説明

ポリマー合成装置及び合成方法

【課題】ポリマーの熱分解による着色を抑制して品質を向上させること。
【解決手段】本発明は、被重合物を溶融状態で重合させてポリマーを合成するポリマー合成装置において、一方の供給口から導入された被重合物を溶融状態で撹拌して移送し、他方の排出口から排出する横型の反応容器17と、この反応容器17の供給口と排出口との間に形成される開口から溶融状態の被重合物を反応容器内に添加する添加手段と、反応容器内の供給口と排出口との間の溶融物の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段の検出温度に基づいて、添加手段により添加される被重合物の添加量を制御する制御手段とを備えて構成される。このように反応容器17内に溶融物よりも温度の低い被重合物を添加することにより、溶融物の温度上昇を抑制できるため、溶融物の熱分解に伴う着色を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融状態の被重合物を重合させてポリマーを合成するためのポリマー合成装置及びポリマー合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
開環重合反応により合成されるポリマーの一つであるポリ乳酸は、ヒドロキシカルボン酸の一つである乳酸を原料として作られる無色透明なポリエステルである。乳酸からポリ乳酸を合成する方法の一つとして、乳酸を縮合してオリゴマーを生成させ、これに酸化アンチモン等の触媒を添加して解重合することにより環状縮合物であるラクチド(乳酸の二量体)を生成させ、このラクチドにオクチル酸スズ等の触媒を添加して開環重合する方法が知られている。
【0003】
ところで、開環重合の際には、反応熱に伴う温度上昇により、ポリ乳酸の一部が熱分解して着色することがある。このように着色が生じると、ポリ乳酸の特徴の一つである無色透明性が損なわれ、品質が低下することから、これを抑制することが望まれている。同様なことはグリコール酸の環状二量体であるグリコリドを開環重合して合成するポリグリコール酸についても当てはまる。
【0004】
これに対し、ラクチドの開環重合を行う反応槽を複数個用意し、これらを直列に接続して原料の供給と重合物の排出を同時に行う連続方式を採用するとともに、各反応槽での温度、触媒量、滞留時間を変えて運転することにより、温度履歴の長時間化による熱分解を低減する方法が開示されている(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−259676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1によれば、例えば、同じ反応槽において、重合度及び粘度が低い重合物と重合度及び粘度の高い重合物とが混ざり合うことにより、滞留時間にばらつきが生じ、温度履歴が長時間化することや、開環重合による反応熱の蓄積に伴う熱分解の加速といった、着色を増大させる要因については、十分な検討がなされていない。
【0007】
本発明は、ポリマーの熱分解による着色を抑制して品質を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、重合により反応熱が蓄えられて温度が上昇した溶融物に対し、その溶融物の温度よりも低い温度の被重合物、例えば、溶融状態の原料を添加して混合したところ、溶融物の温度上昇が抑制され、ポリマーの品質が安定することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
具体的に、本発明のポリマー合成装置は、被重合物を溶融状態で重合させてポリマーを合成するものであって、一方の供給口から導入された被重合物を溶融状態で撹拌して移送し、他方の排出口から排出する横型の反応容器と、この反応容器の供給口と排出口との間に形成される開口と、この開口から溶融状態の被重合物を反応容器内に添加する添加手段と、反応容器内の供給口と排出口との間の溶融物の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段の検出温度に基づいて、添加手段により添加される被重合物の添加量を制御する制御手段とを備えることにより上記課題を解決することができる。
【0010】
この構成によれば、反応容器内を移動する溶融物の温度が上昇したとき、開口を介して反応容器内に溶融状態の被重合物が添加される。ここで添加される被重合物は、反応容器の供給口から供給される被重合物、つまり原料となるものであるから、溶融物よりも低い温度に維持されている。このため、反応容器内に添加された被重合物は、溶融物と混合されることにより溶融物の熱を吸収して温度を低下させるから、熱分解に伴うポリマーの着色を抑制することができる。一方、反応容器内に供給された被重合物は、溶融物から重合反応に必要な熱を得ることができるため、重合反応の原料として高い反応性をもたせることができる。
【0011】
また、上記に代えて、本発明は、一方の供給口から導入された被重合物を溶融状態で撹拌して移送し、他方の排出口から排出する横型の反応容器を複数直列に接続して形成される反応装置を含むものとし、反応容器のうち少なくとも一つは、反応容器の供給口と排出口との間に形成される開口と、この開口から溶融状態の被重合物を反応容器内に添加する添加手段と、供給口と排出口との間の溶融物の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段の検出温度に基づいて、添加手段により添加される被重合物の添加量を制御する制御手段とを、備えることにより上記課題を解決することができる。
【0012】
このように反応容器を複数直列に接続した場合、後段側の反応容器ほど、溶融物の温度が高くなる傾向にある。このため、例えば、1段目を除いた所定の反応容器に対して、被重合物を添加するようにしてもよい。ここで添加する被重合物は、添加対象となる溶融物の温度よりも低いものであれば、例えば、1段目の反応容器に供給するモノマーなどの原料であってもよいし、前段の反応容器から排出された所定の重合度を有する重合物であってもよい。
【0013】
この場合において、制御手段は、例えば、検出温度が設定温度を超えないように、添加量を制御するようにしてもよい。ここで、設定温度とは、例えば、溶融物が熱分解する温度を考慮して、ポリマーごとに予め定めることができる。
【0014】
また、反応容器は、横型の筒状に形成され、容器内に延在させて設けられた回転軸に間隔を置いて複数の撹拌翼が取り付けられた撹拌機を備え、開口は、回転軸の軸方向で撹拌翼の間に位置し、かつ溶融物の液面よりも上方に形成されるものとする。このような位置に開口を形成することにより、被重合物が開口、及びその近傍で、反応容器内の溶融物と接することを防ぐことができ、被重合物による溶融物の急激な冷却による凝固を抑制し、開口の閉塞を防ぐことができる。
【0015】
また、溶融物の液面を検出する液面検出手段を備え、液面と開口との間の距離を設定範囲に保つように、反応容器の液面を制御する液面制御手段を備えることが好ましい。ここで、液面制御手段としては、例えば、反応容器の供給口からの供給量、排出口からの排出量などを制御する方法がある。
【0016】
