説明

ポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング

イソシアネートを含む第1成分とアミンを含む第2成分との反応生成物であって、その第1成分が、イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンをさらに含み、かつ/またはその第2成分が、アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルをさらに含む該反応生成物を含むポリ尿素/ポリチオ尿素組成物が開示される。そのコーティングを使用する方法およびそれをコーティングした基材もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年5月4日に出願され、係属中のシリアル番号11/744259を有する米国特許出願(この出願は、2006年5月5日に出願された米国仮特許出願第60/797,985号に対する優先権を主張している)の一部継続出願(CIP)であり、これらの出願はその全体を参考として本明細書により援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ポリ尿素およびポリチオ尿素を含むコーティング組成物を対象とする。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ポリ尿素を含むコーティング組成物は、多種多様な産業、例えば、自動車、船艇、航空機、工業製品、建設、軍事、スポーツ用品を含めたレクリエーション装置等で使用されている。これらの産業においてはコーティングされる基材または製品に望ましい特性を与えるコーティング組成物を開発するために相当な努力がなされてきた。例えば、コーティングは、腐食、磨耗、衝撃、薬品、紫外線、火炎、熱、および/またはその他の環境暴露による損傷に対して保護するために使用される。これらの機能特性に加えて、コーティングは、装飾目的に対しても使用することができる。
【0004】
硫黄含有化合物は、それらの架橋した際の燃料耐性によって航空宇宙産業のシーラントでの使用に好適であることが知られている。例えば、ポリスルフィドシーラントは、高い引張強度、高い引裂強度、耐熱性および強い紫外線に対する耐性を提供することができる。かかるシーラントは、また燃料に対する耐性を提供し、燃料にさらしたときにそれらの接着性を維持することができる。
【0005】
ポリ尿素は、アミンとイソシアネートとを反応させることによって一般に形成される。架橋剤または「硬化剤」としてのアミン、例えばポリアミンの使用は、周知である。例えば、アミンはイソシアネートと架橋して尿素化合物を形成することが知られている。同様に、硫黄含有化合物はイソシアネートと架橋してチオ尿素化合物を形成することが知られている。ポリ尿素コーティング中の硫黄含有化合物の使用は、しかし、該硫黄含有化合物の高い粘度および悪臭のために困難であった。しかし、組み合わせれば最適な特性の提供を望むことができよう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、コーティング組成物であって、イソシアネートおよびイソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む第1成分とアミンを含む第2成分とを含む反応混合物から形成されるポリ尿素およびポリチオ尿素を含むコーティング組成物を対象とする。
【0007】
本発明は、また、コーティング組成物であって、イソシアネートを含む第1成分とアミンおよびアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを含む第2成分とを含む反応混合物から形成されるポリ尿素およびポリチオ尿素を含むコーティング組成物を対象とする。
【0008】
本発明は、また、コーティング組成物であって、イソシアネートおよびイソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む第1成分とアミンおよびアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを含む第2成分とを含む反応混合物から形成されるポリ尿素およびポリチオ尿素を含むコーティング組成物を対象とする。
【0009】
本発明は、さらに、そのようなコーティングを用いて基材をコーティングする方法、およびそれによってコーティングされた基材を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、イソシアネートを含む第1成分(「イソシアネート成分」)、アミンを含む第2成分(「アミン成分」)、およびその第1および/または第2成分中の硫黄含有化合物を含む反応混合物から形成されるポリ尿素およびポリチオ尿素を含むコーティング組成物を対象とする。その第1成分は、イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンをさらに含み、かつ/またはその第2成分は、アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルをさらに含む。そのアミン成分は、それがイソシアネートと反応または硬化してポリ尿素および/またはポリチオ尿素を形成するので本明細書では「硬化剤」と称され得る。一定の実施形態において、イソシアネート基の当量対アミン/メルカプタン基の当量の比は1より大きく、そのイソシアネート成分とそのアミン成分とは1:1の体積混合比で基材に塗布することができる。用語「メルカプタン」およびその変異体と「チオール」およびその変異体とは本明細書では互換的に使用される。
【0011】
本明細書で使用される用語の「イソシアネート」としては、反応性基、例えばヒドロキシル、メルカプタンまたはアミン官能基等と共有結合を形成することができるブロック化されていない化合物が挙げられる。従って、イソシアネートは、当業者には理解されるであろう「遊離イソシアネート」と呼ぶことができる。非限定の代替実施形態において、本発明の該イソシアネートは、1つのイソシアネート官能基(NCO)を含む単官能性であり得るか、または本発明で使用される該イソシアネートは、2つ以上のイソシアネート官能基(複数NCO)を含む多官能性であり得る。
【0012】
本発明において使用するのに適するイソシアネートは多数あり、変化に富み得る。かかるイソシアネートとしては、当技術分野で既知であるものを挙げることができる。適当なイソシアネートの限定されない例としては、単量体のおよび/または重合体のイソシアネートを挙げることができる。ポリイソシアネートは、モノマー、プレポリマー、オリゴマー、またはそれらのブレンドから選ぶことができる。一実施形態において、該ポリイソシアネートは、C〜C20の直鎖状、分枝状、環状、芳香族、またはそれらのブレンドであり得る。
【0013】
本発明での使用に適するイソシアネートとしては、以下に限定はされないが、3,3,5−トリメチル−5−イソシアナート−メチル−シクロヘキシルイソシアネートであるイソホロンジイソシアネート(IPDI);水素化材料、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)等;混合アラルキルジイソシアネート、例えば、テトラメチルキシリルジイソシアネート、OCN−C(CH−CC(CH−NCO等;ポリメチレンイソシアネート、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7−ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートおよび2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート等;およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0014】
本発明で使用するための芳香族イソシアネートの限定されない例としては、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン2,4−ジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、アルキル化ベンゼンジイソシアネート、メチレン介在芳香族ジイソシアネート、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のアルキル化類似体を含む4,4’−異性体(MDI)、重合体メチレンジフェニルジイソシアネート等およびそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0015】
限定されない実施形態において、ポリイソシアネートモノマーを使用することができる。ポリイソシアネートモノマー(すなわち、プレポリマーの調製からの残余の遊離モノマー)は、ポリ尿素/ポリチオ尿素組成物の粘度を低下させることができ、それによりその流動性を改良し、そのポリ尿素/ポリチオ尿素コーティングのあらかじめ塗布されたコーティングおよび/または未コーティングの基材に対する改良された接着性を与えることができると考えられる。例えば、基材にあらかじめ塗布されているコーティングはイソシアネートと反応する官能基(例えば、ヒドロキシ基)を含むことができ、それによりこのコーティングの上に塗布される本発明のポリ尿素/ポリチオ尿素組成物に対するこのコーティングの接着性を高める。より低い粘度のポリ尿素/ポリチオ尿素組成物は、また、より高い粘度を有する類似の組成物と比較して長時間にわたって「流動性を有する」状態のままでいることができる。本発明の代替実施形態においては、該イソシアネート成分の少なくとも1重量パーセント、または少なくとも2重量パーセント、または少なくとも4重量パーセントが、少なくとも1つのポリイソシアネートモノマーを構成する。
【0016】
本発明のさらなる実施形態において、該イソシアネートとしては、以下に限定はされないが、ダイマー、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン等、トリマー、例えば1,6−ヘキサンジイソシアネートのビウレットおよびイソシアヌレートおよびイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート等、アロホネートならびに重合体のオリゴマーを含めたオリゴマー状のポリイソシアネートを挙げることができる。変性ポリイソシアネートも使用することができ、以下に限定はされないがカルボジイミドおよびウレトジオン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。適当な材料としては、限定なしで、Pittsburgh、PAのBayer CorporationからDESMODURの名称で入手できるものが挙げられ、DESMODUR N 3200、DESMODUR N 3300、DESMODUR N 3400、DESMODUR XP 2410、DESMODUR XP 2580等が挙げられる。
【0017】
本明細書で用いる「イソシアネートプレポリマー」としては、ポリアミン、反応性基を有する硫黄含有化合物および/またはその他のポリオール等のイソシアネート反応性基とあらかじめ反応させたポリイソシアネートが挙げられる。適当なポリイソシアネートとしては、本明細書で既に開示したものが挙げられる。適当なポリアミンは、多数あり、当技術分野で既知の多種多様なものから選択することができる。適当なポリアミンの例としては、以下に限定はされないが、第一級および第二級アミン、ならびにそれらの混合物、例えば本明細書に掲げられている任意のものが挙げられる。アミン末端のポリ尿素も使用することができる。第三級アミン官能基を含むアミンは、そのアミンが少なくとも2つの第一級および/または第二級アミノ基をさらに含むことを条件として使用することができる。適当なポリオールは、多数あり、当技術分野で既知の多種多様なものから選択することができる。適当なポリオールの例としては、以下に限定はされないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ尿素ポリオール(例えば、アミノ官能ポリ尿素のヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートとのマイケル反応生成物)、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリビニルアルコール、ペンダントヒドロキシル基を有する不飽和モノマーの付加重合体、例えばヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートを含むもの等、アリルアルコールおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0018】
一定の実施形態において、該イソシアネートとしては、イソシアネートプレポリマーが挙げられ、他の実施形態においては、該イソシアネートとしてはイソシアネートプレポリマーおよび1つまたは複数のさらなるイソシアネート、例えば1つまたは複数の上記のポリイソシアネート等が挙げられる。
【0019】
上記のように、本組成物のポリ尿素/ポリチオ尿素は、イソシアネート成分およびアミン成分を含む反応混合物から形成される。
【0020】
本発明のアミン成分の中での使用に適するアミンは、多種多様な既知のアミン、例えば、少なくとも2つの官能基を有するジ、トリ、またはそれ以上の官能性ポリアミンおよびそれらの混合物等のポリアミンを含めた第一級および第二級アミンおよびそれらの混合物から選択することができる。使用される1つのアミンまたは複数のアミンは、芳香族または脂環式等の脂肪族またはそれらの混合物であり得る。適当なモノアミンとしては、以下に限定はされないが、式R−NHであり、Rが直鎖または分枝したアルキル基、アリール−アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表すことができる炭化水素基である第一級アミンが挙げられる。適当な脂肪族モノおよびポリアミンのその他の例としては、以下に限定はされないが、エチルアミン、異性体のプロピルアミン、ブチルアミン(例えば、ブチルアミン、イソブチルアミン、s−ブチルアミン、およびt−ブチルアミン)、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン(DYTEK EP、Invista)、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(DYTEK A、Invista)、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,3−および/または1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル−シクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジアミン、2,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジジシクロヘキシルメタン(PACM−20、Air Products)および3,3’−ジアルキル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(例えば、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(DIMETHYL DICYKANまたはLAROMIN C260、BASF;ANCAMINE 2049、Air Products)および3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等)、2,4−および/または2,6−ジアミノトルエンおよび2,4’−および/または4,4’−ジアミノジフェニルメタン、またはそれらの混合物が挙げられる。さらなる適当なアミンとしては、以下に限定はされないが、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、t−オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、3−(シクロヘキシルアミン)プロピルアミン、3,3’−[1,4−ブタンジイルビス]−1−プロパナミン、および例としてHuntsman Corporationから市販されているJEFFAMINE D−230、JEFFAMINE D−400、JEFFAMINE D−2000、およびJEFFAMINE D−4000が挙げられる脂肪族に結合した第一級アミノ基を有するジアミノ官能性ポリエーテルアミンがある。当然のことながら、それがヒンダードアミンである場合、そのアミンとイソシアネートとの間の反応時間はゆっくりであり得る。これによってより長い処理時間が望まれるような状況においてより長いポットライフまたは作業過程時間が与えられる。
【0021】
一定の実施形態において該ポリアミンはトリアミンである。適当なトリアミンの例としては、ジプロピレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンおよび脂肪族に結合した第一級アミノ基を有するトリアミノ官能性ポリエーテルポリアミン(Huntsman CorporationによるJEFFAMINE T−403、JEFFAMINE T−3000、JEFFAMINE T−5000)が挙げられる。その他の実施形態において、該アミンはテトラアミンまたはその他のより高官能性のアミンであり得る。
【0022】
該アミン成分は、アミン/(メタ)アクリレートオリゴマー反応生成物、および/または1つまたは複数のその他のアミン硬化剤であり得る。本明細書で使用されるとき、当業者には当然のように、「(メタ)アクリレート」および同様の用語は、アクリレートおよびそれに対応するメタクリレートの両方を意味する。例えば、該第2成分は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/611,979号に記載されているもののような、ポリアミン、ポリ(メタ)アクリレート、およびモノ(メタ)アクリレートまたはモノアミンの反応生成物である1つまたは複数のアミン;参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/611,988号に記載されているもののような、アミン、(メタ)アクリレートおよびマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルの反応生成物である1つまたは複数のアミン;参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/611,982号に記載されているもののような、ポリアミンおよびモノ(メタ)アクリレートの反応生成物である1つまたは複数のアミン;参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/611,984号に記載されているもののような、モノアミンおよび(メタ)アクリレートの反応生成物である1つまたは複数のアミン;および/または参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/611,986号に記載されているもののような、トリアミンおよびマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルの反応生成物である1つまたは複数のアミンであり得る。
【0023】
本組成物は、上記のように、その他のアミン、例えば本明細書に列挙されている任意のポリアミンまたはそれらの組合せを含むがそれらには限定されない当技術分野で既知であるもの等をさらに含むことができる。その他のアミンとしては、第二級の脂環式ジアミン、例えば、JEFFLINK 754(Huntsman Corporation、Houston、TX)およびCLEARLINK 1000(Dorf−Ketal Chemicals、LLC)等、アスパラギン酸エステル官能性アミン、例えば、DESMOPHEN NH1220、DESMOPHEN NH1420、およびDESMOPHEN NH1520(Bayer Corporation)のようなDESMOPHENの名称のもとで市販されているもの等、その他のアスパラギン酸エステル官能性材料、例えば、そのような材料の例としてはジプロピレントリアミンとマレイン酸ジエチルとの付加物、ジプロピレントリアミンとマレイン酸ジブチルとの付加物、ビス−ヘキサメチレントリアミンのマレイン酸ジエチルとの付加物、ビス−ヘキサメチレントリアミンのマレイン酸ジブチルとの付加物等があるジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、およびビス−ヘキサメチレントリアミンのマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルとの反応生成物を含むがこれらに限定されないマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルとの反応の前に少なくとも1つの第二級アミノ基を含むトリアミンの反応生成物が挙げられる。ポリオキシアルキレンアミンもまた適切である。ポリオキシアルキレンアミンは、例えばプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物から生じた主鎖に結合している2つ以上の第一級または第二級アミノ基を含む。かかるアミンの例としては、限定はされないが、JEFFAMINE D−230、D−400、D−2000、HK−511、ED−600、ED−900、ED−2003、T−403、T−3000、T−5000、SD−231、SD−401、SD−2001、およびST−404(Huntsman Corporation)等のJEFFAMINEの名称のもとで市販されているものが挙げられる。かかるアミンは、200から7500までの範囲のおおよその分子量を有する。
【0024】
本組成物中に含めることができるその他の適当な第二級アミンは、第一級アミン官能基を含む材料のアクリロニトリルとの反応生成物である。適当なアミンとしては第一級アミノ官能基を含む本明細書に列挙されている任意のポリアミンが挙げられる。かかる材料の1例は、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとアクリロニトリルとの付加物である。市販材料の例は、POLYCLEAR 136(Hansen Group LLC)の名称のもとで販売されているイソホロンジアミンとアクリロニトリルとの付加物である。
【0025】
使用できるその他のアミンは、第一級ポリアミンのモノまたはポリエポキシとの付加物であり、かかる材料の例は、イソホロンジアミンのCARDURA E10P(Hexion Speciality Chemicals,Incから市販)との付加物である。
【0026】
一定の実施形態において、該組成物の第2成分、および/または該成分それ自体は、実質的に第一級アミン官能基(未反応の第一級アミノ基)を含まない。「第一級アミン官能基を実質的に含まない」等の表現は、理論的には第一級アミン官能基はないが、純粋に偶発的であるいくらかの第一級アミン官能基、すなわちさもなければ第二級アミン官能性でありおよび/または反応しなかった微量の第一級アミン官能性であるアミン中の不純物が存在し得ることを意味する。
【0027】
上記のように、本組成物の第1および/または第2成分は、硫黄含有化合物をさらに含む。本明細書で用いられる、「硫黄含有化合物」という表現は、以下に限定はされないが、チオール、ポリチオール、チオエーテル、ポリチオエーテルおよびポリスルフィドを含めた少なくとも1つの硫黄原子を有する任意の化合物を意味する。本明細書で用いる「チオール」とはチオールまたはメルカプタン基、すなわち「SH」基を有する化合物を意味する。「ポリチオール」とは、1つより多いSH基を有する例えばジチオールまたはより高い官能性のチオール等の化合物を意味する。そのような基は、一般的には末端基および/またはペンダント基であり、そのためそれらはその他の官能基と反応性のある活性水素を有する。「チオエーテル」または「ポリチオエーテル」は、ポリマーの主鎖内に活性水素の基を含有しない、すなわち、それらはいずれかの側で別の硫黄原子、炭素原子等に結合している1つまたは複数の硫黄原子をそれぞれ含有する化合物を意味する。「ポリチオール」は、末端および/またはペンダントの硫黄(−SH)および非反応性の硫黄原子(−S−)の両方を含むことができる。かくして、用語「ポリチオール」は、一般に「ポリチオエーテル」も同様に含む。適当なポリチオールとしては、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,009,032号に開示されているものが挙げられる。本発明に従って使用されるいずれの硫黄含有化合物も、以下に限定はされないが、ヒドロキシル官能基およびエポキシ官能基を含めた付加的な官能基をさらに含むことができる。
【0028】
一定の実施形態において、該硫黄含有化合物は、以下に限定はされないが、アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを含むことができる。本明細書で使用される「アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテル」という表現は、1つまたは複数のアミン官能基および/または1つまたは複数のヒドロキシ官能基を含有するポリチオエーテルを意味する。本発明の一定の実施形態において、該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、少なくとも1つ、場合によっては2つの第一級アミン基、少なくとも1つの、場合によっては2つの第二級アミン基、および少なくとも1つの、場合によっては2つのヒドロキシ基を含む。
【0029】
本発明の一定の実施形態で利用されるアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、さまざまな方法のどれかによって製造することができる。一定の実施形態において、該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、エポキシ官能性ポリチオエーテルから誘導される。本明細書で用いられる「エポキシ官能性ポリチオエーエテル」という表現は、ポリチオエーテルおよび1つまたは複数のエポキシ官能基を含む化合物を意味する。一定の実施形態において、該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、化学構造(I):
【0030】
【化1】

