ポンプエアレ−ション装置
【課題】 曝気槽や養殖槽および培養槽において水流と共に多量の微細気泡を槽内全体に効率良く一様に供給するエアレ−ション装置を必要とする。
【解決手段】
本発明の微細気泡発生機構を有する円筒状多翼羽根車形状の貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)で構成されるポンプエアレ−ション装置を曝気槽や養殖槽および培養槽内に設置し、槽内に一様で幅広の水流を微小気泡とともに供給し、効果的なエアレ−ションを行う。微小気泡の発生は羽根車の中空回転軸に穿孔した散気孔および多孔質材から、あるいはポンプの吸込み側および吐出し側に設置したエア分散発生器から得られる。
【解決手段】
本発明の微細気泡発生機構を有する円筒状多翼羽根車形状の貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)で構成されるポンプエアレ−ション装置を曝気槽や養殖槽および培養槽内に設置し、槽内に一様で幅広の水流を微小気泡とともに供給し、効果的なエアレ−ションを行う。微小気泡の発生は羽根車の中空回転軸に穿孔した散気孔および多孔質材から、あるいはポンプの吸込み側および吐出し側に設置したエア分散発生器から得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下水処理場における水質浄化、魚介類全般の養殖用の水槽内流れの改善および水耕栽培や藻類栽培などにおけるエアレ−ション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
曝気、養殖および植物栽培における従来の技術は以下のようである。
曝気に関する従来技術では、下水処理などで必要な工程の一つであるエアレ−ションによる処理方法として、散気式、気泡噴射式、水中攪拌式などがあるが(例えば特許文献1に開示されたもの)、いずれも気泡径は微小とは言いがたく、浮上速度が速いため短時間に大気に放出される傾向にある。また、エアレ−ションの槽内での一様性に問題がある。
【0003】
曝気に使用されるポンプ型エアレーション装置としては、特許文献2に開示されているように、プロペラタイプの旋回翼の吐出し側の流れに微細気泡を混入させる方法もあるが、曝気槽は、ポンプ回りの流れ方向の特性を考慮して、基本的に四角槽に限定され、種々の形状の水槽に対応できないこと、および均一な微細気泡が得られにくいなどの問題がる。
【0004】
養殖に関する従来技術の微小気泡発生装置と水流供給装置は以下のようものがある。
微小気泡発生装置として、例えば特許文献3、特許文献4および特許文献5に開示されているようにセラミックス材料などを利用した多孔質のエア分散発生器を水槽底面に設置した例もあるが、実際には気泡径は微小とは言いがたく、浮上速度が早く、短時間に大気に放出され、効率が悪い。
【0005】
また、水流供給装置としては、例えば特許文献6に開示されているように送水ポンプに接続された複数のノズル孔を設けたパイプを水面下に設置し、ノズルからの噴流によって流れを供給するものもあるが、噴流後の拡散、乱れのため、水流が遠くまで達せず、安定した自然な流れが得られない。
【0006】
従って、養殖に関する従来技術では河川と同様の良好な流れが得られず、また微小な気泡を効率よく水槽内に供給できないため、水中への酸素溶存性を高める効果が小さいなど、水環境の改善が不十分である。
【0007】
植物栽培に関する従来技術の気泡発生装置としては、培養槽内にブロワにより圧力をかけてノズルより噴射するもの(特許文献7)やセラミックスなどを利用した分散発生器を使用したもの、空洞にした水中翼の内部に二酸化炭素ガスを供給し、翼後端より二酸化炭素ガスを微細化して噴出する方法(特許文献8)などがあるが、均一な微細気泡は得られ難く、乱れも大きいため、一様な気泡を伴う水流が遠くまで達しないという問題がる。また、撹拌機による流動(特許文献9)では槽内全体に一様に供給するのが難しい。
【0008】
上記のように、従来技術では気泡径の微小化の問題や微小気泡を含む流れを槽内全体に一様に供給するのが困難などの問題があり、エアレ−ションの効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平6−48898号広報
【特許文献2】特開2005−59002号広報
【特許文献3】特開平7−31327号広報
【特許文献4】特開平5−168981号公報
【特許文献5】特開2003−125671号広報
【特許文献6】特開平6‐181657号広報
【特許文献7】特公開平8−322553号広報
【特許文献8】特公開平6−78745号広報
