説明

ポリカーボネート樹脂組成物

【課題】イソソルビド系ポリカーボネートを含有し、加熱処理を施しても着色(黄変)しにくいポリカーボネート樹脂組成物の提供。
【解決手段】下記式(1)


(R〜Rは、水素原子、アルキル基などを表し、RとR、RとRは、互いに結合して環を形成してもよい。)で表される繰り返し単位とビスフェノール系化合物(2)を、式(1)が55mol%以上98mol%以下、(2)が2mol%以上45mol%以下で有するポリカーボネート100質量部、およびフェノール骨格を有する亜リン酸エステル0.001〜1.0質量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関し、より詳しくは、イソソルビド系ポリカーボネートを含有するポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れた樹脂であり、電気・電子部品材料、自動車部品材料、光学部品材料などとして広く使用されている。このようなポリカーボネートは、従来、石油資源から得られる原料を用いて合成されていたが、環境負荷の低減といった観点から、近年、植物由来の原料を用いて合成されたイソソルビド系ポリカーボネートが提案されている。しかしながら、従来のイソソルビド系ポリカーボネートは、耐熱性や熱安定性が十分なものではなかった。
【0003】
そこで、特開2008−274007号公報(特許文献1)、特開2008−274008号公報(特許文献2)、特開2008−291053号公報(特許文献3)、特開2008−291054号公報(特許文献4)、特開2008−274009号公報(特許文献5)、特開2008−291055号公報(特許文献6)、国際公開第2008/133342号(特許文献7)には、耐熱性および熱安定性が良好なイソソルビド系ポリカーボネートが開示されており、さらに、このイソソルビド系ポリカーボネートにヒンダードフェノール系安定剤を添加したり(特許文献1〜4)、リン系熱安定剤とヒンダードフェノール系安定剤とを添加したり(特許文献5〜7)することによって、成形加工時の加熱処理による着色(黄変)や濁りが抑制されることも開示されている。
【0004】
一方、特開2010−37551号公報(特許文献8)には、耐熱性に優れ、剛性と靭性を高水準でバランスよく発現するポリカーボネートとして、イソソルビド系繰り返し単位と芳香族ジオール由来の繰り返し単位とを特定の割合で有するイソソルビド系ポリカーボネートが開示されている。しかしながら、このイソソルビド系ポリカーボネートにおいても、従来のイソソルビド系ポリカーボネートと同様に、成形加工時の加熱処理による着色(黄変)を抑制するという点においては、未だ十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−274007号公報
【特許文献2】特開2008−274008号公報
【特許文献3】特開2008−291053号公報
【特許文献4】特開2008−291054号公報
【特許文献5】特開2008−274009号公報
【特許文献6】特開2008−291055号公報
【特許文献7】国際公開第2008/133342号
【特許文献8】特開2010−37551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、イソソルビド系繰り返し単位と芳香族ジオール由来の繰り返し単位とを特定の割合で有するイソソルビド系ポリカーボネートを含有し、加熱処理を施しても着色(黄変)しにくいポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂組成物に添加される安定剤は、ポリカーボネートの種類が変われば、その添加効果を発現しないものや、大量に添加する必要があるためにポリカーボネートの透明性が損なわれたりするものがあり、ある種のポリカーボネートにおいて着色(黄変)防止などに有効とされている安定剤であっても、目的とするポリカーボネートにおいて、必ずしも有効であるとは限らないことを見出した。そして、本発明者らは、イソソルビド系繰り返し単位と芳香族ジオール由来の繰り返し単位とを特定の割合で有するイソソルビド系ポリカーボネートにおいては、フェノール骨格を有する亜リン酸エステルを添加することによって、加熱処理を施しても着色(黄変)しにくいポリカーボネート樹脂組成物が得られ、さらに、少量の添加量でその効果が十分に発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記式(1):
【0009】
【化1】

