説明

ポリマーの製造方法

【課題】 ポリマーの製造方法において、粘度の異なる原料類を混合する場合であっても、粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリマー、特に好ましくはポリウレタンを、安定的に、効率良く製造できるポリマーの製造方法を提供すること。
【解決手段】 分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーを含有する流体(I)と前記反応性官能基と反応する官能基を分子内に2つ以上有する化合物を含有する流体(II)とを、前記の流体(I)と(II)が混合可能な構造を有するマイクロミキサーを用いて、該流路内で液密の加圧状態で混合した後、さらに流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることを特徴とするポリマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、本発明はマイクロリアクターを用いたポリウレタンを短時間で効率よく円滑に製造する方法に関するものであり、特に、例えば、粘度の異なる液体を混合する、例えば、ポリウレタンの製造方法に好適な製造方法である。
【背景技術】
【0002】
有機ポリイソシアナートと有機ポリヒドロキシル化合物によるプレポリマー化反応によって得られる分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーを分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物を用いて鎖延長反応を行うことにより得られるポリウレタンウレア組成物は弾性繊維、弾性フィルム、エラストマー状の各種成形品、人工皮革の表面膜や各種塗料などの表面被覆物、含浸剤などに優れたゴム状弾性を有する種々の原料として用いられている。
分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーを分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物の反応は反応速度が非常に速いために、分子末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物との反応の段階において急激かつ局所的に反応が進行し、溶液の粘度の偏りが生じたりするため得られたポリウレタンウレア組成物の分子量分布が広がり加工性に問題を生じたりした。
本問題を解決する手段として、鎖延長剤溶液中にウレタンプレポリマーを導入することで安定なポリウレタン溶液の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、本技術においては高粘度のプレポリマーを反応器中に挿入しなければならず、実施には困難を伴う。また、有機ジイソシアナートと活性水素を2個含む分子量250〜4000の直鎖状分子と反応させ、得られたプレポリマーを溶剤に希釈し、ジアミン・モノアミン混合物の溶液を用いて鎖延長してポリウレタン溶液を製造する際に、特定の有機溶剤を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この技術においては有機溶剤としてN,N’−ジメチルイミダゾリジノンという特殊な溶剤を使用する必要があり一般的ではなかった。
【0003】
近年、石油エネルギーの高騰から化学製品の製造方法の抜本的な見直しが迫られてきている。その中で、マイクロリアクターに対する関心が高まってきている。マイクロリアクターは狭い空間で反応を行う装置であり大掛かりな装置の導入も不必要で、投資コスト、製造コストの削減も期待される。また、マイクロリアクターは狭い空間で反応を行うため単位体積あたりの比表面積が大きく、このため反応温度の制御が容易であるという特長を有することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特公昭49−11476
特許文献2:特開平8−165320
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ポリマーの製造方法において、粘度の異なる原料類を混合する場合であっても、粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリマー、特に好ましくはポリウレタンを、安定的に、効率良く製造できるポリマーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、2液が混合可能な構造を有する内部に微小管状流路が形成されたマイクロミキサーを用い、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物を、該流路内において液密の加圧状態で混合した後、さらに流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることで、粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを安定的に効率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーを含有する流体(I)と前記反応性官能基と反応する官能基を分子内に2つ以上有する化合物を含有する流体(II)とを、前記の流体(I)と(II)が混合可能な構造を有するマイクロミキサーを用いて、該流路内で液密の加圧状態で混合した後、さらに流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることを特徴とするポリマーの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポリマーの製造方法において、粘度の異なる原料類を混合する場合であっても、粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリマー、特に好ましくはポリウレタンを、安定的に、所望の当量比の高分子量で、効率良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の製造方法に用いる化学反応デバイス1の3種類のプレート構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の製造方法に用いる化学反応デバイス1の3種類のプレート積層斜視図である。
【図3】本発明の製造方法に用いる化学反応デバイス1の継手部を含めた概略図全体構成を示す水平断面図である。
【図4】本発明の製造方法に用いる化学反応デバイス2の2種類のプレート構造を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の製造方法に用いる化学反応デバイス2の2種類のプレート積層斜視図である。
【図6】本発明の製造方法に用いる化学反応デバイス2の継手部を含めた概略図全体構成を示す水平断面図である。
【図7】実施例で用いた製造装置を模式的に示す概略構成図である。
【図8】実施例におけるポリウレタン調製時のNCO/NH2比に対する実施例で得られたポリウレタン溶液の気泡式粘度計粘度プロット図
【図9】実施例で得られたポリウレタン溶液の重量平均分子量(Mw)と重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比のプロット図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次いで、本発明を実施するにあたり、必要な事項を具体的に述べる。
【0011】
本発明で用いる分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーにおける反応性官能基とは、例えば、イソシアネート基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。また、前記反応性官能基と反応する官能基を分子内に2つ以上有する化合物における官能基としては、アミノ基、水酸基、イソシアネート基が挙げられる。
【0012】
従って下記の組み合わせが挙げられる。