であって、ここでR21が、C2〜10n−アルキレン基、C2〜6n−アルキレン基等;C2〜6分枝アルキレン基、例えばメチルまたはエチル等のアルキル基であり得る1つまたは複数のペンダント基を有するC3〜6分枝アルキレン基等;アルキレンオキシ基;C6〜8シクロアルキレン基;C6〜10アルキルシクロアルキレン基;複素環基;または
【0031】
【化2】

(ただし、sは、2から6までの範囲の値を有する整数であり、qは、1から5までの範囲の値を有する整数であり、rは、2から10までの範囲の値を有する整数であり、Rは水素またはメチルであり、Xは、O、S、または−NR−を意味し、Rはアルキル基を意味する)を意味し、各R22が二価の結合基、例えば、3個から20個までの炭素原子を含有するアルキレンまたはオキシアルキレンである化学構造を含むエポキシ官能性ポリチオエーテルから誘導される。
【0032】
一定の実施形態において、化学構造(I)の中のR21は、少なくとも2つのチオール基、例えば化学構造(II):
【0033】
【化3】

(ただし、Rは、化学構造(I)でR21について上で定義したものと同じである)を有する化合物、モノマー、および/またはポリマーから誘導される。
【0034】
本発明の一定の実施形態において利用される該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを製造するために使用されるエポキシ官能性ポリチオエーテルの調製用に使用するための適当なジチオールとしては、ジチオール化合物である化学構造(II)の化合物が挙げられる。一定の実施形態において、そのようなジチオールとしては、Rが、C2〜6n−アルキレン基であるような化合物、すなわち、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオールまたは1,6−ヘキサンジチオールが挙げられる。
【0035】
その他の適当なジチオールとしては、Rが、例えば、メチルまたはエチル基であり得る1つまたは複数のペンダント基を有するC3〜6分枝アルキレン基であるような化合物が挙げられる。分枝アルキレンRを有する適当な化合物としては、1,2−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオールおよび1,3−ジチオ−3−メチルブタンが挙げられる。その他の有用なジチオールとしては、Rが、C6〜8シクロアルキレンまたはC6〜10アルキルシクロアルキレン基であるもの、例えば、ジペンテンジメルカプタンおよびエチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)が挙げられる。
【0036】
さらなる適当なジチオールは、炭素主鎖中の1つまたは複数のへテロ原子置換基を含み、すなわち、Xが、O、Sまたはその他の二価のヘテロ原子基;第二級または第三級アミン基、すなわち、Rが水素またはメチルである−NR−;あるいは別の置換三価のヘテロ原子であるジチオールである。一定の実施形態において、Xは、OまたはSであり、従って、Rは、−[(−CHR−)−O−]−(−CHR−)−または−[(−CHR−)−S−]−(−CHR−)−である。一定の実施形態において、添え字sおよびrは等しく、ある場合には両方とも2の値を有する。このタイプの典型的なジチオールとしては、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(s,r=2、q=1、X=S);ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(s,q,r=2、X=O);および1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(s,r=2、q=1、X=O)が挙げられる。炭素主鎖中のヘテロ原子置換基とメチル等のペンダントアルキル基の両方を含むジチオールを採用することも可能である。かかる化合物としては、メチル置換DMDS、例えばHS−CHCH(CH)−S−CHCH−SH、HS−CH(CH)CH−S−CHCH−SH等、およびジメチル置換DMDS、例えばHS−CHCH(CH)−S−CH(CH)CH−SHおよびHS−CH(CH)CH−S−CHCH(CH)−SH等が挙げられる。必要に応じて化学構造(II)の2つ以上の異なるジチオールを使用することもできる。
【0037】
化学構造(I)を有するエポキシ官能性ポリチオエーテルの一定の実施形態において、R21は、C2〜6n−アルキレン基、例えば、1,2−エチレンジチオール、1,3−プロピレンジチオール、1,4−ブチレンジチオール、1,5−ペンチレンジチオール、または1,6−ヘキシレンジチオールであり得る。その他の実施形態において、化学構造(I)中のR21は、1つまたは複数のペンダント基を有するC3〜6分枝アルキレン基、例えば、1,2−プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、2,3−ブチレンジチオール、1,3−ペンチレンジチオール、および1,3−ジチオ−3−メチルブチレンであり得る。一定の実施形態において、R21は、C6〜8シクロアルキレンまたはC6〜10アルキルシクロアルキレン基、例えば、ジペンチレンジメルカプタン、およびエチルシクロヘキシレンジチオール(ECHDT)であり得る。
【0038】
一定の実施形態において、本発明の該組成物中に含まれているアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、例えば、ジビニルエーテルまたはジビニルエーテルの混合物を過剰のジチオールまたはジチオールの混合物と反応させることによって順に調製されるエポキシ官能性ポリチオエーテルから誘導される。一定の実施形態においては、化学構造(II)を有する(n+1)モルのポリチオールまたは化学構造(II)を有する少なくとも2つのポリチオールの混合物を、化学構造(III):
【0039】
【化4】

を有する(n)モルのポリビニルエーテルまたは化学構造(III)を有する少なくとも2つの異なる化合物の混合物と触媒の存在下で反応させる。化学構造(III)において、Rは、メチレン;C2〜10n−アルキレン基、例えばC2〜6n−アルキレン基等;C2〜6分枝アルキレン基、例えばC3〜6分枝アルキレン基等;C6〜8シクロアルキレン基;C6〜14アルキルシクロアルキレン、例えばC6〜10アルキルシクロアルキレン等;複素環基;または
【0040】
【化5】

(ただし、s、q、r、RおよびXは、化学構造(I)において上で定義したものと同じである)を意味し、mは、0から50までの範囲の値を有する有理数、例えば0〜10または1〜10である。この方法は、チオール末端二官能性ポリチオエーテルを提供する。
【0041】
化学構造(III)の化合物は、ジビニルエーテルである。ジビニルエーテルそれ自体(m=0)を使用することができる。他の適当なジビニルエーテルとしては、少なくとも1つのオキシアルキレン基、例えば1個から4個までのオキシアルキレン基を有するような化合物(すなわち、mが1から4までの整数であるような化合物)が挙げられる。一定の実施形態において、mは2から4までの整数である。適当なポリチオエーテルを製造するのに市販されているジビニルエーテル混合物を使用することも可能である。そのような混合物は、1分子当りのアルコキシ単位の数に対する平均値が非整数であることを特徴とする。従って、化学構造(III)におけるmもまた、0と10の間、例えば1と10の間、または場合によっては1と4の間、例えば2と4の間の非整数の有理値をとり得る。
【0042】
典型的なジビニルエーテルとしては、Rが、C2〜6n−アルキレンまたはC2〜6分枝アルキレンであるような化合物、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(R=エチレン、m=1);ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(R=ブチレン、m=1);ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(R=ヘキシレン、m=1);ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(R=エチレン、m=2);トリエチレングリコールジビニルエーテル(R=エチレン、m=3);テトラエチレングリコールジビニルエーテル(R=エチレン、m=4)およびポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル等が挙げられる。一定の実施形態において、該ポリビニルエーテルモノマーは、アルキレン基、ヒドロキシル基、アルケンオキシ基、およびアミン基から選択される1つまたは複数のペンダント基をさらに含むことができる。有用なジビニルエーテルブレンドとしては、「PLURIOL(登録商標)」タイプのブレンド例えばR=エチルおよびm=3.8であるPLURIOL(登録商標)E−200ジビニルエーテル(BASFから市販されている)、ならびに「DPE」ポリマーブレンド、例えばDPE−2およびDPE−3(International Specialty Products、Wayne、N.J.から市販されている)が挙げられる。
【0043】
がC2〜6分枝アルキレンである有用なジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることによって調製することができる。このタイプの典型的な化合物としては、Rがアルキル置換メチレン基、例えば、−CH(CH)−またはアルキル置換エチレン、例えば−CHCH(CH)−である化合物が挙げられる。
【0044】
その他の有用なジビニルエーテルとしては、Rが、ポリテトラヒドロフリル(ポリ−THF)またはポリオキシアルキレンであり、場合によって約3のモノマー単位の平均を有する化合物が挙げられる。
【0045】
場合によっては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のトリビニルエーテルモノマー、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等のテトラ官能性ビニルエーテルモノマー、およびそれらの混合物を使用することができる。
【0046】
化学構造(III)の2つ以上の化合物を使用することができる。例えば、一定の実施形態において、化学構造(II)の2つの化合物と化学構造(III)の1つの化合物、式構造(II)の1つの化合物と化学構造(III)の2つの化合物、化学構造(II)と化学構造(III)の2つの化合物、および1つまたは両方の化学構造の2つより多い化合物を、さまざまなポリチオエーテルを製造するために使用することができ、すべてのそのような化合物の組合せが本発明で使用するのに適しているものと推測される。
【0047】
上で示したように、ペンダントアルキル基、例えばペンダントメチル基を有する化学構造(II)および(III)の化合物が本発明において有用であるが、ペンダントメチルまたはその他のアルキル基のない化学構造(II)および(III)の化合物も本発明での使用に適するポリチオエーテルを提供することができる。
【0048】
化学構造(II)と(III)の化合物の間の反応は、時々フリーラジカル触媒による触媒作用を受ける。適当なフリーラジカル触媒としては、アゾ化合物、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)等のアゾビスニトリル化合物;過酸化ベンゾイルおよび過酸化t−ブチル等の有機過酸化物;および類似のフリーラジカル発生剤が挙げられる。その反応は、また、ベンゾフェノン等の光増感剤の使用有りまたは無しのいずれかで紫外線を照射することによって達成することもできる。
【0049】
化学構造(II)を有するポリチオールを調製するためのジチオールとポリビニルエーテルの間の反応もまた、米国特許第5,912,319号に記載されている。
【0050】
化学構造(I)において、R22は、二価の連結基である。一定の実施形態において、R22は、化学構造(IV):
【0051】
【化6】

(式中、R22は、例えばオレフィン基等のチオールと反応する基を含む)を有するモノエポキシドから誘導することができる。そのオレフィン基は、3個から20個までの炭素原子、例えば3個から5個までの炭素原子を有するアルキレン基またはオキシアルキレン基であり得る。一定の実施形態において、化学構造(IV)を有するモノエポキシドとしては、アリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、1,2−エポキシド、ブタジエンモノエポキシド、イソプレンモノエポキシド、およびリモネンモノエポキシドが挙げられる。
【0052】
一定の実施形態においては、それ故、本発明の組成物に含まれる該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、ジチオール、ジオレフィン、およびモノエポキシオレフィンの反応生成物であるエポキシ官能性ポリチオエーテルから誘導され、次の化学構造(V):
【0053】
【化7】

