説明

ポリオール混合物の貯蔵安定性を改善するための新しいタイプの相溶化剤

【課題】ポリオール混合物の貯蔵安定性を改善するための新しいタイプの相溶化剤を提供する。
【解決手段】A.少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを、B.(a)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに保有する少なくとも1種の親水性ポリエーテルと、(b)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに含む少なくとも1種の疎水性ポリエーテルと、(c)任意選択によりさらに、少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基および/またはカルボン酸もしくはエポキシド官能基などの他のイソシアネート反応性基を保有する化合物と反応させることによって得られる相溶化剤としてのウレタン基または尿素基を含有するポリエーテル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非混和性ポリオールのポリオール組成物の貯蔵安定性を改善するための新しいタイプの相溶化剤と、これらの相溶化剤を含む均質ポリオール混合物と、ポリオール混合物をポリイソシアネートに反応させることによってフォームを調製するための(ここでは、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素のフォームが形成される)それらの使用とに関する。
【0002】
均質混合物は、本明細書では、2種以上の成分の混合物、即ち本明細書では目に見える相分離のないポリオール組成物を意味すると理解される。このタイプの均質混合物は、例えば、(真の)溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョンなどの様々な形で生成することができる。水性媒体中または非水性媒体中に関わらず、あるいは固形分と一緒であるかに関わらず、そのような均質混合物を形成するのに有利に働く物質を本出願では相溶化剤と呼ぶ。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンフォームは、多様な用途、例えば断熱、エネルギー吸収、および吸音に使用される。したがって、ポリウレタンを、正確に調節される異なる仕様/パラメータで生成することが必要である。これらの重要なパラメータには、例えば機械的性質、密度、および成型時間が含まれる。
【0004】
ポリウレタンフォームの工業生産において、ポリオール、特にポリオール混合物は、ポリイソシアネートと反応させるための反応性成分として使用される。形成されたフォームの性質は、特定の程度まで、使用されるポリオール混合物の構造および化学組成に依存する。
【0005】
PU産業(フォームセクタ)では、非常に多様なタイプのポリオールが使用される。まず、例えば、化合物の化学構造の外観に応じて、ポリエーテル−ポリオールおよびポリエステル−ポリオールによる区分がある。
【0006】
さらに、ポリオールの場合、この重要な種類の化合物の合成経路に応じて、区別が行われる。したがって、ポリオールは、再生可能な原材料をベースにすることができ、それゆえ、再生可能性の現代的概念を満足させることができる。したがって、再生可能な原材料から生成されたそのようなポリオールをNOP(天然油ベースのポリオール)と呼ぶ。これらには、例えば、その生成のために化学変化/合成ステップを全く必要とせずまたは少ない回数しか必要としない、植物油または植物原材料の抽出物の代表例が含まれる。
【0007】
EP−1537159は、ヒマシ油ベースのアルコキシレートを使用してポリウレタンフォームを生成するためのポリオールの調製について述べている。
【0008】
EP−1712576は、ポリウレタンの生成におけるポリオールとしての植物油のアルコキシレートの使用について述べている。
【0009】
WO−00/00529は、ポリオールとしてヒマシ油を使用したPUフォームの生成について述べている。使用されるヒドロキシル基含有植物油および改質ヒドロキシル基含有植物油は、100から300の範囲内のOH数を有する。OH数が150から160であるヒマシ油または改質ヒマシ油が、特に適している。
【0010】
EP−1765901は、アルキル側鎖の二重結合のエポキシ化に続いてポリオールのOH数を増加させるための開環によりCNSLに基づいて生成される剛性PUフォームを生成するためのポリオールについて述べている。
【0011】
現在の傾向は、例えば、従来の石油ベースのポリオールと混合される天然ベースのポリオール(NOP)の使用であり、あるいはより一般には、例えばポリエチレンオキシドの異なる含有量の結果として異なる極性を有する、少なくとも2種のポリオールの使用である。どちらの場合にも、フォームにする(加工される)ポリオールはもはや互いに対して可溶性ではなく、かつ、ポリオール混合物は限られた貯蔵安定性しかしばしば持たないエマルジョンまたは分散体であるという問題が生じ;本出願の文脈においては、そのような混合物を互いに対して非相溶性であると呼ぶ。
【0012】
したがって、US−20070238800は、イソシアネートに対して反応性があり、かつ、植物油ベースのポリオールを少なくとも10%含む貯蔵安定な組成物について述べており、貯蔵安定性を改善するために少なくとも25EO(エチレンオキシド単位)を有するノニルフェノールエトキシレートが記載されている。
【0013】
少なくとも5成分を含む、ポリエーテルポリオールとヒマシ油ベースのポリオールとの複雑な混合物のみが、ここに記載されている。この出願に記載されているポリエステルポリオールおよび植物油ベースのポリオールの溶解性の問題は、該明細書に記載されている方法を使用して解決することができない。特に、合成ポリオールも植物油ベースのポリオールの使用と一緒に使用しなければならないからである。
【0014】
特に、対応するポリオール混合物をその生成後に直ぐに使用することができない場合、あるいは、混合物を均質に保つために、使用まで該混合物を連続して撹拌する見込みがない場合、対応する貯蔵安定性が絶対に必要である。
【0015】
フォーム化用のポリオール混合物は、イソシアネートを除いて必要な成分の全てとしばしば混合され、混合物はこの形で輸送され、フォーム化まで貯蔵される。このために、例えば噴射剤、安定化剤、触媒、染料、難燃剤、さらにフォームの加工、生成、および使用に必要とされる補助剤など、従来技術に従って必要とされかつ既知である物質をポリオールに添加することができる。そのような添加剤を含むポリオール混合物を、「系」または欧州セクターにおいては「A成分」とも呼ぶ。
【0016】
