説明

ポンプの固定構造及び給湯システム

【課題】ポンプを2基以上使用する機器において、ポンプの駆動に起因する振動を確実に低減、又は防止可能なポンプの固定構造を提供すること。また、そのようなポンプの固定構造でポンプを取付けた給湯システムを提供すること。
【解決手段】複数のポンプ13,14が取付けられ、通常使用時において少なくとも1基のポンプ14が休止している機器(給湯システム)において、複数のポンプ13,14を直接的又は間接的に一体化された状態とする。さらに、複数のポンプ13,14を前記一体化された状態で、防振部材72を介して機器に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筺体内部にポンプを取付けるためのポンプの固定構造に係るものであり、また、そのようなポンプの固定構造によってポンプを取付けた給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バーナ等で構成される燃焼部を有し、熱交換器を流れる湯水を燃焼部で生成された高温の燃焼ガスの熱エネルギーで加熱する構成を備えた給湯装置が広く普及している。このような給湯装置は、一般家庭だけでなく、ホテルや銭湯等の商業施設においても使用されている。
【0003】
ホテルの客室や銭湯では、カランを開くと直ちに温水が吐出されることが望まれる。そのため、商業施設では、出湯時に備えて予め設定された温度の湯水を生成しておくことが可能な即湯機能を備えた給湯装置(給湯システム)が一般的に使用されている。
【0004】
この種の給湯装置では、通常の給湯装置の構成に加えて、湯水を循環する循環回路を備えている。そして、予め湯水を生成し、出湯要求があるまでの間、生成した湯水を設定温度に維持したまま循環回路内で待機させる。例えば、特許文献1にその技術が開示されている。
【0005】
また、このような商業施設で使用される給湯装置は、できるだけ休止しないで運転させ続けることが望ましい。即ち、給湯機を休止してしまうと施設の営業を休止しなければならず、施設を運営する上で好ましくない。そのため、できるだけ給湯機を休止したくないという欲求があった。
【0006】
このような欲求を満たすための技術として、循環回路で湯水を循環させるための循環ポンプを2基設け、1基を予備として使用するという給湯装置が考えられる。このような給湯装置では、1方の循環ポンプをメンテナンスしている最中に、他方の循環ポンプで湯水を循環させることができるため、循環ポンプのメンテナンス中であっても給湯装置の運転を継続できる。したがって、給湯装置の連続使用期間を長くすることができる。
【0007】
またこのような給湯装置では、2基の循環ポンプを交互に使用することで、1基の循環ポンプを使用し続ける場合に比べて、循環ポンプの長期使用に起因する劣化の発生を遅らせることができる。即ち、循環ポンプは使用し続けると劣化していくものであるが、2基の循環ポンプを交互に使用し、所定時間における1基あたりの使用時間を少なくすることにより、2基の循環ポンプそれぞれの劣化の発生を遅らせることができる。このことにより、所定の期間内において、故障による循環ポンプの交換作業や、耐用期間の終了に伴う循環ポンプの交換作業の回数を少なくすることができる。そのため、給湯装置の連続使用期間を長くできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−159869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、商業施設で使用される給湯装置には、高い給湯能力が要求される。具体的に説明すると、商業施設の給湯装置は、一般家庭用のそれに比べて相当に多くの出湯要求があり、時間当たりに要求される出湯量が多くなるので、大量出湯に対応する必要がある。そのため、商業施設の給湯装置では、循環回路により多くの湯水を循環できることが望ましい。即ち、循環回路が設定温度に維持された多くの湯水を保持していることにより、大量の出湯要求があった場合であっても、循環回路から出湯要求に応じた湯水を供給できる。
【0010】
また商業施設では、一般家庭と比べて建物の規模が大きく、循環回路からカラン、シャワー等の出湯機器までの配管距離が長くなる。そのため、湯水を出湯機器まで流すためにより大きな水圧をかける必要がある。
【0011】
