説明

ポリシアル酸誘導体

ポリシアル酸化合物は、ヘテロ二官能性試薬と反応し、スルフヒドリル基に対する部位特異的な結合のための側鎖官能基を導入する(例えば、薬物、ドラッグデリバリーシステム、タンパク質またはペプチド中のシステインユニットの側鎖)。該官能基は、例えば、N−マレイミド基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物、タンパク質及びペプチドとのコンジュゲーションに有用なポリシアル酸誘導体、または、スルフヒドリル基を有するリポソームのようなドラッグデリバリーシステム、並びに、該誘導体、複合体並びに新規な合成中間体の合成のための複合化プロダクトプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
脈管系内または脈管外での使用のいずれかにおける薬物の延長された存在は、多くの場合、それらの最適の使用のための前提条件である。例えば、様々な治療ペプチド及びタンパク質、並びにリポソームと同様に、多くの抗生物質及び細胞増殖抑制剤は、循環から、時期尚早に及び標的組織における有効濃度が得られる前に除去される。多くの短命なタンパク質(例えば酵素、サイトカイン等)の半減期は、これらを低分子量ポリ(エチレングリコール)に結合させることにより増大される。PEG分子は、タンパク質と粒子の表面周囲にクラウド(cloud)を形成し、それによってそれらのクリアランス(clearance)の原因である因子との相互作用を立体的に妨害することにより、それらの循環時間を延長すると思われる。しかしながら、PEGは、非生物分解性であり、PEG化されたタンパク質の細胞内への蓄積は、特に長期にわたる使用において不適当かもしれない(Bendele, A., Seely, J., Richey, C., Sennello, G., Shopp, G., Renal tubular vacuolation in animals treated with polyethylene-glycol conjugated proteins, Toxicological sciences, 42 (1998) 152-157; Convers, C. D. , Lejeune, L. , Shum, K. , Gilbert, C. , Shorr, R.G.L, Physiological effect of polyethylene glycol conjugation on stroma-free bovine hemoglobin in the conscious dog after partial exchange transfusion, Artificial organ, 21 (1997) 369-378)。
【0003】
我々は、タンパク質と結合してそれらの半減期を増大させ、それらの免疫原性/抗原性を減少させる、または、様々なタンパク質の安定性を増大させる、2→8及び/または2→9(例えば、交互に2→8及び2→9)結合したシアル酸ユニットを含むポリサッカライドの複合化について記載した。WO92/22331において、ポリシアル酸はモデル薬物と反応させられ、マウスの循環中において半減期を延長することが示されている。Gregoriadisらは、アスパラギナーゼ及びカタラーゼに対するポリシアル酸の結合について記述し、酵素活性が保たれている一方で、循環からのクリアランス速度が減少することを示した(Cell. Mol. Life Sci. 57 (2000) 1964 to 1969 and in Biotechnol. Genet. Eng. Rev. 16 (1999) 203 to 215)。さらに、我々は、インシュリンをポリシアリル化し(Biochim. Biophys. Acta 1622 (2003) 42-49)、それが活性であることを示した。さらに、我々は、インターフェロンをポリシアリル化した(AAPS Annual meeting 2002, Toronto, Canada, M1056)。さらに、我々は、抗体フラグメントFabをポリシアリル化した(Epenetos, A. et al., Proceedings of ASCO (Clinical Pharmacy) 21 (2002) 2186)。
【0004】
これらすべての刊行物において、ポリシアル酸は、7,8−ビシナルジオール部分を過ヨウ素酸ナトリウムで酸化して非還元性末端にアルデヒド基を生成することにより、反応性にされる。その後、アルデヒド基は、一般にタンパク質のリシン部分のイプシロンアミノ基またはN−末端アミン基であると推測される、タンパク質上の第一級アミン基と反応させられた。該反応は、シアノボロヒドリドによって第2級アミンに還元される、シッフ塩基を形成する。
【0005】
WO−A−01/87922において、我々は、誘導体化の増大したレベルを達成するために、変性剤の存在下で、他の分子を用いた誘導体化を実施することができることをさらに提案する。他の誘導体化剤の例は、ポリエチレングリコール化合物である。トレシル(tresyl)−PEG及びPEGのスクシンイミジルスクシナートエステルのような活性化されたPEG化合物は、言及された。実施例では、アミン基と反応すると考えられている、スクシンイミジルスクシナート活性化PEGを用いた。
【0006】
