説明

ポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレンの成形物品を製造する方法

15〜40重量%のポリスチレンを含む、ポリ(トリメチレンアリーレート)、特にポリ(トリメチレンテレフタレート)及びポリスチレンの濃縮物が、フィルム、ペレット、および繊維などの成形物品の製造に用いられる。一つの実施形態において、濃縮物は、ポリ(トリメチレンアリーレート)を含むポリマー希釈物と溶融混合されて、0.5〜1.5重量%のポリスチレンを含む紡糸ブレンドを形成し、紡糸ブレンドは、複数の同一のオリフィスを備える紡糸口金を通して押出されて、複数のフィラメントを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/235403号明細書の利益を主張する。さらに、本出願は、「Films of Poly(trimethylene arylate)/Polystyrene Blends」と表題され、CL4791と出願人に指定されている、2009年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/235405号明細書、および「Poly(trimethylene arylate)/Polystyrene Concentrate and Process for Preparing」と表題され、CL4708と出願人に指定されている、2009年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/235399号明細書に関連する。
【0002】
本発明は、ポリ(トリメチレンアリーレート)、特にポリ(トリメチレンテレフタレート)とポリスチレンとを含むポリマーブレンドから溶融紡糸された繊維を製造するマスターバッチ法に関する。この方法は、一般的な商業規模の装置の使用を可能にする。
【背景技術】
【0003】
ボリ(プロピレンテレフタレート)として、または「3GT」ポリマーとしても知られているポリ(トリメチレンテレフタレート)は、当技術分野で周知である。その特性および製造は、The Encyclopedia of Polymer Science、on−line、DOI10.1002/0471440264.pst292においてChuahによって記載されている。
【0004】
J.C.Changら(米国特許第6,923,925号明細書)は、ポリ(トリメチレンジカルボキシレート)、特にポリ(トリメチレンアリーレート)、なかでも特にポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)を、好ましくはポリ(トリメチレンジカルボキシレート)内に分散されかつ2マイクロメートル(μm)未満のPS粒径を有する0.01〜10重量%の高分子量ポリスチレン(PS)と一緒に含む組成物を記載している。1〜2%のPSの濃度範囲の組成物だけが例示されている。全ポリマー重量に基づいて、1〜2重量%のPSを含むPTT組成物は、PSを含まないPTTで達成できるものより有意に速い紡糸速度で繊維に溶融紡糸することができることが見出された。その組成物が調製される方法は、2種類のポリマーのペレットを2軸押出機中に共供給することによって、または所望の比率の2種類のポリマーのペレットのソルトアンドペッパーブレンド(a salt and pepper blend)を作製し、次いで、得られたペレット混合物を二軸押出機中に供給することによった。押出し物は、ストランドとして押出され、ペレットに細断された。次いで、これらのブレンドペレットは、紡糸機に供給されて、繊維を溶融紡糸した。
【0005】
米国特許第4,475,330号明細書には、(a)エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレートおよびテトラメチレンテレフタレートからなる群から選択される2種以上のモノマーのコポリマーならびに/または(b)エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレートおよびテトラメチレンテレフタレートの2種以上のポリマーのブレンドから本質的になるポリエステルフィラメントから製造されたポリエステルマルチフィラメント糸が開示されている。この特許には、ポリエステルと、3〜15%の非晶質のポリマー、好ましくはスチレンポリマーまたはメタクリレートポリマーとのブレンドが記載されている。
【0006】
前掲のChangらの方法は、高い紡糸速度でポリ(トリメチレンジカルボキシレート)糸、特に部分配向糸を製造するために開発された。その発明の利点は、ポリ(トリメチレンジカルボキシレート)および(PS)を含むブレンドを用いて得られた。Changらの方法の商業規模の操業の達成には、いくつかの問題が提起され得る。PSを含むPTT生成物からPSを含まないPTT生成物に商業規模の連続溶融重合器を移行することは非常に費用がかかり得る。サイドストリーム押出機を用いて、1%PS組成物に達するために必要な量のPSを送り込むことは、必要な少比率のPSを送り込むために特別に設計された装置を必要とし得る。
【0007】
本発明の技術である、マスターバッチ、または濃縮物は、従来の繊維紡糸の慣例を上回るかなりの費用節減を示す。さらに、本明細書で記載される組成物は、ポリ(トリメチレンアリーレート)ポリマーから製造された強化成形部品およびフィルムの製造に有用性を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレン濃縮物を、ポリ(トリメチレンアリーレート)を含む希釈物と溶融ブレンドして、ポリマーの全重量に基づいて、0.5〜1.5重量%のポリスチレンを含むポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレン紡糸ブレンドを形成する工程を含み、ポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレン濃縮物は、ポリマーの全重量に基づいて、15〜40重量%のポリスチレンを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による紡糸口金に溶融供給する一実施形態の概略図である。
