説明

ポリチオカーボネート樹脂及びそれを用いた光学材料

【課題】 透明性が高く、屈折率及びアッベ数が共に高く、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリチオカーボネート樹脂及びそれを用いた光学材料を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される繰返し単位を少なくとも含むポリチオカーボネート樹脂
【化1】


〔式中、X及びYは、−(CH2m1−又は−(CH2m2−Q−(CH2m3−{Qは酸素原子又はイオウ原子を表し、m1〜m3は0〜4の整数を表す。]を表し、nは0〜6の数を表す。Wは一般式(2a)又は(2b)
【化2】


{式中、pは0〜4の整数を表す。但し、式中の五員環の結合位置は任意であり、かつエンド又はエキソの立体配置を任意にとり得る。}
で表される二価の基を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリチオカーボネート樹脂及びそれを用いた光学材料に関し、特に、透明性が高く、屈折率及びアッベ数が共に高く、耐熱性、耐衝撃性に優れたポリチオカーボネート樹脂及びそれを用いた光学材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製のメガネレンズは、ガラスレンズに比べて軽量であることから需要が高まっている。
従来、メガネレンズ用プラスチックとしては、屈折率の高さと分散性の低さを同時に達成するため、種々の熱硬化型樹脂が用いられてきた。
しかしながら、これらは金型中で、24時間程度の時間をかけゆっくり重合させて製造する必要があり、生産性という点で課題を有していた。
また、これら熱硬化型樹脂は、硬化膜及び無機蒸着膜を積層した反射防止膜を施した場合に、耐衝撃性が低下するという課題を有していた。
この問題点を解決するため、熱可塑性樹脂を用い、射出成形により製造したレンズが提案されている。
これらに用いられる材料として、脂環式炭化水素からなる樹脂等が知られており、低分散(高アッベ数)の樹脂が報告されている。
しかしながら、これらの樹脂は、一様に屈折率が1.55以下と低く、レンズの中心又は周辺部が厚くなってしまうという問題点があった。
また、これらの樹脂は、他の熱可塑性樹脂と比べ、耐衝撃性に課題を有し、FDA(Food and Drug Administration)の基準を充分に満たすためには、プライマ−層を必要とする場合があった。
一方、ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート樹脂をメガネ用に適用する試みもなされており、特に、米国ではプラスチックレンズの主流品として使用されている。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性は極めて優れており、屈折率も約1.58と比較的高い点はメガネ用として好ましい物性であるが、その反面、アッベ数が30程度と、他の屈折率1.60程度のレンズと比較した場合、数値的に劣り、レンズ度数が大きくなると、色にじみ等が発生する可能性が指摘されていた。
【0003】
また、レンズ材料として脂肪族ポリカーボネート樹脂や、脂肪族−芳香族共重合ポリカーボネート樹脂が知られており、これらのうちいくつかの樹脂は、高屈折率、高アッベ数であることも知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)。
しかしながら、これらの樹脂のほとんどは、脂肪族アルコールを原料としている関係上、通常の界面重縮合による合成が行えないため、溶融重合法や、ホスゲンとピリジンを用いた方法により合成されている。
このため、溶融重合法ではモノマーや触媒の除去が困難であることに加え、反応時に高温に加熱する必要があるため、着色や分解といった問題が発生する可能性があり、光学材料への適用が困難であった。
また、ホスゲンとピリジンを用いた方法では、毒性の高いピリジンを多量使用するため、工業的な製造を考えると好ましくない。
更に、ピリジンの除去が困難であるため、残存ピリジンの臭気の問題、及び成形加工をする用途の場合には熱分解を促進する可能性があった。
また、レンズ材料で、界面重縮合可能なモノマーとして、ジチオール化合物が以前から知られている。
しかしながら、これまで知られているジチオール化合物から合成されたポリチオカーボネート樹脂類似樹脂は、芳香族ジチオール及び鎖状脂肪族ジチオール、及び単環脂環式ジチオール由来のもののみであった(特許文献7、非特許文献1)。
ここで、芳香族ジチオールから合成されたポリ(ジ)チオカーボネート樹脂は、芳香族ポリチオカーボネート樹脂と同様に、屈折率が1.60程度のポリチオウレタン樹脂レンズと比較するとアッベ数が劣る。
また、鎖状脂肪族ポリ(ジ)チオカーボネート樹脂又は単環脂環式ジチオカーボネート樹脂は、屈折率が1.60程度のポリチオウレタン樹脂レンズとアッベ数が同程度である場合があるが、屈折率は低く、耐熱性に課題を有し、低温で使用する用途等、限られた部分にしか適用できないという課題を有していた。
【0004】
【特許文献1】特開2000−136242号公報
【特許文献2】特開2002−371179号公報
【特許文献3】特開平1−223119号公報
【特許文献4】特開昭64−66234号公報
【特許文献5】特開2003−20331号公報
【特許文献6】特開2003−12785号公報
【特許文献7】特開2002−201277号公報
【非特許文献1】Polymer(1994),35(7),1564
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂からなるレンズと比較して、高屈折率及び高アッベ数であり、耐熱性、耐衝撃性が脂肪族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリチオカーボネート樹脂、単環脂環式ポリチオカーボネート樹脂やシクロオレフィン系樹脂より優れたポリチオカーボネート樹脂及びそれを用いた光学材料を提供することを目的とするものである。
尚、本発明において、チオカーボネート樹脂として記載した構造は、カルボニル基にイオウ原子が二つ結合するか、又はイオウ原子と酸素原子が一つづつ結合した構造を表わす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有するポリチオカーボネート樹脂を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、アッベ数悪化の原因である芳香族成分を低減し、かつ耐熱性の悪化を防止するために、少なくとも縮環脂環構造を有する脂肪族ジチオールをポリチオカーボネート樹脂合成の原料として用い、特定の繰返し単位を少なくとも含むポリチオカーボネート樹脂により、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で表される繰返し単位を少なくとも含むポリチオカーボネート樹脂
【化1】