さらなる考慮事項では、ポリオール混合物という用語は、ポリオール混合物自体および前述の添加剤を含有する混合物の両方を意味すると理解される。
【0017】
ポリオール混合物の多様な適用のために、その場でおよび使用時に、最低限の可能な消費で、直接使用できることが必要である。これに関して、ポリオール混合物は、特に均質な形で存在し、即ち、例えば、真の溶液が存在する場合には単相系で存在し、しかしながら、安定なエマルジョンの場合には長期間にわたって分離しないエマルゲート(emulgate)としても存在する。これは、特にポリオール混合物を直接使用することができず、実際に生ずる様々な輸送および貯蔵条件下(熱応力、変動する温度、撹拌の可能性がないなど)で貯蔵しなければならない場合に重要である。
【0018】
系を生成し、均質性を保持し、かつ/または相分離を防止するための実際上の慣行の方法は、コストのかかるスターラーを使用して、あるいはポンプ送出による連続循環を通して、貯蔵および分布タンプ内で成分を移動させ続けることにあった。しかしながら、成分の分離の防止および適正な均質化は、これらの工業的に複雑な手段を使用しても、必ずしも確実に行われるとは限らない。
【0019】
不適正な均質化の場合、ポリイソシアネートと混合する間、不均一性の範囲にある反応性混合物の化学量論、即ち、ポリオール混合物中のポリオールの所与の比は、もはや正しくはない。互いに一致する成分の必要とされる重要なパラメータを観察することは、これらの場合においてもはや確実ではなく、回折性のポリウレタンフォームが形成されることとなる。
【0020】
したがって、分散および/または乳化補助剤を使用して、これらの欠点を克服する試みがなされている。
【0021】
したがって、WO−2005/085310は、特にポリウレタン発泡フォームおよび断熱フォームを生成するためのプレポリマー組成物であって、少なくとも2個のヒドロキシ基を有する疎水性ポリエステルポリオールを含む第1の成分と少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを含む第2の成分との反応から得られるポリウレタンプレポリマーを含み、ここで、該ポリエステルポリオールは、少なくとも部分的に、植物油または動物油と芳香族ジカルボン酸および/またはトリカルボン酸、それらのエステルもしくは無水物、およびポリオールとのエステル交換生成物であることを特徴とする、プレポリマー組成物を提案した。
【0022】
EP−0909792は、
(I)(TR1)少なくとも1種のエチレン系(ethylenically)不飽和C〜C12−ジカルボン酸、その無水物、またはその混合物、
(TR2)少なくとも1種のC〜C40−オレフィン
から形成されたコポリマー主鎖(TR)と、
(II)(TP1)少なくとも1種のC〜C20−オキシランから形成された、コポリマー主鎖から開始するポリアルキレンオキシド(TP)と
からなる、乳化剤として合成ポリマー(T)を含む1C−ポリウレタン合成組成物について記載する。
【0023】
存在する1Cポリウレタン合成組成物のさらなる成分は、少なくとも2個の反応性水素原子(a)を有する第1および第2の化合物であり、第1の化合物は第2の化合物に不溶性であり、第1の化合物はプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを有するポリエーテルポリオールであり、第2の化合物はC〜C20−アルキレンジオールであり、混合物を撹拌しない場合において混合物の調製から1ヶ月以内に該2つの化合物の1:1混合物が相分離を受ける場合、第1の化合物は第2の化合物に不溶性である。1Cフォームのこの特別な用途の場合、植物油ベースのポリオールは使用しない。
【0024】
このように調製された混合物は、複雑な合成を通してのみ入手可能な非常に複雑な合成ポリマー系を含む。
【0025】
EP−1161474は、ポリイソシアネートと、少なくとも1種の水非混和性ポリオールおよび少なくとも1種のポリエステルポリオールまたはポリエステルポリエーテルポリオールの混合物からなる水性エマルジョンとして存在するポリオール成分とを反応させることによって、連続気泡(open-cell)ポリウレタンフォームを調製するための方法に関する。ここでの方法では、ポリオール成分をエマルジョンの形で使用することが不可欠であり、その場合、イオン性および/または非イオン性界面活性剤を乳化剤として使用することができる。得られるエマルジョンの安定性については記載されていない。
【0026】
WO−96/12759は、PUフォームの生成の際、ポリオール中での噴射剤としての炭化水素の可溶性を、ヒマシ油を添加することによって改善できることを述べている。しかしながら、実施例1では、ポリエーテルポリオールをベースにした混合物の場合、比較的高い割合でヒマシ油を添加すると混合物が再び分離し、相応に均質性が再び失われることにも留意すべきである。
【0027】
従来技術で挙げられた乳化剤は、複雑な多段階合成を介してのみ調製することができ、さらに、混合物は、ポリウレタンフォームの用途の全ての技術的分野で等しく使用することができないかあるいは非相溶性でさえある成分を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服すること、および非混和性ポリオール組成物用の相溶化剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
驚くべきことに、ウレタン基または尿素基を含有するポリエーテルは、この目的を達成できることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0030】
したがって、本発明は、
A.少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを、
B.(a)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに保有する少なくとも1種の親水性ポリエーテルと、
(b)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに含む少なくとも1種の疎水性ポリエーテルと、
(c)任意選択によりさらに、少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基および/またはカルボン酸もしくはエポキシド官能基などの他のイソシアネート反応性基を保有する化合物と
反応させることによって得られる(但し、少なくとも1種のイソシアネートAが二官能性または多官能性であることを条件とする)ウレタン基または尿素基を含有するポリエーテルと、その調製と、少なくとも2種の非混和性ポリオールを含むポリオール組成物用の相溶化剤としてのその使用とを提供する。
【0031】
