説明

ポリオキシメチレン樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体

【課題】本発明は、収縮率、特にアニール収縮率が小さく、寸法安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物及びその製造方法、成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は、ポリオキシメチレン樹脂(A)、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)を含有し、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族アルコール(D)の合計含有量が、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3質量部であり、脂肪酸(C)と脂肪族一価アルコール(D)との質量比((C)/(D))が、0.1〜10の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシメチレン樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシメチレン樹脂は、高結晶性熱可塑性樹脂であり、高剛性で且つ耐クリープ特性、耐溶剤性、摺動性等に優れた材料である。その用途は、例えば自動車、電気製品、機械等の機構部品をはじめ、広範囲に亘っている。これら各種機構部品に使用する場合、ポリオキシメチレン樹脂の寸法精度が重要になる。一般的に、ポリオキシメチレン樹脂は高温環境下で収縮する性質を有する。そのため、ポリオキシメチレン樹脂成形体は、高温環境下で長期間保管、或いは使用すると、寸法が大きく変化し、作動不良などの不具合が生じる。このような不具合を防止するために、ポリオキシメチレン樹脂成形体を、予めアニール収縮させるか、或いはアニール収縮率を考慮した金型を設計するなどの方法が採られている。
【0003】
しかしながら、ポリオキシメチレン樹脂成形体は、その使用環境が多岐に亘っており、ポリオキシメチレン樹脂成形体がどの程度収縮するか予測して金型を設計することは困難である。また、成形時の樹脂温度と金型温度、使用環境温度の違いによっても、ポリオキシメチレン樹脂成形体の収縮率は異なるため、該収縮率を予測した金型設計は極めて困難である。よって、どのような使用環境であっても収縮率が同じ、あるいは寸法変化が少ないポリオキシメチレン樹脂成形体の開発が切に求められている。
【0004】
ポリオキシメチレン樹脂の二次収縮性を改良する方法としては、無機フィラーを配合する方法が一般的である。しかしながら、無機フィラーを配合したポリオキシメチレン樹脂組成物は、機械的特性、特に伸度や耐衝撃性に劣るとともに、成形性が著しく低下する。その上、ウエルド部の強度も低く精密部品の材料として使用し難い。他方、異種のポリオキシメチレン樹脂同士を添加配合し収縮性を改良する方法(例えば、特許文献1参照)、及び炭素数が3以上の多価アルコールと脂肪酸とのフルエステル化合物を配合し、寸法安定性を改良する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−108848号公報
【特許文献2】特開2002−020577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法においても、アニール収縮率が大きく、寸法安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物は得られていない。
【0007】
本発明は、ポリオキシメチレン樹脂組成物及びその製造方法、成形体に関するものであり、ポリオキシメチレン樹脂の欠点である収縮性、特にアニール収縮率の問題を改善し、寸法安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物及びその製造方法、成形体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、寸法変化量が少ないポリオキシメチレン樹脂組成物及びその製造方法、成形体を提供すべく鋭意検討した結果、特定の化合物を特定量添加した場合、ポリオキシメチレン樹脂の結晶性が制御され、寸法安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物及びその成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
即ち、本発明は、以下に関する。
【0010】
[1]
ポリオキシメチレン樹脂(A)、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)を含有し、
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族アルコール(D)の合計含有量が、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3質量部であり、
脂肪酸(C)と脂肪族一価アルコール(D)との質量比((C)/(D))が、0.1〜10の範囲であるポリオキシメチレン樹脂組成物。
【0011】
[2]
脂肪酸エステル化合物(B)が、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル及びベヘン酸ベヘニルからなる群より選択される少なくとも1種である[1]記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【0012】
[3]
脂肪酸(C)が、ミリスチン酸、ステアリン酸及びベヘニン酸からなる群より選択される少なくとも1種である[1]又は[2]記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【0013】
[4]
脂肪族一価アルコール(D)が、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種である[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【0014】
[5]
溶融状態のポリオキシメチレン樹脂(A)に、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)を添加し、溶融混練する工程を含み、
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)の合計添加量が、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3質量部であり、
脂肪酸(C)の添加量と脂肪族一価アルコール(D)の添加量との質量比((C)/(D))が、0.1〜10の範囲であるポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法。
