説明

ポリマーを特性化するための方法および装置

【課題】短い間隔での製造プロセス中にポリマーの溶液粘度および/または溶融体積流量(MVR)の測定を可能とする、簡単で、信頼性、再現性のある、そして効率的な方法を提供する。
【解決手段】前記ポリマーは、ポリマーの10〜20重量%を有機溶媒に含む溶液中にあり、前記方法は、a)ポリマーの製造プロセスの構成要素からポリマー溶液のサブストリームを連続的に取り出し、ここで、前記ポリマー溶液は、本質的に無機塩を含まないこと;b)1〜10μlの体積を有するサンプルを前記サブストリームから取り出すこと;c)ゲル透過クロマトグラフィー装置にサンプルを導入し、ポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータを測定すること;d)ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量をゲル透過クロマトグラムから得たデータから較正関係に基づいて自動的に測定すること;を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2010年10月7日に出願されたヨーロッパ特許出願番号10013381.7に基づく優先権を主張し、該出願は、全ての有用な目的のためにその全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、ポリマーを製造するためのプロセスから直接に取り出されるサンプルについてのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により、溶液で製造されるポリマー、特にポリカーボネートの溶液粘度および/または溶融体積流量(MVR)を自動的に測定するための方法および装置に関する。特に、前記方法は、ポリマー、好ましくは、界面プロセスから直接に取り出されるポリカーボネート(PC)の溶液粘度および/またはMVRを測定することを可能とする。
【背景技術】
【0003】
溶液粘度および/またはMVRは、ポリマー、特にポリカーボネートを特性化するための重要なパラメータである。ポリマーの工業生産では、必要に応じて製造プロセスを制御するための介入を可能にするために、製造プロセスの非常に早い段階で前記特性を測定することが重要である。
【0004】
Ubbelohde粘度計を用いてポリマー溶液の相対溶液粘度(ηrel)を測定すること、および溶融指数検査機器を使用して溶融体積流量(MVR)を測定することは、ポリカーボネートを特性化するための確立した分析方法である(Schnell,Hermann,Polymer Reviews.Vol.9:Chemistry and Physics of Polycarbonates,1964)。溶液粘度は、DIN 51562に従って測定される;MVRは、DIN EN ISO 1133に従って測定される。しかし、目的を達成するための両方の方法の大きな欠点は、濃縮されたPC溶液の測定を行うことが事実上不可能であるということである。溶液粘度をオンラインで測定できる方法について、試験を必要とするPC溶液は、希釈(約0.5重量%に)されなければならない。これは、試験サンプルの濃度が正しいことを保証するためにPCの製造プロセスとコントロールから取り出されたPC溶液サンプルの希釈のために、装置と制御技術に対する追加コストを意味し、したがって、この分析測定方法は、目的を達成するには不向きである。MVR値の測定のために、PC溶液は最初に完全な乾燥を必要とする。これはまた高い追加コストを意味する。
【0005】
したがって、本発明に係る方法は、サイズ排除クロマトグラフィーまたはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を活用した。既知のモル質量の較正ポリマーを使用して、そしてこれらのポリマー溶液の粘度を測定するために、Ubbelohde粘度計を使用して、および/またはこれらのポリマーのMVRを測定するために溶融指数検査機器を使用して、GPC法により測定されるデータ、例えば、分子量について溶液粘度および/またはMVRへの変換を可能にする較正関係を確立することができる。
【0006】
この目的のために使用されるクロマトグラフィーカラムは、サンプルのGPCカラムへの手動適用の静的な「オフライン」方式で、そしてまた、複数の連続分析の多種多様なケースで既に成功を収めているので、様々な製造プロセスの連続的モニタリングのための分析法としてのGPC法の使用は、原則として知られている。
【0007】
従来公知の方法では、濃縮されたポリマーを含む溶媒相は、再現可能な測定値が得られるようにする場合には、それらがGPCカラムに適用される前に希釈する必要がある。通常の方法では、10重量%超を含むポリカーボネートの溶液は、明らかに1重量%未満まで、望ましくは0.2重量%まで同じ溶媒で希釈され、そのため、約100μlの再現可能な量が、サンプル適用システムによりGPCカラムに適用されることができる。しかし、サンプルの前記の量が、例えば、プロセスから直接にGPCカラムに計量された場合、例えば、強度16重量%のポリカーボネート溶液の形態で計量された場合、その結果は、GPCカラムの完全な過負荷となるであろうし、濃縮溶液の高粘度は、サンプル適用システムにより再現可能な適用を実際に可能にしたとしても、有益な結果とはならないであろう。
【0008】
したがって、前記の自動サンプリングや計量の問題を解決しようとする試みが欠如したことはなかった。WO2001/083583A1は、一例として、GPCを用いて界面プロセスからPCの分子量を決定するためのオンライン測定法を記述し、そしてまた、試験データの評価と伝送を記述し、反応の制御にまで及んでいる。しかし、取り出されたPC含有溶媒相は、無機塩の残留物および水を含んでいる。これらの付随的成分は、GPCカラムでの分子量の測定にかなりの混乱を引き起こし、測定結果を損なう。同様に、そのような高濃度の溶液の正確な計測と注入が可能な適切な工業用のサンプル適用システムはない。WO2001/083583A1は、GPC法から最終的な測定結果を得るために、このタイプの高濃度でのサンプル量を制限するいかなる有用な方法も示していない。WO2001/083583A1には、利用可能ないかなるさらなる実験データもないし、したがって、本目的の解決につながる何らの教示もその文献に見ることはできない。
【0009】
米国特許第4,258,564A号は、ポリマー、例えば、ポリブタジエンの分子量をGPC法により決定するための自動的および継続的な方法を記述し、そしてまた、前記方法を実施するための装置を記述している。前記装置は、反応器からのサンプルの取り出し、更には計量バルブへのサンプルの搬送、前記計量バルブからの一定サンプル量を一定の相互比率の溶媒で希釈すること、および分子量を決定するためにGPCカラム上へ希釈サンプル溶液の正確な一定量を計量する第2計量バルブへ希釈サンプル溶液を搬送することを包含する。ここにGPCカラムに計量された希釈サンプル溶液の最終濃度は、上で引用された、通常GPC測定に使用されるPC溶液の濃度とほぼ同じ大きさの桁数である。計量されたサンプル体積の約500μlは、また、GPCカラムに通常注入されるPC溶液の体積に類似した大きさの桁数である。その目的は、米国特許第4,258,564Aのように、PC反応から取り出されたサンプルを希釈することではないので、その文献に記載されている方法は、本目的を達成するには不適切であり、その理由は、サンプルの希釈を実施し、制御するための追加コストは、オンライン分析法を高価で信頼性に欠けるものとするからである。
【0010】
米国特許第3,744,219A号は、同様に、オンラインで実行できるGPC分析法を開示しているが、これは手動によるサンプルの挿入が必要である。「サンプルループ」として知られているデバイスが、一定のサンプル体積を計量するために使用され、そこでは、これらが非常に少量の液体で満たされたチャネルであり、それらは、一定の体積を有し、複数のそれらは2個のバルブの間に位置し、サンプル溶液を受け取ることができる。米国特許第4,258,564A号のものと同一の原理に従って、得られる一定量のサンプルは、前記チャネルから溶媒によって移され、GPCカラム内に搬送される。しかし、GPCカラム上で測定されるサンプルの濃度および量は開示されていない。2つのバルブの間のチャネルの配置もまた非常に複雑であり、追加の制御コストが発生し、米国特許第3,744,219A号は、したがって、本目的を達成するための如何なる適切なアプローチをも提供しない。