本発明はさらに、ポリオール組成物における再生可能な原材料から調製されたポリオールの有利な使用を提供する。
【0032】
したがって、上述の化合物の調製の間に、水性ポリエーテルを親水性ポリエーテルと一緒にする。
【0033】
イソシアネート(A)とアルコールまたはアミンとの反応中に、対応するウレタン誘導体または尿素誘導体が形成される。上述の成分の反応中に化合物が混合物の形で形成され、その分布は反応手順によって決定されるが、統計的法則によっても決定される。
【0034】
好適な二官能性または多官能性イソシアネートは、芳香族または脂肪族のいずれでよい。その例は、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3,5,5−トリメチル−1,3−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、またはポリメチレンジフェニルイソシアネート(PMDI)である。さらに、例えばDesmodur(登録商標)N 100、Desmodur N 3200、Desmodur N 3300、およびDesmodur(登録商標)N 3600(DesmodurはBayer Material Science AGの商標である)という商標名で入手可能な、三官能性および多官能性イソシアネートも好適である。多官能性イソシアネートと組み合わせて、特に極性および分子量分布を制御するために、反応混合物中に単官能性イソシアネートを使用することも可能である。
【0035】
親水性ポリエーテル(成分B(a))という用語は、本明細書では、アルコキシ単位の60モル%超がエチレンオキシド単位であるポリエーテルを指すのに使用される。疎水性ポリエーテル(成分B(b))という用語は、本明細書では、アルコキシ単位の最大45モル%がエチレンオキシド単位であるポリエーテルを指すのに使用される。
【0036】
好適なポリエーテルは、モノマーの付加反応による、好ましくはアルコール、アミン、またはアルカノールアミンである開始物質の反応により得ることができる。開始アルコールは、例えば、水、メタノール、エタノール、1−ブタノール、ビスフェノール−A、2−アミノエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、オリゴ−およびポリグリセロール、1,3−ジヒドロキシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン、1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,2,4−トリヒドロキシブタン、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールのオリゴマー、ポリカプロラクトン、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトール、エチレンジアミン、アンモニア、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、ヒマシ油、またはフルクトースであることができる。
【0037】
オリゴ−またはポリグリセロールは、まず、一般式
HO−CH−CH(OH)−CH−O−[CH−CH(OH)−CH−O]−H
で表される線形化合物であり(式中、nは1から9であり、好ましくは1から6であり、特に1から3であり、具体的には1および2である);純粋な物質としてあるいは互いの統計的混合物中に存在してよく;その統計的分布の平均値は「n」値に相当する。
【0038】
したがって、本明細書に列挙される式中に与えられた指数および記載されている指数の値の範囲が実際に単離された構造および/またはそれらの混合物の可能な統計的分布の平均値であることは明らかである。このことは、そのように正確に再現された構造式自体にも当てはまる。
【0039】
さらに、使用されるポリグリセロールは、分枝状であることもでき、環状部分を含有することもできる。これらは、例えば、グリセロールを0から5重量%、ジグリセロールを15から40重量%、トリグリセロールを30から55重量%、テトラグリセロールを10から25重量%、高級オリゴマーを0から10重量%含む。好ましく使用されるポリグリセロールは、ジグリセロールを15から35重量%、トリグリセロールを38から52重量%、テトラグリセロールを15から25重量%、高級オリゴマーを<10重量%、および環状化合物を<2重量%含む。統計的平均でのジグリセロールを含むポリグリセロールを使用することが、特に好ましい。
【0040】
好適なモノマーは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、1,2−エポキシブタン(n−ブチレンオキシド)、2,3−エポキシブタン(イソブチレンオキシド)、およびドデシルオキシドの群からの化合物である。これに関して、モノマーの分布は、例えばブロックが存在できるように、任意に選択することができる。さらに、単位が統計的分布で存在するかあるいは段階的に(gradually)分布するポリエーテルが得られるようにモノマーの混合物を使用することも可能である。そのようなポリエーテルは、ランダムに配列することができ、あるいはブロック構造を有することができる。したがって、本出願における構造式の指数は、正の実数値を意味し、整数値だけを意味しないと理解される。
【0041】
1個以上の活性水素原子を保有する好適な親水性ポリエーテル(成分B(a))は、式(I)
(R[R[(E)−(P)−R (I)
によって記述することができ
(式中、Rは、o=1の場合、開始剤のs−官能性非反応性部分であり、
は、互いに独立して、O、NR、NH、またはNであり、
Eは、エトキシ官能基であり、好ましくは−(CH−CH−O)基であり、
Pは、少なくとも3個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルコキシ官能基であり、
は、H、−C2t−N(R)H、および/または−C2t−NH基からの同一のまたは異なる基であり、
は、1から20個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基またはアリール基であり、好ましくはメチル、エチル、またはフェニルであり、
oは、0または1であり、
pは、1、2、または3であり、
qは、10から500、好ましくは15から400、特に20から300であり、
rは、0から330、好ましくは1から200、特に2から100であり、
sは、1から10、好ましくは2から8、特に2から4であり、
tは、2から5であり、
但し、q>0.6×(q+r)であることを条件とする。)、
純粋な物質としてあるいは互いの統計的混合物中に存在してよく、その統計的分布の平均値は指数oからtの値に相当する。
【0042】
