説明

ポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物

【課題】 耐熱性、弾性及び強度に優れ、弾性や強度の温度依存性が低いポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 少なくともテレフタル酸及びイソフタル酸を含有する多価カルボン酸混合物(x)と炭素数2〜3の脂肪族直鎖ジオール(y)から得られる数平均分子量が500〜5,000のポリエステルジオール(a)を含有するジオール成分(A)と有機ジイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(P)と、炭素数2〜8の直鎖アルキレンジアミン、炭素数6〜15の脂環式ジアミン及び芳香環を1個以上有するジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミン(C)とから得られるポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物であって、該樹脂組成中のウレア基濃度が0.3〜1.5ミリモル/gであることを特徴とするポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性、機械的特性及び加工適性に優れ、かつこれらの特性の温度変化が少ないポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル系ウレタンはジイソシアネート化合物、ポリエステル系ポリオールを反応させることにより得られる重合体で、機械的強度、耐磨耗性、弾性及び成形加工性に優れていることから、チューブ、ホース、ベルト、フィルム、弾性糸及び各種射出成形部品等に幅広く利用されている。
【0003】
一方、ポリエステル系ウレタンの物性は温度の影響を受けやすいことも知られており、温度に対して弾性や強度等機械特性が大きく減少するため、自動車のエンジン周り等の高温環境下で使用され耐熱性を要望される成形品においては信頼性が低くなってしまうという問題や高温成形で成形温度の影響を受けやすいためロットぶれを生じやすいという問題が生じる。
また、自動車のエンジン周り等の成形部材には高温環境下でも高弾性を発現する要望がますます高まっている。
【0004】
上記問題点を解決することを目的として、エステル基濃度とウレタン基濃度の含有量を特定の範囲にすることで、温度依存性を低くしかつ弾性を向上する方法が提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
しかし、特許文献1及び2に記載の発明は、弾性や強度の温度依存性を低くすることができるものの、耐熱性と弾性が十分でないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−119239号公報
【特許文献2】特開平7−179553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、耐熱性、弾性及び強度に優れ、弾性や強度の温度依存性が低いポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。即ち本発明は、少なくともテレフタル酸及びイソフタル酸を含有する多価カルボン酸混合物(x)と炭素数2〜3の脂肪族直鎖ジオール(y)から得られる数平均分子量が500〜5,000のポリエステルジオール(a)を含有するジオール成分(A)と有機ジイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(P)と、炭素数2〜8の直鎖アルキレンジアミン、炭素数6〜15の脂環式ジアミン及び芳香環を1個以上有するジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミン(C)とから得られるポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物であって、該樹脂組成中のウレア基濃度が0.3〜1.5ミリモル/gであることを特徴とするポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物は、耐熱性、弾性及び強度に優れると共に弾性や強度の温度依存性が低い。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物は、特定のポリエステルジオール(a)を含有するジオール成分(A)と有機ジイソシアネート成分(B)から得られるイソシアネート基末端プレポリマー(P)と、ジアミン(C)とを反応させることにより得られる。
樹脂組成物に特定のポリエステルジオール(a)を使用すると共に、イソシアネート基とジアミンの反応によりウレア基を導入してその濃度を特定の範囲に設定することにより、耐熱性、弾性及び強度を向上させ、かつ、弾性や強度の温度依存性を低く抑えることができる。
【0010】
ジオール成分(A)としては、必須成分としてのポリエステルジオール(a)と任意成分としてのその他のジオールが挙げられる。
【0011】
必須成分のポリエステルジオール(a)は、少なくともテレフタル酸及びイソフタル酸を含有する多価カルボン酸混合物(x)と炭素数2〜3の脂肪族直鎖ジオール(y)から得られる数平均分子量が(以下、Mnと略記)500〜5,000のポリエステルジオールである。
【0012】
テレフタル酸及びイソフタル酸以外の多価カルボン酸混合物としては、炭素数8〜16の芳香族多価カルボン酸(フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、トリメリット酸及びピロメリット酸等)及び炭素数3〜8の脂肪族多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸及びメサコン酸等)が挙げられる。これらの内、微架橋による耐熱性、弾性及び強度の向上の観点から好ましいものは、トリメリット酸及びピロメリット酸である。
テレフタル酸及びイソフタル酸以外の多価カルボン酸は2種以上を併用することができる。
