説明

ポリヌクレオチドマーカー

本発明は、甜菜ゲノム中の抽苔遺伝子又はB遺伝子に密接に連鎖し、分子マーカーの開発に使用することができるポリヌクレオチドに関する。本発明は更に、甜菜ゲノム中の抽苔遺伝子又はS遺伝子のマッピング、同定及び単離に使用することができ且つ一年生遺伝子型と二年生遺伝子型との間を又は二年生遺伝子型を発現している甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別するために使用することができる、分子マーカー及び前記マーカーを含んで成るキットにも関する。本発明はまた、前記マーカーを含む甜菜植物のアッセイ及び育種法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甜菜種子のマーカー補助育種と品質管理の分野に関する。特に、本発明は、甜菜ゲノム内の抽苔遺伝子又はB遺伝子に密接に関連するか又はその内部に存在し、分子マーカーの開発に利用できるポリヌクレオチドに関する。本発明は更に、甜菜ゲノム中の抽苔遺伝子又はB遺伝子のマッピング、同定及び単離に使用することができそして一年生と二年生植物の遺伝子型間を又は二年生遺伝子型を表す甜菜の植物分類における異なるハプロタイプ間を識別することができる分子マーカー及び前記分子マーカーを含んで成るキットに関する。本発明は更に、過剰発現されているか又はダウンレギュレートされているB遺伝子を有するトランスジェニック植物が提供されるトランスジェニックアプローチに関する。
【背景技術】
【0002】
栽培される甜菜(Beta vugaris ssp.vulgaris L.)は、一年目に貯蔵根と葉ロゼットを形成する二年生植物である。芽の伸長(抽苔)及び花形成は低温期間の後に開始する。対照的に、多くのB. vulgaris ssp. maritima属の野生型ビートは、B遺伝子座における抽苔遺伝子Bの存在のために一年生的な成長習性を示し、該遺伝子は染色体IIの中心部にマッピングされる。遺伝子座Bの優性対立遺伝子は野生型ビートで豊富であり、劣性対立遺伝子を担持している二年生栽培種に通常必須である寒冷要件がなくても長期間に渡り抽苔を引き起こす(Abe他、1997)。
【0003】
Boting(茎伸長)は、植物性から生殖性成長への転移に際して明らかに観察できる第一段階である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
栽培される甜菜の場合、抽苔は収量の低下をもたらし収穫や砂糖抽出の間に問題を引き起こすために、望ましくない現象である。B対立遺伝子の不完全な浸透度とそれの環境依存性のため、密接に連鎖した分子マーカーを育種系におけるそれの存在についてスクリーニングする必要がある。
【0005】
甜菜の商業的種子生産は、しばしば一年生雑草ビートが生育している領域で行われ、それは種子製品に花粉混入を引き起こし、種子商品の一年生化を引き起こす。これは消費者に受け入れられない。一年生植物による混入を同定するために、種子を収穫した直後に、商業的な種子ロットを野生型一年生ビートが生育しない領域で栽培する。植物を春化処理せずに、ボルターの存在により混入を同定する。容易に結果を得ることができ、種子処理における費用削減をもたらすであろう、マーカーを使用するスクリーニングアッセイによるこの試験の置換は非常に望ましい。
【0006】
マーカー補助型アプローチは、甜菜育種において、例えば育種法を促進するために、又は野生型ビートから新品種を導入するために、有利に使用することもできる。それらの場合、B遺伝子に密接に連鎖したマーカーを獲得して、一年生又は二年生を正確に選択できることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、そのようなマーカーを開発する手段を提供する。
【0008】
特に、本発明は、変異体及びそれの誘導体を包含する甜菜ゲノム中に同定されたポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関し、該ポリヌクレオチドは抽苔遺伝子又はB遺伝子と遺伝的に密接に連鎖するか又はその中に位置する。本発明は更に、甜菜ゲノム中の抽苔遺伝子又はB遺伝子のマッピング、同定及び単離に使用することができるマーカーの開発のための前記ポリヌクレオチドの使用に関する。
【0009】
本発明の一観点では、本発明に係るポリヌクレオチドが甜菜の抽苔遺伝子(B遺伝子)関連表現型と完全な同時分離を示す。
【0010】
一態様では、本発明は、本発明に係る上述したような情報断片を含むポリヌクレオチドに関し、該ポリヌクレオチドはマーカーMP0176及びGJ01の1cM上流の距離に位置するゲノムDNA領域から得ることができ、そして甜菜の抽苔遺伝子(B遺伝子)関連表現型との完全な同時分離を示すマーカーGJ131と同時分離する。
【0011】
別の態様では、本発明は、本発明に係る上述したような情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関し、該ポリヌクレオチドはマーカーGJ131及びGJ01により同定された区間に位置するゲノムDNAから得ることができる。
【0012】
本発明の一態様では、情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドは、甜菜ゲノム中の抽苔遺伝子又はB遺伝子に遺伝的に連鎖した甜菜ゲノムDNAから得ることができ、そして次の要素の1つ又は複数を含んで成る:
a) 甜菜ゲノムDNA、特に配列番号2,3もしくは4に与えられるヌクレオチド配列又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%でそして少なくとも95%〜99%の配列同一性を有する配列を示す、ポリヌクレオチド断片を鋳型として使用した時、それぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-R、又はそれぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる配列と少なくとも90%、特に少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、そして99%までの配列同一性を有するプライマー対を用いたPCR反応における約0.5 kbの増幅生成物を与えるイントロン領域;
【0013】
b) 配列番号1又は配列番号52に示されるヌクレオチド配列と70%、特に75%、より好ましくは80%、更により好ましくは85%、特に90%で95%〜99%までの配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド断片;
c) 配列番号5に示されるヌクレオチド配列又は配列番号5又は配列番号51に示されるヌクレオチド配列と70%、特に75%、より好ましくは80%、更により好ましくは85%、特に90%で95〜99%までの配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド断片;
【0014】
d) スプライシング後に、配列番号6に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%、特に少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも98%で100%までの配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド断片;及び任意に加えて
e) NH2末端の近くにPRRR(Pseudo Response Regulator Receiver)ドメインモチーフをコードしそしてCOOH末端にCCTモチーフをコードする高度に保存された部分。
【0015】
一態様では、本発明は、鋳型として甜菜ゲノムDNAを使った時、それぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-R、又はそれぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる配列と少なくとも90%、特に少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、特に99%までの配列同一性を有するプライマー対を用いたPCR反応において約0.5 kbの増幅生成物を与えるイントロン領域を含んで成る、情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0016】
一態様では、本発明は、配列番号1に与えられたヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を表すポリヌクレオチド断片を含んで成る、情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0017】
一態様では、本発明は、配列番号2,3もしくは4に与えられたヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で95%〜99%までの配列同一性を有する配列を示すポリヌクレオチド断片を含んで成る、情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0018】
一態様では、本発明は、スプライシング後に、配列番号6に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも80%、特に少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも98%で100%までの配列同一性を有するポリペプチドをコードする、情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0019】
一態様では、本発明は、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列、又は配列番号5に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を含んで成る、情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0020】
一態様では、本発明は、配列番号51に与えられたヌクレオチド配列、又は配列番号51に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を含んで成る、情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0021】
一態様では、本発明は、配列番号52に与えられたヌクレオチド配列、又は配列番号52に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を含んで成る、情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0022】
上記に言及した70%〜99%の範囲に入る個々の数値、即ち71%、72%、73%、74%、75%……90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%は、同様に本発明により包含されるであろう。
【0023】
一態様では、本発明は、情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号1に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成るポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0024】
一態様では、本発明は、情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号2,3又は4に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成るポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0025】
一態様では、本発明は、情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、前記ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号5に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成るポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0026】
一態様では、本発明は、情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号51に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成るポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0027】
一態様では、本発明は、情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号6に与えられたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成るポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0028】
一態様では、本発明は、情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号52に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成るポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0029】
本発明の一態様では、情報断片を含むポリヌクレオチドであって、
a) それぞれ配列番号7と配列番号8に与えられた正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-R、又はそれぞれ配列番号7と配列番号8に与えられた配列と少なくとも90%、特に少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、特に99%までの配列同一性を有するプライマー対を使って、特に下記条件:
・95℃で5分間の1次変性に続き、
・95℃で30秒間の35の増幅サイクル、
・60℃で30秒間、
・72℃で30秒間、続いて
・72℃で5分間
の下でのPCR反応において、二年生の商業的栽培品種H20から作製されたBACライブラリーをスクリーニングし;
【0030】
b) 配列番号1に与えられたEST CV301305と配列相同性を共有する2つの非重複コンテイグを含んで成るBAC SBA079-L24を選択し、そしてそれらを2つの単一配列に結合し;
c) 配列番号1に与えられたEST CV301305へのBAC配列コンティグの整列に基づいてそしてアブラナ科ArabidopsisからのPRR7遺伝子との配列相同性に基づいて、イントロンとエキソンを含んで成るビートBvPRR7遺伝子の遺伝子構造物を獲得する
ことにより、該ポリヌクレオチドが甜菜ゲノム中の抽苔遺伝子又はB遺伝子と遺伝的に連鎖した甜菜ゲノムDNAから得ることができるポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドが提供される。
【0031】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号1に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る。
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号2に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る。
【0032】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号3に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る。
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号4に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る。
【0033】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る。
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番51に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る。
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号52に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る。
【0034】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にAを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にAを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子1を表す。
【0035】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にTを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にAを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にGを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子2を表す。
【0036】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にGを、11143位にTを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にGを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子3を表す。
【0037】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にTを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にAを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子4を表す。
【0038】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にAを、12127位にTを、12193位にAを、12337位にAを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子5を表す。
【0039】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にAを、12337位にAを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子6を表す。
【0040】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にAを、3954位にAを、5284位にCを、5714位にTを、10954位にAを、11043位にGを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にCを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にGを、12053位にAを、12086位にGを、12127位にCを、12193位にGを、12337位にGを、そして12837位にAを有し、二年生対立遺伝子7を表す。
【0041】
特定の態様では、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号6に与えられたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る。
【0042】
一態様では、本発明は、鋳型として甜菜ゲノムDNAを使って、それぞれ配列番号7と配列番号8に与えられた正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-Rを用いたPCR反応において得ることができる、情報断片を含む約0.5 kbの増幅生成物に関する。
【0043】
本発明の特定態様では、複数の個々のマーカーを含んで成る一組のポリヌクレオチドマーカーが提供され、前記マーカーは上記に開示したような対立遺伝子変異体1〜7のいずれかを含む配列番号5に与えられたポリヌクレオチドに基づいて開発され、そして表5に与えられるヌクレオチド位置の様々なSNPsを検出することができ、前記一組のマーカーは異なる対立遺伝子を同定することができ、よって一年生と二年生甜菜系列間を識別することができる。
【0044】
一態様では、本発明は1もしくは複数のプローブ分子及び/又は1もしくは複数のプライマー、特に1もしくは複数のプライマー対、更に特に正プライマーと逆プライマーとから成る1もしくは複数のプライマー対であって、該プライマーはB遺伝子に遺伝的に密接に連鎖した甜菜ゲノムのゲノム領域内のヌクレオチド配列、特にB遺伝子内の一領域中のヌクレオチド配列にアニーリングすることができ、そして本発明に係る上述したような情報断片を含むポリヌクレオチドを含んで成り、前記情報断片は多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づいた多型、特にSNPに基づいた多型を含んで成り、前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする。
【0045】
本発明の一態様では、ポリヌクレオチドマーカーが提供され、該マーカーは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号51、配列番号52に与えられたポリヌクレオチド及び配列番号6に与えられたアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの群から選択されたポリヌクレオチド分子又はそれの情報断片から開発することができ、ここで前記ポリヌクレオチドは1又は複数の多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づいた多型、特にSNPに基づいた多型を含んで成り、前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする。
【0046】
本発明の特定の態様では、配列番号2に与えられたポリヌクレオチドに基づいて開発されたポリヌクレオチドマーカーが提供され、該マーカーはBvPRR7遺伝子の第三イントロン中の次のSNPの少なくとも1つを検出することができ:
a) 87位のシトシン又はチミン
b) 160位のシトシン又はチミン
c) 406位のアデニン又はグアニン
よって一年生と二年生ハプロタイプ間を識別することができる。
【0047】
一態様では、前記ポリヌクレオチドマーカーは、1もしくは複数のプローブ分子及び/又は1もしくは複数のプライマー、特に1もしくは複数のプライマー対、特にB遺伝子に遺伝的に密接に連鎖した甜菜ゲノムのゲノム領域中のヌクレオチド配列にアニーリングすることができそして配列番号2に示されたヌクレオチド配列を表し、そしてそれの情報断片を増幅することができる正プライマーと逆プライマーとから成るプライマー対により表され、前記情報断片は1又は複数の多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づいた多型、特に例えば表1に示されたSNPに基づいた多型を含んで成り、前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする。
【0048】
特定の態様では、本発明に係る上述したような一対のプライマーが提供され、該一対のプライマーは配列番号2に与えられた第三イントロン中のヌクレオチド配列にアニールし、且つ多型、特に87位にC/T SNPを及び/又は160位にC/T SNPを及び/又は406位にA/G SNPを含んで成る多型を含んで成る前記領域から情報断片を増幅する。
【0049】
特に、一対のプライマーは、SNP#160、SNP#87及びSNP#406を含んで成る断片を増幅するための配列番号7に与えられた正プライマーPRR7-Fと配列番号8に与えられた逆プライマーPRR7-Rとを含んで成る。
【0050】
一態様では、本発明に係るポリヌクレオチドマーカーは、1もしくは複数のプローブ分子及び/又は1もしくは複数のプライマー、特に1もしくは複数のプライマー対、特にB遺伝子に遺伝子上密接に関連した甜菜ゲノムのゲノム領域中のヌクレオチド配列にアニーリングすることができそして配列番号5に示されたヌクレオチド配列を表し、そしてそれの情報断片を増幅することができる正プライマーと逆プライマーとから成るプライマー対により表され、前記情報断片は1又は複数の多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づいた多型、特に例えば表5に示されるSNPに基づいた多型を含んで成り、前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする。
