説明

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及び該成形体

【課題】本発明は、発泡粒子相互の融着性に優れ、成形体の表層部と内部との密度差が小さく、従来のものに比べて圧縮強度等の機械的物性に優れ、外観にも優れた低倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の型内成形法において、該発泡粒子が、見かけ密度が100〜720g/Lであると共に、該発泡粒子の融解温度の飽和蒸気により該発泡粒子を耐圧容器内で10秒間加熱した場合の、加熱前後の該発泡粒子の見かけ密度比が1〜1.7となるものであり、該発泡粒子の型内充填時の圧縮率を0〜15%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法及び該成形体に関し、特に従来のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形する成形温度よりも低い成形温度により、発泡粒子成形体の密度分布が均一な高密度の発泡粒子成形体を得ることができるポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法及び該成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂はその機械強度、耐熱性、加工性、焼却性、リサイクル性等に優れた性質を有することから利用分野を拡大しつつある。同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、上記ポリプロピレン系樹脂の優れた性質を失うことなく更に、緩衝性、断熱性、軽量性等の特性を付加できるため、包装材料、建築材料や車輌用衝撃吸収材料等に広く利用されてきており、電子部品の包装用トレー、自動車軽量化部材等については正確な寸法精度、高強度化が求められてきており、低倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の要求が高まることが予想される。高密度の発泡粒子成形体を得るためには、見かけ密度の大きな発泡粒子を型内成形することにより行われるが、見かけ密度の大きな発泡粒子を二次発泡させると共に、発泡粒子表面のみを融解させることなど型内成形時の困難性を伴い、従来技術においては、発泡粒子の見かけ密度のバラツキを抑え、平均気泡数を調整した発泡粒子を使用することにより、発泡粒子の二次発泡性や相互の融着性を改善し、外観および剛性に優れた発泡粒子成形体を製造する方法(特許文献1)が実用化されているに過ぎなかった。
【0003】
しかし、高密度(60g/L以上、特に100g/L以上)のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、該成形体を得るために使用する低倍率の発泡粒子は、高倍率の発泡粒子と比較して、どうしても型内成形時の発泡粒子相互の融着性が悪くなり易く、型内成形時の加熱条件を高くして成形体表面外観が十分になるほど発泡粒子を二次発泡させているにもかかわらず、発泡粒子の成形体内部の融着性が不十分となり易く、該融着性を満足させるために型内への発泡粒子充填時の圧縮率を高くし、加熱媒体である飽和水蒸気の水蒸気圧を更に高くするなどの必要があった。そして、該水蒸気圧が高くなることで、型内成形時の冷却時間が長くなり、生産性が悪くなるといった問題があり、また、得られる発泡粒子成形体は、高い水蒸気圧などの成形条件にて成形しなければならないため、発泡粒子成形体表層部の気泡が潰れ高密度化し、得られた発泡粒子成形体の内部と表層部との密度差が生じ、圧縮物性などの機械的強度が安定しないといった課題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−63556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の特徴である靭性、耐熱性、易リサイクル性などの優れた性質を損なうことなく、低い加熱温度での型内成形により安定して優れた物性を有する低倍率(高密度)のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、発泡粒子相互の融着性に優れ、成形体の表層部と内部との密度差が小さく、従来のものに比べて圧縮強度等の機械的物性に優れ、外観にも優れた低倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従来のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の成形温度よりも低い温度にて、従来のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の有する特性を損なうことなく、発泡粒子相互の融着性に優れ、圧縮強度等の機械的物性に優れる低倍率の発泡粒子成形体を得ることができるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を開発することを目的として、発泡粒子の結晶構造と発泡粒子成形体の機械的物性との関係、発泡粒子の結晶構造と発泡粒子の型内成形時の挙動との関係、型内成形方法等について検討を行ったところ、発泡粒子の型内成形可能な成形温度範囲を低温側に広げることを実現し、型内成形における金型内への発泡粒子の充填時の圧縮率を調整する成形方法を採用することにより、安定して優れた物性を有する低倍率の発泡粒子成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内に充填して加熱成形する発泡粒子型内成形法において、該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が、見かけ密度が100〜720g/Lであると共に、該発泡粒子の融解温度の飽和蒸気により該発泡粒子を耐圧容器内で10秒間加熱した場合の、加熱前後の該発泡粒子の見かけ密度比(ρR)[(加熱前の発泡粒子の見かけ密度〔g/L〕)/(加熱後の発泡粒子の見かけ密度〔g/L〕)]が1〜1.7となるものであり、該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の型内充填時の圧縮率を0〜15%とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
(2)前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が、該発泡粒子を示差走査熱量測定にて2℃/分の昇温速度で常温から200℃まで昇温することにより得られる1回目のDSC曲線において、全吸熱ピーク熱量に対して70〜95%の吸熱ピーク熱量を示し、かつ吸熱ピークの頂点温度が100〜140℃の主吸熱ピークと、該主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークとが現れる結晶構造を有することを特徴とする前記(1)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
(3)前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂のポリプロピレン系樹脂が、融点100〜140℃の低融点ポリプロピレン系樹脂(A)と、該樹脂の融点よりも20℃以上高い融点を有する高融点ポリプロピレン系樹脂(B)との混合物である前記(1)または(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
(4)前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂のうち、低融点ポリプロピレン系樹脂(A)が、プロピレンと、エチレン又は/及び炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体である前記(3)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
(5)前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂のうち、低融点ポリプロピレン系樹脂(A)が、メタロセン系重合触媒を使用して重合されたポリプロピレン系樹脂である前記(3)または(4)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
(6)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内に充填して加熱成形してなる発泡粒子成形体において、該成形体の密度が60〜450g/L、発泡粒子の融着率が50%以上、該成形体の表層部の密度(Ds)〔g/L〕と該成形体の内部の密度(Dc)〔g/L〕との比(Ds/Dc)が1〜2であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体に係る。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法によれば、発泡粒子相互の融着性に優れる低倍率の発泡粒子成形体を、従来技術と比較して低温の型内成形加熱条件にて成形することができるので、型内成形時の加熱後の冷却時間を短縮する事ができ、ひいては型内成形時間の短縮に繋がる。また、型内成形において過剰な水蒸気加熱を行わなくてもすむので、成形機の型締め圧力を低くでき、金型の耐久性を必要以上に高めることなく金型の厚みを薄くでき、成形機や金型の製造コストや耐久性の面でのメリットも大きく、従来の型内成形に比べて大幅なエネルギーコストの削減が可能である。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、低倍率のものでありながら発泡粒子成形体の表層部と内部との密度差が、従来のものよりも小さいものであり、その画期的な特徴により発泡粒子成形体の圧縮強度が向上する効果を奏する。更に、本発明の発泡粒子成形体は発泡粒子相互の融着性に優れていることにより該成形体の機械的物性においても優れたものである。また、本発明の発泡粒子成形体はその表面において、ベント孔跡や発泡粒子間のボイドと呼ばれる間隙が小さく、平滑性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の発泡粒子成形体の製造方法は、低倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体でありながら発泡粒子相互の融着性に優れ、成形体の表層部と内部との密度差が小さく、機械的物性、外観にも優れるものが得られものであって、低倍率の発泡粒子成形体を得る型内成形に使用する低倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子において、該発泡粒子の融解温度の飽和蒸気により該発泡粒子を耐圧容器内で10秒間加熱した場合の、加熱前後の該発泡粒子の見かけ密度比(ρR)[(加熱前の発泡粒子の見かけ密度〔g/L〕)/(加熱後の発泡粒子の見かけ密度〔g/L〕)]が1〜1.7となるものを用いることを第1の特徴とするものである。