【図2】本発明による繊維紡糸方法の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施に適切なポリ(トリメチレンアリーレート)ポリマーには、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンイソフタレート)、ポリ(トリメチレンナフタレート)、ならびにそれらの混合物およびコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。一つの実施形態において、ポリ(トリメチレンアリーレート)は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)である。
【0011】
本発明は、ポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレン濃縮物を、希釈ポリ(トリメチレンアリーレート)と溶融ブレンドして、ポリマーの全重量に基づいて、0.5〜1.5重量%のポリスチレンを含むポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレン紡糸ブレンドを形成する工程を含み、ポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレン濃縮物は、ポリマーの全重量に基づいて、15〜40重量%のポリスチレンを含む方法を提供する。本明細書で用いられる場合、「PS」という用語は、ポリスチレンの略語である。
【0012】
一つの実施形態において、ポリ(トリメチレンアリーレート)は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)である。
【0013】
一つの実施形態において、この方法は、紡糸ブレンドを成形オリフィスに移送し、該紡糸ブレンドを、成形オリフィスを通して押出して、押出し物を形成する工程をさらに含む。
【0014】
一つの実施形態において、成形オリフィスは、紡糸口金の複数の成形オリフィスの1つであり、押出し物は、複数のフィラメントである。一つの実施形態において、成形オリフィスは、フィルムダイであり、押出し物はフィルムである。一つの実施形態において、成形オリフィスは、ストランドダイであり、押出し物は1本または複数のストランドであり、この方法は、ストランドをペレットに切断する工程をさらに含む。紡糸口金は通常、しばしば34個で、通常それぞれ直径約0.2〜0.4mmである均一な孔の配列を有する紡糸プレートを有すると特徴付けられる。ストランドダイは、1個または複数の、しかし通常は10個以下の孔を有する金属プレートであり、それぞれの孔は直径約3〜6mmである。すなわち、一般的に言えば、ストランドダイにおける孔の直径は、紡糸口金における孔の直径より約10倍大きい。
【0015】
以下の検討において、ポリ(トリメチレンテレフタレート)の略語である「PTT」という用語は、より大きな総称のポリ(トリメチレンアリーレート)の代わりに用いられる。しかし、本明細書で記載される技術は、他のポリ(トリメチレンアリーレート)ポリマーに容易に適合させることができ、本発明は、ポリ(トリメチレンアリーレート)ポリマーを包含すると考えられる。「PTT」という用語は、少なくとも70モル%のトリメチレンテレフタレート繰返し単位を有するホモポリマーおよびコポリマーを包含することが意味される。
【0016】
PTT繊維の高速溶融紡糸に有用な組成物を調製する際の使用に適したPTT/PSマスターバッチの使用がさらに記載される。
【0017】
特に断りのない限り、ポリマー組成物は、ポリマーの全重量に基づく成分の重量パーセントを単位として本明細書で記載される。組成物中のPSのパーセントは、例えば、PTT、およびその組成物中に取り込まれ得る任意の他のさらなるポリマーを含む、ポリマーの全重量のパーセントとして表される。
【0018】
数値の範囲が与えられる場合、特に断りのない限り、その範囲の端点を包含すると理解されるものとする。数値は、与えられた有効数字の数の正確度を有すると理解されるべきである。例えば、数40は、35.0〜44.9の範囲を包含すると理解されるものとするが、数40.0は、39.50〜40.49の範囲を包含すると理解されるものとする。
【0019】
本発明の目的のために、「コポリマー」という用語は、ジポリマーのみならず、ターポリマー、テトラポリマーなどを包含すると理解されるものとする。
【0020】
一つの態様において、本発明は、PTTおよびその中に分散した15〜40重量%のPSを含む組成物を提供する。本発明の組成物において、PTTは、連続相または「マトリックス」であり、PSは、PTTマトリックス内に分散した非連続相である。本発明によって企図される組成物は、溶融組成物および固体組成物の両方、ならびにそれらの間の任意の遷移状態を含む。一つの実施形態において、PTTは溶融しており、PSは、溶融液滴としてPTTマトリックス内に分散している。代替の実施形態において、PTTは固体であり、PSは、固体粒子としてPTTマトリックス内に分散している。
【0021】
一つの実施形態において、本組成物は、組成物中の全ポリマーの重量を基準として、50〜85重量%のPTT、および15〜40重量%のPS、ならびに最大30重量%の他のポリエステルを含む。他のポリエステルには、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、およびポリ(エチレンナフタレート)が含まれるが、これらに限定されない。さらなる実施形態において、本組成物は、50〜80%のPTT、および20〜30%のPS、ならびに最大30%の他のポリエステル(上記)を含む。
【0022】
