説明

ポリビニルアセタール樹脂、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

【課題】 電荷発生物質の特性を十分に発揮させるとともに、それとは相反するといわれている塗工性や電荷発生物質の分散性にも優れた樹脂を提供し、また、そのような樹脂を用いた電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】 特定の繰り返し構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂、該ポリビニルアセタール樹脂を用いた電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を含有する電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機材料を用いた電子写真感光体(有機電子写真感光体)は、数多くの電子写真装置(複写機やプリンターなど)に搭載されるようになり、用いられる材料の研究開発も盛んに行われている。
【0003】
特に、フタロシアニン顔料やアゾ顔料をはじめとした電荷発生物質の研究開発は盛んに行われており、感度や耐久性の向上を目指した、新規化合物や、顔料の新規結晶形に関する様々な提案がなされている。
【0004】
これに対して、感光層用の結着樹脂、特に積層型感光層の電荷発生層用の結着樹脂に関する研究開発は、あまり盛んではないのが現状である。
そのような現状において、例えば、特許文献1や2には、感度向上や残電低下の効果がある樹脂として、ポリビニルベンザール誘導体が開示されている。また、特許文献3には、ポリビニルアセタール誘導体が開示されている。
【0005】
しかしながら、実際は、塗工性や電荷発生物質の分散性を考慮して、ポリビニルブチラールなどの市販品が使用されている例がほとんどであり、電荷発生物質の特性を十分に発揮させているとは限らない。
【特許文献1】特開昭62−030254号公報
【特許文献2】特開平05−045899号公報
【特許文献3】特開昭62−095537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電荷発生物質の特性(電子写真特性)を十分に発揮させるとともに、それとは相反するといわれている塗工性や電荷発生物質の分散性にも優れた樹脂を提供することにある。また、本発明は、そのような樹脂を用いた電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記一般式(1)で示される繰り返し構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂である。
【0008】
【化1】

【0009】
(一般式(1)中、X11は、置換もしくは無置換のエチレン基、置換もしくは無置換のプロピレン基、または、置換もしくは無置換のブチレン基を示す。R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、メトキシ基を示す。Ar11およびAr12は、それぞれ独立に、電子供与性置換基を1個以上有するフェニル基を示す。)
【0010】
また、本発明は、支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、上記ポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0011】
また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
【0012】
また、本発明は、上記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリビニルアセタール樹脂を用いた感光層用塗布液(電荷発生層用塗布液)は、電荷発生物質の分散性が良好で、塗工性にも優れている。また、このポリビニルアセタール樹脂を用いた電子写真感光体は、電荷発生物質の特性が十分に発揮され、感度が高く、繰り返し使用時の電位安定性が高い電子写真感光体である。また、この電子写真感光体は、使用環境の差や、搭載されるプロセスカートリッジおよび電子写真装置の仕様の差に対しても安定した特性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明について詳しく説明する。
【0015】
ポリビニルアセタール樹脂の中でも、ブチルアルデヒドとポリビニルアルコールから合成されるブチラール樹脂はよく知られているが、本発明のポリビニルアセタール樹脂は、アルキル基の代わりに電子供与性の置換トリアリールアミン骨格を導入してある。
このような樹脂を感光層(電荷発生層)の結着樹脂として用いることにより、電荷発生物質の分散性を向上させることができる。本発明者らは、さらに、電荷発生物質で励起したキャリヤの分極や、層中の電荷輸送性や、電荷輸送層および/または下地の層(支持体と感光層との間の層)へのキャリヤ注入性も向上させることができると考えている。その結果として、電子写真感光体の感度は高くなり、キャリヤの滞留は抑制され、フォトメモ
リーは低減され、繰り返し使用時の電位安定性および環境特性は改善されるものと本発明者らは推察している。
【0016】
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、通常のブチラール樹脂と同様な方法で合成することが可能である。すなわち、ポリビニルアルコールと電子供与性の置換トリアリールアミン骨格を有するアルデヒドを、例えばエタノールとトルエンの混合溶剤中で塩酸や硫酸などの酸の存在下、20〜70℃で反応させることによって合成することができる。
【0017】
本発明のポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は10000〜500000の範囲にあることが好ましく、30000〜100000の範囲にあることがより好ましい。分子量が小さすぎると、電荷発生物質の分散安定性や層の成膜性が不十分になることがある。分子量が大きすぎると、合成時のハンドリングに不具合が生じやすく、また、電荷発生物質分散時の粘度が高くなるので、分散不良を引き起こすこともある。
【0018】
また、本発明のポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は30モル%以上であることが好ましく、50〜85モル%であることがより好ましい。アセタール化度が低すぎると、溶剤に対する樹脂の溶解性が低下しすぎることがあり、また、電子供与性の置換トリアリールアミン骨格の数が少なくなるために、本発明の効果が十分得られない場合がある。一方、アセタール化度が85モル%より高いアセタール化度を有する樹脂は、合成するのが難しい。
【0019】
また、本発明においては、原料のポリビニルアルコールに由来する残存酢酸ビニル成分の含有率は低いほど好ましい。原料のポリビニルアルコールとしては、ケン化度が85%以上のものを原料として使用することが好ましい。ケン化度が85%より低いとアセタール化度が低くなりやすい。
【0020】
電子供与性置換基としては、メチル基、エチル基およびプロピル基などのアルキル基や、メトキシ基およびエトキシ基などのアルコキシ基や、フェニル基や、フェノキシ基や、ベンジル基などが挙げられる。
【0021】
本発明のポリビニルアセタール樹脂を電子写真感光体の感光層(電荷発生層)に用いる際、本発明のポリビニルアセタール樹脂とともに他の樹脂を混合して用いてもよい。その混合割合は、樹脂全質量に対して、本発明のポリビニルアセタール樹脂が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0022】
以下に、本発明のポリビニルアセタール樹脂の具体例を例示する。以下のX11、R11、R12、R13、R14、Ar11およびAr12は、上記一般式(1)のX11、R11、R12、R13、R14、Ar11およびAr12である。
【0023】
【化2】

