説明

ポリエステル系エラストマー発泡体

【課題】セル構造が微細で均一なポリエステル系エラストマー発泡体を提供する。
【解決手段】本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、ポリエステル系エラストマーと、表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)とを含むポリエステル系エラストマー組成物を発泡させることにより形成されることを特徴とする。上記表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)における166メッシュ篩残分は、0.01%以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル系エラストマー発泡体に関する。より詳しくは、微細で均一なセル構造を有するポリエステル系エラストマー発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー発泡体は、優れたクッション性を有し、シール材、クッション材、パット材などに有用に使用されている。例えば、携帯電話やデジタルカメラ等の電気又は電子機器の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなど向けの防塵材や緩衝材などとして、ポリエステル系エラストマー発泡体が使用されている。
【0003】
ポリエステル系発泡体として、脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂発泡体が知られている(特許文献1及び2参照)。脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂発泡体は、気泡調整剤が添加された樹脂を押し出し発泡させることにより形成される。しかし、この形成方法では、高発泡構造を得るために、大量に気泡調整剤を添加すると、樹脂の硬化を生じ、高発泡構造を有する脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂発泡体を得ることができなかった。
【0004】
また、密度が0.01〜0.6g/cm3である熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体が知られている(特許文献3参照)。この熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体は、各種発泡剤により熱可塑性樹脂を発泡成形するための一般的な成形方法により形成されているので、高発泡構造を有することはなかった。また、粗大セルを含んでおり、各セルの大きさについてバラツキが大きく、セル構造が不均一であった。
【0005】
さらに、電気又は電子機器向けの小型化、軽量化、薄型化に適した熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体が知られている(特許文献4参照)。この熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体は、パウダー粒子を発泡核剤として配合したポリエステル系エラストマー組成物を発泡成形することにより形成されている。しかし、該パウダー粒子として水酸化マグネシウムを用いているので、ポリエステル系エラストマー組成物に少量しか配合できず、微細なセル構造を得ることが困難な場合があった。多量に配合すると、ポリエステル系エラストマー組成物の硬化を生じることがあったためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−41036号公報
【特許文献2】特開2003−103595号公報
【特許文献3】特開2000−053796号公報
【特許文献4】特開2008−45120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、エラストマー発泡体では、セル構造が不均一であると、粗大セル(例えば、セル径が250μmを超えるセル)を含むことがあり、粗大セルを含んでいると粗大セルから塵がはいりこみ、防塵性が低下することがある。このため、セル構造の均一化が求められている。
【0008】
従って、本発明の目的は、セル構造が微細で均一なポリエステル系エラストマー発泡体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、発泡体の形成に用いられる組成物を、ポリエステル系エラストマーと、表面処理された水酸化物以外の無機物とを含むポリエステル系エラストマー組成物とすると、発泡の際の気泡核生成の促進により、高発泡、微細セル化させることができ、均一なセル構造を有するポリエステル系エラストマー発泡体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、ポリエステル系エラストマーと、表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)とを含むポリエステル系エラストマー組成物を発泡させることにより形成されることを特徴とするポリエステル系エラストマー発泡体を提供する。
【0011】
上記表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)における166メッシュ篩残分は、0.01%以下であることが好ましい。
【0012】
上記表面処理加工は、シランカップリング処理、又は、高級脂肪酸又はその塩による処理であることが好ましい。
【0013】
上記水酸化物以外の無機物は、ハードクレイ又はアルカリ土類金属炭酸塩であることが好ましい。
【0014】
上記ポリエステル系エラストマー組成物は、上記表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)を、ポリエステル系エラストマー組成物全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%含有することが好ましい。
【0015】
上記ポリエステル系エラストマー発泡体は、見掛け密度が0.03〜0.3g/cm3であり、平均セル径が10〜150μmであり、50〜100μmのセル径を有するセルの割合が全セルに対して40%以上であることが好ましい。
【0016】
上記ポリエステル系エラストマー発泡体は、50%圧縮時の反発力が0.1〜5.0N/cm2であることが好ましい。
【0017】
上記ポリエステル系エラストマー発泡体は、上記ポリエステル系エラストマー組成物に高圧のガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されていることが好ましい。
【0018】
上記ガスは、不活性ガスであることが好ましい。また、上記不活性ガスは、二酸化炭素であることが好ましい。また、上記ガスは、超臨界状態であることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明は、上記ポリエステル系エラストマー発泡体を含むことを特徴とする発泡部材を提供する。
【0020】
上記発泡部材は、上記ポリエステル系エラストマー発泡体上に粘着剤層を有することが好ましい。また、上記粘着剤層は、アクリル系粘着剤層であることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明は、ポリエステル系エラストマーと、表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)とを含むポリエステル系エラストマー組成物を発泡させる工程を含むことを特徴とするポリエステル系エラストマー発泡体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、ポリエステル系エラストマーと、表面処理された水酸化物以外の無機物とを含むポリエステル系エラストマー組成物により形成されているので、微細で、均一なセル構造を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施例1のポリエステル系エラストマー発泡体の発泡体気泡部の拡大画像である。
【図2】図2は、比較例1のポリエステル系エラストマー発泡体の発泡体気泡部の拡大画像である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(ポリエステル系エラストマー発泡体)
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、ポリエステル系エラストマーと、表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)とを少なくとも含むポリエステル系エラストマー組成物を発泡させることにより形成される。本明細書では、「表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)」を「本発明の無機物」と称する場合がある。
【0025】
上記ポリエステル系エラストマーは、ポリエステル系ポリマーを含むエラストマーである。また、上記ポリエステル系エラストマーは、本発明のポリエステル系エラストマー発泡体を構成する必須の成分である。上記ポリエステル系エラストマー組成物中の上記ポリエステル系エラストマーの含有量は、特に限定されないが、ポリエステル系エラストマー組成物全量(100重量%)に対して、80重量%以上が好ましく、より好ましくは90重量%以上が好ましい。なお、上記ポリエステル系エラストマーは、1のポリマーのみが含まれていてもよいし、2以上のポリマーが含まれていてもよい。
【0026】