【0011】
米国特許第5,462,660A号は、高圧液体クロマトグラフィー用のサンプリングや計量のための装置を記述し、これは、米国特許第4,258,564A号および米国特許第3,744,219A号で以前に記述されたものと同一の原理にしたがって機能し、計量バルブと「サンプルループ」を含む。しかし、装置は2つの6方向バルブと2つのポンプを必要とし、そして、これらは、制御コストとシステムの信頼性が低くなるというリスクを増加させる。
【0012】
WO2000/20873A1は、他の分析方法の文脈において、連続して複数のサンプルを処理するために複数の「サンプルループ」を有する計量バルブを記述し、そこでは、望ましい自動サンプリングの代わりに、注射器が計量バルブへのサンプル注入のために使われる。前記プロセスは、非常に限られた液体チャネルから非常に少量のサンプルを計量することができるが、その文献に記載された技術は、本目的を達成するためには適切ではない。
【0013】
記述された先行技術を始めに、1つの目的は、最も簡単で信頼性の高い分析方法を提供することであり、それはポリマー、特に界面プロセスによって製造されるポリカーボネートの分子量構造の変化を自動的かつ連続的に「オンライン監視」するために適切であり、その界面プロセスでは反応の制御における適切な変化が早い段階で同様に実施されることができるように、これらの変化は製造プロセスでのできるだけ早い段階で識別されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、短い間隔での製造プロセス中にポリマーの溶液粘度および/または溶融体積流量(MVR)の測定を可能とする、簡単で、信頼性、再現性のある、そして効率的な方法を提供することであり、必要条件を満たすように最適化された測定頻度を有する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
製造プロセスから直接にポリマー溶液を取り出すことにより、そして、その他の点では普通である手順と対照的に、ゲル透過クロマトグラフィーデータ、例えば、分子量を測定するためにさらに希釈することなくそれをGPCカラムに導入することによって、そこではGPCカラムに計量されたサンプル体積が10μl未満であることが今度、知見された。これは実質的に残留塩が含まれていない、そして場合により脱イオン水で繰り返し洗浄された、そして最大約20重量%のポリマー、好ましくはポリカーボネートの含有量を有する溶液に特に当てはまり、そこでは、この溶液は適切な部位で直接製造プロセスから採取することができる。
【0016】
ポリマーの様々なモル質量フラクションのクロマトグラフィー分離の方法は、比較的大量の希釈ポリマー溶液の従来の計量の場合に使用される方法と同一であり、したがって、測定結果の評価は問題がなく、粘度の値および/またはMVRに変換可能な対応モル質量を与える。これは、高濃度サンプルの微量(例えば、約100μlの希釈溶液サンプルの比較的多量と比べての4μl)の計量は、測定の問題を引き起こすことが予想され、再現性と信頼性に関して問題となる可能性があるという点で驚くべきことである。
【0017】
当該方法は、実験室での制限された可用性固定機器へのサンプル輸送とフィードバック情報の遅れを有する「オフライン」分析として知られているものを回避する。ゲル透過クロマトグラフィーのデータは、例えば、生成したポリマーの分子量は、DIN51562に従って溶液粘度の値(相対溶液粘度ηrel)により、あるいはDIN EN ISO 1133に従って、例えば、300℃で1.2kgの負荷による溶融体積流量(MVR)により記述される。その理由は、こうしたタイプの情報は、市販のポリマー製品、特に市販のポリカーボネート製品の仕様の特徴であるからである。当該方法は、較正関係に基づいて、ゲル透過クロマトグラフィーデータ、例えば分子量からポリマーの溶液粘度および/またはMVRの測定を可能にする。
【0018】
本発明の一実施形態は、ポリマーを製造するためのプロセスの段階の過程で、ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量を自動的に測定するための方法を提供することであり、ここで、前記ポリマーは、ポリマーの10〜20重量%を有機溶媒に含む溶液中にあり、前記方法は、
a)ポリマーの製造プロセスの成分からポリマー溶液のサブストリームを取り出し、ここで、前記ポリマー溶液は、実質的に無機塩を含まないこと;
b)前記サブストリームから1〜10μlの体積を有するサンプルを取り出すこと;
c)ゲル透過クロマトグラフィー装置にサンプルを導入し、ポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータを測定すること;
d)ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量をゲル浸透クロマトグラムから得たデータから較正関係に基づいて自動的に測定すること;
を含む方法である。
【0019】
本発明の別の実施形態は、ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量を測定する装置を提供し、そこでは、前記ポリマーは、前記ポリマーの10〜20重量%を有機溶媒に含む溶液中にあり、前記装置は、
a)1〜10μlの範囲の一定の体積を有するポリマー溶液のサンプルの正確な搬送のための計量機器;
b)ポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータを測定するための装置;
c)ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量をゲル浸透クロマトグラムから得たデータから較正関係に基づいて測定するための手段;
を含む装置である。
【0020】
本発明の別の実施形態は、モル質量分布とそれから得られる溶液粘度、および/またはポリマー、特にポリカーボネートの溶融体積流量(MVR)を測定するための「オンライン」法を提供し、そこでは、これらは溶解された形態で起こり、当該方法は、以下のステップを含む:
i.ポリマーの製造プロセスの成分から有機溶媒中での測定を必要とするポリマー溶液のサブストリームを継続的に取り出し、ここで、前記ポリマー溶液は、非常に実質的に無機塩を含まないこと;
ii.前記サブストリームから1〜10μlの体積を有するサンプルを取り出すこと;
iii.場合により、サブストリームをポリマーの製造プロセスへ戻すこと;
iv.サンプルをGPC測定システムに導入し、サンプル溶液からのポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータ、例えば分子量Mに関して測定すること;
v.既知のゲル透過クロマトグラフィーデータ、例えば、M、ηrelおよびMVRを有するポリマー溶液1〜10μlの体積を有する較正サンプルを供給容器から場合により取り出し、ここで、較正サンプル中のポリマー濃度は、ポリマーの製造プロセスからのサブストリームにおけるポリマー濃縮物と同じであること;
vi.較正サンプルを場合によりGPC測定システムに導入し、ポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータ、例えば、分子量Mについて、較正溶液から測定すること;
vii.サンプルの溶液粘度ηrelおよび/または溶融体積流量MVRを測定されたゲル透過クロマトグラフィーのデータ、例えば分子量Mから較正関係に基づいて自動的に測定すること。
【0021】
較正サンプルは、既知のM、ηrelおよびMVRと既知の分子量分布を有するポリマーを含む。積分較正プロセスは、前記較正サンプルと適切なソフトウェアを使用して実行される。1つの好ましい実施形態では、較正サンプルと測定を必要とする実際のサンプルは、同じポリマーを含む。
【0022】
いくつかの実施形態は、また、Mの代わりに、MまたはMなどの他の分子量を利用することもできる。
【0023】