また、本発明のポリマー合成方法においては、横型の反応容器の一方から供給された被重合物を溶融状態で撹拌して移送し、他方からポリマーを取り出すものであり、反応容器内で重合される溶融物の温度を検出し、この温度が設定温度を超えないように、溶融物に溶融状態の被重合物を添加することにより上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ポリマーの熱分解による着色を抑制して品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を適用してなるポリマー合成方法及び合成装置は、重合反応に伴い反応熱が発生するポリマーの重合反応に好適に用いられる。
【0019】
このようなポリマーには、開環重合反応又は付加重合反応によって生成するポリマーが含まれ、開環重合反応によって生成するポリマーとしては、二量体の開環重合反応によって合成されるポリエステルなどがある。また、ポリ乳酸、乳酸を主成分とする共重合体、ポリグリコール酸、グリコール酸を主成分とする共重合体などの合成にも好適に用いられる。
【0020】
ここで、ポリ乳酸の原料として使用されるラクチドは、乳酸2分子から水2分子を脱水することにより生じる環式エステルを意味し、ポリ乳酸は、乳酸を主成分とする重合体を意味し、ポリL−乳酸ホモポリマー、ポリD−乳酸ホモポリマー、ポリL/D−乳酸共重合物、これらのポリ乳酸に他のエステル結合形成成分、例えば、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン類、ジカルボン酸とジオールなどを共重合した共重合ポリ乳酸及びそれらに副次成分として添加物を混合したものを包含する。
【0021】
また、ポリグリコール酸の原料として使用されるグリコリドは、グリコール酸2分子から水2分子を脱水することにより生じる環式エステルを意味し、ポリグリコール酸は、グリコール酸を主成分とする重合体を意味し、他のエステル結合形成性成分、例えば、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン類、ジカルボン酸とジオールなどを共重合した共重合ポリグリコール酸及びそれらに副次成分として添加物を混合したものを包含する。
【0022】
乳酸、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸の例としては、ヒドロキシブチルカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸など、ラクトンの例としては、ブチロラクトン、カプロラクトンなど、ジカルボン酸の例としては炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ジオールの例としては、炭素数2〜20の脂肪族ジオールがあげられる。
【0023】
また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンエーテルなどポリアルキレンエーテルのオリゴマー及びポリマーも共重合成分として用いられる。同様にポリアルキレンカーボネートのオリゴマー及びポリマーも共重合成分として用いられる。
【0024】
添加物の例としては、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、離型剤、可塑剤、その他類似のものがあげられる。これらの共重合成分及び添加剤の添加率は任意であるが、主成分は乳酸又は乳酸由来のもので、共重合成分及び添加剤は50重量%以下、特に30%以下とすることが好ましい。
【0025】
本実施形態のポリマー合成方法及び装置は、被重合物を溶融状態で加熱、撹拌することにより重合し、ポリマーを連続的又は間欠的に合成するものである。被重合物を重合させる反応装置は、例えば、2個以上の反応槽を直列に接続させて形成され、1段目の反応容器に供給された溶融原料は、容器内で重合されて所定の重合度を有する重合物となり、さらに、この重合物は、2段目の反応容器に被重合物として供給されて重合度が高められる。そして、最終段の反応容器から排出されるまでに所望の重合度を有するポリマーが合成される。ここで、原料とは、重合反応によりポリマーを合成するための構成要素となる、モノマー、環式モノマー、モノマーの環式縮合物及びオリゴマー等を意味し、溶融状態の原料を溶融原料という。
【0026】
ポリ乳酸の合成においては、原料としてラクチドを使用し、溶融状態にある原料ラクチド及び触媒を含む反応液を反応装置に供給して加熱、撹拌し、ラクチドの開環重合反応を行うことにより、ラクチドを溶融状態で重合させてポリ乳酸を連続的又は間欠的に合成する。また、ポリグリコール酸の合成においては、原料としてグリコリドを使用し、溶融状態にある原料グリコリド及び触媒を含む反応液を反応装置に供給して加熱、撹拌し、グリコリドの開環重合反応を行うことにより、グリコリドを溶融状態で重合させてポリグリコール酸を連続的又は間欠的に合成する。ここで、反応液とは、溶融状態の被重合物を含むが、例えば、溶融原料、溶融原料と触媒との混合物、溶融原料と触媒と所定の重合度の重合物との混合物など、ポリマーの合成過程で流通する溶融物や生成物などをすべて包むものとする。
【0027】
本実施形態において、連続的又は間欠的に合成するとは、当技術分野において通常用いられる意味を有し、原料の供給と生成物であるポリマーの排出を行う時間帯が少なくとも一部重なる場合や、原料の供給を連続的又は間欠的に行い、ポリマーを連続的又は間欠的に排出する場合を含むものである。
【0028】
原料が溶融状態のときは、この溶融原料に触媒を添加して反応装置に供給し、重合反応に付すことができるが、原料が粉体状などの固形状である場合は、原料溶融装置などで原料を予め加熱して溶融させておく。このときの加熱温度は、原料の融点以上であれば特に制限されない。例えば、原料がラクチドである場合、95℃以上であれば特に限定されないが、通常95〜160℃、好ましくは110〜130℃である。160℃以下の温度とすることにより、ラクチドの熱による劣化を防止することができる。また、原料がグリコリドである場合、83℃以上であれば特に限定されないが、通常83〜160℃、好ましくは90〜130℃である。160℃以下の温度とすることにより、グリコリドの熱による劣化を防止することができる。
【0029】
重合反応のための触媒としては、当業者であれば、合成するポリマーによって好適なものを適宜選択できる。例えば、ラクチド、グリコリドの開環重合に用いられる触媒としては、従来公知のポリ乳酸、ポリグリコール酸の重合用触媒を用いることができ、例えば、周期表IA族、IVA族、IVB族及びVA族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属又は金属化合物を含む触媒を用いることができる。
【0030】
