説明

ポンプのノズルヘッド

【課題】 本発明は、ポンプ付き容器で最も目立つノズル口にバージン機能を付与することにより、容器の内容液が一度も吐出されたことがないのか、既に吐出されたことがあるのかを、簡単に識別できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 ノズル筒3内に抜け出し不能に組付く装着部20と、ノズル口5を外側から塞ぐ識別部13と、この識別部13を装着部20に破断可能に連結する連結片19とで未使用識別体12を構成し、識別部13を、それ単独ではノズル口5に組付け不能に構成し、識別部13の有無により、ポンプ付き容器の使用、未使用を簡単に識別し、優れたバージン機能を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容液を収容した容器本体の上端の口筒部に組付けられ、押し下げ操作により内容液を吐出するポンプのノズルヘッドに関するもので、さらに詳言すれば、バージン機能を発揮するポンプのノズルヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、リンス、ボディソープ、ハンドソープ、さらには化粧液等の内容液を収容した容器に組付けられ、ノズルヘッドを押し下げることにより内容液を吐出するポンプは、そのノズルヘッドの構造を、ノズル筒を比較的大きく横外方に延出させたものとし、これにより吐出された内容液が、直接手のひら等の目的箇所に吐出されるようにしている。
【0003】
この上記したポンプのノズルヘッドの一般的な構造(以下、図1参照)は、上面を手による押し上げ面としたヘッド本体2の側面に、わずかに湾曲下降しながら横外方に延出するノズル筒3を設け、ヘッド本体2に、上端部にノズル筒3のノズル通路4を開放させたヘッド首筒6を垂下設して構成されている。
【0004】
このノズルヘッド1は、ポンプの主体部分の一部である、ボール弁9を内装したステム8の上端部に、そのヘッド首筒6で密に外嵌組付きし、ノズルヘッド1の押し下げに伴うステム8の下降変位により、ボール弁9を開放して内容液を吸い上げ、この吸い上げた内容液を、ノズル筒3を通して、目的とする箇所に吐出するものとなっている。
【0005】
なお、ノズルヘッド1に設けられたガイド筒7とポンプの主体部分側に設けられた支持筒10との組合せ物は、ノズルヘッド1の昇降変位姿勢を、妄りに傾くことなく、安定して一定に保持するためのものである。
【0006】
このノズルヘッドを組付けたポンプ付き容器の商品としての品質保証を確保する手段として、特許文献1に示された従来技術、すなわちノズルヘッドの押し下げを不能としてバージン機能を発揮させるストッパーを、ガイド筒の下端縁に接触させて、支持筒に外嵌組付けする技術が知られている。
【0007】
この従来技術は、ストッパーによりノズルヘッドの下降動作を不能として、不正稼動を不可として高いバージン機能を発揮し、使用時には、ストッパーの一部を破断して取り外し、この状態でノズルヘッドを押し下げて内容液の吐出を行うのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平06−081653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した従来技術は、確かに高いバージン機能を発揮するのであるが、一部を破断して取り外されたストッパーを、再装着すると、一見しただけでは、その再装着を看破でき難い場合があると云う不満があり、内容液を一度でも吐出したこの種の容器は、簡単に識別することができるもの、およびより高いバージン機能を発揮するものとしてほしい、と云う要望が寄せられている。
【0010】
そこで本発明は、上記した従来技術における要望を満たすべく創案されたもので、ノズル口にバージン機能を付与することを技術的課題とし、もってその容器の内容液が一度も吐出されたことがないのか、既に吐出されたことがあるのかを、簡単に識別できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術的課題を解決する手段の内、本発明の主たる構成は、
上面を手による押し下げ面としたノズル本体の側面に、横外方に延出するノズル筒を設けたノズルヘッドであること、
ノズル筒内の、少なくとも先端開口部であるノズル口近傍に、未使用識別体を組付けること、