【0024】
上記一般式(1)において、X11はエチレン基(無置換のエチレン基)であることが好ましい。また、R11、R12、R13およびR14はすべて水素原子であることが好ましい。また、Ar11およびAr12が有している上記電子供与性置換基はアルキル基であることが好ましく、その中でも、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0025】
本発明の電子写真感光体の感光層としては、電荷発生物質および電荷輸送物質を単一の層に含有させた単層型感光層であってもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する積層型感光層であってもよい。電子写真特性の観点からは、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層の中でも、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層がより好ましい。
【0026】
感光層を積層型感光層とする場合、電荷発生層は、本発明のポリビニルアセタール樹脂
を溶剤に溶解させ、これに電荷発生物質を加え、該電荷発生物質を分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷発生物質の分散の際には、サンドミルやボールミルなどのメディア型分散機や、液衝突型分散機などの分散機を用いることができる。
【0027】
電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ビスアゾおよびトリスアゾなどのアゾ顔料、金属フタロシアニンおよび非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ顔料、ペリレン酸無水物およびペリレン酸イミドなどのペリレン顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム塩、トリフェニルメタン色素
などが挙げられる。これらの電荷発生物質は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
上記電荷発生物質の中で、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角の7.4°±0.3°および28.2°±0.3°に強いピークを有するガリウムフタロシアニン結晶は、本発明のポリビニルアセタール樹脂と組み合わせた際、分散安定性や塗工性が優れており好ましい。また、このガリウムフタロシアニン結晶と本発明のポリビニルアセタール樹脂とを組み合わせることによって、増感効果や、低湿で繰り返し使用した際の明部電位の上昇を抑制する効果も得られる。
【0029】
また、上記電荷発生物質の中で、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角の27.2°±0.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶も、本発明のポリビニルアセタール樹脂と組み合わせた際、分散安定性や塗工性が優れており好ましい。また、このオキシチタニウムフタロシアニン結晶と本発明のポリビニルアセタール樹脂とを組み合わせることによって、初期の増感効果および残留電位を低下させる効果、ならびに、繰り返し使用した際の明部電位の低下(立ち下り現象)を抑制する効果も得られる。
【0030】
また、上記電荷発生物質の中で、下記一般式(2)で示されるアゾ化合物も、本発明のポリビニルアセタール樹脂と組み合わせた際、分散安定性や塗工性が優れており好ましい。
【0031】
【化3】