を有しており、式中、R21およびR22は、化学構造(I)について上で記したものと同じであり、pは、2から6までの整数であり、mは、0から50までの範囲の値を有する有理数、例えば0〜10または1〜10であり、nは、1から60までの整数、例えば1〜10、場合によっては2であり、各R23は、二価の連結基である。
【0054】
適当なエポキシ官能性ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto International,Inc.、Burbank、CaliforniaからPermapol(登録商標)L−5534の商標のもとで市販されている。
【0055】
一定の実施形態において、本発明の一定の実施形態で使用される該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、前記タイプの1つまたは複数のエポキシ官能性ポリチオエーテルを過剰の1つまたは複数のポリアミンと反応させることによって調製される。かくして、一定の実施形態においては、例えば、(n)モルの1つまたは複数のエポキシ官能性ポリチオエーテルを、(>n)モルの1つまたは複数の1分子当り2つ以上のアミン基を含むポリアミンと反応させる。
【0056】
本発明の一定の実施形態で使用される該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルの製造で使用するために適するポリアミンは、多数あって幅広く変化し得る。かかるポリアミンとしては、当技術分野で既知のものを挙げることができ、かつ、限定はされないが、本明細書で既に開示した任意のポリアミンが挙げられる。
【0057】
前記から理解されようが、一定の実施形態において、本発明の該組成物は、化学構造(VI):
【0058】
【化8】

(式中、R21、R22、R23、p、mおよびnは、化学構造(V)に関して上で定義したものと同じであり、Yは、アミン基含有部分、場合によって1つまたは複数の芳香環を含む第一級アミン基含有部分である)のアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを含む。
【0059】
一定の実施形態において、上記の該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、室温で液体である。その上、一定の実施形態において、前記のアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、ASTM D−2849 §79〜90に従い、Brookfield CAP2000粘度計を使用し、約25℃の温度および760mmHgの圧力で測定して、100%固形分において、10ポアズ以下等50ポアズ以下の粘度を有する。前記範囲内の任意のエンドポイントを使用することができる。
【0060】
一定の実施形態において、上記の該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、その分子量を、ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定して、1モル当り500〜2000グラム、例えば1モル当り1200〜1300グラムの数平均分子量を有する。前記範囲内の任意のエンドポイントを使用することができる。
【0061】
本明細書における実施例は、本発明での使用に適するアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを作製する適切な方法をさらに説明する。
【0062】
該硫黄含有化合物もプレポリマーの形態であり得る。これは、その硫黄含有化合物がイソシアネート成分中にある場合に特に関係がある。当然のことながら、イソシアネート成分中に活性水素を有する硫黄含有化合物を含めることにより、その活性水素とそのイソシアネートとの間の反応が引き起こされる。従って、イソシアネート成分中で使用するときは、該硫黄含有化合物はそのイソシアネートと反応する残留活性水素を実質的に有してはならない。該硫黄含有化合物と該イソシアネートとの間で形成されるプレポリマーは、メルカプタン末端ジスルフィドをイソシアネートと反応させることによって調製されるもの等が製造され得る。
【0063】
一定の実施形態において、該プレポリマーは、以下に限定はされないが、イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含むことができる。本明細書で使用する「イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタン」という表現は、ポリチオエーテル、少なくとも1つのウレタン結合(−NH−C(O)−O−)および/またはチオウレタン結合(−NH−C(O)−S−)、および1つまたは複数のイソシアネート官能基を含む化合物を意味する。一定の実施形態において、本発明において使用される該イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、1分子当り複数のイソシアネート基、場合によって2つのイソシアネート基を含む。
【0064】
本発明の該組成物の一定の実施形態において含まれる該イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、以下で詳細に述べるように、例えば、チオール官能性および/またはヒドロキシ官能性ポリチオエーテル等の1つまたは複数のイソシアネート反応性ポリチオエーテルを、過剰の1つまたは複数のイソシアネート官能性化合物と反応させることによって調製することができる。
【0065】
一定の実施形態において、本発明の該組成物中に含まれる該イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、場合によって、かかるポリチオエーテルが2つの反応性チオール基を有し、少なくとも2つの反応性チオール基を含むポリチオエーテルから誘導される。各チオール基、すなわち−SH基は、イソシアネート基とチオウレタン結合、すなわち−NH−C(O)−S−結合を形成することができる。
【0066】
一定の実施形態において、少なくとも2つの反応性チオール基を含む該ポリチオエーテルは二官能性チオール末端ポリチオエーテル、例えば、次の化学構造(VI):
【0067】
【化9】

であって、ここで、Rが、独立してC2〜10n−アルキレン基、例えばC2〜6n−アルキレン基等;C2〜6分枝アルキレン基、例えばメチルまたはエチル基等のアルキル基であり得る1つまたは複数のペンダント基を有するC3〜6分枝アルキレン基等;アルキレンオキシ基;C6〜8シクロアルキレン基;C6〜10アルキルシクロアルキレン基;複素環基;または
【0068】
【化10】

(ただし、sは、2から6までの範囲の値を有する整数であり、qは、1から5までの範囲の値を有する整数であり、rは、2から10までの範囲の値を有する整数であり、Rは、水素またはメチルであり、Xは、O、S、または−NR−を意味し、ここでRは、アルキル基を意味する)を意味し;Rが、独立して、メチレン;C2〜10n−アルキレン基、例えばC2〜6n−アルキレン基等;C2〜6分枝アルキレン基、例えばC3〜6分枝アルキレン基等;C6〜8シクロアルキレン基;C6〜14アルキルシクロアルキレン基、例えば、C6〜10アルキルシクロアルキレン基等;複素環基;または
【0069】
【化11】

(ただし、s、q、r、Rは、上で定義したものと同じである)を意味し、mは、0から50までの範囲の値を有する有理数、例えば0〜10または1〜10であり;nは、1から60までの範囲の値を有する整数であり、pは、2から6までの範囲の値を有する整数である)化学構造を有するもの等を含む。
【0070】
本発明における使用に適するそのようなチオール末端ポリチオエーテルは、多くの方法によって調製することができる。一定の実施形態においては、(n+1)モルの前記の化学構造(II)の化合物または該化学構造(II)を有する少なくとも2つの異なる化合物の混合物を、(n)モルの前記の化学構造(III)の化合物または該化学構造(III)を有する少なくとも2つの異なる化合物の混合物と触媒の存在下で反応させる。この方法は、チオール末端の二官能性ポリチオエーテルを提供する。適当なジチオールおよびジビニルエーテルとしては、制限無しで、前に詳細に記したものが挙げられる。
【0071】
本発明の一定の実施形態において、本発明の該組成物中に含まれる該イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、場合によって、かかるポリチオエーテルが2つの反応性ヒドロキシ基を有し、少なくとも2つの反応性ヒドロキシ基を含むヒドロキシ官能性ポリチオエーテルから誘導される。本明細書で用いられる用語「ヒドロキシ基」とは、イソシアネート基とウレタン結合、すなわち、−NH−C(O)−O−結合を形成することができる−OH基を意味する。
【0072】
本発明における使用に適するヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、当業者には理解される任意の適当な技術によって調製することができる。本発明の一定の実施形態において、利用されるヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、本明細書で前に記したタイプのチオール官能性ポリチオエーテルから誘導される。これらの実施形態において、該チオール官能性ポリチオエーテルは、そのチオール官能性ポリチオエーテルを、例えば、低級アルキル置換エポキシドと反応させることによってヒドロキシ官能性ポリチオエーテルに転化させることができる。例えば、二官能性チオール末端ポリチオエーテルの場合には、そのポリチオエーテルの1モルを2モルの低級アルキル置換エポキシド、例えばプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド等と反応させることができる。
【0073】
前に示したように、本発明の該組成物の一定の実施形態の中に含まれる該イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、例えば、任意の上で記したもの等の1つまたは複数のチオール官能性ポリチオエーテルおよび/または1つまたは複数のヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを過剰の1つまたは複数のイソシアネート官能性化合物と反応させることによって調製することができる。このように、一定の実施形態においては、例えば、(n)モルの1つまたは複数のチオール官能性ポリチオエーテルおよび/またはヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを、(>n)モルの1つまたは複数のイソシアネート官能性化合物と反応させる。
【0074】
本発明の一定の実施形態において使用される該イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを調製するのに有用な適当なイソシアネート官能性化合物は、多数あって幅広く変化し得る。かかるイソシアネートとしては、当技術分野で既知のものを挙げることができ、本明細書で前に開示した任意のイソシアネートを挙げることができるがそれらに限定はされない。
【0075】
先の記述からよく分かるように、一定の実施形態において、本発明の該組成物は、化学構造(VII):
【0076】
【化12】

(式中、R、R、p、m、およびnは、化学構造(I)に関して上で定義したものと同じであり、各Xは、独立してOまたはSであり、各Yは、独立してイソシアネート基含有部分、場合によって1つまたは複数の芳香環を含むイソシアネート基部分である)のイソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む。
【0077】
一定の実施形態において、上記のイソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、室温で液体である。その上、一定の実施形態において、前記のイソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、ASTM D−2849 §79〜90に従い、Brookfield CAP2000粘度計を使用し、約25℃の温度および760mmHgの圧力で測定して、100%固形分において、400ポアズ以下、例えば30〜200ポアズ等の粘度を有する。前記範囲内の任意のエンドポイントを使用することができる。
【0078】
一定の実施形態において、上記の該イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、その分子量を、ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定して、1モル当り500〜2000グラム、例えば1モル当り800〜950グラムの数平均分子量を有する。前記範囲内の任意のエンドポイントを使用することができる。
【0079】
本明細書における実施例は、本発明での使用に適するイソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを作製する適切な方法をさらに説明する。
【0080】
一定の実施形態において、該イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、該イソシアネート成分に加えることができ、かつ/または該アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルは、該アミン成分に加えることができる。
【0081】
一定の実施形態において、該ポリチオールは、少なくとも2つのチオール官能基を有する化合物(a)と、三重結合官能基を有する化合物(b)とを一緒に反応させることによって調製されたチオエーテル官能性ポリチオールを含む。一定の実施形態において、三重結合官能基を有する該化合物はヒドロキシル官能性化合物であり、該チオエーテル官能性ポリチオールはペンダントヒドロキシル官能基を有する。
【0082】
少なくとも2つのチオール官能基を有する化合物(a)は、例えば、ポリチオールまたはそれらの混合物であり得る。一定の実施形態において、該ポリチオールは、ジチオールであり、一定の実施形態においては、該ポリチオールはジチオールと2つより多いチオール官能基を有する別の化合物(より高分子のポリチオール)との混合物である。かかる混合物としては、ジチオールおよび/またはより高分子のポリチオールの混合物を挙げることができる。該チオール官能基(−SH基)は、一般的には末端基であるが、より少ない部分(例えば、チオール基全体の50%未満、または25%未満等)は分子鎖に沿ったペンダント基であり得る。該化合物(a)は、より少ない部分(官能基全体の50%未満、または25%未満等)のその他の活性水素官能基(すなわち、チオールとは別のもの)、例えば、ヒドロキシル官能基をさらに含有し得る。該化合物(a)は、直鎖状または分枝状であり得、かつ、環状の、アルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリール基を含むことができる。
【0083】
該化合物(a)は、実質的に直鎖状オリゴマーのポリチオールを生ずるように選択することができる。それ故、化合物(a)がジチオールと2つより多いチオール官能基を有する化合物の混合物であるときは、その2つより多いチオール官能基を有する化合物が存在することができるのは、該ポリマーの直鎖の本質を維持する量、例えばその混合物の10重量パーセントまでである。
【0084】
適当なジチオールは、直鎖状または分枝状の脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、ポリマー状、オリゴマー状ジチオールおよびそれらの混合物を含むことができる。該ジチオールは、以下に限定はされないが、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)、ポリスルフィド結合(−S−、ただし、xは少なくとも2、例えば2から4までである)およびかかる結合の組合せを含むさまざまな結合を含むことができる。
【0085】
本発明において使用するための適当なジチオールの限定されない例としては、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)、エタンジチオール、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(2−メルカプトアセテート)およびポリ(エチレングリコール)ジ(3−メルカプトプロピオネート)、ベンゼンジチオール、4−t−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、4,4’−チオジベンゼンチオール、およびそれらの混合物を挙げることができるがこれらに限定はされない。
【0086】
該ジチオールとしては、次の構造式VIII:
【0087】
【化13】

(式中、nは、1から21までの整数を表すことができる)によって表される材料等のジスルフィド結合を有するジチオールオリゴマーを含むことができる。
【0088】
式Iによって表されるジチオールオリゴマーは、当技術分野で知られているように、例えば、塩基性触媒の存在下で2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアンを硫黄と反応させることによって調製することができる。
【0089】
ポリチオール中のSH基の本質は、酸化カップリングを容易に起こしてジスルフィド結合(すなわち、−S−S−結合)の形成を引き起こすことができるものである。さまざまな酸化剤がそのような酸化カップリングを引き起こすことができる。空気中の酸素は、場合によって、該ポリチオールの保存中にそのような酸化カップリングを引き起こすことができる。チオール基の酸化カップリングのための可能なメカニズムは、ジスルフィド結合を形成するためにチイルラジカルが形成され、続く前記チイルラジカルのカップリングを含むことが考えられる。ジスルフィド結合の形成は、フリーラジカルの開始反応を伴う反応条件を含むがこれに限定はされないチイルラジカルの形成を引き起こす条件下で起こり得ることがさらに考えられる。本発明のポリチオールの調製における化合物(a)として使用するためのポリチオールとしては、保存中に形成されるジスルフィド結合を含有する種類を挙げることができる。
【0090】
本発明の一定の実施形態において使用されるオリゴマーのポリチオールの調製において化合物(a)として使用するためのポリチオールとしては、該ポリチオールの合成中に形成されるジスルフィド結合を含有する種類を挙げることもできる。
【0091】
一定の実施形態において、本発明で使用するための該ジチオールとしては、次の構造式:
【0092】
【化14】

により表される少なくとも1つのジチオールを挙げることができる。
【0093】
1,3−ジチオラン(例えば、式IXおよびX)または1,3−ジチアン(例えば、式XIおよびXII)を含むスルフィド含有ジチオールは、米国特許第7,009,032B2号に記載されているように、asym−ジクロロアセトンをジメルカプタンと反応させ、次いでその反応生成物をジメルカプトアルキルスルフィド、ジメルカプタンまたはそれらの混合物と反応させることによって調製することができる。
【0094】
asym−ジクロロアセトンとの反応で使用するための適当なジメルカプタンの限定されない例としては、次の式XIII:
【0095】
【化15】

(式中、Yは、CHまたは(CH−S−CH)を表すことができ、n’は、0から5までの整数であり得る)によって表される材料を挙げることができるがこれらに限定されない。本発明におけるasym−ジクロロアセトンとの反応のためのジメルカプタンは、例えば、エタンジチオール、プロパンジチオール、およびそれらの混合物から選ぶことができる。
【0096】
上の反応を行うために適切なasym−ジクロロアセトンおよびジメルカプタンの量は変動し得る。例えば、asym−ジクロロアセトンおよびジメルカプタンは、該反応混合物中にジクロロアセトン対ジメルカプタンのモル比が1:1から1:10までであり得るような量で存在させることができる。
【0097】
asym−ジクロロアセトンをジメルカプタンと反応させるための適当な温度は、多くの場合0℃から100℃までの範囲で変化し得る。
【0098】
該asym−ジクロロアセトンとジメルカプタンとの該反応生成物に関する反応で使用するための適当なジメルカプタンの限定されない例としては、上記の一般式VIによって表される材料、芳香族ジメルカプタン、シクロアルキルジメルカプタン、複素環式ジメルカプタン、分枝ジメルカプタン、およびそれらの混合物を挙げることができるがそれらに限定されない。
【0099】
該asym−ジクロロアセトンとジメルカプタンとの該反応生成物に関する反応で使用するための適当なジメルカプトアルキルスルフィドの限定されない例としては、次式:
【0100】
【化16】

