説明

ポリフルオロスルホンアミドアミンおよび中間体

ジアミン反応物の使用を含むポリフルオロスルホンアミドアミンを製造するための現在の方法は収率が低く、望ましくないフッ素含有ビス−スルホンアミド副生物を生成し、よって経済的損失を示す。ビス−スルホンアミド副生物は特に望ましくない。なぜなら副生物が所望のモノアミン生産物と非常に似た物理的特性を共有し、よって所望のポリフルオロスルホンアミドアミン生産物の分離を困難且つ高価にするからである。さらに、ビス−スルホンアミド副生物は、所望のポリフルオロスルホンアミドアミン生産物を作るためのフッ素の効率的な導入する代わりに、高価なフッ素化出発材料の実質的な損失を生ぜしめる。ビス−スルホンアミド副生物は、所望のポリフルオロスルホンアミドアミン生産物の界面活性、撥水性または他の性能特性を悪化させ得る望ましくない不純物も生ぜしめる。本発明は、ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物を既知の方法のようにジアミン反応物とでなくモノアミノアミドと反応させることによりビス−スルホンアミド副生物の生成なしでポリフルオロスルホンアミドアミンを製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフルオロスルホンアミドアミンおよびその中間体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフルオロスルホンアミドアミンは、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤および両性界面活性剤を含むフッ素化界面活性剤ならびに(ポリ−(メタ)アクリルアミド、ウレア、イミドを含むフッ素化撥水剤を含む種々の生産物のための有用な出発材料である。ポリフルオロスルホンアミドアミンに関する特定の用途は、電子用途、ナノテクノロジー、医薬品および殺虫剤中間体、触媒ならびに消火起泡剤を含む。
【0003】
基本的なポリフルオロスルホンアミドアミンは、一般に、以下の式
ff−S(O)2−NH−(CH2p−NH2(式A)
によって記載することが可能である。
【0004】
式中、RffはC4〜C12ポリフルオロアルキルから選択され、pは2〜8の整数である。
【0005】
式Aのポリフルオロスルホンアミドアミンのようなポリフルオロスルホンアミドアミンを製造するための現在の方法は収率が低く、望ましくないフッ素含有副生物を生成し、よって経済的損失を示す。例えば、米国特許第4,486,391号明細書は、以下の式で表される通り、ポリフルオロアルキルスルホン酸またはそのエステルと、ジアミンとを反応させることにより式Aのポリフルオロスルホンアミドアミンを製造することを考慮している。
ff−S(O)2−Cl+H2N−(CH2p−NH2 → Rff−(CH2p−S(O)2−HN−(CH2p−NH2(反応A)
式中、Rffおよびpは上の通り定義される。残念ながら、反応Aは、所望のモノアミン生産物に加えて、望ましくないビス−スルホンアミド副生物
ff−S(O)2−HN−(CH2p−NH−S(O)2−Rff
も生成する。
【0006】
ビス−スルホンアミド副生物は特に望ましくない。なぜならこうした副生物は所望のモノアミン生産物と非常に似た物理的特性を共有し、よって所望のモノアミン生産物の分離を困難且つ高価にするからである。さらに、ビス−スルホンアミド副生物は、所望のモノアミン生産物を作るためのフッ素の効率的な導入の代わりに、高価なフッ素化出発材料の実質的な損失を生ぜしめる。ビス−スルホンアミド副生物は、所望のモノアミン生産物の界面活性、撥水性または他の性能特性を悪化させ得る望ましくない不純物も生ぜしめる。
【0007】
前述した不利益のゆえに、ビス−スルホンアミド副生物の生成を回避するポリフルオロスルホンアミドアミンを製造する方法を発見することが従って望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ビス−スルホンアミド副生物を生成せずにポリフルオロスルホンアミドアミンを製造する方法を提供し、それによって所望のポリフルオロスルホンアミドアミンを分離する目的のためのビス−スルホンアミド副生物を除去する必要性を有利に回避する。さらに、本発明は、フッ素を含有するいかなる副生物の生成も有利に回避するか、または劇的に減少させる。本発明は、ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物を既知の方法のようにジアミンとでなくモノアミノアミドと反応させることにより前述した利益を達成する。
【0009】
本発明によって製造されるポリフルオロスルホンアミドアミンは以下の式によって表される。
f−(CH2n−S(O)2−N(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)H
(式1)
式中、Rfは、−O−、−S−および−S(O)2−から選択された1〜4個の基によって任意選択的に中断されていてもよいC2〜C12ポリフルオロアルキルから選択され、
各R1は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルから選択され、好ましくは水素であり、
nは0〜6の整数から選択され、好ましくは3未満、より好ましくは2であり、
mは0〜10の整数から選択され、好ましくは0〜2、より好ましくは1である。