型内成形に使用される発泡粒子としては、発泡粒子を加熱することにより、先ず発泡粒子が相互に融着し得る状態になり、次いで発泡粒子が二次発泡し得る状態となる性質を有するもの(以下、この性質を有する発泡粒子を融着先行型発泡粒子という。)と、発泡粒子を加熱することにより、先ず発泡粒子が二次発泡し得る状態となり、次いで発泡粒子が相互に融着し得る状態となる性質を有するもの(以下、この性質を有する発泡粒子を二次発泡先行型発泡粒子という。)とがあり、発泡粒子の低い加熱温度での型内成形においては特に、二次発泡先行型発泡粒子よりも融着先行型発泡粒子の方がより好ましいものであるという知見を得た。
【0010】
上記のように融着先行型発泡粒子の方が二次発泡先行型発泡粒子よりも好ましいものである理由は、二次発泡先行型発泡粒子の場合には、型内成形時の加熱工程において発泡粒子の二次発泡により型内に充填された発泡粒子間隙が埋まり易く、発泡粒子間の間隙への水蒸気の流入、通過を阻害し、その結果、発泡粒子相互の融着を阻害する要因となるのに対し、融着先行型発泡粒子は二次発泡先行型発泡粒子にみられる上記のような阻害要因が起こり難いことによる。但し、融着先行型発泡粒子であっても発泡粒子の相互融着温度よりも二次発泡温度が際立って高い場合には、外観良好な発泡粒子成形体を得るために、型内成形時の加熱温度を上げざるを得ない場合もあるため発泡粒子の融着し得る状態となる温度と二次発泡し得る状態となる温度とが大きく異ならないことが好ましい。
本発明の製造方法における上記の発泡粒子の融解温度の飽和蒸気により該発泡粒子を耐圧容器内で10秒間加熱した場合の、加熱前後の該発泡粒子の見かけ密度比(ρR)が1〜1.7であるという構成は、該製造方法にて使用される発泡粒子が融着先行型発泡粒子であることを意味している。融着先行型発泡粒子の中でも適度の二次発泡力を有するものが好ましいことから、上記見かけ密度比(ρR)は1.1〜1.6、更に1.2〜1.5であることが好ましい。
【0011】
なお、本発明において発泡粒子の融解温度は、熱流束示差走査熱量測定装置によりJIS K7121(1987)の「一定の熱処理を行ったのち、融解温度を測定する場合」に記載される方法にて測定される値である。具体的には、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子1〜3mgを試料として熱流束示差走査熱量測定法により、10℃/分の昇温速度で常温から200℃まで昇温した後に、10℃/分の速度で30℃まで降温し、再度10℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで昇温した際に得られるDSC曲線より定まる吸熱ピークの頂点温度のことである。なお、DSC曲線に複数の吸熱ピークがある場合には、最大面積の吸熱ピークの頂点温度を採用する。
また、上記見かけ密度比(ρR)の測定手順は、以下の通りである。
5Lのオートクレーブ中に嵩体積で約100cmの見かけ密度が既知の発泡粒子(加熱前の発泡粒子)を入れ、発泡粒子の融解温度の飽和蒸気により該発泡粒子を密閉したオートクレーブ内で10秒間加熱することにより加熱後の発泡粒子を得る。
【0012】
また、加熱前の発泡粒子の見かけ密度は、発泡粒子を常圧下の温度23℃、湿度50%の条件にて48時間以上放置して状態調整を行った後に、重量:W(g)の該発泡粒子群を水の入ったメスシリンダー内に金網などを使用して沈めることにより、水位上昇分から求められる該発泡粒子群の体積:V(L)を求め、該発泡粒子群の重量を該発泡粒子群の体積にて除する(W/V)ことにより求められる値である。
また、加熱後の発泡粒子の見かけ密度は、上記耐圧容器内での10秒間加熱により得られた発泡粒子を常圧下の温度23℃、湿度50%の条件にて48時間以上放置して状態調整を行った後に、重量:W(g)の該発泡粒子群を水の入ったメスシリンダー内に金網などを使用して沈めることにより、水位上昇分から求められる該発泡粒子群の体積:V(L)を求め、該発泡粒子群の重量を該発泡粒子群の体積にて除する(W/V)ことにより求められる値である。
【0013】
本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂は、本発明の構成要件を満足するものであれば、プロピレン単独重合体、プロピレン系ブロック共重合体またはプロピレン系ランダム共重合体を問わずに使用可能である。なお、上記プロピレン系共重合体としては、プロピレンと、エチレン又は/及び炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなり、プロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ブテンなどとの共重合体が例示される。上記プロピレン系共重合体は、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体等の2元共重合体であっても、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等の3元共重合体であっても良い。なお、ポリプロピレン系共重合体は、該共重合体中のプロピレンに由来する構造単位が70重量%以上、更に80〜99.5重量%含有し、エチレン又は/及び炭素数4〜20のα−オレフィンから得られる構造単位が、30重量%以下、好ましくは0.5〜20重量%含有するポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
【0014】
本発明において使用される発泡粒子は、上記見かけ密度比(ρR)の条件を満足することにより従来のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の型内成形温度に比べて低い成形温度での型内成形が可能であると共に、発泡粒子成形体の外観、発泡粒子相互の融着性等において優れた発泡粒子成形体が安定して得られるものである。
本発明における上記見かけ密度比(ρR)の条件を満足するポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、例えば、発泡粒子の結晶構造を調整する方法、発泡粒子の独立気泡率、気泡径、表皮層厚みを調整する方法等により得ることができる。
中でも上記見かけ密度比(ρR)の条件を満足するポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る上で好ましい方法である発泡粒子の結晶構造を調整する方法について以下に詳述する。
【0015】
密度比(ρR)の条件を満足するポリプロピレン系樹脂発泡粒子としては、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を熱流束示差走査熱量測定によって2℃/分の昇温速度で、常温から200℃まで昇温したときに得られる1回目のDSC曲線において、全吸熱ピーク熱量に対して70〜95%の吸熱ピーク熱量を示し、かつ吸熱ピークの頂点温度が100〜140℃の主吸熱ピークと、該主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークが現れる結晶構造を有することが好ましい。
上記2℃/分の昇温速度での1回目のDSC曲線において、吸熱ピークの頂点温度が100〜140℃の主吸熱ピークが現れることにより、該主吸熱ピークの頂点温度は、発泡粒子の基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂の樹脂融点に近い温度を示すことから、低融点のポリプロピレン系樹脂からなる無架橋ポリプロピレン系樹脂発泡粒子であると言うことができる。しかし、該発泡粒子は単に低融点のポリプロピレン系樹脂からなる発泡粒子ではなく、型内成形時の加熱温度引き下げ効果や、型内成形により得られる発泡粒子成形体の外観、発泡粒子相互の融着性等の成形安定性を兼備する為の構成として、発泡粒子の1回目のDSC曲線において、該主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークが現れる結晶構造を示す。この場合に、二次発泡先行型発泡粒子であった従来の低融点のポリプロピレン系樹脂からなる発泡粒子が、融着先行型発泡粒子となり、型内成形時の加熱温度の引き下げ効果や成形安定性において優れたものになると考えられる。従って、本発明において使用される発泡粒子において上記主吸熱ピークの構成と併せて、該主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークが現れる結晶構造を示すことが好ましい。
