巻芯に樹脂を含浸したもの、またはそれらの表面に樹脂層を形成したものなど、従来用いられたものが、本発明の効果を損ねない限り用いられうる。紙については、未処理のものについては吸湿しやすいことから円筒状巻芯径が変化する場合があり、更にはポリイミドフィルムロールの内側から水分を吸うことになるため、寸法変化を引き起こし、シワ等の外観不良を発生させやすいので避ける方が望ましい。
【0064】
本発明のポリイミドフィルムロールの梱包方法においては、円筒状巻芯に巻き取ったフィルムロールの端面に、巻芯貫通孔を有するシート状乾燥剤を設けることに特徴を有する。ポリイミドフィルムロールの端面に付設されるシート状乾燥剤は、巻芯貫通孔を有するものであるが、これまでの梱包方法では完全に防ぐことのできなかったフィルムロール端面からの吸湿や紙質の円筒状巻芯からの吸湿を、端面に付設するシート状乾燥剤により吸湿を防止することができる。また、シート状の乾燥剤であるため嵩高くなることなくフィルムロールの梱包形状が大きく変化することがない。
【0065】
前記シート状乾燥剤としては、例えば、シリカゲル、あるいは生石灰、塩化カルシウム、酸化アルミニウム、モレキュラーシーブ等の脱湿性無機質を含有したプラスチックシート、シリカゲルを袋状に包装したもの等が例示されうる。中でも、吸湿効果、梱包形状保持、経済性の観点から、シリカゲル含有プラスチックシート、脱湿性無機質含有プラスチックシート、1〜10mm厚みの袋状に包装されたシリカゲルから選ばれる1種以上であることが好ましい。前記シート状乾燥剤の厚みは、本発明の効果を発現できる限り特に限定されるものではないが、吸湿効果、梱包形状保持の観点から1〜10mm厚みが好ましい。前記範囲より薄い場合には吸湿効果が弱くフィルム外観不良を引き起こす場合がある。一方、前記範囲より厚い場合には梱包形状を保持できない場合がある。
【0066】
次にフィルムロールを梱包する容器については、骨材としては、ステンレス、アルミニウム、銅、鉄等の金属が強度の面から望ましいが、木材、プラスチック材でも強度的に問題が無い限り用いられうる。また、リサイクル使用するために折りたためる構造とする方が輸送の観点から望ましい。側面材としては、アクリル、PVC、ポリプロピレン、ポリエチレン等の透明なプラスチック材が好ましい。また強化ガラスも用途によっては用いられうる。更には、軽量化のために部分的に側板を省略することも可能である。容器の大きさとしては、ポリイミドフィルムロールの大きさに応じた大きさが用意される。また、ロールの収容本数においても限定されるものではない。
【0067】
また、緩衝材はフィルムロールを保護するためにフィルムロールの外周に設置しても良く、緩衝材や端面崩れを防止するためのパッド等をロール端面やロール最外層に設置しても良く、これらの設置を省略することも可能である。更に、輸送上の傷付き防止や取り扱い性を高めるために、ダンボール箱などの容器に収納することも好ましい実施態様である。
【0068】
本発明を実施する上で、フィルムロールの外径、フィルム幅等の寸法については何らの制限はない。また、巻芯の寸法、材質等についても本発明の効果を損ねない限り制限されるものではない。
【0069】
以上、本発明にかかるポリイミドフィルムロールの梱包方法について実施の形態の1例を説明したが、本発明はこれら実施の形態のみに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施し得るものである。
【実施例】
【0070】
以下、本発明にかかるポリイミドフィルムロールおよびその梱包方法について、具体的に実施例を示す。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0071】
(実施例および比較例に用いたポリイミドフィルムの製造)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル38.0重量部、パラフェニレンジアミン6.8重量部、ピロメリット酸二無水物55.2重量部を用いて重合して得られたポリアミド酸のジメチルホルムアミド(DMF)溶液(固形分濃度20重量%、20℃での粘度2800ポイズ)100重量部に対して、無水酢酸200重量部とイソキノリン100重量部とDMF190重量部の比率からなるイミド化剤を60重量部混合し、すばやくミキサーで攪拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延塗布した。このエンドレスベルト上で、110℃で2分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30重量%であり、イミド化率は85%であった。このゲルフィルムを250℃、400℃、550℃で各20秒間加熱して厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムを5kgf/mの張力で、300℃で30秒間加熱処理し、以下の実施例および比較例に用いるポリイミドフィルムを製造した。
【0072】
(実施例1)