【特許文献9】特公開平5−284962号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術では気泡の微細化が不十分であり、浮上速度が早く効率が悪い。さらに微細化した気泡を槽内全体に一様に供給するエアレ−ション技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は曝気槽や養殖槽および培養槽などの槽内に微細気泡を一様な流れとともに供給することにある。図1の(a)は貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)本体50の断面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図でポンプエアレーション装置53を示す。貫流ポンプ本体50は基本的には円筒状の多翼羽根車7を収容したケ−シング30と流れを制御する舌部8および散気孔5を有する中空回転軸3からなる。ポンプエアレーション装置53は貫流ポンプ本体50にエアなどを供給するためにホ−ス13により接続されたエアポンプ11と液体ポンプ11bおよび該中空回転軸3に接続した駆動用モ−タ12からなる。
【0012】
流れは図1(a)の羽根車断面図に示すように吸込み側9から吐出し側10に向って2回羽根6を通過する。即ち流れは吸込み側9では、羽根車7の外側から内側へ、吐出し側10では内側から外側へ流出して羽根車7を横断する。羽根車7は幅方向に長くとれること、また、流れが羽根車に接線方向に吐出されることから、吐出し流れは従来技術と異なり、幅広のシ−ト状で乱れも少なく、拡散せずに遠くまで達することができるので、水槽内全体に微小気泡の流れが行き渡る。
【0013】
また、吸込み側における羽根6の入口と出口が吐出し側では逆になるため、物が羽根間に詰まりにくい構造であることは運転上、優れた強みである。
【0014】
微細気泡を発生させる構造は、図1の(a)、(b)に示すように羽根車7内の中空回転軸3の外周面に多数の散気孔5を窄孔、あるいは多孔質材を貼り付け、中空回転軸3を通して羽根車外部のホ−ス13に接続したエアポンプ11および液体ポンプ11bにより、気体や液体を供給できるようになっている。外部から羽根車内に供給された気体が該中空回転軸3の散気孔5から気泡となって放出されることになるが、気泡は回転を伴って散気孔5から放出されるため、回転を伴う効果により気泡は微小径となって放出され、さらに回転する羽根6の間を通過することにより細分化され、理想的な微小気泡となって吐出し水流とともに槽内に吐出される。回転数は大きいほど微細化される。このように回転する羽根車7内の中空シャフト3の散気孔5からの微細気泡供給方法は、水中への溶存性を効率よく高める働きを有することから、優れた微細気泡供給装置である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、図2に示すようにポンプ吸込み側9にエア分散発生器17を設置した場合の例を示す。気体は前述の図1に示すエアポンプ11によりエア分散発生器17に供給される。この場合、エア分散発生器17から放出された気泡の大部分は流れと共に、吸込み側9から吐出し側10に向って2度、羽根6を通過して羽根車7を横断することになる。気泡は回転する羽根6を通過する毎に細分化されるために、吐出し側では微細化した気泡が得られる。エア分散発生器17はポンプ吐出側に取り付けても良いが、エアレ−ション効果は劣る。
【0016】
請求項3に記載の発明は、図3に示すように貫流ポンプ羽根車7の中空回転軸3の外周面に多数の棒状の小さな突起28を放射状に突き出した構造、請求項4に記載の発明は、図4に示すように中空回転軸3の外周面の外側に隙間を空けて数本の細長パイプ状の棒29を中空回転軸3に平行で略同芯状に配列して羽根車幅方向に差し渡した構造であることを特徴とする。羽根車の回転に伴い、前記2種の棒状体の後流乱れが散気孔5から放出された気泡を局部的に乱すことによってさらに微細化あるいは溶解した状態で槽内に放出される。
【0017】
本発明では、微小気泡を含む流れを撹拌機なしで槽内に一様に供給できるので効率が良い。また、その他、本発明のポンプエアレ−ション装置は請求項5〜8に示すように曝気、養殖および藻類栽培など各種の使用用途や槽の形状に応じて、貫流ポンプ本体のケ−シング形状や舌部の構造を適切にアレンジすることによって目的にあった流れの状態を得ることが出来るという優れた特徴を持っている。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポンプエアレ−ション装置によれば従来の技術では得られなかった空気やオゾンおよび炭酸ガスなどの微細気泡を含む幅広で良好な一様流れを各用途の使用状況に応じて槽内に供給できる。曝気槽ではエアレ−ション技術による水質改善において、養殖槽では魚類の飼育と水環境の改善に、培養槽では、エアレ−ション技術に加えて、微粒化した培養液も同時に供給できるようにすることによって水耕栽培や藻類栽培の技術改善に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明のポンプエアレ−ション装置の基本的構造を示す。(a)は貫流ポンプ本体の構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視のポンプエアレ−ション装置の断面図である。