この未使用識別体を、ノズル筒内に、内容液の吐出を妨げることなく、抜け出し不能に挿入組付けされる装着部と、ノズル口を外側から覆って塞ぐ識別部と、この識別部を装着部に引き千切りが容易に結合する連結片とから構成すること、
ノズル本体に、ノズル筒の延出方向側から被せ状に覆って組付いて、ノズル本体の下降変位を不能とするカバーストッパーを設けること、
にある。
【0012】
識別部は、ノズル口を外側から覆って塞いでいるので、この識別部をノズル口から取り除かない限り内容液の吐出は不可能であり、それゆえ内容液の吐出に際しては、連結片を強引に破断して装着部から分離させて、ノズル口から取り外すことになる。
【0013】
識別部は、ノズル口を外側から覆って塞いでいるだけであるので、連結片が破断された状態では、ノズル口に組付くことが難しく、このため一度連結片を破断して装着部から分離された識別部のノズル口への再装着は殆ど不可能となり、それゆえ識別部の有無、若しくは識別部に軽く触れて、ノズル口への装着状態を確認するだけで、容器の使用、未使用を簡単にかつ正確に識別することができる。
【0014】
カバーストッパーは、ノズル本体から取り外さない限りノズルヘッドの下降変位を不能として内容液の不正使用を不能とするので、未使用識別体による未使用識別作用と、カバーストッパーによる不正使用防止作用とにより、高いバージン機能を得ることが可能となる。
【0015】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、カバーストッパーのノズル本体への組付きを、ノズル筒に装着された未使用識別体の識別部を含めて覆うものとした、ものである。
【0016】
カバーストッパーのノズル本体への組付きが、ノズル筒に装着された未使用識別体の識別部を含めて覆うものにあっては、ノズル筒の先端に位置する未使用識別体の識別部を、カバーストッパーが覆って保護する状態となるので、取り扱い時に識別部が他の物品に接触して不本意に分離してしまう、と云う不都合の発生を阻止することができる。
【0017】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、カバーストッパーのノズル本体への組付きを、ノズル筒に装着された未使用識別体の識別部を除いて覆うものとし、ノズル口に対向してカバーストッパーに開口された開口部を、識別部の通り抜けが不能な大きさとした、ものである。
【0018】
カバーストッパーのノズル本体への組付きを、識別部を除いて覆うものとし、カバーストッパーに開口された開口部を識別部の通り抜けが不能な大きさとしたものにあっては、未使用状態で識別部が目立って位置するので、未使用状態の認識が容易であり、使用状態への切替えは、識別部を分離してからカバーストッパーを外す手法の他に、カバーストッパーを外す操作により識別部の分離を行う手法で行うことが可能である。
【0019】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、未使用識別体の識別部を、ノズル口に組付き固着することなくノズル口を外側から覆って塞ぐ口蓋片と、この口蓋片に撓み部を介して連設された摘み片とで構成した、ものである。
【0020】
識別部を、口蓋片と摘み片とで構成したものにあっては、口蓋片がノズル口に組付き固着するものではないので、連結片を破断して装着部から分離させた識別部を、そのままでノズル口に再装着することは殆ど不可能であり、また摘み片を指先で摘んで引っ張ることにより、識別部に強い外力を作用させることが容易となり、これにより連結片の破断を無理なく実施することができ、さらに口蓋片に摘み片が一体設されていることにより、外観上識別部を認識し易い状態となり、これにより識別部による識別判断を、ごく自然に行わせることになる。
【0021】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に加えて、装着部を、ノズル筒内にノズル口から挿入組付けされる本体片と、この本体片に突出状に設けられ、突出端をノズル筒内周面に回動不能に接触させて本体片の姿勢を一定に保持する支持片と、本体片の挿入端に設けられて、ヘッド本体内のノズル通路開口縁に係止する係止片とから構成した、ものである。
【0022】