チオール基にカップリングするために官能基を持っているPEG誘導体は市販されている。該官能基はマレイミド、ビニルスルホン、ヨードアセトアミドまたはオルトピリジルジスルフィド基であり得る。これらの試薬はシステインと特異的に反応するため、そしてタンパク質はその表面にリシン基よりも少ないシステインを有するため、誘導体化はより制御しやすい。さらに、天然タンパク質中に遊離システインがない場合、1以上の遊離システインを遺伝子工学によって加え得る。このアプローチの利点は、生物学的活性の損失を最小限にする、タンパク質上の領域における部位特異的な誘導体化を可能にすることである。
【0007】
PEG化されたタンパク質は、血液循環中における複合体の滞留時間(residence time)にも影響を及ぼすことができる抗PEG抗体を生じることが見出された(Cheng T, Wu, M., Wu,P., Chern, J, Roffer, SR., Accelerated clearance of polyethylene glycol modified proteins by anti-polyethylene glycol IgM. Bioconjugate chemistry, 10 (1999) 520-528)。治療剤(therapeutics)に結合し、非経口投与されるポリマーとしてのPEGの確立した歴史にもかかわらず、その免疫毒性学、薬理学及び代謝についてのよりよい理解が求められるだろう(Hunter, A. C, Moghimi, S. M., Therapeutic synthetic polymers: a game of Russian Roulette. Drug Discovery Today, 7 (2002) 998-1001; Brocchini, S., Polymers in medicine: a game of chess. Drug Discovery Today, 8, (2003) 111-112)。
【0008】
ポリシアル酸による修飾のためには、チオール(スルフヒドリル)基が標的とされるのが有用だろう。また、シアル酸による誘導体化の効率を増大させるためには、大過剰の活性化ポリシアル酸を要求する、上述の我々の先行技術に記載された方法も望ましいだろう。さらに、シアノボロヒドリドの使用を回避することも望ましいだろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、N−マレイミド基、ビニルスルホン基、N−ヨードアセトアミド基及びオルトピリジルジスルフィド基から選択される官能基を含む1または各末端ユニットで結合した部分を有するポリシアル酸を含む新規な化合物が提供される。
【0010】
該部分が結合する末端ユニットは、ポリシアル酸の非還元性末端またはポリシアル酸の還元性末端であり得る。通常、マレイミド基含有試薬が結合し得る有用な官能基を生成するため、末端シアル酸ユニットは予備化学反応に供される。我々は、マレイミド部分が結合し得る官能基を生成するための予備ステップとしてアルデヒド基が生成される、我々の以前の刊行物で開示された化学物質(chemistry)を使用することが好都合であることを見出した。
【0011】
上述の我々の以前の刊行物において、それは、7位炭素のアルデヒド化合物(carbon 7-aldehyde compound)を形成するために、7,8−ビシナルジオール部分を過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することによりアルデヒド部分に変換される、非還元性末端ユニットである。これは、本発明のために適切な反応である。
【0012】
代替として、還元性末端ユニットにおいてアルデヒド部分を提供することは可能である。この場合、予備酸化及び還元ステップによって、非還元性末端が非活性化される予備ステップを実施するのが好ましい(しかし必須ではない)。最初の還元ステップは、還元性末端のケタールユニットを、ビシナルジオールを有する還元された開環形態に変換する。ビシナルジオールは続いて、以前に還元性末端ユニットの7−炭素を形成していた炭素原子においてアルデヒド部分を形成するために、過ヨウ素酸ナトリウムを用いて酸化される。非還元性末端グリコシル(通常、シアル酸)が予備酸化ステップによって非活性化されない場合、該末端ユニットは同時に活性化されるだろう。
【0013】
本発明において、官能基を含む部分は、ポリシアル酸ユニットに直接結合され得、または、さらに都合よくは、アルカンジイル基、アリーレン基またはオリゴ(アルキレンオキシ)アルカン基のような二官能性有機基あるいはオリゴぺプチジル基を介して結合され得る。ポリシアル酸への結合(リンカーまたは官能基を含む部分からの)は、第2級アミン、ヒドラゾン、アルキルヒドラジン、エステルまたはぺプチジル基であり得る。該部分は、ヘテロ二官能性試薬とのポリシアル酸基質の反応によって生成され得る。該方法は、本発明のさらなる側面を形成する。
【0014】
選択された官能基を導入するのに有用な試薬は市販されている。いかなる追加のリンカー部分も導入することなく、アミン部分上にマレイミド基を導入するであろう化合物は、N−メトキシカルボニルマレイミドである。一般に、試薬は、上述のアルデヒド基またはアミン基であり得るポリシアル酸上の基との反応のための第2官能基を含む。好適な第2官能基は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル及びそれらのスルホスクシミド(sulfosuccimide)類似体並びにヒドラジドを含む。好ましくは、該化合物は、N−マレイミドアルカン酸ヒドラジドまたはN−マレイミドアリールアルカン酸ヒドラジド、即ち、一般式
X−R−Y
を有する化合物であり、ここで:
