説明

ポリフェニレンスルフィド及びその製造方法

【課題】 エンジニアリングプラスチックとして有用なポリフェニレンスルフィドを、安価な原料を用いて簡便に合成できる製造方法と、該製造方法により得られる新規な構造のポリフェニレンスルフィドを提供する。
【解決手段】 モノマーを二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させて得られる、電子供与性置換基を有するチオフェニレン及び/又はジチオフェニレン基からなる構造単位を有し、主鎖が直鎖状もしくは環状又は直鎖部と環状部を有する構造であり、重量平均分子量が300〜100000であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な構造を有するポリフェニレンスルフィド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンスルフィドは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等と並ぶ代表的な硫黄含有ポリマーであり、剛性、耐薬品性、耐水性、熱安定性、寸法安定性等に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られている。前記諸特性は、主に硫黄の高い分極性、低い電気陰性度に基づくものであり、このような優れた特性を有するポリフェニレンスルフィドは、金属の代替材料等に広範な用途が期待されている。そこで、新規な構造を有するポリフェニレンスルフィドと、容易に入手可能な原料を用いる、その簡便な合成法の開発が強く望まれている。
【0003】
従来、ポリフェニレンスルフィド等の硫黄含有ポリマーの合成には、主に硫黄の高い求核性を利用した塩基性条件下での反応を利用するものが多く、酸性または塩基性条件下での硫黄含有化合物の開環重合反応等も利用される。なかでもポリフェニレンスルフィドは、塩基性条件下でのスルフィド結合の生成を重合反応として合成されることが多く、例えば、硫化ソーダ等のアルカリ金属硫化物とジクロロベンゼン等のジハロゲン芳香族化合物とを用いて、極性溶媒中で重合する反応等が知られている。
しかし、モノマーである芳香族化合物を用いた求核置換反応が進行しにくいため、強塩基を用いて高温高圧条件下で反応を行う必要があり、副反応が起こり易いという問題点があった。
【0004】
このような問題点を解決するため、温和な反応条件下におけるポリフェニレンスルフィドの製造法として、例えば、チオフェノール類及び/又はジフェニルジスルフィド類を電解重合する方法(特許文献1及び2参照)、あるいは特定酸素運搬触媒の存在下、酸素により酸化カップリング重合する方法(特許文献3参照)、芳香族炭化水素とスルフィド化剤とを、酸化剤を用いて重合させる方法(特許文献4参照)等が開示されている。
【特許文献1】特公平6−94507号公報
【特許文献2】特許第3163426号公報
【特許文献3】特公平8−16156号公報
【特許文献4】特許第3020006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び2に記載の方法は、電解重合を行うため特殊な製造設備が必要であるという問題点があり、特許文献3に記載の方法は、特定酸素運搬触媒として、バナジルもしくはバナジウム錯体触媒等の特殊な化合物を用いるという問題点があり、特許文献4に記載の方法は、実質的なモノマーであるジフェニルジスルフィド類を合成する反応ステップが必要で、副生成物を余計に生じ易く、さらに特殊な酸化剤を用いるという問題点がある。
さらに、特許文献1〜4に記載の方法で通常得られる主たるポリフェニレンスルフィドは、いずれも、モノマーがパラ位で重合した主鎖構造を有するものに限定されており、溶解性及び加工性の点で問題があった。
【0006】
ところで、単体硫黄は、年間120万トン程度輸出されている極めて安価な基礎原料であり、この単体硫黄からは二塩化硫黄をはじめ種々の含硫黄化合物を製造することができる。このような安価な原料をスルフィド化剤として用い、温和な条件且つ簡便な製造工程で新規な構造のポリフェニレンスルフィドを製造することができれば、安価で諸特性に優れるエンジニアリングプラスチックを供給することができ、極めて有用である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エンジニアリングプラスチックとして有用なポリフェニレンスルフィドを、安価な原料を用いて簡便に合成できる製造方法と、該製造方法により得られる新規な構造のポリフェニレンスルフィドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究の結果、置換基が電子供与基である芳香族化合物をモノマーとした場合、単体硫黄又は二塩化硫黄をスルフィド化剤として用いることが可能であり、温和な条件下で新規な構造のポリフェニレンスルフィドを合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一の発明は、下記一般式(1)及び/又は(2)を構成単位とし、主鎖が直鎖状もしくは環状又は直鎖部と環状部を有する構造であり、重量平均分子量が300〜100000であることを特徴とするポリフェニレンスルフィドである。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、mは1〜3の整数を示し、m個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示す。)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【0014】
また、本発明の第二の発明は、下記一般式(11)及び/又は(12)で表される化合物を、二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることを特徴とする、下記一般式(13)及び/又は(2)を構成単位とし、主鎖が直鎖状もしくは環状又は直鎖部と環状部を有する構造であるポリフェニレンスルフィドの製造方法である。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【0017】
【化4】