IVA族に属するものとしては、例えば、有機スズ系の触媒(例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等)、及び粉末スズ等があげられる。IA族に属するものとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ金属と弱酸の塩(例えば、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、オクチル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、乳酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、オクチル酸カリウム等)、アルカリ金属のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド等)等があげられる。IVB族に属するものとしては、例えば、テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコニウム系化合物等があげられる。VA族に属するものとしては、例えば、三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物等があげられる。これらの中でも、有機スズ系触媒又はスズ化合物が活性の点から特に好ましい。
【0031】
触媒は、当技術分野で通常用いられる触媒添加装置により溶融原料に添加することができる。溶融原料に触媒を添加してから反応装置に供給してもよいし、反応装置に直接触媒を添加してもよい。
【0032】
本実施の形態において、ポリマーの反応装置は、直列に接続された3個の反応槽から構成され、この反応槽内で溶融原料及び触媒を含む反応液を加熱することにより重合反応を行うものである。ここで、反応槽は、3個未満であっても本発明を適用できるが、好ましくは3〜5個、より好ましくは3〜4個である。
【0033】
以下、本実施形態のポリマー合成装置を用いて具体的に説明する。
【0034】
本実施の形態において、重合反応を実施する反応装置は、反応槽を直列に3個接続して構成される。なお、反応装置には、実質的に重合反応が行われていないような槽が、例えば1段目以前に接続されていてもよい。
【0035】
各反応槽には、一方に供給口、他方に排出口がそれぞれ形成され、槽内に延在させて設けられた回転軸に間隔を置いて複数の撹拌翼が取り付けられて形成される撹拌機が設けられている。1段目の反応槽の排出口と2段目の反応槽の供給口、2段目の反応槽の排出口と3段目の反応槽の供給口は、それぞれポンプを介して配管で接続されている。
【0036】
1段目の反応槽は、回転軸が地面に対して実質的に水平になるように設置された撹拌機と、槽内に少なくとも1つの堰が設けられている。地面に対して実質的に水平とは、撹拌機の回転軸が厳密に水平であることを意図するものではなく、地面、すなわち、地平線と回転軸とのなす角度が、通常−5°〜5°、好ましくは−1°〜1°、より好ましくは0°であることを意味する。以下、回転軸が地面に対して実質的に水平になるように設置された撹拌機を有する反応槽を横型反応槽と称する。
【0037】
横型反応槽の形状は、撹拌機を、その回転軸が地面に対して実質的に水平になるように設置できるような形状であればタンク型でも筒型でもよく特に制限されないが、好ましくは地面と実質的に水平な中心軸を有する円筒状である。この横型反応槽は、撹拌機の回転軸方向の一端に溶融原料を供給するための供給口を有し、他端に排出口を有する。したがって、供給された反応液は供給口から排出口の方向に、実質的に水平方向に移っていくことになる。供給口は、撹拌装置の軸より下側に位置するのが好ましく、排出口は撹拌装置の回転軸より下側に位置するのが好ましい。
【0038】
横型反応槽に設置される撹拌機としては、地面に対して実質的に水平方向に配置される回転軸を中心とした回転により撹拌を行うものであれば特に限定されない。例えば、円形、長円形、3角形、4角形及び多葉形などの撹拌翼が回転軸上に間隔をあけて2枚以上設置された1軸又は互いに噛み合う2軸以上の混合機などがあげられる。互いに噛み合う2軸以上の撹拌機は、回転軸や反応槽への反応液の付着を防止することができるため、セルフクリーニング作用の観点から好ましい。複数の撹拌翼を有する2軸の撹拌機を使用する場合は、各回転軸の撹拌翼が互い違いに設置されているのが好ましく、また、各回転軸を逆方向に回転させるのが好ましい。回転軸は、必ずしも実在の回転軸部材を意味するものではなく、単なる回転中心としての回転軸線をも包含する。したがって、撹拌機の回転運動の回転中心が地面に対して実質的に水平に配置されるものであれば、必ずしも実在の回転軸部材は存在しなくてもよい。
【0039】
横型反応槽における加熱方法としては、当技術分野において通常用いられる方法を使用することができ、本実施形態では、反応槽外周部に熱媒のジャケットを設置し、反応槽壁面を通して伝熱により反応液を加熱する方法を用いるが、例えば、撹拌機の回転軸内部に熱媒を通して、伝熱により加熱する方法等もあり、これらを単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。反応槽は実質的に一定の温度で加熱することが好ましい。
【0040】
横型反応槽内に供給された溶融原料は当初、熱媒ジャケットにより加熱されて重合するが、反応熱に伴う温度上昇により反応液の温度が熱媒よりも高くなると、逆に反応液から熱媒に熱が逃げることになるため、この方法によれば、冷却方法としても作用しうる。そのため重合反応によって反応熱が発生するようなポリマーの場合には、熱を効果的に逃がすことができ、有利である。
【0041】
また、必要に応じて、反応槽内部を複数個の領域に区分けし、区分けした領域ごとに熱媒温度を変えられるような加熱方法を使用してもよい。そのために複数個の熱媒ジャケットを利用することが考えられる。反応槽内部は、例えば、堰間の領域に基づいて区分けすることができる。これにより例えば、低温の反応液を加熱する領域では熱媒温度を高く設定し、反応熱により反応液温度が高くなり除熱が必要となる領域では逆に熱媒温度を低く設定するといったことが可能となる。熱媒加熱装置で加熱した熱媒を供給口付近に供給することによって反応槽内部に温度勾配を設定することもできる。熱媒温度が低くなると、一部溶融物が固化して反応槽内面に付着する可能性があるが、この場合は、反応槽に設置された撹拌機により付着物を引き剥がすことができる。
【0042】
横型反応槽は、その槽内に堰が設置されている。この堰は、供給口から排出口に向けて反応液が急速に流れるのを阻害するように作用する。堰の形状は、反応液の流れを阻害可能な形状であればよく、反応槽の形状に基づいて決定することができ、好ましくは板状である。堰の設置方法についても特に制限されないが、例えば、堰が板状である場合は、地面に対し垂直に近い角度となるように設置される。また、堰は、撹拌機の回転軸と垂直な反応槽の断面における下側、例えば下側半分又は1/3を遮るように、反応槽の底部内壁に設置される。ここで、地面に対し垂直に近い角度とは、地面と板状の堰とのなす角度が、85〜95°、好ましくは89〜91°、より好ましくは90°であることを意味する。堰の材質としては、断熱性を有するものを使用するのが好ましい。
【0043】