Xは、N−マレイミド、N−ヨードアセトアミド、S−ビニルスルホニルまたはS−オルトピリジルジスルフィド基であり、
Rは、アルカンジイル、アリーレンまたはアラルキレンアルカリーレン(aralkylene alkarylene)、アルキレンオキサアルキレン、あるいは、アルキレンオリゴオキサアルキレンまたはアルキルオリゴぺプチジルアルキル基であり、
そして
Yは、ヒドラジド、アミンまたはN−ヒドロキシスクシンイミド基である。
【0015】
好ましくは、RはC1−6アルカンジイル、C2−3アルキルオキサC2−3アルキレン、C2−3アルキルオリゴ(オキサC2−3アルキレン)、またはC2−6アルキレンフェニル基である。
【0016】
好ましくは、XはN−マレイミドまたはオルトピリジルジスルフィドである。
【0017】
好ましくは、Yはヒドラジドまたはヒドロキシルスクシンイミドである。
【0018】
アルデヒド基と反応し得、リンカー部分を含みマレイミド基を導入する化合物は、
N−[β−マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド及び4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジドを含む。該ヒドラジド基はアルデヒドと反応し、安定なヒドラゾン基を形成する。オリゴ(エチレンオキシ)エチレン基を含む好適なヘテロ二官能性化合物は、1つの末端にN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基を有し、他の末端に官能基を有する、ポリエチレングリコール(ポリ(エチレンオキシ))基を含む化合物である。NHS基はアミン基と反応し、安定したアミド結合を形成する。1つの末端にNHSを有し、他の末端にビニルスルホンまたはマレイミドのいずれかを有するヘテロ二官能性ポリエチレングリコールは入手可能である。ヘテロ二官能性試薬の他の例は、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、N−スクシンイミジル−3−[2−ピリジルジチオ]プロピオナート、スクシンイミジル−H―[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシラート、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−スクシンイミジル−[4−ヨードアセチル]アミノベンゾアート、N−[ガンマ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステル、N−[イプシロン−マレイミドカプロイルオキシ]スクシンイミドエステル及びN−スクシンイミジルヨードアセタートを含む。他の試薬は、Pierce Biotechnology及びShearwater Corporation(ポリエチレングリコールに基づく)から入手可能である。
【0019】
シアル酸(ノヌロソン酸(nonulosonic acid)としても知られている)は、9以上の炭素原子を含むアミノ含有糖類のメンバーである。最も重要なシアル酸は、下記の式:
【0020】
【化1】

【0021】
を有するN−アセチルノイラミン酸(5−(アセチルアミノ)−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクト−ノヌロソン酸、ラクタミン酸及びO−シアル酸としても知られている)である。
【0022】
ポリシアル酸は、2→8及び/または2→9結合し得、通常α配置である。いくつかのポリシアル酸において、結合は、2→8及び2→9交互である。本発明は、シアル酸ユニットの他にグリコシルユニットを含むヘテロ多量体である(heteropolymeric)ポリサッカライドにも有用である。
【0023】
ポリシアル酸は通常非毒性であり、実質的に非免疫原性であることが見出されている。また、生分解ユニットであるシアル酸は毒性であるとは知れておらず、実際、シアル酸は血液細胞及び循環タンパク質(circulating proteins)を含む動物のタンパク質及び細胞中に広く見出すことができる。
【0024】
多数のシアル酸ユニットを含むポリサッカライド化合物は、Escherichia coli、Moraxella nonliquifaciens、Pasteurella aeroginosis及びNeisseria meningitidisによって産生されるポリサッカライドまたはその誘導体である。例えば、E.coli Klから(加水分解し鎖長を短縮することによって)得られるコロミン酸はα2→8結合シアル酸ユニットを含む。E.coli K92株由来のポリサッカライドは、交互に2→8及び2→9結合したシアル酸ユニットを含む。N.メニンギティディスグループCのポリサッカライドCは2→9結合したシアル酸ユニットを有する。
【0025】
本発明において特に有用であることが見出されたポリサッカライド化合物のグループの1つは、グループBポリサッカライドである。これらの化合物はN.meningitidis、M.nonliquifaciens、P.aeroginosis A2及びE.coli K1によって産生される。これらの化合物は、シアル酸残基を含むポリサッカライド成分及びリン脂質成分を含む。該シアル酸残基は(2→8)−α結合しており、該天然由来のポリマーは約200の残基からなる。糖脂質分子の一部、特に高分子量化合物は、ポリサッカライド成分の還元性末端に共有結合したリン脂質を有していると思われる。
【0026】