装着部を、本体片と支持片と係止片とから構成したものにあっては、本体片の挿入端、すなわち識別部が連結片を介して連結された先端とは反対の基端に係止片が設けられているので、装着部をノズル筒内殻ノズル口側に抜き出すことはできず、このため連結片を破断しない限り、識別部をノズル口から離脱させることはできない。また、ノズル筒3内における本体片の挿入組付き姿勢を支持片が一定に保持して、回動変位等の不要な変位の発生を防止するので、ノズル筒内を通過する内容液に対する装着部の影響を一定したものとすることができると共に、不要変位による連結片の不正破断の発生を防止することができる。
【0023】
また、本発明の別の構成は、上記した装着部の構成に加えて、支持片を、細長波板状に構成した、ものである。
【0024】
支持片を細長波板状に構成したものにあっては、ノズル通路を通過する内容液に対して支持片が適当な流動抵抗を付与することになる。
【0025】
また、本発明の別の構成は、上記した装着部の構成に加えて、支持片を、本体片の一部を拡幅した板片状に構成した、ものである。
【0026】
支持片を、本体片の一部を拡幅した板片状に構成したものにあっては、本体片および支持片を、ノズル通路を通過する内容液に対して、「整流板」として機能させることができる。
【0027】
また、本発明の別の構成は、上記した装着部の構成に加えて、係止片近傍の本体片部分に、ノズル筒内周面に回動不能に接触して係止片を変位不能に保持する規制片を突設して構成した、ものである。
【0028】
係止片近傍の本体片部分に規制片を突設したものにあっては、ヘッド本体内のノズル通路開口縁に対する係止片の係止組付きを、安定して確保することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
識別部は、ノズル口を外側から覆って塞いでいるので、この識別部をノズル口から取り除かない限り内容液の吐出は不可能であり、それゆえ内容液の吐出に際しては、連結片を強引に破断して装着部から分離させて、ノズル口から取り外すことになる。
【0030】
識別部は、連結片が破断された状態では、ノズル口に組付くことが難しく、このため一度連結片を破断して装着部から分離された識別部のノズル口への再装着は殆ど不可能となり、それゆえ識別部の有無、若しくはノズル口への装着状態を確認するだけで、容器の使用、未使用を簡単にかつ正確に識別することができる。
【0031】
カバーストッパーは、ノズル本体から取り外さない限りノズルヘッドの下降変位を不能として内容液の不正使用を不能とするので、未使用識別体による未使用識別作用と、カバーストッパーによる不正使用防止作用とにより、高いバージン機能を得ることが可能となる。
【0032】
カバーストッパーのノズル本体への組付きが、ノズル筒に装着された未使用識別体の識別部を含めて覆うものにあっては、取り扱い時に識別部が他の物品に接触して不本意に分離してしまう、と云う不都合の発生を阻止することができ、これにより安全な取り扱いを得ることができる。
【0033】
カバーストッパーのノズル本体への組付きを、識別部を除いて覆うものとし、カバーストッパーに開口された開口部を識別部の通り抜けが不能な大きさとしたものにあっては、未使用状態で識別部が目立って位置するので、未使用状態の認識が容易となって識別し易いことになり、またカバーストッパーの取り外しを利用して識別部の分離を達成することができるので、使用可能状態への切替が簡単となる。
【0034】
識別部を、口蓋片と摘み片とで構成したものにあっては、口蓋片がノズル口に組付き固着するものではないので、連結片を破断して装着部から分離させた識別部を、そのままでノズル口に再装着することは殆ど不可能であり、また連結片の破断を無理なく実施することができ、さらに識別部による識別判断を、ごく自然に行なうことができ、これにより識別部の取り扱いが行い易くなると共に、識別部による未使用の識別が行い易くなる。
【0035】
装着部を、本体片と支持片と係止片とから構成したものにあっては、連結片を破断しなければ識別部をノズル口から離脱させることができないので、識別部による未使用か否かの識別作用を確実に得ることができ、またノズル筒内を通過する内容液に対する装着部の影響を一定したものとすることができるので、内容液に対するノズル筒の作用状態を、都合よく設定することが可能となり、連結片の不要な破断を防止して安全な取り扱いを得ることができる。
【0036】
支持片を細長波板状に構成したものにあっては、ノズル通路を通過する内容液に対して支持片が適当な流動抵抗を付与することになり、これにより内容液の吐出状態を所望するものとするのが容易となる。
【0037】
支持片を、本体片の一部を拡幅した板片状に構成したものにあっては、本体片および支持片を、ノズル通路を通過する内容液に対して、「整流板」として機能させることができるので、内容液の吐出状態を、安全で好ましいものとすることができる。