ここで、循環回路に多くの湯水を循環させたり、長い配管に湯水を流したりするためには、循環ポンプの出力を大きくする必要がある。そのため、商業施設で使用される循環回路用の循環ポンプには、一般的に、出力の大きなものが採用される。しかしながら、循環ポンプの出力を大きくすると、駆動時の振動が大きくなってしまうという問題がある。即ち、循環ポンプを駆動したときに大きな振動が発生することにより、それに起因する騒音等の問題が発生してしまう。
【0012】
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、ポンプを2基以上使用する機器(
給湯装置等)において、ポンプの駆動に起因する振動を確実に低減、又は防止可能なポンプの固定構造を提供することを課題とする。また、そのようなポンプの固定構造でポンプを取付けた給湯システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、通常使用時において少なくとも1基のポンプが休止している機器に複数のポンプを取付けるポンプの固定構造であって、
複数のポンプは直接的又は間接的に一体化されており、前記一体化された状態で防振部材を介して機器に固定されていることを特徴とするポンプの固定構造である。
【0014】
ここでポンプとは、モーター付きポンプのみならず、ヒートポンプユニット等で使用されるコンプレッサ、モーターを持たない電磁ポンプを含むものとする。即ち、ポンプとは、給湯装置、熱源機等に取り付けられるものであって、気体、湯水等の液体といった流体を流すための機器である。
本発明のポンプの固定構造は、通常使用時において少なくとも1基のポンプが休止している機器に複数のポンプを取付けるものであって、複数のポンプを直接的又は間接的に一体化した状態で防振部材を介して機器に固定する。このことにより、複数のポンプが実質的に一体となった状態で駆動する。ここで、複数のポンプが実質的に一体となった状態で機器を稼動させ、ポンプを駆動させると、通常の動作では少なくとも1基のポンプは休止した状態となるので、駆動していないポンプが駆動しているポンプに連結された状態となる。このことにより、駆動しているポンプは、駆動していないポンプを取付けられた状態で振動するので、駆動していないポンプが駆動しているポンプの錘のように作用することにより、単体で駆動させた場合に比べて発生する振動を低減することができる。より具体的に説明すると、取付け剛性等の他の条件が同じである場合、ポンプ自身の重量が重くなるにつれて駆動時に発生する振動は小さくなる。したがって、ポンプに錘をつけてポンプ自身の重量を重くすると、ポンプ駆動時に発生する振動は小さくなる。ここで本発明のポンプの固定構造では、駆動していないポンプが駆動しているポンプの錘のように作用するため、駆動時に発生する振動を低減することができる。
さらに本発明では、防振部材を介してポンプを機器に取付ける。そのため、ポンプ駆動時に発生する振動を機器へ伝達し難い構造とすることができる。このことにより、ポンプ駆動時に発生する振動によって機器自身が大きく振動してしまうことがなく、ポンプの振動に起因する騒音等の問題を確実に低減、又は防止できる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記機器は筺体を備え、前記ポンプの少なくとも1つは、筺体内壁面のいずれかに直接又は間接的に取付けられることを特徴とする請求項1に記載のポンプの固定構造である。
【0016】
本発明のポンプの固定構造は、筺体を備えた機器の筺体内壁面にポンプを取付ける場合においても、好適に用いることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、取付け具と連結部材とを備え、前記取付け具は、少なくとも台座部を有し、前記防振部材はポンプと台座部の間に配されるものであって、前記連結部材は、連結板部と、固定板部から形成され、ポンプと台座部との間に固定された固定板部を連結板部で接続することにより、複数の取付け具を一体化することを特徴とする請求項1又は2に記載のポンプの固定構造である。
【0018】