1個以上の活性水素原子を保有する好適な疎水性ポリエーテル(成分B(b))は、同様に、式(I)により記述することができ、
式中、qは、0から400であり、好ましくは1から300、特に2から200であり、
rは、10から500であり、好ましくは15から400、特に20から300であり、
但し、q<0.45×(q+r)であることを条件とし、
純粋な物質としてあるいは互いの統計的混合物中に存在してよく、その統計的分布の平均値は指数oからtの値に相当する。式(I)により記述されるポリエーテルは、任意選択により、グラフト重合のプロセスによってさらに修飾させることができる。このために、ポリエーテルをフリーラジカル活性剤の存在下で二重結合を保有するモノマーと反応させる。グラフト化の度合いと使用モノマーの量およびタイプとを調節することによって、あるいはコポリマーを生成するための手順により、目標とする形式でポリエーテルの性質を変えることが可能である。好適なモノマーは、例えば、メチルメタクリレート、アクリル酸、スチレン、または無水マレイン酸である。そのような1つのプロセスが、例えば公開明細書DE−1111394に記載されている。この文献に記載されているポリエーテルは、それらが少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基を統計的に保有する場合、本発明に従って使用することもできる。したがって、上記文献およびポリエーテルの化学的特徴付けに関する特許文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれ、本出願の開示の一部を形成する。
【0043】
好適な親水性ポリエーテルの具体例は、
【0044】
【化1】


であり、純粋な物質としてあるいは互いの統計的混合物中に存在してよく、その統計的分布の平均値は指数の値に相当する。
【0045】
好適な疎水性ポリエーテルの具体例は、
【0046】
【化2】


であり、純粋な物質としてあるいは互いの統計的混合物中に存在してよく、その記述される数値は指数の値の統計的分布の平均値に相当する。
【0047】
少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基および/またはカルボン酸もしくはエポキシド官能基などの他のイソシアネート反応性基を保有するさらなる化合物(c)は、例えば、本発明により使用される前述の親水性または疎水性ポリエーテルa)およびb)に属さないポリエーテル、一価アルコール、例えばメタノール、エタノール、脂肪アルコール、ポリ(エチレン−co−1,2−ブチレン)モノオール、C13−CHCHOHなどのフッ素化アルコール、アルキルフェノール、あるいは多価アルコール、例えば1,2−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリ(エチレン−co−1,2−ブチレン)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、グルコース、フルクトース、ポリグリセロール、ポリエステルモノオール、またはポリ(カプロラクトン)ジオールやポリ(ヘキサメチレンフタレート)ジオールなどのポリエステルジオール、またはフッ素化ポリエーテルである。
【0048】
さらなる好適な化合物(c)は、例えば、脂肪酸修飾(fatty-acid-modified)アルコールである。これらは、OH官能基が部分的にエステル化されている二価または多価アルコールである。
【0049】
さらに好適な化合物は、活性水素原子を有する第一級および第二級アミンであり、例えば、エチルアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ポリエーテルアミン、ポリエチレンイミンなど、または例えばアミン末端基を有するポリ(アクリロニトリル−co−ブタジエン)である。
【0050】
他の好適な化合物(c)は、例えば脂肪酸修飾アミンである。これらは、アミン基が部分的にアミド化されている二官能性または多官能性アミンである。
【0051】
さらに、例えばジエタノールアミンやエタノールアミンなどのアルカノールアミンが好適である。ここでも、OHまたはアミン官能基を部分エステル化またはアミド化の形で存在させることができる。
【0052】
様々なポリエーテルと多官能性イソシアネートとの反応では、親水性および疎水性ポリエーテルの量およびタイプの選択を通して親水性構造要素と疎水性構造要素との比の正確な調節が可能になる。そのうえ、さらにアルコールまたはアミンを組み込むことによって、目標とする形式で様々な他のタイプの疎水性または親水性構造要素を組み込むことが可能になる。例えば、1,6−ヘキサンジオールを使用する場合には疎水性アルキレンブロックが形成され、ジメチロールプロパン酸を使用することによってカルボン酸官能基を有する構造要素が形成される。
【0053】
さらに、多官能性イソシアネート中の様々なイソシアネート官能基の間の反応性の差を活用することによって、ある種の構造を優先的に形成することが可能になる。例えば、プレポリマーの形成を通して、ある種のブロックまたは分枝状構造が形成される。
【0054】
様々なOH、NH、またはNH官能基の反応性の差を活用することによって、同様のことが可能になる。
【0055】
相溶化剤の有効性に関する予測は、ある程度まで行うことができるだけである。したがって、当業者なら、かなり経験的な方法で様々な可能性について試みる必要がある。
【0056】
本発明はさらに、ポリエステルジオールが成分(c)として使用される相溶化剤としてのウレタン誘導体または尿素誘導体の使用を提供する。
【0057】
本発明はさらに、再生可能な原材料をベースにしたポリオール、特に植物ベースのポリオール、任意選択によりポリエステルジオールまたはポリエステルポリオールとの混合物を含む、均質ポリオール混合物を提供する。
【0058】
本発明はさらに、これらの相溶化剤と任意選択によりさらに補助剤および添加剤とを含む、均質ポリオール混合物を提供する。
【0059】
本発明はさらに、ポリエステルポリオールと再生可能な原材料をベースにしたポリオール、特に植物ベースのポリオールとからなり、任意選択によりさらに補助剤および添加剤を含む、PUフォーム(硬質フォーム)を生成するためのポリオール混合物を提供する。
【0060】
本発明はさらに、ポリエチレンオキシド単位を異なる含量で有する少なくとも2種の非混和性ポリエーテルポリオールからなる相溶化剤を含み、任意選択によりさらに補助剤および添加剤を含む、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素のフォームの調製に使用するための、ポリオール混合物を提供する。
【0061】
本発明はさらに、ポリオール組成物における再生可能な原材料から調製されたポリオールの有利な使用を提供する。