【0038】
係止片近傍の本体片部分に規制片を突設したものにあっては、ヘッド本体内のノズル通路開口縁に対する係止片の係止組付きを、安定して確保することができるので、未使用識別体による確実で安定した識別作用を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】は本発明の一実施形態例を示す、要部縦断側面図である。
【図2】は図1に示した実施形態例に、正面図である。
【図3】は半発明の他の実施形態例を示す、要部縦断側面図である。
【図4】は図3に示した実施形態例に、正面図である。
【図5】は本発明における未使用識別体の第一の実施例を示す、全体斜視図である。
【図6】は、未使用識別体を組付けたノズル口付近の、部分拡大図である。
【図7】は、識別部を分離させた状態を示す、縦断側面図である。
【図8】は本発明における未使用識別体の第二の実施例を示す、全体斜視図である。
【図9】は本発明における未使用識別体の第三の実施例を示す、全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態例を、図1〜図9を参照しながら説明する。
本発明によるノズルヘッド1(図1参照)は、ヘッド本体2と未使用識別体12とカバーストッパー25とから構成されており、上面を手による押し下げ面としたヘッド本体2の側面に、わずかに湾曲下降しながら横外方に延出するノズル筒3を一体設し、ヘッド本体2に、上端部にノズル筒3のノズル通路4を開放させたヘッド首筒6を垂下設して構成されている。
【0041】
このノズルヘッド1は、ポンプの主体部分の一部である、ボール弁9を内装したステム8の上端部に、そのヘッド首筒6で密にかつ不動に外嵌組付きし、ノズルヘッド1の押し下げに伴うステム8の下降変位により、ボール弁9を開放して内容液を吸い上げ、この吸い上げた内容液を、ノズル筒3を通して、目的とする箇所に吐出するものとなっている。
【0042】
円筒形状をしたステム8は、ヘッド首筒6に密嵌入する上端部の外周面に、嵌入組付き限位置を設定する段部を形成し、この上端部内周面に、下方に傾斜して縮径した内鍔片を周設することにより弁座面を形成してボール弁9を組付け、この弁座面を形成する内鍔片の上側の内周面に、複数の縦条を設けることにより、ボール弁9に閉鎖されない通路を確保し、各縦条の上端部には、ボール弁9のステム8内からの抜け出しを防止する突片が付形されている。
【0043】
なお、ノズル首筒6を囲む形態でヘッド本体2に垂下設されたガイド筒7と、ポンプの主体部分側の組付き筒11から起立設された支持筒10との組合せ物は、相互に上下方向に摺動自在に嵌合することにより、ノズルヘッド1の昇降変位姿勢を、妄りに傾くことなく、安定して保持するためのものである。
【0044】
また、このガイド筒7と支持筒10の組合せ物には、キー構造を利用した回り止め機能部分を設ける場合があるが、これは必要に応じて設ければよいものである。
【0045】
図1〜図7には、ノズル筒3に、内容液の吐出を妨げることなく、抜け出し不能に挿入組付けされる装着部20と、ノズル口5を外側から覆って塞ぐ識別部13と、この識別部13を装着部20に引き千切りが容易に結合する連結片19とから構成される未使用識別体12の第一の構成例を組付けた構成が示されている。
【0046】
この未使用識別体12の第一の構成例において、識別部13は、ノズル口5に組付き固着することなく、このノズル口5を外側から覆って塞ぐ口蓋片14と、この口蓋片14に撓み変形が容易な撓み部18を介して連設された、指先で摘み易い摘み片17とから構成され、口蓋片14(図6参照)は、ノズル口5の開口端面に接触する鍔片15と、この鍔片15の後面に、ノズル口5の開口口径よりも充分に小さい外径で突設され、連結片19との連設部分を提供する挿入片16とから構成されているので、識別部13単独でノズル口5に組付くことは不可能となっている。
【0047】
また、この口蓋片14に、横溝状の撓み部18を介して垂下状に連設された板片状の摘み片17の表面には、滑り止め用の複数の横突条が設けられており、この摘み片17を指先で摘んで、ノズル筒3の延出方向に、やや引上げ状に引っ張ることにより、連結片19を破断して識別部13のノズル口5からの取り外しを達成することができる。
【0048】