適切なPTTポリマーは、1,3−プロパンジオールと、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとの縮合重合によって形成される。それらとの共重合のための1種または複数の適切なコモノマーは、4〜12個の炭素原子を有する直鎖、環状、および分岐の脂肪族ジカルボン酸またはエステル(例えば、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、およびそれらの対応するエステル);テレフタル酸またはエステル以外の、8〜12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸またはエステル(例えば、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸);2〜8個の炭素原子を有する直鎖、環状、および分岐の脂肪族ジオール(1,3−プロパンジオール以外、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および1,4−シクロヘキサンジオール);ならびに4〜10個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族エーテルグリコール(例えば、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、またはジエチレンエーテルグリコールを含めて、約460未満の分子量を有するポリ(エチレンエーテル)グリコール)からなる群から選択される。コモノマーは通常、約0.5〜約15モル%の範囲のレベルで、PTTコポリマー中に存在し、最大30モル%の量で存在し得る。
【0023】
PTTは、少量の他のコモノマーを含むことができ;このようなコモノマーは通常、それらが特性に有意な悪影響を与えないように選択される。このような他のコモノマーは、5−ナトリウム−スルホイソフタレートを、例えば、約0.2〜5モル%の範囲のレベルで含む。非常に少量の三官能コモノマー、例えば、トリメリット酸を、粘度調節のために取り入れることができる。PTTは、最大30モルパーセントの他のポリマーとブレンドされ得る。例は、他のジオール、例えば、上記のものから調製されるポリエステルである。
【0024】
一つの実施形態において、PTTは、少なくとも85モル%のトリメチレンテレフタレート繰返し単位を含む。さらなる実施形態において、PTTは、少なくとも90モル%のトリメチレンテレフタレート繰返し単位を含む。なおさらなる実施形態において、PTTは、少なくとも98モル%のトリメチレンテレフタレート繰返し単位を含む。なおさらなる実施形態において、PTTは、100モル%のトリメチレンテレフタレート繰返し単位を含む。
【0025】
一つの実施形態において、適切なPTTは、0.70〜2.0dl/gの範囲の固有粘度(IV)を特徴とする。さらなる実施形態において、適切なPTTは、0.80〜1.5dl/gの範囲のIVを特徴とする。なおさらなる実施形態において、適切なPTTは、0.90〜1.2dl/gの範囲のIVを特徴とする。
【0026】
一つの実施形態において、適切なPTTは、10,000〜40,000Daの範囲の数平均分子量(Mn)を特徴とする。さらなる実施形態において、適切なPTTは、20,000〜25,000Daの範囲のMnを特徴とする。
【0027】
一つの実施形態において、ポリスチレンは、ポリスチレンホモポリマー、α−メチル−ポリスチレン、およびスチレン−ブタジエンコポリマーならびにそれらのブレンドからなる群から選択される。一つの実施形態において、ポリスチレンは、ポリスチレンホモポリマーである。さらなる実施形態において、ポリスチレンホモポリマーは、5,000〜300,000Daの範囲のMnを特徴とする。なおさらなる実施形態において、ポリスチレンホモポリマーのMnは、50,000〜200,000Daの範囲である。なおさらなる実施形態において、ポリスチレンホモポリマーのMnは、75,000〜200,000Daの範囲である。なおさらなる実施形態において、ポリスチレンホモポリマーのMnは、120,000〜150,000Daの範囲である。有用なポリスチレンは、アイソタクチック、アタクチック、またはシンジオタクチックであり得る。高分子量アタクチックポリスチレンが好ましい。
【0028】
本発明に有用なポリスチレンは、Dow Chemical Co.(Midland、Mich.)、BASF(Mount Olive、N.J.)およびSigma−Aldrich(Saint Louis、Mo.)を含む多くの供給業者から市販されている。
【0029】
本発明の別の態様において、PTTおよびPSは、溶融ブレンドされ、次いで、ストランドの形態で押出され、その後、ペレットに切断される。溶融ブレンドおよびその後の粉砕(例えば、薄片、チップ、または粉末への)の他の形態も行うことができる。一つの実施形態において、ペレットは、次いで再溶融され、さらなるPTTで希釈され、フィラメントに押出される。別の実施形態において、ペレットは再溶融されて、希釈の有無にかかわらず、フィルムに押出される。
【0030】
ポリマーブレンドは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびスチレンポリマーを含む。一部の実施形態において、これらは、ブレンド中でただ2つの材料であり、それらは合計100重量%である。しかし、多くの場合、ブレンドは、商業的使用においてポリエステルポリマーに一般に添加されるような他の成分を有する。このような添加物には、他のポリマー、可塑剤、UV吸収剤、難燃剤、染料などが含まれるが、これらに限定されない。したがって、ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリスチレンの合計は、100重量%でない。
【0031】
一つの実施形態において、本組成物は、固体の形態であり、ここで、ポリスチレンは、500ナノメートル未満の平均粒径を有する粒子の形態であり、ポリスチレンは、20〜30重量%の濃度のポリスチレンホモポリマーであり;およびポリ(トリメチレンアリーレート)は、少なくとも98モル%のトリメチレンテレフタレートモノマー単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)である。