【0013】
多価カルボン酸混合物(x)におけるテレフタル酸及びイソフタル酸の含有量は、耐熱性、弾性及び強度の向上の観点から、通常60〜100モル%、好ましくは80〜100モル%である。
【0014】
炭素数2〜3の脂肪族直鎖ジオール(y)としては、エチレングリコール及び1,3−プロピレングリコールが挙げられ、これらのジオールは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、高い凝集力を得る観点から、エチレングリコールが好ましい。
【0015】
ポリエステルジオール(a)のMnは、耐熱性、弾性及び強度を向上させ、弾性や強度の温度依存性を低くする観点から、通常500〜5,000、好ましくは600〜3,000、更に好ましくは700〜2,500である。
【0016】
ポリエステルジオール(a)の製造方法は特に限定されず、公知の重縮合反応等を用いることができる。但し、末端を水酸基にするために、多価カルボン酸混合物(x)に対して炭素数2〜3の脂肪族直鎖ジオール(y)を過剰モル使用する必要がある。(x)に対する(y)の比率は、カルボキシル基に対する水酸基の当量比(OH/COOH)として、通常1.01〜1.5、好ましくは1.05〜1.4、更に好ましくは1.07〜1.35である。
【0017】
重縮合反応に際して、必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒としては、スズ含有触媒(ジブチルスズオキシド等)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[チタンアルコキシド、シュウ酸チタニルカリウム、テレフタル酸チタン、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等]、ジルコニウム含有触媒(酢酸ジルコニル等)、及び酢酸亜鉛が挙げられる。これらの内好ましいものはチタン含有触媒である。
【0018】
また、重縮合反応を確実に行う観点から、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度150〜280℃で行うことが好ましく、反応温度は更に好ましくは170〜260℃、特に好ましくは190〜240℃である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
【0019】
任意成分としてのその他のジオールとしては、Mnが500〜5,000のポリオキシアルキレンジオール、Mnが500〜5,000のポリカーボネートジオール及びこれらの混合物等が挙げられる。その他のジオールは、後述する芳香環を1個以上有し更にイミド基を有するジアミンを構成成分として使用する際に、樹脂組成物の成形性を向上させる観点から特に有用となる。
【0020】
ポリオキシアルキレンジオールとしては、脂肪族直鎖オキシアルキレンジオール及びビスフェノール類含有のオキシアルキレンジオール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
脂肪族直鎖オキシアルキレンジオールとしては、例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール及びポリオキシエチレンオキサイドとポリオキシプロピレンオキサイドの共重合体からなるジオールが挙げられる。
【0022】
ビスフェノール類含有のオキシアルキレンジオールとしては、例えば、ビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン)、ビスフェノールF(4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン)、ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等のビスフェノールのエチレンオキサイド付加物及びこれらの混合物が挙げられ、耐熱性の向上の観点から好ましいのは、ポリオキシテトラメチレングリコール及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物であり、更に好ましいのはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物である。
【0023】
ポリカーボネートジオールとしては、炭素数が1〜18の直鎖ジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート及びエチレンカーボネート等)と炭素数2〜18のジオール(チレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及びポリオキシエチレングリコール等)との反応により得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。
これらの内、耐熱性の向上の観点から好ましいものは、ジメチルカーボネートと1,6−ヘキサンジオールの反応により得られるポリカーボネートジオールである。
【0024】
ポリオキシアルキレンジオール及びポリカーボネートジオールのMnは、耐熱性、弾性及び強度を向上させ、弾性や強度の温度依存性を低くする観点から、通常500〜5,000、好ましくは700〜4,000、更に好ましくは1,000〜2,500である。
【0025】
ジオール成分(A)におけるポリエステルジオール(a)の含有量は、耐熱性、弾性及び強度を向上させ、弾性や強度の温度依存性を低くする観点から、ジオール成分(A)の重量を基準として、通常40〜100重量%、好ましくは60〜100重量%、更に好ましくは80〜100重量%である。
【0026】
本発明における有機ジイソシアネート成分(B)としては、炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート、炭素数6〜15の脂環式ジイソシアネート及び炭素数8〜19の芳香族ジイソシアネートが挙げられ、これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0027】
