説明

ポリエーテルアルコールの製造方法

a)アルキレンオキシドに対して反応性の水素原子を少なくとも3個有し、及び分子量Mnが600g/mol以下の、少なくとも1種の化合物と、b)アルキレンオキシドと、を、c)触媒、を使用して反応させることによって行われる、ポリエーテルアルコールd1)を製造するための方法で、この反応が、ヒドロキシル価が、100〜800mgKOH/g及び官能性が1.5〜8のポリエーテルアルコールd)の存在下に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキレンオキシをアルキレンオキシドに対して反応性の水素原子を有する化合物上に付加することによって、ポリエーテルアルコールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出発材化合物とも称される、反応性水素原子を有する化合物上にアルキレンオキシドを付加することによるポリエーテルアルコールの製造は、長く知られている。この付加は、触媒を使用して行われる。
【0003】
硬質ポリウレタンフォームの製造で使用されるポリエーテルは通常、官能性が2〜8の範囲、及びヒドロキシル価が250〜800mgKOH/gの範囲である。アルキレンオキシドに対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する、使用される化合物は通常、反応性水素原子を2個以上有するアルコール及び/又はアミンである。これらは、多官能性アルコール、例えばグリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、又はアミン、例えばエチレンジアミン(EDA)、トルエンジアミン(TDA)、又はジフェニルメタンジアミン(MDA)又はポリマー性MDA(p−MDA)であることができる。特に固体出発材料の場合、運転の開始時では、ゆっくりとした計量導入のみが可能である。この理由は、アルキレンオキシドは、反応混合物中に少量しか溶解しないからである。この結果、アルキレンオキシドの蓄積をもたらし、このことは、反応器内部の圧力を高くすることになる。アルキレンオキシドの高い蓄積は、危険な状態である。この理由は、暴走反応が反応器の設計圧力を超えてしまうからである。更に、高い粘度は、熱の除去を低下させる。このことは、長いサイクル時間をもたらす。貧弱な熱除去は、(生成物の品質に悪影響をもたらす)局所的な過熱、ホットスポットをもたらす。高い粘度は、ポンプ及び外部熱交換器の損耗を加速する。
【0004】
特許文献1(WO99/47581)には、糖及び触媒としてイミダゾールを使用する共−開始剤を使用した、ポリエーテルアルコールを製造するための方法が記載されている。出発剤混合物は、ポリエーテルアルコールを含んでも良い。アルキレンオキシドは反応に、ゆっくりとした速度で計量導入され、このことは、低い時空収率をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO99/47581
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、改良された時空収率でポリエーテルアルコールを製造し、及び従来技術の不利な点を回避することを可能とすることである。この方法は、単純でそして触媒としてアミンの使用を許容するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、驚くべきことに、出発材混合物が、アルキレンオキシドに対して反応性の水素原子を少なくとも3個有し、及び分子量Mnが600g/mol以下、及び好ましくは400g/mol以下の少なくとも1種の化合物と、ヒドロキシル値が100〜800mgKOH/g及び官能性が1.5〜8のポリエーテルアルコールを含み、及び攪拌エネルギー導入量が好ましくは、0.15kW/m3〜5kW/m3の範囲であることによって達成される。ここに記載される出発材混合物は、出発材と触媒の混合物である。
【0008】
従って本発明は、ポリエーテルアルコールd1)を製造するための方法であって、a)アルキレンオキシドに対して反応性の水素原子を少なくとも3個有し、及び分子量Mnが600g/mol以下、及び好ましくは400g/mol以下の化合物と、b)アルキレンオキシドと、を、c)触媒、を使用して反応させることによって行われ、この反応は、ヒドロキシル価が100〜800mgKOH/g及び官能性が1.5〜8のポリエーテルアルコールd)の存在下に行われることを特徴とする方法を提供する。
【0009】
本発明は更に、本発明によって得られるポリエーテルアルコール、及びこれらをポリウレタンの製造に使用する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ポリエーテルアルコールd)が使用される量は、化合物a)及びd)の合計に対して、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは10〜40質量%、及び更に好ましくは15〜30質量%である。
【0011】
本発明の方法の特に好ましい実施の形態では、上記ポリエーテルアルコールd)は、同一のアルキレンオキシドb)、及び(アルキレンオキシドa)に対して反応性の水素原子を少なくとも3個有する)同一の化合物を、(両方とも)ポリエーテルアルコールd1)の製造で使用した量と同じ量で使用して製造される。換言すれば、この場合、ポリエーテルアルコールd)及びd1)は同じである。
【0012】