【0010】
(式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表し、また、RとR、および/または、RとRは、互いに結合して環を形成してもよい。*は隣接する繰り返し単位との結合部位を表す。)
で表される繰り返し単位と、下記式(2):
【0011】
【化2】

【0012】
(式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表し、また、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。RおよびRは、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表し、mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、*は隣接する繰り返し単位との結合部位を表す。)
で表される繰り返し単位とを、全繰り返し単位100mol%に対して、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が55mol%以上98mol%以下、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が2mol%以上45mol%以下となる割合で有するポリカーボネート、およびフェノール骨格を有する亜リン酸エステルを含有し、
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの含有量が、前記ポリカーボネート100質量部に対して0.001〜1.0質量部であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、前記亜リン酸エステルとしては、下記式(3):
【0014】
【化3】

【0015】
(式(3)中、R〜R12は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13〜R22は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは1〜6の整数であり、R17とR22、R17とR18、R13とR22、R13とR18のうちの少なくとも1組が、互いに結合して、単結合を形成していてもよいし、1〜6個のメチレン基からなる炭化水素鎖を形成していてもよい。)
で表されるものが好ましい。
【0016】
また、このような亜リン酸エステルのうち、下記式(4):
【0017】
【化4】

【0018】
(式(4)中、R〜R12は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13〜R16およびR18〜R21は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは1〜6の整数である。)
で表されるものがより好ましい。
【0019】
さらに、前記亜リン酸エステルの中でも、前記式(4)中のR10、R12、R14、R16、R19、R21が水素原子であり、R、R11、R13、R15、R18、R20が炭素数1〜4のアルキル基であるものが特に好ましく、前記式(4)中のRおよびR11のうちのいずれか一方がメチル基であり、他方がt−ブチル基であり、R13、R15、R18、R20がt−ブチル基であり、nが3であるものが最も好ましい。
【0020】
なお、本発明にかかるフェノール骨格を有する亜リン酸エステルを、本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートに添加することによって、得られるポリカーボネート樹脂組成物が透明なものとなり、また、少量の添加量で、加熱処理による着色(黄変)が発生しにくいものとなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかる亜リン酸エステルは、1分子中にフェノール骨格と亜リン酸骨格とを備えているため、フェノール骨格を有しないリン系安定剤やヒンダードフェノール系安定剤に比べて溶解度パラメータ(SP値)が大きくなり、SP値が大きい本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネート(SP=24.5(Fedorの推算法により算出。以下、同じ。))に対して良好な相溶性を示すと推察される。その結果、本発明にかかる亜リン酸エステルは、本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネート中に高度に分散し、混合時や長期使用時に亜リン酸エステルのブリードなどによる白濁が起こりにくくなり、透明なポリカーボネート樹脂組成物が得られると推察される。また、フェノール骨格を有する亜リン酸エステルが高度に分散しているため、その添加効果がポリカーボネート樹脂組成物全体にわたって均一に発現し、フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの添加量が少なくても加熱処理による着色(黄変)を抑制することが可能となると推察される。
【0021】
一方、フェノール骨格を有しないリン系安定剤やヒンダードフェノール系安定剤は、SP値が小さいため、SP値が小さい従来の石油由来のポリカーボネート(SP=14.3)に対しては良好な相溶性を示し、ポリカーボネート樹脂組成物は透明なものとなる。しかしながら、SP値が大きい本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートに対しては相溶性が低く、分散性が低下するため、混合時や長期使用時に亜リン酸エステルのブリードなどが発生して白濁し、ポリカーボネート樹脂組成物の透明性が低下すると推察される。また、安定剤の分散性が低いため、少量の添加では、その添加効果がポリカーボネート樹脂組成物中で均一に発現せず、加熱処理による着色(黄変)が十分に抑制されないと推察される。そして、これを補うために添加量を増加させるとポリカーボネート樹脂組成物の透明性がさらに低下するという悪循環が生じる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、イソソルビド系繰り返し単位と芳香族ジオール由来の繰り返し単位とを特定の割合で有するイソソルビド系ポリカーボネートに、フェノール骨格を有する亜リン酸エステルを少量添加することによって、加熱処理を施しても着色(黄変)しにくいポリカーボネート樹脂組成物を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0024】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記式(1):
【0025】
【化5】