(1)分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーとして、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーと、前記反応性官能基と反応する官能基を分子内に2つ以上有する化合物として分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物の組み合わせ。
(2)分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーとして、分子末端にアミノ基を有するプレポリマーと、前記反応性官能基と反応する官能基を分子内に2つ以上有する化合物として分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物の組み合わせ。
(3))分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーとして、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーと、前記反応性官能基と反応する官能基を分子内に2つ以上有する化合物として分子内に2つ以上の水酸基を有する化合物の組み合わせ。
(4))分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーとして、分子末端に水酸基を有するプレポリマーと、前記反応性官能基と反応する官能基を分子内に2つ以上有する化合物として分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物の組み合わせ。
【0013】
本発明のポリマーの製造方法について、前記(1)の組み合わせを例に挙げて説明する。なお、この場合得られる樹脂はポリウレタンである。
【0014】
前記ポリウレタンは、活性水素原子含有基を有する化合物(x)とイソシアネ−ト基を有する化合物(y)とを反応させて得られる分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマー(A)と、分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物(B)を反応させて得られるものである。
【0015】
前記ポリウレタンの製造に使用する分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマー(A)は、活性水素原子含有基を有する化合物(x)とイソシアネ−ト基を有する化合物(y)とを、前記化合物(y)が有するイソシアネ−ト基と、前記化合物(x)が有する活性水素原子含有基との当量割合[イソシアネート基/活性水素原子含有基]が1を超える条件で反応させることによって製造することができる。
【0016】
また、活性水素原子含有基を有する化合物(x)とイソシアネ−ト基を有する化合物(y)とを、前記化合物(y)が有するイソシアネ−ト基と、前記化合物(x)が有する活性水素原子含有基との当量割合[イソシアネート基/活性水素原子含有基]が1未満であれば、前記(2)又は(4)に例示されたポリマーを製造することができる。
【0017】
前記活性水素原子含有基を有する化合物(x)としては、例えばポリオールを使用することができる。前記ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、および、低分子量ポリオール等を使用することができる。
【0018】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、分子中に活性水素原子含有基を2個以上有する開始剤と、アルキレンオキサイドとを反応させて得られるものを使用することができる。前記開始剤としては、例えば、水、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、サッカロース、エチレンジアミン、N−エチルジエチレントリアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、燐酸、酸性リン酸エステル等を単独または2種以上を併用して使用することができる。なかでも、前記開始剤としては、水酸基含有化合物を使用することが好ましく、プロピレングリコールやグリセリン、ソルビトールを使用することがより好ましい。
【0019】
前記開始剤と反応しうるアルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を単独または2種以上併用して使用することができる。
【0020】
また、ポリエーテルポリオールとしては、前記開始剤と前記アルキレンオキサイドとの反応物のほかに、ポリマーポリオール、PHD(polyharnsstoff)ポリエーテルポリオール、ウレタン変性ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルコポリマーポリオール等を使用することができる。尚、前記ポリマーポリオールは、ポリオール中で、アクリロニトリル、スチレンモノマー等のビニル基を有するモノマーをグラフト重合させたポリエーテル系ポリオールを指す。また、PHDポリエーテルポリオールは、ポリエーテル中でジアミンとジイソシアネートを反応させ、生成するポリウレアを安定分散させたポリオールを指す。
【0021】
また、前記活性水素原子含有基を有する化合物(x)に使用可能なポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とを縮合反応させて得られるポリエステルポリオールや、環状エステルを開環重合して得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
前記ポリエステルポリオールの製造に使用可能なポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物等を単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0022】
また、前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸の脂肪族ポリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸やシクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族ポリカルボン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル誘導体を単独または2種以上併用して使用することができる。
【0023】
また、前記ポリエステルポリオールの製造に使用可能な環状エステルとしては、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等を使用することができる。
【0024】
また、前記活性水素原子含有基を有する化合物(x)に使用可能なポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0025】
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0026】
また、前記活性水素原子含有基を有する化合物(x)に使用可能な低分子量ポリオールとしては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能なポリオールとして例示したものと同様のものを使用することができる。また、前記低分子量ポリオールとしては、更にエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン等を使用することもできる。
【0027】
また、前記活性水素原子含有基を有する化合物(x)としては、前記したポリオール以外に、必要に応じて各種水酸基含有化合物を使用することができる。例えばアクリル共重合体に水酸基を導入したアクリルポリオール、分子内に水酸基を含有するブタジエンの共重合体であるポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分鹸化物等を使用することができる。