ポリサッカライド化合物の由来源である細菌については、製造時の便宜上、非病原体であるのが好ましい。従って、ポリサッカライドについては、E.coli K92のようなE.coliの非病原株または、好ましくは、非免疫原性であるK1に由来するものが特に好適である。E.coli K92及びK1分離株はよく知られており、この種の任意の株の任意のタイプを好適なポリサッカライドの由来源として使用することができる。好ましくは、ポリシアル酸は少なくとも2、好ましくは少なくとも5、さらに好ましくは少なくとも10、例えば50以上のシアル酸ユニットを有するのがよい。
【0027】
本発明により、タンパク質及び新規な活性化されたポリサッカライドの複合体がさらに提供される。該新規化合物は、少なくとも1つのシステインユニットを有し、チオエーテル結合を介してシステインユニットの側鎖に結合するタンパク質、該部分を介してポリシアル酸の1または両方の末端ユニットで結合するポリシアル酸を含む。
【0028】
ポリシアル酸誘導体がN−マレイミド基である場合、該部分は、α−炭素原子に結合するチオエステルとともに、N−スクシンイミジル基を含む。好ましくは、該部分は第2級アミン、ヒドラゾンまたはアミド結合をさらに含む。
【0029】
本発明において、ポリシアル酸が、スルフヒドリル基と反応するための第一官能基及びポリシアル酸の末端ユニットと反応して共有結合を形成するとともにスルフヒドリル基官能性ポリシアル酸との反応可能にする、第一官能基と異なる第二官能基を有するヘテロ二官能性試薬と反応させられる新規な方法がさらに提供される。
【0030】
1つの実施形態において、第2官能基は求核基であり、好ましくはヒドラジンである。これは、ポリシアル酸が、カルボニル基が求核基によって攻撃される末端ユニットにおいてアルデヒド基を含む場合に、特に有用である。
【0031】
本方法の他の実施形態において、第2官能基は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステまたはスルホスクシンイミドエステル、もしくはカルボジイミドのような、N−アルコキシルカルボニルイミドのような、求電子性である。そのような場合の末端基は、好ましくはアミンのような求核基である。
【0032】
該方法において、試薬は、第一及び第二の官能基に結合する二官能性有機基を含むのが好ましい。好ましくは、該二官能性有機基は、C2−18アルカンジイル基、アリーレン基、オリゴペプチド及びオリゴ(アルコキシ)アルキル基から選択される。
【0033】
好適な試薬の例は前記に挙げられる。
【0034】
最も有益には、該方法は、少なくとも1つのフリーで保護されていないCysユニットを有し、それによって該官能基がCysユニットのチオール基とチオエーテル結合を形成し、ポリシアル化されたポリペプチドまたはタンパク質を形成するポリペプチドまたはタンパク質と、官能性ポリシアル酸が反応させられる、その後に続くステップを含む。該方法は、タンパク質が単一のCysユニットを含み、それによって部位−制御された誘導体化を得る場合に特に好適である。
【0035】
本発明は、添付の実施例において例証される。
【実施例1】
【0036】
【化2】

【0037】
1.1 合成
別個の3つの調製が以下のように行なわれた。
【0038】
WO−A−9222331に基づいて製造されたコロミン酸アルデヒド(CAO)(100mg、4.4×10−6mol)を、500μlの0.1M酢酸ナトリウムに溶解し、これに5molar当量のN−[β−マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(6.5mg、2.2×10−5mol)を添加した。その後、この混合物をボルテックス混合し、フォイルで包み、37℃で2時間、ロータリーミキサー上でインキュベートした。その後、該ポリマーを、2容量(1.0ml)のエタノールを添加することにより沈殿させた。該沈殿を、ベンチトップ遠心機(bench top microcentrifuge)で遠心分離(13,000rpm 2分間)することにより収集した。上清を廃棄し、ペレットを500μmlの0.1Mアセタートに溶解した。この方法をさらに2回繰り返し、最終的なペレットを脱イオン水に溶解し、終夜凍結乾燥した。
【0039】
1.2 マレイミド含有量の分析
この分析において、システインは、芳香環に隣接していないチオールと置換された場合に濃い黄色を形成するジスルフィドを含むエルマン試薬(Ellman’s Reagent)(5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸))でさらなる反応を妨げて、ポリマー上のマレイミドと反応される。従って、マレイミド含有量は、システインとエルマン試薬アッセイ間の反応の阻害を測定することにより、計算することができる。
【0040】
まず、12×10−3M(0.145mg/ml)のシステインの初期ストック(initial stock)を、PBS中で調製した。クリーンなマイクロタイタープレート中で、体積100μlの、12×10−3M〜0.375×10−3Mの2倍希釈液を、列Bから列Hまで作った。列Aにおいて、100μlPBSをゼロ標準として用いた。CA及びCA−マレイミド(CAM)の試料を、5または10mg/mlで調製し、各試料100μlを、システイン希釈液の二重カラムに添加した。いずれのCAも含まない1セットの100μlPBSを、コントロールとして加えた。プレートを覆い、37℃で1時間インキュベートした。その後、20μlのエルマン試薬(PBS中に4mg/ml)を各ウェルに添加し、プレートを室温で15時間、暗所でインキュベートした。吸光度を、ウェル中で、405nmで測定した。その後、試料について標準曲線をプロットし、シグナルの阻害から、存在するマレイミドの量を計算した。