【0026】
で表される繰り返し単位と、下記式(2):
【0027】
【化6】

【0028】
で表される繰り返し単位とを、特定の割合で有するポリカーボネート、およびフェノール骨格を有する亜リン酸エステルを含有するものである。
【0029】
<ポリカーボネート>
先ず、本発明に用いられるポリカーボネートについて説明する。本発明に用いられるポリカーボネートは、前記式(1)で表される繰り返し単位と前記式(2)で表される繰り返し単位とを特定の割合で含有するイソソルビド系ポリカーボネートである。
【0030】
前記式(1)で表される繰り返し単位において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表す。前記アルキル基の炭素数は通常1〜18であり、好ましくは1〜6である。前記シクロアルキル基の炭素数は通常3〜8であり、好ましくは3〜6である。前記アルケニル基の炭素数は通常2〜12であり、好ましくは2〜6である。前記アリール基の炭素数は通常6〜18であり、好ましくは6〜12である。なお、前記式(1)中の*は隣接する繰り返し単位との結合部位を表す。
【0031】
このような繰り返し単位のうち、剛直な構造と剛性に優れるという観点から、後述するイソソルビドまたはその誘導体と炭酸ジエステルとを反応させることによって形成される下記式(1a):
【0032】
【化7】

【0033】
で表される繰り返し単位が好ましい。なお、前記式(1a)中の*は前記式(1)中の*と同義である。
【0034】
また、前記式(1)において、「RとR」および/または「RとR」は互いに結合して環を形成してもよい。このような環としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が挙げられる。これらのシクロアルキル基およびシクロアルケニル基の炭素数は通常3〜12であり、好ましくは3〜6である。
【0035】
本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートにおいて、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位100mol%に対して55mol%以上98mol%以下である。前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が前記下限未満になるとガラス転移温度や貯蔵弾性率が低下する傾向にあり、また、剛性が低下しすぎる傾向にある。他方、前記上限を超えるとイソソルビド系ポリカーボネートの熱分解温度が上昇せずに耐熱性が向上しない傾向にあり、また、十分に靭性が付与されない傾向にある。さらに、このような観点から前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率は70mol%以上98mol%以下であることが好ましく、80mol%以上98mol%以下であることがより好ましい。
【0036】
前記式(2)で表される繰り返し単位において、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表す。前記アルキル基の炭素数は通常1〜18であり、好ましくは1〜6である。前記シクロアルキル基の炭素数は通常3〜8であり、好ましくは3〜6である。前記アルケニル基の炭素数は通常2〜12であり、好ましくは2〜6である。前記アリール基の炭素数は通常6〜18であり、好ましくは6〜12である。
【0037】
また、前記式(2)において、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。このような環としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が挙げられる。これらのシクロアルキル基およびシクロアルケニル基の炭素数は通常3〜12であり、好ましくは3〜6である。
【0038】
前記式(2)中のRおよびRは、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表す。前記アルキル基の炭素数は通常1〜18であり、好ましくは1〜12である。前記アルケニル基の炭素数は通常2〜12であり、好ましくは2〜6である。前記アリール基の炭素数は通常6〜18であり、好ましくは6〜12である。
【0039】
前記式(2)において、mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。また、前記式(2)中の*は隣接する繰り返し単位との結合部位を表す。
【0040】
このような繰り返し単位のうち、熱分解温度が上昇し、耐熱性が向上するという観点から、後述するビスフェノールまたはその誘導体と炭酸ジエステルとを反応させることによって形成される下記式(2a)〜(2b):
【0041】
【化8】