ポリマーの流通性を高める観点から、堰には貫通孔が設置される場合もあり、貫通孔は、反応槽の底部に近い部分、好ましくは反応槽の底部内壁との境目に存在する。貫通孔の数は、通常1〜10個、好ましくは1〜5個である。このような貫通孔を設けることにより、反応液を適度な速度で流通させることができる。堰の設置位置及び間隔等は、当業者であれば反応条件等に基づき適宜決定することができる。例えば、ポリマーの粘度分布が同程度になる領域を分けるように堰の設置位置を決定することができる。また、反応槽内の堰の設置位置を決めた後、所定の流量で反応液が貫通孔を通過する際の抵抗が、堰の前後における反応液ヘッド差による駆動力よりも小さくなるように貫通孔の孔径を決定することができる。2つの堰間の領域は、単一の混合セルと同様に作用し、撹拌機によって撹拌されることにより反応液が均一化される。これにより粘度の低い溶融物や重合度の低い低粘度の溶融物が、重合度の高い高粘度の重合物よりも速く流れて両者が混ざり合う影響を抑制することができる。なお、重合物の粘度がある程度期待でき上記の混ざり合う効果が小さいときには堰を省略してもよい。
【0044】
横型反応槽における供給口と排出口において、ヘッド差を設けることにより、反応液が供給口から排出口へと移動するための駆動力を与えることができる。反応液は、堰の貫通孔を通って流れるか、あるいは堰よりも高い位置にある反応液がヘッド差により後段の領域に流れることにより、横型反応槽を排出口方向へ流れることができる。横型反応槽において、反応液の供給量は特に制限されないが、横型反応槽の容量に対し、通常10〜70%、好ましくは40〜50%まで液が張り込まれる量で供給される。また、堰の高さを超えない量で供給するのが好ましい。未反応のラクチドが急速に流れるのを、効果的に抑制できるからである。横型反応槽には、必要に応じて反応液の液面を測定する装置を設置し、計測信号を反応槽供給口の送液ポンプ又は反応槽排出口の送液ポンプ等にフィードバックすることにより、液面の高さが所定値となるよう反応液の輸送量を調節することができる。
【0045】
液面の測定方法としては、例えば、放射性物質を横型反応槽上部に設置し、そこから発生するガンマ線の反応液に対する透過量により測定する方法、横型反応槽上部から超音波又は電磁波を発射してその反射波を計測することにより測定する方法、横型反応槽上部に筒状のコンデンサーを設置して、これを反応液中に差込み、筒内部の反応液高さに伴う誘電率の変化を計測することで測定する方法等があげられる。
【0046】
1段目の横型反応槽における反応条件については、当業者であれば適宜決定することができるが、反応槽内の平均反応温度は、通常140〜180℃、好ましくは160〜170℃、滞留時間は、通常5〜15時間、好ましくは7〜10時間である。1段目の横型反応槽の排出口から、重量平均分子量が、通常5万〜20万、好ましくは7万〜15万の重合物が得られるように反応条件を設定することが好ましい。
【0047】
1段目の反応槽を横型反応槽とすることにより、及び1段目の反応槽内に堰を設けることにより、粘度が低い溶融原料、並びに重合度と粘度の低い重合物が、ある程度重合反応が進んだ重合物と混合するのを抑制し、反応槽内でのピストンフロー性を確保することができる。そして、反応液が未反応のまま次の行程に移動することを防止でき、1段目の反応槽において十分な反応を行うことができる。したがって、滞留時間のばらつきに由来する温度履歴の長時間化が防止されるため、熱分解による重合物の劣化が抑制され、高品質のポリマーを得ることができる。
【0048】
このようにして構成される1段目の反応槽において重合された重合物は、溶融状態で未反応の原料とともに反応液として排出口から抜き出され、2段目の反応槽に供給口から供給される。2段目の反応槽では、槽内に供給されたこの重合物を被重合物(以下、原料重合物という。)として加熱、撹拌し、所定の重合度まで高めた溶融状態の重合物(以下、最終重合物という。)を排出口から排出する。
【0049】
2段目の反応槽は、1段目の反応槽と同様、横型の反応槽が用いられるが、撹拌機としては1軸よりも2軸の撹拌機が好適に用いられる。撹拌機の回転軸上には、所定の間隔をあけて撹拌翼が2枚以上設置されていることが好ましい。これは撹拌機の回転軸や反応槽への重合物等の付着を防止することができるためで、セルフクリーニング作用の観点から、重合反応が進み重合物の粘度が上昇している後段の反応槽においては特に有効である。各回転軸の回転方向については、互いに複数の撹拌翼が噛み合うようにされていれば、逆方向に回転させるもの、同じ方向に回転するもののいずれでも構わないが、2軸の撹拌機では、混合性能の観点から、同じ方向に回転するものが望ましい。これは、翼間の溶融物にかかるせん断力が大きくかかることで、引き伸ばしと折り畳みによる反応物と原料の混合効果が増大するためである。撹拌翼の形状については、例えば、円形、長円形、3角形、4角形及び多葉形など一般的なものを用いることができ、特に限定されない。また、反応槽の供給口は撹拌装置の軸より下側に位置するのが好ましく、排出口は撹拌装置の回転軸より下側に位置するのが好ましい。
【0050】
2段目の反応槽では、槽内を移動する溶融物、つまり原料重合物と最終重合物との中間状態の重合物(以下、プレポリマーという。)に、溶融状態の被重合物として、溶融原料を添加して撹拌、混合を行いながら、重合反応を進める。すなわち、溶融原料とプレポリマーを混合し、プレポリマーに蓄積した反応熱を溶融原料のエンタルピーとして吸収することにより、プレポリマーの温度が低下するため、熱分解を抑制することができる。一方、溶融原料はプレポリマーから熱を受けることにより、外部からの加熱が少なくても重合反応の進捗に必要となる温度を得ることができる。
【0051】
ここで、溶融原料とプレポリマーの間で粘度の差が大きい場合、撹拌による混合性が低下する可能性がある。このような場合、例えば、特開平6−21万8260号公報に開示されているように、一方の回転軸に設置されている撹拌翼が他方の回転軸の撹拌翼と軸方向に微小間隔で噛み合って配置される撹拌機が有効となる。これは、隣り合う翼間の間隔が狭いことにより、翼間にある溶融原料とプレポリマーに対して大きなせん断力が撹拌で与えられ、混合性が向上するためである。溶融原料とプレポリマーの混合性が増すことで、プレポリマーから溶融原料への熱の移動性が向上し、プレポリマーの熱分解の抑制効果を大きくできる。
【0052】
溶融原料が添加される反応槽の添加口は、プレポリマーの液面よりも上部であり、かつ撹拌翼と撹拌翼の間に位置するように、軸方向に単数または複数設置されている。このような位置に添加口を設けることにより、溶融原料とプレポリマーが直に接することを防ぐことができ、溶融原料によるプレポリマーの急激な冷却による凝固を回避し、添加口の閉塞を防ぐことができる。
【0053】
2段目の反応槽における加熱方法、反応槽内部を複数個領域に区分けして加熱する方式、液面の測定方法については、いずれも1段目の反応槽と同様の扱いとなる。また、必要に応じて反応槽の供給口から排出口に向けて反応液が急速に流れるのを阻害するため、槽内に堰を設置してもよい。反応槽の反応条件については、当業者であれば適宜決定することができるが、反応槽内の平均反応温度は、通常140〜200℃、好ましくは160〜180℃、滞留時間は、通常0.5〜15時間、好ましくは1〜5時間である。2段目の反応槽の排出口から、重量平均分子量が、通常7万〜30万、好ましくは10万〜20万の重合物が得られるように反応条件を設定することが好ましい。
