説明

ポリエステル樹脂およびその製造方法

【課題】基材の強度に匹敵するような強固な接着性を発現するために、基材との密着性を向上させるだけでなく、硬化後の架橋密度と凝集力を強固にすることの出来るポリエステル樹脂を提供すること。
【解決手段】ジオール(c1)と、二塩基酸、二塩基酸無水物、及び二塩基酸のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のカルボン酸成分(c2)とを反応させてなる、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を、溶剤の存在下で多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させてなるカルボキシル基を有するポリエステル樹脂であって、該カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の少なくとも1.2倍であることを特徴とするカルボキシル基を有するポリエステル樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル樹脂に関し、特に接着剤や塗料に用いた場合に基材との接着性に優れ、また、フィルム状に成型した場合には良好な造膜性を有するポリエステル樹脂に関する。さらに詳しくは、多塩基酸もしくはその無水物と水酸基を有するポリエステル樹脂との鎖延長反応により、ポリエステル樹脂の分子量を増大させると共に、官能基が両末端にしか存在しない直鎖型ポリエステル樹脂の分子中にカルボキシル基を導入することにより基材との接着性を良好ならしめるポリエステル樹脂の製造方法とそれにより得られるポリエステル樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、接着剤や塗料分野において、そのバインダーとしてポリエステル樹脂が広く用いられている。両末端にのみ官能基を有する所謂直鎖型ポリエステル樹脂は、架橋剤を用いて架橋させても架橋密度は相対的に低くなり、被膜の物性を向上させるために高分子量化している。一方、多官能成分を導入して両末端と末端以外の分子中にも官能基を有する所謂分岐型ポリエステル樹脂は、架橋剤を用いて架橋させた場合、架橋密度が相対的に高くなりすぎて被膜物性が脆くなるという欠点を有する。被膜物性を向上させようとして分子量を大きくしようとしてもゲル化のために限りがある。
【0003】
プラスチック同士、金属同士、あるいはプラスチックと金属などの構造物の接合において、従来はボルトやネジなどを用いて接合していたが、近年、工程の簡略化やコスト削減の目的から、接着剤で接合する方法が用いられるようになった。このような構造物の接合においては、基材の強度に匹敵するような強固な接着性が要求される。強固な接着性を発現させるためには、基材との密着性とともに接着剤自身の凝集力を強くする必要がある。接着剤自身の凝集力を強くするためには、高架橋密度と分子量の増大が必須である。
【0004】
ポリエステル樹脂と酸無水物を用いる接着剤の例としては、例えば特開平5−70758号公報(特許文献1参照)ではポリエステル樹脂に無水トリメリット酸を付加させているが、ポリエステル樹脂の末端に付加させているだけで、分子量の増大は狙っていない。
また、特開2001−31940号公報(特許文献2参照)ではポリエステル樹脂とベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物とグリセロールトリスアンヒドロトリメリテートとエポキシ化合物をブレンドしているが、硬化の過程ではエポキシ化合物と酸無水物との反応が優先し、ポリエステル樹脂の分子量増大が起きるとは考えにくい。
塗料組成物の例としては、密着性や加工性の向上を狙いとして、特開平11−116667号公報(特許文献3参照)や特開2001−40278号公報(特許文献4参照)、特開2003−213201号公報(特許文献5参照)が公開されている。
特開平11−116667号公報では、ポリエステル樹脂中の水酸基に、分子中に2個以上のカルボン酸無水基を含有するエステル化合物を反応させているが、反応後の数平均分子量は10000以下であり、また、反応前後における数平均分子量の変化は小さいものであり、この反応における分子量の増大は意図していないと考えられる。
特開2001−40278号公報では、ポリエステル樹脂の末端にカルボキシル基の導入を意図している。
【0005】
特開2003−213201号公報では、分子鎖途中にカルボキシル基がペンダント状に導入された分子を含むポリエステル樹脂が開示されているが、この反応の好ましい方法としては、ポリエステル樹脂が目標の分子量に達した段階でカルボン酸無水物を添加して、無溶剤下で反応している。また、反応温度は150℃〜280℃と高温であり、このような方法ではカルボキシル基はポリエステル樹脂の末端には導入され得るものの、さらに反応を進行させ、分子鎖途中にペンダント状に導入され得るまで反応を続けるとようとすると、過度に高分子量化が進行し、ゲル化してしまう。
特許文献1、3、4、及び5はポリエステル樹脂と分子内に2個以上のカルボン酸無水物基を有する化合物とを反応させているが、いずれも酸価の付与だけで、分子量の増大は狙っていない。
【特許文献1】特開平5−70758号公報
【特許文献2】特開2001−31940号公報
【特許文献3】特開平11−116667号公報
【特許文献4】特開2001−40278号公報
【特許文献5】特開2003−213201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、基材の強度に匹敵するような強固な接着性を発現するために、基材との密着性を向上させるだけでなく、硬化後の架橋密度と凝集力を強固にすることの出来るポリエステル樹脂の製造方法と、それにより得られるポリエステル樹脂を提供することにある。
さらには、フイルム同士の接着で嫌われる硬化時にアウトガスを発生させる様な架橋剤、アミノ樹脂などの所謂縮合系架橋剤を用いることなく、硬化時にアウトガスを発生させない所謂付加反応型の架橋剤を用いることの出来るポリエステル樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水酸基を有するポリエステル樹脂を、多塩基酸もしくはその無水物と反応させてカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を得る製造方法と、それによって得られるポリエステル樹脂を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、第1の発明は、ジオール(c1)と、二塩基酸、二塩基酸無水物、及び二塩基酸のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のカルボン酸成分(c2)とを反応させてなる、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を、溶剤の存在下で多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させてなるカルボキシル基を有するポリエステル樹脂であって、該カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの少なくとも1.2倍であることを特徴とするカルボキシル基を有するポリエステル樹脂であり、
