説明

ポリウレタンフォームの製造法

【課題】低反発弾性を有し、機械的強度及び柔軟性が改善されたポリウレタンフォームの製造法を提供すること。
【解決手段】一般式(I):


(式中、Rは、n価のポリアルキレンポリオール、n価のポリアルキレンエーテルポリオール又はn価のポリアルキレンエステルポリオールの残基、nは、2又は3を示す)で表されるポリアルキレン鎖含有化合物の存在下で、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるポリウレタンフォームの製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームの製造法に関する。更に詳しくは、例えば、靴底をはじめ、自動車やその他の乗り物、家具、寝具等に用いられるクッション材等として好適に使用しうるポリウレタンフォームの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、断熱材、クッション、靴底等の多種多様な用途に多く使用されている。ポリウレタンフォームの中でも、特に靴底等に使用される半硬質ポリウレタンフォームの分野においては、靴底等としての機能を確保するための機械的強度を有し、柔軟性に優れ、低反発弾性を有するポリウレタンフォームが望まれている。
【0003】
近年、振動吸収材や衝撃吸収材に適用しうる硬質フォームとして、ポリイソシアネートからなる主剤成分と、芳香族ジアミンオリゴマー及び芳香族ジアミン化合物からなる芳香族ジアミン類とを発泡硬化せしめてなる尿素弾性硬質フォームが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、このポリ尿素弾性硬質フォームは、靴底等としての機能を確保するための機械的強度、良好な柔軟性及び低反発弾性を有するものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−2946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低反発弾性を有し、機械的強度及び柔軟性が改善されたポリウレタンフォームの製造法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一般式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは、n価のポリアルキレンポリオール、n価のポリアルキレンエーテルポリオール又はn価のポリアルキレンエステルポリオールの残基、nは、2又は3を示す)
で表されるポリアルキレン鎖含有化合物の存在下で、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるポリウレタンフォームの製造法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリウレタンフォームの製造法によれば、低反発弾性を有し、機械的強度及び柔軟性に優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の製造法は、一般式(I)で表されるポリアルキレン鎖含有化合物(以下、単に、ポリアルキレン鎖含有化合物という)の存在下で、ポリオール成分とポリイソシアート成分とを反応させる点に、1つの特徴がある。本発明では、このようにポリアルキレン鎖含有化合物の存在下で、ポリオール成分とポリイソシアート成分とを反応させるという手段が採られているので、低反発弾性を有し、引張強度等の機械的強度及び伸度に示される柔軟性に優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0012】
ポリアルキレン鎖含有化合物において、n価のポリアルキレンポリオール、n価のポリアルキレンエーテルポリオール又はn価のポリアルキレンエステルポリオールの残基を示す。nは、2又は3を示す。なお、上記のこれらのポリオールにおけるポリアルキレンユニットは、不飽和結合を含んでいてもよい。
【0013】
n価のポリアルキレンポリオール、n価のポリアルキレンエーテルポリオール又はn価のポリアルキレンエステルポリオールの残基の水酸基価は、ポリオール成分の粘度の調整及び柔軟性の保持の観点から、好ましくは50〜200mgKOH/g、より好ましくは80〜150mgKOH/gである。なお、水酸基価は、JIS K 0070に基づいて測定したときの値である。
【0014】
ポリアルキレン鎖含有化合物は、例えば、ポリオールとパラニトロ安息香酸クロライドとを反応させた後、ニトロ基を還元させる方法、ポリオールとアミノ安息香酸アルキルエステルとを反応させる方法等によって容易に調製することができる。
【0015】
ポリアルキレン鎖含有化合物を調製する際に用いられるポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体のグリコール等のポリエーテルポリオール、ポリエチレンアジペートポリオール、ポリブチレンアジペートポリオール、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトンから誘導されるラクトン系ポリエステルポリオール、3−メチルペンタンジオールとアジピン酸とを反応させることによって得られるポリエステルポリオール、ポリブタジエン系ポリオール等が挙げられる。
【0016】
ポリアルキレン鎖含有化合物は、一般式(I)で表されるように、末端基としてアミノ基を有することが一般的であるが、片末端又は両末端に水酸基を有していてもよい。また、ポリアルキレン鎖含有化合物の主鎖の一部にアミド基が含まれていてもよい。
【0017】
ポリアルキレン鎖含有化合物は、商業的に容易に入手しうるものである。ポリアルキレン鎖含有化合物を調製する際に用いられるポリオールの代表例としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを原料としたエアプロダクト・アンド・ケミカル社製、商品名:バーサリングP−650(ポリオールの分子量:650)、バーサリングP−1000(ポリオールの分子量:1000)等;イハラケミカル工業(株)製、商品名:エラスマー1000(ポリオールの分子量:1000)、これを低融点に変性したイハラケミカル工業(株)製、商品名:ポレアSL−100A(ポリオールの分子量:1000)等が挙げられる。
【0018】
好適なポリアルキレン鎖含有化合物の代表例としては、両末端にアミノ基を有するアミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート等が挙げられる。
【0019】
ポリアルキレン鎖含有化合物及びポリオール成分(ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール成分)の量は、ポリアルキレン鎖含有化合物/ポリオール成分(重量比)が0.05〜0.3、好ましくは0.1〜0.25となるように調整することが好ましい。
【0020】
ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール成分は、ポリオールを含有する。ポリオールは、水酸基を2個以上有するポリエーテルポリオール(以下、ポリエーテルポリオールという)やポリエーテルポリオールを基剤とするポリマーポリオール(以下、ポリマーポリオールという)及びポリエステルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0021】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合させて得られるポリエーテルポリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0022】
ポリエーテルポリオールの代表例としては、ポリオキシプロピレンポリオールの末端水酸基にエチレンオキシドが付加された水酸基1個あたりの分子量が1500以上であるポリオキシプロピレン系ポリオール、テトラヒドロフランの開環重合で得られる分子量1000以上のポリオキシテトラメチレングリコール及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0023】
ポリマーポリオールの代表例としては、重合性不飽和基含有モノマーを重合させて得られたポリマー微粒子がポリエーテルポリオール中に分散した状態にあるもの等が挙げられる。このものは、例えば、重合性不飽和基含有モノマーを重合させて得られたポリマー微粒子とポリエーテルポリオールとを混合し、分散させる方法、前記ポリエーテルポリオール中で前記重合性不飽和基含有モノマーを重合させることにより、前記重合性不飽和基含有モノマーから得られたポリマー微粒子を製造し、ポリエーテルポリオール中に分散させる方法等によって製造することができる。これらの方法の中では、後者の方法が、ポリマー微粒子が該ポリエーテルポリオール中で均一に分散されたポリマーポリオールを容易に得ることができるので好ましい。
【0024】
重合性不飽和基含有モノマーとしては、スチレン;アクリロニトリル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート;グリシジルメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアクリレート;グリシジルアクリレート等が挙げられ、これらのモノマーは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸等の多塩基酸との縮合物であって、末端に水酸基を有するもの等が挙げられる。
【0026】
ポリオール成分の中では、ソフトで良好な感触と低反発弾性とを両立する観点からポリエーテルポリオールが好ましい。
【0027】
ポリオールの平均官能基数は、好ましくは2〜6である。また、ポリオールの水酸基価は、架橋密度を高め、フォーム強度を高める観点から、好ましくは15〜600mgKOH/g、より好ましくは20〜550mgKOH/g、更に好ましくは30〜500mgKOH/gである。なお、ポリオール成分の水酸基価は、JIS K 0070に基づいて求めたときの値である。
【0028】
ポリオールは、機械的強度、柔軟性付与及び寸法安定性の観点から、平均官能基数が2〜3のポリオールであることが好ましい。ポリオール成分中の平均官能基数が2〜3のポリオールの含有量は、好ましくは60〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。また、ポリオールは、低反発弾性の付与及び寸法安定性の観点から、平均官能基数が4〜6のポリオールであることが好ましい。ポリオール成分中の平均官能基数が4〜6のポリオールの含有量は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
【0029】
ポリオール成分は、必要により、後述する触媒等の他の成分とともにポリオール混合物として用いることができる。ポリオール混合物におけるポリオール成分の含有量は、機械的強度の向上、柔軟性の付与及び寸法安定性の向上の観点から、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上である。
【0030】
ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリイソシアネート成分の代表例としては、イソシアネートプレポリマー等が挙げられる。
【0031】
イソシアネートプレポリマーは、ポリオールと過剰量のポリイソシアネートモノマーとを常法により攪拌し、反応させることによって得られる。
【0032】
ポリイソシアネートモノマーの具体例としては、トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート成分、それらの変性体、例えば、カルボジイミド変性体等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート又は該4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとそのカルボジイミド変性体との併用が好ましい。
【0033】
イソシアネートプレポリマーの中では、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変成体を用いて得られたイソシアネートプレポリマーは、十分な強度を確保する観点から、好ましい。
【0034】
なお、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変成体を用いて得られたイソシアネートプレポリマーには、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが混在していてもよい。
【0035】
イソシアネートプレポリマーを調製する際には、必要により、添加剤を添加してもよい。
【0036】
添加剤としては、例えば、ポリエステルポリオールを調製する際に必要により用いられる添加剤をはじめ、イソシアネートプレポリマーが自己重合するのを防止するために、塩化水素ガス、亜硫酸ガス等の酸性ガス、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、イソフタル酸クロリド等の酸塩化物、リン酸、リン酸モノエチル、リン酸ジエチル等のリン酸化合物等のイソシアネート自己重合防止剤を用いることができる。これらの添加剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
イソシアネートプレポリマーのNCO%は、粘度が高くなって低圧発泡機での成形が困難とならないようにするために、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、また粘度が低くなって発泡機の計量精度が低くなることを避けるために、好ましくは25%以下、より好ましくは22%以下、更に好ましくは20%以下である。
【0038】
イソシアネートプレポリマーは、15℃以上において液状を呈し、低圧でも吐出可能であるので、例えば、40〜50℃の成形温度でも何ら問題なくポリウレタンフォームの製造に供することができる。
【0039】
ポリイソシアネート成分のNCO%は、液粘度の上昇防止及び液の保存安定性の観点から10〜25%が好ましい。ポリイソシアネート成分を構成するポリイソシアネートモノマーとしては、十分な機械的強度を有する発泡体を得る観点から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0040】
