説明

ポリフルオロエーテルをベースにするポリマー

(i)(1)少なくとも1つの有機ジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、(2)式I、
f−O(CF2CF2r(CH2CH2q(R1sXH 式(I)
{式中、
fは、任意に1〜3個の酸素原子によって中断されている直鎖又は分岐鎖C1〜C7パーフルオロアルキルであり;
rは1〜3であり、qは1〜3であり、sは0又は1であり;
XはO、S又はNR2(式中、R2はH又はC1〜C6アルキルである)であり;
1は、−S(CH2n−、
【化1】


(pは1〜50であり、R3、R4、又はR5はそれぞれ独立にH又はC1〜C6アルキルである)
から選択される2価の基である}
の少なくとも1つのフルオロケミカル化合物を反応させること、および
(ii)次いで、(3)水、連結剤、又はこれらの混合物と反応させること、
によって調製される、少なくとも1つの尿素結合を含有するポリマーを含む、基材に表面効果を付与する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフッ素化された鎖の中にエーテル結合を含有するポリフッ素化化合物の分野に関し、特に、処理される基材に表面特性を付与するのに有用なポリウレタンフルオロポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
過フッ素化された組成物から製造された様々なポリマーが、基材に表面効果を付与する処理剤として有用であることが知られている。表面効果としては、水分、汚れ、および染みをはじく性質などが挙げられ、これらは、繊維基材および硬質表面などの他の基材に特に有用である。このような処理剤の多くは、フッ素化ポリマー又はコポリマーである。
【0003】
基材に表面効果を付与する処理剤として有用なほとんどの市販のフッ素化ポリマーは、所望の特性を付与するため、パーフルオロアルキル鎖の炭素数が主に8以上である。Hondaらは、Macromolecules, 2005, 38, 5699−5705で、炭素数が8より大きいパーフルオロアルキル鎖ではパーフルオロアルキル基(Rf基で表される)の配向が平行な配置に維持されるが、炭素数6未満のパーフルオロアルキル鎖では再配向が起こることを教示している。この再配向によって接触角などの表面特性が低下する。したがって、鎖長がより短いパーフルオロアルキルは、従来、基材に表面効果を付与するのに商業的に成功しなかった。
【0004】
特定の表面効果を改善し、且つフッ素有効性を増加させること、即ち、同レベルの性能を達成するのに必要な高価なフッ素化ポリマーがより少量で済むように、又は、同レベルのフッ素を使用してより良好な性能が得られるように、処理剤の有効性又は性能を向上させることが望まれる。パーフルオロアルキル基の鎖長を減少させ、それによって、存在するフッ素の量を減少させると共に、依然として同じ又はより優れた表面効果を達成することが望ましい。
【0005】
米国特許第3,564,059号明細書は、可塑剤および溶媒として有用な過フッ素化エーテルおよびポリエーテルを開示している。基材にはじく性質(repellency)の表面効果を付与することにおける有用性は開示されていない。
【0006】
より低濃度のフッ素を使用しつつ、繊維基材および硬質表面基材用のフッ素化ポリマー処理剤のはじく性質および耐汚染性(stain resistance)を著しく改善するポリマー組成物が必要とされている。本発明は、このような組成物を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(i)(1)少なくとも1つの有機ジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、(2)式I、
f−O(CF2CF2r(CH2CH2q(R1sXH 式I
{式中、
fは、任意に1〜3個の酸素原子によって中断されている直鎖又は分岐鎖C1〜C7パーフルオロアルキルであり、
rは1〜3であり、qは1〜3であり、sは0又は1であり、
XはO、S又はNR2(式中、R2はH又はC1〜C6アルキルである)であり、
1は2価の基−S(CH2n−、
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、nは2〜4であり、pは1〜50であり、R3、R4、又はR5はそれぞれ独立にH又はC1〜C6アルキルである)
である}
の少なくとも1つのフルオロケミカル化合物を反応させること、および
(ii)次いで、(3)水、連結剤(linking agent)、又はこれらの混合物と反応させること、
によって調製される、少なくとも1つの尿素結合を含有するポリマーを含む組成物を含む。
【0010】
本発明は、更に、基材を上記ポリマーと接触させることを含む、基材に撥水性、撥油性、染み除去性、親水性染み除去性、および清浄性を付与する方法を含む。
【0011】
本発明は、更に、基材を上記ポリマーと接触させることを含む、基材に防汚性(soil resistance)を付与する方法を含み、ここで、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物は、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、およびビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、並びに式(IIa)、(IIb):
【0012】
【化2】

【0013】
のジイソシアネート3量体からなる群から選択される1つ以上の環状ジイソシアネートを含む。
【0014】
本発明は、更に、上記ポリマーが塗布された基材を含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、商標は大文字で示す。
【0016】
本発明は、パーフルオロアルキルエーテルを含有するフルオロアルコール、フルオロチオール、又はフルオロアミンから調製される前述のポリマーを提供する。これらの組成物は、繊維基材および硬質基材に染み除去性、撥油性、撥水性、親水性染み除去性、清浄性、および防汚性を付与するのに、並びに、過フッ素化された末端基が特殊な表面改質特性を付与する他の用途に有用である。本発明のポリマーのパーフルオロアルキル基は炭素数が1〜7であり、典型的には、炭素数8〜約20のパーフルオロアルキル基を含有する従来の市販の表面処理剤と同等の又はそれ以上の表面特性を示す。
【0017】
本発明の組成物を製造するのに使用されるフルオロアルコールは、次の一連の反応によって得ることができる:
【0018】
【化3】

【0019】
出発パーフルオロアルキルエーテルアイオダイドは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,481,028号明細書の実施例8に記載の手順で製造され、それは、パーフルオロ−n−プロピルビニルエーテルから式(V)の化合物を調製することを開示している。
【0020】
上記第2の反応では、パーフルオロアルキルエーテルアイオダイド(V)を過剰のエチレンと高温高圧で反応させる。エチレンの付加は熱的に実施することができるが、好適な触媒を使用することが好ましい。好ましくは、触媒は、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、又はアセチルパーオキサイドなどの過酸化物触媒である。より好ましくは、過酸化物触媒はベンゾイルパーオキサイドである。反応物の温度は限定されないが、110℃〜130℃の範囲の温度が好ましい。反応時間は触媒と反応条件で変わるが、典型的には24時間で十分である。未反応の出発物質を最終生成物から分離する任意の手段で生成物を精製してもよいが、蒸留が好ましい。パーフルオロアルキルエーテルアイオダイド1モル当たり約2.7molのエチレン、110℃の温度および自己圧(autogenous pressure)、24時間の反応時間を使用し、蒸留により生成物を精製して、理論の80%までの十分な収量が得られた。
【0021】
国際公開第95/11877号パンフレットに開示されている手順に従って、パーフルオロアルキルエーテルエチレンアイオダイド(VI)をオレウムで処理し、加水分解して、対応するアルコール(VII)を得る。或いは、パーフルオロアルキルエーテルエチルアイオダイドをN−メチルホルムアミドで処理した後、エチルアルコール/酸で加水分解する。約130℃〜160℃の温度が好ましい。テロマーエチレンアイオダイド(VI)のより高級な同族体(q=2,3)は、過剰なエチレンを用いて高圧で得ることができる。
【0022】
J.Fluorine Chemistry, 104,2 173−183(2000)に記載の手順に従って、テロマーエチレンアイオダイド(VI)を様々な試薬で処理し、対応するチオールを得ることができる。一例は、テロマーエチレンアイオダイド(VI)をチオ酢酸ナトリウムと反応させた後、加水分解することである。
【0023】
テロマーエチレンアイオダイド(VI)を、次の図式に従ってω−メルカプト−1−アルカノールで処理し、式(VIII)の化合物を得る。
【0024】
【化4】

【0025】
テロマーエチレンアイオダイド(VI)を次の図式に従ってω−メルカプト−1−アルキルアミンで処理し、式(IX)の化合物を得る。
【0026】
【化5】

【0027】
本発明を実施するための式(VIII)および(IX)の好ましい化合物は、q=1およびn=2〜3のものである。
【0028】
本発明のポリマーを生成するのに有用な具体的なフルオロエーテルアルコールとしては、表1Aに記載されているものが挙げられる。記載されているアルコールのパーフルオロアルキル基は、特に他の記載がない限り、直鎖である。
【0029】
【表1】