上記のポリイミドフィルムを、514mm巾にスリットし、内径が6インチ、外径が7インチの紙製の円筒状巻芯に1500mのポリイミドフィルムを巻きつけてポリイミドフィルムロールを作製した。その後、このポリイミドフィルムロールのロール端面に巻芯貫通孔を有する2mm厚みのシリカゲル50%含有ポリエチレンシートを配置し、ロールの上からポリエステルフィルムにアルミニウム蒸着した厚みが80μmのフィルムで包装し、このアルミニウム蒸着フィルムの末端を紙管の端部から紙管の内径部に巻き込むように固定した。このように包装したロールをダンボール箱に収納し、30℃、80%RHの恒温恒湿室に1ヶ月間放置した。放置後のロールを取り出してロール外観、フィルムの変形につき観察したところ、ロールの表面、内層共に全くしわなどの異常は発生していなかった。
【0073】
(実施例2)
上記のポリイミドフィルムを、1028mm巾にスリットし、内径が6インチ、外径が7インチの紙製の円筒状巻芯に1500mのポリイミドフィルムを巻きつけてポリイミドフィルムロールを作製した。その後、このポリイミドフィルムロールのロール端面に巻芯貫通孔を有する2mm厚みのシリカゲル80%含有ポリエチレンシートを配置し、ロールの上からポリエステルフィルムにSiO蒸着した厚みが80μmのフィルムで包装し、このSiO蒸着フィルムの末端を紙管の端部から紙管の内径部に巻き込むように固定した。このように包装したロールをダンボール箱に収納し、30℃、80%RHの恒温恒湿室に1ヶ月間放置した。放置後のロールを取り出してロール外観、フィルムの変形につき観察したところ、ロールの表面、内層共に全くしわなどの異常は発生していなかった。
【0074】
(比較例1)
実施例1において、ポリエステルフィルムにアルミニウム蒸着したフィルムではなく、ポリエチレンフィルムを配置した以外は全く同様にして、実施例1と同様の操作を繰り返した。1ヶ月間放置後のロールは、表面に約2〜3mmの幅の鋭い縦しわが多数発生していた。このしわはフィルムの長さ方向に凸状にロールの最外層100mから500mまで続いていた。
【0075】
(比較例2)
実施例2において、ポリエステルフィルムにSiO蒸着したフィルムではなく、ポリエチレンフィルムを配置した以外は全く同様にして、実施例1と同様の操作を繰り返した。1ヶ月間放置後のロールは、表面に約2〜3mmの幅の鋭い縦しわが多数発生していた。
【0076】
(比較例3)
実施例1において、ポリイミドフィルムロールのロール端面に巻芯貫通孔を有する2mm厚みのシリカゲル50%含有ポリエチレンシートを配置しないこと以外は全く同様にして、実施例1と同様の操作を繰り返した。2ヶ月間放置後のロールは、表面に約2〜3mmの幅の鋭い縦しわが多数発生していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状巻芯に巻き取られたフィルムロールの端面に、巻芯貫通孔を有するシート状乾燥剤が付設され、かつ端面及びロールフィルム面が防湿性フィルムで覆われたことを特徴とする、ポリイミドフィルムロール。
【請求項2】
シート状乾燥剤が、シリカゲル含有プラスチックシート、脱湿性無機質含有プラスチックシート、1〜10mm厚みの袋状に包装されたシリカゲルから選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1記載のポリイミドフィルムロール。
【請求項3】
防湿性フィルムが、アルミニウム蒸着プラスチックフィルム、酸化ケイ素蒸着プラスチックフィルム、酸化アルミニウム蒸着プラスチックフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムから選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリイミドフィルムロール。
【請求項4】
ポリイミドフィルム厚みが1〜40μmであることを特徴とする、請求項1に記載のポリイミドフィルムロール。
【請求項5】
ポリイミドフィルムロールの梱包方法であって、円筒状巻芯に巻き取ったフィルムロールの端面に、巻芯貫通孔を有するシート状乾燥剤を設け、かつ端面及びロールフィルム面を防湿性フィルムで覆うことを特徴とする、ポリイミドフィルムロールの梱包方法。
【請求項6】
シート状乾燥剤が、シリカゲル含有プラスチックシート、脱湿性無機質含有プラスチックシート、1〜10mm厚みの袋状に包装されたシリカゲルから選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項5記載のポリイミドフィルムロールの梱包方法。
【請求項7】
防湿性フィルムが、アルミニウム蒸着プラスチックフィルム、酸化ケイ素蒸着プラスチックフィルム、酸化アルミニウム蒸着プラスチックフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムから選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のポリイミドフィルムロールの梱包方法。
【請求項8】
ポリイミドフィルム厚みが1〜40μmであることを特徴とする、請求項5に記載のポリイミドフィルムロールの梱包方法。

【公開番号】特開2008−207812(P2008−207812A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43441(P2007−43441)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】