【0018】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【0019】
【化5】

【0020】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【0021】
【化6】

【0022】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【0023】
さらに、本発明の第三の発明は、ポリフェニレンスルフィドを、二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることにより得られ、重量平均分子量が3000〜100000であることを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法である。
【0024】
さらに、本発明の第四の発明は、ポリフェニレンスルフィドと、下記一般式(11)及び/又は(12)とを、二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることにより得られ、重量平均分子量が3000〜100000であることを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法である。
【0025】
【化7】

【0026】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【0027】
【化8】

【0028】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、エンジニアリングプラスチックとして有用なポリフェニレンスルフィドを、安価な原料を用いて簡便に製造でき、該製造方法により新規な構造のポリフェニレンスルフィドを得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のポリフェニレンスルフィドは、前記一般式(1)及び/又は(2)を構成単位とし、主鎖が直鎖状もしくは環状又は直鎖部と環状部を有する構造であり、重量平均分子量が300〜100000であることを特徴とする。
ここで、R、R、R、Rはいずれも、水素原子又は電子供与基を示す。
mは1〜3の整数を示し、m個のRは同一でも異なってもよい。また、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。さらに、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。
一方、xは1又は2を示す。
【0031】
、R、R、Rは水素原子又は電子供与基であるが、モノマーである芳香族化合物の芳香環上の電子密度が高いほど、重合反応が進行し易いため、炭素数1〜50の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基もしくはアルコキシ基、もしくはヒドロキシ基であることが好ましい。さらに、アルキル基もしくはアルコキシ基としては、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基もしくはアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基もしくはアルコキシ基が特に好ましい。
【0032】
すなわち、特に好ましい電子供与基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数が1〜4のアルキル基、及びメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数が1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。なかでも、メチル基、エチル基、メトキシ基及びエトキシ基を最も好ましいものとして挙げることができる。
【0033】
本発明のポリフェニレンスルフィドは、重量平均分子量が300〜100000であるが、なかでも300〜10000であるものが好適に得られる。
【0034】
本発明のポリフェニレンスルフィドは、その構成単位として前記一般式(1)を含む場合には、主鎖の結合は一般式(1)の芳香環のオルト位又はメタ位の方向に伸張されたものである。具体的には、下記一般式(3)で表される、芳香環のメタ位の方向に伸張されたもの、又は下記一般式(7)で表される、芳香環のオルト位の方向に伸張されたものが挙げられる。
【0035】
【化9】

【0036】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、mは1〜3の整数を示し、m個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示す。)
【0037】
【化10】

【0038】
(式中R、Rは上記と同一である。)
【0039】
また、一般式(3)で表される構成単位は、下記一般式(4)、(5)又は(6)で表されるものが好ましい。
【0040】
【化11】

【0041】
(式中R、Rは上記と同一である。)
【0042】
さらに、一般式(7)で表される構成単位は、下記一般式(8)、(9)又は(10)で表されるものが好ましい。
【0043】
【化12】

【0044】
(式中R、Rは上記と同一である。)
【0045】
本発明のポリフェニレンスルフィドが、構成単位として前記一般式(2)を含む場合には、主鎖の結合位置は一般式(2)については、特に限定されない。
また、構成単位として、一般式(1)及び(2)を含む場合には、ポリフェニレンスルフィド中におけるこれらの比率及び結合順序は特に限定されない。
【0046】
前記のような一般式(1)で表される構成単位として、具体的には、下記式
【0047】
【化13】

【0048】
から選ばれる少なくとも一つを、より好ましいものとして挙げることができる。
これらのうち、二種以上を構成単位とする場合には、これら構成単位のポリフェニレンスルフィド中における比率及び結合順序は特に限定されない。
また、前記のような一般式(2)で表される構成単位として、具体的には、下記式
【0049】
【化14】