【0010】
本発明は、ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物とモノアミノアミドとの反応、その後の脱アシル化、好ましくは酸触媒脱アシル化を含む方法によって式1のポリフルオロスルホンアミドアミンを製造する。
【0011】
本発明において有用なポリフルオロアルキルスルホン酸化合物は、以下の式によって表される。
f−(CH2n−S(O)2−X(式2)
式中、
Xは、ヒドロキシル、アリールオキシ、置換アリールオキシまたはハロゲン化物、より好ましくは塩素から選択され、nは上のように定義される。
【0012】
本発明において有用なモノアミノアミドは、以下の式によって表される。
HN(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2(式3)
式中、
各R1は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルから選択され、好ましくは水素であり、
mは上のように定義され、R2は、水素、C1〜C6アルキル、アリール、アルキルアリールまたは置換アリールから選択される。
【0013】
本発明において有用なモノアミノアミドは、エステルとジアミンの反応によって製造することが可能である。
【0014】
ここで、
i)エステルは以下によって表される。
2−C(O)−O−R3(式4)
式中、
2は、水素、C1〜C6アルキル、アリール、アルキルアリールまたは置換アリールから選択され、
3は、C1〜C6アルキル、アリール、アルキルアリールまたは置換アリールから選択される。
ii)ジアミンは以下によって表される。
HN(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)H(式5)
式中、
各R1は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルから選択され、好ましくは水素であり、
mは上のように定義される。
【0015】
本発明によると、ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物(式2)はモノアミノアミド(式3)と反応して、
f−(CH2n−S(O)2−N(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2(式6)
によって表されるポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物を生成する。
【0016】
式中、
f、n、R1
mおよびR2は上のように定義される。
【0017】
その後、式6のポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物は脱アシル化に供して、式1の所望のポリフルオロスルホンアミドアミンを生成する。
【0018】
別段に指定がない限り、式1、式2および式6において言及されるRf部分は、−O−、−S−および−S(O)2−から選択された1〜4個の基によって任意選択的に中断されていてもよいC2〜C12ポリフルオロアルキルから選択される。Rf部分の例は、(CF32CFおよびCF3(CF2m(式中、mは1〜11の整数である)を含む、置換も中断もないパーフルオロアルキルから選択されたものを含む。Rf部分の例は、(CF32CH、CF3(CF22OCFHCF2およびHCm2m(式中、mは2〜12である)などの、1個の水素によって置換されたパーフルオロアルキルも含む。Rf部分の例は、CF3(CF22OCF2CF2、CF3(CF22OCFHCF2およびCF3CF2CF2[OCF(CF3)CF2mOCRF(式中、mは6〜15の整数であり、Rは、F、CF3またはHであることが可能である)などの、少なくとも1個の酸素によって中断されているパーフルオロアルキルも含む。Rf部分の例は、CF3(CF23(CH2CF2mおよびCF3(CF25(CH2CF2m(式中、mは1、2または3である)などの、少なくとも1個のメチレンによって中断されているC2〜C12パーフルオロアルキルも含む。Rf部分の例は、F[(CF2CF2n(CH2CH2mkCF2CF2(式中、n=1、2または3、好ましくは1、m=1または2、好ましくは1、およびk=1、2または3)などの、少なくとも1個のエチレンによって中断されているパーフルオロアルキルも含む。Rf部分の例は、CF3(CF25CH2CH2SCH2CH2、C6F13CH2CH2SO2CH2CH2、C6F13SCH2CH2などの、少なくとも1個の硫黄(−S−)またはスルホキシド(−SO2−)によって中断されているポリフルオロアルキルも含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の方法によると、所望のポリフルオロスルホンアミドアミン生産物(式1)は、ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物(式2)をモノアミノアミド(式3)と反応させて、脱アシル化に供されるポリフルオロスルホンアミドアミド中間体(式6)を生成させることにより得られる。所望のポリフルオロスルホンアミドアミン生産物(式1)の生成をもたらす種々の反応は次の通り表してもよい。
反応1:式3のモノアミノアミドの生成