〔式中、X及びYは、それぞれ独立に、−(CH2m1−、又は−(CH2m2−Q−(CH2m3−{Qは独立に酸素原子又はイオウ原子を表し、m1〜m3はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。]を表し、nは0〜6の数を表す。Wは一般式(2a)又は(2b)
【化2】

{式中、pは0〜4の整数を表す。但し、式中の五員環の結合位置は任意であり、かつエンド又はエキソの立体配置を任意にとり得る。}
で表される二価の基を表す。又、Zは単結合、−〔(CH2r1−Q〕r3−(CH2r2−{Qは独立に酸素原子又はイオウ原子を表し、r1、r2は、それぞれ独立に、0〜6の整数を表し、r3は、0〜6の数を表す。}、−O−、>C=O、又は下記の一般式(3)〜(6)のいずれかで表される二価の基を表す。又、Zは1つのWと2箇所以上で結合していてもよく、繰り返し単位ごとに異なった構造をとることができる。
【化3】

{式中、Qは、それぞれ独立に酸素原子又はイオウ原子を表し、n1〜n4は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。}、
【化4】

{式中、n5〜n6は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。}、
【化5】

[式中、Qは、それぞれ独立に酸素原子又はイオウ原子を表し、Lは−O−(CH2u1−O−{u1は1〜9の整数を表す。}、−O−〔(CHR)u3−O)u2−{Rは独立に水素原子又はメチル基を表し、u2は0〜6の数を表し、u3は1〜5整数を表す。t1〜t6は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、t7、t8は、それぞれ独立に、0又は1の整数を表す。}、−Q−(CH2n7−W−(CH2n8−Q−{n7、n8は、0〜4の整数を表す。}を表す。]
【化6】

{式中、Qは、それぞれ独立に、酸素原子又はイオウ原子を表し、Mは単結合、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数4〜12のシクロアルキレン基を表す。v1〜v6は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、v7、v8は、それぞれ独立に、0又は1の整数を表す。}〕
【0008】
(2)下記一般式(7)
【化7】

(式中、Arは芳香族性の二官能基を表す。)
で表される繰返し単位を含む請求項1に記載のポリチオカーボネート樹脂。
【0009】
(3)前記Arが、下記一般式(8)又は(9)で表される基である上記2に記載のポリチオカーボネート樹脂
【化8】

〔式中、R1は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基を表す。また、c1〜c2は、それぞれ独立に、0〜4の整数、d1〜d2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
Uは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CR34−{R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基である。}、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数5〜11のシクロアルキリデン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、置換基を有していてもよい9,9−フルオレニリデン基、置換基を有していてもよいトリシクロデカンの2価の残基、置換基を有していてもよいビシクロヘプタンの2価の残基、下記一般式(10)〜(12)のいずれかで表される天然テルペン類から誘導される二価の基、
【化9】

又は下記一般式(13)で表される炭素数8〜16のアルキリデンアリーレンアルキリデン基を表す。
【化10】

{式中、R2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基を表す。また、eは0〜4の整数である。}〕
【0010】
(4)上記1〜3のいずれかに記載のポリチオカーボネート樹脂を用いた光学材料
を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリチオカーボネート樹脂は、界面重合法等の既存の方法により重合することが可能で、透明性が高く、屈折率及びアッベ数が共に高く、耐熱性、耐衝撃性に優れている。
このような特性を有する本発明のポリチオカーボネート樹脂は、レンズ、プリズム、ファイバー、光デイスク用基板、フィルター、光導波路、導光板等の光学材料として使用することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のポリチオカーボネート樹脂は、一般式(1)で表される繰返し単位を少なくとも含む樹脂である。
本発明のポリチオカーボネート樹脂の分子量の好ましい範囲は、機械的強度及び成形性のバランス等の点から、粘度平均分子量が7000以上、好ましくは10000〜100000、更に好ましくは12000〜50000、最も好ましくは14000〜30000である。
また、本発明のポリチオカーボネート樹脂において、一般式(1)で表される繰返し単位における脂肪族ジチオール成分の含有量の範囲は、1質量%以上、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%、最も好ましくは15〜60質量%である。
【0013】
以下、一般式(1)について説明する。
【化11】