【0041】
1.4 FAbのチオール化及びCAMへの結合
第一のステップにおいて、チオール基は、リシンのアミンのチオール化によってモデルタンパク質へ導入される。
【0042】
羊FAb(抗デシプラミン/ノリチルプタリン(Norityrptaline)、4mg、7.2×10−8mol)を0.25mlのPBS+10mMのEDTAに溶解し、これに0.498mgの2−イミノチオラン(2−IT、トラウトの試薬(Traut’s reagent)50mol当量 3.6×10−6mol)を含有する同じ緩衝液0.25mlを添加した。該試験管をフォイルで包み、端から端まで攪拌しながら、37℃で1時間インキュベートした。
【0043】
【化3】

【0044】
チオール化されたFabを、ゲル濾過(PD−10)により、フリーの2−ITトラウト試薬(Traut’s reagent)から精製し、0.5mlの画分を、タンパク質(BCAアッセイ)またはチオール(エルマンアッセイ)の存在についてアッセイした。両者を含む最初の溶出ピークをプールし、タンパク質及びチオールを定量した。
【0045】
1.5 Fab−チオールのCAMへの結合
2mlのPBS/EDTA中のチオール化されたFAb(3.6mg、6.6×10−8mol)に、22.5mgのCAMを添加した(9×10−7mol、15molar当量)。該試験管に封をし、穏やかに混合しながら37℃で1時間インキュベートした。その後、得られた複合体を、フリーのCAMを除去するための、一般に認められているプロトコルに従って精製した。複合体におけるCA及びタンパク質両者の含有量をアッセイし、結合比を計算した。
【0046】
コントロール反応は、ネガティブコントロールとしてのCAを用いて行われた。
【0047】
様々なチオール化の程度を有しているが、15:1のCAM:Fabの比が維持されている、CAM−Fabのいくつかのバッチを調製した。結果を第1表に示す:
【0048】
【表1】

【0049】
図1は、3回反復試料及び関連するコントロールのSDS−PAGEゲルを示す。
【0050】
1.6 結論
結果は、すべてのコントロールウェル(チオール化されたFAbの試料)において、試料の移動が、新鮮なFAb(50のkDaマーカーのそれより下の)のそれに似ていることを示し、結合のプロセスの間にFAb分子の架橋が起こらないことを示す。反復試料のレーンには、ポリシアリル化された生成物を示す質量の増大を典型的に示す、98及び250KDaのマーカー間に最大強度を有する、顕著なバンドの広がりが存在する。
【0051】
1.7 CAMのベータガラクトシダーゼへの結合
1mlPBS中のE.coli β−ガラクトシダーゼ(β−gal)(5.0mg、4.3×10−8mol)に、15mgのCAMを添加した(6.59×10−7mol、15molar当量)。該試験管に封をし、フォイルで包み、穏やかに混合しながら室温で1時間インキュベートした。得られた複合体を、SDS pageにより分析し、その後、フリーのCAMを除去するための、一般に認められているプロトコルに従って精製した。試料を、他に概説されるようにして、ポリマー及びタンパク質の含有量についてアッセイした。
【0052】
コントロール反応は、ネガティブコントロールとしてのCAを用いて行われた。
【0053】
1.8 酵素活性アッセイ
PBS中で、60μg/ml〜3.75μg/mlの新鮮なβ−ガラクトシダーゼの標準液(standards)を調製した。CAM−β−galの試料を、同バッファー中で60μg/mlに希釈した。複合体の酵素活性を、以下のようにして測定した:
マイクロタイタープレート中で、100μlの試料または標準液に、100μlのオールインワンβ−gal基質(All-in-One β-gal substrate)(Pierce)を添加した。該プレートを37℃で30分間インキュベートし、405nmにおける吸光度を測定した。標準液からキャリブレーションカーブを作成し、試料の活性を、該カーブの線形回帰についての方程式から計算した。
【0054】
1.9 結果
タンパク質及びポリマーのアッセイから、結合比は1.23 CAM:1 β−galであると測定された。また、試料のSDS pageから、対応する見かけの分子量の増大もあった(図2)。精製された試料における酵素活性は、フリーの酵素と比較して、100.4%と計算された。
【実施例2】
【0055】
合成経路2
ステップ1 CA−アルデヒド(CHO)のアミノ化
【0056】
【化4】

【0057】
ステップ2 マレイミド環の導入
【0058】
【化5】

【0059】
合成
2.1. ステップ1 酸化されたCAのアミノ化
50ml試験管中で、10〜100mg/mlの酸化されたコロミン酸(CAO)を、300倍モル過剰(300-fold molar excess)のNHClとともに、2mlの脱イオン水に溶解し、その後、NaCNBH(1N NaOH水溶液中、5Mストック)を最終濃度5mg/mlで添加した。該混合物を室温で5日間インキュベートした。コントロール反応も、CAOの代わりにコロミン酸(A)を用いて準備された。生成したコロミン酸アミン誘導体を、5mlの氷冷エタノールを添加することにより沈殿させた。該沈殿を、室温で30分間、4000rpmで卓上遠心機中で遠心分離することにより回収した。該ペレットを、2mlの脱イオン水中に保持及び再懸濁し、その後、10mlの超遠心管中で5mlの氷冷エタノールを用いて再び沈殿させた。該沈殿を、室温で30分間、30000rpmで遠心分離することにより、収集した。該ペレットを2mlの脱イオン水に再び再懸濁し、凍結乾燥した。
