説明

ポリマー、繊維、フィルム、シートまたは包装からの成熟または熟成抑制剤の放出

熱可塑性ポリオレフィンポリマー組成物、ポリマーチップ、繊維、織布または不織布、フィルム、クロージャーおよび積層体は、ポリマーと、呼吸している農産物材料における揮発性成熟抑制剤またはオレフィン系エチレン受容体拮抗剤を有するシクロデキストリン化合物とを含む。ポリマー組成物はシクロデキストリン変性ポリマーまたは置換シクロデキストリンを含むこともできる。オレフィン系エチレン抑制剤はシクロデキストリン組成物中に形成することができ、農産物用包装材料において使用されると、シクロデキストリンはオレフィン系抑制剤組成物を放出する。コーティング組成物も製造することができる。抑制剤は材料内に導入され、制御された湿度条件下で放出される。放出されると、オレフィン系抑制剤は、成熟を調節するタンパク質のエチレン受容体部位を遮断し、農産物が熟成を実質的に完了せず腐敗に至る程度まで成熟もしない期間を延長させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国以外の全ての国の指定に対する出願人であるCELLRESIN TECHNOLOGIES,LLC(米国国内企業)ならびに米国の指定のみに対する出願人である発明者のWillard E.Wood(米国市民)、Neil J.Beaverson(米国市民)、およびWilliam J.Kuduk(米国市民)の名義で2010年12月13日にPCT国際特許出願として出願されており、米国特許出願第61/286,177号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、農産物または農産物材料の有用寿命を延長する方法に関する。本発明はさらに、成長および熟成調節タンパク質のエチレン受容体部位のオレフィン系拮抗剤または抑制剤を用いて農産物の成熟を低下させ、農産物の寿命を延長し、そして農産物の腐敗を防止する能力を有する包装材料の使用に関する。本開示は、拮抗剤または抑制剤を放出することができる熱可塑性ポリマー組成物、典型的には、ビニルポリマーまたはポリオレフィン組成物に関する。これらの組成物またはポリマー材料は、繊維、織布および不織布、フィルム、種々の厚さのポリマーウェブ、剛性または半剛性シート、チップとして、コーティングまたはバリアコーティングとして、あるいは包装材料、パッケージ、パッケージインサートおよび他の包装技術の製造のために有用な他のポリマー形態で使用することができる。
【背景技術】
【0003】
植物全体、その植物の一部(果実、野菜、塊茎、鱗茎、切り花およびその他の活発に呼吸している植物または植物材料を含む)を含む農産物または農産物材料の貯蔵寿命は、通常、少なくとも一部は、呼吸している植物材料によって発生されるエチレンホルモンの量によって決定される。エチレンは、既知の植物熟成または成熟ホルモンである。植物材料の中および周囲の実質的なエチレン濃度において、植物の成熟は、濃度に応じて、開始、維持、または加速される。非特許文献1、および概略的にはFritzらの特許文献1を参照されたい。貯蔵寿命を増大しようとする試みにおいて、農産物を包囲する周囲パッケージ大気からエチレンを除去するか、あるいは貯蔵環境からエチレンを除去するために、多くの試みが成されている。エチレン濃度の低下は、植物の特異的なエチレン受容体の刺激の減少によって達成されると理解される。エチレン以外のいくつかの化合物がこの受容体と相互作用をするが、エチレンの作用を模倣するものもあれば、エチレンが結合するのを阻止することにより、その作用を相殺するものもある。
【0004】
拮抗剤または抑制剤の役割を果たすいくつかの化合物は、エチレン結合部位に結合することによってエチレンの作用を遮断する。これらの化合物は、エチレン作用を相殺するために使用され得る。残念なことに、これらは、数時間の間に結合部位から拡散することが多く、抑制の低下が起こる。非特許文献2を参照されたい。従って、このような化合物に関する問題は、効果が2〜3時間よりも長く持続すべきである場合に、暴露が継続的でなければならないことである。シクロペンタジエンは、エチレン結合の有効な遮断剤であることが示されている。非特許文献3を参照されたい。特許文献2(Sislerら)には、ジアゾシクロペンタジエンおよびその誘導体を用いて植物におけるエチレン応答と闘う方法が開示されている。特許文献3(Sislerら)には、C1〜4アルキル基を有するシクロプロペンを使用して、エチレンの作用を遮断することが記載されている。
【0005】
農産物における受容体部位またはエチレン発生の好ましいオレフィン系拮抗剤または抑制剤は1−メチルシクロプロペンであり、その誘導体および類似体も、呼吸している植物または農産物材料からのエチレンの発生に対する拮抗剤または抑制剤として試みられている。1−メチル−シクロプロペン(1−MCP)、1−ブテンおよび他のオレフィンは、エチレン発生を抑制し、従って貯蔵寿命を延長するために少なくともある程度の測定可能な活性を有することが示されている。1−ブタンが1−MCP活性の良好なモデルであることが見出される。1−MCPを生成および放出してエチレン放出を抑制し、その結果として成熟を遅くし、植物材料の品質を維持する方法に対していくつかの提言が成されている。現在、1−MCPは圧力容器から直接分配されるか、あるいは複合体化1−MCPを含有するサシェからの1−MCPの放出によって分配される。これらの技術において、1−MCPは、貯蔵チャンバ内に傾斜濃度を引き起こすポイントソースから放出され、従って成熟抑制の変動が生じ、一部の農産物は寿命が延長され、より低い濃度の1−MCPに暴露された他の農産物はエチレンの抑制がより低く、貯蔵寿命が低減される傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,879,188号明細書
【特許文献2】米国特許第5,100,462号明細書
【特許文献3】米国特許第5,518,988号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Burgら、Plant Physiol.(1967)42 144−152
【非特許文献2】E.Sisler and C.Wood,Plant Growth Reg.7,181−191(1988)
【非特許文献3】E.Sislerら、Plant Growth Reg.9,157−164(1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの努力にもかかわらず、当該技術分野では、改善された植物の成熟および劣化の阻止が依然としてかなり必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は相溶性シクロデキストリン組成物を含有することができる熱可塑性材料に関し、シクロデキストリン組成物は、農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤を有効量および制御放出量で含有する。熱可塑性材料は、シクロデキストリンペンダント基またはポリマー骨格中のシクロデキストリンと共に製造することができる。熱可塑性材料は農産物の容器、包装または包装構成要素もしくはインサートの形成における材料として使用することができ、これは、均一のエチレン抑制量のオレフィン系抑制剤を発生することができるので、容器内の農産物は一定の品質および延長された有用寿命を有する。本発明の組成物は、基材上の層を形成し得るコーティング組成物を含むこともできる。シクロデキストリンの中央コア内に抑制剤化合物を有するシクロデキストリンを含有する層は、抑制剤の有効な源である。
【0010】
本発明は、相溶性またはペンダントシクロデキストリン材料を含み、シクロデキストリン材料内に農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤が有効量で保持された熱可塑性組成物を企図する。この熱可塑性材料は、繊維、フィルム、シート、または剛性もしくは半剛性容器に形成されるか、あるいはこれらの上にコーティングすることができ、包装構造内の包囲容積中にオレフィン系抑制剤を放出することができるので、農産物材料は、延長された、またはより長い有用寿命を有する。また本発明は、シクロデキストリン化合物が、オレフィン系抑制剤を含有する置換シクロデキストリンであり得るか、オレフィン系抑制剤を含有するシクロデキストリンがグラフト化されたポリマー材料であり得るか、あるいはシクロデキストリン化合物がポリマー鎖または骨格中に形成され、シクロデキストリンがオレフィン抑制剤を含有するようなポリマー組成物であり得ることも企図する。
【0011】
また本発明は、ポリマーがかなりの量のオレフィン系抑制剤を吸収してシクロデキストリン材料がオレフィン系抑制剤と包接複合体を形成できるように含水量が低減された条件下で、シクロデキストリンおよび熱可塑性材料が形成されるような独特の方法を用いて、このシクロデキストリンを含有する熱可塑性組成物が製造され得ることも企図する。シクロデキストリン材料による包接複合体が形成されたら、熱可塑性材料は、包装材料に形成されるか、あるいは包装材料上に被覆されることが可能であり、包装材料は、呼吸している農産物材料を包装するために使用することができる。農産物材料は熱可塑性包装内に包装され、適切な活性化量の水と接触されて、シクロデキストリンは十分な濃度のオレフィン系材料を放出し、農産物材料の成熟を抑制する。また、制御された湿度レベルに包装をさらすことによっても、抑制剤材料が包装から放出される。湿度は、シクロデキストリン化合物および抑制剤化合物を含有するポリマーから包装を形成することによって制御することができる。流通および貯蔵の間、包装された農産物材料の貯蔵温度が低い(例えば、約2℃〜約14℃の間)と、農産物の回りの包囲容積中の湿度は、農産物の呼吸からの、包囲されたパッケージ容積中への通常の水分損失のために、高くなる(例えば、約70%〜約100%の間の相対湿度)であろう。挿入句的に、呼吸の気体生成物(すなわち、二酸化炭素および水)は、光合成過程における反応物である。パッケージの包囲容積内の湿度の上昇は、抑制剤を放出するのに十分である。あるいは、包装の内部湿度は、農産物パッケージを密封する前に水を添加することにより抑制剤を放出するように調整することができる。相対湿度は、包装している間、加湿器によって空気に水分(水のミスト、スプレーまたは蒸気)を添加することによって制御することができる。
【0012】
さらに、農産物または農産物材料のための典型的な包装材料は従来の包装材料から製造されてもよく、制御された湿度レベルの増大または付加によって抑制剤化合物を放出可能な本発明の材料を含むパッケージインサートと共に農産物を含有することができる。
【0013】
