説明

ポリオキソアニオン化合物の回収方法

【課題】最近、ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液から前記ポリオキソアニオン化合物を回収する方法が求められている。
【解決手段】下記工程(1)及び(2)を含むことを特徴とするポリオキソアニオン化合物の回収方法。
工程(1):ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液と、前記ポリオキソアニオン化合物に対して錯形成能を有する有機溶媒とを混合して、前記ポリオキソアニオン化合物、前記錯形成能を有する有機溶媒及び水を含む第1の相と、水を主成分とする第2の相とに分離する工程。
工程(2):疎水性有機溶媒と前記第1の相とを混合して、前記錯形成能を有する有機溶媒及び前記疎水性有機溶媒を含む有機相と、前記ポリオキソアニオン化合物を含む水相と、に分離する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキソアニオン化合物の回収方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ケトン化合物の製造方法として、例えば、ポリオキソアニオン化合物の1種であるヘテロポリ酸又はその酸性塩を含む触媒の存在下、オレフィンと分子状酸素と水とを反応させることにより、ケトン化合物を効率的且つ選択的に製造し得ることが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−185656号公報[請求項11]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記製造方法によって得られた反応混合物は、ケトン化合物とポリオキソアニオン化合物とを含む水溶液である。最近、当該反応混合物のようなポリオキソアニオン化合物を含む水溶液から前記ポリオキソアニオン化合物を回収する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。
<1> 下記工程(1)及び(2)を含むことを特徴とするポリオキソアニオン化合物の回収方法。
工程(1):ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液と、前記ポリオキソアニオン化合物に対して錯形成能を有する有機溶媒とを混合して、前記ポリオキソアニオン化合物、前記錯形成能を有する有機溶媒及び水を含む第1の相と、水を主成分とする第2の相とに分離する工程。
工程(2):疎水性有機溶媒と前記第1の相とを混合して、前記錯形成能を有する有機溶媒及び前記疎水性有機溶媒を含む有機相と、前記ポリオキソアニオン化合物を含む水相と、に分離する工程。
<2> 工程(2)が、疎水性有機溶媒と前記第1の相と水とを混合して、前記錯形成能を有する有機溶媒及び前記疎水性有機溶媒を含む有機相と、前記ポリオキソアニオン化合物を含む水相と、に分離する工程であることを特徴とする<1>記載の方法。
【0006】
<3> 前記ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液が、さらに水溶性アミド化合物を含むことを特徴とする<1>又は<2>記載の方法。
<4> 前記水溶性アミド化合物がアセトアミドであることを特徴とする<3>記載の方法。
<5> 前記ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液が、さらに炭素数1〜6個のカルボン酸化合物を含むことを特徴とする<1>〜<4>のいずれか記載の方法。
【0007】
<6> 前記ポリオキソアニオン化合物が、下記式
ef
(式中、Xは、P、Si、As,Ge及びSからなる群より選択される原子であり、Q及びZは、W、V及びMoから選択される原子であり、QとZは同一であってもよい。aは3〜24の整数であり、bは3〜24の整数であり、dとeはそれぞれ1〜18の整数であり、fは15〜62の整数である。)
で示される化合物であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか記載の方法。
<7> 前記ポリオキソアニオン化合物が、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、ケイモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸及びケイタングストバナジン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか記載の方法。
<8> 前記ポリオキソアニオン化合物が、リンモリブデン酸又はリンモリブドバナジン酸であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか記載の方法。
【0008】
<9> 前記錯形成能を有する有機溶媒が、環状ケトン、炭酸エステル及びリン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか記載の方法。