【0028】
また、前記活性水素原子含有基を有する化合物(x)と反応しうるイソシアネート基を有する化合物(y)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネ−ト、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネ−ト等の芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート等を、単独で使用または2種以上を併用して使用することができる。なかでも、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0029】
また、前記分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマー(A)と反応しうる分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物(B)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のヒドロキシ化合物や、例えば、エチレンジアミン、N−エチルジエチレントリアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N’−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヒドラジンまたはアジピン酸ジヒドラジド等のアミン化合物を単独または2種以上使用することができる。
【0030】
本発明の製造方法では、2液が混合可能な構造を有する内部に微小管状流路が形成されたマイクロミキサーを用い、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物を、該流路内で液密の加圧状態で混合した後、さらに流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることによりポリウレタンを製造することができる。
【0031】
2液が混合可能な構造を有する内部に微小管状流路が形成されたマイクロミキサーとしては市販されているマイクロミキサーを用いることが可能であり、例えばインターディジタルチャンネル構造体を備えるマイクロリアクター、インスティチュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ(IMM)社製シングルミキサーおよびキャタピラーミキサー;ミクログラス社製ミクログラスリアクター;CPCシステムス社製サイトス;山武社製YM−1、YM−2型ミキサー;島津GLC社製ミキシングティーおよびティー(T字コネクタ);マイクロ化学技研社製IMTチップリアクター;東レエンジニアリング開発品マイクロ・ハイ・ミキサー等が挙げられ、いずれも本発明で使用することができる。
【0032】
さらに、好ましい形態のマイクロミキサーシステムとして、前記ウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物とをそれぞれ別々の流路に流通させ、前記両方の流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーを用いて混合した後、さらに、流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることで混合を促進するものであるマイクロミキサーが好ましい。
前記両方の流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーを用いて混合した後、さらに、流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることにより混合を促進するものであるマイクロミキサーを用いることで、粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造することができる。
【0033】
ここで、流路の出口とは空間の周囲に、複数の微細流路からなる一群の流路が、複数群配設され、各一群の流路からは一種類の液体が供給され、複数群の流路から複数の液体が供給され、空間内において複数群の流路から供給された流体が混合する部分をいう。
前記ウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物の反応により粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造するためには、精密な当量比の制御と短時間の均一混合が重要な制御因子となる。
【0034】
本発明に用いる前記ウレタンプレポリマーと活性水素含有化合物のうち分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物は液粘度が室温において数十mPa・s以下の低いものが多く、前記ウレタンプレポリマーは液粘度が室温において数十mPa・s〜数百Pa・sを超える高いものが多くある。前記ウレタンプレポリマーを含む流体と分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物を含む流体を、バッチ反応釜を用い混合する場合は、粘度差のために充分混合が進む前に反応が進行し、このため溶液の粘度に偏りが生じ、結果として分子量分布が広がり、安定的に、効率良くポリウレタンを製造することができなくなる場合がある。
【0035】
一方、前記ウレタンプレポリマーを含む高粘度流体と2つ以上の活性水素基を有する化合物を含む低粘度流体を、微小管状流路に対し相対的に広い流路空間を形成せしめた前記両方の流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーを用いることで合流部流路内圧力が低減できる。その結果、アミノ基含有化合物の流路への供給流量を安定制御することが可能となり、最終的に当量比を精密に制御した状態で混合することが可能となる。
【0036】
また、合流後の流体を更に混合するにあたり、合流後の流路の一部断面積を縮小された流路を用いることにより、流路内圧力が急激に上昇することなく混合を促進することが可能となる。その結果、合流部、および、流路内の圧力上昇を抑え、同時に流量を上げて運転することが可能となり、低粘度流体の供給速度安定を確保しつつ、処理量アップと縮流部での混合性向上を両立することが可能となる。
【0037】
従って、本発明で用いる流体(I)と流体(II)の粘度としては、前記流体(I)の混合前の粘度Vis(I)と前記流体(II)の混合前の粘度Vis(II)との比〔Vis(I)/Vis(II)〕が10〜1000である場合がバッチ反応と比較して、より効率よく製造することが可能である。
【0038】
以上の観点から、前記両方の流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーを用いて混合した後、さらに、流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることにより混合を促進するものであるマイクロミキサーを用いることで精密流量制御と高い混合能力を両立することが可能となり、バッチ反応では得られない、粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造することができる。
【0039】
本発明のポリウレタンの製造法では、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物との混合流体の流れ方向で流路断面積が縮小された流路におけるレイノルズ数を5〜300で連続的にコントロールすることにより、前記分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物を含有する流体の混合性を更に高めることにより、より粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを安定的に効率良く製造することができる。
【0040】