かかる構成によると、取付け具を介してポンプを機器に取付けるため、ポンプを機器に直接取付ける構成に比べて、ポンプの着脱作業を容易にできる。即ち、取付け具を筺体に着脱し易い構造にすると共に、予めポンプを取付け具に強固に取付けた状態で取付け具を筺体に対して着脱することにより、ポンプの着脱作業を容易にできる。また、取付け具が台座部を有し、ポンプと台座部の間に防振部材が配される構造であるため、ポンプと取付け具が連結する部分に防振部材が配される。このことにより、ポンプで発生した振動の取付け具への伝達を防止(低減)でき、それに伴って、ポンプで発生した振動の機器へ伝達を防止(低減)できる。また、各ポンプの取付けに使用する取付け具を連結して一体化する構造であるため、ポンプ同士を一体化する構造とは異なり、ポンプの形状等を加工することなく複数のポンプを一体化できる。換言すると、ポンプを直接加工することなく複数のポンプを一体化できるので、公知のポンプをそのまま採用することができる。したがって、比較的安価に本発明を実施することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、湯水を加熱する熱源部と、循環ポンプを有するポンプユニットが配管によって接続され、双方の機器を含む間の配管内に所定温度の湯水を滞留させて、要求に応じて滞留された湯水から出湯させる機能を備えた給湯システムであって、熱源部及びポンプユニットは1つの筺体に内蔵される、又は複数の筺体に分割して内蔵されるものであり、請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプの固定構造によって、少なくとも1つの筺体内部に複数のポンプを取付けたことを特徴とする給湯システムである。
【0020】
本発明の給湯システムは、上記したポンプの固定構造によってポンプを固定しているので、ポンプ駆動時に機器(筺体)に伝わる振動を防止(低減)することができる。そのため、稼働時の騒音を防止(低減)することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のポンプの固定構造は、複数のポンプを実質的に一体化した状態で防振部材を介して機器に固定する。このとき、複数のポンプが取付けられる機器は、通常使用時において少なくとも1基のポンプが休止している機器である。したがって、機器を稼動させたとき、駆動していないポンプが駆動しているポンプに連結した状態となる。このことにより、駆動していないポンプを駆動しているポンプに対して錘のように作用させることができるので、駆動しているポンプの実質的な重量が増し、駆動時にポンプから発生される振動を低減することができるという効果がある。
また、本発明の給湯システムにおいても同様に、駆動時にポンプから発生される振動を低減することができる。そのため、振動に起因する騒音等の問題を防止(低減)可能な給湯システムを提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る給湯システムを示す斜視図である。
【図2】図1のポンプユニットの筐体を示す正面図であり、前面を覆う蓋部を外した状態を示す。
【図3】図2の循環ポンプを示す図であり、ポンプ本体部の部分を透視した一部透視斜視図である。
【図4】図2の循環ポンプ、取付け部材、連結部材を示す分解斜視図である。
【図5】図4の台座部を示す斜視図である。
【図6】図4の台座部を図5とは異なる方向から見た状態を示す斜視図である。
【図7】図4のブラケットを示す斜視図である。
【図8】図4の固定板部を示す斜視図である。
【図9】図4の連結板部を示す斜視図である。
【図10】図4の防振部材を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る循環ポンプをポンプユニット用筺体に取付けるときの台座部、ブラケット、防振部材の位置関係を示す説明図である。
【図12】本発明の実施形態に係る循環ポンプをポンプユニット用筺体に取付けるときの台座部、ブラケット、防振部材、循環ポンプ、固定板部の位置関係を示す説明図であり、ポンプ本体部を透視した状態を示す。
【図13】本発明の実施形態に係る循環ポンプ及び予備用循環ポンプをポンプユニット用筺体に取付けるときの台座部、ブラケット、防振部材、循環ポンプ、予備用循環ポンプ、固定板部、連結板部の位置関係を示す説明図であり、ポンプ本体部を省略して示す。
【図14】本発明の実施形態に係る循環ポンプ及び予備用循環ポンプをポンプユニット用筺体に取付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態に係る給湯システムについて説明する。また以下の説明において、上下、左右、前後の位置関係については特に断りのない限り、図1で示す通常の設置状態を基準として説明する。
【0024】