<10> 前記錯形成能を有する有機溶媒が、シクロヘキサノン、炭酸プロピレン及びトリ−n−ブチルホスフェートからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする<1>〜<9>のいずれか記載の方法。
【0009】
<11> 前記疎水性有機溶媒が、炭素数6〜10の芳香族炭化水素であることを特徴とする<1>〜<10>のいずれか記載の方法。
<12> 前記ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液が、パラジウム化合物およびポリオキソアニオン化合物の存在下、オレフィンを分子状酸素で酸化して得られた反応混合物であることを特徴とする<1>〜<11>のいずれか記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液から前記ポリオキソアニオン化合物が回収可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、下記工程(1)及び(2)を含むことを特徴とするポリオキソアニオン化合物を回収方法である。
工程(1):ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液(以下、本水溶液と記すことがある)と、前記ポリオキソアニオン化合物に対して錯形成能を有する有機溶媒とを混合して、前記ポリオキソアニオン化合物、前記錯形成能を有する有機溶媒及び水を含む第1の相と、水を主成分とする第2の相とに分離する工程。
工程(2):疎水性有機溶媒と前記第1の相とを混合して、前記錯形成能を有する有機溶媒及び前記疎水性有機溶媒を含む有機相と、前記ポリオキソアニオン化合物を含む水相と、に分離する工程。
【0012】
本発明におけるポリオキソアニオン化合物は、P、Si、As,Ge及びSから選択される原子とW、V及びMoから選択される原子と酸素原子とを含むものである。
具体例としては、下記式
ef
(式中、Xは、P、Si、As,Ge及びSからなる群より選択される原子であり、Q及びZは、W、V及びMoから選択される原子であり、QとZは同一であってもよい。aは3〜24の整数であり、bは3〜24の整数であり、dとeはそれぞれ1〜18の整数であり、fは15〜62の整数である。)
で示される化合物等を挙げることができる。
好ましくは、例えば、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、ケイモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸及びケイタングストバナジン酸等のヘテロポリ酸を挙げることができ、より好ましくは、リンモリブデン酸及びリンモリブドバナジン酸等が挙げられる。
【0013】
本水溶液におけるポリオキソアニオン化合物の濃度としては、水100質量部に対し、例えば、0.1〜10質量部の範囲等を挙げることができる。
本水溶液の酸性度は、ポリオキソアニオン化合物のプロトンの量によって異なるが、例えば、pH1〜pH7の範囲の範囲等を挙げることができる。
本水溶液は、水溶性有機溶媒を含んでもよい。水溶性有機溶媒としては、例えば、炭素数2〜4のアルキルシアニド等のニトリル溶媒、炭素数1〜5のアルコール等を挙げることができる。
本水溶液において、ポリオキソアニオン化合物は、完全に溶解していることが好ましい。
【0014】
本発明の方法は、本水溶液に、水溶性アミド化合物、カルボン酸化合物、無機化合物等のポリオキソアニオン化合物以外の化合物が更に含まれていても、ポリオキソアニオン化合物を回収することができる。
本水溶液において、ポリオキソアニオン化合物以外の化合物の合計の上限は、本水溶液100質量部に対し、例えば、20質量部以下、好ましくは10質量部以下を挙げることができる。本発明によれば、本水溶液におけるポリオキソアニオン化合物以外の化合物の合計が、例えば、0.01〜20質量部の範囲、好ましくは、0.1〜10質量部の範囲であっても、ポリオキソアニオン化合物が回収可能である。
【0015】
本水溶液における水溶性アミド化合物の含有量の上限は、本水溶液100質量部に対し、例えば、20質量部以下、好ましくは10質量部以下を挙げることができる。本発明によれば、本水溶液における水溶性アミド化合物の含有量が、例えば、0.01〜20質量部の範囲、好ましくは、0.1〜10質量部の範囲であっても、ポリオキソアニオン化合物が回収可能である。
水溶性アミド化合物としては、例えば、アセトアミド等が挙げられる。
【0016】
本水溶液におけるカルボン酸化合物の上限は、本水溶液100質量部に対し、例えば、10質量部以下、好ましくは5質量部以下を挙げることができる。本発明によれば、本水溶液におけるカルボン酸化合物の含有量が、例えば、0.01〜10質量部の範囲、好ましくは、0.1〜5質量部の範囲であっても、ポリオキソアニオン化合物が回収可能である。
カルボン酸化合物としては、例えば、アジピン酸等の炭素数1〜6のカルボン酸等が挙げられる。
【0017】