【0050】
から選ばれる少なくとも一つを、より好ましいものとして挙げることができる。
これらのうち、二種以上を構成単位とする場合には、これら構成単位のポリフェニレンスルフィド中における比率及び結合順序は特に限定されない。
【0051】
本発明のポリフェニレンスルフィドは、主鎖が直鎖状もしくは環状又は直鎖部と環状部を有する構造であるが、環状構造としては、例えば、下記一般式(29)で表されるものを挙げることができる。このような環状構造のポリフェニレンスルフィドは、構成単位の数が2〜100からなるものが好適に得られる。
【0052】
【化15】

【0053】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。nは2以上の整数を示す。)
【0054】
本発明のポリフェニレンスルフィドの製造方法は、前記一般式(11)及び/又は(12)で表される化合物を、二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることを特徴とし、得られるポリフェニレンスルフィドは、前記一般式(13)及び/又は(2)を構成単位とし、主鎖が直鎖状もしくは環状又は直鎖部と環状部を有する構造である。
ここで、R、R、Rは、水素原子又は電子供与基を示す。
pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。また、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。さらに、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。
一方、xは1又は2を示す。
【0055】
本発明の製造方法では、なかでも、重量平均分子量が300〜10000であるポリフェニレンスルフィドを好適に得られる。
【0056】
また、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜50の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基もしくはアルコキシ基、もしくはヒドロキシ基であることが好ましい。
【0057】
前記のような一般式(13)で表される構成単位として、下記一般式(14)、(15)及び(16)から選ばれる少なくとも一つを好ましいものとして挙げることができる。
【0058】
【化16】

【0059】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【0060】
【化17】

【0061】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【0062】
【化18】

【0063】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
すなわち、本発明の製造方法で得られるポリフェニレンスルフィドは、構成単位として前記一般式(13)を含む場合には、主鎖の結合は一般式(13)の芳香環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれか一方の方向のみに伸張されたものを得ることができるし、芳香環上の結合位置が混在するものを得ることもできる。なかでも、芳香環のメタ位の方向のみに伸張されたものを好適に得ることができる。
【0064】
一般式(14)で表される構成単位としては、下記一般式(17)、(18)、(19)又は(20)で表されるものを好ましいものとして挙げることができ、一般式(15)で表される構成単位としては、下記一般式(21)、(22)、(23)又は(24)で表されるものを好ましいものとして挙げることができ、一般式(16)で表される構成単位としては、下記一般式(25)、(26)、(27)又は(28)で表されるものを好ましいものとして挙げることができる。
【0065】
【化19】

【0066】
(式中Rは上記と同一である。)
【0067】
【化20】

【0068】
(式中Rは上記と同一である。)
【0069】
【化21】

【0070】
(式中Rは上記と同一である。)
【0071】
また、構成単位として前記一般式(2)を含む場合には、主鎖の結合位置は一般式(2)については、特に限定されない。
構成単位として、一般式(13)及び(2)を含む場合には、これらの比率及び結合順序は特に限定されない。
【0072】
本発明の製造方法で原料として用いる、一般式(11)で表されるモノマーとしては、具体的には、下記式
【0073】
【化22】

【0074】
から選ばれる少なくとも一つを好ましいものとして挙げることができる。
これらのうち、二種以上をモノマーとして用いた場合には、これらモノマーのポリフェニレンスルフィド中における導入比率及び結合順序は特に限定されない。
【0075】
また、本発明の製造方法で原料として用いる、一般式(12)で表されるモノマーとしては、具体的には、下記式
【0076】
【化23】