(式中、Xは、O、SまたはSeを表すことができ、n”は、0から10までの整数であり得、mは、0から10までの整数であり得、pは、1から10までの整数であり得、qは、0から3までの整数であり得、ただし、(m+n”)は1から20までの整数であることを条件とする)によって表される材料が挙げられるがそれらに限定されない。
【0101】
本発明で使用するための適当なジメルカプトアルキルスルフィドの限定されない例としては、分枝ジメルカプトアルキルスルフィドを挙げることができる。
【0102】
asym−ジクロロアセトンとジメルカプタンとの該反応生成物に関する反応に適するジメルカプタン、ジメルカプトアルキルスルフィド、またはそれらの混合物の量は変動し得る。一般的に、ジメルカプタン、ジメルカプトアルキルスルフィド、またはそれらの混合物は、該反応混合物中に、反応生成物対ジメルカプタン、ジメルカプトアルキルスルフィド、またはそれらの混合物の当量比が、1:1.01から1:2までであり得るような量で存在させることができる。さらに、この反応を行うための適当な温度は、0℃から100℃までの範囲の中で変動させることができる。
【0103】
asym−ジクロロアセトンのジメルカプタンとの反応は、酸触媒の存在下で行うことができる。その酸触媒は、限定されないがルイス酸およびブレンステッド酸等の当技術分野で既知の幅広い種類から選択することができる。適当な酸触媒の限定されない例としては、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、5th Edition、1992年、A21巻、673〜674頁に記載されているものを挙げることができる。その酸触媒は、多くの場合、ホウ素トリフルオリドエーテレート、塩酸、トルエンスルホン酸、およびそれらの混合物から選択される。その酸触媒の量は、該反応混合物の0.01から10重量パーセントまで変動し得る。
【0104】
該asym−ジクロロアセトンとジメルカプタンとの反応生成物は、あるいは塩基の存在下で、ジメルカプトアルキルスルフィド、ジメルカプタンまたはそれらの混合物と反応させることができる。その塩基は、限定されないがルイス塩基およびブレンステッド塩基等の当技術分野で既知の幅広い種類から選択することができる。適当な塩基の限定されない例としては、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、5th Edition、1992年、A21巻、673〜674頁に記載されているものを挙げることができる。その塩基は、多くの場合水酸化ナトリウムである。その塩基の量は、変動し得る。一般的には、該最初の反応の塩基対反応生成物の適当な当量比は、1:1から10:1までであり得る。
【0105】
asym−ジクロロアセトンのジメルカプタンとの該反応は、溶媒の存在下で行うことができる。その溶媒は、有機溶媒から選択することができるがそれらに限定されない。適当な溶媒の限定されない例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、酢酸およびそれらの混合物を挙げることができるがそれらに限定されない。
【0106】
別の実施形態において、asym−ジクロロアセトンとジメルカプタンとの該反応生成物は、溶媒の存在下で、ジメルカプトアルキルスルフィド、ジメルカプタンまたはそれらの混合物と反応させることができ、その溶媒は、限定はされないが、有機溶媒から選択することができる。適当な有機溶媒の限定されない例としては、アルコール、例えば、限定はされないが、メタノール、エタノールおよびプロパノール等;芳香族炭化水素溶媒、例えば、限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等;ケトン、例えば、限定はされないが、メチルエチルケトン等;水;およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0107】
その溶媒の量は、その反応混合物の0から99重量パーセントまで、幅広く変化させることができる。別法では、その反応は、そのままで、すなわち溶媒を用いないで行うことができる。
【0108】
該asym−ジクロロアセトンのジメルカプタンとの反応は、また、脱水剤の存在下で行うこともできる。その脱水剤は、当技術分野で既知の幅広い種類から選択することができる。この反応で使用するための適当な脱水剤としては、硫酸マグネシウムを挙げることができるがこれに限定されない。その脱水剤の量は、その脱水反応の化学量論に従って幅広く変動し得る。
【0109】
本発明の一定の実施形態で使用されるオリゴマーのポリチオールを調製するために使用される少なくとも2つのチオール官能基を有する化合物(a)は、一定の限定されない実施形態において、2−メチル−2−ジクロロメチル−1,3−ジチオランをジメルカプトジエチルスルフィドと反応させて式IIIのジメルカプト−1,3−ジチオラン誘導体を生成することによって用意することができる。別法では、2−メチル−2−ジクロロメチル−1,3−ジチオランは、1,2−エタンジチオールと反応させて式IIのジメルカプト−1,3−ジチオラン誘導体を生成させることができる。2−メチル−2−ジクロロメチル−1,3−ジチアンは、ジメルカプトジエチルスルフィドと反応させて式Vのジメルカプト−1,3−ジチアン誘導体を生成させることができる。同様に、2−メチル−2−ジクロロメチル−1,3−ジチアンは、1,2−エタンジチオールと反応させて式IVのジメルカプト−1,3−ジチアン誘導体を生成させることができる。
【0110】
本発明の一定の実施形態において使用されるオリゴマーのポリチオールの調製で化合物(a)として使用するために適するジチオールの別の限定されない例としては、次の反応スキームA:
【0111】
【化17】

(ただし、Rは、CH、CHCO、C〜C10アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、またはアルキル−COを表すことができ;Y’は、C〜C10アルキル、シクロアルキル、C〜C14アリール、(CHp’(S)m’(CHq’、(CHp’(Se)m’(CHq’、(CHp’(Te)m’(CHq’を表すことができて、ここでm’は1から5までの整数でであり得、p’とq’はそれぞれ1から10までの整数であり得;n’’’は、1から20までの整数であり得;xは、0から10までの整数であり得る)におけるように、ジクロロ誘導体をジメルカプトアルキルスルフィドと反応させることによって調製される少なくとも1つのジチオールオリゴマーを挙げることができる。
【0112】
ジクロロ誘導体のジメルカプトアルキルスルフィドとのその反応は、塩基の存在下で行うことができる。適当な塩基としては、上で開示されているものに加えて当業者に知られている任意のものを挙げることができる。
【0113】
ジクロロ誘導体のジメルカプトアルキルスルフィドとのその反応は、相間移動触媒の存在下で行うことができる。本発明で使用するための適当な相間移動触媒は、既知であり、多様である。限定されない例としては、テトラアルキルアンモニウム塩およびテトラアルキルホスホニウム塩が挙げられるがこれらに限定されない。この反応は、多くの場合、相間移動触媒としてのテトラブチルホスホニウムブロミドの存在下で行われる。相間移動触媒の量は、該ジメルカプトスルフィド反応物に対して、0から50当量パーセントまで、または0から10当量パーセントまで、または0から5当量パーセントまで幅広く変化させることができる。
【0114】
少なくとも2つのチオール官能基を有する該化合物(a)は、ヒドロキシル官能基をさらに含むことができる。ヒドロキシル基を有する適当なポリチオール材料の限定されない例としては、グリセリンビス(2−メルカプトアセテート)、グリセリンビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールトリス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの混合物が挙げることができるがそれらに限定されない。
【0115】
上で開示したジチオールに加えて、化合物(a)として、またはそれの調製において使用するために適するジチオールの特定例としては、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン(DMMD)、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0116】
化合物(a)で使用するための適当な三官能またはそれ以上の高い官能性ポリチオールは、当技術分野で知られている幅広い種類から選択することができる。限定されない例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、および/またはチオグリセロールビス(2−メルカプトアセテート)を挙げることができる。
【0117】
例えば、該ポリチオールは、次式XV:
【0118】
【化18】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、直鎖または分枝鎖アルキレン、環状アルキレン、フェニレンおよびC〜Cアルキル置換フェニレンから選択することができる)によって表される材料から選ぶことができる。直鎖または分枝鎖アルキレンの限定されない例としては、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,2−ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、オクタデシレンおよびイコシレンを挙げることができるがそれらに限定されない。環状アルキレンの限定されない例としては、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン、およびそれらのアルキル置換誘導体を挙げることができるがそれらに限定されない。該二価の結合基RおよびRは、メチレン、エチレン、フェニレン、およびアルキル置換フェニレン、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびノニル置換フェニレン等から選ぶことができる。
【0119】
特定の実施形態において、少なくとも2つのチオール官能基を有する該化合物(a)は、(1)上で挙げたジチオールのいずれかと、(2)少なくとも2つの二重結合を有する化合物(例えば、ジエン)とを一緒に反応させることによって調製することができる。少なくとも2つの二重結合を有するそのような化合物は、以下で反応方法を説明するときにより詳細に説明する。
【0120】
本発明で使用される該オリゴマー状ポリチオールを調製するために使用される三重結合官能基を有する該化合物(b)は、当業者には知られる任意のアルキンであり得る。一定の実施形態において、該アルキンは、ヒドロキシル官能性アルキン、例えば当技術分野で知られる任意のものである。三重結合は、チオール官能基と2回反応することができるため、本発明の目的に対して、三重結合は、反応化学量論を決定するとき、二重結合の2当量と同等であると解釈される。
【0121】
三重結合官能基を有するヒドロキシル官能性化合物の適当な限定されない例としては、プロパルギルアルコール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−2−オール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、および/またはそれらの混合物が挙げられる。該化合物(b)上のヒドロキシル官能基の一部は、エステル化されていてもよい。例えば、該化合物(b)の一部は、C〜C12カルボン酸のアルキレン官能性エステル、例えば、プロパルギルアセテート、プロパルギルプロピオネート、プロパルギルベンゾエート等であり得る。
【0122】
本発明の一定の実施形態において使用される該オリゴマー状ポリチオールの調製において、化合物(a)中のチオール官能基対化合物(b)中の三重結合の比は、一般的には、1.01:1から2.0:1まで、例えば1.5:1から2.0:1までの範囲である。
【0123】
本発明の一定の実施形態において使用される該オリゴマー状ポリチオールを調製するためには、化合物(a)の三重結合含有化合物(b)との反応をラジカル開始剤の存在下で行うことができる。本発明で使用するための適当なラジカル開始剤は変化に富み、当業者に知られているものを挙げることができる。ラジカル開始剤の限定されない例としては、アゾまたは過酸化物タイプのフリーラジカル開始剤、例えばアゾビスアルカレンニトリル等を挙げることができるがこれらに限定されない。該フリーラジカル開始剤は、例えば、DuPontからそれらのVAZO製品系列の中で市販されているアゾビスアルカレンニトリルであり得、VAZO、VAZO−52、VAZO−64、VAZO−67、VAZO−88およびそれらの混合物もラジカル開始剤として使用することができる。
【0124】
そのフリーラジカル開始剤の選択は反応温度に依存し得る。その反応温度は、例えば、室温から100℃まで変動し得る。VAZO52は、50〜60℃の温度で使用することができる。VAZO64およびVAZO67は、60〜70℃の温度で使用することができ、VAZO88は、70〜100℃の温度で使用することができる。
【0125】
本発明の反応において使用されるフリーラジカル開始剤の量は、幅広く変化する可能性があり、選択されるフリーラジカル開始剤に応じて変化し得る。一般的には、該フリーラジカル開始剤は、反応混合物の0.01重量%から5重量%までの量で存在させる。
【0126】
該化合物(a)の該三重結合含有化合物(b)との反応は、さまざまな反応条件下で行うことができる。そのような条件は、該三重結合含有化合物の反応性の度合いおよび得られるポリチオールオリゴマーの望ましい構造により得る。1反応スキームにおいて、該反応物およびラジカル開始剤はその混合物を加熱しながら一緒に混合することができる。別法では、該三重結合含有化合物は、ポリチオールとラジカル開始剤の混合物に一定温度である時間にわたって比較的少量ずつ添加することができる。また、該三重結合含有化合物は、少なくとも2つのチオール官能基を有する該化合物(a)とラジカル開始剤のもとで段階的な様式で混合することができる。
【0127】
本発明の一定の実施形態は、
(a)上記のような少なくとも2つのチオール官能基を有する化合物、
(b)上記のような三重結合官能基を有する化合物、および
(c)少なくとも2つの二重結合を有する化合物
を一緒に反応させることによって調製されるチオエーテル官能性ポリチオールの使用をさらに対象とする。一定の実施形態において、三重結合官能基を有する該化合物はヒドロキシル官能性化合物であり、それ故該ポリチオールはペンダントヒドロキシル官能基を有する。
【0128】
少なくとも2つのチオール官能基を有する該化合物(a)は、上記のものを含めた任意のチオエーテル官能性オリゴマー状ポリチオールであり得る。一定の実施形態において、該化合物(a)は、(1)上で挙げたジチオールのどれか、および(2)化合物(c)と同じかまたは異なってもよい少なくとも2つの二重結合を有する化合物の反応生成物である。三重結合官能基を有する該化合物(b)は、上記のものを含めた任意のそのような化合物であり得る。
【0129】
少なくとも2つの二重結合を有する該化合物(c)は、直鎖および/または分枝脂肪族非環状ジエン、該二重結合が環の中に含まれているか環の中に含まれていないかそれらの任意の組合せであることができ、かつ該非芳香族環含有ジエンが非芳香族単環式の基または非芳香族多環式の基あるいはそれらの組合せを含有することができる非芳香族の環含有ジエンを含めた非芳香族の環含有ジエンを含むがこれらに限定されない非環状ジエン;芳香族の環含有ジエン;または複素環式の環含有ジエン;あるいは上記非環状および/または環状基の任意の組合せを含有するジエンから選ぶことができる。そのジエンは、チオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホン、エステル、チオエステル、カーボネート、チオカーボネート、ウレタン、またはチオウレタン結合、またはハロゲン置換基、あるいはそれらの組合せを適宜含有することができ、ただし、そのジエンは、ポリチオールのSH基との反応を受けて共有結合性のC−S結合を形成することができる少なくともある程度の二重結合を含有することを条件とする。一定の実施形態において、少なくとも2つの二重結合を有する該化合物(c)は、互いに異なるジエンの混合物である。
【0130】
少なくとも2つの二重結合を有する該化合物(c)は、非環式非共役ジエン、非環式ポリビニルエーテル、アリル−(メタ)アクリレート、ビニル−(メタ)アクリレート、ジオールのジ(メタ)アクリレートエステル、ジチオールのジ(メタ)アクリレートエステル、ポリ(アルキレングリコール)ジオールのジ(メタ)アクリレートエステル、単環式非芳香族ジエン、多環式非芳香族ジエン、芳香環含有ジエン、芳香環ジカルボン酸のジアリルエステル、芳香環ジカルボン酸のジビニルエステル、および/またはそれらの混合物であり得る。
【0131】
非環式非共役ジエンの限定されない例としては、次式XVI:
【0132】
【化19】