本水溶液における無機化合物の上限は、本水溶液100質量部に対し、例えば、5質量部以下、好ましくは1質量部以下を挙げることができる。本発明によれば、本水溶液における無機化合物の含有量が、例えば、0.01〜5質量部の範囲、好ましくは、0.01〜1質量部の範囲であっても、ポリオキソアニオン化合物が回収可能である。
無機化合物としては、後述するケトン化合物の製造方法で用いられる酸化触媒等が挙げられる。
【0018】
本水溶液としては、例えば、ポリオキソアニオン化合物の存在下でケトン化合物を製造する際に生じる反応混合液;ポリオキソアニオン化合物の存在下で水を含む溶媒中で行う有機化合物の反応により生じる反応混合液;該有機化合物の反応により生じる反応混合液から回収したポリオキソアニオン化合物を含む液;使用済みポリオキソアニオン化合物の浸出液;等が挙げられる。
本水溶液の具体例として、ポリオキソアニオン化合物とアセトアミドと炭素数1〜6のカルボン酸と水との混合液、ポリオキソアニオン化合物と炭素数1〜6のカルボン酸と水との混合液、ポリオキソアニオン化合物とアセトアミドと水との混合液等が挙げられる。
【0019】
本水溶液として、特許文献1に記載された、ポリオキソアニオン化合物の存在下でケトン化合物を製造する際に生じる反応混合液、について以下に説明する。
ケトン化合物を製造方法としては、例えば、水を含む溶媒、パラジウム化合物や鉄化合物などの無機化合物、およびポリオキソアニオン化合物の存在下、オレフィンを分子状酸素で酸化する方法等を挙げることができる。
前記製造方法において、副生物としてカルボン酸化合物が生成し、反応溶液や触媒浸出液に前記カルボン酸化合物が含まれることがある。更に、水を含む溶媒が水とニトリル溶媒との混合溶媒としてケトンを製造した場合、副生物として水溶性アミド化合物が生成し、反応溶液や触媒浸出液に該水溶性アミド化合物が含まれることがある。カルボン酸化合物や水溶性アミド化合物は、従来、ポリオキソアニオン化合物と分離することが困難であったが、本発明の回収方法によれば、ケトン化合物を製造方法に使用し得る程度まで精製された、ポリオキソアニオン化合物を回収することができ、再び、ケトン化合物を製造方法等に利用することができる。
【0020】
ここで、パラジウム化合物としては、例えば、酢酸パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム等が挙げられる。
鉄化合物としては、例えば、硫酸鉄、ミョウバン鉄(硫酸アンモニウム鉄)、硝酸鉄、リン酸鉄などの無機塩や、クエン酸鉄、酢酸鉄などの有機酸塩、フタロシアニン鉄、アセチルアセトナート鉄などの錯体、及び、酸化鉄等を挙げることができる。
【0021】
水を含む溶媒としては、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒、水とニトリル溶媒との混合溶媒等が挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、炭素数1〜4のアルコールが挙げられる。前記ニトリル溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等の炭素数2〜4のアルキルニトリルが挙げられる。水を含む溶媒としては、好ましくは、水とニトリル溶媒との混合溶媒であり、好ましくは、水とアセトニトリルとの混合溶媒である。
【0022】
オレフィンとしては、例えば、炭素数5〜20のシクロアルケン、具体的にはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。
オレフィンとしてはシクロヘキセンが好ましい。
得られるケトン化合物としては、炭素数5〜20の環状ケトンを挙げることができる。具体的には、オレフィンがシクロペンテンの場合にはシクロペンタノンを得ることができ、オレフィンがシクロヘキセンの場合にはシクロへキサノンを得ることができ、オレフィンがシクロヘプテンの場合にはシクロヘプタノンを得ることができ、オレフィンがシクロオクテンの場合にはシクロオクタノンを得ることができる。
【0023】
ケトン化合物の製造方法において、さらに、メソポーラスシリケートの存在下で行ってもよい。
ここで、メソポーラスシリケートとは、孔径2nm〜50nmの細孔を有する規則性メソ多孔体を意味する。メソポーラスシリケートの構造は、IZA(International Zeolite Association)の定義に基づく。メソポーラスシリケートの例としては、MCM−41、MCM−48等のMCM型、SBA−15及びSBA−16(D.Zhao,ら,サイエンス、第279巻(1998)548頁;Zhaoら, J.Am.Chem.Soc.第120巻(1998)6024頁)等のSBA型、HMSを挙げることができる。MCM型に関して、スタディズ・イン・ザ・サーフェスサイエンス・アンド・キャタリシス(Studies in Surface Science and Catalysis)第148巻(2004)53頁を参照することができる。
【0024】