【0009】
第2の発明は、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの3倍以下であることを特徴とする第1の発明に記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂である。
【0010】
第3の発明は、多塩基酸もしくはその無水物(c4)が、四塩基酸もしくはその無水物であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂である。
【0011】
第4の発明は、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)が10000〜50000、重量平均分子量(Mw1)が20000〜70000であることを特徴とする第1ないし第3いずれかの発明に記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂である。
【0012】
第5の発明は、 酸価が5〜40(mgKOH/g)であることを特徴とする第1ないし第4いずれかの発明に記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂である。
【0013】
第6の発明は、ガラス転移温度が30℃〜60℃であることを特徴とする第1ないし第5いずれかの発明に記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂である。
【0014】
第7の発明は、ジオール(c1)と、二塩基酸、二塩基酸無水物、及び二塩基酸のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のカルボン酸成分(c2)とを無溶剤下に反応させて水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を得、
次いで前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を溶剤に溶解した後、前記溶剤の沸点以下の温度で、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させることを特徴とする、数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの少なくとも1.2倍である、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の製造方法である。
【0015】
第8の発明は、四級アンモニウム塩の存在下に、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させることを特徴とする第7の発明に記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の製造方法である。
【0016】
第9の発明は、第7又は第8の発明に記載の製造方法によって得られるカルボキシル基を有するポリエステル樹脂である。
【0017】
第10の発明は、第1ないし第6、又は第9いずれかの発明に記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂とエポキシ化合物とを含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポリエステル樹脂は、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を、溶剤の存在下に多塩基酸もしくはその無水物と反応させてなるカルボキシル基を有するポリエステル樹脂であって、その反応方法を工夫することにより、カルボキシル基が分子途中に導入されることに特徴がある。
このように、本来、末端にしか官能基の存在しない直鎖型ポリエステル樹脂の分子途中にカルボキシル基を導入することにより、高凝集力で且つ架橋密度の高い被膜を形成できる。さらには、高酸価を付与することにより、基材との密着性に優れ、またアミノ樹脂等の硬化時にアウトガスを発生させる架橋剤を用いることなく、付加反応型の架橋剤を用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明で用いられる水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)は、ジオール(c1)と、二塩基酸、二塩基酸無水物、及び二塩基酸のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のカルボン酸成分(c2)とを反応させて得られる。
(c3)は、広く知られている多価アルコールと多価カルボン酸もしくはその無水物やアルキルエステルとの重縮合反応(エステル化反応ないしエステル交換反応)により合成することができる。
例えば、ジオール(c1)とカルボン酸成分(c2)とを反応釜に仕込み、加熱昇温することにより、エステル化反応またはエステル交換反応を行い、この反応で生じた水またはアルコールを留去しながら所定の酸価になるまで反応を続ける。必要に応じて、テトラブチルチタネート、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸亜鉛、酢酸スズなどの重合触媒を用いることが出来る。
この反応は常圧下、減圧下の何れで行っても良いが、高分子量にするためには減圧下での反応が好ましい。又分子量の調節はジオール(c1)と、カルボン酸成分(c2)との仕込み比等によって行うことができる。
なお、ジオール(c1)とカルボン酸成分(c2)との反応は、無溶剤下でおこなうことが好ましい。
ジオール(c1)とカルボン酸成分(c2)との反応は、脱水もしくは脱アルコール反応が始まる温度から徐々に昇温し、200〜250℃で数時間保持することが好ましく、220〜240℃で3〜5時間保持することがより好ましい。また、減圧下で高分子量にする場合には、5mmHg以下の減圧度で、230〜250℃で1〜8時間反応を続ける。
【0020】
本発明で用いられる水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の原料として、ジオール(c1)と、二塩基酸、二塩基酸無水物、及び二塩基酸のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のカルボン酸成分(c2)に特に制限はないが、得られる水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)としては、分岐型より直鎖型のものが好ましい。
即ち、原料として用いるジオール(c1)と、カルボン酸成分(c2)は、両者とも2官能であるが、必要に応じて3官能以上の多価アルコールや多塩基酸類を併用する場合には、アルコール成分・酸成分の内、それぞれ3モル%以下に留めることが好ましい。3官能以上のアルコール成分・酸成分が3モル%以上になると、分子量を大きくすることが出来ず、接着強度が低下する。