【0015】
[6]
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)が溶融状態で添加される[5]記載のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法。
【0016】
[7]
[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【0017】
[8]
下記収縮率(T1)と、下記収縮率(T2)との収縮率差((T1)−(T2))が、±0.05%の範囲である[7]記載の成形体;
T1(%)=(寸法(S0)−寸法(S1))/(寸法(S0))×100、
T2(%)=(寸法(S0)−寸法(S2))/(寸法(S0))×100、
寸法(S0):成形直後の成形体の寸法(金型寸法)、
寸法(S1):温度23℃、湿度50%で24時間放置後の成形体の寸法、
寸法(S2):温度23℃、湿度50%で24時間放置後、70℃で4時間加熱し、さらに23℃、湿度50%で24時間放置後の成形体の寸法。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ポリオキシメチレン樹脂の欠点である収縮性の問題(寸法変化量が大きい)を改良し、収縮率、特にアニール収縮率が小さく、寸法安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物及びその製造方法、成形体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。ただし、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0020】
≪ポリオキシメチレン樹脂組成物≫
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物は、ポリオキシメチレン樹脂(A)、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)を含有し、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)の合計含有量が、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3質量部であり、脂肪酸(C)と脂肪族一価アルコール(D)との質量比((C)/(D))が、0.1〜10の範囲である。
【0021】
[ポリオキシメチレン樹脂(A)]
本実施形態で用いるポリオキシメチレン樹脂(A)としては、ポリアセタールホモポリマーやポリアセタールコポリマーが挙げられる。
【0022】
ポリアセタールホモポリマーとして、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られるポリアセタールホモポリマーが代表例として挙げられる。
【0023】
また、ポリアセタールコポリマーとしては、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテル又は環状ホルマールとを共重合させて得られるポリアセタールコポリマーが代表例として挙げられる。
【0024】
ホルムアルデヒドの環状オリゴマーとしては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等が挙げられる。環状エーテル又は環状ホルマールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等が挙げられる。
【0025】
さらに、ポリアセタールコポリマーとしては、単官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマーや、多官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。
【0026】
またさらに、ポリアセタールホモポリマーとしては、両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーも用いることができ、ポリアセタールコポリマーとしては、同じく両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテルや環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。
【0027】
以上のように、本実施形態においては、ポリオキシメチレンホモポリマー及びポリオキシメチレンコポリマーのいずれを用いてもよく、特に限定するものではない。
【0028】
これらのポリオキシメチレン樹脂(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0029】
[脂肪酸エステル化合物(B)]
本実施形態で用いる脂肪酸エステル化合物(B)は、下記一般式(I)で表される脂肪酸エステル化合物であることが好ましい。
【0030】
【化1】

(式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜35の飽和脂肪族基を表し、R1とR2との炭素数の関係は、R1≧R2である。)
脂肪酸エステル化合物(B)の具体例としては、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、パルチミン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸オクチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル等が挙げられ、R1の炭素数が、R2の炭素数以上である脂肪酸エステル化合物が挙げられる。これら脂肪酸エステル化合物(B)の中でも好ましくは、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニルである。
【0031】
これらの脂肪酸エステル化合物(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0032】
[脂肪酸(C)]
本実施形態で用いる脂肪酸(C)は、下記一般式(II)で表される脂肪酸であることが好ましい。
【0033】
【化2】

(式(II)中、R3は、炭素数1〜35の脂肪族基を表す。)
脂肪酸(C)の具体例としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシ酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、ミリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸等が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸又はこれらの混合物等が挙げられる。また、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。これら脂肪酸の中でも好ましくは、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸である。