【0032】
(一般式(2)中、Ar21およびAr22は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。X21は、ビニレン基、または、p−フェニレン基を示す。nは、0または1を示す。)
【0033】
また、このアゾ化合物と本発明のポリビニルアセタール樹脂とを組み合わせることによって、帯電能や感度が向上する効果、ならびに、光メモリーが改善され、繰り返し使用した際の電位安定性が高いという効果も得られる。
【0034】
感光層を積層型感光層とする場合、電荷発生層中の電荷発生物質と本発明のポリビニルアセタール樹脂との割合は、質量比(電荷発生物質:ポリビニルアセタール樹脂)で5:
1〜1:2であることが好ましく、3:1〜1:1であることがより好ましい。
【0035】
ポリビニルアセタール樹脂が少なすぎると、本発明の効果が十分に得られないことがあり、電荷発生物質が少なすぎると、電荷発生機能が十分に得られないことがある。
【0036】
また、電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、0.05〜1μmであることがより好ましい。
【0037】
感光層を積層型感光層とする場合、電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
【0038】
電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物およびトリアリルメタン化合物などが挙げられる。
【0039】
また、電荷輸送層用の結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂および塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂などが挙げられる。
【0040】
また、電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
【0041】
感光層を単層型感光層とする場合、感光層は、上述したような電荷発生物質および電荷輸送物質ならびに本発明のポリビニルアセタール樹脂を含有する溶液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
【0042】
単層型感光層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、15〜30μmであることがより好ましい。
【0043】
本発明の電子写真感光体に用いられる支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であればよく、その材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金および白金などが挙げられる。
【0044】
また、このような金属あるいは合金を、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートおよびアクリル樹脂など)上に真空蒸着法によって被覆形成した支持体であってもよい。また、導電性粒子(例えば、カーボンブラックおよび銀粒子など)を結着樹脂とともにプラスチックまたは金属もしくは合金の基体上に被覆してなる支持体であってもよい。また、導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させてなる支持体であってもよい。
【0045】
支持体の形状としては、例えば、ドラム状、シート状およびベルト状などが挙げられるが、適用される電子写真装置に最も適した形状にすることが好ましい。
【0046】
本発明の電子写真感光体においては、支持体と感光層との間に、バリヤー機能や接着機能などの機能を持つ下引き層(中間層)を設けてもよい。下引き層は、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロン、アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレタンお
よび酸化アルミニウムなどによって形成することができる。
【0047】
下引き層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、0.3〜2μmであることがより好ましい。
【0048】
また、感光層上には、感光層を保護し、電子写真感光体の耐久性を向上させることを目的として、保護層を設けてもよい。
【0049】
保護層は、例えば、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート(ポリカーボネートZ、変性ポリカーボネートなど)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマーおよびスチレン−アクリロニトリルコポリマーなどの樹脂を溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液を感光層上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。あるいは、保護層用塗布液を感光層上に塗布し、これを加熱し、または、これに電子線もしくは紫外線などを照射し、硬化させることによって形成することもできる。
保護層の膜厚は0.1〜10μmであることが好ましい。
【0050】
また、保護層中には、導電性粒子や紫外線吸収剤やフッ素原子含有樹脂粒子などの潤滑性粒子などを含有させてもよい。導電性粒子としては、例えば、酸化スズ、シリカなどの金属酸化物粒子が好ましい。
【0051】
本発明の電子写真感光体は、電子写真方式の複写機、レーザービームプリンター、CRTプリンター、電子写真式製版システムなどに広く適用することが可能である。
【0052】
次に、本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置について説明する。
【0053】
図1に、本発明の電子写真装置の概略構成の一例を示す。
【0054】
図1において、1は本発明のドラム型の電子写真感光体であり、軸1aを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する。電子写真感光体1は、その回転過程で帯電手段2によって、その周面を正または負の所定電位に帯電される。次いで、露光部3にて、不図示の露光手段により露光光L(レーザービーム走査露光など)を受ける。これにより、電子写真感光体の周面に露光像に対応した静電潜像が順次形成されていく。その静電潜像は、次いで、現像手段4でトナー像として現像され、そのトナー像がコロナ方式の転写手段(コロナ転写手段)5により、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段5との間に電子写真感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材9の面に順次転写されていく。トナー像の転写を受けた転写材9は、電子写真感光体の周面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けて複写物(コピー)として電子写真装置の機外へプリントアウトされる。トナー像転写後の電子写真感光体1の周面は、クリーニング手段6にて転写残トナーの除去を受けて清浄面化され、前露光手段7により除電処理がなされて、繰り返して像形成に使用される。
【0055】
また、図2に例示するように、電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択された少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在としたプロセスカートリッジを構成してもよい。
【0056】
図2に示すプロセスカートリッジは、電子写真感光体1、帯電手段2および現像手段4を容器20に納めてプロセスカートリッジとし、このプロセスカートリッジは、レールなどの案内手段12により電子写真装置本体に対して着脱自在に構成されている。クリーニング手段6は、容器20内に配置しても配置しなくてもよい。
【0057】
本発明のプロセスカートリッジおよび電子写真装置の別の形態を図3に示す。図3に示すように、本発明のプロセスカートリッジおよび電子写真装置は、帯電手段として接触帯電部材10を用い、電圧印加された接触帯電部材10を電子写真感光体1に接触させることにより電子写真感光体1の帯電を行ってもよい(この帯電方法を、以下「接触帯電」という)。図3に示す装置では、電子写真感光体1上のトナー像も転写用接触帯電部材23で転写材9に転写される。すなわち、電圧印加された転写用接触帯電部材23を転写材9に接触させることにより電子写真感光体1上のトナー像を転写材9に転写させる。
【0058】
さらに、プロセスカートリッジおよび電子写真装置は、図4に示すように、電子写真感光体1および接触帯電部材10を第1の容器21に納めて第1のプロセスカートリッジとし、現像手段4を第2の容器22に納めて第2のプロセスカートリッジとした構成にしてもよい。
【0059】
露光光Lは、電子写真装置を複写機やプリンターとして使用する場合、原稿からの反射光や透過光を用いてもよいし、原稿を読み取り信号化し、この信号に従って走査されるレーザービームを用いてもよい。また、発光ダイオードアレイの駆動や、液晶シャッターアレイの駆動などを採用してもよい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の例中における「部」は「質量部」を示す。
IR(赤外分光法)の測定は、FT/IR−420(日本分光(株)製)を用いて行った。
結晶形のX線回折の測定は、CuKα線を用い、次の条件で行ったものである。
使用測定機:マック・サイエンス社製、全自動X線回折装置MXP18
X線管球:Cu
管電圧:50kV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min
サンプリング間隔:0.020deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):40deg.
ダイバージェンススリット:0.5deg.
スキャッタリングスリット:0.5deg.
レシービングスリット:0.3deg.
湾曲モノクロメーター使用
【0061】
(合成例1)
<例示樹脂(1)の合成>
ポリビニルアルコール(商品名:ポバール1400、キシダ化学(株)製)3部および下記構造式で示されるアルデヒド化合物
【0062】
【化4】