【0030】
本発明のフルオロポリマーを製造するために、パーフルオロアルキルエーテルエチルアルコール、又は対応するチオール(VIII)若しくはアミン(IX)をポリイソシアネートと反応させる。ポリイソシアネート反応物はポリマーの分岐性を増加させる。「ポリイソシアネート」の用語はジイソシアネート又はそれより多量体(higher)のイソシアネートを意味し、この用語はオリゴマーを含む。主に2つ以上のイソシアネート基を有する任意のポリイソシアネート、又は、主に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートの任意のイソシアネート前駆体は本発明に使用するのに好適である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート単独重合体は、本明細書で使用するのに好適であり、市販されている。複数のイソシアネート基から製造される生成物中に、少量のジイソシアネートから形成されるポリマーが残存し得ることが分かっている。この例は、少量の残留ヘキサメチレンジイソシアネートを含有するビウレットである。
【0031】
また、炭化水素ジイソシアネートから誘導されたイソシアヌレート3量体もポリイソシアネート反応物として使用するのに好適である。好ましいのは、DESMODUR N−3300(Bayer Corporation, Pittsburgh, PAから同様に入手可能なヘキサメチレンジイソシアネートをベースにするイソシアヌレート)である。本発明の目的に有用な他のトリイソシアネートは、3モルのトルエンジイソシアネートを1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)エタン又は1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンと反応させることによって得られるものである。トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体、および3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートのイソシアヌレート3量体は、メタン−トリス−(フェニルイソシアネート)のように、本発明の目的に有用な他のトリイソシアネートの例である。ジイソシアネートなどのポリイソシアネートの前駆体もポリイソシアネートの基質(substrate)として本発明に使用するのに好適である。Bayer Corporation, Pittsburgh, PA製のDESMODUR N−3600、DESMODUR Z−4470、およびDESMODUR XP−2410、並びに、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンも本発明に好適である。
【0032】
好ましいポリイソシアネート反応物は、ビウレット構造を含有する脂肪族および芳香族ポリイソシアネート、又は、イソシアネートを含有するポリジメチルシロキサンである。このようなポリイソシアネートは、脂肪族置換基と芳香族置換基の両方を含有してもよい。ポリイソシアネート反応物として特に好ましいのは、例えば、DESMODUR N−100、DESMODUR N−75、およびDESMODUR N−3200としてBayer Corporation, Pittsburgh, PAから市販されているヘキサメチレンジイソシアネート単独重合体;例えば、DESMODUR I(Bayer Corporation)として入手可能な3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート;例えば、DESMODUR W(Bayer Corp)として入手可能なビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、並びに、DESMODUR Z2447およびDESMODUR N−3300として、それぞれBayer Corporationから入手できる式(IIa)および(IIb)である。
【0033】
【化6】

【0034】
本発明のフルオロポリマーを製造するために、パーフルオロアルキルエーテルエチルアルコール又は対応するチオール若しくはアミンをポリイソシアネートと反応させる。典型的には、反応容器に、ポリイソシアネート;フルオロアルコール、フルオロチオール、フルオロアミン、又はこれらの混合物;および任意に非フッ素化有機化合物を仕込む。試薬添加の順序は重要ではない。仕込まれるポリイソシアネートおよび他の反応物の具体的な重量は、それらの当量および反応容器の処理能力に基き、アルコール、チオール又はアミンが第1の工程で消費されるように調整される。仕込んだ材料を攪拌し、温度を約40〜70℃に調整する。次いで、典型的には、有機溶媒中のチタンキレートなどの触媒を添加し、温度を約80〜100℃に上昇させる。数時間維持した後、追加の溶媒および水、連結剤、又はこれらの組み合わせを添加し、混合物を更に数時間又はイソシアネートが全て反応するまで反応させる。次いで、必要に応じて界面活性剤と共に更に水を添加し、完全に混合するまで攪拌してもよい。均質化した後、有機溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去してもよく、残りのフルオロポリマー水溶液をそのまま使用しても又は更に処理してもよい。
【0035】
本発明の好ましい実施形態は、Rfが直鎖C1〜C3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくはrが1であり、qが1であり、sが0である組成物である。他の好ましい実施形態は、前記フッ素化化合物が、前記イソシアネート基の約5mol%〜約90mol%、より好ましくは約10mol%〜約70mol%と反応するポリマーである。他の好ましい実施形態は、連結基がジアミン又はポリアミンであるポリマーである。
【0036】
他の好ましい実施形態では、工程(i)の反応は、更に、(d)式、
10−(R11k−YH、
{式中、
10は、C1〜C18アルキル、C1〜C18ω−アルケニル基、又はC1〜C18ω−アルケノイルであり
11は、
【0037】
【化7】

【0038】
(式中、
2、R3およびR4は、独立に、H又はC1〜C6アルキルであり、
sは1〜50である)
であり、
kは0又は1であり、
Yは、−O−、−S−、又は−N(R5)−(式中、R5はH又は炭素数1〜6のアルキルである)である}
の群から選択される単一の官能基を含有する非フッ素化有機化合物を含む。好ましくは、式R10−(R11k−YHの非フッ素化化合物は、前記イソシアネート基の約0.1mol%〜約60mol%と反応する。
【0039】
別の好ましい実施形態では、式R10−(R11k−YHの非フッ素化化合物は、式(III):
【0040】
【化8】

【0041】
(式中、
Rは、約1〜約6の脂肪族又は脂環式炭素原子を含有する1価の炭化水素基であり、
それぞれ、mおよびm2は、独立して、繰り返しオキシエチレン(EO)基の平均数であり、m1は繰り返しオキシプロピレン(PO)基の平均数であるが、但し、mは常に正の整数であり、m1およびm2は正の整数又は0である)
の少なくとも1つのヒドロキシ末端ポリエーテルを含む親水性の水和可能な物質を含む。m1およびm2が0のとき、式(III)はオキシエチレン単独重合体を表す。m1が正の整数で、m2が0のとき、式(III)はオキシエチレンとオキシプロピレンのブロック又はランダム共重合体を表す。m1とm2が正の整数のとき、式(III)は、PEG−PPG−PEG(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)と称されるトリブロック共重合体を表す。より好ましくは、親水性の水和可能な成分(3)は、平均分子量約200以上の、最も好ましくは350〜2000の市販のメトキシポリエチレングリコール(MPEG’s)又はこれらの混合物である。また、市販されており、本発明のポリフルオロ有機化合物の調製に好適なものは、等重量のオキシエチレン基とオキシプロピレン基を含有し(Union Carbide Corp. 50−HB Series UCON Fluids and Lubricants)、平均分子量が約1000より大きいブトキシポリオキシアルキレンである。
【0042】
この非フッ素化化合物を、水、連結剤、又はこれらの混合物と反応させる前に、工程(i)でポリイソシアネートおよび前述の式(I)のフッ素化化合物と反応させる。この初期反応は、100%未満のポリイソシアネート基が反応するように実施される。この反応の後、水、連結剤、又はこれらの混合物を添加する。水又は連結剤と残留NCO基の反応によって全てのイソシアネート基が完全に反応し、他の反応物が100%のイソシアネート基と反応するのに十分な比で使用される場合に必要な、更なる精製工程が不要となる。更に、ポリウレタン調製の第1の工程で2つ以上の反応物を使用すると、この添加によってポリマーの分子量が大きく増加し、適切な混合が確実になる、即ち、水和可能な成分を添加すると、各ポリマー中に少なくとも1つの単位が存在するようになる可能性がある。
【0043】
本発明のポリマーを生成するのに有用な連結剤は、2つ以上のツェレビチノフ(zerewitinoff)水素原子(Zerevitinov, Th., Quantitative Determination of the Active Hydrogen in Organic Compounds, Berichte der Deutschen Chemischen Gesellschaft, 1908, 41, 2233−43)を有する有機化合物である。実施例は、イソシアネート基と反応できる少なくとも2つの官能基を有する化合物を含む。このような官能基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、およびチオール基が挙げられる。連結剤として有用な多官能性アルコールの例としては、オキシアルキレン基の炭素数が2、3又は4であり、2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレンが挙げられる。例として、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、およびポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール;例えば、アジピン酸又は他の脂肪族二酸と、炭素数2〜30の有機脂肪族ジオールとの重合により誘導されるポリエステルジオールなどのポリエステルジオール;アルキレングリコールを含む非ポリマーポリオール、および1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,5−および1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、およびペンタエリトリトールを含むポリヒドロキシアルカンが挙げられる。
【0044】
連結剤として有用な好ましい多官能性アミンとしては、例えば、JEFFAMINE D400、JEFFAMINE ED、およびJEFFAMINE EDR−148(全て、Huntsman Chemical CO., Salt Lake City, Utah製)などのアミン末端ポリエーテル;アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,5−ジアミノ−3−メチルペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンペンタミン、エタノールアミン、立体異性体の形態のいずれかのリシンおよびその塩、ヘキサンジアミン、およびヒドラジンピペラジンを含む脂肪族および脂環式アミン;並びにキシレンジアミンおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジアミンなどの芳香脂肪族(arylaliphatic)アミンが挙げられる。
連結剤として使用できるモノアルカノールアミンおよびジアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、およびジプロパノールアミン等が挙げられる。
【0045】
本発明のフッ素化ポリマーは、イソシアネート基と反応する基を含まない好適な無水有機溶媒中で調製される。ケトンは好ましい溶媒であり、便利さと入手し易さのためメチルイソブチルケトン(MIBK)が特に好ましい。アルコールとポリイソシアネートの反応は、任意に、典型的には約0.01〜約1.0重量%の量のジブチル錫ジラウレート又はテトライソプロピルチタネートなどの触媒の存在下で実施される。好ましい触媒はテトライソプロピルチタネートである。
【0046】
次いで、得られる組成物を水で希釈するか、又は、更に、基材に最終的に塗布するための溶媒(以下、「塗布溶媒」)として好適な単純なアルコールおよびケトンを含む群から選択される溶媒中に分散若しくは溶解させる。
【0047】
或いは、界面活性剤を用いて従来の方法で製造された水性分散体は、蒸発による溶媒の除去および当業者に既知の乳化又は均質化手順の使用により調製される。溶媒を含まないこのような乳濁液は、可燃性および揮発性有機化合物(VOC)の問題を最小限にするのに好ましい。
【0048】
基材に塗布される最終製品は、フッ素化ポリマーの、分散体(水をベースにする場合)又は溶液(水以外の溶媒が使用される場合)である。
【0049】
最大の収量、生産性又は製品品質を得るために、前述の手順のいずれか又は全てに多くの変更を使用して、反応条件を最適化してもよいことが当業者には明らかである。
【0050】
本発明は、更に、基材と前述の本発明のフッ素化ポリマーを接触させることを含む、基材に撥水性、撥油性、染み除去性、親水性染み除去性、および清浄性を付与する方法を含む。好適な基材としては、後述の繊維基材又は硬質表面基材が挙げられる。
【0051】
本発明は、更に、本発明のポリマーを溶液又は分散体として基材と接触させることを含む、防汚性を付与する方法を含み、但し、少なくとも1つの有機ジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物は、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、並びに式(IIa)および(IIb):
【0052】
【化9】