【0032】
さらなる態様において、本発明は、ポリ(トリメチレンアリーレート)および全ポリマー重量に基づいて15重量%〜40重量%のポリスチレンを混合し、ポリ(トリメチレンアリーレート)およびポリスチレンを溶融し、このように溶融したポリ(トリメチレンアリーレート)およびポリスチレンを高せん断溶融混合機で溶融ブレンドして、ポリ(トリメチレンアリーレート)およびその中に分散した、全ポリマー重量に基づいて15〜40重量%の濃度のポリスチレンを含む溶融組成物を生成する工程を含む方法を提供する。
【0033】
この方法の一つの実施形態において、ポリ(トリメチレンアリーレート)はPTTである。
【0034】
この方法の一つの実施形態において、PSは、全ポリマー重量に基づいて20重量%〜30重量%の濃度である。
【0035】
この方法の一つの実施形態において、PTTは、0.90〜1.2dl/gの範囲のIVを特徴とする。
【0036】
この方法の一つの実施形態において、PSは、PSホモポリマーである。
【0037】
この方法のさらなる実施形態において、PSホモポリマーは、75,000〜200,000Daの数平均分子量を特徴とする。
【0038】
この方法の一つの実施形態において、ポリスチレンは、20〜30重量%の濃度のポリスチレンホモポリマーであり、75,000〜200,000Daの数平均分子量を特徴とし;ポリ(トリメチレンアリーレート)は、98モル%のトリメチレンテレフタレートモノマー単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)であり、その固有粘度は、0.90〜1.2dl/gの範囲である。
【0039】
PTTおよびPSは、限定されるものではないが、以下を含む任意の公知の技術によって溶融ブレンドされ得る。例えば、共供給二軸押出機におけるように、別個の供給から同時に溶融して混合する工程を含む実施形態(a);例えば、二軸押出機に供給する前にポリマーのペレットもしくは薄片をタンブルブレンドするように、溶融ブレンドする前に別個の装置で未溶融ポリマーを予備混合する工程を含む実施形態(b)、または例えば、二軸押出機に連続溶融重合器から溶融形態のPTTを供給し、その二軸押出機にサテライト単軸または二軸押出機から溶融形態のPSを供給するように、それぞれのポリマーを別個に溶融させ、次いで、その溶融物を混合する工程を含む実施形態(c)。
【0040】
本明細書の組成物の重要な態様には、PTTマトリックス内で形成されたPS粒子の粒径、およびPTTマトリックス内のPS粒子分布の体積均一性が含まれるが、これらに限定されない。500nmより大きい平均粒径は、良好な繊維紡糸性能の観点から望ましくない。さらに、単一端に沿って、および端から端までの両方で均一な繊維の紡糸は、PS粒子の体積配分の均一性に明らかに依存する。その実際の溶融処理において、PS粒子は溶融して、溶融PTTマトリックス内に分散している溶融液滴を形成することが予想される。
【0041】
溶融混合機における温度は、PTTおよびPSの両方の融点を超えているが、しかし、いずれの成分の最低分解温度より低くなければならない。具体的な温度は、用いられるポリマーの特定の属性に依存する。通常の実施において、溶融温度は、200℃〜270℃の範囲である。
【0042】
PSの細粒径およびPTT中のPSの分散の体積均一性は、高せん断の溶融ブレンドの適用に依存する。これは特に、この組成物に用いられるPSの高い濃度に当てはまる。溶融物に適用されるせん断力の量は、混合要素の回転速度、溶融物の粘度、および混合ゾーン中の溶融物の滞留時間に依存する。せん断力が低すぎる場合、そもそもPSが分散しないか、または粒径500nmを超える液滴に急速に凝集する傾向がある。
【0043】
溶融ブレンドプロセスは、回分式および連続式の両方で行われ得る。ポリマー配合の技術分野で一般に用いられているようないわゆる高せん断混合機が、適切である。適切な市販の高せん断バッチ混合機の例には、バンバリーミキサーおよびブラベンダーミキサーが含まれるが、これらに限定されない。連続式高せん断混合機の例には、共回転二軸押出機およびファレル連続式混合機が含まれる。逆回転二軸押出機も適切である。一般に、適切な高せん断混合機は、50/sの最低せん断速度をポリマー溶融物に対して発揮するものであり、100/sが好ましい。
【0044】
一つの実施形態において、そのように作製されたPTT/PSブレンドは、直径約1/8インチ〜3/16インチの1本または複数のストランドに押出され、次いで、ペレットに切断される。
【0045】
そのように作製されたペレットは、注入または圧縮成形、およびフィルムの溶融キャスティングにおいてそのまま用いることができる。そのように作製されたペレットは、溶融紡糸繊維の製造に有用な濃縮物またはマスターバッチとして用いることもできる。
【0046】
そのように作製されたペレットは、上記のPTTポリマーおよび上記のPSポリマーを含み、PSポリマーは、PTTポリマーによって形成される連続相に分散した粒径500nm未満またはそれに等しい粒子の形態である。一つの実施形態において、PS粒子の濃度は、15〜40重量%の範囲である。さらなる実施形態において、PS粒子の濃度は、20〜30重量%の範囲である。これらのペレットは、「濃縮ペレット」として知られているものとする。
【0047】
本発明のさらなる態様において、濃縮ペレットは、PTT希釈物と溶融ブレンドされて、濃縮物にみられるよりも低い濃度のPSを有する均一な溶融ブレンドを形成する。PTT希釈物は、PSを含んでも、含まなくてもよいが、PSを含む場合、その濃度は、濃縮ペレットでみられるものよりも低い。本発明の実施において、濃縮ペレットは、希釈PTTと混合されて、0.5〜1.5%のPSを含む均一な組成物を形成する。この組成物は、「紡糸ブレンド」として知られているものとする。
【0048】
代替の実施形態において、濃縮物および希釈物の両方は、ペレットの代わりに、チップ、薄片、または粉末の形態であってもよい。本明細書での検討において、ペレットが説明される場合はいつでも、その代替の形態のいずれかまたはすべてが、それに置き換わることができる。しかし、ポリマー成分が、チップ、薄片、または粉末よりもペレットとして供給される場合、押出し加工性能は最良であることが、ポリマー技術分野において見出される。
