説明

ポリマー粒子

【課題】ポリマー粒子を提供すること。
【解決手段】エチレン性不飽和イオン性モノマーである第一モノマー、及び50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマーである第二モノマーを含むモノマーブレンドから形成されているポリマー母材を含むポリマー粒子であって、
二次粒子が前記母材の全体にわたり分布され、該二次粒子は50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマー及び所望により他のモノマーから形成されている疎水性ポリマーを含み、該疎水性ポリマーはポリマー母材と異なるところのポリマー粒子。また請求されたものは粒子を製造する方法である。前記粒子は改善した耐粉砕性を有する。好ましくは前記ポリマー粒子は有効成分、特に着色剤を含む。そのような粒子は改善した耐粉砕性と有効成分を保持するための能力とを結集させる。本発明の粒子は様々な産業上の用途、例えばインク、紙及び化粧品の製造で使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー粒子及びそれらを製造するための方法に関する。特に興味深いポリマー粒子は、有効成分とりわけ封入着色剤を含有する。
【背景技術】
【0002】
有効成分の封入は、多くの方法によって達成され得る。それらの技術のいくつかは中心コアの周りにポリマー状シェル又は有効成分を形成することを含む。他の方法は、有効成分が全体にわたり分布されたポリマー状物質の母材を製造することを含む。
カプセルを製造するための様々な方法が文献において提案されている。例えば疎水性液体をメラミンホルムアルデヒド予備縮合物を含有する水性媒体に分散すること、そして次にpHを減少させることによって、疎水性液体をカプセル化して、疎水性液体を取り囲んでいる不浸透性のアミノプラスト樹脂シェル壁を生ずることが知られている。このタイプの方法の変形物は、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記載され、これら文献においては前記カプセルが感圧無カーボン複写紙に使用するためのカプセル化したインクを提供するために好ましく使用される。
しかしながら、メラミンホルムアルデヒド樹脂ベースのカプセルは不浸透性かつ耐久性でもあるにもかかわらず、それらは高温でより不浸透性でないために不利点を被る傾向にある。加えてそれらにはホルムアルデヒドが発生する危険もある。
ポリマーシェルを形成するための典型的な技術は、例えば、特許文献4、特許文献5及び特許文献6、特許文献7並びに特許文献8に記載される。
【0003】
特許文献9において、例えばゼラチンの水性溶液中に分散した酵素の液滴が水中に分散され、そして次に架橋されて、酵素含有ゼラチンの架橋粒子を与える。
特許文献10には、酵素又は他の生物学的に生成された物質のカプセル化方法:ポリマー状物質を該生物学的に生成された物質を含有する水性液体と混合し、この混合物を水不混和性液体に分散させ、その分散液を共沸させることによる該ポリマー状物質の母材中へのカプセル化方法が記載されている。生成物は、回収され得る比較的粗いビーズでも、前記水不混和性液体中の小さい粒子の安定な分散液でもあり得る。
特許文献11において、液体の又は他の洗浄剤のための酵素のカプセル化のために主に意図された様々な組成物及び方法の記述がある。そこで記述される一種の生成物は、酵素を含有する母材ポリマーを含むコア、該コアの周りの油及び該油の周りのポリマーシェルを有する粒子を含む。
有効成分を含有する母材ポリマーの粒子は油中分散液として形成され得、及びこの分散液は次にカプセル化用ポリマー又はポリマーのブレンドの水性溶液中に分散され得、及び次に有効成分を含有する母材ポリマーの粒子を含有する油粒子の周りでポリマーの析出を起こさせ得る。
特許文献12は、水溶性塩と有効成分が全体にわたり分散又は溶解されている酸に比較的不溶性及び非膨潤であるポリマーの揮発性アミンとの溶液として取り入れられたポリマー粒子を形成するための方法を記載し、及び前記溶液は乾燥母材を形成するため及びアミンを揮発するために加熱され、そしてそれにより、酸に不溶であるポリマーを形成する。有効成分の放出はpHを注意深く調整することよって調節され得る。この方法は、比較的大きなサイズの原料、特に酵素、真菌類、胞子、バクテリア、細胞又は抗生物質の封入のために特に設計され、前記比較的大きなサイズの原料は適する放出機構としてのpH調整によって放出される。
特許文献13は、洗浄有効成分を含むポリマー母材を有する粒子を含む粒子状組成物を記載し、ここで該ポリマー母材はエチレン性不飽和疎水性モノマーとエチレン性不飽和置換アミンモノマーとのコポリマーである遊離塩基形態のカチオン性ポリマーから形成され
ている。前記母材粒子は遊離塩基ポリマー無機溶媒の溶液を形成するために有機溶媒中で溶解している間に遊離塩基モノマーと疎水性モノマーを重合することによって製造され得る。この後に揮発性酸の水性溶液の添加が続き、ここで該溶媒は該酸より高い揮発性を有する。前記溶媒は次にポリマーの塩形態の水溶液を残すために蒸留される。適する揮発酸は酢酸であり、その場合、適する溶媒はn−ブチルアセテートである。有効成分は、特にそれらが含有されるところの媒質の希釈によって放出され得る酵素を含む。
上述した文献のすべてが、後の工程で放出される有効成分の封入又はカプセル化に関係しており、そしてそれ故に物質、特に比較的小さいサイズの種の永久封入の達成するための方法のいかなる指示も与えない。
【0004】
カプセル化された又は封入された着色剤を提供するための種々の技術が既知である。
特許文献14は無水塩基又は賦形剤中に分散した活性化可能な潜在顔料を有する化粧品調合物を記載する。粉末顔料又は液体キャリア分散剤は、マイクロサイズの粒子の安定した、乾燥した、易流動性の粉末を形成するためにマイクロカプセル化される。カプセル化の好ましい方法は、液滴形成によるもの、例えば、連続した外部水性相中で液体分散剤を乳化してマイクロサイズの液滴を形成することによるものであり、及びそれぞれの液滴上又は周りに析出物を形成し、それにより外壁又はシェルを形成するような方法でコロイド状物質の錯体が外部相に添加される。マイクロカプセルは、物理的力にさらされたとき破裂し、そして潜在顔料を放出するよう意図されている。
特許文献15は、化粧品の製造に有用な顔料粒子をカプセル化する方法に関係がある。顔料粒子の湿潤性、分散性及び耐熱性を上げるためのビニルポリマーでのカプセル化方法を採用することがこの開示の対象である。前記カプセル化の方法は水性媒体における酸化還元又は遊離ラジカルのビニル重合を含む。
特許文献16は、ポリマー状シェル内にカプセル化された、液状、ゲル状、ワックス状又は低温融解性固体内にマイクロカプセル化された固体の非磁気性着色剤物質を記載する。固体着色剤物質表面の親油性を増加するシラン又はチタネートのカップリング剤が前記シェル上に吸収されている。