【0053】
のジイソシアネート3量体からなる群から選択される1つ以上の環状ジイソシアネートを含む。
【0054】
この実施形態では、好ましい方法は、本発明のポリマーで、前記式(I)のフッ素化化合物は、pおよびqがそれぞれ1であり、rが0であり、Xが−O−であり、Rfの炭素数が6である方法である。好ましくは環状ジイソシアネートを約25重量%〜約100重量%、より好ましくは約50重量%〜約100重量%、より好ましくは約75重量%〜約100重量%使用する。
【0055】
本発明のポリマーを、溶液又は分散体の形態において、基材表面に任意の好適な方法で接触させる。このような方法は当業者に周知であり、例えば、吸尽(exhaustion)、泡塗布、フレックスニップ(flex−nip)、ニップ、パッド、キスロール、ベック(beck)、かせ、ウインス、液体注入、オーバーフローフラッド(overflow flood)、ロール、刷毛、ローラー、スプレー、ディッピング、および浸漬等による塗布が挙げられる。接触はまた従来のベック染色(beck dyeing)手順、連続的染色手順、又は紡糸ライン塗布(thread−line application)を使用することによってなされてもよい。
【0056】
分散体又は溶液中の全フッ素量が、分散体又は溶液の重量を基準にして、約0.001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.01重量%〜約15重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約10重量%になるまで分散体又は溶液を希釈して塗布する。本発明の溶液又は分散体の塗布量は、約0.5〜約1000g/m2の範囲である。
【0057】
本発明の組成物は、基材にそれ自体で、又は他の仕上剤又は表面処理剤と組み合わせて塗布される。本発明の組成物は、任意に、追加の表面処理効果を達成する処理剤若しくは仕上剤、又は、一般にこのような処理剤若しくは仕上剤と一緒に使用される添加剤などの追加の成分を含む。このような追加の成分は、ノーアイロン、アイロン掛けし易さ、収縮抑制、しわ防止、パーマネントプレス、水分調節、柔軟性、強度、スリップ防止、帯電防止、スナッグ防止(anti−snag)、ピリング防止、染みをはじく性質、染み除去性(stain release)、汚れをはじく性質、汚れ除去性、撥水性、撥油性、臭気抑制、抗微生物、日焼け防止(sun protection)、および類似の効果などの表面効果を付与する化合物又は組成物を含む。1つ以上のこのような処理剤又は仕上剤を、ブレンドされる組成物と組み合わせて繊維基材に塗布してもよい。
【0058】
特に繊維基材では、合成布帛又は木綿布帛などのテキスタイルを処理するとき、本件特許出願人, Wilmington, DEから入手可能なALKANOL 6112などの湿潤剤を使用することができる。木綿又は木綿をブレンドした布帛を処理するとき、Omnova Solutions, Chester, SCから入手可能なPERMAFRESH EFCなどの防皺性樹脂を使用することができる。
【0059】
界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ワックスエクステンダ、および当業者に既知の他の添加剤などの、一般にこのような処理剤又は仕上剤と一緒に使用される他の添加剤が存在してもよい。好適な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤が挙げられる。DUPONOL WAQEとしてWitco Corporation, Greenwich, CTから入手可能な、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤が好ましい。このような仕上剤又は処理剤の例としては、加工助剤、発泡剤、潤滑剤、および防汚剤(anti−stains)等が挙げられる。組成物は、製造設備で、小売業者の場所で、又は取り付けおよび使用の前に、又は消費者の場所で塗布される。
【0060】
任意に、耐久性を更に促進するブロックイソシアネートを本発明のフッ素化ポリマーに添加してもよい(即ち、ブレンドされるイソシアネートとして)。好適なブロックイソシアネートの例は、Ciba Specialty Chemicals, High Point NJから入手可能なHYDROPHOBAL HYDORPHOBOL XANである。他の市販のブロックイソシアネートも本明細書で使用するのに好適である。ブロックイソシアネートの添加の必要性は、処理剤の特定の用途に依存する。現在考えられている用途のほとんどでは、それは、鎖間の十分な架橋、又は基材に対する結合を達成するために存在する必要はない。ブレンドされるイソシアネートとして添加されるとき、約20重量%までの量が添加される。
【0061】
任意に、何らかの利点の組み合わせを得るために、塗布組成物中に非フッ素化エクステンダ組成物を含むことができる。このような任意の追加のエクステンダポリマー組成物の例は、2004年9月7日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第60/607,612号明細書(CH−2996)、および2005年7月6日に出願された米国特許出願第11/175680号明細書(CH−3048)に開示されているものである。
【0062】
本発明のポリマーは、通常の様々な手順で好適な基材に塗布される。洗濯可能な衣料用布帛への塗布では、本発明の化合物は、例えば、水性分散体又は有機溶媒溶液から、はけ塗り、ディッピング、スプレー、パディング、ロールコーティング、又は泡塗布などで塗布される。それらを染色されたテキスタイル基材および染色されていないテキスタイル基材に塗布してもよい。テキスタイルでは、本発明のポリマーは、好ましくは約5g/L〜約100g/L、より好ましくは約10g/L〜約50g/Lの量で塗布される。
【0063】
カーペット基材の場合、「ウェットピックアップ」は、カーペットの乾燥重量を基準にした、予め濡らしたカーペットに塗布される本発明の分散体または溶液の量である。低ウェットピックアップ浴系の代わりに低ウェットピックアップスプレー系又は泡塗布系を使用してもよく、高ウェットピックアップ浴系の代わりに他の高ウェットピックアップ系、例えば、フレックスニップ系、泡塗布、パッド、又はフラッドを使用してもよい。使用する方法によって、適切なウェットピックアップと、塗布をカーペットの一面から行う(スプレーおよび泡塗布)か又は両面から行う(フレックスニップおよびパッド)かが決まる。次の表2に、カーペット基材に塗布するための典型的な工程仕様を記載する。
【0064】
【表2】