炭素数4〜12の脂肪族ジイソシアネートとして、例えば1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート及びビス(2−イソシアナトエチル)カーボネートが挙げられる。
【0028】
炭素数6〜15の脂環式ジイソシアネートとして、例えばイソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,4−シクロヘキサンジイソシアネートが挙げられる。
【0029】
炭素数8〜20の芳香族ジイソシアネートとして、例えばトリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びテトラメチルキシレンジイソシアネートが挙げられる。
【0030】
これらの内、弾性及び強度の向上の観点から好ましいものは、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの混合物であり、更に好ましいのは、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの混合物、特に好ましいのは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0031】
ジオール成分(A)と有機ジイソシアネート成分(B)からイソシアネート基末端プレポリマー(P)を製造する方法は特に限定されず、公知の方法等を用いることができる。
例えば、ジオール成分(A)と有機ジイソシアネート成分(B)を有機溶媒中で、反応温度20℃〜150℃(好ましくは60℃〜110℃)で反応させることによりイソシアネート基末端プレポリマー(P)を得ることができる。
【0032】
有機溶媒としては、一般的にイソシアネート基末端プレポリマーを製造する際に使用される公知の有機溶媒が使用でき、例えばエーテル系溶剤[テトラヒドロフラン(以下、THFと略記)]、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、アミド系溶剤(N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン等)、及び芳香族炭化水素系溶剤(トルエン及びキシレン等)等が挙げられる。
【0033】
但し、末端をイソシアネート基にするためには、(A)に対して(B)を過剰モル使用する必要がある。(A)に対する(B)の比率は、水酸基に対するイソシアネート基の当量比(NCO/OH)として、通常1.4〜2、好ましくは1.6〜2、更に好ましくは1.8〜2、特に好ましくは2である。
【0034】
イソシアネート基末端プレポリマー(P)と反応させるジアミン(C)としては、炭素数2〜8の直鎖アルキレンジアミン、炭素数6〜15の脂環式ジアミン及び芳香環を1個以上有する炭素数6〜74のジアミン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
炭素数2〜8の直鎖アルキレンジアミンとしては、例えば1,2−エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン及び1,6−ヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
炭素数6〜15の脂環式ジアミンとしては、例えば4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン及びイソホロンジアミンが挙げられる。
【0036】
芳香環を1個以上有する炭素数6〜74のジアミンとしては、芳香環を1個以上有しイミド基を有しないジアミン及び芳香環を1個以上有し更にイミド基を有するジアミン等が挙げられる。
芳香環を1個以上有しイミド基を有しないジアミンとしては、例えば炭素数6〜27の芳香族ジアミン(4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−キシレンジアミン、テトラメチルキシレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び1,4−フェニレンジアミン等)が挙げられる。
【0037】
芳香環を1個以上有し更にイミド基を有するジアミンとしては、前記炭素数2〜8の直鎖アルキレンジアミン、炭素数6〜15の脂環式ジアミン又は芳香環を1個以上有しイミド基を有しないジアミンと、芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる炭素数14〜74のジアミン等が挙げられ、溶剤溶解性及びイソシアネート基末端プレポリマーとの反応性観点から好ましいのは、ジアミンと芳香族テトラカルボン酸無水物をモル比で2:1の量で反応させて得られるイミド基含有ジアミンである。
【0038】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物及び2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等の炭素数10〜20の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、耐熱性、弾性及び強度の向上の観点から好ましいのはピロメリット酸二無水物である。
【0039】
イミド基含有ジアミンの製造に使用するジアミンとしては、耐熱性、弾性及び強度の向上の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
【0040】
芳香環を1個以上有し更にイミド基を有するジアミンは、一般的なポリイミドの合成方法によって容易に製造することができ、製法は特に限定されない。例えば、前記ジアミンと前記芳香族テトラカルボン酸二無水物とを、ジアミンが過剰になるような条件(好ましくはモル比2:1)で、溶媒中で室温から60℃の間で加熱攪拌してポリアミック酸を製造した後、更に150〜250℃で30分から5時間程度、加熱脱水閉環し、メタノール等の貧溶媒に投入することにより得られる。
【0041】