ケトン化合物の製造方法における分子状酸素の量としては、オレフィン1モルあたり、例えば、1モル〜約100モル、好ましくは約2モル〜約50モル、さらに好ましくは約5モル〜約20モルの量を挙げることができる。酸化における酸素分圧としては、例えば、0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜5MPaの範囲を挙げることができる。
酸化温度としては、例えば、0〜200℃、好ましくは10〜150℃、さらに好ましくは30〜100℃の範囲等を挙げることができる。
酸化における圧力(ゲージ圧)としては、例えば、0.01〜10MPaの範囲等を挙げることができ、好ましくは0.05〜7MPaの範囲、さらに好ましくは0.1〜5MPaの範囲等が挙げられる。
酸化は、回分式、半回分式、連続法、又はそれらの組合せにおいて行うことができる。 パラジウム化合物およびポリオキソアニオン化合物と、所望によりメソポーラスシリケートとは、スラリーとして用いてもよいし、固定床として用いてもよい。
酸化により得られる反応溶液又は反応ガスから、生成したケトン化合物は、蒸留、相分離等により取得することができる。
【0025】
ケトン化合物を製造方法において環状ケトンを製造する場合、得られた環状ケトンを本発明の回収方法における溶媒として用いてもよい。具体的には、本発明のケトン化合物の製造方法により得られる反応混合液において、環状ケトンを少し残したままポリオキソアニオン化合物の回収方法における本水溶液として用いればよい。
このような溶媒に用いる環状ケトンの代表例として、シクロヘキサノンが挙げられる。
【0026】
工程(1)で用いられる有機溶媒とは、ポリオキソアニオン化合物に対して錯形成能を有する有機溶媒(以下、この溶媒を「錯形成溶媒」と記すことがある。)である。
錯形成溶媒の20℃における水への溶解度としては、例えば、1〜20重量%の範囲を挙げることができる。
【0027】
有機溶媒が本水溶液の錯形成溶媒であるか否かは、以下に示す操作により判断することができる。
1.予め調製した本水溶液と、試験対象とする有機溶媒とを混合した後、静置し、相分離するか否かを確認する。
2.前記1の操作において相分離した場合、前記有機溶媒を含む相にポリオキソアニオン化合物が含有しているか否かを確認する。
前記相にポリオキソアニオン化合物が含有している場合は、前記有機溶媒は錯形成溶媒であると判断し、前記相にポリオキソアニオン化合物が含有していない場合は、前記有機溶媒は錯形成溶媒ではないと判断する。
尚、ポリオキソアニオン化合物が有色である場合、ポリオキソアニオン化合物が錯形成することにより有機溶媒を含む相が着色されるので、目視で確認することができる。
錯形成溶媒としては、前記1.において、速やかに相分離し、かつ、前記2.において、ポリオキソアニオン化合物の含有量が多いものであることが好ましい。
【0028】
錯形成溶媒としては、Analytical Chemistry:vol.25 No.11 p1668〜1673等に記載の溶媒、具体的には、2,6−ジメチル−へプタノン等の環状ケトン;エチルアセテート、1−ブチルアセテート、アミルアセテート、エチルアセトアセテート等のカルボン酸エステル;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の炭酸エステル;エチルエーテル、2−プロピルエーテル等のアルキルエーテル;トリ−n−ブチルホスフェート等のリン酸エステル;等が挙げられる。
錯形成溶媒は、2種以上の錯形成溶媒を含む混合溶媒であってもよい。
好ましい錯形成溶媒としては、環状ケトン、炭酸エステル及びリン酸エステルからなる群より選ばれる溶媒、より好ましくは炭素数5〜12の炭素環を有する環状ケトン、炭素数3〜5の炭酸エステル及び炭素数9〜24のリン酸エステルからなる群より選ばれる溶媒、更に好ましくはシクロヘキサノン、炭酸プロピレン及びトリ−n−ブチルホスフェートが挙げられる。
【0029】
工程(1)における錯形成溶媒の量は、本水溶液及び錯形成溶媒の混合後、相分離する量であり、具体的には、本水溶液中のポリオキソアニオン化合物の種類や濃度、錯形成溶媒の種類等によって異なるが、本水溶液100質量部に対して、例えば、0.1〜200質量部の範囲、好ましくは1〜100質量部の範囲を挙げることができる。
工程(1)における本水溶液及び錯形成溶媒の混合は、例えば、水または錯形成溶媒が凝固せず、かつ、水または錯形成溶媒が蒸散しない温度範囲であり、好ましくは、0〜100℃の温度範囲より好ましくは5〜50℃の温度範囲を挙げることができる
【0030】
錯形成溶媒がアルキルエーテルの場合、本水溶液は、予め、あるいは、前記混合時に酸性、好ましくは、pH1〜5の範囲に調整することにより、相分離速度が向上する傾向があることから好ましい。
【0031】
工程(1)における本水溶液及び錯形成溶媒の混合は、攪拌装置を用いて行ってよい。また、前記混合時間としては、ポリオキソアニオン化合物と錯形成溶媒とが十分に錯形成する時間であり、例えば、1分〜24時間の範囲等を挙げることができる。
【0032】