【0065】
カーペットでは、分散体又は溶液中の全フッ素量は、好ましくは約0.01重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約2重量%である。
【0066】
スプレー塗布、泡塗布、フレックスニップ塗布、フラッド塗布およびパッド塗布の条件の多数の変形が当業者に既知であり、前記条件は例として記載されており、それだけに限られるものではない。本発明の分散体又は溶液は、典型的には、予め濡らしたカーペットに、約5%〜約500%のウェットピックアップで塗布され、好ましくは約200°F〜約260°F(104℃〜127℃)で硬化される。或いは、処理されたカーペットを空気乾燥させてもよい。カーペットを予め濡らすために、カーペットを水に浸漬し、余分な水を吸引して取り除く。「ウェットピックアップ」は、カーペット表面繊維の乾燥重量を基準にした、カーペットに塗布される本発明の分散体又は溶液の重量である。
【0067】
繊維基材では一般に塗布されるポリマーの量は、乾燥基材の重量を基準にしたフッ素の重量で1グラム当たり少なくとも100マイクログラム〜1グラム当たり約5000マイクログラム提供するのに十分な量である。乾燥後のカーペットでは、処理されたカーペットは、好ましくは、乾燥したカーペットの重量を基準にしてフッ素を1グラム当たり約100マイクログラム〜1グラム当たり約1000マイクログラム含有する。
【0068】
本発明の別の実施形態は、本発明のポリマーをコーティングの添加剤として基材に塗布する方法である。本発明において「コーティングベース」と称される好適なコーティング組成物としては、アルキドコーティング、タイプIウレタンコーティング、不飽和ポリエステルコーティング、又は水分散コーティングの組成物、典型的には液体配合物が挙げられ、基材表面に耐久皮膜を形成する目的で基材に塗付される。これらは、従来の塗料、ステイン、および類似のコーティング組成物である。本発明のポリマーは、乾燥したコーティングの清浄性を改善する。
【0069】
「アルキドコーティング」の用語は、本明細書で使用される時、アルキド樹脂をベースにする従来の液体コーティング、典型的には塗料、透明塗料、又はステインを意味する。アルキド樹脂は、不飽和脂肪酸残基を含有する複雑な分岐および架橋ポリエステルである。従来のアルキドコーティングは、バインダ又は皮膜形成成分として硬化性又は乾性アルキド樹脂を使用する。アルキド樹脂コーティングは、乾性油から誘導された不飽和脂肪酸残基を含有する。これらの樹脂は、酸素又は空気の存在下で自発的に重合し、固い保護膜を形成する。重合は、「乾燥」又は「硬化」と称され、大気中の酸素による油の脂肪酸成分中の不飽和炭素−炭素結合の自動酸化の結果として起こる。配合アルキドコーティングの薄い液層として表面に塗付されるとき、形成する硬化皮膜は比較的硬質で、非溶融性であり、非酸化アルキド樹脂又は乾性油の溶媒又は希釈剤の役割をする多くの有機溶媒に実質的に不溶性である。このような乾性油は、油をベースにするコーティングの原料として使用され、文献に記載されている。
【0070】
「ウレタンコーティング」の用語は、以下で使用される時、タイプIウレタン樹脂をベースにする従来の液体コーティング、典型的には塗料、透明塗料、又はステインを意味する。ウレタンコーティングは、典型的にはポリイソシアネート(通常はトルエンジイソシアネート)と乾性油の酸の多価アルコールエステルとの反応生成物を含有する。ウレタンコーティングは、ASTM D−1により5つのカテゴリーに分類される。タイプIウレタンコーティングは、前述のSurface Coatings Vol.Iに記載の予備反応した自動酸化性バインダを含有する。これらはウラルキド、ウレタン変性アルキド、油変性ウレタン、ウレタン油、又はウレタンアルキドとしても知られ、ポリウレタンコーティングの最大のカテゴリーであり、これらには塗料、透明塗料、又はステインが含まれる。バインダ中の不飽和乾性油残基の空気酸化および重合によって、硬化したコーティングが形成される。
【0071】
「不飽和ポリエステルコーティング」の用語は、以下で使用される時、モノマー中に溶解し、必要に応じて開始剤と触媒を含有する不飽和ポリエステル樹脂をベースにする従来の液体コーティング、典型的には塗料、透明塗料又はゲルコート配合物を意味する。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和プレポリマーとして、1,2−プロピレングリコール又は1,3−ブチレングリコールなどのグリコールと、酸無水物の形態のマレイン酸(又は、マレイン酸と、飽和酸、例えば、フタル酸)などの不飽和酸との重縮合から得られる生成物を含有する。不飽和プレポリマーは、鎖中に不飽和を含有する直鎖ポリマーである。これは、例えば、スチレンなどの好適なモノマー中に溶解し、最終樹脂を生成する。フリーラジカル機構による直鎖ポリマーとモノマーとの共重合により皮膜が形成される。熱により、又は、より一般的には、別々に包装され使用前に添加されるベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物の添加によりフリーラジカルを発生させることができる。このようなコーティング組成物は、「ゲルコート」仕上剤と称されることが多い。硬化が室温で起こり得るように、過酸化物のフリーラジカルへの分解はある一定の金属イオン、通常はコバルトによって触媒される。塗布する前に、過酸化物とコバルト化合物の溶液を混合物に別々に添加し、十分攪拌する。フリーラジカル機構によって硬化する不飽和ポリエステル樹脂も、例えば、紫外線を使用する照射硬化に適している。熱が発生しないこの硬化形態は、木材又は板の皮膜に特に適している。例えば、電子線硬化などの他の放射線源も使用される。
【0072】
「水分散コーティング」の用語は、本明細書で使用される時、水相中に分散した皮膜形成材料の乳濁液、ラテックス、又は懸濁液などの、水を必須分散成分として構成される基材の装飾又は保護を目的としたコーティングを意味する。「水分散コーティング」は、多数の配合物を表す一般的な分類であり、前述の分類の要素並びに他の分類の要素を含む。水分散コーティングは、一般に、他の一般的なコーティング成分を含有する。水分散コーティングの例としては、ラテックス塗料などの顔料コーティング、ウッドシーラー、ステイン、および仕上剤などの非顔料コーティング、メーソンリーおよびセメント用のコーティング、並びに水をベースにするアスファルト乳剤が挙げられるが、これらに限定されない。水分散コーティングは、任意に、界面活性剤、保護コロイドおよび増粘剤、顔料および体質顔料、防腐剤、殺真菌剤、凍解安定剤、消泡剤、pH調整剤、融合助剤(coalescing aids)、および他の成分を含有する。ラテックス塗料では、皮膜形成材は、アクリレート、アクリル、ビニル−アクリル、ビニル、又はこれらの混合物のラテックスポリマーである。このような水分散コーティング組成物は、C.R.Martensによって「Emulsion and Water−Soluble Paints and Coatings」(Reinhold Publishing Corporation, New York, NY, 1965)に記載されている。
【0073】
「乾燥コーティング」の用語は、本明細書で使用される時、コーティング組成物が乾燥、固化又は硬化した後に得られる最終的な装飾および/又は保護皮膜を意味する。このような最終皮膜は、例えば、硬化、融合(coalescing)、重合、相互侵入、放射線硬化、紫外線硬化、又は蒸発によって得ることができるが、これらに限定されない。最終皮膜は、また、ドライコーティングにおけるように乾燥した最終的な状態で塗布することもできる。
【0074】
本発明の組成物は、添加剤として使用されるとき、室温又は周囲温度で入れて完全に攪拌することにより、コーティングベース又は他の組成物に有効に導入される。振盪機を使用すること又は熱若しくは他の方法の提供することなどの、より入念な混合を使用することができる。このような方法は必要ではなく、最終組成物を実質的に改善しない。本発明の組成物は、コーティングの添加剤として使用されるとき、一般に湿潤コーティングまたは塗料中に本発明の組成物の乾燥重量で約0.001重量%〜約5重量%添加される。好ましくは約0.01重量%〜約1重量%、より好ましくは0.1重量%〜約0.5重量%が使用される。本発明の添加剤を含有するコーティング組成物は、様々な繊維基材又は硬質基材に塗布することができる。
【0075】
本発明は、また、本発明の組成物で処理された基材も含む。好適な基材としては繊維基材および硬質基材が挙げられる。繊維基材としては、織られた繊維および織られていない繊維、ヤーン、布帛、布帛ブレンド、紙、皮革、およびカーペットが挙げられる。これらは、木綿、セルロース、ウール、シルク、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、アラミド、およびアセテートを含む天然繊維又は合成繊維から製造される。「布帛ブレンド」とは、2種類以上の繊維からなる布帛を意味する。典型的には、これらのブレンドは少なくとも1つの天然繊維と少なくとも1つの合成繊維の組み合わせであるが、2種類以上の天然繊維のブレンド又は2種類以上の合成繊維のブレンドを含んでもよい。カーペット基材は染色されていても、顔料で着色されていても、捺染されていても、又は染色されていなくてもよい。カーペット基材は精練されていても、又は精練されていなくてもよい。防汚性を付与するために本発明のポリマーを塗布することが特に有利な基材としては、ポリアミド繊維(ナイロンなど)、木綿、およびポリエステルと木綿のブレンドから調製されるもの、特にテーブルクロス、衣類、および洗濯可能なユニフォーム等に使用される基材が挙げられる。
【0076】
硬質表面基材としては、ガラス、石、メーソンリー、コンクリート、非施釉タイル、レンガ、多孔質粘土、および表面多孔性を有する他の様々な基材などの多孔質および非多孔質の鉱物表面が挙げられる。このような基材の具体例としては、非施釉コンクリート、レンガ、タイル、石(花こう岩および石灰石を含む)、グラウト、モルタル、大理石、石灰石、彫像用材、モニュメント、木材、テラゾーなどの複合材料、および、石膏ボードで製造されたものを含む壁および天井パネルが挙げられる。このような基材は、本発明の組成物を含有するコーティング組成物でコーティングされると、清浄性が向上する。
【0077】
本発明の組成物は、処理される基材に優れた撥水性、撥油性、防汚性、染み除去性、親水性染み除去性、および清浄性の1つ以上を付与するのに有用である。これらの特性は、従来のパーフルオロカーボン表面処理剤と比較して低いフッ素濃度を使用して得られ、処理された表面の保護において改善された「フッ素効果」を付与する。また、本発明の組成物は、炭素原子の数が6以下である、より短いフルオロアルキル基の使用が可能であるが、従来の市販の表面処理製品は、フルオロアルキル基の炭素数が8未満である場合、典型的には撥油性と撥水性性能が不良である。
【0078】
次の実施例は、本発明を例証することだけを意図しており、決して本発明を制限するように解釈すべきではない。
【0079】
材料および試験方法
本明細書の実施例では次の材料および試験方法を使用した。
【0080】
材料
住宅用カーペット
実施例2〜6で試験に使用したカーペットは、ベージュ色に染色され、1.2%SR−500(固形分100%ベース)の耐汚染処理剤で処理されたナイロン6,6表面繊維を有する住宅用ループカーペット構造(30オンス/平方ヤード)(1112.4g/m2)からなった。カーペットはInvista, Inc.,Wilmington, DEから入手した。SR−500は、本件特許出願人, Wilmington, DEから入手可能である。
【0081】
カーペットに、25%のウェットピックアップで水を予めスプレー塗布した。次いで、実施例2〜6の分散されたフルオロポリマーを25%のウェットピックアップでスプレー塗布してカーペットを処理した。25%のウェットピックアップを使用してカーペットに供給されるフッ素400ppmのフッ素含有量を得るのに必要な程度まで分散体を水で処理した。ウェットピックアップは、カーペット表面繊維の乾燥重量を基準にしたカーペットに塗布される本発明のポリマーの分散体又は溶液の重量である。次いで、カーペット繊維表面温度が250°F(121℃)になるまで、処置されたカーペットを乾燥させた。組成物の塗布濃度は、表6および7に記載するフッ素濃度を提供する濃度とした。
【0082】
商業用カーペット
実施例1および3〜6の試験に使用したカーペットは、黄色に染色されたナイロン6,6表面繊維を有する商業用ループカーペット構造(28オンス/平方ヤード)(1038.2g/m2)からなった。カーペットはInvista, Inc., Wilmington, DEから入手した。SR−500は、本件特許出願人, Wilmington, DEから入手可能である。
【0083】
カーペットに、25%のウェットピックアップで水を予めスプレー塗布した。次いで、実施例1および3〜6の分散されたフルオロポリマーを25%のウェットピックアップでスプレー塗布してカーペットを処理した。25%のウェットピックアップを使用してカーペットに供給されるフッ素600ppmのフッ素含有量を得るのに必要な程度まで分散体を水で処理した。ウェットピックアップは、カーペット表面繊維の乾燥重量を基準にした、カーペットに塗布される本発明のポリマーの分散体又は溶液の重量である。次いで、カーペット繊維表面温度が250°F(121℃)になるまで、処置されたカーペットを乾燥させた。組成物の塗布濃度は、表6および7に記載するフッ素濃度を提供する濃度とした。
【0084】
試験方法1−撥水性
処理された基材の撥水性をAATCC標準試験方法第193−2004およびTEFLON Global Specifications and Quality Control Tests information packetに概要が記載されているDuPont Technical Laboratory Methodに従って測定した。試験は、水性液体による濡れに対する処理された基材の耐性を決定する。様々な表面張力の水−アルコール混合物の液滴を基材につけて、表面の濡れの程度を視覚的に決定する。撥水性評価が高いほど、水をベースにする物質による染みに対する完成した基材の耐性は良好である。
【0085】
撥水性試験液の組成を表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
試験手順:試験液1を3滴、処理された基材につける。10秒後、真空吸引を使用して液滴を除去する。液体の浸透又は部分的吸収が観察されない(基材に濡れて色の濃くなった斑点が現れない)場合、試験液2で試験を繰り返す。液体の浸透が観察される(基材に濡れて色の濃くなった斑点が現れる)まで、試験液3および順次それより大きい試験液番号で試験を繰り返す。試験結果は、基材に浸透しない最も大きい試験液番号である。スコアが高いほど撥水性が大きいことを示す。
【0088】
試験方法2−撥油性
次のように実施したAATCC標準試験方法第118の変更により、処理されたサンプルの撥油性を試験した。前述のポリマーの水性分散体で処理された基材を23℃、相対湿度20%と、65℃、相対湿度10%で最低2時間調整する。次いで、下記の表4に示す一連の有機液体をサンプルに1滴づつつける。最も小さい番号の試験液(撥油性評価番号1)で始めて、3つの場所にそれぞれ1滴(直径約5mm又は体積0.05mL)、少なくとも5mm離してつける。液滴を30秒間観察する。この時間の終わりに、3滴のうち2滴がまだ球状の形状であり、液滴の周囲にウィッキングが起こっていない場合、次の最も大きい番号の液体を3滴、隣接する部位につけ、同様に30秒間観察する。試験液の1つで3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持できないという結果になるまで、又は濡れ若しくはウィッキングが起こるまで、この手順を繰り返す。
【0089】
撥油性評価は、3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持し、30秒間ウィッキングが起こらない最も大きい番号の試験液である。一般に、5以上の評価を有する処理されたサンプルは、良〜優と考えられ、1以上の評価を有するサンプルは、ある一定の用途に使用できる。
【0090】
【表4】