上記でジアミン(C)として例示したものの内、耐熱性、弾性及び強度の向上の観点から好ましいものは、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1個以上の芳香環とイミド基を含有するジアミン及びこれらの併用であり、更に好ましいのは、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、メチレンジアニリン、1個以上の芳香環とイミド基を含有するジアミン及びこれらの併用、特に好ましいのは1,6−ヘキサメチレンジアミン及び1個以上の芳香環とイミド基を含有するジアミン、最も好ましいのは、1個以上の芳香環とイミド基を含有するジアミンである。
【0042】
イソシアネート基末端プレポリマー(P)をジアミン(C)で伸長することにより、本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物が得られる。
ジアミン(C)で伸長する方法は方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、イソシアネート基末端プレポリマー(P)を前記有機溶媒(THF等)の存在下又は非存在下で、攪拌下に、ジアミン(C)を徐々に加えていくことで、製造することができる。尚、得られる樹脂組成物の分子量分布を狭くする観点から、反応温度は0〜60℃が好ましく、更に好ましくは15〜40℃である。
【0043】
ポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物の分子量を大きくして、十分な機械的物性(弾性及び強度)を発現させる観点から、イソシアネート基末端プレポリマー(P)とジアミン(C)の反応比率は、イソシアネート基とアミノ基が等モルになるような条件で行うことが好ましい。
【0044】
有機溶剤の存在下でアミン伸長した場合は、減圧下で溶剤を留去する方法等により、樹脂組成物が得られる。
【0045】
本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物中のウレア基濃度は、耐熱性、弾性及び強度を向上させ、弾性や強度の温度依存性を低くする観点から、通常0.3〜1.5ミリモル/g、好ましくは、0.5〜1.2ミリモル/gである。
【0046】
本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物中のイミド基濃度は、耐熱性、弾性及び強度を向上させ、弾性や強度の温度依存性を低くする観点から、0.3〜1.5ミリモル/gであることが好ましく、更に好ましくは、0.5〜1.2ミリモル/gである。
【0047】
本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物中のMnは、耐熱性、弾性及び強度の観点から、通常8,000〜800,000、好ましくは15,000〜600,000、更に好ましくは25,000〜400,000である。同様に重量平均分子量(以下、Mwと略記)は、通常10,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜700,000、更に好ましくは30,000〜500,000である。
【0048】
本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物は、強化繊維を含有することにより、耐熱性、弾性及び強度が更に向上する。
【0049】
強化繊維としては、カーボン繊維及びガラス繊維等が挙げられ、ハンドリング性の観点から、平均繊維長さ0.01〜1mm、平均繊維径5〜15μmのカーボン繊維及び平均繊維長さ2〜7mm、平均繊維直径8〜15μmのチョップドタイプのガラス繊維が好ましく、コストの観点からガラス繊維が更に好ましい。
強化繊維を使用する場合、その使用量は、弾性及び強度の向上の観点から、樹脂組成物と強化繊維の重量比(樹脂組成物/強化繊維)として95/5〜20/80、好ましくは85/15〜40/60、更に好ましくは75/25〜65/35である。
【0050】
樹脂組成物と強化繊維から繊維強化樹脂組成物を製造する方法は特に限定されず、公知の方法で得ることができる。例えば、樹脂組成物と強化繊維を予備混合した後、2軸押出機のホッパーに投入し、高温のシリンダーで溶融混練して得ることができる。シリンダーの温度は、樹脂粘度を考慮した成形性の観点から、通常は240〜350℃、好ましくは260〜330℃、更に好ましくは275〜325℃である。
【0051】
本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を射出成形、押出成形、圧縮成形、延伸成形及び共押出等の方法により成形することで耐熱性に優れる成形品を得ることができる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部を示す。尚、本発明における各測定値は、以下に記載の方法で測定された値である。
【0053】
[Mn及びMwの測定方法]
Mn及びMwは、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
【0054】
[水酸基価の測定方法]
水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される。
【0055】
[ポリエステルジオールの粘度が1000Paになる温度の測定方法]
ポリエステルジオールの粘度が1000Paになる温度は、降下式フローテスター[例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D]を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を粘度が1000Paになる温度とする。
【0056】
[切断時引張応力及びの測定方法]
切断時引張応力は、3号型ダンベル型試験片を作製し、JIS K 6251に準拠して測定される。
【0057】
[貯蔵弾性率の測定方法]
貯蔵弾性率(G’)は、下記粘弾性測定装置を用いて測定される。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