工程(1)によって得られる第1の相は、前記ポリオキソアニオン化合物、前記錯形成能を有する有機溶媒及び水を含む混合液であるが、本水溶液中に存在していた水溶性アミド化合物、カルボン酸化合物、無機化合物等のポリオキソアニオン化合物以外の化合物が第1の相に含まれることがある。しかしながら、第1の相において、ポリオキソアニオン化合物以外の化合物の量は、通常、本水溶液に含まれる当該化合物の量よりも低減されている。
また、第1の相における水の含有量は、第2の相に含まれる水の含有量よりも低く、第1の相と第2の相とが相分離する程度まで低減されている。具体的には分配率75〜99の範囲程度で第2の相に分配され、
尚、錯形成溶媒は、通常、分配率60〜100%の範囲で第1の相に分配され、第1の相に含まれる水に対する錯形成溶媒の溶解度以上の量が錯形成溶媒に分配される。具体的には、第1の相100質量部に対し、50質量部以上の錯形成溶媒が含有していることが好ましい。
【0033】
工程(1)における第2の相は、水を主成分として含む混合物であり、例えば、水溶性アミド化合物、カルボン酸化合物、無機化合物等のポリオキソアニオン化合物以外の化合物が含まれる。第2の相は、ポリオキソアニオン化合物を少量含むことがあるが、その濃度は第1の相より少ない。第2の相100質量部に対し、水を通常50〜99重量部、好ましくは60〜99重量部の割合で含む。
なお、第2の相中のポリオキソアニオン化合物を回収するために、第1の相から分離された第2の相と錯形成溶媒とを混合し、再び相分離した第1の相と第2の相とに分離する工程(1)を繰り返してもよい。工程(1)を繰り返すことにより、ポリオキソアニオン化合物の回収率を向上することができる。このような一連の操作を2回以上行う場合、一連の操作を1回行うことにより得られる第1の相の混合液を併せて工程(2)に供することができる。
【0034】
第1の相および第2の相は、静置、遠心分離等により効率よく相分離させることができる。特に遠心分離することにより第1の相および第2の相が速やかに形成される。
各相の状態は、目視又は第1の相と第2の相との電気伝導度の差異を利用した界面検出手段により判定することができる。
工程(1)は、例えば、加圧状態、常圧状態、減圧状態で行うことができ、装置の簡便さから、常圧状態で行うことが好ましい。
工程(1)は、窒素、希ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
第1の相と第2の相とは、例えば、デカンテーション、分液手段等により分離することができる。
第1の相が不溶物を含む場合、ろ過等の方法により該不溶物を除去してもよい。
【0035】
工程(2)は、疎水性有機溶媒と前記第1の相とを混合して、錯形成溶媒及び前記疎水性有機溶媒を含む有機相と前記ポリオキソアニオン化合物を含む水相とを分離する工程である。
本発明における疎水性有機溶媒とは、20℃における水への溶解度が1重量%以下である有機溶媒を意味する。疎水性有機溶媒としては、例えば、炭化水素溶媒等を挙げることができる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜10の鎖状飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜8の環状飽和炭化水素;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
炭化水素溶媒としては、芳香族炭化水素が好ましく、トルエンがより好ましい。
工程(2)における疎水性有機溶媒の量は、工程(1)で得られた第1の相と混合することによってポリオキソアニオン化合物の水溶液の相が形成できる量であり、具体的には、ポリオキソアニオン化合物の種類及び濃度等によって異なるが、第1の相100質量部に対して、例えば、0.01〜1000質量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは0.1〜200質量部の範囲が挙げられる。
【0036】
工程(2)における疎水性有機溶媒と第1の相との混合は、例えば、第1の相に疎水性有機溶媒を加える形態;疎水性有機溶媒に第1の相の液を加える形態等を挙げることができ、好ましくは後者の形態である。
工程(2)において、第1の相の液と疎水性有機溶媒とに加え、更に水を混合することが好ましい。第1の相の液と疎水性有機溶媒と水とを混合することにより、ポリオキソアニオン化合物の水溶液を容易に分離することができる。
第1の相の液と疎水性有機溶媒との混合は、例えば、水または疎水性溶媒が凝固せず、かつ、水または疎水性溶媒が蒸散しない温度範囲であり、好ましくは、0〜100℃の温度範囲より好ましくは5〜50℃の温度範囲を挙げることができる。
【0037】
工程(2)における疎水性有機溶媒と前記第1の相との混合は、攪拌装置を用いて行ってよい。また、前記混合時間としては、ポリオキソアニオン化合物が水に抽出されるために十分な時間であり、例えば、1分〜24時間の範囲等を挙げることができる。
【0038】
疎水性有機溶媒及び錯形成溶媒を含む有機相とポリオキソアニオン化合物を含む水相とは、静置、遠心分離等により効率よく相分離させることができる。特に遠心分離することにより前記有機相および前記水相が速やかに形成される。各相の状態は、目視又は前記有機相と前記水相との電気伝導度の差異を利用した界面検出手段により判定することができる。
