説明

ポリオレフィン系樹脂発泡粒子、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体、及びポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法

【課題】 本発明は、柔軟性と回復性に優れると共に、高発泡倍率の発泡粒子成形体を得ることができるポリオレフィン系樹脂発泡粒子、該発泡粒子の製造方法、及び該発泡粒子から型内成形によって得られる、柔軟性、回復性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂80〜30重量%と、熱可塑性エラストマー20〜70重量%とからなる樹脂組成物(ただし、ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計は100重量%である)と、前記樹脂組成物100重量部に対して15〜95重量部の鉱物性油とを含有してなり、 見かけ密度が15〜150g/Lであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体、及びポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は用途に合わせて様々な形状に成形可能である。そして、該発泡粒子から型内成形により得られるポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体は、各種包装緩衝材、自動車の衝撃吸収材など、広範な用途に用いられている。しかし、柔軟性が要求される精密な被梱包物の包装資材や、触感や圧縮後の形状の回復性が要求されるシートクッション材などの用途に用いられる発泡粒子成形体としては、より軽量で、柔軟な成形体、さらには圧縮永久歪の小さな、回復性に優れる成形体が求められる。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂と非晶性ゴム質重合体との樹脂組成物からなる型内発泡成形用発泡ビーズが記載されている。また、特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系ゴムからなる組成物を基材樹脂とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−147116号公報
【特許文献2】特開平5−140362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、柔軟性と軽量性に優れる発泡粒子成形体を得る手段として、ポリオレフィン系樹脂にエラストマー成分を多量に含有させることが行なわれている。しかし、この方法では、十分な柔軟性や回復性を有する発泡粒子成形体を得ることはできなかった。
【0005】
特許文献1には発泡倍率4倍の発泡粒子が得られたことが記載されているだけであり、柔軟性としては不十分なものであり、軽量性にも課題を残すものであった。
また、特許文献2により得られた発泡粒子を型内成形して得られた発泡粒子成形体は、圧縮強度が2kg/cm程度のものであり、柔軟性に課題を残すものであった。
【0006】
一方、ポリオレフィン系樹脂に可塑剤を添加すると、樹脂の柔軟性が向上することが知られている。しかし、柔軟性を向上させるために発泡粒子を形成する基材樹脂に多量の可塑剤を添加する場合には基材樹脂を押出機にて溶融、混練してストランド状に押出し、ペレタイザーなどにてカットして樹脂粒子を製造する際に、基材樹脂が可塑化し過ぎていることにより、安定して樹脂粒子を得ることができなかった。
また、樹脂粒子を発泡する際には、加圧下の密閉容器中から、発泡剤を含有する樹脂粒子を分散媒と共に大気圧中に放出しようとすると、発泡した粒子同士が融着して、ブロッキングが起こり、安定して発泡粒子を得ることが困難であった。更に、型内成形する際には、発泡粒子の充填性が低下するという問題が生じるなど、可塑剤を用いる方法では、発泡粒子や、発泡粒子成形体を製造する際に起きる特有の問題により、柔軟性、軽量性と回復性に優れる発泡粒子成形体を得ることは困難であった。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑み、柔軟性や回復性に優れると共に、見かけ密度が低い(高発泡倍率の)発泡粒子成形体を得ることができるポリオレフィン系樹脂発泡粒子、該発泡粒子の製造方法、更に該発泡粒子から型内成形によって得られる、柔軟性、回復性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下に示すポリオレフィン系樹脂発泡粒子、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法が提供される。
[1] ポリオレフィン系樹脂80〜30重量%と、熱可塑性エラストマー20〜70重量%とからなる樹脂組成物(ただし、前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計は100重量%である)と、
前記樹脂組成物100重量部に対して15〜95重量部の鉱物性油とからなり、
見かけ密度が15〜150g/Lであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
[2] 前記1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内成形して得られる成形体であって、前記成形体の見かけ密度が10〜100g/Lであり、圧縮永久歪(JIS K6767)が6%以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体。