本発明は、オレフィン系のエチレン発生抑制剤を有するシクロデキストリン化合物を含有する熱可塑性ポリマーに関する。抑制剤材料を含有するシクロデキストリン化合物は、バルクポリマーで、あるいはコーティングとして使用することができる。ポリマー内で、シクロデキストリン化合物はポリマーにグラフト化されてもよいし、あるいはポリマー骨格内に形成されてもよい。本発明の第2の態様は、熱可塑性ポリマーと、シクロデキストリンの中央細孔内にオレフィン系エチレン発生抑制剤を有するシクロデキストリン化合物の誘導体とを含む熱可塑性組成物を含む。本発明のさらなる態様は、本発明のポリマー組成物から製造されたフィルム、繊維、シート、剛性もしくは半剛性包装材料、織布または不織布である。本発明のさらなる態様は、本発明のポリマー組成物から少なくとも一部分が製造されたパッケージで構成されたパッケージ内に農産物材料を包装することによって、その有用寿命を延長すること、あるいは成熟または熟成を低下させることを目的とした農産物の包装方法である。このような方法では、パッケージは、農産物を含有する包囲体を形成するフィルムまたは剛性もしくは半剛性包装材料を含むことができる。あるいは、包装材料は従来のポリマー材料から製造されてもよく、本発明のポリマー材料を含むパッケージインサートと共に包装される農産物を包囲することができる。また本発明のさらなる態様は、シクロデキストリンと、オレフィン系エチレン発生抑制剤とを含有するポリマー組成物の製造方法であり、ポリマー材料内に含有されるシクロデキストリン分子の中央細孔内へ抑制剤を注意深くかつ十分に無水で導入することを含む。本発明のさらなる態様は、制御された温度、湿度および圧力条件下における、シクロデキストリン中央コア内への抑制剤の制御された導入である。最後に、本発明の態様は、ポリマー材料からの抑制剤の前述の注意深い湿度調節放出を用いる、本発明のポリマー組成物からのオレフィン系エチレン発生抑制剤の制御放出方法である。包装構造または包装方法においてポリマー材料によって放出されるエチレン抑制剤の量に湿度レベルが比例するように、包装材料内の特定の湿度を注意深く維持することによって、抑制剤オレフィンが本発明のポリマー組成物から制御可能に放出され得ることが発見されている。
【0014】
本開示の目的では、「シクロデキストリン組成物」という用語は、(1)シクロデキストリンが、シクロデキストリンのグルコース部分のヒドロキシル基のうちの1つにおいて少なくとも1つの官能基を有するようなシクロデキストリン誘導体、(2)ポリマーの官能基にシクロデキストリン材料がグラフト化されているようなポリマー化合物、または(3)シクロデキストリンがポリマー鎖またはポリマー骨格材料中に形成されるように、シクロデキストリンがポリマー構造内に直接形成されたものを意味する。
【0015】
「農産物または農産物材料」という用語は、事実上あらゆる植物全体、植物の一部(果実、花、切り花、種子、鱗茎、切断部分、根、葉、花など)、または活発に呼吸して、その成熟の一部としてエチレンを成熟ホルモンとして発生する他の材料を含む。
【0016】
「農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤」という用語は、少なくとも1つのオレフィン系二重結合を含有し、約3〜約20個の炭素原子を有し、そして少なくとも最低限のエチレン拮抗または抑制活性を有する脂肪族または環状であり得るオレフィン系化合物を意味することが意図される。
【0017】
「変性ポリマー」という用語は、本明細書において使用される場合、ポリオレフィンなどのポリマーが、シクロデキストリンをポリマーに結合させることができる共有結合した連結基を有するか、あるいはポリマーに直接共有結合したシクロデキストリン、または連結基を介してポリマーに共有結合したシクロデキストリンを有することを意味する。
【0018】
「ポリオレフィン相溶性」または「ポリマー相溶性」という用語は、本明細書で使用される場合、変性ポリオレフィンまたは変性ポリマー(その用語が本明細書において使用される場合)を含有する組成物に添加されるかあるいは接触されたときに、成分が組成物から徐々に除去されることなく、得られるポリオレフィンの関連の物理特性(例えば、引張強さ、メルトインデックス、色、臭気、またはポリオレフィンもしくはポリマーがそうでなければ有し得るその他の物理特性など)に悪影響を与えないことを意味する。
【0019】
「ポリマーウェブ」という用語は、本明細書で使用される場合、コーティング、織布もしくは不織布、フレキシブルフィルム、剛性もしくは半剛性フィルムもしくはシート、熱成形された包装構成要素、または他の押出、射出成型されたもの、または包装技術において使用可能なその他のこのようなフィルムもしくはシート構造を含む平面構造を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
貯蔵寿命を延長すること、あるいは成熟を遅延または停止することを目的として、農産物または農産物材料の包装のために、不織繊維または織布として、フィルムとして、包装材料として、あるいはその上のコーティングにおいて使用可能な熱可塑性組成物が見出された。本発明の熱可塑性組成物は、通常、農産物のエチレン発生の放出可能なオレフィン系拮抗剤または抑制剤を含む。抑制剤は、通常、シクロデキストリン分子の中央細孔内に導入される。シクロデキストリン分子は、通常、小分子の置換シクロデキストリン、グラフト化置換基としてポリマー内に導入されるか、あるいはポリマー骨格またはポリマー鎖中に導入される。このような組成物は、通常、約1.0〜90重量パーセントのポリオレフィンと、約0.1〜65重量パーセントまたは2〜50重量パーセントのシクロデキストリングラフト化樹脂とを含む。シクロデキストリン部分は、ポリマー組成物全体としての組成物の約0.1〜20重量パーセントまたは0.2〜10重量パーセントを構成する。ポリマー組成物において、シクロデキストリン分子内の利用可能な中央細孔の約0.005〜10重量パーセントまたは0.02〜5パーセントは、オレフィン系抑制剤材料によって占有され得る。本発明の組成物全体は、約0.01〜約1重量パーセントの、農産物または農産物材料のエチレン発生のオレフィン系抑制剤を含有することができる。オレフィン系抑制剤自体は、3〜約20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのオレフィン結合を含み、そして環状のオレフィンまたはジアゾ−ジエン構造を含む化合物を含む。通常、組成物は、組成物中のシクロデキストリン1モル当たり約0.001〜1または0.002〜0.5または0.003〜0.2モルの抑制剤化合物(好ましくは、1−MCP)を含有することができる。オレフィン系エチレン発生抑制剤として有用な特定の化合物としては、1−メチルシクロプロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンなどが挙げられる。
【0021】
本発明のポリマー化合物の製造において、包装製品内でオレフィン系エチレン発生抑制剤の安定性を維持する上で、ポリマー中の含水量の注意深い制御が重要であることが見出された。水が減少されると、材料が農産物または農産物成分の包装の一部または構成要素として使用されるまで、オレフィン系抑制剤はより制御可能にシクロデキストリン材料の中央細孔構造内で維持される。ポリマー材料の製造において、シクロデキストリン部分を含有するポリマーは、本発明の繊維、布、フィルムまたは包装構造の製造において使用されるポリマーのマスターバッチまたは最終ポリマー材料のいずれかを製造するために、シクロデキストリン部分を含まない熱可塑性ポリマー材料と組み合わせることができる。このような組成物では、シクロデキストリン部分を含むポリマーは、熱可塑性ポリマーと組み合わせることができる。マスターバッチ組成物では、熱可塑性ポリマーは、約1〜65重量パーセントの、シクロデキストリン部分を含有する熱可塑性物質を含有することができる。包装材料を形成するために使用される最終ポリマー組成物では、ポリマー組成物は、約0.1〜20重量パーセントの、シクロデキストリン部分を含むポリマーを含有する。このような製造工程では、農産物の容器、包装もしくは包装構成要素の形成中、または転化プロセスにおいてシクロデキストリンと熱可塑性材料とを混ぜ合わせ、続いてシクロデキストリン細孔にオレフィン系抑制剤を充填した後、または農産物容器、包装もしくは包装構成要素の形成後に、オレフィン系エチレン発生抑制剤はシクロデキストリン分子中に(例えば、未使用の熱可塑性樹脂中にレットダウンされるシクロデキストリン/オレフィン系抑制剤のマスターバッチとして)存在することができる。
【0022】
本発明のポリマー組成物において使用するために好ましい材料は、ポリオレフィンおよびポリオレフィンコポリマーであり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−co−プロピレン)、ポリエチレン−co−αオレフィン、ならびに他の同様のαオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。1つの好ましいモードでは、シクロデキストリン部分を含むポリマーは、シクロデキストリンを無水マレイン酸変性ポリオレフィン上にグラフトさせることによって製造することができる。このようなポリオレフィンは、約0.5〜約20または0.5〜10重量パーセントの無水マレイン酸を含有することができる。このような材料は、シクロデキストリン材料のヒドロキシル化合物がポリオレフィン骨格中の無水マレイン酸部分と反応することによりポリマー組成物を形成するように、シクロデキストリンと反応させることができ、無水マレイン酸材料が完全に反応されてシクロデキストリン変性ポリオレフィンを形成する。このような材料は、最終ポリマー組成物中に約1〜約20重量パーセントのシクロデキストリンを含有することができる。
【0023】
本発明の重要な態様は、適度な温度において制御された低水分濃度および高圧を含むプロセスを用いて、シクロデキストリン分子の中央細孔内のオレフィン系抑制剤を製造または導入する方法である。本発明のポリマー組成物の製造において、シクロデキストリン部分を含むポリマーは、約0℃〜約100℃の温度、約1〜約15気圧の圧力において、包囲空間中でシクロデキストリン1モル当たり約0.5〜10モルの抑制剤のモル比でオレフィン系抑制剤に暴露されて、オレフィン系抑制剤を上記の量でシクロデキストリン分子の中央部分に有効に導入することができる。水分は、ポリマーの水分含量が800ppm未満であり、処理チャンバ内の包囲空間の水分が約5ppm未満であるように制御することができる。あるいは、閉鎖空間の水分含量は、約1パーセント未満の相対湿度である。抑制剤または拮抗剤を放出するために、水分接触が増大される。
【0024】
最後に、本発明の重要な態様は、包装構成要素または包装材料からのオレフィン系抑制剤の制御放出方法であり、包装システム内の包囲空間中の有効濃度の抑制剤分子は、材料の成熟または熟成を有効に制御、抑制または低減する。このような方法では、シクロデキストリン化合物およびオレフィン系抑制剤を有するポリマー組成物は包装材料の製造において使用され、農産物または農産物材料は包装材料内に置かれ、包装材料内の包囲容積中で、前述のように、制御された量の水分または湿度が包装内で実現される。この環境で典型的な貯蔵温度における水分含量は、オレフィン系抑制剤のシクロデキストリン分子からの放出を引き起こす。包装材料内の空間におけるこの有効濃度のオレフィン系抑制剤は、農産物を有効に保持する。
【0025】
シクロデキストリン変性ポリオレフィン組成物または樹脂は、ポリマーと、シクロデキストリンを含有するポリマーまたは置換シクロデキストリンとのブレンドを含有することができる。ポリマーは、約0.1〜約20重量%、または好ましくは0.3〜10重量%のシクロデキストリンを含むことができる。熱可塑性ポリマー組成物は、主要部分のポリオレフィン樹脂、およびポリマー組成物を基準として約1重量%〜約65重量%のシクロデキストリン変性ポリオレフィン樹脂のブレンドと、約0.0001重量%〜約3重量%、または約0.0002〜2重量%、または約0.0005重量%〜約1重量%の揮発性オレフィン系抑制剤または拮抗剤化合物とを含む。
【0026】
抑制剤化合物
本発明の抑制剤化合物は、好ましくは末端炭素原子に隣接した二重結合を有するC4〜20オレフィン化合物を含む。以下の式Iなどのシクロプロペン誘導体は、抑制剤としての役割を果たすことができる。式Iにおいて、R1は独立して水素またはC1〜16アルキルであり、R2は独立して水素またはC1〜16アルキルであり、そしてR3およびR4は独立して水素またはC1〜16アルキルであるが、ただし、R1またはR2のうちの少なくとも1つはメチルである。
【化1】