【0042】
で表される繰り返し単位が好ましい。なお、前記(2a)〜(2b)中のR〜Rおよび*は前記式(2)中のR〜Rおよび*と同義である。
【0043】
本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートにおいて、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位100mol%に対して2mol%以上45mol%以下である。前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が前記下限未満になるとイソソルビド系ポリカーボネートの熱分解温度が上昇せずに耐熱性が向上しない傾向にあり、また、十分に靭性が付与されない傾向にある。他方、前記上限を超えるとガラス転移温度や貯蔵弾性率が低下する傾向にあり、また、剛性が低下しすぎる傾向にある。さらに、このような観点から前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率は2mol%以上30mol%以下であることが好ましく、2mol%以上20mol%以下であることがより好ましい。
【0044】
また、本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートにおいては、前記式(1)で表される繰り返し単位と前記式(2)で表される繰り返し単位が、ポリマー鎖中にランダムに配置されていることが好ましい。これにより、ビスフェノール骨格またはその誘導体骨格による靱性とイソソルビド骨格またはその誘導体骨格による剛性とがバランスよく高水準で発現される。
【0045】
さらに、このようなイソソルビド系ポリカーボネートにおいては、ガラス転移温度が160℃以上であることが好ましい。なお、ガラス転移温度の上限は特に制限はないが、170℃以下が好ましい。また、前記イソソルビド系ポリカーボネートは耐熱性に優れたものであり、例えば、熱分解温度は300℃以上であることが好ましく、305℃以上であることがより好ましい。さらに、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した標準ポリスチレン換算の数平均分子量は2万以上であることが好ましく、2.5万以上であることがより好ましい。
【0046】
本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートは、例えば、特開2010−37551号公報に記載されているように、融点が140℃以下の含窒素環状化合物の存在下で、イソソルビド系化合物とビスフェノール系化合物と炭酸ジエステルとを所定の割合で溶融して重合させることによって製造することができる。
【0047】
<亜リン酸エステル>
本発明に用いられる亜リン酸エステルは、フェノール骨格を有するものである。このような亜リン酸エステルの融点としては特に制限はないが、本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートと溶融混練する場合を考慮すると、このイソソルビド系ポリカーボネートの溶融混練温度以下、例えば、250℃以下が好ましい。
【0048】
本発明にかかる亜リン酸エステルにおいて、1分子中のフェノール骨格および亜リン酸骨格[(−O)P]の数としては、それぞれ4以下が好ましく、2以下がより好ましい。フェノール骨格または亜リン酸骨格の数が前記上限を超えると亜リン酸エステルの分子量が大きくなり、融点が高くなるため、本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートとの溶融混練が困難となる傾向にある。
【0049】
また、本発明にかかる亜リン酸エステルにおいては、亜リン酸骨格の酸素原子とフェノール骨格中の芳香族環の炭素原子とが直接結合していないことが好ましい。前記酸素原子と前記炭素原子が直接結合していると、本発明にかかる亜リン酸エステルを添加してもその効果が十分に発現しない傾向にある。なお、前記酸素原子と前記炭素原子が直接結合している亜リン酸エステルとしては、下記式で表されるものが挙げられる。
【0050】
【化9】

【0051】
さらに、本発明にかかる亜リン酸エステルにおいては、その添加効果が十分に発現するという観点から、フェノール骨格と亜リン酸骨格とが、1個以上(より好ましくは1〜6個)のメチレン基を介して結合していることが好ましく、下記式(3):
【0052】
【化10】