【0016】
本発明において好ましく使用されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、上記の通りの熱流束示差走査熱量測定により確認できる特定の結晶構造を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子である。具体的には、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の熱流束示差走査熱量測定によって、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子1〜3mgを熱流束示差走査熱量測定装置により2℃/分の昇温速度で常温(概ね25℃)から200℃まで加熱したときに得られる1回目のDSC曲線おいて、3つ以上の吸熱ピークが現れ、全ての吸熱ピークの合計熱量に対して70〜95%の吸熱ピーク熱量を示すと共に、該吸熱ピークの頂点温度が100〜140℃である主吸熱ピークが現れ、該主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークが現れる結晶構造を有する発泡粒子である。なお、前記発泡粒子の示差走査熱量測定において2℃/分の昇温速度を採用する理由は、発泡粒子特有の結晶構造の有無、すなわち、発泡粒子が、1回目のDSC曲線おいて、3つ以上の吸熱ピークが現れる特定の結晶構造を有するものであるか否かを見極めるために、熱流束示差走査熱量測定の加熱速度条件を通常よりも遅くして異種結晶に基づく吸熱ピークの分解能を向上させて測定を行う必要があり、その為に好適な昇温速度が2℃/分であることによる。
【0017】
本発明において好ましく使用されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子1〜3mgを、熱流束示差走査熱量測定装置により2℃/分の昇温速度で常温から200℃まで加熱したときに得られる代表的な1回目のDSC曲線の説明図を図1に示す。図1におけるDSC曲線において、a、a、aはそれぞれ吸熱ピークを示す。なお、上記1回目のDSC曲線の全吸熱ピーク熱量(△H)は、次のように求められる。
図1に示すように、前記DSC曲線上の80℃に対応する点αと、樹脂の融解終了温度Teに対応するDSC曲線上の点βとを結ぶ直線(α−β)を引きそれをベースラインとし、該ベースラインとDSC曲線にて囲まれる部分の面積に相当する熱量を全吸熱ピーク熱量(△H)J/gとする。上記ピークの熱量は、ピークの面積に基づいて熱流束示差走査熱量測定装置によって演算されて自動的に算出される。なお、本発明における全吸熱ピーク熱量(△H)は、40〜120J/gの範囲にあることが好ましく、さらに45〜100J/gの範囲にあることが好ましく、特に45〜85J/gの範囲にあることが好ましい。
【0018】
本発明にて好ましく使用される発泡粒子は、図1に示すように、1回目のDSC曲線上に3以上の吸熱ピークが現れるものであり、各吸熱ピークの熱量(△Ha、△Hb、△Hc・・・)は、以下に説明する部分面積解析法により求めることができる。
図1に基づいて部分面積解析法を説明する。得られたDSC曲線上において80℃に対応するDSC曲線上の点αと、樹脂の融解終了温度Teに対応するDSC曲線上の点βとを結ぶ線分(α−β)を引く。次に最も温度が低い低温部に観察されるピークaと、ピークaに隣接するピークaとの間の谷部にあたるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、前記線分(α−β)と交わる点をδとする。更にピークaに隣接するピークaが観察されるので、ピークaとピークaに隣接するピークaとの間の谷部にあたるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、上記線分(α−β)と交わる点をδとする。以降、ピークa、ピークa、ピークa・・・が観察される場合は同様の操作を繰り返す。上記操作により、得られる線分(δn−γn)(nは1以上の整数)が、吸熱ピークの面積を定める際の各ピーク境界線となる。
【0019】
そこで、吸熱ピークの熱量に対応する各ピークの面積は、図1においては、ピークaにおいては、ピークaを示すDSC曲線と、線分(δ−γ)と、線分(α−δ)とによって囲まれる面積であり、ピークaにおいては、ピークaを示すDSC曲線と、線分(δ−γ)と、線分(δ−γ)と、線分(δ−δ)とによって囲まれる面積であり、ピークaにおいては、ピークaを示すDSC曲線と、線分(δ−γ)と、線分(δ−β)とによって囲まれる面積として定められる。以降、ピークa、ピークa、ピークa・・・が観察される場合も同じ要領でピークの面積を定めることができる。そこで、各ピークの熱量(△Ha、△Hb、△Hc・・・)J/gは、上記のように定められた各ピークの面積に基づいて熱流束示差走査熱量測定装置によって演算されて自動的に算出される。また、図1において全吸熱ピーク熱量(△H)は、各吸熱ピークの熱量の合計(△H=△Ha+△Hb+△Hc)に相当する。
【0020】
なお、上記測定方法において、ベースラインである線分(α−β)を引くために、DSC曲線上の点αを温度80℃に対応する点とした理由は、80℃に対応する点を始点とし、融解終了温度に対応する点を終点としたベースラインが、吸熱ピークの熱量を再現性良く安定して求める上で好適であることによる。
本発明において好ましく使用されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、前記1回目のDSC曲線において、頂点温度(PTmA)が100〜140℃を示し、且つ吸熱ピーク熱量が全吸熱ピーク熱量(△H)の70〜95%である主吸熱ピークが現れる結晶構造を有するものである。従って、図1におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC曲線においては、吸熱ピークaが主吸熱ピークを示している。更に、該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、1回目のDSC曲線において、該主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークが現れる結晶構造を有するものである。従って、図1におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC曲線においては、吸熱ピークa、aが主吸熱ピークaよりも高温側に存在する2つの吸熱ピークa、aを示している。
【0021】
本発明にて好ましく使用される発泡粒子おいて、頂点温度(PTmA)が100〜140℃を示し、且つ吸熱ピーク熱量が全吸熱ピーク熱量(△H)の70〜95%であるとは、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の前記1回目のDSC曲線に現れる3つ以上の吸熱ピークのうちで頂点温度(PTmA)が100〜140℃を示すいずれかの吸熱ピークにおいて、全吸熱ピーク熱量(△H)に対する吸熱ピーク熱量の百分率(例えば図1においては、(△Ha/△H)×100)が70〜95%であることを意味する。
上記の頂点温度及び吸熱ピーク熱量の条件を満足する主吸熱ピークの存在により、発泡粒子の型内成形時の成形温度を十分低くすることができると共に、主吸熱ピークの高温側に現れる2つ以上の吸熱ピークの存在と相俟って、得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体本来の機械的強度、耐熱性などの物性の低下を防ぐことができる。なお、該主吸熱ピークの吸熱ピーク頂点温度(PTmA)は、105〜135℃、さらには110℃以上、125℃未満であることが耐熱性の観点と型内成形時の成形温度を更に低くする観点とから好ましい。
【0022】
また、本発明にて好ましく使用される発泡粒子おいて該主吸熱ピークの吸熱ピーク熱量は全吸熱ピーク熱量(△H)の80〜95%、更に85〜92%であることが得られる発泡粒子成形体の機械的強度、耐熱性などの物性向上と発泡粒子の低温での型内成形性とのバランスの観点から好ましい。
該主吸熱ピークの高温側に現れる2以上の吸熱ピークは、複数のポリプロピレン系樹脂の混合を駆使することや、重合触媒と重合条件を駆使することにより得ることもできるが、複数のポリプロピレン系樹脂の混合に加えて、後述する等温結晶化操作(発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂の樹脂融点近辺の温度で所定時間保持しポリプロピレン系樹脂を再結晶化させる操作)を行うことにより確実に、且つ容易に形成することができる。なお、主吸熱ピークの高温側に現れる2以上の吸熱ピークが、複数のポリプロピレン系樹脂の混合と等温結晶化操作とにより、発泡粒子に形成される結晶構造である場合、該2以上の吸熱ピークはポリプロピレン系樹脂混合物の内、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の主吸熱ピークを形成しているプロピレン系樹脂成分に由来する吸熱ピークと、その他のプロピレン系樹脂成分による吸熱ピークとに別けられる。
【0023】
該2以上の吸熱ピークのうち、上記主吸熱ピークを形成しているプロピレン系樹脂成分に由来する吸熱ピークは発泡粒子を製造する工程において、主吸熱ピークを形成しているプロピレン系樹脂の等温結晶化操作により形成し得るものである。なお、主吸熱ピークの高温側に現れる2以上の吸熱ピークが、ポリプロピレン系樹脂中の主吸熱ピークを形成しているプロピレン系樹脂成分に由来する吸熱ピーク(以下、高温ピークともいう。)と、その他のプロピレン系樹脂成分による吸熱ピークからなることは、以下のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の熱流束示差走査熱量測定方法により確認することができる。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子1〜3mgを熱流束示差走査熱量測定装置により2℃/分の昇温速度で常温(概ね25℃)から200℃まで加熱し1回目のDSC曲線を得る。続いて、該200℃の温度到達後直ちに10℃/分の冷却速度で200℃から25℃まで冷却し、再度、該25℃の温度到達後直ちに2℃/分の昇温速度で25℃から200℃まで加熱し2回目のDSC曲線を得る。