【0049】
上記した、PSおよびPTTを溶融ブレンドする場合におけるように、PTT希釈物および濃縮ペレットは、任意の様々な方法で混合され得る。一つの実施形態において、希釈物は、最初にはペレットの形態である。さらなる実施形態において、希釈物および濃縮物のペレットは、最初にタンブルブレンドされて、そのように形成されたペレットブレンドは、回分式または連続式のいずれかで、高せん断溶融混合機に供給される。代替の実施形態において、希釈物は、溶融物の形態であることができ、濃縮ペレットは、その中に高せん断混合機で供給される。
【0050】
一つの実施形態において、希釈物は、二軸押出機に連続溶融重合器からの溶融物として供給され、希釈物の導入点から下流において、濃縮ペレットは、濃縮物を溶融し、希釈溶融ストリーム中に溶融形態で供給するサテライト押出機に供給される。この実施形態は、図1に概略的に示される。PTTは、連続溶融混合器1で作製され、そこから二軸押出機3に移送ライン2を介して溶融形態で移送される。同時に、濃縮ペレットは、サテライト押出機5にロスインウェイト式定量供給機4、または他のペレットフィーダ手段を介して供給され、そこで、濃縮ペレットは、溶融され、二軸押出機3の混合ゾーンでまたはそれより上流で、二軸押出機3に移送ライン6を介して溶融形態で供給される。二軸押出機において、濃縮物および希釈物のPTT/PS溶融ブレンドが形成される。得られた溶融ブレンドは、紡糸口金を備える紡糸ブロック8に、移送ライン7を介して供給され、そこから連続フィラメント9が押出される。
【0051】
代替の実施形態において、得られたPTT/PS溶融ブレンドは、ストランドとして押出され、その後、ペレットに切断される。そのように形成されたペレットは、「PTT/PSブレンドペレット」と呼ばれるものとする。次いで、PTT/PSブレンドペレットは、押出機に供給されて、溶融され、繊維の溶融紡糸用の紡糸口金に供給され得る。
【0052】
一つの実施形態において、上記の、濃縮物を希釈物と混合することにより形成されるPTT/PSブレンドペレット中のPSの濃度は、0.5〜1.5重量%の範囲である。前掲のChangらに記載されたように、そのように形成されたPTT/PSブレンドペレットは、PSを含まないPTTペレットよりも高速で溶融紡糸される能力を示す。
【0053】
図1に示されるように、およびポリマー繊維の溶融紡糸に一般に当てはまるように、ポリマー溶融物は、移送ラインを介して紡糸口金に供給される。押出機から移送ラインへの溶融物の流入は、一般に非常に乱流である。しかし、紡糸口金の供給は、紡糸口金における複数の孔を通して均一な流れを得るために、層流でなければならない。移送ラインにおいて、溶融物の流れが乱流から層流に移行する。
【0054】
それを超えると許容されない程度のPS凝集が生じ、PS液滴サイズが500nmを超え、したがって、所望の高い紡糸速度の達成を妨げるPSの限界濃度があることが、本発明の実施において見出された。限界濃度の特定の値は、移送ラインの長さ、PSおよびPTTの粘度、ならびに移送ラインにおける溶融物の滞留時間に依存する。
【0055】
いずれの理論的な考慮によっても制限されないが、本組成物の紡糸組成物の層流の理論的モデルは、それ未満で凝集および粒子成長が起こらないPSの臨界濃度が存在することを示す。その領域においてこの方法を実施することが望ましい。必要とされる濃度の具体的な値は、層流中で溶融物に適用されるせん断速度および滞留時間に依存する。例えば、移送ライン中で見出される5/sのせん断速度および6秒の滞留時間で、PSの必要とされる濃度は、1.2%であることがわかる。
【0056】
繊維紡糸は、広く商業的に使用されている従来の装置および手順を用いて行われ得る。実際問題として、3dpf以下の細デニールフィラメントのフィラメントの紡糸について、>3%のPS濃度は、そのように製造された繊維の機械的特性の劣化につながることがわかる。5%のPSで、細デニールフィラメントは、まったく溶融紡糸することができないことがさらにわかる。
【0057】
繊維紡糸に適したPTT/PS紡糸ブレンドは、500nm未満の平均粒径を特徴とするPS粒子の0.5〜1.5重量%の範囲の濃度を特徴とする。溶融紡糸前に、ポリマーブレンドペレットは、<30ppmの水分レベルに乾燥させて、溶融紡糸中の加水分解による劣化を回避する。当技術分野で知られている乾燥のための任意の手段が十分である。一つの実施形態において、循環熱風乾燥機が用いられる。通常、PTT/PSブレンドは、130℃および露点<−40℃で6時間乾燥させる。このように乾燥させたPTT/PSポリマーブレンドは、バルク連続フィラメント(BCF)、部分配向糸(POY)、スピンドローヤーン(SDY)、およびステープル繊維に応じて従来の処理機械を用いて、繊維に250〜265℃で溶融紡糸される。
【0058】
一つの実施形態が以下に詳細に記載される、通常の溶融紡糸法において、乾燥ポリマーブレンドペレットは、押出機に供給され、押出機がペレットを溶融し、得られた溶融物を計量ポンプに供給し、容量的に制御された流量のポリマーを、移送ラインを介して加熱された紡糸パック中に送る。ポンプは、10〜20MPaの圧力を与え、数ミクロンメートルより大きいすべての粒子を除去するろ過媒体(例えば、砂床およびフィルタースクリーン)を収容する紡糸パックを通してその流れを押し進めなければならない。紡糸口金を通る質量流量は、計量ポンプで制御される。パックの底部において、ポリマーは、金属の厚いプレート(紡糸口金)中の複数の小さい孔を通して空気急冷ゾーン中に出る。孔の数およびその寸法は大きく変わり得るが、通常は一個の紡糸口金の孔は、0.2〜0.4mmの範囲の直径を有する。そのサイズの孔を通る通常の流量は、約1〜5g/分の範囲である傾向がある。多数の断面形状が紡糸口金の孔に用いられるが、円形断面が最も一般的である。通常、それを通って紡糸されたフィラメントが巻かれる高度に制御された回転ロール系により、ライン速度が制御される。フィラメントの直径は、流量および巻き取り速度によって決定され;紡糸口金の孔のサイズによらない。