【0058】
[貯蔵弾性率の温度依存性の評価方法]
一般的に温度の上昇と共に貯蔵弾性率は減少するため、180℃における貯蔵弾性率(G’180)に対する130℃における貯蔵弾性率(G’130)の比率[(G’130)/(G’180)]を貯蔵弾性率の温度依存性の評価尺度とし、以下の基準で貯蔵弾性率の温度依存性を評価した。尚、[(G’130)/(G’180)]の値が1に近いほど貯蔵弾性率の温度依存性が低い。一般的に貯蔵弾性率が増減すると弾性や強度も増減するという関係があるため、貯蔵弾性率の温度依存性が低いほど弾性および強度の温度依存性も低い。
◎:(G’130)/(G’180)≦3
○:3<(G’130)/(G’180)≦10
×:10<(G’130)/(G’180
【0059】
[耐熱性の評価方法]
一般的に温度の上昇と共に貯蔵弾性率は減少し、ある温度を境として急激に減少する。この急激に変化する温度が高いほど耐熱性に優れる。よって、10℃昇温することにより貯蔵弾性率が1/10となる温度の内、100℃以上の温度領域で最も低い温度(T1)を耐熱性の評価尺度とした。
【0060】
製造例1
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、エチレングリコール150部、テレフタル酸100部、イソフタル酸100部及び縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム0.5部を入れ、220℃まで徐々に昇温しながら窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら反応させた。次いで0.67〜2.67kPaの減圧下でエチレングリコールを留去しながら反応させ、粘度が1000Paになる温度が120℃になった時点で取り出し、ポリエステルジオール(1)を得た。留去したエチレングリコールの量は66.5部であり、ポリエステルジオール(1)の水酸基価は28、Mnは3,990であった。
【0061】
製造例2
粘度が1000Paになる温度が90℃になった時点で取り出した以外は、製造例1と同様にしてポリエステルジオール(2)を得た。留去したエチレングリコールの量は77.0部であり、ポリエステルジオール(2)の水酸基価は50、Mnは2,250であった。
【0062】
製造例3
粘度が1000Paになる温度が65℃になった時点で取り出した以外は、製造例1と同様にしてポリエステルジオール(3)を得た。留去したエチレングリコールの量は51.5部であり、ポリエステルジオール(3)の水酸基価は150、Mnは750であった。
【0063】
製造例4
反応槽にジアミノジフェニルエーテル24部とN−メチルピロリドン120部を仕込み、攪拌して均一溶液にした後、ピロメリット酸無水物13部を加え、窒素雰囲気下、室温で8時間攪拌して重合反応を行った後、更に180℃で3時間反応を行った。この反応溶液を大量のメタノール中に注ぎ、得られた沈殿を濾別・乾燥し、イミド基含有ジアミン(1)を得た。
【0064】
製造例5
ジアミノジフェニルエーテルの部数を42部に、N−メチルピロリドンの部数を240部に、ピロメリット酸無水物の部数を23部に代えた以外は、製造例4と同様にして、イミド基含有ジアミン(2)を得た。
【0065】
製造例6
ジアミノジフェニルエーテルの部数を136部に、N−メチルピロリドンの部数を480部に、ピロメリット酸無水物の部数74部に代えた以外は、製造例4と同様にして、イミド基含有ジアミン(3)を得た。
【0066】
製造例7
ジアミノジフェニルエーテルの部数を240部に、N−メチルピロリドンの部数を600部に、ピロメリット酸無水物の部数を131部に代えた以外は、製造例4と同様にして、イミド基含有ジアミン(4)を得た。
【0067】
比較製造例1
エチレングリコール150部をヘキサメチレングリコール160部に、留去する対象をエチレングリコールからヘキサメチレングリコールに代え、粘度が1000Paになる温度が105℃になった時点で取り出した以外は、製造例1と同様にしてポリエステルジオール(4)を得た。留去したヘキサメチレングリコールの量は5.0部であり、ポリエステルジオール(4)の水酸基価は50、Mnは2,280であった。
【0068】
比較製造例2
粘度が1000Paになる温度が50℃になった時点で取り出した以外は、製造例1と同様にしてポリエステルジオール(5)を得た。留去したエチレングリコールの量は33.0部であり、ポリエステルジオールの水酸基価は280、Mnは400であった。
【0069】
比較製造例3
粘度が1000Paになる温度が155℃になった時点で取り出した以外は、製造例1と同様にしてポリエステルジオール(6)を得た。留去したエチレングリコールの量は116.5部であり、ポリエステルジオール(6)の水酸基価は14、Mnは8,020であった。
【0070】
実施例1
反応槽に製造例2で得られたポリエステルジオール(2)238.5部、THF556.5部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート53部を仕込み、密閉下50℃で6時間反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(1)を得た。
反応槽中に上記イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(1)795部を仕込み、1,6−ヘキサメチレンジアミン12部をTHF12部に溶解した溶液を徐々に滴下して加え、室温で1時間反応を行った。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥してポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を得た。
【0071】
実施例2
反応槽に製造例1で得られた上述のポリエステルジオール(1)240部、THF561.5部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート30部を仕込み、密閉下50℃で6時間反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(2)を得た。