(式中、Rは、C〜C30直鎖状または分枝鎖状二価飽和アルキレン基、または限定はされないが、エーテル、チオエーテル、エステル、チオエステル、ケトン、ポリスルフィド、スルホンおよびそれらの組合せを含有するもの等の基を含むC〜C30の二価の有機基を表すことができる)によって表されるものを挙げることができる。該非環式の非共役ジエンは、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエンおよびそれらの混合物から選択することができる。
【0133】
適当な非環式ポリビニルエーテルの限定されない例としては、次式XVII:
【0134】
【化20−1】

(式中、Rは、C〜Cのn−アルキレン、C〜Cの分枝アルキレン基、または
【0135】
【化20−2】

であり得、m”は、0から10までの有理数、多くの場合2であり得、p”は、2から6までの整数であり得、q”は、1から5までの整数であり得、r’は、2から10までの整数であり得る)によって表されるものを挙げることができる。
【0136】
使用に適するポリビニルエーテルモノマーの限定されない例としては、ジビニルエーテルモノマー、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、およびそれらの混合物等を挙げることができるがそれらに限定されない。
【0137】
直鎖状ジオールのジ(メタ)アクリレートエステルとしては、エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物を挙げることができるがそれらに限定されない。
【0138】
ジチオールのジ(メタ)アクリレートエステルとしては、そのオリゴマーを含めた1,2−エタンジチオールのジ(メタ)アクリレート、そのオリゴマーを含めたジメルカプトジエチルスルフィドのジ(メタ)アクリレート(2,2’−チオエタンジチオールジ(メタ)アクリレート)、そのオリゴマーを含めた3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオールのジ(メタ)アクリレート、そのオリゴマーを含めた2−メルカプトエチルエーテルのジ(メタ)アクリレート、4,4’−チオジベンゼンチオールのジ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物を挙げることができるがそれらに限定されない。
【0139】
適当なジエンのさらなる限定されない例としては、次の構造式XVIII:
【0140】
【化21】

(式中、X’およびY”は、それぞれ独立して、C1〜10の二価の飽和アルキレン基、または炭素および水素原子に加えて硫黄、酸素およびケイ素の群から選択される少なくとも1つの元素を含有するC1〜5の二価の飽和アルキレン基を表すことができ、Rは、H、またはC〜C10アルキル、ならびに次の構造式XIX:
【0141】
【化22】

(式中、X’およびRは、上で定義したものと同じであり得、Rは、C〜C10アルケニルを表すことができる)によって表されるものを表すことができる)によって表されるもの等の単環式脂肪族ジエンを挙げることができるがそれらに限定されない。その単環式脂肪族ジエンとしては、1,4−シクロヘキサジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、ジペンテンおよびテルピネンを挙げることができる。
【0142】
多環式脂肪族ジエンの限定されない例としては、5−ビニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエンおよびそれらの混合物を挙げることができる。
【0143】
芳香環含有ジエンの限定されない例としては、次の構造式XX:
【0144】
【化23】

(式中、Rは、水素またはメチルを表すことができる)によって表されるものを挙げることができるがそれらに限定されない。芳香環含有ジエンとしては、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼンおよびそれらの混合物等のモノマーを挙げることができる。
【0145】
芳香環ジカルボン酸のジアリルエステルの例としては、次の構造式XXI:
【0146】
【化24】