【0027】
シクロデキストリン
シクロデキストリン(CD)は、シクロデキストリングリコトランスフェラーゼ(glycotransferase)(CGTase)などの特定の酵素の作用によって形成されたα−D−グルコピラノシド単位の環状オリゴマーである。それぞれ6個、7個および8個のα−1,4−連結グルコースモノマーからなる3つのシクロデキストリン(α、β、およびγ)が市販されている。これらのオリゴ糖の最も安定な三次分子配置はトロイド(toroid)であり、トロイドのより小さい開口部およびより大きい開口部は、第1級および第2級ヒドロキシル基を提示する。グルコースモノマーの特異的なカップリングにより、CDは、特定の容積の中空内部を有する円錐台形の剛性分子構造を有する。親油性(すなわち、外部と比較して炭化水素材料を引き付ける)であるこの内部空洞は、シクロデキストリンの重要な構造的特徴であり、分子(例えば、芳香族化合物、アルコール、ハロゲン化物およびハロゲン化水素、カルボン酸およびそのエステルなど)と複合体を形成する能力を提供する。複合体化された分子は、シクロデキストリンの内部空洞中に少なくとも部分的に収まり、包接複合体を生じるサイズ基準を満たさなければならない。
【0028】
【表1】

【0029】
オリゴ糖環は円錐台形のような円環を形成し、各グルコース残基の第1級ヒドロキシル基は、円環の狭い方の端部に位置する。第2級グルコピラノースヒドロキシル基は、広い端部に位置する。親シクロデキストリン分子および有用な誘導体は以下の式(環炭素は、従来の番号付けを示す)によって表すことができ、空の結合は、環状分子のバランスを表す。
【化2】