反応槽中に上記イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(2)801.5部を仕込み、製造例4で得られたイミド基含有ジアミン(1)33.8部をTHF50部に溶解した溶液を徐々に滴下して加え、室温で1時間反応を行った。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥してポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を得た。
【0072】
実施例3
反応槽に製造例2で得られたポリエステルジオール(2)238.5部、THF556.6部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート53部を仕込み、密閉下50℃で6時間反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(3)を得た。
反応槽中に上記イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(3)795部を仕込み、製造例5で得られたイミド基含有ジアミン(2)59.4部をTHF90部に溶解した溶液を徐々に滴下して加え、室温で1時間反応を行った。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥してポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を得た。
【0073】
実施例4
反応槽に製造例3で得られたポリエステルジオール(3)255部、THF595部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート170部を仕込、密閉下50℃で6時間反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(4)を得た。
反応槽中に上記イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(4)850部を仕込み、製造例6で得られたイミド基含有ジアミン(3)191.9部をTHF300部に溶解した溶液を徐々に滴下して加え、室温で1時間反応を行った。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥してポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を得た。
【0074】
実施例5
反応槽に製造例3で得られたポリエステルジオール(3)255部、ポリカーボネートジオール[商品名「PCDL T6001」、旭化成ケミカルズ(株)製]260部、THF1201.6部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート300部を仕込み、密閉下50℃で6時間反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(5)を得た。
反応槽中に上記イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(5)1716.6部を仕込み、製造例7で得られたイミド基含有ジアミン(4)339.05部をTHF450部に溶解した溶液を徐々に滴下して加え、室温で1時間反応を行った。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥してポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を得た。
【0075】
実施例6
実施例1で得られた樹脂組成物303部とガラス繊維(繊維径10μm、繊維長さ3mmのチョップドストランド)130部を予備混合した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度280℃で溶融混練後ペレット化して、繊維強化樹脂組成物を得た。
【0076】
実施例7
実施例3で得られた樹脂組成物357部とガラス繊維(繊維径10μm、繊維長さ3mmのチョップドストランド)153部を予備混合した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度320℃で溶融混練後ペレット化して、繊維強化樹脂組成物を得た。
【0077】
実施例8
実施例5で得られた樹脂組成物1166部とガラス繊維(繊維径10μm、繊維長さ3mmのチョップドストランド)500部を予備混合した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度280℃で溶融混練後ペレット化して、繊維強化樹脂組成物を得た。
【0078】
比較例1
反応槽に製造例3で得られたポリエステルジオール(3)255部、THF255部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート85部を仕込み、密閉下90℃で6時間反応させて、ポリエステル系ウレタン樹脂のTHF溶液を得た。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥して、ポリエステル系ウレタン樹脂を得た。
【0079】
比較例2
実施例1のイソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(1)の合成において、製造例2で得られたポリエステルジオール(2)238.5部の代わりに、比較製造例1で得られたポリエステルジオール(4)315部を用い、THFの部数を735部に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの部数を70部に代えた以外は同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(6)を得た。