【0077】
から選ばれる少なくとも一つを好ましいものとして挙げることができる。
これらのうち、二種以上をモノマーとして用いた場合には、これらモノマーのポリフェニレンスルフィド中における導入比率及び結合順序は特に限定されない。
【0078】
本発明のポリフェニレンスルフィドの製造方法においては、スルフィド化剤として単体硫黄又は二塩化硫黄を用いる。
単体硫黄としては、例えば、Sを好ましいものとして挙げることができる。
このような単体硫黄を用いる場合には、触媒存在下に有機溶媒中で重合反応を行うが、二塩化硫黄を用いる場合には、無溶媒で触媒の存在下でなくても重合反応を行うことができる。
また、単体硫黄及び二塩化硫黄の使用量は、全原料に対して0.8当量以上が好ましい。
【0079】
本発明の製造方法においては、通常、単体硫黄よりも二塩化硫黄を用いた方が重合反応は進行し易い。またいずれの場合も、用いるモノマーが、その芳香環上の電子密度が大きいほど、すなわち、電子供与性がより大きい置換基によってベンゼンの水素原子がより多く置換されている芳香環を持つ方が、重合反応が進行し易い。
【0080】
本発明の製造方法で用いる触媒としては、ルイス酸、プロトン酸、又は水酸化アルカリを好ましいものとして挙げることができる。
ルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化亜鉛及び塩化スズ(II)等を挙げることができる。これらルイス酸は、単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
プロトン酸としては、例えば、硫酸、トリフルオロ酢酸及びトリフルオロメタンスルホン酸等を挙げることができる。これらプロトン酸は、単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
水酸化アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化マグネシウム等を挙げることができる。これら水酸化アルカリは、単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
また、これら触媒の使用量は、1mol%以上が好ましい。
これら触媒を用いた場合、スルフィド化剤である単体硫黄を、S−S結合を切断することで活性化し、重合反応を温和な条件で進行させることができる。
【0081】
本発明の製造方法で用いる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、N−メチルピロリドン、クロロホルム、塩化メチレン等を挙げることができるが、なかでも、非プロトン性有機溶媒が好ましい。これら有機溶媒は、単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。用いる有機溶媒の種類は、用いるモノマーの溶解性等を考慮して、モノマーの種類に応じて適宜選択すれば良い。
【0082】
重合反応で得られたポリフェニレンスルフィドを取り出す方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用すれば良い。例えば、スルフィド化剤として単体硫黄を用いた場合には、重合反応後の反応液にテトラヒドロフラン等の有機溶媒を添加して、生成物を溶解させた後、未反応の単体硫黄をろ別して、ポリフェニレンスルフィドの溶解度が小さいメタノール等の有機溶媒に該ろ液を添加して再沈殿を行い、目的物であるポリフェニレンスルフィドを取り出すことができる。
また、例えば、スルフィド化剤として二塩化硫黄を用いた場合には、重合反応後の反応液を直接メタノール等の有機溶媒に添加して再沈殿を行い、目的物であるポリフェニレンスルフィドを取り出すことができる。
【0083】
本発明のポリフェニレンスルフィドの製造方法においては、モノマーの重合反応を行う時の反応温度は、用いる溶媒によって異なるが、0〜200℃であることが好ましい。また、反応時間は、用いる溶媒によって異なるが、0.5〜10時間であることが好ましい。(以上、製造方法1とする。)
【0084】
本発明においては、前記製造方法1で得られたポリフェニレンスルフィドを原料とし、これを更に二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることにより、重量平均分子量のより高いポリフェニレンスルフィドを得ることができる。具体的には、重量平均分子量が3000〜100000万位のポリフェニレンスルフィドを得ることが可能である。
【0085】
また、前記製造方法1で得られたポリフェニレンスルフィドと、下記一般式(11)及び/又は(12)とを原料とし、これらを二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることによっても、重量平均分子量のより高いポリフェニレンスルフィドを得ることができ、具体的には、重量平均分子量が3000〜100000万位のポリフェニレンスルフィドを得ることが可能である。
【0086】
【化24】