【0053】
で表される亜リン酸エステルがより好ましく、下記式(4):
【0054】
【化11】

【0055】
で表される亜リン酸エステルがさらに好ましい。
【0056】
前記式(3)および(4)において、R〜R12は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、メチルブチル基、ジメチルプロピル基、エチルプロピル基、n−ヘキシル基、メチルペンチル基、ジメチルブチル基、エチルブチル基、メチルエチルプロピル基などが挙げられる。このようなアルキル基および水素原子のうち、R〜R12としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基および水素原子が好ましく、メチル基、t−ブチル基および水素原子がより好ましい。また、本発明にかかる亜リン酸エステルにおいては、加熱処理による着色(黄変)がより抑制できるという観点から、前記式(3)および(4)中のRおよびR11は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
【0057】
また、前記式(3)および(4)において、R13〜R22は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。前記アルキル基としては、R〜R12において例示したものが挙げられる。このようなアルキル基および水素原子のうち、R13〜R22としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基および水素原子が好ましく、t−ブチル基および水素原子がより好ましい。また、前記式(3)においては、R17とR22、R17とR18、R13とR22、R13とR18のうちの少なくとも1組が、互いに結合して、単結合を形成していてもよいし、1〜6個のメチレン基からなる炭化水素鎖を形成していてもよい。本発明にかかる亜リン酸エステルの熱安定性、化学的安定性の観点から、前記式(3)および(4)中のR15およびR20、前記式(4)中のR13およびR18は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、前記式(3)中のR13、R17、R18、R22は、炭素数1〜6のアルキル基であるか、あるいは前記単結合を形成していることが好ましい。
【0058】
さらに、前記式(3)および(4)において、nは1〜6の整数である。nが0の場合には、上述したフェノール骨格と亜リン酸骨格とが直接結合している場合に相当し、前記式(3)または(4)で表される亜リン酸エステルを添加してもその効果が十分に発現しない傾向にある。他方、nの値が大きくなる、すなわち、メチレン基の数が多くなるにつれて、前記式(3)または(4)で表される亜リン酸エステルの添加効果が発現しやすくなる傾向にあるが、nが7以上になると、メチレン基の数が多くなることによる効果が得られず、n=6の場合とほぼ同等の効果となる傾向にある。したがって、同様の観点から、nとしては2〜4が好ましく、3が特に好ましい。
【0059】
このようなフェノール骨格を有する亜リン酸エステルのうち、その添加効果がさらに発現しやすくなるという観点から、前記式(4)中のR10、R12、R14、R16、R19、R21が水素原子であり、R、R11、R13、R15、R18、R20が炭素数1〜4のアルキル基である亜リン酸エステル、すなわち、下記式(5):
【0060】
【化12】

【0061】
(前記式(5)中、R、R11、R13、R15、R18、R20は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜6の整数である。)
で表される亜リン酸エステルが特に好ましく、前記式(4)中のR10、R12、R14、R16、R19、R21が水素原子であり、RおよびR11のうちのいずれか一方がメチル基であり、他方がt−ブチル基であり、R13、R15、R18、R20がt−ブチル基であり、nが3である亜リン酸エステル、すなわち、下記式(6):
【0062】
【化13】