【0030】
CDの内部空洞のサイズ(すなわち、α、β、γ)を考慮することができ、官能基の修飾は、標的の揮発性物質または不純物との包接複合体の形成に加えて、所望のバルクポリマーおよび表面ポリマー特性を変化させるために適切であり得る。特定の結果を達成するために、2つ以上の空洞サイズおよび官能基が必要なこともある。
【0031】
本開示によると、シクロデキストリン材料は、抑制剤または拮抗剤化合物の包接複合体(本発明のポリマー組成物中の各シクロデキストリン部分の中央細孔内に形成される)を含有する化合物である。オレフィン系拮抗剤または抑制剤化合物は、少なくとも1つのオレフィン基を有するC4〜20化合物を含むことができる。シクロデキストリン分子の中央細孔中のオレフィン系抑制剤化合物の包接の結果として、シクロデキストリン部分を含有するポリマー組成物は、シクロデキストリン環の中央細孔内の包接複合体としてオレフィン系抑制剤を有する主要部分のシクロデキストリン部分を含有することができる。特定の発明では、中央細孔は浸透物(permeant)のための結合場所として使用されるが、本発明では、中央細孔は、農産物または農産物材料における成熟を制御するためにポリマー組成物から制御可能に放出され得るオレフィン系抑制剤または拮抗剤のための貯蔵場所として使用される。
【0032】
シクロデキストリン誘導体
本発明の熱可塑性組成物は、シクロデキストリン誘導体を含有することができる。シクロデキストリン誘導体は、ポリマー材料と相溶性である。シクロデキストリン誘導体は、オレフィン系抑制剤が中央細孔内の包接複合体として形成されるように、オレフィン系抑制剤と結合され得る。置換シクロデキストリンを含有するこのようなポリマー材料は、農産物または農産物材料の熟成の制御または低減において、組成物からのオレフィン系抑制剤の制御放出方法において使用することができる。オレフィン系抑制剤を有するシクロデキストリンを含むポリマーの製造方法は、シクロデキストリン部分を含有するポリマー組成物と実質的に類似している。さらに、オレフィン系抑制剤を有する置換シクロデキストリン材料を含有するポリマー組成物は、実質的に類似のプロセス工程を用いて、オレフィン系抑制剤の制御放出方法において使用することができる。
【0033】
CD分子は、官能化ポリオレフィンとの反応に利用可能な第1級ヒドロキシル(グルコース部分の6位)および第2級ヒドロキシル(2位および3位)を有する。CD分子の幾何学および環置換基の化学のために、全てのヒドロキシル基は反応性において等しくない。しかしながら、注意して有効な反応条件を用いて、乾燥CD分子を反応させて置換CDを得ることができる。選択された置換基を有する(すなわち、第1級ヒドロキシルのみにおいて置換された、または1つまたは両方の第2級ヒドロキシル基のみにおいて選択的に置換された)CDは、所望される場合には、グラフト化させることもできる。2つの異なる置換基または3つの異なる置換基による誘導体化分子の指向性合成も可能である。これらの置換基はランダムに配置することもできるし、あるいは特定のヒドロキシルに向けることもできる。さらに、CDのアルコール誘導体(例えば、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピル)およびアミノ誘導体を反応させて、グラフト化CDを作ることができる。
【0034】
ポリビニル樹脂との相溶性を有する置換CD材料を製造するための好ましい調製スキームは、CD分子の第1級または第2級ヒドロキシルにおける反応を含む。CDのヒドロキシル官能性は、置換基形成化合物の反応性成分と反応されて、置換シクロデキストリン反応生成物を形成することが意味される。CD分子の第1級または第2級環ヒドロキシルのいずれかにおける結合の形成は、周知の反応を含む。シクロデキストリン分子の第1級−OH基は、第2級基よりも容易に反応される。しかしながら、分子は、事実上任意の位置で置換されて、有用な組成物を形成することができる。概して、広範囲のペンダント置換基部分が分子上で使用可能であることが見出された。これら誘導体化シクロデキストリン分子は、アルキル化シクロデキストリン、ヒドロカルビル−アミノシクロデキストリンなどを含むことができる。置換基部分は、誘導体化材料に対して相溶性を提供する領域を含まなければならない。
【0035】
ペンダント熱可塑性ポリマー含有部分を有するシクロデキストリンのアミノおよびアジド誘導体は、本発明のシート、フィルムまたは容器において使用することができる。スルホニル誘導体化シクロデキストリン分子を使用して、アジド(N3−1)イオンによるスルホネート基の求核置換により、スルホニル基置換シクロデキストリン分子からアミノ誘導体を生成することができる。アジド誘導体は、続いて、還元により置換アミノ化合物に転化される。このような誘導体は、対称に置換されたアミン基において製造することができる(シクロデキストリン分子上に対称に配置された2つ以上のアミノまたはアジド基を有する誘導体、または対称に置換されたアミンまたはアジド誘導体化シクロデキストリン分子としての誘導体)。窒素含有基を生じる求核置換反応により、6位の炭素原子における第1級ヒドロキシル基は、窒素含有基の導入のために最も適当な部位である。本発明において有用であり得る窒素含有基の例としては、アセチルアミノ基(−NHAc)、アルキルアミノ(メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、イソプロピルアミノ、ヘキシルアミノ、および他のアルキルアミノ置換基を含む)が挙げられる。アミノまたはアルキルアミノ置換基は、さらに、窒素原子と反応してアミン基をさらに誘導体化する他の化合物と反応性であり得る。他の可能性のある窒素含有置換としては、ジアルキルアミノ(ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど)、ピペリジノ(piperidino)およびピペリジノ(piperizino)が挙げられる。
【0036】
シクロデキストリン分子は、ペンダントイミダゾール基、ヒスチジン、イミダゾール基、ピリジノおよび置換ピリジノ基を含む複素環式核によって置換することができる。
【0037】
シクロデキストリン変性ポリビニルポリマー
シクロデキストリンは、熱可塑性ポリマーの一部として使用することもできる。シクロデキストリンはペンダント基であってもよいし、あるいはポリマー骨格内に形成されてもよい。ポリオレフィン樹脂などの最終ポリマーを含むシクロデキストリン変性ポリマーは、シクロデキストリン部分をポリオレフィンまたはポリオレフィンブレンドに共有結合でグラフトすることによって調製することができる。グラフト化は、シクロデキストリン(CD)のヒドロキシル基などの官能基と、ポリマーまたはブレンドのエポキシ酸、酸クロリドまたは無水物部分などの官能基とを反応させて、シクロデキストリンとポリオレフィンの間に結合を形成することによって達成することができる。別の実施形態では、官能化ポリマーの無水物またはエポキシド成分を使用して、反応生成物を形成することができる。例えば、シクロデキストリンの第1級ヒドロキシルは、実質的に全ての無水物基をハーフ−エステルに転化する条件下で、樹脂のエポキシ、酸クロリドまたは無水マレイン酸部分と反応される。
【0038】
変性ポリマーおよびシクロデキストリングラフト化ポリマー組成物は、本開示によると、繊維、織布または不織布、押出または成形構造、例えば、薄フィルム、積層体、半剛性フィルムおよび剛性容器などにおいて有用である。例えば、これらの構造は、フレキシブル包装構造、インサート、クロージャーまたは他の包装構成要素に機能特性を提供する。ポリマーの骨格中にシクロデキストリン部分を含有することができるポリマーは、いくつかの形態をとることができる。ポリマーは、シクロデキストリン構造から誘導される繰り返し単位を有する線状ポリマーであり得る。ポリマーは、通常は重縮合形式で、シクロデキストリンおよび1つまたは複数の他のモノマーから誘導される代替の残基を有することができる。さらに、ポリマーは、後のポリマー、またはシクロデキストリン分子を広範に架橋して高度の架橋構造にすることによって形成されるポリマーの形態をとることができる。シクロデキストリンは1−クロロ−2,3エポキシプロペンにより架橋されて、高度の架橋シクロデキストリン構造を形成することができる。シクロデキストリンの線状管は、シクロデキストリンを線状管に縮合することによって作ることができ、ポリマー構造内で、シクロデキストリンは、構造形式における「はしご」の増加として形成される。線状および高度に分枝状のシクロデキストリンポリマーは、シクロデキストリンと、エチルクロロヒドリンなどのエポキシ化合物とを重縮合させて、シクロデキストリンエチルクロロヒドリンコポリマーを形成することによって製造することができる。線状組成物は、Hwangら、「Effects of Structure of β−Cyclodextrin−Containing Polymers on Gene Delivery」,Bioconjugate Chem.,2001,12(2),pp.280−290に示されるように、シクロデキストリン分子をアミノエチル反応させてから、重縮合反応物と縮合させることによって製造することができる。
【0039】
また、本開示に従う実施形態は、約10mm未満の主要寸法および約20〜50mgの重量を有するチップも含み、このチップは、上記のような本開示の組成物を含む。
【0040】
さらなる実施形態は、ポリオレフィンウェブにより包囲される包囲容積を含む容器を含み、ウェブは上記のような組成物で構成され、このような容器は、例えば、食品の包装において有用である。さらに、本開示の組成物から調製される繊維およびフィルムも本開示に従って包含される。
【0041】
無水マレイン酸をノルマルαオレフィンへ添加することにより、アルケニルコハク酸無水物が生成される。「エン」反応は間接的置換付加である。これは、アリル水素(エン)を有するオレフィンと、エノファイル(例えば、無水マレイン酸)との反応を含む。反応は2つの不飽和炭素の間に形成される新しい結合をもたらし、アリル水素は、環状遷移状態を介して無水マレイン酸に転移する。反応は、1−ブテンからC30+ノルマルαオレフィンワックスまでの広範なノルマルαオレフィンを用いて実行することができる。無水マレイン酸分子は反応性無水物官能性をアルケニルコハク酸無水物に供給するが、長鎖アルキル部分は疎水特性を提供する。
【化3】

【0042】
無水マレイン酸誘導体などのアルケニルコハク酸無水物の材料は市販されており、C8から始まってC18まで達するアルケニル骨格を有する製品が含まれる。出発アルケンの性質を変化させる(すなわち、直鎖対異性化形態)ことによって、得られるアルケニルコハク酸無水物の物理化学特性を変更する(例えば、室温において固体対液体形態)ことができる。市販の有用な材料としては、ドデセニルコハク酸無水物、n−テトラデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、イソ−ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、およびテトラプロペニルコハク酸無水物が挙げられる。ポリメチレン鎖は便宜的な目的で特定の立体構造で示されており、本発明の組成物ではこれらの構造に一致しない。
【0043】
ヒドロカルビル置換されたコハク酸および無水物は、好ましい高分子量カルボン酸および無水物である。これらの酸および無水物は、無水マレイン酸をオレフィンまたは塩素化炭化水素(塩素化ポリオレフィンなど)と反応させることによって調製することができる。反応は、単に、2つの反応物を約100℃〜約300℃、または約100℃〜200℃の範囲の温度で加熱することだけを含む。
【0044】
この反応からの生成物はヒドロカルビル置換された無水コハク酸であり、ここで、置換基は、オレフィンまたは塩素化炭化水素から誘導される。生成物は、所望される場合には標準的な水素化手順により水素化されて、エチレン性不飽和共有結合の全てまたは一部が除去されてもよい。ヒドロカルビル置換された無水コハク酸は、水または水蒸気による処理によって、対応する酸へ加水分解され得る。高分子量のヒドロカルビル置換されたコハク酸および無水物は、式:
【化4】


によって表すことができる。式中、Rはヒドロカルビル置換基である。好ましくは、Rは、約10〜約500個の炭素原子、または約15〜約500個の炭素原子、または約18〜約500個の炭素原子を含有する。
【0045】
熱可塑性樹脂
ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンは、エチレン、プロピレンおよび他のαオレフィンモノマーのコポリマーと同様に、本発明において使用することができる。
【0046】
商業的なポリオレフィンの官能化は、当該技術分野において知られている溶液、溶融物および固体状態の経路を用いて達成される。プロセスは、ビニルポリマーまたはポリオレフィンポリマー(オレフィンとビニルモノマーなどの他のモノマーとのコポリマーを含む)上にモノマーを共有結合させる。本開示に従う修正または非修正実施形態において有用なポリオレフィンとしては、ポリ(エチレン)またはPE、ポリ(プロピレン)またはPP、ポリ(エチレン−co−プロピレン)またはPEP、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、およびエチレン/エチルアクリレートコポリマーが挙げられる。ポリオレフィンは、不飽和無水物およびカルボン酸などの不飽和化合物により官能的に修飾することができる。任意の包装グレードのビニルポリマーを使用することができる。
【0047】
ポリオレフィンおよび官能化ポリオレフィンは、食品産業用の多層フィルムおよびボトルにおける共押出結合樹脂(tie resin)、自動車産業用のエンジニアリングポリマーの相溶化剤およびプラスチック燃料タンク結合樹脂、屋根建設において使用されるケーブルおよび充填材料のためのハロゲンフリーポリマーの柔軟化および相溶化などの広範な産業用途を有する。官能化ポリオレフィンは、食品接触用の容器にも用途を見出すことができる。本開示において有用な官能化ポリオレフィンは、マレイン化ポリエチレンおよびポリプロピレン(Arkema(Pennsylvania州、Philadelphia)から入手可能なOREVACTMおよびLOTRYLTM、EQUISTAR(オランダ、Rotterdam)から入手可能なPLEXAR(登録商標)樹脂、三井化学株式会社(日本、東京)からのADMER(登録商標)樹脂、DuPont(Delaware州、Wilmington)からのFUSABOND(登録商標)樹脂、MANAS(インド)からのOPTIMTM樹脂、およびExxon/Mobil(Texas州、Houston)からのEXXELORTM)、官能化EP、EVAおよびEPDM(エチレン−プロピレン−ブタジエンまたはエチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエンポリマーなど)、エチレン−オクテンコポリマー、エチレン−nブチルアクリレート−無水マレイン酸、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸ターポリマー、ならびにエチレン−グリシジルメタクリレートのコポリマーなどである。エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエンコポリマーは、
【化5】