ポリエステル系エラストマーに含まれるポリエステル系ポリマーとしては、ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応(重縮合)によるエステル結合部位を有する樹脂を少なくとも含むポリマーであれば特に限定されないが、例えば、芳香族ジカルボン酸(二価の芳香族カルボン酸)とジオール成分との重縮合により得られるポリエステル系ポリマーが挙げられる。なお、本願では、「芳香族ジカルボン酸とジオール成分との重縮合により得られるポリエステル系ポリマー」を、「芳香族ポリエステル系ポリマー」と称する場合がある。
【0027】
上記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンカルボン酸(例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸など)、ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0028】
また、上記ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、1,18−オクタデカンジオール、ダイマージオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、キシリレンジオール、ナフタレンジオール等の芳香族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテルグリコールなどのジオール成分などが挙げられる。さらに、上記ジオール成分は、ポリエーテルジオールやポリエステルジオールなどのポリマー形態のジオール成分であってもよい。上記ポリエーテルジオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらを共重合させたコポリエーテル等のポリエーテルジオールなどが挙げられる。なお、上記ジオール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0029】
このような芳香族ポリエステル系ポリマー(芳香族ジカルボン酸とジオール成分との重縮合により得られるポリエステル系ポリマー)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート系樹脂などが挙げられる。また、上記ポリアルキレンテレフタレート系樹脂を2種類以上共重合して得られる共重合体であってもよい。なお、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態の共重合体であってもよい。
【0030】
また、上記ポリエステル系エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントのブロック共重合体であるポリエステル系エラストマーであってもよい。なお、本願では、「ハードセグメント及びソフトセグメントのブロック共重合体であるポリエステル系エラストマー」を「HSブロック共重合ポリエステル系エラストマー」と称する場合がある。
【0031】
このようなHSブロック共重合ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、(i)上記芳香族ジカルボン酸と、上記ジオール成分のうちヒドロキシル基とヒドロキシル基との間の主鎖中の炭素数が2〜4であるジオール成分との、重縮合により形成されるポリエステルをハードセグメントとし、上記芳香族ジカルボン酸と、上記ジオール成分のうちヒドロキシル基とヒドロキシル基との間の主鎖中の炭素数が5以上であるジオール成分との、重縮合により形成されるポリエステルをソフトセグメントとする、ポリエステル・ポリエステル型の共重合体;(ii)上記(i)と同様のポリエステルをハードセグメントとし、上記ポリエーテルジオールなどのポリエーテルをソフトセグメントとする、ポリエステル・ポリエーテル型の共重合体;(iii)上記(i)及び(ii)と同様のポリエステルをハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとする、ポリエステル・ポリエステル型の共重合体などが挙げられる。
【0032】
上記ハードセグメントとして用いられるポリエステルとしては、例えば、上記ポリアルキレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)が挙げられる。
【0033】
上記脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリカプロラクトン;脂肪族ジカルボン酸(例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸など)と上記ジオール成分とのポリエステル;ヒドロキシカルボン酸(例えば、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸など)の縮合によって形成されるポリエステルなどが挙げられる。
【0034】
また、上記ポリエステル系エラストマーに上記HSブロック共重合ポリエステル系エラストマーが含まれる場合、共に、後述のゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分が含まれていてもよい。さらに、上記ポリエステル系エラストマーに上記芳香族ポリエステル系ポリマーが含まれる場合、後述のゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分が含まれていてもよい。つまり、上記ポリエステル系エラストマーは、上記芳香族ポリエステル系ポリマーと、後述のゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分とにより構成されていてもよい。さらにまた、上記ポリエステル系エラストマーに上記HSブロック共重合ポリエステル系エラストマーが含まれる場合、共に、上記芳香族ポリエステル系ポリマーが含まれていてもよい。
【0035】
なお、上記ポリエステル系エラストマーの融点は、融点を複数有する場合、温度の最も高い融点が採用される。
【0036】
このようなゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、二トリルブチルゴムなどの天然又は合成ゴム;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー;スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びそれらの水素添加物などのスチレン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリウレタン系エラストマーなどが挙げられる。なお、上記ゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。上記ゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分は、ガラス転移温度が室温以下(例えば20℃以下)であるため、得られたポリエステル系エラストマー発泡体を防塵材又はシール材としたときの柔軟性及び形状追随性に著しく優れる。
【0037】
上記ポリエステル系エラストマーに、上記HSブロック共重合ポリエステル系エラストマーと共に、上記のゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分が含まれる場合、上記のゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分は、HSブロック共重合ポリエステル系エラストマー自体が弾性を有するため、必要に応じて適宜含まれていればよい。
【0038】
また、上記ポリエステル系エラストマーに、上記芳香族ポリエステル系ポリマーと上記のゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分とが含まれる場合、その混合比率(重量比)は、例えば、(芳香族ポリエステル系ポリマー)/(ゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分)=1/99〜99/1(好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20)である。ゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分の割合が1重量%未満であると、得られたポリエステル系エラストマー発泡体のクッション性が低下しやすくなる場合がある。一方、ゴム成分及び/又は熱可塑性エラストマー成分の割合が99重量%を超えると、ポリエステル系エラストマー組成物の発泡時にガス抜けが生じやすくなり、高発泡のポリエステル系エラストマー発泡体を得ることが困難になる場合がある。
【0039】
さらに、上記ポリエステル系エラストマーに、上記HSブロック共重合ポリエステル系エラストマーと上記芳香族ポリエステル系ポリマーとが含まれる場合、その混合比率(重量比)は、例えば、(HSブロック共重合ポリエステル系エラストマー)/(芳香族ポリエステル系ポリマー)=50/50〜90/10(好ましくは75/25〜85/15)である。HSブロック共重合ポリエステル系エラストマーの割合が50重量%未満であると、得られたポリエステル系エラストマー発泡体のクッション性が低下しやすくなる場合がある。一方、HSブロック共重合ポリエステル系エラストマーの割合が90重量%を超えると、ポリエステル系エラストマー組成物の発泡時にガス抜けが生じやすくなり、高発泡のポリエステル系エラストマー発泡体を得ることが困難になる場合がある。
【0040】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体を形成するポリエステル系エラストマー組成物には、本発明の無機物(表面処理加工された無機物(水酸化物を除く))が必須の成分として含まれる。本発明の無機物は、発泡核剤として作用する。なお、本発明の無機物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0041】