[3] ポリオレフィン系樹脂80〜30重量%と、熱可塑性エラストマー20〜70重量%と(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計は100重量%である)、0〜70重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部である)の鉱物性油とを配合し、溶融混練して得られる溶融混練物を、造粒して樹脂粒子とし、
前記樹脂粒子と、発泡剤と、0〜70重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部である)の鉱物性油とを密閉容器中で分散媒に分散させて、前記樹脂粒子に発泡剤と前記鉱物性油とを含浸させ、
次いで、発泡剤と鉱物性油とを含有する樹脂粒子を発泡させて、15〜95重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部である)の鉱物性油を含有する発泡粒子を得ることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子(以下、単に発泡粒子ともいう。)は、特定量のポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとからなる樹脂組成物と、特定量の鉱物性油とからなることから、鉱物性油が添加されているにもかかわらず、べたつきがなく、型内成形時の発泡粒子の充填性や、発泡粒子間の融着不足といった問題のない、型内成形性に優れる発泡粒子である。
また、本発明の発泡粒子の製造方法によれば、本発明の発泡粒子の前駆体となる樹脂粒子を製造する樹脂粒子製造工程においては、前記熱可塑性エラストマーが鉱物性油との相溶性に優れることから、樹脂粒子製造時のペレタイズ工程における生産安定性の低下やストランドのカット性が悪化するといった問題が防止される。また、発泡剤と鉱物性油とを密閉容器中で含浸させる含浸工程においては、前記熱可塑性エラストマーが鉱物性油との相溶性に優れることから、含浸工程で添加される鉱物性油を効果的に樹脂粒子に含浸させることが可能となる。更に、発泡剤と鉱物性油とを含有する樹脂粒子を発泡させる発泡工程においては、発泡した粒子同士の融着が防止される。
さらに、樹脂粒子製造工程における鉱物性油の配合と、含浸工程における鉱物性油の配合とを組み合わせることにより、鉱物性油の配合量を調整して、柔軟性の程度を幅広く調整することができる。しかも、樹脂粒子製造工程と含浸工程の2段階に分けて鉱物性油を配合することにより、より多量の鉱物性油を発泡粒子に含有させることが可能となる。また、鉱物性油の配合量が同じである場合においても、全量の鉱物性油を1工程で配合するよりも、樹脂粒子製造時の製造安定性を維持しつつ、含浸工程での含浸時間を短縮することが可能となる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体(以下、発泡粒子成形体、成形体ともいう。)は、前記発泡粒子を型内成形して得られる見かけ密度の低い成形体である。従って、圧縮永久歪が小さく回復性に優れ、軽量であり、さらには柔軟性に優れる成形体であることから、柔軟性が要求される精密な被梱包物の包装資材や、触感や回復性が要求されるシートクッション材などの用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子、その製造方法及び該発泡粒子から得られるポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体について詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとからなる樹脂組成物を含有するものである。該樹脂組成物が熱可塑性エラストマーを含有することにより、前記発泡粒子を得る際の前駆体である樹脂粒子に、後述する鉱物性油を多量に含有させることが可能となる。
【0011】
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂としては、その重合用単量体がオレフィンを含有するものであれば、その組成、合成法に特に制限はないが、好ましくはオレフィン成分が50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、含有するものがよい。上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレングラフト共重合体などのポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのポリエチレン系樹脂、ポリブテン、及びこれらの混合物などを使用することができる。なかでもポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0012】
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は0.1〜20g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲内である場合には、樹脂粒子製造工程時における押出機への負荷が過大となったり、樹脂の混合状態が悪化することなく、また、溶融混練物の張力が低下して連続気泡となることがなく、より良好な発泡粒子が得られる。かかる観点から、MFRの下限は0.5g/10分が好ましく、1.0g/10分がより好ましい。一方、その上限は、15g/10分が好ましく、10g/10分がより好ましい。