本発明に係る分析方法の一実施形態では、方法を簡単にするために、ポリマー溶液のサンプルは、製造プロセス内の適切な地点で取り出され、直接に、そして精製や希釈などのさらなる前処理なしで、GPC分析装置に導入され、そして測定される。これは、分析法をより信頼できるものとし、信頼できる情報をゲル透過クロマトグラフィーのデータ、例えば、溶液粘度および/またはMVRにより表記されるポリマーの分子量に関連して短い間隔で提供されるのを可能とし、1つの例は、時間当たりの少なくとも1つの測定値の決定である。本発明に係る方法の特徴は、サンプルの、そうでなければ従来の事前の希釈なしに、高度に濃縮され、洗浄されたポリマー反応溶液の非常に少量のGPCカラムへの直接挿入と正確な計量である。
【0024】
測定が必要なポリマー、例えば、ポリカーボネートの有機溶媒中の溶液の室温(22℃)での濃度は、通常10重量%を超え、好ましくは10〜20重量%であり、特に好ましくは14〜18重量%である。
【0025】
本発明の上記の要約、ならびに以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解することができる。本発明の説明を支援する目的で、例示とみなされる代表的な実施形態が図面に示される。しかし、本発明は、いかなる方法によっても示された正確な配置および手段に限定されるものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図において:
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るサンプルの取り出しと分析測定システムへの連結を示している。
【0027】
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るサンプリングラインによる分析測定システムとメインストリームとの間の接続を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で使用する場合、単数形の用語「1つ(a)」と「その(the)」は、同義であり、言語および/または文脈が明瞭にそうでないことを示さない限り、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つ」と互換的に使用される。したがって、例えば、本明細書または添付の特許請求の範囲での「1つのポリマー(a polymer)」への言及は、単一ポリマーまたは複数のポリマーを意味する。さらに、すべての数値は、特に断らない限り、「約」という単語によって修飾されることが理解される。
【0029】
測定が必要なポリマーのための適切な有機溶媒は、原則として知られており、対応する工業的製造プロセスで使用される。ポリマー、特にポリカーボネートに適した溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、モノ−もしくはジクロロエタン、四塩化炭素、フッ素化クロロカーボンおよびクロロベンゼン、または芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、およびアルキルベンゼン)、または環状エーテル(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサン)である。好ましい溶媒は、塩化メチレンおよびクロロベンゼンである。特に好ましい溶媒は、塩化メチレンとクロロベンゼンとから作られる混合物である。他のポリマーの場合の状況も似ている。
【0030】
当該方法は、製造プロセス内で溶解した形態で生じる如何なるポリマーにも原則的に適用可能であり、その分子量分布は、GPC分析により十分な精度で特徴づけることができる。例としては、ポリアクリレート、ポリスチレンまたはポリエーテルケトンである。1つの実施形態では、当該方法は、ポリマー、好ましくは界面プロセスにより製造されるポリカーボネートに適用される。
【0031】
ポリカーボネートは、ジフェノール、炭酸誘導体、場合により連鎖停止剤、および場合により分枝剤から公知の方法で製造される。界面プロセスによるポリカーボネートの製造用の触媒、溶媒、後処理方法、反応条件などは、十分に記載されており、周知である。ホスゲンは、好ましくは、炭酸誘導体として用いられる。本発明に係る適切なポリカーボネート中の炭酸基の一部、最大80モル%、好ましくは20モル%から最大50モル%は、芳香族ジカルボン酸エステル基で置換されることができた。炭酸の部分のみならず、芳香族ジカルボン酸の部分をも分子鎖に組み込んだこのタイプのポリカーボネートは、厳密には芳香族ポリエステルカーボネートと呼ばれている。本出願では、それらは簡便性の理由から一般的な用語のポリカーボネートの下に包含される。
【0032】
本発明に係る方法において好ましく使用され、熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネートを含む熱可塑性ポリカーボネートの平均分子量Mは、12000〜120000、好ましくは15000〜80000、そして特に15000〜60000(CHClの100mlあたり0.5gの濃度での25℃におけるCHCl中での相対粘度を測定することにより決定される)である。
【0033】
ポリカーボネートを製造するための本発明に係るプロセスに好適なジフェノールは、広く先行技術に記載されている。適切なジフェノールの例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、ならびにまたそれらから由来する(環−)アルキル化および環−ハロゲン化化合物が挙げられる。
【0034】
好適なジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2 −ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1− ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンおよび1,1− ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0035】
特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0036】
これらおよび他の適切なジヒドロキシアリール化合物は、ドイツ公開特許3832396、フランス公開特許1561518、H.Schnell,Chemistry and Physics of Polycarbonates,Interscience Publishers,New York 1964,pp.28 ff.;pp.102 ff.およびD.G.Legrand,J.T.Bendler,Handbook of Polycarbonate Science and Technology,Marcel Dekker New York 2000,pp.72 ff.に例として記述されている。
【0037】
ホモポリカーボネートの場合、1種のジフェノールのみが使用されるが、コポリカーボネートの場合には、複数のジフェノールが使用され、そして、最高純度の原料を使用するのがここでは望ましいが、合成プロセスに添加される他の化学物質や助剤のすべての場合もまたそうであるように、使用されるジフェノールは、そのものの合成、取り扱いおよび保管に由来する不純物の汚染があり得ることは自明である。
【0038】
ジヒドロキシアリール化合物との反応に適したジアリールカーボネートは、一般式(I):

(式中、R、R’およびR”は、相互に独立して、水素、直鎖状または非分枝状のC−C34−アルキル、C−C34−アルキルアリ−ルまたはC−C34−アリールであり、そしてRはまた、−COO−R’’’であることができ、ここで、R’’’は、水素、直鎖状もしくは分枝状のC−C34−アルキル、C−C34−アルキルアリールまたはC−C34−アリールである)のジアリールカーボネートである。
【0039】
本発明の目的のためには、C−C34−アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、または1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチルおよびn −オクチル、ピナシル、アダマンチル、異性体メンチル部分、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルまたはn−オクタデシルが挙げられる。同じことが、一例としてのアラルキル部分またはアルキルアリ−ル部分、アルキルフェニル部分またはアルキルカルボニル部分における対応するアルキル部分に当てはまる。対応するヒドロキシアルキルもしくはアラルキルにおけるアルキレン部分またはアルキルアリール部分は、上記のアルキル部分に対応するアルキレン部分が一例として挙げられる。