【0062】
(I)これらの相溶化剤と任意選択によりさらに補助剤および添加剤とを含む、均質ポリオール混合物、および
(II)1種以上のイソシアネート
からなる(均質)反応性混合物が、相溶化剤を使用して均質混合物から得ることができる。
【0063】
相溶化ポリオール混合物は、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素のフォームをポリイソシアネートとの反応において調製するのに好適である。
【0064】
本発明はさらに、相溶化ポリオール混合物を使用して調製されたポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素のフォームを提供する。
【0065】
このように調製されたポリウレタンフォームは、成型マス(moulding masses)、塗料、コーティング、フィルム、繊維、およびフォームを生成するのに使用することができる。
【0066】
本発明は、
A.少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを、
B.(a)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに保有する、少なくとも1種の親水性ポリエーテルと、
(b)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに含む、少なくとも1種の疎水性ポリエーテルと、
(c)任意選択によりさらに、少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基および/またはカルボン酸もしくはエポキシド官能基などの他のイソシアネート反応性基をランダムに保有する化合物と
反応させることによって得られる(但し、少なくとも1種のイソシアネートAが二官能性または多官能性であることを条件とする)ウレタン基または尿素基を含有するポリエーテル自体も提供する。
【0067】
本発明はさらに、本発明による相溶化剤を添加することによって調製され、かつ、相分離に対して安定化された、任意選択によりさらに補助剤および添加剤も含むことができるポリオール混合物を提供する。
【0068】
補助剤および添加剤は、本明細書では、特に、噴射剤、安定化剤、触媒、難燃剤、顔料、染料、およびさらなる物質、例えば、余すところなく述べるものではないが、ポリウレタンフォームの調製および使用に必要とされる殺生剤(biocides)や帯電防止剤なども意味すると理解される。
【0069】
本発明はさらに、本発明による均質ポリオール混合物を使用して調製されたポリウレタンフォームを提供する。本発明のさらなる対象は、特許請求の範囲によって特徴付けられる。
【0070】
本発明による相溶化剤は、ポリエステルポリオールおよび天然油ベースのポリオール(NOP)含むポリオール混合物において特に好ましく使用されるが、なぜならこれら2種類のポリオールは混合した際に相分離する傾向をしばしば有するからである。このタイプの混合物は、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート硬質フォームの調製にしばしば使用される。
【0071】
さらに、個々の成分が異なる極性を有するポリエーテルポリオール混合物での本発明による相溶化剤の使用が好ましい。これは、例えば異なる割合のポリエチレングリコールによってもたらされてもよい。したがって、本発明による相溶化剤を有する混合物は、軟質フォーム系の調製で有利に使用することができ;これらは例えば、粘弾性や高弾性などの特定の機械的性質を有する。これまで、そのような(不均質)混合物は撹拌によってだけ均質を保持できた。
【0072】
記述される構造の相溶特性により、同様に噴射剤の溶解性を改善/変化させることが可能であり;そのような効果は、WO−2007/094780でアルコールアルコキシドについて記述されている。
【0073】
全ての好適なポリオールをフォームの調製に使用することができる。これらは、典型的には分子当たり2から6個のOH基を保有し、かつ、炭素、水素、および酸素以外に窒素、リン、またはハロゲンなどのヘテロ原子を含有することもできる、ポリエーテルまたはポリエステルポリオールであることができる。
【0074】
フォームに必要とされる性質に対応して、例えばUS−2007/0072951、WO−2007/111828、US−20070238800、US−6359022、およびWO−9612759に記載されているように特別なポリオールが使用される。
【0075】
植物油ベースのポリオールが、例えばWO−2006/094227、WO−2004/096882、US−2002/0103091、WO−2006/116456、およびEP−1678232などの様々な明細書に同様に記載されている。
【0076】
ポリウレタンフォームの調製に使用することができるポリイソシアネートは、例えばEP−1712578、EP−1161474、WO−058383、US−2007/0072951、EP−1678232、およびWO−2005/085310に示されるような特定のフォームタイプについてこの分野で慣用の化合物である。同様に、本発明による相溶化剤の調製に使用される上述の多官能性基(イソシアネートおよびポリオール)を保有する化合物も適している。
【0077】
フォームを調製するには、噴射剤が必要である。全ての既知の噴射剤を使用することができる。これは、イソシアネートとの反応によって二酸化炭素を放出する化学噴射剤として水でもよい。しかしながら、二酸化炭素、または物理的噴射剤として、発熱反応中に好適な沸点の結果として蒸発する他の噴射剤を直接使用することも可能である。
【0078】
その例は、ハロゲン化炭化水素、または例えばペンタン異性体などの炭化水素である。2つの方法の組合せも可能である。
【0079】
ウレタンフォーム反応は、通常、好適な触媒によって引き起こされかつ/または制御される。例えば、第三級アミンまたは金属含有触媒(スズ、カリウム、亜鉛化合物を含む)が本明細書では使用される。
【0080】
使用することができる安定化剤は、従来技術によって知られている物質である。ほとんどの場合、これらは、例えばEP−0839852、WO−2005/118668、US−20070072951、DE−2533074、EP−1537159、EP−1712576、EP−1544235、EP−0533202、US−3933695、EP−0780414、DE−4239054、DE−4229402、DE−102004001408、EP−0867465、およびそれらに引用された文書に記載されているような、有機的に修飾されたシロキサンである。
【0081】