(式中、各m’’’は、独立して、0から5までの整数であり得る)によって表されるものを挙げることができるが、それらに限定されない。該芳香環ジカルボン酸のジアリルエステルとしては、o−ジアリルフタレート、m−ジアリルフタレート、p−ジアリルフタレートおよびそれらの混合物を挙げることができる。
【0147】
一定の実施形態において、少なくとも2つの二重結合を有する該化合物(c)は、5−ビニル−2−ノルボルネン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ビニルシクロヘキセン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、ジペンテン、テルピネン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカジエン、シクロオクタジエン、2−シクロペンテン−1−イル−エーテル、2,5−ノルボルナジエン、1,3−ジビニルベンゼン、1,2−ジビニルベンゼン、および/または1,4−ジビニルベンゼンを含むがそれらに限定されないジビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、および/または1,4−ジイソプロペニルベンゼンを含むがそれらに限定されないジイソプロペニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメルカプトジエチルスルフィドジ(メタ)アクリレート、1,2−エタンジチオールジ(メタ)アクリレート、および/またはそれらの混合物である。
【0148】
適当なジ(メタ)アクリレートモノマーのその他の限定されない例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3−ジメチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、チオジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、およびエトキシル化ビス−フェノールAジ(メタ)アクリレート、および/またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0149】
本発明の一定の実施形態において使用されるオリゴマー状のポリチオールの調製において、該反応物(a)、(b)、および(c)は、すべてを同時に(「ワンポット」法におけるときは)一緒に反応させるかまたはさまざまな組合せで漸増的に一緒に混合することができる。例えば、化合物(a)は、最初の反応容器中で、上で述べたように三重結合官能基を有する化合物(b)と最初に反応させて最初の反応生成物を生成させ、続いて少なくとも2つの二重結合を有する化合物(c)をその反応混合物に加えることによってその最初の反応生成物と反応させ、本発明のオリゴマー状ポリチオールを生じさせる(または最初の反応生成物を、化合物(c)を含む2番目の反応容器に加える)。別法として、該化合物(a)は、少なくとも2つの二重結合を有する該化合物(c)と最初に反応させて最初の反応生成物を生成させ、続いて化合物(b)を加えることによってオリゴマー状ポリチオールを生じさせることができる。この実施形態においては、場合によって、最初の反応生成物を形成するために先に化合物(a)と反応させたものと同じであるか異なってもよい少なくとも2つの二重結合を有する追加の化合物(c)を化合物(b)と同時にまたはその後から加えてもよい。
【0150】
該化合物(a)が、該化合物(c)と最初に混合されるとき、それらは(a)のSH基の(c)の二重結合基とのチオール−末端型反応を経て反応することが、本発明者らはこのメカニズムに拘束されることは望まないが、考えられる。かかる反応は、上で述べたようなラジカル開始剤が存在する中で、または塩基触媒の存在する中で、特に化合物(c)が少なくとも1つの(メタ)アクリレートタイプの二重結合を有する化合物であるときに一般的には起こり得る。この反応で使用するための適切な塩基触媒は、幅広く変えることができ、当技術分野で既知のものから選択することができる。限定されない例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)およびN,N−ジメチルベンジルアミン等の第三級アミン塩基を挙げることができる。使用される塩基触媒の量は、幅広く変えることができるが、一般的には、それは、(a)と(c)の該混合物の0.001から5.0重量%の量で存在させる。
【0151】
一定の実施形態において、該チオエーテル官能性ポリチオールは、オリゴマー状である。本明細書で用いられる用語の「オリゴマー」および「オリゴマー状」等は、繰り返し単位を有しており、5000以下、例えば2000以下等、例えば200〜1200等の数平均分子量(Mn)を有する材料を生ずるために付加重合により調製した化合物を意味することを意図している。その数平均分子量は、ポリスチレン標準を用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0152】
存在するすべてのポリチオール(化合物a)のチオール当量数の合計対存在するすべての二重結合の当量数の合計(上で述べた2つの二重結合当量として有効なアルキン官能基を含む)の化学両論比は、1:1より大きい。限定されない実施形態において、この比は、1:1を超えて3:1まで、または1.01:1から3:1まで、または1.01:1から2:1まで、または1.05:1から2:1まで、または1.1:1から1.5:1まで、または1.25:1から1.5:1までの範囲内であり得る。これらの範囲内の任意のエンドポイントを組み合わせることもできる。
【0153】
ポリビニルエーテルモノマーと1つまたは複数のジチオール材料とを反応させるさまざまな方法が、その開示が本明細書に参照により組み込まれる米国特許第6,509,418B1号のカラム4の52行からカラム8の25行に詳細に記載されている。アリルスルフィドとジメルカプトジエチルスルフィドとを反応させるさまざまな方法が、その開示が本明細書に参照により組み込まれるWO03/042270の2頁の16行から10頁の7行に詳細に記載されている。フリーラジカル開始剤の存在下でジチオールと脂肪族の環含有非共役ジエンとを反応させるさまざまな方法が、その開示が本明細書に参照により組み込まれるWO/01/66623A1の3頁の19行から6頁の11行までに詳細に記載されている。
【0154】
化合物(a)と(c)を反応させるのには、1つまたは複数のフリーラジカル開始剤を使用するのが有利であり得る。適当なフリーラジカル開始剤の限定されない例としては、アゾ化合物、例えば、非限定でアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)等のアゾビス−ニトリル化合物等;非限定で過酸化ベンゾイルおよび過酸化t−ブチル等の有機過酸化物;無機過酸化物および類似のフリーラジカル発生剤を挙げることができる。
【0155】
別法では、化合物(a)と(c)との反応は、光開始性部分有りまたは無しでの紫外線照射によって達成することができる。
【0156】
(a)と(c)の該混合物は、1時間から5日間までの時間にわたって、20℃から100℃までの温度で反応させることができる。多くの場合、その混合物は、SH含量の所定の理論量が得られるまで加熱する。
【0157】
化合物(b)中の三重結合官能基の当量数の合計対化合物(c)中の二重結合の当量数の合計の化学量論比は、多くの場合、0.01:0.99から1.00:0まで、または0.10:0.90から1.00:0まで、または0.20:0.80から1.00:0までの範囲内である。これらの範囲内の任意のエンドポイントを組み合わせることもできる。
【0158】
上記のように本硫黄含有化合物は、少なくとも1つのポリチオエーテル結合、すなわち−[−CH−S−CH−]−を含むポリチオエーテルまたはポリマーであり得る。一般的なポリチオエーテルは、8個から200個までのこのような結合を有する。本発明での使用に適するポリチオエーテルとしては、本明細書に参照により組み込まれる米国特許第6,372,849号、同第6,172,179号、および同第5,912,319号に記載されているものを挙げられるがそれらに限定はされない。適当なポリチオエーテルは、一般的に、150〜10,000、例えば、1,000〜10,000、2,000〜5,000または3,000〜4,000等の数平均分子量を有する。これらの範囲内の任意のエンドポイントを組み合わせることもできる。いくつかの実施形態においてはそのポリチオエーテル成分は、アルキル等の非反応性基により停止され、その他の実施形態においては末端またはペンダントの位置に反応性基を含む。代表的な反応性基は、チオール、ヒドロキシル、アミノ、ビニル、およびエポキシである。反応性官能基を含むポリチオエーテル成分について、その平均官能性は、一般的には2.05から3.0まで、例えば、2.1から2.6までの範囲である。具体的な平均官能性は、反応性材料の適当な選択によって得ることができる。適当なポリチオエーテルの例は、PRC−DeSoto Internationalから、PERMAPOL製品系列の中の例えばPERMAPOL P−3.1eおよびPERMAPOL P−3等が入手可能である。
【0159】
一定の実施形態において、該硫黄含有化合物はジメルカプトジオキサオクタン(「DMDO」)であり、一定の具体的実施形態において該硫黄含有化合物はDMDOの三量体である。その三量体は以下の実施例において説明されているようにして調製することができる。さらに他の実施形態においては、該硫黄含有化合物は、ジメルカプタン末端停止ポリチオエーテル、例えば、本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第11/260,553号に記載されているもの等である。
【0160】
本発明における該硫黄含有化合物は、ポリスルフィドでもあり得る。ポリスルフィドは、ポリマー主鎖中および/またはポリマー鎖の末端もしくはペンダント位置に複数の硫黄−硫黄結合、すなわち−[S−S]−、を含有するポリマーである。一定の実施形態において、本発明に従って使用される該ポリスルフィドポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄結合を有する。適当なポリスルフィドは、AKZO NobelからTHIOPLASTの名称で、およびToray ChemicalsからTHIOKELの名称で市販されている。これらの製品は、例えば、1モル当りのグラム数の平均分子量である分子量が1100未満から8000を超えるまでの広範な分子量範囲で入手可能である。特に適切なのは、1000〜4000の数平均分子量である。これらの製品の架橋密度も、使用される架橋剤の量によってさまざまである。これらの製品のメルカプタン含量、すなわち「SH」含量もさまざまであり得る。いくつかの実施形態において、本組成物における所望の分子量および/または架橋密度を得るためにはポリスルフィドの組合せを使用することが望まれ得る。さまざまな分子量および/または架橋密度は、該組成物に対するさまざまな特性に寄与し得る。例えば、該硫黄含有化合物が1つより多いポリスルフィドポリマーを含み、そのポリスルフィドポリマーの1つが約1000の分子量を有する組成物は、望ましい非結晶化特性を有することができる。
【0161】
一定の実施形態において、該硫黄含有化合物は、プレポリマーの形をしている。そのようなプレポリマーは、例えば、チオールを、イソシアネート官能基を含む化合物と反応させることによって調製することができ、そのチオールは、1つまたは複数のチオール基を有することができ、さらに1つまたは複数のジスルフィド結合を含むことができる。そのようなプレポリマーを、該イソシアネート成分および/または該アミン成分に加えることができる。
【0162】
本組成物の形成において第2成分またはアミン成分が硫黄含有化合物を含むとき、該アミン部分と該硫黄含有化合物部分のその相対量は、ユーザーの必要に応じて変化し得る。例えば、アミン対硫黄含有化合物のその比は、1:99から99:1まで変化させることができ、そのアミン成分は、該アミン成分の全体重量に対する重量パーセントで、≧20重量パーセント、≧30重量パーセント、または≧35重量パーセントの硫黄含有化合物を含むことができる。
【0163】
一実施形態において、本発明の該コーティング組成物は、ポリウレタンおよび/またはポリ(チオ)ウレタンをさらに含むことができる。当業者には当然のことであろうが、ポリウレタンおよび/またはポリ(チオ)ウレタンは、本発明の反応における副生成物として形成することができる。別の実施形態においては、そのポリウレタンおよび/またはポリ(チオ)ウレタンは、インサイチューで形成することができ、かつ/またはそれを、限定されない例が本明細書で開示されているようにポリオールとポリイソシアネートの反応によって形成されたNCO官能性プレポリマーであるその反応混合物に加えることができる。インサイチューで形成されるポリウレタンの限定されない例としてはポリイソシアネートとヒドロキシル官能性材料との反応生成物を挙げることができ、インサイチューで形成されるポリ(チオ)ウレタンの限定されない例としてはポリイソシアネートとポリチオエーテルまたはその他の硫黄含有化合物との反応生成物を挙げることができる。適当なポリイソシアネートの限定されない例としては、本明細書に記載されているものを挙げることができる。適当なヒドロキシル官能性材料の限定されない例としては、本明細書に記載されているもの等のポリオールを挙げることができる。硫黄含有化合物の限定されない例としては、本明細書に記載されているものを挙げることができる。インサイチューで形成されるポリウレタン/ポリ(チオ)ウレタンの別の例としては、ヒドロキシル官能性プレポリマー/チオール官能性プレポリマーとイソシアネート官能性材料との反応生成物を挙げることができる。これらの反応物の適当な例としては、本明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0164】
本発明のポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング組成物は、当技術分野で既知のさまざまな技術を用いて配合および塗布することができる。従って、本発明は、基材の少なくとも一部に本明細書に記載の任意のコーティング組成物を塗布することを含む基材をコーティングするための方法をさらに対象とする。一実施形態においては、従来のスプレー技術を使用することができる。この実施形態においては、該イソシアネート成分およびアミン成分は、イソシアネート基の当量対アミン/チオール基の当量の比が1より大きく、該イソシアネート成分と該アミン成分とが基材に1:1の体積混合比で塗布することができるように組み合わせることができ、その反応混合物は、未コーティングの基材またはコーティングした基材に塗布して、未コーティングの基材上の最初のコーティングまたはコーティングした基材上のその後のコーティングを形成することができる。イソシアネート基の当量対反応性アミン/チオール基の当量の比を決定するとき、その全体のアミン/チオール基、すなわち、そのコーティングに使用される任意のアミンまたは複数アミンからのアミン基、およびそのコーティングに使用される任意の硫黄含有化合物からのチオール基が考慮に入れられる。
【0165】
当然のことながら、本組成物は、該イソシアネート成分と該アミン成分とが塗布の直前まで分離されたままである2成分または「2K」組成物である。そのような組成物は、最終硬化を促進するためまたは接着性等のコーティング特性を高めるために加熱された強制空気または熱硬化を適用することができるが、周囲条件下で硬化するものと理解される。一実施形態において、スプレー可能なコーティング組成物は、2成分混合装置を用いて調製することができる。この実施形態においてはイソシアネート成分およびアミン成分は、高圧衝突混合装置に加えられる。該イソシアネート成分は、「Aサイド」に加えられ、アミン成分は「Bサイド」に加えられる。そのAサイドとBサイドの流れは、互いに作用し合い、直ちに未コーティングまたはコーティングされている基材の少なくとも一部に吹き付けられる。該イソシアネートと該アミンまたは該アミンおよび硫黄含有化合物とは反応して未コーティングまたはコーティングされている基材に塗布されると硬化するコーティング組成物を生成する。そのAサイドおよび/またはBサイドは、塗布する前に、140°Fの温度等に加熱することもできる。加熱は2つの成分の間のよりよい粘度の釣合い、従って、よりよい混合を促すが、硬化反応を起こすために必要ではない。
【0166】
イソシアネート基対アミン/チオール基の当量の比は、本発明のコーティング組成物の硬化の速度を制御するために選択することができるものと思われる。硬化および接着性の利点は、イソシアネート基対アミン/チオール基の当量の比(反応指数としても知られる)が1より大きく、例えば、1.01〜1.10:1、または1.03〜1.10:1、または1.05〜1.08:1または1.01〜1.4対1または1.01〜1.5または1.3超対1等であり、体積比が1:1のコーティングを塗布するときに起こり得ることが見出されている。例えば、良好な接着は、硬化後低い表面官能性を有する透明コーティング、例えば、カルバメートメラニン、ヒドロキシルメラミン、2Kウレタン、およびシラン含有透明コーティング等の上でこれらの比率を使用して得ることができる。「1:1の体積比」という表現は、体積比が各成分に対して最大20%まで、または最大10%まで、または最大5%まで変化することを意味する。
【0167】
チオール基のイソシアネートとの反応速度は、使用されるアミンまたは複数アミンのタイプによって改めることができる。アミン共反応物は、チオール/イソシアネート反応における触媒として機能することができる。本発明者らは、何らかのメカニズムによって拘束されることは望まないが、該アミンの塩基性が大きいほど該チオールと該イソシアネートの間の硬化速度はより速いものと思われる。従って、使用される特定のアミンおよびその使用されるアミンの量は、全体の組成物の硬化速度を調節するために改めることができる。別法では反応速度を増すために触媒を使用することができる。適当な触媒としては、例えば、DBUおよびその他の第三級アミンが挙げられる。
【0168】
限定されない一実施形態においては、GUSMER Model GX−7スプレーガンを取り付けたGUSMER VR−H−3000プロポーショナの呼称のもとで市販されている市販の混合装置を使用することができる。この装置においては、AサイドおよびBサイド成分の加圧された流れが、2つの別のチャンバーから供給され、高速で互いに衝突または作用し合ってその2つの成分を混合し、スプレーガンを用いて未コーティングまたはコーティングされている基材に塗布することができるコーティング組成物を形成する。その成分の流れが受ける混合力は、各流れの単位時間当りに混合チャンバーに入る体積およびその成分の流れが与えられる圧力によって決まり得る。単位時間当りのイソシアネートとアミン/チオールとの1:1の体積比は、これらの力を同一にすることができる。
【0169】
当産業界で既知の別の適当な塗布装置としては、「静的混合管」アプリケータが挙げられる。この装置においては該イソシアネート成分およびアミン成分は、それぞれ別のチャンバーに保存する。圧力をかけると、それぞれの成分は1:1の体積比で混合管中に持ち込まれる。その成分の混合は、その管内のねじれたまたはらせん状の通路を通って達成される。その管の出口の末端は、その反応混合物のスプレー塗布に役立つ噴霧化能力を有することができる。別法では、その流体の反応混合物は、基材にビーズとして塗布することができる。静的混合管アプリケータは、Cammda Corporationから市販されている。
【0170】
本発明の該ポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング組成物は、広範な基材に塗布することができる。従って、本発明は、さらに、本明細書に記載の組成物のどれかをコーティングした基材を対象とする。適当な基材の限定されない例としては、金属、天然および/または合成石、セラミック、ガラス、れんが、セメント、コンクリート、シンダーブロック、木材ならびにそれらの複合材料および積層板、人造壁板、乾式壁、石こうボード、セメント板、プラスチック、紙、PVC、屋根材、例えば、こけら板、屋根ふき複合材料および積層板、および屋根ふき乾式壁等、発泡スチレン、プラスチック複合材料、アクリル複合材料、バリスティック複合材料、アスファルト、グラスファイバー、土、砂利等を挙げることができるがこれらに限定されない。金属としては、以下に限定はされないが、アルミニウム、冷延鋼板、電気亜鉛めっき鋼、溶融亜鉛めっき鋼、チタンおよび合金が挙げられ、プラスチックとしては、以下に限定はされないが、TPO、SMC、TPU、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアミド(ナイロン)を挙げることができる。基材は、有機または無機層がそこに塗布されている下塗り金属および/またはプラスチックであることができる。さらに、本発明のコーティング組成物は、前記基材に塗布して、広範な特性、例えば、以下に限定はされないが、耐食性、耐摩耗性、衝撃損傷、火炎および/または熱耐性、耐薬品性、耐紫外線性、構造的完全性、衝撃緩和性、爆風緩和性、消音、装飾等の1つまたは複数を与えることができる。限定されない例において、本発明の該コーティング組成物は、建造物または限定はされないが乗り物等の製造品の少なくとも一部に塗布することができる。「乗り物」としては、限定はされないが、一般市民用、商用、および軍事用の陸地、水上、および空の乗り物、例えば、乗用車、トラック、ボート、船舶、潜水艦、航空機、ヘリコプター、ハンビー、戦車等が挙げられる。該製造品は建造物であり得る。「建造物」としては、限定はされないが、住居用、商用および軍事用の建造物を含めた建造物の少なくとも一部、例えば、屋根、床、支持梁、壁等が挙げられる。本明細書で使用する用語の「基材」とは、製造品の少なくとも一部またはその製造品それ自体の外側または内側いずれかの表面を意味することができる。一実施形態において、該基材は、トラックの荷台である。
【0171】
一実施形態において、本発明の該ポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング組成物は、キャリアフィルムに塗布することができる。そのキャリアフィルムは、当技術分野で知られている多種多様なそのような材料から選択することができる。適当なキャリアフィルムの限定されない例としては、熱可塑性材料、熱硬化性材料、金属箔、セルロース紙、合成紙、およびそれらの混合物を挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書で使用する用語の「熱可塑性材料」とは、加熱したとき軟化または融解し、冷却したとき再び固化する(硬化する)ことができる任意の材料を意味する。適当な熱可塑性材料の限定されない例としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、アクリル、およびそれらの混合物を挙げることができる。本明細書で使用する用語の「熱硬化性材料」とは、加熱および/または硬化した後永久に剛体となる任意の材料を意味する。限定されない例としては、ポリウレタンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリ尿素ポリマー、ポリカーボネートポリマー、アクリルポリマー、アミノ樹脂、イソシアネート、エポキシ、それらのコポリマー、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0172】
上記のように、一定の実施形態において、本発明の該ポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング組成物は、裸の(例えば、未処理、未コーティングの)基材、前処理した基材および/または少なくとも1つの他のコーティングを有するコーティングした基材に塗布することができる。限定されない一実施形態において、本発明の該コーティング組成物は、多層コーティング複合材料の一部として塗布することができる。基材に塗布する最初のコーティングは、基材を表面コーティングするための当技術分野で既知のさまざまなコーティング組成物から選択することができる。限定されない例としては、電着可能なフィルム形成性組成物、プライマー組成物、顔料着色したまたは顔料着色されていないモノコート組成物、顔料着色したまたは顔料着色されていないベースコート組成物、透明トップコート組成物、工業コーティング組成物等を挙げることができるがこれらに限定されない。別の限定されない実施形態において、本発明の該コーティング組成物は、前処理した基材およびコーティング層例えば限定はされないが電着コーティング、プライマー、ベースコート、クリアコート、およびそれらの組合せ等である多層コーティング組成物の一部として塗布することができる。一実施形態において、該クリアコートは、架橋および硬化の前または後のいずれかにシラン官能基を含む。
【0173】
さらなる一実施形態において、本発明の該ポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング組成物は、質感表面を生ずる2回塗り塗布において使用することができる。最初のコーティングは、未コーティングのまたはコーティングされている基材に塗布して滑らかな実質的に不粘着の層を生じさせる。該層が実質的に不粘着であるかどうかを決定するには「不粘着法」が使用される。その不粘着法は、非接着性のプラスチックシート上に1回塗りで10から15ミル(254〜381ミクロン)の厚さに該コーティング組成物を吹き付けるステップを含む。吹き付けが完了したとき、作業者は、ゆるい使い捨てのビニル手袋、例えば、Marigold Industrial、Norcross GAによりAMBIDEX Disposable Vinyl Gloveとして市販されているものを用いてそのコーティングの表面にそっと接触する。そのコーティングは、異なる指先を用いて複数回触れることができる。その手袋の先がその層の表面にもはやくっつかないかそこから引っ張らなくてもよくなったとき、その層は実質的に不粘着であるという。吹き付けの完了から始まって該コーティングが実質的に不粘着になるまでの時間をタック時間または不粘着時間という。限定されない一実施形態において、該不粘着時間および該硬化時間は、さまざまな組成成分、例えばアミンの量および/またはタイプ等の水準を均衡させることによって制御することができる。
【0174】
2回目のコーティングを、該最初のコーティング層に質感化層または「ダストコーティング」として次に塗布することができる。その2回目のコーティング層は、該コーティングされている基材と接する前に該塗布/混合装置と該コーティングされている基材との間の間隔を増して該コーティング組成物の分離した液滴を形成することによって塗布し、それによってその2回目の層の表面に制御された不均一性を形成することができる。実質的に不粘着の該コーティングの最初の層は、その2回目の層に少なくとも部分的に抵抗を示し、言い換えると、その2回目の層またはダストコーティングとしてその上に吹き付けられるコーティング組成物の液滴の融合に少なくとも部分的に抵抗を示し、その結果その液滴は前の層(複数可)に接着はするが融合はしないで表面のテクスチャーを生ずる。最後のコーティング層は、一般的には最初または前のコーティング層より多くの表面の質感を示す。別法では、質感化表面は、インモールドコーティング中の射出によるか、または本組成物をスプレーコーティングし、次いでその表面に質感をロール掛けすることによって得ることができる。該コーティング層の全体の厚さは、20から1000ミルまで、または40から150ミルまで、または60から100ミルまで(1524〜2540ミクロン)、または500から750ミルまでの範囲であり得る。これらの範囲内の任意のエンドポイントを組み合わせることもできる。限定されない一実施形態において、最初の層は全体の厚さの大部分であり、該ダストコーティングは、15〜50ミル(381〜1270ミクロン)であり得る。
【0175】
本発明のさまざまな実施形態において、「最初」のコーティング層は、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の層を含むことができ、「2番目」のコーティング層は、その上に塗布された1つまたは複数のその後の層であり得る。例えば、4番目の層がダストコーティングであり、各層が15から25ミルまで(381〜635ミクロン)の厚さを有する4つのポリ尿素(またはポリ尿素/ポリチオ尿素)層を塗布することができる。当然のことながら、これらのコーティング層は比較的「厚い」。本発明のコーティング組成物は、0.1〜15ミル未満、0.1〜10、0.5〜3または1〜2ミルのようなはるかに薄い層も同様に塗布することができる。これらの範囲内の任意のエンドポイントを組み合わせることもできる。そのような層は、単独で、または当技術分野で知られているかさもなければ本明細書に記載されているどれか等その他のコーティング層と組み合わせて使用することができる。十分な厚さ(例えば、10〜1000ミル、例えば、100〜200ミル、または125ミル±10ミル)で塗布されたとき、本ポリ尿素/ポリチオ尿素層(複数可)は、爆風および/または衝撃緩和性を提供することができる。「爆風および/または衝撃緩和性」は、例えば、近接近の爆風、発射体、または爆発の場合の保護を意味する。この保護としては、例えば、建造物、乗り物、航空機、船舶/ボート、運送用コンテナー等の構造物または構造物の一部の崩壊および/または破壊からの保護、飛来する破片および爆破断片、砲撃等に対する保護を挙げることができる。
【0176】
代替実施形態において、該コーティング層は、同じか異なるポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング組成物を含むことができる。例えば、その最初の層は、脂肪族および/または芳香族アミン成分ならびに/あるいは脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートを含む組成物であることができ、該2番目の層は、それと同じか異なる脂肪族および/または芳香族アミン成分ならびに/あるいは脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートの組合せを含むことができる。どちらかの層または両方の層は、本明細書に記載の硫黄含有化合物のどれかをさらに含むことができる。この文脈の中の「アミン成分」とは、本コーティング中で使用されているアミンのどれかを意味する。さらなる一実施形態において、最も外側のコーティング層は、望ましい耐久性を与えるコーティング組成物であり得る。その望ましい耐久性は、本発明のコーティング組成物および/またはそれを塗布することができる基材の使用によって決まり得る。一実施形態において、脂肪族および/または芳香族アミンならびに/あるいはポリイソシアネートの組合せは、最も外側の層の組成物が十分な耐久性を有するように選択することができる。例えば、その最も外側のコーティング層は、方法SAE J1960に従うウェザロメーター(Atlas Material Testing Solutions)を用いて試験したとき1000kJ〜6000kJ、または800時間〜4000時間の耐久性を有することができる。この実施形態において、その最初の層は、アミンおよび/またはポリイソシアネートの少なくとも1つが芳香族部分であってもよいポリイソシアネートおよびアミンを含むポリ尿素組成物であることができ、その2番目の層は、大部分が脂肪族アミンおよび脂肪族ポリイソシアネートであり、芳香族性が殆んどないポリ尿素組成物であることができ、この場合もやはり、その層のどちらかまたは両方が本明細書に記載の任意の硫黄含有化合物をさらに含むことができる。
【0177】
本発明の該ポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング組成物は、場合によって、当技術分野において標準的な材料、例えば、限定はされないが、充填剤、グラスファイバー、安定剤、増粘剤、充填剤、接着促進剤、触媒、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、レオロジー調整剤、流動添加剤、帯電防止剤および表面コーティングの技術分野では周知であるその他の性能または特性調整剤、ならびにそれらの混合物を含有することができる。例えば、本コーティングは、火炎および/または熱耐性の材料、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/460,439号に開示されているもの等の任意の1つまたは複数をさらに含むことができる。充填剤としては、クレーおよび/またはシリカを挙げることができ、接着促進剤としては、アミン官能性材料、アミノシラン等を挙げることができ、充填剤および接着促進剤の例は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0046068号および米国特許出願第11/591,312号にさらに記載されている。これらの添加剤は、該イソシアネート成分、該アミン成分、または両方と混合することができる。一定の実施形態において、該コーティングは、少量の溶媒をさらに含むことができ、一定の実施形態においては該コーティングは実質的に溶媒なしであり得る。「実質的に溶媒なし」とは、そのコーティングが少量の溶媒、例えば、5%、2%、1%またはそれ以下を含むことができることを意味する。
【0178】
本発明のコーティングは、着色剤を含むこともできる。本明細書で使用する用語の「着色剤」とは、色および/またはその他の不透明性および/またはその他の視覚的効果を該組成物に与える任意の物質を意味する。その着色剤は、ばらばらの粒子、分散体、溶液および/またはフレーク等の任意の適当な形で該コーティングに加えることができる。単一の着色剤または2つ以上の着色剤の混合物を本発明のコーティング中で使用することができる。
【0179】
着色剤の例としては、顔料、染料およびチント、例えば、ペイント工業で使用されておりかつ/またはthe Dry Color Manufacturers Association(DCMA)に列挙されているもの、ならびに特殊効果組成物が挙げられる。1着色剤としては、例えば、使用条件下で不溶性であるが湿潤性のある微粉化した固体粉末を挙げることができる。着色剤は、有機または無機であることができ、凝集していても凝集していなくてもよい。着色剤は混練するかまたは単に混合することによってコーティング中に組み込むことができる。着色剤は、当業者にはその使用がよく知られているアクリル混練ビヒクル等の混練ビヒクルを使用して混練することによって該コーティング中に組み込むことができる。
【0180】
顔料および/または顔料組成物の例としては、限定はされないが、カルバゾールジオキサジン粗製顔料、アゾ、モノアゾ、ジアゾ、ナフトールAS、塩タイプ(レーキ)、ベンゾイミダゾロン、縮合物、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンタントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、その他の導電性顔料および/または充填剤ならびにそれらの混合物が挙げられる。用語の「顔料」と「着色充填剤」とは互換的に使用することができる。
【0181】
染料の例としては、限定はされないが、酸性染料、アゾ性染料、塩基性染料、直接染料、分散染料、反応性染料、溶剤染料、硫化染料、媒染染料等の溶剤系および/または水性のもので、例えば、バナジウム酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、アルミニウム、キナクリドン、チアゾール、チアジン、アゾ、インジゴイド、ニトロ、ニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、キノリン、スチルベン、およびトリフェニルメタンが挙げられる。
【0182】
チントの例としては、限定はされないが、Degussa,Inc.から市販されているAQUA−CHEM 896およびEastman Chemical,Inc.のAccurate Dispersions事業部から市販されているCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTS等の水性または水混和性担体中に分散された顔料が挙げられる。
【0183】
上で述べたように、該着色剤は、限定はされないが、ナノ粒子分散体を含めた分散体の形態をしていることができる。ナノ粒子分散体としては、所望の可視色および/または不透明性および/または視覚効果を生ずる1つまたは複数の高度に分散したナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を挙げることができる。ナノ粒子分散体としては、150nm未満、例えば、70nm未満、または30nm未満の粒径を有する顔料または染料等の着色剤を挙げることができる。ナノ粒子は、原料の有機または無機顔料を0.5mm未満の粒径を有する粉砕媒体と共に粉砕することによって製造することができる。ナノ粒子分散体およびそれを製造する方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,875,800B2号の中で確認される。ナノ粒子分散体は、結晶化、沈殿、気相縮合、および化学磨耗(すなわち、部分溶解)によって製造することもできる。コーティング中でのナノ粒子の再凝集を最小限にするために、樹脂コートしたナノ粒子の分散体を使用することができる。本明細書で使用する「樹脂コートしたナノ粒子の分散体」とは、ナノ粒子およびそのナノ粒子上の樹脂コーティングを含む分離した「複合材料の微小粒子」がその中に分散している連続相を意味する。樹脂コートしたナノ粒子の分散体およびそれらを製造する方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる2004年6月24日出願の、米国特許出願第10/876,031号および同様に参照により本明細書に組み込まれる2003年6月24日に出願した米国特許仮出願第60/482,167号の中で確認される。
【0184】
本発明のコーティングで使用することができる特殊効果組成物の例としては、1つまたは複数の外観効果、例えば、反射、真珠光沢、金属光沢、りん光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズムおよび/または色彩変化等を生ずる顔料および/または組成物が挙げられる。さらなる特殊効果組成物は、その他の知覚特性、例えば、反射性、不透明性または質感等を提供することができる。限定されない実施形態において、特殊効果組成物は、コーティングの色が、異なる角度から見たときに変化する等の色ずれを生ずることができる。色彩効果組成物の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,894,086号の中で確認される。さらなる色彩効果組成物としては、透明なコートした雲母および/または合成雲母、コートしたシリカ、コートしたアルミナ、透明な液晶顔料、液晶コーティング、および/または、干渉が、材料の表面と空気の間の屈折率の違いのためではなく、材料内の屈折率の違いに由来する任意の組成物を挙げることができる。
【0185】
一定の限定されない実施形態においては、1つまたは複数の光源にさらされたときその色を可逆的に変える感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物を、本発明のコーティングにおいて使用することができる。フォトクロミックおよび/または感光性組成物は、特定の波長の放射線にさらすことによって活性化することができる。その組成物が励起された状態になったとき、その分子構造が変化し、その変化した構造は、その組成物の元の色とは異なる新たな色を示す。放射線への暴露を除去したとき、そのフォトクロミックおよび/または感光性組成物は、静止状態に戻ることができその組成物の元の色が戻る。限定されない一実施形態において、そのフォトクロミックおよび/または感光性組成物は、励起されていない状態では無色であり、励起状態で色を示すことができる。全面的な色変化は、ミリ秒〜数分、例えば、20秒から60秒までのうちに出現することができる。フォトクロミックおよび/または感光性組成物の例としては、フォトクロミック色素が挙げられる。
【0186】
限定されない実施形態において、該感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、ポリマーおよび/または重合可能な成分のポリマー状材料と会合し、かつ/または少なくとも部分的に共有結合等によって結合させることができる。該感光性組成物がコーティングから移行し、基材中に入って結晶化することがあり得るいくつかのコーティングとは対照的に、本発明の限定されない実施形態に従うポリマーおよび/または重合可能な成分と会合し、かつ/または少なくとも部分的に結合している該感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物が有するコーティングからの移行性は最小限である。感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物およびそれらを製造するための方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる2004年7月16日出願の米国特許出願第10/892,919号の中で確認される。
【0187】
一般に、該着色剤は、望ましい特性の視覚および/または色彩効果を与えるのに十分な任意の量で該コーティング組成物中に存在させることができる。その着色剤は、本組成物の1〜65重量パーセント、例えば、該組成物の全体の重量に対する重量パーセントで、3〜40重量パーセント、または5〜35重量パーセントであり得る。
【0188】
別の実施形態において、本発明の該ポリ尿素/ポリチオ尿素コーティング組成物は、基材に塗布するとき、関連する基材の色に適合する色を有する。本明細書で用いる用語の「適合する」または類似の用語は、カラーマッチングに対して言うときは、その本発明のコーティング組成物の色が所望の色または関連する基材の色と実質的に調和することを意味する。例えば、該ポリ尿素コーティング組成物に対する基材が乗り物の一部、例えばトラックの荷台等であるとき、そのコーティングの色は、その関連する車体のそれに実質的に適合する。これは視覚的に観察するか、または分光学装置を用いて確認することができる。
【0189】
本発明のコーティングは、さまざまなコーティング層、例えば前処理層、エレクトロコーティング、プライマー、ベースコートおよびクリアコート等を備えた基材である多層コーティング複合材料の一部であり得る。そのベースコートおよびクリアコートの少なくとも1つは、顔料を含むことができおよび/またはそのクリアコートは、接着促進剤を含むことができ、これらのコーティングのどれかは本明細書に記載の1つまたは複数のコーティングであり得る。接着促進剤のクリアコートまたはその表面への添加により、本発明者らは何らかのメカニズムに拘束されることは望まないが、該クリアコートとその上に塗布される該コーティング組成物との間の接着を改善することができるものと思われる。この実施形態において、本発明の該コーティング組成物は、イソシアネート成分と着色剤添加剤を含むアミン成分との反応生成物であり得る。着色剤を含む本発明のコーティング組成物は、製品または構造物の少なくとも一部に塗布することができる。コーティングされた製品または構造物の色は、関連する基材の色に適合させることができる。「関連する基材」とは、該製品または構造物であるが、本発明のコーティング組成物がコーティングされていないか、該製品または構造物に付着、接続または近接近した状態であるが本発明のコーティング組成物がコーティングされていない基材を指すことができる。
【0190】
他にはっきりと特定されていない限り、本明細書中で使われている、値、範囲、量またはパーセンテージを表すようなすべての数字は、単語の「約」が、その語が明確に示されてない場合であっても、前置きされているかのように読むことができる。列挙されている任意の数字的な範囲は、その中に包含されるすべての下位範囲を含むように企図される。複数形は、単数形を含み、逆もまた同様である。「含む」および類似の用語は、制限がなく、つまりそれは「含むがそれらに限定されない」ことを意味する。例えば、本発明を本明細書では特許請求の範囲を含めて「1つの」ポリ尿素/ポリチオ尿素、「1つの」イソシアネート、「1つの」アミン、「1つの」硫黄含有化合物、「1つの」ポリチオール、「1つの」ポリチオエーテル、「1つの」ポリスルフィド、「1つの」触媒等に関して説明してきたが、そのようなものすべての混合物を使用することができる。また、本明細書で使用される用語の「ポリマー」は、プレポリマー、オリゴマーならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を指すことを意味し、接頭辞「ポリ」は、2つ以上を指す。
【実施例】
【0191】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明をいかなる方法によっても限定するものと解釈すべきではない。
【0192】
以下の実施例において、特に明記されていない限り、屈折率およびアッベ数は、ATAGO Co.,Ltd.製の多波長アッベ屈折計モデルDR−M2により測定し、液体の屈折率およびアッベ数は、ASTM−D1218に従って測定し、固体の屈折率およびアッベ数は、ASTM−D−542に従って測定した。
【0193】
粘度は、Brookfield CAP 2000+粘度計を使用して測定した。
【0194】
SH当量は、次の手順を用いて測定した。試料サイズ(0.1mg)の生成物を50mLのテトラヒドロフラン(THF)/プロピレングリコール(80/20)と混合し、室温でその試料が実質的に溶解するまでかき混ぜた。かき混ぜている間に25.0mLの0.1Nヨウ素溶液(これはAldrich 31から購入した、8898−1)をその混合物に加え、次いで5〜10分間にわたって反応させた。この混合物に、2.0mLの濃塩酸を加えた。その混合物を、次いで、ミリボルト(mV)モードで、0.1Nチオ硫酸ナトリウムで電位差滴定をした。まず、この生成物試料を使って行った様式と同じ様式で、ヨウ素25.0mL(これは、濃塩酸1mLを含む)をチオ硫酸ナトリウムで滴定することにより、ブランク値を得た。
【0195】
【数1】