【図2】図2は図1とは異なる別形態のポンプエアレ−ション装置の基本的構造を示す。(a)は貫流ポンプの構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視のポンプエアレ−ション装置の断面図である。
【図3】図3(a)は羽根車中空回転軸の外周表面に多数の棒状の小突起を放射状に突き出した構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視の羽根車断面図である。
【図4】図4(a)は数本の細長パイプ状の棒を回転軸に平行で略同芯状に配列して羽根車幅方向に差し渡した構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視の羽根車断面図である。
【図5】図5は矩形型曝気槽の中にポンプエアレ−ション装置を据付けた状態を示す。(a)は槽内の流れの状態を示す断面図、(b)は側断面図である。(実施例1)
【図6】図6はメインのポンプエアレ−ション装置55に加えて補助のポンプエアレ−ション装置55bを設置した構成を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。(実施例2)
【図7】図7は曝気槽の処理能力増強のために、幅方向に貫流ポンプを3台連結して曝気槽内に据付けた場合の断面図である。(実施例3)
【図8】図8はポンプケ−シング形状を円筒型曝気槽に対応するようにアレンジした構造を示す。(a)はポンプケ−シング内の流れと円筒タンク内の流れの関係を示す透視図、(b)はポンプケ−シング形状を示す平面図である。(実施例4)
【図9】図9は貫流ポンプのケ−シング形状をインライン型にアレンジしたときの配管途中におけるポンプの接続状態を示す。(a)は平面図、(b)は流れの状態を示す側断面図である。(実施例5)
【図10】図10は合流式の下水道廃水処理場の未処理放流バイパス流路に縦型のポンプエアレ−ション装置を据付けた状態を示す。(a)は流れの状態を示す平面断面図、(b)はY−Y矢視断面図である。(実施例6)
【図11】図11は魚水槽内にポンプエアレ−ション装置を据付けたときの流れの状態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。(実施例7)
【図12】図12は図11の実施例7とは異なる別の実施の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。(実施例8)
【図13】図13は貫流ポンプ本体を3台幅方向に連結して据付けた場合の平面図である。(実施例9)
【図14】図14は縦置きのポンプエアレ−ション装置を魚水槽内に据付けたときの流れの状態を示す。(a)は平面断面図、(b)は(a)のY−Y矢視の断面図である。(実施例10)
【図15】図15は縦置きのポンプエアレ−ション装置を魚水槽の両端に配置した場合の流れの状態を示す平面図である。(実施例11)
【図16】図16はポンプエアレ−ション装置を養殖槽の水面下の底面近くに据付けた場合の魚介類対応の使用例を示す。(a)はポンプエアレ−ション装置本体の平面図、(b)は養殖池の底面における据付け状態示す側断面図である。(実施例12)
【図17】図17(a)はポンプエアレ−ション装置を池に設置したときの平面図、(b)は装置の側断面図である。(実施例13)
【図18】図18は縦置きのポンプエアレ−ション装置を池に据え付けたときの流れの状態を示す。(a)は平面図、(b)は装置の側断面図である。(実施例14)
【図19】図19は縦置きのポンプエアレ−ション装置を生簀の入口に設置したときの生簀内の流れの循環状態を示す平面図である。(実施例15)
【図20】図20は水耕栽培用の回流型培養槽の水面下にポンプエアレ−ション装置を設置した場合の据え付け状態を示す。(a)は平面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図である。(実施例16)
【図21】図21は3連のポンプエアレ−ション装置68bを流路幅が大きい培養槽流路に設置した場合の装置近傍の平面図を示す。(実施例17)
【図22】図22は縦置きのポンプエアレ−ション装置69を培養槽93の流路に設置した場合の装置近傍の平面断面図を示す。(実施例18)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を利用分野ごとに図5〜図22を参照して説明する。図5〜図10は曝気関連、図11〜図19は養殖関連、図20〜図22は培養槽関連を示す。