例えば、触媒や安定化剤、難燃剤、噴射剤などのポリウレタンフォームの調製に使用することができる補助剤および添加剤も、同様に従来技術で知られている成分である。使用される原材料および使用することができる方法の従来技術の包括的な記述は、G.Oertel(編):「Kunststoffhandbuch[Polymer Handbook]」、第VII巻、C.Hanser Verlag、Munich、1983、Houben−Weyl:「Methoden der organischen Chemie[Methods of organic chemistry]」、第E20巻、Thieme Verlag、Stuttgart 1987、(3)、第1561から1757頁、および「Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry」第A21巻、VCH、Weinheim、第4版 1992、第665から715頁に示されている。
【0082】
本発明による相溶化剤およびその使用を、例として以下に記述するが、本発明は、これら例示的な実施形態に限定することを意図するものではない。範囲、一般式、または化合物クラスが以下に示される場合、これらは明記される化合物の対応範囲またはグループを含むだけではなく、個々の値(範囲)または化合物を取り除くことによって得ることができる化合物の部分範囲およびサブグループも含むことを意図している。本発明の記述の過程で文書が引用される場合、その内容全体が本発明の開示に属するべきである。
【実施例】
【0083】
下記の実施例は本発明を例示するのに役立つべきであるが、いかなる限定も示すものではない。
【0084】
本出願の文脈において、均質組成物は、例えば記述される室温で所与の期間(時間)にわたって100mlガラスシリンダ内に静置された際に3mlを超える相分離が示されないものとみなす。そのような結果を「良好」と呼ぶ。均質性が、なおより長い期間にわたって存在する場合、または相形成が予め与えられた値の50%よりもかなり少ない場合、その結果を「非常に良好」と呼ぶ。その一方で、相形成がより著しくなり、予め与えられた値の150%よりも多い場合、その結果を「適正」と呼び、200%よりも多い場合には「不十分」と呼ぶ。一般に、貯蔵安定性は、より高い温度ではより乏しいことがわかった。しかしながら、実際に、ポリオール混合物の運搬中または貯蔵中には、前記混合物はしばしば室温では加工されず、30〜40℃に加熱される。この理由により、実験は20℃および40℃の温度で実施した。
【0085】
相溶化剤の調製
実施例1
疎水性ポリエーテルモノオール(ブタノール開始、M=約1800g/モル、w(EO)=0%)28gを、疎水性ポリエーテルジオール(M=約2200g/モル、w(EO)=10%)36gおよび親水性ポリエーテルモノオール(メタノール開始、M=1100g/モル、w(EO)=100%)24gと混合し、Desmodur N 3200(Bayer AG製のテクニカルグレード三官能性イソシアネート)13gを添加した。次いで、プロピレンカーボネート100gも添加した。この混合物を100℃に加熱し、次いで、Tegokat 722(ビオクトエート)(TIB Mannheimから入手可能)0.1gと混合した。次いで、混合物をこの温度でさらに4時間撹拌した。
【0086】
実施例2
疎水性ポリエーテルモノオール(ブタノール開始、M=約1800g/モル、w(EO)=0%)26gを、疎水性ポリエーテルジオール(M=約2200g/モル、w(EO)=10%)34g、親水性ポリエーテルモノオール(メタノール開始、M=1100g/モル、w(EO)=100%)15g、および親水性ポリエーテルモノオール(M=2000g/モル、w(EO)=100%)14gと混合し、Desmodur N 3200(Bayer AG製のテクニカルグレード三官能性イソシアネート)12gを添加した。次いで、プロピレンカーボネート100gも添加した。この混合物を100℃に加熱し、次いで、Tegokat 722(ビオクトエート)(TIB Mannheimから入手可能)0.1gと混合した。次いで、混合物をこの温度でさらに4時間撹拌した。
【0087】
実施例3
疎水性ポリエーテルモノオール(ブタノール開始、M=約1800g/モル、w(EO)=0%)34gを、疎水性ポリエーテルジオール(M=約2200g/モル、w(EO)=10%)30gおよび親水性ポリエーテルモノオール(メタノール開始、M=2000g/モル、w(EO)=100%)25gと混合し、Desmodur N 3200(Bayer AG製のテクニカルグレード三官能性イソシアネート)11gを添加した。次いで、プロピレンカーボネート100gも添加した。この混合物を100℃に加熱し、最後にTegokat 722(ビオクトエート)(TIB Mannheimから入手可能)0.1gと混合した。次いで、混合物をこの温度でさらに4時間撹拌した。
【0088】
実施例4
疎水性ポリエーテルモノオール(ブタノール開始、M=約1800g/モル、w(EO)=0%)23gを、疎水性ポリエーテルジオール(M=約2200g/モル、w(EO)=10%)30gおよび親水性ポリエーテルモノオール(メタノール開始、M=2000g/モル、w(EO)=100%)37gと混合し、Desmodur N 3200(Bayer AG製のテクニカルグレード三官能性イソシアネート)10gを添加した。次いで、プロピレンカーボネート100gも添加した。この混合物を100℃に加熱し、最後にTegokat 722(ビオクトエート)(TIB Mannheimから入手可能)0.1gで処理した。次いで、混合物をこの温度でさらに4時間撹拌した。
【0089】
比較例1:
Pluronic 10500(BASF AG製のA−B−Aブロックポリエーテル)を比較例として使用した。エチレンオキシド単位の質量分率は50%である。
【0090】
比較例2:
Vorasurf 504
Vorasurf 504(DOW製のブチレンオキシドおよびエチレンオキシドのA−B−Aブロックポリエーテル)を別の比較例として使用した。
【0091】
比較例3:
US 2007 0238800で使用されている40EOのノニルフェノールエトキシレートを別の比較例として使用した。
【0092】
ポリオール混合物での相溶化剤の使用:
様々なポリオール混合物を用いた貯蔵実験を実施した。
【0093】
使用原材料:
ポリオールA:Stepanpol PS 2352(Stepan製)
ポリオールB:Stepanpol PS 1922(Stepan製)
ポリオールC:Terol 563(Oxid製)
ポリオールD:Terate 7540(Invista製)
ポリオールE:Terate 2541(Invista製)
ポリオールF:ヒマシ油(Alberding+Boley、Krefeld)
ポリオールG:Voranol 3322(Dow製)
ポリオールH:EOに富むポリオール、Voranol CP 1421(Dow製)