2−C(O)−O−R3 + HN(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)H
→ HN(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2 + HO−R3
反応2:式6のポリフルオロスルホンアミドアミド中間体の生成
f−(CH2n−S(O)2−X+HN(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2 → Rf−(CH2n−S(O)2−N(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2
反応3:脱アシル化による式1のポリフルオロスルホンアミドアミン生産物の生成
f−(CH2)n−S(O)2 −N(R1)−(CH2n−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2
→ Rf−(CH2n−S(O)2−N(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)H
【0020】
反応1について、式3のモノアミノアミドの生成において有用なエステル(式4)は商業的に得てもよく、こうしたエステルを製造する方法は当該技術分野で公知である。本発明において用いるために好適なエステルの例は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸2−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸n−ヘキシル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸n−プロピルを含む。本発明において用いるために好適なエステルの別の例は、シュウ酸エステル、マロン酸エステル、コハク酸エステル、フタル酸エステル、テレフタル酸エステルなどのジカルボン酸エステル、トリカルボン酸エステルまたはポリカルボン酸エステルであり、特定の例は以下を含む。
2N−(CH23−NH−C(O)−C(O)−NH−(CH23−NH2および
2N−(CH23NH−C(O)−C64−C(O)−NH−(CH23−NH2
【0021】
反応1について、式3のモノアミノアミドの生成において有用なジアミン(式5)は商業的に得てもよく、こうしたジアミンを製造する方法は当該技術分野で公知である。本発明において用いるために好適なジアミンの例は、n−エチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、n−エチルエチレンジアミン、n−プロピルエチレンジアミンおよびN,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンを含む。
【0022】
反応1について、式3のモノアミノアミドを生成させるために好適な反応条件は、メカニカルスターラーと、いかなるの沸騰材料も容器に戻すコンデンサーとを備えた反応容器(例えば、窒素パージによる、好ましくは不活性条件下にある)にジアミン(式5)を添加することにより例示される。その後、攪拌しながらジアミンを加熱する。温度は反応1の予定アルコールの沸点を約5〜10℃下回るように選択する。その後、還流温度および攪拌を維持しながら、エステル(式4)を約15〜90分の時間にわたってジアミンにゆっくり添加して、反応混合物を作りだす。添加されたエステルの全量は、好ましくは約1:1のジアミン対エステルのモル比をもたらすべきであるが、しかし、このモル比は、5:1〜約0.6:1の間の範囲であることが可能である。例えば、ガスクロマトグラフィーによって測定される通り、エステルの完全な消費から分かる通り、反応が完了するまで還流温度を維持する。反応完了は、典型的には約2〜24時間後に起こる。反応が完了する時、反応容器は、典型的には、沸点のより低い成分と沸点のより高い成分とを含む生成物の混合物を含有する。沸点のより低い成分は、あり得べき残留未反応エステル、アルコール副生物、汚染物からのあり得べき水、エステルと水の反応から生じる一切の酸および一切の未反応ジアミンを含む。沸点のより高い成分は、所望のモノアミノアミド(式3)およびモノアミノアミドとエステルのさらなる反応から生じるビス−スルホンアミド副生物を含む。こうしたジアミド副生物は、
2−C(O)−N(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2(式7)
によって表される。
【0023】
沸点のより低い成分は、容器に蒸留塔を装備し、沸点のより高い成分を後に残しながら沸点のより低い成分を蒸発させる蒸留温度で熱を維持することにより生成物の混合物から除去される。蒸留中に、任意選択により容器に真空源を装備して、蒸留圧力および蒸留温度を下げることが可能である。典型的な蒸留温度は約50〜120℃の範囲であり、選択された特定のエステル(式4)反応物およびジアミン(式5)反応物、反応中に生成したアルコールおよび真空の利用の有無に基づいて異なり得る。反応2における望ましくないジアミド副生物の生成を回避するために、沸点のより低い成分の蒸留中に未反応ジアミンを除去することが重要である。ジアミド副生物は以下の式によって表される。
f−(CH2n−S(O)2−N(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−S(O)2−(CH2n−Rf(式8)