【0087】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【0088】
【化25】

【0089】
(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【0090】
原料であるポリフェニレンスルフィドは、異なる構造単位を有する複数種のポリフェニレンスルフィドを混合して使用しても構わない。また、該製造方法は、前記製造方法1で得られたポリフェニレンスルフィドに限らず、公知のポリフェニレンスルフィドを使用することもできる。即ち、公知のポリフェニレンスルフィドの重量平均分子量を上げる方法として有用な方法である。
【0091】
公知のポリフェニレンスルフィドとしては、例えば、置換基を有してもよい芳香族環と硫黄原子が結合した構造の繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体、及びそれらの混合物あるいは単独重合体との混合物が上げられる。これらの樹脂の代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトンスルホンなどが挙げられる。一般にポリフェニレンスルフィドの中でも、繰り返し単位の結合が芳香環に関してパラ位の構造のものが耐熱性や結晶性の面で優れており好ましい。
この時の反応及び取り出し条件としては、原料がポリフェニレンスルフィドであることを除けば、モノマーを重合する前記条件を適用すれば良いが、用いる原料の特性に応じて、適宜調整することが好ましい。(以上、製造方法2とする。)
【実施例】
【0092】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例において得られたポリフェニレンスルフィドは、核磁気共鳴スペクトル(以下、NMRと略記)、フーリエ変換赤外分光スペクトル(以下、FT−IRと略記)、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記)、熱重量分析(以下、TGAと略記)により、構造解析を行った。
【0093】
NMRは以下の条件で測定を行った。すなわち、フーリエ変換NMR分光光度計(JNM−EX−270、日本電子株式会社製)を用いて、H NMR(270MHz)及び13C NMR(75MHz)を測定した。測定温度は25℃とし、溶媒として重水素化クロロホルム、内部標準物質としてテトラメチルシランを用いた。
【0094】
FT−IRスペクトルは、フーリエ変換分光光度計(FT−IR 460plus、日本分光株式会社製)を用いて測定した。
【0095】
GPCは以下の条件で測定を行った。すなわち、カラムとしてポリスチレンゲル充填カラム(TSKgelG3000HXL、東ソー株式会社製)、検出器として紫外分光光度計(UV−8011、東ソー株式会社製)、溶離液としてテトラヒドロフランをそれぞれ用い、室温にて、溶出速度1.0mL/min、検出波長270nmで測定した。
【0096】
TGAは、示差熱熱重量同時測定装置(EXSTAR6000 TG/DTA6200、セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて測定した。
【0097】
◎二塩化硫黄を用いたポリフェニレンスルフィドの合成
(実施例1)
試験管に、モノマーとして1,3,5−トリメトキシベンゼン(1.68g、10mmol)を添加し、さらに、塩化メチレン10mLで希釈した二塩化硫黄(0.50g、4.85mmol)を添加した後、この試験管を激しく撹拌した。その後、温度をゆっくりと上昇させ,撹拌しながら34℃で5時間加熱還流させた。続いて室温に戻した後、ポリマーを含む溶液を、メタノールを用いて再沈殿して固体を回収することにより、目的物であるポリフェニレンスルフィドを1.80g得た(収率91%)。
得られたポリフェニレンスルフィドの構造を、H NMR及びFT−IRにより決定した。この時得られたH NMRのチャートを図1に、FT−IRの測定チャートを図2にそれぞれ示す。
また、得られたポリフェニレンスルフィドのGPCを測定したところ、重量平均分子量(以下、Mwと略記)Mw=4100、分散度(以下、Mnを数平均分子量としてMw/Mnと略記、)Mw/Mn=2.2であることが確認された。この時得られたGPC測定チャートを図3に示す。
さらに、得られたポリフェニレンスルフィドのTGAを測定したところ、320℃程度までほとんど分解が起こらなかった。この時得られたTGA測定チャートを図4に示す。
【0098】
(実施例2)
モノマーとして2,6−ジメトキシ−4−メチルフェノール(1.68g,10mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を行ったところ、目的物であるポリフェニレンスルフィドを1.56g得た(収率79%)。
得られたポリフェニレンスルフィドの構造を、H NMR及びFT−IRにより決定した。GPCを測定したところ、Mw=2600、Mw/Mn=1.9であることが確認された。
【0099】
(実施例3)
モノマーとしてビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド(2.46g,10mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を行ったところ、目的物であるポリフェニレンスルフィドを2.35g得た(収率85%)。
得られたポリフェニレンスルフィドの構造を、H NMR及びFT−IRにより決定した。GPCを測定したところ、Mw=1500、Mw/Mn=1.8であることが確認された。
【0100】
(実施例4)
モノマーとしてベンゼン(0.78g,10mmol)を用いたこと、再沈殿にヘキサンを用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を行ったところ、目的物であるポリフェニレンスルフィドを0.86g得た(収率78%)。
得られたポリフェニレンスルフィドの構造を、H NMR及びFT−IRにより決定した。GPCを測定したところ、Mw=1060、Mw/Mn=1.5であることが確認された。
【0101】
◎単体硫黄を用いたポリフェニレンスルフィドの合成