【0040】
アリールは、6から34個の骨格炭素原子を有する炭素環式芳香族部分である。同じことが、アリールアルキル部分(アラルキル部分とも呼ばれる)やより複雑な基のアリール成分、例えばアリールカルボニル部分にも当てはまる。
【0041】
−C34アリールの例としては、フェニル、o−、p−、m−トリル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニルおよびフルオレニルである。
【0042】
アリールアルキルまたはアラルキルは、独立して、上に定義された直鎖状、環状、分枝状または非分枝状のアルキル部分を意味し、これは、1個の、複数個の、または可能な最大数の上記定義による置換基アリール部分を有することができる。
【0043】
好ましいジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルフェニルカーボネートおよびジ(メチルフェニル)カーボネート、4−エチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−エチルフェニル)カーボネート、4−n−プロピルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−プロピルフェニル)カーボネート、4−イソプロピルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソプロピルフェニル)カーボネート、4−n−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ブチルフェニル)カーボネート、4−イソブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソブチルフェニル)カーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、4−n−ペンチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ペンチルフェニル)カーボネート、4−n−ヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ヘキシルフェニル)カーボネート、4−イソオクチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソオクチルフェニル)カーボネート、4−n−ノニルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ノニルフェニル)カーボネート、4−シクロヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−シクロヘキシル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、4−(1−ナフチル)フェニルフェニルカーボネート、4−(2−ナフチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−ナフチル)フェニル]カーボネート、ジ[4−(2−ナフチル)フェニル]カーボネート、4−フェノキシフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−フェノキシフェニル)カーボネート、3−ペンタデシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(3−ペンタデシルフェニル)カーボネート、4−トリフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−トリフェニル)カーボネート、サリチル酸メチルフェニルカーボネート、ジ(サリチル酸メチル)カーボネート、サリチル酸エチルフェニルカーボネート、ジ(サリチル酸エチル)カーボネート、サリチル酸n−プロピルフェニルカーボネート、ジ(サリチル酸n−プロピル)カーボネート、サリチル酸イソプロピルフェニルカーボネート、ジ(サリチル酸イソプロピル)カーボネート、サリチル酸n−ブチルフェニルカーボネート、ジ(サリチル酸n−ブチル)カーボネート、サリチル酸イソブチルフェニルカーボネート、ジ(サリチル酸イソブチル)カーボネート、サリチル酸tert−ブチルフェニルカーボネート、ジ(サリチル酸tert−ブチル)カーボネート、ジ(サリチル酸フェニル)カーボネート、およびジ(サリチル酸ベンジル)カーボネートが挙げられる。
【0044】
特に好ましいジアリール化合物は、ジフェニルカーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネート、およびジ(サリチル酸メチル)カーボネートである。ジフェニルカーボネートが非常に特に好ましい。1種のジアリールカーボネートあるいは他の様々なジアリールカーボネートのいずれかを使用することが可能である。
【0045】
ジアリールカーボネート(複数を含む)の使用量は、ジヒドロキシアリール化合物(複数を含む)に基づいて、ジヒドロキシアリール化合物のモル当たり、一般的に1.02〜1.30モル、好ましくは、1.04〜1.25モル、特に好ましくは、1.045〜1.22モル、非常に特に好ましくは、1.05〜1.20モルである。上記ジアリールカーボネートの混合物を使用することも可能であり、ジヒドロキシアリール化合物のモル当たり上記のモル量は、次にはジアリールカーボネートの混合物の総モル量を意味する。
【0046】
界面プロセスの分子量を制御するのに必要な単官能性連鎖停止剤は、一例としてフェノールまたはアルキルフェノール、特にフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソオクチルフェノール、クミルフェノール、これらのクロロ炭酸エステル、またはモノカルボン酸のアシルクロリド、あるいは、それぞれに、前記連鎖停止剤の混合物は、ホスゲンまたはクロロ炭酸の末端基が反応混合物中にまだ残存している限り、あるいは、それぞれに、連鎖停止剤としてのアシルクロリドおよびクロロ炭酸エステルの場合、形成されるポリマー上に利用可能な十分なフェノール性末端基が存在する限り、ビスフェノレート(複数を含む)との反応に導入されるか、または他に合成プロセスの任意の所望の地点で添加されるかのいずれかである。しかし、連鎖停止剤(複数を含む)は、残留ホスゲンが存在していなくて、触媒がまだ添加されていない場所または地点においてホスゲン化プロセスの後で添加されるのが好ましい。別の方法として、それらは、触媒の前に、触媒と一緒に、あるいは並行して添加することもできる。
【0047】
分枝剤または分枝剤混合物は、必要に応じて、合成プロセスに同じ方法で添加される。しかし、分枝剤は通常、連鎖停止剤の前に添加される。一般的に使用される化合物は、トリスフェノ−ル、クォーターフェノール、またはトリ−もしくはテトラカルボン酸のアシルクロリド、またはポリフェノールの混合物またはアシルクロリドの混合物を含む。3個以上のフェノール性ヒドロキシ基を有する分枝剤として適切な化合物のいくつかの例としては、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、およびテトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタンである。他の3官能性化合物のいくつかは、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌルおよび3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールである。好ましい分枝剤は、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールおよび1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンである。
【0048】