式中、Rf、n、R1は上のように定義される。
【0024】
反応2について、式6のポリフルオロスルホンアミドアミド中間体を生成するために好適な反応条件は、塩化メチレン、アセトニトリル、ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフランなどの適切な非プロトン性溶媒を含有する容器(例えば、窒素パージによる、好ましくは不活性無水条件下にある)にモノアミノアミド(式3)を含む反応物を溶解させることにより例示される。容器にはメカニカルスターラーとコンデンサーとが装備される。モノアミノアミドに加えて、反応混合物は反応1の副生物であるジアミド(式7)も含むことが可能である。モノアミノアミド対ジアミド副生物のモル比は、好ましくは少なくとも1:1、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも3:1であるべきである。好ましくは、反応混合物は、上述したような反応1の沸点のより高い成分を含む。容器の内容物を0℃に冷却する。その後、温度を0℃で維持しながら、ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物(式2)を約15分〜120分の時間にわたり容器に添加する。モノアミノアミド(式3)対ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物(式2)のモル比は少なくとも2:1であり、モノアミノアミドの最初のモル当量を越える超過分は、反応において発生する酸を中和するための塩基として意図される。追加の塩基を用いる場合、モノアミノアミド(式3)対ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物(式2)のモル比は約1:1に減らすことが可能である。その後、容器の内容物を約2〜24時間にわたり攪拌し、放置して、典型的には無色固体の沈殿をもたらす室温にする。固体を濾過し(式7のジアミド副生物を除去する)、水で洗浄する。水はモノアミノアミドと酸の反応から生じた塩副生物を溶解し除去する。洗浄工程における水が、固体を濡らすのを助ける界面活性剤を含むことが好ましい。分離された固体は、典型的には、50〜90重量%の所望のポリフルオロスルホンアミドアミド中間体(式6)を含む。
【0025】
上の反応3において記載されたように式1のポリフルオロスルホンアミドアミンの生成のために好適な反応条件は、酸触媒脱アシル化などの脱アシル化のために好適な条件を含む。酸触媒脱アシル化(酸加水分解としても知られている)の例は、水と極性溶媒、好ましくはアルコール、例えば、エタノールまたはメタノール、もしくはエーテル、例えば、1,2−ジメトキシエタンの適切な混合物を含有する容器(例えば、窒素パージによる、好ましくは不活性条件下にある)にポリフルオロスルホンアミドアミド中間体(式6)を溶解させることにより例示される。前述した溶媒は、加水分解が進行するにつれて泡の生成を効率的に減少させ、脱アシル化反応を副生物を最小限に抑えながら完了まで迅速に進行させることを可能にする目的のために好ましい。容器にはメカニカルスターラーと一切の沸騰材料を容器に戻すコンデンサーデンサーとが装備される。その後、酸対式1のポリフルオロスルホンアミドアミンの約4:1〜10:1の間のモル比で酸(例えば塩酸)を容器に添加する。その後、容器の内容物を約70〜約100℃の温度に加熱する。例えば、ガスクロマトグラフィーによって測定される通り、ポリフルオロスルホンアミドアミド中間体の完全な消費から分かる通り、反応が完了するまで温度を維持する。反応完了は、典型的には約2〜6日後に起きる。その後、溶媒の量を蒸留によって約80重量%減少させる。その後、反応器の内容物を約25℃に冷却し、約9のpHを達成するまで強塩基(例えば、NaOHまたはKOH)を添加する。その後、典型的には式1のポリフルオロスルホンアミドアミンの予定量の10〜50重量%の間を含む沈殿剤(例えばMgSO4)の水溶液を容器に添加し、無色固体の沈殿を引き起こす。その後、固体を濾過し、真空炉内で乾燥させる。乾燥させた固体は、典型的には、60〜95重量%の式1の所望のポリフルオロスルホンアミドアミンを含む。
【実施例】
【0026】
請求される本発明を不当に制限することを意図しない前述の実施例において本発明を説明する。
【0027】
実施例1:1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミドの調製
1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミドは、モノアミノアミド(式3)の例であり、以下によって表されるようなエステル(酢酸メチル)とジアミン(1,3−ジアミノプロパン)の反応によって製造した。
CH3−C(O)−O−CH3 + H2N−(CH23−NH2
CH3−C(O)−O−NH−(CH23−NH2(1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミド) +
CH3−C(O)−O−NH−(CH23−NH−O−C(O)−CH3
(1,3−ジアミノプロパンビス−アセトアミド) + HO−CH3 (メタノール)
【0028】
