説明

ポリマーアロイ薄膜材料

【課題】ポリマーアロイ薄膜材料の提供。
【解決手段】ポリマーアロイ薄膜材料は、熱可塑性ポリマーと無機ナノ粒子成分から選択し、これにより厚さ180μm、光反射率80%以上を達成し、ポリマーアロイ薄膜材料の射出流動性(melting index)は、温度200〜290度の環境下で、10〜20g/10minで、その押出レベル流動性(melting index)は、5〜10g/10minで、ポリマーアロイ薄膜材料は、熱可塑性材料で、リサイクルが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーアロイ薄膜材料に関し、特に無機ナノ粒子を備えるポリマーアロイ薄膜材料に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な温暖化に直面し、環境保護、省エネ、二酸化炭素削減は喫緊の課題となっている。この状況に対応して、反射材料を照明器具に応用し、照明の明るさを向上させ、省エネを達成しようとする研究も盛んで、反射材料に注目が集まっている。反射材料は、材料そのものの陽光及び光源反射能力、さらに熱反射能力により、性能が決まる。
【0003】
最もよく見られる照明反射材料は、アルミ材で、その反射率は約85%であるが、電気鍍金、ポリッシュ、エッチングなどステップが必要で、比較的長い製造時間がかかる。もう一つは、白色塗料であるが、その反射率は60%で、反射効果が良くない。反射材料の反射率を高めるため、ドイツのアラノッド(Alanod)社が純度99.9%のアルミニウムと物理気相成長法(Physical Vapor Deposition)を採用し、アルミ材を製造しているが、その反射率は95%である。
【0004】
現在、反射材料は発展途上にあるが、金属材料は、酸化し易く、反射効率を低下させてしまうという問題がある。本発明は、従来の反射材料の上記した欠点に鑑みてなされたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、産業上のニーズに応えることができるポリマーアロイ薄膜材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は下記のポリマーアロイ薄膜材料を提供する。
ポリマーアロイ薄膜材料は、少なくとも2種の熱可塑性ポリマーと無機ナノ粒子を含み、該第一種の熱可塑性ポリマーは、非結晶性(amorphous)熱可塑性ポリマーで、該第二種の熱可塑性ポリマーは、弾性熱可塑性ポリマーで、
或いは該第一種の熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンで、該第二種の熱可塑性ポリマーは、ポリエステル系熱可塑性ポリマーで、
該無機ナノ粒子重量の総重量比は、40%以下で、これにより該ポリマーアロイ薄膜材料の厚さが180ミクロン(μm)である時、平均光反射率は、80%以上で、平均光反射率が、96%以上であれば最適で、該ポリマーアロイ薄膜材料の厚さが厚くなればなるほど、その反射率は高くなり、
該ポリマーアロイ薄膜材料の射出流動性(melting index)は、温度200〜290度の環境下で、10〜20g/10minで、その押出レベル流動性(melting index)は、5〜10g/10minである。
【発明の効果】
【0007】
本発明ポリマーアロイ薄膜材料は、従来のアルミ材反射材料に比べ、製造工程が迅速で、軽量で、反射性に優れ、良好な応用性能を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明第一実施例のポリマーアロイ薄膜材料の可視光線と反射率の関係を示すグラフである。
【図2】本発明第二実施例のポリマーアロイ薄膜材料の可視光線と反射率の関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ポリマーアロイ薄膜材料を掲示する。以下に詳細な製造工程と、その組成について説明するが、本発明の実施は、該項技術の技術者が習熟する特殊知識に限定するものではない。本発明に不要な制限を加えないよう、周知の組成或いは製造工程については、詳述しない。以下に、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、それら詳細説明以外に、本発明は他の実施例に広く応用することができ、しかも本発明の範囲は記載する実施例に限定されるものではなく、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に準じるものとする。
【0010】
図1に示す、本発明第一実施例のポリマーアロイ薄膜材料は、少なくとも2種の熱可塑性ポリマーと少なくとも1種の無機ナノ粒子を含む。2種の熱可塑性ポリマーは、第一熱可塑性ポリマーと第二熱可塑性ポリマーである。しかも、第一熱可塑性ポリマーは、非結晶性(amorphous)熱可塑性ポリマーで、第二熱可塑性ポリマーは、弾性熱可塑性ポリマーである。第一熱可塑性ポリマー、第二熱可塑性ポリマーと、無機ナノ粒子は、混合方式により混合するが、最適な混合方式は、2軸型エクストルーダー方式である。
【0011】
第一熱可塑性ポリマーと第二熱可塑性ポリマーの最適重量比は、50%:50%〜90%:10%である。無機ナノ粒子の重量の総重量比は、25%〜40%が最適である。無機ナノ粒子重量は、添加方式により計算する。
【0012】
最適な非結晶性熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の内の一つ或いはその任意の組合せを含む。最適な弾性熱可塑性ポリマーは、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、エチレングリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)、メタクリル酸メチル(MBS)の内の一つ或いはその任意の組合せを含む。最適な無機ナノ粒子は、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化ガリウム(ZrO2)、炭酸カルシウム、(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)の内の一つ或いはその任意の組合せを含む。最適な無機ナノ粒子の直径は、50〜300ナノである。