【0051】
特定の態様では、配列番号5に与えられたBvPRR7遺伝子のコード領域内のヌクレオチド配列にアニーリングしそして多型、特に3827位のA/C SNP及び/又は3954位のA/T SNP及び/又は5714位のT/G SNP及び/又は11220位のC/A SNP及び/又は11391位のG/A SNP及び/又は12053位のA/G SNP及び/又は12127位のC/T SNPを含んで成る多型を含んで成る前記コード配列から情報断片を増幅する。
【0052】
特に、第一のプライマー対は、SNP#3827とSNP#3954を含んで成る断片を増幅するための配列番号27に与えられた正プライマーF3806と配列番号28に与えられた逆プライマーR3807を含んで成る。
【0053】
第二のプライマー対は、SNP#5714を含んで成る断片を増幅するための配列番号21に与えられた正プライマーF3768と配列番号22に与えられた逆プライマーR3769とを含んで成る。
【0054】
第三のプライマー対は、SNP#11220を含んで成る断片を増幅するための配列番号37に与えられた正プライマーF3857と配列番号38に与えられた逆プライマーR3858とを含んで成る。
【0055】
第四のプライマー対は、SNP#11391を含んで成る断片を増幅するための配列番号39に与えられた正プライマーF3859と配列番号40に与えられた逆プライマーR3860とを含んで成る。
【0056】
第五のプライマー対は、SNP#12053とSNP#12127を含んで成る断片を増幅するための配列番号41に与えられた正プライマーF3861と配列番号42に与えられた逆プライマーR3862とを含んで成る。
【0057】
一態様では、本発明に係るポリヌクレオチドマーカーは、1もしくは複数のプローブ分子及び/又は1もしくは複数のプライマー、特に1もしくは複数のプライマー対、特にB遺伝子に遺伝的に密接に連鎖した甜菜ゲノムのゲノム領域中のヌクレオチド配列に、特にB遺伝子を有するヌクレオチド配列に、特にPRR7遺伝子のプロモーター領域中のヌクレオチド配列に、特にそれぞれ配列番号5と配列番号51に示されたPRR7遺伝子のプロモーター領域にアニーリングすることができ、特にそしてそれの情報断片を増幅することができる正プライマーと逆プライマーから成るプライマー対により表され、B遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生と二年生遺伝子型を有する植物の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする。
【0058】
本発明の特定の態様では、0.6 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3808(配列番号29)とR3809(配列番号30);1.0 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3855(配列番号35)とR3809(配列番号30);0.8 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3855(配列番号35)とR3856(配列番号36)(表4)から成る群より選択されたプライマー対によって表されたポリヌクレオチドマーカーであって、ただし二年生系列からのゲノムDNAが鋳型として使用され、一年生系列には増幅を提供しないという前提を有するポリヌクレオチドマーカーが提供される。
【0059】
前記情報断片は1又は複数の多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づいた多型、特にSNPに基づいた多型をさらに含んで成り、B遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生と二年生遺伝子型を有する植物の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を認識できるようにする。
【0060】
本発明はさらに、1もしくは複数のプローブ分子及び/又は1もしくは複数のプライマー、特に1もしくは複数のプライマー対、特にB遺伝子に遺伝的に密接に連鎖した甜菜ゲノムのゲノム領域中のヌクレオチド配列に、特にB遺伝子を有するヌクレオチド配列に、特にPRR7遺伝子のプロモーター領域中のヌクレオチド配列に、特にそれぞれ配列番号5と配列番号51に示されたPRR7遺伝子のプロモーター領域にアニーリングすることができ、特にそしてそれの情報断片を増幅することができる正プライマーと逆プライマーから成るプライマー対に関し、B遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生と二年生遺伝子型を有する植物の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする。
【0061】
本発明の別の特定の態様では、0.6 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3808(配列番号29)とR3809(配列番号30);1.0 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3855(配列番号35)とR3809(配列番号30);0.8 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3855(配列番号35)とR3856(配列番号36)(表4)から成る群より選択されたプライマー対であって、ただし二年生系列からのゲノムDNAが鋳型として使用され、一年生系列には増幅を提供しないという前提を有するプライマー対が提供される。
【0062】
上記プローブ分子及び/又はプライマーは、市販の甜菜種子における一年生の混入を同定する方法において使用することができる。
【0063】
一態様では、本発明は、一組のプローブポリヌクレオチドであって、多型部位を含んで成りそして重複の領域中の1塩基又は2塩基の塩基不対合によってのみ異なる部分的に重複する断片を増幅する、本発明に係る上述した情報ポリヌクレオチド断片内の部分領域に相補的である少なくとも2つの別々のプローブ分子を含んで成る一組のプローブポリヌクレオチドに関し、ここで第一のプローブ、特に第一の蛍光色素で標識されたプローブ、更に特には第一の蛍光色素と消光剤で標識されたプローブは一方の対立遺伝子を表し、そして第二のプローブ、特に第一の色素とは異なる第二の蛍光色素で標識された第二のプローブ、更に特には第二の蛍光色素と消光剤で標識された第二のプローブはもう一方の対立遺伝子を表す。
【0064】
本発明の特定態様では、前記情報ポリヌクレオチド断片は多型を含んで成り、前記多型は配列番号5に与えられたPRR7遺伝子のPRR(Pseudo-receiver)領域内のSNP#3827に基づいており、そして第一の蛍光色素で標識された第一のプローブ分子は配列番号47に与えられたヌクレオチド配列を有し、そして第二の蛍光色素で標識された第二のプローブ分子は配列番号48に与えられたヌクレオチド配列を有する。
【0065】
一態様では、本発明は、甜菜ゲノム中の多型を検出するための対立遺伝子識別アッセイで使用できるマーカーを開発するための本発明に係る上述したポリヌクレオチド、又はそれの任意の情報断片の使用であって、前記多型がB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生遺伝子型と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする甜菜ゲノム中の多型を検出するための又は甜菜ゲノムにB遺伝子をマッピングするための対立遺伝子識別アッセイにおいて使用することができるマーカーを開発するための使用に関する。
【0066】
特定の態様では、本発明は、甜菜ゲノム中の多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づく多型を検出するための対立遺伝子識別アッセイにおける本発明に係る上述した1又は複数のプライマー、特に1又は複数のプライマー対の使用であって、前記多型がB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生遺伝子型と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにするという使用に関する。
【0067】
本発明の別の特定の態様では、本発明に係る上述した一組のプローブも、前記対立遺伝子識別アッセイにおいて使用することができる。
【0068】
一態様では、本発明は、甜菜植物における一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) B遺伝子に遺伝的に密接に連鎖しそして本発明に係る上述したポリヌクレオチドの配列に相補的であるか又は該配列を含んで成る甜菜ゲノムのゲノム領域のヌクレオチド配列を分析し;そして
c) 前記配列を、二年生表現型及び一年生表現型と関連することが知られている対立遺伝子配列とそれぞれ比較する
ことを含んで成る方法に関する。
【0069】
一態様では、本発明は、甜菜植物における一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) プライマー、特にBvPRR7遺伝子のプロモーター領域、特に配列番号51に開示されたBvPRR7のプロモーター領域に存在するヌクレオチド配列に相補的であり且つそれに結合するプライマー対を使って前記試料DNAを増幅し;そして
c) 前記配列を、二年生表現型に関連するが一年生表現型には関連しないことが知られている対立遺伝子配列と比較する
ことを含んで成る方法に関する。
【0070】
一態様では、本発明は、甜菜植物における一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) 前記試料DNAを、二年生対立遺伝子には存在するが一年生対立遺伝子には存在しないことが知られている対立遺伝子特異的配列、特にBvPRR7遺伝子、特に配列番号51に開示されたBvPRR7のプロモーター領域からの対立遺伝子特異的配列を含んで成るプローブ分子を用いて探査する
ことを含んで成る方法に関する。
【0071】
本発明の特定の態様では、0.6 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3808(配列番号29)とR3809(配列番号30);1.0 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3855(配列番号35)とR3809(配列番号30);0.8 Kbの増幅生成物を与えるプライマー対F3855(配列番号35)とR3856(配列番号36)(表4)から成る群より選択されたプライマー対が前記方法で使用され、ただし二年生系列からのゲノムDNAが鋳型として使用され、一年生系列には増幅を提供しない。
【0072】
一態様では、本発明は、二年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の特定のハプロタイプを同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) B遺伝子に遺伝的に密接に連鎖し且つ本発明に係る上述したポリヌクレオチド配列に相補的であるか又は該配列を含んで成る甜菜ゲノムのゲノム領域のヌクレオチド配列を分析し;そして
c) 前記配列を、特定のハプロタイプに関連することが知られている対立遺伝子配列と比較する
ことを含んで成る方法に関する。
【0073】
特定の態様では、配列分析は、ポリヌクレオチド又はそれの情報断片に基づいた分子マーカー、又は1もしくは複数のプライマー、特に1もしくは複数のプライマー対、特に正プライマーと逆プライマーから成る本発明に係る上述した1もしくは複数のプライマー対を使って実施される。
【0074】
別の特定の態様では、甜菜植物の一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) 配列番号7に与えられた正プライマーPRR7-F及び配列番号8に与えられた逆プライマーPRR7-Rに基づいたPCR増幅により甜菜ゲノムから得られるイントロン領域のヌクレオチド配列を分析し;そして
c) 前記配列を、二年生表現型及び一年生表現型とそれぞれ関連することが知られている対立遺伝子配列と比較する
ことを含んで成る方法が提供される。
【0075】
一態様では、イントロン領域は、配列番号2に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも70%、特に少なくとも75%、更に好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%の配列同一性を有する。
【0076】
更に別の特定態様では、イントロン領域は配列番号2に示されたヌクレオチド配列を有する。
【0077】
別の特定態様では、甜菜植物の一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) 配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を含んで成るゲノム領域のヌクレオチド配列を分析し;
c) 前記配列を、二年生表現型及び一年生表現型とそれぞれ関連することが知られている対立遺伝子配列と比較し;そして
d) 前記ゲノム試料が一年生表現型を表すゲノムからか二年生表現型を表すゲノムからかを決定する
ことを含んで成る方法が提供される。
【0078】
更に別の特定態様では、甜菜植物からのゲノム試料において、本発明に係る上述したポリヌクレオチドのイントロン領域を、多型部位を含んで成ることが知られている前記イントロン領域内の部分領域に隣接する正プライマーと逆プライマーを使って分析し、前記部分領域を増幅し、そして増幅された断片を、二年生表現型及び一年生表現型それぞれと関連することが知られている対立遺伝子配列と比較することを含んで成る方法が提供される。
【0079】
別の特定態様では、上述したように、少なくとも1つの不正対合、特に隣接部位に置かれた2以上の不正対合、特に単一の不正対合により異なっている2つの別々のプローブ分子を含んで成る前記SNPに基づいて、一組のプローブポリヌクレオチドが設計されるという方法が提供され、ここで第一のプローブ分子、特に標識されたプローブ分子、更に特別には第一の蛍光色素と消光剤で標識された第一のプローブ分子が一方の対立遺伝子を表し、そして第二のプローブ分子、特に標識されたプローブ分子、更に特別には第一の色素とは異なる第二の蛍光色素と消光剤で標識された第二のプローブ分子がもう一方の対立遺伝子を表し、そして前記一組のプローブポリヌクレオチドは2つの対立遺伝子変異体間を識別するために使用される。
【0080】
特に、本発明に係るマーカーは、対立遺伝子識別アッセイ、特に二年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別するためのアッセイにおいて使用することができる。前記アッセイは、配列番号7と配列番号8にそれぞれ与えられた正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-Rに基づいたPCR増幅により得られるBvPRR7遺伝子の部分領域に相補的である2つの別々のプローブ分子を含んで成る一組のプローブポリヌクレオチドに基づいており、前記プローブ分子は一塩基不正対合、特に631位での一塩基不正対合によってのみ異なる。
【0081】
第一のプローブ分子、特に配列番号9に示された配列を有しそして第一の蛍光色素、例えばFAM、より詳しくは第一の蛍光色素と消光剤により標識されているプローブ分子が一方の対立遺伝子を表し、そして第二のプローブ分子、特に配列番号10に示された配列を有しそして第一の色素とは異なる第二の蛍光色素、例えばVIC、より詳しくは第二の蛍光色素と消光剤により標識されているプローブ分子がもう一方の対立遺伝子を表す。
【0082】
一態様では、対立遺伝子識別アッセイは、一年生表現型と同時分離する甜菜ゲノムのゲノム領域中の多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づいた多型、特にSNPに基づいた多型を検出するために提供され、ここで前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生遺伝子型と二年生遺伝子型の間を識別できるようにし、本発明に係る上述したポリヌクレオチドに基づいて開発された分子マーカー又はそれの任意情報断片を含んで成る。
【0083】
特定の態様では、前記分子マーカーが本発明に係る上述した一対のプライマーを含んで成る。
【0084】
別の特定の態様では、対立遺伝子識別アッセイが、配列番号7に与えられた正プライマーPRR7-Fと配列番号8に与えられた逆プライマーPRR7-Rに基づいたPCR増幅により甜菜ゲノムから得られるイントロン領域中の一塩基多型を検出するために提供され、該アッセイは本発明に係る上述した一組のプライマー及び/又はプローブポリヌクレオチドを含んで成る。
【0085】
一態様では、イントロン領域は、配列番号2に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも70%、特に少なくとも75%、更に好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する。
【0086】
更に別の特定態様では、イントロン領域は配列番号2に示されるヌクレオチド配列を有する。
【0087】
一態様では、本発明は、甜菜ゲノム中の一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定するために使用できる分子マーカーを開発するための、本発明に係る上述したポリヌクレオチドの使用であって、
a) 前記ポリヌクレオチドの多型部位を同定し;
b) 前記多型を甜菜中の一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在と関連付け;
c) 1つのプローブ分子又は複数のプローブ分子、特に1つのプライマー又は複数のプライマー、特に一対のプライマー又は複数のプライマー対、特に対立遺伝子識別アッセイに使用することができる前記多型部位を含んで成るポリヌクレオチドの増幅のためのこの多型部位に隣接するヌクレオチド配列を認識する正及び逆プライマー、をデザインする
ことを含んで成る使用に関する。
【0088】
一態様では、本発明は、植物試料中の一年生対立遺伝子の存在又は不在を決定するためのマーカーとして本発明に係る上述したポリヌクレオチド又はそれの情報断片を使って、市販の種子における一年生の混入を同定する方法に関する。
【0089】
特に、本発明は、市販の種子における一年生の混入を同定するためのマーカーとして本発明に係る上述したポリヌクレオチド又はそれの情報断片を使って、市販の種子における一年生の混入を同定する方法に関する。
【0090】
一態様では、本発明は、本発明に係る上述したマーカー補助対立遺伝子識別アッセイを使って、市販の種子における一年生の混入を同定する方法に関する。
【0091】
本発明は更に、一年生又は非抽苔表現型を発現する植物を作製するための、トランスジェニックアプローチにおけるB遺伝子、特にBvPRR7遺伝子の使用に関する。
【0092】
特に、本発明は、調節要素の調節下に、特に植物において機能的な調節要素の調節下に、B遺伝子のコード配列、特に配列番号1に与えられたBvPRR7コード配列、特に配列番号52に与えられた配列又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を含んで成る発現カセットを含むキメラ構成物に関する。
【0093】
一態様では、本発明は、一年生プロモーター及びターミネーター、例えばPRR7遺伝子、特にベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)のPRR7遺伝子に与えられたものの調節下に、B遺伝子のコード配列、特に配列番号1に与えられたBvPRR7コード配列、特に配列番号52に与えられた配列又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を含んで成る発現カセットを含むキメラ構成物に関する。
【0094】
本発明の一態様では、上述したキメラ構成物は、選択方法において形質転換済みの植物材料と未形質転換の植物材料とを識別可能にする選択マーカー遺伝子を更に含有してもよい。
【0095】
一態様では、本発明のキメラ構成物は、負の選択マーカー、特に植物毒性化合物、例えば抗生物質又は除草剤に対する耐性をコードする選択マーカーを含んで成る。
【0096】
一態様では、本発明のキメラ構成物は、正の選択マーカー、特に、未形質転換植物を上回る選択的利点、特に栄養上の利点、例えばホスホマンノースイソメラーゼ遺伝子、キシロースイソメラーゼ遺伝子、を有する形質転換植物を提供する酵素をコードする選択マーカーを含んで成る。
【0097】
本発明の一態様では、形質転換ベクター及び/又は発現ベクター、特に本発明の上述したキメラ構成物を含んで成る植物形質転換ベクター及び/又は発現ベクターが提供される。
【0098】
本発明の一態様では、植物細胞、特に、本発明に係る上述したキメラポリヌクレオチド構成物又はベクター分子を含んで成る甜菜の植物細胞が提供される。
【0099】
本発明の一態様では、植物、特に、B遺伝子タンパク質、特に植物が一年生表現型を表すBvPRR7タンパク質を発現する本発明の植物細胞を含んで成る甜菜植物が提供される。
【0100】
本発明の一態様では、BvPRR7遺伝子発現のトランスジェニック抑制、特にアンチセンス又はRNAiアプローチを通したトランスジェニック抑制のためのポリヌクレオチド構成物が提供される。
【0101】
本発明の一態様では、B遺伝子タンパク質、特にBvPRR7タンパク質をコードするDNA配列の転写により生産されるmRNAを分解に向けて標的指向することができるdsRNAをコードするヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド構成物が提供される。
【0102】
一態様では、B遺伝子のコード配列の少なくとも一領域、特に配列番号1、特には配列番号52に与えられたBvPRR7遺伝子のコード領域又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列、と実質的に同一であるdsRNAをコードするヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド構成物が提供される。
【0103】
本発明の一態様では、B遺伝子のコード配列の一断片、特に配列番号1、特には配列番号52に与えられたBvPRR7遺伝子のコード領域の断片又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を、構成プロモーター、例えばアラビドプシス(Arabidopsis)からのUbi3プロモーターの調節下のRNAiカセットへと集成されて含んで成るポリヌクレオチド構成物が提供される。
【0104】
本発明の一態様では、上述した本発明のポリヌクレオチド構成物を含んで成る形質転換ベクター及び/又はRNAi発現ベクター、特に植物形質転換ベクター及び/又は発現ベクターが提供される。
【0105】
本発明の一態様では、上述した本発明に係るポリヌクレオチド構成物又はベクター分子を含んで成る植物細胞が提供される。
【0106】
本発明の一態様では、抽苔が抑制されそして植物が非抽苔表現型を発現するように本発明の植物細胞を含んで成りそしてdsRNAを発現する本発明の植物細胞を含んで成る植物、特に甜菜植物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】様々な種間のRECドメイン及び甜菜EST CV301305の推定RECドメインのアミノ酸配列比較を示す。同一アミノ酸は黒色で;保存アミノ酸は灰色で;僅かに類似のアミノ酸は薄灰色で;そして非類似アミノ酸は白色で示される。Bb、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica);Bs、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis);Bv、ベータ・ブルガリス(Beta vulgaris);Ec、エシェリキア・コリ(Escherichia coli);Kp、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae);Pa、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa);Rc、ロドバクター・カプスラツス(Rodobacter capsulatus);Sc、ストレプトマイセス・セリコロル(Streptomyces coelicolor);Sf、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri);St、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhmurium)。
【0108】
【図2】アラビドプシス(Arabidopsis)PRR7タンパク質及び甜菜EST CV301305からの推定部分タンパク質のアミノ酸配列比較。同一アミノ酸は黒色で;類似アミノ酸は灰色でそして非類似アミノ酸は白色で囲まれている。
【0109】