【実施例1】
【0021】
図5は本発明の第1実施例の矩形型タンク曝気装置70の形態を示す。(a)は正面断面図、(b)は側断面図である。矩形型タンク41内に水中モ−タ12b駆動によるポンプエアレ−ション装置55を一方の壁面近くの水面下に設置し、タンク内に幅広で一様な水流を微細な気泡を伴って供給できるようにした装置である。エアはポンプ羽根車内部において前述の図1に示したようにエアポンプ11からエアホ−ス13により中空の回転軸3内に供給され、羽根車内部において中空回転軸外周部に穿孔された散気孔5から回転を伴いながら供給される。流れの方向はポンプ吐出口に取り付けた電動ル−バ−39によって制御される。
【0022】
この実施の形態によれば、ポンプエアレ−ション装置55によって供給される流れは、従来技術とは異なり、吐出し流れは幅広の水流で、遠くまで達することができるため、タンク内全体に渡って、吐き出し流れから吸込み側へ回り込む大きな循環流れが形成される。本図のようにポンプの出口部に電動ル−バ−39を設置し、流れを制御することによって、処理タンク内全域で理想的な循環流が得られ、しかも一様な微細気泡を伴うことから、エアレ−ションの効率が良い。従って処理時間を短縮できる。
【実施例2】
【0023】
図6は本発明の第2実施例の矩形型タンク曝気装置71の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。本装置は矩形型タンク41内のエアレ−ションの機能アップを図るために、メインのポンプエアレ−ション装置55に対して反対側側壁の水面側に補助のポンプエアレ−ション装置55bを設置した構成になっている。その他、第1実施例のル−バ−39の替わりにガイドベ−ン40を設置したこと以外の構成は図5の第1実施例の形態と同様である。
【0024】
この実施の形態によれば、タンクが大きくても、メインポンプと補助ポンプの間にタンク内全体に淀みのない大きな循環流れが形成され、効率の良いエアレ−ションが達成できる。
【実施例3】
【0025】
図7は本発明の第3実施例の矩形型タンク曝気装置72の形態を示す断面図である。貫流ポンプの流れは2次元的であるから、流量を増やすためには、単純に羽根車7の幅方向の長さを増やせばよい。あるいは本図に示すように貫流ポンプ本体50を数個幅方向につなげばよい。本実施例は貫流ポンプ本体50を3個接続したポンプエアレ−ション装置56の場合で、駆動用モ−タ−12はタンクの外に設置した場合を示す。他の構成は図5の第1実施例の形態と同様である。
【実施例4】
【0026】
図8は本発明の第4実施例の円形タンクエアレ−ション装置74の形態を示す。(a)は透視図、(b)はポンプ本体の形状を示す平面図である。円形タンク42内の中心部に縦置きのポンプエアレ−ション装置57を設置し、貫流ポンプのケ−シング形状31は円形タンクに沿った旋回流Rが得られるようにアレンジしている。ポンプの吐出口と吸込口の高さ方向の位置関係は図に示すように吐出口は底面近くに、吸込口は水面側に位置するようにケ−シング形状をアレンジすることにより、高さ方向を含めてタンク内全体に旋回流れを伴うエアレ−ションが行き渡るようにしている。
【0027】
この実施の形態によれば、第1実施例と同様に前述の図1の中空回転軸3の散気孔5から放出された微細化した気泡を伴う吐出し流れが円形タンク42内の流れに旋回流れRを与えることによって、気泡の上昇速度を抑え、気泡の滞留時間を大きくできることから、効率良く曝気できる。縦置きでは駆動用モ−タ−12が水面上に設置できることから、据付けおよびメンテナンスが容易である。
【実施例5】
【0028】
図9は本発明の第5実施例のインライン型曝気装置77の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。ポンプエアレ−ション装置59は請求項1に記載の貫流ポンプ本体のケ−シング形状と舌部形状をインライン型にアレンジしたケ−シング形状32と舌部形状8bを使用している。インライン型曝気装置77は数台のポンプエアレ−ション装置59を配管の途中に連結して接続し、流れを止めることなく連続的に処理水のエアレ−ションを十分に行うことにより、エアレ−ション用タンクを不要としたものである。
【実施例6】
【0029】
図10は本発明の第6実施例で、水路にポンプエアレ−ション装置60を設置した場合の形態を示す。(a)は平面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図である。下水と雨水を同じ管に集める合流式の下水道46を有する廃水処理場45では、大雨が降ると処理能力を超えた汚水は未処理のまま放流されるため、社会的問題になっている。未処理のまま放流される処理場のバイパス放流路47に本発明の縦型のポンプエアレ−ション装置60を設置し、軽度のエアレ−ション(曝気)を行ったり、前述の図1に示す中空回転軸の散気孔5から消毒液を注入したりして放流すれば水質汚染の改善が可能となる。