【0059】
製造されたフィラメントの特性は、スレッドライン動力学によって、特に、紡糸口金からの出口と急冷ゾーンとして知られている繊維の凝固点との間の領域で決定される。急冷ゾーンの具体的な設計、まだ運動性を帯びた新生の繊維を横切る空気流量は、急冷された繊維の特性に非常に大きな影響を与える。横(または側方)急冷および放射状急冷の両方が、一般に使用されている。急冷または凝固後、繊維は、巻取り速度で走行し、これは通常、紡糸口金の孔からの出口速度より100〜200倍速い。したがって、紡糸口金の孔からの出現後にスレッドラインのかなりの加速(および伸張)が生じる。紡糸された繊維中に凝固した配向の量は、凝固点における繊維中の応力レベルに直接関係する。
【0060】
一つの実施形態において、本方法は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)/ポリスチレン濃縮物を、ポリ(トリメチレンテレフタレート)を含む希釈物と溶融ブレンドして、ポリマーの全重量に基づいて、0.5〜1.5重量%のポリスチレンを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)/ポリスチレン紡糸ブレンドを形成する工程を含み、該ポリ(トリメチレンテレフタレート)/ポリスチレン濃縮物は、ポリマーの全重量に基づいて、20〜30重量%のポリスチレンを含み;該ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、少なくとも98%のトリメチレンテレフタレートモノマー単位を含み、該ポリ(トリメチレンテレフタレート)の固有粘度は、0.9〜1.2dl/gの範囲であり;該ポリスチレンは、75,000〜200,000Daの範囲の数平均分子量を特徴とするポリスチレンホモポリマーである。
【0061】
さらなる実施形態において、本方法は、溶融紡糸ブレンドをストランドダイに移送し、少なくとも1本のストランドを押出し、該ストランドをペレットに切断する工程をさらに含む。
【0062】
代替のさらなる実施形態において、本方法は、溶融紡糸ブレンドを紡糸口金に移送し、それから複数のフィラメントを押出す工程をさらに含む。
【0063】
本発明は、以下の具体的な実施形態によってさらに説明されるが、それらによって限定されない。
【実施例】
【0064】
実施例1〜6
Sorona(登録商標)Bright PTT樹脂(1.02IV、DuPont Company、Wilmington、DEから入手できる)のポリトリメチレンテレフタレートを、ポリスチレン(168M KG2、BASFから入手できる)と表1に示す量で混合した。PTTを使用前に、窒素パージとともに真空オーブン中120℃で14時間乾燥させた。これらの2種のポリマーを、Werner & Pfleiderer ZSK−30共回転二軸押出機の第4バレル区画に別個にロスインウェイト式に定量供給した。用いた供給速度は、1時間当たりポンド(pph)で表1に示す。押出機は、2つの混練ゾーンおよび3つの移送区画を交互配置で備えた13のバレル区画で構成された30mm直径のバレルを有し、32のL/D比を有した。それぞれのバレル区画は独立に加熱した。区画1〜4は25℃に設定し、区画5〜13は210℃に設定し、3/16インチのストランドダイも210℃に設定した。バレルセグメント8に真空をかけた。スクリュー速度は表1に示すとおりであった。表1はまた、供給物の組成、生産の速度、および溶融温度を示す。ポリマーは、ダイを出た直後に水中で急冷し、次いで、標準的なペレット装置を用いて1/8インチペレットにペレット化した。
【0065】
【表1】

【0066】
実施例7
Sorona(登録商標)Semi Dull PTT樹脂(1.02IV−0.3重量%TiO2、Dupont Companyから入手できる)を、8重量%の実施例1〜6のポリスチレンと混合した。PTTを実施例1〜6におけるように使用前に乾燥させた。独立して加熱される10のバレル区画を備えた40mm共回転二軸押出機(Werner & Pfleiderer Corp.、Ramsey、NJ)の第2のバレル区画に、2種のポリマーを、すなわちPTTを184pphでおよびPSを16pphでロスインウェイト式定量供給機(それぞれ、PTTおよびPSに対して、K−tron S−200単軸フィーダおよびK−tron K2ML−T20二軸スパイラルフィーダを用いて)によって独立に供給した。スロート温度は50℃であり、バレル区画1〜4は、230℃に設定し、バレル区画5は225℃に設定し、バレル区画6〜9は200℃に設定し、パレル区画10は245℃に設定し、3/16インチの孔を備えた6−孔のストランドダイは、245℃に設定し、この加熱プロファイルを用いる溶融温度は255℃であった。6本の生産ストランドを水により急冷し、1/8インチのペレットにペレット化した。
【0067】
図1に示す連続溶融重合器をロスインウェイト式ペレット定量供給機で置き換えた以外は、紡糸プロセスは、図1および図2に示すとおりであった。図1を参照すると、Sorona(登録商標)Semi DullのPTT樹脂のペレットを上記したとおりに、希釈ポリマーとして用いた。ペレットを28mm共回転二軸押出機(Werner & Pfleiderer Corp.、Ramsey、NJ)に41.58g/分で供給した。同時に、8重量%の上記の調製したPS/PTTペレットを、独立に加熱される4つのバレル区画を有するサテライト押出機(Prism共回転二軸押出機、Thermo Scientific、Waltham、MA)5に、ロスインウェイト式定量供給機4を介して供給した。バレル区画1を250℃に設定し、バレル区画2〜4を260℃に設定した。260℃に設定したギアポンプにより8重量%のPS/PTTポリマー溶融物を、28mmの押出機3に、4.62g/分の速度で、バレル区画2において送った。28mmの二軸押出機は、265℃に設定した10のバレル区画を備えていた。ダイ出口において得られた溶融温度は、265℃であった。28mm二軸押出機において、8重量%のPS/PTT溶融ブレンドの濃縮物および希釈PTT溶融物を混合して、0.8重量%のPS/PTTポリマー溶融ブレンンドを形成し、これを、34個の孔の紡糸口金にサンドフィルター(50/325メッシュ層の上に25/50層)が入っているスピンパック8に、移送ライン7を介して供給した。孔は、円形断面、ならびに直径0.012インチおよび長さ0.022インチからなり、それから1フィラメント当たり2.2デニールの連続糸を押出した。