装着部20は、細長板状の本体片21に、この本体片21の略全長に亘って細長波板状の支持片22を一体設し、本体片21の挿入端である基端に係止片23を設けて構成されており、支持片22は、その各波頭部の端縁をノズル筒3の内周面、すなわちノズル通路4の通路面に回動不能に接触させることにより、ノズル筒3内における本体片21の組付き姿勢を不動にかつ一定に保持し、係止片23は、ヘッド本体2内のノズル通路4の開口縁に係止して、装着部20のノズル口5からの抜け出しを阻止するもので、図5に示した未使用識別体12の全体斜視図から明らかなように、弾性変形を利用して、ノズル口5側からの挿入が可能であるように、矢印状に傾斜した一対の突片で構成されている。
【0049】
この係止片23の近傍の本体片21部分には、突出端をノズル筒3内周面に回動不能に接触させた一対の規制片24が付形されており、この規制片24のノズル筒3内周面への接触により、係止片23のノズル通路4の開口縁に対する抜け出し不能な係止が確保されることになる。
【0050】
ノズルヘッド1を、ノズル筒3の延出方向側から被せ状に覆って組付くカバーストッパー25(図1参照)は、全体が後方を開放した筒体状をしており、上半部分を、ノズル筒3を含めたヘッド本体2全体を覆う、嘴状に突出した部分を有する嘴筒片26とし、下半部分を、ポンプ本体側の組付き筒11の上面上に位置して支持筒10に組付く組付き筒片28とし、この組付き筒片28の内面に、ヘッド本体2のガイド筒7の下端に当接する内鍔状のストッパー片29を横方向に突設して構成されており、このストッパー片29により、カバーストッパー25は、ノズル筒3の延出方向側からのスライドでなければノズルヘッド1に対して組み付けられないものとなっている。
【0051】
図1に示したカバーストッパー25の第一の実施形態例の場合、カバーストッパー25は、未使用識別体12の識別部13も含めてノズルヘッド1全体を覆っている(図2参照)ので、ヘッド本体2の下降変位阻止だけではなく、識別部13を保護することになり、識別部13の安全性を充分に高めている。
【0052】
カバーストッパー25の第一の実施形態例においては、カバーストッパー25の取り外し操作と、未使用識別体12における識別部13の分離操作とは、全く別個に行われることになる。
【0053】
図3に示したカバーストッパー25の第二の実施形態例の場合、カバーストッパー25の嘴筒片26の先端に開設された開口部27が、識別部13の通り抜けが不能な大きさに成形されており、このカバーストッパー25は、未使用識別体12の識別部13を除いてノズルヘッド1を覆うので、識別部13は、嘴筒片26の最も目立つ先端部分に、その全体を露出した状態(図4参照)で位置するので、その存在が強調されることになり、これにより使用、未使用の識別がきわめて行い易くなる。
【0054】
カバーストッパー25の第二の実施形態例においては、識別部13の分離を行ってからカバーストッパー25の取り外し操作を行う場合には、ポンプ付き容器の未使用状態の確認がより確実となり、カバーストッパー25の取り外しと一緒に識別部13の分離を達成する場合は、使用状態への切替が簡単となる。
【0055】
内容液を吐出使用する際には、第一の実施形態例の場合は、カバーストッパー25を取り外した後に、摘み片17を引っ張って識別部13を分離除去してノズル口5を開放した状態(図7参照)とすることになるが、この状態において、ノズル筒3内には未使用識別体12の装着部20が組付いたままで残存するが、この残存した装着部20は、ノズル通路4を通過して吐出される内容液に対して適当な吐出流動抵抗を与えて、内容液の吐出動作を安全なものとし、またノズル筒3内に残留した内容液に対して適当な付着力を発揮し、これによりノズル筒3内の残留内容液が、ノズル口5から不要に垂れ落ちて汚れとなるのを防止する。
【0056】
内容液を吐出使用する際には、第二の実施形態例の場合は、識別部13を分離してノズル口5を開放してからカバーストッパー25を取り外すか、カバーストッパー25の取り外しと一緒に識別部13を分離し、これによりノズルヘッド1の押し下げ操作を可能として内容液の吐出を行うが、ノズル筒3内に残存した装着部20は、第一の実施形態例の場合と同じ作用を発揮する。
【0057】
図8には、未使用識別体12の第二の構成例が示されており、この未使用識別体12の第二の構成例は、識別部13の撓み部18を、細長板片を波状に曲げて構成、また装着部20の支持片22を、ノズル口5の近傍に位置する短い波板片で構成したもので、支持片22を、第一の構成例に比べて短くすることにより、内容液に対する吐出流動抵抗が小さくなるので、比較的粘度の高い内容液に適用するのが良い。