(実施例1)
ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)とプロパルギルアルコール(PA)との2/1(モル/モル)付加物(ポリチオールH)の合成
磁気攪拌機を備えたガラス製ジャー中で、154.0gの日曹丸善(日本)製のDMDS(1.0モル)および28.0gのAldrich製のPA(0.5モル)を室温でかき混ぜた。次いでこの混合物を、オイルバスを用いて60℃まで加熱した。その混合物を攪拌しながらこの温度で30分間保った。発熱反応が起こり始め、短時間で80℃までの反応混合物の温度の上昇がもたらされた。この発熱反応は30分後には終了し、その反応温度は加熱バスの温度の60℃まで下がった。ラジカル開始剤VAZO(DuPontから入手可能)の64.50mg、275ppmを、その混合物を60℃で攪拌しながら5時間の間隔で3回加えた。その生成物の当量重量は、Mn=363に基づいて、181.5g/当量(理論値182g/当量)であった。VAZO64の50mg、275ppmを再度加え、その混合物を攪拌しながら60℃でさらに5時間加熱した。当量重量の測定は、変化を示さず、反応は完了したものとみなした。その材料の粘度は、258cPs(25℃)、nD=1.627、アッベ36、nE=1.631、アッベ36であった。収率は定量的であった。
【0196】
(実施例2)
(DMDS)と1,3−ジイソプロペニルベンゼン(DIPEB)との2/1(モル/モル)付加物(ポリチオールB)の合成
524.6gのDMDS(3.4モル)をガラス製のジャーに仕込み、その中身を60℃に加熱した。そのジャーに269.0gのDIPEB(1.7モル)をかき混ぜながらゆっくり加えた。DIPEBの添加が完了した時点でそのジャーを60℃に加熱したオーブンに2時間にわたって入れて置いた。その後0.1gのVAZO52をそのジャーの中身に溶解し、そのジャーをオーブンに戻した。20時間後、得られた試料を−SH当量について滴定し、145g/モルの当量重量を有することが分かった。0.1gのVAZO52をその反応混合物に溶解し、次いでそれをオーブンに戻した。8時間の間に0.2gのVAZO52の2回の添加を行い、その反応混合物を60℃のオーブン中にその時間枠を超えて保った。VAZO52の最後の添加の後17時間をかけ、得られた試料を滴定すると238g/当量の当量重量(理論値233g/当量)であった。その材料の25℃での粘度を測定し、490cPsであることが分かった。その収率は定量的であった。
【0197】
(実施例3)
ポリチオールBとPAとの2/1(モル/モル)付加物(ポリチオールE)の合成
200.0gのポリチオールB(実施例2により調製したもの)(0.42モル)と11.6gのPA(0.21モル)とを室温でかき混ぜた。この混合物を65℃まで加熱した。ラジカル開始剤VAZO52の42mg、200ppmを、その混合物を65℃で攪拌しながら5時間の間隔で3回添加した。そのSH当量重量は、499g/当量であると測定された。その混合物を65℃でさらに5時間にわたって加熱し、そのSH当量重量を再度測定し、Mn=998に基づいて、499g/当量であると測定された。その混合物の粘度は、463cPs(73℃)、nD=1.620、アッベ36、nE=1.624、アッベ35であった。その収率は定量的であった。
【0198】
(実施例4)
DMDSと5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)との2/1(モル/モル)付加物(ポリチオールV)の合成
77gのDMDS(0.5モル)をガラス製ジャーに仕込み、その中身を60℃に加熱した。このジャーに、30gのVNB(0.25モル)をかき混ぜながらゆっくり加え、その間その混合物の温度を約60℃に保った。その添加が完了した後、その混合物を60℃でさらに30分間にわたって加熱し、0.2gのVAZO67をそのジャーの中身の中に溶解し、そのジャーを20時間にわたって65℃で加熱した。得られた生成物を、ヨウ素を用いる滴定によってSH含量について分析した。216g/当量のSH当量重量(理論値214g/当量)が算出された。その材料の25℃における粘度を測定し、460cPsであることが分かった。得られたその生成物は透明な無色の液体、n=1.607、アッベ39、n=1.610、アッベ39であった。その収率は定量的であった。
【0199】
(実施例5)
ポリチオールのブレンド
ポリチオールのブレンドを、ポリチオールB(実施例2に記載のようにして調製した)とポリチオールE(実施例3に記載のようにして調製した)とを3/2(w/w)の重量比でブレンドして調製した。
【0200】
(実施例6)
ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)三量体
チオール官能性樹脂を下記のようにして調製した:
シアヌル酸トリアリル(167.8g)とDMDO(371.81g)とを混合し、65℃に温め、0.1416gのVAZO67を加えた。その反応を、チオール当量重量を測定することによって1時間ごとに追跡した。VAZO67(ほぼ0.15g)を、該チオール当量重量が250meq/gを超えるまで、各測定の後に添加した。最初の2時間の後温度を85℃に上げ、さらに2時間の後、その反応温度を95℃に上げた。その反応は合計で8時間追跡した。その最後の材料は、95%の測定された固形分含量(110℃、1時間)、257meq/gのチオール当量重量およびゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して5858のMwを有した。このようにして調製されたDMDO三量体は、本明細書に概略的に教示されている該アミン成分中で該三量体を使用することによって本発明に従うコーティング中に組み込むことができる。別法では、該DMDO三量体は、プレポリマー中に配合し、イソシアネート成分中で使用することができる。
(実施例7〜12)
実施例12における「A」サイドとして使用するためのイソシアネート官能性ポリチオウレタンは、下記のようにして調製した:
193.6グラムのイソホロンジイソシアネート、180グラムのTHIOPLAST G4(AKZO Nobelから入手可能なメルカプタン末端ポリジスルフィド混合物)、および136.8グラムのTERATHANE 650(Invistaから入手可能なポリテトラメチレンエーテルグリコール)の全体を、攪拌機、温度プローブ、冷却器および窒素キャップを備えた適当な反応容器に加えた。そのフラスコの中身を十分にかき混ぜた。次いで0.3グラムのジブチルスズジラウレートをその混合物に加えた。その中身をゆっくりと80℃に加熱した。その中身は112℃までの発熱を受けた。その反応を100℃で2.5時間保持した。その中身のイソシアネート当量重量を次に測定し、537であることが分かった。その反応混合物の温度を80℃に下げた。最後に、224グラムのDESMODUR XP2580(Bayer Material Scienceから入手可能なヘキサメチレンジイソシアネートのアロホネート)および225グラムのDESMODUR XP2410(Bayer Material Scienceから入手可能なヘキサメチレンジイソシアネートの非対称三量体)をその反応混合物に加えた。その反応器の中身を冷却して注ぎ出した。その最後の材料は、96%の測定された固形分、Z3の粘度、および266のイソシアネート当量重量を有した。
【0201】
【表1】