ここで、該流体の縮流部でのレイノルズ数を5より大きい値で流通させることにより前記ウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物とを含有する流体の混合性が著しく低下せず、また同時に、滞留時間が長くならないでミキシングデバイスから流出するので微小管状流路内でのゲル化がおこりにくいことから好ましい。また、レイノルズ数300以上にコントロールすることは装置上困難である。本発明においては前記ウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物とを含有する流体をレイノルズ数5〜300で連続的にコントロールすることにより前記ウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物の流体の混合性がさらに高められることにより、分子量分布が狭いポリウレタンウレア組成物を安定的に効率良く製造することができ、8〜280となる状態で流路内を移動させるのがさらに好ましい。
【0041】
尚、本発明でいうレイノルズ数とは下記の式(1)に従って計算されるものである。
レイノルズ数=(D×u×ρ)/μ・・・式(1)
ここで、D(流路の内径)、u(平均流速)、ρ(流体密度)、μ(流体粘度)である。本発明において、レイノルズ数は上記式(1)の各要素を以下のように定義し求めた。
【0042】
D(流路の内径):微小管状流路の相等直径(m)。ここで、相等直径とは〔(4×微小管状流路の断面積(m))/周長(m)〕である。
【0043】
u(平均流速):分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物との混合液の流速(m/秒)である。
【0044】
σ(流体密度):分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物との混合液の密度、実施例において用いた混合液密度は1000kg/m
【0045】
μ(流体粘度):分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物との反応開始前の混合液の粘度、実施例において用いた混合液流体粘度は20mPa・s。
本発明の製造方法における流体温度は、前記ミキシングデバイスにおいて10℃〜100℃の範囲に制御することが好ましい。ミキシングデバイスを温度制御することで、流体の粘度を変化させることが可能となり、高粘度原料側の流路内圧力が低下し、低粘度流体の流量制御がより安定化する。その結果、当量比制御がより精密となり、粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを得ることが可能となる。
【0046】
上記前記両方の流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーを用いて混合した後、さらに、流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることで混合を促進するものであるマイクロミキサー微小管状流路は、少なくとも2つの部材を組み合わせて、部材間に形成された空間を流路とするものであっても、またそれ以外にも単なる管やパイプ形状のものを流路として用いても構わない。
本発明で用いる流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーとして好ましい形態としては例えば化学反応用デバイス1が例示される。また、流れ方向で流路断面積が縮小された流路により混合を促進するものであるマイクロミキサーとしては化学反応用デバイス2が例示される。
【0047】
以下、本発明で用いる好ましい形態の流路が設けられてなる化学反応用デバイス1、および、化学反応用デバイス2について具体的に説明する。図1は、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーが通る微小管状流路を配置したプレートと、分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物が通る微小管状流路を配置したプレート、および、熱交換が行われる流体を流す流路を設置したプレートが積層してなる反応装置の概略構成例である。図4は、図1のデバイスにて合一した混合液を流す微小管状流路を配置したプレートと熱交換が行われる流体を流す流路を設置したプレートが積層してなる反応装置の概略構成例である。
【0048】
前記化学反応用デバイス1は、例えば前記図1において同一の長方形板状からなる第1プレート(前記図1中の5)と第2プレート(前記図1中の8)とが複数交互に積層されて構成されている。さらに必要に応じ第3プレート(前記図1中の3)が積層されて構成されている。各1枚の第1プレートには分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーが通る流路が設けられている。また第2プレートには分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物が通る流路(以下、反応流路という)が設けられている(以下、反応流路が設けられたプレートをプロセスプレートという)。また、第3プレートには温調流体用の流路(以下、温調流路という)が設けられている(以下、温調流路が設けられたプレートを温調プレートという)。
これらを積層することにより、図2に示すようなプレートの積層体が形成され、本発明で用いる流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーとして好ましい形態の流路が設けられてなる化学反応用デバイス1として例示される。
【0049】
化学反応用デバイス1には図3に示すようにそれらの供給口および排出口が、化学反応用デバイス1の端面15b、15c、側面15d、15eの各領域に分散して配置され、それら領域に、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマー(図3においてδが分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む流体の液流れを示す)、分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物(図3においてεが分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物を含む流体の液流れを示す)、温調流体(図3においてγが温調流体の流れを示す)、さらに必要に応じて有機溶剤を流すためのコネクタ30とジョイント部31とからなる継手部32がそれぞれ連結されている。また、前記出口混合は化学反応デバイス1の端面15cとジョイント部31によって形成される空間33にて分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物が合流することより達成される。
【0050】
これらの継手部を介して、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマー、さらに必要に応じて有機溶剤を含む流体が端面15bから供給されて、端面15cに排出され、分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物が側面15dから供給されて側面15cに排出され、さらに温調流体が側面15dから供給されて側面15eに排出されるようになっている。
化学反応用デバイス1の平面視形状は図示のような長方形とは限定されず、正方形状、または端面15b、15c間よりも側面15d、15e間が長い長方形状としてもよいが、以下では簡単のために図示形状に即して、端面15bから端面15cに向かう方向を、化学反応用デバイス1のプロセスプレートと温調プレートの長手方向と称し、側面15dから側面15eに向かう方向を化学反応用デバイス1のプロセスプレートと温調プレートの短手方向と称することにする。
【0051】
前記化学反応用デバイス2は、例えば前記図4において同一の長方形板状からなる第4プレート(前記図4中の14)、必要に応じ温調プレート(前記図4中の3)が積層されて構成されている。各1枚の第4プレートには化学反応用デバイス2にて混合された流体が通る流路が設けられている。