特許文献17は、脂肪族炭化水素溶媒の分散用液体において少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマーを重合することを含む顔料をカプセル化する方法に関する。これは重合モノマーのための活性溶媒の存在下において行われる。前記方法は約0.2から約6質量%までの重合可能なエチレン性不飽和酸、約0.2から約6質量%までのイミン、及び2個のポリマー状セグメントを含有する枝分かれしたコポリマーを含む約1から約40%までの分散安定剤を採用する。第一のセグメントは分散液体によって溶媒和され、そして第二のセグメントは第一のセグメントと異なる極性のアンカーポリマーであり、及び分散用液体によって比較的不溶媒和であり、及びエチレン性不飽和モノマーの重合粒子とともに定着可能である。このアンカーポリマーは、擬似分散剤を形成するためにエチレン性不飽和モノマーと共重合可能である側基を含有する。
特許文献18は、樹脂に溶媒和した染料を取り入れること及び化粧品キャリアと混ぜることによって形成されている顔料を含む化粧品組成物に関する。顔料の存在量は、皮膚、ネイル又は髪の毛に適用された場合に魅力的な化粧効果をもたらすために十分な魅力的な量の顔料の存在をもたらすのに十分である。化粧品に許容可能ないかなる可溶染料も使用され得る。微粉末に粉砕され得ることを条件に、いかなる樹脂も使用され得る。溶媒和染料は、可塑化又は溶融樹脂に添加することによって;又は非重合化樹脂溶液並びに染料及び樹脂に対する相互溶剤中で染料を溶解し、次に該樹脂を重合することによって、又は該染料を樹脂と接触させることによって樹脂に取り入れられ得る。前記染料を含浸した樹脂粉末は、様々な化粧品組成物に使用されると言われる。
【0005】
本発明の目的の1つは、様々な条件下で長期にわたって保持され得る封入有効成分を含有するポリマー粒子を提供することである。封入又はカプセル化着色剤を含有する生成物を提供することは特に興味深いことであって、該生成物は該着色剤を長期にわたって、及
びまた異なった環境にさらされたときでも保持する。これは永久に保持することは一般に難しいところの顔料、油溶性及び水溶性染料にあてはまる。化粧品組成物において前記染料又は顔料が永久に保持されない場合、これは化粧品の長期視覚効果を弱める。
特許文献19はこの問題を課題とし、並びにポリマー母材及びその全体にわたり分布された着色剤を含むポリマー粒子を提供する。ポリマー母材は、揮発性対イオンの塩であってエチレン性不飽和イオン性モノマーである第一モノマー、及び50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性疎水性モノマーである第二モノマーを含むモノマーブレンドから形成される。典型的な母材ポリマーはスチレンとアンモニウムアクリレートとから形成されているコポリマーを含む。前記ポリマー粒子は、非常に優れた保持特性を示し、及び様々な条件下で着色剤を保持することができる。しかしながら、それらの粒子は、それらは粗野に扱われたとき一定の条件下で割れ及び粉砕さえし得るという欠点があり、そしてこれは着色剤の損失を招く。
【0006】
本発明のさらなる目的は、耐粉砕であり及び粗野な扱いに耐え得る粒子を提供することである。1つの特定の態様は、有効成分、特に着色剤を含有する耐粉砕粒子を提供することである。
特許文献20は、表面が直径約0.1ミクロンの半球状の隆起で覆われている平均粒径10ないし100ミクロンを有する球状粒子を記載している。前記粒子は、アルファオレフィンと3個ないし8個の炭素原子を有するアルファベータエチレン性不飽和カルボン酸のコポリマーから形成され、ここで前記コポリマーは金属イオンとの中和によってイオン化されたカルボン酸基を90パーセントまで有する。前記粒子はガラスのための透明な耐粉砕被膜の製造に有用である易流動性粉末を形成する。
【特許文献1】英国特許出願公開第2073132号明細書
【特許文献2】オーストラリア特許出願公開第27028/88号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第1507739号明細書
【特許文献4】英国特許第1,275,712号明細書
【特許文献5】英国特許第1,475,229号明細書
【特許文献6】英国特許第1,507,739号明細書
【特許文献7】独国特許第3,545,803号明細書
【特許文献8】米国特許第3,591,090号明細書
【特許文献9】米国特許第3,838,007号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第356,240号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第356,239号明細書
【特許文献12】米国特許第5,744,152号明細書
【特許文献13】国際公開第97/24178号パンフレット
【特許文献14】国際公開第91/06277号パンフレット
【特許文献15】米国特許第5234711号明細書
【特許文献16】欧州特許第225799号明細書
【特許文献17】米国特許第3876603号明細書
【特許文献18】欧州特許第445342号明細書
【特許文献19】国際公開第02/090445号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ポリマーに封入された着色剤を提供することであり、ここで前記粒子は粉砕せず、及びまた前記着色剤は長期間の使用後でさえ浸出しない。1つの局面において、化粧品調合物に組み込むためのポリマー粒子に染料の溶液を封入する方法を提供することが望まれるだろう、そしてここで該染料は永久に封入されたままであり、及び適用の前、最中又は後に放出されない。
加えて着色剤のカプセル化又は封入は着色剤の視覚上の欠陥を生じ得る。これは特定の
波長からの光をポリマーが吸収する結果であり得、又は時にはポリマー粒子の変則な形態の結果であり得る。粒子が耐粉砕性ではない場合にもこうしたことがある。粒子中の割れ目又は壊れた粒子がまた着色剤の視覚上の欠陥をもたらすだろう。
様々な用途に使用され得る改善した耐粉砕性を有する粒子を提供する必要がある。特に封入又はカプセル化着色剤を含有する生成物を提供することが必要であって、該生成物はより長期にわたって着色剤を保持し、そして異なる環境にさらされた場合に改善した耐粉砕性を示す。これはまた顔料、油溶性及び水溶性染料を用いた場合にもあてはまる。
加えて、また油溶性又は水溶性染料を様々な用途において顔料として使用し得る生成物に転換するための代替方法を提供することが目的である。
このように本発明のさらなる目的は、改善した視覚効果を生じる封入着色剤含有ポリマーを提供することである。