ポリカーボネートの界面合成で好ましく使用される触媒は、3級アミン、特にトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N−エチルピペリジン、N−メチルピペリジン、N−イソ/n−プロピルピペリジン、第4級アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、クロリド、ブロミド、硫酸水素塩、およびテトラフルオロホウ酸塩、ならびにトリブチルベンジルアンモニウムおよびテトラエチルアンモニウム塩)、およびまた、これらのアンモニウム化合物に対応するホスホニウム化合物である。これらの化合物は、典型的な界面触媒として文献に記載されて、市販されており、当業者によく知られている。触媒は、また、ホスゲン化プロセスの適切な事前に、個別に、混合物で、あるいは他に互いに同時にまたは順番に合成プロセスに加えることができるが、好ましいのは、使用する触媒がオニウム化合物またはオニウム化合物の混合物を含む場合を除き、ホスゲンの導入後に添加される。その場合は、ホスゲンの添加前の添加が好ましい。触媒(複数を含む)は、不活性溶媒、好ましくはポリカーボネートの合成用の溶媒、または他の水性溶液の形態で、希釈せずに添加されることができ、そして、第3級アミンの場合には、添加は、それから、これらと酸、好ましくは鉱酸、特に塩酸とのアンモニウム塩の形態を取る。複数の触媒が使用される場合、あるいは触媒の総量の一部が添加される場合、別の位置でまたは異なる時間に異なる添加方法を使用することは、また、もちろん可能である。
【0049】
触媒の総使用量は、使用されるビスフェノールのモル数に基づいて、0.001〜10モル%、好ましくは0.01〜8モル%、特に好ましくは0.05〜5モル%である。
【0050】
有機溶媒中で測定を必要とするポリマー、好ましくは、ポリカーボネート溶液は、ポリマー、好ましくはポリカーボネートの溶液が、完全に反応した反応混合物の水相から脱した部位より先でない部位での界面プロセスにより、ポリマー、好ましくは、ポリカーボネートを製造するためのプロセスから取り出されるが、その理由は、強アルカリ塩含有水相の存在が、GPCカラムでのサイズ排除クロマトグラフィーを混乱させるからである。有機ポリマー、好ましくは、水性反応相から分離されたポリカーボネートを含有する溶媒相は、常に水と無機塩類の残留量を含み、そしてそのため、GPC測定方法が、このタイプの含量の実質的な取り出しのために適切な手段を使用することは有利である。
【0051】
有機相のための前記精製手段が、ポリマー、好ましくはポリカーボネートを界面プロセスによって製造する方法の従来の過程で使用されるかどうか、あるいはそれらが、ポリマー溶液サンプル、好ましくは、取り出されたポリカーボネート溶液のサンプルでのみ具体的に使用されるかどうかは、ここでは重要ではない。ポリマー溶液、好ましくはポリカーボネート溶液に適用されるこのタイプの精製手段の一例は、脱イオン水による洗浄、激しい混合およびその後の2相の分離であり、そしてこれら2つのプロセスはまた、複数回繰り返すことができる。相混合プロセスに適した装置の例としては、遠心ポンプ、撹拌装置またはスタティックミキサー、およびそれらの組み合わせである;そして、相分離プロセスに適した装置の例としては、重力、遠心分離機またはコアレッサーおよびこれらの組み合わせを使用するデカンターである。同じことは、無機塩がポリマー中に存在するポリマーのための他の製造プロセスに同様に適用される。
【0052】
有機ポリマー相に対する他の精製手段の例としては、塩を除去するイオン交換体による処理、および塩や水を吸着するための活性炭、ゼオライトまたは珪藻土などの吸着剤による処理である。
【0053】
GPC測定方法のためのサンプリングのためのポリマー、好ましくはポリカーボネートの溶液は、有機ポリマー、好ましくはポリカーボネート相が脱イオン水で洗浄されるプロセスのセクションにおいて、ポリマー、好ましくは、ポリカーボネートを製造するためのプロセスから取り出すことが好ましい。有機ポリマー、好ましくはポリカーボネート溶液から分離された水相の電気伝導度が、5μS未満である部位において、有機ポリマー、好ましくはポリカーボネート相の脱イオン水による洗浄を繰り返した後にサンプルを取り出すことが特に好ましい。
【0054】
本発明に係る分析法は、後述する装置を用いて行うことができる。ポリマー溶液のサンプルは、規定された、しかし可変的に調節可能な間隔でポリマーの製造プロセスから自動的にここで取り出され、要件に応じたポリマーの分子量のチェック(ゲル透過クロマトグラフィーのデータを介して)を、およびしたがってまた、ポリマーの溶液粘度のチェックを可能とするような方法での測定に供される。要件に応じたこのタイプのチェックは、ポリマーのモル質量またはポリマーの溶液粘度における計画外のまたは計画的な変化のいずれかを最大速度で認識することを、定常状態の製造プロセスや反応パラメータの計画的事象のいずれかで提供することを意図しており、かくして、反応パラメータの標的とされる変化を通じて最大速度の補正介入の選択肢を提供する。
【0055】
必要なときに標的とされ、迅速な反応パラメータの前記補正は、ポリマーを製造するためのプロセスから2つの連続ポリマーサンプリング間の適切な間隔を介してとりわけ提供される。しかし、このような2つのサンプリング間の規則的な間隔は、通常、2時間以下、好ましくは1時間以下であるべきである。生成したポリマーの種類間の切り替えの場合や、反応への標的介入の場合には、2つのサンプリング間隔は、1時間未満、好ましくは30分未満とする必要がある。
【0056】
本発明に係る分析のプロセスをサンプルが完全に通過するのに必要な時間は、ポリマーを製造するためのプロセスからのサンプリングからポリマーサンプルの溶液粘度ηrelおよび/またはMVRの形態で得られる測定値の出力までの1〜120分、好ましくは、2〜60分である。ポリマー製造プロセスからのサンプルの短い間隔での取り出しおよび測定を可能にするために、複数のGPCシステムを並列に動作させることができ、最初のGPCシステムがモル質量分離プロセスを終了する前に、次の独立したGPCシステムへのサンプル注入を開始することができる。必要な時系列の解像度レベルがより低い場合、製造部位内での様々な反応からのポリマー溶液を連続して単一のGPCシステムに適用することも可能である。GPCシステムに対する異なる反応からのポリマー溶液の比率は、測定の時系列の解像能と精度の点で要件に応じて10:1〜1:10の範囲内で変動することができる。5:1から1:5の比率が好ましく、3:1から1:3の比率が特に好ましい。
【0057】
GPCにより測定されたデータ、例えば、ポリマーのモル質量からのηrel値または溶融体積流量(MVR)の形式でのポリマー溶液粘度、特にポリカーボネート溶液粘度の計算は、較正関係に基づく。MVRとηrel値は、ポリマー、好ましくは、ポリカーボネートの測定されたMおよびM値と優れた相関性を有し、したがって、オンラインで測定したM値を生成したポリマーのDIN 51562により測定されたηrel値および/またはDIN ENISO 1133により測定されたMVRを予測するために使用することが可能である。本発明に係る分析法の1つの好ましい実施形態では、この較正関係は、モル質量MについてGPCにより測定された値と、関連した溶液粘度ηrelまたは関連したMVRとの間の自動リンクが生成し、表示することができるような方法で適当な装置のソフトウェアに格納されている。
【0058】
本発明はさらに、本発明の分析プロセスを実施するための装置を提供し、それは、製造プロセスからサンプリングをするための手段、正確に一定の非常に少量のサンプルの精密搬送の計量機器、ゲルクロマトグラフィーのプロセスを実施するための少なくとも1つの装置、および分析プロセスの制御と測定結果の評価に必要なハードウェアとソフトウェアを包含する。
【0059】
一実施形態において、本発明による装置は、ポリマーを製造するためのプロセスのプラントの一部から、特にポリマー、とりわけポリカーボネートを製造するプロセスのプラントの一部から、有機溶媒中での測定を必要とするポリマーの溶液を取り出すための少なくとも1つのラインを含み、ここで、前記のポリマー溶液は、非常に実質的に無機塩を含んでいない。サンプリングラインと製造プラントおよびサンプリングシステムを含む分析機器との間には、ポリマー溶液の取り出しがメインストリームからの付随的ストリ−ム内で継続的に行われるように好都合に接続している。
【0060】