また、多価アルコール及び多塩基酸に特に制限はないが、ジオール(c1)、カルボン酸成分(c2)、および必要に応じて用いられる3官能以上の多価アルコールや多塩基酸類の組み合わせとしては、得られる水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)のガラス転移温度が30℃〜60℃になるように組み合わせることが好ましい。ガラス転移温度が30℃以下になると、本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂から得られる塗料や接着剤の耐熱性が低下したり、ブロッキング現象が生じやすい。一方、ガラス転移温度が60℃以上になると、加工性が低下したり、接着強度が低下する場合がある。
【0021】
本発明における水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の合成に用いる二塩基酸、二塩基酸無水物、あるいは二塩基酸のアルキルエステルであるカルボン酸成分(c2)のうち、芳香族ジカルボン酸類としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸等、
あるいはジメチルテレフタル酸、ジメチルイソフタル酸、ジメチル−5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香族ジカルボン酸アルキルエステルが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸類としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸類としては、(無水)コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸等が挙げられる。
カルボン酸成分(c2)は、得られる塗膜の硬度と可撓性を勘案してこれらのうちから適宜選択して使用することができる。
また、必要に応じて用いられる3官能以上の多価カルボン酸類としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸等が挙げられる。
【0022】
本発明における水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の合成に用いるジオール(c1)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAもしくはビスフェノールFにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加したもの、水添ビスフェノールA等の脂肪族二価アルコールが挙げられ、得られる塗膜の硬度と可撓性を勘案してこれらのうちから適宜選択して使用することができる。
また、必要に応じて用いられる3官能以上の多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0023】
本発明の水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)は10000〜50000、重量平均分子量(Mw1)は20000〜70000であることが好ましい。より好ましくは、数平均分子量(Mn1)は15000〜30000、重量平均分子量(Mw1)は25000〜60000である。
本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、前述のように水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を、溶剤の存在下に多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させて得られるものであり、その反応方法を工夫することにより、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の分子末端のみならず、末端以外の部位にもカルボキシル基を導入することに特徴がある。
なお、本発明でいう「多塩基酸」とは、「二塩基酸」は含まないものである。
さらに、本発明は、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を多塩基酸もしくはその無水物(c4)で鎖延長して分子量を増大することに特徴があり、本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの少なくとも1.2倍であることが重要である。
水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の分子量が小さいと、被膜の硬化時に、分子中に導入されたカルボキシル基と架橋剤との架橋点間分子量が小さくなり、強固な接着性を得ることが出来ない。
また、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)と多塩基酸もしくはその無水物(c4)との反応は逐次的に次々と鎖延長する反応ではなく、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の2分子づつが繋がって1分子を形成しているものと推察される。
カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの少なくとも1.2倍となるためには、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の分子の35%以上が2分子づつ繋がる必要があり、100%の分子が2分子づつ繋がると、前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの2倍となる。100%の分子が2分子づつ繋がり、さらにそれらが繋がった場合には2倍以上の分子量となる。
従って、本発明の分子量の大きなカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を得るためには、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の分子量もある程度大きくなければならない。
【0024】
また、本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの3倍以下であることが好ましい。3倍を超えると、得られる塗料や接着剤の粘度が高くなり、取り扱いや基材への塗布が困難になる。
【0025】
水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)と反応させる多塩基酸もしくはその無水物(c4)は、四塩基酸もしくはその無水物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば、(無水)ピロメリット酸やメチルシクロヘキセンテトラカルボン酸(二無水物)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(二無水物)、エチレングリコールビストリメリテート(二無水物)、グリセリルビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート等が挙げられる。