【0024】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子のうち、主吸熱ピークの高温側に現れる2以上の吸熱ピークが複数のポリプロピレン系樹脂の混合と等温結晶化操作とにより形成されたものの場合は、上記の方法により得られた1回目のDSC曲線には、主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークが現れるが、上記の方法により得られた2回目のDSC曲線では、主吸熱ピークの高温側に存在している吸熱ピークの数が減少する(但し、主吸熱ピークの高温側の吸熱ピークは1以上存在している)。そして、上記1回目のDSC曲線と上記2回目のDSC曲線との比較により、1回目のDSC曲線において現れていた主吸熱ピークより高温側に存在する2以上の吸熱ピークの内、少なくとも一つの吸熱ピークが2回目のDSC曲線において消滅していることが確認できる。この比較により、消滅した吸熱ピークが主吸熱ピークを形成しているプロピレン系樹脂成分に由来する吸熱ピークということになり、主吸熱ピークより高温側に残存する吸熱ピークがその他のプロピレン系樹脂成分による吸熱ピークということになる。例えば、図1における本発明にて使用される発泡粒子の1回目のDSC曲線には、主吸熱ピークaの高温側に2つの吸熱ピークa、aが現れている。そして、図2における該発泡粒子の2回目のDSC曲線では、主吸熱ピークの高温側に1つの吸熱ピークaのみが現れ、吸熱ピークaが消滅している。この場合、消滅した吸熱ピークaが主吸熱ピークを形成しているプロピレン系樹脂成分に由来する吸熱ピークということになり、吸熱ピークaがその他のプロピレン系樹脂成分による吸熱ピークということになる。
【0025】
なお、本発明における該示差走査熱量測定にて2回目のDSC曲線を得る際の、200℃から25℃への冷却速度を10℃/分とする理由と2回目のDSC曲線を得る際の25℃から200℃への昇温速度を2℃/分とする理由は、1回目のDSC曲線を得る際の昇温速度を2℃/分とする理由と同様に異種結晶に基づく吸熱ピークの分解能を向上させて測定を行うためと、1回目のDSC曲線と2回目のDSC曲線とを対比するために測定条件をそろえる必要からと、冷却速度が遅すぎる場合は好ましくないことからである。
前記の1回目のDSC曲線で表される熱的特性を示す結晶構造を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、低い加熱蒸気圧での成形が可能であり、該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子から得られる成形体は、これまでのポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体に比べ遜色のない機械的物性を有する発泡粒子成形体を得る上で特に好ましいものである。
【0026】
また、本発明にて好ましく使用されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の前記1回目のDSC曲線における、主吸熱ピークより高温側に存在する2以上の吸熱ピークのうち、高温ピークの吸熱ピーク熱量は、2〜15J/gの範囲にあることが好ましく、さらに3〜12J/gであることがより好ましい。該吸熱ピーク熱量を上記の範囲内に調整することにより、発泡粒子の型内成形時の加熱温度条件を低くして、寸法安定性や機械的物性の優れる発泡粒子成形体を得る上で、より優れた発泡粒子となる。
また、等温結晶化操作による方法以外に、等温結晶化操作は行わずに融点の異なる複数のポリプロピレン系樹脂を混合する方法などによって、主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークを有する結晶構造の発泡粒子を得た場合であっても、主吸熱ピークの高温側に現れる2以上の吸熱ピークのうち、最も低温側の吸熱ピークの吸熱ピーク熱量が、2〜15J/g、さらに3〜12J/gの範囲となるように、融点の異なる複数のポリプロピレン系樹脂の混合比を変えて調整することが、高温ピークの熱量の調整と同様の理由により好ましい。主吸熱ピークの高温側に現れる2以上の吸熱ピークのうち、高温ピークの吸熱ピーク熱量を上記範囲内に調整する方法としては、後述する発泡粒子製造時の等温結晶化操作による調整方法が、安定した機械的物性の発泡粒子成形体を得る上で好ましい。
【0027】
なお、本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡粒子の図1の1回目のDSC曲線(2℃/分の昇温速度による熱流束示差走査熱量測定法により得られる1回目のDSC曲線)における主吸熱ピークの頂点温度(PTmA)と該発泡粒子の図2の2回目のDSC曲線(2℃/分の昇温速度による熱流束示差走査熱量測定法により得られる2回目のDSC曲線)における吸熱ピークの頂点温度(TmA)とは近似する。
本発明に使用されるポリプロピレン系樹脂は、本発明の構成要件を満足するものであれば特に限定されるものではないが、メタロセン系重合触媒を使用して重合されたポリプロピレン系樹脂を使用することが、上記特定の結晶構造を有する発泡粒子を得ることが容易となる理由から好ましい。
【0028】
また、本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂は、複数のポリプロピレン系樹脂を混合して調製することが前記結晶構造のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る上で好ましい。更に、混合される複数のポリプロピレン系樹脂は、融点温度差が20℃以上、好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、低融点のポリプロピレン系樹脂と高融点のポリプロピレン系樹脂とからなる少なくとも2種類の樹脂を含むことが好ましい。融点温度差を上記範囲内とすることにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子における特定の結晶構造のうち、前記発泡粒子の前記1回目のDSC曲線上において主吸熱ピークより高温側に2つ以上の吸熱ピークを示す結晶構造となるように発泡粒子を調整することが容易となる。また、特に低融点のポリプロピレン系樹脂としてメタロセン系重合触媒を使用して重合されたものを選択して、高融点のポリプロピレン系樹脂と混合することにより、混合樹脂の低融点のポリプロピレン系樹脂成分の融点が、混合に使用する該低融点のポリプロピレン系樹脂の融点に比べて低温側に、例えば5℃前後、シフトすることから、該混合樹脂から得られる発泡粒子は型内成形時の加熱温度を更に低くすることができる。
【0029】
本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂は、融点が100〜140℃である低融点ポリプロピレン系樹脂(以下、低融点ポリプロピレン系樹脂(A)という。)と、前記低融点ポリプロピレン系樹脂(A)のポリプロピレン系樹脂の融点より20℃以上、好ましくは25℃以上、さらに30℃超の高い融点を有するポリプロピレン系樹脂(以下、高融点ポリプロピレン系樹脂(B)という。)との混合物からなることが好ましい。
なお、この場合のポリプロピレン系樹脂の樹脂融点は、前述のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の融解温度の測定方法と同様にして求められる値である。
前記低融点ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレンとエチレン又は/及び炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体であることが、融点が100〜140℃のものを得る上で好ましく、延いては、得られる発泡粒子の前記1回目のDSC曲線上において頂点温度100〜140℃の主吸熱ピークを得る上で好ましい。また、前記低融点ポリプロピレン系樹脂(A)は、融点が100〜140℃、好ましくは105〜135℃、更に好ましくは105〜130℃、特に好ましくは110〜125℃のものであることにより、該樹脂を含有する混合樹脂から得られる発泡粒子の型内成形時の良好な発泡粒子成形体が得られる加熱温度を低くすることができる点で好ましく、得られる発泡粒子成形体の耐熱性も確保できる。
【0030】
前記のように低融点ポリプロピレン系樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂ランダム共重合体からなる場合、プロピレンと共重合されるコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ブテンなどが例示される。従って、低融点ポリプロピレン系樹脂(A)としては、具体的にプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン1ランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体等が挙げられる。また、低融点ポリプロピレン系樹脂(A)中のエチレン単位成分又は/及び炭素数4〜20のα−オレフィン単位成分は、融点および強度の観点から0.01〜8重量%、更に0.05〜5重量%であることが好ましい。