界面プロセスからのポリマー溶液、特にバルブへのサンプリングラインを経由するプロセスの洗浄セクションからのポリカーボネート溶液のサンプル取り出しの場合において、前記ラインで優勢な圧力は、水性洗浄相から有機ポリマー溶液を分離する分離装置の圧力である。この圧力は、通常、バルブへのサンプリングラインを介して有機ポリマー溶液の連続的な輸送を確保するためには十分であり、そのために別個のポンプが前記輸送には必要とされない。ただし、必要に応じて搬送ポンプが存在してもよい。
【0061】
一実施形態において、本発明による装置は、複数の3方向バルブを経由するサンプリングラインから1〜100mlの一定の体積を分離するために、少なくとも1つのサンプルループを含む。サンプルループは、サンプルがサンプルループを通って連続的に流れるか、あるいは、サンプルループに位置するポリマー溶液が、分析用多方向バルブに移送されるように、2つの3方向バルブセットで区切られる。純粋な有機溶媒のためにさらにラインが存在する;このラインは、ポリマー溶液の移送を可能にするために、溶媒ポンプによって生成される過気圧下に曝され、同様に3方向バルブの1つに接続している。
【0062】
一実施形態において、本発明による装置は、供給容器から例えば、適切なポンプの助けを借りて製造プロセスからのポリマー溶液と同じ濃度での既知のゲル透過クロマトグラフィーのデータ、例えば、M、ηrelおよびMVRを有するポリマーの有機溶液を取り出すための装置を含む。
【0063】
本発明による装置の一実施形態では、サンプルの正確に一定の非常に少量の精密輸送のための計量器具は、分析用多方向バルブ(5方向バルブまたは6方向バルブ)を包含し、それは、1μl〜10μlの範囲でサンプル量の精密な計量を提供することができる1つまたは複数のサンプルループを含むか、あるいはそれに接続している。
【0064】
一実施形態では、分析用多方向バルブは、1μl〜10μlの範囲内の体積を有するGPCシステム用の注入ループを含むか、あるいは、1μl〜10μlの範囲内の体積を有する外部に配置された注入ループを有する。分析用多方向バルブの様々なバルブの位置がある。1つの確定したバルブの位置では、測定を目的としたポリマー溶液は、注入ループを通って連続的に流れることができる。別の確定したバルブの位置では、測定を目的とした、そして注入ループに存在するポリマー溶液は、注入ループの外に強制的に追い出され、GPCシステム(またはGPCカラム)に接続しているラインに搬送されることができる。別の確定したバルブの位置では、純粋な溶媒は、注入ループを通って連続的に流れることができ、したがって、それは勢いよく洗浄される。一実施形態では、前記の洗浄溶液は別々に収集される。
【0065】
一実施形態では、分析用多方向バルブは、それに適合するバルブシートに回転可能に取り付けられた円筒形または球形のバルブコアを含み、そして、漏れ止めシールを備え、そこでは、バルブコアとバルブシートの両方が複数のドリル穴を含む。バルブコアおよびバルブシートのドリル穴は、バルブシートのドリル穴とバルブコアのドリル穴の間に必要な接続を生成するような方法でバルブコアの適切な回転によって互いに向かい側に配置することができ、したがって、上記の機能を可能にする。バルブコアおよびバルブシートの間の適切なシールは、有意な漏れ流れが意図しないどんな方向にも発生しないことを保証する。このタイプの多方向バルブは、例えば、5方向バルブまたは他に6方向バルブとすることができる。このタイプのバルブは、当業者に周知である。
【0066】
多方向バルブの一実施形態では、狭いチャネル様ドリル穴の形態でバルブコア内に配置された複数のサンプルループが存在し、バルブコア内の2つの隣接する開口部を互いに接続している。6方向バルブの場合には、バルブコア内に存在する同じ大きさの3つのサンプルループがあり、これらはそれぞれ、バルブシートの6つの開口部のうちの2つに接続している。バルブシートには、6つの開口部を接続する通路があり、バルブの設計で規定された、バルブシートの隣接する通路のそれぞれのペアは、バルブコア内のそれぞれのサンプルループを介して互いに連続的に接続されている。ここで、バルブシートの6つの開口部での通路の配置は、ポリマー溶液がサンプルループのうちの1つを通って流れ、サンプルループのうちの1つが溶媒を使用してGPCカラムの方向に排出され、そして、サンプルループのうちの1つが、溶媒を使用して洗浄されて廃棄物容器に排出される。
【0067】
他の実施形態は、バルブコア内に装置されるサンプルループの代わりに、バルブの外側に位置するサンプルループに接続している多方向バルブを使用することができる。多方向バルブの動作モードは、ここでは、サンプルループがバルブ内やバルブ外に配置されているかどうかに依存する。
【0068】
これらのバルブとサンプルループは、原則として知られており、市販されている。適切な多方向バルブの例としては、Valco Instruments Co.Inc.,VICI AG International,8300 Waterbury,Houston,TX 77055,USAからのETC6UWまたはEDC6UW、またはIDEX Health & Science LLC,600 Park Court,Rohnert Park,CA 94928,USAからのMXスイッチングバルブ(例えば、No.447900)である。サンプルループの体積は、1〜10μl、好ましくは3〜7μlである。一例として、1/16インチの外径と100〜250μmの内径を有する適切な長さのステンレススチール毛細管は、この目的のために使用することができる。
【0069】
高濃度ポリマー溶液を付随的ストリ−ムから注入ループへ移送するのに必要な純粋な溶媒を搬送するために、一実施形態は、HPLCに適したポンプ、例えば、高圧ダブルピストンポンプを使用して、最大600バールのゲージ圧で搬送することができる。
【0070】
一実施形態において、本発明に係る装置は、並列で動作する1つまたは複数のGPCシステムを含み、ゲルクロマトグラフィー測定プロセスの実施と、様々なゲル透過クロマトグラフィーのデータ、例えば、サンプル溶液からのポリマーの分子量、M、M、またはMの測定とに必要な機器のすべてを有する。
【0071】
また、複数存在できて、したがって測定のタイムシフトの並列動作が可能である、例えば、増加したサンプリング頻度の場合のGPCシステムは、サイズ排除クロマトグラフィーのために直列に配置された1つまたは複数の市販のGPCカラムを包含することができ、そこでは、これらの選択が、ポリマー、特に5000〜100000g/モルの重量平均モル質量Mを有する芳香族ポリカーボネートの適切な分離を可能にするものである。
【0072】
一実施形態は、直径7.5ミリメートルと長さ300mmの直列に配置された複数の分析カラムを使用する。カラム材料の粒子サイズは、3〜20μmの範囲である。カラムの選択は、生産される様々な製品に対するゲル透過クロマトグラフィーのデータから測定されるηrel値とMVR値との間の差が十分な確信を持って検出できるようにすることである。一例として、M値がηrelおよびMVRを計算するために利用される場合、対応するM値の間の違いは、十分な信頼性でもって検出可能でなければならない。一例として、様々なポリマーが生成され、これらの平均分子量Mが1000g/モルだけ異なる場合は、この違いは、使用するGPCシステムの助けを借りて、確実に区別できる必要がある。したがって、厳しい必要条件が、GPCシステムの正確度、特にその精度に求められる。
【0073】
使用される溶離液は、適切な有機溶媒、例えば、THF、クロロホルムまたはジクロロメタンを含む。一実施形態は、ジクロロメタンを使用する。適切なポンプは、高圧液体クロマトグラフィーに用いられる代表的なポンプ、例えば、高圧ダブルピストンポンプであり、これらは、GPCカラムを通して非常に一定して正確な流量を提供する。使用可能な検出器は、屈折率検出器(RI)、UV検出器、蒸発光散乱(ELS)検出器、粘度検出器、(例えば、1つ、2つまたは4つの毛細管を使用する粘度計)または散乱光検出器を含む。好ましいのは、UV検出器およびRI検出器である。
【0074】
GPCシステムは、既知のモル質量および/またはモル質量分布、例えば、既知のM値を有するポリマーを用いて較正される。ポリカーボネートまたはポリスチレンを使用することが好ましい。これらのポリマー溶液は、製造プロセスに対応する濃度で調製されて、これらは適切なポンプ、例えば、ダイアフラムポンプなどの助けを借りて、製造プロセスからのポリマー溶液の代わりに、サンプリングラインに供給される。一実施形態では、コンピュータが、製造からのサンプルの供給、またはサンプリングラインへの較正サンプルのいずれかの供給を制御するために使用される。