ポリオールI:植物油ベースのポリオール BiOH(商標)5000(Cargill製)
ポリオールK:Hyperlite(登録商標)Polyol 1629(Bayer製)
ポリオールL:トリメチロールプロパン開始ポリグリコール、エチレンオキシドベース、モル質量1200g/モル。
【0094】
表1は、使用されたポリオール成分およびその割合、それぞれの相溶化剤およびその割合、貯蔵温度、および混合物の安定性をまとめたものである。安定性は、下記の間隔で、即ち2時間、4時間、8時間、16時間、24時間、36時間、48時間で、次いで24時間の間隔で視覚的に評価し、定性評価を行った。
【0095】
【表1】

【0096】
これらの例は、本発明による相溶化剤を使用することによってポリオール混合物の貯蔵安定性を大きく改善することができることを示している。相溶化剤を使用せず、または本発明の相溶化剤ではないものを使用した比較例は、かなり低い貯蔵安定性を示している。例えば比較例9および比較例10では、それぞれ4および2時間後であっても、不十分な安定性が観察され、それに対し、実施例16では、ポリオール混合物は48時間後に依然として良好な安定性を有している。
【0097】
PUフォームの調製:
硬質フォームでの試験:
実施例29
本発明による配合物の用途関連試験では、下記のフォーム配合物を使用した。
【0098】
【表2】

【0099】
DMCHA:ジメチルシクロヘキシルアミンはアミン触媒として働き、TCPP:トリスクロロプロピルホスフェートは難燃剤であり、Kosmos 75 MEGはGoldschmidt製の金属ベースの触媒であり、TEGOSTAB B 8469はGoldschmidt製のフォーム安定化剤である。
【0100】
フォーム化は、手で混合する方法で実施した。このために、ポリオール、触媒、水、難燃剤、および噴射剤を計量してビーカーに入れ、ディスク状スターラー(直径6cm)を使用して1000rpmで30秒間混合した。再計量することにより、混合操作中に蒸発した噴射剤の量を決定し、補った。次いでMDIを添加し、上記のスターラーを使用して3000rpmで5秒間反応混合物を撹拌し、27cm×14cm×14cmと測定される紙が敷かれたボックス状の鋳型に直ぐに移した。硬化後、様々なサンプルをフォームから切り出し、下記の評価および測定を実施した。フォームは、非常に微細な気泡構造を有していた。底領域の欠陥は存在しなかった。
単位体積当たりの重量:23.5kg/m
ラムダ値(立上がり(rise)方向に平行):25.3mW/m・K
ラムダ値(立上がり方向に垂直):22.7mW/m・K
10%圧縮強さ(立上がり方向に平行):194kPa
10%圧縮強さ(立上がり方向に垂直):52kPa
独立気泡の割合:85.6%
【0101】
比較例19:
実施例29に記述されたフォーム配合物を使用し、12時間貯蔵後に比較例10のポリオール混合物をポリオール成分として使用した。フォーム化によって崩壊現象が生じた。非常に低いグレードの品質のフォーム体が得られた。
【0102】
軟質フォームの試験
【0103】
実施例30
本発明によるポリオール混合物を典型的なポリウレタン高温軟質フォーム配合物において調べた。
【0104】
ポリウレタン高温軟質フォームを調製するための配合物:実施例23のポリオール混合物100重量部、水(化学噴射剤)5.0重量部、TEGOSTAB B 2370 1.0重量部、アミン触媒(トリエチレンジアミン)0.15重量部、スズ触媒(2−エチルヘキサン酸スズ)0.23重量部、塩化メチレン(追加の物理的噴射剤)5.0重量部、イソシアネート(トリレンジイソシアネート、TDI−80)63.04重量部(イソシアネート基とイソシアネート消費(isocyanate-consuming)反応性基との比=1.15)。
【0105】
手順:
ポリオール混合物、水、触媒、および安定化剤を最初にボール紙ビーカーに投入し、スターラーディスクを使用して完全に混合した(1000rpmで45秒)。次いで塩化メチレンを添加し、混合物を1000rpmで10秒間再び混合した。次いでイソシアネート(TDI−80)を添加し、混合物を2500rpmで7秒間再び撹拌した。次いで混合物を30cm×30cm×30cmと測定されるボックスに注いだ。フォーム化中に、立上がりの高さを超音波測高器を使用して測定した。立上がり時間は、フォームがその最大の立上がり高さに達するまで経過した時間を指す。フォールバックは、ポリウレタン高温軟質フォームが排出された後のフォーム表面の沈み込みを指す。これに関して、フォールバックは、排出から3分後に測定する。単位体積当たりの重量をDIN EN ISO 845およびDIN EN ISO 823に従って測定した。気泡の数を3つのポジションに定めながらルーペを使用してカウントし、値を平均した。
【0106】
下記の結果が得られた。
立上がり時間:89秒
立上がり高さ:34cm
フォールバック:0.4cm
単位体積当たりの重量:18.4kg/m
気泡の数:7気泡/cm
【0107】
成型されたフォームの試験:
【0108】
実施例31
下記の配合物を使用した:実施例27に記載されているポリオール混合物100部、TEGOSTAB(登録商標)B 4113 0.5部、水3部、トリエタノールアミン2部、TEGOAMIN(登録商標)33 0.6部、およびジエタノールアミン0.2部、ポリマーMDI(Bayer製44V20)18.5部とTDI(トリレンジイソシアネート、T80)27.7部との混合物。
【0109】
フォームは、イソシアネート以外の成分の全てをビーカー中で混合し、次いでイソシアネートを添加し、これを高速スターラーで素早く撹拌することにより、既知の方法で調製した。次いで、反応混合物を40×40×10cmと測定される立方体の鋳型に投入し、これを40℃の温度に加熱し、塊を10分間放置して硬化させた。次いで、圧縮力を測定した。このために、フォームを10回圧縮して、その高さの50%にした。この場合、最初の測定値(AD 1、単位:ニュートン)がフォームの連続気泡の割合の尺度である。次いで、11回目の測定値(AD 11、単位:ニュートン)において圧縮されたフォームの硬さを決定することができるようにするために、(手作業で)完全に押し下げた。次いで、スキンおよびエッジゾーンを評価し、かつ、気泡の数(ZZ)を決定するために、フォームを切断した。
【0110】
下記の結果が得られた。
AD 1:1180N
AD 11:132N
ZZ:1cm当たり10気泡
スキンおよびエッジゾーンは、「良好」と評価された。これは、工業上の要件に相当するフォーム品質に相当する。
【0111】