一般式(1)において、X及びYはそれぞれ独立に、−(CH2m1−、又は−(CH2m2−Q−(CH2m3−を表し、Qは酸素原子又はイオウ原子を表し、m1〜m3はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、nは0〜6の数を表す。
また、一般式(1)において、Wは、一般式(2a)又は(2b)
【0014】
【化12】

で表される二価の基を表す。
式中の五員環の結合位置は任意であり、かつエンド又はエキソの立体配置を任意にとることができる。pは0〜4の整数を表す。
pが1の場合、一般式(2c)で表わされる二価の基をとることもできる。
【0015】
【化13】

一般式(1)において、Zは単結合、−〔(CH2r1−Q〕r3−(CH2r2−又は−O−、>C=Oを表し、r1、r2は、それぞれ独立に、0〜6の整数を表し、r3は、0〜6の数を表す。
または、下記の一般式(3)〜(6)のいずれかで表される二価の基を表す。
【0016】
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【0017】
一般式(3)〜(6)において、Qは、それぞれ独立に、酸素原子又はイオウ原子を表し、
Lは−O−(CH2u1−O−、−O−〔(CHR)u3−O)u2−{Rは独立に水素原子又はメチル基を表す。}、−Q−(CH2n7−W−(CH2n8−Q−を表す。
Mは、単結合、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数4〜12のシクロアキレン基を表す。
n1〜n6及びn7〜n8は、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。
u1は1〜9の整数を、u2は0〜6の数を、u3は1〜5整数を表す。
また、t1〜t6は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、t7及びt8は、それぞれ独立に、0又は1の整数を表す。
v1〜v6は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、v7及びv8は、それぞれ独立に、0又は1の整数を表す。
【0018】
また、本発明のポリチオカーボネート樹脂は、下記一般式(7)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
この一般式(7)で表される繰返し単位の含有量としては、前記ポリチオカーボネート樹脂の総量に対して、0〜99質量%、好ましくは20〜95質量%、更に好ましくは30〜90質量%、最も好ましくは40〜85質量%である。
【0019】
【化18】

一般式(7)において、Arは芳香族性の二官能基を表す。
一般式(7)中、Arは、下記一般式(8)又は(9)のいずれかで表される基からなる。
【0020】
【化19】

【0021】
{式中、R1は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基を表す。また、c1〜c2は、それぞれ独立に、0〜4(好ましくは0〜1)の整数、d1〜d2は、それぞれ独立に、0〜3(好ましくは0〜1)の整数である。
Uは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CR34−(R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基である。)、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数5〜11のシクロアルキリデン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、置換基を有していてもよい9,9−フルオレニリデン基、置換基を有していてもよいトリシクロデカンの2価の残基、置換基を有していてもよいビシクロヘプタンの2価の残基、下記一般式(10)〜(12)のいずれかで表される天然テルペン類から誘導される二価の基、
【0022】
【化20】

又は下記一般式(13)で表される炭素数8〜16のアルキリデンアリーレンアルキリデン基を表す。
【0023】
【化21】

{式中、R2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基を表す。また、eは0〜4(好ましくは0から2)の整数である。}〕、
【0024】
前記R1のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記R1のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記R1のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、ビフェニル基、ジクロロフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等が挙げられる。
また、アリーレン基としては、これらの基を2価の基としたものが挙げられる。
前記R1のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
前記R1のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ペンチルオキシ基、各種ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
前記R1のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
前記R3及びR4のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の具体例としては、前記R1と同様である。
前記Uのアリーレン基の具体例としては、前記R1のアリール基を2価の基としたものが挙げられる。
前記Uのシクロアルキリデン基の具体例としては、前記R1のシクロアルキル基を2価のシクロアルキリデン基としたものが挙げられる。
前記Uのα,ω−アルキレン基としては、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基等が挙げられる。
前記Uのトリシクロデカンの2価の残基としては、トリシクロ[5.2.1.02.6.]デカンの2価の残基、1,3−アダマンチレン基、2,2−アダマンチレン基等が挙げられる。
前記Uのビシクロヘプタンの2価の残基としては、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の2価の残基等が挙げられる。
前記R2のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基の具体例としては、前記R1と同様である。
【0026】
また、前記一般式(7)におけるArが、下記基の群から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
【化22】