【0091】
試験方法3−汚れ促進ドラム試験(Accelerated Soiling Drum Test)
ドラムミル(ローラー上の)を使用し、カーペットサンプルに合成汚れを回転付着させた。合成汚れは、AATCC Test Method 123−2000, Section 8に記載のように調製した。汚れでコーティングされたビーズは次のように調製した。合成汚れ3gと清浄なナイロン樹脂ビーズ(SURLYNアイオノマー樹脂ビーズ、直径1/8〜3/16インチ(0.32〜0.48cm)1リットルを清浄な空のキャニスタに入れた。SURLYNは、本件特許出願人, Wilmington, DEから入手可能なエチレン/メタクリル酸共重合体である。キャニスタの蓋を閉じ、ダクトテープで密封し、キャニスタをローラー上で5分間回転させた。汚れでコーティングされたビーズをキャニスタから取り出した。
【0092】
ドラムに挿入するカーペットサンプルは、次のように調製した。これらの試験では、全カーペットサンプルサイズは8×25インチ(20.3×63.5cm)であった。1つの試験サンプルと1つの対照サンプルとを同時に試験する。全てのサンプルのカーペットのパイルを同じ方向になるように置いた。各カーペットサンプルの短辺を機械方向に(タフト列に関して)切断した。強力接着テープをカーペット片の裏側につけ、それらを一緒に保持した。カーペットサンプルを、タフトがドラムの中心を向くようにして清浄な空のドラムミルに入れた。カーペットを剛性のワイヤでドラムミル内の所定の位置に保持した。汚れでコーティングされた樹脂ビーズ250ccとボールベアリング(直径5/6インチ、0.79cm)250ccをドラムミルに入れた。ドラムミルの蓋を閉じ、ダクトテープで密封した。ドラムをローラー上で2−1/2分間、105rpmで回転させた。ローラーを停止させ、ドラムミルの方向を逆にした。ドラムをローラー上で更に2−1/2分間、105rpmで回転させた。カーペットサンプルを取り出し、余分な汚れを除去するため均一に真空吸引した。汚れでコーティングされた樹脂ビーズを廃棄した。
【0093】
元の汚れていないカーペットと比較して、汚れたカーペットのΔE色差を試験品および対照品について測定した。各カーペットの色測定を、汚れ促進試験の後のカーペットで行った。各対照サンプルおよび試験サンプルについて、カーペットの色を測定し、サンプルを汚し、汚れたカーペットの色を測定した。ΔEは、汚れたサンプルと汚れていないサンプルの色の差であり、正の数として表される。Minolta Chroma Meter CR−310を使用して、各品で色差を測定した。カーペットサンプルの5つの異なる領域で色を読み取り、平均ΔEを記録した。各試験品の対照カーペットは、試験品と同じ色および構造であった。対照カーペットは、フッ素化合物で一切処理されていなかった。ΔEが小さいほど汚れが少なく、防汚性が優れていることを示す。
【0094】
試験方法4−ウィッキング試験
ウィッキング試験では、DI水5滴を木綿サンプルの異なる生地領域につけた。木綿に完全に吸収されるのにかかった時間(単位、秒)を記録した。180秒(3分)の時点で、水滴が吸収されていなかった場合、試験を不合格と評価した。ウィッキングは親水性を示すものであり、本明細書では試験結果をウィッキング又は親水性染み除去性として記載する。
【0095】
試験方法5−染み除去性
染み除去性試験は、AATCC Test Method 130−1995に準拠して行った。鉱油又はコーン油を5滴、1枚の吸取紙上の処理された木綿サンプルの中心につけた。1枚のグラシン紙(秤量紙)を汚れに被せ、5ポンドの重りを紙の上に載せた。60秒後、重りとグラシン紙を取り除いた。油汚れの周囲に4つの赤い点がついた。木綿生地を、次の設定、即ち、高水位(Large load)、温水(Warm)(100°F)/冷水(Cold)、すすぎ1回(One rince)、念入り(Ultra Clean)(設定12)、および通常(速/遅)(Normal(fast/slow))で、Kenmore洗濯機に入れた。次いで、AATCC WOB洗剤100gおよびバラスト布を含む生地4ポンドを洗濯機に加えた。洗濯後、サンプルを高設定のKenmore乾燥機に45分間入れた。染み除去性の複製(Stain Release Replica)に基いてサンプルを評価した。
【0096】
【表5】