【0034】
これらの脂肪酸(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0035】
[脂肪族一価アルコール(D)]
次に脂肪族一価アルコール(D)について述べる。本実施形態で用いる脂肪族アルコール(D)は、下記一般式(III)で表される一価の脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0036】
【化3】

(式(III)中、R4は、炭素数1〜35の脂肪族基を表す。)
脂肪族一価アルコール(D)の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和又は不飽和アルコールである。これら一価の脂肪族アルコールのうち、好ましい脂肪族一価アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールである。
【0037】
これらの脂肪族一価アルコール(D)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0038】
脂肪族一価アルコール(D)の代わりに多価アルコールを用いると、本実施形態の寸法安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物及び成形体を得ることができない。この原因は明確ではないが、本発明者らは以下のとおり推定している。多価アルコールはポリオキシメチレン樹脂の非晶部に多く存在し、結晶部に浸透しないため、ポリオキシメチレン樹脂は、結晶性が制御され難く、高結晶性を維持する。結果として、得られる成形体は寸法変化量が大きくなると考える。
【0039】
[その他の添加剤]
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜公知の添加剤を添加することもできる。添加剤としては、潤滑剤、結晶化核剤、熱可塑性樹脂、無機充填剤、導電材、熱可塑性エラストマー、顔料などが挙げられる。
【0040】
[各成分の含有量]
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物において、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)の合計含有量は、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3.0質量部の範囲であり、好ましくは0.3〜2.0質量部の範囲であり、より好ましくは0.5〜1.0の範囲である。脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)の合計含有量が上記の範囲にあると、寸法安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物及び成形体を得ることができる。
【0041】
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)の含有割合は、(B)、(C)及び(D)成分の合計を100質量%とした場合、(B)成分が91〜98質量%、(C)成分が0.5〜4.5質量%、(D)成分が0.5〜4.5質量%であることが好ましい。
【0042】
次に、脂肪酸(C)と脂肪族一価アルコール(D)との質量比((C)/(D))について述べる。脂肪酸(C)と脂肪族一価アルコール(D)との質量比((C)/(D))は、0.1〜10の範囲であり、好ましくは0.3〜3.0の範囲であり、より好ましくは0.5〜1.0の範囲である。脂肪酸(C)と脂肪族一価アルコール(D)との質量比が上記の範囲にあると、寸法安定性により優れたポリオキシメチレン樹脂及び成形体を得ることができる。
【0043】
その他の添加剤の添加量は、特に限定されないが、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜10.0質量部であることが好ましく、0.005〜5.0質量部であることがより好ましく、0.01〜3.0質量部であることがさらに好ましい。
【0044】
≪ポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法≫
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法は、溶融状態のポリオキシメチレン樹脂(A)に、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族アルコール(D)を添加し、溶融混練する工程を含み、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族アルコール(D)の合計添加量が、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3質量部であり、脂肪酸(C)の添加量と脂肪族一価アルコール(D)の添加量との質量比((C)/(D))が、0.1〜10の範囲である。
【0045】
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)の合計添加量は、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3.0の範囲であり、好ましくは、0.3〜2.0の範囲であり、さらに好ましくは、0.5〜1.0の範囲である。(B)、(C)及び(D)成分の合計添加量が上記の範囲にあると、寸法安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物及び成形体を得ることができる。
【0046】
次に、脂肪酸(C)の添加量と脂肪族一価アルコール(D)の添加量との質量比((C)/(D))について述べる。脂肪酸(C)の添加量と脂肪族一価アルコール(D)の添加量との質量比((C)/(D))は、0.1〜10の範囲であり、好ましくは0.3〜3.0の範囲であり、より好ましくは0.5〜1.0の範囲である。脂肪酸(C)の添加量と脂肪族一価アルコール(D)の添加量との質量比が上記の範囲にあると、寸法安定性により優れたポリオキシメチレン樹脂及び成形体を得ることができる。
【0047】
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法において用いる、ポリオキシメチレン樹脂(A)、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族アルコール(D)については、≪ポリオキシメチレン樹脂組成物≫の段落で述べたものと同様である。
【0048】