(式中、R50は、水素原子又はメチル基である。)
【0027】
以上の各基の置換基としては、臭素、塩素、ヨウ素等のハロゲン原子、メルカプト基、水酸基、シアノ基、アミノ基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基、該アルキル基の少なくとも1つが硫黄原子で置換されたS含有アルキル基、該アルキル基の少なくとも1つが酸素原子で置換されたO含有アルキル基、該アルキル基の少なくとも1つが窒素原子で置換されたN含有アルキル基等が挙げられる。
【0028】
本発明のポリチオカボネート樹脂は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の温度20℃における還元粘度(ηsp/C)が0.2dl/g以上であることが好ましい。
この還元粘度が、0.2dl/g以下であると、機械的強度が低くなり、割れ易くなるおそれがある。
また、更に好ましい還元粘度は0.2〜5.0dl/gであり、特に好ましくは0.27〜2.0dl/gであり、最も好ましくは0.37〜0.7dl/gである。
この還元粘度が5.0dl/gを越えると、成形性が悪化するおそれがある。
【0029】
本発明のポリチオカボネート樹脂は、その製造方法としては、特に制限はなく、本発明のポリチオカーボネート樹脂を構成するために必要なモノマーを用い、公知の方法(ホスゲンとアルカリ水溶液を用いた界面重縮合法、ホスゲンとピリジンを用いた方法、エステル交換による方法等)に準じて製造することができる。
例えば、次に示す方法によって製造することが出来る。
即ち、(A)少なくとも縮環脂環構造を有するジチオール化合物単独、又は(A)成分及び(B)ビスフェノール化合物を、炭酸エステル形成性化合物と反応させることにより行われる。
使用する(A)及び(B)成分の割合を適宜選定することにより、共重合の割合を調節することができる。
本発明においては、得られるポリチオカボネート樹脂に含まれる不純物を一定以下にすることが重要であり、この観点から、ホスゲンとアルカリ水溶液を用いる界面重縮合法の採用が好ましい。
【0030】
本発明のポリチオカーボネート樹脂は、前記(A)成分として、一般式HS−X−W−(Z−W)n−Y−SH(式中、X、Y、Z、W及びnは、前記に同じ。)で表される少なくとも縮環脂環構造を有するジチオール化合物を原料として用いることにより合成することができる。
前記(A)成分の一般式で表されるジチオール化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
【化23】