【0054】
2段目の反応槽でプレポリマーに溶融原料を添加し、撹拌、混合を行いながら重合反応を進めることにより、熱分解による重合物の劣化が抑制され、高品質のポリマーを得ることができる。
【0055】
このようにして構成される2段目の反応槽において重合された最終重合物は、溶融状態で未反応の原料とともに反応液として排出口から抜き出され、3段目の反応槽に供給される。3段目の反応槽では、槽内に供給された重合物を原料重合物として加熱、撹拌し、所望の重合度まで高めた溶融状態の最終重合物を排出口から排出するようになっている。
【0056】
3段目の反応槽としては、重合反応を行うための反応装置として、その回転軸が地面に対して実質的に垂直になるように設置された撹拌機を有する反応槽を、少なくともその最終段に含む反応装置を使用する。以下、その回転軸が地面に対して実質的に垂直になるように設置された撹拌機を有する反応槽を縦型反応槽と称する。
【0057】
本実施の形態においては、反応装置は、少なくとも最終段に縦型反応槽を有するが、最終段以外の段にさらに縦型反応槽を有していてもよい。最終段以外の反応槽の形状等については、特に制限されず、当技術分野で通常用いられるものを使用できる。本実施の形態では、最終段に縦型反応槽を含む反応装置を使用するものであるが、実質的に重合反応が行われていないような槽をそれ以降の段に含む反応装置を使用する場合も、本発明の範囲に包含される。
【0058】
地面に対して実質的に垂直とは、撹拌機の回転軸が厳密に垂直であることを意図するものではなく、地面、すなわち、地平線と回転軸とのなす角度が、通常85〜95°、好ましくは89〜91°、より好ましくは90°であることを意味する。横型反応槽と同様に、回転軸は、必ずしも実在の回転軸部材を意味するものではなく、単なる回転中心としての回転軸線をも包含する。したがって、撹拌機の回転運動の回転中心が地面に対して実質的に垂直に配置されるものであれば、必ずしも実在の回転軸部材は存在しなくてもよい。
【0059】
縦型反応槽の形状は、撹拌装置を、その回転軸が地面に対して実質的に垂直になるように設置できるような形状であればタンク型でも筒型でもよく特に制限されないが、好ましくは撹拌機の回転軸と実質的に平行に中心軸を有する円筒状である。この縦型反応槽は、撹拌機の回転軸方向の一端に前段の反応槽からの反応液を供給するための供給口を有し、他端に反応液を取り出すための排出口を有する。したがって、供給された反応液は供給口から排出口の方向に、実質的に垂直方向に移っていくことになる。供給口は反応槽の上部に存在し、排出口は反応槽の下部に存在するのが好ましい。重合反応が進むにつれて重合物の比重が大きくなっていくため、上部に供給口を設けることにより、重合度の低い重合物が重合度の高い重合物に混入するのを抑制することができる。
【0060】
縦型反応槽に設置される撹拌機としては、地面に対して実質的に垂直に配置される回転軸を中心とした回転により撹拌を行うものであれば特に限定されない。例えば、円形、長円形、3角形、4角形及び多葉形などの撹拌翼が回転軸上に間隔をあけて2枚以上設置された1軸又は互いに噛み合う2軸以上の混合機などがあげられる。複数の撹拌翼を有する2軸の混合機であって、各回転軸の撹拌翼が互い違いになるように設置されているものが好ましい。また、この場合、各回転軸を逆方向に回転させるのが好ましい。互いに噛み合う2軸以上の撹拌機は、撹拌機の回転軸や反応槽への重合物等の付着を防止することができ、セルフクリーニング作用の観点から、重合反応が進み重合物の粘度が上昇している後段の反応槽においては特に有利に使用される。
【0061】
縦型反応槽における加熱方法としては、横型反応槽の場合と同様に、当技術分野において通常用いられる方法を使用することができ、本実施の形態では、反応槽外周部に熱媒のジャケットを設置し、反応槽壁面を通して伝熱により反応液を加熱する方法を用いるが、例えば、反応槽壁面を通して伝熱により反応液を加熱する方法、あるいは撹拌機の回転軸内部に熱媒を通して、伝熱により加熱する方法等、様々な方法があり、これらを単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。
【0062】
縦型反応槽内に供給された原料重合物は、当初、上記の加熱方法より加熱されて重合反応が進むが、反応熱に伴う温度上昇により、反応液の温度が熱媒よりも高くなると逆に反応液から熱媒に熱が逃げることになる。したがって、横型反応槽の場合と同様に、必要に応じて、反応槽内部を複数個の領域に区分けし、区分けした領域ごとに熱媒温度を変えられるような加熱方法を使用してもよい。これにより、例えば、低温の反応液を加熱する領域では熱媒温度を高く設定し、反応熱により反応液温度が高くなり除熱が必要となる領域では逆に熱媒温度を低く設定するといったことが可能となる。除熱がさらに必要な場合には、例えば、縦型反応槽内部にフィン(反応槽内側面の凹凸)を設置することより、除熱効率をさらに向上させることもできる。また、加熱手段により加熱された熱媒を排出口付近に供給することにより、ポリマーを保温し、冷えすぎを防止する態様も考えられる。
【0063】
重合反応後段においては高温で反応を行うのが好ましいため、温度上昇に伴う重合物の劣化が問題となるが、最終段に縦型反応槽を用いることで、温度上昇を抑制することができ、重合物が劣化し着色する影響を低減することができる。
【0064】
縦型反応槽において、反応液の供給量は特に制限されないが、縦型反応槽の容量に対し、通常20〜100%、好ましくは60〜100%まで液が張り込まれる量で供給される。したがって、反応液が反応槽容量の通常半量程度しか導入されない従来の横型反応槽と比較して、反応液が反応槽内壁と接する面積が大きく、伝熱面積を広く取ることができる。
【0065】
原料重合物の重合に伴う反応熱を伝熱により除去することで反応液の温度上昇を低減することができ、重合反応の後段において、生成した重合物の熱分解に伴う劣化を効果的に抑制し、着色を防止することができる。特にラクチドの開環重合においては、ポリ乳酸の着色を効果的に防止することができる。また、縦型反応槽の形状を、側面に凹凸を有する形状とすることにより、伝熱面積をさらに増加させることができ、熱除去効率を向上させることもできる。側面に凹凸を設ける態様においては、撹拌翼を反応槽側面の凹部分と噛み合うように設置することにより、反応槽内壁にこびりついた高粘度の重合物を掻き取ることができる。
【0066】
最終段の縦型反応槽における反応条件についても、当業者であれば適宜決定することができるが、反応槽内の平均反応温度は、通常180〜220℃、好ましくは190〜210℃、滞留時間は、通常1〜7時間、好ましくは3〜5時間である。最終段の縦型反応槽の排出口から、重量平均分子量が、通常10万〜50万、好ましくは15〜30万の重合物が得られるように反応条件を設定することが好ましい。
【0067】
本実施の形態のポリマー合成装置においては、重合のための反応装置の後段に残存原料除去装置を設置することにより、反応装置から排出される反応液から未反応の原料の除去を可能としている。この残存原料除去装置では、反応液の溶融状態を維持しつつ負圧環境を作ることにより、未反応の原料、例えばラクチドが蒸発除去される。さらに、本実施の形態の合成方法を経て得られた重合物には、通常、水冷及びチップカッターによるペレット化処理等が施されるが、これらの処理は省略することができる。