着色剤を保持する特性を組み合わせ、及び厳しい条件下でも耐粉砕性であり、及びまた素晴らしい視覚性状も示す粒子を提供することもまた可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このように本発明に従い、我々は、エチレン性不飽和イオン性モノマーである第一モノマー、及び50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマーである第二モノマーを含むモノマーブレンドから形成されているポリマー母材を含むポリマー粒子であって、二次粒子が前記母材の全体にわたり分布され、該二次粒子は50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマー及び所望により他のモノマーから形成されている疎水性ポリマーを含み、該疎水性ポリマーはポリマー母材と異なるところのポリマー粒子を提供する。
【0009】
本発明のさらなる局面において、我々は、ポリマー母材及び該母材の全体にわたり分布した二次粒子を含むポリマー粒子を製造する方法であり、
該ポリマー母材はエチレン性不飽和イオン性モノマーである第一モノマー、及び50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマーである第二モノマーを含むモノマーブレンドから形成されており、
前記二次粒子は、50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマー及び所望により他のモノマーから形成されている疎水性ポリマーを含み、前記疎水性ポリマーは前記ポリマー母材と異なるところの方法であって、
該方法は、以下の工程
A)前記第一モノマー及び第二モノマーを含むモノマーブレンドから形成されるポリマー塩の水性相を準備する工程、
B)前記水性相中で前記二次粒子を形成するか、又は前記二次粒子を前記水性相と混ぜ合わせる工程、
C)好ましくはエマルションを形成するための両親媒性ポリマー安定剤を含む水不混和液体相中で本質的に前記水性相からなる分散液を形成する工程、及び
D)該分散液を水が水性粒子から蒸発されそれにより母材ポリマーの全体にわたり分布された前記二次粒子を含む固体粒子を形成するところの脱水に付す工程
を含む方法を提供する。
本発明の第一の局面による粒子、及び本発明の第二の局面による方法から生じる生成物は高い耐粉砕性を有する。
【0010】
好ましくはポリマー母材を形成するために使用される第一モノマーは揮発性対イオン成分の塩である。脱水工程(D)の間に塩の揮発性対イオン成分が望ましくは蒸発される。これは、対イオン成分の少なくとも一部が蒸発されたことを意味する。例えば、ポリマー母材がアンモニウム塩である場合、揮発性成分アンモニアは蒸発されるだろう。その結果
として、蒸留工程の間に、母材ポリマーがその遊離酸又は遊離塩基の形態に転換されるだろう。
望ましくは、本発明の粒子は有効成分、例えばUV吸収剤、UV反射剤、難燃剤、活性染料トレーサ物質を含み得る。好ましくはポリマー粒子は着色剤を含む。着色剤は顔料、染料又はレーキから選択され得る。粒子を調製する方法において、有効成分、例えば、着色剤が母材ポリマーの全体にわたり分布し得るように有効成分(例えば着色剤)が水性相に溶解されるか、又は分散されることが特に望ましい。我々は、本発明のポリマー粒子が改善した視覚性能と一緒に改善した耐粉砕性を示すこと、及びさらに長期間の使用のもとでさえポリマー母材は着色剤のようないかなる封入有効成分を放出させないことを見出した。有効成分、特に着色剤がポリマー母材の全体にわたり分布されている粒子を提供することが特に好ましく、及びさらにポリマー母材が有効成分(着色剤のような)に不浸透性である必要がある。
ポリマー状生成物はポリマー母材が架橋されている場合、さらに強化され得る。この架橋は、前記方法において架橋工程を含む結果であり得る。これはポリマー中に自己架橋基、例えばメチロール官能基を有するモノマー反復単位を含むことによって達成され得る。しかしながら好ましくは架橋は、水性相ポリマーを有する架橋剤を含むことによって達成され得る。架橋剤は一般にポリマー鎖上で官能基と反応する化合物である。例えばポリマー鎖がアニオン基を含有する場合、適した架橋剤はアジリジン、ジエポキシド、カルボジアミド、シラン又は多価金属、例えばアルミニウム、亜鉛又はジルコニウムであり得る。1つの特に好ましい架橋剤はアンモニウムジルコニウム炭酸塩又は酸化亜鉛である。別の特に好ましい架橋剤の類はポリマー鎖間、例えばシラン又はジエポキシドの共有結合を形成する化合物を含む。
架橋プロセスは望ましくは脱水工程の間に起こる。このように架橋剤が含まれる場合、それは一般に脱水が始められるまで休止状態のままだろう。
【0011】
我々は、50℃を超える、好ましくは60又は80℃より高いガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能である疎水性ポリマーの特別な組み合わせから形成されるポリマーが着色剤又は他の有効成分に対する不浸透性に関してかなり改善した性能を示すことを見出している。疎水性モノマーという場合、我々はモノマーが水100mLにつき5g未満の水溶解性を有することを意味する。
【0012】
ポリマーに対するガラス転移温度(Tg)は、その温度未満では(1)分子全体の移行運動、及び(2)鎖の40ないし50個の炭素原子セグメントのコイリング及びアンコイリングの両方が停止する温度としてEncycopedia of Chemical Technology,Volume 19,fourth edition,page
891において定義されている。従って、そのTg未満では流動又はゴム弾性を示さないだろう。ポリマーのTgは示差走査熱量測定法(DSC)を使用して決定され得る。従って、既知のTgを有する参考試料及び試験試料は別々に、しかしながら線形温度プログラムに従い並行して加熱される。2つの加熱器は、同一の温度で2個の試料を維持する。これを達成するために2つの加熱器に供給された電力が監視され、そして両者間の差が基準温度の関数としてプロットされ、該差は温度の関数としての比熱の記録として解釈する。基準温度が上げられるか又は下げられ、及び試験試料が転移に近づいたとき、温度を保つために要求される熱量は転移が吸熱性であるか又は発熱性であるか次第で、より大きく又は小さくなるだろう。ガラス転移温度を示す典型的なプロットは図1に示される。
一般に粒子の平均粒径は約100ミクロンより小さい。通常、平均粒径は小さい、例えば70又は80ミクロンより小さく、しばしば40又は50ミクロンより小さい傾向があり、及び典型的には平均粒径は750ナノメーター及び40ミクロンの間であろう。好ましくは平均粒径は10ないし40ミクロンの範囲、通常10と30ミクロンの間である。平均粒径は文献に十分記載される標準手順に従いクールター(Coulter)粒度分布測定装置によって測定される。
【0013】
学説に制限されることなく、イオン性モノマーと前記疎水性モノマーの特定の組み合わせが着色剤又は他の有効成分に対する不浸透性改善に関与すると思われる適度な疎水性及び硬度をポリマーにもたらす。疎水性ポリマーを含む二次粒子の存在は、本発明の粒子に改善した耐粉砕性をもたらすことに関与するように思われる。