【0031】
【化24】

【0032】
【化25】

【0033】
前記(B)成分として使用可能なビスフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−メチル−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−フルオロ−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−クロロ−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−フェニル−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1―ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニルー4―ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジフェニル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,2−ビス( 2−メチル−4−ヒドロキシフェニル) プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5―メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4―ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、4,4’−(1、3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、末端フェノールポリジメチルシロキサン等が挙げられ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0034】
本発明のポリチオカーボネート樹脂の製造方法としては、(A)ジチオール化合物単独又は(A)ジチオール化合物及び(B)ビスフェノール化合物の混合物、又は(B)ビスフェノール化合物単独と、炭酸エステル形成性化合物としてジハロゲン化カルボニル化合物又はハロホルメート化合物とを、アルカリ水溶液及び水と混じり合わない有機溶媒の存在下で界面重縮合法により反応させ、粘度平均分子量が7000未満のハロホルメート末端を有するオリゴマーを得る第1工程、並びに、得られたオリゴマーとビスフェノール化合物、又は
ジチオール化合物又はジチオール化合物及びビスフェノール化合物とを、アルカリ水溶液及び水と混じり合わない有機溶媒の存在下で界面重縮合法により、粘度平均分子量が7000以上のポリマーを得る第2工程を有する。
【0035】
本発明のポリチオカーボネート樹脂の製造方法において、用いる炭酸エステル形成性化合物のジハロゲン化カルボニルとしてはホスゲン等、ハロホルメート化合物としてはクロロホルメート等が挙げられる。
このような炭酸エステル形成性化合物を用いる場合、前記第1工程は、適当な有機溶媒中で、酸受容体(例えば、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩等の塩基性アルカリ金属化合物、又はピリジン等の有機塩基等)の存在下で行うことができる。
このようなアルカリ金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩としては、各種のものが使用可能であるが、経済的な面から、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が好ましく、これらは、通常は水溶液として使用される。
【0036】
前記炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。
また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法を用いることが好ましい。
前記酸受容体の使用割合も、同様に反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。
具体的には、使用するジチオール化合物又はジチオール化合物とビスフェノール化合物の合計モル数(通常、1モルは当量に相当)に対して、2当量又はこれより若干過剰量の酸受容体を用いることが好ましい。
第1及び第2工程で用いる有機溶媒としては、ポリカーボネート樹脂製造の際に使用されるもの等各種の溶媒を1種単独で又は混合溶媒として使用すればよい。
代表的な例としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチレン、クロロベンゼンを始めとするハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。
【0037】
第1及び第2工程における重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の触媒を、又、重合度を調整するために、p−tert−ブチルフェノールやクミルフェノール、フェニルフェノール等の末端停止剤や、フロログリシン、ピロガロール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,4−ビス〔2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス〔4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ〕メタン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸等の分岐剤を添加して反応を行うことができる。
【0038】
第1及び第2工程における反応は、通常、0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲の温度で行われる。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧又は反応系の自圧程度で行われる。
反応時間は、第1工程においては、通常1分〜5時間、好ましくは10分〜2時間、第2工程においては、通常、1分〜5時間、好ましくは10分〜2時間である。
反応方式としては、前記した界面重縮合法の他、半連続法、回分法等のいずれも採用可能である。
【0039】
尚、得られるポリマーの還元粘度(ηsp/C)を0.2dl/g以上にするには、例えば、前記反応条件を調節したり、分子量調節剤の使用量等を調節する等各種の方法によって前記範囲を満たすことができる。
また、場合により、得られたポリマーに、適宜、物理的処理(混合、分画等)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理等)を施して所定の還元粘度とすることもできる。
前記第1及び第2工程より得られた反応生成物(粗生成物)は、公知の分離・精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリチオカボネート樹脂として回収することができる。
【0040】
本発明のポリチオカーボネート樹脂は、必要に応じ、その製造工程及び/又は成形加工の際に、前記原料や触媒に加え、酸化防止剤、顔料、染料、強化剤、充填剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良材、帯電防止剤等を添加することができる。
また、更に、樹脂の特性を改良する目的で前記したもの以外のポリチオカーボネート樹脂、又は熱可塑性樹脂をブレンドして用いることもできる。
【0041】
前記酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−メチル−4−エチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−メチル−4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト、ビス(モノノニルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジメチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4−t−ブチル−6−メチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジメチルフェニル)ヘキシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ヘキシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ステアリルホスファイト等のホスファイト化合物、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス[2−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]ブタン等のヒンダードフェノール系化合物、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等のラクトン系化合物が挙げられ、有機不純物や金属不純物、塩素等の含有量の殆どない純度の高いものを使用することが良好な色相を維持するために好ましい。
これらは、単独、又は2種以上併用してもよい。
また、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の酸化防止剤を、特に、原料重合時に少量添加することも効果的である。
これらの酸化防止剤の添加量は、ポリチオカーボネート樹脂100質量部に対して0.005〜1質量部、好ましくは、0.01〜0.5質量部、更に好ましくは、0.01〜0.2質量であり、0.005〜1質量部であると、十分な所望の効果が得られ、耐熱性、機械的強度も良好である。
【0042】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−(5−メチル―2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]等のトリアゾール類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ジヒドロキソベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン重縮合物、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられるが、特に、2,2’−メチレンビス[ 4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール] ] 、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが好ましく用いられる。
これらは、単独又は2種以上併用して用いてもよく、又、有機不純物や、金属不純物、塩素等を殆ど含有しない純度の高いものを使用することが好ましい。
これらの紫外線吸収剤の添加量は、ポリチオカーボネート樹脂100質量部に対して0.005〜1質量部、好ましくは、0.01〜0.5質量部、更に好ましくは、0.05〜0.4質量である。
添加量が、0.005質量部未満であると、紫外線の透過防止効果が十分でないおそれがあり、1質量%を越えると、着色や機械的強度の低下が発生するおそれがある。
【0043】
前記離型剤としては、一般的に使用されているものでよく、例えば、天然、合成パラフィン類、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス類、蜜蝋、ステアリン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート等の脂肪酸エステル等が挙げられ、特に、ステアリン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましい。
これらは、単独、又は2種以上併用してもよく、又、有機不純物や、金属不純物、塩素等を殆ど含有しない純度の高いものを使用することが好ましい。
添加量としては、通常、ポリチオカーボネート樹脂100質量部に対して0.005〜2質量部程度使用されるが、必要とされる離型効果を満足する最低限の添加量にすることが、良好な色相の維持や、相溶性不良による白化、ブリードアウト等を低減でき望ましい。
【0044】
その他、顔料、染料、強化剤、充填剤、滑剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良材、帯電防止剤等必要に応じて単独又は組み合わせて用いることができる。