これらの内、(無水)ピロメリット酸やエチレングリコールビストリメリテート(二無水物)が反応制御や経済性の面で好ましい。これら四塩基酸もしくはその無水物の添加量としては、本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂に与える酸価で決められる。
例えば、エチレングリコールビストリメリテート(二無水物)を反応させる場合、酸価を5mgKOH/gとしたいときには、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(c3)100重量部に対して2.0重量部程度添加し、酸価を40mgKOH/gとしたい時には、15重量部程度添加すればよい。
四塩基酸もしくはその無水物の添加量が少ないと、水酸基を有するポリエステル樹脂末端の水酸基の当量に対して不足となり、鎖延長反応が不十分となり、十分に大きな分子量が得られなくなる。また四塩基酸もしくはその無水物の添加量が多過ぎると、水酸基を有するポリエステル樹脂末端の水酸基の当量に対して過剰となり、鎖延長反応が途中で停止してしまい、同様に十分に大きな分子量が得られなくなる。
【0026】
本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の酸価は5〜40mgKOH/gであることが望ましい。酸価が5mgKOH/g未満では、基材に対する密着性が不十分となりやすく、また架橋剤との架橋反応が不十分となりやすい。酸価が40mgKOH/gを超えると架橋剤との架橋が進み過ぎて密着性が低下したり、被膜の耐水性が低下したりする傾向にある。また、酸価が40mgKOH/g以上になるように多塩基酸もしくはその無水物を添加すると、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の分子量が、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の分子量より小さくなる場合がある。
【0027】
本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂のガラス転移温度は30℃〜60℃であることが好ましい。より好ましくは40℃〜50℃である。ガラス転移温度が30℃以下になると、得られる塗膜と基材との密着性は良好となるが、ポリエステル樹脂の凝集力が不十分となりやすく、凝集破壊を引き起こしやすくなる。ガラス転移温度が60℃以上になると、基材との界面において内部応力が増大し、密着性の低下を引き起こしやすくなる。
本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、塗料や接着剤に用いられるが、これらは常温の環境下だけではなく、低温や高温の環境下で使用される場合が多い。低温の環境下で使用される場合には、ポリエステル樹脂のガラス転移温度は低い方が好ましく、高温の環境下で使用される場合にはガラス転移温度は高い方が好ましい。
【0028】
本発明においては、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を溶剤に溶解した後、前記溶剤の沸点以下の温度、もしくは前記溶剤の沸点の温度で還流下に、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させることに特徴がある。即ち、このような方法によりカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)の少なくとも1.2倍となり得る。
【0029】
水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)と多塩基酸もしくはその無水物(c4)との反応は、溶剤の存在下においておこなうことが重要であり、使用できる溶剤としては、アルコール類やセロソルブ類のような、水酸基を有する溶剤を除いて、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)及びカルボキシル基を有するポリエステル樹脂のいずれも溶解するような溶剤であれば制限なく使用できる。
例えばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素類、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、
ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類の各種溶剤が挙げられ、これらの中でも芳香族炭化水素類とケトン類との混合溶剤が好適に用いられる。
これら溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いても良い。
水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)と多塩基酸もしくはその無水物(c4)との反応を無溶剤下でおこなった場合、目的の生成物が得られる以前にゲル化に至りやすい。
また、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)と多塩基酸もしくはその無水物(c4)との反応においては、反応温度は70〜140℃であることが好ましく、90〜120℃であることがより好ましい。
また、上記反応温度は、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を得るためのジオール(c1)とカルボン酸成分(c2)との反応における反応温度よりも低い温度であることが好ましい。
水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を溶剤に溶解して、比較的低い温度で多塩基酸もしくはその無水物(c4)を反応させることにより、前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの少なくとも1.2倍となり得る。
【0030】
本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を得るための、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)と多塩基酸もしくはその無水物(c4)との反応においては、四級アンモニウム塩を触媒として用いることが好ましい。
触媒として用いられる四級アンモニウム塩としては、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの触媒の添加量としては、反応温度にもよるが通常、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)100重量部に対して0.1〜1重量部用いられる。
【0031】