成分a)は、好ましくは、ヒドロキシル基を少なくとも2個、及び好ましくは少なくとも3個有するアルコール、又はアミノ基を少なくとも1個有するアミンを含む。トリメチロプロパン、グリセロール、ペンタエリチリトール、糖化合物、例えばグルコース、ソルビトール、マニトール、及びスクロース、多価フェノール、リソール、例えばフェノールとホルムアルデヒドのオリゴマー性縮合物、及びフェノール、ホルムアルデヒド、及びジアルカノールアミン及びメラミンのMannich縮合物、及び上述したアルコールの少なくとも2種の混合物を使用することが好ましい。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態では、成分a)は、室温では固体の、少なくとも1種のヒドロキシル−含有化合物を含む。Mannich縮合物が、一実施の形態で可能である。更なる実施の形態では、糖アルコールが関連する。これらは好ましくは、グルコース、ソルビトール、マンニトール、及びスクロースから成る群から選ばれ、及びより好ましくは、ソルビトール及びスクロースから成る群から選ばれる。更なる実施の形態では、スクロースが関連する。
【0014】
本発明の更なる好ましい実施の形態では、成分a)は、少なくとも1種の室温では固体のアルコールと、少なくとも1種の室温では液体のアルコールの混合物を含む。室温では固体のアルコールは、好ましくは、糖アルコール、より好ましくは上述したもの、特にスクロースを含む。室温では液体のアルコールは、好ましくはエチレングリコール及びその高級同族体、プロピレングリコール、及びその同族体、及びグリセロール、特にグリセロールを含む。成分a)は、水を含んでも良い。水を使用する場合、その量は、より特定的には、成分a)の質量に対して10質量%未満である。
【0015】
本発明の更なる好ましい実施の形態は、アミンを成分a)として使用することを含む。脂肪族アミンが考慮されて良い。芳香族アミンが好ましい。特に好ましくは、少なくとも1個のアミノ基、及び好ましくは少なくとも2個のアミノ基を有するアミンが使用される。より特定的には、芳香族アミンは、トルエンジアミン(TDA)又はジフェニルメタンジアミン(MDA)又はポリマー性MDA(p−MDA)を含む群から選ばれる。TDAの場合、より特定的には、使用されるものは、隣接TDA(vicinal TDA)としても公知の2,3−及び3,4−異性体である。
【0016】
アルキレンオキシドb)は、好ましくはプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びこれらの2種以上の混合物を含む。好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物が、アルキレンオキシドb)として使用される。アルキレンオキシドb)としてプロピレンオキシドを使用することが特に好ましい。
【0017】
使用される触媒は通常、塩基性化合物である。工業規模の工程で、これらは通常、アルカリ金属のヒドロキシド、より好ましくはカリウムヒドロキシドである。これらの触媒は、ポリエーテルアルコールの更なる処理を崩壊させるので、これらはポリエーテルアルコールから除去しなければならない。この除去は通常、酸を使用して中和し、次に得られた塩を除去することによって行われる。この追加的な操作は、時空収率の低下と生成物の損失をもたらす。
【0018】
この不利な点は、生成物中に残留可能な触媒を使用することによって改良することができる。従って、アミンを触媒として使用することが公知である。アミンは、アルカリ系触媒よりも触媒的な活性が低いので、これらは好ましくは、(好ましくは硬質ポリウレタンフォームの製造に使用されるような)短ポリエーテル鎖を有するポリエーテルアルコールを製造するために使用される。このタイプのポリオールは、例えばRO108246及びRO85851又はEP0318784に記載されている。
【0019】
アルカリ金属ヒドロキシド及びアミン触媒の組合せを使用することも可能である。このことは特に、ヒドロキシル価が低いポリオールを製造するための選択肢である。得られた生成物は、同様に処理して、アルカリ金属ヒドロキシドで触媒化されたポリオールにすることができる。この替りに、これらは、酸を使用した中和工程を行うことによって処理することもできる。この場合、カルボン酸、例えば乳酸、酢酸、又は2−エチルヘキサン酸を使用することが好ましい。
【0020】
従って、触媒c)としてアミンを使用することが好ましい。アミンは、第1級、第2級又は第3級アミンであっても良い。これは更に、脂肪族又は芳香族アミンであっても良い。脂肪族アミンの中で、第3級アミンが特に好ましい。アミノアルコールもアミンとして考慮される。本発明の一実施の形態では、アミンは、少なくとも1個、及び好ましくは少なくとも2個の窒素原子を環内に有する芳香族複素環化合物を含んでも良い。
【0021】
アミンは、好ましくはトリアルキルアミン、より特定的にはトリメチルアミン、トリエチリルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアルキルアミン、より特定的には、ジメチルエタノールアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルブチルアミン、芳香族アミン、より特定的には、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、イミダゾール(より特定的にはイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1−ヒドロキシプロピルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、N−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール)、グアニジン、アルキル化グアニジン(より特定的には、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デク(dec)−5−エン(ene)、アミジン(より特定的には、1,5−ジアゾビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク(undec)−7−エン)から成る群から選ばれる。