【0013】
第一熱可塑性ポリマー、第二熱可塑性ポリマーの成分の選択(第一熱可塑性ポリマー、第二熱可塑性ポリマーの屈折率の差が大きければ大きいほど、反射率は良好)、及び無機ナノ粒子の成分の選択、及び無機ナノ粒子重量の総重量比が40%以下であることにより、ポリマーアロイ薄膜材料の厚さが180ミクロン(μm)である時、その白色光(daylight radiation, 450 nm to 700 nm)の平均反射率は、80%以上である。最適な光平均反射率は、96%以上である。薄膜の厚さが厚くなればなるほど、その反射率はより良好となる。また、上記したポリマーアロイ薄膜材料は、日光反射(Solar radiation, 340 nm to 1800 nm)に用いることができ、他の放射反射(灯光、赤外線、マイクロウェーブ、無線電波、レーダー波、電磁波、熱反射など)に用いることもできる。
【0014】
温度200〜290度の環境下で、上記したポリマーアロイ薄膜材料の射出流動性(melting index)は、10〜20g/10minで、その押出レベル流動性(melting index)は、5〜10g/10minである。
【0015】
上記したポリマーアロイ薄膜材料の最適例は、さらに少なくとも1個の相容性剤を含む。相容性剤は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、エチレングリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)、メタクリル酸メチル(MBS)の内の一つ或いはその任意の組合せを含む。
【0016】
本発明第二実施例が掲示するポリマーアロイ薄膜材料は、少なくとも2種の熱可塑性ポリマーと少なくとも1種の無機ナノ粒子を含む。2種の熱可塑性ポリマーは、それぞれ第三熱可塑性ポリマーと第四熱可塑性ポリマーで、しかも第三熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンで、第四熱可塑性ポリマーは、ポリエステル系熱可塑性ポリマーである。
【0017】
最適なポリエステル系熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)の内の一つ或いはその任意の組合せを含む。さらに最適な第三熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン(Polyolefin)で、ポリプロピレン(Polypropylene,PP)、ポリエチレン(Polyethylene, PE)の内の一つ或いはその任意の組合せを含む。最適な無機ナノ粒子の直径は、50〜300なので、無機ナノ粒子は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(ZrO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)の内の一つ或いはその任意の組合せを含む。上記した第三熱可塑性ポリマー、第四熱可塑性ポリマーと無機ナノ粒子は、混合方式で混合するが、最適な混合方式は、2軸型エクストルーダー方式である。
【0018】
2種の熱可塑性ポリマーと無機ナノ粒子の成分の組合せ、及び無機ナノ粒子重量の総重量比が40%以下である組合せにより、ポリマーアロイ薄膜材料の厚みが180ミクロン(μm)以上である時、白色光(daylight radiation, 450 nm to 700 nm)の平均反射率は、80%以上である。最適な反射率は、96%以上である。また、上記したポリマーアロイ薄膜材料は、日光反射(Solar radiation, 340 nm to 1800 nm)に用いることができ、また他の放射反射(灯光、赤外線、マイクロウェーブ、無線電波、レーダー波、電磁波、熱反射など)に用いることもできる。温度200〜290度の環境下で、上記したポリマーアロイ薄膜材料の射出流動性(melting index)は、10〜20g/10minで、その押出レベル流動性(melting index)は、5〜10g/10minである。
【0019】
上記したポリマーアロイ薄膜材料の最適例は、さらに少なくとも1個の相容性剤を含む。相容性剤は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、エチレングリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)、メタクリル酸メチル(MBS)の内の一つ或いはその任意の組合せを含む。
【0020】
第一実施例
ポリメチルメタクリレート(PMMA)/スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)/二酸化チタン反射膜を合成する。ポリメチルメタクリレート(PMMA)、柔軟剤スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)と二酸化チタンを提供し、2軸型エクストルーダー(TSE compounding)で製造し、薄膜を得る。ポリメチルメタクリレート(PMMA)、柔軟剤スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)の重量比は、50〜90%:50〜10%である。二酸化チタンの総重量比は、40%以下で、しかも薄膜の厚さは約250μmである。図1は、可視光線の平均反射率は96%に達していることを示す。
【0021】
第二実施例