窒素パージ、コンデンサー、添加漏斗およびメカニカルスターラーを備えた4つ口フラスコに、約125グラム(1.7モル)の1,3−ジアミノプロパン(DAP)を添加し、攪拌しながら50℃の温度に加熱した。その後、攪拌しながら約82.9グラム(1.1モル)の酢酸メチルを90分にわたり添加した。この反応混合物を約18時間にわたり約50℃の還流温度で維持し、その後、酢酸メチルのすべてをガスクロマトグラフィ(GC)分析によって測定されるように消費した。適切な蒸留条件の測定を助けるための「チェーサー」として約100mLのジメチルアセトアミド(DMAC)を添加した。その後、真空蒸留を行って、GC分析によって確認される通り、メタノールおよびDAPのすべてを除去した。最終生成物のGC分析は、19.5重量%のDMAC、64.5重量%の1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミド、16.0重量%の1,3−ジアミノプロパンビス−アセトアミドおよび0.1重量%未満の1,3−ジアミノプロパンを示した。
【0029】
実施例2:N−[N’−アセチル−3−アミノプロピル]−パーフルオロヘキシルエチルスルホンアミドの調製
N−[N’−アセチル−3−アミノプロピル]−パーフルオロヘキシルエチルスルホンアミドは、ポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物(式6)の例であり、以下の式によって表されるように、ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物(パーフルオロヘキシルエチルスルホニルクロリド)とモノアミノアミド(1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミド)の反応によって製造した。
613−(CH22−S(O)2−Cl + NH2−(CH23−NH−O−C(O)−CH3
613−(CH22−S(O)2−NH−(CH23−NH−O−C(O)−CH3
(N−[N’−アセチル−3−アミノプロピル]−パーフルオロヘキシルエチルスルホンアミド) +
[NH3−(CH23−NH−O−C(O)−CH3+Cl-
(1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミドヒドロクロリド)
【0030】
窒素パージ、コンデンサー、添加漏斗およびメカニカルスターラーを備えた4つ口フラスコの中で、上述(実施例1)の1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミドの調製から得られた最終混合物を750mLのアセトニトリルに溶解させた。溶解された混合物は、約43.7グラム(0.38モル)の1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミド、1,3−ジアミノプロパンビス−アセトアミドおよびジメチルアセトアミドを含有していた。混合物を約0℃に冷却した。その後、トルエン中の70重量%溶液として約120.1グラム(0.19モル)のパーフルオロヘキシルエチルスルホニルクロリドを攪拌しながら30分にわたり0℃で添加した。混合物を追加的に3時間にわたり攪拌し、放置して室温にし、無色固体を生成し、それを濾過し、水中で1リットルの0.1重量%Zonyl(登録商標)FSO−100(界面活性剤)で洗浄して、1,3−ジアミノプロパンモノ−アセトアミドヒドロクロリドを溶解させ、除去した。残りの濾過された無色固体をGC−mass分光分析および陽子NMRによって分析し、89.5グラム(収率90%)のN−[N’−アセチル−3−アミノプロピル]−パーフルオロヘキシルエチルスルホンアミドの生成を確認した。
【0031】
実施例3:N−[3−アミノプロピル]−2−(パーフルオロヘキシル)エタンスルホンアミドの調製
N−[3−アミノプロピル]−2−(パーフルオロヘキシル)エタンスルホンアミドは、ポリフルオロスルホンアミドアミン(式1)の例であり、以下の式によって表されるように、ポリフルオロスルホンアミドアミド中間体の例であるN−[N’−アセチル−3−アミノプロピル]−パーフルオロヘキシルエチルスルホンアミドの酸触媒脱アシル化(酸加水分解)によって製造した。
613−(CH22−S(O)2−NH−(CH23−NH−O−C(O)−CH3
+ HCl(触媒) + H2O →
613−(CH22−S(O)2−NH−(CH23−NH2
(N−[3−アミノプロピル]−2−(パーフルオロヘキシル)エタンスルホンアミド)
+ H−O−C(O)−CH3(酢酸)
【0032】
窒素パージ、コンデンサー、添加漏斗およびメカニカルスターラーを備えた4つ口フラスコの中で、上述(実施例2)のN−[N’−アセチル−3−アミノプロピル]−パーフルオロヘキシルエチルスルホンアミドの調製から得られた最終生成物を170グラムのエタノールに溶解させた。溶解された混合物は、約56.9グラム(0.11モル)のN−[N’−アセチル−3−アミノプロピル]−パーフルオロヘキシルエチルスルホンアミドを含有していた。水中の約62グラムの37重量%塩酸を攪拌しながら添加した。N−[N’−アセチル−3−アミノプロピル]−パーフルオロヘキシルエチルスルホンアミドのすべてがGCによって確認される通り消費されるまで、この混合物を約5日にわたり約80℃の還流温度に加熱した。その後、約130mLのエタノール/水/HClを蒸留によって除去した。得られた混合物を放置して25℃に冷却し、その後、KOHの添加によってpHを約9に調節した。約100グラムの10重量%水性MgSO4を添加し、無色固体の沈降を引き起こし、その固体を濾過し、真空炉内で乾燥させ、その固体をGC−mass分光分析および陽子NMRによって分析し、45.1グラム(収率87%)のN−[3−アミノプロピル]−2−(パーフルオロヘキシル)エタンスルホンアミドの生成を確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