【図3−1】アラビドプシスPRR7遺伝子と甜菜EST CV301305のゲノム及びmRNA配列間の配列の整列。アラビドプシスとベータ・ブルガリス(Beta vulgaris L.)間で保存されたヌクレオチドは灰色で示される。イントロンはダッシュで表される。
【図3−2】アラビドプシスPRR7遺伝子と甜菜EST CV301305のゲノム及びmRNA配列間の配列の整列。アラビドプシスとベータ・ブルガリス(Beta vulgaris L.)間で保存されたヌクレオチドは灰色で示される。イントロンはダッシュで表される。
【0110】
【図4】甜菜染色体IIの遺伝子地図。マーカー名は染色体の右側に与えられ、累積遺伝子距離は左側に示される。
【0111】
【図5】推定エキソンとイントロンを示すBvPRR7遺伝子の遺伝子構造の概略。EST CV301305により包含される領域は黒色の矢印により示される。
【0112】
【図6】アラビドプシス(Arabidopsis)PRR遺伝子ファミリー構成員及びBvPRR7タンパク質のアミノ酸配列比較。同一アミノ酸は黒色で;保存アミノ酸は灰色で;僅かに類似のアミノ酸は薄い灰色で;そして非類似アミノ酸は白色で示される。REC及びCCTモチーフは枠で囲まれている。
【0113】
【図7】別の開花植物からの関連タンパク質とBvPRR7との系統発生学的関係。BvPRR7の推定アミノ酸配列が、ClustalWを使って下記に記載のタンパク質と整列され、そして未定義の系統発生学的系統樹が作製される。Neibor-Joininig法(Saitou & Nei, 1987)を使って発生歴を推測した。1000の複製物から推測されたブートストラップ共通系統樹を、分析した分類群の発生歴を表すために取る(Feisenstein, 1985)。50%未満のブートストラップにおいて再生される区分に相当する分枝を崩壊させる。関連する分類群がブートストラップ試験(1000複製物)において一緒にクラスター形成した複製物の割合は、その分枝の隣に表示される。この系統樹は、発生学的系統樹を推測するのに使用した発生距離のものと同じ単位の分枝長を使ってスケールように描かれる。発生距離は、Poisson補正法(Zuckerkandl & Pauling, 1965)を使って計算され、それは一部位あたりのアミノ酸置換の数の単位である。ギャップを含む全ての位置と欠失データは、データセット(完全欠失オプション)から推定された。最終のデータセットには合計352位置が含まれた。発生学的分析はMEGA4ソフトウエア(Tamura他、2007)で行った。PRR3にはアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)PRR3(NP-568919);PRR5にはアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)PRR5(NP 568446);PRR7にはアラビドプシス・タリアナPRR7(NP 568107);PRR9にはアラビドプシス・タリアナPRR9(NP 566085)、TOC1にはアラビドプシス・タリアナTOC1/PRR1(NP 200946);HvPPD-H1、ホルデウム・ブルカレ(Hordeum vulgare)PPD-H1(AAY17586);Os PRR37、オリザ・サチバ(Oryza sativa)PRR37(Q0D3B6);Ta PPD-D1、トリチカム・エスチブム(Triticum aestivum)PPD-D1(ABL09477)。
【0114】
【図8】長期間(16時間採光、8時間遮光)に渡り一定温度18℃で生育させた二年生甜菜植物におけるBvPRR7の遺伝子発現プロフィール。値はゲノム平均化分析(Vandesompele他、2002)によりBvBTU及びBvlCDH参照遺伝子に対して標準化された相対発現レベルとして表された。
【0115】
【図9】一年生BvPRR7プロモーター断片の調節下でのBvPRR7 cDNAの形質転換用の二元ベクターのプラスミド地図。選択可能マーカーは、HSP80プロモーター(Brunke & Wilson, 1993)の調節下のPMI遺伝子から成った。
【0116】
【図10】RNAiによるBvPRR7のトランスジェニック抑制のための二元ベクターのプラスミド地図。BvPRR7の逆転反復配列は、ジャガイモからのStLS1遺伝子(Eckes他、1986;Vancanneyt他、1990)の第二イントロンにより分割された、アンチセンス方向とセンス方向の両方でUbi3プロモーター(Norris他、1993)とNosターミネーターの間にクローニングされた0.6 Kb cDNA断片から成った。選択可能マーカーは、HSP80プロモーター(Brunke & Wilson, 1993)の調節下のPMI遺伝子から成った。
【0117】
配列
配列番号1はEST CV301305のヌクレオチド配列を示す。
配列番号2はBvPRR7のイントロン3のヌクレオチド配列とマッピング用のそれの対立遺伝子変異を表す。
【0118】
配列番号3はBvPRR7の対立遺伝子変異体1(ハプロタイプ#1)のイントロン3のヌクレオチド配列を表す。
配列番号4はBvPRR7の対立遺伝子変異体2(ハプロタイプ#2)のイントロン3のヌクレオチド配列を表す。
【0119】
配列番号5はBvPRR7のゲノムヌクレオチド配列を表す。
配列番号6はBvPRR7の推定アミノ酸配列を表す。
【0120】
配列番号7はプライマーPRR7-Fのヌクレオチド配列を表す。
配列番号8はプライマーPRR7-Rのヌクレオチド配列を表す。
配列番号9はプローブPRR7(T1)-FAMのヌクレオチド配列を表す。
配列番号10はプローブPRR7(T1)-VICのヌクレオチド配列を表す。
配列番号11は正プライマーBvPRR7のヌクレオチド配列を表す。
配列番号12は逆プライマーBvPRR7のヌクレオチド配列を表す。
【0121】
配列番号13は正プライマーBvBTUのヌクレオチド配列を表す。
配列番号14は逆プライマーBvBTUのヌクレオチド配列を表す。
配列番号15は正プライマーBvlCDHのヌクレオチド配列を表す。
配列番号16は逆プライマーBvlCDHのヌクレオチド配列を表す。
配列番号17はプライマーF3766のヌクレオチド配列を表す。
配列番号18はプライマーR3767のヌクレオチド配列を表す。
【0122】
配列番号19はプライマーF3354のヌクレオチド配列を表す。
配列番号20はプライマーR3355のヌクレオチド配列を表す。
配列番号21はプライマーF3768のヌクレオチド配列を表す。
配列番号22はプライマーR3769のヌクレオチド配列を表す。
配列番号23はプライマーF3782のヌクレオチド配列を表す。
配列番号24はプライマーR3783のヌクレオチド配列を表す。
【0123】
配列番号25はプライマーF3784のヌクレオチド配列を表す。
配列番号26はプライマーR3785のヌクレオチド配列を表す。
配列番号27はプライマーF3806のヌクレオチド配列を表す。
配列番号28はプライマーR3807のヌクレオチド配列を表す。
配列番号29はプライマーF3808のヌクレオチド配列を表す。
配列番号30はプライマーR3809のヌクレオチド配列を表す。
【0124】
配列番号31はプライマーF3810のヌクレオチド配列を表す。
配列番号32はプライマーR3811のヌクレオチド配列を表す。
配列番号33はプライマーF3853のヌクレオチド配列を表す。
配列番号34はプライマーF3854のヌクレオチド配列を表す。
配列番号35はプライマーF3855のヌクレオチド配列を表す。
配列番号36はプライマーR3856のヌクレオチド配列を表す。
【0125】
配列番号37はプライマーF3857のヌクレオチド配列を表す。
配列番号38はプライマーR3858のヌクレオチド配列を表す。
配列番号39はプライマーF3859のヌクレオチド配列を表す。
配列番号40はプライマーR3860のヌクレオチド配列を表す。
配列番号41はプライマーF3861のヌクレオチド配列を表す。
配列番号42はプライマーR3862のヌクレオチド配列を表す。
【0126】
配列番号43はプライマーF3863のヌクレオチド配列を表す。
配列番号44はプライマーR3864のヌクレオチド配列を表す。
配列番号45はプライマーF3865のヌクレオチド配列を表す。
配列番号46はプライマーR3866のヌクレオチド配列を表す。
配列番号47はプローブPRR7(#3827)-FAMのヌクレオチド配列を表す。
配列番号48はプローブPRR7(#3827)-VICのヌクレオチド配列を表す。
【0127】
配列番号49は遺伝子発現分析に使用される正プライマーBvPRR7のヌクレオチド配列を表す。
配列番号50は遺伝子発現分析に使用される逆プライマーBvPRR7のヌクレオチド配列を表す。
【0128】
配列番号51は約13 Kbのプロモーター領域を含むBvPRR7のゲノムヌクレオチド配列のヌクレオチド配列を表す。
配列番号52はBvPRR7のコード領域のヌクレオチド配列を表す。
【0129】
定義
本明細書の範囲内で使用する技術用語と表現は一般に、下記に別記しない限り、植物分子生物学の関連分野においてそれらに一般に適用される意味を有するものである。
【0130】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する時、単数形の“a”,“an”及び“the”は、その意味が明白に別のものを表さない限り、複数形のものを包含する。例えば、“植物”への言及は1又は複数の植物を包含し、そして“細胞”への言及は細胞、組織等の混合物を包含する。
【0131】
“甜菜”とは、Beta属の中の種及び亜種並びにベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)の栽培ビートの全ての種を指して言う。栽培ビートは次の4グループに分類される:葉ビート、ガーデンビート、飼料用(fodder)ビート、及び甜菜。“甜菜”は、砂糖、エタノール、プラスチック又は工業製品の生産以外の他の目的で栽培されるものを包含する全ての栽培ビートにも言及される。特に、“甜菜”は飼料用ビート及び甜菜、特に甜菜を指す。
【0132】
“一年生甜菜系列”とは、ヘテロ及びホモ接合状態でB遺伝子座に優性対立遺伝子bを含有する甜菜植物を言う。
“二年生甜菜系列”とは、ホモ接合状態でB遺伝子座に劣性対立遺伝子bを含有する甜菜を言う。
【0133】
“抽苔”とは、植物ロゼット段階から花茎形成(infloscense)又は生殖成長段階への転移を言う。
【0134】
本明細書中で用いる“B遺伝子”とは、甜菜の早期抽苔の原因である遺伝子を言う。優性対立遺伝子を担持する植物は、低温への事前暴露を伴わずに茎伸長に続いて開花を示す。
【0135】
“春化”とは、或る期間植物を冷却に暴露することにより、或る植物の開花誘導が促進される過程を言う。
【0136】
“対立遺伝子”とは、1つの遺伝子の又は同定可能な遺伝要素の任意種類の様々な形態に関連する種々の遺伝単位の別形態を言い、それは相同染色体中の同一遺伝子座にそれらが位置するために遺伝的形質で別形態である。二倍体細胞又は生物体では、特定の遺伝子(又はマーカー)の2つの対立遺伝子は、典型的には一対の相同染色体上の対応する遺伝子座を占有する。
【0137】
本明細書中で使用する時、“育種”という用語及びそれの文法上の同義語は、子孫個体を生成する任意過程を言う。育種は有性もしくは無性、又はそれの任意組合せであることができる。育種の典型的な非限定の種類としては、交配、自殖、倍加したハプロイド誘導体生成、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0138】
“遺伝子座”とは、本発明の範囲内では、遺伝子もしくは他の遺伝要素又は形質に起因する要素を含んで成る、染色体上の一領域を言う。
【0139】
本明細書中で使用する時、“遺伝マーカー”とは、1又は複数の着目の遺伝子座と関連する個々のゲノムの特徴(例えば個々のゲノム中に存在するヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列)を言う。或る態様では、遺伝マーカーはじょうきょうに応じて着目の集団中の多型、又は多型により占められる遺伝子座である。遺伝マーカーとしては、例えば、一塩基多型(SNP)、インデル(即ち挿入/欠失)、単純配列反復(SSR)、制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA(RAPDs)、切断増幅多型配列(CAPS)マーカー、多様性アレイ技術(DArT)マーカー、及び増幅断片長多型(AFLPs)が特に他の例の中でも挙げられる。遺伝マーカーは例えば、染色体上の表現型形質の発現に際して多様性に起因する対立遺伝子を含有する遺伝子座を局在化するのに使用することができる。“遺伝マーカー”という語句はゲノム配列、例えばプローブとして使用される核酸の配列に相補的なポリヌクレオチド配列も指すことができる。
【0140】
遺伝マーカーはそれに関連づけられる遺伝子座の内側又は外側にある(即ちそれぞれi遺伝子内又は遺伝子外である)染色体上の位置に物理的に局在化することができる。別の言い方では、着目の遺伝子座に相当する遺伝子の染色体上の位置が既に同定され、そして遺伝マーカーと着目の遺伝子座との組換え率が非ゼロである場合に遺伝マーカーが使用される時、本明細書中に示される主題は、遺伝子座の境界の内側に物理的に存在する遺伝マーカー(即ち、或る遺伝子に相当するゲノム配列の内側に存在する遺伝マーカー、例えば遺伝子のイントロン又はエキソンの中の多型)を使用することができる。本明細書に開示される主題の一態様では、1又は複数の遺伝マーカーが1〜10のマーカーを含んで成り、また或る態様では1又は複数の遺伝マーカーが10以上の遺伝マーカーを含んで成る。
【0141】
本明細書中で使用する時、“情報断片”という語句は、検出可能であり且つ着目の遺伝子座の決定及び/又は特徴づけに役立つことができる情報内容を有するポリヌクレオチド断片を言う。この情報内容は、他の例の中でも特に、前記着目の遺伝子座と関連付けられる多型、例えば、一ヌクレオチド置換(SNP)、インデル(即ち挿入/欠失)、単純配列反復(SSR)、制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、切断増幅多型配列(CAPS)マーカー、多様性アレイ技術(DArT)マーカー、及び増幅断片長多型(AFLP)により表され、それらは遺伝マーカーの開発に使用することができる。そのような“情報断片”の情報内容は、対応するプローブ分子により検出することができる特定配列により表されてもよい。
【0142】
本明細書中で使用する時、“表現型形質”という語句は、個体の外見又は別の検出可能な特徴を指し、それはそのゲノムと環境との相互関係から生じる。
【0143】
“マーカー補助選択”は、本発明の範囲内では、植物からの1又は複数の核酸を検出するための遺伝マーカーの使用を言い、ここで前記核酸は、それらの植物が選択的育種プログラムで使用することができる(又は回避することができる)ように、望ましい(又は望ましくない)形質の遺伝子を担持する植物を同定するための所望の形質と関連付けられると理解される。
【0144】
“マイクロサテライト又はSSR(単純配列反復)(マーカー)”は、本発明の範囲内では、植物のDNA全体に渡り遺伝子座に見つけることができ且つ高度に多型である傾向を有するDNA塩基の短鎖配列の多数の反復から成る遺伝マーカーの種類を指して言うと理解される。
【0145】
“PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)”は、本発明の範囲内では、DNAの比較的多量の特定領域を作製し、それによりそれらの領域に基づく様々な分析を可能にする方法を指して言うと理解される。
【0146】
“PCRプライマー”は、本発明の範囲内では、DNAの特定領域のPCR増幅に使用される一本鎖DNAの比較的短鎖断片を言うと理解される。
【0147】
“表現型”は、本発明の範囲内では、遺伝的に制御された形質の識別可能な1又は複数の特徴を指して言うと理解される。
“多型”は、本発明の範囲内では、遺伝子、遺伝マーカー又は遺伝形質の2以上の異なる形態の集団の存在を指して言うと理解される。
“選択的育種”とは、本発明の範囲内では、親として望ましい形質を所有又は提示する植物を使用する育種プログラムを指して言うと理解される。
【0148】
“ポリヌクレオチド”は、糖、リン酸及びプリン又はピリミジンのいずれかの塩基を含有する単量体(ヌクレオチド)から構成される、一本鎖又は二本鎖であることができる高分子量のポリマー分子を指すと理解される。“ポリヌクレオチド断片”は、特定のポリヌクレオチド分子の一部分である。高等植物では、デオキシリボ核酸(DNA)が遺伝物質であり、一方でDNAからタンパク質へと含まれる情報の輸送にはリボ核酸(RNA)が関与する。“ゲノム”は、生物体の各細胞中に含まれる遺伝物質の全体である。用語“ポリヌクレオチド”は、一本鎖又は二本鎖であることができ、場合によりDNA又はRNAポリマー中に組み込むことができる合成型、非天然型又は変形型ヌクレオチド塩基を含むことがある、DNA又はRNAのポリマーを指して言う。別記しない限り、本発明の特定の核酸配列は、それの保存的修飾変異体(例えば縮重コドン置換)及び相補的配列並びに指摘される配列明白性を包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1又は複数の特定の(又は全ての)コドンの三番目の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基により置換されている配列を作製することにより達成される(Batzer他、1991;Ohtsuka他、1985;Rossolini他、1994)。ポリヌクレオチドという用語は、核酸、ヌクレオチド配列と交換可能に使用され、遺伝子、遺伝子によりコードされるcDNA及びmRNAを包含しうる。
【0149】
本発明のポリヌクレオチドは、単離された形態で提供されると理解される。“単離された”という用語は、本明細書に開示され特許請求されるポリヌクレオチドが、それが実際に天然に存在する相等物を有する場合には、それが生来の状態にあるようなポリヌクレオチドではないことを意味する。従って、下記に更に記載される本発明の別の化合物は、単離されていると理解される。植物ゲノムの状態で記載される場合には、本発明のポリヌクレオチドは、ゲノム中への挿入側及びその挿入側の隣接配列により天然に存在する相等物から識別される。
【0150】
本明細書中で使用する時“核酸”という語句は、ヌクレオチドのポリマー(例えば典型的なDNA又はRNAポリマー)、変更オリゴヌクレオチド(例えば生物学的RNA又はDNAに典型的でない塩基を含有するオリゴヌクレオチド、例えば2′−O−メチル化オリゴヌレオチド)等を含む、ヌクレオチドの鎖に相当する単量体単位の任意の物理的連鎖を指して言う。或る態様では、核酸は一本鎖、二本鎖、多重鎖、又はそれの組み合わせであることができる。別記しない限り、本明細書中で開示される主題の特定の核酸配列は、場合により指摘した任意の配列明白性に加えて、相補的配列を含んで成るか又はコードすることがある。
【0151】
用語“遺伝子”は、生物学的機能と関連付けられる核酸の任意断片を指して広範囲に用いられる。遺伝子はコード配列及び/又はそれの発現に必要な調節配列を包含する。例えば遺伝子は、mRNAもしくは機能的RNAを発現するか又は特定のタンパク質をコードし、そして調節配列を含む核酸断片を指して言う。遺伝子は、例えば別のタンパク質の認識配列を形成する未発現のDNAセグメントを含んでもよい。遺伝子は、着目の源からクローニングするか、又は既知のもしくは推定配列情報から合成することを含む、様々な減から得ることができ、そして所望のパラメーターを有するようにデザインされた配列を含んでもよい。
【0152】
”マーカー遺伝子“は、選択可能な又はスクリーニング可能な形質をコードする。
【0153】
用語“キメラ遺伝子”は、1) 生来には一緒に見つからない調節配列とコード配列を含むDNA配列、2) 生来には結合しないタンパク質の部分をコードする配列、又は3) 生来には結合しないプロモーターの部分、を含有する任意の遺伝子を指して言う。従って、キメラ遺伝子は、異なる起源に由来する調節配列とコード配列を含んで成るか、又は同一の起源に由来するが生来に見つかるものとは異なる方法で配列されている調節配列とコード配列を含んで成ることができる。
【0154】
“トランス遺伝子”は、形質転換によりゲノム中に導入されており安定に維持されている遺伝子を言う。トランス遺伝子は例えば、形質転換しようとする特定の植物の遺伝子に対して非相同又は相同のいずれかである遺伝子を包含する。従って、トランス遺伝子は非生来の生物中に挿入された生来の遺伝子、又はキメラ遺伝子を含んで成ることができる。
【0155】
用語“タンパク質”、“ペプチド”及び“ポリペプチド”は互いに交換可能に使用される。
【0156】
“コード配列”は、特定のアミノ酸配列をコードし且つ非コード配列を除外するDNA又はRNA配列を指して言う。それは“中断されないコード配列”、即ち、例えばcDNA中のようなイントロンを欠き、例えばcDNAを構成することができ、又は適当なスプライス結合により結合された1又は複数のイントロンを包含することができる。“イントロン”は、一次転写物中に含まれるが細胞内のRNAの開裂及び再連結を通して除去されてタンパク質に翻訳することができる成熟mRNAを作製するRNAの配列である。
【0157】
“プロモーター”は、一般にコード配列の上流(5′)にあり、RNAポリメラーゼの認識又は正確な転写に必要な別の因子の認識を提供することによりコード配列の発現を制御するヌクレオチド配列を指して言う。“プロモーター”は、TATAボックス及び転写開始部位を特定するのに役立つ他の配列から成る短いDNA配列である最小プロモーターを包含し、それに発現の調節のための調節要素が付加される。“プロモーター”は、コード配列又は機能的RNAの発現を調節することができる調節要素と最小プロモーターを包含するヌクレオチド配列も指す。このタイプのプロモーター配列は、近位及びより遠位の上流要素から成り、後者の要素はしばしばエンハンサーと呼ばれる。従って、“エンハンサー”は、プロモーター活性を刺激することができ且つプロモーターの固有の要素又はプロモーターのレベルもしくは特異性を増強するために挿入された非相同の要素であってもよいDNA配列である。それは両方の配向(正常又は反転)で作用することができ、プロモーターから上流又は顆粒のいずれかに移動した時であっても機能することができる。エンハンサー及び別の上流プロモーター要素は共に、それらの効果を媒介する配列特異的DNA結合タンパク質を結合する。プロモーターは生来の遺伝子から完全な形で誘導されるか、又は生来に見つかる異なるプロモーターから誘導された異なる要素から構成されるか、又は合成DNAセグメントから構成されてもよい。プロモーターは、生理条件又は発達条件に応答した転写開始の効果を調節するタンパク質因子の結合に関与するDNA配列を含んでもよい。
【0158】
“開始部位”は、転写配列の一部である第一ヌクレオチド、これは+1位として定義される、の周囲の位置である。この部位に関して、遺伝子及びそれの調節領域の他の全ての配列が番号付けられる。下流配列(即ち、3′方向でタンパク質をコードする配列)は正に特徴づけられ、一方で上流配列(5′方向の調節領域の大部分)は負に特徴づけられる。
【0159】
不活性であるか又は上流の活性化の不在下で大幅に減少したプロモーター活性を有するプロモーター要素、特にTATA要素は、“最小又はコアプロモーター”と呼ばれる。適当な転写因子の存在下では、最小プロモーターは機能して転写を可能にする。“最小又はコアプロモーター”は、転写開始に必要な全ての基本的要素、例えばTATAボックス及び/又は転写開始因子からのみ成る。
【0160】
“構成的発現”は、構成的又は調節プロモーターを使った発現を言う。“条件的”及び“調節発現”は、調節プロモーターにより制御された発現を言う。
【0161】
“構成プロモーター”は、植物の全ての又はほぼすべての発達段階の間に植物組織の全て又はほぼ全てを調節する転写解読枠(ORF)を発現することができるプロモーターを指して言う。各々の転写活性化要素は絶対的な組織特異性を発現しないけれども、転写が最も活性である植物の部分で達成されるレベルの≧1%のレベルで大部分の植物部分において転写活性化を媒介する。
【0162】
“調節プロモーター”は、非構成的に、ただし一時的及び/又は空間的に調節された方法で、遺伝子発現を指令し、且つ組織特異的プロモーターと誘導性プロモーターの両方を包含するプロモーターを指して言う。それには天然及び合成配列、並びに合成配列と天然配列の組み合わせであることができる配列が含まれる。異なるプロモーターは、異なる組織又は細胞型の遺伝子の発現を指令することができ、又は発生の異なる段階で、又は異なる環境条件に応答して発現を指令することができる。植物細胞に有用な様々なタイプの新規プロモーターが常に開発されており、無数の実施例をOkamoto他(1989)による編集物中に見つけることができる。植物に有用な典型的な調節プロモーターはとしては、非限定的に、薬害軽減剤(safener)誘導性プロモーター、テトラサイクリン誘導性系由来のプロモーター、サリチル酸誘導性系由来のプロモーター、アルコール誘導性系由来のプロモーター、グルココルチコイド誘導性系由来のプロモーター、病原体誘導性系由来のプロモーター、及びエクジソーム誘導性系由来のプロモーターが挙げられる。
【0163】
“組織特異的プロモーター”は、全ての植物細胞で発現されるのではなく特定の器官(例えば葉又は種子)、特定の組織(例えば胚及び子葉)又は特定の細胞型(例えば葉柔組織又は種子貯蔵細胞)の1又は複数の細胞型において発現される調節プロモーターを指して言う。それらは一時的に調節されるプロモーター、例えば早期又は後期胚形成において、種子又は果実の形成における果実熟成の間に、完全に分化された葉において、又は老化の開始時に調節されるプロモーターを包含する。