【0097】
程度5は染み除去が最も優れていることを示し、程度1は染み除去が最も劣っていることを示す。
【0098】
試験方法6−洗濯耐久性
テキスタイル試験の国際規格の洗濯手順に従って、布帛サンプルを洗濯した。布帛サンプルを水平ドラム、フロントロードタイプ(タイプA、WASCATOR Fom 71MP−Lab)の自動洗濯機にバラスト布と一緒に投入し、全乾燥投入量を4ポンドとした。市販の洗剤を加え(AATCC1993標準基準洗剤WOB)、温水(105°F、41℃)を高水量で、15分の通常の洗濯サイクルを行った後、13分のすすぎを2回行い、その後、2分脱水するように洗濯機をプログラムした。サンプルとバラスト布を指定された回数、洗濯した(5HWは5回洗濯、20HWは20回洗濯など)。洗濯後、サンプルを高設定のKenmore乾燥機に45分間入れた。試験方法4および5を使用して、サンプルの染み除去性を再度試験した。親水性染み除去性(ウィッキング)の試験は、100% Avondale Cottonで、同じ添加量(浴濃度30g/L)に基づいて行った。
【0099】
試験方法7−Leneta油清浄性試験
本明細書に記載する試験方法は、参照により明確に本明細書に組み込まれるASTM 3450−00−−Standartd Test Method for Washability Properties of Interior Architectural Coatingsの変更である。
【0100】
BYK−Gardner自動ドローダウン装置(BYK−Gardner, Silver Spring MD)および5ミル(0.127mm)のBirdアプリケータドローダウンブレード(BYK−Gardner, Silver Spring MD)を使用してLeneta Black MYLARカード(The Leneta Company, Mahwah NJ)にコーティング組成物の被膜を塗布することによって、ドローダウンを準備した。得られるコーティングにピンホール又は塗り残しが生じることを防止するのに十分緩速になるようにドローダウン速度を設定した。各塗料と添加剤の組み合わせに対して幾つかのドローダウンを準備した。清浄性を試験するため、コーティングされたカードを7日間乾燥させた。
【0101】
VASELINE NURSERY JELLY(Marietta Corporation, Cortland NY)およびLeneta Carbon Black Dispersion in Mineral Oil(ST−1)(The Leneta Company, Mahwah NJ)を使用して、汚染媒体を調製した。石油ゼリーを清浄なガラス容器に入れて30分間、70℃に設定されたオーブン内で融解させた。次いで、石油ゼリーをその重量の5%のLeneta Carbon Blackと混合した。例えば、石油ゼリー95gをLeneta Carbon Black 5gと混合して汚染媒体100gを製造した。混合物された汚染媒体を4℃の冷蔵庫で数時間冷却した。
【0102】
JOY ULTRA CONCENTRATED COUNTRY LEMON食器洗い用液体洗剤(The Procter & Gamble Company, Cincinnati OH)を使用して清浄媒体を調製した。食器洗い用液体洗剤を脱イオン水と、水各99gに対して食器洗い用液体洗剤1gの割合で混合した。
【0103】
各ドローダウンを同じ方法で汚染した。MYLAR Lenetaカードの内側から3インチ×1インチ(7.6cm×2.5cm)のストリップを切り取ることによって、MYLAR Lenetaカードから汚染用テンプレートを準備した。汚染されるコーティングされたドローダウンカードの上にテンプレートを配置した。ドローダウンカードが全く見えないように、スパチュラを使用して汚染媒体をドローダウンカードとテンプレートの上に広げた。余分な汚染物質をスパチュラで取り除いた。汚染されたカードを60分間硬化させ、乾燥させた。
【0104】
清浄の準備の際、MYLARの切れ端を使用して、カードの汚染部分、洗浄された部分と洗浄されていない部分の両方から余分な乾燥した汚染物質を軽く擦り落とした。同様に、c折りされた清浄なペーパータオルを使用して、カード全体、洗浄された部分と洗浄されていない部分の両方から未硬化の汚染物質を取り除いた。次いで、カードをBYK−Gardner Abrasion試験機(BYK−Gardner, Silver Spring, MD)又は他の方法に確実に取り付けた。1枚のチーズクロス(VWR International, San Diego, CA)を磨耗試験機のクリーニングブロックに取り付けた。接触面が8層の厚さになるようにチーズクロスを折り畳んで取り付けた。前述のように調製された清浄溶液10mLをチーズクロスの接触面に塗布した。ドローダウンカードの汚染セクション上で磨耗試験機を5サイクル(10回清拭)運転した、従って、それは汚染され、清浄化されたと称される。余分な清浄溶液を脱イオン水で数秒間すすぎ落とした後、2時間、又は目視検査で完全に乾燥するまで乾燥させた。汚染された各ドローダウンカードの1セクションをこのようにして清浄にした。
【0105】
ドローダウンカードの汚染されて洗浄された塗装部分を、カードの汚染されていない塗装部分とカードの汚染され洗浄されていない塗装部分の両方と比較して評価することによって清浄性を決定する。HunterLab ULTRASCAN Pro colorimeter(Hunter Associates Laboratory, Inc., Reston, VA)を使用してドローダウンカードの指定された各塗装部分:汚染され洗浄された塗装部分、汚染されなかった塗装部分、および汚染され洗浄されなかった塗装部分について3つの異なる測定を行った。測定値を平均して、後述するようにそのカードの清浄性評価の判定に使用されるセクションの平均値を得た。L*関数を読み取るように彩色計を設定し、孔は3/4インチ(1.9cm)以下であった。
【0106】
清浄性スコアを0〜10の範囲で計算したが、0は清浄不可能、10は完全に清浄可能である。1〜9の値を番号順に0、10から、および互いに等距離で直線傾斜上にあるように定めた。上記説明は次の式に適合する:[(汚染されて洗浄された塗装部分の平均L*値)−(汚染され洗浄されていない塗装部分の平均L*値)]/[(汚染されていない塗装部分の平均L*値)−(汚染され洗浄されていない塗装部分の平均L*値)]*10=清浄性評価。
【実施例】
【0107】
実施例1
37OCF2CF2I(100g、0.24mol)およびベンゾイルパーオキサイド(3g)を窒素下で圧力容器に仕込んだ。次いで、−50℃で真空/窒素置換を3回連続して行い、エチレン(18g、0.64mol)を導入した。容器を110℃で24時間加熱した。オートクレーブを0℃に冷却し、脱ガス後に開放した。次いで、生成物を瓶に捕集した。生成物を蒸留し、C37OCF2CF2CH2CH2I、80g(収率80%)を得た。沸点は25mmHg(3333Pa)で56〜60℃であった。
【0108】
37OCF2CF2CH2CH2I(300g、0.68mol)とN−メチル−ホルムアミド(300mL)の混合物を150℃に26時間加熱した。次いで反応を100℃に冷却し、その後、水を添加して粗エステルを分離した。エチルアルコール(77mL)およびp−トルエンスルホン酸(2.59g)を粗エステルに添加し、反応を70℃で15分間攪拌した。次いで、蟻酸エチルおよびエチルアルコールを留去して粗生成物を得た。粗生成物をエーテルに溶解させ、亜硫酸ナトリウム水溶液、水、および食塩水で順番に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、生成物を蒸留し、C37OCF2CF2CH2CH2OH、199g(収率85%)を得た。沸点は40mmHg(5333Pa)で71〜73℃であった。
【0109】
窒素入口を有する還流冷却器、マグネチックスターラー、および温度プローブを備えた3つ口250mL丸底フラスコに、硫酸ナトリウムで乾燥させたC37OCF2CF2CH2CH2OHアルコール(20.30g、61.50mmol)、およびDESMODUR N100(メチルイソブチルケトン、MIBK中63%、23.43g、78.11mmol NCO)を添加した。混合物を55℃に加熱した。この溶液に、ジブチル錫ジラウレート(MIBK中0.4重量%の触媒、2.0g)を1滴ずつ添加すると、30℃の発熱が起こった。反応を84℃で3時間維持した。MIBK(28.75g)および水(0.23g)を反応に1滴ずつ添加した後、Colormetric Technologies, Incイソシアネート試験ストリップを使用してイソシアネートが検出されなくなるまで84℃で24時間加熱した。高温の生成物(20.0g)を高温の界面活性剤溶液(70℃、脱イオン水20gおよびWitco C6094界面活性剤1.63g)に添加した。5分間デジタル超音波ホモジナイザーを使用して溶液を均質化し、真空蒸留でMIBKを除去してウレタンポリマーの安定な分散体(固形分15.5%、6.11%F)を得た。
【0110】
「材料」のところで前述したように、分散体をカーペットに塗布した。カーペットの撥水性を試験方法1で、撥油性を試験方法2で試験した。結果を表6に記載する。
【0111】
実施例2
高温の生成物(20.0g)を高温の界面活性剤溶液(70℃、脱イオン水20g、MERPOL SE界面活性剤0.32gおよびARQUAD16−50界面活性剤1.46g)に添加したこと以外、実施例1で記載した方法を使用してサンプルを調製した。5分間デジタル超音波ホモジナイザーを使用して溶液を均質化し、真空蒸留でMIBKを除去してウレタンポリマーの安定な分散体(固形分15.5%、5.51%F)を得た。
【0112】
「材料」のところで前述したように、分散体をカーペットに塗布した。カーペットの撥水性を試験方法1で、撥油性を試験方法2で試験した。結果を表6に記載する。
【0113】
実施例3
窒素入口を有する還流冷却器、マグネチックスターラー、および温度プローブを備えた3つ口250mL丸底フラスコに、実施例1のように調製し硫酸ナトリウムで乾燥させたC37OCF2CF2CH2CH2OHアルコール(24.65g、74.67mmol)、および、MIBK11g中のDESMODUR N3300(17.98g、93.34mmol(NCO))を添加した。混合物を65℃に加熱した。この溶液に、ジブチル錫ジラウレート(MIBK中0.4重量%の触媒、2.4g)を1滴ずつ添加すると、30℃の発熱が起こった。反応を84℃で2時間維持した。MIBK(34.40g)および水(0.27g)を1滴ずつ反応に添加した後、84℃で24時間加熱した。更に水0.27gを加え、イソシアネートが検出されなくなるまで反応を加熱した。高温の生成物(40.0g)を高温の界面活性剤溶液(70℃、脱イオン水65gおよびWitco C6094界面活性剤3.09g)に添加した。5分間デジタル超音波ホモジナイザーを使用して溶液を均質化し、真空蒸留でMIBKを除去して安定な分散体(固形分24%、8.9%F)を得た。
【0114】
「材料」のところで前述したように、分散体をカーペットに塗布した。試験方法1および2をそれぞれ使用してカーペットの撥水性および撥油性を試験した。得られたデータを表6に記載する。
【0115】
実施例4
高温の生成物(12.5.0g)を高温の界面活性剤溶液(70℃、脱イオン水12.5g、SADPO0.70gおよびTERGITOL界面活性剤0.05g)に添加したこと以外、実施例3で記載した方法を使用してサンプルを調製した。5分間デジタル超音波ホモジナイザーを使用して溶液を均質化し、真空蒸留でMIBKを除去して安定な分散体(固形分24%、8.9%F)を得た。
【0116】
「材料」のところで前述したように、分散体をカーペットに塗布した。試験方法1および2をそれぞれ使用してカーペットの撥水性および撥油性を試験した。得られたデータを表6に記載する。
【0117】
実施例5
窒素入口を有する還流冷却器、オーバーヘッドスターラー、および温度プローブを備えた4つ口500mL丸底フラスコに、実施例1のように調製し硫酸ナトリウムで乾燥させたC37OCF2CF2CH2CH2OHアルコール(19.00g、57.58mmol)、酢酸ブチル(3g)、およびDESMODUR Z4470(酢酸ブチル中70%、27.10g、76.77mmol NCO)を添加した。混合物を65℃に加熱した。この溶液に、ジブチル錫ジラウレート(MIBK中0.4重量%の触媒、1.4g)を1滴ずつ添加すると、17℃の発熱が起こった。反応を84℃で4時間維持した。酢酸ブチル(32g)および水(0.35g)を1滴ずつ反応に添加した後、84℃で8時間加熱した。酢酸ブチル(20g)および水(0.35g)を添加し、イソシアネートが検出されなくなるまで5時間加熱し続けた。高温の生成物(15.0g)を高温の界面活性剤溶液(70℃、脱イオン水28g、Merpol SE界面活性剤0.24g、およびArquad16−50界面活性剤1.107g)に添加した。5分間デジタル超音波ホモジナイザーを使用して溶液を均質化し、真空蒸留で酢酸ブチルを除去して安定なウレタンポリマー分散体(固形分20.0%、4.6%F)を得た。
【0118】
「材料」のところで前述したように、分散体をカーペットに塗布した。カーペットの撥水性を試験方法1で、撥油性を試験方法2で試験した。カーペットの汚れ具合(Soiling performance)を試験方法3汚れ促進試験で評価し、汚れ具合の色測定で評価した。結果を表6および7に記載する。
【0119】
実施例6
高温の生成物(15.0g)を高温の界面活性剤溶液(70℃、脱イオン水28g、BRIG58、0.07g、およびARQUAD 2HT−75界面活性剤0.30g)に添加したこと以外、実施例5で記載した方法を使用してサンプルを調製した。5分間デジタル超音波ホモジナイザーを使用して溶液を均質化し、真空蒸留で酢酸ブチルを除去し、安定な分散体(固形分20.0%、5.0%F)を得た。
【0120】
「材料」のところで前述したように、分散体をカーペットに塗布した。カーペットの撥水性を試験方法1で、撥油性を試験方法2で試験した。カーペットの汚れ具合を試験方法3汚れ促進試験で評価し、汚れ具合の色測定で評価した。結果を表6および7に記載する。
【0121】
【表6】