低融点ポリプロピレン系樹脂(A)としては、例えば、所謂メタロセン系重合触媒を使用しプロピレンとコモノマーとを共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン1ランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体が更に好ましい。また、メタロセン系重合触媒を使用して得られる低融点ポリプロピレン系樹脂(A)は、高融点ポリプロピレン系樹脂(B)との相溶性に優れており前記のポリプロピレン系樹脂発泡粒子特有の結晶構造を形成し易いことから特に好ましいものとして挙げられる。
【0031】
上記の低融点ポリプロピレン系樹脂(A)に混合される高融点ポリプロピレン系樹脂(B)としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと、エチレン又は/及び炭素数4〜20のα−オレフィンとのブロック共重合体、コモノマーの含有量が少ないプロピレンと、エチレン又は/及び炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が例示される。
なお、本発明において発泡粒子の基材樹脂の構成として好ましく例示される低融点ポリプロピレン系樹脂(A)と高融点ポリプロピレン系樹脂(B)の混合物において、例えば、両者の混合比率を、重量比で、低融点ポリプロピレン系樹脂(A):高融点ポリプロピレン系樹脂(B)=98:2〜90:10、好ましくは95:5〜92:8に調整することが好ましい。このことにより、前記主吸熱ピークの全吸熱ピーク熱量に対する割合を70〜95%に容易に調整することができる。
【0032】
また、本発明にて使用される発泡粒子の基材樹脂のメルトフローレイト(MFR)は5〜60g/10分、更に10〜40g/10分であることが好ましい。基材樹脂が上記の低融点ポリプロピレン系樹脂(A)と高融点ポリプロピレン系樹脂(B)を含むもので構成されている場合、低融点ポリプロピレン系樹脂(A)はMFRが1〜100g/10分、更に2〜50g/10分のもの、高融点ポリプロピレン系樹脂(B)はMFRが0.1〜50g/10分、更に0.2〜20g/10分のものであることが好ましい。なお、MFRはJIS K7210(1999)の試験条件M(温度230℃、荷重2.16kg)で測定される値である。
本発明における発泡粒子を構成する基材樹脂として好ましく例示される前記のポリプロピレン系樹脂の混合物からなるものは、前記した融点温度差を有する少なくとも2種の樹脂を混練機により混合して得られるが、両者の混合は充分均一になるように混合することが重要である。混合が不十分である場合には、前記した結晶構造、特に1回目のDSC曲線上において主吸熱ピークの高温側に2つ以上の吸熱ピークを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることが難しくなる。上記の混合は、通常両者の樹脂が溶融する温度に加熱して二軸混練機等の混練性の高い押出機で混練することや、例えば特開2006-69143号公報に記載されるように飢餓的成形方法を採用して押出機にて混練することが好ましい。前記混練後、混練物を押出機から紐状に押出し、これを適宜の長さに切断して、発泡粒子を製造するのに適した大きさの樹脂粒子に造粒される。
【0033】
本発明にて使用される発泡粒子の1個当たりの平均重量は、通常0.01〜10.0mgであり、特に0.1〜5.0mgであることが好ましく、この平均重量の調整は、発泡粒子を得るための樹脂粒子を得るペレタイズ工程により調整できる。
本発明にて使用される発泡粒子の基材樹脂を構成するポリプロピレン系樹脂には、本発明の作用効果を損なわない範囲内で他のポリマー成分や添加剤を前記ペレタイズ工程などにおいて含有させることができる。
前記の他のポリマー成分としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのポリエチレン系樹脂、或いはポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレン系樹脂、エチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロピレン−1−ブテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴムなどのゴム、スチレン−ジエンブロック共重合体やスチレン−ジエンブロック共重合体の水添物などの熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの樹脂、ゴム、或いはエラストマーは2種以上を組合せて用いることもできる。上記他のポリマー成分をポリプロピレン系樹脂に配合する場合、これら他のポリマー成分の含有量は合計で、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して10重量部以下となるように調整することが好ましい。
【0034】
前記の添加剤としては、気泡調整剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料、結晶核剤、或いは無機充填材等の各種の添加剤が挙げられ、これらを所望に応じて発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂に含有させることができる。これらの各種添加剤の含有量はその添加目的により異なるが、基材樹脂100重量部に対して好ましくは25重量部以下、より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは8重量部以下であり、5重量部以下が最も好ましい。
また、発泡粒子を構成する基材樹脂は、リサイクル性、発泡粒子生産性などの観点から、無架橋ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
本発明にて使用される発泡粒子の製造には、例えば前記の方法等により造粒して得られるプロピレン系樹脂粒子と発泡剤とを密閉容器内で水等の分散媒体に分散させ、撹拌下に加熱して樹脂粒子を軟化させるとともに樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、樹脂粒子の軟化温度以上の温度で容器内より低圧域(通常は大気圧域)に樹脂粒子を放出して発泡させる、特公昭49−2183号公報、特公昭56−1344号公報、特公昭62−61227号公報などに記載の公知の発泡方法を適用することができる。また、発泡粒子を得るために密閉容器内の内容物を密閉容器から低圧域に放出する際には、使用した発泡剤あるいは窒素、空気等の無機ガスで密閉容器内に背圧をかけて該容器内の圧力が急激に低下しないようにして、内容物を放出することが、得られる発泡粒子の見かけ密度の均一化の観点から好ましい。発泡粒子製造に際して樹脂粒子を分散させる分散媒体としては、上記した水に限らず、樹脂粒子を溶解しない媒体であれば使用することができる。水以外の分散媒体としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、通常は水を用いる。
【0035】
上記の方法において、分散媒体中には、必要に応じて、樹脂粒子が分散媒体中に均一に分散するように、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリンなどの難水溶性無機物質等の分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤等の分散助剤を分散させることが好ましい。発泡粒子を製造する際に分散媒体中に添加される分散剤の量は、樹脂粒子の重量と分散剤の重量との比率(樹脂粒子の重量/分散剤の重量)を20〜2000、更に30〜1000とすることが好ましい。また、分散剤の重量と分散助剤の重量との比率(分散剤の重量/分散助剤の重量)を1〜500、更に5〜100とすることが好ましい。
【0036】
本発明にて使用される発泡粒子の平均気泡径は、通常30〜500μmであり、50〜350μmであることが好ましい。上記範囲内の平均気泡径を有する発泡粒子は、気泡膜の強度の関係から、後述する発泡粒子の型内成形時に発泡粒子を構成する気泡が破泡する虞がなく良好な発泡性を示す。
前記発泡粒子の平均気泡径は、発泡粒子を略2等分に切断した気泡断面を顕微鏡にて撮影した拡大写真に基づき、以下の操作により求めることができる。上記気泡断面の拡大写真において、発泡粒子の表面から他方の表面に亘り、且つ気泡断面の中心部を通過する直線を4本、中心部から発泡粒子表面に向かう8方向に放射状に引く。続いて、前記4本の直線と交わる気泡の数の総数:N(個)を求める。そして、前記4本の各直線における発泡粒子の表面から他方の表面までの線分の長さの総和:L(μm)を気泡の数の総数:N(個)にて除する(L/N)ことにより求められる値を発泡粒子の平均気泡径とする。
【0037】
また、前記平均気泡径は、基材樹脂の高MFR化、発泡温度の上昇、発泡剤の減量、及び気泡調整剤の減量などにより大きくなるため、これらの平均気泡径変動要因を適宜調整することにより目的の平均気泡径を有する発泡粒子を得ることができる。
なお、前述した発泡粒子の平均気泡径の調整方法としては、主として、タルク、水酸化アルミニウム、シリカ、ゼオライト、硼砂等の無機物を気泡調節剤として基材樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部の割合で、発泡粒子を得るための樹脂粒子の製造時に基材樹脂に配合することにより行われるが、上記発泡粒子製造時の発泡温度や発泡剤の種類及び使用量等でも該平均気泡径が変化するため、目的の平均気泡径を有するものを得るには予備実験をして条件を設定する必要がある。
【0038】