本発明のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、エポキシ化合物を架橋剤として配合したポリエステル樹脂組成物として特に好ましく用いられる。架橋剤としてはエポキシ化合物以外に、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、レゾール型フェノール樹脂等も好適に用いられる。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、及びアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−グリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタングリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン等が挙げられる。また、フェノールやクレゾールのノボラック型エポキシ樹脂やナフタレン型やジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等も挙げられる。これらは、それぞれ単独、または併用して用いることが出来る。
【0032】
アミノ樹脂の例としては、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等のアルデヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。このメチロール化アミノ樹脂のメチロール基を、炭素数1〜6のアルコールによってエーテル化したものも上記アミノ樹脂に含まれる。これらは、単独もしくは併用して使用できる。
【0033】
架橋剤として用いられるイソシアネート化合物の例としては、芳香族、脂環族、脂肪族のジイソシアネート化合物、3価以上のポリイソシアネート化合物があり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでも良い。例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、或いはこれらイソシアネート化合物の3量体、及びこれらイソシアネート化合物の過剰量と例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類等の高分子活性水素化合物等と反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。これらはそれぞれ単独または併用して使用できる。
【0034】
また、接着剤組成物や塗料組成物としてポットライフが必要な場合、イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートの使用が好ましい。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、
エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、
t−ブタノール、t−ペンタノール等の第3級アルコール類、
ε−カプロラクタム等のラクタム類
が挙げられ、その他、芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステル等の活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類、重亜硫酸ソーダ等も挙げられる。
ブロック化イソシアネート化合物は前記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の方法により、反応させて得られ、それぞれ単独、もしくは併用して使用できる。
【0035】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂/架橋剤が99/1〜50/50(重量比)の範囲内で含有することが好ましい。さらに好ましくは、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂/架橋剤が97/3〜60/40(重量比)の範囲内が良好な性能を示す。架橋剤の含有量が1%未満の場合、ポリエステル樹脂の硬化が不十分となり、強固な接着強度が得られない。架橋剤の含有量が50%を超えると硬化が過度になり、所謂硬化歪が生じて接着強度が低下する。エポキシ化合物やイソシアネート化合物を架橋剤として用いる場合には、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂のカルボキシル基と当量の架橋剤量とすることが好ましい。アミノ樹脂やレゾール型フェノール樹脂を架橋剤として用いる場合には、アミノ樹脂やレゾール型フェノール樹脂は自己縮合反応も生じるので、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量より多く用いた方が好ましい。
【0036】
本発明のポリエステル樹脂組成物には、硬化触媒を用いることが出来る。例えば、架橋剤にエポキシ化合物を用いる場合には3級アミン化合物、トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物等を使用することが出来る。架橋剤にアミノ樹脂やレゾール型フェノール樹脂を用いる場合には、p−トルエンスルフォン酸、ドデシルベンゼンスルフォン酸、ジノニルナフタレンジスルフォン酸等の有機スルフォン酸化合物やそれらのアミン中和物、リン酸化合物などを使用することが出来る。イソシアネート化合物を架橋剤として用いる場合には、3級アミン化合物、有機スズ化合物等を使用することが出来る。これらは単独もしくは2種類以上を任意に選択できる。
【0037】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、接着剤組成物として用いる場合には、必要に応じて難燃剤やフィラーを添加することが出来る。難燃剤としては、窒素系難燃剤、リン系難燃剤、無機物系難燃剤等が挙げられ、フィラーとしては、熱膨張収縮の抑制や疎水化を目的として、シリカ、アルミナ、珪藻土、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられる。一方、塗料組成物として用いる場合には、必要に応じて酸化チタンや有機顔料等の着色剤や、塗膜表面に潤滑性を付与するための、シリコーン系やワックス系の潤滑剤、消泡剤、分散剤等を添加しても良い。
【0038】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、前記したカルボキシル基を有するポリエステル樹脂と架橋剤とを公知の有機溶剤に溶解した状態で使用してもよいし、溶融押し出しで用いてもよい。使用する有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベッソ等の芳香族系炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエーテル類等が挙げられ、溶解性や蒸発速度等を考慮して選択される。
【0039】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、接着剤としては自動車・電気機器・電子機器・産業機器・建材等の用途に使用される各種プラスチック、プラスチックフィルム、金属、無機材料等の基材に対して強固な接着性を有するものとして、それらの分野で広く用いられるものである。一方、塗料用としては、家電・建材・自動車等に使用する金属材料やプラスチック材料、また、食品や飲料を入れる金属容器やキャップ等に広く用いられる。
プラスチックとしては、PET、PP、PE、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド等の各種プラスチック及びそれらのフィルムが用いられ、それらの素材そのままで、あるいはコロナ処理や、電子線照射、UV照射等の表面処理を施した素材が用いられる。
