説明

ポリエステル繊維構造体およびその製造方法

【課題】カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体であって、耐光性に優れかつ洗濯耐久性に優れたポリエステル繊維構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体であって、前記カチオン染料可染性ポリエステル繊維を形成するカチオン染料可染性ポリエステル中に、ヒンダードアミン系光安定剤が含まれることを特徴とするポリエステル繊維構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体であって、耐光性に優れかつ洗濯耐久性に優れたポリエステル繊維構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カチオン染料可染性ポリエステル繊維は、分散染料だけでなくカチオン染料でも染色可能なので衣料用途やカーシート用途などを中心に巾広く使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、かかるカチオン染料可染性ポリエステル繊維において、カチオン染料可染基がポリエステルに共重合しているので、通常のポリエステル繊維に比べて光照射時に繊維強度が低下しやすいという問題があった。
【0003】
他方、ポリエステル繊維の耐光性をさらに向上させるためにヒンダードアミン系光安定剤をポリエステル繊維に付与することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、かかる方法で得られたポリエステル繊維は、洗濯を繰り返すうちに耐光性が低下するという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−119620号公報
【特許文献2】特開2004−137659号公報
【特許文献3】特開2005−23499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体であって、耐光性に優れかつ洗濯耐久性に優れたポリエステル繊維構造体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体において、カチオン染料可染性ポリエステル繊維を形成するカチオン染料可染性ポリエステルにヒンダードアミン系光安定剤を含ませることにより、耐光性に優れるだけでなく洗濯耐久性に優れることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明に想到した。
【0007】
かくして本発明によれば、「カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体であって、前記カチオン染料可染性ポリエステル繊維を形成するカチオン染料可染性ポリエステル中に、ヒンダードアミン系光安定剤が含まれることを特徴とするポリエステル繊維構造体。」が提供される。
【0008】
その際、前記のヒンダードアミン系光安定剤の重量比率が、ポリエステル繊維構造体の重量に対して0.2〜5.0重量%であることが好ましい。また、ポリエステル繊維構造体が、糸条、織編物、不織布、詰綿からなる群より選択されるいずれか1種の形態を有することが好ましい。また、JIS L 0217−104記載の洗濯を20回行った後において、フェード試験機で紫外線を100時間照射した後の繊維引張り強度保持率が60%以上であることが好ましい。
【0009】
また、本発明によれば、「カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体に、ヒンダードアミン系光安定剤を含む水溶液を加え、80〜140℃の温度で10〜50分間加熱することを特徴とする、前記のポリエステル繊維構造体の製造方法。」が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体であって、耐光性に優れかつ洗濯耐久性に優れたポリエステル繊維構造体およびその製造方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のポリエステル繊維構造体はカチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成され、該カチオン染料可染性ポリエステル繊維を形成するカチオン染料可染性ポリエステルにヒンダードアミン系光安定剤が含まれる。
【0012】
ここで、カチオン染料可染性ポリエステル繊維を形成するカチオン染料可染性ポリエステルは、ジカルボン酸成分、ジグリコール成分、およびカチオン染料可染性アニオン成分から製造される。ジカルボン酸成分としては、主としてテレフタル酸が用いられることが好ましく、ジグリコール成分としては主としてエチレングリコール、トリメチレングリコール及びテトラメチレングリコールから選ばれた1種以上のアルキレングリコールを用いることが好ましい。カチオン染料可染性アニオン成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分が好ましい。該カチオン染料可染性アニオン成分の共重合割合は、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分に対して0.05〜10モル%(より好ましくは0.1〜5モル%)の範囲が好ましい。
【0013】
前記のヒンダードアミン系光安定剤としては、商標名として旭電化工業(株)製のアデカスタブLA−77、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−87などをあげることができる。なかでもアデカスタブLA−57が好ましい。また、ヒンダードアミン系光安定剤の重量比率としては、ポリエステル繊維構造体の重量に対して0.2〜5.0重量%であることが好ましい。該重量比率が0.2重量%未満では、十分な耐光性が得られず好ましくない。逆に、該重量比率が5.0重量%よりも大きいと、風合いが硬くなったりコストアップとなるおそれがある。
【0014】
かかるポリエステルには、テレフタル酸以外のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸;およびアルキレングリコール以外のグリコール化合物、例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンの1種以上を用いることができる。また、ポリエステル中には、必要に応じて、艶消し剤(二酸化チタン)、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
【0015】
ポリエステル繊維構造体の形態としては、糸条、織編物、不織布、詰綿などが例示される。糸条の形状としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよい。さらには、通常の仮撚捲縮加工が施された仮撚捲縮加工糸や2種以上の構成糸条を空気混繊加工や複合仮撚加工させた複合糸であってもよい。