【0068】
また、本実施の形態のポリマー合成装置において使用される、原料溶融装置、触媒供給装置、各種反応槽を含む反応装置、残存原料除去装置等の装置には、それぞれ、窒素ガスで内部をパージするための窒素ガス供給配管及び排気管が設置されていることが好ましい。そして、合成プロセスの運転は基本的に、プロセス内の全装置が窒素パージされた後に開始されるのが好ましい。これにより、酸素の存在による反応液の焼け焦げを防ぐことができる。また、原料溶融装置、触媒供給装置、原料供給装置、各種反応槽等は、大気圧程度の圧力で運転するのが好ましい。そうすることにより、溶融原料の揮発を低減することができる。
【0069】
また、2段目の反応槽においては、プレポリマーの液面を測定する装置を設置し、計測信号を反応槽供給口の送液ポンプ又は反応槽排出口の送液ポンプ等にフィードバックさせることにより、液面の高さが原料溶融物を追加添加する供給口よりも下になるように、反応液の輸送量を調節する液面制御装置が設けられていてもよい。これにより原料溶融物の供給口において原料溶融物とプレポリマーが直に接することを常に防ぐことができ、原料溶融物によるプレポリマーの急激な冷却による凝固を回避し、供給口の閉塞を防ぐことができる。
【0070】
縦型反応槽においても横型反応槽と同様に、必要に応じて反応液の液面を測定する装置を設置し、計測信号を反応槽の供給口の送液ポンプ又は排出口の送液ポンプにフィードバックすることにより、液面の高さが所定値となるよう反応液の輸送量を調節することができる。
【0071】
液面の測定方法としては、例えば、放射性物質を横型反応槽上部に設置し、そこから発生するガンマ線の反応液に対する透過量により測定する方法、反応槽の上部から超音波又は電磁波を発射してその反射波を計測する事により測定する方法、反応槽の上部に筒状のコンデンサーを設置して、これを反応液中に差込み、筒内部の反応液高さに伴う誘電率の変化を計測することで測定する方法等があげられる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を適用したポリ乳酸の合成装置の一実施例について、さらに詳細に説明する。なお、上記の記載と重複する事項については、一部説明を省略する。
【0073】
図1は、本発明を適用してなるポリ乳酸の合成装置の全体構成図である。
【0074】
本実施例の合成装置は、原料ラクチドを溶融状態で反応装置に供給し、加熱、撹拌させて重合させることによりポリ乳酸を合成するものであり、第1のラクチド供給装置1〜3、ラクチド溶融装置4〜6、触媒供給装置7〜9、重合開始剤供給装置10〜12、第2のラクチド供給装置13〜15、第1反応槽16、第2反応槽17、第3反応槽18、残存ラクチド除去装置19、送液ポンプ20〜35、バルブ36〜51を備えて構成される。
【0075】
本合成装置において、反応装置は、第1反応槽16,第2反応槽17,第3反応槽18を直列に接続して構成される。第1反応槽16,第2反応槽17は、横型反応槽となり、第3反応槽18は、縦型反応槽となっている。溶融原料は、第1の供給系統から第1反応槽16に供給口を通じて供給される一方、第2,第3の供給系統から第2反応槽17に添加口を通じて供給されるようになっている。
【0076】
第1の供給系統は、第1のラクチド供給装置1、ラクチド溶融装置4、触媒供給装置7、重合開始剤供給装置10、第2のラクチド供給装置13から構成される。第2の供給系統は、第1のラクチド供給装置2、ラクチド溶融装置5、触媒供給装置8、重合開始剤供給装置11、第2のラクチド供給装置14から構成される。第3の供給系統は、第1のラクチド供給装置3、ラクチド溶融装置6、触媒供給装置9、重合開始剤供給装置12、第2のラクチド供給装置15から構成される。
【0077】
第2反応槽17への溶融原料の供給系統については、2系統に限定されず、必要に応じて系統数を増減することができる。送液ポンプ20〜35については、輸送する液の粘度が低く、重力を利用して送液できる場合等については、一部省略することができる。また、バルブ36〜51についても必要に応じて省略することができる。
【0078】
ラクチド供給装置1〜3は、固体又は粉体状の原料ラクチドを第1のラクチド溶融装置4〜6に定量供給する。ラクチド供給装置1〜3の輸送方式として、例えば、スクリューフィーダーによる輸送、超音波振動による輸送、ガス流による輸送等の方式がある。第1のラクチド溶融装置4〜6では、送られてきた原料ラクチドを容器内で加熱して溶融する。その際の温度は、ラクチドの融点以上で、望ましくは熱による劣化が起こらないように、例えば、160℃以下の範囲とする。原料ラクチドが固体または粉体状ではなく液体で供給される場合には、ラクチド供給装置1〜3は送液ポンプとなり、ラクチド溶融装置4〜6はバッファータンクとして機能する。
【0079】
第1の供給系統において、ラクチド溶融装置4で生成された溶融ラクチドは、バルブ36が開放されて送液ポンプ20により排出され、次いで、バルブ39,42が開放されて、触媒供給装置7、重合開始剤供給装置10から触媒、重合開始剤が、ポンプ23,26により溶融ラクチドに供給された後、ラクチド供給装置13に供給される。なお、送液ポンプ20により排出される溶融ラクチドの流量、触媒供給装置7から供給される触媒量の溶融ラクチド流量に対する割合、及び重合開始剤供給装置10から供給される重合開始剤の溶融ラクチド流量に対する割合は、同一である必要はなく、必要に応じて変更することができる。
【0080】
また、第2と第3の供給系統においても、第1の供給系統と同様に、ラクチド溶融装置5,6、ラクチド供給装置14,15を経由して溶融ラクチドが生成され、第2反応槽17に供給される。なお、第2と第3の供給系統において、溶融ラクチドに触媒や重合開始剤を添加する必要がない場合には、バルブ40〜41、43〜44、ポンプ24〜25、27〜28、触媒供給装置8〜9、及び重合開始剤供給装置11〜12を省略することができる。
【0081】
第2のラクチド供給装置13〜15では、溶融ラクチドの温度をラクチドの融点以上で、望ましくは160℃以下の範囲に保持する。第2のラクチド供給装置13〜15は本質的にバッファータンクであり、必要なければ省いても構わない。第2のラクチド供給装置13の溶融ラクチドは、バルブ45を開き、送液ポンプ29により横型反応槽16に連続供給される。なお、第2のラクチド供給装置13を省略する場合は送液ポンプ29も省略される。
【0082】
また、送液ポンプ20〜29、31〜32の前後の送液配管は、温度低下に伴うラクチドの凝固、閉塞を回避するため、全て、加熱、保温等によりラクチドの融点以上で、望ましくは160℃以下の範囲に保持される。ラクチド溶融装置4〜6、ラクチド供給装置13〜15、送液ポンプ20〜22,29,31〜32の前後の配管内には、熱電対が挿入されており、各位置における溶融原料の温度が測定されるようになっている。
【0083】