【0013】
メルトフローレイト(MFR)の測定は、ポリプロピレン系樹脂についてはJIS K7210(1999年)の試験条件M(温度230℃、荷重2.16kg)に基づいて行い、ポリエチレン系樹脂についてはJIS K7210(1999年)の試験条件D(温度190℃、荷重2.16kg)に基づいて測定を行なう。

【0014】
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレンのブロック共重合体と、それらの水添ポリマーであるスチレン−エチレン−エチレン−プロピレンのブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンのブロック共重合体(HEBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンのブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンのブロック共重合体(SEPS)、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンのブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられる。また、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンの三元共重合体(EPDM)といった、いわゆる動的架橋型のエラストマーも使用可能である。その中でも、ポリオレフィン系樹脂との相溶性に優れる観点から、前記共重合体の水添物やSEEPS、動的架橋型エラストマーが好ましく、HSBRが特に好ましい。

【0015】
本発明の発泡粒子は、前記ポリオレフィン系樹脂と前記熱可塑性エラストマーとからなる樹脂組成物を含有するものである。前記樹脂組成物の配合比率は、ポリオレフィン系樹脂の配合比率が80〜30重量%であり、熱可塑性エラストマーの配合比率が20〜70重量%である(ただし、前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計は100重量%である)。
熱可塑性エラストマーの配合量が少なすぎる(ポリオレフィン系樹脂の配合量が多すぎる)場合には、発泡粒子や、該発泡粒子から得られる発泡粒子成形体の柔軟性が低下する虞がある。また、熱可塑性エラストマーに対して鉱物性油の配合量が相対的に多くなるため、樹脂粒子製造工程でのペレタイズが不安定になる虞や、含浸工程時には分散不良を生じ、樹脂粒子同士が融着して発泡粒子が得られなくなる虞がある。また、発泡した粒子同士が融着してしまい、型内成形が不可能なものとなる虞がある。更には、発泡粒子に含浸しきれない鉱物性油がブリードアウト若しくは発泡粒子表面を被い、発泡粒子がべたついて、発泡粒子を金型に充填することが困難となり、成形性が低下して、発泡粒子成形体を得ることができなくなる虞がある。かかる観点から、熱可塑性エラストマーの配合比率は25重量%以上が好ましい。
一方、熱可塑性エラストマーの配合量が多すぎる(ポリオレフィン系樹脂の配合量が少なすぎる)場合には、発泡粒子が連続気泡になり易くなる虞がある。また、前記樹脂組成物が軟質化しすぎて、成形可能な発泡粒子を得ることが困難となるおそれがある。かかる観点から、熱可塑性エラストマーの配合比率は65重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以下である。
【0016】
前記樹脂組成物には、所望に応じて各種添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、難燃剤、金属不活性剤、核剤、あるいは気泡調整剤等を挙げることができる。気泡調整剤としては、たとえばホウ酸亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、水酸化アルミニウムなどの無機粉体が例示される。これらの添加剤は、合計で前記樹脂組成物100重量部当り20重量部以下で使用されることが好ましく、5重量部以下で使用されることがより好ましい。これらの添加剤は、通常、必要最小限の量で使用される。また、これらの添加剤は、例えば、樹脂粒子製造工程において、前記樹脂組成物を押出機内で溶融した溶融混練物に添加、混練することによって、樹脂粒子中に含有させることができる。
【0017】
本発明で用いられる鉱物性油とは、原油や石油などから分離、蒸留、精製されるものであり、芳香族環、ナフテン環、パラフィン鎖などを含む混合物である。特に、アロマ系鉱物性油、ナフテン系鉱物性油、パラフィン系鉱物性油などの流動点が0℃以下のものが好ましく、これらの中でもパラフィン系鉱物性油が特に好ましい。本発明においては、鉱物性油と前記熱可塑性エラストマーとの相溶性が良好であることから、ポリオレフィン系樹脂に多量の鉱物性油を含有させることができる。
【0018】
鉱物性油の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂と前記熱可塑性エラストマーとからなる樹脂組成物100重量部に対して15〜95重量部である。その下限は、20重量部が好ましく、より好ましくは22重量部である。一方、その上限は、90重量部が好ましく、より好ましくは80重量部、更に好ましくは70重量部である。