工程(2)は、例えば、加圧状態、常圧状態、減圧状態で行うことができ、装置の簡便さから、常圧状態で行うことが好ましい。
工程(2)は、窒素、希ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
前記有機相と前記水相とは、例えば、デカンテーション、分液手段等により分離することができる。
【0039】
工程(2)で得られた水相は、精製されたポリオキソアニオン化合物として、そのまま各種の反応、例えば、前述したケトン化合物の製造方法等に使用することができる。また、該水相は蒸留を行ったり、該水相に含まれる不溶物をろ過等によって除去するなどして、更に精製してもよい。本発明において、得られたポリオキソアニオン化合物は、水溶液の状態であってもよいし、固体の状態であってもよい。精製されたポリオキソアニオン化合物は、乾燥等の公知の手段により前記水溶液から固体として単離することができる。
精製されたポリオキソアニオン化合物を所望の酸化・還元状態とするために、酸素等の酸化剤又は水素等の還元剤と、ポリオキソアニオン化合物を含む水相とを混合してもよい。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。また、特に断りがない限り、操作や分析は全て常温下(約25℃)で行った。
【0041】
<実施例1>
〔A〕本水溶液の調製
本水溶液として、以下の手順で調製した混合液を用いた。
イオン交換水50g、Fe(SO・nHO(関東化学株式会社)1.2g、及び、HPMo40(日本無機化学株式会社、ポリオキソアニオン化合物)7gを100mlサンプル瓶に入れて混合し、均一な溶液を得た。この均一溶液10mlにアジピン酸(カルボン酸化合物、ナカライテスク株式会社)0.16gを加えた後、10分間超音波にかけ完全に溶解させた。
得られた溶液にアセトアミド(水溶性アミド化合物、関東化学株式会社)0.5gを加えて完全に溶解させることにより、本水溶液を得た。
【0042】
〔B〕工程(1)
前項で得られた本水溶液5mlに、シクロヘキサノン(関東化学株式会社)2mlを加えて撹拌後、得られた混合液に遠心分離(2000〜3000rpm、1分間)を行い、更に静置して、2相を得た。
2相のうち、デカンテーションにより第1の相(上相)を回収した。第2の相(下相)にシクロヘキサノンを加えて混合し、得られた混合物を前記と同様に遠心分離した後に静置して、新たに得られた2相のうち第1の相を回収するという一連の操作を4回繰り返した。
各一連の操作で得られた5つの第1の相を併せて得られた混合液を、工程(2)に供した。シクロヘキサノンは全量で、本水溶液1質量部に対し1.5質量部使用した。
【0043】
〔C〕工程(2)
工程(1)で得られた混合液5mlにトルエン2.5mlと水1mlを加え、これらを撹拌後、静置することにより有機相と水相とを得た。デカンテーションにより有機相と水相とを分離した後、水相にトルエンと水を加えて攪拌した後に静置することにより新たに2相を得、水相(下相)を得るといった一連の操作を行った。
なお、トルエンは混合液1質量部に対し1.4質量部の量で加え、水は、混合液1質量部に対して0.3質量部の量で加えた。
【0044】
〔D〕分析
工程(1)及び工程(2)で得られた各相中の組成成分の定量は、以下の方法で行った。
PMo40は、Mo、V及びFeのそれぞれの量を、マイクロウェーブ分解−ICP発光分析法、又は蛍光X線分析法により定量することで求めた。
アジピン酸の量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。
アセトアミド及び疎水性有機溶媒は、FIDを検出器とするガスクロマトグラフ法で定量した。
【0045】
〔E〕各成分の分配係数
分配係数LogPを下記式で算出した。
LogP=Log10〔A相中の濃度(重量%)/B相中の濃度(重量%)〕
なお、この分配係数LogPを求める式において、工程(1)では、A相が「第1の相」であり、B相が「第2の相」に該当する。工程(2)では、A相が「有機相」であり、B相が「水相」に該当する。
すなわち、LogP>0となった場合、その数値が大きいほど、対象物質はA相(「第1の相」又は「有機相」)に分配しやすく、LogP<0となった場合、その負の数値が大きいほど、対象物質はB相(「第2の相」又は「水相」)に分配しやすいことを表す。
なお、B相への分配が無かった場合やA相への分配が無かった場合、「∞」や「−∞」と表記した。
また、分配率は以下の式で算出した。
分配率(%)=(A相中又はB相中の含有量)/
[(A相中の含有量)+(B相中の含有量)]×100
【0046】
工程(1)及び工程(2)で得られた各相中の分配率及び分配係数を、それぞれ表1及び表2に示す。工程(2)で得られた水相における各成分の濃度を表3に示す。
なお、第1の相は、第2の操作に供した混合液の値である。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