【0060】
2.2.アミン含量についてのアッセイ
TNBS(ピクリルスルホン酸または2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸)アッセイを、該生成物中に存在するアミノ基の量を測定するために用いた。
【0061】
マイクロタイタープレートのウェル中で、90μlの0.1Mホウ酸塩バッファー(pH9.5)に、TNBS(0.5μlの15mM TNBS)を添加した。これに、10μlのCA−アミドの50mg/ml溶液を添加し、405nmにおける吸光度を測定する前に、該プレートを室温で20分間放置した。グリシンを、0.1〜1mMの濃度範囲で、標準液として用いた。TNBSは第1級アミン基をトリニトロフェニル化する。アミンのTNP付加物が検出される。
【0062】
2回の冷エタノール沈殿を用いて精製された生成物の、TNBSアッセイを用いたテストは、90%近くの転化を示した。
【0063】
2.3.CA−アミンのマレイミド化
CA−アミン(17mg)を1mlの脱イオン水に溶解し、これに6mgのメトキシカルボニルマレイミド(MCM)を添加した。該混合物を室温で30分間放置して反応させた。該試料に、1 100μlの水及び200μlのアセトニトリルを添加し、その後、室温で4時間インキュベートした後、300μlのCHClを添加し、該試験管を振り混ぜ、水性画分を収集した。その後、該画分をPD−10カラムで精製し、低分子を除去した。該溶出液を凍結乾燥し、マレイミド含有量についてアッセイした。マレイミドのモル濃度は44モル%であった。
【実施例3】
【0064】
コロミン酸のヨードアセタート誘導体(CAI)の調製。
【0065】
【化6】

【0066】
3.1 合成
1mlのPBS(pH7.4)に溶解した40mgのコロミン酸アミン(85モル%アミン)(実施例2.1に記載される)に、5mgのN−スクシンイミジルヨードアセタート(SIA)を添加した。該混合物を37℃で1時間放置して反応させた後、過剰のSIAを、5mlのHightrap(登録商標)脱塩カラム(AP Bioscience)でPBSを用いて溶出するゲル濾過により除去した。0.5mlの画分をカラムから収集し、各画分からの試料をコロミン酸含有量(レゾルシノールアッセイ)及びヨウ化物を示すシステインとの反応性(エルマンアッセイ)についてテストした。ヨウ化物及びCA両者について陽性の画分をプールした。
【0067】
3.2 CAIのβ−ガラクトシダーゼへの結合
1mlPBS中のE.coli β−ガラクトシダーゼ(5.0mg、4.3×10−8mol)に、15mgのCAIを添加した(6.59×10−7mol、15molar当量)。該試験管に封をし、フォイルで包み、穏やかに混合しながら室温で1時間インキュベートした。得られた複合体を、SDS pageにより分析し、その後、フリーのCAIを除去するための、一般に認められているプロトコルに従って精製した。試料を、他に概説されるようにして、ポリマー及びタンパク質の含有量について分析した。
【0068】
コントロール反応は、ネガティブコントロールとしてのCAを用いて行われた。上述の実施例1.8のようにして、全ての試料を、β−gal活性について分析した。
【0069】
3.3 結論
画分3〜6は、ポリマー及びヨードアセタート両者について陽性であり、プールされた。SDS page(4〜12% ビス/トリスゲル;図2)は、コントロールポリマーと共にではなく、ヨードアセトアミド誘導体と共にインキュベートされた試料について、見かけの分子量の増加を示した。タンパク質及びポリマーのアッセイから、結合比は1.63 CAI:1 β−galであると測定された。β−gal活性は、フリーの酵素と比較して、結合した試料について100.9%であると計算された。
【実施例4】
【0070】
4.1 合成:4(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(CA−MBPH)及び3−(2−ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(CA−PDPH)を用いた非還元性末端の活性化
調製は、以下のように行われた:
WO−A−9222331に従って製造されたコロミン酸アルデヒド(CAO;22.7kDa、Camida、Ireland)(MBPH用に73mg、試験管A;PDPH用に99.3mg、試験管B)を、800mlの0.1M酢酸ナトリウム(pH5.5)にそれぞれ溶解した。試験管Aに、200μlのDMSOに溶解した15mgのMBPH(15:1 リンカー:CA比)を添加した。試験管Bに、200μlのDMSOに溶解した15mgのPDPH(15:1 リンカー:CA比)を添加した。各反応管の各場合について、pHを5.5に調整した。その後、これらの混合物をボルテックス混合し、フォイルで包み、37℃で2時間、オービタルミキサー上でインキュベートした。各ポリマー溶液を、PBS(pH7.4)で溶出してゲル濾過(PD 10カラム)することにより精製し、CA(レゾルシノールアッセイによる)を含む画分1mlを収集した。これらの試料を終夜凍結乾燥し、実施例1.2に記載されているようにして、マレイミド含有量についてアッセイした。
【0071】