【0164】
“誘導性プロモーター”は、外的刺激、例えば化学物質、光、ホルモン、ストレス又は病原体により1又は複数の細胞型上で作動することができる調節プロモーターを言う。
【0165】
“作用可能に連結された”とは、或るものの機能が他のものにより影響を受けるような単一の核酸断片への核酸配列の会合を言う。例えば、調節DNA配列は、その調節DNA配列がコード配列の発現に作用するように2つの配列が置かれるならば(即ち、コード配列又は機能的RNAがプロモーターの転写調節下に置かれるならば)、RNA又はポリペプチドをコードするDNA配列と“作用可能に連結された”又は“会合した”と言及される。コード配列はセンス方向又はアンチセンス方向で調節配列に作用可能に連結することができる。
【0166】
“発現”は、植物における内因性遺伝子、ORFもしくはそれの部分又はトランス遺伝子の転写及び/又は翻訳を言う。例えばアンチセンス構成物の場合、発現はアンチセンスDNAのみの転写のことを言うことができる。加えて、発現はセンス(mRNA)又は機能的RNAの転写及び安定な蓄積を指して言う。発現はタンパク質の生産を指して言うこともできる。
【0167】
“過剰発現”は、正常の又は未形質転換(非トランスジェニック)細胞又は生物体における発現レベルを超えるトランスジェニック細胞又は生物体における発現レベルを指して言う。
【0168】
“アンチセンス阻害”は、内因性遺伝子又はトランス遺伝子からのタンパク質の発現を抑制することができるアンチセンスRNA転写物の産生を指して言う。
【0169】
“遺伝子サイレンシング”は、ウイルス遺伝子、トランス遺伝子又は内因性核遺伝子の相同性依存性抑制のことを言う。遺伝子サイレンシングは、抑制が作用を受けた遺伝子の転写の減少による場合には転写時、又は抑制が作用を受けた遺伝子に相同のRNA種の代謝回転(分解)の増加による場合には転写後であることができる(English他、1996)。遺伝子サイレンシングはウイルス誘導遺伝子サイレンシングを包含する(Ruiz他、1998)。
【0170】
本明細書中で使用する用語“ハイブリダイズする”は、通常のハイブリダイゼーション条件、好ましくは5×SSPE、1%SDS、1×デンハーツ溶液を溶液として使用しそして/又はハイブリダイゼーション温度が35℃から70℃、好ましくは65℃であるハイブリダイゼーション条件のことを言う。ハイブリダイゼーション後、35℃から75℃、特に45℃から65℃、特に59℃で、まず2×SSC、1%SDSで洗浄を行い、続いて0.2×SSCで洗浄を行う(SSPE,SSC及びデンハーツ溶液の定義に関してはSambrook他、前掲を参照のこと)。例えばSambrook他、前掲に記載されたような高緊縮条件が特に好ましい。特に好ましい緊縮ハイブリダイゼーション条件は、例えばハイブリダイゼーションと洗浄を上述したように65℃で行う場合に存在する。非緊縮ハイブリダイゼーション条件は、例えばハイブリダイゼーションと洗浄を45℃以下で、更に35℃以下で行う。
“配列相同性又は配列同一性”は互いに交換可能に使用される。2以上の核酸又はタンパク質配列の中の用語「同一」又は「同一性」%は、下記の配列比較演算法の1つ又は視覚検査を使って測定した時に、最大の一致について比較し整列した時に、同一であるか、又は同一であるアミノ酸残基又はヌクレオチドの特定の割合を有する2以上の配列又は部分配列を言う。互いに比較することになっている2つの配列が長さの点で異なる場合、配列同一性は、好ましくは長い方の配列のヌクレオチド残基と同一である短い方のヌクレオチド残基を言う。配列同一性は、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Unix(登録商標)用の第8版,Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive Madison, WI 53711)のようなコンピュータープログラムを使って便利に決定することができる。Bestfitは、2つの配列間の最大配列同一性を有するセグメントを見つけるために、Smith & Waterman, Advances in Applied Mathematics 2 (1981), 482-489の局所相同性演算法を使用する。Bestfit又は他の配列整列プログラムを使って、特定の配列が本発明の参照配列と例えば95%同一性を有するかどうかを決定する場合、参照配列の全長に渡って同一性の割合を計算し、そして参照配列中のヌクレオチドの総数の5%までの相同性ギャップを許容するようにパラメーターが調整される。Bestfitを使用する場合、いわゆる任意パラメーターは好ましくはそれらのプリセット(“デフォルト”)値である。与えられた配列と上述した本発明の配列との比較において出現する偏差は、例えば付加、削除、置換又は組み換えにより生じることができる。そのような配列比較は、好ましくはプログラム“fasta20u66”(バージョン2.0u66, 1998年9月,William R. Pearson 及びthe University of Virginiaによる;Pearson, 1990、添付の実施例及びhttp://workbench.sdsc.edu/も参照のこと)を使って実施することもできる。この目的には、“デフォルト”パラメーター設定が使用される。
【0171】
2つの核酸配列が実質的に同一である別の指標は、2つの分子が緊縮条件下で互いにハイブリダイズすることである。分節“特異的にハイブリダイズする”とは、2つの配列が混成混合物(例えば全細胞)DNA又はRNAである時に、緊縮条件下で特定のヌクレオチド配列にのみ分子が結合、二本鎖形成又はハイブリダイズすることを言う。“実質的に結合する”とは、プローブ核酸と標的核酸との相補的ハイブリダイゼーションを言い、ハイブリダイゼーション培地の緊縮性を低下させて標的核酸配列の所望の検出を達成することにより適合させることができるわずかな不正対合を容認する。
【0172】
核酸ハイブリダイゼーション実験、例えばサザン及びノーザンハイブリダイゼーションの場合の“緊縮ハイブリダイゼーション条件”及び“緊縮ハイブリダイゼーション洗浄条件”は、配列依存性であり、そして異なる環境パラメーターの下で異なる。長い配列は特に高温でハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションについての詳しいガイドはTijssen P., 1993 Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes 第I部の第2章“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid prpbe assays”, Elsevier, New York中に見つかる。一般に、高度に緊縮なハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、限定されたイオン強度及びpHで特定配列についての熱融点(T.sub.m)よりも約5℃低いように選択される。典型的には、“緊縮条件”下では、プローブはそれの標的配列にハイブリダイズするが別の配列には全くハイブリダイズしないだろう。
【0173】
T.sub.mは、標的配列の50%が完全に一致したプローブにハイブリダイズする温度(限定されたイオン強度及びpHで)である。非常に緊縮な条件は、特定のプローブのT.sub.mに等しいように選択される。サザン又はノーザンブロットのフィルター上に100以上の相補的核酸を有する相補的核酸のハイブリダイゼーションの緊縮条件の例は、42℃で1mgのヘパリンを含む50%ホルムアミドであり、ハイブリダイゼーションは一晩実施される。高度に緊縮な洗浄条件は、0.15M NaCl、72℃で約15分間である。緊縮洗浄条件の例は、0.2×SSC洗浄液で65℃にて15分間である(SSC緩衝液の記載についてはSambrook,前掲を参照のこと)。しばしば、高緊縮性洗浄は、バックグラウンドプローブシグナルを除去するための低緊縮性洗浄の後に行われる。例えば100ヌクレオチド以上の二本鎖についての中緊縮性洗浄の例は、1×SSCで45℃にて15分間である。例えば100ヌクレオチド以上の二本鎖についての低緊縮性洗浄の例は、4×6SSCで40℃にて15分間である。短いプローブ(例えば約10〜50ヌクレオチド)には、緊縮条件は典型的には、1.0M Naイオン未満の塩濃度、典型的には0.01〜1.0M Naイオン濃度(又は他の塩)でpH 7.0〜8.3であり、温度は典型的には少なくとも約30℃である。緊縮条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加により達成することもできる。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて無関係のプローブについて観察されたものよりも2倍(又はそれ以上)のシグナル対ノイズ比は、特異的ハイブリダイゼーションの検出を示す。緊縮条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするタンパク質が実質的に同一であるならばまだ実質的に同一である。これは、例えば、遺伝暗号により許容される最大コドン縮重を使って1コピーの核酸が作製された時に起こる。
【0174】
“植物”は、任意の発育段階の任意植物であり、特に種子植物である。
“植物細胞”は、プロトプラスト及び細胞壁を含んで成る、構造的及び生理学的単位である。植物細胞は単離された単細胞又は培養された細胞の形であることができ、又は例えば植物組織、植物期間又は完全植物のような高度に組織化された単位の一部としてであることができる。
【0175】
“植物細胞培養物”は、例えば、任意の発育段階のプロトプラスト、細胞培養細胞、植物組織中の細胞、花粉、花粉管、胚珠、胚嚢、接合体及び胚のような植物単位の培養物である。
【0176】
“植物材料”は、葉、茎、根、花もしくは花部分、果実、花粉、卵細胞、接合体、種子、挿し木、細胞もしくは組織培養物、又は植物の他の任意部分もしくは生成物を言う。
“植物器官”は、植物の別々の且つ視覚的に構造化され分化した部分、例えば根、茎、葉、つぼみ又は胚である。
【0177】
本明細書中で使用する“植物組織”は、構造的及び機能的単位に組織化された植物細胞の群を意味する。植物体又は培養中の植物の任意組織も含まれる。この用語としては、非限定的に、完全植物、植物器官、植物種子、組織培養物並びに構造的及び/又は機能的単位に組織化された植物細胞の任意群が挙げられる。上記に挙げた植物組織の任意の特定タイプと一緒の又は不在下でのこの用語の使用は、植物組織の任意の他のタイプを排除するものではない。
【0178】
本発明は、変異体及び誘導体を包含する甜菜ゲノム中に同定されたポリヌクレオチドであって、甜菜の抽苔遺伝子(B遺伝子)関連表現型との完全な同時分離を証明するポリヌクレオチド、及び抽苔遺伝子又はB遺伝子のマッピング及び同定に使用することができるマーカーの開発のための前記ポリヌクレオチドの使用を開示する。本発明に係るポリヌクレオチドマーカーは、一年生の混入について市販の二年生の甜菜をスクリーニングすることにより市販の種子ロットの品質管理に、及び育種プログラムにおける一年生/二年生を同定するために使用することもでき、これは育種法を促進するために一年生形質を使用するか、又は一年生形質を遺伝子変異の新たな源と一緒に導入する時に使用することができる。
【0179】
本発明に係る上述したポリヌクレオチドは、甜菜ゲノム中に安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチドを含んで成るトランスジェニック甜菜植物を作製するためのトランスジェニックアプローチにおいて更に使用することができる。
【0180】
本発明の一観点では、春化反応がB遺伝子の抑制又はダウンレギュレーション発現により遅延されるだろう。
【0181】
本発明の別の観点では、冷却処理を伴わない早期抽苔がB遺伝子の過剰発現により誘導されるだろう。
【0182】
本発明は、B遺伝子座のところ又はそれに近接して、特にマーカーMP01761のcMの距離のところに位置づけられそしてマーカーGJ131(Mohring S.他、2004;Gaafar R.M.他、2005)と同時分離する(図5)。
【0183】
一態様では、本発明は、B遺伝子に関して1cM未満の距離、特に0.75 cMの距離、より特別には0.5 cM未満の距離、更により特別には0.3 cM未満の距離、特に0.25 cM未満の距離のところに位置づけられるゲノムDNA領域から得られる、本発明に係る上述した情報断片を含むポリヌクレオチドに関する。
【0184】
本発明に係るポリヌクレオチドは、B遺伝子を含むB遺伝子座の周囲の領域を十分に特徴づけるため及び開花時調節の推定候補遺伝子を更に同定するために使用することができる。
【0185】
市販の二年生甜菜栽培種H20からのDNAを使ってBACライブラリーを確立した。100〜400 kbのサイズの部分的に(HindIII)消化されたHMW DNA断片を、2回サイズ選別した。該DNA断片をベクターpBeloBAC-Kan中に連結せしめた。該ライブラリーは、甜菜ゲノムの8×包含に相当する、約120 kbの平均挿入断片サイズを有する57,600クローンを含有する。単一コピープローブを使ってスクリーニングすることにより冗長量を試験し、ミトコンドリア及びプラスミドDNAからのクローンの頻度が1%より低いと推定された。
【0186】
このBACライブラリーを使って、甜菜PRR7遺伝子の全長ゲノム配列を回収した。
【0187】
特に、プライマーPRR7-FとPRR7-Rを使って、当業者に周知である標準PCR技術を用いて甜菜BACライブラリーをスクリーニングした。DNAプローブのスクリーニングのためのPCR条件は次の通りであった:一次変性は90℃〜98℃、特に約95℃の温度で2〜10分間、特に約5分間行い、続いて90℃〜98℃、特に約95℃の温度で25〜35秒間、特に約30秒間、特に55℃〜65℃の温度で25〜35秒間、特に30秒間、特に68℃〜75℃、特に約72℃の温度で25〜35秒間、特に30秒間の30〜40増幅サイクル、続いて68℃〜75℃、特に約72℃の温度で2〜8分間、特に約5分間。PCR実験は、適当なポリメラーゼ、特にTaqポリメラーゼを含む適当な反応混合物を使って実施される。断片BvPRR7についてのDNAプールのその後のスクリーニングは、各々の断片を担持しているBACクローンの正の同定をもたらした。
【0188】
BvPRR7遺伝子の全長配列を得るために、以前に同定されたBACクローンを、例えば454 Life Sciencesにより開発されたピロ配列決定技術のような標準配列決定技術を使って配列決定する。両方ともEST CV301305と配列相同性を共有する2つの非重複コンティグを1つの単一配列(配列番号5)に結合することができる。EST CV301305へのBAC配列の整列及びアラビドプシス(Arabidopsis)からのPRR7遺伝子への配列相同性に基づいて、イントロンとエキソンを含んで成る甜菜BvPRR7遺伝子の推定遺伝子構造を図5に示すように推定することができる。この推定をもとに、ゲノム配列はATG終止コドンの上流の3.6 Kb配列とコード領域の下流の2.2 Kbを有する完全なBvPRR7に及ぶことを示すことができる。BvPRR7の対応するアミノ酸配列は配列番号6に示される。BvPRR7とTOC1(PRR1),PRR3,PRR5,PRR7及びPRR9を含むアラビドプシス由来のPRR遺伝子ファミリーとのアミノ酸配列の比較は、NH2末端の近くのPRR(Pseudo Response Regulator Receiver)ドメイン及びCOOH末端のところのCCTモチーフ(pfam06203)の強力な保存を表す(図6)。下流のアラビドプシスからのPRR遺伝子ファミリーに加えて、図7に示される系統樹により描写されるように、BvPRR7は穀類のPRR7相同体に対しても強い相同性を示す。Ppdとしてよく知られている穀類のPRR7相同体は、光周期反応の主な決定基を表すことが示されている(Turner他、2005;Beales他、2007)。甜菜のような春化反応における機能はまだ明らかにされなかった。
【0189】
調節タンパク質に代表的な保存領域の存在により示唆されるような既知の開花時調節遺伝子又はそれらの推定調節機能に対する相同性に基づいて、B遺伝子の可能な候補としての遺伝子はほとんど同定することができない。それらの遺伝子は、一年生遺伝子型と二年生遺伝子型との間の対立遺伝子可変性及び/又は遺伝子発現研究による、又はトランスジェニックアプローチを使った補足又はノックアウト実験による、更なる検証を必要とする。B遺伝子は、甜菜ゲノム中に安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチドを含んで成るトランスジェニック甜菜植物を作製するためのトランスジェニックアプローチにおいて使用することができる。特に、ゲノムからの発現時に、発現生成物を用いて甜菜植物の春化反応を活性調節することができる。
【0190】
本発明の一観点では、B遺伝子の抑制又はダウンレギュレーション発現により春化反応を遅らせることができる。
【0191】
本発明の別の観点では、冷却処理を用いない早期抽苔を、B遺伝子の過剰発現により誘導することができる。
【0192】
今までに、遺伝子マッピング、遺伝子クローニング、マーカーにより補助される植物育種、及びゲノムフィンガープリンティング及び遺伝子関係の研究に使用することができる分子マーカー技術が開発されている。遺伝子マーカーは、ゲノム領域のヌクレオチド配列中のDNA多型に基づいており、そして制限酵素により又は2つのプライム部位により検出することができる。
【0193】
制限断片長多型(RFLP)、多型DNAのランダム増幅(RAPD)、増幅制限断片長多型(AFLP)、単一配列反復(SSR)及び単一ヌクレオチド多型(SNP)をはじめとするマーカー補助選択に使用することができる幾つかの種類の分子マーカーが存在する。
【0194】
異なるタイプのマーカーの情報内容は、マーカーを採点するマーカーデータ及び集団を得るために使用される方法に依存して異なりうる。例えば、ヘテロ接合断片からのヘテロ接合状態で存在するゲノム断片を識別することは常に可能なわけではない。F2のようなヘテロ接合集団では、制限酵素断片長多型(PFLP;Botstein他、1980)及び優性的に採点される増幅断片長多型(AFLP;Vos他、1995)のような同時優性(co-dominant)マーカーは、ランダム増幅多型DNA(RAPD;Wels & MzCleland, 1990)及び優性的に採点されるAFLPのような優性マーカーよりも多くの情報を提供する。RFLPは同時優性であり、ユニークな遺伝子座を同定することができる。RFLPは、特定の短い制限部位の所で染色体DNAを切断するための制限酵素の使用を含み、多型は、その部位の間の重複もしくは欠失又はその制限部位の所の突然変異から生じる。
【0195】
AFLPは、特異的断片を増幅するためのプライマーに使用する選択的ヌクレオチド及びPCRを使用する前に制限酵素での細胞DNAの消化を必要とする。この方法を使って、100までの多型遺伝子座を測定することができ、比較的少量のDNA試料だけが各試験に必要である。
【0196】
植物ゲノムの多型領域に及ぶヌクレオチド断片の増幅を達成する最も好ましい方法は、二重鎖形中の多型を限定する近位配列にハイブリダイズすることができる逆及び正プライマーを含むプライマー対を使用するポリメラーゼ連鎖反応(“PCR”)(Mullis他、1986)を使用する。
【0197】
RFLPに比較して、PCR技術は、PCR増幅により多量の標的配列を生成するために鋳型として少ない割合(ほぼ10%)のDNA量だけを必要とする。
【0198】
1つのそのようなPCR技術はRAPDであり、これは匿名のDNA断片の鎖特異的アレイを作製するために任意配列の単一プライマーを用いた低緊縮性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する。この方法は、微量のDNA試料だけを必要とし、多量の多型遺伝子座を分析する。しかしながら、多数の反応条件により影響を受ける短いプライマーの予測できない挙動、優性形式での遺伝形質、及び集団特異性がRAPDの主な欠点である。
【0199】
マイクロサテライト、又は単純配列反復(SSR)、単純配列長多型(SSLP)、短い盾列反復(STR)、単純配列モチーフ(SSM)及び配列標的マイクロサテライト(STM)は、真核生物のゲノム全体に渡り広く分布している1組の繰り返し配列を表す。この反復配列の数及び長さの変動は、密接に関連した個体間でさえも多型の源である。SSR分析は、単純な配列反復の変異を検出するために選択的に増幅されるそれらの(短い繰り返し)配列に基づく。そのようなマイクロサテライト配列は、一対の隣接する遺伝子座特異的オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用したPCRにより容易に増幅することができ、そしてDNA長多型を検出することができる(Litt & Luty, 1989;Weber & May, 1989)。
【0200】
部分置換、欠失又は挿入をもたらす単一ヌクレオチド位置での変異は、単一ヌクレオチド多型又はSNPをもたらし、これはヒトでほぼ1.3 kbごとに存在する(Cooper他、1985;Kwok他、1996)。この種の多型の大部分は、2つの対立遺伝子のみを有し、二対立遺伝子とも呼ばれる。
【0201】
SNPに基づいた位置クローニングは、病気形質の同定及び生物学的な情報変異の範囲の同定を促進することができる(Wang他、1998)。
【0202】
点変異を効率的に感知するPCR伸長アッセイは、SNPを検出するために使用することができる。この手順は試料当たり少量のDNAしか必要としない。3つの広く利用されているPCR法を使用するSNP検出アッセイは、開裂増幅多型配列(CAPS)(Konieczny & Ausubel, 1993;Thiel他、1998)、誘導CAPS(dCAPS)(Michaels & Amasino, 1998;Neff他、1998)及び一本鎖コンホメーション多型(SSCP)(Orita他、1989)である。
【0203】
CAPS多型は、遺伝子座特異的オリゴヌクレオチドプライマーにより生成されたPCRアンプリコン中のエンドヌクレアーゼ認識部位を作製するか又は削除するSNP又はINDELにより引き起こされる制限断片長の差異である。CAPSアッセイは、1又は複数の制限酵素により遺伝子座特異的PCRアンプリコンを消化し、次いでアガロース又はポリアクリルアミドゲル上で消化DNAを分離することにより実施される。
【0204】
dCAPSは、不正対合したPCRプライマーを使って大部分の単一ヌクレオチド変異の検出を可能にするCAPS技術の変形である。この方法を使って、SNPを含む制限酵素認識部位を、鋳型DNAに対する1又は複数の不正対合によりPCR生成物中に導入する。この方法で修飾されたPCR生成物を、次いで制限酵素消化にかけ、そしてSNPの存在又は不在を制限消化パターンにより決定する。
【0205】
SSCP技術は、未変性ゲル上で変性二本鎖DNAを分離し、そして一本鎖DNAの二次構造、並びに分子量を決定してゲル移動度を決定できるようにする。
【0206】
ARMS(増幅耐性変異系)−PCR手順(Ye他、2001)は、SNP遺伝子型決定に単一のPCRの使用を必要とする(Fan他、2003;Chiapparino他、2004)。2つのプライマー対を使用する四プライマーを使って、1回のPCR反応でSNPの2つの異なる対立遺伝子を増幅する。
【0207】
別の方法を使ってそのような断片を増幅してもよく、例えば、2対のオリゴヌクレオチドプローブを使用して特異的標的を指数関数的に増幅する“リガーゼ連鎖反応(“LCR”)(Barany, F., 1991)を使用してもよい。各対のオリゴヌクレオチドの配列は、そのプローブ対が標的の同一鎖の隣接配列にハイブリダイズできるように選択される。そのようなハイブリダイゼーションは、鋳型依存性リガーゼの基質を形成する。PCRと同様に、そのように得られた生成物はその後のサイクルにおける基質として働き、所望の配列の指数関数的増幅が得られる。
【0208】
LCRは、多型部位の同一鎖の近位及び遠位配列を有するオリゴヌクレオチドを使って実施することができる。一態様では、いずれかのオリゴヌクレオチドが多型の実際の多型部位を含むようにデザインされるだろう。そのような態様では、反応条件は、標的分子がオリゴヌクレオチド上に存在する多型部位に相補的である特異的ヌクレオチドを含むか又は欠いている場合にのみ、オリゴヌクレオチドが一緒に連結することができるように選択される。あるいは、オリゴヌクレオチドは、それらが多型部位を含まないように選択することもできる(Segav, PCT出願WO 90/01069参照)。
【0209】
他に使用することができる別法は“オリゴヌクレオチド連結アッセイ”(“OLA”)(Landegren他、1988)である。OLAプロトコルは、標的の一本鎖の隣接配列にハイブリダイズすることができるようにデザインされた2つのオリゴヌクレオチドを使用する。OLAは、LCRと同様に点変異の検出に適している。しかしながらLCRとは異なり、OLAは標的配列の指数関数的増幅よりもむしろ“直線状”増幅をもたらす。
【0210】
Nickerson他、1990は、PCRとOLAの特性を組み合わせた核酸検出アッセイを記載している(Nickerson他、1990)。この方法では、標的DNAの指数関数的増幅を達成するのにPCRを使用し、次いでOLAを使って検出する。多数の、別々の後処理段階を必要とすることに加えて、そのような組み合わせに関連する1つの問題点は、それらがPCRとOLAに関連した問題の全てを受け継ぐことである。