【0058】
図9には、未使用識別体12の第三の構成例が示されており、この未使用識別体12の第三の構成例は、装着部20の支持片22を、ノズル口5の近傍の本体片21部分の幅を拡幅して構成されており、この支持片22は、側端縁をノズル筒3の内周面に嵌着する等して固定し、これにより内容液を整流した状態で吐出し、吐出内容液の不良飛散の発生を防止するようにしている。
【0059】
なお、未使用識別体12の構成例として第一〜第三の例を示したが、未使用識別体12の構造はこれに限定されることはなく、例えば、例示した各構成例における識別部13と装着部20の組合せを組み替えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明におけるポンプのノズルヘッドは、ノズル口を直接塞いで充分に目立つ状態となっている識別部の有無により、ポンプ付き容器の使用、未使用を識別するものであるので、ポンプ付き容器のバージン機能を高める簡単の手段として幅広い利用展開が期待できる。
【符号の説明】
【0061】
1 ;ノズルヘッド
2 ;ヘッド本体
3 ;ノズル筒
4 ;ノズル通路
5 ;ノズル口
6 ;ヘッド首筒
7 ;ガイド筒
8 ;ステム
9 ;ボール弁
10;支持筒
11;組付き筒
12;未使用識別体
13;識別部
14;口蓋片
15;鍔片
16;挿入片
17;摘み片
18;撓み部
19;連結片
20;装着部
21;本体片
22;支持片
23;係止片
24;規制片
25;カバーストッパー
26;嘴筒片
27;開口部
28;組付き筒片
29;ストッパー片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を手による押し下げ面としたノズル本体の側面に、横外方に延出するノズル筒を設けたノズルヘッドであって、前記ノズル筒内の、少なくとも先端開口部であるノズル口近傍に、未使用識別体を組付け、該未使用識別体を、前記ノズル筒内に、内容液の吐出を妨げることなく、抜け出し不能に挿入組付けされる装着部と、前記ノズル口を外側から覆って塞ぐ識別部と、該識別部を装着部に引き千切りが容易に結合する連結片とから構成し、前記ノズル本体に、前記ノズル筒の延出方向側から被せ状に覆って組付いて、前記ノズル本体の下降変位を不能とするカバーストパーを設けたポンプのノズルヘッド。
【請求項2】
カバーストッパーのノズル本体への組付きを、ノズル筒に装着された未使用識別体の識別部を含めて覆うものとした請求項1に記載のポンプのノズルヘッド。
【請求項3】
カバーストッパーのノズル本体への組付きを、ノズル筒に装着された未使用識別体の識別部を除いて覆うものとし、ノズル口に対向して前記カバーストッパーに開口された開口部を、前記識別部の通り抜けが不能な大きさとした請求項1に記載のポンプのノズルヘッド。
【請求項4】
未使用式別体の識別部を、ノズル口に組付き固着することなく該ノズル口を外側から覆って塞ぐ口蓋片と、該口蓋片に撓み部を介して連設された摘み片とで構成した請求項1〜3の何れか1項に記載のポンプのノズルヘッド。
【請求項5】
未使用識別体の装着部を、ノズル筒内にノズル口から挿入組付けされる本体片と、該本体片に突出状に設けられ、突出端を前記ノズル筒内周面に回動不能に接触させて前記本体片の姿勢を一定に保持する支持片と、前記本体片の挿入端に設けられて、ヘッド本体内のノズル通路開口縁に係止する係止片とから構成した請求項1〜4の何れか1項に記載のポンプのノズルヘッド。
【請求項6】
未使用識別体の装着部の支持片を、細長波板状に構成した請求項5に記載のポンプのノズルヘッド。
【請求項7】
未使用識別体の装着部の支持片を、本体片の一部を拡幅した板片状に構成した請求項5に記載のポンプのノズルヘッド。
【請求項8】
係止片近傍の本体片部分に、ノズル筒内周面に回動不能に接触して係止片を変位不能に保持する規制片を突設した請求項5〜7の何れか1項に記載のポンプのノズルヘッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−93592(P2011−93592A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251470(P2009−251470)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】