上記ポリエステルエラストマーと下記水酸化物とを含有する樹脂組成物を発泡させることにより樹脂発泡体を形成しようとすると、上記水酸化物の含有量が多い場合、上記ポリエステルエラストマーと下記水酸化物との反応による硬化により、樹脂発泡体が形成できない場合がある。このような硬化の問題を回避するために、本発明の樹脂発泡体では、本発明の無機物が用いられる。なお、本発明の無機物における「水酸化物」とは、「分子内に水酸基(−OH)を有する無機化合物」のことをいい、例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)などが挙げられる。
【0042】
本発明の無機物における無機物としては、水酸化物以外である限り特に限定されないが、例えば、クレイ(特にハードクレイ)、タルク、シリカ、ゼオライト、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナなど)、金属粉(例えば、鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、亜鉛粉、チタン粉などの各種金属粉、合金の粉など)、マイカ、カーボン粒子、グラスファイバー、カーボンチューブ、層状ケイ酸塩、ガラスなどが挙げられる。中でも、クレイ、アルカリ土類金属炭酸塩が好ましく、ハードクレイ、炭酸カルシウムがより好ましい。
【0043】
上記ハードクレイは、粗い粒子をほとんど含まないクレイである。特に、上記ハードクレイは、166メッシュ篩残分が0.01%以下であるクレイであることが好ましく、より好ましくは166メッシュ篩残分が0.001%以下であるクレイである。なお、篩残分(ふるい残分)は、ふるいでふるったときに、通過しないで残るものの、全体に対する割合(重量基準)である。
【0044】
上記ハードクレイは、酸化アルミニウムと酸化珪素とを必須の成分として構成される。上記ハードクレイ中の酸化アルミニウム及び酸化珪素の合計の割合は、上記ハードクレイ全量(100重量%)に対して、80重量%以上(例えば80〜100重量%)が好ましく、より好ましくは90重量%以上(例えば90〜100重量%)である。また、上記ハードクレイは、焼成されていてもよい。
【0045】
上記ハードクレイの平均粒子径(平均粒径)は、特に限定されないが、0.1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5.0μmであり、さらに好ましくは0.5〜1.0μmである。
【0046】
本発明の無機物の表面処理に用いられる表面処理剤としては、特に限定されないが、表面加工処理を施すことにより、ポリエステルとの親和性がよくなり、発泡時、成形時、混練時、延伸時等にボイドが発生しない、発泡時にセルが破泡しないといった効果を得る点から、アルミニウム系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、高級脂肪酸又はその塩、およびリン酸エステル類が好ましく挙げられ、シラン系化合物(特にシランカップリング剤)、高級脂肪酸又はその塩(特にステアリン酸)がより好ましく挙げられる。なお、上記表面処理剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0047】
つまり、本発明の無機物における表面処理加工は、シランカップリング処理、又は、高級脂肪酸又はその塩による処理であることが特に好ましい。
【0048】
上記アルミニウム系化合物は、特に限定されないが、アルミニウム系カップリング剤が好ましい。上記アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドイソステアレートなどが挙げられる。
【0049】
上記シラン系化合物は、特に限定されないが、シラン系カップリング剤が好ましい。上記シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニル基含有シラン系カップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シラン系カップリング剤、アミノ基含有シラン系カップリング剤、エポキシ基含有シラン系カップリング剤、メルカプト基含有シラン系カップリング剤、カルボキシル基含有シラン系カップリング剤、ハロゲン原子含有シラン系カップリング剤などが挙げられる。具体的には、シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシ−プロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシープロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシープロピルメチルジエトキシシラン、2−グリシドキシーエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシーエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、カルボキシメチルトリエトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0050】
上記チタネート系化合物は、特に限定されないが、チタネート系カップリング剤が好ましい。上記チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネートなどが挙げられる。
【0051】
上記エポキシ化合物は、特に限定されないが、エポキシ系樹脂、モノエポキシ系化合物が好ましい。上記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ系樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、上記モノエポキシ系化合物としては、例えば、スチレンオキサイド、グリシジルフェニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、1,2−エポキシシクロヘキサン、エピクロロヒドリン、グリシドールなどが挙げられる。
【0052】
上記イソシアネート系化合物は、特に限定されないが、ポリイソシアネート系化合物、モノイソシアネート系化合物が好ましい。上記ポリイソシアネート系化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;これらのジイソシアネート化合物と、ポリオール化合物との反応による遊離イソシアネート基を有するポリマーなどが挙げられる。また、上記モノイソシアネート系化合物としては、例えば、フェニルイソシアネート、ステアリルイソシアネートなどが挙げられる。
【0053】
上記高級脂肪酸又はその塩としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸、および該高級脂肪酸の塩(例えば、金属塩など)が挙げられる。上記高級脂肪酸の金属塩における金属原子としては、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子などのアルカリ金属原子、マグネシウム原子、カルシウム原子などのアルカリ土類金属原子などが挙げられる。
【0054】
上記リン酸エステル類は、リン酸部分エステル類が好ましい。上記リン酸部分エステル類としては、例えば、リン酸(オルトリン酸など)が、部分的にアルコール成分(ステアリルアルコールなど)によりエステル化(モノ又はジエステル化)されたリン酸部分エステルや、該リン酸部分エステルの塩(アルカリ金属などによる金属塩など)などが挙げられる。
【0055】
上記水酸化物以外の無機物へ上記表面処理剤により表面処理する際の方法としては、特に限定されないが、例えば、乾式方法、湿式方法、インテグラルブレンド方法などが挙げられる。
【0056】
上記水酸化物以外の無機物へ上記表面処理剤により表面処理する際の、表面処理剤の量は、特に限定されないが、上記水酸化物以外の無機物100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜8重量部である。
【0057】
また、本発明の無機物の166メッシュ篩残分は、特に限定されないが、0.01%以下が好ましく、より好ましくは0.001%以下である。ポリエステル系エラストマー組成物を発泡させる際に、粗い粒子が存在すると、セルの破泡が発生しやすくなるためである。これは、粒子の大きさがセル壁の厚みを超えることによる。
【0058】
本発明の無機物の平均粒子径(平均粒径)は、特に限定されないが、0.1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5.0μmであり、さらに好ましくは0.5〜1.0μmである。上記平均粒子径が0.1μm未満であると、核剤として十分に機能しない場合がある。一方、上記平均粒子径が10μmを超えるとポリエステル系エラストマー組成物の発泡成形時にガス抜けの原因となる場合があり、好ましくない。
【0059】
上記ポリエステル系エラストマー組成物中の、本発明の無機物の含有量は、特に限定されないが、ポリエステル系エラストマー組成物全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%であり、さらに好ましくは1〜6重量%である。上記含有量が0.1重量%未満であると、均一なセル構造を有するポリエステル系エラストマー発泡体を得ることが困難になる場合がある。一方、上記含有量が20重量%を超えると、ポリエステル系エラストマー組成物の粘度が著しく上昇するとともに、発泡成形時にガス抜けが生じてしまい、均一なセル構造が得られない場合がある。
【0060】