本発明において使用されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、通常、100g/L以上720g/L以下の見かけ密度を有する。本発明の該発泡粒子の見かけ密度の上限は、得られる発泡成形体の軽量性、緩衝性等の基本特性向上の観点から決定され、500g/Lが好ましく、300g/Lがより好ましい。一方、発泡粒子の見かけ密度があまりにも低くなりすぎると本発明が目的とする発泡成形体を得ることが難しくなることから、見かけ密度の下限は120g/Lとすることが好ましく、150g/Lとすることがより好ましい。
なお、上記発泡粒子の見かけ密度は、水の入ったメスシリンダー内に、重量:W(g)の発泡粒子群を、金網などを使用して沈めることにより、水位上昇分から求められる該発泡粒子群の体積:V(L)を求め、該発泡粒子群の重量を該発泡粒子群の体積にて除する(W/V)ことにより求められる値である。
【0039】
本発明において前記の高温ピークを有する発泡粒子は、前記公知の発泡方法において樹脂粒子を密閉容器内で分散媒体に分散させて加熱する際に、樹脂粒子の融解終了温度(以下、Teともいう。)以上に昇温することなく、樹脂粒子の融点(以下、Tmともいう。)よりも15℃低い温度以上、Te未満の範囲内の任意の温度Taで加熱を止め、その温度Taで充分な時間、好ましくは10〜60分程度保持し、その後、(Tm−5℃)〜(Te+5℃)の範囲の任意の温度Tbに調節し、その温度で樹脂粒子を容器内から低圧域に放出して発泡させる方法により、適切に得ることができる。なお、高温ピークを形成するための上記(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での保持としては、該温度範囲内にて多段階に設定してもよいし、また、該温度範囲内で十分な時間をかけてゆっくりと昇温してもよい。
【0040】
発泡粒子の上記高温ピークの形成、および高温ピークの熱量の大小は、主として、発泡粒子を製造する際の樹脂粒子に対する上記温度Taと該温度Taにおける保持時間、及び上記温度Tb、並びに(Tm−15℃)〜(Te+5℃)の範囲内での昇温速度に依存する。発泡粒子の上記高温ピークの熱量は、温度Ta又はTbが上記各々の温度範囲内において低い程、(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での保持時間が長い程、そして(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での昇温速度が遅い程、大きくなる傾向を示す。なお、上記昇温速度は通常0.5〜5℃/分の範囲内で選択される。一方、発泡粒子の上記高温ピークの熱量は、温度Ta又はTbが上記各々の温度範囲内において高い程、(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での保持時間が短い程、そして(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での昇温速度が速い程、Te〜(Te+5℃)の範囲内での昇温速度が遅い程、小さくなる傾向を示す。これらの点を考慮して予備実験を繰り返せば、所望の高温ピーク熱量を示す発泡粒子の製造条件を知ることができる。なお、上述した高温ピークの形成に係る温度範囲は、発泡剤として無機系物理発泡剤を使用した場合の適切な温度範囲である。従って、発泡剤が有機系物理発泡剤に変更された場合には、その種類や使用量に応じてその適切な温度範囲は上記温度範囲よりもそれぞれ低温側に0〜30℃程度シフトする。
【0041】
上記方法において用いる発泡剤としては、有機系物理発泡剤や無機系物理発泡剤、或いはこれらの混合物等を用いることができる。有機系物理発泡剤としてはプロパン、ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられ、これらは2種以上を混合して用いることができる。また、無機系物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気、水等が挙げられ、これらは2種以上を混合して用いることができる。有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤とを混合して用いる場合、上記した有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤より任意に選択したものを組み合わせて用いることができる。なお、無機系物理発泡剤と有機系物理発泡剤とを併用する場合には無機系物理発泡剤が少なくとも30重量%以上含有することが好ましい。
【0042】
上記発泡剤のうち、特に環境への配慮の点から、無機系物理発泡剤が好ましく、中でも窒素、空気、二酸化炭素、水が好ましい。なお、発泡粒子を得る際に密閉容器内に樹脂粒子と共に分散媒として水を使用する場合には、該樹脂粒子に吸水性樹脂などを混練したものを使用することにより分散媒である水を効率的に発泡剤として使用することができる。
発泡剤の使用量は、目的とする発泡粒子の見かけ密度、基材樹脂の種類、または発泡剤の種類等を考慮して決定する。通常、物理発泡剤を、密閉容器内空間部分の圧力が0.05〜10MPa(G)、更に1〜8MPa(G)となるように容器内に供給することが好ましい。
前記した方法によって発泡剤を含有する軟化状態の樹脂粒子を密閉容器から低圧域に放出されることにより得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、該放出後に通常行われる大気圧域での養生工程を経て成形用のポリプロピレン系樹脂発泡粒子となる。
【0043】
本発明の発泡粒子成形体は、必要に応じて、前記した方法により得られた成形用のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を加圧用の密閉容器に入れ、空気などの加圧気体により密閉容器内の圧力が0.01〜1MPa(G)となるように調整して加圧処理して発泡粒子内の圧力を高める操作を行い発泡粒子内の圧力を0.01〜0.2MPa(G)に調整した後、加熱及び冷却が可能であって、且つ開閉し密閉できる従来公知の熱可塑性樹脂発泡粒子型内成形用の金型のキャビティー内に充填し、次いで金型内に飽和蒸気圧が0.05〜0.30MPa(G)、好ましくは0.08〜0.25MPa(G)の水蒸気を供給することにより発泡粒子を加熱して、発泡粒子同士を膨張、融着させ、次いで得られた発泡粒子成形体を冷却して、キャビティー内から取り出すバッチ式型内成形法(例えば、特公平4−46217号公報、特公平6−49795号公報等に記載される成形方法)を採用して製造することができる。また、上記型内成形法における水蒸気加熱の方法としては、一方加熱、逆一方加熱、両方向同時加熱などの加熱方法を適宜組み合わせる従来公知の方法を採用できるが、特に、予備加熱、一方加熱、逆一方加熱、両方向同時加熱の順に発泡粒子を加熱する方法が好ましい。なお、発泡粒子成形時の上記0.05〜0.30MPa(G)の飽和蒸気圧は、型内成形工程において、金型内に供給される水蒸気の飽和蒸気圧の最大値である。
【0044】
また、本発明の発泡粒子成形体は、発泡粒子を、必要に応じて発泡粒子内の圧力を0.01〜0.2MPa(G)に調整した後、加熱領域と冷却領域とを有する通路内の上下に沿って連続的に移動するベルトによって形成される型内に連続的に供給し、加熱領域を通過する際に飽和蒸気圧が0.05〜0.30MPa(G)、好ましくは0.08〜0.25MPa(G)の水蒸気を型内に供給して発泡粒子を加熱して、発泡粒子同士を膨張、融着させ、その後冷却領域を通過させて冷却し、次いで得られた発泡粒子成形体を型内から取り出し、適宜長さに順次切断する連続式型内成形法(例えば特開平9−104026号公報、特開平9−104027号公報及び特開平10−180888号公報等に記載される成形方法)により製造することもできる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子による型内成形は、前記水蒸気による加熱により、先ず発泡粒子の表面同士が融着し得る状態となり、次いで発泡粒子自体が軟化して二次発泡し得る状態となることにより、外観と発泡粒子相互の融着性が共に優れる良好な発泡粒子成形体となると同時に、型内成形時に仮に多少の加熱ムラが発生したとしても成形温度範囲が広いことにより良好な発泡粒子成形体となる。
【0045】
なお、密度が高い発泡粒子成形体を得る場合、従来のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の型内成形では、見かけ密度70g/L以上の発泡粒子を製造し、発泡粒子の金型キャビティー内への充填時の圧縮率を20%以上の高い状態にして0.30MPa(G)を超える高い水蒸気圧力での飽和水蒸気加熱にて型内成形する方法でなければ良好な発泡粒子成形体を得ることが難しかったが、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法によれば、そのような方法に拠らずとも、或いは従来ほど発泡粒子内の圧力を高めなくても良好な低倍率の発泡粒子成形体を得ることができる特徴を有する。
したがって、本発明の発泡粒子成形体の製造方法は、該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子型内成形における型内充填時の圧縮率を0〜15%とすることを第2の特徴とするものである。
【0046】
なお、上記の発泡粒子の金型キャビティー内への充填時の圧縮率は、金型キャビティー内容積:MV(L)と金型に充填される発泡粒子の嵩体積:BV(L)から、(BV−MV)/MV×100の計算式にて求められる。また、金型に充填される発泡粒子の嵩体積:BVは、発泡粒子の嵩密度を、空のメスシリンダーへ発泡粒子を入れ、メスシリンダーの目盛りが示す体積(L)にて、該メスシリンダーに入れた発泡粒子の重量(g)を除することにより求め、嵩密度が既知の発泡粒子を金型内に充填し、金型内に充填した該発泡粒子の重量(g)を該発泡粒子の嵩密度にて除することにより算出される。