【0030】
あるいは、前述の図9のインライン型ポンプエアレ−ション装置59をバイパス放流路47に接続し、処理後、放流することも可能である。
【0031】
以上、曝気関連についての実施例に示したように、本発明によれば従来の技術では得られなかった微小な気泡を含む幅広で一様な流れを処理タンク内に供給できることから、本発明のポンプエアレ−ション技術は水質改善において貢献できる。
【0032】
次に養殖関連の実施例について図11〜図19に示す。
【実施例7】
【0033】
図11は本発明の第7実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置61の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。本発明は、水中モ−タ12b駆動によるポンプエアレ−ション装置61を水槽24内水面下に設置し、水槽内に幅広でシ−ト状の一様な水流を微細な気泡を伴って供給できるようにした装置である。エアは前述の図1に示したようにエアポンプ11からホ−ス13により中空回転軸3内に供給され、中空回転軸に穿孔された散気孔5から回転を伴いながら羽根車内部に微細気泡となって供給される。水面近くにポンプエアレ−ション装置61を設置した場合は、羽根車中空シャフト3が回転することによって、羽根車7内および中空シャフト3内が負圧になるため、エアポンプ11を介しなくても、自然にエアが供給される。従って、この場合はエアポンプを必要としない。
【0034】
この実施の形態によればポンプエアレ−ション装置61によって供給される流れは、従来技術とは異なり、吐出し流れはシ−ト状で乱れも少なく、拡散することなく、遠くまで達することができる。従って、水槽内で河川と同様の水流の中で魚類を育てられることから、従来の養殖魚より身の締まった魚が得られる。また、安定した一定方向の流れが得られることから、魚同士が衝突して傷つくこともない。魚の種類ごとに、それぞれに適した吐出し水流速度を変える場合はバルブ調節でなく、直接ポンプ回転数を変えることによって容易に変えることができる。
【実施例8】
【0035】
図12は本発明の第8実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置62の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。基本的には図11に示した第7の実施例と同じであるが、本実施例は水槽内において,吸込み側と吐出し側を分けるための水平仕切り壁25を設け、吸込み流路26の途中に濾過装置15を設置したものである。この装置は魚から排出される老廃物や食べ残しの餌などを濾過する水質浄化も兼ねたものである。駆動用モ−タ12は水槽外側の側壁に取付けられている。
【実施例9】
【0036】
図13は本発明の第9実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置62bの形態を示す平面図である。貫流ポンプ本体50の流れは2次元的であるから、流量を増やすためには、単純に羽根車7の幅方向の長さを増やせばよい。あるいは本図に示すように貫流ポンプ本体50を数個幅方向につなげばよい。本実施例はポンプ本体を3個幅方向に接続した場合で、魚の種類によって水槽内を垂直仕切り網16で仕切った場合を示す。
【実施例10】
【0037】
図14は本発明の第10実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置63の形態を示すもので、請求項5に関連する。(a)は平面断面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図である。本実施例では貫流ポンプ本体50bの据付けが第7〜第9の実施例とは異なり、図14に示すように縦置きになっているのが特徴である。縦置きでは駆動用のモ−タ−12が水面より上に設置できることから、据付およびメンテナンスが容易である。
【実施例11】
【0038】
図15は本発明の第11実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置63の形態を示したもので、水槽を垂直仕切り壁18で2分割し、水槽の両端にそれぞれ縦置きの貫流ポンプ本体50bを据付けたときの平面断面図である。この実施例では、水槽内の流れの循環が非常に良好であること、および魚を2種類に分ける時に便利である。その他の構成は図14に示す第10の実施例の形態と同様である。
【実施例12】
【0039】