上記ポリエステル系エラストマー組成物には、本願発明の効果を阻害しない範囲で、架橋剤が含まれていてもよい。上記架橋剤としては、特に限定されないが、水酸基やカルボキシル基と反応する架橋剤が好ましく、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シラノール系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0061】
中でも、上記架橋剤としてはエポキシ系架橋剤が好ましい。このようなエポキシ系架橋剤としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物なら特に限定されず、例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、トリグリシジルイソシアヌレート、エポキシ変性アクリル系ポリマーなどが挙げられる。なお、エポキシ系架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0062】
上記ポリエステル系エラストマー組成物中の上記エポキシ系架橋剤の含有量は、特に限定されず、押出条件、所望する発泡倍率等によって適宜選択される。例えば、ポリエステル系エラストマー組成物中の上記ポリエステル系エラストマー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜10重量部である。
【0063】
さらに、上記ポリエステル系エラストマー組成物には、本願発明の効果を阻害しない範囲で、結晶化促進剤が含まれていてもよい。上記結晶化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、オレフィン系樹脂が挙げられる。このようなオレフィン系樹脂としては、分子量分布が広く且つ高分子量側にショルダーを持つタイプの樹脂、微架橋タイプの樹脂(若干架橋されたタイプの樹脂)、長鎖分岐タイプの樹脂などが好ましい。上記オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1など)との共重合体、エチレンと他のエチレン性不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコールなど)との共重合体などが挙げられる。なお、オレフィン系樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれの形態の共重合体であってもよい。また、オレフィン系樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0064】
上記ポリエステル系エラストマー組成物に結晶化促進剤が含まれていると、優れた成形性が得られる。
【0065】
上記ポリエステル系エラストマー組成物中の上記結晶化促進剤の含有量は、特に限定されないが、ポリエステル系エラストマー組成物中のポリエステル系エラストマー100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量部である。
【0066】
ポリエステル系エラストマー発泡体は、ポリエステル系エラストマーにより構成されているため、燃えやすいという特性(もちろん、欠点でもある)を有している。そのため、特に、ポリエステル系エラストマー発泡体を、電気機器又は電子機器用途などの難燃性の付与が不可欠な用途に用いる場合には、ポリエステル系エラストマー組成物に難燃剤が含まれることが好ましい。
【0067】
上記難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、難燃性を有しているパウダー粒子(例えば、パウダー状の各種の難燃剤など)が挙げられ、無機難燃剤が好ましく挙げられる。上記無機難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤などであってもよいが、塩素系難燃剤や臭素系難燃剤は、燃焼時に人体に対して有害で機器類に対して腐食性を有するガス成分を発生し、また、リン系難燃剤やアンチモン系難燃剤は、有害性や爆発性などの問題があるため、ノンハロゲン−ノンアンチモン系無機難燃剤(ハロゲン化合物及びアンチモン化合物が含まれていない無機難燃剤)が好ましい。該ノンハロゲン−ノンアンチモン系無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物等の水和金属化合物などが挙げられる。なお、水和金属酸化物は表面処理されていてもよい。上記難燃剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0068】
上記ポリエステル系エラストマー組成物中の上記難燃剤の含有量は、特に限定されないが、ポリエステル系エラストマー組成物全量に対して10〜70重量%が好ましく、より好ましくは25〜65重量%である。難燃剤の含有量が10重量%未満であると、難燃化効果が小さくなる場合がある。逆に、70重量%を超えると高発泡の発泡体を得ることが困難になる場合がある。
【0069】
さらに、上記ポリエステル系エラストマー組成物には、本願発明の効果を阻害しない範囲で、滑剤が含まれていてもよい。上記滑剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族カルボン酸及びその誘導体(例えば、脂肪族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩、脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩などの脂肪族カルボン酸の金属塩)が挙げられる。上記脂肪族カルボン酸及びその誘導体としては、中でも、ラウリル酸及びその誘導体、ステアリン酸及びその誘導体、クロトン酸及びその誘導体、オレイン酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、グルタル酸及びその誘導体、ベヘン酸及びその誘導体、モンタン酸及びその誘導体などの炭素数3〜30の脂肪族カルボン酸及びその誘導体が好ましい。また、炭素数3〜30の脂肪族カルボン酸及びその誘導体の中でも、ポリエステル系エラストマー組成物への分散性、溶解性、表面外観改良の効果等の観点から、ステアリン酸及びその誘導体、モンタン酸及びその誘導体が好ましく、特に、ステアリン酸のアルカリ金属塩、ステアリン酸のアルカリ土類金属塩などのステアリン酸の金属塩が好ましい。さらに、ステアリン酸のアルカリ金属塩、ステアリン酸のアルカリ土類金属塩などのステアリン酸の金属塩の中でも、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムがより好適である。また、上記滑剤としては、上記脂肪族カルボン酸及びその誘導体以外にも、アクリル系滑剤が好適に挙げられる。なお、滑剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0070】
上記ポリエステル系エラストマー組成物中の上記滑剤の含有量は、特に限定されないが、ポリエステル系エラストマー組成物中の樹脂(例えば、上記ポリエステル系エラストマーなど)100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。上記ポリエステル系エラストマー組成物中の滑剤の含有量が少なすぎると滑剤を加えることにより生ずる効果が小さくなり、逆に多すぎると高発泡の発泡体を得ることが困難になる。
【0071】
さらに、上記ポリエステル系エラストマー組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて、添加剤が含まれていてもよい。上記添加剤としては、例えば、結晶核剤、可塑剤、着色剤(黒色着色を目的としたカーボンブラック、顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、補強剤、帯電防止剤、界面活性剤、張力改質剤、収縮防止剤、流動性改質剤、加硫剤、表面処理剤、分散助剤、ポリエステル樹脂用改質剤などが挙げられる。また、添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0072】
上記ポリエステル系エラストマー組成物の作製方法としては、特に限定されないが、例えば、上記ポリエステル系エラストマー、本発明のハードクレイ(表面処理加工されたハードクレイ)、必要に応じて添加される上記添加剤を混合することにより作製される。なお、作製の際には、熱が加えられてもよい。
【0073】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、上記ポリエステル系エラストマー組成物を発泡成形することにより形成される。上記ポリエステル系エラストマー組成物の発泡方法については、特に限定されないが、ポリエステル系エラストマー組成物に高圧のガス(特に不活性ガス)を含浸させた後、減圧する(圧力を解放する)発泡方法が好ましい。つまり、本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、上記ポリエステル系エラストマー組成物に高圧のガス(特に不活性ガス)を含浸させた後、減圧する工程を経て形成されることが好ましい。なお、上記不活性ガスとは、ポリエステル系エラストマー組成物に対して不活性で、且つ含浸可能なガスをいう。
【0074】
上記ポリエステル系エラストマー組成物の発泡方法としては、物理的発泡方法(物理的方法による発泡方法)も挙げられる。物理的発泡方法では発泡剤(発泡剤ガス)として用いられる物質の可燃性や毒性及びオゾン層破壊などの環境への影響が懸念されるが、不活性ガスを用いた発泡方法は、このような発泡剤を使用しない点で環境に配慮した方法である。また、化学的発泡方法(化学的方法による発泡方法)も挙げられる。化学的発泡方法では、発泡剤により生じた発泡ガスの残渣が発泡体中に残存するため、特に低汚染性の要求が高い電子機器用においては、腐食性ガスやガス中の不純物による汚染が問題となる場合がある。しかし、不活性ガスを用いた発泡方法によれば、このような不純物等のないクリーンな発泡体を得ることができる。さらに、物理的発泡方法及び化学的発泡方法では、いずれにおいても微細なセル構造を形成することは難しく、特に300μm以下の微細気泡を形成することは極めて困難であるといわれている。