【0063】
54部を、トルエン25部およびエタノール25部中で撹拌した中に、濃塩酸0.2部を滴下し、50℃に昇温させて5時間加熱撹拌を行った。反応物を水酸化ナトリウム0.4部を溶かしたメタノール1000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物をトルエン100部およびアセトン100部に溶解させ、不溶分をひだ濾紙により除去後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物を再度トルエン/アセトン=1/1の混合溶液180部に溶解させた後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取し、例示樹脂(1)を7.4部得た。得られた樹脂のIRのデータを以下に示す。
IR(cm−1,KBr):3525,3025,2919,2859,1607,1507,1319,1272,1138,1056,814,714
【0064】
(合成例2)
<例示樹脂(3)の合成>
ポリビニルアルコール(商品名:ポバール1400、キシダ化学(株)製)1.8部および下記構造式で示されるアルデヒド化合物
【0065】
【化5】

【0066】
34部を、トルエン25部およびエタノール25部中で撹拌した中に、濃塩酸0.2部を滴下し、50℃に昇温させて5時間加熱撹拌を行った。反応物を水酸化ナトリウム0.3部を溶かしたメタノール1000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物をトルエン90部およびアセトン90部に溶解させ、不溶分をひだ濾紙により除去後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物を再度トルエン50部およびアセトン30部に溶解させた後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取し、例示樹脂(3)を1.6部得た。得られた樹脂のIRのデータを以下に示す。IR(cm−1,KBr):3510,2919,2859,1606,1508,1321,1273,1135,1045,814,600
【0067】
(合成例3)
<例示樹脂(7)の合成>
ポリビニルアルコール(商品名:ポバール1400、キシダ化学(株)製)1.7部および下記構造式で示されるアルデヒド化合物
【0068】
【化6】