【0022】
アミン性触媒は、単独で、又は任意の割合で相互に混合して使用することができる。
【0023】
本発明の好ましい一実施の形態では、ジメチルエタノールアミンが触媒c)である。
【0024】
本発明の好ましい一実施の形態では、イミダゾールが触媒c)である。
【0025】
ここでアミンは、全バッチに対して、0.1〜1.0質量%の量で使用されることが好ましい。この量は、脂肪族アミンが使用される場合に特に好ましい。
【0026】
複素環式化合物、より特定的には、イミダゾールが、全バッチに対して0.01〜0.5質量の量で使用されることが好ましい。
【0027】
本発明の更なる実施の形態は、記載されたように、アルカリ又はアルカリ土類金属のオキシド、ヒドロキシド、アルコキシドを触媒c)として含む。触媒は、より好ましくは、カリウムヒドロキシド、セシウムヒドロキシド、又はカリウムtert−ブトキシドを含む群から選ばれる。
【0028】
本発明の方法を行うために、開始剤混合物の成分が一緒に混合される。次に、反応器内のガス相が不活性ガス、より特定的には窒素によって最初に置き換えられる。次にアルキレンオキシドが計量導入される。
【0029】
アルキレンオキシドの付加反応は、好ましくは、90〜150℃の温度、及び0.1〜6バールの圧力で行われる。アルキレンオキシドの計量導入の後、典型的には、アルキレンオキシドの反応を完了させるために、後反応が行われる。
【0030】
必要とされるアルキレンオキシドの量の最初の40質量%、より好ましくは最初の30質量%、及び特に25質量%が、45kg/h/m3〜160kg/h/m3、より好ましくは50kg/h/m3〜140kg/h/m3、及び特に75kg/h/m3〜120kg/h/m3の平均計量導入速度であることが好ましい。上述した体積は、反応器体積についてのものである。任意の外部冷却回路が反応器体積に導入される。
【0031】
反応器体積に基づく平均計量導入速度は、加えられるアルキレンオキシドの量を、アルキレンオキシドの量にとって必要な計量導入時間、及び反応器体積によって割り算することによって計算される。
【0032】
本発明の方法は、0.15kW/m3〜4.5kW/m3、好ましくは0.25kW/m3〜2.8kW/m3、及びより好ましくは0.3kW/m3〜2.0kW/m3のエネンルギー導入で行われることが有利である。
【0033】
アルキレンオキシドの計量導入が完了した後、典型的には、次に後反応段階が行われ、この段階で、アルキレンオキシドの反応が完了される。この後、典型的には、反応生成物の後処理が行われ、これは例えば、好ましくは蒸留(該蒸留は、減圧下に行うことが好ましい)させて揮発性物質を除去することにより行われる。蒸留の間、前又は後に、不活性ガス又は蒸気を使用してストリップすることが更に可能である。ストリップは、60〜150℃の温度範囲、及び15〜1013ミリバールの圧力範囲で行われる。不活性ガス又は蒸気は、1〜1900kg/h/m3で導入される。この体積は、反応器体積に基づくものである。
【0034】
アルカリ又はアルカリ土類金属のオキシド、ヒドロキシド、又はアルコキシドが使用される場合、反応混合物は、アルキレンオキシドの付加反応が行われた後、蒸留によって脱水され、及び酸中和及び形成された塩を除去することによって後処理される。
【0035】
上述したように、本発明のポリエーテルアルコールは、ポリイソシアネートと反応して硬質ポリウレタンフォームを形成することができる。
【0036】
このために使用される出発材料は、特に以下のように記載されても良い:
考えられる有機ポリイソシアネートは、好ましくは芳香族多官能性ポリイソシアネートである。
【0037】
特定の例は次のものである:2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)及び対応する異性体混合物、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び対応する異性体混合物、4,4’−、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、及び硬質ポリウレタンフォームの製造では特に、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(粗製MDI)。
【0038】
本発明のポリエーテルアルコールは、典型例では、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する他の化合物との混合物中に使用される。
【0039】
本発明に従い使用されるポリエーテルアルコールdi)と一緒に使用することが有用な、及びイソシアネート反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物は、特に、OH価が100〜1200mgKOH/gの範囲の、ポリエーテルアルコール及び/又はポリエステルアルコールである。
【0040】
本発明に従う使用されるポリエーテルアルコールと一緒に使用されるポリエステルアルコールは、通常、2〜12個の炭素原子、及び好ましくは2〜6個の炭素原子を有する多官能性アルコール、好ましくはジオールを、(2〜12個の炭素原子を有する多官能性カルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、及び好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及び異性体ナフタレンジカルボン酸で)縮合することにより製造される。