これらを積層することにより、図5に示すようなプレートの積層体が形成され、本発明で用いる流れ方向で流路断面積が縮小された流路により混合を促進するものであるマイクロミキサーとして好ましい形態の流路が設けられてなる化学反応用デバイス2として例示される。
そして、図6に示すようにそれらの供給口および排出口が、化学反応用デバイス2の端面16b、16c、側面16d、16eの各領域に分散して配置され、それら領域に、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の水素基を有する化合物の混合物(図6においてαが液流体を示す)、温調流体(図6においてγが温調流体を示す)、さらに必要に応じて有機溶剤を流すためのコネクタ30とジョイント部31とからなる継手部32がそれぞれ連結されている。
【0052】
これらの継手部を介して、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物の混合物、さらに必要に応じて有機溶剤を含む流体が端面16bから供給されて、端面16cに排出され、温調流体が側面16dから供給されて側面16eに排出されるようになっている。
【0053】
化学反応用デバイス2の平面視形状は図示のような長方形とは限定されず、正方形状、または端面16b、16c間よりも側面16d、16e間が長い長方形状としてもよいが、以下では簡単のために図示形状に即して、端面16bから端面16cに向かう方向を、化学反応用デバイス2のプロセスプレートと温調プレートの長手方向と称し、側面16dから側面16eに向かう方向を化学反応用デバイス2のプロセスプレートと温調プレートの短手方向と称することにする。
【0054】
温調プレートは、図2に示すように、一方の面3aに断面凹溝形状の温調流路6が所定の間隔だけ離れて設けられている。温調流路6の断面積は、反応流路に対して熱を伝えることができれば特に限定されるものではないが概ね1×10-2〜2.5×10(mm)の範囲である。更に好ましくは0.32〜4.0(mm)である。温調流路6の本数は、熱交換効率を考慮して適宜の本数を採用することができ、特に限定されるものではないが、プレート当たり、例えば1〜1000本、好ましくは10〜100本である。
【0055】
温調流路6は、図1及び図4に示す様に、温調プレートの長手方向に沿って複数本配列された主流路6aと、主流路6aの上流側及び下流側端部でそれぞれ流路20と略直交に配置されて各主流路6aに連通する供給側流路6bおよび排出側流路6cとを備えていてもよい。図1及び図4では供給側流路6bと排出側流路6cは2回直角に屈曲して温調プレートの側面3d、3eからそれぞれ外部に開口している。温調流路6の各流路の本数は、温調流路6の主流路6a部分のみが複数本配列され、供給側流路6bおよび排出側流路6cはそれぞれ1本で構成されている。
【0056】
本発明の製造方法で用いる流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーとして好ましい形態としては例えば化学反応用デバイス1、および流れ方向で流路断面積が縮小された流路により混合を促進するものであるマイクロミキサーとしては化学反応用デバイス2を有する装置としては、例えば、図7に記載のある製造装置を例示できる。
【0057】
図7において、分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物(61)、および、必要に応じて有機溶剤(60)を入れるタンク62(第1のタンク)の流出口とプランジャーポンプ65の流入口とが分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物、および必要に応じて有機溶剤(60)が通る配管を介して接続されており、また、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーを含む流体(63)を入れるタンク64(第2のタンク)の流出口とプランジャーポンプ66の流入口とが、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーを含む流体が通る配管を介して接続されている。プランジャーポンプ65の流出口、及び、プランジャーポンプ66の流出口からは、それぞれプランジャーポンプ65またはプランジャーポンプ66を通して分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物または分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーを含む流体が通る配管が伸びており、これらの配管はミキサー67の流入口に接続されている。
【0058】
このミキサー67で分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物と分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーを含む流体とが合一され、ミキサー67の流出口に接続された配管を通してミキサー68の流入口に接続され、ミキサー68で更に混合が行われた後、ミキサー68の流出口に接続された配管を通して背圧弁71を通過し、受け容器72へと排出される。
【実施例】
【0059】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に述べる。例中、%、重量は特に断りがない限り重量基準である。
【0060】
<本実施例で使用したマイクロミキサー>
本実施例では流路の出口に設けられた合流部で混合するものであるマイクロミキサーとして図1に示す構造のプロセスプレート5、8をマイクロミキサーとして用いた。また、流れ方向で流路断面積が縮小された流路により混合を促進するものであるマイクロミキサーとしては図4に示す構造のプロセスプレート14をマイクロミキサーとして用いた。マイクロミキサーの構造としては、プレート8の上にプレート5を積層したマイクロミキサー積層体の上下に温調プレート3を積層した化学反応用デバイスと、プレート14の上下に温調プレート3を積層した化学反応用デバイスとを直列につないだ構造を用いた。具体的には、分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーをプレート5の流路20に分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物をプレート8の流路21に導入しそれぞれの流体をプレート出口で合一させた。その後、更に、プレート14の流路22を通過させることで分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーと分子内に2つ以上の活性水素基を有する化合物をさらに混合させた。プロセスプレート5,8,14、温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚はプレート5、14が0.4mm、プレート8が1mmである。反応流路21の断面寸法は幅1.0mm×深さ0.5mm、温調流路6の断面寸法は幅1.2mm×深さ0.5mm、反応流路20の断面寸法は幅6mm×深さ0.2mm、反応流路22の断面寸法は幅広部で幅4mm×深さ0.2mm、縮流部で幅0.2mm×深さ0.2mmである。
【0061】
<気泡式粘度計粘度の測定方法>
実施例により調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より動粘度を決定した。
【0062】
<重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の測定>
分子量分布の測定には、検出器よして屈折率検出器(RI)、測定用カラムとしてTSKgel G1000HXL+G2000HXL+G3000HXL+G4000HXLを具備した東ソー株式会社製HLC-8120GPCを用いた。測定条件は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、0.2〜0.3%の濃度に試料を調整し、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で測定を行った。