で表すことができ、式中、xは約70〜90重量%のエチレンを得るように選択され、yは約10〜30重量%のプロピレンを得るように選択され、そしてzは約5重量%までの1,4−ヘキサジエンを得るように選択される。空の結合は、類似の基、H、または末端基に結合している。
【0048】
当該技術分野において知られているその他のポリオレフィンを本発明の組成物において使用して、所望の加工特性または最終製品特性を付与することができる。例えば、ポリブテンを添加して、繊維強度を増大することができる。コポリマーまたはブレンドを製造するために添加可能なその他のオレフィンとしては、柔軟性を付与するための1−ヘキセンおよび1−オクテンなどのαオレフィンが挙げられる。
【0049】
本開示に従う組成物は、シクロデキストリンが溶融ポリマーとして官能化ポリオレフィンと反応し、シクロデキストリンが押出機を通って運ばれて、シクロデキストリンをポリオレフィンに共有結合させる、例えばエステル基を含有する反応生成物を形成するような温度で、乾燥シクロデキストリンまたはその誘導体(0.10%未満の水分)、官能化ポリオレフィンおよび場合により第2のポリオレフィンを押出機に供給することによって、反応押出を用いて調製することができる。非官能化ポリオレフィンに対する官能化ポリオレフィンの比率は、特定の用途および転化プロセスに対して調整することができる。
【0050】
本発明は、シクロデキストリン(CD)およびグラフト連結剤(すなわち、無水物、エポキシドなど)、ならびに不揮発性およびポリマー相溶性カルボン酸の化学量論的反応生成物に関し、特にマスターバッチとして適した変性ポリマーがもたらされ、マスターバッチは、続いて、1つまたは複数の非官能化熱可塑性ポリマーおよび熱可塑性エラストマーと共に、十(10)〜二十(20)部の非官能化ポリマーに対して一(1)部のマスターバッチ組成物の重量比でレットダウンされ得る。マレイン酸、フマル酸または無水マレイン酸官能化材料は、CDをポリオレフィンに結合させるために有用である。溶融グラフト化のための化学量論比は、グラム−モル(グラム−式−量)に基づいて計算され、ここで、一(1)グラム−モルのCD(α、βまたはγ型)は、一(1)グラム−モルのグラフト化無水物、グリシジルおよびカルボン酸部分に相当する。
【0051】
本発明の構造は、シクロデキストリン化合物および複合体化1−MCPを含有する液体を基材上に被覆することによって製造することができる。被覆される基材は、フレキシブルフィルム、ウェブ、不織もしくは織材料、またはフォームなどの任意の形態であり得る。上記の基質はどれも使用可能であるが、好ましい基質は、フィルムおよび織布または不織布形態の繊維である。基材は多孔質であっても孔がなくてもよく、そしてプラスチック、紙または布(天然または合成繊維からの)などの材料から製造することができる。
【0052】
コーティング組成物は、塗布可能な溶液、分散液または懸濁液におけるグラフト化シクロデキストリンまたは置換シクロデキストリンを含有することができる。コーティングは、液相中にコーティング材料を混ぜ合わせることによって製造することができる。このような液体は、水性材料もしくは非水性の液体、または複合体を形成しない水溶性の共溶媒(例えば、グリコールエーテル)を含有する水相を含有することができる。水性コーティングは、低コストであり製造が容易であるために好ましい。他所でも議論されるように、最終コーティングの水分含量は、1−MCP放出特性を制御するために重要である。溶媒コーティングは製造することができ、乾燥工程を必要とするかなりの量の水を含有しない利点を有する。多数の溶媒は、より短時間およびより低温の乾燥サイクルを必要とする。
【0053】
コーティングは、コーティング成分を液相中に分散または溶解させ、均一になるまで混合することによって製造することができる。このようなコーティング組成物は、主要部分の液相、通常は約50〜70重量%の液体を含有する。コーティングは、約0.5〜20重量%のシクロデキストリン(置換シクロデキストリンまたはポリマーグラフト化シクロデキストリンの形態のシクロデキストリンとして計算される)を含有することができる。シクロデキストリン化合物中のシクロデキストリンの量に応じて、コーティング組成物は、約5〜40重量%のシクロデキストリン化合物を含有することができる。シクロデキストリンは、通常、小粒子または小粒子分散体の形態でコーティング組成物中に導入される。このような小粒子は、液相への添加の前に形成されるが、添加後に機械的に形成することもできる。
【0054】
このようなコーティング組成物は、通常、コーティング目的に適したビニルポリマーを含む。このようなポリマーは、通常、急速乾燥溶媒材料も含有し得る水溶液中に配合される。典型的なコーティング組成物は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなど(アセテート、アクリル、スチレン(sytrenic)、多糖類、アクリルアミド/アクリレートコポリマー、およびカルボキシメチルセルロースおよび他のポリマー系を含む)と、ゲル化剤(カラギナンおよびゼラチンなどの天然に存在する化合物を含む)、増量剤、バインダー、潤滑剤、界面活性剤および/または分散剤、湿潤剤、展着剤、分散剤、粘着剤、接着剤、消泡剤、増粘剤、乳化剤、無機剤(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、硝酸マグネシウム、および硝酸アルミニウムなど)などの補助剤または賦形剤と、これらの組み合わせおよび混合物を含む。
【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
「農産物」材料という用語は本明細書では包括的な意味で使用され、生きて呼吸をしており、エチレンを発生する植物材料を含む。樹木および低木などの木茎(woody−stemmed)植物が含まれる。本明細書中に記載される方法によって処理される植物には、植物全体およびその任意の部分、例えば、農作物、鉢植え、切り花(茎および花)、ならびに収穫した果実および野菜などが含まれる。これらには、成熟ホルモンとしてのエチレンの存在または発生のために成熟または熟成する任意の植物が含まれる。本発明は、様々な異なるエチレン応答を変更するために使用することができる。エチレン応答は、外因性または内因性のエチレン源によって開始され得る。エチレン応答には、例えば、花、果実および野菜の熟成および/または老化、葉、花および果実の脱離、鉢植え、切り花、低木、および休眠中の苗などの観賞植物の命の延長、一部の植物(例えば、エンドウ豆)における成長の抑制、そして他の植物(例えば、コメ)における成長の刺激が含まれる。本発明の活性化合物によって抑制され得る付加的なエチレン応答またはエチレン型応答としては、オーキシン活性、頂端成長の抑制、頂芽優勢の制御、枝分かれの増大、分げつの増大、植物の生化学的組成の変化(茎の領域に対する葉の領域の増大など)、開花および種子発生の不全または抑制、倒伏効果、種子発芽および休眠打破の刺激、ならびにホルモンまたは上偏生長効果が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
レタス、ホウレンソウおよびキャベツなどの緑色葉野菜を含む野菜は、熟成および/または老化を抑制するために本発明の方法によって処理することができる。ジャガイモおよびニンジンなどの種々の根野菜も含まれる。チューリップ、シャロット、タマネギなどの鱗茎からの植物、バジル、オレガノ、ディルなどのハーブ、そして大豆、ライマメ、エンドウマメ、コーン、ブロッコリー、カリフラワー、およびアスパラガスも含まれる。果実には、トマト、リンゴ、バナナ、洋ナシ、パパイヤ、マンゴー、モモ、アプリコット、ネクタリン、柑橘類(オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、タンジェリンを含む)、他の果実(キウイ、メロン、例えばカンタロープ、マスクメロン、パイナップル、カキなど)、種々の小果実(イチゴ、ブルーベリーおよびラズベリーなどのベリーを含む)、サヤインゲン、キュウリおよびアボカドが含まれる。鉢植えまたは切り花などの花、葉、茎(タケ)からの観賞的な特徴を有する観賞植物にも本発明が役立つことができる。ツツジ、アジサイ、ハイビスカス、キンギョソウ、ポインセチア、サボテン、ベゴニア、バラ、チューリップ、ラッパズイセン、ペチュニア、カーネーション、ユリ、グラジオラス、アルストロメリア、アネモネ、オダマキ、アラリア、アスター、ブーゲンビリア、ツバキ、ベルフラワー、ケイトウ、キク、クレマチス、シクラメン、フリージア、およびランが含まれる。本発明の方法によって処理可能な植物には、綿、リンゴ、洋ナシ、サクランボ、ペカン、ブドウ、オリーブ、コーヒー、サヤマメおよびイチジク、ならびにリンゴを含む種々の果樹、観賞植物、低木、および樹木苗などの休眠中の苗が含まれる。さらに、イボタノキ、カナメモチ(photinea)、モチノキ、シダ、シェフレラ、アグラオネマ、コトネアスター、メギ、ヤマモモ、ツクバネウツギ、アカシアおよびアナナスを含む低木は、本発明の方法によって処理することができる。また、若枝、植え付けストック(planting stock)、接ぎ木ストック(grafting stock)、種子、鱗茎、プランティングアイ(planting eye)、花などを含む、生きているまたは呼吸している植物および植物材料(食用または観賞植物材料を含まない)も含まれる。
【0059】
以下の例示的なセクションには、フィルムおよび繊維形態の熱可塑性材料の実施例が含有され、また代替の抑制剤化合物の使用に関する熱可塑性材料の特性を示すデータも含有される。これらのデータにおいて、化合物1−ブテンがモデル化合物として使用される。この化合物が使用されるのは、抑制剤材料の本発明の熱可塑性材料中への導入において1−MCPの特性を模倣することができると共に、使用条件下で材料の放出特性を模倣することができる安価な材料であるからである。
【実施例】
【0060】
本発明のポリマー材料において、成分は、マスターバッチまたは最終ブレンドポリマー材料のいずれかの形成、ウェブの性質、および含有される農産物に応じて、以下のレベルで使用することができる。
【0061】
【表4】