【0122】
表6のデータは、複数のイソシアネート反応物および界面活性剤パッケージを使用して、撥油性および撥水性が達成されたことを実証している。
【0123】
【表7】

【0124】
表7のデータは、実施例5および6が商業用カーペットと住宅用カーペットの両方で防汚性能があったことを実証している。
【0125】
実施例7
窒素ガスブランケット下で、フラスコにDESMODUR N100(MIBK中63%、22.1g、0.0736mol NCO)、メトキシポリオキシエチレングリコール(MPEG750、分子量約750、11.95g、0.0147mol)および、実施例1のように調製されたC37OCF2CF2CH2CH2OH(10g、0.03mol)を仕込んだ。反応混合物を65℃に加熱した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)中5重量%のチタン(IV)イソプロポキシド(1.2g)を添加した。95℃で3時間後、MIBK(13.6mL)および水(4.6mL)を85℃で添加した。水を添加した後、温度を75℃に低下させ、一晩攪拌した。更に水(80.46mL)を反応に添加し、0.5時間攪拌した。MIBKを減圧で蒸発させた後、生成したポリマーを得た(固形分26.04)。
【0126】
従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、布帛サンプル、100%Avondale木綿を水ベースのフッ素化ポリマー配合物で処理した。フッ素化ポリマー処理剤30〜50g/Lを含有する浴を使用した。塗布後、布帛サンプルを約165℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に「放置」した。それぞれ試験方法4、5および6を使用してサンプルのウィッキング、染み除去性、および洗濯耐久性を試験した。結果を表8に記載する。
【0127】
実施例8
25OCF2CF2I(116g、0.32mol)およびベンゾイルパーオキサイド(4g)を窒素下で容器に仕込んだ。次いで、−50℃で真空/窒素置換を3回連続して行い、エチレン(24g、0.86mol)を導入した。容器を110℃で24時間加熱した。オートクレーブを0℃に冷却し、脱ガス後に開放した。生成物を瓶に捕集した。6回分を合わせて、生成物を蒸留し、C25OCF2CF2CH2CH2I(470g、収率64%、760mmHg(1013×102Pa)で沸点135〜137℃)を得た。
【0128】
フラスコにC25OCF2CF2CH2CH2I、130g、N−メチルピロリドン643mL、および脱イオン水48mLを仕込んだ。混合物を132℃に20時間加熱した。脱イオン水を加えて下層を分離した。下層をエーテルに溶解させ、飽和亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。回転蒸発後、C25OCF2CF2CH2CH2OH48g(収率52%、60mmHg(7999Pa)で沸点70〜72℃)を得た。
【0129】
窒素ガスブランケット下で、フラスコにDESMODUR N−100(MIBK中63%、21.02g、0.07mol NCO)、メトキシポリオキシエチレングリコール(MPEG750、10.5g、0.014mol)および、C25OCF2CF2CH2CH2OH(8.0g、0.028mol)を仕込んだ。混合物を65℃に加熱した後、MIBK中5%のチタン(IV)イソプロポキシド(1.15g)を添加した。95℃で3時間後、MIBK(13mL)および水(4.16mL)を85℃で添加した。水を添加した後、温度を75℃に低下させ、液体を一晩攪拌した。更に水(76.71mL)を反応に添加し、0.5時間攪拌した。MIBKを減圧下で蒸発させた後、生成したポリマーを得た(固形分29.05%)。
【0130】
従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、布帛サンプル、100%Avondale木綿を水ベースのフッ素化ポリマー配合物で処理した。フッ素化ポリマー処理剤30〜50g/Lを含有する浴を使用した。塗布後、布帛サンプルを約165℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に「放置」した。それぞれ試験方法4、5および6を使用してサンプルのウィッキング、染み除去性、および洗濯耐久性を試験した。結果を表8に記載する。
【0131】
実施例9
CF3OCF2CF2I(285g、0.91mol)およびベンゾイルパーオキサイド(12g)を窒素下で容器に仕込んだ。次いで、−50℃で真空/窒素置換を3回連続して行い、その後、エチレン(69g、2.46mol)を導入した。容器を110℃で24時間加熱した。オートクレーブを0℃に冷却し、脱ガス後に開放した。次いで、生成物を瓶に捕集した。2回分を合わせて、生成物を蒸留し、CF3OCF2CF2CH2CH2I、292g(収率50%)を得た。生成物の沸点は60mmHgの圧力(7999Pa)で56〜60℃であった。
【0132】
CF3OCF2CF2CH2CH2I(92g、0.27mol)とN−メチルホルムアミド(119mL)の混合物を150℃で26時間加熱した。次いで、反応を100℃に冷却し、その後、水を加えて粗エステルを分離した。エチルアルコール(30mL)とp−トルエンスルホン酸(1.03g)を粗エステルに添加し、反応を70℃で15分間攪拌した。次いで、蟻酸エチルとエチルアルコールを留去して粗生成物を得た。粗生成物をエーテルに溶解させ、亜硫酸ナトリウム溶液、水、および食塩水で順番に洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、生成物CF3OCF2CF2CH2CH2OHを蒸留し、生成物44g(収率71%)を得た。
【0133】
窒素ガスブランケット下で、フラスコにDESMODUR N−100(MIBK中63%、19.11g、0.0647mol NCO)、メトキシポリオキシエチレングリコール(MPEG750、9.59g、0.013mol)、およびCF3OCF2CF2CH2CH2OH(6g、0.026mol)を仕込んだ。反応混合物を65℃に加熱した後、MIBK中5%のチタン(IV)イソプロポキシド(1.04g)を添加した。95℃で3時間後、MIBK(11.82mL)および水(3.78mL)を85℃で添加した。水を添加した後、温度を75℃に低下させ、液体を一晩攪拌した。更に水(69.73mL)を反応に添加し、0.5時間攪拌した。MIBKを減圧下で蒸発させた後、生成したポリマーを得た(固形分27.05%)。
【0134】
従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、布帛サンプル、100%Avondale木綿を水ベースのフッ素化ポリマー配合物で処理した。フッ素化ポリマー処理剤30〜50g/Lを含有する浴を使用した。塗布後、布帛サンプルを約165℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に「放置」した。それぞれ試験方法4、5および6を使用してサンプルのウィッキング、染み除去性、および洗濯耐久性を試験した。結果を表8に記載する。
【0135】
比較例A
フルオロケミカルとして、式F(CF2aCH2CH2OH(式中、aは6〜14の範囲であり、主に6、8および10である)のパーフルオロアルキルエチルアルコール混合物を使用したこと以外、実施例7の手順を使用した。典型的な混合物は、以下の通りであった:a=6が27%〜37%;a=8が28%〜32%;a=10が14%〜20%;a=12が8%〜13%;a=14が3%〜6%。
【0136】
従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、布帛サンプル、100%Avondale木綿を水ベースのフッ素化ポリマー配合物で処理した。フッ素化ポリマー処理剤30〜50g/Lを含有する浴を使用した。塗布後、布帛サンプルを約165℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に「放置」した。それぞれ試験方法4、5および6を使用してサンプルのウィッキング、染み除去性、および洗濯耐久性を試験した。結果を表8に記載する。
【0137】
【表8】