4.2 合成:4(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MBPH−CA)、(2−ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(PDPH−CA)及びN−β−マレイミドプロピオン酸ヒドラジド)ヒドラジド(BMPH−CA)を用いた還元性末端の活性化
調製は、全てリンカーのCAに対するモル比が25:1で、以下のように行われた:
コロミン酸(CA;22.7K;MBPH用に73mg、試験管A;PDPH用に99.3mg、試験管BそしてBMPH用に76.6mg;試験管C)を、800mlの0.1M酢酸ナトリウム(pH5.5)にそれぞれ溶解した。試験管Aに、25mgのMBPH(200μlのDMSOに溶解した)を、試験管Bに、25mgのPDPH(200μlのDMSOに溶解した)を、そして、バイアルCに、25mgのBMPH(200μlの酢酸ナトリウムバッファーに溶解した)を添加した。反応混合物のpHを5.5に調整した。その後、これらの混合物をボルテックス混合し、フォイルで包み、37℃で72時間、オービタルミキサー上でインキュベートした。各ポリマー溶液を、PBS(pH7.4)で溶出するゲル濾過(PD10カラム)により精製し、CA(レゾルシナルアッセイによる)を含む画分1mlを収集した。これらの試料を終夜凍結乾燥し、実施例1.2に記載されているようにして、マレイミド含有量についてアッセイした。
【0072】
4.3 結果
非還元性末端(高反応性)におけるマレイミドのモル濃度は、MBPH及びPDPHそれぞれについて49.0及び35.0モル%であった。還元性末端(弱反応性)におけるマレイミドのモル濃度は、MBPH、PDPH及びBMPHそれぞれについて41.5、32.5及び48.3モル%であった。還元性末端における値は、各場合における2つの値の平均値である。
【0073】
4.4 β−ガラクトシダーゼ(β−gal)のマレイミド活性化コロミン酸(還元性末端及び非還元性末端)への結合
セパレートチューブ中のβ−gal(1.0mg;1mlのPBS/EDTA中)に、15モル過剰の各マレイミド活性化CA(非還元性末端または還元性末端におけるMBPH、PDPH及びBMPH、前記実施例から得られる)を別々に添加した。各チューブに封をし、穏やかに混合しながら、37℃で1時間インキュベートした。その後、得られた複合体を、フリーの活性化ポリマーを除去するための、認められているプロトコルに従って精製した。全ての試料を、SDS PAGEにより、そして、実施例1.8のようにして、β−gal活性について分析した。
【0074】
4.5 結果
結果(図3)は、全ての対照ウェル(β−galを有する)において、試料の移動は、新鮮なβ−galについてのそれと似ていることを示す。複合体のレーンには、ポリシアリル化されたβ−galを示す量の増大を典型的に示す、98kDaマーカーと250kDaマーカーとの間に最大強度を有する顕著なバンドの広がりが存在する。β−gal活性は、結合された試料について、91.0〜106%と計算された。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、3回反復試料及び関連するコントロールのSDS−PAGEゲルを示す。
【図2】試料のSDS pageから、対応する見かけの分子量の増大もあった
【図3】全ての対照ウェル(β−galを有する)において、試料の移動は、新鮮なβ−galについてのそれと似ていることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンダント部分(pendant moiety)が、N−マレイミド基、ビニルスルホン基、N−ヨードアセトアミド基、オルトピリジルジスルフィド基から選択される官能基を含むシアル酸ユニット由来の末端ユニットの少なくとも1つに結合する、ポリサッカライド酸を含む化合物。
【請求項2】
ペンダント部分がポリサッカライドの還元性末端ユニットに結合している請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
該部分がポリサッカライドの非還元性末端ユニットに結合している請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
該部分が、アルカンジイル基及び/またはアリーレン基、並びに、オキサアルキレン(oxalkylene)またはオリゴアキサアルキレン(oligoaxa-alkylene)基と任意に組み合わされる結合を含み、該結合が、第2級アミン結合、ヒドラゾン、アルキルヒドラジド結合またはペプチド結合である、上記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項5】
官能基がN−マレイミドである上記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項6】
ポリサッカライドがポリシアル酸であり、好ましくは実質的にシアル酸ユニットのみからなる上記いずれかの請求項に記載の化合物
【請求項7】

【化1】

ここで、下記の定義の群の1つを適用する:
i)RがHまたは−CHOHCHOHであり、RがOHであり、そして、Rが−CHCHRまたは−CH(CHOH)CHRのいずれかであり、ここで、RとRが一緒になって=N−NRを表す、あるいは、RがHであり、Rが−NRであり、ここで、Rは上記官能基を含む有機基またはHであり、そして、RはHである、または、RとRは一緒になって1,3−ブト−2−エンジオイル基であり;
