説明

ポリオレフィン系壁紙

【課題】ポリオレフィン系樹脂からなる表層材を用いた壁紙であって、上記表層材の発泡倍率が高い壁紙を提供する。
【解決手段】下地材2にポリオレフィン系架橋発泡体からなる表層材4を貼り合わせたポリオレフィン系壁紙とする。このポリオレフィン系架橋発泡体の発泡倍率は5〜30倍とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなる表層材を用いた壁紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリオレフィン系樹脂からなる表層材を用いた壁紙として、特許文献1に記載されたものが提案されている。特許文献1の壁紙は、特定の成分を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなる発泡倍率1.5倍以上の発泡シートに難燃紙を積層したものである。
【0003】
特許文献1の実施例では、上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる発泡シートの発泡倍率を1.9〜3.0倍としている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−200948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1の壁紙は、ポリオレフィン系樹脂からなる表層材の発泡倍率が3.0倍以下と低く、そのため下記(a)〜(c)の欠点を有するものであった。
(a)壁紙の軽量化を図ることが難しい。
(b)表層が弱く、また汚れやすい。
(c)表層材を厚くすることが難しい。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、ポリオレフィン系樹脂からなる表層材を用いた壁紙であって、上記表層材の発泡倍率が高い壁紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するため、下地材にポリオレフィン系架橋発泡体からなる表層材を貼り合わせたことを特徴とするポリオレフィン系壁紙を提供する。
【0008】
本発明では、表層材としてポリオレフィン系架橋発泡体からなるものを用いたので、上記架橋の効果により、表層材の発泡倍率を高くすることができる。
【0009】
本発明では、ポリオレフィン系架橋発泡体の発泡倍率を5〜30倍、特に5〜15倍とすることが好ましい。発泡倍率を5倍未満であると前述した従来の壁紙の欠点(a)〜(c)を解消することができず、30倍を超えると表層材のエンボス加工の自由度が小さくなる、表面性状が悪くなる、印刷用インクが付着しにくくなるといった問題が生じる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリオレフィン系壁紙は、下記(1)〜(5)の効果を奏する。
(1)表層材の発泡倍率が高いので、壁紙の軽量化を図ることができる。
(2)表層材の発泡倍率が高いので、しっかりとした表面を有する表層材を得ることができる。
(3)表層材の発泡倍率が高いので、表層材のクッション性が高く、衝撃吸収効果が期待できるので、この特性を活かした製品を作ることができる。
(4)表層材の発泡倍率が高いので、表層材のエンボス加工の自由度を大きくすることができる。
(5)表層材にポリオレフィン系架橋発泡体を用いたので、表層材の耐熱性と表面の機械的強度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明において、下地材の材質に限定はなく、紙、布、樹脂フィルム等を使用することができるが、特に紙が好ましい。下地材の厚さは30〜200μm程度とすることが適当である。
【0012】
本発明において、ポリオレフィン系架橋発泡体の製造に用いるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、スチレンブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの樹脂は、単独または2踵以上の混合物として使用することができる。
【0013】
上記ポリオレフィン系樹脂には、必要に応じて熱安定剤、加工助剤、滑剤、衝撃改質剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料等が適宜添加されていてもよい。
【0014】
本発明において、ポリオレフィン系架橋発泡体を化学架橋法により架橋させる場合、架橋剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−へキシン−3、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレリック酸n−ブチルエステル、1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物を用いることができる。
【0015】
本発明においては、ポリオレフィン系架橋発泡体を電離性放射線を用いた放射線架橋法によって架橋させてもよい。
【0016】
本発明において、ポリオレフィン系架橋発泡体の製造に用いる発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、N,N’−ジメチルN,N’−ジニトロテレフタルアミド、アゾビスイソプチロニトリル等を用いることができる。これらの発泡剤は、単独または2踵以上の混合物として使用することができる。
【0017】
本発明において、ポリオレフィン系架橋発泡体を製造する方法としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂に架橋剤および発泡剤を所定量混合して樹脂組成物を製造し、次いで発泡剤および架橋剤が分解しない温度で押出成形などの手段によって樹脂組成物をシート状に成形し、得られたシートを発泡剤および架橋剤が分解する温度に設定された熱風炉に投入して、架橋と同時に発泡させる方法などが挙げられる。
【0018】
本発明において、ポリオレフィン系架橋発泡体からなる表層材の表面には、模様等を印刷したり、エンボス加工を施したりすることができる。また、表層材の厚さは0.5〜2.0mm程度とすることが適当である。
【0019】
本発明において、下地材に表層材を貼り合わせる方法としては、下地材に表層材をアクリル系接着剤、ゴム系接着剤等の接着剤により貼り合わせる方法、下地材にポリオレフィン系樹脂を塗布して複合シートを製造し、この複合シートのポリオレフィン系樹脂塗布面に表層材を熱融着させる方法などが挙げられるが、後者の方法は有機溶剤を使用しないので、作業環境、住環境に悪影響を与えず、また接着剤のように乾燥時間を必要としない点で好ましい。
【0020】
本発明に係るポリオレフィン系壁紙の一実施形態を図1に示す。図1のポリオレフィン系壁紙は、紙、布、樹脂フィルム等からなる下地材2の片面上に設けたポリオレフィン系樹脂塗布層4にポリオレフィン系架橋発泡体からなる表層材6を熱融着したり、下地材2に表層材6を接着剤8により貼り合わせたりしたものである。表層材6の表面には、印刷やエンボス加工10が施されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るポリオレフィン系壁紙の一実施形態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0022】
2 下地材
4 ポリオレフィン系樹脂塗布層
6 表層材
8 接着剤
10エンボス加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地材にポリオレフィン系架橋発泡体からなる表層材を貼り合わせたことを特徴とするポリオレフィン系壁紙。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系架橋発泡体の発泡倍率が5〜30倍であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系壁紙。

【図1】
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【公開番号】特開2009−214385(P2009−214385A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59519(P2008−59519)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(592042392)トキワ工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】