【0063】
<分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの調整例1>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び、還流冷却器を備えた3リットルの四つ口フラスコに、水酸基当量重量が500であるポリカーボネートジオール1000.0g、トルエン361.1gを加え、均一になる迄攪拌した。次にイソホロンジイソシアネート444.6gを仕込み、発熱を制御しながら80〜90℃で5時間反応させ、イソシアネート基含有量が理論値に達したところでトルエン820.8gを仕込み、末端にイソホロンジイソシアネート由来のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(以下、プレポリマーAという)の調製を行った。得られたプレポリマーAのイソシアネート等量の測定を滴定により行ったところ1,470であった。また、粘度は595mPa・s、固形分は54.9%であった。
【0064】
実施例1
図7に示す製造装置を用いて、プレポリマーAとイソホロンジアミン溶液(イソホロンジアミ10gに対し、ジメチルホルムアミド245.8g、トルエン47.0g、2−ブチルアルコール41.4gからなるイソホロンジアミン溶液)を混合して反応を行った。プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のイソホロンジアミン溶液と第2のタンク64中のプレポリマーAをアミノ基とイソシアネート基の当量比がアミノ基1に対しイソシアネート基0.962となる比率でマイクロミキサー縮流部(図6中のプレート14の排出側出口流路断面縮小部)におけるレイノルズ数が111(流速8.3m/s)になるように化学反応デバイス67、68、背圧弁71へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることによりポリウレタンウレア組成物の製造を行った。なお、化学反応用デバイスでは、温調装置にて、25℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。排圧弁71にて管内圧を2MPaにて行った。
【0065】
調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より粘度は275mPa・sであった。
【0066】
反応生成物の重量平均分子量(Mw)70,662、数平均分子量(Mn)16,548であり、Mw/Mnは4.27であった。
【0067】
得られた結果を表1にまとめた。さらに、NCO/NH2比0.962に対して得られたポリウレタン溶液の粘度275mPa・sを図8にプロットした。また、得られた重量平均分子量(Mw)70,662に対しMw/Mn比4.27を図9にプロットした。
【0068】
図8に示すようにNCO/NH2比に対し粘度は一つの曲線状にプロットされていることがわかる。また、図9において分子量分布は比較的狭いことがわかる。粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造できることができた。
【0069】
実施例2
図7に示す製造装置を用いて、プレポリマーAとイソホロンジアミン溶液(イソホロンジアミ10gに対し、ジメチルホルムアミド245.8g、トルエン47.0g、2−ブチルアルコール41.4gからなるイソホロンジアミン溶液)を混合して反応を行った。プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のイソホロンジアミン溶液と第2のタンク64中のプレポリマーAをアミノ基とイソシアネート基の当量比がアミノ基1に対しイソシアネート基0.967となる比率でマイクロミキサー縮流部(図6中のプレート14の排出側出口流路断面縮小部)におけるレイノルズ数が111(流速8.3m/s)になるように化学反応デバイス67、68、背圧弁71へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることによりポリウレタンウレア組成物の製造を行った。なお、化学反応用デバイスでは、温調装置にて、25℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。排圧弁71にて管内圧を2MPaにて行った。
【0070】
調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より粘度378mPa・sであった。
【0071】
反応生成物の重量平均分子量(Mw)78,731、数平均分子量(Mn)17,568であり、Mw/Mnは4.48であった。
得られた結果を表1にまとめた。さらに、NCO/NH2比0.967に対して得られたポリウレタン溶液の粘度378mPa・sを図8にプロットした。また、得られた重量平均分子量(Mw)78,731に対しMw/Mn比4.48を図9にプロットした。
【0072】
図8に示すようにNCO/NH2比に対し粘度は一つの曲線状にプロットされていることがわかる。また、図9に示すように分子量分布は比較的狭いことがわかる。粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造できることができた。
【0073】
実施例3
図7に示す製造装置を用いて、プレポリマーAとイソホロンジアミン溶液(イソホロンジアミ10gに対し、ジメチルホルムアミド245.8g、トルエン47.0g、2−ブチルアルコール41.4gからなるイソホロンジアミン溶液)を混合して反応を行った。プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のイソホロンジアミン溶液と第2のタンク64中のプレポリマーAをアミノ基とイソシアネート基の当量比がアミノ基1に対しイソシアネート基0.970となる比率でマイクロミキサー縮流部(図6中のプレート14の排出側出口流路断面縮小部)におけるレイノルズ数が69(流速5.2m/s)になるように化学反応デバイス67、68、背圧弁71へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることによりポリウレタンウレア組成物の製造を行った。なお、化学反応用デバイスでは、温調装置にて、50℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。排圧弁71にて管内圧を2MPaにて行った。
【0074】
調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より粘度340mPa・sであった。
【0075】
反応生成物の重量平均分子量(Mw)74,000、数平均分子量(Mn)17,888であり、Mw/Mnは4.14であった。
得られた結果を表1にまとめた。さらに、NCO/NH2比0.970に対して得られたポリウレタン溶液の粘度340mPa・sを図8にプロットした。また、得られた重量平均分子量(Mw)74,000に対しMw/Mn比4.14を図9にプロットした。
【0076】
図8に示すようにNCO/NH2比に対し粘度は一つの曲線状にプロットされていることがわかる。また、図9に示すように分子量分布は比較的狭いことがわかる。粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造できることができた。
【0077】
実施例4