実施例7〜11におけるAサイドとして使用するためのイソシアネート官能性ポリウレタンを、以下のようにして調製した:
1348.9グラムのイソホロンジイソシアネート(IPDI)、1901.5グラムのTERATHANE 650の全体を、攪拌機、温度プローブ、冷却器および窒素キャップを備えた適当な反応容器に加えた。そのフラスコの中身を十分にかき混ぜた。次いで0.2グラムのジブチルスズジラウレート(DBTDL)をその混合物に加えた。その中身をゆっくりと80℃に加熱した。その中身は112℃までの発熱を受けた。その反応を100℃で2.5時間保持した。その中身のイソシアネート当量重量を次に測定し、531であることが分かった。その反応混合物の温度を80℃に下げた。最後に、2490.6グラムのDESMODUR XP2580、および2490.6グラムのDESMODUR XP2410をその反応混合物に加えた。その反応器の中身を冷却して注ぎ出した。その最後の材料は、98%の測定された固形分、Yの粘度、および255.8のイソシアネート当量重量を有した。
【0202】
【表2】

顔料混練物を次の表に従って調製した:
【0203】
【表3】

混練物1については、該成分を混合し、モデルHM1.5VSDビーズミル(Premier Mill Inc.)に仕込み、Mill Mates TZP Plus混練媒体(Zircoa Incにより提供)を85%のミル負荷で使用し、2400rpmのミルスピードで混練した。その混練は、粒径がドローダウンしたときグラインドゲージの細かさに関して7.5ヘグマン(Hegman)であることが見出されたとき完了したものと判断した。
【0204】
「B」サイド配合物は、次表に示されているようにして調製した:
【0205】
【表4】

上の表のBサイドの配合物は、混練物1を用い、次いで他の材料との釣り合いにおいて、よく混合するまでブレンドすることによって製造した。そのBサイドの配合物は、個々の小型容器に入れてAサイドの配合物(個々の小型容器中の)とペアとなるようにし、試料が釣り合うことを確保するために、吹き付ける前にオーブン中で2〜6時間にわたって140°Fに加熱した。ポリ尿素コーティング組成物は、Cammda Corporationから入手可能な静的混合管塗布装置中でAサイドの成分対Bサイドの成分を1:1の体積比で混合することによって製造し、パネルに吹き付けた。
【0206】
硬度の値は、AおよびBサイドの成分を、静的混合管と「空気圧式アプリケータ」(PC Cox Limited)を備えた二重銃身の注入器に入れ、その成分を1:1の比率で型に注入して、ほぼ直径が6cmと厚さが0.2cmの円形の「パック」を成形することにより測定した。ポリ尿素コーティングパックの周囲温度における硬度は、モデル212ペンシル型デジタルデュロメータ(Pacific Transducer Corp.)により、ショアDスケールについて測定した。そのパックを140°Fのオーブンに1日置き、冷却を防ぐためにオーブン内に入れたままのパックによりそのコーティングのショアD硬度を測定した。そのパックをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却した。オーブンから出して1日後に周囲温度におけるそれらパックについて硬度を再度測定した。
【0207】
次の表は、得られたコーティングの特性決定の結果を示す:
【0208】
【表5】

(実施例13)
メルカプタンでキャップしたポリチオエーテルの合成
5リットルの4つ口フラスコに2254.49g(12.37モル)のジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)を仕込んだ。そのフラスコを窒素でフラッシュし、中身を60℃に加熱し、攪拌下、1771.35g(11.20モル)のジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)中の1.61g(0.008モル)のラジカル開始剤VAZO−67[2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)]を、温度を60〜65℃に維持しながら5.5時間をかけて加えた。その混合物を次に70℃でさらに1.5時間にわたって攪拌した。反応を完結させるために9つに分けたVazo−67(それぞれ0.901g、0.0046モル)を1時間間隔で加え、その間反応混合物の温度は70℃に維持した。その中身を90℃で2時間加熱し、70℃に冷却して10mmHgで1時間真空排気し、1702の当量重量および54ポアズの粘度(約25℃の粘度および約760mmHgの圧力で、Brookfield CAP 2000粘度計を用いてASTM D−2849 §79−90に従って測定した)を有する薄黄色の液状のポリチオエーテル(4025.84g、収率:100%)を生じた。
【0209】
(実施例14)
イソシアネートでキャップしたポリチオエーテルの合成
5リットルの4つ口フラスコに1932.62g(0.59モル)の実施例13のメルカプタンでキャップしたポリチオエーテルを入れ、その反応フラスコを0.5時間にわたり1mmHgで真空排気し、窒素下で真空を解除した。Rubinate 9433(1210.44g、4.54モル、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、Huntsman Internationalの製品)を加え、15分間にわたって混合した。Polycat 8(0.94g、0.008モル、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、Air Productsの製品)を塩基触媒として加えた。穏やかな発熱が発現し、反応温度を37℃まで上げた。外部加熱なしで攪拌を37〜39℃で0.75時間にわたって継続した。反応混合物を39〜50℃で2時間にわたって加熱した。その反応混合物のメルカプタン当量重量は、この段階で117,660であった。その反応混合物を46℃/10mmHgで1時間にわたって真空排気した。窒素下で真空を解除した後、塩化ベンゾイル(1.26g、0.009モル)の安定剤を添加し、10分間かき混ぜた。その反応生成物は色が黄色であり、415のNCO当量重量および148ポアズの粘度(約25℃の温度および約760mmHgの圧力で、Brookfield CAP 2000粘度計を用いてASTM D−2849 §79−90に従って測定した)を有した。
【0210】
(実施例15)
アミンでキャップしたポリチオエーテルの合成
3リットルの4つ口フラスコに、1703.46(1.47モル)のPermapol(登録商標)L−5534、PRC−DeSoto International,Inc.から市販されているエポキシでキャップしたポリチオエーテル、および628.52(2.94モル)のEthacure 300、Huntsman製のジアミン、を加えた。その中身を真空下(10mmHg)で0.25時間にわたってかき混ぜた。Polycat 8(0.47g、0.0037モル)を加え、その混合物を84〜92℃で10時間にわたって加熱した。その生成物は、色が淡褐色であり、6ポアズの粘度(約25℃の温度および約760mmHgの圧力で、Brookfield CAP 2000粘度計を用いてASTM D−2849 §79−90に従って測定した)を有した。
【0211】
説明のために本発明の特定の実施形態を上で記述してきたが、当業者には明らかなように、本発明の細部の多数の変化が、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明から逸脱することなく可能であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネートおよびイソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む第1成分と、
アミンを含む第2成分と
を含む反応混合物から形成されるポリ尿素およびポリチオ尿素を含むコーティング組成物。
【請求項2】
硫黄含有化合物が、前記第2成分中にある、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記硫黄含有化合物が、アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを含む、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記イソシアネート基の当量対アミンおよびチオール基の当量の比が、1より大きく、前記第1成分および前記第2成分を1:1の体積混合比で基材に塗布することができる、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記イソシアネート基の当量対アミンおよびチオール基の当量の比が、1.01〜1.5:1である、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンが、チオール官能性ポリチオエーテルとイソシアネート官能性化合物との反応生成物である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンが、ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルとイソシアネート官能性化合物との反応生成物である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルが、エポキシ官能性ポリチオエーテルとポリアミンとの反応生成物である、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
基材をコーティングするための方法であって、請求項1に記載のコーティング組成物を前記基材の少なくとも一部に塗布するステップを含む方法。
【請求項10】
請求項1に記載のコーティングにより少なくとも一部がコーティングされている基材。
【請求項11】
前記基材が、乗り物の少なくとも一部を含む、請求項10に記載の基材。
【請求項12】
前記基材が、トラックの荷台を含む、請求項11に記載の基材。
【請求項13】
前記基材が、建造物の少なくとも一部を含む、請求項10に記載の基材。
【請求項14】
イソシアネートを含む第1成分と、
アミンおよびアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを含む第2成分と
を含む反応混合物から形成されるポリ尿素およびポリチオ尿素を含むコーティング組成物。
【請求項15】
硫黄含有化合物が、前記第1成分中にある、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
前記硫黄含有化合物が、イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンである、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
前記イソシアネート基の当量対アミンおよびチオール基の当量の比が、1より大きく、前記第1成分および前記第2成分を1:1の体積混合比で基材に塗布することができる、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
前記イソシアネート基の当量対アミンおよびチオール基の当量の比が、1.01〜1.5:1である、請求項17に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
前記アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルが、エポキシ官能性ポリチオエーテルとポリアミンとの反応生成物である、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項20】
前記イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンが、チオール官能性ポリチオエーテルとイソシアネート官能性化合物との反応生成物である、請求項16に記載のコーティング組成物。
【請求項21】
前記イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンが、ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルとイソシアネート官能性化合物との反応生成物である、請求項16に記載のコーティング組成物。
【請求項22】
基材をコーティングするための方法であって、請求項14に記載のコーティング組成物を前記基材の少なくとも一部に塗布するステップを含む方法。
【請求項23】
請求項14に記載のコーティングにより少なくとも一部がコーティングされている基材。
【請求項24】
前記基材が、乗り物の少なくとも一部を含む、請求項23に記載の基材。
【請求項25】
前記基材が、トラックの荷台を含む、請求項24に記載の基材。
【請求項26】
前記基材が、建造物の少なくとも一部を含む、請求項23に記載の基材。
【請求項27】
イソシアネートおよびイソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む第1成分と、
アミンおよびアミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルを含む第2成分と
を含む反応混合物から形成されるポリ尿素およびポリチオ尿素を含むコーティング組成物。
【請求項28】
前記イソシアネート基の当量対アミンおよびチオール基の当量の比が、1より大きく、前記第1成分および前記第2成分を1:1の体積混合比で基材に塗布することができる、請求項27に記載のコーティング組成物。
【請求項29】
前記イソシアネート基の当量対アミンおよびチオール基の当量の比が、1.01〜1.5:1である、請求項28に記載のコーティング組成物。
【請求項30】
前記イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンが、チオール官能性ポリチオエーテルとイソシアネート官能性化合物との反応生成物である、請求項27に記載のコーティング組成物。
【請求項31】
前記イソシアネート官能性ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンが、ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルとイソシアネート官能性化合物との反応生成物である、請求項27に記載のコーティング組成物。
【請求項32】
前記アミン/ヒドロキシ官能性ポリチオエーテルが、エポキシ官能性ポリチオエーテルとポリアミンとの反応生成物である、請求項27に記載のコーティング組成物。
【請求項33】
基材をコーティングするための方法であって、請求項27に記載のコーティング組成物を前記基材の少なくとも一部に塗布するステップを含む方法。
【請求項34】
請求項27に記載のコーティングにより少なくとも一部がコーティングされている基材。
【請求項35】
前記基材が、乗り物の少なくとも一部を含む、請求項34に記載の基材。
【請求項36】
前記基材が、トラックの荷台を含む、請求項35に記載の基材。
【請求項37】
前記基材が、建造物の少なくとも一部を含む、請求項34に記載の基材。

【公表番号】特表2011−505429(P2011−505429A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514988(P2010−514988)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/067476
【国際公開番号】WO2009/006034
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】