(実施例5)
すり鉢に、モノマーとして1,3,5−トリメトキシベンゼン(1.68g、10mmol)、単体硫黄(0.32g、10mmol)、触媒として塩化アルミニウム(0.67g、5mmol)を加え、これらを細かくすりつぶした。そして、すりつぶした内容物を試験管に移し、撹拌しながらゆっくりと温度を120℃まで上昇させ、24時間固相溶融させた。続いて室温に戻した後、ポリマーを含む内容物をテトラヒドロフランに溶解し、未反応の単体硫黄をろ別した。ろ液はメタノールを用いて再沈殿し,固体を回収することにより目的物であるポリフェニレンスルフィドを1.00g得た(収率51%)。
得られたポリフェニレンスルフィドの構造を、H NMR及びFT−IRにより決定した。
また、得られたポリフェニレンスルフィドのGPCを測定したところ、Mw=3100、Mw/Mn=2.9であることが確認された。
【0102】
(実施例6)
モノマーとして2,6−ジメトキシ−4−メチルフェノール(1.68g,10mmol)を用いたこと以外は、実施例5と同じ操作を行ったところ、目的物であるポリフェニレンスルフィドを1.05g得た(収率53%)。
得られたポリフェニレンスルフィドの構造を、H NMR及びFT−IRにより決定した。GPCを測定したところ、Mw=3200、Mw/Mn=2.7であることが確認された。
【0103】
◎オリゴマーの再反応による高分子量ポリフェニレンスルフィドの合成
(実施例7)
二塩化硫黄を0.4gとした以外は、実施例1と同様の方法で得られた1,3,5−トリメトキシベンゼンを原料とするポリフェニレンスルフィドオリゴマー(Mw=840、Mw/Mn=1.31)1.98gに、塩化メチレン10mL で希釈した二塩化硫黄0.5gと触媒の塩化アルミニウム(0.67g、5mmol)を加えて、34℃で5時間加熱還流したところ、さらに高分子量化したポリフェニレンスルフィドを1.88g得た。
得られた高分子量ポリフェニレンスルフィドの構造を、H NMR及びFT−IRにより決定した。GPCを測定したところ、Mw=4900、Mw/Mn=1.64であることが確認された。ポリフェニレンスルフィドオリゴマー及び高分子量ポリフェニレンスルフィドのGPC測定チャートを図5に示す。
【0104】
以上述べたように、本発明のポリフェニレンスルフィドの製造方法により、スルフィド化剤として単体硫黄又は二塩化硫黄を用いることで、新規な構造のポリフェニレンスルフィドを、安価な原料を用いて温和な条件下、簡便に製造できることが確認された。特に、スルフィド化剤として用いる単体硫黄は、年間120万t程度輸出されている安価な基礎原料であり、この単体硫黄を用いて二塩化硫黄も得られるため、有用物質の開発という観点からも本発明は有用なものである。
【0105】
また、従来のポリフェニレンスルフィドの製造方法においては、ベンゼンをモノマーとして用いることは難しく、重合反応も極めて過酷な条件下で行うことが必要であったが、本発明の製造方法においては、ベンゼンをモノマーとして用いる場合も、温和な条件下で重合反応を行うことができることが確認された。
【0106】
さらに本発明の製造方法は、以下のような観点からも有望なものである。すなわち、さらに高分子量化したポリフェニレンスルフィド又は従来公知のポリフェニレンスルフィドを得られる可能性がある。また、従来公知のポリフェニレンスルフィドを原料として本発明の製造方法を適用し、原料であるポリフェニレンスルフィドを連結したり、その末端に新たなポリフェニレンスルフィドを連結したりすることで、さらに高分子量化したポリフェニレンスルフィド、あるいは末端基の修飾により接着性又は他樹脂との相溶性が改善されたり、結晶性が制御された、より高機能なポリフェニレンスルフィドを得られる可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0107】
新規な構造のポリフェニレンスルフィドを、温和な条件下で簡便に製造できるため、環境負荷の小さいポリフェニレンスルフィドの製造方法と安価且つ高機能なポリフェニレンスルフィドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】実施例1で得られたポリフェニレンスルフィドのH NMRチャートである。
【図2】実施例1で得られたポリフェニレンスルフィドのFT−IR測定チャートである。
【図3】実施例1で得られたポリフェニレンスルフィドのGPC測定チャートである。
【図4】実施例1で得られたポリフェニレンスルフィドのTGA測定チャートである。
【図5】実施例7で(a)原料として用いたポリフェニレンスルフィドオリゴマーのGPC測定チャート及び(b)得られた高分子量ポリフェニレンスルフィドのGPC測定チャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)及び/又は(2)を構成単位とし、主鎖が直鎖状もしくは環状又は直鎖部と環状部を有する構造であり、重量平均分子量が300〜100000であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド。
【化1】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、mは1〜3の整数を示し、m個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示す。)
【化2】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【請求項2】
一般式(1)で表される構成単位が、下記一般式(3)で表されるものである請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド。
【化3】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、mは1〜3の整数を示し、m個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示す。)
【請求項3】
一般式(3)で表される構成単位が、下記一般式(4)、(5)又は(6)で表されるものである請求項2に記載のポリフェニレンスルフィド。
【化4】