上記した各種添加剤は、添加剤自体の熱劣化を抑制するため、ポリチオカーボネート樹脂の原料を添加した後に添加することが好ましいが、この場合、押出工程が複雑となり、押出機のL/Dを大きくしなくてはならない等ポリチオカーボネート樹脂の押出工程での熱履歴の増加による着色、分子量低下や、或いは押出機、添加剤を供給するための装置の追加等コストアップにもつながるため、これらのバランスを考慮し適宜添加位置を設定するのがよい。
また、これら添加剤を用いる場合、少なくとも酸化防止剤とを併せて添加することが有効である。
【0045】
以上のような特定の構造を有する本発明のポリチオカーボネート樹脂は、優れた耐久性や光学特性を有するポリチオカボネート樹脂であり、種々の用途として有用であり、レンズ、プリズム、ファイバー、光デイスク用基板、フィルター、光導波路、導光板等の光学材料として使用することが好ましい。
【実施例】
【0046】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、各実施例及び比較例における物性の評価は以下のようにして行った。
(1)屈折率(nD)及びアッベ数(νD
アタゴ社製アッベ屈折率計を用いて、20℃にて測定した。
(2)還元粘度(ηsp/C)
塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度(ηsp/C)を、離合社製自動粘度測定装置VMR−042を用い、自動粘度用ウッベローデ改良型粘度計(RM型)で測定した。
(3)粘度平均分子量
下記式(i)及び(ii)より算出した。
ηsp/C=[η](1+K’ηsp)・・・(i)
[η]=KMa・・・(ii)
ここで、
ηsp/C:還元粘度
[η]:極限粘度
C:ポリマー濃度(5g/リットル)
K’:定数(0.28)
K:定数(1.23×10-5
a:定数(0.83)
M:粘度平均分子量
(4)耐熱性
(i)DSCでガラス転移温度を測定した。
80℃未満を×、80℃以上〜100℃未満を△、100℃以上〜120℃未満を○、120℃以上を◎とした。
(ii)250℃、15分加熱前後での粘度平均分子量を測定した。
加熱前分子量を100とした時の加熱後の分子量相対値が95以上であるものを○、85以上95未満であるものを△、85未満であるものを×とした。
【0047】
合成例1
分子末端がクロロホーメート基である2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリチオカーボネート樹脂の合成法
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA;ビスA)74質量部を6質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液585質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリチオカーボネート樹脂(以後、ビスAオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0048】
合成例2
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ;ビスZ)87質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂(以後、ビスZオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0049】
合成例3
分子末端がクロロホーメート基である2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリチオカーボネート樹脂の合成法
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールCHA;ビスCHA)127質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリチオカーボネート樹脂(以後、ビスCHAオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0050】
合成例4
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールCHZ;ビスCHZ)140質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂(以後、ビスCHZオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0051】
合成例5
分子末端がクロロホーメート基である2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンポリチオカーボネート樹脂の合成法
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン(2,2−アダマンタンビスフェノール;ビス22Ad)104質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンポリチオカーボネート樹脂(以後、ビス22Adオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0052】
合成例6
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールEPZ;ビスEPZ)105質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂(以後、ビスEPZオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0053】
合成例7
分子末端がクロロホーメート基であるテルペンビスフェノールポリチオカーボネート樹脂の合成法
特開平9−68817号公報の合成例1の方法に従って、合成したテルペンビスフェノール混合物(テルペンビスフェノール;ビスTPP)105質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基であるテルペンビスフェノールポリチオカーボネート樹脂(以後、ビスTPPオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0054】
合成例8
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(トリメチルシクロヘキシルビスフェノール;ビスI)101質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂(以後、ビスIオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0055】
合成例9
分子末端がクロロホーメート基である4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノールポリチオカーボネート樹脂の合成法
4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール(BisPM)112質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノールポリチオカーボネート樹脂(以後、BisPMオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0056】
合成例10
分子末端がクロロホーメート基であるビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンポリチオカーボネート樹脂の合成法
ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(TBS)177質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基であるビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(以後、TBSオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0057】
合成例11
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン共重合ポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスZ)54質量部、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(FLC)47質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンポリチオカーボネート樹脂(以後、Z−FLCオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0058】
合成例12
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’ジヒドロキシジフェニルエーテル共重合ポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスZ)54質量部、4,4’ジヒドロキシジフェニルエーテル(DHPE)25質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’ジヒドロキシジフェニルエーテルポリチオカーボネート樹脂(以後、Z−DHPEオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0059】
合成例13
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’ジヒドロキシベンゾフェノン共重合ポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスZ)54質量部、4,4’ジヒドロキシベンゾフェノン(DHPK)27質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’ジヒドロキシベンゾフェノンポリチオカーボネート樹脂(以後、Z−DHPKオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0060】
合成例14
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’ジヒドロキシビフェニル共重合ポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスZ)54質量部、4,4’ジヒドロキシビフェニル(BP)23質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’ジヒドロキシビフェニルポリチオカーボネート樹脂(以後、Z−BPオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0061】
合成例15
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,7−ナフタレンジオール共重合ポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスZ)54質量部、2,7−ナフタレンジオール(27NP)16質量部を9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,7−ナフタレンジオールポリチオカーボネート樹脂(以後、Z−27NPオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0062】
合成例16
分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂の合成法
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールCZ;ビスCZ)96質量部を、9.4質量%濃度の水酸化カリウム水溶液607質量部に溶解した溶液と塩化メチレン334質量部とを混合して攪拌しながら、冷却下、該溶液中にホスゲンガスを4.2質量部/分の割合で15分間吹き込んだ。
次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基である1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリチオカーボネート樹脂(以後、CZオリゴマーと記載)の塩化メチレン溶液を得た。
【0063】
実施例1
上記ビスAオリゴマーの塩化メチレン溶液200mlに、塩化メチレンを加えて全量を450mlとした後、特願2003−193486号の実施例5に記載された方法により合成した下記構造のジチオール化合物
【化26】