【0016】
糸条を構成する繊維の単糸繊維繊度、総繊度、単糸数は、単糸繊維繊度0.1〜10.0dtex、総繊度20〜300dtex、単糸数10〜200本の範囲であることが好ましい。また、単糸繊維の断面形状には制限はなく、通常の円形断面のほかに三角、扁平、くびれ付扁平、十字形、六様形、あるいは中空形などの異型断面形状であってもよい。
【0017】
次に、本発明のポリエステル繊維構造体の製造方法について、以下説明する。
まず、第1の方法として、カチオン染料可染性ポリエステルにヒンダードアミン系光安定剤をブレンドした後に溶融紡糸しカチオン染料可染性ポリエステル繊維を得て、該カチオン染料可染性ポリエステル繊維を用いて前記のような形態を有するポリエステル繊維構造体とする方法が例示される。
【0018】
また、第2の方法として、カチオン染料可染性ポリエステル繊維を用いて前記のような形態を有するポリエステル繊維構造体を得る。次いで、該ポリエステル繊維構造体に、ヒンダードアミン系光安定剤を含む水溶液を加え、80〜140℃の温度で10〜50分間加熱し吸尽処理する方法が例示される。ここで、かかるヒンダードアミン系光安定剤が前記カチオン染料可染性ポリエステル繊維に吸尽処理されていることが肝要である。ヒンダードアミン系光安定剤がカチオン染料可染性ポリエステル繊維にバインダー樹脂等により付着しているだけでは、十分な洗濯耐久性が得られず好ましくない。
【0019】
かくして得られたポリエステル繊維構造体において、耐光性に優れるだけでなく洗濯耐久性にも優れる。その理由はカチオン染料可染性ポリエステル繊維に含まれるカチオン染料可染基とヒンダードアミン系光安定剤とがイオン結合しているためであろうと推定している。かかる洗濯耐久性としては、JIS L 0217−104記載の洗濯を20回行った後において、フェード試験機で紫外線を100時間照射した後の繊維引張り強度保持率が60%以上(より好ましくは70%以上)であることが好ましい。
【0020】
なお、本発明のポリエステル繊維構造体には、必要に応じて通常のアルカリ減量加工、染色仕上げ加工、さらには、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【実施例】
【0021】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)繊維の引張り強度
JIS L1013 7.5に規定された方法により繊維の引張り強さを測定した。
(2)洗濯
JIS L 0217−104記載の方法で洗濯を行った。
(3)紫外線照射後の強度保持率(%)
フェード試験機で試料に紫外線を100時間照射後、照射前後の繊維の引張り強度から、下記式により強度保持率(%)を算出した。
強度保持率(%)=(照射後の引張り強度(cN/dtex)/照射前の引張り強度(cN/dtex))×100
【0022】
[実施例1]
5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分がテレフタル酸成分に対して1.6モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート延伸糸(総繊度56dtex/24fil)を経糸に配し、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分がテレフタル酸成分に対して1.6モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート延伸糸(総繊度84dtex/36fil)を緯糸に配して目付け55gr/mのタフタ織物を製織した。
【0023】
次いで、ミニカラー染色機(テクサム技研(株)製)に、前記のタフタ織物と、該タフタ織物重量に対し2重量%の濃度となるようにヒンダードアミン系安定剤(旭電化工業性アデカスタブLA−57)を含む水溶液を浴比1:50で加え125℃で20分間加熱し吸尽処理したタフタ織物(ポリエステル繊維構造体)を得た。
【0024】
かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.7cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.6cN/dtexと強度保持率が98%であった。
【0025】
次に、紫外線を照射する前のタフタ織物を20回洗濯したのち、かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.6cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.0cN/dtexと強度保持率が83%であった。
【0026】
[実施例2]
5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分がテレフタル酸成分に対して1.6モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートポリマーのペレットと2.0重量%の割合でヒンダードアミン系安定剤(旭電化工業性アデカスタブLA−57)をブレンドしたものを、120℃で8時間乾燥したのち、窒素雰囲気下で、300℃の一軸ルーダーに連続的に導入、表面温度280度のノズルを通し押し出した後、90℃に熱した回転速度1400m/分の延伸ローラーと120℃に熱した回転速度4200m/分の熱セットローラーとの間で延伸熱セットすることで、ヒンダードアミン系安定剤2重量%を含有し5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分がテレフタル酸成分に対して1.6モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート延伸糸(総繊度56dtex/24fil)を得た、さらに、繊度及びフィラメント数を変えるほかは同様にして、総繊度84dtex/36filのヒンダードアミン系安定剤2重量%を含有し5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分がテレフタル酸成分に対して1.6モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート延伸糸を得た。こうして得られた、ヒンダードアミン系安定剤2重量%を含有し5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分がテレフタル酸成分に対して1.6モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート延伸糸をそれぞれ、経及び緯糸に配して目付け55gr/mのヒンダードアミン系安定剤2重量%を含有し5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分がテレフタル酸成分に対して1.6モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートタフタ織物を製織した。