なお、本発明においては、反応速度の向上の観点から、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ポリオール混合物に含有させることができる。
【0041】
触媒としては、例えば、TEDA〔1,4−ジアザビシクロ-[2.2.2]−オクタン〕、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N−ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチル−β−フェニルエチルアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。これらの触媒の中では、反応速度の向上の観点から、3級アミンが好ましい。
【0042】
なお、触媒として、アミン系触媒以外にも、例えば、ジブチルチンジラウレート、オレイン酸第1錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛等の有機金属化合物を用いることもできる。
【0043】
ポリウレタンフォームを製造する際には、発泡剤を用いることができる。発泡剤は、ポリオール混合物に含有させることができる。発泡剤としては、水を単独で用いてもよく、水と、炭化水素、クロロフルオロカーボン、水素化フルオロカーボンとを併用してもよい。なお、地球のオゾン層破壊の問題を回避する観点から、発泡剤として、水を単独で使用することが好ましい。発泡剤は、ポリオール混合物に含有させることができる。
【0044】
発泡剤として、水を用いた場合、一般に、水はポリイソシアネート成分と反応し、強固なハードセグメントを形成する。しかしながら、ポリイソシアネート成分と水との反応によって発生する炭酸ガスの影響でポリウレタンフォームは低密度化する。とたがって、発泡剤としての水の量は、ポリアルキレン鎖含有化合物とポリオール成分との合計量100重量部に対して、好ましくは0.3〜2重量部、より好ましくは0.5〜1.8重量部、更に好ましくは0.8〜1.6重量部である。
【0045】
本発明では、添加剤として、鎖延長剤、シリコーン系整泡剤、顔料、酸化防止剤、黄変防止剤等を用いることができる。これらの添加剤は、ポリオール混合物に含有させることができる。
【0046】
鎖延長剤としては、数平均分子量が1000以下で、分子内に2個以上の活性水素を有する化合物を用いることができる。
【0047】
鎖延長剤の代表例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、ソルビトール等の多価アルコール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族多価アミン、芳香族多価アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン等、それらの変性物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0048】
好適な鎖延長剤として、数平均分子量が1000以下のエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、それらの変性物等が挙げられる。
【0049】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分との混合割合は、イソシアネートインデックスが好ましくは80〜110、より好ましくは85〜105、更に好ましくは90〜100となるように調整することが望ましい。
【0050】
ポリウレタンフォームの製造法としては、例えば、ポリオール成分、触媒、発泡剤、添加剤等をあらかじめ混合、攪拌し、得られたポリオール混合物とポリイソシアネート成分とを成形機により、混合、攪拌し、成形型内に注入し、発泡させる方法等が挙げられる。より具体的には、例えば、タンク等を用いてポリオール成分、触媒、発泡剤、添加剤等を混合、攪拌し、得られたポリオール混合物を40℃程度に調温した後、自動混合注入型発泡機、自動混合型射出発泡機等の発泡機を用いてポリオール混合物とポリイソシアネート成分とを混合し、反応、発泡させる方法等が挙げられる。
【0051】
かくして得られるポリウレタンフォームの密度は、充分な機械的強度及び寸法安定性を確保する観点から、0.1g/cm以上、好ましくは0.1〜0.6g/cm、より好ましくは0.2〜0.6g/cm、更に好ましくは0.3〜0.55g/cmである。
【実施例】
【0052】
実施例1〜3及び比較例1
表1に示す組成となるように、ポリオール成分、ポリアルキレン鎖含有化合物としてポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート〔イハラケミカル工業(株)製、商品名:エラスマー1000P、官能基数:2、アミン価:86.1mgKOH/g〕、鎖延長剤(エチレングリコール)、触媒(トリエチレンジアミン)、発泡剤(水)、シリコーン系整泡剤〔東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:SH193〕及び顔料〔日本ピグメント(株)製、商品名:NV−7−478〕を混合し、ポリオール混合物を調製した。
【0053】
ポリイソシアート成分として、花王(株)製、商品名:エディフォームB−6106M(NCO%:16%)を用い、ポリオール混合物とポリイソシアート成分との配合割合は、式:
〔イソシアネートインデックス〕
=〔実際に使用したイソシアネート量)
÷(化学量論的にポリオール成分と当量とされるイソシアネート量)
×100
に基づいて求められるイソシアネートインデックスが表1に示す値となるように、調整した。
【0054】
ポリオール混合物とポリイソシアート成分とを自動混合型射出発泡機〔ポリウレタンエンジニアリング社製、形式:MU−203S、型番:6−018〕に仕込み、35〜45℃の温度で混合し、得られた混合物を型温が45〜55℃の成形型(内面にシリコーン離型剤を塗布)内に仕込み、以下の成形条件で発泡させ、10mm×100mm×300mmのポリウレタンフォームからなるテストシートを作製した。
【0055】
〔成形条件〕
・反応性:クリームタイム5〜15秒間
・脱型時間:5.5〜6.5分間
【0056】
なお、ポリオール成分の略号は、以下のことを意味する。
<ポリオールa1>
ポリプロピレングリコール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:プレミノール5005、官能基数:2、水酸基価:28mgKOH/g、数平均分子量:4000、不飽和度0.02meq/g〕
【0057】
<ポリオールa2>
ポリプロピレントリオール〔旭硝子ウレタン(株)製、商品名:エクセノール820、官能基数:3、水酸基価:34mgKOH/g、数平均分子量:4900、不飽和度0.06meq/g〕
【0058】
<ポリオールa3>
ペンタエリスリトール系ポリオール〔三洋化成工業(株)製、商品名:サンニックスHD−402、官能基数:4、水酸基価:400mgKOH/g、数平均分子量:550〕
【0059】
【表1】