第1反応槽16を拡大した断面を図2に示す。円筒状の横型反応槽である第1反応槽16は、内壁の底部から軸方向と直行するように複数の堰101が設けられ、これらの堰53には、軸方向に貫通孔52が形成されている。第1反応槽16は、一端に供給口、他端に排出口が形成され、供給口から排出口に至るまで、槽内に延在させて設けられた回転軸に間隔を置いて撹拌翼95が取り付けられた撹拌機が設けられている。堰間の領域54では撹拌により反応液が均一化されている(この領域は単一の混合セルと見なすことができる)。そして、堰53よりも高い位置にある反応液のみがヘッド差により後段の混合セルに流れることができる。槽内の反応液は、反応槽外周部の熱媒のジャケット94によって加熱されている。
【0084】
第1反応槽16内には、必要に応じて反応液の液面を測定する液面計55が設置され、液面の高さが所定値となるように、計測信号が送液ポンプ29、又は送液ポンプ30にフィードバックされることにより、反応液の輸送量が適宜調節されるようになっている。
【0085】
第1反応槽16内の反応液はバルブ48を開き、重力及び送液ポンプ30により第2反応槽17に輸送されるようになっている。送液ポンプ30については、反応液の粘度に応じて抜き出し用のスクリュー、ギアポンプ等を選定できる。また、第1反応槽16から重力のみで反応液を抜き出すことが可能な場合は、送液ポンプ30を省略することができる。送液ポンプ30前後の輸送配管は内部の反応液の凝固に伴う閉塞を回避するため、加熱されている。その際の温度としては、反応液が熱分解しないように、200℃以下に保温されていることが望ましい。
【0086】
第2反応槽17を拡大した断面図を図3に示す。円筒状の横型反応槽である第2反応槽17は、一端に供給口、他端に排出口が形成され、供給口から排出口に至るまで、槽内に延在させて設けられた2本の回転軸57にそれぞれ間隔を置いて撹拌翼56が取り付けられた撹拌機が設けられている。この撹拌機は、一方の回転軸に設置されている撹拌翼56が他方の回転軸の撹拌翼56と軸方向に微小間隔で噛み合って配置されている。これら撹拌翼の回転軸57は、例えば、同じ方向に回転するようになっている。
【0087】
第2反応槽17では、撹拌機の撹拌作用と、供給口と排出口の間のヘッド差によってプレポリマーは移送され、重合反応が進行する。ここで、槽内の反応液は、反応槽外周部の熱媒のジャケット96によって加熱される。
【0088】
第2反応槽17には、2つの添加口90を通じて、第2の供給系統と第3の供給系統がそれぞれ接続されており、溶融ラクチドが槽内に供給されるようになっている。第2のラクチド供給装置14の溶融ラクチドは、バルブ46を開き、送液ポンプ31により一方の添加口90に供給され、第3のラクチド供給装置15の溶融ラクチドは、バルブ47を開き、送液ポンプ32により他方の添加口90に供給される。なお、第2,第3のラクチド供給装置14,15を省略する場合は、送液ポンプ31,32も省略される。
【0089】
添加口90は、反応液液面91よりも高く、かつ撹拌翼間の間隙92の位置に、軸方向で2つ形成されている。これにより溶融ラクチドとプレポリマーが添加口90において直接接することがなくなり、溶融ラクチドによる冷却によりプレポリマーが凝固し、添加口90が閉塞することを防止できる。
【0090】
撹拌翼間の微小な間隔の中に比較的粘度の高いプレポリマーと粘度の低い溶融ラクチドの混合物が入ると、前後の位置にある翼の回転により大きなせん断力を受けて混合物の粘度が低下するため、混合物の均一化が進行する。第2反応槽17内では、各位置でのプレポリマーと、添加された溶融ラクチドの混合物における粘度に従い、所定の撹拌翼数からなる実質的に完全混合槽(その後ろの領域への混合物の局所的な逆流現象が存在しない単一の混合セル)と見なすことができる領域が複数生成される。この完全混合槽数は第2反応槽17における原料の供給系統数以上であることが望ましい。
【0091】
本実施例では、第2反応槽17の添加口90の位置に対応させて、プレポリマーと溶融ラクチドの混合物温度がそれぞれ測定されるようになっている。この測定は、添加口90の位置に対応する槽内に挿入されて設けられる熱電対97により実施される。
【0092】
また、第2,第3のラクチド供給装置14,15による溶融ラクチドの供給量は、第2反応槽17内のプレポリマーと溶融ラクチドの混合物温度が所定の値となるように制御されている。すなわち、プレポリマーの流れ方向において、熱電対94により測定された結果は、例えば、図示しない制御装置に入力されて設定温度と比較され、その結果に基づいて、送液ポンプ31,32が操作されることにより、溶融ラクチドの供給量が制御される。このように、プレポリマーの測定温度に応じて、その温度よりも低い温度に管理されている溶融ラクチドを添加することにより、例えば、プレポリマーの温度を常に設定温度よりも低い温度に制御することができ、熱分解に伴う変色を抑制することができる。この場合、供給量は、測定温度に基づいて可変に制御されるようにしてもよいし、予め所定の供給量を定めておくようにしてもよい。なお、本実施例では、添加口90を第2反応槽17のプレポリマー流れ方向に2箇所設けているが、これに限定されず、反応槽の大きさなどに応じて、単数としてもよいし、3箇所以上設置するようにしてもよい。この場合、熱電対も添加口の位置に対応させて設けるようにする。
【0093】
また、第2反応槽17においては、液面計58を設置し、反応液液面91の高さを添加口90の高さよりも低く保つように、例えば、計測信号を送液ポンプ30,33にフィードバックし、反応液の輸送量を調節するようにしてもよい。これにより溶融ラクチドとプレポリマーが添加口90において直接接することがなくなり、溶融原料による冷却によりプレポリマーが凝固し、添加口90が閉塞することを防止できる。あるいは、第2反応槽17を満液状態で運転する場合、液面計58は特に必要でなければ、除去することができ、例えば、送液ポンプ33は送液ポンプ30〜32の流量に合わせて調整される。
【0094】
本実施例では、添加口に添加する溶融原料として、温度調整のし易さや供給安定性等の観点から溶融ラクチドを用いているが、添加位置のプレポリマーの温度よりも低いものであれば、これに限定されず、例えば、所定の重合度を有するラクチドの重合物などを用いるようにしてもよい。
【0095】
また、原料ラクチドの供給系統は、第2反応槽17のみ接続されているが、この例に限らず、例えば、さらに多くの反応槽を接続して構成される反応装置においては、第1反応槽と最終段の反応槽を除いた複数の反応槽(横型反応槽)に接続するようにしてもよい。
【0096】
次に、第2反応槽17内部の反応液は、バルブ49を開いた状態で、重力及び送液ポンプ33により第3反応槽18に輸送される。送液ポンプ33については、反応液の粘度に応じて抜き出し用のスクリュー、ギアポンプ等を選定できる。また、第3反応槽17から重力で反応液を抜き出すことが可能な場合は、送液ポンプ33を省略することができる。送液ポンプ33前後の輸送配管は、内部の反応液の凝固に伴う閉塞を回避するため、加熱、保温が必要である。その際の温度としては、反応液が熱分解しないよう、200℃以下であることが望ましい。
【0097】
第3反応槽18を拡大した断面図を図4に示す。円筒状の縦型反応槽である第3反応槽18は、上部の供給口から下部の排出口に至るまで、槽内に延在させて設けられた2本の回転軸98にそれぞれ間隔を置いて撹拌翼99が取り付けられた撹拌機が設けられている。撹拌翼99の回転軸98は、例えば、同じ方向に回転するようになっている。