【0063】
で表される亜リン酸エステルが最も好ましい。
【0064】
<ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形体>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記イソソルビド系ポリカーボネートと前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルとを含有するものであり、前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの含有量は、前記イソソルビド系ポリカーボネート100質量部に対して、0.001〜1質量部である。前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの含有量が前記下限未満になると、その添加効果が十分に発現せず、他方、前記上限を超える量を添加してもそれ以上の添加効果が得られない。また、上述したように、本発明にかかる亜リン酸エステルの添加量が少量でも十分な添加効果を発現できるという観点から、その含有量としては、前記イソソルビド系ポリカーボネート100質量部に対して、0.001〜0.5質量部がより好ましく、0.001〜0.3質量部が特に好ましい。これにより、前記イソソルビド系ポリカーボネートと前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルとの相溶性がより十分に確保でき、ポリカーボネート樹脂組成物の透明性もより十分に確保できる。
【0065】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などの公知の添加剤を添加してもよい。
【0066】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法、すなわち、本発明にかかるイソソルビド系ポリカーボネートと本発明にかかる亜リン酸エステルとの混合方法としては特に制限はなく、押出機、ミキサー、成形機の溶融ゾーンなどを用いた溶融混練;有機溶媒に溶解して均一に混合した後、溶媒を除去する方法など、公知の方法を採用することができる。
【0067】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法としては特に制限はなく、射出成形、プレス成形、押出成形、紡糸、インサート成形、二色成形など、高分子材料を成形する際に用いられる一般的な成形方法を採用することができる。
【0068】
このようにして得られるポリカーボネート樹脂成形体は、無色透明であり、樹脂ガラス、ランプカバーなどの透明部品、光導波路用材料、光ケーブル、光通信用ケーブルなどの透明性が求められる用途に用いられることは当然であるが、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に顔料や染料などを添加することによって所望の色に着色することができ、不透明性が必要な用途においても有用である。このような不透明性を必要とする用途としては、自動車用部品(インストルメントパネル、カーペット、天井用材料などの内装用部品、バンパ、外板などの外装部品)、飲料用容器、電化製品の筐体、カーペット、洋服などのための繊維、樹脂ネジ、樹脂ナット、電子基盤、各種フィルムなどが挙げられる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いたイソソルビド系ポリカーボネートの合成方法を以下に示す。
【0070】
(合成例)
減圧装置と攪拌装置とを備えるガラス容器に、イソソルビド(Aldrich社製)60.0g(410.57mmol)、ビスフェノールA(和光純薬工業(株)製)4.69g(20.53mmol)および炭酸ジフェニル(東京化成工業(株)製)92.54g(432.0mmol)を仕込んだ。これに、触媒として4−ジメチルアミノピリジン(融点:108〜110℃。以下、「DMAP」と略す。)7.0mgを添加した。
【0071】
窒素ガスを20ml/分でガラス容器内に供給し、攪拌しながらオイルバスを用いてガラス容器内の温度を120℃まで上昇させた後、5分間保持した。その後、ガラス容器内の温度を160℃まで上昇させた後、5分間保持した。さらに、ガラス容器内の温度を180℃まで上昇させたところ、フェノールが発生したため、ガラス容器内を0.1Torrまで減圧して前記フェノールを溜去しながら、この状態を30分間保持した。次いで、ガラス容器内の温度を200℃まで上昇させ、窒素ガスの供給を停止した後、20分間保持した。その後、ガラス容器内の温度を230℃まで徐々に上昇させた後、230℃〜240℃で5時間保持して溶融重合を実施し、ポリカーボネートを合成した。反応終了後、ガラス容器内を室温まで冷却した。
【0072】
次に、得られた粗ポリカーボネートをクロロホルムに溶解し、この溶液にメタノールを添加してポリカーボネートを沈殿させた。この溶解・沈殿処理を合計2回繰り返してポリカーボネートを精製した。精製したポリカーボネートを110℃で12時間真空乾燥し、イソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が95mol%のイソソルビド系ポリカーボネートを得た。
【0073】
このイソソルビド系ポリカーボネートの物性を下記の測定方法に従って測定した。
【0074】
<分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ((株)昭和通商製「Shodex GPC−101」)を用い、下記条件でポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
カラム:昭和電工(株)製「K−805L」
溶媒:クロロホルム
流量:1.0ml/分
標準物質:標準ポリスチレン
その結果、数平均分子量(Mn)は25,000、重量平均分子量(Mw)は48,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
【0075】
<ガラス転移温度>
ポリカーボネート約5.0mgを秤量し、示差走査熱量計(TA Instrument社製「DSC Q1000」)を用いて温度範囲25〜250℃、昇温速度10℃/分の条件でポリカーボネートのガラス転移温度を測定した。その結果。ガラス転移温度(Tg)は169℃であった。
【0076】
<熱分解温度>
ポリカーボネート約7.0mgを秤量し、熱分析装置(理学電機(株)製「Thermoplus TG8120」)を用いて温度範囲25〜500℃、昇温速度10℃/分の条件でポリカーボネートの熱重量変化を測定した。ポリカーボネートの質量が5%減少した時点の温度を熱分解温度とした。その結果、熱分解温度(Td)は318℃であった。
【0077】
(実施例1〜4)
前記合成例で得られたイソソルビド系ポリカーボネート1gと、下記式(6):
【0078】
【化14】