鉱物性油の含有量が少なすぎる場合には、得られる発泡粒子、更には発泡粒子成形体の柔軟性や回復性が不十分となる虞がある。一方、該含有量が多すぎる場合には、含浸工程時の樹脂粒子の分散が悪化して樹脂粒子間の凝結を生じる虞がある。尚、含浸工程時の分散性が悪化して樹脂粒子が凝結を生じた場合には、発泡後の発泡した粒子においても凝結が見られるものとなる。また、発泡工程においても、発泡した粒子同士が凝結する虞がある。金型充填時には発泡粒子同士が凝固して発泡粒子の型内充填が不可能となったり、型内成形時に二次発泡不良が生じる虞がある。発泡粒子成形体においては、成形後の発泡粒子成形体の収縮が過大となったり、発泡粒子成形体の耐熱性が低下したり、鉱物性油がブリードアウトしてべたつきやほこりの吸着による汚損が発生し易くなるなどの不具合が生じる虞がある。
【0019】
なお、過剰量の鉱物性油を配合した場合、過剰分の鉱物性油は、樹脂粒子及び/又は発泡粒子表面のべたつきとなって現れる。従って、べたつきのない樹脂粒子及び/又は発泡粒子であれば、配合した鉱物性油の全量が樹脂粒子及び/又は発泡粒子に含浸されていると考えられる。故に、べたつきのない樹脂粒子及び/又は発泡粒子が得られている場合には、樹脂粒子製造工程と含浸工程で樹脂粒子及び/又は発泡粒子に添加した鉱物性油の配合量と、発泡粒子、更に発泡粒子成形体中の鉱物性油の含有量とが大きく変わることはない。
【0020】
前記熱可塑性エラストマーの配合量に対する前記鉱物性油の配合量の重量比率は、0.3〜4であることが好ましい。上記範囲内であれば、前記熱可塑性エラストマーと前記鉱物性油との相溶性が良好であり、ポリオレフィン系樹脂に多量の鉱物性油を含有させることができることから、発泡性や型内成形性が良好な発泡粒子を得ることができ、柔軟性や回復性に優れる発泡粒子成形体が得られる発泡粒子となる。上記重量比率は、より好ましくは0.4〜3であり、更に好ましくは0.5〜2である。
【0021】
本発明の発泡粒子の見かけ密度は15〜150g/Lである。発泡粒子の見かけ密度が小さすぎると、最終的に得られる発泡粒子成形体の圧縮強度、引張強度などの機械的強度が低くなったり、型内成形後の発泡粒子成形体の収縮が大きくなり、目的とする形状を保つことが困難となる虞がある。かかる観点から、見かけ密度の下限は、20g/Lが好ましく、より好ましくは25g/L、更に好ましくは30g/Lである。一方、該見かけ密度が大きすぎると、該発泡粒子を型内成形して得られる発泡粒子成形体の柔軟性や軽量性が低下する虞がある。かかる観点から、その上限は、120g/Lが好ましく、より好ましくは100g/Lである、更に好ましくは90g/Lである。
【0022】
発泡粒子の見かけ密度の測定は、23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、該メスシリンダーに、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置した約50mlの発泡粒子(発泡粒子群の重量W)を金網などを使用して沈めて、水位上昇分より発泡粒子群の容積V(L)を読み取る。該容積V(L)と該メスシリンダーに入れた発泡粒子群の重量W(g)とから、割り算(W/V)することにより求めることができる。
【0023】
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法について説明する。
該発泡粒子は、樹脂粒子製造工程と含浸工程と発泡工程とを少なくとも含む製造工程を経ることにより製造される。
前記樹脂粒子製造工程においては、前記ポリオレフィン系樹脂80〜30重量%と、前記熱可塑性エラストマー20〜70重量%と、(ただし、前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計は100重量%である)と、前記鉱物性油0〜70重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部)を配合し、押出機に供給し溶融混練して溶融混練物とし、該溶融混練物を押出機からストランド状に押出し、該ストランドを発泡粒子とするのに適した大きさに切断する方法など、公知の造粒方法より、樹脂粒子が製造される。
【0024】
前述の方法において、ストランドを水冷により冷却した後、所定の長さに切断する際には、ストランドカット法を採用することができる。その他に、前記ストランドを所定の長さに切断後または切断と同時に、冷却して、樹脂粒子を得るアンダーウォーターカット法などにより、樹脂粒子を得ることができる。特に、装置が安価で簡便に実施することができることからストランドカット法が好ましい。
【0025】
本発明で用いる樹脂粒子は、前述の通り、鉱物性油を含有する場合には、前記熱可塑性エラストマーを特定量含有していることにより、食い込み不良によるサージング(押出時の吐出の微妙な変動)の発生や、ストランド状の押出物が柔軟になりすぎることでストランドカットが困難となる等の不都合が防止され、樹脂粒子製造工程を安定して行なうことが可能となる。
【0026】
樹脂粒子製造工程においては、前記ポリオレフィン系樹脂と前記熱可塑性エラストマーを個別のフィーダーにて投入することもできれば、予めこれらをタンブラーなどにて予備混合した後に、一括してホッパーに投入することも出来る。鉱物性油は、その一部を前記タンブラーなどにて前記ポリオレフィン系樹脂や熱可塑性エラストマーと共に予備混合してから投入することもできれば、ポンプなどにて押出機に直接圧入したりすることも出来る。投入順序に特に制限はなく、前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーと鉱物性油とが溶融混練され、溶融混練物となり、造粒されて、樹脂粒子が形成されればよい。