【0041】
本発明に従い使用されるポリエーテルアルコールdi)と一緒に使用されるポリエーテルアルコールは通常、官能性が2〜8、及びより特定的には、3〜8である。
【0042】
特に好ましくは、公知の方法によって、例えば、アルキレンオキシドを触媒の存在下にアニオン性重合することによって製造されるポリエーテルアルコールが使用される。
【0043】
イソシアネート反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物は、任意に使用される鎖延長剤、及び架橋剤をも含む。硬質ポリウレタンフィルムは、鎖延長剤、及び/又は架橋剤を使用することなく、又は使用して製造することができる。2官能性鎖延長剤、3官能性及びこれを超える官能性の架橋剤、又は任意にこれらの混合物を加えることが、機械的特性を変性(変更)するのに有利であって良い。使用される鎖延長剤及び/又は架橋剤は、好ましくはアルカノールアミン、及びより特定的には、分子量が400未満、好ましくは60〜300の範囲のジオール及び/又はトリオールである。
【0044】
鎖延長剤、架橋剤、又はこれらの混合物は、ポリオール成分に対して、有利にことには1質量%〜20質量%の量、及び好ましくは2質量%〜5質量%の量で使用される。
【0045】
ポリウレタンフォームは、典型例では、発泡剤の存在下に製造される。使用される発泡剤は、好ましくは(二酸化炭素を排出してイソシアネート基と反応する)水であっても良い。水に加え、又は水の替りにいわゆる物理的発泡剤も使用することができる。物理的発泡剤は通常、室温では液体で、供給成分に対して不活性であり、そしてウレタン反応の条件下では蒸発する化合物を含む。これらの化合物の沸点は、好ましくは50℃未満である。物理的発泡剤は、室温ではガス状であり、そして圧力下に供給材料中に導入及び/又は溶解される化合物、例えば二酸化炭素、低沸点アルカン及びフルオロアルカンをも含む。
【0046】
物理的発泡剤は通常、少なくとも4個の炭素原子を含むアルカン及び/又はシクロアルカン、ジアルキルエーテル、エステル、ケトン、アセタール、1〜8個の炭素原子を有するフルオロアルカン、及びアルキル鎖中に1〜3個の炭素原子を有するテトラアルキルシラン、より好ましくはテトラメチルシランを含む群から選ばれる。
【0047】
ポリウレタンの製造は、必要であれば、触媒、難燃剤、及び通常の助剤、及び/又は添加剤の存在下に行っても良い。
【0048】
使用される出発材料について更に特定のものは、例えばKunststoffhandbuch,volume7“Polyurethane”,edited by Gunter Oertel,Carl−Hanser−Verlag,3rd edition,1993に見出されて良い。
【0049】
以下に実施例を用いて本発明を説明する。
【0050】
実施例1−ポリエーテルオール1
300mlの圧力反応器に21.15gのグリセロール、58.68gのスクロース、及び1.76gのジメチルエタノールアミンを挿入した。攪拌器を開始させ(0.1kW/m3)、そして反応器を繰り返し不活性化(inertize)し、そして105℃に加熱した。次にプロピレンオキシドの計量導入を0.8ml/分の速度で開始させた。計量導入したプロピレンオキシドの量が35gに達する前に、反応器圧力は6.4バールを超え、そして安全上の理由で、試験実施を中止しなければならなかった。所望の生成物を単離することができなかった。目標とする生成物は、ヒドロキシル価が500mgKOH/gのポリエーテルアルコールであった。
【0051】
実施例2−ポリエーテルオール2
実施例1に記載した反応器に18.02gのグリセロール、31.2gのポリオール(ヒドロキシル価が500mgKOH/g及び官能性が4.95)、50.2gのスクロース、及び1.52gのジメチルエタノールアミンを挿入した。攪拌器を開始させ(0.1kW/m3)、そして反応器を繰り返し不活性化し、そして105℃に加熱した。次にプロピレンオキシドの計量導入を0.8ml/分の速度で開始させた。計量導入したプロピレンオキシドの量が35gに達する前に、反応器圧力は6.4バールを超え、そして安全上の理由で、試験実施を中止しなければならなかった。所望の生成物を単離することができなかった。目標とする生成物は、ヒドロキシル価が500mgKOH/gのポリエーテルアルコールであった。
【0052】
実施例3−ポリエーテルオール3
実施例1に記載した反応器に18.13gのグリセロール、31.1gのポリオール(ヒドロキシル価が500mgKOH/g及び官能性が5.95)、50.2gのスクロース、及び1.50gのジメチルエタノールアミンを挿入した。攪拌器を開始させ(0.5kW/m3)、そして反応器を繰り返し不活性化(inertize)し、そして105℃に加熱した。次にプロピレンオキシドの計量導入を0.8ml/分の速度で開始させた。プロピレンオキシドの最初の35gを供給する間(計量導入時間:53分)、最大圧力は5バールであった。全部で126.5gのプロピレンオキシドを導入した(合計計量導入時間:190分)。反応器体積に基づく平均計量導入速度は、133kg/h/m3であった。3時間の後反応を112℃で行った。なお残っているプロピレンオキシドを窒素流中でストリップ除去した。生成物(220g)は、以下のパラメーターを有していた:
ヒドロキシル価 507mgKOH/g
25℃での粘度 17 123mPas
水分含有量 0.009%
pH 10.3
【0053】
ポリオール粘度は、他に記載がなければ、スピンドルCC25DIN(スピンドル径:12.5mm、測定シリンダー内径:13.56mm)を有するPheotec RC 20回転粘度計を使用して、50 1/sのせん断速度で測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルアルコールd1)を製造するための方法であって、