【0211】
“生じたジ−オリゴヌクレオチド”の配列を有し、従ってジオリゴヌクレオチドを増幅する2つ(又はそれ以上)のオリゴヌクレオチドの連結に基づくスキームも知られており(Wu & Wallence, 1989)、本発明の目的に容易に適応することができる。
【0212】
本発明に係る上述した遺伝子配列に基づいた様々なアッセイを開発することができ、そして一年生対立遺伝子の存在又は不在について植物材料をスクリーニングするのに使用することができる。
【0213】
分子マーカー、好ましくはEnd point TaqMan(登録商標)は、一年生及び二年生植物から増幅させた配列決定したPCR生成物から特徴づけたSNPに基づいて開発することができる。よって、幾つかのPCR増幅は、該遺伝子の全配列を包含するために実施できるだろう。
【0214】
異なる一年生及び二年生遺伝子バックグラウンドの中で新規分子マーカーを試験して、分子試験のロバスト性を評価するだろう。
【0215】
一態様では、分子マーカーはPCRにより増幅されたDNA断片、例えばSSRマーカー又はRAPDマーカーである。一態様では、増幅されたDNA断片の存在又は不在が、形質それ自体の又は該形質の特定対立遺伝子の存在又は不在の指標である。一態様では、増幅されたDNA断片の長さの差が、形質の特定対立遺伝子の存在の指標であり、よってその形質の異なる対立遺伝子間を識別することができる。
【0216】
本発明の特定の態様では、単一配列反復(SSR)マーカーを使用して、親植物及び/又はその先祖並びに前記親植物の交配から生じた子孫植物における本発明に関連する対立遺伝子を同定する。
【0217】
本発明の別の特定の態様では、単一ヌクレオチド多型に基づいたマーカーを使用し、親植物及び/又はその祖先並びに前記親植物の交配から生じた子孫植物における本発明に関連する対立遺伝子を同定する。
【0218】
本発明の更に別の態様では、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失又は挿入(“INDEL”)に基づいたマーカーを使って、親植物及び/又はその先祖並びに前記親植物の交配から生じた子孫植物における本発明に関連する対立遺伝子を同定する。
【0219】
それらのマーカーは、本発明に係る上述したポリヌクレオチドの配列に基づいて開発することができる。
【0220】
本発明の一態様では、本明細書中に明確に開示されていないマーカー、更にまだ同定されるべきマーカーを開発しそして使用することができる。本明細書に与えられた情報に基づいて、当業者は、本明細書中に明確に開示されていないが抽苔遺伝子もしくはB遺伝子に遺伝的に密接に連鎖するか又は好ましくは該遺伝子内に位置するか、あるいは本明細書中に開示されたマーカーに関連するマーカーを同定し又は開発することが可能であろう。当業者は、他のマーカーがスクリーニングアッセイ及びマーカー補助選択における少なくとも同等の有用性を提供できることを理解する。
【0221】
B遺伝子領域に連鎖不均衡にある及び/又はそれに関連する及び/又はその中に位置するマーカー、並びに当業者に既知である、幾つかの方法又はアプローチが入手可能である。並びに、二年生遺伝子型の原因である実際の原因の変異を表すマーカーを同定しそして/又は開発するための使用することができる、当業者に既知である幾つかの方法又はアプローチが入手可能である。完全に徹底的ではなくても、当業者に既知である幾つかのアプローチとしては、次のものが挙げられる:
【0222】
・着目の領域中の別の配列を同定するためのハイブリダイゼーションアプローチにおける開示されたマーカー/配列の使用:本明細書中に開示されたプライマー配列及び/又はそのプライマー配列を使って決定することができるマーカー/遺伝子配列(又はその部分)を、該マーカーに隣接する及び/又はゲノム核酸試料及び/又はRNAもしくはcDNA試料又は試料のプール(例えばBACライブラリーのようなゲノム源のスクリーニング又はgDNAもしくはcDNAライブラリースクリーニング)からのB遺伝子領域に隣接するそして/又は連結したそして/又は関連したそして/又は特異的な核酸配列/遺伝子を単離する際に(ハイブリダイゼーション)プローブとして使用することができる。
【0223】
・着目の領域中の別の配列を同定するためのPCRアプローチにおける開示された配列/マーカーの使用:開示されたようなプライマー配列を使って決定することができる本明細書中に開示されたプライマー配列及び/又はマーカー/(候補)遺伝子配列(もしくはその部分)を、ゲノム核酸試料及び/又はRNAもしくはcDNA試料又は特定の植物組織から単離されたか単離されていない及び/又は植物の特定の処理後に甜菜から又は理論上は十分な相同性を有する別の生物体から単離されたか単離されていない試料のプールからのQLT領域に隣接するそして/又は関連したそして/又は特異的な核酸配列/遺伝子を増幅するための(PCR)増幅プライマーとして使用することができる。
【0224】
・着目の領域中の別の配列を同定するためのPCRアプローチにおける開示された配列/マーカーの使用:1又は複数のマーカーのヌクレオチド配列/遺伝子を、前記マーカー配列についての内部プライマーをデザインしそしてB遺伝子領域内の及び/又は遺伝的に連鎖した及び/又は形質と関連した追加の隣接配列/遺伝子を更に決定するために決定することができる。
【0225】
・同領域(別の地図上のB遺伝子の位置決定)のマーカーを同定するためのマッピング及び/又は比較マッピングアプローチにおける開示された配列/マーカーの使用:本明細書中に開示された位置情報及び/又はマーカー情報に基づいて、遺伝子マッピングアプローチにより、最終的には(高密度)遺伝子地図及び/又は集成遺伝子地図もしくは共通地図上の(すでに必要ならば)開示されたマーカーの位置決定により、任意のタイプのマーカーを同定することができる。すでに知られているかそして/又は開示されたマーカーに遺伝的に連鎖するかそして/又は開示されたマーカーの付近に位置するマーカーが同定されそして/又は得られ、そして/又は最終的に遺伝子(詳細)マッピング及び/又はB遺伝子クローニング及び/又はMAS育種用途において使用することができる。
【0226】
・B遺伝子領域中の追加の配列/マーカー(候補)遺伝子を同定するための“in-silico(コンピューター使用)”アプローチにおける開示された配列/マーカーの使用:本明細書中に開示されたプライマー配列を使って又は連鎖したマーカーに基づいて決定することができる本明細書に開示されたプライマー配列及び/又はマーカー(候補)遺伝子配列(もしくはその部分)を、B遺伝子と遺伝的に連鎖するそして/又は本明細書に記載された形質に関連するそして/又はB遺伝子領域に位置する、(追加の)隣接及び/又は相同配列/遺伝子及び/又は対立遺伝子多様性について配列又はタンパク質データベース(例えばBLAST)(唐辛子及び/又は他の生物体に由来するゲノム及び/又はcDNA配列又は更にタンパク質)を調べるための“in-silico”法において使用することができる。
【0227】
・物理的地図作成アプローチ(物理地図又はゲノム配列上のB遺伝子の位置決定)における開示された配列/マーカーの使用:本明細書中に開示されたプライマー配列を使って又は本明細書に開示されたマーカーに遺伝的に連鎖するそして/又はB遺伝子領域中に位置する別のマーカーを使って、決定することができる本明細書中に開示されたプライマー配列及び/又はマーカー/遺伝子配列(もしくはその部分)は、B遺伝子(詳細なマッピング)又はB遺伝子クローニング及び/又はMAS育種用途に適用可能な(候補)配列/マーカー/遺伝子を同定するために、十分な相同性を有する理論上任意の生物体の物理地図及び/又は(完全)ゲノム配列上に位置決定することができる。
【0228】
・別の(物理)地図又はゲノム(生物種間…カラシにはトマト及びジャガイモのような別のナス科植物の着目のものであるがもちろんアラビドプシスのようなモデル種も使用できる)上にB遺伝子を位置づけるための開示された配列/マーカーの使用:本明細書中に開示されたプライマー配列を使って決定することができる本明細書中に開示されたプライマー配列及び/又はマーカー/遺伝子配列(又はその部分)は、B遺伝子領域に遺伝的に連鎖したそして/又はB遺伝子領域中に位置し、そしてB遺伝子(詳細)マッピング及び/又はB遺伝子クローニング及び/又はMAS育種用途に適用可能である、相同領域及び相同及び/又はオーソロガス遺伝子配列/(候補)遺伝子を同定するための、比較ゲノム又は合成マッピングアプローチにおいて使用することができる。
【0229】
・遺伝子アプローチによる着目の領域中のマーカーの同定を可能にする適当な個体を選択するための開示された配列/マーカーの使用:本明細書中に開示されたプライマー配列及び/又はマーカーを、異なる/対照的なB遺伝子対立遺伝子を有する個体を選択するために使用することができる。遺伝子関連アプローチ及び/又は嵩高セグメント分析(BSA;Michelmore他、1991)を、着目の及び/又は記載の形質に関連するか又は遺伝的に連鎖した特定領域(B遺伝子領域)においてマーカー/遺伝子を同定するために使用することができる。
【0230】
・(位置)候補遺伝子について研究するための開示された情報の使用:開示された方法を使って、記載の形質と関連した及び/又は遺伝的に連鎖した位置及び/又は機能的候補遺伝子を同定することができる。
【0231】
特に、本発明に係るマーカーは、対立遺伝子識別アッセイにおいて、特に二年生遺伝子型を表す甜菜植物の植物分類の中の様々なハプロタイプ間を区別するためのアッセイにおいて使用することができる。前記アッセイは、例えばそれぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-Rに基づいたPCR増幅により得られるBvPRR7遺伝子の部分領域に相補的である2つの別々のプローブ分子を含んで成る一組のプロープポリヌクレオチドに基づいており、前記プローブ分子は1つの塩基不対合、特に631位の一塩基不正対合によってのみ異なっている。
【0232】
本発明の別の観点では、一年生植物と二年生植物とを特異的に区別することができ、従って例えば種子ロットの品質管理に使用することができる、マーカーを含んで成るアッセイが提供される。
【0233】
特に、本発明は、例えばそれぞれ配列番号7と配列番号8に与えられた正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-Rに基づいたPCR増幅により得られたBvPRR7遺伝子の部分領域に相補的である2つの別々のプローブ分子を含んで成る一組のプローブポリヌクレオチドに基づいたアッセイに関し、前記プローブ分子は一塩基不正対合、特に631位の一塩基不正対合のみにより異なっている。
【0234】
甜菜の市販の種子生産の大部分は、南フランスと北イタリアで行われている。両地域では、一年生の雑草ビートの存在が種子生産中に花粉混入を引き起こし、市販の種子に一年生を引き起こしている。これは消費者に受け入れられず、従って全ての市販の種子ロットは、種子の収穫直後に野生ビートが全く生育しないアルゼンチンのような地域で栽培される。植物は春化されず、抽苔の存在を用いて一年生植物が混入した種子ロットを同定する。
【0235】
B遺伝子により付与される一年生植物習性は、単一の優性形質として振る舞い;従って二年生植物における春化の必要条件が劣性である。BvPRR7の一年生対立遺伝子から二年生遺伝子型への形質転換は、一年生の開花性質から二年生受容遺伝子型へ供与すると推定される。この仮説を確かめるために、一年生プロモーター及びターミネーターの調節下のBvPRR7の一年生対立遺伝子のコード配列を、二年生遺伝子型、例えばG018に形質転換する。形質転換は、外植片として甜菜分裂組織をそして選択マーカーとしてホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)を使ってChang他、2002により開示されたような当業界で既知の方法により達成することができる。トランスジェニック衝撃を選択マーカー、例えばPMI活性(Joersbo他、1998)の発現について確認し、続いて植え付け、土壌中に植え、温室に移動する。負の対照は、同じ試験管内再生手順であるがアグロバクテリウム感染及び選択を行わない非トランスジェニック衝撃から成る。植物を温室中で18℃の低温で17時間の採光と7時間の遮光の光周期において生育させる。それらの条件下では、非トランスジェニック対照は観察期間の間、何ら抽苔の兆候を示さないと示され、一方で一年生対照植物は通常8週間以内に抽苔すると示される。非トランスジェニック二年生対照植物とは異なり、相当な数のトランスジェニック現象は4〜10週間の間に抽苔を開始し、それらの二年生遺伝子バックグラウンドにも関わらず、基本的に一年生植物として振る舞うだろう。抽苔を開始しそして開花したトランスジェニック植物を、二年生維持系列と交差受粉せしめ、子孫を作製する。子孫植物を選択マーカー活性について試験し、続いて春化なしでの抽苔及び開花についてモニタリングする。大部分の子孫は1対1の分離比を示し、PMI活性と一年生形質との間に完全な相関関係を示すだろう。それらのデータは、甜菜における原因となるBvPRR7と春化独立性開花との間の関係を曖昧に証明するだろう。
【0236】
BvPRR7は、甜菜の春化反応において重要な役割を果たし、よって春化応答を抑制することにより甜菜の抽苔反応を操作するために使用することができる。この目的には、BvPRR7 cDNA断片、例えば配列番号1に与えられた0.6 Kb断片を、構成的プロモーターの調節下でRNAiカセットへと集成する。適当な構成的プロモーターは、例えばアラビドプシスからのUbi3プロモーター(Norris他、1993)、CaMV 35Sプロモーター、又は甜菜中での構成的発現を促進することが知られている他のプロモーターである。発現カセットは、適当なプロモーターの調節下に選択マーカー遺伝子を更に含有する。特に、マーカー遺伝子は、ホスホマンノースイソメラーゼ又はキシロースイソメラーゼのような正の選択マーカーをコードする。BvPRR7断片の反転した繰り返しは、ジャガイモStLS1(Eckes他、1986;Vancanneyt他、1990)からの第二イントロンにより分割されてRNAiカセットを安定化し、RNAi現象の効率も改善することができる(Wang & Waterhouse, 2001;Simth他、2000)。
【0237】
RNAiカセットは、次いで二年生甜菜遺伝子型、例えば上述したようなG018中に形質転換することができる。選択マーカー、例えばPMI活性(Joersbo他、1998)の発現についてトランスジェニック衝撃を確認する。正の衝撃及び非トランスジェニック対照を植え付け、最大18℃で2週間の環境順化期間に渡り温室に移した後、春化処理を行う。十分に確立されたら、トランスジェニック植物を6℃の定温及び12時間の弱い人工光から成る春化処理に曝露する。抽苔誘導条件を適用する前に、春化した植物をゆっくりと環境室中で2週間に渡り段階的に温度を10℃から18℃に増加させることによりゆっくり環境順化せしめる。続いて植物を大きな鉢(2リットル)に移し、18℃の定温及び17時間採光/7時間遮光の長日光周期に曝露しながら抽苔についてモニタリングする。非トランスジェニック植物は、春化後4〜6週間の間に抽苔を開始する。BvPRR7を抑制されたトランスジェニック植物は、しばしばわずか2週間から2カ月以上までに及ぶ抽苔の遅れを示す。幾つかの現象は温室中で適用した条件下では全く抽苔しなかった。抽苔及び開花の遅れとは別に、トランスジェニック植物は、延長した植物性段階の結果として抽苔の時期に多数の葉数を示す。
【0238】
適当な植物組織において十分なレベルのトランス遺伝子発現を得ることは、遺伝子操作された植物の生産において重要な点である。植物宿主中での異種DNA配列の発現は、該植物宿主中で機能的である作用可能に連結されたプロモーターの存在に依存する。プロモーター配列の選択は、生物体中で異種DNA配列が発現される時及び場所を決定するだろう。
【0239】
例えば、過剰発現が望ましい場合、再生植物の全ての組織中の遺伝子の直接発現を指令するだろう植物プロモーター断片を使用することができる。そのようなプロモーターは、“構成的”プロモーターと呼ばれ、大部分の環境条件及び発達段階又は細胞分化段階の下で活性である。構成的プロモーターの例としては、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S転写開始領域、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciense)のT-DNAに由来する1′−又は2′−プロモーター、及び当業者に既知である様々な植物遺伝子からの他の転写開始領域が挙げられる。そのような遺伝子としては、例えば、AP2遺伝子、アラビドプシス(Arabidopsis)からのACT11(Huang他、Plant Mol. Biol. 33:125-139 (1996))、アラビドプシスからのCat3(GenBank No. U43147;Zhong他、Mol. Gen. Genet. 251:196-203 (1996))、ブラッサ・ナプス(Brassa napus)からのステアロイル−アシル担体タンパク質デサチュラーゼをコードする遺伝子(GenBank No. X74782;Solocombe他、Plant Physiol. 104:1167-1176 (1994))、トウモロコシからのGPc1(GenBank No. X15596;Martinez他、J. Mol. Biol. 208:551-565 (1989))及びトウモロコシからのGpc2(GenBank No. U45855;Manjunath他、Plant Mol. Biol 33:97-112 (1997))が挙げられる。
【0240】
あるいは、植物プロモーターは、特定の組織中で本発明の核酸分子の発現を直接指令するか、又は他の方法でより正確な環境的もしくは発生的調節のもとにあることができる。誘導性プロモーターにより転写を行うことができる環境条件の例としては、嫌気条件、高温、又は光の存在が挙げられる。そのようなプロモーターは“誘導性”又は“組織特異的”プロモーターと呼ばれる。当業者は、組織特異的プロモーターが作用可能に連結された配列の発現を指令することができることを認識するだろう。よって、本明細書中で使用する時、組織特異的プロモーターは、標的組織中で優先的に発現を指令するものであるが、他の組織においても同様に何らかの発現をもたらしてもよい。
【0241】
発生的調節の下のプロモーターの例としては、或る組織、例えば果実、種子又は花においてのみに(又は最初はそれのみに)転写を開始するプロモーターが挙げられる。胚珠、花又は種子における核酸の発現を指令するプロモーターは、特に本発明に置いて有用である。本明細書中で使用する時、種子特異的又は優先的プロモーターは、種子組織において特異的に又は優先的に発現を指令するものであり、そのようなプロモーターは例えば、胚珠特異的、胚特異的、内胚乳特異的、インテグメント特異的、種子皮特異的、又はそれらの組み合わせにおいて特異的に又は優先的に発現を指令するものであることができる。例としてはReiser他、Cell 83:735-742 (1995)中に記載された胚珠特異的BEL1遺伝子(GenBank No. U39944)からのプロモーターが挙げられる。他の適当な種子特異的プロモーターは、次の遺伝子から誘導される:トウモロコシからのMAC1(Sheridan他、Genetics 142:1009-1020 (1996))、トウモロコシからのCat3(GenBank No. L05934;Abler他、Plant Mol. Biol. 22:10131-10138 (1993))、トウモロコシからのオレオシン18 kDをコードする遺伝子(GenBank No. J05212;Lee他、Plant Mol. Biol. 26:1981-1987 (1994))、アラビドプシスからのvivparous-1(GenBank U93214)、アラビドプシスからのオレオシンをコードする遺伝子(GenBank No. Z17657)、アラビドプシスからのAtmycl(Urao他、Plant Mol. Biol. 32:571-576 (1996))、アラビドプシスからの2s種子貯蔵タンパ質遺伝子ファミリー(Conceicao他、Plant 5:493-505 (1994))、ブラッサ・ナプスからのオレオシン20 kDをコードする遺伝子(GenBangk No. M63985)、ブラッサ・ナプスからのnapA(GenBank No. J02798;Josefsson他、JBL 26:1296-1301 (1987))、ブラッサ・ナプスからのナピン遺伝子ファミリー(Sjodahl他、Planta 197:264-271 (1995))、ブラッサ・ナプスからの2S貯蔵タンパク質をコードする遺伝子(Dasgupta他、Gene 133:301-302 (1993))、大豆からのオレオシンAをコードする遺伝子(GenBank No. U09118)及びオレオシンBをコードする遺伝子(GenBank No. U09119)、並びに大豆からの低分子量高イオウ含量タンパク質をコードする遺伝子(Choi他、Mol. Gen. Genet. 246:266-268 (1995))。
【0242】
或いは、プロモーターに望ましい発現特徴を提供する特定の配列、又は発現増強活性を有するプロモーターを同定することができ、変異を介してそれら及び類似の配列を配列中に導入することができる。特定の種におけるトランス遺伝子の発現を増強するためにそれらの配列を突然変異誘発することができることも更に理解される。
【0243】
更に、複数のプロモーターからの要素を組み合わせたプロモーターを使用できることも考えられる。例えば、米国特許第5,491,288号明細書は、カリフラワーモザイクウイルスプロモーターをヒストンプロモーターと組み合わせることを開示している。よって、本明細書中に開示されるプロモーターからの要素は、別のプロモーターからの要素と組み合わせることができる。
【0244】
様々な5′及び3′転写調節配列が本発明での使用に利用可能である。転写ターミネーターは、転写の開始を担い、そしてmRNAポリアデニル化を修正する。3′非翻訳調節DNA配列は、好ましくは約50〜約1,000、より好ましくは約100〜約1,000ヌクレオチド塩基対を含み、植物転写及び翻訳終止配列を含有する。適当な転写ターミネーター、及び植物中で機能することが知られているものとしては、CaMV 35Sターミネーター、tmlターミネーター、ノパリンシンターゼターミネーター、エンドウ豆rbcS E9ターミネーター、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefacience)のオクトピン合成遺伝子からのT7転写物のターミネーター、及びジャガイモ又はトマトからのプロテアーゼ阻害剤I又はII遺伝子の3′末端が挙げられるが、当業者に既知の他の3′要素も使用することができる。或いは、γコイキン、オレオシン3又はCoix属からの他のターミネーターを使用することもできる。
【0245】
好ましい3′要素としては、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのノパリンシンターゼ遺伝子からのもの(Bevan他、1983)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(のオクトピンシンターゼ遺伝子からのT7転写物のターミネーター、及びジャガイモ又はトマトからのプロテアーゼ阻害剤I又はII遺伝子の3′末端が挙げられる。
【0246】
転写開始部位とコード配列の開始点の間のDNA配列、即ち翻訳のリーダー配列は、遺伝子発現に影響を及ぼし得るので、特定のリーダー配列を使用することが望ましい場合もある。好ましいリーダー配列は、結合した遺伝子の最適な発現を指令すると予想される配列を含むもの、即ちmRNA安定性を増加又は維持し且つ翻訳の不適切な開始を防止することができる好ましい共通リーダー配列を含むものである。そのような配列の選択は本発明の開示に照らして当業者に既知であろう。植物中で高度に発現される遺伝子から誘導される配列が最も好ましいだろう。
【0247】
トランスジェニック植物における遺伝子発現を強化することがわかっている他の配列としては、イントロン配列(例えばAdh1, bronze1, actin1, actin2 (WO 00/760067)又はショ糖シンターゼイントロン)、及びウイルスリーダー配列(例えばTMV, MCMV及びAMV)が挙げられる。例えば、多数のウイルス由来の非翻訳リーダー配列が発現を増強することが知られている。具体的には、タバコモザイクウイルス(TMV)、トウモロコシChlorotic Mottleウイルス(MCMV)及びアルファルファモザイクウイルス(AMV)からのリーダー配列が発現を増強するのに効果的であることが知られている(例えばGalle他、1987;Skuzeski他、1990)。当業界で既知の別のリーダー配列としては非限定的に、ピコルナウイルスリーダー、例えばEMCVリーダー(エンセファロミオカルジティス5′非コード領域)(Elroy-Stein他、1989);ポチウイルスリーダー、例えばTEVリーダー(タバコEtchウイルス);MDMVリーダー(トウモロコシDwarfモザイクウイルス);ヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)リーダー(Macejak他、1991);アルファルファモザイクウイルスの外被タンパク質mRNA(AMV RNA 4)からの未翻訳リーダー(Jobling他、1987);タバコモザイクウイルスリーダー(TMV)(Gallie他、1989);及びトウモロコシChrotic Mottleウイルスリーダー(MCMV)(Lommel他、1991)が挙げられる。Della-Cioppa他、1987を参照のこと。