【0079】
で表されるフェノール骨格を有する亜リン酸エステル(住友化学(株)製「Sumilizer GP」)0.0050g、0.0020g、0.0010gまたは0.0001gとを、クロロホルム30mlに溶解した後、減圧下でクロロホルムを除去してポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0080】
(比較例1〜2)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、下記式:
【0081】
【化15】

【0082】
で表されるフェノール骨格を有するアクリル酸エステル(住友化学(株)製「Sumilizer GS」)0.0050gまたは0.0025gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0083】
(比較例3〜4)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、下記式:
【0084】
【化16】

【0085】
で表されるフェノール骨格を有するアミド(BASF社製「Irganox 1098」)0.0050gまたは0.0020gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0086】
(比較例5〜6)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、下記式:
【0087】
【化17】

【0088】
で表されるフェノール骨格を有するプロピオン酸エステル(BASF社製「Irganox 245」)0.0050gまたは0.0023gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0089】
(比較例7〜8)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、下記式:
【0090】
【化18】

【0091】
で表されるフェノール骨格を有するプロピオン酸エステル(BASF社製「Irganox 259」)0.010gまたは0.0025gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0092】
(比較例9)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、下記式:
【0093】
【化19】

【0094】
で表されるフェノール骨格を有するプロピオン酸エステル(BASF社製「Irganox 1010」)0.0050gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0095】
(比較例10〜11)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、下記式:
【0096】
【化20】

【0097】
で表されるフェノール骨格を有するベンゾトリアゾール(城北化学工業(株)製「JF−832」)0.010gまたは0.0050gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0098】
(比較例12)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、トリデシルホスファイト(化学式:(C1021O)P、城北化学工業(株)製「JP−310」)0.010gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0099】
(比較例13)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、下記式:
【0100】
【化21】

【0101】
で表されるジデシルペンタエリスリトールジホスファイト(城北化学工業(株)製「JPE−10」)0.0050gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0102】
(比較例14)
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの代わりに、下記式:
【0103】
【化22】

【0104】
で表されるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(城北化学工業(株)製「JP−650」)0.0050gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
【0105】
<相溶性>
実施例および比較例で得られたポリカーボネート樹脂組成物を目視により観察し、白濁が認められなかったものを「A」、白濁が認められたものを「B」と判定した。その結果を表1に示す。
【0106】
<黄変度>
前記合成例で得られたイソソルビド系ポリカーボネートを加熱せずにフィルム状にしたものを白色塗板上に置き、高速分光光度計((株)村上色彩技術研究所製「CMS−35SP」)を用いて三刺激値(X、Y、Z)を測定し、下記式を用いて白色塗板上のイソソルビド系ポリカーボネートの黄色度を求めた。
黄色度=100×(1.28X−1.06Z)/Y
次に、実施例および比較例で得られたポリカーボネート樹脂組成物に、加熱プレス機を用いて、空気中、250℃で10分間加熱処理を施した。加熱処理後の試験片を白色塗板上に置き、前記高速分光光度計を用いて三刺激値(X、Y、Z)を測定し、前記式を用いて白色塗板上の試験片の黄色度を求めた。これらの黄色度の差(試験片−イソソルビド系ポリカーボネートフィルム)を黄変度とした。その結果を表1に示す。なお、表1には、参考例として、イソソルビド系ポリカーボネートのみを空気中、250℃で10分間加熱処理を施して作製した試験片の黄変度も示した。
【0107】
【表1】