【0062】
実施例およびデータ
繊維実施例1:
1メートルのReifenhauserスパンボンドファブリックラインにおいて製造したスパンボンド繊維。21.4gm/平方メートルの坪量および20μの繊維を有し、以下を有する:
1.5%の、ポリオレフィンブレンド上にグラフト化されたα−シクロデキストリン(Cavamax W6A ロット60F203、Wacker Chemieにより製造)
5.0%のFusabond 411D ロットVR30087227(DuPontにより製造)
5.0%のFusabond 353D ロットVR30091736(DuPontにより製造)
2.8%のPoly B 0300M(Baselにより製造)
86%のポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン3155、ExxonMobilにより製造)
【0063】
対照繊維実施例1:1メートルのReifenhauserスパンボンドラインにおいて製造したSBスパンボンド繊維。21.4gm・m2の坪量、20μの繊維を有する。
100%のポリプロピレン3155(ExxonMobil)
【0064】
フィルム実施例2:
3層共押出ブローされたポリエチレンフィルム構造−厚さ6ミル。
外側シーラント層(それぞれ2ミル):
2%の、ポリオレフィン上にグラフト化されたα−シクロデキストリン(Cavamax W6A ロット60F203、Wacker Chemieにより製造)。
21.5%のIntegrate NE542−013(Equistarにより製造)。
38.2%のAffinity PF1140G(Dow Plasticsにより製造)。
38.3%のExact 8852G(ExxonMobilにより製造)。
コア(2ミル):Mobil LGA 105低密度ポリエチレン。
【0065】
フィルム実施例2:
3層共押出ブローされたポリエチレンフィルム構造−厚さ6ミル。
外側シーラント層(それぞれ2ミル):
2%の、ポリオレフィンブレンド上にグラフト化されたα−シクロデキストリン(Cavamax W6A ロット60F203、Wacker Chemieにより製造)。
50%のAffinity PF1140G(Dow Plasticsにより製造)。
50%のExact 8852G(ExxonMobilにより製造)。
コア(2ミル):Mobil LGA 105低密度ポリエチレン。
【0066】
コーティング実施例1:
脱イオン水
85.75%
Airflex(登録商標)920エマルジョン(Air Products and Chemicals,Inc(Allentown,PA18195))
9.50%
Pluronic 31R1(BASFにより製造)。
0.75%
α−シクロデキストリン(Cavamax W6F、Wacker Chemieにより製造)
4.00%
【0067】
フィルムおよびスパンボンド繊維サンプルの製造手順
第1のサンプルセット:フィルム実施例2のサンプルおよび対照フィルム実施例2のサンプルをそれぞれ4インチ×4インチのシートに切断した。
【0068】
第2のサンプルセット:スパンボンド繊維実施例1のサンプルおよび対照繊維実施例1のサンプルを8.3インチ×8.3インチのシートに切断した。
【0069】
第1のフィルムのセットは、0.13%の水分含量を有することが分かった。20℃および50%の湿度の貯蔵室にフィルムを予め6週間よりも長い間貯蔵した。
【0070】
第1の繊維のセットは、0.17%の水分含量を有することが分かった。温度および湿度が制御されていない倉庫空間に繊維を6週間よりも長い間貯蔵した。
【0071】
第2のサンプルのセットは、真空オーブン内に入れて乾燥させた。繊維については100℃、そしてフィルムについては60℃の温度で24時間の間、真空を0.1mmHgよりも高く保持した。フィルムおよび繊維の乾燥サンプルは、0.08%未満の水分含量を有した。
【0072】
第1のサンプルセットおよび第2のサンプルセットの両方について、4種類のそれぞれの75枚のシートを別々の3リットルのTedlarガスサンプルバッグに入れた。次に、シートを入れた後に、シートを挿入するために切り開かれたTedlarバッグを直接ヒートシーラ―を用いて再密封した。密封したら、バッグ内に組み込まれたステンレス鋼の付属品を介して、Tedlarバッグ内に閉じ込められた全ての残留空気をガラスシリンジにより引き出した。次に、空気を抜いたバッグに150mLの99.0%の1−ブテンガスを注入した。両化合物ともエチレン発生の抑制能力を有し、類似の分子サイズ、4つの炭素原子および1つのオレフィン結合を有するので、1−ブテンを1−MCPの代用として使用した。
【0073】
フィルム実施例2のサンプルを有するバッグの場合、このガスの量は、1−ブテン対α−CDのモル比が4.5:1に変換される。繊維実施例1のサンプルを有するバッグの場合、このガスの量は1−ブテン対α−CDのモル比が5.9:1に変換される。複合体形成を促進するために、1−ブテンの過飽和が所望される。次に、Tedlarバッグおよびその内容物を5Lの圧力容器に入れた。窒素の導入により圧力容器を20℃において120±5psigに加圧した。容器をこの圧力および温度で24時間保持した。加圧の24時間後、Tedlarバッグを容器から取り出し、シートをバッグから取り出し、1時間〜1週間の範囲の期間、周囲条件(20℃および50%RH)に暴露した。
【0074】
被覆メルトブローン繊維のサンプル製造手順
CDを含有しないメルトブローン(MB)繊維のサンプルを6インチ×6インチのシートに切断した。これらのシートを、CD含有コーティングまたはCD含量がゼロの対照コーティングのいずれかで被覆した。両コーティングは、85.76%の水、9.52%のAirflex(登録商標)920エマルジョン、および0.75%のPluronic界面活性剤であった。Airflex(登録商標)920エマルジョンは55%の固体であり、酢酸ビニルポリマー、水および7732−18−5殺生物剤を含有する。Pluronicは、明確に、トリブロックコポリマーのポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)で構成され、1のHLB(親水性−親油性バランス)を有する。CD含有コーティングは、4.00%のαシクロデキストリン含量を有した。対照コーティングは、4.00%のD−(+)−マルトース一水和物含量を有した。
【0075】
繊維サンプルが完全に濡れるまで、コーティングを繊維に塗布した。コーティングが塗布されたら直ちに、サンプルを周囲条件下で吊るして乾燥させた。繊維の表面全体でコーティングが均一に乾燥するように、繊維サンプルを周期的に反転させた。手で触れられるまで乾燥したら、繊維サンプルを真空オーブンに入れて乾燥させた。真空は、100℃の温度で24時間、0.1mmHg未満に保持した。乾燥繊維サンプルは0.18%未満の水分含量を有した。
【0076】
次に、対照およびCD被覆メルトブローン繊維シートの50枚を2つの別々のTedlarバッグに入れた。次に、シートを入れた後に、シートを挿入するために切り開かれたTedlarバッグを直接ヒートシーラ―を用いて再密封した。密封したら、バッグに取り付けられたステンレス鋼の付属品を介して、Tedlarバッグ内に閉じ込められた全ての残留空気をガラスシリンジにより引き出した。次に、空気を抜いたバッグに100mLの99.0%の1−ブテンガスを注入した。このガスの量は、1−ブテン対α−CDのモル比が4.5:1に変換される。次に、Tedlarバッグおよびその内容物を5Lの圧力容器に入れた。圧力容器を窒素により120±5psigに加圧した。容器をこの圧力で24時間保持した。加圧後、Tedlarバッグを容器から取り出し、シートをバッグから取り出し、分析の前に24および48時間、周囲条件(20℃および50%RH)にさらした。
【0077】
分析試験方法
静的吸着試験方法は、固定容積(例えば、密封ガラスボトル内に保持される容積)によって包囲された試験基材(フィルムまたは繊維のシート)に関して最も容易に説明される。試験基材および容積は、最初は、閉鎖容積ボトルの内部に試験溶質(1−ブテン抑制剤)を含まなかった。ゼロの時点で、特定の重量の試験基材を、密封ガラスボトル(テフロン(登録商標)仕上げのシリコーンスクリューキャップシールを有する250mLの血清ボトル(serum bottle))内に入れた。試験基材をボトルに導入した後、種々の時間間隔で、ヘッドスペースの1−ブテンの濃度を測定した。試験構造を包囲する1−ブテンのヘッドスペース濃度は、ガスクロマトグラフィを用いて定量した。
【0078】
フレームイオン化検出(FID)と共に操作されるガスクロマトグラフ(HP 5890)、1mLのサンプリングループを有する6ポート加熱サンプリングバルブ、およびデータ収集ソフトウェア(HP ChemStation A06.03−509)を用いて、1−ブテンのヘッドスペース濃度を測定した。静的なヘッドスペース濃度は、試験サンプルにおいて5点による1−ブテン較正曲線を用いて決定し、これは、250mLのボトル容積当たりの1−ブテンのμLで測定され、μL/Lまたはppm(parts per million)(容積/容積)で提供された。
【0079】
試験基材を、テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔壁を有する250mLの血清ボトルに入れた。試験期間中、血清ボトルを室温(20℃)で維持した。各サンプリング間隔において、GCカラムに直接連結されたValco Instrument6ポート手動ガスサンプリングバルブ(Valco#DC6WE)を用いてサンプルボトルから1mLのガスを取り出すことによって、血清ボトルのヘッドスペースをサンプリングした。
【0080】
【表5】