【0138】
表8のデータは、本発明の組成物(実施例7〜9)が、全般的に対照(比較例A)に匹敵する優れた染み除去性を有したことを実証している。これらは、同族体混合物を使用した>180秒のウィッキング時間の対照評価と比較して、親水性がずっと優れており、1〜10秒の初期ウィッキング時間の評価を有した。従って、本発明のポリマーは、比較例Aと比較して良好な親水性染み除去製品である。
【0139】
実施例10
窒素ガスブランケット下で、フラスコにDESMODUR N−100D(MIBK中63%、8.79g、0.03mol NCO)、メトキシポリオキシエチレングリコール(MPEG350、分子量約350)(4.4g、0.0125mol)および、実施例1のように調製されたC37OCF2CF2CH2CH2OH(4.13g、0.0125mol)を仕込んだ。反応混合物を55℃に加熱した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)中0.4%のジブチル錫ジラウレート(0.35g)を添加した。90℃で16時間後、60℃で水(0.225g)を添加し、反応を3時間攪拌した。MIBK(4mL)および水(31.5mL)を添加し、反応を1時間攪拌した。MIBKを減圧下で蒸発させた後、コーティング試験をするため、得られた生成物を瓶に注いだ。
【0140】
ポリマーの乾燥重量を基準にした表9に示される濃度で生成物をアクリルラテックス塗料に添加した。試験方法7を使用して、サンプルの清浄性を試験した。結果を表9に記載する。
【0141】
実施例11
窒素ガスブランケット下で、フラスコにDESMODUR N−100(MIBK中63%、8.79g、0.03mol NCO)、メトキシポリオキシエチレングリコール(MPEG350、分子量約350)(4.4g、0.0125mol)および、実施例8のように調製されたC25OCF2CF2CH2CH2OH(3.5g、0.0125mol)を仕込んだ。反応混合物を55℃に加熱した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)中0.4%のジブチル錫ジラウレート(0.35g)を添加した。90℃で16時間後、水(0.225g)を60℃で添加し、反応を3時間攪拌した。MIBK(4mL)および水(31.5mL)を添加し、反応を1時間攪拌した。MIBKを減圧下で蒸発させた後、コーティング試験のため、その物質を瓶に注いだ。
【0142】
ポリマーの乾燥重量を基準にした表9に示される濃度で生成物をアクリルラテックス塗料に添加した。試験方法7を使用して、サンプルの清浄性を試験した。結果を表9に記載する。
【0143】
実施例12
窒素ガスブランケット下で、フラスコにDESMODUR N−100(MIBK中63%、8.79g、0.03mol NCO)、メトキシポリオキシエチレングリコール(MPEG350、分子量約350)(4.4g、0.0125mol)および、実施例9のように調製されたCF3OCF2CF2CH2CH2OH(2.9g、0.0125mol)を仕込んだ。反応混合物を55℃に加熱した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)中0.4%のジブチル錫ジラウレート(0.35g)を添加した。90℃で16時間後、水(0.225g)を60℃で添加し、反応を3時間攪拌した。MIBK(4mL)および水(31.5mL)を添加し、反応を1時間攪拌した。MIBKを減圧下で蒸発させた後、コーティング試験のため、その物質を瓶に注いだ。
【0144】
85度で3%の光沢度を有するつやなしアクリルラテックス塗料に、ポリマーの乾燥重量を基準にした表9に示されている濃度で生成物を添加した。湿潤塗料の重量を基準にして675マイクログラム/グラムFのフッ素含有量を達成する量で、実施例をベースコーティングに添加した。試験方法7を使用して、サンプルの清浄性を試験した。結果を表9に記載する。
【0145】
【表9】

【0146】
表9のデータは、実施例10〜12が対照と比較して改善された清浄性を有したことを実証している。対照は、本発明の組成物が添加されていない同じアクリル塗料からなった。
【0147】
実施例13
窒素入口を有する還流冷却器、マグネチックスターラー、および温度プローブを備えた3つ口丸底フラスコに、化合物C37OCF2CF2CH2CH2OH(10.10g、30.6mmol、硫酸ナトリウムで予め乾燥させた)、およびDESMODUR W(MIBK中63%、5.54g、41.9mmol NCO)を添加した。混合物を55℃に加熱した後、ジブチル錫ジラウレート(MIBK中0.4重量%の溶液1.07g)を1滴ずつ添加すると、発熱した。反応を84℃で2時間維持した後、MIBK(15.42g)および水(0.10g)を1滴ずつ添加し、84℃で一晩加熱し続けた。更に水(0.10g)を添加し、イソシアネート試験ストリップを使用してイソシアネートが検出されなくなるまで反応を攪拌した。高温の生成物(5g)を高温の界面活性剤溶液(70℃、脱イオン水5g、Witco C6094界面活性剤0.41g)に添加した。5分間デジタル超音波ホモジナイザーを使用して溶液を均質化し、真空蒸留でMIBKを除去してカーペットに塗布されるウレタンポリマーの水性分散体(13)(固形分12%、3.47%F)を得た。
【0148】
「材料」のところで前述したように、分散体をカーペットに塗布した。カーペットの撥水性を試験方法1で、撥油性を試験方法2で試験した。カーペットの汚れ具合を試験方法3汚れ促進試験で評価し、汚れ具合の色測定で評価した。結果を表10および11に記載する。
【0149】
実施例14
高温の生成物(5g)を高温の界面活性剤溶液(70℃、脱イオン水5g、MERPOL SE界面活性剤(本件特許出願人, Wilmington, DE製)0.08g、およびARQUAD16−50界面活性剤(Akzo Nobel, Chicago)、0.37g)に添加したこと以外、実施例13で記載した方法を使用して別のサンプルを調製した。5分間デジタル超音波ホモジナイザーを使用して溶液を均質化し、真空蒸留でMIBKを除去し、カーペットに塗布されるウレタンポリマーの水性分散体(14)(固形分12%、4.5%F)を得た。
【0150】
「材料」のところで前述したように、分散体をカーペットに塗布した。カーペットの撥水性を試験方法1で、撥油性を試験方法2で試験した。カーペットの汚れ具合を試験方法3汚れ促進試験で評価し、汚れ具合の色測定で評価した。結果を表10および11に記載する。
【0151】
【表10】

【0152】
【表11】

【0153】
表10および11のデータは、環状イソシアネートを使用して製造された本発明のポリマーが、カーペットに優れた撥水性、撥油性、および防汚性を付与することを実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)(1)イソシアネート基を有する、少なくとも1つの有機ジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、
(2)式I、
f−O(CF2CF2r(CH2CH2q(R1sXH 式(I)
{式中、
fは、任意に1〜3個の酸素原子によって中断されている直鎖又は分岐鎖C1〜C7パーフルオロアルキルであり、
rは1〜3であり、qは1〜3であり、sは0又は1であり、
XはO、S又はNR2(式中、R2はH又はC1〜C6アルキルである)であり、
1は、−S(CH2n−、
【化1】

(pは1〜50であり、R3、R4、又はR5はそれぞれ独立にH又はC1〜C6アルキルである)
から選択される2価の基である}
の少なくとも1つのフルオロケミカル化合物とを反応させること、
および、
(ii)次いで、(3)水、連結剤、又はこれらの混合物と反応させること、
によって調製される、少なくとも1つの尿素結合を含有するポリマーを含む組成物。
【請求項2】
fが直鎖で、1〜3個の炭素数を有し、rが1であり、qが1であり、sが0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ジイソシアネート又はポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート単独重合体、3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、および式(IIa)、(IIb):
【化2】

のジイソシアネート3量体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
工程(i)が、更に、式、
10−(R11k−YH、
{式中、
10は、C1〜C18アルキル、C1〜C18ω−アルケニル基、又はC1〜C18ω−アルケノイルであり
11は、
【化3】

(式中、
3、R4およびR5は、それぞれ独立にH又はC1〜C6アルキルであり、pは1〜50である)
であり、
kは0又は1であり、
Yは、−O−、−S−、又は−N(R2)−(式中、R2はH又はC1〜C6のアルキル基である)である}
の非フッ素化有機化合物と反応させることを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記式R10−(R11k−YHの非フッ素化有機化合物が、式III:
【化4】

(式中、
Rが、1〜約6個の脂肪族又は脂環式炭素原子を含有する1価の炭化水素基であり、
mが正の整数であり、m1およびm2がそれぞれ独立に正の整数又はゼロである)
の少なくとも1つのヒドロキシ末端ポリエーテルを含む水和可能な物質であり、
前記ポリエーテルの重量平均分子量が最大で約2000である、
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記非フッ素化化合物が、前記イソシアネート基の約0.1mol%〜約60mol%と反応する、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
A)ノーアイロン、アイロン掛けし易さ、収縮抑制、しわ防止、パーマネントプレス、水分調節、柔軟性、強度、スリップ防止、帯電防止、スナッグ防止、ピリング防止、染みをはじく性質、染み除去性、汚れをはじく性質、汚れ除去性、撥水性、撥油性、臭気抑制、抗微生物、および日焼け防止からなる群から選択される、少なくとも1つの表面効果を付与する1つ以上の薬剤、又は
B)界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ブロックイソシアネート、ワックスエクステンダ、若しくは炭化水素エクステンダ、
C)コーティングベース、又は
D)これらの混合物、
を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
基材を請求項1に記載のポリマーと接触させることを含む、基材に撥水性、撥油性、染み除去性、親水性染み除去性、および清浄性を付与する方法。
【請求項9】
基材を請求項1に記載のポリマーと接触させることを含む、基材に防汚性を付与する方法であって、但し、前記ジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物が、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、およびビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、および式(IIa)、(IIb):
【化5】

のジイソシアネート3量体からなる群から選択される1つ以上の環状ジイソシアネートを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載のポリマーが塗布された基材。

【公表番号】特表2010−509482(P2010−509482A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537144(P2009−537144)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/020531
【国際公開番号】WO2008/060354
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】