図7に示す製造装置を用いて、プレポリマーAとイソホロンジアミン溶液(イソホロンジアミ10gに対し、ジメチルホルムアミド245.8g、トルエン47.0g、2−ブチルアルコール41.4gからなるイソホロンジアミン溶液)を混合して反応を行った。プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のイソホロンジアミン溶液と第2のタンク64中のプレポリマーAをアミノ基とイソシアネート基の当量比がアミノ基1に対しイソシアネート基0.973となる比率でマイクロミキサー縮流部(図6中のプレート14の排出側出口流路断面縮小部)におけるレイノルズ数が111(流速8.3m/s)になるように化学反応デバイス67、68、背圧弁71へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることによりポリウレタンウレア組成物の製造を行った。なお、化学反応用デバイスでは、温調装置にて、50℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。排圧弁71にて管内圧を2MPaにて行った。
【0078】
調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より粘度851mPa・sであった。
【0079】
反応生成物の重量平均分子量(Mw)86,383、数平均分子量(Mn)17,630であり、Mw/Mnは4.90であった。
得られた結果を表1にまとめた。さらに、NCO/NH2比0.973に対して得られたポリウレタン溶液の粘度851mPa・sを図8にプロットした。また、得られた重量平均分子量(Mw)86,383に対しMw/Mn比4.90を図9にプロットした。
【0080】
図8に示すようにNCO/NH2比に対し粘度は一つの曲線状にプロットされていることがわかる。また、図9に示すように分子量分布は比較的狭いことがわかる。粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造できることができた。
【0081】
実施例5
図7に示す製造装置を用いて、プレポリマーAとイソホロンジアミン溶液(イソホロンジアミ10gに対し、ジメチルホルムアミド245.8g、トルエン47.0g、2−ブチルアルコール41.4gからなるイソホロンジアミン溶液)を混合して反応を行った。プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のイソホロンジアミン溶液と第2のタンク64中のプレポリマーAをアミノ基とイソシアネート基の当量比がアミノ基1に対しイソシアネート基0.978となる比率でマイクロミキサー縮流部(図6中のプレート14の排出側出口流路断面縮小部)におけるレイノルズ数が8(流速0.6m/s)になるように化学反応デバイス67、68、背圧弁71へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることによりポリウレタンウレア組成物の製造を行った。なお、化学反応用デバイスでは、温調装置にて、80℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。排圧弁71にて管内圧を2MPaにて行った。
【0082】
調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より粘度1120mPa・sであった。
反応生成物の重量平均分子量(Mw)96,843、数平均分子量(Mn)19,233であり、Mw/Mnは4.90であった。
得られた結果を表1にまとめた。さらに、NCO/NH2比0.978に対して得られたポリウレタン溶液の粘度1120mPa・sを図8にプロットした。また、得られた重量平均分子量(Mw)96,843に対しMw/Mn比5.04を図9にプロットした。
【0083】
図8に示すようにNCO/NH2比に対し粘度は一つの曲線状にプロットされていることがわかる。また、図9に示すように分子量分布は比較的狭いことがわかる。粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造できることができた。
【0084】
実施例6
図7に示す製造装置を用いて、プレポリマーAとイソホロンジアミン溶液イソホロンジアミ10gに対し、ジメチルホルムアミド245.8g、トルエン47.0g、2−ブチルアルコール41.4gからなるイソホロンジアミン溶液)を混合して反応を行った。プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のイソホロンジアミン溶液と第2のタンク64中のプレポリマーAをアミノ基とイソシアネート基の当量比がアミノ基1に対しイソシアネート基0.981となる比率でマイクロミキサー縮流部(図6中のプレート14の排出側出口流路断面縮小部)におけるレイノルズ数が280(流速20.8m/秒)になるように化学反応デバイス67、68、背圧弁71へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器にて受け取ることによりポリウレタンウレア組成物の製造を行った。なお、化学反応用デバイスでは、温調装置にて、80℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。排圧弁71にて管内圧を2MPaにて行った。
【0085】
調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より粘度2320mPa・sであった。
反応生成物の重量平均分子量(Mw)107,302、数平均分子量(Mn)19,384であり、Mw/Mnは5.54であった。
得られた結果を表1にまとめた。さらに、NCO/NH2比0.981に対して得られたポリウレタン溶液の粘度2,320mPa・sを図8にプロットした。また、得られた重量平均分子量(Mw)107,302に対しMw/Mn比5.04を図9にプロットした。
【0086】
図8に示すようにNCO/NH2比に対し粘度は一つの曲線状にプロットされていることがわかる。また、図9において分子量分布は比較的狭いことがわかる。粘度の偏りが少なく、結果として分子量分布が比較的狭いポリウレタンを、安定的に、効率良く製造できることができた。
【0087】
比較例1
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素吹き込み口、滴下ロートを備えた4つ口フラスコにイソホロンジアミン59.4g、ジメチルホルムアミド1460g、トルエン279g、2−ブチルアルコール246gからなるアミン溶液を仕込んだ。次に調整例1で得られたプレポリマーA1100gを滴下ロートに仕込んだ。攪拌機の回転数を200rpmに設定し攪拌しながら滴下ロートよりプレポリマーを当量割合[イソシアネート基/活性水素原子含有基]が0.975となるように1000gを一気に滴下したところゲル化が発生した。
【0088】
比較例2
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素吹き込み口、滴下ロートを備えた4つ口フラスコにイソホロンジアミン59.7g、ジメチルホルムアミド1460g、トルエン279g、2−ブチルアルコール246gからなるアミン溶液を仕込んだ。次に調整例1で得られたプレポリマーA1100gを滴下ロートに仕込んだ。攪拌機の回転数を200rpmに設定し攪拌しながら滴下ロートよりプレポリマーを950g一気に滴下した。20分攪拌後25gの滴下、さらに20分攪拌後残りのプレポリマー25gの滴下を行い、当量割合[イソシアネート基/活性水素原子含有基]が0.970となるように調整した段階でゲル化が発生した。
【0089】
比較例3
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素吹き込み口、滴下ロートを備えた4つ口フラスコにイソホロンジアミン59.4g、ジメチルホルムアミド1460g、トルエン279g、2−ブチルアルコール246gからなるアミン溶液を仕込んだ。次に調整例1で得られたプレポリマーA1100gを滴下ロートに仕込んだ。攪拌機の回転数を200rpmに設定し攪拌しながら滴下ロートよりプレポリマー950g一気に滴下した。残りのプレポリマー50gの滴下を当量割合[イソシアネート基/活性水素原子含有基]が0.975となるように40分にわたり3回にわけて添加し調整した段階でゲル化が発生した。
【0090】
比較例4