(21.7g)、12.2質量%濃度の水酸化カリウム水溶液(150ml)を混合し、分子量調節剤であるp−tert−ブチルフェノール1.1gを加えた。
次いで、この混合液を激しく攪拌しながら、触媒として7質量%濃度のトリエチルアミン水溶液2mlを加え、28℃において攪拌下で1.5時間反応を行った。
反応終了後、反応生成物を塩化メチレン1Lで希釈し、次いで、水1.5Lで2回、0.01モル/Lの塩酸1Lで1回、水1Lで2回の順に洗浄後、有機層をメタノール中に投入し、析出したポリマーをろ過、乾燥し、ポリチオカーボネート樹脂(PC−1)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は、0.46dl/gであった。
還元粘度の測定は、離合社製自動粘度測定装置VMR−042を用い、自動粘度用ウッベローデ改良型粘度計(RM型)で測定した。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−1)の構造及び共重合組成は、1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化27】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0064】
実施例2
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにビスZオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−2)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は、0.42dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−2)の構造及び共重合組成は、1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化28】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0065】
実施例3
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例6に記載された方法により合成した下記構造のジチオール化合物
【化29】

(17.3g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−3)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は、0.49dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−3)の構造及び共重合組成は、1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化30】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0066】
実施例4
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにビスCHAオリゴマーを用いた以外は同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−4)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.45dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−4)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化31】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0067】
実施例5
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにビスCHZオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−5)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.47dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−5)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化32】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0068】
実施例6
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにビス22Adオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−6)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.41dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−6)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化33】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0069】
実施例7
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにビスEPZオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−7)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.44dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−7)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化34】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0070】
実施例8
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにビスTTPオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−8)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]は0.42dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−8)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した(下記構造の混合物)。
【化35】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0071】
実施例9
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにビスIオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−9)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.47dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−9)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化36】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0072】
実施例10
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにビスPMオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−10)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.42dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−10)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化37】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0073】
実施例11
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにTBSオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−11)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.41dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−11)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化38】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0074】
実施例12
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにZ−FLCオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−12)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.45dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−12)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化39】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0075】
実施例13
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにZ−DHPEオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−13)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.42dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−13)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化40】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0076】
実施例14
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにZ−DHPKオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−14)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.43dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−14)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化41】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0077】
実施例15
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにZ−BPオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−15)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.47dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−15)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化42】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0078】
実施例16
実施例1のビスAオリゴマーの代わりにZ−27NPオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−16)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.45dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−16)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化43】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0079】
実施例17
実施例1のジチオール化合物の代わりに、下記構造のジチオール化合物
【化44】

(17.3g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−17)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.49dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−17)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化45】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0080】
実施例18
実施例1のジチオール化合物の代わりに、下記構造のジチオール化合物
【化46】

(17.3g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−18)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.46dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−18)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化47】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0081】
実施例19
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例7に記載された方法により合成した下記構造のジチオール化合物
【化48】

(17.8g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−19)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.48dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−19)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化49】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0082】
実施例20
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例12に記載された方法により合成した下記構造のジチオール化合物
【化50】

(13.4g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−20)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.46dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−20)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化51】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0083】
実施例21
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例2に記載の下記構造のジチオール化合物
【化52】

(26.4g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−21)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.44dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−21)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化53】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0084】
実施例22
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例3に記載の下記構造のジチオール化合物
【化54】

(23.5g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−22)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.45dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−22)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化55】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0085】
実施例23
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例4に記載の下記構造のジチオール化合物
【化56】

(21.5g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−23)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.42dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−23)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化57】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0086】
実施例24
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例8に記載の下記構造のジチオール化合物
【化58】

(20.7g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−24)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.49dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−24)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化59】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0087】
実施例25
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例9に記載の下記構造のジチオール化合物
【化60】

(28.7g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−25)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]は0.42dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−25)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化61】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−1に示す。
【0088】
実施例26
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例10に記載の下記構造のジチオール化合物
【化62】

(31.9g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−26)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.45dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−26)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化63】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0089】
実施例27
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2003−193486号の実施例11に記載の下記構造のジチオール化合物
【化64】

(32.0g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−27)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.48dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−27)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化65】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0090】
実施例28
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例1に記載の下記構造のジチオール化合物(非対称ジチオール化合物の結合位置が異なる異性体の混合物)
【化66】

(40.8g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−28)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.42dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−28)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した(非対称ジチオール化合物の結合位置が異なる異性体の混合物の樹脂)。
【化67】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0091】
実施例29
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例2に記載の下記構造のジチオール
【化68】

(41.4g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−29)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.40dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−29)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化69】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0092】
実施例30
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例3に記載の下記構造のジチオール化合物
【化70】

(42.6g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−30)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.43dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−30)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化71】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0093】
実施例31
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例5に記載の下記構造のジチオール化合物
【化72】

(46.0g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−31)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.41dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−31)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化73】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0094】
実施例32
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例6に記載の下記構造のジチオール化合物
【化74】

(49.8g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−32)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.40dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−32)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化75】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0095】
実施例33
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例7に記載の下記構造のジチオール化合物
【化76】

(65.8g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−33)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.41dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−33)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化77】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0096】
実施例34
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例9に記載の下記構造のジチオール化合物
【化78】

(66.6g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−34)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.40dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−34)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化79】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0097】
実施例35
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例10に記載の下記構造のジチオール化合物
【化80】

(83.8g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−35)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.41dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−35)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化81】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0098】
実施例36
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例22に記載の下記構造のジチオール化合物
【化82】

(89.4g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−36)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.39dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−36)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化83】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0099】
実施例37
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例23に記載の下記構造のジチオール化合物
【化84】

(93.7g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−37)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.39dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−37)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化85】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0100】
実施例38
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例24に記載の下記構造のジチオール化合物
【化86】

(94.0g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−38)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.39dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−38)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化87】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0101】
実施例39
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例29に記載の下記構造のジチオール化合物
【化88】

(56.1g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−39)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.44dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−39)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化89】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0102】
実施例40
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例30に記載の下記構造のジチオール化合物
【化90】

(94.3g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−40)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.44dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−40)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化91】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0103】
実施例41
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例8に記載の下記構造のジチオール化合物
【化92】

(76.3g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−41)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.47dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−41)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化93】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0104】
実施例42
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例32に記載の下記構造のジチオール化合物
【化94】