【0068】
図2は、繊維紡糸プロセスの概略図である。34本のフィラメント22は、紡糸口金21を通して押出した。フィラメントは、冷却ゾーン23を通過し、束に形成され、仕上げアプリケータ24の上を通過した。冷却ゾーンは、室温および60%相対湿度ならびに40フィート/分の速度の直交流急冷空気を備えていた。仕上げアプリケータ24に続いて、フィラメント束は、75℃に設定した一対のフィードロール25に移動した。フィラメント束は、フィードロールの周りに6回巻かれた。フィードロールから、フィラメント束は125℃に設定した一対の延伸ロールに移動し、延伸ロールの周りに8回巻かれた。延伸ロール速度は4500m/分であったが、フィードロール速度は2000m/分であった。延伸ロールから、フィラメント束は、室温および延伸ロール速度よりも1〜2%速い速度で運転される一対の降下ロール27に移動させた。フィラメント束を降下ロールの周りに10回巻き取った。降下ロールから、フィラメント束は、交絡ジェットを通過し、そこから、4445m/分で運転される巻き上げ装置に移動した。そのように製造した繊維は、2.84g/デニールの強度とともに、2.32dpfで特徴付けられた。
【0069】
実施例8
Sorona(登録商標)Bright PTT樹脂を、20重量%の実施例1〜6のポリスチレンと混合した。PTTを、実施例1〜6におけるように使用前に乾燥させた。独立に加熱される13のバレル区画を備えたWerner & Pfleiderer ZSK−30共回転二軸押出機の第4のバレル区画中に、2種のポリマーを、すなわちPTTを28pphでおよびPSを7pphでロスインウェイト式定量供給機によって独立に供給した。スロート温度および第1のバレル温度は190℃に設定し、次に続く12の区画は210℃に設定した。ポリマーを3/16インチの孔を有する単一のストランドダイを通して押出した。次いで、ポリマーストランドを水により急冷し、1/8インチのペレットにペレット化した。
【0070】
約10gのそのように調製したペレットを0.006インチ厚のポリ(テトラフルオロエチレン)で被覆したガラス繊維製離型シートの2枚のシート間に置いた。次いで、これらのシートを液圧プレス(PHI、City of Industry、CA)の圧盤間に置いた。ペレットが溶融し、圧力が安定化するまで、プレスを260℃および4.5psiゲージ圧に加熱した。次いで、圧力を22.5psiゲージ圧に上昇させ、5分間保持した。次いで、圧力を解放し、離型シートをプレスから取り除き、氷水浴中に入れた。0.010インチ未満の厚さを有するフィルムを離型シートからはずし、ポリスチレンを含有しないPTTペレットからできている同様のシートと比較した。20%ポリスチレンで作製したフィルムは、ポリスチレンを含まないフィルムよりも不透明であったが、脆性および引張り特性に関連して触感は同じであった。
【0071】
実施例9
0.4ポンドの実施例8で製造したPTT/PSペレットを、PSを含まない9.6ポンドのSorona(登録商標)Bright PTT樹脂ペレットと混合した。得られたペレット混合物を、28mm直径のバレルおよびそれぞれ240℃に設定した6つのバレルセグメントを有するWerner & Pfleiderer押出機に供給した。スクリュー速度は150rpmであった。268℃の溶融温度は、押出機の出口で手動により決定した。押出機の生産物を、239℃に設定した10インチのコートハンガーフィルムダイに供給した。ダイギャップを0.010インチに設定し、ダイ圧は296psiであった。フィルムは水冷回転キャスティングドラム上に投じられ、そこから、1分間当たり8フィートで運転する巻き上げ装置に向けられた。このように調製したフィルムは、0.002インチの均一な厚さを示すことがわかり、幅は10インチであった。そのように製造したフィルムの部分を透過型電子顕微鏡(TEM)により調べた。目視検査によって、圧倒的多数のPS粒子は、150nmの粒径で特徴付けられた。
【0072】
実施例10
Sorona(登録商標)Semi DullのPTT樹脂を、20重量%の実施例1〜6のポリスチレンと混合した。PTTを、実施例1〜6におけるように使用前に乾燥させる。独立に加熱される10のバレル区画を備えた40mm共回転二軸押出機(Werner & Pfleiderer Corp.、Ramsey、NJ)の第2のバレル区画に2種のポリマーを、すなわちPTTを160pphでおよびPSを40pphでロスインウェイト式定量供給機(それぞれ、PTTおよびPSに、K−tron S−200単軸フィーダおよびK−tron K2ML−T20二軸スパイラルフィーダ、K−Tron International,Inc.、Pitman、NJを用いて)によって独立に供給する。スロート温度は50℃であり、バレル区画1〜4は230℃に設定し、バレル区画5は225℃に設定し、バレル区画6〜9は200℃に設定し、バレル区画10は245℃に設定する。3/16インチの孔を備えた、6−孔のストランドダイは、245℃に設定する。6本の生産ストランドを、水により急冷し、1/8インチのPTT/20%PSペレットにペレット化する。
【0073】