本実施形態に係る給湯システム1(機器)は、図1,2で示されるように、複数(本実施形態では2台)の給湯器本体2(熱源部)と、循環ポンプ13(ポンプ)及び予備用循環ポンプ14(ポンプ)等を備えたポンプユニット3とを組み合わせたものであり、これらが配管等を用いて連結されている。そして、給湯器本体2、ポンプユニット3、カラン、シャワー等の出湯器具(図示せず)は各種配管で接続されている。そして、給湯器本体2、ポンプユニット3、出湯器具の各機器を含む間には、循環回路が設けられており、循環回路内で湯水を循環させて、出湯要求(カラン等が操作されること)があるまで湯水を所定温度に維持することが可能な構成とされている。
【0025】
給湯器本体2は、公知のそれと同様のものが採用されており、本実施形態では2台とも同じ機能及び能力を備えた給湯器とされている。具体的には、給湯器本体2は、熱源用筐体5を有し、燃料ガスを燃焼する燃焼部と、一次熱交換器及び二次熱交換器を備えた熱交換部と、送風機とを主要な構成部材として熱源用筐体5に内蔵されている。そして、これら燃焼部、熱交換部、送風機等を制御可能なコントローラが内蔵されている。
【0026】
熱源用筐体5は、図1で示されるように1面が開放された筐体本体5aと、筐体本体5aの開放部を覆う蓋部5bにより構成されている。
【0027】
ポンプユニット3は、ポンプユニット用筐体6を有し、図2で示されるように、ポンプユニット用筐体6(筺体)内に、循環ポンプ13、予備用循環ポンプ14、膨張タンク17等が主要な構成部材として内蔵されている。そして、これら循環ポンプ13、予備用循環ポンプ14等を制御可能なコントローラ53が内蔵されている。
【0028】
ポンプユニット用筐体6は、図1に示されるように、1面が開放された筐体本体6aと、筐体本体6aの開放部を覆う蓋部6bにより構成されている。
【0029】
循環ポンプ13は、図2で示されるように、筺体本体6aの底板部23に取付け具30(詳しくは後述する)を介して接続されている。特に限定されるものではないが、本実施形態における循環ポンプ13は渦巻きポンプとなっている。ここで、この循環ポンプ13は、図3で示されるように、外形略円柱状のポンプ本体部25に脚部26が一体に取付けられた状態となっている。
【0030】
脚部26は、金属薄板を打ち抜き加工後に曲げ加工して製されたものであり、図3で示されるように、幅方向(左右方向)中心から幅方向外側へ向かってそれぞれ、脚部本体26a、中間板部26b,外側板部26cが一体に連続して形成されている。詳細には、脚部26は、幅方向の中心に位置する脚部本体26aと、脚部本体26aの幅方向外側端部とそれぞれ連続した2つの中間板部26b,26bと、2つの中間板部26b,26bのそれぞれの幅方向外側端部と連続した2つの外側板部26c,26cによって形成されている。
【0031】
脚部本体26aは、ポンプ本体部25の外周面に沿って弓なりに湾曲した板状の部分である。なお、この脚部本体26aは、上方視が略長方形状となっている。
【0032】
中間板部26bは、略長方形板状の部分であり、脚部本体26aの幅方向(左右方向)の端部から、さらに幅方向外側下方へ向かって突出し、前後方向に延びている。
【0033】
外側板部26cは、略長方形板状の部分であり、中間板部26bの幅方向(左右方向)の外側端部であり下端部分から、幅方向外側へ向かって略水平に突出している。このとき、外側板部26cは前後方向に延びており、前端近傍と後端近傍にそれぞれ外側板部26cを上下方向に貫通する取付け孔45,46がそれぞれ設けられている。
【0034】
予備用循環ポンプ14は、循環ポンプ13と同一のポンプであり、ポンプ本体部25に脚部26が一体に取付けられた構成となっている。この予備用循環ポンプ14は、臨時用のポンプとなっており、メンテナンス時や、主だって使用される循環ポンプ13の故障時に使用されるポンプとなっている。この予備用循環ポンプ14も主だって使用される循環ポンプ13と同様に、取付け具30(詳しくは後述する)を介して筺体本体6aの底板部23に接続されている。
ここで、本実施形態では、図2で示されるように、予備用循環ポンプ14と循環ポンプ13とが、それぞれの取付け具30,30の上方で連結部材31によって接続され、実質的に一体となっている。
なお、この予備用循環ポンプ14は臨時用のポンプと使用するだけでなく、給湯システム1の通常の動作時において、循環ポンプ13と交互に使用してもよい。即ち、本実施形態の給湯システム1では、循環ポンプ13と予備用循環ポンプ14とを交互に使用するローテーション運転が実施可能となっている。