また、PVAやトリアセチルセルロース、シクロオレフィンフィルム等のフラットパネル光学用途フィルムの接着剤としても用いることが出来る。
金属素材としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅メッキ鋼板、ティンフリスチール、ニッケルメッキ鋼板、クロム処理鋼板、アルミニウム板等が用いられる。また、ポリイミドフィルムに銅箔をラミネートしてエッチング処理により電気回路を形成した所謂フレキシブルプリントサーキット(FPC)基板等にも好適に用いられる。
【0040】
本発明のポリエステル樹脂組成物を用いた接着剤組成物や塗料組成物は、刷毛塗りや、浸漬塗布、ロールコーター塗装、スプレー塗装、カーテン塗装等の従来公知の方法により塗布される。各種基材に直接塗布して硬化させる方法が一般的であるが、剥離紙等に塗布して、乾燥により有機溶剤を揮発させたフィルム状のものを基材に貼って、積層物を作った後に硬化させる方法も好適に用いられる。
【0041】
本発明のポリエステル樹脂組成物の硬化方法は、従来公知の各種方法を用いることが出来る。例えば、40〜60℃の温度で3日〜5日程度放置して硬化させる所謂エージング方法や、100℃〜150℃の温度で1時間〜3時間程度の硬化、180℃〜200℃の温度で5分〜10分程度の硬化、200℃以上の温度で数秒〜1分間程度の硬化方法等が用いられる。具体的な方法としては、恒温室でのエージングや、熱風乾燥炉、遠赤外線乾燥炉、高周波誘導加熱炉等の加熱方法が用いられる。また、加熱プレス機による加圧下での加熱等の方法も用いられることもある。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。実施例において単に部あるいは%とあるものは、重量部あるいは重量%をそれぞれ示す。
【0043】
合成例I:水酸基を有するポリエステル樹脂の合成
[合成例1](水酸基を有するポリエステル樹脂A−1の合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管及び還流脱水装置を備えたフラスコに、ジメチルテレフタル酸262.7部、エチレングリコール91.1部、ネオペンチルグリコール91.7部、2−メチル−1,3−プロパンジオール52.9部及び酢酸亜鉛0.035部を仕込んだ。原料を加熱溶融して撹拌できるようになったら撹拌を開始して、留出するメタノールを常圧下に系外に除きながら170℃から220℃まで3時間かけて徐々に昇温し、220℃で1時間保持した。内温を一旦170℃まで冷却し、イソフタル酸135.7部、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸65.9部を加え、留出する水を常圧下に系外に除きながら240℃まで3時間かけて昇温し、さらに240℃で保持して、酸価が14.6になるまで反応を続けた。次いで、テトラブチルチタネート0.056部を加え、1時間かけて10mmHgまで減圧初期重合を行い、その後、5mmHg以下に減圧して8時間重合を続け、目標分子量に達したことを確認して水酸基を有するポリエステル樹脂A−1を得た。その特性値を表−1に示す。
【0044】
[合成例2〜合成例5](水酸基を有するポリエステル樹脂A−2〜A−5の合成)
合成例1と同様の方法で、表−1の仕込みモル比に従って、それらの合計量を700部として合成を行い、表−1に示した特性値の水酸基を有するポリエステル樹脂A−2〜A−5を得た。
【0045】
合成例II:カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の合成
[合成例6](カルボキシル基を有するポリエステル樹脂B−1の合成)
合成例1で得られた水酸基を有するポリエステル樹脂A−1、100部をトルエン100部に溶解した。次いで無水ピロメリット酸を2.5部、TBAB(触媒:テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド)を0.5部加え、100℃で6時間反応を続けた。目標の酸価と分子量を確認し、さらにメチルエチルケトンを53.8部加えて均一に溶解した後取り出した。得られたカルボキシル基を有するポリエステル樹脂B−1の特性値を表−2に示す。
【0046】
[合成例7〜15](カルボキシル基を有するポリエステル樹脂B−2〜B−10の合成)
合成例6と同様の方法で、表−2の仕込み重量比に従って合成を行い、表−2に示した特性値のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂B−2〜B−10を得た。
【0047】
比較合成例
[比較合成例1](水酸基を有するポリエステル樹脂A−2の溶解)
合成例2で得られた水酸基を有するポリエステル樹脂A−2、100部をトルエン100部、メチルエチルケトン50部に溶解して、水酸基を有するポリエステル樹脂溶液C−1を得た。
【0048】
[比較合成例2](カルボキシル基を有するポリエステル樹脂C−2)
合成例2で得られた水酸基を有するポリエステル樹脂A−2、100部をトルエン100部に溶解した。次いで無水トリメリット酸を3.5部、TBABを0.5部加え、100℃で6時間反応を続けた。目標の酸価と分子量を確認し、さらにメチルエチルケトンを55.3部加えて均一に溶解した後取り出した。
得られたカルボキシル基を有するポリエステル樹脂C−2の特性値を表−2に示す。
【0049】
[比較合成例3、4](カルボキシル基を有するポリエステル樹脂C−3、C−4)
比較合成例2と同様の方法で、表−3の仕込み重量比と反応条件に従って合成を行い、表−3に示した特性値のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂C−3、C−4を得た。
【0050】
[比較合成例5、6](カルボキシル基を有するポリエステル樹脂C−5、C−6)
トルエンを用いずに無溶剤下で反応をおこなったこと以外は比較合成例2と同様に反応をおこなった。
なお、C−6は反応途中にゲル化したので、以後の評価は行わなかった。
【0051】
《分子量の測定》
合成例I、合成例II、比較合成例で合成した水酸基を有するポリエステル樹脂及びカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を、夫々0.1%の濃度でテトラヒドロフラン(THF)に溶解して、0.45μmのフィルターで濾過して試料とし、ゲル浸透型クロマトグラフィー(GPC)により測定した。測定装置には昭和電工製GPC101を用い、カラムはShodex KF−806L×2 + KF−804L + KF−802 の4本連結カラムを用いた。移動相には上記と同様のテトラヒドロフラン(THF)を用い、注入量200μl、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で測定を行った。分子量の算出は標準ポリスチレン換算で行った。
【0052】
《酸価の測定》
ポリエステル樹脂1gをトルエン/イソプロピルアルコール=2/1(重量)の混合溶剤20mlに溶解し、0.1mol/LのKOHエタノール溶液で滴定して、樹脂1g当りのKOHのmg数を求めた。