(48.9g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−42)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.49dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−42)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化95】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0105】
実施例43
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例34に記載の下記構造のジチオール化合物
【化96】

(64.6g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−43)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.46dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−43)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化97】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0106】
実施例44
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例39に記載の下記構造のジチオール化合物
【化98】

(59.5g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−44)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.49dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−44)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化99】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0107】
実施例45
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例48に記載の下記構造のジチオール化合物
【化100】

(43.2g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−45)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.49dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−45)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化101】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0108】
実施例46
実施例39のビスAオリゴマーのかわりに、ビスZオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−46)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.52dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−46)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化102】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0109】
実施例47
実施例39のビスAオリゴマーのかわりに、ビスCZオリゴマーを用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−47)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.49dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−47)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化103】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0110】
実施例48
実施例1のジチオール化合物の代わりに、特願2004−119379号の実施例27に記載の下記構造のジチオール化合物
【化104】

(47.2g)を用いた以外は、同様の方法でポリチオカーボネート樹脂(PC−48)を得た。
この様にして得られたポリチオカーボネート樹脂の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]は0.46dl/gであった。
得られたポリチオカーボネート樹脂(PC−48)の構造及び共重合組成は1H−NMRスペクトルを測定し、下記のように決定した。
【化105】

得られたポリチオカーボネート樹脂を、熱プレス成形により厚さ0.2mmのフィルムを作製し、屈折率、及びアッベ数の測定を行った。
結果を表1−2に示す。
【0111】
比較例1
市販のビスフェノールAポリカーボネート樹脂(出光石油化学株式会社製:商品名タフロンA1900)
【化106】

を比較対象とした。
この還元粘度(ηsp/C)を測定したところ、0.47dl/gであった。
また、この重合体の屈折率及びアッベ数の測定結果、その外観、耐熱性を評価した結果を表1−2に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される繰返し単位を少なくとも含むポリチオカーボネート樹脂。
【化1】

〔式中、X及びYは、それぞれ独立に、−(CH2m1−、又は−(CH2m2−Q−(CH2m3−{Qは独立に酸素原子又はイオウ原子を表し、m1〜m3はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。]を表し、nは0〜6の数を表す。Wは一般式(2a)又は(2b)
【化2】

{式中、pは0〜4の整数を表す。但し、式中の五員環の結合位置は任意であり、かつエンド又はエキソの立体配置を任意にとり得る。}
で表される二価の基を表す。又、Zは単結合、−〔(CH2r1−Q〕r3−(CH2r2−{Qは独立に酸素原子又はイオウ原子を表し、r1、r2は、それぞれ独立に、0〜6の整数を表し、r3は、0〜6の数を表す。}、−O−、>C=O、又は下記の一般式(3)〜(6)のいずれかで表される二価の基を表す。又、Zは1つのWと2箇所以上で結合していてもよく、繰り返し単位ごとに異なった構造をとることができる。
【化3】

{式中、Qは、それぞれ独立に酸素原子又はイオウ原子を表し、n1〜n4は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。}、
【化4】

{式中、n5〜n6は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。}、
【化5】

[式中、Qは、それぞれ独立に酸素原子又はイオウ原子を表し、Lは−O−(CH2u1−O−{u1は1〜9の整数を表す。}、−O−〔(CHR)u3−O)u2−{Rは独立に水素原子又はメチル基を表し、u2は0〜6の数を表し、u3は1〜5整数を表す。t1〜t6は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、t7、t8は、それぞれ独立に、0又は1の整数を表す。}、−Q−(CH2n7−W−(CH2n8−Q−{n7、n8は、0〜4の整数を表す。}を表す。]
【化6】

{式中、Qは、それぞれ独立に、酸素原子又はイオウ原子を表し、Mは単結合、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数4〜12のシクロアルキレン基を表す。v1〜v6は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、v7、v8は、それぞれ独立に、0又は1の整数を表す。}〕
【請求項2】
下記一般式(7)
【化7】

(式中、Arは芳香族性の二官能基を表す。)
で表される繰返し単位を含む請求項1に記載のポリチオカーボネート樹脂。
【請求項3】
前記Arが、下記一般式(8)又は(9)で表される基である請求項2に記載のポリチオカーボネート樹脂。
【化8】

〔式中、R1は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基を表す。また、c1〜c2は、それぞれ独立に、0〜4の整数、d1〜d2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
Uは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CR34−{R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基である。}、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数5〜11のシクロアルキリデン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、置換基を有していてもよい9,9−フルオレニリデン基、置換基を有していてもよいトリシクロデカンの2価の残基、置換基を有していてもよいビシクロヘプタンの2価の残基、下記一般式(10)〜(12)のいずれかで表される天然テルペン類から誘導される二価の基、
【化9】

又は下記一般式(13)で表される炭素数8〜16のアルキリデンアリーレンアルキリデン基を表す。
【化10】

{式中、R2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基を表す。また、eは0〜4の整数である。}〕
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリチオカーボネート樹脂を用いた光学材料。


【公開番号】特開2006−56926(P2006−56926A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237513(P2004−237513)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】