【0035】
膨張タンク17は、密閉型のアキュムレータであり、ポンプにより加圧された湯水の圧力エネルギーを蓄積可能であって、配管内の過剰な圧力上昇を阻止し、湯水の供給圧を平均化する機能を有している。
【0036】
コントローラ53は、ポンプユニット3に設けられており、給湯システム1の各機器を集約的に制御可能な制御装置(図示せず)と電気的に接続されている。即ち、コントローラ53は、制御装置と信号の送受信を行って、ポンプユニット3を制御するものである。
【0037】
ここで、本実施形態の特徴的な部材である、循環ポンプ13の取付け具30、予備用循環ポンプ14の取付け具30、連結部材31について詳細に説明すると共に、これらを用いた循環ポンプ13、予備用循環ポンプ14のポンプユニット用筐体6への固定構造についても詳細に説明する。
【0038】
循環ポンプ13は、図4で示されるように、取付け具30を介してポンプユニット用筺体6の底板部23に取り付けられた状態となっている。このとき、取付け具30と循環ポンプ13の脚部26との間には防振部材72が位置しており、循環ポンプ13の脚部26上には連結部材31の一部である固定板部55が位置している状態となっている。そしてまた、予備用循環ポンプ14も循環ポンプ13と同様に取付けられた状態となっている。そして、循環ポンプ13と一体に取付けられた固定板部55と、予備用循環ポンプ14と一体に取付けられた固定板部55とが、連結板部56によって連結された状態となっている。
【0039】
取付け具30は、図4で示されるように、台座部33、ブラケット34から構成されている。
【0040】
台座部33は、図5,6で示されるように、金属薄板を打ち抜き加工後に曲げ加工して製造されたものであり、略正方形状の天板部36と、天板部36の前端から略垂直下方へ垂下された前板部37と、天板部36の後端から略垂直下方へ垂下された後板部37から構成されている。
【0041】
天板部36の四隅近傍には、それぞれ天板部36を上下方向に貫通する取付け孔36a,36b,36c,36dが設けられている。
【0042】
前板部37は、図5で示されるように、断面略「L」字状で幅方向(左右方向)に延びる板状の部材であり、共に略長方形板状の前板本体37aと突出板部37bとが一体に連続して形成されている。前板本体37aは、上端部分で天板部36と、下端部分で突出板部37bと一体に連続している。このとき、前板本体37aの幅方向(左右方向)の両端からやや中央よりの部分には、それぞれ前板本体37aを前後方向に貫通する取付け孔40,41が設けられている。突出板部37bは、前板本体37aの下端から前方へ突出している。そのため、突出板部37bは、天板部36と略上下水平に位置している。
【0043】
後板部38は、図6で示されるように、後板本体部38aと掛止片部38bとが一体に連続して形成されている。後板本体部38aは、略長方形板状となっており、上端部分で天板部36と一体に連続している。このとき後板本体部38aの幅方向(左右方向)の長さは天板部36と略同一となっている。掛止片部38bは、略長方形板状となっており、後板本体部38aの下端から下側後方へ突出している。このとき、掛止片部38bの幅方向(左右方向)の長さは、後板本体部38aの幅方向(左右方向)の長さより短くなっている。そして、この掛止片部38bの幅方向(左右方向)の中心位置は、後板本体部38aの幅方向(左右方向)の中心位置と略同一となっている。
【0044】
ブラケット34は、図7で示されるように、略「L」字型断面の板状部材であり、略長方形板状のブラケット本体34aと、ブラケット本体34aの前端から略垂直上方に突出する略長方形板状の立壁部34bとが一体に連続して形成されている。このとき、ブラケット本体34aの前後方向の長さは、立壁部34bの突出方向の長さより2倍以上長くなっている。そして、立壁部34bには、立壁部34bを前後方向に貫通する取付け孔43が設けられている。
【0045】
連結部材31は、図4で示されるように、取付け具30と一体に取付けられる固定板部55と、複数の固定板部55を連結する連結板部56を備えている。
【0046】
固定板部55は、図8で示されるように、略「凹」字板状の天板部分58と、天板部分58の前端部分から略垂直下方へ垂下されている略長方形板状の前板部分59から形成されている。