本発明の発泡粒子成形体は、前記の通り、密度が100〜720g/Lであると共に、該発泡粒子の融解温度の飽和蒸気により該発泡粒子を耐圧容器内で10秒間加熱した場合の、加熱前後の該発泡粒子の見かけ密度比(ρR)[(加熱前の発泡粒子の見かけ密度〔g/L〕)/(加熱後の発泡粒子の見かけ密度〔g/L〕)]が1〜1.7となる発泡粒子を使用して、該発泡粒子を型内へ充填時する際の圧縮率を0〜15%に調整して型内成形時することにより容易に得ることができる。なお、上記圧縮率は、発泡粒子成形体の発泡粒子相互の融着性や外観の観点から3〜15%、更に5〜13%であることが好ましい。
【0047】
このようにして得られる本発明の発泡粒子成形体は、発泡粒子同士が緊密に融着しており、実施例で詳述する発泡粒子の融着率が50%以上、好ましくは70%以上のもので良好な圧縮強度などの機械的物性を示すものである。また、発泡粒子成形体の表面の凹凸が極めて少なく平滑であり、寸法安定性にも優れたものである。また、本発明の発泡粒子成形体の密度は、機械的強度、緩衝性、軽量性などの所期の目的から、60〜450g/L、更に90〜300g/Lであることが好ましい。なお、発泡粒子成形体の密度(g/L)は、発泡粒子成形体の重量(g)を該発泡粒子成形体の外形寸法から求められる体積(L)にて除することにより求めることができる。
更に、本発明の発泡粒子成形体は、該成形体の表層部の密度(Ds)〔g/L〕と該成形体の内部の密度(Dc)〔g/L〕との比(Ds/Dc)が1〜2であることを特徴とするものであり、このことは、発泡粒子成形体の密度分布が従来のものと比較して均一なものであることを意味している。従来の低倍率の発泡粒子成形体は、発泡粒子成形体の製造法上の制約に起因して、成形体の内部の密度に比べて表層部の密度が遥かに高く、あたかも高密度の発泡層に低密度の発泡層が挟み込まれているような多層構造のものであった。したがって従来の発泡粒子成形体は、該成形体全体の平均密度に対して表層部の密度の方が遥かに高く、かつ該成形体全体の平均密度に対して内部の密度の方が遥かに低いものであった。
【0048】
このような従来の発泡粒子成形体の圧縮強度は、該成形体の圧縮時には密度の遥かに低い内部の発泡体が先に変形してしまうために、全体密度相当の高い圧縮物性を得ることが困難であった。それに対し、本発明の発泡粒子成形体は、前記の通り発泡粒子成形体の密度分布が従来のものと比較して均一なものであることから、同密度相当の高い圧縮物性を発現させることができると共に、機械的物性の安定性にも優れ、二次加工時等の物性バラツキの課題も改善することができる。上記観点から、本発明の発泡粒子成形体における上記比(Ds/Dc)が1.1〜1.7、更に1.1〜1.5、特に1.2〜1.4であることが好ましい。なお、本発明の発泡粒子成形体の比(Ds/Dc)は、おもて面の表層部と裏面の表層部ともに上記の比(Ds/Dc)の関係を満足するものである。
なお、本発明の発泡粒子成形体の表層部の密度(Ds)〔g/L〕と内部の密度(Dc)〔g/L〕の測定方法は以下の通りである。
【0049】
本発明の発泡粒子成形体の表層部とは、発泡粒子成形体のスキン面と呼ばれる表面を含み、かつ発泡粒子成形体の表面から厚み方向に5mmの深さまでの部分である。そして、該発泡粒子成形体の表層部の密度(Ds)は、発泡粒子成形体から、表層部を切り出し(発泡粒子成形体の表面を含み、かつ発泡粒子成形体の表面から厚み方向に5mmの深さまでの部分を縦50mm、横50mm、厚み5mmの直方体の試料として切り出し)、切り出した試料の重量(g)を該試料の体積(L)にて除して求めることができる。
一方、本発明の発泡粒子成形体の内部とは、発泡粒子成形体の厚み方向の中心部であり、発泡粒子成形体の表面を含まず、かつ発泡粒子成形体の厚み方向の中央からおもて面と裏面に向かって各々5mmまでの部分である。そして、該発泡粒子成形体の内部の密度(Dc)は、発泡粒子成形体から、内部を切り出し(発泡粒子成形体の表面を含まず、かつ発泡粒子成形体の厚み方向の中央からおもて面と裏面に向かって各々5mmまでの部分を縦50mm、横50mm、厚み10mmの直方体の試料として切り出し)、切り出した試料の重量(g)を該試料の体積(L)にて除して求めることができる。
また、本発明の発泡粒子成形体は、ASTM−D2856−70の手順Cに基づく連続気泡率が40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることが最も好ましい。連続気泡率が小さい発泡粒子成形体ほど、機械的強度に優れる。
本発明の発泡粒子成形体は、緩衝性、寸法安定性、剛性、軽量性等の特性を有し、包装材料、建築材料や車輌用衝撃吸収材料等に広く利用できるものであり、特に、精密電気電子部品の包装材、自動車用薄肉部品に好適なものである。
【実施例】
【0050】
以下に、本発明について実施例、比較例を挙げて説明する。
下記表1に実施例、比較例に使用した樹脂及びその性状を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
[実施例1〜6、及び比較例1、2]
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造
65mmφの単軸押出機により、表1に記載のポリプロピレン系樹脂を表2に示す配合にて、ホウ酸亜鉛500重量ppmと共に押出機にて溶融混練し(但し、実施例1〜4については、以下の通りの飢餓運転条件下で該押出機にて溶融混練した。)、混練物を押出機先端に取り付けた口金の小孔からストランド状に押出し、水槽で冷却し、ストランドを重量が略1mgになるように切断し、乾燥して樹脂粒子を得た。なお、上記の飢餓運転条件とは、前記の飢餓的成形方法により融点や溶融粘度の大きく異なる樹脂同士が良好に分散するように混練するための手法であって、押出機の原料供給部を原料樹脂ペレットで満たし、押出機内を樹脂で満たす一般的な充満運転条件時の押出機の樹脂の吐出量に対し、同じスクリュー回転数での樹脂の吐出量が充満運転時以下となる様に、樹脂の供給を容量式のフィーダーで調整しつつ供給して押出す方法である。実施例1〜4においては、充満運転時に対する飢餓運転時の吐出量は70%とした。
上記により得られた樹脂粒子1kgを分散媒の水3L(リットル)と共に撹拌機を備えた5Lの密閉容器内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤としてカオリン0.3重量部、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名:ネオゲンS−20、第一工業製薬社製)0.004重量部(但し、この0.004重量部はネオゲンS−20中のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム量)、及び硫酸アルミニウム0.01重量部を添加し、密閉容器内に発泡剤として圧縮空気を表2に示す圧力まで圧入し、撹拌下に表2に示す発泡温度にまで昇温し、同温度で15分間保持して高温側吸熱ピーク熱量を調整した後、内容物を大気圧下に放出して表2に示す見かけ密度の発泡粒子を得た。なお、上記重量部は、樹脂粒子100重量部に対する重量部である。得られた発泡粒子の性状を表2に併せて示す。
【0053】
(2)発泡成形体の製造
上記に得られた発泡粒子を縦250mm、横200mm、厚み50mmの平板用金型に充填し、スチーム加熱による型内成形を表3に示す型内成形条件にて行って板状の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は80℃のオーブンにて12時間養生してポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子成形体の性状を表3に併せて示す。
【0054】
【表2】







【0055】
【表3】

【0056】
(3)発泡粒子、及び発泡粒子成形体の評価
表3における発泡粒子、及び発泡粒子成形体の評価は下記(イ)〜(ヘ)により行った。
(イ)発泡粒子の融着圧力の測定
発泡粒子の1回目のDSC曲線に基づき発泡粒子の表面が溶融する温度の下限を予想し、該下限温度に相当する飽和蒸気圧のスチームによる発泡粒子の型内成形を行い得られた発泡粒子成形体について下記の発泡粒子相互の融着性の評価を行い発泡粒子成形体の融着率が50%未満であることを確かめる。次いで、スチームの飽和蒸気圧を0.01MPa高く設定する以外は、同様にして上記の融着性の評価を行った。スチームの飽和蒸気圧を0.01MPa高く設定して融着性の評価を行う操作を、発泡粒子成形体の融着率が50%以上となるまで順次行い、該融着率が初めて50%以上となった時の飽和蒸気圧(該融着率が50%以上となる最低の飽和蒸気圧)を融着圧力とした。なお、上記型内成形にて使用した金型は、成形空間が、縦250mm、横250mm、厚み20mmの直方体形状のものであり、該金型内に発泡粒子を充填する際の圧縮率を10%とした。また、上記測定に使用される発泡粒子として、気温23℃、相対湿度50%、大気圧下の条件にて、48時間放置することにより状態調整したものを用いた。なお、上記の発泡粒子成形体の融着率は、後述方法により求められる値である。
【0057】
(ロ)発泡粒子の二次発泡圧力の測定