【0075】
上記不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、二酸化炭素(炭酸ガス)、窒素ガス、ヘリウム、空気等が挙げられる。これらのガスは混合して用いられてもよい。これらのうち、発泡体の素材であるポリエステル系エラストマーへの含浸量が多く、含浸速度の速い点から、二酸化炭素が好適である。
【0076】
さらに、ポリエステル系エラストマー組成物への含浸速度を速めるという点から、上記高圧のガス(特に二酸化炭素などの不活性ガス)は、超臨界状態であることが好ましい。超臨界状態では、ポリエステル系エラストマー組成物へのガスの溶解度が増大し、高濃度の混入が可能である。また、含浸後の急激な圧力降下時には、上記のように高濃度で含浸することが可能であるため、気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が気孔率が同じであっても大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
【0077】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は上記ポリエステル系エラストマー組成物に高圧のガス(特に不活性ガス)を含浸させることにより製造されるが、その際には、予めポリエステル系エラストマー組成物を、例えば、シート状などの適宜な形状に成形して未発泡樹脂成形体(未発泡成形物)とした後、この未発泡樹脂成形体に、高圧のガス(特に不活性ガス)を含浸させ、圧力を解放することにより発泡させるバッチ方式で製造されてもよく、ポリエステル系エラストマー組成物を加圧下、高圧のガス(特に不活性ガス)と共に混練し、成形すると同時に圧力を解放し、成形と発泡を同時に行う連続方式で製造されてもよい。
【0078】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体について、バッチ方式で製造する場合を説明する。バッチ方式では、まず、ポリエステル系エラストマー発泡体を製造する際に未発泡樹脂成形体が製造されるが、この未発泡樹脂成形体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系エラストマー組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を用いて成形する方法;ポリエステル系エラストマー組成物を、ローラ、カム、ニーダ、バンバリ型等の羽根を設けた混錬機を使用して均一に混錬しておき、熱板のプレスなどを用いて所定の厚みにプレス成形する方法;ポリエステル系エラストマー組成物を射出成形機を用いて成形する方法などが挙げられる。これらの方法のうち、所望の形状や厚みの未発泡樹脂成形体が得られるように適宜な方法が選択されることが好ましい。なお、未発泡樹脂成形体は、押出成形、プレス成形、射出成形以外に、他の成形方法により製造されてもよい。また、未発泡樹脂成形体の形状は、シート状に限らず、用途に応じて種々の形状が選択される。例えば、シート状、ロール状、角柱状、板状等が挙げられる。次に、上記未発泡樹脂成形体(ポリエステル系エラストマー組成物による成形体)を耐圧容器(高圧容器)中に入れて、高圧の不活性ガス(二酸化炭素など)を注入(導入)し、未発泡樹脂成形体中に高圧の不活性ガスを含浸させるガス含浸工程、十分に高圧の不活性ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、ポリエステル系エラストマー組成物に気泡核を発生させる減圧工程、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡核を成長させる加熱工程を経て、ポリエステル系エラストマー組成物中に気泡を形成させる。なお、加熱工程を設けずに、室温で気泡核を成長させてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、ポリエステル系エラストマー発泡体が得られる。なお、高圧のガス(特に不活性ガス)の導入は連続的に行ってもよく不連続的に行ってもよい。さらに、気泡核を成長させる際の加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知乃至慣用の方法が採用される。
【0079】
一方、本発明のポリエステル系エラストマー発泡体を連続方式で製造する場合としては、例えば、ポリエステル系エラストマー組成物を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混錬しながら、高圧のガス(特に二酸化炭素などの不活性ガス)を注入(導入)し、十分に高圧のガスをポリエステル系エラストマー組成物中に含浸させる混練含浸工程、押出機の先端に設けられたダイスなどを通してポリエステル系エラストマー組成物を押し出すことにより圧力を解放し(通常、大気圧まで)、成形と発泡を同時に行う成形減圧工程により製造することが挙げられる。また、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡を成長させる加熱工程を設けてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、ポリエステル系エラストマー発泡体が得られる。なお、上記混練含浸工程及び成形減圧工程では、押出機のほか、射出成形機などが用いられてもよい。
【0080】
上記バッチ方式におけるガス含浸工程や上記連続方式における混練含浸工程において、高圧のガス(特に不活性ガス)の混合量は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系エラストマー組成物全量に対して、2〜10重量%が好ましく、より好ましくは2〜4重量%である。ポリエステル系エラストマー発泡体において、所望の密度や発泡倍率が得られるように、適宜調節して混合される。
【0081】
上記バッチ方式におけるガス含浸工程や上記連続方式における混練含浸工程において、高圧のガスを未発泡樹脂成形体やポリエステル系エラストマー組成物に含浸させるときの圧力は、ガスの種類や操作性等を考慮して適宜選択されるが、ガスとして不活性ガス、特に二酸化炭素が用いられる場合には、3MPa以上(例えば、3〜100MPa)が好ましく、より好ましくは4MPa以上(例えば、4〜100MPa)である。ガスの圧力が3MPaより低い場合には、発泡時の気泡成長が著しく、気泡径が大きくなりすぎ、例えば、防塵効果が低下するなどの不都合が生じやすくなり、好ましくない。これは、圧力が低いとガスの含浸量が高圧時に比べて相対的に少なく、気泡核形成速度が低下して形成される気泡核数が少なくなるため、1気泡あたりのガス量が逆に増えて気泡径が極端に大きくなるからである。また、3MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径及び気泡密度の制御が困難になりやすい。
【0082】
また、バッチ方式におけるガス含浸工程や連続方式における混練含浸工程で、高圧のガス(特に不活性ガス)を未発泡樹脂成形体やポリエステル系エラストマー組成物に含浸させるときの温度は、用いるガスやポリエステル系エラストマー組成物の組成等によって異なり、広い範囲で選択できるが、操作性等を考慮した場合、10〜350℃が好ましい。例えば、バッチ方式において、シート状の未発泡樹脂成形体に高圧の不活性ガスを含浸させる場合の含浸温度は、40〜300℃が好ましく、より好ましくは100〜250℃である。また、連続方式において、ポリエステル系エラストマー組成物に高圧のガス(特に不活性ガス)を注入し混練する際の温度は、150〜300℃が好ましく、より好ましくは210〜250℃である。なお、高圧のガスとして二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を保持するためには、含浸時の温度(含浸温度)は32℃以上(特に40℃以上)であることが好ましい。
【0083】
なお、上記減圧工程において、減圧速度は、特に限定されないが、均一な微細気泡を得るため、5〜300MPa/sが好ましい。また、上記加熱工程における加熱温度は、特に限定されないが、40〜250℃が好ましく、より好ましくは60〜250℃である。
【0084】
また、上記ポリエステル系エラストマー発泡体の製造方法によれば、高発泡倍率のポリエステル系エラストマー発泡体を製造することができるので、厚いポリエステル系エラストマー発泡体が得られる。例えば、上記連続方式によりポリエステル系エラストマー発泡体を製造する場合、混練含浸工程において押出し機内部での圧力を保持するためには、押出し機先端に取り付けるダイスのギャップを出来るだけ狭く(通常0.1〜1.0mm)する必要がある。従って、厚いポリエステル系エラストマー発泡体を得るためには、狭いギャップを通して押出されたポリエステル系エラストマー組成物を高い倍率で発泡させなければならないが、従来は、高い発泡倍率が得られないことから、形成される発泡体の厚みは薄いもの(例えば0.5〜2.0mm)に限定されてしまっていた。これに対して、高圧のガス(特に不活性ガス)を用いて製造される上記ポリエステル系エラストマー発泡体の製造方法によれば、最終的な厚みで0.30〜5.00mmのポリエステル系エラストマー発泡体を連続して得ることが可能である。
【0085】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体の形状は、特に限定されないが、シート状やテープ状であることが好ましい。また、使用目的に応じ、適当な形状に加工されていてもよい。例えば、切断加工、打ち抜き加工等により、円形や多角形状、あるいは額縁形状に加工されていてもよい。