【0053】
《ガラス転移温度の測定》
示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/minの昇温速度で測定した。
上記、分子量、酸価、ガラス転移温度の結果を表−1、表−2、表−3に示す。
【0054】
実施例I(FPC用接着剤)
[実施例I−1]
合成例IIで得られたカルボキシル基を有するポリエステル樹脂(B−1)を樹脂分換算(以下樹脂分換算で示す)で90部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828を10部、メチルエチルケトンを用いて固形分濃度が30%となるように混合溶解して、接着剤溶液を得た。
【0055】
[実施例I−2〜9]
実施例1と同様の方法で、表−4の組成に従って接着剤溶液を得た。
【0056】
比較例(FPC用接着剤)
[比較例I−1〜6]
実施例1と同様の方法で、表−4の組成に従って接着剤溶液を得た。
【0057】
(I)FPC用接着剤としての評価
1.接着強度試験
上記接着剤溶液を厚さ50μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の厚みが30μmと なる様に塗布し80℃で2分乾燥して接着剤積層物を得た。次に厚さ50μmのポリイ ミドフィルム上に、上記接着剤積層物を接着剤層の面がポリイミドフィルムと接する様 に重ね合わせ、80℃、1kgf/cm2、100mm/minの条件でラミネートし た。
この様にして得られた、ポリイミドフィルム/接着剤/ポリイミドフィルムの積層物 を加熱プレス機にて、150℃、10MPa、の条件下で2分間熱圧着した後、150 ℃のオーブンで3時間熱処理して硬化させた。このサンプルを10mmの幅にカットし て、引っ張り速度50mm/minで180度剥離試験を行った。
【0058】
2.半田耐熱性試験(常態)
上記接着強度試験で作製したサンプルを10mmの幅にカットしたものを、260℃ で溶融した鉛フリー半田浴に1分間平らに乗せた後、取り出して接着剤層の発泡状態を 観察した。
〇 :試験前の状態と全く変化なし
〇△:試験片に5個以下の膨れが発生
△ :試験片の面積の1/2に膨れが発生
× :試験片全面に膨れが発生
【0059】
3.半田耐熱試験(加湿処理後)
上記接着強度試験で作製したサンプルを10mmの幅にカットしたものを、40℃、 80%加湿下にて2日間放置した後、260℃で溶融した鉛フリー半田浴に1分間平ら に乗せた後、取り出して接着剤層の発泡状態を観察した。
〇 :試験前の状態と全く変化なし
〇△:試験片に5個以下の膨れが発生
△ :試験片の面積の1/2に膨れが発生
× :試験片全面に膨れが発生
【0060】
4.耐マイグレーション性
接着剤溶液を厚さ25μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の厚みが30μmとなる ように塗布し、80℃で2分間乾燥させた。この様にして得られた接着剤積層物を厚さ 35μmの圧延銅箔と貼り合せる際、圧延銅箔の酸処理面が接着剤層と接するようにし て、150℃、10MPaの加圧下で2分間プレスした。得られた、ポリイミドフィル ム/接着剤/圧延銅箔の積層物を150℃にて3時間熱処理して硬化させた。この様に して銅貼り積層板を得た。この銅貼り積層板を常法により銅箔面にフォトレジスト塗布 、パターン露光、現像、銅箔パターンエッチング、フォトレジスト剥離工程を経て、銅 線間が100μmとなる櫛型のパターン基板を形成した。
また、上記接着剤溶液を厚さ50μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の厚みが30 μmとなる様に塗布し、80℃で2分間乾燥させた。この積層物を140℃で1時間熱 処理してフレキシブルプリント配線板用カバーフィルムを得た。このカバーフイルムの 接着剤層と上記パターン基板のパターン形成面とを貼り合わせ、150℃、10MPa の加圧下にて2分間プレスし、ラミネートした。この積層物を150℃にて3時間熱処 理して目的のサンプルを得た。この様にして得られた耐マイグレーション試験用FPC について、温度85℃、湿度85%の環境下で、印加電圧DC24V、1000時間の 導電試験を行った。
〇 :短絡の発生、及び基板の変色が全くなし
〇△:短絡の発生は無いが、基板が僅かに変色
△ :600時間で短絡が発生、基板の変色が著しい
× :300時間で短絡が発生、基板の変色が著しい
上記1〜4までの結果を表−4に示す。
【0061】
実施例II(一般用接着剤)
[実施例II−1]
合成例IIで得られたカルボキシル基を有するポリエステル樹脂(B−2)を樹脂分換算(以下樹脂分換算で示す)で90部、多官能エポキシ化合物エピコート1031Sを10部、メチルエチルケトンを用いて固形分濃度が30%となるように混合溶解して、接着剤溶液を得た。この接着剤溶液を用いて、乾燥後の厚みが30μmとなる様に離形紙に塗布し、80℃で2分間乾燥させた。この様な方法で離形紙/接着剤層の積層物を作製した。
【0062】
[実施例II−2〜7]
実施例1と同様の方法で、表−5の組成に従って接着剤溶液を得、同様の方法で接着剤積層物を作製した。
【0063】
比較例(一般接着剤)
[比較例II−1〜5]
実施例1と同様の方法で、表−5の組成に従って接着剤溶液を得、同様の方法で接着剤積層物を作製した。
【0064】
(II)一般接着剤としての評価
1.接着強度の測定
(1)亜鉛鋼板/亜鉛鋼板
表面を脱脂した亜鉛鋼板(0.5mm厚×15mm幅×100mm長)に、実施例I I−1〜7、比較例II−1〜5で作製した接着剤積層物を接着剤層の面を亜鉛鋼板に 接するようにして重ね合わせ、80℃、1kgf/cm2、200m/minの条件で ラミネートした。次に、離形紙を剥がして露出した接着剤層の面に、もう一方の亜鉛鋼 板を重ね合わせ、80℃、1kgf/cm2、200m/minの条件でラミネートし て、亜鉛鋼板/接着剤層/亜鉛鋼板の積層物を得た。この積層物を、150℃、3MP aの加圧下で2分間プレスして、接着強度測定用サンプルを作製した。
(2)亜鉛鋼板/ウレタンゴム
(1)と同様の方法で亜鉛鋼板/接着剤層をラミネートし、離形紙を剥がして露出した 接着剤層の面に、ウレタンゴムシート(2mm厚×15mm幅×100mm長)を重ね 合わせて、(1)と同様の方法で接着強度測定用サンプルを作製した。
(3)アルミニウム板/アルミニウム板
(1)と同様の方法で、表面を脱脂したアルミニウム板(5182Al材、0.28m m厚×15mm幅×100mm長)に、接着剤積層物を重ねあわせ、同様の方法で、ア ルミニウム板/接着剤層/アルミニウム板の積層物を作製した。
(4)コロナ処理PET/コロナ処理PET
(1)と同様の方法で、コロナ表面処理を施したPET(ポリエチレンテレフタレート )フィルム(100μm厚×15mm幅×100mm長)同士を接着剤層を介して貼り 合わせて、接着強度測定用サンプルを作製した。
【0065】
上記(1)(2)(3)(4)で作製した接着強度測定用サンプルについて、引っ張り速度50mm/minで180度剥離試験を行った。その結果を表−5に示す。
【0066】
実施例III(塗料)
[実施例III−1]