【0248】
Adhイントロン1(Callis他、1987)、ショ糖シンターゼイントロン(Vasil他、1989)又はTMVオメガ要素(Gallie他、1989)のような調節要素を所望であれば含めることができる。
【0249】
エンハンサーの例としては、CaMV 35Sプロモーター、オクトピンシンターゼ遺伝子(Ellis他、1987)、イネアクチンI遺伝子、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(Callis他、1987)、トウモロコシシュルンケンI遺伝子(Vasil他、1989)、TMVオメガ要素(Gallie他、1989)及び非植物真核生物からのプロモーター(例えば酵母;Ma他、1988)が挙げられる。
【0250】
発現の調節のための2つの主な方法が知られている:過剰発現及び減少発現。過剰発現は、特定の遺伝子の1又は複数の余分なコピーの挿入により達成することができる。しかしながら、植物又は子孫については、ヌクレオチド配列の1又は複数の余分なコピーにより形質転換せしめて、減少発現又は過剰発現の効果を発揮することは未知である。減少発現では、“アンチセンスダウンレギュレーション”と“センスダウンレギュレーション”と呼ばれる2つの主な方法がある(センスダウンレギュレーションは“同時抑制(cosuppression)”とも呼ばれる)。一般に、それらの方法は“遺伝子サイレンシング”と呼ばれる。それらの方法は両方とも標的遺伝子の発現の抑制に至る。
【0251】
本発明の範囲内で、本発明の核酸分子の発現の変更は、次の方法の1つにより達成することができる:
【0252】
“センス”抑制
本発明のヌクレオチド配列の発現の変更、好ましくは発現の減少は、“センス”抑制により得られる(例えばJorgensen他(1996)Plant Mol. Biol. 31, 957-973を参照のこと)。この場合、本発明のヌクレオチド配列の全部又は一部がDNA分子中に含まれる。DNA分子は好ましくは、標的遺伝子を含んで成る細胞、特に植物細胞中で機能的なプロモーターに作用可能に連結され、そして該ヌクレオチド配列が発現可能である細胞中に導入される。ヌクレオチド配列は“センス方向”でDNA中に挿入され、これは該ヌクレオチド配列のコード鎖が転写され得ることを意味する。好ましい態様では、ヌクレオチド配列又はその部分はポリペプチドに翻訳される。別の好ましい態様では、ヌクレオチド配列は部分的に翻訳され、短いペプチドが翻訳される。好ましい態様では、これは、翻訳を停止させる少なくとも1つの未熟な終止コドンをヌクレオチド配列中に挿入することにより達成される。別のより好ましい態様では、ヌクレオチド配列は転写されるが翻訳生成物を全く生産しない。更に好ましい態様では、該ヌクレオチド配列又はその部分を含んで成るDNA分子が、植物細胞のゲノム中に安定に組み込まれる。別の好ましい態様では、ヌクレオチド配列又はその部分を含んで成るDNA分子が、染色体外複製分子中に含められる。
【0253】
直前に記載したDNA分子の1つを含有するトランスジェニック植物では、DNA分子中に含まれるヌクレオチド配列に相当するヌクレオチド配列の発現が好ましくは減少される。好ましくは、DNA分子中のヌクレオチド配列は、その発現が減少されるヌクレオチド配列に少なくとも70%同一であり、より好ましくは、それは少なくとも80%同一であり、更により好ましくは少なくとも90%同一であり、更により好ましくは少なくとも95%同一であり、更により好ましくは少なくとも99%同一である。
【0254】
“アンチセンス”抑制
別の好ましい態様では、本発明のヌクレオチド配列の発現の変更、好ましくは発現の減少は、“アンチセンス”抑制により得られる。本発明のヌクレオチド配列の全部又は一部がDNA分子中に含められる。DNA分子は好ましくは、植物細胞中で機能的なプロモーターに作用可能に連結され、そして該ヌクレオチド配列が発現可能である植物細胞中に導入される。ヌクレオチド配列は“アンチセンス方向”でDNA分子中に挿入され、これはヌクレオチド配列の逆の相補体(しばしば非コード鎖と呼ばれる)が転写され得ることを意味する。好ましい態様では、ヌクレオチド配列又はその部分を含んで成るDNA分子が植物細胞のゲノム中に安定に組み込まれる。別の好ましい態様では、ヌクレオチド配列又はその部分を含んで成るDNA分子が、染色体外複製分子中に含められる。このアプローチを記載する幾つかの刊行物が更なる説明のために引用される(Green, P.J.他、Rev. Biochem. 55:569-597 (1986);van der Krol, A.R.他、Antisense Nuc. Acids & Proteins, 125-141頁(1991);Abel, P.P.他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6949-6952 (1989);Ecker, J.R.他、Proc. Natl. Avcad. Sci. USA 83:5372-5376 (1986年八月)。
【0255】
直前に記載したDNA分子の1つを含有するトランスジェニック植物では、該DNA分子中に含まれるヌクレオチド配列に相当するヌクレオチド配列の発現が好ましくは減少される。好ましくは、DNA分子中のヌクレオチド配列は、その発現が減少されるヌクレオチド配列に少なくとも70%同一であり、より好ましくは、それは少なくとも80%同一であり、更により好ましくは少なくとも90%同一であり、更により好ましくは少なくとも95%同一であり、更により好ましくは少なくとも99%同一である。
【0256】
相同組み換え
別の好ましい態様では、本発明のヌクレオチド配列に相当する少なくとも1つのゲノムコピーが、Paszkowski他、EMBO Journal 7:4021-26 (1988)に記載されたような相同組み換えにより植物のゲノム中に修飾される。この技術は、相同組み換えとして当業界で知られる方法により互いを認識しそしてヌクレオチド配列を交換する相同配列の特性を利用する。相同組み換えは、細胞中のヌクレオチド配列の染色体コピーと形質転換により細胞に導入されたヌクレオチド配列の新規コピーとの間で起こることができる。よって、ヌクレオチド配列の染色体コピー中に特定の変更が導入される。一態様では、本発明のヌクレオチド配列の調節要素が変更される。そのような調節要素は、プローブとして本発明のヌクレオチド配列又はその部分を使ってゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより容易に得られる。現存する調節要素を別の調節要素に置き換え、それによりヌクレオチド配列を変更し、又はそれらを突然変異せしめるか又は削除し、それによってヌクレオチド配列の発現を排除する。別の態様では、ヌクレオチド配列を該ヌクレオチド配列の一部又は完全なヌクレオチド配列の削除により変更する。植物細胞中での変更されたポリペプチドの発現も本発明に含まれる。内因性植物遺伝子を破壊する最近のこの技術の改良が記載されている(Kempin他、Nature 389:802-803 (1997)及びMiao & Lam, Plant J., 7:359-365 (1995))。
【0257】
別の好ましい態様では、ヌクレオチド配列の染色体コピー中の変異が、両端に二重ヘアピンキャップを有する二本鎖構造中にRNAとDNA残基の連続鎖から構成されるキメラオリゴヌクレオチドを用いて細胞を形質転換せしめることにより導入される。該オリゴヌクレオチドの追加の特徴は、例えばRNA残基の所の2′−O−メチル化の存在である。RNA/DNA配列は、本発明のヌクレオチド配列の染色体コピーの配列と整列しそして所望のヌクレオチド変更を含むようにデザインされる。例えば、この技術は米国特許第5,501,967号明細書及びZhu他(1999)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:8768-8773中に更に説明されている。
【0258】
リボザイム
更なる態様では、本発明のポリペプチドをコードするRNAを、触媒性RNA又はそのようなRNAに特異的なリボザイムにより開裂させる。リボザイムはトランスジェニック植物において発現され、そして植物細胞中の本発明のポリペプチドをコードするRNAの減少量をもたらし、よって植物細胞中に蓄積した減少した量のポリペプチドをもたらす。この方法は米国特許第4,987,071号明細書に記載されている。
【0259】
優性−陰性変異
別の好ましい態様では、本発明のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの活性が変更される。これはトランスジェニック植物中の該タンパク質の優性陰性変異体の発現により達成され、内因性タンパク質の活性の低下を引き起こす。
【0260】
アプタマー
更なる態様では、本発明のポリペプチドの活性は、トランスジェニック植物中で、タンパク質に特異的に結合する核酸リガンド、いわゆるアプタマーを発現させることにより達成される。アプタマーは好ましくはSELEX(指数関数的増加によるリガンドの体系的発現;Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)法により得られる。SELEX法では、ランダム配列の領域を有する一本鎖核酸の候補混合物をタンパク質と接触させ、標的に対する増加した親和性を有するその核酸を、候補混合物の残りから分割せしめる。分割された核酸を増幅してリガンド豊富混合物を提供する。数回の反復後、ポリペプチドに対する最適親和性を有する核酸が得られ、それをトランスジェニック植物中での発現に使用する。この方法は米国特許第5,270,163号明細書中に更に説明されている。
【0261】
亜鉛フィンガータンパク質
本発明のヌクレオチド配列に又はそれの調節領域に結合する亜鉛フィンガータンパク質も、該ヌクレオチド配列の発現を変更するために使用される。好ましくは、ヌクレオチド配列の転写が減少又は増加される。亜鉛フィンガータンパク質は例えばBeerli他(1998)PNAS 95:14628-14633又はWO 95/19431,WO 98/54311又はWO 96/06166中に記載されており、それら全ての全内容が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0262】
dsRNA
本発明のヌクレオチド配列の発現の変更は、例えばWO 99/32619, WO 99/53050又はWO 99/61631中に記載されたdsRNA干渉により得ることもでき、それら全ての全内容が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0263】
DNA分子の挿入(挿入変異誘発)
別の好ましい態様では、DNA分子が本発明のヌクレオチド配列の染色体コピー中に又はその調節領域中に挿入される。好ましくは、そのようなDNA分子は植物細胞中で転位することができる転位可能な要素、例えばAc/Ds,Em/Spm変異誘発因子を含んで成る。或いは、DNA分子はアグロバクテリウムT-DNAのT-DNAボーダーを含んで成る。DNA分子はリコンビナーゼ又はインテグラーゼ認識部位を含んでもよく、該部位は植物細胞の染色体からDNA分子の一部を除去するのに使用することができる。この方法の例は実施例2に与えられる。T-DNA、トランスポゾン、オリゴヌクレオチドを使った挿入変異誘発法、又は当業者に既知である他の方法も包含される。挿入変異誘発にT-DNAとトランスポゾンを使った方法は、Winkler他(1989)Methods Mol. Biol. 82:129-136及びMartienssen (1998) PNAS 95:2021-2026中に記載されており、それらの全内容が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0264】
欠失変異誘発
更に別の態様では、本発明の核酸分子の変異は、細胞又は植物中の配列のゲノムコピー中にヌクレオチド配列又は調節配列の一部の欠失(削除)により作製される。欠失変異誘発法は当業者に既知である。例えば、Miao他(1995)Plant J. 7:359を参照のこと。
【0265】
更に別の態様では、この欠失は、化学的変異誘発又は照射により植物の大部分において任意に作製することができ、本発明の遺伝子中に欠失を有する植物は正又は逆の遺伝学により単離される。迅速な中性子又はガンマ線での照射は、植物中に欠失変異を引き起こすことが知られている(Silverstone他(1998)Plant Cell, 10:155-169;Bruggemann他(1996)Plant J., 10:755-760;Reedei&Koncz,Methods in Arabidopsis Research, World Scientific Press (1992), 16-82頁)。本発明の遺伝子中の欠失変異は、C.エレガンス(C. elegans)中に示されるようにゲノムDNAのプールセットを用いるPCRを使った逆の遺伝学において回収することができる(Liu他(1999)Genome Research 9:859-867)。今後の遺伝学は、PTGSを表示する系列の変異誘発に続いてPTGSの欠損下でM2子孫をスクリーニングすることを含む。中でもそれらの変異体は本発明の遺伝子を中断するものであると期待される。これは、それらの変異体からのゲノムDNAを用いた本発明の遺伝子についてのサザンブロット又はPCRにより評価することができる。
【0266】
植物細胞中での過剰発現
更に別の好ましい態様では、B遺伝子、特にBvPRR7遺伝子をコードする本発明のヌクレオチド配列は、植物細胞中で過剰発現される。本発明の核酸分子及び本発明の核酸分子の過剰発現用の発現カセットの例は上記に記載されている。核酸分子の過剰発現の当業者に既知の方法も本発明に含まれる。
【0267】
更に別の態様では、本発明のヌクレオチド配列の発現は植物の細胞毎に変更される。これは例えば相同組み換え又は染色体中への挿入により得られる。これは例えば、センスもしくはアンチセンスRNA、亜鉛フィンガータンパク質又はリボザイムを、センス又はアンチセンスRNAを発現することができるプロモーターの調節下で、植物の細胞毎に発現させることにより得られる。構成的発現、誘導性発現、組織特異的発現又は発生上調節される発現も本発明の範囲内であり、植物細胞中での本発明のヌクレオチド配列の発現の構成的、誘導性、組織特異的又は発生上調節された変更をもたらす。本発明のヌクレオチド配列のセンスもしくはアンチセンスRNA、亜鉛フィンガータンパク質又はリボザイムの発現用の又は本発明のヌクレオチド配列の過剰発現用の構成物を調製し、そして本発明の技術に従って、例えば上述したように、植物細胞中に形質転換せしめる。
【0268】
本発明は、配列表の配列番号1に同定された転写解読枠に相当するセンス及びアンチセンス核酸分子並びにそれらのオーソロガスも提供する。
【0269】
対応する任意のアンチセンス構成物を含む配列番号6に与えられたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に実質的に類似している本発明に係る遺伝子及び転写解読枠は、植物宿主中で機能的である任意プロモーター及び本発明の係るプロモーター配列又はそれの変異体に作用可能に連結することができる。
【0270】
一度完成されれば、発現カセット又はRNAiカセットを含んで成る本発明のポリヌクレオチド構成物は、植物形質転換に適当なベクター、例えば二元ベクター中に移すことができ、次いでそれを周知の形質転換技術の1つ、例えばアグロバクテリウム媒介形質転換を使って甜菜に移すことができる。
【0271】
本発明のポリヌクレオチド又はdsRNAを組み込みそして発現するトランスジェニック植物(又は植物細胞、植物外植片もしくは植物組織)は、様々な周知の技術により作製することができる。本発明のポリヌクレオチドを組み込んでいる発現カセット又はRNAiカセットを含んで成る上述したような本発明のポリヌクレオチド構成物の作製後、標準技術を使ってポリヌクレオチドを着目の植物、植物細胞、植物外植片又は植物組織中に導入することができる。場合により、植物細胞、外植片又は組織を再生してトランスジェニック植物を作製することができる。植物は、裸子植物、単子葉植物又は双子葉植物を包含する任意の高等植物であることができる。適当なプロトコルはマメ科(アルファルファ、大豆、クローバー等)、セリ科(ニンジン、セロリ、アメリカボウフウ)、アブラナ科(キャベツ、ダイコン、ナタネ、ブロッコリー等)、キュウリ科(メロン及びキュウリ)、イネ科(小麦、トウモロコシ、米、大麦、きび等)、ナス科(ジャガイモ、トマト、タバコ、カラシ等)及び様々な他の作物に適用することができる。Ammirato他編(1984)Handbook of Plant Cell Culture - Crop Species, Macmillan Publ. Co., New York, N.Y. ; Shimamoto他(1989)Nature 338:274-276;Fromm他(1990)Bio/Technol. 8:833-839;及びVasil他(1990)Bio/Technol. 8:429-434に記載されたプロトコルを参照のこと。単子葉植物及び双子葉植物細胞の両方の形質転換及び再生は今や日常茶飯事であり、最も適当な形質転換技術の選択は実施者により決定されるだろう。方法の選択は形質転換すべき植物の種類により異なり;当業者は、特定の植物種への特定方法の適切性を理解するだろう。適当な方法としては非限定的に、植物プロトプラストのエレクトロポレーション;リボソーム媒介形質転換;ポリエチレングリコール(PEG)媒介形質転換;ウイルスを使った形質転換;植物細胞のマイクロインジェクション;植物細胞のマイクロプロジェクティル衝撃;真空浸透;及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス媒介形質転換が挙げられる。
【0272】
植物の形質転換は単一のDNA分子又は複数のDNA分子(例えば同時形質転換)を用いて行われ、両方の技術とも本発明のポリヌクレオチド構成物での使用に適する。多数の形質転換ベクターが植物形質転換に利用可能であり、本発明の発現カセットをそのようなベクターと共に使用することができる。ベクターの選択は好ましい形質転換技術及び形質転換用の標的種に依存するだろう。
【0273】
植物細胞宿主中に構成物を導入するための様々な技術が利用可能であり、当業者に既知である。それらの技術としては一般に、形質転換誘発剤としてA.ツメファシエンス又はA.リゾゲネス、リポソーム、PEG沈澱、エレクトロポレーション、DNA注入、直接DNA組み込み、マイクロプロジェクティル衝撃、粒子促進等を用いたDNAによる形質転換が挙げられる(例えば、EP 295959及びEP 138341を参照のこと)(下記参照)。しかしながら、植物細胞以外の細胞は、本発明のポリヌクレオチヂ構成物を用いて形質転換することができる。植物発現ベクター及びレポーター遺伝子、アグロバクテリウム及びアグロバクテリウム媒介遺伝子輸送の一般的記載は、Gruber他(1993)中に見つけることができる。
【0274】
本発明に係るポリヌクレオチド配列を含有する発現ベクターは、プロトプラスト中に又は完全な組織もしくは単離された細胞中に導入することができる。好ましくは発現ベクターは完全組織中に導入される。植物組織を培養するための一般法は、例えばMaki他(1993)により;及びPhillips他(1988)により提供されている。好ましくは、発現ベクターはトウモロコシ又は他の植物組織に直接遺伝子トランスファー法、例えばマイロプロジェクタイル媒介送達、DNA注入、エレクトロポレーション等を使って導入される。より好ましくは、発現ベクターは、生分解装置を用いたマイクロプロジェクタイル媒介媒体を使って植物組織中に導入される。例えば、Tomes他(1995)を参照のこと。本発明のベクターは、構造遺伝子の発現に使用できるだけでなく、エキソン−トラップクローニング、又は組織の多様性において示差的遺伝子発現を検出するためのプロモータートラップ手順においても使用することができる(Lindsey他,1993;Auch & Reth他)。
【0275】
アグロバクテリウム種のTi及びRiプラスミドの二元型ベクターを使用することが特に好ましい。Ti由来のベクターは、多種多様な高等植物、例えば単子葉植物及び双子葉植物、例えば大豆、綿、ナタネ、タバコ及び米を形質転換する(Pacciotti他、1985;Byrne他、1987;Sukhapinda他、1987;Lorz他、1985;Potrykus他、1985;Park他、1985;Hiei他、1994)。植物細胞を形質転換するためのT-DNAの使用は、広範囲の研究を受け入れ、そして十分に記載されている(EP 120516;Hoekema, 1985;Knauf他、1983;及びAn他、1985)。植物中への導入のために、本発明のキメラ遺伝子を実施例に記載するような二元ベクターに挿入することができる。
【0276】
当業者は、方法の選択が形質転換用に標的指向される植物の型、即ち単子葉植物又は双子葉植物に依存することを理解するだろう。植物細胞を形質転換する適当な方法としては、非限定的に、マイクロインジェクション(Crossway他、1986)、エレクトロポレーション(Riggs他、1986)、アグロバクテリウム媒介形質転換(Hinchee他、1988)、直接遺伝子移入(Paszkowsky他、1984)、及びAgracetus, Inc., Madison, Wis.及びBioRad, Hercules, Calif.から入手可能である装置を使った弾道粒子加速(例えば、Sanford他、米国特許第4,945,050号;及びMcCabe他、1988を参照のこと)が挙げられる。Weissinger他、1988(大豆);Sanford他、1987(タマネギ);Christou他、1988(大豆);McCabe他、1988(大豆);Daitta他、1990(米);Klein他、1988(トウモロコシ);Klein他、1988(トウモロコシ);Klein他、1988(トウモロコシ);Fromm他、1990(トウモロコシ);Gordon-Kamm他、1990(トウモロコシ);Svab他、1990(タバコクロロプラスト);Koziel他、1993(トウモロコシ);Shimamoto他、1988(米);Christou他、1991(米);欧州特許出願第EP 0 332 581号(オーチャードグラス及び他のイチゴツナギ亜科Pooideae);Vasilhoka ,1993(小麦);Weeks他、1993(小麦)も参照のこと。一態様では、トウモロコシのプロトプラスト形質転換法が使用される(欧州特許出願第EP 0 292 435号;米国特許第5,350,689号明細書)。
【0277】
本発明の主な焦点は、甜菜の形質転換にある。甜菜の形質転換のための実験手順は当業者に周知であり、例えば外植片材料として甜菜分裂組織を使用するChang他、2002により開示されたものが周知である。
【0278】
形質転換された植物細胞又は植物を成熟まで生育させた後、着目の形質を示す植物を同定する。形質は上述した形質のいずれかであることができる。加えて、着目の形質が、本発明に係る調節ヌクレオチドの調節下での導入された着目のポリヌクレオチヂのためであることを確証するために、着目のポリペプチド又はポリヌクレオチドの発現レベル又は活性を、ノーザンブロット、RT−PCRもしくはマイクロアレイを使って、又は免疫ブロットもしくはウエスタンブロットもしくはゲルシフトアッセイを使ってmRNAを分析することにより、測定することができる。
【0279】
よって本発明は、例えば下記に記載する形質転換法のいずれか1つにより得られる改善された性質を有する加工された植物製品を包含する、植物細胞及び組織、そのような細胞及び組織から誘導された植物、植物材料、そのような植物から誘導された子孫及び種子、並びに農産物に関する。
【0280】
本発明のポリヌクレオチド配列と共に着目のポリヌクレオチドを含んで成る本発明に係る上述した発現カセットが一端植物宿主中に形質転換されたら、典型的な育種技術を使って、その種において繁殖させるか又は別の品種もしくは同一品種、特に市販品種に変更することができる。好ましい本発明の植物としては、種子植物、単子葉植物及び双子葉植物、特に農学的に重要な作物、例えば米、小麦、大麦、ライ麦、ナタネ、トウモロコシ、ジャガイモ、ニンジン、サツマイモ、甜菜、豆類、エンドウ豆、チコリ、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレン草、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ナス、カラシ、セロリ、ニンジン、ホウレン草、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、ナシ、マルメロ、メロン、プラム、サクランボ、モモ、ネクタリン、アプリコット、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴ、バナナ、大豆、タバコ、トマト、ソルガム及びサトウキビが挙げられる。
【0281】