典型的には、母材ポリマーを作るためのモノマーブレンドは、少なくとも50質量%の疎水性モノマーを含有し得、残部はイオン性モノマー又は潜在的にイオン性ポリマーからなる。一種以上のアニオン性モノマー又は一種以上のカチオン性モノマーがイオン性モノマーとして使用され得る。カチオン性モノマー及びアニオン性モノマーブレンドを使用することも可能であり得る。一般に、疎水性モノマーは少なくとも60質量%の量で存在し得る。
好ましい組成物は、65と90質量%の間、例えばほぼ70又は75%の疎水性ポリマーを含有する。
前記疎水性モノマーの具体例は、スチレン、メチルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートを含む。
ポリマーの浸透性を不利に増加させずに、疎水性モノマーを、少なくとも50℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する能力のないエチレン性不飽和カルボン酸エステルと置き換えることは可能ではないことが見出されている。好ましくは、依然としてTgが少なくとも60℃又は少なくとも80℃であるべきである。例えば、本発明の疎水性モノマーを他の(メタ)アクリルエステル、例えば2−エチルヘキシルアクリレートに置き換えることは不適当であろう。最も良い結果は、一般に非常に高いTgのポリマーを形成することが可能であるモノマーの使用によって得られる。それゆえに好ましくない生成物は、疎水性モノマーとしてエチルアクリレート又はプロピルアクリレートを用いて生成されるだろう。
【0014】
イオン性モノマーはアニオン性もしくはカチオン性基を含有し得、又はもう1つの方法として場合によっては潜在的にイオン性、例えば酸無水物の形態であり得る。好ましくは、イオン性モノマーがエチレン性不飽和アニオン性又は場合によっては潜在的にアニオン性のモノマーである。適したアニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を含む。好ましいアニオン性モノマーはカルボン酸又は無水酸である。
イオン性モノマーがアニオン性、例えばカルボン酸又は無水物であるとき、揮発性対イオンはアンモニア又は揮発性アミン成分であり得る。一般には、揮発性アミン成分は低から中程度の温度で、例えば200℃までの温度によって蒸発され得る液体であるだろう。好ましくは、100℃未満の温度、減圧下で揮発性アミンを蒸発することが可能であろう。このようにポリマーは遊離酸形態で生成され、そして次に水酸化アンモニウム又は揮発性アミン、例えばエタノールアミン、メタノールアミン、1−プロパノールアミン、2−プロパノールアミン、ジメタノールアミン及びジエタノールアミンの水性溶液で中和され得る。もう1つの方法として、ポリマーはアニオン性モノマーのアンモニウム又は揮発性アミン塩を疎水性モノマーと共重合することによって調製され得る。
【0015】
一般に、母材モノマーはいずれかの適した重合方法によって調製され得る。例えばポリマーは、都合の良いことには例えば欧州特許出願公開第697423号明細書又は米国特許出願公開第5070136号明細書に記載されるような水性エマルション重合によって調製され得る。ポリマーは、次に水酸化アンモニウム又は揮発性アミン水性溶液の添加によって中和され得る。
典型的な重合方法において、疎水性モノマーとアニオン性モノマーブレンドは、適した
量の乳化剤を含有する水性相へと乳化される。典型的には、乳化剤は水性エマルションを形成するために適したいずれの商業上入手可能な乳化剤でもあり得る。望ましくはそれらの乳化剤は、モノマー水不混和相より水性相においてより可溶である傾向があり、従って高い親水親油平衡(HLB)を示す傾向があるだろう。モノマーの乳化は、モノマー/水性相を強制的な攪拌又はせん断を受けさせること又はもう1つの方法としてモノマー/水性相をふるい又はメッシュに通すことを含む、既知の乳化技術によってもたらされ得る。重合は次に、適する開始剤系、例えばUV開始剤又は熱開始剤の使用によってもたらされ得る。適した重合開始の技術はモノマーの水性エマルションの温度を70又は80℃より上に上げ、そして次にモノマーの質量に基いて過硫酸アンモニウムを50と1000ppmの間で加えることだろう。
【0016】
一般に母材ポリマーは、200,000(工業標準パラメータを用いてGPCにより測定される)までの分子量を有する。好ましくは、ポリマーは50,000未満、例えば2,000ないし20,000の分子量を有する。通例、母材ポリマーの最適な分子量はおよそ6,000ないし12,000である。
特に好ましい母材ポリマーは、スチレンとアンモニウムアクリレートのコポリマーである。より好ましくは、このポリマーは方法が架橋剤を用いる場合に使用され、該架橋剤は特に炭酸ジルコニウムアンモニウム又は酸化亜鉛である。
【0017】
本発明の方法の別のバージョンにおいて、イオン性モノマーはカチオン性又は潜在的にカチオン性、例えばエチレン性不飽和アミンであり得る。本発明のこの形態において、揮発性対イオン成分は揮発性酸成分である。このように本発明のこの形態において、母材ポリマーは、アニオン性モノマーがカチオン性又は潜在的にカチオン性のモノマーによって置換されることを除いて前述のアニオン性母材ポリマーと類似の方法において形成され得る。一般にポリマーが遊離アミンと疎水性モノマーとのコポリマーの形態において調製される場合、それは適する揮発性酸、例えば酢酸、ギ酸、プロパン酸、ブタン酸又は炭酸さえも含むことによって中和される。好ましくはポリマーは揮発性カルボン酸によって中和される。
【0018】
適するカチオン性又は潜在的にカチオン性のモノマーは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はアリルアミン及び他のエチレン性不飽和アミン及びそれらの酸付加塩を含む。典型的に前記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート及びジエチルアミノブチルメタクリレートを含む。典型的に、前記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドは、ジメチルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノブチルアクリルアミド、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチチルアミノブチルアクリレート及びジエチルアミノブチルメタクリルアミドを含む。典型的に、前記アリルアミンはジアリルアミン及びトリアリルアミンを含む。
【0019】
二次粒子は、50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であ
るエチレン性不飽和疎水性モノマー及び所望により他のモノマーから形成されている疎水性ポリマーを含み、該疎水性ポリマーはポリマー母材とは異なる。エチレン性不飽和疎水性モノマーは、母材ポリマーを形成するために使用される第二モノマーに関し上記で定義されたいずれのモノマーでもあり得る。好ましくは、疎水性モノマーはポリマー母材を形成するために使用される第二モノマーと同じである。前記疎水性モノマーの具体的な例は、スチレン、メチルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートを含む。好ましくは疎水性モノマーがスチレンである。
前記疎水性モノマーは単独で重合され得るか、又はもう1つの方法として上記で定義された一種以上の他の疎水性モノマーと重合化され得る。50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能な疎水性モノマーではない他のモノマーを含むことが可能であるが、但しそのようなモノマーがいかなる有害効果ももたらさないことが条件である。他のモノマーは疎水性モノマーの形態、例えば2−エチルへキシルアクリレート又はステアリルアクリレートのようなアクリル又はメタクリル酸の長鎖アルキル及びエステルであり得る。典型的に、そのようなモノマーが含まれる場合、それらは二次粒子のために使用されるモノマーの質量に基づき20質量%以下の量で存在すべきである。好ましくは、それらのモノマーは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満の量で存在するだろう。
【0020】
もう1つの方法として他のモノマーは親水性モノマーであり得る。親水性モノマーは非イオン性、例えばアクリルアミドであり得、又はそれはイオン性、例えば母材ポリマーを形成するために使用される第一モノマーに関して定義された通りであり得る。一般に、そのようなモノマーは、ポリマーが疎水性であるためにより少ない割合で使用される傾向にある。そのようなモノマーが含まれる場合、それらは二次粒子に対し使用されるモノマーの質量に基づき20質量%以下の量で存在すべきである。好ましくは、それらのモノマーは10質量%未満、及びより好ましくは5質量%未満の量で存在するだろう。
特に好ましくは二次粒子が50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能である一種以上のエチレン性不飽和疎水性モノマーからもっぱら形成されている疎水性ポリマーを含むことである。特に適する疎水性ポリマーはスチレンとメチルメタクリレートのコポリマー及びスチレンのホモポリマーである。スチレンとメチルメタクリレートのポリマーは、少なくとも40質量%のスチレン及び60質量%までのメチルメタクリレートを含むだろう。好ましくは、コポリマーは50:50ないし95:5、及びより好ましくは60:40ないし80:20、より好ましくは70:30ないし75:25の間のスチレンとメチルメタクリレートの質量比を有するだろう。
一般に、二次粒子は1ミクロン未満、及び通常750nm未満の平均粒径を有するだろう。好ましくは、二次粒子は50ないし500nmの範囲における平均粒径を有するだろう。二次粒子はいかなる慣用の方法によっても調製され得る。典型的に、粒子は水性エマルション重合によって調製され得る。好ましくは、粒子は例えば欧州特許出願公開第531005号明細書又は欧州特許出願公開第449450号明細書において記載されるような先行技術において文書化されているいずれかの典型的なマイクロエマルション重合方法に従う水性マイクロエマルション重合によって調製される。
典型的には、二次粒子は、連続水性相(20と80質量%の間)、モノマーを含む分散した油相(10と30質量%の間)、及び界面活性剤及び/又は安定剤(10と70質量%の間)を含むマイクロエマルションを形成することによって調製され得る。一般に界面活性剤及び/又は安定剤は、主に水性相において存在する。好ましい界面活性剤及び/又は安定剤はポリマー母材を形成するために使用されるポリマーの水性溶液である。特に好ましい界面活性剤/安定剤は、母材ポリマーに関し上記で定義されたようなアンモニウムアクリレートとスチレンのコポリマーである。
【0021】
マイクロエマルションにおけるモノマーの重合は、適した開始剤系、例えばUV開始剤
又は熱開始剤によってもたらされ得る。適した重合開始技術は、例えば、モノマーの水性エマルションの温度を70又は80℃を超えるまで上昇し、そして次にモノマーの質量に基づき50と1000ppmの間の過硫酸アンモニウム又はアゾジイソブチロニトリルのようなアゾ化合物を加えることである。もう1つの方法として、適する過酸化物、例えば室温で硬化する過酸化物、又は光開始剤も使用し得る。重合が約室温で、例えば光開始剤を用いて行われることが好ましい。
一般に、二次粒子は2,000,000(工業標準パラメータを使用したGPCによって測定された)までの分子量を有するポリマーを含む。好ましくはポリマーは、500,000未満、例えば5,000ないし300,000の分子量を有する。通常、ポリマー状二次粒子に対する最適な分子量は100,000と200,000の間である。
二次粒子が、コアがポリマー状シェルに囲まれた疎水性ポリマーからなるところのコアシェル構造を有することが好ましい。より好ましくは二次粒子は疎水性ポリマーを含むコア及び母材ポリマーを含むシェルを含む。母材ポリマーのシェルが疎水性ポリマーのコアの周り及び重合の間に形成されることが特に好ましい。
【0022】
前に示したように、本発明の粒子は有効成分、例えばUV吸収剤、UV反射剤、難燃剤、活性染料トレーサ物質又は好ましくは着色剤を含み得る。
粒子は一種以上の着色剤を含有し得、該着色剤はいかなる着色剤、例えば染料、顔料又はレーキでもあり得る。典型的に適する着色剤は、CTFA及びFDAによって化粧品の使用に認められている、レーキ、酸化鉄、二酸化チタニウム、硫化鉄のようないずれかの有機もしくは無機の顔料又は着色剤、又は化粧品調合物で使用される他の慣用の顔料を含む。顔料の例は、カーボンブラック、D&C赤色7号、カルシウムレーキ、D&C赤色30号、タルクレーキ、D&C赤色6号、バリウムレーキ、ラセット酸化鉄、イエロー酸化鉄、ブラウン酸化鉄、タルク、カオリン、マイカ、マイカチタニウム、レッド酸化鉄、ケイ酸マグネシウム及び酸化チタニウムのような無機顔料;及び赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色219号、赤色228号、赤色404号、黄色205号、黄色401号、橙色401号及び青色404号のような有機顔料を含む。油溶性染料の例は、赤色505号、赤色501号、赤色225号、黄色404号、黄色405号、黄色204号、橙色403号、青色403号、緑色202号及びパープル(Purple)201号を含む。建染染料の例は赤色226号、青色204号及び青色201号である。レーキ染料の例はアルミニウム、カルシウム及びバリウムとともに溶かされる様々な酸染料を含む。