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)の添加方法は、粉体状態で添加しても、溶解させた状態で添加しても、何れの方法であっても構わないが、溶融状態のポリオキシメチレン樹脂(A)に、同じく溶融状態の脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)、脂肪族アルコール(D)の混合物を添加する方法が好ましい。このような添加方法とすると、収縮率差(寸法変化量)が小さく、寸法安定性により優れたポリオキシメチレン樹脂組成物及び成形体を得ることができる。
【0049】
この理由は、ポリオキシメチレン樹脂を溶融させることで、ポリマー分子間結合を緩め、その緩めた結晶部に溶融状態の脂肪酸エステル化合物、脂肪酸及び脂肪族アルコールの混合物を配置することで、ポリオキシメチレン樹脂の結晶性が制御できるため、収縮率差(寸法変化量)を低く抑えることができると本発明者らは推定している。
【0050】
更に本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法において、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜公知の添加剤を添加することもできる。具体的には、潤滑剤、結晶化核剤、及び熱可塑性樹脂、無機充填剤、導電材、熱可塑性エラストマー、顔料などを添加することができる。
【0051】
溶融混練機としては、一般に実用されている溶融混練機が適用できる。例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等を用いればよい。中でも、減圧装置、及びサイドフィーダー設備を装備した2軸押出機がより好ましく、特に、同方向噛合い式2軸押出機が好ましい。
【0052】
溶融混練の温度は、用いるポリオキシメチレン樹脂のJIS K7121に準じた示差走査熱量(DSC)測定で求まる融点より1〜100℃高い温度が好ましい。より具体的には160℃〜240℃ある。溶融混練機での剪断速度は100rpm以上であることが好ましく、溶融混練時の平均滞留時間は、30秒〜10分が好ましい。
【0053】
≪成形体≫
本実施形態の成形体は、上述のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる。
【0054】
ポリオキシメチレン樹脂組成物を成形する方法としては、特に制限するものではなく、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法のいずれかによって成形することができる。
【0055】
本実施形態の成形体は、上述のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られるため、寸法安定性に優れる。
【0056】
本実施形態の成形体は、下記収縮率(T1)と、下記収縮率(T2)との収縮率差((T1)−(T2))が、±0.05%の範囲であることが好ましく、±0.03%の範囲であることがより好ましく、±0.02%の範囲であることがさらに好ましい。
T1(%)=(寸法(S0)−寸法(S1))/(寸法(S0))×100、
T2(%)=(寸法(S0)−寸法(S2))/(寸法(S0))×100、
寸法(S0):成形直後の成形体の寸法(金型寸法)、
寸法(S1):温度23℃、湿度50%で24時間放置後の成形体の寸法、
寸法(S2):温度23℃、湿度50%で24時間放置後、70℃で4時間加熱(アニール処理)し、さらに23℃、湿度50%で24時間放置後の成形体の寸法。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。はじめに、実施例及び比較例で使用した成分の内容及び評価方法を以下に示す。
【0058】
〈使用成分〉
1.ポリオキシメチレン樹脂(A)
(A−1)ポリオキシメチレンホモポリマー
メルトフローレイト30.0g/10min(ISO 1133 D条件)である両末端がアセチル基で封鎖されたポリオキシメチレンホモポリマー(旭化成ケミカルズ(株)社製 テナック7010)
2.脂肪酸エステル化合物(B)
(B−1)ミリスチン酸セチル
(B−2)ステアリン酸ステアリル
(B−3)ベヘニン酸ベヘニル
(B−4)グリセリントリステアレート
(B−5)グリセリントリベヘネート
3.脂肪酸(C)
(C−1)ミリスチン酸
(C−2)ステアリン酸
(C−3)ベヘニン酸
4.脂肪族一価アルコール(D)
(D−1)セチルアルコール
(D−2)ステアリルアルコール
(D−3)ベヘニルアルコール
5.その他添加剤
(E−1)窒化ホウ素、平均粒子径:≒3μm
(E−2)エチレン・スチレングラフト共重合体
(E−3)1−ブテン・エチレン共重合体
〔評価方法〕
《寸法安定性》
1.射出成形
実施例及び比較例で得られたポリオキシメチレン樹脂組成物(ペレット)を、80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された東芝機械(株)製IS−100GN成型機を用いて、金型温度80℃、冷却時間30秒の条件で下記寸法の平板成形品を成形した。
【0059】
平板成形品の寸法:100mm×40mm×4mm。
【0060】
2.収縮率測定
上記射出成形で得られた平板成形品を、温度23℃、湿度50%の恒温室で24時間放置した。24時間放置後の平板成形品の流動方向の寸法(S1)を測定した。該放置後の平板成形品の流動方向の寸法(S1)と、上記成形直後の平板成形品の流動方向の寸法(S0)(金型寸法)とから、下記式より平板成形品の収縮率(T1)を求めた。
T1(%)=(寸法(S0)−寸法(S1))/(寸法(S0))×100
次に、上記24時間放置後の平板成形品を、70℃に設定されたオーブンで4時間加熱し、再び、23℃、湿度50%の恒温室で24時間放置した。24時間放置後の平板成形品の流動方向の寸法(S2)を測定した。該放置後の平板成形品の流動方向の寸法(S2)と、上記成形直後の平板成形品の流動方向の寸法(S0)(金型寸法)とから、下記式より平板成形品の収縮率(T2)を求めた。
T2(%)=(寸法(S0)−寸法(S2))/(寸法(S0))×100
上記で求めた収縮率(T1)と収縮率(T2)とから、T1とT2との収縮率差((T1)−(T2))を求め、寸法安定性を評価した。収縮率差((T1)−(T2))の値が小さい程、寸法安定性に優れると評価した。
【0061】