【0086】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体の厚みは、特に限定されないが、0.3〜5.0mmが好ましく、より好ましくは、0.6〜3.0mmである。
【0087】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体の密度(見掛け密度)は、特に限定されないが、上記のような厚みを持つポリエステル系エラストマー発泡体を得る点から、0.03〜0.30g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.04〜0.25g/cm3であることが好ましい。ポリエステル系エラストマー発泡体の密度が0.30g/cm3を超えると、発泡が不十分となり、柔軟性やクッション性の低下を生じるおそれがある。一方、密度が0.03g/cm3未満であると、ポリエステル系エラストマー発泡体の強度が著しく低下する場合があり、好ましくない。つまり、本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、密度が0.03〜0.30g/cm3であれば良好な発泡特性(高い発泡倍率)が得られ、適度な強度と柔軟性をもち、優れたクッション性を発揮する。
【0088】
なお、ポリエステル系エラストマー発泡体の見掛け密度は、以下のように算出する。ポリエステル系エラストマー発泡体を所定のサイズ(例えば、20mm×20mmのサイズ)に打ち抜き、試験片とする。該試験片の寸法をノギスで測定し、試験片の体積を求める。次に、試験片の重量を電子天秤にて測定する。そして、次式により算出した。
見掛け密度(g/cm3)=(試験片の重量)/(試験片の体積)
【0089】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体の相対密度(発泡後の密度/未発泡状態での密度)は、特に限定されないが、厚みのあるポリエステル系エラストマー発泡体を得る点から、0.02〜0.2であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.15である。相対密度が0.2を超えると、発泡が不十分となり、柔軟性やクッション性の低下を生じるおそれがある。また、相対密度が0.02未満であると、ポリエステル系エラストマー発泡体の強度が著しく低下する場合があり好ましくない。
【0090】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体のセル構造(気泡構造)は、特に限定されないが、独立気泡構造、半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造とが混在している気泡構造であり、その割合は特に限定されない)が好ましく、特に、ポリエステル系エラストマー発泡体中に独立気泡構造部が40%以下(中でも30%以下)となっている気泡構造が好ましい。
【0091】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体の平均セル径は、特に限定されないが、10〜150μmが好ましく、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜90μmである。平均セル径が150μmを超えると、ピンホールが発生し、防塵性に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、平均セル径が10μm未満であると、柔軟性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0092】
また、本発明のポリエステル系エラストマー発泡体における50〜100μmのセル径を有するセルの割合は、全セルに対して、40%以上が好ましく、より好ましくは50%以上であり、さらにより好ましくは60%以上である。上記セルの割合が40%未満であると、セル構造が不均一になりやすくなる。なお、セル構造が不均一であると、結果として粗大セル(例えば250μm以上のセル径を有するセル)が存在することが多くなり、粗大セルから塵が進入して防塵性が低下するという問題を生じやすくなる。
【0093】
本発明のポリエステル系エラストマーのセルのセル径は、デジタルマイクロスコープにより切断面の拡大画像を取り込み、セルの面積を求め、円相当径換算することにより求められる。
【0094】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体の50%圧縮時の反発力は、特に限定されないが、0.1〜5.0N/cm2が好ましく、より好ましくは0.5〜4.5N/cm2である。50%圧縮時の反発力が0.1N/cm2未満であると、発泡体の剛性が小さくなり(発泡体のこしがなくなり)、加工性に問題を生じるおそれがある。一方、50%圧縮時の反発力が5.0N/cm2を超えると、良好な柔軟性を発揮することができない場合がある。なお、50%圧縮時の反発力は、ポリエステル系エラストマー発泡体を、23℃の雰囲気下、初期厚みに対して50%の厚みとなるように厚み方向に圧縮した際の対反発荷重として定義される。なお、本願において、単に「50%圧縮時の反発力」という場合、当該定義による50%圧縮時の反発力を意味する。
【0095】
上記のポリエステル系エラストマー発泡体の厚み(最終的な厚み)、ポリエステル系エラストマー発泡体の密度(見掛け密度)、相対密度などは、用いるガス(特に不活性ガス)、ポリエステル系エラストマー組成物中のポリエステル系エラストマーの組成に応じて、例えば、ガス含浸工程や混練含浸工程における温度、圧力、時間などの操作条件、減圧工程や成形減圧工程における減圧速度、温度、圧力などの操作条件、減圧後又は成形減圧後の加熱工程における加熱温度などを適宜選択、設定することにより調整できる。
【0096】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体では、ポリエステル系エラストマー組成物に本発明の無機物が用いられているので、無機物として水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム)を用いた場合に生じることがあった、ポリエステル系エラストマー組成物調製時の硬化の問題が発生することはない。
【0097】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、本発明の無機物が含まれるポリエステル系エラストマー組成物を発泡させることにより形成されるので、ベース樹脂であるポリエステル系エラストマーと本発明の無機物との親和性がよいことから、ポリエステル系エラストマーと本発明の無機物との界面でボイドが発生せず、発泡時にセルの破泡が発生しにくい。また、親和性がよいことから、ポリエステル系エラストマー組成物中に大量の本発明の無機物を含有させることができる。本発明の無機物の含有量の多いポリエステル系エラストマー組成物を用いると、発泡体で容易に微細なセル構造を得ることができる。
【0098】
ゆえに、本発明のポリエステル系エラストマーは、ポリエステル系エラストマーと、本発明の無機物とを含むポリエステル系エラストマー組成物を発泡させることにより形成されるので、高発泡で、微細なセル構造を有し、セル構造が均一である。また、粗大セル(例えば、セル径が250μm以上のセル)が含まれていない。
【0099】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、上記のようなセル構造を有するので、柔軟性、防塵性、打ち抜き加工性に優れる。また、粗大セルを含まないので、粗大セルから塵が進入し、防塵性が低下するという問題を生じることはない。また、微細で均一なセル構造を有するので、発泡体(フォーム)を、切断、打ち抜き加工した際に、セル構造のつぶれが発生しにくい。
【0100】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、上記特性を有するため、電気機器又は電子機器等のシール材として、好適に用いられる。また、緩衝材、衝撃吸収材として、特に電気機器又は電子機器等の緩衝材、衝撃吸収材として、好適に用いられる。
【0101】
(発泡部材)
本発明の発泡部材は、上記ポリエステル系エラストマー発泡体を含む部材である。上記発泡部材の形状は、特に限定されないが、シート状(フィルム状を含む)、テープ状が好ましい。また、上記発泡部材は、例えば、上記ポリエステル系エラストマー発泡体のみからなる構成であってもよいし、上記ポリエステル系エラストマー発泡体に他の層(特に粘着剤層(粘着層)、基材層など)が積層されている構成であってもよい。
【0102】
特に、上記発泡部材は、粘着剤層を有することが好ましい。例えば、上記発泡部材がシート状の発泡部材である場合、その片面又は両面に粘着剤層を有していてもよい。発泡部材が粘着剤層を有していると、例えば、発泡部材上に粘着剤層を介して加工用台紙を設けることができ、さらに、被着体へ固定ないし仮止めすることができる。
【0103】
上記粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤など)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。なお、粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。なお、粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、ホットメルト型粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。中でも、粘着剤としては、被着体への汚染防止などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。すなわち、上記発泡部材は上記ポリエステル系エラストマー発泡体上にアクリル系粘着剤層を有することが好ましい。