フォーム化の結果は、本発明による混合物を使用することによって、ポリオールの混合上の問題による欠陥が全く存在しない良好な品質のPUフォームを調製することが可能になることを示している。本発明による相溶化剤は、フォーム化に対して悪影響を及ぼさない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを、
B.(a)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに保有する少なくとも1種の親水性ポリエーテルと、
(b)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに含む少なくとも1種の疎水性ポリエーテルと、
(c)任意選択によりさらに、少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基および/またはカルボン酸もしくはエポキシド官能基などの他のイソシアネート反応性基を保有する化合物と、
反応させることによって得られる(但し、少なくとも1種のイソシアネートAが二官能性または多官能性であることを条件とする)ウレタン基または尿素基を含有するポリエーテルの、少なくとも2種の非混和性ポリオールを含むポリオール組成物用の相溶化剤としての使用。
【請求項2】
一般式(I)
(R[R[(E)−(P)−R (I)
で表される少なくとも1種のポリエーテルが、成分(a)として使用されることを特徴とする、相溶化剤としての請求項1に記載のウレタン誘導体または尿素誘導体の使用
(式中、Rは、o=1の場合、開始剤のs−官能性非反応性部分であり、
は、互いに独立して、O、NR、NH、またはNであり、
Eは、エトキシ官能基であり、好ましくは−(CH−CH−O)−基であり、
Pは、少なくとも3個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルコキシ官能基であり、
は、H、−C2t−N(R)H、および/または−C2t−NH基からの同一のまたは異なる基であり、
は、1から20個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキルまたはアリール官能基であり、好ましくはメチル、エチル、またはフェニルであり、
oは、0または1であり、
pは、1、2、または3であり、
qは、10から500であり、
rは、0から330であり、
sは、1から10であり、
tは、2から5であり、
但し、q>0.6×(q+r)であることを条件とする)。
【請求項3】
一般式(I)で表される少なくとも1種のポリエーテルであって、
qが0から400であり、
rが10から500であり、
但しq<0.45(q+r)であることを条件とするポリエーテルが、成分(b)として使用されることを特徴とする、相溶化剤としての請求項1または2に記載のウレタン誘導体または尿素誘導体の使用。
【請求項4】
一般式(I)で表される少なくとも1種のポリエーテルであって、
qが15から400であり、
rが1から200であり、
sが2から8であるポリエーテルが、成分(a)として使用されることを特徴とする、相溶化剤としての請求項1または2に記載のウレタン誘導体または尿素誘導体の使用。
【請求項5】
次式
【化3】


で表される少なくとも1種のポリエーテルが、成分(a)として使用されることを特徴とする、相溶化剤としての請求項1または2に記載のウレタン誘導体または尿素誘導体の使用。
【請求項6】
次式
【化4】


で表される少なくとも1種のポリエーテルが、成分(b)として使用されることを特徴とする、相溶化剤としての請求項1または2に記載のウレタン誘導体または尿素誘導体の使用。
【請求項7】
ポリエステルジオールが成分(c)として使用されることを特徴とする、相溶化剤としての請求項1または2に記載のウレタン誘導体または尿素誘導体の使用。
【請求項8】
さらに補助剤および添加剤を含む、請求項1または2に記載の相溶化剤を含むポリオール混合物。
【請求項9】
ポリエステルポリオールおよび植物ベースのポリオールからなり、任意選択によりさらに補助剤および添加剤を含む、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素のフォームを調製するための、請求項1または2に記載の相溶化剤を含むポリオール混合物。
【請求項10】
ポリエチレンオキシド単位の含量が異なる少なくとも2種の非混和性ポリエーテルポリオールからなり、任意選択によりさらに補助剤および添加剤を含む、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素のフォームの調製に使用するための、請求項1または2に記載の相溶化剤を含むポリオール混合物。
【請求項11】
(I)請求項1または2に記載の相溶化剤および任意選択によりさらに補助剤および添加剤を含む、均質ポリオール混合物と、
(II)1種以上のイソシアネートと、
を含む反応性混合物。
【請求項12】
ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素のフォームをポリイソシアネートとの反応において調製するのに好適な相溶化ポリオール混合物。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に記載のポリオール混合物を使用して調製された、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素のフォーム。
【請求項14】
成型マス、塗料、コーティング、フィルム、繊維、およびフォームを調製するための、請求項13に記載のポリウレタンフォームの使用。
【請求項15】
A.少なくとも1種のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを、
B.(a)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに保有する少なくとも1種の親水性ポリエーテルと、
(b)少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基をランダムに含む少なくとも1種の疎水性ポリエーテルと、
(c)任意選択によりさらに、少なくとも1個のOHおよび/またはNHおよび/またはNH官能基、および/またはカルボン酸もしくはエポキシド官能基などの他のイソシアネート反応性基を保有する化合物と、
反応させることによって得られる(但し、少なくとも1種のイソシアネートAが二官能性または多官能性であることを条件とする)ウレタン基または尿素基を含有するポリエーテル。

【公開番号】特開2009−185289(P2009−185289A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−24355(P2009−24355)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】