a)アルキレンオキシドに対して反応性の水素原子を少なくとも3個有し、及び分子量Mnが600g/mol以下の、少なくとも1種の化合物と、
b)アルキレンオキシドと、を、
c)触媒、
を使用して反応させることにより行われ、
この反応は、ヒドロキシル価が100〜800mgKOH/g及び官能性が1.5〜8のポリエーテルアルコールd)の存在下に行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ポリエーテルアルコールd)が、化合物a)及びd)の合計に対して、1〜70質量%の量で使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルキレンオキシドが反応器体積に対して、45kg/h/m3〜160kg/h/m3の平均計量導入速度で計量導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
攪拌エネルギー導入量が、0.15kW/m3〜5kW/m3であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエーテルアルコールd1)が、同一のアルキレンオキシドb)、及びアルキレンオキシドに対して反応性の水素原子を少なくとも3個有する、同一の化合物a)を使用して製造され、これらの量は両方とも、前記ポリエーテルアルコールd)を製造するのに使用される量と同じであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルキレンオキシドb)が、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びこれらの2種以上の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
成分a)が、ヒドロキシル基を少なくとも3個有するアルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記成分a)が、少なくとも1種の糖アルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記成分a)が、少なくとも1種の、室温では固体のアルコールと少なくとも1種の、室温では液体のアルコールの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
成分a)が、アミノ基を少なくとも2個有するアミンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
触媒c)がアミンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒c)が、トリアルキルアミン、より特定的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアルキルアミン、より特定的には、ジメチルエタノールアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルブチルアミン、芳香族アミン、より特定的には、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、イミダゾール(より特定的には、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1−ヒドロキシプロピルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、N−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール)、グアニジン、アルキル化グアニジン(より特定的には、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デク−5−エン、アミジン(より特定的には、1,5−ジアゾビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,5−ジアサビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン)を含む群から選ばれるアミンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒c)が、ジメチルエタノールアミンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。触媒がイミダゾールであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒c)が、アルカリ又はアルカリ土類金属のオキシド、ヒドロキシド、又はアルコキシドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載の方法によって得ることができるポリエーテルアルコール。
【請求項16】
ポリウレタンの製造に、請求項15に記載のポリエーテルアルコールを使用する方法。

【公表番号】特表2013−521355(P2013−521355A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555363(P2012−555363)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052556
【国際公開番号】WO2011/107367
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】