【0098】
第3反応槽18内部には、例えば、第1反応槽16と同様、必要に応じて反応液の液面を計測する液面計59が設置され、液面の高さを所定値とするため、計測信号が送液ポンプ33、又は送液ポンプ34にフィードバックされて、反応液の輸送量が調節されるようになっている。
【0099】
第2反応槽17から輸送された反応液は、供給口から第3反応槽18に供給されると、重力により排出口を目指して流れ、その間に重合反応が進行する。このため、重合度の低い重合物が重合度の高い重合物に混入するのを防止することができる。第3反応槽18において、反応液は反応槽外周部の熱媒のジャケット100によって加熱され、又は熱媒温度が重合物よりも低い場合は除熱される。
【0100】
本反応槽では、内周面が断面凹凸に形成され、例えば、第1反応槽16と比べて伝熱面60の面積を大きくできるため、重合物の温度が熱媒よりも高い場合は除熱量が大きくなり、最終段において、重合物が熱劣化する影響をさらに低減することができる。また、2軸の撹拌機を用いることにより、高粘度重合物を効率的に撹拌することができる。なお、除熱量を大きくとる必要がない場合には、このような凹凸の側面をもたなくてもよい。
【0101】
第3反応槽18内部の反応液は、バルブ50を開いた状態で、重力及び送液ポンプ34により連続排出され、残存ラクチド除去装置19に輸送される。送液ポンプ34として、反応液の粘度に応じて抜き出し用のスクリュー、ギアポンプ等を選定できる。送液ポンプ34前後の輸送配管は内部の反応液の凝固に伴う閉塞を回避するため、加熱、保温が必要である。その際の温度としては、重合物が熱分解しないよう、200℃以下であることが望ましい。
【0102】
残存ラクチド除去装置19では、溶融状態を維持しつつ負圧環境を作り、未反応のラクチドを除去処理する。処理後の反応液はバルブ51を開いた状態で送液ポンプ35により連続排出される。送液ポンプ35としては、反応液の粘度に応じて抜き出し用のスクリュー、ギアポンプ等を選定できる。排出された重合物は通常、水冷、チップカッターによるペレット化処理が施される。
【0103】
第1のラクチド供給装置1〜3、ラクチド溶融装置4〜6、触媒供給装置7〜9、重合開始剤供給装置10〜12、第2のラクチド供給装置13〜15、第1反応槽16、第2反応槽17、第3反応槽18、残存ラクチド除去装置19にはそれぞれ、窒素ガスで内部をパージするための窒素ガス供給配管、排気管が設置されている。これは酸素の存在による反応液の焼け焦げを防ぐためである。プロセスの運転は、基本的にプロセス内の全装置を窒素パージした後に開始されるのが望ましい。また、ラクチド供給装置1〜3、第1のラクチド溶融装置4〜6、触媒供給装置7〜9、重合開始剤供給装置10〜12、第2のラクチド供給装置13〜15、第1反応槽16、第2反応槽17、第3反応槽18は、大気圧程度の圧力で運転する。これは溶融ラクチドの揮発を低減するためである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明を適用してなるポリ乳酸の合成装置の全体構成図である。
【図2】本発明を適用してなるポリ乳酸の合成装置の第1反応槽の断面拡大図である。
【図3】本発明を適用してなるポリ乳酸の合成装置の第2反応槽の断面拡大図である。
【図4】本発明を適用してなるポリ乳酸の合成装置の第3反応槽の断面拡大図である。
【符号の説明】
【0105】
1〜3 第1のラクチド供給装置
4〜6 ラクチド溶融装置
7〜9 触媒供給装置
10〜12 重合開始剤供給装置
13〜15 第2のラクチド供給装置
16 第1反応槽
17 第2反応槽
18 第3反応槽
19 残存ラクチド除去装置
20〜35 送液ポンプ
52 貫通孔
53 堰
55,58,59 液面計
57,98 回転軸
56,95,99 撹拌翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被重合物を溶融状態で重合させてポリマーを合成するポリマー合成装置において、
一方の供給口から導入された被重合物を溶融状態で撹拌して移送し、他方の排出口から排出する横型の反応容器と、該反応容器の前記供給口と前記排出口との間に形成される開口と、該開口から溶融状態の前記被重合物を前記反応容器内に添加する添加手段と、前記反応容器内の前記供給口と前記排出口との間の溶融物の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出温度に基づいて、前記添加手段により添加される前記被重合物の添加量を制御する制御手段とを備えることを特徴とするポリマー合成装置。
【請求項2】
被重合物を溶融状態で重合させてポリマーを合成するポリマー合成装置において、
一方の供給口から導入された被重合物を溶融状態で撹拌して移送し、他方の排出口から排出する横型の反応容器を複数直列に接続して形成される反応装置を含み、前記反応容器のうち少なくとも一つは、該反応容器の前記供給口と前記排出口との間に形成される開口と、該開口から溶融状態の前記被重合物を該反応容器内に添加する添加手段と、前記供給口と前記排出口との間の溶融物の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出温度に基づいて、前記添加手段により添加される前記被重合物の添加量を制御する制御手段とを備えることを特徴とするポリマー合成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出温度が設定温度を超えないように、添加量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマー合成装置。
【請求項4】
前記反応容器は、横型の筒状に形成され、該容器内に延在させて設けられた回転軸に間隔を置いて複数の撹拌翼が取り付けられた撹拌機を備え、前記開口は、前記回転軸の軸方向で前記撹拌翼の間に位置し、かつ前記溶融物の液面よりも上方に形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のポリマー合成装置。
【請求項5】
前記溶融物の液面を検出する液面検出手段を備え、該液面と前記開口との間の距離を設定範囲に保つように、前記反応容器の液面を制御する液面制御手段を備えることを特徴とする請求項4に記載のポリマー合成装置。
【請求項6】
横型の反応容器の一方から供給された被重合物を溶融状態で撹拌して移送し、他方からポリマーを取り出すポリマー合成方法において、
前記反応容器内で重合される溶融物の温度を検出し、該温度が設定温度を超えないように、前記溶融物に溶融状態の前記被重合物を添加することを特徴とするポリマー合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−169282(P2008−169282A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2889(P2007−2889)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】