【0069】
33部を、トルエン25部およびエタノール25部中で撹拌した中に、濃塩酸0.2部を滴下し、50℃に昇温させて8時間加熱撹拌を行った。反応物を水酸化ナトリウム0.3部を溶かしたメタノール1000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物をトルエン100部およびアセトン100部に溶解させ、不溶分をひだ濾紙により除去後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物を再度トルエン80部およびアセトン80部に溶解させた後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取し、例示樹脂(7)を4.4部得た。得られた樹脂のIRのデータを以下に示す。
IR(cm−1,KBr):3504,2936,2860,1606,1505,1321,1270,1241,1136,1037,823,601
【0070】
(合成例4)
<例示樹脂(10)の合成>
ポリビニルアルコール(商品名:ポバール1400、キシダ化学(株)製)3.4部および下記構造式で示されるアルデヒド化合物
【0071】
【化7】

【0072】
70部を、トルエン80部およびエタノール80部中で撹拌した中に、濃塩酸0.2部を滴下し、50℃に昇温させて6時間加熱撹拌を行った。反応物を水酸化ナトリウム0.3部を溶かしたメタノール1500部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物をトルエン150部およびアセトン150部に溶解させ、不溶分をセライト濾過により除去後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物を再度トルエン100部およびアセトン100部に溶解させた後、メタノール2000部に撹拌下滴
下し、析出物を濾取し、例示樹脂(10)を2.5部得た。得られた樹脂のIRのデータを以下に示す。
IR(cm−1,KBr):3466,2941,1606,1508,1499,1314,1272,1135,1048
【0073】
(比較合成例1)
<比較樹脂(A)の合成>
ポリビニルアルコール(商品名:ポバール1400、キシダ化学(株)製)2.7部および下記構造式で示されるアルデヒド化合物
【0074】
【化8】

【0075】
46部を、トルエン35部およびエタノール35部中で撹拌した中に、濃塩酸0.4部を滴下し、50℃に昇温させて6時間加熱撹拌を行った。反応物を水酸化ナトリウム0.4部を溶かしたメタノール1000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物をトルエン50部およびアセトン50部に溶解させ、不溶分をひだ濾紙により除去後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物を再度トルエン50部およびアセトン50部に溶解させた後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取し、下記構造式で示される繰り返し構造単位
【0076】
【化9】

【0077】
を有するポリビニルアセタール樹脂である比較樹脂(A)を1.0部得た。得られた樹脂のIRのデータを以下に示す。
IR(cm−1,KBr):3461,3026,2919,1606,1506,1320,1273,814
【0078】
(比較合成例2)
<比較樹脂(B)の合成>
ポリビニルアルコール(商品名:ポバール1400、キシダ化学(株)製)4.4部、下記構造式で示されるアルデヒド化合物
【0079】
【化10】

【0080】
75部を、トルエン100部およびエタノール100部中で撹拌した中に、濃塩酸0.3部を滴下し、50℃に昇温させて7時間加熱撹拌を行った。反応物を水酸化ナトリウム0.3部を溶かしたメタノール1000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物をトルエン150部およびアセトン150部に溶解させ、不溶分をセライト濾過により除去後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取した。得られた濾物を再度トルエン200部およびアセトン100部に溶解させた後、メタノール2000部に撹拌下滴下し、析出物を濾取し、下記構造式で示される繰り返し構造単位
【0081】
【化11】

【0082】
を有するポリビニルアセタール樹脂である比較樹脂(B)を9.1部得た。得られた樹脂のIRのデータを以下に示す。
IR(cm−1,KBr):3466,3033,2943,1587,1509,1491,1272,1131,830,750,693,620
【0083】
(実施例1)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。
この支持体上に、以下の材料より構成される塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が18μmの導電層(干渉縞防止層)を形成した。
【0084】
導電性顔料:SnOコート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
結着樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング剤:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール、メトキシプロパノール0.2/0.8 15部
【0085】
次に、N−メトキシメチル化ナイロン1部および共重合ナイロン3部をメタノール60部およびn−ブタノール30部の混合溶媒に溶解させて下引き層(中間層)用塗布液を調製した。
この下引き層(中間層)用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.6μmの下引き層(中間層)を形成した。
次に、CuKα特性X線回折のブラック角2θ±0.2°の7.5°および28.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、合成例1で得られた例示樹脂(1)5部、および、シクロヘキサノン200部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で6時間分散した後、シクロヘキサノン170部および酢酸エチル380部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を下引き層(中間層)上に浸漬塗布し、これを10分間80℃で乾燥させることによって、膜厚が0.18μmの電荷発生層を形成した。
【0086】
次に、下記構造式(CTM−1)で示される化合物(電荷輸送物質)
【0087】
【化12】