【0027】
樹脂粒子製造工程で配合される鉱物性油の配合量は、前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対し、0〜70重量部(0重量部、即ち、樹脂粒子製造工程で鉱物性油を添加しない場合を含む。)である。その下限は、5重量部が好ましく、より好ましくは10重量部である。一方、その上限は、50重量部が好ましく、より好ましくは40重量部である。配合量が前記範囲内である場合には、押出時の食い込み不良によるサージングの発生や、柔軟になりすぎることでストランドカットが困難となることがなく、より安定して、樹脂粒子を得ることができる。
【0028】
樹脂粒子の1個当たりの平均重量は、通常0.01〜10.0mgが好ましく、0.1〜5.0mgがより好ましい。尚、樹脂粒子の平均重量は、無作為に選んだ200個の樹脂粒子の重量(mg)を200で除した値である。
【0029】
前記含浸工程においては、前述のようにして得られた樹脂粒子と発泡剤とを、密閉容器内で水等の分散媒体に分散させ、撹拌下で加熱して樹脂粒子を軟化させて、発泡剤が樹脂粒子へ含浸される。更に、鉱物性油を加えた場合には鉱物性油も樹脂粒子へ含浸される。
【0030】
前記発泡剤としては、有機系物理発泡剤や無機系物理発泡剤、又はこれらの混合物等を用いることができる。有機系物理発泡剤としてはプロパン、ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられ、これらの2種以上を混合して用いることができる。前記無機系物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気、水等が挙げられ、これらの2種以上を混合して用いることができる。有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤とを混合して用いる場合、上記した有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤より任意に選択したものを組合せて用いることができる。なお、無機系物理発泡剤と有機系物理発泡剤とを併用する場合には無機系物理発泡剤が少なくとも30重量%以上含有されることが好ましい。
【0031】
前記発泡剤のうち、特に環境対応の点から、無機系物理発泡剤が好ましく、中でも窒素、空気、二酸化炭素、水が好ましい。なお、含浸工程において、分散媒として水を使用する場合には、該樹脂粒子に吸水性樹脂などを混錬したものを使用することにより分散媒である水を発泡剤として使用することもできる。
発泡剤の使用量は、目的とする発泡粒子の見かけ密度、樹脂組成物の種類、または発泡剤の種類等を考慮して決定されるが、通常、樹脂粒子100重量部当たり、有機系物理発泡剤で5〜50重量部、無機系物理発泡剤で0.5〜30重量部を用いることが好ましい。
【0032】
含浸工程において樹脂粒子を分散させる分散媒としては、上記した水に限らず、樹脂粒子を溶解させない溶媒であれば使用することができる。水以外の分散媒としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、通常は水が用いられる。
【0033】
上記方法において、分散媒中には、必要に応じて、樹脂粒子が分散媒中に均一に分散するように、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリンなどの難水溶性無機物質等の分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤等の分散助剤を分散させることが好ましい。含浸工程において分散媒中に添加される分散剤の量は、樹脂粒子の重量を基準として、樹脂粒子の重量と分散剤の重量との比率(樹脂粒子の重量/分散剤の重量)を20〜2000、更に30〜1000とすることが好ましい。また、分散剤の重量と分散助剤の重量(有効成分量として)との比率(分散剤の重量/分散助剤の重量)を0.1〜500、更に1〜100とすることが好ましい。
【0034】
含浸工程においては、発泡剤と共に鉱物性油を含浸させることができる。その配合量は前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対して、0〜70重量部(0重量部、即ち、含浸工程で鉱物性油を添加しない場合を含む。)である。その下限は、10重量部が好ましく、より好ましくは20重量部である。一方、その上限は、60重量部が好ましく、より好ましくは50重量部である。
【0035】
また、前記樹脂粒子製造工程で配合した鉱物性油と含浸工程で配合した鉱物性油の配合量の合計は、前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対して、15〜95重量部である。
上述のように、鉱物性油の配合量が少ない場合には樹脂粒子製造工程又は含浸工程のいずれかの工程でのみ、鉱物性油を配合することもできる。しかし、1工程で全量の鉱物性油を配合するよりも、樹脂粒子製造工程と含浸工程の2段階に分けて鉱物性油を配合することにより、樹脂粒子の造粒時の製造安定性を向上し、含浸工程での含浸時間を短縮することが可能となる。更には、樹脂粒子製造工程と含浸工程の2段階に分けて鉱物性油を配合することにより、より多量の鉱物性油を発泡粒子に含有させることが可能となる。