ポリプロピレン(Polypropylene, PP)/ ポリエチレンテレフタレート(PET)/二酸化チタン反射薄膜を合成する。ポリプロピレン(Polypropylene, PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二酸化チタンを提供し、2軸型エクストルーダー(TSE compounding)で製造し、薄膜を得る。ポリプロピレン(Polypropylene, PP)の重量比は、50〜90%:50〜10%である。二酸化チタンの総重量比は、40%以下で、しかも薄膜の厚さは約250μmである。図2は、可視光線の平均反射率は96%に達していることを示す。
【0022】
上記した実施例中における記述により明らかなように、本発明には、多くの修正及び差異があり得る。よって、請求項の範囲内において追加して説明する必要がある。上記以外に、本発明は他の実施例に広く応用することができ、上記は本発明の最適実施例に過ぎず、本発明の請求項の範囲を限定するものではない。他の本発明が掲示する精神を離脱せずに完成される等価応用或いは修正は、すべて、本発明の保護範囲に含むものとする。
【0023】
本発明は特許請求の要件である新規性を備え、従来の同類製品に比べ十分な進歩を有し、実用性が高く、社会のニーズに合致しており、産業上の利用価値は非常に大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一熱可塑性ポリマー、第二熱可塑性ポリマー、無機ナノ粒子を含み、
前記第一熱可塑性ポリマーは、非結晶性(amorphous)熱可塑性ポリマーで、前記第二熱可塑性ポリマーは、弾性熱可塑性ポリマーで、
前記無機ナノ粒子の直径は、50〜300ナノで、しかも前記無機ナノ粒子重量の総重量比は、40%以下で、これにより前記ポリマーアロイ薄膜材料の厚さが180ミクロン(μm)である時、その可視光線の平均反射率は、80%以上であることを特徴とするポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項2】
前記非結晶性熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の内の一つ或いはその任意の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項3】
前記弾性熱可塑性ポリマーは、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、エチレングリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)、メタクリル酸メチル(MBS)の内の一つ或いはその任意の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項4】
前記無機ナノ粒子は、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化ガリウム(ZrO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)の内の一つ或いはその任意の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項5】
前記ポリマーアロイ薄膜材料の射出流動性(melting index)は、温度200〜290度の環境下で、10〜20g/10minで、その押出レベル流動性(melting index)は、5〜10g/10minであることを特徴とする請求項1に記載のポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項6】
第三熱可塑性ポリマー、第四熱可塑性ポリマー、無機ナノ粒子を含み、
前記第三熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンで、しかも前記第四熱可塑性ポリマーは、ポリエステル系熱可塑性ポリマーで、
前記無機ナノ粒子の直径は、50〜300ナノで、しかも前記無機ナノ粒子重量の総重量比は、40%以下で、これにより前記ポリマーアロイ薄膜材料の厚さが180ミクロン(μm)である時、その可視光線の平均反射率は、80%以上であることを特徴とするポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項7】
前記ポリオレフィンは、ポリプロピレン(Polypropylene,PP)、ポリエチレン(Polyethylene, PE)の内の一つ或いはその任意の組合せを含むことを特徴とする請求項6に記載のポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項8】
前記第四熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)の内の一つ或いはその任意の組合せを含むことを特徴とする請求項6に記載のポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項9】
前記無機ナノ粒子は、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化ガリウム(ZrO2)、炭酸カルシウム、(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)の内の一つ或いはその任意の組合せを含むことを特徴とする請求項6に記載のポリマーアロイ薄膜材料。
【請求項10】
前記ポリマーアロイ薄膜材料の射出流動性(melting index)は、温度200〜290度の環境下で、10〜20g/10minで、その押出レベル流動性(melting index)は、5〜10g/10minであることを特徴とする請求項6に記載のポリマーアロイ薄膜材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−52196(P2011−52196A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222384(P2009−222384)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(509268842)
【Fターム(参考)】