【0088】
10部、および、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部を、モノクロロベンゼン90部およびジクロロメタン20部の混合溶媒中に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを60分間110℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電子写真感光体1を作製した。
【0089】
(光感度特性評価)
電子写真感光体1の光感度特性を、湾曲NESAガラスを用いた直接電圧印加方式の電子写真感光体測定装置を用いて測定した。測定シーケンスについては、電子写真感光体をコンデンサーとみなし、コンデンサーモデルのシーケンスとした。
この測定は、図5に示すように進められる。
具体的には、まず、電子写真感光体の履歴を除去するために露光光(像露光光)および前露光光を電子写真感光体に照射し、10ミリ秒後に所定の印加電圧(Va)を電子写真感光体に印加する。次に、20ミリ秒後に電位(Vd+Vc)を測定し、測定後、電子写真感光体の電位をアースに落とす。次に、計測器に挿入されているコンデンサーの分担電位(Vc)の測定を行い、これらの結果から求めた表面電位(Vd)を電子写真感光体の電位とした。
なお、表面電位(Vd)が−700Vになったその20ミリ秒後、ハロゲン光を403nmの干渉フィルターで分光した(像露光波長)光を100ミリ秒間照射し、395ミリ秒後に表面電位を測定する。光感度(Δ500)は表面電位(Vd)が露光(像露光)により−200Vになるときの光量(cJ/m)から求めた。また、1600Luxのハロゲン光(前露光光)を100ミリ秒照射後の500ミリ秒後の表面電位を残留電位とした。
【0090】
(光メモリー性評価)
電子写真感光体の暗部電位(VD)を−700V、403nmの干渉フィルターで分光した光での明部電位(VL)を−200Vに設定した。次に、電子写真感光体の一部に1500Luxの蛍光灯の光を5分照射し、3分間暗所で放置した。その後、再度、電子写真感光体の暗部電位(VD)および明部電位(VL)を測定し、光メモリーとして非照射部と照射部のVDの差(ΔVDPM)および非照射部と照射部のVLの差(ΔVLPM)を測定した。
【0091】
(塗工性評価)
実施例および比較例でそれぞれ調製した電荷発生層用塗布液の塗工性の評価は、塗工面の外観を目視により評価した。
【0092】
(分散安定性評価)
実施例および比較例でそれぞれ調製した初期の電荷発生層用塗布液中の電荷発生物質の粒径を遠心沈降式粒度分布測定装置CAPA−700((株)堀場製作所製)により測定した。その後、静置保管で3ヵ月後の分散状態を目視で評価および電荷発生物質の粒径を同様に測定し評価した。
【0093】
以上の結果を表1に示す。
【0094】
(実機評価)
電子写真感光体1をキヤノン(株)製複写機GP−40の改造機(光源を405nmの半導体レーザー(ブルーレーザー)に変更し、前露光をハロゲンランプに変更した。)を用いて耐久電位特性を評価した。電位の測定は、複写機本体から現像器ユニットを取り外し、代わりに電位測定用プローブを現像位置に固定することにより行った。その際、転写ユニットは電子写真感光体に非接触とし、また、紙は非通紙とした。
【0095】
23℃/50%RHの常温常湿環境(N/N)下で暗部電位(VD)が−700V、明部電位(VL)が−200Vになるように帯電設定および像露光量を調整した。また、前露光は−700Vの表面電位を−200Vに減衰するハロゲン光量の2倍の光量になるように前露光量の調整をした。その後、連続2000回転のVL耐久(全画面黒画像モードでの耐久試験のこと)を行い、2000回転目の明部電位の測定を行った。初期と2000回転目のVL差を「2000回耐久後変動値」とした。
【0096】
また、電子写真感光体1を評価機とともに、23℃/5%RHの常温低湿環境(N/L)下で3日間放置した。その後、同環境(N/L)下で暗部電位(VD)が−700V、明部電位(VL)が−200Vになるように帯電設定および像露光量を調整した。また、前露光は−700Vの表面電位を−200Vに減衰するハロゲン光量の2倍の光量になるように前露光量の調整をした。その後、連続2000回転のVL耐久を行い、2000回転目の明部電位の測定を行った。初期と2000回転目のVL差を「2000回耐久後変動値」とした。
【0097】
また、電子写真感光体1を評価機とともに、30℃/80%RHの高温高湿環境(H/
H)下で3日間放置した。その後、同環境(H/H)下で暗部電位(VD)を−700V、明部電位(VL)が−200Vになるように帯電設定および像露光量を調整した。また、前露光は−700Vの表面電位を−200Vに減衰するハロゲン光量の2倍の光量になるように前露光量の調整をした。その後、連続2000回転のVL耐久を行い、2000回転目の明部電位の測定を行った。初期と2000回転目のVL差を「2000回耐久後変動値」とした。
以上の結果を表2に示す。
【0098】
(実施例2)
実施例1において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例2で得られた例示樹脂(3)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体2を作製し、評価した。
【0099】
結果を表1および2に示す。
【0100】
(実施例3)
実施例1において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例3で得られた例示樹脂(7)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体3を作製し、評価した。
【0101】
結果を表1および2に示す。
【0102】
(実施例4)
実施例1において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例4で得られた例示樹脂(10)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体4を作製し、評価した。
結果を表1および2に示す。
【0103】
(実施例11)
実施例1において電荷発生層に用いたCuKα特性X線回折のブラック角2θ±0.2°の7.5°および28.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶をCuKα特性X線回折のブラック角2θ±0.2°の9.0°および27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体11を作製し、評価した。
結果を表1および2に示す。
【0104】
(実施例21)
実施例1と同様にして、支持体(アルミニウムシリンダー)上に導電層(干渉縞防止層)および下引き層(中間層)を形成した。
【0105】
次に、下記構造式(CGM−1)で示されるアゾ化合物(電荷発生物質)
【0106】
【化13】