上述したトランスジェニック植物中中に操作される遺伝形質は、有性生殖又は植物性成長により継代され、よって子孫植物において維持され繁殖することができる。一般に前記維持及び繁殖は、特定の目的、例えば耕作、播種又は収穫に適合するように開発された既知の農業法を使用する。水耕法又は温室技術のような特異化された方法も適用できる。本発明に係るトランスジェニック植物の有利な遺伝形質の使用は、改善された性質、例えば害虫、除草剤又はストレスに対する耐性、改善された栄養価、増加された収量、又は脱粒傾倒からの損失の減少を引き起こす構造を有する植物の開発を目的とする植物育種において更に利用することができる。様々な育種段階が十分に定義された人間の介在、例えば交配しようとする系列の選択、親の系列の受粉の指令、又は適当な子孫植物の選択により特徴づけられる。所望の性質に依存して異なる育種法が採択される。所望の性質に依存して、異なる育種法が採用される。関連技術は、当業者に十分既知であり、非限定例としてはハイブリダイゼーション、同系交配、異数性技術等が挙げられる。ハイブリダイゼーション技術には、機械的、化学的又は生化学的手段による雄又は雌の不稔植物を与えるための植物の不稔化も含まれる。雄無菌植物と異なる系列の花粉との交差受粉は、雄は不稔で雌は繁殖性の植物のゲノムが両親の系列の性質を均一に獲得することを断定する。よって、本発明に係るトランスジェニック植物は、除草剤もしくは殺虫剤処理のような常用法の効率を増加させる改善された植物系列の育種に使用することができるか、又はそれらの変更された遺伝形質のために前記方法を免除できるようにすることができる。或いは、改善されたストレス抵抗性を有する新規作物、それらの最適化された遺伝“装置”のために、不利な発育条件を容認することができなかった製品よりもより高品質の収穫製品を提供する新規作物が得られる。
【0282】
一態様では、ポリヌクレオチド配列は配列番号5、配列番号51及び配列番号52に与えられ、それらはB遺伝子に機能的に同等であるタンパク質をコードする。
【実施例】
【0283】
次の実施例は例示的態様を提供する。本開示及び当業者の一般技術レベルに照らして、当業者は次の実施例が例示的のみでありそして特許請求される主題の範囲から逸脱することなく多数の修飾、改良及び変更を使用できることを理解するだろう。
【0284】
実施例1:
甜菜PRR7遺伝子の特徴づけ
実施例1.1:甜菜からの推定PRR7相同体の特徴づけ
甜菜における推定抽苔調節遺伝子の同定及び特徴づけのための候補となる遺伝子アプローチに基づいて、受入番号CV301305を有するEST配列を、BLASTを使った相同性検索を用いてPRR7の推定甜菜相同体として同定した。配列番号1は、EST CV301305のヌクレオチド配列を示す。対応するアミノ酸配列は、概日関連現象に重要であると思われるPRR遺伝子の顕著な特徴である(Nakamichi他、2005)Pseudo Response Regulator Receiver(PRR,pfam0072)又はシグナル受容体(REC, cd00156)ドメインの部分配列を示す(図1)。図2は、CV301305のアミノ酸配列とそれの最も近いアラビドプシス相同体であるPRR7との整列を示し、PRR7は温度感受性概日系の一成分として記載されている(Nakamichi, 2007;Salome & McClung,2005)。概日時計は開花時(即ち抽苔)調節を含む植物における幾つかの発育過程を調節することが知られている(Imaizumi & Kay, 2006;Zhou他、2007)。
【0285】
上記観察に基づき、アラビドプシスPRR7遺伝子のゲノム配列及びmRNA(それぞれAT5G02810及びNM 120359)とBvPRR7甜菜EST(CV301305)の間の整列を使って、部分的甜菜PRR7断片の推定遺伝子構造を推定し、それは数個の推定インドロン領域の存在を明らかにした(図3)。第三番目のイントロン領域を包含するプライマーPRR7-F及び-R(配列番号2及び3)は、ゲノム甜菜DNAを鋳型として使って約0.5 Kbの増幅生成物を誘導した。増幅反応用のPCR条件は次の通りであった:95℃で5分間の一次変性、続いて95℃で30秒間、60℃で30秒間及び72℃で30秒間の35増幅サイクル、続いて72℃で5分間。PCR実験はApplied Biosystems Inc.からのGeneAMP PCR System 9600機器においてInvitrogen CorporationからのPlatinum Taq DNAポリメラーゼと対応する反応混合物を使って、供給業者により推奨される通りに実施した。PCR生成物の配列分析は、BvPRR7遺伝子断片のイントロン3の辺りのゲノム配列の再構成を可能にし、長さで296塩基対のイントロンの存在を確かめた(配列番号4)。
【0286】
実施例1.2:BvPRR7遺伝子のマッピング
上述したPRR7-F及びPRR7-Rプライマーを使って、BvPRR7遺伝子のゲノム断片を増幅せしめ、そして15の二年生系列と1つの一年生系列から成る甜菜親系列のパネルと交差配列決した。2つの異なるハプロタイプのみが観察されたので、全ての二年生系列はBvPRR7について単一形態を示した:1つは二年生対立遺伝子でもう1つは一年生対立遺伝子(表1)。一年生遺伝形質に分離する集団の中でBvPRR7をマッピングするために、EndPoint TaqMan(登録商標)技術を使って160位のSNP(配列番号4)を標的指向するアッセイを開発した。表2は160位のSNPを標的指向するPRR7(T1)TaqMan(登録商標)アッセイ用にデザインされたプライマー及びプローブのヌクレオチド配列を要約する;反応液は更に、製造業者の推奨に従ってApplied Biosystems Inc.からのPRR7(T1)TaqMan(登録商標)Universal PCR Master Mix, No AmpErase(登録商標)UNG(2×)から成った。PCR増幅は次の通りに実施した:PRISM 7700 Sequence Detector 機器を使って、95℃で10分、続いて95℃で15秒間の40サイクル及び60℃で1分。エンドポイント(EndPoint)測定はSequence Detection System 2.0ソフトウエアを使って実施した。
【0287】
上記PRR7(T1)アッセイを使って、160位のSNPについて多型の一年生系列と二年生系列の間の交配から誘導された198の個体のF2集団においてBvPRR7遺伝子をマッピングした。BvPRR7は、春化独立性開花のためのB遺伝子を含むことが知られている(Mohring他、2004;Gaafar他、2005)GJ131マーカーの下流の約1cMの距離の所の染色体IIにマッピングされた(図4)。PRR7(T1)アッセイの結果は、B遺伝子の推定遺伝子型とBvPRR7遺伝子の遺伝子型との完全な一致を示す。B遺伝子の遺伝子型は、春化独立性開花のための個々のF2植物から誘導されたF3集団の表現型評価に基づいて推定された。表3は、最も近接した組み換え現象を含んで成る9つの個々の子孫についてのB遺伝子領域の詳細な地図の図解を示す。それのマップ位置と温度感受性概日リズムに関連する生物学的機能(Salome & McClung, 2005)の組み合わせは、BvPRR7を明らかに強力な候補にする。
【0288】
実施例1.3:BvPRR7の全長ゲノム配列の回収
プライマーPRR7-FとPRR7-Rを使って、PCRにより甜菜BACライブラリーをスクリーニングした。該ライブラリーは、市販の二年生栽培品種H20から開発されそして120 Kbの平均挿入断片サイズを有する6つのゲノム等価物を表すように計算された(McGrath他、2004)。このライブライーのDNAプールを、Amplicon Express, Pullman WAにより分配した。DNAプールのスクリーニングのためのPCR条件は次の通りであった:95℃で5分間の一次変性、続いて95℃で30秒間、60℃で3秒間及び72℃で30秒間の35増幅サイクル、続いて72℃で5分間。PCR実験は、Invitrogen CorporationからのPlatinum Taq DNAポリメラーゼ及び対応する反応混合物を使って、供給業者により推奨される通りに、Applied Biosystems 9700機器において行った。その後の供給業者の教示に従ったBvPRR7断片の配列についてのDNAプールのスクリーニングは、BAC SBA079-L24の正の同定をもたらした。
【0289】
BvPRR7遺伝子の全長配列を得るために、454配列決定技術を使った配列分析のためにBASC SBA079-L24をMWG Biotech AG, Germanyに送った。必要であれば、得られたコンティグ間のギャップを従来のサンガー配列決定法により充填し、1つの単一のBvPRR7遺伝子のゲノム配列(配列番号5)を与えた。このゲノム配列とEST CV301305との整列及びアラビドプシスからのPRR7遺伝子に対する配列相同性に基づいて、イントロンとエキソンを含む甜菜BvPRR7遺伝子の推定遺伝子構造を図5に示すように推定した。この推定に基づいて、ゲノム配列はATG開始コドンの上流の3.6 Kb配列とコード領域の下流の2.2 Kbを有する完全なBvPRR7遺伝子に及ぶ。BvPRR7の対応するアミノ酸配列は配列番号6に示される。BvPRR7とアラビドプシスからのPRR遺伝子ファミリーの全構成員、例えばTOC1 (PRR1), PRR3, PRR5, PRR7及びPRR9とのアミノ酸配列の整列は、NH2末端の近くのPRR(Pseudo Regulator Receiver)ドメインモチーフ(pfam00072)及びCOOH末端の所のCTTモチーフ(pfam06203)の強力な保存を表す(図6)。アラビドプシスからのPRR遺伝子ファミリーに加えて、BvPRR7は、図7に示された系統樹により表されるように、穀類のPRR7相同体に対しても強力な相同性を共有する。驚くべきことに、Ppdとしてもよく知られる穀類のRR7相同体は、甜菜について本明細書中に示差されるような春化反応よりも光周期反応の主な決定因子を表すことが知られている(Turner他、2005;Beales他、2007)。
【0290】
実施例1.4:BvPRR7の遺伝子発現分析
遺伝子発現分析のため、二年生春化植物からの種子を、18℃の定温及び16時間の昼と8時間の夜の光周期に制御された環境の温室中で生育させた。葉試料を24時間に渡り2時間ごとに採集し、Ambionにより販売されているRNAqueous(登録商標)4PCR Kitを使って、基本的に供給業者の教示に従って、全RNAを単離した。植物RNA Isolation Aid(Ambion)をRNA単離段階に添加して、多糖類とポリフェノールのような汚染物を除去し、そしてDNA残渣の除去のためにRNA試料をDNアーゼI(Ambion)で処理した。RNA試料をRETROscriot(登録商標)キット(Ambion)を使って、鋳型として1μgの全RNAから出発してcDNAに変換した。BvPRR7遺伝子の発現を、Power SYBP(登録商標)Green PCR Master Mix(Applied Biosystems Inc.)を使ってABI PRISM 7700 Sequence Detector機器上での定量的PCR(qPCR)により測定した。PCR条件は次の通りであった:95℃で10分間の一次変性、続いて95℃で15秒及び60℃で1分の40増幅サイクル。BvPRR7の正及び逆プライマーのヌクレオチド配列は次の通りである:それぞれ5’-TTGGAGGAGGTGTCACAGTTCTAG-3’(配列番号49)及び5’-TGTCATTGTCCGACTCTTCAGC-3’(配列番号50)。βチューブリン(BvBTU)及びイソシトレートデヒドロゲナーゼ(BvlCDH)遺伝子を、BvPRR7の発現を標準化するための参照遺伝子として使用した。それらの2つの参照遺伝子用にデザインされたプライマー配列は、BvBTU(AW063029)については5’-TTGTTGAAAATGCAGACGAGTGT-3’(配列番号13)と5’-AAGATCGCCAAAGCTTGGTG-3’(配列番号14)及びBvlCDH(AF173666)については5’-CACACCAGATGAAGGCCGT-3’(配列番号15)と5’-CCCTGAAGACCGTGCCAT-3’(配列番号16)から成った。全ての時点で生物学的三重反復試料に置いて行い、各qPCR実験は2回繰り返した。データは、Sequence Detection System 2.0ソフトウエア(Applied Biosystems Inc.)及びGenExソフトウエア(MultiD Analyses)を使って分析した。図8に要約されるように、BvPRR7遺伝子の発現プロフィールは、始まり後に7時間に発現のピークを有する日周振動を示す。この実験は、このように無理に同定された時計関連遺伝子の大部分に記載されているのと同様なBvPRR7のリズム及び概日発現を確証する(McClung, 2006)。
【0291】
実施例1.5:対立遺伝子多様性及び春化要件への関連
幾つかのプライマー対(表4)を使って、BvPRR7遺伝子の全コード領域を増幅せしめ、16の二年生植物と14の一年生植物のパネルに渡り配列決定した。増幅のためのPCR条件は次の通りであった:95℃で5分間の一次変性、続いて95℃で30秒間、60℃で30秒間及び72℃で30秒間の35増幅サイクル、続いて72℃で5分間。PCR実験は、Applied Biosystems Inc.からのGeneAMP PCR System 9600機器において、Invitrogen CorporationからのPlatinum Taq DNAポリメラーゼ及び対応する反応混合物を使って、供給業者に推奨される通りに実施した。観察された遺伝子型の図解は7つの異なる対立遺伝子を示し;6つは一年生対立遺伝子で1つは二年生対立遺伝子であった(表5)。二年生対立遺伝子は二年生系列にユニークであり、一年生植物体には1つも見つからず、このことはBvPRR7について観察された対立遺伝子変異と一年生又は二年生植物遺伝形質との強力な相関関係を示唆する。この観察は、BvPRR7と甜菜の春化独立性開花のB遺伝子との関係を更に強調する。コード配列において特徴づけられた19のSNPのうち、7つが一年生対立遺伝子と二年生対立遺伝子間の推定タンパク質配列のアミノ酸変化をもたらす。表5に要約されたハプロタイプに従って、3827位、3954位、5284位、5714位、10954位、11220位、11391位、12053位、12127位及び12837位のSNPのいずれかを使って、1又は複数のそれらのSNPを標的指向する分子マーカーにより二年生対立遺伝子から全ての一年生対立遺伝子を識別することができる。
【0292】
PRR7遺伝子のコード配列とは別に、プロモーター領域も一年生系列と二年生系列と間で多型を示した。プライマーF3808(配列番号29)及びR3809(配列番号30)を使って、二年生系列からのゲノムDNAを鋳型として使った時に0.6 Kbの増幅生成物が得られたが、一年生系列の場合は全く増幅が得られなかった。増幅反応のためのPCR条件は次の通りであった:95℃で5分間の一次変性、続いて95℃で30秒間、60℃で30秒間及び72℃で30秒間の35増幅サイクル、続いて72℃で5分間。PCR実験はApllied Biosystems Inc.からのGeneAMP PCR System 9600装置において、Invitrogen CorporationからのPlatinum Taq DNAポリメラーゼ及び対応する反応混合物を使って、供給業者により推奨される通りに実施した。このプライマー対は二年生対立遺伝子を特異的に増幅するが一年生対立遺伝子は増幅しない。プライマー対F3855(配列番号35)とR3809(配列番号30)、又はF3855(配列番号35)とR3856(配列番号36)についても同様な結果が得られ(表4)、二年生系列においてそれぞれ1.0 Kbと0.8 Kbの増幅生成物を与えたが、一年生では全く増幅が観察されなかった。当業者は、識別的多型の選択が上記に列挙したものに限定されず、非コード領域又は隣接領域の部分、例えばターミネーター及びイントロンにおいても同定されうることを知るだろう。
【0293】
表1:イントロン3を含むBvPRR7遺伝子についての1つの一年生と15の二年生甜菜系列間に観察される多型
【表1】

【0294】
ヘッダー行はBvPRR7遺伝子断片のゲノム配列(配列番号5)のヌクレオチド位置を示す。残りの行は16の系列のパネルに渡り観察された2つのハプロタイプを表す。
【0295】
表2:SNP #160の遺伝子型についてのTaqManアッセイPRR7に相当するプライマー及びプローブのヌクレオチド配列
【表2】

【0296】
表3:B遺伝子の片側に組み換え現象を示す9つのF2植物に渡るB遺伝子周辺のPRR7(T1)地図を含む多数のマーカーの遺伝子型。PRR8(T1)及び9\27(T2)マーカーはB遺伝子の推定遺伝子型との完全な一致を示す。B遺伝子の遺伝子型は、個々のF2植物から誘導されたF3集団の表現型の評価に基づく。
【表3】

【0297】
表4:増幅するために使用したPCRプライマーのヌクレオチド配列並びにBvPRR7の全エキソン及びイントロンの一部及びプロモーター又はターミネーター領域の配列
【表4】

【0298】
表5:16の二年生系列及び14の一年生系列の中のBvPRR7のコード領域中に観察されるハプロタイプ及び多型
【表5】

【0299】
この表は、一年生対立遺伝子と二年生対立遺伝子を比較した時のコード領域中に同定された19の多型を示す。Pseudo-Receiver及びCCTドメイン中の多型は太線で示される。アミノ鎖置換は小さな星により指摘される。二年生対立遺伝子に特異的なアミノ酸変異は大きい星により指摘される。ヘッダー行に示されたSNP位置は配列番号5に従って番号付与される。
【0300】
実施例2:相補性研究によるBvPRR7のトランスジェニック検証
B遺伝子により付与された一年生植物習性は、単一の優性形質として振る舞い;二年生植物における春化の必要条件が受け入れられる。二年生遺伝子型へのBvPRR7の一年生対立遺伝子の形質転換は、二年生受容性遺伝子型上へ一年生開花挙動を授与すると推測される。この仮説を確かめるために、一年生プロモーター及びターミネーター断片の調節下でのBvPRR7の一年生対立遺伝子のコード配列を、二年生遺伝子型G018中に形質転換せしめる。甜菜の形質転換のための実験手順はChang他、2002により本質的に記載されており、外植片材料として甜菜分裂組織を使用しそして選択マーカーとしてホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)遺伝子を使用する。PMI選択マーカー遺伝子と一年生BvPRR7対立遺伝子の両方の遺伝子カセットを担持する二元ベクターを図9に示す。トランスジェニック衝撃をPMI活性について確認し(Joersbo他、1998)、続いて植え付け、土壌中に植え、温室に移した。負の対照は、同じ試験管内再生手順を受けたがアグロバクテリウム感染及びマンノース選択を使用しない。植物を18℃の定温及び17時間の採光と7時間の遮光の光周期の生育室中で生育させた。それらの条件下では、非トランスジェニック対照は観察期間の間、抽苔の徴候を何も示さないことが分かり、一方で一年生対照植物は通常8週間以内に抽苔することがわかった。非トランスジェニック二年生対照植物に対比して、それらの二年生遺伝子バックグラウンドにもかかわらず、相当の数のトランスジェニック現象が4〜10週間内に抽苔を開始しそして一年生植物のように振る舞った。抽苔し開花したトランスジェニック植物を、子孫を作らせるために二年生維持体と交差受粉させた。子孫植物をPMI活性について試験し、次いで春化処理しない抽苔及び開花についてモニタリングした。大部分の子孫は、1:1の分離比を示し、PMI活性と一年生形質との間に完全な相関関係を示すだろう。それらのデータは、甜菜におけるBvPRR7と春化独立性開花との密接な関係を曖昧に証明するだろう。
【0301】
実施例3:BvPRR7のトランスジェニック抑制は抽苔耐性を付与する
BvPRR7は甜菜における春化反応に重要な役割を果たすので、BvPPR7は春化反応を抑制することにより抽苔耐性を操作するための明らかな候補である。この目的に、アラビドプシスからの構成的Ubi3プロモーター(Norris他、1993)の調節下にRNAiカセット中に0.6 KbのBvPRR7 cDNA断片(配列番号1)を集成した。BvPRR7断片の逆転反復をジャガイモStLS1遺伝子(Eckes他、1986;Vancanneyt他、1990)からの第二イントロンにより分割してRNAiカセットを安定化させ且つRNAi現象の効率を改善した(Wang & Waterhouse, 2001;Smith他、2000)。BvPRR7及びPMI選択マーカー遺伝子のRNAi遺伝子カセットを担持している二元ベクターのプラスミド地図を図10に示す。このRNAiカセットを前の実施例に記載したように二年生遺伝子型G018中に形質転換せしめた。PMI陽性新芽及び非トランスジェニック対照を植え付け、最大18℃で2週間の環境順化のために温室に移した後、春化処理を行った。一端確立されたら、トランスジェニック植物を6℃の定温で12時間の弱い人工光で14週間の期間から成る春化処理に暴露し、10℃から18℃に温度を段階的に増加させることにより、春化した植物を順化室中で2週間の間ゆっくりと順化させた。続いて植物を大きな植木鉢(2リットル)に移植し、17時間の明/7時間の暗の光周期に暴露しながら抽苔についてモニタリングした。非トランスジェニック対照植物は常に春化後4〜6週間の間に抽苔を開始した。BvPRR7が抑制されたトランスジェニック植物は、2週間から2カ月以上までに及ぶ抽苔の遅れを示した。温室に適用された条件下でわずかな抽苔の現象も観察されない。抽苔及び開花とは別に、トランスジェニック植物は正常に生育しそして表現型収差を全く示さない。一般に、抽苔が遅れた植物は、延長された植物性段階の結果として抽苔時点でずっと多数の葉数を示す。
【0302】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明に係る上述した情報断片を含むポリヌクレオチドであって、マーカーMP0176及びGJ01の1cM上流の距離の所に位置し且つマーカーGJ131と同時分離するゲノムDNA領域から得られ、甜菜における抽苔遺伝子(B遺伝子)関連表現型と完全な同時分離を示すポリヌクレオチド。
【請求項2】
本発明に係る上述した情報断片を含むポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドであって、B遺伝子に関して1cM未満、特に0.75 cM未満、更に特に0.5 cM、更により特に0.3 cM、特に0.25 cMの距離の所に位置するゲノムDNA領域から得られる、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
甜菜ゲノム中の抽苔遺伝子又はB遺伝子に遺伝的に連鎖した甜菜ゲノムDNAから得られ、次の要素:
a) 甜菜ゲノムDNA、特に配列番号2,3もしくは4に与えられるヌクレオチド配列又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%でそして少なくとも95〜99%の配列同一性を有する配列を示すポリヌクレオチド断片を鋳型として使用した時、それぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-R、又はそれぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる配列と少なくとも90%、特に少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、そして99%までの配列同一性を有するプライマー対を用いたPCR反応における約0.5 kbの増幅生成物を与えるイントロン領域;
b) 配列番号1又は配列番号52に示されるヌクレオチド配列と70%、特に75%、より好ましくは80%、更により好ましくは85%、特に90%で95%〜99%までの配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド断片;
c) 配列番号5に与えられるヌクレオチド配列又は配列番号5もしくは配列番号51に与えられるヌクレオチド配列と70%、特に75%、より好ましくは80%、更により好ましくは85%、特に90%で95%〜99%までの配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド断片;
d) スプライシング後に、配列番号6に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%、特に少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも98%で100%までの配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド断片;及び任意に加えて
e) NH2末端の近くにPRRR(Pseudo Response Regulator Receiver)ドメインモチーフをコードしそしてCOOH末端にCCTモチーフをコードする高度に保存された部分
の1つ又は複数を含んで成る、請求項1に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項4】
それぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-R、又はそれぞれ配列番号7と配列番号8に与えられる配列と少なくとも90%、特に少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、特に99%までの配列同一性を有するプライマー対を用いたPCR反応において約0.5 kbの増幅生成物を与えるイントロン領域を含んで成る、請求項34に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号1に与えられたヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を発現するポリヌクレオチド断片を含んで成るポリヌクレオチド、特に単離されたポリヌクレオチドである、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号2,3もしくは4に与えられたヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも70%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で95%〜99%までの配列同一性を有する配列を発現するポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項7】