【0060】
次に、作製されたテストシートの物性を以下の方法に従って調べた。その結果を表2に示す。
【0061】
(1)硬度
テストシート表面の硬度をAsker C硬度計にて25℃で測定した。
【0062】
(2)密度
テストシート(100mm×300mm×10mm)の重量を測定し、体積300cmで除して測定した。
【0063】
(3)引張強度及び伸度
テストシートから打ち抜いたダンベル2号形の試験片を用い、JIS K6251に従って測定した。
なお、伸度が高いほど柔軟性に優れることを示す。
【0064】
(4)反発弾性率
テストシートから打ち抜いた直径32mm(厚さ10mm)の試験片を用い、JIS K6255に従って測定した。
【0065】
【表2】

【0066】
表2に示された結果から、各実施例で得られたポリウレタンフォームは、比較例1で得られたポリウレタンフォームと対比して、引張強度に優れ、低反発弾性率を有するものであることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の製造法によって得られたポリウレタンフォームは、引張強度及び柔軟性に優れ、低反発弾性率を有することから、例えば、靴底をはじめ、自動車やその他の乗り物、家具、寝具等に用いられるクッション材等として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

(式中、Rは、n価のポリアルキレンポリオール、n価のポリアルキレンエーテルポリオール又はn価のポリアルキレンエステルポリオールの残基、nは、2又は3を示す)
で表されるポリアルキレン鎖含有化合物の存在下で、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるポリウレタンフォームの製造法。
【請求項2】
n価のポリアルキレンポリオール、n価のポリアルキレンエーテルポリオール又はn価のポリアルキレンエステルポリオールの水酸基価が、50〜200mgKOH/gである請求項1記載の製造法。
【請求項3】
ポリアルキレン鎖含有化合物とポリオール成分との重量比(ポリアルキレン鎖含有化合物/ポリオール成分)が、0.05〜0.3である請求項1又は2記載の製造法。

【公開番号】特開2007−119580(P2007−119580A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312976(P2005−312976)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】