【0075】
GPCシステムは、希釈ポリマー溶液を注入することができる、例えば、システムのテスト用の追加の自動サンプルの入力デバイスを有することができる。
【0076】
注入プロセス用の、およびクロマトグラムの評価用の多方向バルブを含むGPCシステムの制御については、コンピュータと適切なソフトウェア、例えば、PSS WinGPC Unityを用いて、当業者に公知の方法を使用するのが好ましい。
【0077】
一実施形態において、本発明による装置は、較正関係に基づいて、試験されたポリマーサンプルの溶液粘度ηrelおよび/または溶融体積流量MVRを計算して、表示するためのさらなる装置を含む。
【0078】
一実施形態において、本発明による装置は、較正のタイミング、サンプリング、バルブのすべての作動、GPCシステムへのサンプルの計量、GPC測定プロセスの開始、サンプルループの洗浄、得られた測定値の表示および/または文書化、ならびに再サンプリングの完全自動連続制御用のコントロール装置を構成する。
【0079】
一実施形態において、本発明による装置は、以下の構成要素を含む:
a)ポリマー製造プロセスの構成要素からの有機溶媒中での測定が必要なポリマー溶液のためのサンプリングラインであって、そこでは、前記ポリマー溶液は、非常に実質的に無機塩を含まず、そして、前記ラインは、過気圧下に曝され、そしてバルブに接続し、メインストリームからのサブストリームにおいてのポリマー溶液の取り出しを可能にする。サンプリングラインは、バルブを経由する一定の体積を分離することを目的としている。この方法で分離することができる体積は、サンプルループと呼ばれる。
b)製造プロセスからのポリマー溶液と同じ濃度での既知のゲル透過クロマトグラフィーのデータ、例えば、M、ηrelおよびMVRを有するポリマーの有機溶液が、製造プロセスからのポリマー溶液の代わりに、適切なポンプの助けを借りてサンプリングラインに注入されるのを可能とする較正装置。
c)純粋な有機溶媒のためのライン;このラインは、溶媒ポンプによって生成される過気圧下に曝され、a)で説明したサンプリングラインを経由してバルブにも接続している。
d)GPCシステムのための注入ループを含み、またはバルブが確定した位置にある場合、有機溶媒中での測定を必要とするポリマー溶液が、前記注入ループを通って連続的に流れることができるような方法で外部に配置された注入ループに接続している分析用多方向バルブであり、そこでは、前記注入ループは、1〜10μlの正確に確定された体積を有し、別の確定したバルブの位置では、測定が必要な、そして注入ループに存在するポリマー溶液が、溶媒の過気圧により注入ループから強制的に排出することができ、そしてGPCシステムに接続しているラインに搬送することができ、そして、別の確定したバルブの位置では、純粋な溶媒が、注入ループを通って継続的に流れ、したがって洗浄されることができ、そこでは、この洗浄溶液は個別に収集される。
e)バルブd)からGPCシステムへのラインであって、ここで、注入ループからの測定を必要とするPC溶液の正確に一定の体積が、純溶媒の過気圧下の助けを借りてラインでGPCシステムの入口端部に搬送され、それは動作準備ができている。
f)ゲルクロマトグラフィー測定プロセスの実施と、ゲル透過クロマトグラフィーのデータ、例えば、サンプル溶液からのポリマーの様々に定義された分子量M、M、MおよびDの測定とに必要な機器のすべてと並列に動作するGPCシステム、または必要に応じて複数のGPCシステム。
g)ゲル透過クロマトグラフィーのデータから、例えば、測定されたポリマーサンプルの分子量からの、較正関係に基づく溶液粘度ηrelおよび/または溶融体積流量MVRの連続的な計算と表示のためのさらなる装置。
h)サンプリングのタイミング、GPCシステムへのサンプルの計量、GPC測定プロセスの開始、サンプルループの洗浄、得られた測定値の表示および/または文書化、および再サンプリングの完全自動連続制御用のコントロール装置。
【0080】
図1と図2は、例として、サンプリングと注入のための概念を用いた実験系のダイアグラムを示す。有機溶媒中での測定を必要とするポリマー溶液は、ポリマーを製造するためのプロセスの構成要素から連続的に取り出され、そこでは、前記ポリマー溶液は実質的に無機塩を含まなかった。溶液は、必要に応じて追加のポンプによって生成される過気圧下に曝される。ここでのサンプリングラインを経由して迂回したサブストリームは、継続的に分析測定システムに導入され、ここで再循環してメインストリームに戻される。図1は、サンプルの取り出しと、サンプル適用システムおよびGPCシステムへの結合を含む分析用測定システムへの結合とを示す。図2は、分析用測定システムとサンプリングラインを経由するメインストリームとの間の接続を示す。
【0081】
サンプルの取り出しは、サンプリングシステムを経由して次の通りに行われる:サンプリングラインは、複数の3方向バルブを経由する一定の体積を分離する。このようにして分離することができる体積は、サンプルループと呼ばれ、1〜100ml(図1の例では12ml)である。サンプルループは、サンプルがサンプルループを通って連続的に流れるか、あるいはサンプルループ内に位置するポリマー溶液が、分析用多方向バルブに移送されるように2つの3方向バルブセットで区切られている。この移送は、純粋な有機溶媒のためのさらなるラインを使用して行われる;このラインは、溶媒ポンプによって生成される過気圧下に曝され、そしてまた、3方向バルブのうちの1つに接続している。サンプルループにポリマー溶液を負荷するためのバルブの位置は、図1での位置1〜3における「負荷」により明示され、そして、分析用多方向バルブにサンプルを移送するための位置は、位置1〜2における「注入」で明示される。
【0082】
ポリマー溶液は、必要に応じて較正のために使用される。これは、較正装置を用いることによって達成され、そこでは、既知のM、分子量分布、ηrelおよびMVRを有するポリマーの有機溶液は、供給容器(図1での「検証サンプル16%PC」)からのサンプリングラインに適切なポンプの援助により送り込まれ、そこでは、溶液中のポリマー濃度は、製造プロセスからのポリマー溶液中のポリマー濃度と同じである。この較正サンプルは、サンプリングシステムへのサンプルループのさらなる3方向バルブを経由して必要に応じて認められる。位置1〜3において、製造プロセスからのサンプリングが行われ(図1で「負荷」によって明示される)、そして、位置1〜2において、較正サンプルの供給が行われる(図1で「検証サンプル」として明示される)。較正サンプルの供給が行われるとき、このポリマー溶液は、メインストリームへよりもむしろ廃棄物に排出される。
【0083】
装置は、分析用多方向バルブを包含し、それは、GPCシステムのための注入ループを含むか、あるいは1〜10μlの範囲の正確で一定の体積の外部に配置された注入ループを有する。確定したバルブ位置の場合には、測定を必要とするポリマー溶液は、注入ループへのサンプルループからのポリマー溶液の移送の際に、注入ループを通って連続的に流れる。別の確定したバルブ位置では、測定を必要とし、注入ループに存在するPC溶液は、溶媒の過気圧により注入ループから強制的に排出されて、そしてGPCシステムに接続しているラインに搬送される。別の確定したバルブ位置では、純粋な溶媒が、注入ループを通って継続的に流れ、したがって洗浄されることができ、そこでは、この洗浄溶液は個別に収集される。
【0084】
注入ループからの測定を必要とするPC溶液の正確で一定の体積は、分析用多方向バルブから、動作準備ができているGPCシステムの入口端部に対する純粋溶媒の過気圧下の助けを借りて、GPCシステム(またはGPCカラム)までのラインを通る。ゲルクロマトグラフィー測定プロセスの実施と、ゲル透過クロマトグラフィーのデータ、特に、サンプル溶液からのポリマーの様々に定義された分子量M、M、M、MまたはDの測定とに必要な機器のすべてと並列に動作するGPCシステム、または必要に応じて複数のGPCシステムがある。
【0085】
サンプリングライン、溶媒ラインなどの様々なラインは、測定を必要とする個々のポリマー溶液に関する最適化のために、互いに独立して温度制御を有することができる。
【0086】