発泡粒子の1回目のDSC曲線に基づき発泡粒子が二次発泡する温度の下限を予想し、該下限温度に相当する飽和蒸気圧のスチームにより密閉容器に適量入れられた発泡粒子の加熱を10秒行い、得られた加熱後の発泡粒子の見かけ密度の測定を行う。上記の通り測定された加熱後の発泡粒子の見かけ密度(g/L)と、該発泡粒子の加熱前の見かけ密度(g/L)の密度比を求め、〔加熱前の見かけ密度(g/L)〕/〔加熱後の見かけ密度(g/L)〕の値が1.5未満であることを確かめる。次いで、スチームの飽和蒸気圧を0.01MPa高く設定する以外は、同様にして上記の二次発泡性の評価を行った。スチームの飽和蒸気圧を0.01MPa高く設定して融着性の評価を行う操作を、発泡粒子の密度比[〔加熱前の見かけ密度(g/L)〕/〔加熱後の見かけ密度(g/L)〕]の値が1.5以上となるまで順次行い、該密度比の値が初めて1.5以上となった時の飽和蒸気圧(該密度比の値が1.5以上となる最低の飽和蒸気圧)を二次発泡圧力とした。なお、上記測定に使用される発泡粒子として、気温23℃、相対湿度50%、大気圧下の条件にて、48時間放置することにより状態調整したものを用いた。
【0058】
(ハ)50%圧縮応力の測定
(i)表皮付試験片の50%圧縮応力
発泡粒子成形体から縦50mm、横50mm、厚み(成形体の全厚み)50mmの表皮付試験片を切り出し、JIS K6767(1999)に基づき、圧縮速度10mm/分にて試験片を厚み方向に圧縮する圧縮試験を行い発泡粒子成形体の50%圧縮応力を求めた。
(ii)表皮無試験片の50%圧縮応力
発泡粒子成形体から縦50mm、横50mm、厚み(成形体の全厚み)50mmの立方体を切り出し、更に成形体の厚み方向の上下面に存在する表皮を切り取る為に厚み方向の上下面から各々12.5mmの厚さで表皮を切り取り、縦50mm、横50mm、厚み25mmの表皮無試験片とし、JIS K6767(1999)に基づき、圧縮速度10mm/分にて試験片を厚み方向に圧縮する圧縮試験を行い発泡粒子成形体の50%圧縮応力を求めた。
【0059】
(ニ)試験片密度
(i)表皮付試験片密度
発泡粒子成形体から縦50mm、横50mm、厚み(成形体の全厚み)50mmの表皮付試験片を切り出し、試験片重量(g)を該試験片の体積(L)にて除して求めた。
(ii)表皮無試験片密度
発泡粒子成形体から縦50mm、横50mm、厚み(成形体の全厚み)50mmの立方体を切り出し、更に成形体の厚み方向の上下面に存在する表皮を切り取る為に厚み方向の上下面から各々12.5mmの厚さで表皮を切り取り、縦50mm、横50mm、厚み25mmの表皮無試験片とし、試験片重量(g)を該試験片の体積(L)にて除して求めた。
【0060】
(ホ)融着性
発泡粒子成形体において、発泡粒子の融着率の測定を、試験片寸法を縦10mm、横10mm、長さ80mmに変更した以外は、JIS K7111−1(2006)のシャルピー衝撃強さのノッチなし試験方法に準拠しで試験を行い、試験片を破断させて破断面における材料破壊した発泡粒子の割合より求めた。なお、試験片が破断しなかった場合は融着率100%とする。
融着率=材料破壊した発泡粒子数(個)/断面(縦10mm、横10mm)における全発泡粒子数(個)×100
上記の通り求められた融着率に基づき以下の基準により評価した。
◎:融着率が70%以上
○:融着率が50%以上70%未満
△:融着率が30%以上50%未満
×:融着率が30%未満
【0061】
(ヘ)外観
発泡粒子成形体の表面を肉眼で観察し以下の基準にて評価した。
○:発泡粒子成型体の表面に粒子間隙や凹凸が殆どない良好な表面状態を示す。
△:発泡粒子成型体の表面に粒子間隙および/または凹凸が明らかに認められる。
×:発泡粒子成型体の表面に粒子間隙および/または凹凸が著しい。
【0062】
表3に示す通り、本発明の実施例の係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、低倍率の発泡粒子成形体でありながら、発泡粒子相互の融着性に優れ、該成形体の外観においても良好なものであった。また、発泡粒子成形体の表層部と内部との密度比は2以下であり、比較例に示されるような従来のものよりも遥かに該密度比が1に近づいており発泡粒子成形体の密度の均一性が高いものになっている。
表3における従来技術による比較例のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、発泡粒子相互の融着性および外観において不十分なもの、或は融着性および外観は許容される範囲内のものであっても発泡粒子成形体の表層部と内部との密度の均一性が不十分なものであった。
【0063】
また、発泡粒子成形体の圧縮強度に関して、本発明による実施例3、4と従来技術による比較例1との同密度のもの同士の表3の50%圧縮応力の比較により、基材樹脂の相違はあるものの本発明の発泡粒子成形体は、従来のものよりも圧縮強度が優れるものであることが分かる。また、表3の圧縮物性比の値についての実施例1〜6と比較例1、2との比較から本発明の発泡粒子成形体は、従来のものよりも成形体の表層部と内部との圧縮強度の差が小さく、圧縮強度の均一性において優れているものであることが分かる。
表2の本発明の実施例に示されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、表3に示す通り型内成形時のスチーム圧力が低いにもかかわらず(特に実施例1はスチーム圧力が極めて低いにもかかわらず)、発泡粒子成形体の発泡粒子相互の融着性、及び外観が良好な発泡粒子成形体を得ることができることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の成形体の製造方法に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子の1回目のDSC曲線の説明図を示す。
【図2】本発明の成形体の製造方法に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子の2回目のDSC曲線の説明図を示す。
【符号の説明】
【0065】
α DSC曲線上の80℃に相当する点
β DSC曲線上の融解終了温度に相当する点
γ 低温側ピークと高温側ピークの谷部
δ 直線α−βとγからの垂線との交点
Te 融解終了温度
主吸熱ピーク
主吸熱ピークの高温側の吸熱ピーク
主吸熱ピークの高温側の吸熱ピーク
TmA、PTmA 吸熱ピーク頂点温度
△Ha 主吸熱ピーク熱量
△Hb 吸熱ピークaの吸熱ピーク熱量
△Hc 吸熱ピークaの吸熱ピーク熱量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内に充填して加熱成形する発泡粒子型内成形法において、該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が、見かけ密度が100〜720g/Lであると共に、該発泡粒子の融解温度の飽和蒸気により該発泡粒子を耐圧容器内で10秒間加熱した場合の、加熱前後の該発泡粒子の見かけ密度比(ρR)[(加熱前の発泡粒子の見かけ密度〔g/L〕)/(加熱後の発泡粒子の見かけ密度〔g/L〕)]が1〜1.7となるものであり、該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の型内充填時の圧縮率を0〜15%とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
【請求項2】
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が、該発泡粒子を示差走査熱量測定にて2℃/分の昇温速度で常温から200℃まで昇温することにより得られる1回目のDSC曲線において、全吸熱ピーク熱量に対して70〜95%の吸熱ピーク熱量を示し、かつ吸熱ピークの頂点温度が100〜140℃の主吸熱ピークと、該主吸熱ピークの高温側に2以上の吸熱ピークとが現れる結晶構造を有することを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
【請求項3】
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂のポリプロピレン系樹脂が、融点100〜140℃の低融点ポリプロピレン系樹脂(A)と、該樹脂の融点よりも20℃以上高い融点を有する高融点ポリプロピレン系樹脂(B)との混合物である請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
【請求項4】
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂のうち、低融点ポリプロピレン系樹脂(A)が、プロピレンと、エチレン又は/及び炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体である請求項3に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
【請求項5】
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂のうち、低融点ポリプロピレン系樹脂(A)が、メタロセン系重合触媒を使用して重合されたポリプロピレン系樹脂である請求項3または4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
【請求項6】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内に充填して加熱成形してなる発泡粒子成形体において、該成形体の密度が60〜450g/L、発泡粒子の融着率が50%以上、該成形体の表層部の密度(Ds)〔g/L〕と該成形体の内部の密度(Dc)〔g/L〕との比(Ds/Dc)が1〜2であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−144078(P2010−144078A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323659(P2008−323659)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000131810)株式会社ジェイエスピー (245)
【Fターム(参考)】