【0047】
天板部分58の後方側には、幅方向の中心部分に後方から前方へ向かって切り欠かれた、略長方形状の切り欠き60が形成されている。そして、天板部分58の後端部分であって幅方向の両端近傍には、それぞれ天板部分58を上下方向に貫通する取付け孔47,48が形成されている。
【0048】
前板部分59の幅方向の中心部分近傍と、幅方向の両端部分よりやや内側の部分のそれぞれには、前板部分59を前後方向に貫通する取付け孔50,51,52が設けられている。さらには、取付け孔50,51,52はいずれも前板部分59の下端よりやや上側の部分に設けられており、3つの取付け孔50,51,52の中心部分の上下方向における位置は同一となっている。
【0049】
連結板部56は、図9で示されるように、断面略「L」字状で幅方向(左右方向)に延びる板状の部材であり、共に略長方形板状の連結板本体62と突出板部63とが一体に連続して形成されている。
【0050】
連結板本体62は、略垂直に立てられた状態となっており、幅方向の中心部分に上端から下方へ向かって切り欠かれた、略長方形状の切り欠き65が形成されている。そして、切り欠き65の幅方向(左右方向)の両端部分よりやや外側の部分に、取付け孔68,69がそれぞれ設けられている。そして、連結板本体62全体の幅方向両端部分よりやや内側の部分に、取付け孔67,70がそれぞれ設けられている。そして、これら4つの取付け孔67,68,69,70はいずれも連結板本体62の上下方向の中心部分近傍に設けられており、4つの取付け孔67,68,69,70の中心部分の上下方向における位置は同一となっている。また、この4つの取付け孔67,68,69,70はいずれも連結板本体62を前後方向に貫通している。
【0051】
突出板部63は、連結板本体62の下端から前方へ向かって突出する略長方形板状の部分となっている。
【0052】
防振部材72は、振動を吸収する材料で形成されるものであり、より具体的には、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー、ポリウレタン等の樹脂材料、又はこれらを原料とする合成材料が好適に採用される。
【0053】
また防振部材72は、図10で示されるように、本体部74と下方突出部75から形成されている。本体部74と下方突出部75の外観は共に円柱状であって本体部74の径は下方突出部75の径より大きくなっている。そして、本体部74の下端面と下方突出部75の上端面は2つの円柱を積み重ねるように段差を有して連続しており、本体部74と下方突出部75の中心軸は同じとなるように配置されている。またここで、本体部74にはその天面に下方へ向かって延びる取付け穴76が設けられている。この取付け穴76は、略円柱状の有底穴となっており、取付け穴76の径は、本体部74の径より小さく、下方突出部75の径と略同等となっている。なお、この取付け穴76は、本体部74の天面から、本体部74の上下方向の中心よりやや上側まで延びており、その中心軸は、本体部74の中心軸は同じとなっている。
【0054】
ここで、本実施形態の取付け具30と連結部材31によって、循環ポンプ13及び予備用循環ポンプ14をポンプユニット用筺体6に取付けるときの組み立て構造について説明する。
【0055】
まず、循環ポンプ13をポンプユニット用筺体6に取付けるときの組み立て構造について説明する。
【0056】
ポンプユニット用筺体6の底板部23では、図4で示されるように、開口形状が略長方形で底板部23を上下に貫通する台座取付け孔77が設けられ、台座取付け孔77の前方に2つのブラケット34がそれぞれ間隔を空けて一体に取付けられた状態となっている。なお、ブラケット34は、溶接、締結要素を介した取付け等の適宜な方法で取付けられている。ここで締結要素とは、ネジ、クギ等の上位概念とする。
【0057】
そして、台座部33の掛止片部38b(図6参照)が台座取付け孔77(図4参照)に挿通された状態で、図11で示されるように、台座部33の取付け孔40,41と、2つのブラケット34にそれぞれ設けられた取付け孔43とを重ね合わせた状態で、締結要素80が挿通されており、ポンプユニット用筺体6の底板部23に台座部33が取り付けられた状態となっている。さらに詳細に説明すると、台座部33を底板部23に対して傾斜させた状態で、台座部33の掛止片部38bが底板部23の台座取付け孔77に挿入された状態とする。そして、掛止片部38bが台座取付け孔77に挿入された状態で、前板部37の下端が底板部23の上面に当接するまで台座部33を動かす。即ち、掛止片部38bを支点にして台座部33の前端部分を動かす(回動させる)。すると、前板部37の取付け孔40,41が2つのブラケット34の取付け孔43,43とそれぞれ重なり合う状態となる。そうして、その状態において締結要素80を重なった取付け孔40,43(41,43)に挿通することにより、底板部23に台座部33が取り付けられた状態となる。