[実施例1]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)を、同方向噛合い式2軸押出機で溶融させた。この2軸押出機の溶融ゾーンとベント口との間に、ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)を、85℃に加温し溶融状態で液添ポンプを用いて添加し、ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)と溶融混練してポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)の合計添加量は、ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)100質量部に対して、0.2質量部とした。溶融混練した、ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)の質量比は、ミリスチン酸セチル(B−1)95質量%、ミリスチン酸(C−1)1.8質量%、セチルアルコール(D−1)3.2質量%とした。得られたポリオキシメチレン樹脂組成物を乾燥後、上記のとおり射出成形し、寸法安定性を評価した。結果を表1に示した。
【0062】
[比較例1]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)を、上記のとおり射出成形し、寸法安定性を評価した。結果を表1に示した。
【0063】
[実施例2〜5及び比較例2]
ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)の質量比は固定し、押出機に添加した(B−1)〜(D−1)の合計添加量を、表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
【0064】
[比較例3]
ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)の質量比は固定し、押出機に添加した(B−1)〜(D−1)の合計添加量を、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。得られたポリオキシメチレン樹脂組成物を用いて、上記のとおり射出成形を試みたところ、該樹脂組成物が可塑化せず、平板成形品を得ることができなかった。
【0065】
【表1】

[実施例6〜10、比較例4]
ミリスチン酸(C−1)とセチルアルコール(D−1)との質量比率を、表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。
【0066】
[比較例5〜7]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)に添加する成分として、表2に示すとおりに(B−1)〜(D−1)のいずれか1成分だけを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。
【0067】
[比較例8]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)に添加する成分として、表2に示すとおりにミリスチン酸セチル(B−1)及びミリスチン酸(C−1)の2成分だけを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。
【0068】
[比較例9]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)に添加する成分として、表2に示すとおりにミリスチン酸セチル(B−1)及びセチルアルコール(D−1)の2成分だけを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。
【0069】
【表2】

[実施例11及び12]
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族アルコール(D)の種類を、表3及び4に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3及び4に示した。
【0070】
[比較例10〜15]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)に添加する成分として、表3及び4に示すとおりに(B−2)〜(D−2)及び(B−3)〜(D−3)のいずれか1成分だけを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3及び4に示した。
【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

[実施例13]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)を、同方向噛合い式2軸押出機で溶融させた。この2軸押出機の溶融ゾーンとベント口との間に、ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)を、85℃の加温し溶融状態で液添ポンプを用いて添加し、ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)と溶融混練してポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。
【0073】
ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)の合計添加量は、ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)100質量部に対して、0.5質量部とした。
【0074】
溶融混練した、ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)の質量比は、ミリスチン酸セチル(B−1)95質量%、ミリスチン酸(C−1)1.8質量%、セチルアルコール(D−1)3.2質量%とした。得られたポリオキシメチレン樹脂組成物に、更に窒化ホウ素(E−1)、エチレン・スチレングラフト共重合体(E−2)、1−ブテン・エチレン共重合体(E−3)を添加し、溶融混練してポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。(E−1)〜(E−3)の添加量は、ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)100質量部に対して、(E−1)が0.005質量部、(E−2)が1質量部、(E−3)が1質量部とした。
【0075】
得られたポリオキシメチレン樹脂組成物を80℃で3時間乾燥した後、上記のとおり射出成形し、寸法安定性を評価した。結果を表5に示した。
【0076】
[比較例14及び15]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)に添加する成分として、表5に示すとおりに(B−4)又は(B−5)のいずれか1成分だけを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表5に示した。
【0077】
[実施例14]