【0104】
上記粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、2〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。粘着剤層は、薄層であるほど、端部のゴミや埃の付着を防止する効果が高いため、厚みは薄い方が好ましい。なお、粘着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。
【0105】
上記発泡部材において、上記粘着剤層は、他の層(下層)を介して、設けられていてもよい。このような下層としては、例えば、他の粘着剤層、中間層、下塗り層、基材層(特にフィルム層や不織布層など)などが挙げられる。さらに、上記粘着剤層は、剥離フィルム(セパレーター)(例えば、剥離紙、剥離フィルムなど)により保護されていてもよい。
【0106】
上記発泡部材は、上記ポリエステル系エラストマー発泡体を含むので、良好な防塵性を有し、微小なクリアランスに対して追従可能な柔軟性を有する。
【0107】
上記発泡部材は、所望の形状や厚みなどを有するように加工が施されていてもよい。例えば、用いられる装置や機器、筐体、部材等に合わせて種々の形状に加工が施されていてもよい。
【0108】
上記発泡部材は、上記のような特性を有するので、各種部材又は部品を、所定の部位に取り付ける(装着する)際に用いられる部材として好適に用いられる。特に、上記発泡部材は、電気又は電子機器において、電気又は電子機器を構成する部品を所定の部位に取り付ける(装着する)際に用いられる部材として好適に用いられる。
【0109】
すなわち、上記発泡部材は、電気又は電子機器用として好適に用いられる。つまり、上記発泡部材は、電気又は電子機器用発泡部材であってもよい。
【0110】
上記発泡部材を利用して取付(装着)可能な各種部材又は部品としては、特に限定されないが、例えば、電気又は電子機器類における各種部材又は部品などが好ましく挙げられる。このような電気又は電子機器用の部材又は部品としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置に装着される画像表示部材(表示部)(特に、小型の画像表示部材)や、いわゆる「携帯電話」や「携帯情報端末」等の移動体通信の装置に装着されるカメラやレンズ(特に、小型のカメラやレンズ)等の光学部材又は光学部品などが挙げられる。
【0111】
本発明の発泡部材の好適な使用態様としては、例えば、防塵、遮光、緩衝等を目的として、LCD(液晶ディスプレイ)等の表示部周りや、LCD(液晶ディスプレイ)等の表示部と筐体(窓部)との間に挟み込んで使用することが挙げられる。
【実施例】
【0112】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0113】
(実施例1)
ハードセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートとソフトセグメントとしてのポリエーテルとのブロック共重合体(商品名「ハイトレル5577」、東レ・デュポン株式会社製、230℃のメルトフローレート:1.8g/10min):100重量部、アクリル系滑剤(商品名「メタブレンL−1000」、三菱レイヨン株式会社製):5重量部、ハードクレイ(商品名「ST−301」、白石カルシウム株式会社製、シランカップリング剤による表面処理加工が施されている、166メッシュ篩残分:0.001%以下、平均粒子径:0.7μm):5重量部、及びカーボンブラック(商品名「旭♯35」、旭カーボン株式会社製):5重量部を二軸混練機に投入した。
次に、投入した樹脂等を二軸混練機により220℃の温度雰囲気下で混練した後、ストランド状に押出し、得られたストランド状物を水冷した。水冷後、ストランド状物をペレット状に切断して、ペレットを得た。
【0114】
上記ペレットを単軸押出機に投入し、混練しながら、240℃の雰囲気下、17(注入後13)MPaの圧力で二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスを十分に飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから押出して、厚み1.4mmのシート状のポリエステル系エラストマー発泡体を得た。
なお、二酸化炭素ガスは、ペレット全量(100重量%)に対して、3.0重量%の割合で注入した。
【0115】
(実施例2)
ハードクレイ(商品名「ST−301」、白石カルシウム株式会社製)5重量部を、炭酸カルシウム(商品名「ナノコート S−25」、丸尾カルシウム株式会社製、ステアリン酸による表面処理が施されている、166メッシュ篩残分:0.001%以下、平均粒子径:0.7μm):5重量部とし、実施例1と同様にして、ペレットを得た。
【0116】
上記ペレットを単軸押出機に投入し、実施例1と同様にして、厚み1.5mmのシート状のポリエステル系エラストマー発泡体を得た。
なお、二酸化炭素ガスは、ペレット全量(100重量%)に対して、3.0重量%の割合で注入した。
【0117】
(実施例3)
ハードセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートとソフトセグメントとしてのポリエーテルとのブロック共重合体(商品名「ハイトレル5577」、東レ・デュポン株式会社製、230℃のメルトフローレート:1.8g/10min):100重量部、アクリル系滑剤(商品名「メタブレンL−1000」、三菱レイヨン株式会社製):5重量部、ハードクレイ(商品名「ST−301」、白石カルシウム株式会社製、シランカップリング剤による表面処理加工が施されている、166メッシュ篩残分:0.001%以下、平均粒子径:0.7μm):5重量部、及びカーボンブラック(商品名「旭♯35」、旭カーボン株式会社製):5重量部を二軸混練機に投入した。
次に、投入した樹脂等を二軸混練機により220℃の温度雰囲気下で混練した後、ストランド状に押出し、得られたストランド状物を水冷した。水冷後、ストランド状物をペレット状に切断して、ペレットを得た。
【0118】
上記ペレットを単軸押出機に投入し、混練しながら、240℃の雰囲気下、17(注入後13)MPaの圧力で二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスを十分に飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから押出して、厚み1.6mmのシート状のポリエステル系エラストマー発泡体を得た。
なお、二酸化炭素ガスは、ペレット全量(100重量%)に対して、2.0重量%の割合で注入した。
【0119】
(比較例1)
ハードセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートとソフトセグメントとしてのポリエーテルとのブロック共重合体(商品名「ハイトレル5577」、東レ・デュポン株式会社製、230℃のメルトフローレート:1.8g/10min):100重量部、アクリル系滑剤(商品名「メタブレンL−1000」、三菱レイヨン株式会社製):5重量部、ポリプロピレン(230℃のメルトフローレート:0.35g/10min):1重量部、水酸化マグネシウム(商品名「MGZ−1」、堺化学工業株式会社製、平均粒子径:(0.7μm、シランカップリング剤による表面処理加工が施されている、166メッシュ篩残分:0.05%以下):1重量部、ケッチェンブラック(商品名「EC−600JD」、ライオン株式会社製):2重量部及びエポキシ系架橋剤(商品名「TEPIC−G」、日産化学工業株式会社製、3官能エポキシ化合物):3重量部を二軸混練機に投入したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットを得た。
【0120】
上記ペレットを単軸押出機に投入し、実施例1と同様にして、厚み2.5mmのシート状のポリエステル系エラストマー発泡体を得た。
なお、二酸化炭素ガスは、ペレット全量(100重量%)に対して、3.5重量%の割合で注入した。
【0121】
(比較例2)
ハードセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートとソフトセグメントとしてのポリエーテルとのブロック共重合体(商品名「ハイトレル5577」、東レ・デュポン株式会社製、230℃のメルトフローレート:1.8g/10min):100重量部、アクリル系滑剤(商品名「メタブレンL−1000」、三菱レイヨン株式会社製):5重量部、水酸化マグネシウム(商品名「MGZ−1」、堺化学工業株式会社製、平均粒子径:0.7μm、シランカップリング剤による表面処理加工が施されている、166メッシュ篩残分:0.05%以下):5重量部及びカーボンブラック(商品名「旭♯35」、旭カーボン株式会社製):5重量部を二軸混練機に投入した。
次に、投入した樹脂等を二軸混練機により220℃の温度雰囲気下で混練したところ、樹脂の硬化が発生し、発泡用混和物を作製することができなかった。
このため、発泡体を得ることができなかった。
【0122】
(比較例3)
ハードセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートとソフトセグメントとしてのポリエーテルとのブロック共重合体(商品名「ハイトレル5577」、東レ・デュポン株式会社製、230℃のメルトフローレート:1.8g/10min):100重量部、アクリル系滑剤(商品名「メタブレンL−1000」、三菱レイヨン株式会社製):5重量部、ハードクレイ(商品名「ST−CROWN」、白石カルシウム株式会社製、表面処理加工が施されていないクレイ、166メッシュ篩残分:0.001%以下、平均粒子径:0.7μm):5重量部及びカーボンブラック(商品名「旭♯35」、旭カーボン株式会社製):5重量部を二軸混練機に投入したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットを得た。