その広範な発明概念から逸脱することなく、上述の実施形態に対して変更がなされ得ることが当業者には理解されるであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内での修正を包含することを意図する。
【0087】
本明細書に記載されたすべての引用文献は、すべての有用な目的のために引用により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0088】
ポリカーボネートのための較正関係の測定
15のポリカーボネートのサンプル(5つの異なる粘度レベルのうちのそれぞれの3つのサンプル;平均値は、較正関係に対する各粘度レベルでの3つのサンプルから生成される)の分子量Mは、ηrel=1.250から1.34(DIN 51562に対して)の範囲の粘度、またはそれぞれに、4〜16[cm/10分]の範囲のMVR(DIN EN ISO 1133、300℃、1.2kgに対して)および22,000から34,000[g/モル]の範囲のMを有するが、GPCによって決定され、そして、GPCは既知の分子量分布を有する直鎖状のPCで計算された。
実施例1
【0089】
実験は、図1に示される装置を使用した。サンプリングラインをシミュレーションしたステンレス鋼ラインを通るダイアフラムの援助によって、ジクロロメタン(DCM)とモノクロロベンゼンからなる1:1溶媒混合物におけるPCの16重量%を含む溶液。それから、2つのバルブの位置は、サンプルループ(V=12ml)内に位置する重量比で16%強度の溶液が、DCMを送り込む継続的に動作するHPLCポンプの助けを借りて6方向バルブの注入ループにその後移送されるように変更された。注入ループの体積は、約4μlであった。注入ループが重量比で16%強度の溶液で完全に一旦満たされた場合、6方向バルブが切り替えられ、サンプルが同様にDCMを送り込む第2HPLCポンプによりGPCカラムに注入された。GPCカラムの下流は、UV検出器とRI検出器であった。クロマトグラムは、格納されたPCの較正システムの助けを借りて評価された。
【0090】
下記の表1は、サンプルのM値(UV検出器による)とηrel値とMVR値の6回測定の結果を示す。個々の注入の間隔は約48分であった。ηrelとMVRの値を与えるための変換は、格納された較正関係を使用することによって達成された。Mの標準偏差は、±163グラム/モルまたは0.6%であった。ηrelの標準偏差は、±0.0014であった。MVRの標準偏差は±0.2[cm/10分]であった。ηrelおよびMVRについてのこれらの標準偏差は、Ubbelohde粘度計を使用してηrel測定の正確度と、それぞれ溶融指数の検査機器を使用するMVRの測定とに対応し、プロセス監視とプロセス制御のための十分な正確度を有している。
【0091】
【表1】

実施例2
【0092】
オンラインサンプリングとオンライン注入(約16重量%の強度の溶液4μlの計量)の概念をオフライン注入システム(0.2重量%の強度の溶液100μlの注入)の確立された概念と比較するために、強度16重量%の別のPC溶液が、上記のオンライン概念の方法によって最初に計量された。そして、16重量%の強度のPC溶液が、DCMで0.2重量%に希釈され、それからの100μlが自動サンプル入力機器を用いて注入された。以下の結果が得られた:
オンラインサンプリング/注入: M=24052g/mol
標準オフライン注入システム: M=23874g/mol
結果は、測定の正確度の範囲内で同一と見なすことができる。これは新規なサンプリングと注入の概念は、オンラインの使用に適しているという証拠である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを製造するためのプロセスの段階の過程で、ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量を自動的に測定するための方法であって、ここで、前記ポリマーは、ポリマーの10〜20重量%を有機溶媒に含む溶液中にあり、前記方法は、
a)ポリマーの製造プロセスの成分からポリマー溶液のサブストリームを連続的に取り出し、ここで、前記ポリマー溶液は、実質的に無機塩を含まないこと;
b)前記サブストリームから1〜10μlの体積を有するサンプルを取り出すこと;
c)ゲル透過クロマトグラフィー装置にサンプルを導入し、ポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータを測定すること;
d)ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量をゲル浸透クロマトグラムから得たデータから較正関係に基づいて自動的に測定すること;
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリマー溶液から取り出されたサブストリームが、前記製造プロセスに戻される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらなるポリマー溶液の1〜10μlの体積を有するサンプルを、ゲル透過クロマトグラフィー装置に導入し、そこでは、さらなるポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータ、相対溶液粘度、および溶融体積流量が既知であること;
さらなるポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータを測定すること;および
さらなるポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量を測定されたゲル浸透クロマトグラフィーのデータから較正関係に基づいて自動的に測定すること;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーが、界面重縮合によって製造されるポリカーボネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ゲル透過クロマトグラフィーのデータが、重量平均分子量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲル透過クロマトグラフィーのデータが、数平均分子量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲル透過クロマトグラフィーのデータが、分子量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量を測定する装置であって、ここで、前記ポリマーは、ポリマーの10〜20重量%を有機溶媒に含む溶液中にあり、該装置は、
a)ポリマー製造プロセスの構成要素からの有機溶媒中で測定する必要のあるポリマー溶液のサンプリングライン;
b)1〜10μlの範囲での一定の体積を有するポリマー溶液のサンプルの正確な搬送のための計量機器;
c)ポリマーのゲル透過クロマトグラフィーのデータを測定するための装置;
d)ポリマーの相対溶液粘度および/または溶融体積流量をゲル透過クロマトグラムから得たデータから較正関係に基づいて自動的に測定するための手段;
を含む装置。
【請求項9】
ポリマー製造プロセスからのポリマーの10〜20重量%を含む溶液のサブストリームを取り出すための手段をさらに含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
有機溶媒中でのゲル透過クロマトグラフィーのデータ、相対溶液粘度および溶融体積流量が既知である、さらなるポリマーの10〜20重量%を含む溶液を有する供給容器をさらに含む、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記計量機器が、1つまたは複数のサンプルループを含むか、あるいは複数のサンプルループとの接続を有する多方向バルブを含み、そこでは、前記計量機器が、1〜10μlの範囲でサンプルの体積を正確に計量する、請求項8に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−83347(P2012−83347A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−221514(P2011−221514)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG