説明

ポリ尿素/ウレタン光学材料及びそれを製造する方法

ポリ尿素/ウレタン材料及びそれを製造する方法により、改良された光学部品を提供する。その材料は、良好な光学的特性、高度の硬さ、低密度、及び良好な耐衝撃性を有する部品の容易な製造を可能にする。その方法は、有利な製造に関係する要件を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には眼科用レンズに使用するための材料及びそれらを製造する方法に関し、より具体的には高度の耐衝撃性、低密度、及び良好な光学特性を提供する材料に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科用レンズは、重さ及び安全性等他の重要な性質を犠牲にすることなく良好な光学的性能を提供しなければならない。したがって、視力を提供することに加えて、そのレンズは、使いやすく快適であるために重すぎてはならず、衝撃による破損に対する高度の耐性を有していなければならない。一般に、そのようなレンズを製造するために使用する材料は、これらの望ましい特性の間の結局は妥協点となる。例えば、石英ガラスは、素晴らしい光学特性を示すが、それは重たい(すなわち密度が高い)材料である。ガラスは、また、耐衝撃性が劣り、厚いレンズが必要となり、それにより一層の重たさを引き起こす。標準的な硬質樹脂のプラスティックレンズは、ガラス製のものよりは軽量である。しかしながら、それらはさらに劣る耐衝撃性を示す。これらの代替材料の1つは、ポリカーボナートである。ポリカーボナートは、低密度及び高屈折率を有しており、所定量の屈折に対して薄いレンズをもたらす。ポリカーボナートは、また、高度に耐衝撃性であり、極端な破損の危険なしで安全に使用されるレンズを可能にする。しかしながら、ポリカーボナートレンズは、ガラス又は硬質のプラスチック樹脂より大きな色収差(すなわち、異なる波長の光に対する異なる屈折率によるぼけ)を示し、それは軸外しゆがみ若しくは周辺ゆがみ、又はカラーバンディングとして受け取ることができる。これら材料の限界のために、眼科用レンズのための改良材が探求されてきた。
【0003】
新種の耐衝撃性ポリウレタンが、眼科用レンズに使用した場合、改良された特性を提供することが確認されている。参照により本明細書に組み込まれている両方共Slagelに対するものである米国特許第5962617号及び第6217505号(それぞれ、「Slagelの617」特許及び「Slagelの505」特許)は、これらのポリウレタンの最初の配合物について記載している。これらのポリウレタンは、高度の光学特性及び良好な耐衝撃性を特徴とする非エラストマー性エンジニアリングプラスチックとして表現することができる。エラストマーであれば、少なくとも200%は伸長し、ほぼその元の長さに戻るであろうが、エンジニアリングプラスチックは、顕著な伸長をこうむることはない。かくして、エンジニアリングプラスチックは、表面仕上げ、研磨、及び艶だしの応力下でその形を保持し、それによってそのプラスチックが眼科用レンズを製造するために使用されるときは、優れた使いやすさ及び性能を提供する。
【0004】
Slagelの617及び505特許においては、これらのポリウレタンは、所望の光学的及び力学的な性質を獲得するために、ポリウレタンプレポリマーを芳香族アミン硬化剤と特定の比率で反応させることにより製造する。眼科用途の材料を製造するための好ましいジアミン硬化剤としては、メチレンビス(オルト−クロロ)アニリン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、及びジエチルトルエンジアミンが挙げられる。これらの硬化剤をプレポリマーと、NH:NCOの濃度で、0.9から1.1の当量比で反応させる。
【0005】
Slagelの617及び505特許に記載されている材料は、改良された耐衝撃性を示しこそすれ、それらは、標準的な眼科用レンズ用としては許容できない過度の残留黄色度を示した。その特許は、この黄色度は少量の着色剤及びさらにポリウレタンを酸化から保護するための酸化防止剤の添加によって対処されることを開示している。加えて、これらの原料物質は、標準的な光学研磨、艶だし、及び縁取り技術を使用して表面仕上げするとき、正確な屈折力を維持するにはあまりにたわみやすいレンズを生ずる。この過剰のたわみ性に対処するため、その材料は、その材料のこわさを増すためにさらなる架橋剤を組み込むことにより変性した。例えば、その特許に開示されている好ましい実施形態は、こわさを改良するためにポリウレタンプレポリマー中に少量のトリメチロールプロパンを組み込んでいる。これは、ポリウレタンの特性を修正する標準的な技術であるが、それはまた明らかにその系の複雑さを増している。より単純又はより制御された手段を提供する別の取り組みが望ましい。
【0006】
上で検討した2つの特許に開示されている材料は、以前から知られていた光学材料を超える著しい改良を示してはいるが、製造及び光学設計実現の容易さのさらなる改良、製造の費用低減、及び耐衝撃性及びその他の物理的性質のさらなる改良が求められる。例えば、低粘度材料は、ポリマー成分のより均一な混合を可能とし、より再現性のある重合反応をもたらすであろう。また一層の低粘度により、その材料は、所望の成形面上によりむらなく完全に流れるために、複雑さのより大きい形のレンズ及びゴーグルの製造が可能となろう。
【0007】
物理的特性のさらなる増進も望まれる。しかしながら、その増進は、多数の物理的、光学的及び化学的性質を均衡させることが必要である。例えば、最善の耐衝撃性のためにはその材料は、突然の衝撃を吸収するためにたわむことが必要であり得る。しかしながら、上で論じたように、過剰のたわみ性は、通常の表面仕上げ及び研磨の手順の間に変形を生じてしまい、その結果得られたレンズは、目的とする処方通りの能力又は眼鏡のフレームにしっかりと適合する正確な形を達成又は維持することができない。同様に、光学的透明度が犠牲になるとか又はレンズが望ましくない色になることのない過激な環境に対する耐性の改良が望まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学的品質の耐衝撃性ポリ尿素/ウレタン材料を製造する方法に属し、次の、
1)第1のジイソシアナートを第1のポリオールと反応させてヒドロキシル基1個当たり少なくとも約3個のイソシアナート基の当量比を有するウレタンプレポリマーを形成するステップ、
2)第2のジイソシアナートを第2のポリオールと反応させてイソシアナート基1個当たり約3個と約8個の間のヒドロキシル基の当量比を有するヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーを形成するステップ、
3)ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーをジアミンとブレンドして硬化剤混合物を形成するステップ、及び
4)ウレタンプレポリマーを硬化剤混合物及びポリ尿素/ウレタン材料を形成するように、硬化剤混合物のヒドロキシル基とウレタンプレポリマーのイソシアナート基との反応を促進するように構成されている触媒と反応させるステップ
を含む。
【0009】
その方法の好ましい態様において、ウレタンプレポリマーは、ヒドロキシル基1個当たり約4個と約16個の間のイソシアナート基、より好ましくはヒドロキシル基1個当たり約8個と約12個の間のイソシアナート基の当量比を有する。好ましくは、ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーは、イソシアナート基1個当たり約3個と約5個の間のヒドロキシル基の当量比を有する。第1のジイソシアナートは、好ましくは、脂肪族又は脂環式ジイソシアナート、最も好ましくは、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−,1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、又はそれらの混合物を組み入れている。第1のポリオールは、好ましくは、約150と約4,000の間の分子量を有するジオールを組み入れており、それは、好ましくは、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、カプロラクトンジオール、ポリカーボナートジオール、又はこれらの混合物を組み入れている。該方法の好ましい態様は、ウレタンプレポリマー中に添加剤をブレンドするステップを組み込む。
【0010】
第2のジイソシアナートは、好ましくは、脂肪族又は脂環式ジイソシアナート、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−,1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、又はこれらの混合物を組み入れる。第2のポリオールは、好ましくは、約90と約4,000の間の分子量を有するジオール、好ましくは、1つ又は複数のカプロラクトンジオールを組み込む。ジアミンは、好ましくは、芳香族ジアミン、好ましくは、ジエチルトルエン−ジアミン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4−メチレン(ビス−2−クロロ−アニリン)、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、又はこれらの混合物を含む。
【0011】
触媒は、好ましくは、ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを合わせた量の約10ppmと約650ppmの間の量で存在させる。その触媒は、好ましくは、スズ、コバルト、又は水銀等の金属を含む。好ましい触媒としては、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズオキシド、ジメチルスズカルボキシラート、又はこれらの混合物が挙げられる。本方法の好ましい態様において、化学種を反応させ、ブレンドするステップは、すべて、その間、化学種の酸素又は水との接触を最小限にして行う。
【0012】
好ましくは、ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを反応させるステップは、ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とをイソシアナート1単位当たり約0.85から約1.1までのアミン単位、より好ましくは、イソシアナート1単位当たり約0.90から約1.0までのアミン単位の範囲の比率で反応させることを組み込む。
【0013】
本発明の方法は、また、ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマー、ジアミン及び触媒を、ブレンドして硬化剤混合物を形成する上記と類似した方法にも属している。本発明は、さらに、ウレタンプレポリマー、硬化剤混合物、及び上で論じた触媒の反応生成物を含む光学的品質の高度に耐衝撃性の非エラストマー性ポリ尿素/ウレタン、並びにこの材料から作製した光学的品質の耐衝撃性部品に属する。本発明は、また、上で論じた方法を使用して製造した光学的品質の耐衝撃性部品にも属する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、光学的品質の部品に使用するためのポリ尿素/ウレタン材料及びその材料を製造する方法に属する。その材料は、高度の耐衝撃性、低密度、及び良好な光学特性を提供する非エラストマー性エンジニアリングプラスチックである。これらの材料は、眼科用レンズ及びレンズ生地、まびさし、ゴーグル、並びに成形したマスクを含む広範囲の光学製品に有用である。
【0015】
ポリウレタンを形成する標準的やり方は、本明細書では成分A及びBとして記載する二液系を組み合わせるものである。成分Aは、ジイソシアナートを含有し、成分Bは、一般的にはヒドロキシル又はアミン単位のいずれかが組み込まれている硬化剤を含有する。これらの2つの成分を次いで混合し、反応させると最終生成物のポリウレタンを形成する。改良された光学特性を有する高度に耐衝撃性のポリウレタンを生み出すためのさらなる改良は、上で論じたSlagelの617及び505特許に概要が述べられている。これらの改良は、成分A及びBの化学的性質、並びに反応混合物比率の注意深い制御と関連する。特に、成分A中のジイソシアナートは、適当なヒドロキシル基と予め反応させて反応性プレポリマー鎖を生じさせておく。また、ジアミンを、最終生成物ポリウレタンの靭性を高めるために、成分Bとしての硬化剤として使用する。しかしながら、Slagelの617及び505特許で指摘したように、ジアミンの濃度は、不適格なヘーズを避けるため及び最終ポリウレタンの適格な耐衝撃性を維持するために低く保たなければならない。この方法は功を奏するが、それは、光学透明度を保持し、一方、良好な物理的性質を確保するために、成分AとBの間の比率の極めて注意深い管理を必要とする。加えて、成分A及びBは、両方とも、特に成分Aは、非常に粘稠であり得、一般的には室温で2,000〜30,000センチポアズの範囲の粘度を有する。その上、成分A及びBを組み合わせたとき、それらは数秒の間に反応を始めて硬化し、それによって複雑な型に均一に充填することが極めて困難となる。それ故、これら成分の反応は、迅速で正確な製造工程に対しては欠点を有する可能性がある。
【0016】
上記を考慮する中で、高度の硬さ及び良好な光学的透明度を有するポリ尿素/ウレタンポリマーを、処理条件の見違えるほど大きい自由度を提供する新規な方法と、望ましい光学製品を首尾よく生ずるとは期待されていなかったであろう成分A及びBの両方に際立った変化を取り入れることとにより製造することができることが意外にも見出された。特に、本発明の方法は、低粘度のプレポリマーを生じるように、成分Aにおいてヒドロキシル基に対して著しく高い比率の反応性イソシアナートを組み込む。これにより調合しやすい成分Aが生ずる。しかしながら、この低粘度成分Aプレポリマーのイソシアナート含有量は、その後の一般的な成分Bジアミン配合物との反応に対して正確な比率にはない。それ故、本発明の方法は、また、幾分かのヒドロキシル単位及び幾分かのジアミン基を有する反応性化合物の混合物を含有する成分Bも組み込む。この新たな成分Bもまた、処理を容易にするために低粘度を有するのが有利である。このやり方は、ジアミンの反応速度が非常に優勢であり、ヒドロキシルの反応が、ジアミンの反応としばしば関係する曇りの形成を避けるように十分に競争することができることは誰も期待しないので、極めて異常である。この問題を避けるため、本発明の方法のもう1つの独特且つ基本的な特徴は、成分Bの異なる反応性化合物と成分Aのプレポリマーとの間で、これらの成分が組み合わされて最終生成物を形成するときに、競合する反応経路を制御する触媒を使用することである。この触媒は、成分Bのヒドロキシル基と成分Aのイソシアナート基との反応を促進するのに役立つ。それ故、目的とするさらなるヒドロキシルの反応は、光学的及び物理的性質の均衡を失うことなく促進される。この新規な方法は、アミン:ヒドロキシル:イソシアナートの化学種のこれまで可能であったものより広い比率の範囲により、適切な光学及び衝撃性能を獲得する能力を提供する。さらに、この反応比率は、これらの化学種の相対比を単発の処理よりむしろ複数のステップで調節することができるので、一層容易に且つ再現性よく制御される。それ故、最終生成物の特性もまた、既知の方法を使用するよりずっと容易に調節される。
【0017】
上で述べたように、触媒の使用は、最終生成物を生み出す反応を調整する鍵である。アミン基のより高い反応性を反応途中で制御できない場合、生成する材料は、光学的透明度を失い、脆くなるために、このことは必要である。それにもかかわらず、アミンの反応は、例えば、処方レンズを形成するためにさらなる表面仕上げ及び研磨をたとえ受けたとしても、形を維持する十分な硬さと靭性とを有する材料を製造するためには必須である。本発明の方法により製造されたポリ尿素/ウレタンでできている眼科用レンズは、良好な光学的透明度、耐衝撃性、耐薬品性、及び硬さの組み合わせを示す。その上、これらの特性は、硬さを増すために通常のポリウレタンにはしばしば含まれている追加の架橋剤の使用を必要とせずに獲得される。本発明の新規な方法の使用は、最終製品中で必須触媒の組み込みの痕跡によって確認することができるであろう。
【0018】
上で論じた利点に加えて、本発明の方法は、低粘度を有する中間体及び中間体成分の混合物を生み出す。これら低粘度の中間体は、濃厚でより粘り気のある材料より組み合わせやすく、その中間体は、得られる材料の光学特性を劣化させるガスの取り込みを引き起こすことなく混合することができる。その低粘度の中間体はまた、微量不純物又は取り込んだ粒子を除去するための簡単な前ろ過を受け入れることができ、改良された光学的透明度及び化粧性を有する最終製品をもたらす。その方法の複数のステップはまた、アミン対イソシアナートの化学種の正確な比率に対してあまり敏感でなく、同様に既知の混合物よりイソシアナート対ヒドロキシルの化学種の正確な比率に対してもあまり敏感ではない混合物を生み出すので、材料特性を犠牲にすることのない製造の適応性が見込まれる。
【0019】
本発明の材料は、光学的品質の非エラストマー性高耐衝撃性ポリ尿素/ウレタンポリマーであり、それは、次の複数ステップの方法:
1)脂肪族又は脂環式ジイソシアナートとポリオールとを反応させてウレタンプレポリマーを準備するステップ、
2)ジイソシアナートとポリオールとのさらなる前段反応を調製して、中央のウレタン基(1つ又は複数)及び鎖の末端をなすヒドロキシル基を有する延長したポリマー鎖を生み出すステップ、
3)ステップ2)のヒドロキシル末端の化学種及び芳香族ジアミンを含有する混合物を調製するステップ、及び
4)ステップ1)のプレポリマーとステップ3)の混合物とを上記の触媒の存在下で反応させるステップ
の反応生成物である。
【0020】
上記成分の反応生成物は、図1に示すように、以下の手順を用いて調製することができる。標準的なウレタン用語を用いると、成分Aは、ステップ1)で調製されるプレポリマーであるが、成分Bは、目下のところステップ2)及び3)に記載されている前駆物質の混合物となっている。成分A及びBを、次にステップ4)で触媒の存在下で反応させてポリ尿素/ウレタン材料を形成し、それを硬化して反応を完結させ、目的とする光学部品を生み出す。様々な熱及び紫外線安定剤、染料、離型剤及びその他の既知の添加剤を、ポリ尿素/ウレタンを形成するその複数ステップの処理の間に添加することができる。これらの材料は、成分B反応物の添加途中の酸素又は水の混入を避けるために、最初に成分Aに加えるのが好ましい。上記混入は、成分A及び成分Bの両方に対して見込まれる問題であるが、成分Bにとってより重大である。必要に応じて、ステップ4)における反応は、成形した光学部品を製造するための型アセンブリで行われるか又は割り当てることができる。
【0021】
上で論じた複数ステップのやり方により、処理を容易にするための低粘度前駆物質を使用する本発明の光学的品質のポリ尿素/ウレタンの製造が可能となる。特に、成分A並びにこの方法においては成分Bを構成する混合物は、双方とも低粘度を有しており、混合及びろ過が容易である。これらの前駆物質の低めの粘度は、種々の添加剤等他の材料を、ポリ尿素/ウレタンのバルク中に均一に混合すべきときに特に有利であり得る。同様に、フィルム、積層品、又はその他の固体インサートが光学部品の中又は上に含まれる場合、低粘度の前駆物質は、そのインサートの均一な被覆及び再現可能な位置決めのために望ましい。その上、ジアミンとヒドロキシルの双方の化学種による反応生成物の組み合わせ及び触媒による調整により、得られるポリマーの光学特性及び材料特性を最適にする制御方式が提供される。例えば、純粋なヒドロキシルのジイソシアナートとの反応は、高い硬さのポリマー(すなわち、80以上のショアーD硬さを有する)を生成するが、一般に、これらのポリマーは、高い耐衝撃性を要する光学用途には脆すぎる。純粋なアミン又はジアミンのジイソシアナートとの反応は、光学用途で使用するには許容できない光透過率特性を有する不透明材料を一般に生じる。上記の方法においては、ヒドロキシル及びアミンの反応は、得られる生成物が、十分に硬く、弾力があり、非エラストマー性で、許容できる光学的品質のものであることを確保するように均衡がとられる。
【0022】
本発明の方法の様々な特徴、詳細及び態様は、図1及び以下の本発明の方法の好ましい態様の説明を参照することにより、よりよく理解することができる。図1は、本方法の好ましい実施形態により光学的品質の部品を形成する一般的な方法を示すフローチャートである。
【0023】
ステップ110において、ジイソシアナートは、ウレタンプレポリマー(上で論じた成分A)を用意するためにポリオールと組み合わせる。良好な光学性能を提供するには脂肪族又は脂環式ジイソシアナートが好ましい。特に好ましいジイソシアナートとしては、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−,1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(「IPDI」)、テトラメチルキシレンジイソシアナート、並びにこれら化合物の混合物又はそれらの異性体が挙げられる。本発明の材料製造に使用する1つの特に好ましいジイソシアナートの混合物は、トランス,トランス−,シス,トランス−、及び、シス,シス−4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)異性体の混合物である。約20%のトランス,トランス−、及び80%のシス,トランス−及びシス,シス−の化学種によるこれら異性体の市販の混合物が、バイエル社(Bayer Corporation)により登録商標ディスモジュール(登録商標)W(Desmodur(登録商標)W)のもとで販売されている。
【0024】
ステップ110においてジイソシアナートと反応させるための好ましいポリオールは、約150から約4,000までの範囲の分子量を有するジオールで、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、カプロラクトンジオール、及びポリカーボナートジオールが挙げられる。好ましいポリオールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールのエステル化生成物に由来するそのようなポリエステルジオール、及びE−カプロラクトンとエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールとの反応に由来するカプロラクトンジオールが挙げられる。
【0025】
狭い分子量分布を有する特定のポリオール、又は異なる分子量を有するポリオールの混合物は、望ましい平均分子量の分布を生み出すために使用することができる。ポリオールの平均分子量が増大すると、ステップ110で生成するプレポリマーの鎖長もまた増大するであろう。ステップ110で使用するポリオールの平均分子量の好ましい範囲は、約400と約1200の間である。特定の平均分子量の分布を得るために高い分子量と低い分子量のポリオールの混合物を使用する場合、約150から約4,000までの分子量を有するポリオールを組み合わせることができる。ステップ110で使用する特に好ましい典型的なポリオールの混合物は、約400の分子量を有するカプロラクトンジオール48.9%、約3,000の分子量を有するカプロラクトンジオール16.1%、及び約4,000の分子量を有するカプロラクトンジオール35.0%である。
【0026】
この典型的な混合物により示したように、好ましいポリオール混合物は、市販のカプロラクトンジオールのようなカプロラクトンポリオールから製造することができる。ポリエーテルジオールとポリエステルジオールとの混合物は、それらは非混和性で最終生成物に曇りを生ずる可能性があるのであまり好ましくない。
【0027】
上で述べたように、ジイソシアナートとポリオールとはステップ110で反応してウレタンプレポリマーを形成する。ポリオールは、場合により、加熱してポリオールの粘度をさらに低下させることができ、ジイソシアナートと一層混ぜ合わせやすくすることが可能である。例えば、上記のポリオール混合物を、より取り扱いやすいように約50℃と約85℃の間の温度で液体状態となるように加熱するのが望ましい。
【0028】
この反応におけるイソシアナート基対ヒドロキシルの比率は、好ましくはヒドロキシル基1個当たり少なくとも3個のイソシアナート基、より好ましくはヒドロキシル基1個当たり少なくとも4個から16個の範囲のイソシアナート基、最も好ましくはヒドロキシル基1個当たり少なくとも8個から12個の範囲のイソシアナート基である。これにより、既知の方法と比較してプレポリマーにおけるイソシアナート基対ヒドロキシル基の異常に高い比率が提供され、優れた光学的品質を有する高度の硬さ、高度の耐衝撃性のポリマーが生成される。例えば、Slagelの505特許においては、明記されているプレポリマーを形成するためのイソシアナート対ヒドロキシルの明白に規定された比率は、ヒドロキシル基1個当たり2.5個から4.0個までの範囲のイソシアナート基である。本発明のより高いイソシアナート対ポリオールの比率は、既知の方法を用いて製造されたものより著しく低い粘度を有するウレタンプレポリマーを結果として生じている。これにより、本方法のその後のステップにおける材料のより容易且つより完全な混合が可能となる。
【0029】
上で述べたように、ポリオールとジイソシアナートとを混合する前に、ポリオールは、場合により、特にそれが室温で固体又は高粘度を有している場合、容易な混合を提供するように加熱して液体状態にすることができる。ウレタンプレポリマーを調製する好ましい方法においては、熱源、反応物を完全に混合してそれらの温度を監視するための手段、並びに反応物を空気及び湿気にさらすことを防ぐための不活性ガス源を装備した反応槽にジイソシアナートを加える。次いでポリオール成分をその反応器に加え、ジイソシアナートと活発に混合する。
【0030】
穏やかな熱を次に加えて反応を始める。加える熱の量は、使用するジイソシアナート及び反応の開始と制御との望ましい速度に依存する。一般的には、本発明の方法で使用するためには広い範囲の温度/時間条件が適合し、それにより、より大きな生産の自由度が見込まれる。例えば、好ましい市販のジイソシアナートとポリオールとの上記の混合物に対しては、約70℃の温度で反応を開始することができるが、その反応は、そのときゆっくりと進行する。同じ混合物を使用して、約160℃を超える温度では、黄変、副反応の増加によるプレポリマーの粘度の上昇、及びイソシアナート基が化学的に完全に結合し、目的とする最終生成物ポリ尿素/ウレタンを形成するためのさらなる反応に使用不可能となるようなそれらの過剰反応を引き起こしかねない。それ故、上で述べた典型的な反応物に対する典型的な条件は、反応物を約140℃の温度に加熱し、約1時間にわたって反応を進行させることである。
【0031】
目的とする範囲内の温度に到達したら、熱源は除去してもよく、反応はその後そのままで継続することができる。使用するジイソシアナートによって、発熱反応が起こり、それ故、外部加熱の除去により、発熱が分解を引き起こす機会が減少され、したがって反応のよりよい制御が確保される。代わって使用するジイソシアナートが発熱的に反応しない場合は、問題なく長時間にわたって熱を加えることができる。いずれの場合も、反応が進行してウレタンプレポリマーを形成するのに伴い、一旦加熱を除去すると、その混合物は、最終的には冷めるであろう。
【0032】
図1でステップ120に示されているように、様々な添加剤をその混合物に組み込むことができる。上で論じたように、代表的な添加剤としては、酸化防止剤、紫外線安定剤若しくは吸収剤、光学色素、着色剤、熱安定剤、離型剤、蛍光増白剤、界面活性剤、可塑剤、不活性耐衝撃性改良剤及びその他の類似の化合物が挙げられる。これら化合物のいくつかの例がSlagelの505特許に論じられている。適当な添加剤の1つの典型的な混合物は、1%のIrganox 1010(ヒンダードフェノールタイプの酸化防止剤、Ciba Specialty Chemicals,Inc.から入手可能)、1%のTinuvin(登録商標)328(ベンゾトリアゾールUV安定剤、Ciba Specialty Chemicals,Inc.から入手可能)、1%のLowilite 92(ヒンダードアミン光安定剤、Great Lakes Chemical Corp.から入手可能)、4から20ppmのExalite Blue 78−13(光学色素、Exciton,Inc.から入手可能)、及び4ppmのSF−8843(シリコーン系界面活性剤、GE Siliconesから入手可能)を組み込む。
【0033】
添加剤は、反応混合物が冷めて、添加剤が熱劣化によってその有効性を失わず、なおかつ反応物混合物に溶解する温度になったときに、プレポリマー混合物中に混ぜ合わせるのが好ましい。例えば、上述の好ましいプレポリマー混合物に対しては、プレポリマーが約100℃から120℃の範囲の温度まで冷めたときに、上で論じた典型的な添加剤混合物は、これらの添加剤又はポリ尿素/ウレタン生成物の最終特性のいずれかの光学的又は力学的性能を損傷させることなく添加することができる。その材料が使用されることになっている特定の光学的用途、並びに環境要求事項及び目的とする生成物の色によって、これら又は代わりの添加剤の他の混合物を使用することができ、添加の温度はそれに応じて調節することができる。
【0034】
次に、図1でステップ130に示されているように、空気及び残留水分は、反応器を真空排気するか又は反応器を不活性ガスでさらに浄化することによって、ウレタンプレポリマーとの接触を取り除く。真空排気は、外部からの空気又は水が存在しないことを確実にするために好ましい。ステップ130の手順は、残留ジイソシアナート又はプレポリマーのペンダントイソシアナート基の残留水分との無用の反応の可能性を排除する。上記反応は、二酸化炭素の気泡の閉じ込められたポケットを形成するか又はゲル粒子を生み出す可能性がある。概して、水分による無用の制御されていない反応は、プレポリマーの光学特性を劣化し、そのうえ容器中で過剰の圧力を生じかねない。
【0035】
ウレタンプレポリマーを使用前に保存しなければならない場合は、保存中の空気又は水分の混入を防ぐために、真空下又は窒素若しくはアルゴン等の不活性ガス雰囲気中のいずれかにそれを保持するのが好ましい。これにより、ウレタンプレポリマーの保存寿命が延び、そのためその材料を、製造サイクルの事前の計画に対して時間的にかなり前から作製することができる。これらの保存方法を用いることにより、プレポリマーは、室温で数ヶ月、実質的な劣化を何ら示すことなく保存することができる。
【0036】
図1に示すように、別に、ステップ140においては、ジイソシアナート(1つ又は複数)をポリオール(1つ又は複数)と組み合わせてヒドロキシル末端の延長ポリマー鎖を形成する。ステップ110で使用したものと同じジイソシアナートをこれらの鎖を形成するために使用してもよく、又は別の脂肪族若しくは脂環式ジイソシアナート、或いはそれらの混合物を選択することもできる。これらの延長鎖に対して優れた全体的な特性を提供する2つの好ましいジイソシアナートは、Bayer Corp.からDesmodur Wとして入手可能な異性体の混合物、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、及びDow Chemical Co.から入手可能な1,3−,1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアナートである。
【0037】
同様に、ステップ110に対して上で論じた同じポリオール又はポリオールの混合物は、ステップ140で使用することができ、或いは別の混合物を使用してもよい。ステップ140で使用することができるポリオールの分子量の範囲は、約90から約4,000であるが、平均分子量の分布は、好ましくは約300から約1,200の範囲内であるべきである。カプロラクトンジオールは、それらの多分散性が低く、固有の色が少ないので好ましい。ポリオールによっては著しく黄色若しくはオレンジ色であり得るが、カプロラクトン化合物の一般的なAPHA明度は、10未満である。20未満のAPHA値は、視覚的に感知できず、それ故、最終生成物に感知できるほどの色は付加しないはずである。これにより、最終材料のより良い色の製造管理が可能となる。一般に、ポリエステルジオール及びポリエーテルジオールの混合物は、特に本発明の分子量の範囲においては、これらの化合物が、互いに相容せず、それ故、材料中にさらなる曇りを引き起こす可能性があるため、ステップ140においては選ぶことをしない。ステップ140のためのカプロラクトンジオールの典型的な好ましい混合物は、約400の分子量を有するジオール12.2%、約750の分子量を有するジオール35.9%、約1,000の分子量を有するジオール48.2%、及び約4,000の分子量を有するジオール3.7%を含有する。
【0038】
ステップ140においては、ジイソシアナート(1つ又は複数)を、ステップ110で使用したものとは著しく異なる比率のポリオール(1つ又は複数)と反応させる。ステップ140のヒドロキシル末端延長鎖状ポリマーを生み出すためには、ヒドロキシル基は、イソシアナート基1個当たり3個から8個のヒドロキシル基の比率範囲、好ましくはイソシアナート基1個当たり3個から5個のヒドロキシル基の比率で優位に立つ。それより低い比率では、混合物の粘度がかなり増大し、製造上の困難を引き起こす。
【0039】
ジイソシアナート及びポリオールの化学種の混合物を、次に、選択したジイソシアナートとポリオールの混合物との間で反応が開始し、持続する十分な温度まで加熱する。例えば、上述の好ましい市販のジイソシアナート及びカプロラクトンジオールの典型的な混合物に対しては、イソシアナートとヒドロキシル基との間の反応が約1時間以内に完了するようにその混合物を約140℃に加熱することができる。それより低い温度を使用することもでき、そうすると長い反応時間を必要とする。この例においては、反応温度が140℃に達したとき、熱源を取り外し、発熱反応が自然に進行するままにする。
【0040】
本発明の方法のさらなるステップに進む前に、反応性の混合物は、熱劣化、黄変、閉じ込められた水分、又は後から添加する材料との望ましくない副反応を避けるために、冷却しておくのが好ましい。冷却する度合いは、添加させる材料の温度感受性によって決まる。上で論じた特定の反応物では、反応物槽は、約85℃より下の温度まで冷却するのが好ましい。
【0041】
必要に応じて、最終材料の光学特性及び力学特性を調整するための添加剤は、ステップ120に対して論じた選択肢と同様に、ステップ140で製造される延長鎖状ポリマー中に混合することができる。これにより、2つの混合物の間に添加剤を分配することで、さらなる製造の自由度を提供することができる。
【0042】
図1でステップ150に示されているように、反応混合物が冷却していずれの任意の添加剤もポリマー中に混合された後、水分による副反応及び劣化の可能性を減少させるために、容器から空気を取り除くか又は真空除去するかすることが望ましい。長期の保存が必要な場合は、ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーは、好ましくは、真空にするか又は空気及び水分を追い出し(例えばアルゴン又は窒素ガスにより置換して)、密閉した貯蔵容器に移すことができる。
【0043】
図1に示す方法を続行すると、ステップ160において、延長鎖状ヒドロキシル末端ポリマーは、さらなる別の硬化剤すなわちジアミンと組み合わせる。上で述べたように、ポリ尿素/ウレタンの化学反応においては、反応物は、しばしば二成分系として規定され、第1成分(成分A)は、イソシアナートを含有し、第2成分(成分B)は、通常はアミン又はヒドロキシル基のいずれかである硬化剤を含有する。しかしながら、本発明においては、第1成分は、ステップ110で形成されたウレタンプレポリマーであることを特徴とするが、成分B硬化剤(ステップ160で形成されたもの)は、実は、そのいくらかはアミン基を含有し、そのいくらかはヒドロキシル基を含有する反応物の混合物である。具体的には、この成分B反応性混合物は、1)ステップ140においてジイソシアナートとポリオールとの反応によって形成されたヒドロキシル末端の延長鎖、及び2)ステップ160で添加したジアミンを含有する。
【0044】
ステップ160においてヒドロキシル末端延長鎖状ポリマーと混合されるジアミンは、好ましくはSlagelの505特許に開示されているものと同様に芳香族ジアミンである。ヒドラジンもまた使用することができるが、その速い反応性により、制御が芳香族ジアミンのそれより困難であり得る。好ましい化合物としては、ジエチルトルエン−ジアミン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4−メチレン(ビス−2−クロロ−アニリン)、メチレンジアニリン、メチレンビス(メチルアントラニラート)、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、及びトリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾアートが挙げられ、それらは単独又は組み合わせて使用することができる。ヒドロキシル末端延長鎖状ポリマーとジアミン(1つ又は複数)とを混合するとき、その反応物の混合物は、好ましくは真空下又は窒素若しくはアルゴン等の不活性雰囲気下に保持する。ステップ160においてヒドロキシル末端延長鎖状ポリマー(ステップ140で調製された)に加える芳香族ジアミンの好ましい相対的比率は、約30%のNH:70%のOHから約70%のNH:30%のOHまで、より好ましくは約50%のNH:約50%のOHである。この混合物における過剰のヒドロキシル単位は、最終生成物に対する、硬さ、熱安定性及び耐衝撃特性の喪失をもたらす。過剰のアミン単位は、曇り及び終局生成物の脆性による耐衝撃特性の喪失をもたらす。
【0045】
ステップ160における硬化剤混合物の調製は、反応物特にジアミンの酸化及び黄変を防ぐために酸素の不在中で起こるのが好ましい。さらに、水分がこれらの反応物により閉じ込められる場合は、それは、下で説明するように、さらなる処理の間の望ましくない反応に競合して参加し得る。酸素にさらすのを避けるために、本方法の好ましい態様は、容器を窒素で活発にパージしている間にヒドロキシル末端延長鎖状ポリマーをジアミンと混合することを必要とする。その容器は、次に、成分Bの混合した反応物混合物を保存する前に、残留する空気と水分とを除去するために真空排気することができる。この成分B混合物は、真空下、又は室温の不活性ガス若しくは窒素ガス雰囲気中で、少なくとも数週間は顕著な劣化又は黄変なしで保存することができる。
【0046】
本発明の方法を使用することにより、架橋剤を必要とせずに、脆性のない高い衝撃耐性を有する材料が調製される。例えば、Slagelの505特許においては光学的に透明な製品の物理的性質を高めるためにトリオールが推奨される。本発明の方法においては、架橋剤を場合によりステップ120におけるウレタンプレポリマー又はステップ160の硬化剤混合物のいずれかに加えることができるが、良好な力学的性能を獲得するために上記作用物質の使用を必要とはしない。この任意的な組み込みは、材料調製を単純化し、且つ潜在的にコストも低下して製造設計の一層の自由度を提供する。さらに、それは、少量の架橋剤を組み込むことに伴う実施上の問題、すなわち、加えるのが少なすぎる場合は、それは効き目がないか又は反応混合物中に均一に分布しないかもしれず、ところが、加えるのが多すぎる場合は過剰の架橋剤が急速に材料の粘度を上昇させる可能性があり、最終生成物の脆性の増加を実際に引き起こし得ることを回避する。
【0047】
図1でステップ170に示されているように、ステップ130からのウレタンプレポリマー生成物(すなわち、成分Aプレポリマー)は、次にステップ160からの反応物の混合物(すなわち、成分B硬化剤混合物)と所望の比率で組み合わせ、それらの反応を最終の光学的品質の生成物を得るように触媒により制御する。
【0048】
好ましくは、成分AとBとの組み合わせは空気又は水分にさらされることを抑制して進めるべきである。ステップ160で述べたように、水分がステップ160の反応物混合物に又はこの段階で入り込んだ場合、水を巻き込む競争反応が、本発明の方法の目的とするヒドロキシル:イソシアナートの反応を損なう触媒作用を受けるであろう。水又は湿気との反応は、泡の形成をもたらし、気泡の閉じ込めの原因となり、それが光学部品の化粧品質又は機能品質に悪影響を及ぼし得る。ステップ170における空気暴露及びガスの閉じ込めは、小規模バッチの試料においては、所望の比率の成分と触媒とを組み合わせた後、その容器を真空にすることによって最小にすることができる。別法では、機械化された運搬システムを使用する場合、各成分の液だめに真空をかけることができ、その成分と触媒とをそのとき空気又は水分にさらにさらされる前に結合させることができる。
【0049】
良好な耐衝撃性及び成形面からの取り外しの容易さを示す材料を提供するためには、ステップ170におけるウレタンプレポリマー中のイソシアナート含量の、ステップ160からの硬化剤混合物中のアミンに対する当量比は、イソシアナート1単位当たり約0.85から約1.1のアミン単位、より好ましくは、材料の最適な硬さ及び耐衝撃性のためにはイソシアナート1単位当たり約0.9から約1.0のアミン単位の範囲であるべきである。
【0050】
ステップ170で示したように、成分AとBの化学種の間の反応を制御するために触媒を使用する。その触媒は、光学的に透明で耐衝撃性生成物を得るための、成分B混合物中のヒドロキシル基とステップ110で形成された成分Aのペンダントイソシアナート基の間の反応度を促進するために必須である。触媒により提供される反応の調整なしでは、アミンの反応がヒドロキシルの反応よりも優先されて不透明且つ脆い生成物が得られる。また一方、ジアミンの反応もまた、必要な高い熱安定性、脆さのない高度の硬さ、及び高度の耐衝撃性を有する材料を生み出すために必須である。本発明の硬化剤と触媒との新規な組み合わせは、材料の最終の光学的透明度及び均衡のとれた強さを獲得するために必要な動力学的に好ましいアミンの反応とヒドロキシルの反応の間のより有利な競争を可能にする。
【0051】
本発明の方法のステップ170で使用する触媒は、混合物に望ましくない色(特に黄変)を持ち込まない十分に純粋なものでなければならない。約10ppmから650ppmの触媒濃度が標準的である。適当な触媒としては、スズ、コバルト、及び水銀系等の金属触媒が挙げられ、スズ触媒が、それらの使用の容易さ、安全性及び実績のある効果のために好ましい。単一触媒又は触媒の混合物を使用することができる。スズ触媒の中で最も好ましいのは、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズオキシド、及びジメチルスズカルボキシラートである。第三級アミンもまた追加の触媒として使用することができる。
【0052】
本発明の方法の範囲内で、触媒は、多くの方法で反応工程中に組み込むことができる。湿気及び水が除去されている限り、触媒は、成分A、成分B混合物に含めるか、又は2つの成分を組み合わせるときに加えることができる。ステップ170で成分を組み合わせるときにのみ加える場合は、良好な均質性のために十分な混合を確保するように注意しなければならない。成分A中に(例えば、ステップ120に対して上で論じた添加剤と共に)含める場合は、水とプレポリマー中のイソシアナートとの望ましくない触媒作用を受けた反応を避けるために、細心の注意を払った水の除去が必要である。けれども、好ましくは、触媒(1つ又は複数)は、成分B混合物中に含め、ステップ160でジアミンと共に加えることができる。その成分B混合物は、たとえ触媒を含んでいても、酸素及び湿気がその混合物から除去されている限り延長された保存期間中安定したままである。
【0053】
反応射出成形又は注型を含む様々な製造技術を光学的品質の部品を形成するために使用することができる。1つの好ましい方法としては、参照により本明細書に組み込まれているEvans等の米国特許第6391231号(「Evansの231特許」)に記載されているサイドフィルガスケット付きの向かい合った空間のある成形面の使用が挙げられる。このやり方は、反応混合物をその急速な固化の前に均一に制御しながら型内に分布させるためには特に有利である。さらに、サイドフィルガスケットを使用することにより、光学部品の中若しくは上に配置すべき、付着フィルム、積層物、又はその他の固体インサート若しくは材料と組み合わせて反応材料を制御しながら再現性よく位置決めすることが大いに容易となる。
【0054】
本発明の好ましい態様において、ステップ170の混合物は、既知の光学的品質のポリウレタン系と同様に、約10から50秒以内に硬化を始めることができる。有利なことに、成分A及びB(それぞれ、ステップ130のウレタンプレポリマー、及びステップ160からの硬化剤混合物)の粘度が相対的に低いために、その2つを組み合わせた混合物は、さらなる加熱を必要とせずに型の表面上に均一に流れることができる。これは、複雑な形をした光学部品に対しては望ましい長い流れ時間のために型を加熱するか又はさらなる加熱を削除することにより製造工程を単純化するかいずれかにする製造工程の自由度を可能にする。
【0055】
成分A及びBが一旦組み合わされると、ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物の間の反応が、図1のステップ180に示されているように進み続け、最終の光学材料の形成に導く。本発明は、この硬化のステップに対する著しい工程の自由度を提供する。例えば、Desmodur Wジイソシアナートプレポリマーを使用する場合は、約80℃から約150℃の温度範囲の穏やかな加熱を使用することにより、数時間にわたって材料の完全硬化を促進することができる。ステップ170において材料を組み合わせて数秒以内にその材料は硬化を始めるので、型内で部品を硬化させることも、又はその部品を型から取り出してそれをさらなる硬化加熱及び/又は時間にかけ、一方その型は製造工程に戻すこともできる。これは、成形される形、成形品の必要な精度、及びその他の製造パラメータによって決定することができる別の工程変数である。ポリウレタンの化学反応では一般的であるように物理的性質は、製造後数日間は改良が続く。最高の特性は、一般に7日から14日の室温の熟成後に得られる。
【実施例】
【0056】
典型的な光学部品を、上記の方法を用いて本発明の材料を組み込むことにより調製した。その部品を次に光学的透明度及び耐衝撃性について試験した。これら部品に使用した材料並びにさらなる典型的な材料を下の表1に記載する。
【表1】

【0057】
(実施例1〜5)
ウレタンプレポリマー(成分A)の調製:13,599.8グラムのDesmodur Wを、攪拌器、温度調節器、及び窒素ガスパージを備えた反応器に入れた。その系を、次の反応物を加えるときに熱衝撃を避けるように70℃と85℃の間に保持される温度まで温めた。次に窒素パージと共に攪拌器を始動させた。1,316.6グラムのTone 1278、607.5グラムのCAPA 2302、及び1841.1グラムのTone 32B8を、すべて82℃に予備加熱し、次いで反応器に加えた。反応温度を140℃に到達させ、その時点で熱源を取り外した。反応物の温度が120℃に低下したとき、278.3グラムのTinuvin 328、278.3グラムのLowilite 92、278.3グラムのIrganox 1010、10ppmのExalite 78−13、及び4ppmのSF−8843をその反応器に加えた。反応混合物の温度が71℃まで冷めたとき、その反応器を真空排気した。反応生成物を次いで貯蔵容器に移し、再度真空排気し、窒素でパージし、密閉した。
【0058】
延長鎖状ポリマーの調製:大型の真空適合性容器中で、5580.8gのTone 32B8、423.8gのCAPA 2302、及び739.1gのDesmodur Wを組み合わせた。この混合物を攪拌しながら140℃の温度に加熱し、次いで50℃の温度まで冷却した。
【0059】
硬化剤混合物(成分B)の調製:窒素パージの流れを、調製した延長鎖状ポリマーの容器中に向けた。窒素をパージし、攪拌する間に、5858.5gのEthacure 100LC芳香族ジアミン、及び2.26gのFomrez UL−28、並びに1.13gのDABCO 120スズ触媒をその容器に加えた。触媒をその混合物中に混合するやいなや窒素パージを停止し、その系を真空排気し、密閉した。
【0060】
最終の光学部品の形成の用意ができたところで、望ましい比率のウレタンプレポリマー(成分A)と硬化剤混合物(成分B)との混合物を計量し、活発な窒素ガスパージを備えた反応容器中で組み合わせた。その反応容器を次に真空ベルジャー中で素早く脱気し、成分A及びBの混合物を光学部品用のガラス鋳型に移した。
【0061】
下の実施例1から5に記載の典型的な部品を形成するために、前側の鋳型表面が6ジオプトリ(屈折力の単位、1.53の屈折率に相当)の凹曲面を有しており、後側の鋳型表面が6ジオプトリの凸曲面を有している調節されたガラス鋳型のセットを使用した。両方の鋳型表面をイソプロパノールできれいにし、空気乾燥した。お互いから一定の間隔の鋳型表面を確保し、本発明のポリ尿素/ウレタン材料をその組み立てた鋳型に充填すると、正味の屈折力を持たない2.2mmの厚さのレンズを形成するのに十分である液溜めを生み出すように、例えばEvanceの231特許などに記載されているサイドフィルガスケットを使用した。その鋳型組立て品を50℃に加熱した。
【0062】
ポリ尿素/ウレタン反応性混合物を成形手段(上記の鋳型組立て品)に移すために、加圧運搬システムを使用した。これらの実施例においては、SEMCOガン(PRC−DeSoto International,Inc.、米国アリゾナ州フェニックス)に、組み立てた鋳型中にポリ尿素/ウレタン材料を送るためのサイドフィルの穴の1つにぴったり適合する充填チップを装着させた。所望の比率のウレタンプレポリマー及び硬化剤混合物を混合し、直ちにSEMCOガン中に移した。その混合物の温度は約40℃であった。材料を鋳型中に向けるため砲身に圧力を提供するには窒素を使用した。充填するやいなや、その混合物を、鋳型組立て品中121℃の温度で16.5時間硬化させ、本発明のポリ尿素/ウレタン材料による成形部品を形成した。
【0063】
硬化後、耐衝撃性を評価するため、米国オハイオ州ブランズウィックのICS Laboraroriesにより供給された、ASTM Z87.1高圧衝撃試験の修正法及びそれと関連する試験装置を使用した。レンズの試料を直径55mmに縁取りし、鉄骨フレームの開口部にはめ込み、その開口部上の2つのU型のアームにより固定した。半径1mmの円錐状先端部を有する500gのおもりを様々な高さから成形した部品上に落下させた。部品に観察された損傷を記録した。ASTM試験の規格は、その部品が、50インチからの単一の衝撃を、その部品が複数の破片に壊れるか又はその表面から材料を排出することなく、切り抜けることを要求している。この修正した試験においては、その部品が、所定の高さからの最初の衝撃で損傷を示さなかった場合、同じ部品のさらなる衝撃を実施して残留強度を試験する。さらに、50”を超える高さを連続的に使用してその部品にASTM規格に必要なものよりさらに大きな力を受けさせる。
【0064】
表2により、ウレタンプレポリマー(成分A)及び硬化剤混合物(成分B)の特定の組み合わせに対するアミン対イソシアナートの効果的な比率、並びに得られた部品の光学的性能及び衝撃性能を要約する。
【表2】

【0065】
本発明の範囲内の材料は、眼科用レンズ向けの産業要件を容易に超える高度の硬さ及び耐衝撃性を有する光学部品を製造することができることがこれらの実施例から明らかである。さらに、高度の光学的性能及び力学的性能を広い範囲のアミン対イソシアナート比率にわたって獲得することができるという反応物比率に対する低感度の事実は、本発明の方法の重要な利点を明らかにしている。同様に、ヒドロキシル濃度もまた、変化させることができ、良好な光学的及び物理的特性を得ることができる。
【0066】
(実施例6〜8)
実施例6から8において、ウレタンプレポリマー及び延長鎖状ポリマーは、実施例1から5の中で、上で記載したようにして用意した。しかしながら、これらの実施例においては、硬化剤混合物に加える触媒の量を、最終生成物の光学的及び物理的特性に対する触媒の影響を試験するために、下の表3に示すように改めた。イソシアナート対アミンの比率は、各実験に対して1.0:0.94で一定に保持した。これらの実験に対しては、成分A及びBの混合物は、反応容器から室温のプラスチックの成形用カップに移した。その成形用カップ中の混合物は、脱気し、次いで96℃の温度で硬化して、約2.75”(70mm)の直径及び約1”(25mm)の深さの部品を形成した。これら部品の観察結果を下の表3に提供する。
【表3】

【0067】
これらの例は、本発明の方法により生み出される材料の最適の光学的性能を得るためには触媒の使用が必須であることを明らかにしている。
【0068】
下の実施例9及び10は、成分A及び成分B混合物の両方に、添加剤を組み込む任意のやり方を明らかにし、良好な光学的性能を維持しながら、物理的特性の範囲がある程度拡大することを実証している。さらに、良好な物理的特性は、実施例9におけるようにポリオールの狭い分子量分布、又は実施例10におけるようにずっと拡大した範囲のいずれかを使用して達成することができることをそれらは実証している。実施例9は、わずか750及び1,000の分子量を有するポリオールの混合物を使用している。対照的に、実施例10のポリオールは、分子量が400から4,000に及んでいる。
【0069】
(実施例9)
ウレタンプレポリマー(成分A)の調製:544.7グラムのDesmodur Wを、攪拌器、温度調節器、及び窒素ガスパージを備えた反応器に入れた。その系を、次の反応物を加えるときに熱衝撃を避けるように70℃と85℃の間に保持される温度まで温め、次いで窒素パージと共に攪拌器を始動させた。102.7グラムのTone 2221、及び76.6グラムのTone 32C8を、すべて82℃に予備加熱し、次いで反応器に加えた。反応温度を140℃に到達させ、その時点で熱源を取り外した。反応物の温度が120℃に低下したとき、8.7グラムのTinuvin 328、8.7グラムのLowilite 92、8.7グラムのIrganox 1010、10ppmのExalite 78−13、及び4ppmのSF−8843をその反応器に加えた。反応混合物の温度が71℃まで冷めたとき、その反応器を真空排気した。反応生成物を次いで貯蔵容器に移し、再度真空排気し、窒素でパージし、密閉した。
【0070】
延長鎖状ポリマーの調製:真空適合性容器中で、393.3gのTone 2221、293.4gのTone 32C8、及び52.1gのDesmodur Wを組み合わせた。この混合物を攪拌しながら140℃の温度に加熱し、次いで熱源を取り外した。反応物の温度が120℃まで冷めたところで、3.7gのTinuvin 328、3.7gのLowilite 92、3.7gのIrganox 1010、10ppmのExalite 78−13、及び4ppmのSF−8843をその反応器に加えた。これらの添加剤を組み込む混合物を50℃の温度まで冷ました。
【0071】
硬化剤混合物(成分B)の調製:47.2グラムの延長鎖状ポリマー及び添加剤混合物を窒素パージ及び攪拌器を備えた容器に入れた。窒素をパージし、攪拌する間に、35.5gのEthacure 100LC芳香族ジアミン、及び0.029gのFomrez UL−28、並びに0.027gのDABCO 120スズ触媒をその容器に加えた。触媒をその混合物中に混合するやいなや窒素パージを停止し、その系を真空排気し、密閉した。
【0072】
(実施例10)
実施例9に記載したものと同じウレタンプレポリマーを使用した。
【0073】
延長鎖状ポリマーの調製:真空適合性容器中で、321.4gのTone 2221、239.8gのTone 32C8、24.5gのTone 1278、81.7gのTone 32B8、及び56.5gのDesmodur Wを組み合わせた。この混合物を攪拌しながら140℃の温度に加熱し、次いで熱源を取り外した。反応物の温度が120℃まで低下したところで、4.3gのTinuvin 328、4.3gのLowilite 92、4.3gのIrganox 1010、10ppmのExalite 78−13、及び4ppmのSF−8843をその反応器に加えた。これらの添加剤を組み込む混合物を50℃の温度まで冷ました。
【0074】
硬化剤混合物(成分B)の調製:45.8グラムの延長鎖状ポリマー及び添加剤混合物を窒素パージ及び攪拌器を備えた容器に入れた。窒素をパージし、攪拌する間に、36.3gのEthacure 100LC芳香族ジアミン、及び0.029gのFomrez UL−28、並びに0.027gのDABCO 120スズ触媒をその容器に加えた。触媒をその混合物中に混合するやいなや窒素パージを停止し、その系を真空排気し、密閉した。
【0075】
実施例9及び10の双方に対して、成分A対成分Bの所望の比率を次に計量し、実施例1から5に記載のSEMCOガンを用いて鋳型組立て品中に導入した。表4に、反応条件を列挙し、表2と直接比較されるように得られた部品の光学的及び衝撃性能を要約する。
【表4】

【0076】
これらの結果は、表2の結果と遜色がなく、最適の性能を維持しながら著しい処理の自由度が可能なことを示している。興味深いことに、実施例9及び10は、実施例1から5よりも著しく高い加熱たわみ温度を示し、本発明の方法を使用して良好な範囲の物理的特性が得られることをさらに示唆した。実施例9の生成物は、164℃の加熱たわみ温度を示し、一方実施例10の生成物は、155℃の加熱たわみ温度を示した。これらの高い加熱たわみ温度は、生成した光学部品が過度の熱衝撃又は熱暴露にさらされなければならない場合に有用であり得る。
【0077】
本発明を好ましい材料及び方法のみに関して詳細に開示してきたが、当業者であれば、上記材料に代わるさらなるポリ尿素/ウレタン材料及び方法を本発明の範囲から逸脱することなく実行することができることを理解するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲により特定される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の範囲内で光学材料を製造する好ましい方法及びそれを使用する例をグラフ表示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的品質の耐衝撃性ポリ尿素/ウレタン材料を製造する方法であって、
第1のジイソシアナートを第1のポリオールと反応させてヒドロキシル基1個当たり少なくとも約3個のイソシアナート基の当量比を有するウレタンプレポリマーを形成するステップ、
第2のジイソシアナートを第2のポリオールと反応させてイソシアナート基1個当たり約3個と約8個の間のヒドロキシル基の当量比を有するヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーを形成するステップ、
ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーをジアミンとブレンドして硬化剤混合物を形成するステップ、及び
ウレタンプレポリマーを硬化剤混合物及び触媒(触媒は、ポリ尿素/ウレタン材料を形成するように、硬化剤混合物のヒドロキシル基とウレタンプレポリマーのイソシアナート基との反応を促進するように構成されている)と反応させるステップ
を含む方法。
【請求項2】
ウレタンプレポリマーが、ヒドロキシル基1個当たり約4個と約16個の間のイソシアナート基の当量比を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ウレタンプレポリマーが、ヒドロキシル基1個当たり約8個と約12個の間のイソシアナート基の当量比を有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーが、イソシアナート基1個当たり約3個と約5個の間のヒドロキシル基の当量比を有する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
第1のジイソシアナートが、脂肪族又は脂環式ジイソシアナートを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
脂肪族又は脂環式ジイソシアナートが、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−,1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、又はそれらの混合物を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1のポリオールが、約150と約4,000の間の分子量を有するジオールを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ジオールが、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、カプロラクトンジオール、ポリカーボナートジオール、又はそれらの混合物を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ウレタンプレポリマー中に添加剤をブレンドするステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第2のジイソシアナートが、脂肪族又は脂環式ジイソシアナートを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
脂肪族又は脂環式ジイソシアナートが、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−,1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、又はそれらの混合物を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第2のポリオールが、約90と約4,000の間の分子量を有するジオールを含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第2のポリオールが、1つ又は複数のカプロラクトンジオールを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ジアミンが、芳香族ジアミンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
芳香族ジアミンが、ジエチルトルエン−ジアミン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4−メチレン(ビス−2−クロロ−アニリン)、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、又はそれらの混合物を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
触媒が、ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを合わせた量の約10ppmと約650ppmの間の量で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを触媒の存在下で反応させるステップが、硬化剤混合物中に触媒をブレンドすることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
触媒が金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
金属が、スズ、コバルト、又は水銀である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
触媒が、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズオキシド、ジメチルスズカルボキシラート、又はそれらの混合物を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1のジイソシアナートを第1のポリオールと反応させるステップ、第2のジイソシアナートを第2のポリオールと反応させるステップ、及びヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーをジアミンとブレンドするステップを、すべてその間、第1のジイソシアナート、第1のポリオール、第2のジイソシアナート、第2のポリオール、ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマー、又はジアミンと、酸素又は水との接触を最小限にして行う請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを反応させるステップが、ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とをイソシアナート1単位当たり約0.85から約1.1までのアミン単位の範囲の比率で反応させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを、イソシアナート1単位当たり約0.90から約1.0までのアミン単位の範囲の比率で反応させる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
光学的品質の耐衝撃性ポリ尿素/ウレタン材料を製造する方法であって、
第1のジイソシアナートを第1のポリオールと反応させてヒドロキシル基1個当たり少なくとも約3個のイソシアナート基の当量比を有するウレタンプレポリマーを形成するステップ、
第2のジイソシアナートを第2のポリオールと反応させてイソシアナート基1個当たり約3個と約8個の間のヒドロキシル基の当量比を有するヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーを形成するステップ、
ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーをジアミン及び触媒とブレンドして硬化剤混合物を形成するステップ(触媒は、硬化剤混合物のヒドロキシル基とウレタンプレポリマーのイソシアナート基との反応を促進するように構成されている)、及び
ウレタンプレポリマーを硬化剤混合物と反応させてポリ尿素/ウレタン材料を形成するステップ
を含む方法。
【請求項25】
ウレタンプレポリマーが、ヒドロキシル基1個当たり約4個と約16個の間のイソシアナート基の当量比を有する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ウレタンプレポリマーが、ヒドロキシル基1個当たり約8個と約12個の間のイソシアナート基の当量比を有する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーが、イソシアナート基1個当たり約3個と約5個の間のヒドロキシル基の当量比を有する請求項24に記載の方法。
【請求項28】
第1のジイソシアナートが、脂肪族又は脂環式ジイソシアナートを含む請求項24に記載の方法。
【請求項29】
脂肪族又は脂環式ジイソシアナートが、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、又はそれらの混合物を含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第1のポリオールが、約150と約4,000の間の分子量を有するジオールを含む請求項24に記載の方法。
【請求項31】
ジオールが、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、カプロラクトンジオール、ポリカーボナートジオール、又はそれらの混合物を含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ウレタンプレポリマー中に添加剤をブレンドするステップをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項33】
第2のジイソシアナートが、脂肪族又は脂環式ジイソシアナートを含む請求項24に記載の方法。
【請求項34】
脂肪族又は脂環式ジイソシアナートが、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、又はそれらの混合物を含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
第2のポリオールが、約90と約4,000の間の分子量を有するジオールを含む請求項24に記載の方法。
【請求項36】
第2のポリオールが、1つ又は複数のカプロラクトンジオールを含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ジアミンが芳香族ジアミンを含む請求項24に記載の方法。
【請求項38】
芳香族ジアミンが、ジエチルトルエン−ジアミン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4−メチレン(ビス−2−クロロ−アニリン)、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、又はそれらの混合物を含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
触媒が、ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを合わせた量の約10ppmと約650ppmの間の量で存在する請求項24に記載の方法。
【請求項40】
触媒が金属を含む請求項24に記載の方法。
【請求項41】
金属が、スズ、コバルト、又は水銀である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
触媒が、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズオキシド、ジメチルスズカルボキシラート、又はそれらの混合物を含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
第1のジイソシアナートを第1のポリオールと反応させるステップ、第2のジイソシアナートを第2のポリオールと反応させるステップ、及びヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマーをジアミンとブレンドするステップを、すべてその間、第1のジイソシアナート、第1のポリオール、第2のジイソシアナート、第2のポリオール、ヒドロキシル末端の延長鎖状ポリマー、又はジアミンと、酸素又は水との接触を最小限にして行う請求項24に記載の方法。
【請求項44】
ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを反応させるステップが、ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とをイソシアナート1単位当たり約0.85から約1.1までのアミン単位の範囲の比率で反応させることを含む請求項24に記載の方法。
【請求項45】
ウレタンプレポリマーと硬化剤混合物とを、イソシアナート1単位当たり約0.90から約1.0までのアミン単位の範囲の比率で反応させる請求項44に記載の方法。
【請求項46】
光学的品質の高度に耐衝撃性の非エラストマー性ポリ尿素/ウレタンであって、
第1のジイソシアナートと第1のポリオールとの反応によって形成されるウレタンプレポリマー、
ヒドロキシル末端延長鎖状ポリマー及びジアミンを含む(ヒドロキシル末端延長鎖状ポリマーは、第2のジイソシアナートと第2のポリオールとの反応によって形成されている)硬化剤混合物、及び
硬化剤混合物のヒドロキシル基とウレタンプレポリマーとの反応を促進するように構成されている触媒
の反応生成物を含むポリ尿素/ウレタン。
【請求項47】
請求項1に記載の方法によって製造した材料を含む光学的品質の耐衝撃性部品。
【請求項48】
請求項24に記載の方法によって製造した材料を含む光学的品質の部品。
【請求項49】
請求項46に記載の材料を含む光学的品質の部品。
【請求項50】
固体インサートをさらに含む請求項47に記載の光学的品質の耐衝撃性部品。
【請求項51】
フィルムをさらに含む請求項47に記載の光学的品質の耐衝撃性部品。
【請求項52】
積層品をさらに含む請求項47に記載の光学的品質の耐衝撃性部品。
【請求項53】
固体インサートをさらに含む請求項48に記載の光学的品質の耐衝撃性部品。
【請求項54】
フィルムをさらに含む請求項48に記載の光学的品質の耐衝撃性部品。
【請求項55】
積層品をさらに含む請求項48に記載の光学的品質の耐衝撃性部品。

【図1】
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【公表番号】特表2006−514135(P2006−514135A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568873(P2004−568873)
【出願日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/041729
【国際公開番号】WO2004/076518
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(500323340)ヤンガー・マニュファクチャリング・カンパニー・ドゥーイング/ビジネス/アズ・ヤンガー・オプティックス (4)
【氏名又は名称原語表記】YOUNGER MFG.CO.d/b/a YOUNGER OPTICS
【Fターム(参考)】