通常の染料もまた使用され得、及び油又は水に可溶であり得る。本発明の適する染料は、FD&C青色11号、FD&C青色12号、FD&C緑色13号、FD&C赤色13号、FD&C赤色140号、FD&C黄色15号、FD&C黄色16号、D&C青色14号、D&C青色19号、D&C緑色15号、D&C緑色16号、D&C緑色18号、D&C橙色14号、D&C橙色15号、D&C橙色110号、D&C橙色111号、D&C橙色117号、FD&C赤色14号、D&C赤色16号、D&C赤色17号、D&C赤色18号、D&C赤色19号、D&C赤色117号、D&C赤色119号、D&C赤色121号、D&C赤色122号、D&C赤色127号、D&C赤色128号、D&C赤色130号、D&C赤色131号、D&C赤色134号、D&C赤色139号、FD&C赤色140号、D&C紫色12号、D&C黄色17号、極端な(Ext.)D&C黄色17号、D&C黄色18号、D&C黄色111号、D&C茶色11号、極端な(Ext.)D&C紫色12号、D&C青色16号及びD&C黄色110号を含む。そのような染料は、それらの化学構造が、例えば21C.F.R.Part74(1988年4月1日に改定された)及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,(1988),the Cosmetics、Toiletry and Fragrancy Association,Inc発行に記載されている周知の商業上利用可能な物質である。それらの刊行物は参照することにより本書に組み込まれる。
着色剤は、潜在着色剤、例えば適する開始機構、例えば熱又は照射への暴露で色を示す発色剤である物質であり得る。適切には、そのような封入した発色剤は適した物質上に塗
布されるか又は配合され、そして次に色を示すために処理され得る。ポリマー粒子として発色剤を提供する利点は、それらがより簡単に処理され、及び望まれた方法で物質に配合され得ることである。発色剤はポリマー粒子内に封入されていてさえ活性し得る。
【0023】
本発明の方法は、二次粒子を含有する母材ポリマーの水性溶液を水不混和性液体に分散することを含む。
二次粒子は、例えば前に記載したような母材ポリマーの水性溶液の存在下で水性エマルション又は水性マイクロエマルション重合のような二次粒子を形成するために使用されるモノマーを重合する結果として母材ポリマーの水性溶液内に含まれ得る。もう1つの方法として、二次粒子は別に調製され、そして次に分散剤を形成するために母材ポリマーの水性溶液内で分散され得る。分散剤は次に水性母材ポリマー溶液から水を除去するために脱水を受けさせられ得、本発明の粒子を形成する結果となる。有効成分(例えば着色剤)を含む本発明の粒子は、母材ポリマーの水性溶液に有効成分を分散することによって調製され得る。このように分散剤は有効成分(例えば着色剤)及び母材ポリマーの溶液の全体にわたり分布された二次粒子を含むだろう。
典型的に水不混和性液体は有機液体又は有機液体のブレンドである。好ましい有機液体は、非揮発性パラフィン油と揮発性パラフィン油の混合物である。前記2つの油は質量に基づき等しい割合で使用され得るが、一般には非揮発性油を過剰に使用すること、例えば非揮発性油50ないし75質量部以上、揮発性油25から50質量部未満がしばしば好ましい。
本発明に従う粒子を得る方法において、本発明は、水不混和性液体にポリマー状両親媒性安定剤を含むことが望ましい。両親媒性安定剤は、いかなる適した商業上入手可能な両親媒性安定剤、例えばHYPERMER(登録商標)(ICIから入手可能)でもあり得る。適する安定剤は、国際公開第97/24179号パンフレットにおいて記載される安定剤を含む。界面活性剤のような、両親媒性安定剤に加えて他の安定化物質を含むことが可能だが、一般に唯一の安定化物質が両親媒性安定剤であることが好ましい。
本発明の方法において、脱水工程はいかなる都合の良い方法によっても達成され得る。望ましくは、脱水は油中の分散剤に減圧蒸留を受けさせることによってもたらされ得る。一般にこれは高い温度、例えば30℃以上の温度を要するだろう。より高温な例えば80ないし90℃を用いることが可能であり得るが、一般には60又は70℃未満の温度を使用することが好ましい。
減圧蒸留の代わりに噴霧乾燥による脱水をもたらすことが望まれ得る。適切にはこれは国際公開第97/34945号明細書において記載される噴霧乾燥方法によって達成され得る。
脱水工程は母材ポリマーの水性溶液から水を、及びまた揮発性対イオン成分を除去し、その結果水中において不溶性かつ非膨潤物である乾燥ポリマー母材を生じ、ここには二次粒子及び所望によりポリマー母材の全体にわたり分布される有効成分(例えば着色剤)を含有する。
本発明の粒子は、様々な産業上の用途において、例えばインク、紙及び化粧品組成物のようなパーソナルケア組成物及び他のパーソナルケア調合物の製造に使用され得る。
以下の実施例は本発明の説明である。
【実施例】
【0024】
実施例1
顔料60質量%及び架橋母材ポリマー40質量%を含む黄色に着色された耐粉砕マイクロビーズを以下のように調製した:
水性相を、14質量%のスチレン−アクリル酸コポリマー(65/35質量%モノマー比、分子量6000)で安定化された32質量%のスチレン−メチルメタクリレートコポリマー(モノマー比70/30質量%、分子量200,000)マイクロエマルションを含有する46%のポリマーマイクロエマルション488gを水790gで希釈し、そして
次に高速攪拌機の下で黄色10号アルミニウムレーキ粉末(元キングフィッシャー製)313g及び二酸化チタン56gを粉砕することによって調製した。生じた水性顔料分散剤に、50%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水性溶液19gを加えた。
別に、油相を、イソパラ(Isopar)G溶媒(エクソンモービルから入手可能)1800gで20%の両親媒性安定剤(90質量%のステアリルメタクリレート、10質量%のメタクリル酸、分子量40,000)を希釈することによって調製した。上記水性相を、20ミクロンの平均水性液滴粒子径を有する油中水エマルションを形成するために高速せん断ホモジナイザー下でこの油相に加えた。形成したエマルションを減圧蒸留のために設定された1リットルの反応装置に移した。エマルションを60℃まで温め、そして次に水/イソパラG溶媒混合物を除去するために減圧蒸留を受けさせた。さらなる水が蒸留物に集まらなくなるまで減圧蒸留を100℃で続けた。次に、反応器の内容物をジルコニウム架橋剤とカルボキシル化支持樹脂との間の架橋反応を達成するためにさらに1時間そのままの状態にした。
この熱処理工程の後、反応器の内容物を25℃に冷却し、そして形成した着色マイクロビーズをろ過により単離し、そして90℃でオーブン乾燥した。
最終生成物は20ミクロンの平均粒径を有する自由流動黄色マイクロビーズであった。
【0025】
実施例2