【0108】
表1に示した結果から明らかなように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物(実施例1〜4)は、良好な相溶性を有するものであり、また、イソソルビド系ポリカーボネートのみに加熱処理を施した場合(参考例)に比べて黄変度が小さいものであることが確認された。特に、フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの添加量が少量の場合(実施例2〜4)でも、良好な相溶性を有し、イソソルビド系ポリカーボネートのみに加熱処理を施した場合(参考例)に比べて黄変度が小さくなることがわかった。
【0109】
一方、フェノール骨格を有するアクリル酸エステル(比較例1〜2)またはフェノール骨格を有するアミド(比較例3〜4)を含有するポリカーボネート樹脂組成物は、フェノール骨格を有するアクリル酸エステルまたはフェノール骨格を有するアミドの添加量が比較的多い場合(比較例1、3)には、良好な相溶性を有し、イソソルビド系ポリカーボネートのみに加熱処理を施した場合(参考例)に比べて黄変度が小さいものであったが、黄変度については、本発明のポリカーボネート樹脂組成物(実施例1〜4)よりも大きいものであった。また、フェノール骨格を有するアクリル酸エステルまたはフェノール骨格を有するアミドの添加量が少なくなると(比較例2、4)、黄変度が非常に大きくなった。
【0110】
また、フェノール骨格を有するプロピオン酸エステル(比較例5〜9)またはフェノール骨格を有するベンゾトリアゾール(比較例10〜11)を含有するポリカーボネート樹脂組成物は、フェノール骨格を有するプロピオン酸エステルまたはフェノール骨格を有するベンゾトリアゾールの添加量が多くても(比較例5、7、9、10〜11)、本発明のポリカーボネート樹脂組成物(実施例1〜4)に比べて、黄変度が大きいものであった。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明したように、本発明によれば、イソソルビド系繰り返し単位と芳香族ジオール由来の繰り返し単位とを特定の割合で有するイソソルビド系ポリカーボネートを含有し、加熱処理を施しても着色(黄変)しにくいポリカーボネート樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0112】
したがって、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形体は無色透明であり、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は透明性が求められる成形体の材料として有用であり、さらに、成形体を所望の色に着色することが可能であるため、不透明性が求められる成形体の材料としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】

(式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表し、また、RとR、および/または、RとRは、互いに結合して環を形成してもよい。*は隣接する繰り返し単位との結合部位を表す。)
で表される繰り返し単位と、下記式(2):
【化2】

(式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表し、また、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。RおよびRは、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基およびアリール基のうちのいずれか1つを表し、mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、*は隣接する繰り返し単位との結合部位を表す。)
で表される繰り返し単位とを、全繰り返し単位100mol%に対して、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が55mol%以上98mol%以下、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が2mol%以上45mol%以下となる割合で有するポリカーボネート、およびフェノール骨格を有する亜リン酸エステルを含有し、
前記フェノール骨格を有する亜リン酸エステルの含有量が、前記ポリカーボネート100質量部に対して0.001〜1.0質量部であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
前記亜リン酸エステルが、下記式(3):
【化3】

(式(3)中、R〜R12は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13〜R22は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは1〜6の整数であり、R17とR22、R17とR18、R13とR22、R13とR18のうちの少なくとも1組が、互いに結合して、単結合を形成していてもよいし、1〜6個のメチレン基からなる炭化水素鎖を形成していてもよい。)
で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
前記亜リン酸エステルが、下記式(4):
【化4】

(式(4)中、R〜R12は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13〜R16およびR18〜R21は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは1〜6の整数である。)
で表されるものであることを特徴とする請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
前記式(4)中のR10、R12、R14、R16、R19、R21が水素原子であり、R、R11、R13、R15、R18、R20が炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする請求項3に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
前記式(4)中のRおよびR11のうちのいずれか一方がメチル基であり、他方がt−ブチル基であり、R13、R15、R18、R20がt−ブチル基であり、nが3であることを特徴とする請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−131858(P2012−131858A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283048(P2010−283048)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】