(式中R、Rは上記と同一である。)
【請求項4】
一般式(1)で表される構成単位が、下記一般式(7)で表されるものである請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド。
【化5】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、mは1〜3の整数を示し、m個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示す。)
【請求項5】
一般式(7)で表される構成単位が、下記一般式(8)、(9)又は(10)で表されるものである請求項4に記載のポリフェニレンスルフィド。
【化6】

(式中R、Rは上記と同一である。)
【請求項6】
、R、R、Rが、水素原子又は炭素数1〜50の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基もしくはアルコキシ基、もしくはヒドロキシ基である請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリフェニレンスルフィド。
【請求項7】
一般式(1)で表される構成単位が、下記式
【化7】

から選ばれる少なくとも一つであり、一般式(2)で表される構成単位が、下記式
【化8】

から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリフェニレンスルフィド。
【請求項8】
下記一般式(11)及び/又は(12)で表される化合物を、二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることを特徴とする、下記一般式(13)及び/又は(2)を構成単位とし、主鎖が直鎖状もしくは環状又は直鎖部と環状部を有する構造であるポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【化9】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【化10】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【化11】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【化12】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【請求項9】
重量平均分子量が300〜10000である請求項8に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【請求項10】
一般式(13)で表される構成単位が、下記一般式(14)、(15)及び(16)で表されるものから選ばれる少なくとも一つである請求項8又は9に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【化13】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【化14】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【化15】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【請求項11】
一般式(14)で表される構成単位が、下記一般式(17)、(18)、(19)又は(20)で表されるものであり、一般式(15)で表される構成単位が、下記一般式(21)、(22)、(23)又は(24)で表されるものであり、一般式(16)で表される構成単位が、下記一般式(25)、(26)、(27)又は(28)で表されるものである請求項10に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【化16】

(式中Rは上記と同一である。)
【化17】

(式中Rは上記と同一である。)
【化18】

(式中Rは上記と同一である。)
【請求項12】
、R、Rが、水素原子又は炭素数1〜50の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基もしくはアルコキシ基、もしくはヒドロキシ基である請求項8〜11のいずれか一項に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【請求項13】
一般式(11)で表される化合物が、下記式
【化19】

から選ばれる少なくとも一つであり、一般式(12)で表される化合物が、下記式
【化20】

から選ばれる少なくとも一つである請求項8〜12のいずれか一項に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【請求項14】
触媒が、ルイス酸、プロトン酸又は水酸化アルカリである請求項8〜13のいずれか一項に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【請求項15】
ポリフェニレンスルフィドを、二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることにより得られ、重量平均分子量が3000〜100000であることを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【請求項16】
ポリフェニレンスルフィドと、下記一般式(11)及び/又は(12)とを、二塩化硫黄と又は有機溶媒中で触媒の存在下に単体硫黄と反応させることにより得られ、重量平均分子量が3000〜100000であることを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法。
【化21】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、pは1〜4の整数を示し、p個のRは同一でも異なってもよい。)
【化22】

(式中Rは水素原子又は電子供与基を示し、kは1〜4の整数を示し、k個のRは同一でも異なってもよい。Rは水素原子又は電子供与基を示し、lは1〜4の整数を示し、l個のRは同一でも異なってもよい。xは1又は2を示す。)
【請求項17】
原料であるポリフェニレンスルフィドが、請求項8〜14のいずれか一項に記載の製造方法により得られたポリフェニレンスルフィドを含む請求項15又は16に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−77209(P2007−77209A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264380(P2005−264380)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年3月11日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第85春季年会 講演予稿集 2」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年5月10日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集 54巻1号」に発表
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】