赤く着色されたマイクロビーズを、赤色7号カルシウムレーキ粉末(元キングフィッシャー製)313gが黄色10号アルミニウムレーキ粉末の代わりに使用されることを除いては実施例1に記載される同様の方法で調製した。

実施例3
青く着色されたマイクロビーズを、青色1号アルミニウムレーキ粉末(元キングフィッシャー製)313gが黄色10号アルミニウムレーキ粉末の代わりに使用されることを除いては実施例1に記載される同様の方法で調製した。

実施例4
この実施例は、この発明によって得られる着色されたマイクロビーズの耐粉砕性を説明する。実施例1の黄色マイクロビーズ30gをミリスチン酸イソプロピル270gに添加した。その結果生じるマイクロビーズスラリーを75℃まで温め、そして次に高速せん断混合機を用いて6,000rpmで30分間均質化した。この処理の後に混合物を室温まで冷却し、そしてマイクロビーズを光学顕微鏡の下で試験した。図2は本発明に従い作成した着色粒子を示す。
【0026】
実施例5
水性相を、46%のポリマーマイクロエマルション(スチレン−アクリル酸コポリマーで安定化されたスチレン−メチルメタクリレートコポリマーマイクロエマルション)200gを水100gで希釈することによって調製した。この中に青色1号アルミニウムレーキ粉末(元キングフィッシャー製)31gを高速せん断混合機の下で分散した。結果として生じた分散液に水80g中酸化亜鉛水和物20gを含むスラリーを添加した。
別に、油相を、イソパラG(エクソンモービル製)600gで20%の両親媒性安定剤(ステアリルメタクリレート(90質量%)−メタクリル酸コポリマー(10質量%)からなる)44gを希釈することによって調製した。
20ミクロンの平均粒径を有する油中水滴エマルションを形成するためにホモジナイザーを使用して水性相を油相に分散した。このエマルションを蒸留のために用意された一連の装置に移した。このエマルションを減圧蒸留のために1リットルの反応装置に移した。エマルションを50℃まで温め、そして水が蒸留物中にそれ以上集まらなくなるまで減圧蒸留、及び加熱(最大温度100℃)を受けさせた。この後、反応器の内容物を架橋反応を完了するために更なる時間の間約100℃でそのままの状態にした。これが完了した後
、反応塊を25℃まで冷却し、着色したビーズを回収するためにろ過した。最後にビーズを20ミクロンの平均粒径を有する易流動性青色粉末を生成するために90℃でオーブン乾燥した。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、ポリマーのガラス転移温度を示す典型的なプロットを示す。
【図2】図2は、本発明に従い製造した黄色マイクロビーズの光学電子顕微鏡写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和イオン性モノマーである第一モノマー、及び50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマーである第二モノマーを含むモノマーブレンドから形成されているポリマー母材を含むポリマー粒子であって、
ここで二次粒子が前記母材の全体にわたり分布され、該二次粒子は50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマー及び所望により他のモノマーから形成されている疎水性ポリマーを含み、該疎水性ポリマーは前記ポリマー母材と異なるところのポリマー粒子。
【請求項2】
前記第一モノマーが揮発性対イオン成分の塩である、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項3】
有効成分を含む、請求項1又は請求項2に記載のポリマー粒子。
【請求項4】
UV吸収剤、UV反射剤、難燃剤及び活性染料トレーサ物質から選択される有効成分を含む、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項5】
前記ポリマー母材が遊離酸又は遊離塩基の形態にあるポリマーを含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項6】
前記ポリマー母材が架橋されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項7】
前記ポリマー粒子が100ミクロン未満、好ましくは50ミクロン未満の平均粒径を有する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項8】
前記第二モノマーが、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ターシャリーブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートから成る群から選択される、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項9】
前記第一モノマーが揮発性対イオン成分のエチレン性不飽和カルボン酸塩であって、該揮発性対イオン成分がアンモニア又は揮発性アミンである、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項10】
前記母材ポリマーがスチレンとアンモニウムアクリレートとのコポリマーであって、及び炭酸ジルコニウムアンモニウム又は酸化亜鉛が架橋剤として使用される、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項11】
前記第一モノマーが揮発性対イオン成分のエチレン性不飽和アミン塩であって、該揮発性対イオン成分が揮発性カルボン酸である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項12】
前記二次粒子が、前記ポリマー母材を形成するために使用される前記第二モノマーと同一である疎水性モノマーを含むモノマー、又はモノマーブレンドから形成される、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項13】
前記二次粒子がスチレン及び所望により他のモノマーから形成される、請求項1ないし12のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項14】
前記二次粒子がスチレン及びメチルメタクリレートから形成される、請求項13に記載のポリマー粒子。
【請求項15】
前記二次粒子が750nm未満の平均粒径を有する、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項16】
前記二次粒子が50ないし500nmの範囲において平均粒径を有する、請求項15に記載のポリマー粒子。
【請求項17】
前記二次粒子が、コアが疎水性ポリマーを含みかつシェルが母材ポリマーを含むコアシェル構造を有する、請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項18】