スプライシング後に、配列番号6に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも80%、特に少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも98%で100%までの配列同一性を有するポリペプチドをコードする、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列、又は配列番号5に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95〜99%までの配列同一性を有する配列を含んで成るポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号51に与えられたヌクレオチド配列、又は配列番号51に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95〜99%までの配列同一性を有する配列を含んで成るポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項10】
配列番号52に与えられたヌクレオチド配列、又は配列番号52に与えられたヌクレオチド配列と少なくとも70%、特に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%で少なくとも95%〜99%までの配列同一性を有する配列を含んで成るポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項11】
情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、前記ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号1に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項12】
情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、前記ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号2,3又は4に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項13】
情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、前記ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号5に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項14】
情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、前記ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号6に与えられたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項15】
情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、前記ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号51に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項16】
情報断片を含むポリヌクレオチドであって、特に中度のハイブリダイゼーション条件、更に特には緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、前記ポリヌクレオチド断片の相補鎖が配列番号52に与えられたヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド断片を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項17】
情報断片を含むポリヌクレオチドであって、
a) それぞれ配列番号7と配列番号8に与えられた正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-R、又はそれぞれ配列番号7と配列番号8に与えられた配列と少なくとも90%、特に少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、特に99%までの配列同一性を有するプライマー対を使って、特に下記条件:
・95℃で5分間の1次変性に続き、
・95℃で30秒間の35の増幅サイクル、
・60℃で30秒間、
・72℃で30秒間、続いて
・72℃で5分間
の下でのPCR反応において、二年生の市販の栽培品種H20から作製されたBACライブラリーをスクリーニングし;
b) 配列番号1に与えられたEST CV301305と配列相同性を共有する2つの非重複コンテイグを含んで成るBAC SBA079-L24を選択し、そしてそれらを2つの単一配列に結合し;
c) 配列番号1に与えられたEST CV301305へのBAC配列コンティグの整列に基づいてそしてアブラナ科(Arabidopsis)からのPRR7遺伝子との配列相同性に基づいて、イントロンとエキソンを含んで成るビートBvPRR7遺伝子の遺伝子構造物を獲得する
ことにより、該ポリヌクレオチドが甜菜ゲノム中の抽苔遺伝子又はB遺伝子と遺伝的に連鎖甜菜ゲノムDNAから得ることができる、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号1に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号2に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号3に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項21】
配列番号4に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項22】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項23】
配列番51に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項24】
配列番号52に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項25】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にAを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にAを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子1を表す、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項26】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にTを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にAを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にGを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子2を表す、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項27】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にGを、11143位にTを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にGを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子3を表す、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項28】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にTを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にAを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子4を表す、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項29】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にAを、12127位にTを、12193位にAを、12337位にGを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子5を表す、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項30】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にCを、3954位にTを、5284位にTを、5714位にGを、10954位にGを、11043位にTを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にAを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にAを、12053位にGを、12086位にGを、12127位にTを、12193位にAを、12337位にAを、そして12837位にGを有し、一年生対立遺伝子6を表す、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項31】
配列番号5に与えられたヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列は3695位にGを、3827位にAを、3954位にAを、5284位にCを、5714位にTを、10954位にAを、11043位にGを、11143位にCを、11150位にCを、11220位にCを、11238位にCを、11299位にTを、11391位にGを、12053位にAを、12086位にGを、12127位にCを、12193位にGを、12337位にGを、そして12837位にAを有し、二年生対立遺伝子7を表す、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項32】
配列番号6に与えられたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列を含んで成る、上記請求項に記載の情報断片を含むポリヌクレオチド。
【請求項33】
鋳型として甜菜ゲノムDNAを使って、それぞれ配列番号7と配列番号8に与えられた正プライマーPRR7-Fと逆プライマーPRR7-Rを用いたPCR反応において得ることができる、情報断片を含む約0.5 kbの増幅生成物。
【請求項34】
複数の個々のマーカーを含んで成る一組のポリヌクレオチドマーカーであって、前記マーカーは上記に開示したような対立遺伝子変異体1〜7のいずれかを含む配列番号5に与えられたポリヌクレオチドに基づいて開発され、そして表5に与えられるヌクレオチド位置の様々なSNPsを検出することができ、前記マーカー組は異なる対立遺伝子を同定することができ、よって一年生と二年生甜菜系列間を識別することができる、一組のポリヌクレオチドマーカー。
【請求項35】
ポリヌクレオチドマーカーであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号51及び配列番号52に与えられたポリヌクレオチド並びに配列番号6に与えられたアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの群から選択されたポリヌクレオチド分子又はそれの情報断片から開発することができ、ここで前記ポリヌクレオチドマーカーは1又は複数の多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づいた多型、特にSNPに基づいた多型を含んで成り、前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、一年生と二年生遺伝子型の間又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする、ポリヌクレオチドマーカー。
【請求項36】
ポリヌクレオチドマーカーであって、配列番号2に与えられたポリヌクレオチドに基づいて開発されそしてBvPRR7遺伝子の第三イントロン中に次のSNPの少なくとも1つ:
a) 87位のシトシン又はチミン
b) 160位のシトシン又はチミン
c) 406位のアデニン又はグアニン
を検出することができ、従って一年生ハプロタイプと二年生ハプロタイプ間を識別することができる、請求項35に記載のポリヌクレオチドマーカー。
【請求項37】
ポリヌクレオチドマーカーであって、B遺伝子に遺伝的に密接に連鎖し、配列番号2に示されたヌクレオチド配列を表す甜菜のゲノム領域内のヌクレオチド配列にアニーリングすることができ、且つそれの情報断片を増幅することができる正プライマーと逆プライマーとから成る一対のプライマーにより表され、ここで前記断片は1又は複数の多型、特にSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失もしくは挿入に基づいた多型、特にSNPに基づいた多型を含んで成り、前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、そして一年生と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする、上記請求項に記載のポリヌクレオチドマーカー。
【請求項38】
一対のプライマーであって、配列番号2に与えられた第三イントロン中のヌクレオチド配列にアニールし、且つ多型、特に87位にC/T SNPを及び/又は160位にC/T SNPを及び/又は406位にA/G SNPを含んで成る多型を含んで成る前記領域からの情報断片を増幅する、一対のプライマー。
【請求項39】
正プライマーと逆プライマーから成る一対のプライマーであって、B遺伝子に、特にB遺伝子内の一領域に遺伝的に密接に連鎖する甜菜ゲノムのゲノム領域中のヌクレオチド配列にアニールすることができ、そして情報断片を含む上述したポリヌクレオチドを含んで成り、ここで前記断片は多型を含んで成り、前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、そして一年生と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする、一対のプライマー。
【請求項40】
正プライマーと逆プライマーから成る一対のプライマーであって、B遺伝子に遺伝的に密接に連鎖した甜菜ゲノムのゲノム領域内のヌクレオチド配列、特にB遺伝子内のヌクレオチド配列に、特にB遺伝子のプロモーター領域内のヌクレオチド配列に、特に配列番号51に示されたB遺伝子のプロモーター領域内のヌクレオチド配列にアニールすることができ、そしてそれの情報断片を増幅せしめることができ、前記断片はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、そして一年生と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハプロタイプ間を識別できるようにする、請求項39に記載の一対のプライマー。
【請求項41】
上記請求項のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの断片又はそれの情報部分を増幅することができる一対のプライマーであって、前記断片は多型を含んで成り、前記多型はB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、そして一年生と二年生遺伝子型の間を又は二年生もしくは一年生遺伝子型を発現する甜菜植物の植物分類内の異なるハロタイプ間を識別できるようにする、請求項39に記載の一対のプライマー。
【請求項42】
前記多型部位がSNP、SSR、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失又は挿入に基づいた多型により特徴づけられる、請求項39に記載の一対のプライマー。
【請求項43】
配列番号5に与えられたBvPRR7遺伝子のコード領域内のヌクレオチド配列にアニールしそして多型、特に3827位のA/C SNP及び/又は3954位のA/T SNP及び/又は5714位のT/G SNP及び/又は11220位のC/A SNP及び/又は11391位のG/A SNP及び/又は12053位のA/G SNP及び/又は12127位のC/T SNPを含んで成る多型を含んで成る前記コード配列からの情報断片を増幅する、一対のプライマー。
【請求項44】
SNP#3827を含んで成る断片を増幅するための配列番号27に与えられた正プライマーF3806と配列番号28に与えられた逆プライマーR3807を含んで成る、請求項43に記載の一対のプライマー。
【請求項45】
SNP#160を含んで成る断片を増幅するための配列番号7に与えられた正プライマーPRR7-Fと配列番号8に与えられた逆プライマーPRR7-Rを含んで成る、上記請求項に記載の一対のプライマー。
【請求項46】
情報ポリヌクレオチド断片中の部分領域に相補的である少なくとも2つの別々のプローブ分子を含んで成る一組のプローブポリヌクレオチドであって、前記情報ポリヌクレオチド断片は多型を含んで成り、前記多型は、配列番号5に与えられたPRR7遺伝子の疑似受容体領域の中のSNP #3827に基づいており、そして第一の蛍光色素で標識された第一のプローブ分子は配列番号47に示されたヌクレオチド配列を有し、そして第二の蛍光色素で標識された第二のプローブ分子は配列番号48に示されたヌクレオチド配列を有する、一組のプローブポリヌクレオチド。
【請求項47】
甜菜ゲノム中の多型を検出するための対立遺伝子識別アッセイにおけるマーカーとしての、上記請求項に記載のポリヌクレオチド又はそれの情報断片の使用。
【請求項48】
甜菜ゲノム中の多型を検出するための対立遺伝子識別アッセイにおける、上記請求項に記載の一対のプライマーの使用。
【請求項49】
甜菜植物における一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) 上記請求項のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの配列に相補的である前記試料からのゲノム領域のヌクレオチド配列を分析し;そして
c) 前記配列を、二年生表現型及び一年生表現型と関連することが知られている対立遺伝子配列とそれぞれ比較する
ことを含んで成る方法。
【請求項50】
前記ゲノム領域が配列番号5に表される配列を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記配列分析が、上記請求項のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドもしくはそれの情報断片又は一対のプライマーに基づいた分子マーカーを使って実施される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
i. 二年生市販栽培品種H20から開発されたBACライブラリーから単離された第一の群のBAC群より選択されたBACのヌクレオチド配列を分析し、そして
ii 前記配列を、それぞれ二年生表現型及び一年生表現型と関連することが知られている対立遺伝子配列と比較する
ことを含んで成る、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
多型部位を含んで成る上記請求項のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの部分領域と隣接する正及び逆プライマーを使ったPCR反応において、イントロン領域を分析し、前記部分領域を増幅せしめ、そして増幅された断片を、それぞれ二年生表現型及び一年生表現型と関連することが知られている対立遺伝子配列と比較する、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記多型がSNPに基づく、請求項53に記載の方法、
【請求項55】
甜菜植物の一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) 配列番号7に与えられた正プライマーPRR7-F及び配列番号8に与えられた逆プライマーPRR7-Rに基づいたPCR増幅により甜菜ゲノムから得られるイントロン領域のヌクレオチド配列を分析し;そして
c) 前記配列を、二年生表現型及び一年生表現型とそれぞれ関連することが知られている対立遺伝子配列と比較する
ことを含んで成る方法。
【請求項56】
前記イントロン領域が、配列番号2に与えられたヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、特に少なくとも75%、より特定的には少なくとも80%、更により特定的には少なくとも85%、特に少なくとも90%でそして少なくとも95%〜99%の配列同一性を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記イントロン領域が配列番号2に与えられたヌクレオチド配列を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
一年生表現型と同時分離する甜菜ゲノムのゲノム領域中の多型を検出するための対立遺伝子識別アッセイであって、前記多型がB遺伝子座のB対立遺伝子について診断可能であり、そして上記請求項のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド又はそれの任意情報断片に基づいて開発された分子マーカーを含んで成る一年生遺伝子型と二年生遺伝子型の間を識別できるようにするという対立遺伝子識別アッセイ。
【請求項59】
前記分子マーカーが上記請求項のいずれか一項に記載の一対のプライマーを含んで成る、請求項58に記載の対立遺伝子識別アッセイ。
【請求項60】
請求項58及び59のいずれか一項に記載のマーカー補助対立遺伝子識別アッセイにおける市販の種子中の一年生混入を同定する方法。
【請求項61】
甜菜ゲノムにおける一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定するために使用することができる分子マーカーの開発のための、上記請求項のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドの使用であって、
a) 前記ポリヌクレオチドの多型部位を同定し、
b) 前記多型を甜菜の一年生に関連する対立遺伝子の存在又は不在と関連付け、
c) 対立遺伝子識別アッセイにおいて使用することができる前記多型部位を含んで成るポリヌクレオチドの増幅のための、この多型部位に隣接するヌクレオチド配列を認識する正及び逆プライマーをデザインする
ことを含んで成る使用。
【請求項62】
甜菜植物における一年生に関連する対立遺伝子の不在又は存在を同定する方法であって、
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し;
b) BvPRR7遺伝子、特に配列番号51に開示されたBvPRR7のプロモーター領域中に存在するヌクレオチド配列に相補的であり且つ結合するプライマー、特にプライマー対を使って、前記試料DNAから断片を増幅せしめ;そして
c) 前記配列を、二年生表現型に関連するが一年生表現型には関連しないことが知られている対立遺伝子配列と比較する
ことを含んで成る方法。
【請求項63】
a) 分析しようとする甜菜植物からゲノム試料を獲得し、
b) 前記試料DNAを、対立遺伝子特異的配列、特に二年生対立遺伝子中に存在するが一年生対立遺伝子中には存在しないことが知られているBvPRR7遺伝子のプロモーター領域、特に配列番号51に開示されたBvPRR7からの対立遺伝子特異的配列を含んで成るプローブ分子で探査すること
を含んで成る、請求項62に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−527598(P2010−527598A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508869(P2010−508869)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056390
【国際公開番号】WO2008/142167
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】