<実施例2>
〔B2〕工程(1)
実施例1〔A〕の手順で得られる本水溶液6mlに炭酸プロピレン3mlを加え、撹拌後、得られた混合液に遠心分離(2000〜3000rpm、1分間)を行い更に静置して、2相を得た。2相のうち、デカンテーションにより第1の相(上相)を回収した。第1の相を回収後、第2の相に炭酸プロピレンを加えて、これらを混合し、前記と同様に、遠心分離後に静置して2相を得、新たに得られた第1の相を回収するという一連の操作を行った。各操作で得られた2つの第1の相を併せて得られた混合液を、工程(2)に供した。炭酸プロピレンは全量で、本水溶液1質量部に対し、0.7質量部使用した。
【0051】
〔C2〕工程(2)
工程(1)で得られた混合液1.5mlにトルエン1mlと水1mlを加え、撹拌後、静置して、有機相と水相とを得た。デカンテーションにより有機相と水相とを分離した後、水相にトルエンと水を加えて攪拌した後に静置することにより2相を得、水相(下相)を得るといった一連の操作を行った。なお、トルエンは混合液1質量部に対し0.6質量部の量で加え、水は混合液1質量部に対して0.7質量部の量で加えた。
【0052】
工程(1)及び工程(2)で得られた各相中の分配率及び分配係数を、それぞれ表4及び表5に示す。工程(2)で得られた水相における各成分の濃度を表6に示す。
【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
<実施例3>
〔A3〕本水溶液の調製
実施例1〔A〕の手順で得られる本水溶液10mlにアセトニトリル0.7mlとシクロヘキサノン0.1mlとを加えることにより、実施例3に用いる本水溶液を調製した。
【0057】
〔B3〕工程(1)
前項で得られた本水溶液6mlにトリ−n−ブチルホスフェート(関東化学株式会社、以下「TBP」という。)2mlを加え、撹拌後、得られた混合液に遠心分離(2000〜3000rpm、1分間)を行い、更に静置して、2相を得た。2相のうち、デカンテーションにより第1の相(上相)を回収した。第1の相を回収後、第2の相にTBPを加えて、これらを混合し、前記と同様に遠心分離した後に静置して2相を得、得られた第1の相を回収するという一連の操作を行った。各操作で得られた2つの第1の相を併せて得られた混合液を、工程(2)に供した。TBPは全量で、本水溶液1質量部に対し、0.6質量部使用した。
【0058】
〔C3〕工程(2)
工程(1)で得られた混合液1質量部に対し、トルエン1.3質量部及び水2.4質量部を加え、撹拌後、静置することにより有機相と水相とを得た。デカンテーションによりこれらを分離して、有機相及び水相のそれぞれを分析した。
工程(1)及び工程(2)で得られた各相中の分配率及び分配係数を、それぞれ表7及び表8に示す。工程(2)で得られた水相における各成分の濃度を表9に示す。
【0059】
【表7】

【0060】
【表8】

【0061】
【表9】

【0062】
実施例4
〔A4〕本水溶液として、以下の手順で調製した混合液を用いた。
イオン交換水50g、HPMo40(日本無機化学株式会社)7g及び酢酸パラジウム(シグマ−アルドリッチ社品)0.23gを100mlサンプル瓶に入れ、得られた混合物を3時間超音波にかけることにより溶液を得た。
この溶液に、Fe(SO・nHO(関東化学株式会社)1.2gを加えて、完全に溶解させた。得られた溶液10mlを分取し、アジピン酸(ナカライテスク株式会社品)0.16g、及びアセトアミド(関東化学株式会社品)0.5gを加えて、完全に溶解させることにより、本水溶液を調製した。
【0063】
〔B4〕工程(1)
本水溶液1質量部に対しシクロヘキサノン0.3質量部を加え、これらを撹拌後、得られた混合液を遠心分離(2000〜3000rpm、1分間)し、更に静置して、2相を得た。デカンテーションにより2相を分離して、第1の相(上相)を回収した。
【0064】
〔C4〕工程(2)
前項で得られた第1の相の液1質量部に対し、トルエン0.6質量部及び水0.5質量部を加え、撹拌した後、静置することにより有機相と水相を得た。これらをデカンテーションにより分液して、有機相及び水相のそれぞれを分析した。
【0065】
工程(1)及び工程(2)で得られた各相中の分配率及び分配係数を、それぞれ表10及び表11に示す。工程(2)で得られた水相における各成分の濃度を表12に示す。
【0066】
【表10】

【0067】
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
<実施例5>
〔B5〕本水溶液の調製
実施例1〔A〕と同様にして得られる本水溶液1質量部に、シクロヘキサノン0.01質量部を加えて、これらを混合することにより、本水溶液を調製した。
【0070】
〔C5〕工程(1)
前記本水溶液1質量部に炭酸プロピレン0.7質量部を加えて、これらを撹拌後、得られた混合液を遠心分離(2000〜3000rpm、1分間)し、更に静置して2相を得た。2相をデカンテーションにより分液し、第1の相(上相)を回収した。
【0071】
〔D5〕工程(2)