前記母材ポリマーが有効成分に不浸透性である、請求項3ないし請求項17のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
【請求項19】
ポリマー母材及び該母材の全体にわたり分布した二次粒子を含むポリマー粒子を製造する方法であり、
該ポリマー母材はエチレン性不飽和イオン性モノマーである第一モノマー、及び50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマーである第二モノマーを含むモノマーブレンドから形成されており、
前記二次粒子は、50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することが可能であるエチレン性不飽和疎水性モノマー及び所望により他のモノマーから形成されている疎水性ポリマーを含み、前記疎水性ポリマーは前記ポリマー母材と異なるところの方法であって、
該方法は、以下の工程
A)前記第一モノマー及び第二モノマーを含むモノマーブレンドから形成されるポリマー塩の水性相を準備する工程、
B)前記水性相中で前記二次粒子を形成するか、又は前記二次粒子を前記水性相と混ぜ合わせる工程、
C)好ましくはエマルションを形成するための両親媒性ポリマー安定剤を含む水不混和液体相中で本質的に前記水性相からなる分散液を形成する工程、及び
D)該分散液を、水が水性粒子から蒸発されそれにより母材ポリマーの全体にわたり分布された前記二次粒子を含む固体粒子を形成するところの脱水に付す工程
を含む方法。
【請求項20】
前記第一モノマーが揮発性対イオン成分の塩である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記粒子が有効成分を含む、請求項19又は請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子が着色剤から選択される有効成分を含む、請求項19ないし請求項21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマー母材が遊離酸又は遊離塩基の形態にあるポリマーを含む、請求項19ないし請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
架橋剤が前記水性相中に含まれ、そして前記母材ポリマーが脱水工程の間に架橋される、請求項19ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマー粒子が100ミクロン未満、好ましくは50ミクロン未満の平均粒径を有す
る、請求項19ないし請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第二モノマーが、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ターシャリーブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートから成る群から選択される、請求項19ないし請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記第一モノマーが揮発性対イオン成分のエチレン性不飽和カルボン酸塩であって、該揮発性対イオン成分がアンモニア又は揮発性アミンである、請求項19ないし請求項26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマー母材がスチレンとアンモニウムアクリレートとのコポリマーであって、及び炭酸ジルコニウムアンモニウム又は酸化亜鉛が架橋剤として使用される、請求項19ないし請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第一モノマーがエチレン性不飽和アミンであり及び前記揮発性対イオン成分が揮発性カルボン酸である、請求項19ないし28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記二次粒子が、前記ポリマー母材を形成するために使用される前記第二モノマーと同一である疎水性モノマーから形成される、請求項19ないし29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記二次粒子がスチレン及び所望により他のモノマーから形成される、請求項19ないし30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記二次粒子がスチレン及びメチルメタクリレートから形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記二次粒子が750nm未満の平均粒径を有する、請求項19ないし32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記二次粒子が50ないし500nmの範囲において平均粒径を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
粒子がマイクロエマルション重合によって前記水性相内でマイクロエマルションとして形成される請求項19ないし請求項34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記二次粒子が、コアが疎水性ポリマーを含みかつシェルが母材ポリマーを含むコアシェル構造を有する、請求項19ないし請求項35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記母材ポリマーが有効成分に不浸透性である、請求項21ないし請求項36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記着色剤が染料、顔料又はレーキである、請求項22ないし請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記脱水工程が減圧蒸留を含む、請求項22ないし38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記脱水工程が噴霧乾燥を含む、請求項19ないし39のいずれか1項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−502748(P2008−502748A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515813(P2007−515813)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005917
【国際公開番号】WO2005/123796
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】