前記配合量の下限は、20重量部が好ましく、より好ましくは22重量部である。一方、その上限は、90重量部が好ましく、より好ましくは80重量部、更に好ましくは70重量部である。また、前記樹脂粒子製造工程と含浸工程では、含浸工程の配合量を多く配合する方が、特に樹脂粒子製造時の安定性が向上することから好ましい。
【0036】
前記発泡工程においては、樹脂粒子の軟化温度以上の温度で密閉容器内から低圧下(通常大気圧下)に、発泡剤と鉱物性油とを含有する樹脂粒子を放出して、発泡が行なわれる。この場合、密閉容器内の内容物を密閉容器から低圧域に放出する際には、使用した発泡剤あるいは窒素、空気等の無機ガスで密閉容器内に背圧をかけて、該容器内の圧力が急激に低下しないようにして、内容物を放出することが好ましい。このような操作により、得られる発泡粒子の見かけ密度が更に均一なものとなる。得られた発泡粒子は、鉱物性油を15〜95重量部含有したものとなる。
【0037】
なお、含浸工程と発泡工程とは、同一の密閉容器中で連続して行なうことが生産効率向上の観点から好ましい。なお、含浸工程及び発泡工程については、特公昭49−2183号公報、特公昭56−1344号公報、特公昭62−61227号公報などに記載の公知の発泡方法を採用することができる。
【0038】
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体について説明する。
本発明の発泡粒子成形体は、前記発泡粒子を用いて型内成形方法により製造されるものである。該型内成形方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、従来の発泡粒子の型内成形で用いられる雌雄一対の成形型を用い、大気圧下又は減圧下で発泡粒子を成形型キャビティー内に充填し、型閉めして成形型キャビティー体積を5〜70%減少するように圧縮し、次いで型内にスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる減圧成形法による方法(例えば、特公昭46−38359号公報)。また、発泡粒子を加圧気体により、予め加圧処理して発泡粒子内の圧力を高めることにより、発泡粒子の二次発泡性を高め、二次発泡性を維持しつつ大気圧下又は減圧下に発泡粒子を成形型キャビティー内に充填して型閉めし、次いで型内にスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる加圧成形法(例えば、特公昭51−22951号公報)などの成形法により成形することができる。また、圧縮ガスにより大気圧以上に加圧したキャビティー内に、当該圧力以上に加圧した発泡粒子を充填した後、キャビティー内にスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる圧縮充填成型法(特公平4−46217号公報)により成形することもできる。その他に、特殊な条件にて得られる二次発泡力の高い発泡粒子を、大気圧下又は減圧下で雌雄一対の成形型のキャビティー内に充填した後、次いでスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる常圧充填成型法(特公平6−49795号公報)又は上記の方法を組み合わせた方法(特公平6−22919号公報)などによっても成形することができる。
【0039】
このようにして得られる、本発明の発泡粒子成形体の見かけ密度は10〜100g/Lである。該発泡粒子成形体は、従来よりも高発泡倍率の成形体であることから、優れた柔軟性や回復性、軽量性、緩衝特性を有し、精密な被梱包物の包装資材や、シートクッション材として好適に用いることができる。
【0040】
前記発泡粒子成形体の見かけ密度が低すぎる場合には、圧縮強度、引張強度などの機械的強度が低くなり、精密な被梱包物の梱包資材やクッション材として用いた場合、荷重に耐え切れず、底付きする虞がある。かかる観点から、発泡粒子成形体の見かけ密度の下限は、15g/Lが好ましく、より好ましくは20g/Lである。一方、該見かけ密度が高すぎる場合には、柔軟性や軽量性が低くなる虞がある。かかる観点から、その上限は、90g/Lが好ましく、より好ましくは85g/L、更に好ましくは70g/Lである。
【0041】
前記発泡粒子成形体の見かけ密度d(g/L)の測定は、直方体の成形体であればそのままの、異形の成形体であれば直方体に切り出して試験片とする。該試験片の縦、横、高さの寸法計測し、これを乗じて体積V(L)を算出し、該試験片の重量W(g)を除することで求められる。
【0042】
本発明の発泡粒子成形体は、前記ポリオレフィン系樹脂と前記熱可塑性エラストマーと前記鉱物性油とを含有することから、柔軟性、特に圧縮後の回復性が飛躍的に向上しているものである。特に、本発明の発泡粒子成形体は、柔軟性だけでなく、圧縮後の回復性に優れる発泡粒子成形体である。
【0043】
本発明の発泡粒子成形体は、JIS K 6767により測定される圧縮永久歪が6%以下であり、優れた圧縮後の形状の回復性を示し、精密な被梱包物に対する包装資材や、クッション材として好適な発泡粒子成形体である。上記のような用途に用いる場合には、圧縮永久歪は、数値が低いほど好ましく、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下である。
【0044】