第1の相の液1質量部に対し、トルエン1質量部及び水0.6質量部を加え、撹拌後、静置することにより有機相と水相を得た。
【0072】
工程(1)及び工程(2)で得られた各相中の分配率及び分配係数を、それぞれ表13及び表14に示す。工程(2)で得られた水相における各成分の濃度を表15に示す。
【0073】
【表13】

【0074】
【表14】

【0075】
【表15】

【0076】
<実施例6>
本水溶液が、特許文献1の実施例8記載の反応混合物を用い、工程(1)及び(2)を実施例4の[B4]及び[C4]と同様に行うと、HPMo40を含む水相が回収される。
前記水相にはHPMo40及び酢酸パラジウムが含まれているとの前提で、特許文献1の実施例8に準じてシクロヘキセンの酸化反応を行うとシクロヘキサノンが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液から前記ポリオキソアニオン化合物が回収可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(1)及び(2)を含むことを特徴とするポリオキソアニオン化合物の回収方法。
工程(1):ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液と、前記ポリオキソアニオン化合物に対して錯形成能を有する有機溶媒とを混合して、前記ポリオキソアニオン化合物、前記錯形成能を有する有機溶媒及び水を含む第1の相と、水を主成分とする第2の相とに分離する工程。
工程(2):疎水性有機溶媒と前記第1の相とを混合して、前記錯形成能を有する有機溶媒及び前記疎水性有機溶媒を含む有機相と、前記ポリオキソアニオン化合物を含む水相と、に分離する工程。
【請求項2】
工程(2)が、疎水性有機溶媒と前記第1の相と水とを混合して、前記錯形成能を有する有機溶媒及び前記疎水性有機溶媒を含む有機相と、前記ポリオキソアニオン化合物を含む水相と、に分離する工程であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液が、さらに水溶性アミド化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記水溶性アミド化合物がアセトアミドであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液が、さらに炭素数1〜6個のカルボン酸化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオキソアニオン化合物が、下記式
ef
(式中、Xは、P、Si、As,Ge及びSからなる群より選択される原子であり、Q及びZは、W、V及びMoから選択される原子であり、QとZは同一であってもよい。aは3〜24の整数であり、bは3〜24の整数であり、dとeはそれぞれ1〜18の整数であり、fは15〜62の整数である。)
で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の方法。
【請求項7】
前記ポリオキソアニオン化合物が、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、ケイモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸及びケイタングストバナジン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の方法。
【請求項8】
前記ポリオキソアニオン化合物が、リンモリブデン酸又はリンモリブドバナジン酸であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の方法。
【請求項9】
前記錯形成能を有する有機溶媒が、環状ケトン、炭酸エステル及びリン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の方法。
【請求項10】
前記錯形成能を有する有機溶媒が、シクロヘキサノン、炭酸プロピレン及びトリ−n−ブチルホスフェートからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の方法。
【請求項11】
前記疎水性有機溶媒が、炭素数6〜10の芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の方法。
【請求項12】
前記ポリオキソアニオン化合物を含む水溶液が、パラジウム化合物およびポリオキソアニオン化合物の存在下、オレフィンを分子状酸素で酸化して得られた反応混合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の方法。

【公開番号】特開2011−126774(P2011−126774A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257549(P2010−257549)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】