合成例IIで得られたカルボキシル基を有するポリエステル樹脂(B−1)を樹脂分換算(以下樹脂分換算で示す)で90部、多官能エポキシ化合物エピコート1031Sを10部、メチルエチルケトンを用いて固形分濃度が30%となるように混合溶解した。これに酸化チタン(タイペークCR−93、石原産業製)100部を加えて、アイガーミルにて顔料分散を行い、ホワイト塗料を作製した。
【0067】
[実施例III−2〜6、比較例III−1〜5]
実施例1と同様の方法で、表−6の組成に従って、ホワイト塗料を作製した。
【0068】
実施例III−1〜6及び比較例III−1〜5で得られたホワイト塗料を、厚さ0.25mmのブリキ板に乾燥後の膜厚が8〜10μmとなる様に塗布し、200℃のオーブン中で10分間焼付けを行って、試験板を作製した。
【0069】
(III)塗料としての評価
1.硬化性試験
試験片の表面にメチルエチルケトン(MEK)溶剤を浸した脱脂綿を当てて、これに加重1kgを掛けながら往復させる。その際、素地に達した往復回数から硬化の程度を判断した。
◎ :優良、50回以上
〇△:良好、20回以上〜50回未満
△ :やや硬化不良、5回以上〜20回未満
× :未硬化、5回未満
2.折り曲げ加工性試験
試験板を3cm×5cmの大きさに裁断し、塗膜面を外側にして、折り曲げ部の幅が3cmとなるようにして、厚さ0.25mmのブリキ板を一枚はさんで試験片を180度折り曲げ、1kgの錘を50cmの高さから落下させて試験片を完全に折り曲げる。この曲げ加工部を、1%食塩水溶液に浸漬したスポンジに接触させ、6Vの電圧をかけたときの通電量(mA、少ないほど折り曲げ加工性が良好)により、評価した。
◎ :優良、1mA以下
〇△:良好、1mA以上〜5mA未満
△ :やや折り曲げ加工性不良、5mA以上〜20mA未満
× :折り曲げ加工性不良、20mA以上
3.絞り加工性
塗膜面を外側にして、直径3cm、深さ3cmのキャップ形に絞り加工を行い、そのキャップを沸騰水中で30分間、熱水処理を行った。キャップ壁面の塗膜の剥離状態を観察した。
◎ :優良、キャップの壁面に剥離が認められない
〇△:良好、キャップの底面から5mmの高さまで剥離が発生
△ :絞り加工性不良、キャップの底面から10mmの高さまで剥離が発生
× :絞り加工性不良、キャップの底面から10mmを超える高さまで剥離が発生
4.耐ブロッキング試験
試験板を10cm×10cmの大きさに切り、試験板の塗膜面とブリキ板を重ね合わ せて、40℃、5kgf/cm2の条件で1時間プレスした後、試験板を固定して、ブ リキ板を引っ張り試験機にて100mm/minの速度で面方向に引き剥がし、その時 の引っ張り荷重で耐ブロッキング性を評価した(50g未満が実用レベル)。
◎ :優良、10g未満
〇△:良好、10g以上〜50g未満
△ :やや耐ブロッキング性不良、50g以上〜100g未満
× :耐ブロッキング性不良、100g以上
上記1〜4までの試験結果を表−6に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオール(c1)と、二塩基酸、二塩基酸無水物、及び二塩基酸のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のカルボン酸成分(c2)とを反応させてなる、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を、溶剤の存在下で多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させてなるカルボキシル基を有するポリエステル樹脂であって、該カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの少なくとも1.2倍であることを特徴とするカルボキシル基を有するポリエステル樹脂。
【請求項2】
カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの3倍以下であることを特徴とする請求項1記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂。
【請求項3】
多塩基酸もしくはその無水物(c4)が、四塩基酸もしくはその無水物であることを特徴とする請求項1又は2記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂。
【請求項4】
水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)が10000〜50000、重量平均分子量(Mw1)が20000〜70000であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂。
【請求項5】
酸価が5〜40(mgKOH/g)であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂。
【請求項6】
ガラス転移温度が30℃〜60℃であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂。
【請求項7】
ジオール(c1)と、二塩基酸、二塩基酸無水物、及び二塩基酸のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のカルボン酸成分(c2)とを無溶剤下に反応させて水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を得、
次いで前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を溶剤に溶解した後、前記溶剤の沸点以下の温度で、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させることを特徴とする、数平均分子量(Mn2)及び重量平均分子量(Mw2)のいずれもが前記水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)の数平均分子量(Mn1)及び重量平均分子量(Mw1)それぞれの少なくとも1.2倍である、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項8】
四級アンモニウム塩の存在下に、水酸基を有するポリエステル樹脂(c3)を多塩基酸もしくはその無水物(c4)と反応させることを特徴とする請求項7記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の製造方法によって得られるカルボキシル基を有するポリエステル樹脂。
【請求項10】
請求項1ないし6、又は請求項9いずれか記載のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂とエポキシ化合物とを含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。


【公開番号】特開2007−246802(P2007−246802A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74288(P2006−74288)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】