【0081】
1−ブテン作業標準は、1リットルの空気を含有するTedlar(登録商標)ガスサンプリングバッグ中に10mLの99.0%純度の1−ブテンガス(Scotty Gas #BUTENE01)を希釈することにより調製した。1−ブテン作業標準濃度は10,226μL/L(PPM)であった。
【0082】
較正標準は、テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔壁が取り付けられた250mLの血清ボトルに、250μLの気密性シリンジ(Hamilton Gastight(登録商標)#1725)を用いて50、100、200、300および400μLの作業標準を注入することにより、5つの濃度レベルで調製した。ChemStationソフトウェアを使用し、直線回帰式を用いて1−ブテン応答係数を計算した。1−ブテン標準曲線の相関係数は0.999であった。
【0083】
試験基材を250mLの血清ボトル内に入れ、室温条件(20℃)で1時間そのまま放置した。この1時間の後、ヘッドスペースを分析し、正確な1−ブテンヘッドスペース濃度を得た。ヘッドスペースは、GC/FIDによって分析した。挿入句的に、最初の1時間、瓶のヘッドスペースの湿度が不足しているために試験基材からの脱着は少ししかあるいはまったく生じなかった。
【0084】
初期ヘッドスペースサンプルを採取した後、50μLの脱イオン水を瓶に注入して、瓶の内部に100%の湿った大気を作った。液体の水がフィルムまたは繊維サンプルと直接接触しないように気を付けた。容積内の水蒸気は容積全体にわたって平衡化した。水の注入の1時間後に、第2のヘッドスペースサンプルを分析した。最終ヘッドスペースサンプルは、水の注入の24時間後に分析した。サンプルを4通り分析し、値を平均した。1時間およびその後のヘッドスペースサンプリング時間における脱着は、初期に測定された1−ブテン濃度からの差異によって決定される。
【0085】
【表6】

【0086】
これらのデータは、乾燥、1時間加湿、および24時間加湿したSB繊維のシートを含有する250mLの瓶のヘッドスペース内の1−ブテンの平均量を示す。1−ブテンへの加圧暴露の後に様々な時間、繊維シートを大気(20℃および50%RH)に暴露した。1−ブテン加圧前のサンプルの水分含量は0.08%未満であった。本発明の加湿サンプルにおいて、1−ブテンモデル化合物の放出は、144時間または6日間を通して得られた。抑制剤を含有しない対照サンプルおよび乾燥サンプルとは極めて対照的であり、本発明の実施例と比較して、いずれも有効な放出を維持することができなかった。
【0087】
【表7】

【0088】
これらのデータは、乾燥、1時間加湿、および24時間加湿したフィルムのシートを含有する250mLの瓶のヘッドスペース内の1−ブテンの平均量を示す。1−ブテンへの加圧暴露の後に様々な時間、フィルムシートを大気(20℃および50%RH)に暴露した。1−ブテン加圧前のサンプルの水分含量は0.08%未満であった。本発明の加湿サンプルにおいて、1−ブテンモデル化合物の放出は、144時間または6日間を通して得られた。抑制剤を含有しない対照サンプルおよび乾燥サンプルとは極めて対照的であり、本発明の実施例と比較して、いずれも有効な放出を維持することができなかった。
【0089】
【表8】

【0090】
これらのデータは、乾燥、1時間加湿、および24時間加湿したSB繊維のシートを含有する250mLの瓶のヘッドスペース内の1−ブテンの平均量を示す。1−ブテンへの加圧暴露の後に様々な時間、繊維シートを大気(20℃および50%RH)に暴露した。1−ブテン加圧前のサンプルの水分含量は、0.17%であった。
【0091】
【表9】

【0092】
これらのデータは、乾燥、1時間加湿、および24時間加湿したフィルムのシートを含有する250mLの瓶のヘッドスペース内の1−ブテンの平均量を示す。1−ブテンへの加圧暴露の後に様々な時間、フィルムシートを大気(20℃および50%RH)に暴露した。1−ブテン加圧前のサンプルの水分含量は、0.13%であった。本発明の加湿サンプルにおいて、1−ブテンモデル化合物の放出は、288時間または12日間を通して得られた。抑制剤を含有しない対照サンプルおよび乾燥サンプルとは極めて対照的であり、本発明の実施例と比較して、いずれも有効な放出を維持することができなかった。
【0093】
【表10】

【0094】
これらのデータは、120psigで6時間および24時間1−ブテンに暴露した繊維、0psigで24時間および48時間1−ブテンに暴露した繊維を含有する250mLの瓶のヘッドスペース内の1−ブテンの平均量を示す。いずれの場合にも、STPにおいて150mlの1−ブテンガスを有する3リットルのTedlarバッグにつき75枚の8.3×8.3インチの繊維ウェブのシートであった。複合体形成前の繊維の水分含量は、0.17%未満であった。より高い圧力で製造した材料はより多くの量の抑制剤を放出した。
【0095】
【表11】

【0096】
これらのデータは、120psigで6時間および24時間1−ブテンに暴露したフィルム、0psigで24時間および48時間1−ブテンに暴露したフィルムを含有する250mLの瓶のヘッドスペース内の1−ブテンの平均量を示す。いずれの場合にも、STPにおいて150mlの1−ブテンガスを有する3リットルのTedlarバッグにつき75枚の4.0×4.0インチのフィルムのシートであった。複合体形成前のフィルムの水分含量は、0.13%未満であった。より高い圧力で製造した材料はより多くの量の抑制剤を放出した。
【0097】
【表12】

【0098】
これらのデータは、乾燥、1時間加湿、および24時間加湿した被覆メルトブローン繊維のシートを含有する250mLの瓶のヘッドスペース内の1−ブテンの平均量を示す。1−ブテンへの加圧暴露の後に24および48時間、繊維シートを大気に暴露した。24時間の1−ブテン加圧前のサンプルの水分含量は、0.18%未満であった。本発明の被覆MBサンプルの加湿サンプルにおいて、1−ブテンの放出は、20℃および50%相対湿度(RH)で24および48時間の大気暴露の同じ大気暴露時間のスパンボンド繊維またはフィルムのいずれによって達成されるよりも多かった。抑制剤を含有しない対照サンプルおよび乾燥サンプルとは極めて対照的であり、本発明の被覆メルトブローン実施例と比較して、いずれも有効な放出を維持することができなかった。
【0099】
要約すると、これらのデータは、本発明の組成物を含有する加湿包囲空間が、20℃および50%RHの最大12日間の長期の大気暴露の間、有効量のオレフィン系抑制剤化合物の放出をもたらし得ることを示す。データはさらに、農産物の貯蔵中に達成される高い相対湿度における、複合体化されたオレフィン系化合物の、フィルム、繊維および被覆繊維からの有効な放出をデータが支援することを示す。
【0100】
フィルムの説明
フィルム実施例3
3層、共押出6ミルブローンフィルム
外側層:各層2ミル、以下を含む:
2.0%の、ポリオレフィンブレンド上にグラフト化されたα−シクロデキストリンCavamax W6A lot 60F203(Wacker Chemie)
21.5%のIntegrate NE542−013
38.2%のAffinity PF1140G(Dow Plastics)
38.3%のAffinity 8852G(Dow Plastics)
コア:2ミルのMobil LGA 105 LDPE
【0101】
1−MCPガスの抽出およびサンプル調製のための手順
1−メチルシクロプロペン(1−MCP)は、シクロデキストリン粉末との複合体の形態で入手した。粉末は5重量%の1−MCPを含有すると推定された。1−MCPを抽出するために、50mLの脱イオン水を含有するポーチと共に、500gの粉末を3LのTedlarバッグ内に入れた。バッグを密封し、実験室の空気をそこから排出した。密封および排気したら、水のポーチを破裂させ、水を粉末と接触させた。高い湿度にさらされるとガス状の1−MCPがCD/1−MCP複合体から生成された。しばらくすると、バッグは1−MCPガスで充満された。次に、シリンジを用いてバッグから150mLのガス状1−MCPを抽出し、75枚のフィルムのシートを含有する別の密封および排気された3LのTedlarバッグに注入した。次に、このバッグを圧力容器内に入れた。容器を120±5psigに加圧した。容器をこの圧力で40時間保持した。この時間の後、フィルムを容器およびバッグから取り出し、制御した実験室大気(20℃、50%RH)またはデシケータのいずれかに配置した。
【0102】
試験手順
1.フィルムを、6、24、168時間、実験室大気に暴露するか、あるいはデシケータ内に保存した。
2.250mlの瓶につき1枚のフィルムサンプル。
3.乾燥、1時間加湿、および24時間加湿したときに瓶のヘッドスペーをサンプリングした。
【0103】
実験室大気またはデシケータ中のいずれかで保存した後、所望の時間、1枚のフィルムサンプルを250mLの瓶に入れた。瓶を20℃で1時間静置させた。次に、1mLアリコートの瓶ヘッドスペースを溶融シリカPLOTカラムに載せた。このヘッドスペースサンプルを採取した後、50μLの脱イオン水を瓶に注入して、瓶内に100%湿った大気を形成した。水がサンプルと直接接触しないように気を付けた。水の注入の1時間後に、第2のヘッドスペースサンプルを分析した。最終ヘッドスペースサンプルは、水の注入の24時間後に分析した。生成したガスクロマトグラフを使用して、瓶内の1−MCP含量を決定した。
【0104】
1−MCPで加圧されたフィルムのデータ
【0105】
【表13】