【0027】
かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに4.0cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.9cN/dtexと強度保持率が98%であった。
【0028】
次に、紫外線を照射する前のタフタ織物を20回洗濯したのち、かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.9cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.2cN/dtexと強度保持率が82%であった。
【0029】
[比較例1]
通常のポリエチレンテレフタレート延伸糸(総繊度56dtex/24fil)を経糸に配し、通常のポリエチレンテレフタレート延伸糸(総繊度84dtex/36fil)を緯糸に配すること以外は実施例1と同様にしてタフタ織物(ポリエステル繊維構造体)を得た。
【0030】
かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.7cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに2.1cN/dtexと強度保持率が58%であった。
【0031】
次に、紫外線を照射する前のタフタ織物を20回洗濯したのち、かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.6cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに2.0cN/dtexと強度保持率が56%と、洗濯耐久性の点で不十分であった。
【0032】
[比較例2]
実施例1において、ヒンダードアミン系安定剤を入れないで同様に処理を行い、タフタ織物(洗濯なし)から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.7cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに2.0cN/dtexと強度保持率が54%であった。
た。
【0033】
[比較例3]
実施例2において、ヒンダードアミン系安定剤をブレンドしない以外は同様に行ない、タフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに4.1cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに2.2cN/dtexと強度保持率が54%であった。
【0034】
[比較例4]
実施例3のタフタ織物に対し、ヒンダードアミン系安定剤(旭電化工業製アデカスタブLA−57)40g/L、バインダー樹脂(大和化学製ファイコート30G)30g/Lを含む水系加工液を浸漬後マングルで絞り、タフタ重量に対し50重量%の加工液を含浸させた。ついで、このタフタ織物を130℃で4分間乾燥させた後、170℃で1分間熱セットした。かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.8cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.5cN/dtexと強度保持率が92%と良好であったが、次に、紫外線を照射する前のタフタ織物を20回洗濯したのち、かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.6cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに2.0cN/dtexと強度保持率が56%であり、洗濯耐久性の点で不十分であった。
【0035】
[比較例5]
実施例2において、ヒンダードアミン系安定剤に代えてヒンダードフェノール系安定剤(チバスペシャリティケミカルズ製イルガノックス1010)を用いるほかは、実施例2と同様に行ない、タフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに4.1cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.9cN/dtexと強度保持率が95%と良好であったが、次に、紫外線を照射する前のタフタ織物を20回洗濯したのち、かかるタフタ織物から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに3.6cN/dtexであった。また、試料(タフタ織物)に紫外線を100時間照射し、試料から経糸および緯糸を抜き出して引張り強度を測定したところ、経糸、緯糸ともに2.3cN/dtexと強度保持率が64%であり、洗濯耐久性の点で不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体であって、耐光性に優れかつ洗濯耐久性に優れたポリエステル繊維構造体およびその製造方法が提供される。かかるポリエステル繊維構造体は、スポーツ衣料などに好適に使用することができ、その工業的価値は極めて大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体であって、前記カチオン染料可染性ポリエステル繊維を形成するカチオン染料可染性ポリエステル中に、ヒンダードアミン系光安定剤が含まれることを特徴とするポリエステル繊維構造体。
【請求項2】
前記のヒンダードアミン系光安定剤の重量比率が、ポリエステル繊維構造体の重量に対して0.2〜5.0重量%である、請求項1に記載のポリエステル繊維構造体。
【請求項3】
ポリエステル繊維構造体が、糸条、織編物、不織布、詰綿からなる群より選択されるいずれか1種の形態を有する、請求項1または請求項2に記載のポリエステル繊維構造体。
【請求項4】
JISに規定された方法によりJIS L 0217−104記載の洗濯を30回行った後において、フェード試験機で紫外線を100時間照射した後の繊維引張り強度保持率が50%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル繊維構造体。
【請求項5】
カチオン染料可染性ポリエステル繊維で構成されるポリエステル繊維構造体に、ヒンダードアミン系光安定剤を含む水溶液を加え、80〜140℃の温度で10〜50分間加熱することにより吸尽処理を特徴とする、請求項1に記載のポリエステル繊維構造体の製造方法。

【公開番号】特開2007−84974(P2007−84974A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277521(P2005−277521)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】