本発明の発泡粒子成形体の50%ひずみ時における圧縮応力の測定は、JIS K6767により求められる値である。50%ひずみ時の圧縮応力が低いほど、柔軟性に優れるものとなり、精密な被梱包物に対する包装資材や、クッション材として好適な成形体となる。上記のような用途に用いる場合には、発泡粒子成形体としては、180kPa以下であることが好ましく、より好ましくは150kPa以下、さらに好ましくは120kPa以下である。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
下記表1に、実施例、比較例で用いた熱可塑性エラストマーの種類、物性等を示す。
【0046】
【表1】










【0047】
実施例1
(樹脂粒子製造工程)
ポリオレフィン系樹脂として、エチレンコンテント2.7重量%、MFR5g/10分、融点143℃のエチレンプロピレンランダムコポリマー(以下、PP1ともいう。)50重量%と、表1に示す熱可塑性エラストマー(E1)50重量%と、鉱物性油25重量部(パラフィン系プロセス油、出光興産製ダイナオイルPW90;前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計を100重量部とした重量部)とを、タンブラーにて予備混合した後、これらを押出機に投入し、溶融混練してストランド状に押出し、粒子重量約2mgとなる様に、ペレタイザーにてカットして造粒し、樹脂粒子を得た。
【0048】
(含浸工程)
得られた樹脂粒子1kgと鉱物性油300g(パラフィン系プロセス油、出光興産製ダイナオイルPW90;前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対して30重量部)とを、分散媒である水3リットル(L)と共に、撹拌機を備えた5Lの密閉容器内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤としてカオリンを3g、分散助剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.04g、及び硫酸アルミニウム0.1gを添加し、密閉容器内に発泡剤としてCO80g(前記樹脂粒子の重量100重量部に対して8重量部)を圧入した。
(発泡工程)
その後、撹拌下で発泡温度にまで昇温し、同温度に15分間保持した後、内容物を大気圧下に放出して発泡粒子を得た。
【0049】
得られた発泡粒子を加圧タンクに投入し、0.3MPa(G)の圧力で12時間加圧して内圧を付与し、取り出した後、縦250mm×横250mm×厚み100mmの平板が得られる金型に該発泡粒子を充填し、水蒸気加熱による型内成形を行い、更に、該発泡粒子成形体を80℃のオーブン中にて、12時間養生して発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子、発泡粒子成形体の物性等を表2に示した。
【0050】
【表2】

【0051】
実施例2
樹脂粒子製造工程においては実施例1と同様の操作で樹脂粒子を得た。次に、含浸工程における前記鉱物性油(PW90)の量を、前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対して65重量部とした以外は、実施例1と同様の操作で発泡粒子を得た。更に、実施例1と同様に型内成形を行い、発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子、発泡粒子成形体の物性等を表2に示した。
【0052】
実施例3
樹脂粒子製造工程において、熱可塑性エラストマーの配合量を29重量%(PP1が71重量%)にすると共に鉱物性油を配合しないこと以外は、実施例1と同様に樹脂粒子を得た。次に、含浸工程における鉱物性油(PW90)を40重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部)添加した以外は、実施例1と同様の操作で発泡粒子を得た。更に、実施例1と同様に型内成形を行い、発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子、発泡粒子成形体の物性等を表2に示した。
【0053】
実施例4〜6
熱可塑性エラストマーの種類を変えた以外は実施例3と同様の操作で樹脂粒子、発泡粒子を製造し、更に発泡粒子成形体を得た。
得られた発泡粒子、発泡粒子成形体の物性等を表2に示した。
【0054】
実施例7
樹脂粒子製造工程においては、実施例1と同様の操作で樹脂粒子を得た。次に、含浸工程においては、鉱物性油を添加しない以外は、実施例1と同様に発泡粒子を得た。更に、実施例1と同様に型内成形を行い、発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子、発泡粒子成形体の物性等を表2に示した。
【0055】
実施例8
樹脂粒子製造工程においては、表1に示すE2の熱可塑性エラストマーを使用し、鉱物性油を添加しない以外は、実施例1と同様に樹脂粒子を得た。次に、含浸工程で、鉱物性油(PW90)を表2に示す量添加した以外は、実施例1と同様にして発泡粒子を得た。更に、実施例1と同様に発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子、発泡粒子成形体の物性等を表2に示した。
【0056】
実施例9
樹脂粒子製造工程では鉱物性油を添加しない以外、実施例1と同様に樹脂粒子を得た。次に、含浸工程でのみ、表2に示す量の鉱物性油(PW90)を添加したこと以外は、実施例1と同様に発泡粒子を得た。更に、実施例1と同様に型内成形を行い、発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子、発泡粒子成形体の物性等を表2に示した。
【0057】