【0106】
データは、さらに、増大した圧力においてシクロデキストリン化合物の中央細孔の内部に抑制剤化合物を導入するために、乾燥熱可塑性材料およびコーティング材料を使用することの重要性を示す。
【0107】
上記は、本発明の実施形態を開示する。本明細書および特許請求の範囲において、例えば、組成物中の成分の量、濃度、容積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流速、圧力、および同様の値、およびその範囲を修飾する、本開示の実施形態の説明で使用される「約」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物の製造または製剤の使用のために使用される典型的な測定および取扱い手順によって、これらの手順における不注意な誤差によって、方法を実行するために使用される出発材料または成分の製造、供給源、または純度の差異によって、そして同様の近似の検討事項によって生じ得る数量の変動を指す。また「約」という用語は、特定の初期濃度または混合物を有する製剤の経年劣化により異なる量、および特定の初期濃度または混合物を有する製剤の混合または加工のために異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されている場合、本明細書に付属の特許請求の範囲は、これらの量と同等の量を含む。「任意の」または「任意選択により」は、これに続いて記載される事象または状況が発生し得るが、必ずしも発生しなくてもよいこと、そしてその記載が、事象または状況が発生する場合および発生しない場合を含むことを意味する。本発明は、適切に、開示または列挙されるあらゆる要素を含む、これらからなる、本質的にこれらからになることができる。従って、本明細書において説明として開示される本発明は、本明細書において明確に開示されていない任意の要素が存在しなくても適切に実施することができる。単数形の使用は、通常、複数形を含み、少なくとも複数形を排除しない。
【0108】
明細書、図面、実施例およびデータは、今まで開発されてきたような本発明の詳細な説明を提供する。しかしながら、本発明は、本発明の趣旨または意図される範囲から逸脱することなく、不織布、繊維、フィルム、シート、ボトル、キャップ、および他の実施形態の形を取ることができる。従って、本発明は付属の特許請求の範囲に存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物の成長および熟成調節タンパク質のエチレン受容体部位の、放出可能なオレフィン系拮抗剤を含む熱可塑性組成物であって、前記組成物が主要部分の熱可塑性ポリマーを含み、約1〜65重量%の熱可塑性ポリマーが、約0.1〜20重量%のシクロデキストリン部分を含み、前記シクロデキストリン部分が中央細孔構造を画定し、前記シクロデキストリン部分の前記中央細孔構造が、農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤によって占有されており、前記抑制剤が、
【化1】


(式中、R1、R2はそれぞれ独立して、水素またはC1〜16ヒドロカルビル基であり、R3およびR4は独立してC1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただしR1またはR2の少なくとも1つはメチルである)
を含む、組成物。
【請求項2】
1−メチルシクロプロペンを含む前記抑制剤が約0.0001〜3重量%で存在しており、前記ポリマーが、シクロデキストリン化合物から誘導されたランダム置換共有結合基を含む置換基を有するポリマー骨格を含む変性ポリマー樹脂を含み、前記組成物が約0.1〜20重量%の前記シクロデキストリン化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーがシクロデキストリン化合物のコーティングを含み、前記コーティング組成物が約0.1〜20重量%の前記シクロデキストリン化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が約0.0001〜3重量%のエチレン拮抗剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤が1−メチルシクロプロペンを含み、前記シクロデキストリン中の前記中央細孔構造の約0.5〜10%が、1−メチルシクロプロペンによって占有されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が1800ppm未満の水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
約1〜85重量%のポリオレフィン樹脂および約0.1〜約65重量%のシクロデキストリン変性ポリオレフィン樹脂を含み、前記ポリオレフィン樹脂が約0.5〜1500g・10分−1のメルトインデックスを含み、前記変性ポリオレフィン樹脂が、約0.7〜800g・10分−1のメルトインデックスを有するポリマーから誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオレフィンがポリエチレンまたはポリプロピレンを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物を含む繊維。
【請求項10】
請求項9に記載の繊維を含む布。
【請求項11】
不織布を含む、請求項10に記載の布。
【請求項12】
約0.2〜50ミクロンの直径を有する、請求項9に記載の繊維。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物を含むフィルム。
【請求項14】
ポリマーウェブによって画定された包囲体を含むフレキシブルパッケージであって、請求項1に記載の組成物を含む構成要素を含み、農産物のための内部容積を有するパッケージ。
【請求項15】
前記構成要素が、前記包囲体を画定する前記ポリマーウェブを含む、請求項14に記載のパッケージ。
【請求項16】
前記構成要素が不織布パッケージインサートを含む、請求項14に記載のパッケージ。
【請求項17】
前記ウェブが、厚紙層と結合ポリオレフィン層とを含む積層体を含む、請求項14に記載のパッケージ。
【請求項18】
ポリマーウェブによって画定された包囲体を含む剛性容器であって、請求項1に記載の組成物を含む構成要素を含み、農産物のための内部容積を有する容器。
【請求項19】
前記構成要素が、前記容器を画定する前記ポリマーウェブを含む、請求項18に記載の容器。
【請求項20】
前記構成要素が不織布パッケージインサートを含む、請求項18に記載の容器。
【請求項21】
前記ウェブが、厚紙層と結合ポリオレフィン層とを含む積層体を含む、請求項18に記載の容器。
【請求項22】
有効な成熟抑制量のエチレン拮抗剤を放出するための方法であって、
(i)包囲容積を有する、請求項に1記載の組成物を含むパッケージ内に、農産物を導入するステップと、
(ii)前記包囲容積内の湿度を約50%よりも高い相対湿度に調整して、前記成熟抑制量のエチレン拮抗剤の放出を引き起こすステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記オレフィン系抑制剤が1−メチルシクロプロペンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記包囲容積が約0.2〜10ppmのオレフィン系抑制剤を含有する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記パッケージが、フィルム、剛性または半剛性ポリマーシートを含み、前記1−メチルシクロプロペンが前記ポリマー材料から誘導される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記パッケージが、前記農産物または農産物材料と組み合わせて、前記シクロデキストリンの前記中央細孔内に前記オレフィン系抑制剤を有する前記シクロデキストリン分子を含むポリマー組成物を含有する、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記パッケージが織布または不織布を含有する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記パッケージを約4〜約30℃の温度で24〜2000時間の間保持することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
エチレン拮抗剤を放出することができる熱可塑性シクロデキストリン組成物を形成する方法であって、
(i)前記熱可塑性組成物中のシクロデキストリン1モル当たり8モル未満の水が存在するような条件下の包囲空間中で、前記熱可塑性シクロデキストリン組成物を農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤と接触させるステップと、前記シクロデキストリン化合物1モル当たり約0.001〜0.1モルの、前記農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤を有するシクロデキストリン組成物を形成するステップとを含む方法。
【請求項31】
前記シクロデキストリンが、シクロデキストリン1モル当たり約0.5〜約10モルの抑制剤のモル比で、前記オレフィン系抑制剤と接触される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記オレフィン系抑制剤が1−メチルシクロプロペンを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記方法における前記包囲空間の水分含量が約10〜約4,000ppmの水である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、約0〜約100℃の温度および約1〜約25気圧の圧力で実行される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記包囲空間が、前記包囲容積の内容物1,000,000重量部当たり約400〜80,000重量部の前記抑制剤を含有する蒸気相を含む、請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2013−513719(P2013−513719A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544678(P2012−544678)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/060067
【国際公開番号】WO2011/081877
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(509234032)セルレシン テクノロジーズ, エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】