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)に、ミリスチン酸セチル(B−1)95質量%、ミリスチン酸(C−1)1.8質量%、セチルアルコール(D−1)3.2質量%の比率で添加して混合物を得た。ミリスチン酸セチル(B−1)、ミリスチン酸(C−1)及びセチルアルコール(D−1)の合計添加量は、ポリオキシメチレン樹脂(A−1)100質量部に対して、0.5質量部とした。この混合物を、同方向噛合い式2軸押出機で溶融混練してポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。得られたポリオキシメチレン樹脂組成物を乾燥後、上記のとおり射出成形し、寸法安定性を評価した。結果を表5に示した。
【0078】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、欠点である成形後の二次収縮率の改良により、様々な用途の成形品に適用することが可能である。例えば、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け及び、ガイド等に代表される機構部品;
アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、プリンター及び複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品;
VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラ及び、デジタルカメラに代表されるカメラ、又はビデオ機器用部品;
カセットプレイヤー、DAT、LD(Laser Disk)、MD(Mini Disk)、CD(Compact Disk)〔CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む〕、DVD(Digital Video Disk)〔DVD−ROM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RDL、DVD+RDL、DVD−RAM(Random Access Memory)、DVD−Audioを含む〕、Blu−ray Disc、HD−DVD、その他光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像又は情報機器;
携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器用部品;電気機器用部品;電子機器用部品;自動車用の部品などに適用することが可能である。
【0080】
また、自動車用の部品としては、ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品;ドアロック、ドアハンドル、ウインドウレギュレータ、スピーカーグリル等に代表されるドア廻り部品;シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品;コンビスイッチ部品、スイッチ類及び、クリップ類の部品が挙げられる。
【0081】
さらにシャープペンシルのペン先、シャープペンシルの芯を出し入れする機構部品、洗面台、排水口、排水栓開閉機構部品、自動販売機の開閉部ロック機構、商品排出機構部品、衣料用のコードストッパー、アジャスター、ボタン、散水用のノズル、散水ホース接続ジョイント、階段手すり部、床材の支持具である建築用品、使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機、家具、楽器、住宅設備機器に代表される工業部品として好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシメチレン樹脂(A)、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)を含有し、
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族アルコール(D)の合計含有量が、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3質量部であり、
脂肪酸(C)と脂肪族一価アルコール(D)との質量比((C)/(D))が、0.1〜10の範囲であるポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項2】
脂肪酸エステル化合物(B)が、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル及びベヘン酸ベヘニルからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項3】
脂肪酸(C)が、ミリスチン酸、ステアリン酸及びベヘニン酸からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項4】
脂肪族一価アルコール(D)が、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項5】
溶融状態のポリオキシメチレン樹脂(A)に、脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)を添加し、溶融混練する工程を含み、
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)の合計添加量が、ポリオキシメチレン樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜3質量部であり、
脂肪酸(C)の添加量と脂肪族一価アルコール(D)の添加量との質量比((C)/(D))が、0.1〜10の範囲であるポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
脂肪酸エステル化合物(B)、脂肪酸(C)及び脂肪族一価アルコール(D)が溶融状態で添加される請求項5記載のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【請求項8】
下記収縮率(T1)と、下記収縮率(T2)との収縮率差((T1)−(T2))が、±0.05%の範囲である請求項7記載の成形体;
T1(%)=(寸法(S0)−寸法(S1))/(寸法(S0))×100、
T2(%)=(寸法(S0)−寸法(S2))/(寸法(S0))×100、
寸法(S0):成形直後の成形体の寸法(金型寸法)、
寸法(S1):温度23℃、湿度50%で24時間放置後の成形体の寸法、
寸法(S2):温度23℃、湿度50%で24時間放置後、70℃で4時間加熱し、さらに23℃、湿度50%で24時間放置後の成形体の寸法。

【公開番号】特開2012−255079(P2012−255079A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128615(P2011−128615)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】