比較例1
実施例3の樹脂粒子を用い、含浸工程で鉱物性油を配合しない以外、実施例3と同様に発泡粒子を得た。さらに、実施例1と同様に型内成形を行い発泡粒子成形体を得た。鉱物性油を含有していないことから、含浸工程での分散性、型内成形性には優れるものの、得られた発泡粒子成形体は、柔軟性や回復性が不足していた。
【0058】
比較例2
熱可塑性エラストマーの種類を変えた以外は、比較例1と同様に樹脂粒子、発泡粒子を得た。更に、実施例1と同様に型内成形を行い、発泡粒子成形体を得た。含浸工程での分散性、型内成形性には問題は無かったものの、得られた発泡粒子成形体は回復性が不足したものであった。
【0059】
比較例3
樹脂粒子製造工程の鉱物性油の配合量を、100重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部)とした以外は、実施例3と同様に樹脂粒子を製造した。しかし、ストランドが柔軟になりすぎたために、造粒ができず、樹脂粒子を得ることができなかった。また、押出時の食い込み不良によるサージングも発生した。
【0060】
比較例4
実施例3で得られた樹脂粒子を使用し、含浸工程の鉱物性油の配合量を、120重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計量100重量部に対する重量部)とした以外は、実施例3と同様に発泡粒子を製造した。含浸工程での分散性が低下し、樹脂粒子が凝結し、発泡した粒子同士が凝結しており、型内成形に使用できるような発泡粒子を得ることが出来なかった。
【0061】
比較例5
ポリオレフィン系樹脂を、表2に示す割合で配合した以外、実施例3と同様にして、樹脂粒子、発泡粒子を得た。熱可塑性エラストマーの配合量が少ないため、発泡粒子がべたついて、成形金型に発泡粒子を充填することができず、発泡粒子成形体を得ることができなかった。
【0062】
比較例6
熱可塑性エラストマーを、表2に示す割合で配合した以外、実施例3と同様にして、樹脂粒子、発泡粒子を得た。熱可塑性エラストマーの配合量が多すぎるため、発泡粒子が連続気泡化してしまい、型内成形時に二次発泡せず、発泡粒子成形体を得ることができなかった。
【0063】
分散安定性の評価
○:発泡工程において発泡後、発泡した粒子同士間での凝結が生じなかった。
×:発泡工程において発泡後、発泡した粒子同士間での凝結が生じていた。
【0064】
型内成形性の評価
◎:発泡粒子成形体の表面がべたつかず、発泡粒子成形体の収縮率が10%以下である。
○:発泡粒子成形体の表面が多少べたついているが、発泡粒子成形体が得られる。
×:発泡粒子の表面がべたついて、発泡粒子を成形金型に充填できず、発泡粒子成形体を得ることができない。













































【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂80〜30重量%と、熱可塑性エラストマー20〜70重量%とからなる樹脂組成物(ただし、前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計は100重量%である)と、
前記樹脂組成物100重量部に対して15〜95重量部の鉱物性油とからなり、
見かけ密度が15〜150g/Lであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【請求項2】
請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内成形して得られる成形体であって、前記成形体の見かけ密度が10〜100g/Lであり、圧縮永久歪(JIS K 6767)が6%以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂80〜30重量%と、熱可塑性エラストマー20〜70重量%と(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計は100重量%である)、0〜70重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部である)の鉱物性油とを配合し、溶融混練して得られる溶融混練物を、造粒して樹脂粒子とし、
前記樹脂粒子と、発泡剤と、0〜70重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部である)の鉱物性油とを密閉容器中で分散媒に分散させて、前記樹脂粒子に発泡剤と前記鉱物性油とを含浸させ、
次いで、発泡剤と鉱物性油とを含有する樹脂粒子を発泡させて、15〜95重量部(前記ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの配合量の合計100重量部に対する重量部である)の鉱物性油を含有する発泡粒子を得ることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。









































【公開番号】特開2011−132356(P2011−132356A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292596(P2009−292596)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000131810)株式会社ジェイエスピー (245)
【Fターム(参考)】