【0107】
10部、および、シクロヘキサノン200部を、直径0.8mmのガラスビーズ300部を用いたサンドミル装置で20時間分散した後、合成例1で得られた例示樹脂(1)5部をシクロヘキサノン50部に溶解させた溶液を加えた。そして、これをさらに該サンドミル装置で3時間分散した後、シクロヘキサノン150部および2−ブタノン350部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
【0108】
この電荷発生層用塗布液を下引き層(中間層)上に浸漬塗布し、これを10分間80℃で乾燥させることによって、膜厚が0.20μmの電荷発生層を形成した。
【0109】
次に、実施例1と同様にして、電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。
このようにして、電子写真感光体21を作製した。
【0110】
得られた電子写真感光体21を、実施例1と同様にして評価した。
結果を表1および2に示す。
【0111】
(実施例22)
実施例21において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例2で得られた例示樹脂(3)に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体22を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0112】
結果を表1および2に示す。
【0113】
(実施例23)
実施例21において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例3で得られた例示樹脂(7)に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体23を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0114】
結果を表1および2に示す。
【0115】
(実施例24)
実施例21において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例4で得られた例示樹脂(10)に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体24を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0116】
結果を表1および2に示す。
【0117】
(実施例31)
実施例21において電荷発生層に用いた上記構造式(CGM−1)で示されるアゾ化合物を、下記構造式(CGM−2)で示されるアゾ化合物、下記構造式(CGM−3)で示されるアゾ化合物、下記構造式(CGM−4)で示されるアゾ化合物および下記構造式(CGM−5)で示されるアゾ化合物の4種混合物
【0118】
【化14】

【0119】
に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体31を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0120】
(実施例32)
実施例31において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例2で得られた例示樹脂(3)に変更した以外は、実施例31と同様にして電子写真感光体32を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0121】
結果を表1および2に示す。
【0122】
(実施例33)
実施例31において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例3で得られた例示樹脂(7)に変更した以外は、実施例31と同様にして電子写真感光体33を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0123】
結果を表1および2に示す。
【0124】
(実施例34)
実施例31において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を合成例4で得られた例示樹脂(10)に変更した以外は、実施例31と同様にして電子写真感光体34を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0125】
結果を表1および2に示す。
【0126】
(比較例1)
実施例1において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にして比較電子写真感光体1を作製し、評価した。
結果を表1および2に示す。
【0127】
(比較例2)
実施例1において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を比較合成例1で得られた比較樹脂(A)に変更した以外は、実施例1と同様にして比較電子写真感光体2を作製し、評価した。
【0128】
結果を表1および2に示す。
【0129】
(比較例3)
実施例1において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を比較合成例2で得られた比較樹脂(B)に変更した以外は、実施例1と同様にして比較電子写真感光体3を作製し、評価した。
【0130】
結果を表1および2に示す。
【0131】
(比較例4)
実施例1において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を下記構造式で示される繰り返し構造単位を有する比較樹脂(C)
【0132】
【化15】