反応槽中に上記イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(6)1050部を仕込み、1,6−ヘキサメチレンジアミン16部をTHF32部に溶解した溶液を徐々に滴下して加え、室温で1時間反応を行った。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥してポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を得た。
【0080】
比較例3
実施例1のイソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(1)の合成において、製造例2で得られたポリエステルジオール(2)238.5部の代わりに、比較製造例2で得られたポリエステルジオール(5)273.6部を用い、THFの部数を638.4部に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの部数を342部に代えた以外は同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(7)を得た。
反応槽中に上記イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(7)912部を仕込み、1,6−ヘキサメチレンジアミン79部をTHF120部に溶解した溶液を徐々に滴下して加え、室温で1時間反応を行った。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥してポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を得た。
【0081】
比較例4
実施例1のイソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(1)の合成において、製造例2で得られたポリエステルジオール(2)238.5部の代わりに、比較製造例3で得られたポリエステルジオール(6)240部を用い、THFの部数を560部に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの部数を15部に代えた以外は同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーのTHF溶液(8)を得た。
反応槽中に上記イソシアネート基末端プレポリマー(8)のTHF溶液800部を仕込み、1,6−ヘキサメチレンジアミン3部をTHF4.5部に溶解した溶液を徐々に滴下して加え、室温で1時間反応を行った。得られた樹脂溶液を四方を折り曲げた離型紙に流し込み、室温で1時間乾燥した後、80℃で2時間減圧乾燥してポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物を得た。
【0082】
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた樹脂組成物中のウレア基濃度及びイミド基濃度の値並びに樹脂の切断時引張応力、貯蔵弾性率、貯蔵弾性率の温度依存性及び耐熱性を測定又は評価した結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明のポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物は、耐熱性、弾性及び強度に優れると共に弾性や強度の温度依存性が低いため、自動車のエンジン周り等の高温環境下で使用され耐熱性を要望される成形品として特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともテレフタル酸及びイソフタル酸を含有する多価カルボン酸混合物(x)と炭素数2〜3の脂肪族直鎖ジオール(y)から得られる数平均分子量が500〜5,000のポリエステルジオール(a)を含有するジオール成分(A)と有機ジイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(P)と、炭素数2〜8の直鎖アルキレンジアミン、炭素数6〜15の脂環式ジアミン及び芳香環を1個以上有するジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミン(C)とから得られるポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物であって、該樹脂組成中のウレア基濃度が0.3〜1.5ミリモル/gであることを特徴とするポリエステル系ウレタンウレア樹脂組成物。
【請求項2】
前記芳香環を1個以上有するジアミンが、更にイミド基を有するジアミンであり、該ジアミンを必須成分とし、樹脂組成物中のイミド基濃度が0.3〜1.5ミリモル/gである請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
有機ジイソシアネート成分(B)が、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種のイソシアネートである請求項1又は2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記ジオール成分(A)が、更に数平均分子量500〜5,000のポリオキシアルキレンジオール及び/又は数平均分子量500〜5,0000のポリカーボネートジオールを含有する請求項2又は3記載の樹脂組成物。
【請求項5】
更にカーボン繊維及び/又はガラス繊維を含有する請求項1〜4のいずれか記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。

【公開番号】特開2011−46887(P2011−46887A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198757(P2009−198757)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】