図1に示す連続溶融重合器をロスインウェイト式ペレット定量供給機で置き換える以外は、紡糸プロセスは、図1および図2に示すとおりである。図1を参照すると、Sorona(登録商標)Semi DullのPTT樹脂のペレットを、28mm共回転二軸押出機(Werner & Pfleiderer Corp.、Ramsey、NJ)に44.35g/分で供給する。同時に、前段落のPTT/20%PSペレットを、独立に加熱される4つのバレル区画を有するサテライト押出機(Prism共回転二軸押出機、Thermo Scientific、Waltham、MA)5に、ロスインウェイト式定量供給機4を介して供給する。バレル区画1を250℃に設定し、バレル区画2〜4を260℃に設定する。260℃に設定したギアポンプにより、8重量%のPS/PTTポリマー溶融物を28mm押出機3に、バレル区画2において、1.85g/分の速度で送る。28mm二軸押出機は、265℃に設定した10のバレル区画を備える。28mm二軸押出機において、20重量%のPS/PTT溶融ブレンドの濃縮物および希釈PTT溶融物を混合して、0.8重量%のPS/PTTポリマー溶融ブレンドを形成し、これを、34孔の紡糸口金に対してサンドフィルター(50/325メッシュ層の上に25/50層)が入っている紡糸パック8に、移送ライン7を介して供給する。孔は、円形断面ならびに直径0.012インチおよび長さ0.022インチからなっており、それから、フィラメント当たり2.2デニールの連続糸が押出される。
【0074】
図2は、繊維紡糸プロセスの概略図である。34本のフィラメント22は、紡糸口金21から押出される。フィラメントは、冷却ゾーン23を通過し、束に形成され、仕上げアプリケータ24の上を通過する。冷却ゾーンは、室温および60%相対湿度ならびに40フィート/分の速度の直交流急冷空気を備える。仕上げアプリケータ24に続いて、フィラメント束は、75℃に設定した一対のフィードロール25に移動する。フィラメント束は、フィードロールの周りに6回巻かれる。フィードロールから、フィラメント束は、125℃に設定した一対の延伸ロールに移動し、延伸ロールの周りに8回巻かれる。延伸ロール速度は4500m/分であるが、フィードロール速度は2000m/分である。延伸ロールから、フィラメント束は、室温および延伸ロール速度より1〜2%速い速度で運転される一対の降下ロール27に移動する。フィラメント束は降下ロールの周りに10回巻かれる。降下ロールから、フィラメント束は、交絡ジェットを通過し、そこから、4445m/分で運転される巻き上げ装置に移動する。そのように製造された繊維は、2.84g/デニールの強度とともに、2.32dpfで特徴付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレン濃縮物を、ポリ(トリメチレンアリーレート)を含む希釈物と溶融ブレンドして、ポリマーの全重量に基づいて、0.5〜1.5重量%のポリスチレンを含むポリ(トリメチレンアリーレート)/ポリスチレン紡糸ブレンドを形成する工程を含み、前記ポリ(トリメチレンアリールレート)/ポリスチレン濃縮物は、ポリマーの全重量に基づいて、15〜40重量%のポリスチレンを含む方法。
【請求項2】
前記紡糸ブレンドを成形オリフィスに移送し、前記紡糸ブレンドを前記成形オリフィスを通して押出して、押出し物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリ(トリメチレンアリーレート)が、ポリ(トリメチレンテレフタレート)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)が、少なくとも98モル%のトリメチレンテレフタレートのモノマー単位を含み、その固有粘度が、0.90〜1.2dl/gである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記成形オリフィスが、紡糸口金の複数の成形オリフィスの1つであり、前記押出し物が、複数のフィラメントである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記成形オリフィスが、ストランドダイであり、前記押出し物が、1本または複数のストランドであり、前記方法が、前記ストランドをペレットに切断する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記成形オリフィスが、フィルムダイであり、前記押出し物がフィルムである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ペレット中のポリスチレンが、500nm未満の平均粒径を有する粒子の形態である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記濃縮物が、ポリマーの全重量に基づいて、20〜30重量%のポリスチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリスチレンが、ポリスチレンホモポリマーである。請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリスチレンが、前記濃縮物中20〜30重量%の濃度のポリスチレンホモポリマーであり、および75,000〜200,000Daの数平均分子量を特徴とし;前記方法が、前記溶融紡糸ブレンドをストランドダイに移送し、少なくとも1本のストランドを押出し、前記ストランドをペレットに切断する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリスチレンが、前記濃縮物中20〜30重量%の濃度のポリスチレンホモポリマーであり、および75,000〜200,000Daの数平均分子量を特徴とし;前記方法が、前記紡糸ブレンドを、複数の成形オリフィスを備える紡糸口金に移送し、複数のフィラメントを押出す工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−502496(P2013−502496A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525717(P2012−525717)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/046116
【国際公開番号】WO2011/022616
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】