【0123】
上記ペレットを単軸押出機に投入し、混練しながら、240℃の雰囲気下、17(注入後13)MPaの圧力で二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスを十分に飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却した。次に、ダイから押し出したところ、ガス抜けが発生し、発泡体を得ることはできなかった。
なお、二酸化炭素ガスは、ペレット全量(100重量%)に対して、3.0重量%の割合で注入した。
【0124】
(評価)
実施例及び比較例について、下記の(見かけ密度の測定方法)及び(50%圧縮時の反発力の測定方法)により、発泡体の密度(見掛け密度)及び50%圧縮時の反発力を測定した。その測定結果を、それぞれ、表1の「見掛け密度(g/cm3)」、「50%圧縮時の反発力(N/cm2)」の欄に示した。
さらに、実施例及び比較例について、下記の(平均セル径の測定方法)、(粗大セルの測定方法)及び(セルの割合の測定方法)により、平均セル径、粗大セルの個数、及び、セル径が100μmを超過するセル、セル径が50μm以上100μm以下のセル、セル径が50μm未満のセルの割合を測定した。その測定結果を、それぞれ、表1の「平均セル径(μm)」、「粗大セルの個数(個)」、「セルの割合(%)」の欄に示した。
【0125】
(見かけ密度の測定方法)
発泡体の密度(見かけ密度)は、以下のように算出した。発泡体を、20mm×20mmサイズに打ち抜き、試験片とした。該試験片の寸法をノギスで測定し、試験片の体積を求めた。次に、試験片の重量を電子天秤にて測定した。そして、次式により算出した。
見掛け密度(g/cm3)=(試験片の重量)/(試験片の体積)
【0126】
(50%圧縮時の反発力(50%圧縮時の対反発荷重)の測定方法)
JIS K 6767に記載されている圧縮硬さ測定法に準じて測定した。具体的には、30mm×30mmサイズに切り出した試験片を、圧縮速度:10mm/minで圧縮率が50%となるまで圧縮したときの応力(N)を単位面積(1cm2)当たりに換算して反発力(N/cm2)とした。
【0127】
(セル径の測定方法)
セル径(μm)は、デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX−600」キーエンス株式会社製)により、発泡体気泡部の拡大画像を取り込み、同計測器の解析ソフトを用いて、画像解析することにより、求めた。なお、セル径は、セルの面積を求め、円相当径換算したものである。取り込んだ拡大画像の気泡数は、400個程度であった。
【0128】
(粗大セルの個数の測定方法)
粗大セルの個数(個)は、デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX−600」キーエンス株式会社製)により、発泡体気泡部の拡大画像を取り込み、同計測器の解析ソフトを用いて画像解析することによりセルのセル径を求め、250μm以上のセル径を有するセルの個数を調べることにより求めた。なお、セル径は、セルの面積を求め、円相当径換算したものである。取り込んだ拡大画像の気泡数は、400個程度であった。
なお、250μm以上のセル径を有するセルを含むポリエステル系エラストマー発泡体は、外観欠点が生じたり、防塵機能が低下することがある。このため、セル径が250μm以上のセル径を有するセルを粗大セルとした。
【0129】
(セルの割合の測定方法)
まず、デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX−600」キーエンス株式会社製)により、発泡体気泡部の拡大画像を取り込み、同計測器の解析ソフトを用いて、画像解析することにより、各セルのセル径を求めた。なお、セル径は、セルの面積を求め、円相当径換算したものである。取り込んだ拡大画像の気泡数は、400個程度であった。
次に、セル径を求めたセルを、セル径が50μm未満のセル、セル径が50μm以上100μm未満のセル、セル径が100μmを超過するセルに分類した。
そして、取り込んだ拡大画像において、セル径が50μm未満のセルの合計面積と、セル径が50μm以上100μm未満のセルの合計面積と、セル径が100μmを超過するセルの合計面積とを加えたものを、合計セル面積(100面積%)とし、合計セル面積(100面積%)中のセル径が50μm未満のセルの合計面積の割合、合計セル面積(100面積%)中のセル径が50μm以上100μm未満のセルの合計面積の割合及び合計セル面積(100面積%)中のセル径が100μmを超過するセルの合計面積の割合より、セル径が50μm未満のセルの割合、セル径が50μm以上100μm未満のセルの割合及びセル径が100μmを超過するセルの割合を求めた。
【0130】
【表1】

【0131】
比較例1及び比較例2より、水酸化物(水酸化物マグネシウム)を少量用いる程度であれば発泡体を得ることができたが、水酸化物の量を多くすると硬化の問題が発生し、発泡体を得ることができなかった。
【0132】
図1に、実施例1のポリエステル系エラストマー発泡体の発泡体気泡部(セル構造)の拡大画像を示し、図2に、比較例1のポリエステル系エラストマー発泡体の発泡体気泡部(セル構造)の拡大画像を示した。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明のポリエステル系エラストマー発泡体は、電気機器又は電子機器等のシール材、緩衝材、衝撃吸収材等として、好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系エラストマーと、表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)とを含むポリエステル系エラストマー組成物を発泡させることにより形成されることを特徴とするポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項2】
前記表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)における166メッシュ篩残分が0.01%以下である請求項1記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項3】
前記表面処理加工が、シランカップリング処理、又は、高級脂肪酸又はその塩による処理である請求項1又は2記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項4】
前記水酸化物以外の無機物が、ハードクレイ又はアルカリ土類金属炭酸塩である請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項5】
前記ポリエステル系エラストマー組成物が、前記表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)を、ポリエステル系エラストマー組成物全量(100重量%)に対して、0.1〜20重量%含有する請求項1〜4の何れか1項に記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項6】
見掛け密度が0.03〜0.3g/cm3であり、平均セル径が10〜150μmであり、50〜100μmのセル径を有するセルの割合が全セルに対して40%以上である請求項1〜5の何れか1項に記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項7】
50%圧縮時の反発力が0.1〜5.0N/cm2である請求項1〜6の何れか1項に記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項8】
前記ポリエステル系エラストマー組成物に高圧のガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されている請求項1〜7の何れか1項に記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項9】
前記ガスが不活性ガスである請求項8記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項10】
前記不活性ガスが二酸化炭素である請求項9記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項11】
前記ガスが超臨界状態である請求項8〜10の何れか1項に記載のポリエステル系エラストマー発泡体。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載のポリエステル系エラストマー発泡体を含むことを特徴とする発泡部材。
【請求項13】
前記ポリエステル系エラストマー発泡体上に粘着剤層を有する請求項12記載の発泡部材。
【請求項14】
前記粘着剤層がアクリル系粘着剤層である請求項13記載の発泡部材。
【請求項15】
ポリエステル系エラストマーと、表面処理加工された無機物(水酸化物を除く)とを含むポリエステル系エラストマー組成物を発泡させる工程を含むことを特徴とするポリエステル系エラストマー発泡体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−53298(P2013−53298A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142577(P2012−142577)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】