【0058】
また、図11で示されるように、台座部33の天板部36に設けられた取付け孔36a,36b,36c,36d(図5参照)に、4つの防振部材72,72,72,72の下方突出部75(図10参照)をそれぞれ挿入した状態で、台座部33と4つの防振部材72,72,72,72とを一体に取付けた状態となっている。
【0059】
またさらに、図12で示されるように、4つの防振部材72,72,72,72の天面には、循環ポンプ13の脚部26が載置されている。詳細には、脚部26の幅方向両端部分において、それぞれ1つの外側板部26cが2つの防振部材72,72上に載置された状態になっている。そして、4つの防振部材72,72,72,72の天面に形成された取付け孔76,76,76,76と、2つの外側板部26cにそれぞれ形成された取付け孔45,46,45,46とが重なった状態となっている。
【0060】
ここで、2つの外側板部26cの前方側に注目すると、図12,13で示されるように、その上方に固定板部55の天板部分58が載置された状態となっている。このとき、固定板部55の天板部分58は、その幅方向の両端部分がそれぞれ異なる外側板部26c上に載置されている。そして、外側板部26c,26cの取付け孔45,45と、固定板部55の取付け孔47,48とが重なった状態となっている。つまり、前方に位置する2つの防振部材72,72の天面には、循環ポンプ13の脚部26と固定板部55とが載置された状態となっている。これに対して、後方側の2つの防振部材72,72の天面には、脚部26の外側板部26c,26cのみが載置された状態となっている。
【0061】
このとき前方側においては、防振部材72,72の取付け穴76,76、外側板部26c,26cの取付け孔45,45、固定板部55の取付け孔47,48が台座部33の幅方向の両端部分近傍でそれぞれ重なった状態となっている。また後方側においては、防振部材72,72の取付け穴76,76と、外側板部26c,26cの取付け孔46,46とが台座部33の幅方向両端部分でそれぞれ重なった状態となっている。そして、前方側及び後方側の台座部33の幅方向両端部分のそれぞれにおいて、重なった各取付け孔(穴)に締結要素81を挿通した状態とする。このことにより、4つの防振部材72,72,72,72上に循環ポンプ13の脚部26が一体に固定された状態になると同時に、脚部26の外側板部26cの天面上に固定板部55が一体に固定された状態になる。
【0062】
そして、循環ポンプ13がポンプユニット用筺体6に取付けられた状態となる。また、予備用循環ポンプ14も、循環ポンプ13と同様にポンプユニット用筺体6に取付けられる。
【0063】
循環ポンプ13と予備用循環ポンプ14がポンプユニット用筺体6に取付けられた状態において、図13で示されるように、循環ポンプ13と一体に取付けられた固定板部55と、予備用循環ポンプ14と一体に取付けられた固定板部55とを、連結板部56で連結する。具体的には、予備用循環ポンプ14と一体に取付けられた固定板部55の中央に位置する取付け孔51及び右側に位置する取付け孔52と、連結板部56の左側の2つの取付け孔67,68とを重ね合わせた状態で、これらに締結要素82を挿通した状態とする。そして、予備用循環ポンプ14側の固定板部55と連結板部56とを一体に取り付けた状態とする。加えて、循環ポンプ13と一体に取付けられた固定板部55の中央に位置する取付け孔51及び左側に位置する取付け孔取付け孔50(図8参照)と、連結板部56の右側の2つの取付け孔69,70とを重ね合わせた状態で、これらに締結要素82を挿通した状態とする。そして、循環ポンプ13側の固定板部55と連結板部56とを一体に取り付けた状態とする。このことにより、2つの固定板部55,55と連結板部56が締結要素82を介して一体に取付けた状態とする。これにより、防振部材72,72の上側であり、防振部材72,72よりもポンプ本体部25よりの位置で循環ポンプ13と予備用循環ポンプ14とが実質的に一体に取り付けられた状態となる。