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素吹き込み口、滴下ロートを備えた4つ口フラスコにイソホロンジアミン59.7g、ジメチルホルムアミド1460g、トルエン279g、2−ブチルアルコール246gからなるアミン溶液を仕込んだ。次に調整例1で得られたプレポリマーA1100gを滴下ロートに仕込んだ。攪拌機の回転数を200rpmに設定し攪拌しながら滴下ロートよりプレポリマーを950g一気に滴下した。残りのプレポリマー50gの滴下を当量割合[イソシアネート基/活性水素原子含有基]が0.970となるように40分にわたり4回にわけて添加したところポリウレタン溶液を得た。
【0091】
調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より粘度525mPa・sであった。
【0092】
反応生成物の重量平均分子量(Mw)60,951、数平均分子量(Mn)12,658であり、Mw/Mnは4.81であった。
得られた結果を表1にまとめた。さらに、NCO/NH2比0.970に対して得られたポリウレタン溶液の粘度525mPa・sを図8にプロットした。また、得られた重量平均分子量(Mw)60,951に対しMw/Mn比4.81を図9にプロットした。
【0093】
図8に示すようにNCO/NH2比に対し粘度は一つの曲線状にプロットされているものの図9において分子量分布は大きいことがわかる。
【0094】
比較例5
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素吹き込み口、滴下ロートを備えた4つ口フラスコにイソホロンジアミン59.2g、ジメチルホルムアミド1460g、トルエン279g、2−ブチルアルコール246gからなるアミン溶液を仕込んだ。次に調整例1で得られたプレポリマーA1100gを滴下ロートに仕込んだ。攪拌機の回転数を200rpmに設定し攪拌しながら滴下ロートよりプレポリマーを950g一気に滴下した。残りのプレポリマー50gの滴下を当量割合[イソシアネート基/活性水素原子含有基]が0.978となるように40分にわたり5回にわけて添加したところポリウレタン溶液を得た。
【0095】
調製されたポリウレタン溶液をジメチルホルムアミドで希釈し(ポリウレタン溶液/ジメチルホルムアミド=1/1)攪拌することで均一溶液にした後、ビスチューブ中に気泡とともに封入した。25℃に設定された恒温水槽内で、気泡とともに封入された樹脂溶液・ビスチューブを反転させ気泡が上昇する時間を計測することにより粘度測定を行い、換算表より粘度978mPa・sであった。
【0096】
反応生成物の重量平均分子量(Mw)72,401、数平均分子量(Mn)9,809であり、Mw/Mnは7.38であった。
得られた結果を表1にまとめた。さらに、NCO/NH2比0.978に対して得られたポリウレタン溶液の粘度978mPa・sを図8にプロットした。また、得られた重量平均分子量(Mw)72,401に対しMw/Mn比7.38を図9にプロットした。
【0097】
図8に示すようにNCO/NH2比に対し粘度は一つの曲線状近くにプロットされているものの図9において分子量分布は大きいことがわかる。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【符号の説明】
【0100】
α・・・・・・有機ポリイソシアネート化合物等と有機ポリヒドロキシル化合物等の
混合物を含有する流体
δ・・・・・・有機ポリイソシアネート化合物等を含有する流体
ε・・・・・・有機ポリヒドロキシル化合物等を含有する流体
γ・・・・・・温調流体
5・・・・・・第1プレート(プロセスプレート)
5a・・・・・第1プレートの面
5b・・・・・第1プレートの端面
5c・・・・・第1プレートの端面
5d・・・・・第1プレートの側面
5e・・・・・第1プレートの側面
3・・・・・・第3プレート(温調プレート)
3a・・・・・第3プレートの面
3b・・・・・第3プレートの端面
3c・・・・・第3プレートの端面
3d・・・・・第3プレートの側面
3e・・・・・第3プレートの側面
6・・・・・・断面凹溝形状の温調流路
6a・・・・・断面凹溝形状の主流路
6b・・・・・断面凹溝形状の供給側流路
6c・・・・・断面凹溝形状の排出側流路
8・・・・・・第2プレート(プロセスプレート)
8a・・・・・第2プレートの面
8b・・・・・第2プレートの端面
8c・・・・・第2プレートの端面
8d・・・・・第2プレートの側面
8e・・・・・第2プレートの側面
14・・・・・第4プレート(プロセスプレート)
14a・・・・第4プレートの面
14b・・・・第4プレートの端面
14c・・・・第4プレートの端面
14d・・・・第4プレートの側面
14e・・・・第4プレートの側面
15・・・・・化学反応用デバイス1
15b・・・・化学反応用デバイス1の端面
15c・・・・化学反応用デバイス1の端面
15d・・・・化学反応用デバイス1の側面
15e・・・・化学反応用デバイス1の側面
16・・・・・化学反応用デバイス2
16b・・・・化学反応用デバイス2の端面
16c・・・・化学反応用デバイス2の端面
16d・・・・化学反応用デバイス2の側面
16e・・・・化学反応用デバイス2の側面
20・・・・・ミキシングプレートの断面凹溝形状の流路
21・・・・・ミキシングプレートの断面凹溝形状の流路
22・・・・・ミキシングプレートの断面凹溝形状の流路
30・・・・・コネクタ
31・・・・・ジョイント部
32・・・・・継手部
33・・・・・流路出口の空間部分
60・・・・・有機溶剤
61・・・・・活性水素原子含有基を有する化合物(x)
62・・・・・第1のタンク
63・・・・・分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(y)
64・・・・・第2のタンク
65・・・・・プランジャーポンプ
66・・・・・プランジャーポンプ
67・・・・・マイクロミキサー
68・・・・・マイクロミキサー
69・・・・・温調装置
70・・・・・温調装置
71・・・・・排圧弁
72・・・・・受け容器
80・・・・・実施例で用いた樹脂の製造装置を模式的に示す概略構成図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーを含有する流体(I)と前記反応性官能基と反応する官能基を分子内に2つ以上有する化合物を含有する流体(II)とを、前記の流体(I)と(II)が混合可能な構造を有するマイクロミキサーを用いて、該流路内で液密の加圧状態で混合した後、さらに流れ方向で流路断面積が縮小された流路に供給しながら流通させることを特徴とするポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記流体(I)の混合前の粘度Vis(I)と前記流体(II)の混合前の粘度Vis(II)との比〔Vis(I)/Vis(II)〕が10〜1000である請求項1記載のポリマーの製造方法。
【請求項3】
前記分子末端に反応性官能基を有するプレポリマーが分子末端にイソシアネ−ト基を有するウレタンプレポリマーであり、且つ、反応性官能基を分子内に2つ以上有する化合物が分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物である請求項1記載のポリマーの製造方法。
【請求項4】
前記流体(I)と前記流体(II)とをそれぞれ異なるの流路に流通させ、流体(I)と流体(II)とを前記両方の流路の出口に設けられた合流部で混合するものである請求項1記載のポリマーの製造方法。
【請求項5】
流れ方向で流路断面積が縮小された流路内で前記流体(I)と前記流体(II)のレイノルズ数を5〜300にコントロールしながら流通させることを特徴とする請求項1記載のポリマーの製造方法。
【請求項6】
前記流体(I)と前記流体(II)とを温度10℃〜100℃の範囲として混合を行う請求項1〜5の何れか1つに記載のポリマーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−57821(P2011−57821A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208058(P2009−208058)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】