【0133】
に変更した以外は、実施例1と同様にして比較電子写真感光体4を作製し、評価した。
【0134】
結果を表1および2に示す。
【0135】
(比較例5)
実施例1において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を下記構造式で示される繰り返し構造単位を有する比較樹脂(D)
【0136】
【化16】

【0137】
に変更した以外は、実施例1と同様にして比較電子写真感光体5を作製し、評価した。
【0138】
結果を表1および2に示す。
【0139】
(比較例11)
実施例11において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例11と同様にして比較電子写真感光体11を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0140】
結果を表1および2に示す。
【0141】
(比較例21)
実施例21において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例21と同様にして比較電子写真感光体21を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0142】
結果を表1および2に示す。
【0143】
(比較例22)
実施例21において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を比較合成例1で得られた比較樹脂(A)に変更した以外は、実施例21と同様にして比較電子写真感光体22を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0144】
結果を表1および2に示す。
【0145】
(比較例23)
実施例21において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を比較合成例2で得られた比較樹脂(B)に変更した以外は、実施例21と同様にして比較電子写真感光体23を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0146】
結果を表1および2に示す。
【0147】
(比較例24)
実施例21において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を上記比較樹脂(C)に変更した以外は、実施例21と同様にして比較電子写真感光体24を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0148】
結果を表1および2に示す。
【0149】
(比較例25)
実施例21において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を上記比較樹脂(D)に変更した以外は、実施例21と同様にして比較電子写真感光体25を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0150】
結果を表1および2に示す。
【0151】
(比較例31)
実施例31において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例31と同様にして比較電子写真感光体31を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0152】
結果を表1および2に示す。
【0153】
(比較例32)
実施例31において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を比較合成例2で得られた比較樹脂(B)に変更した以外は、実施例31と同様にして比較電子写真感光体32を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0154】
結果を表1および2に示す。
【0155】
(比較例33)
実施例31において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を上記比較樹脂(C)に変更し
た以外は、実施例31と同様にして比較電子写真感光体33を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0156】
結果を表1および2に示す。
【0157】
(比較例34)
実施例31において電荷発生層に用いた例示樹脂(1)を上記比較樹脂(D)に変更した以外は、実施例31と同様にして比較電子写真感光体34を作製し、実施例1と同様にして評価した。
【0158】
結果を表1および2に示す。
【0159】
【表1】

【0160】
【表2】

【0161】
表2中の「2000回耐久後変動値」の符号が+である場合は、明部電位が上昇したことを意味し、−である場合は、明部電位が低下したことを意味する。例えば、比較例34のN/Lの場合、連続2000回転のVL耐久後、明部電位は−200−(−35)=−165[V]である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図5】電子写真感光体の感度および残留電位の評価に関する図である。
【符号の説明】
【0163】
1 電子写真感光体
1a 軸
2 帯電手段
3 露光部
4 現像手段
5 コロナ転写手段
6 クリーリング手段
7 前露光手段
8 定着手段
9 転写材
10 接触帯電部材
12 案内手段
20 容器
21 容器
22 容器
23 接触帯電部材
L レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される繰り返し構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂。
【化1】


(一般式(1)中、X11は、置換もしくは無置換のエチレン基、置換もしくは無置換のプロピレン基、または、置換もしくは無置換のブチレン基を示す。R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、メトキシ基を示す。Ar11およびAr12は、それぞれ独立に、電子供与性置換基を1個以上有するフェニル基を示す。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のX11が無置換のエチレン基であり、R11、R12、R13およびR14がすべて水素原子である請求項1に記載のポリビニルアセタール樹脂。
【請求項3】
前記電子供与性置換基がアルキル基である請求項1または2に記載のポリビニルアセタール樹脂。
【請求項4】
支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【請求項5】
前記感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層、および、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する積層型感光層であり、該電荷発生層が、前記ポリビニルアセタール樹脂を含有する請求項4に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記感光層が、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角の7.4°±0.3°および28.2°±0.3°に強いピークを有するガリウムフタロシアニン結晶を含有する請求項4または5に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
前記感光層が、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角の27.2°±0.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶を含有する請求項4または5に記載の電子写真感光体。
【請求項8】
前記感光層が、下記一般式(2)で示されるアゾ化合物を含有する請求項4または5に記載の電子写真感光体。
【化2】


(一般式(2)中、Ar21およびAr22は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。X21は、ビニレン基、または、p−フェニレン基を示す。nは、0または1を示す。)
【請求項9】
請求項4〜8のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項4〜8のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−182556(P2007−182556A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323634(P2006−323634)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】