【0064】
以上で、循環ポンプ13及び予備用循環ポンプ14をポンプユニット用筺体6に取付けるときの組み立て構造についての説明を終了する。
【0065】
このように、循環ポンプ13(予備用循環ポンプ14)をポンプユニット用筺体6の底板部23に取付けると、図14で示されるように、底板部23と台座部33の天板部36との間に空間85が形成され、台座部33の天板部36と循環ポンプ13のポンプ本体部25との間に空間86が形成される。つまり、ポンプ本体部25と底板部23の間に2つの空間85,86が形成される。
【0066】
上記した実施形態では、本発明のポンプの固定構造を給湯機本体2とポンプユニット3を別途設けた給湯システム1に用いた例を示したが、本発明のポンプの固定構造はこれに限るものではない。例えば、給湯機本体(熱源部)とポンプユニットとが1つの筺体に配された給湯装置(熱源機)に複数のポンプを取付けるとき、本発明のポンプの固定構造を用いてもよい。即ち、複数のポンプを使用する機器であれば、本発明のポンプの固定構造を採用することができる。
【0067】
また、上記した実施形態では、循環ポンプ13の取付け具30と、予備用循環ポンプ14の取付け具30とに、それぞれ連結部材の一部を一体に取付け、2つの取付け具30を実質的に一体とする例を示したが、本発明のポンプの固定構造はこれに限るものではない。例えば、循環ポンプ13と予備用循環ポンプ14を直接連結する構成であってもよい。即ち、循環ポンプ13と予備用循環ポンプ14の外郭部材同士を連結する構成であってもよく、具体的には、ポンプ本体部同士、脚部同士、ポンプ本体部と脚部とを連結する構成であってもよい。
【0068】
上記した実施形態では、2つのポンプを筺体に取付ける例を示したが、本発明のポンプの固定構造はこれに限るものではない。3つ以上のポンプを筺体に取付けてもよい。また1つのポンプが2つ以上のポンプと実質的に一体とする構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0069】
1 給湯システム(機器)
2 給湯器本体(熱源部)
3 ポンプユニット
6 ポンプユニット用筺体(筺体)
13 循環ポンプ(ポンプ)
14 予備用循環ポンプ(ポンプ)
30 取付け具
31 連結部材
33 台座部
55 固定板部
56 連結板部
72 防振部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常使用時において少なくとも1基のポンプが休止している機器に複数のポンプを取付けるポンプの固定構造であって、
複数のポンプは直接的又は間接的に一体化されており、前記一体化された状態で防振部材を介して機器に固定されていることを特徴とするポンプの固定構造。
【請求項2】
前記機器は筺体を備え、前記ポンプの少なくとも1つは、筺体内壁面のいずれかに直接又は間接的に取付けられることを特徴とする請求項1に記載のポンプの固定構造。
【請求項3】
取付け具と連結部材とを備え、
前記取付け具は、少なくとも台座部を有し、
前記防振部材はポンプと台座部の間に配されるものであって、
前記連結部材は、連結板部と、固定板部から形成され、ポンプと台座部との間に固定された固定板部を連結板部で接続することにより、複数の取付け具を一体化することを特徴とする請求項1又は2に記載のポンプの固定構造。
【請求項4】
湯水を加熱する熱源部と、循環ポンプを有するポンプユニットが配管によって接続され、双方の機器を含む間の配管内に所定温度の湯水を滞留させて、要求に応じて滞留された湯水から出湯させる機能を備えた給湯システムであって、
熱源部及びポンプユニットは1つの筺体に内蔵される、又は複数の筺体に分割して内蔵されるものであり、請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプの固定構造によって、少なくとも1つの筺体内部に複数のポンプを取付けたことを特徴とする給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−225628(P2012−225628A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96332(P2011−96332)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】