f−(CH2n−S(O)2−N(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2
(式中、
fは、−O−、−S−および−S(O)2−から選択される1〜4個の基によって任意選択的に中断されていてもよいC2〜C12ポリフルオロアルキルから選択され、
nは0〜6の整数から選択され、
各R1は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルから選択され、
mは0〜10の整数から選択され、
2は、水素、C1〜C6アルキル、アリール、アルキルアリールまたは置換アリールから選択される)によって表されるポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物。
【請求項2】
fがC613−(CH22またはC49−(CH22またはC49から選択される請求項1に記載のポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物。
【請求項3】
nが0または2から選択される請求項1に記載のポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物。
【請求項4】
各R1が、独立して水素またはメチルまたはエチルから選択される請求項1に記載のポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物。
【請求項5】
mが1である請求項1に記載のポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物。
【請求項6】
fが、CF3−(CH25−またはCF3−(CH23−から選択され、nが0または2であり、各R1が水素であり、mが1であり、各R2がメチルまたはエチルである請求項1に記載のポリフルオロスルホンアミドアミド中間生成物。
【請求項7】
請求項1に記載のポリフルオロスルホンアミドアミド中間体を製造する方法であって、該方法は、ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物と、モノアミノアミドとを好適な条件下で反応させて、ポリフルオロスルホンアミドアミドを製造することを含み、
前記ポリフルオロアルキルスルホン酸化合物が、
i)Rf−(CH2n−S(O)2−X(Xは、ヒドロキシル、アリールオキシ、置換アリールオキシまたはハロゲン化物から選択される)によって表され、
前記モノアミノアミドが、
ii)HN(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)−C(O)−R2によって表されることを特徴とする方法。
【請求項8】
Xがハロゲン化物から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モノアミノアミドが、エステルと、ジアミンとを好適な条件下で反応させてモノアミノアミドを製造することにより製造され、
前記エステルが、
i)R2−C(O)−O−R3(式中、R3は、C1〜C6アルキル、アリール、アルキルアリールまたは置換アリールから選択される)によって表され、
前記ジアミンが、
ii)HN(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)Hによって表され、
ることを特徴とする請求項7に記載の方法。

【請求項10】
ポリフルオロスルホンアミドアミンを製造する方法であって、請求項1に記載のポリフルオロスルホンアミドアミド中間体を好適な条件下で脱アシル化に供して、ポリフルオロスルホンアミドアミンを製造することを含み、
該ポリフルオロスルホンアミドアミンが、
f−(CH2n−S(O)2−N(R1)−(CH22−Cm2m−N(R1)Hによって表されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記脱アシル化が、アルコールまたはエーテルまたはその両方を含む水性溶媒にポリフルオロスルホンアミドアミド中間体を溶解させることによる泡発生の減少を含む酸触媒脱アシル化である請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2012−532870(P2012−532870A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519594(P2012−519594)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/040728
【国際公開番号】WO2011/005642
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】