ii)RとRは一緒になって=N−NRを表す、または、RはHであり、Rは−NRであり、ここで、Rは上記官能基を含む有機基またはHであり、そして、RはHである、または、RとRは一緒になって1,3−ブト−2−エンジオイル基であり;
Gly−Oはグリコシル(サッカライド)基であり;
nは0以上であり;そして、
Acはアセチルである、
を有する化合物。
【請求項8】
各Glyがシアル酸ユニットである請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
少なくとも1つのフリーのシステインユニットを有し、チオエステル結合を介してシステインユニットの側鎖に結合し、ポリシアル酸の1つまたは各末端ユニットにおいて結合する部分を介してポリシアル酸を有するタンパク質を含む化合物。
【請求項10】
ポリサッカライドが、少なくとも2、好ましくは少なくとも10、さらに好ましくは少なくとも50のサッカライドユニットを有し、好ましくは互いに2,8及び/または2,9結合したシアル酸ユニットを有する、上記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項11】
シアル酸ユニットに由来する少なくとも1つの末端ユニットを含むポリサッカライドが、N−マレイミド基、ビニルスルホン基、N−ヨードアセトアミド基、オルトピリジルジスルフィド基から選択される第一官能基及び第一基と異なる第二官能基を有するヘテロ二官能性試薬と反応し、それにより、該第二官能基が末端シアル酸誘導体ユニットと反応して共有結合を形成し、チオール基への選択的な結合に好適な官能性ポリサッカライドを形成する、方法。
【請求項12】
前記第二の官能基が、求核基、好ましくはヒドラジンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリサッカライドの末端ユニットが、前記求核基と反応するカルボニル基を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第二官能基が、求電子基、好ましくはN−アルコキシカルボニルイミドまたはカルボジイミド部分である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ポリサッカライドの末端ユニットが、前記求電子基と反応し、好ましくはペプチドまたはウレタン結合を形成するアミン基を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
試薬が、第一官能基及び第二官能基に結合する二官能性有機基を含む、請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
二官能性有機基が、C2−18アルカンジイル基、アリーレン基、オリゴペプチド及びオリゴ(アルコキシ)アルキル基から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第一官能基が、N−マレイミド基である、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
試薬が、一般式
X−R−Y
を有し、ここで、
Xは、N−マレイミド、N−ヨードアセトアミド、S−ビニルスルホニルまたはS−オルトピリジルジスルフィド基であり、
Rは、アルカンジイル、アリーレンまたはアラルキレンアルカリーレン(aralkylene alkarylene)、アルキレンオキサアルキレン、あるいはアルキレンオリゴオキサアルキレンまたはアルキルオリゴペプチジルアルキル基であり、
そして、
Yはヒドラジド、アミンまたはN−ヒドロキシスクシンイミド基である、
請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ポリサッカライド酸が、少なくとも2、好ましくは少なくとも10、さらに好ましくは少なくとも50の、好ましくは互いに2→8及び2→9結合しているシアル酸ユニットを有する、請求項11〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
マレイミド官能性ポリシアル酸が、少なくとも1つのフリーで保護されていないCysユニットを有するポリペプチドまたはタンパク質と反応し、それによって、マレイミド基がCysユニットのチオール基とチオエーテル結合を形成し、ポリシアル化されたポリペプチドまたはタンパク質を形成する、請求項11〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物が、少なくとも1つのフリーで保護されていないCysユニットを有するポリペプチドまたはタンパク質と反応し、それによって、前記官能基がCysユニットのチオール基とチオエーテル結合を形成し、ポリペプチドまたはタンパク質とポリサッカライドとの複合体を形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−501888(P2007−501888A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523054(P2006−523054)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003488
【国際公開番号】WO2005/016973
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506045691)リポクセン テクノロジーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】