図16は貝や甲殻類を対象にした本発明の第12実施例で、養殖槽19の底面にポンプエアレ−ション装置64を据付けたときの流れとエアレ−ションの状態を示す。(a)はポンプエアレ−ション装置64の平面図、(b)は水面下の底面にポンプエアレ−ション装置64を据付けたときの使用状態における側断面である。この実施例で使用する貫流ポンプは水槽底面付近の流れに対応したケ−シング形状33が使用されている。本装置によれば、微細な気泡を含む安定した流れを養殖槽19の底面に沿って広い範囲に供給することができるので、養殖槽の底面近くに棲む海老、かにおよび貝類などを自然に近い流れ環境の中で育てることができる。
【実施例13】
【0040】
図17は本発明の第13実施例を示すもので、ポンプエアレ−ション装置65を水面が淀んだ養殖池や池20に設置することによって水面付近に流れを作り、池20全体の水面付近の流れの循環を活性化させることによって、水質を浄化するとともに、アオコやゴミなどの浮遊物もポンプの吸込側に設置したゴミ回収スクリ−ン21によって回収できるようにした装置である。池が広い場合はポンプ台数を増やした方が良い。本実施例では必ずしも微細気泡の供給は必要ではない。
【実施例14】
【0041】
図18は本発明の第14実施例で、池に循環流れが生じるようにケ−シング形状35を図に示すようにアレンジしたポンプエアレ−ション装置66を池に設置した場合の形態を示すもので、図17に関しての別形態のポンプにおける実施例である。本実施例では(b)に示すようにポンプ本体が縦置きであることが特徴である。縦置きでは前述のように駆動用のモ−タ−12が水面より上に据付けられるという有利さがある。その他の構成は図17に示す第13の実施例の形態と同様である。
【実施例15】
【0042】
図19は本発明の第15実施例で、生簀にポンプエアレ−ション装置67を設置した場合の形態を示す平面断面図である。前述の図18に示したのと類似の縦置きのポンプエアレ−ション装置67を生簀27の入口に据付け、外部河川からの流れの取り込みによって生簀内の水の循環を良くし、生簀内の養殖環境を良くしたものである。この実施例の形態は海の中での囲い込み槽による養殖にも利用出来る。
【0043】
以上、養殖関連についての実施例に示したように、本発明によれば従来の技術では得られなかった微小な気泡を含む幅広でシ−ト状の一様流れを水槽内に供給することができることから、魚類の飼育と水環境の改善に貢献できる。
【0044】
次に培養槽関連の実施例について図20〜図22に示す。
【実施例16】
【0045】
図20は本発明の第16実施例で、回流型の培養槽93の中の流路にポンプエアレ−ション装置68を設置した場合の形態を示す。(a)は平面図、(b)はY−Y矢視断面図である。本装置は培養槽93の水面側に植物94を育成する水耕栽培用フロ−ト95を浮かせ、水面下にポンプエアレ−ション装置68を設置した構成になっている。エアは前述の図1に示したようにエアポンプ11からエアホ−ス13により中空の回転軸3内に供給され、羽根車内部において中空回転軸に穿孔された散気孔5から回転を伴いながら微小気泡となって供給される。
【0046】
培養液は液体ポンプ11bによって同じ散気孔5から供給してもよいが、同時に微小気泡と培養液を供給する場合は前述の図2における吸込み側9に設置した図2のエア分散発生器17から供給することによって植物栽培に適した環境にすることができる。
【0047】
この実施の形態によれば、ポンプエアレ−ション装置68によって培養槽93の水面に浮かべた水耕栽培用フロ−ト95の下を回流する幅広の一様な流れが得られ、ポンプの吐出し流れとともに微細気泡や培養液を槽内全体に供給することができる。また、流れは乱れも少なく拡散せず遠くまで達することから、従来のように撹拌機がなくても槽内に安定した回流が得られる。さらに反対側の流路のBの位置にもポンプエアレ−ション装置68を設置すれば効率アップになる。
【実施例17】
【0048】
図20に示す培養槽93の流路幅が大きい場合は、図21の実施例17に示すようにポンプを複数台連結して、図20におけるポンプの据付け位置に同形態で設置すればよい。
【実施例18】
【0049】
図20に示す培養槽93の流路幅が小さい場合は、図18の実施例14における縦型のポンプエアレ−ション装置66と類似のエアレ−ション装置69を図22の実施例18に示すように流路に設置してもよい。このように本発明のポンプエアレ−ション装置は培養槽の大きさや流路幅に柔軟に対応できるのが特徴である。
【0050】
別形態の使用例として、海洋バイオマスとして注目される藻類の増殖培養に本発明のポンプエアレ−ション装置を利用すれば効果的である。図20において、水耕栽培用フロ−ト95を外すか、替わりに藻類育成用の網状のものを取付け、他は略同様の構成とした藻類培養槽において、二酸化炭素含有ガスをエアポンプ11から前述の図1に示す中空回転軸3を通して散気孔5から放出させることによって、ポンプ吐出口から槽内に二酸化炭素含有ガスの微細気泡を供給する。その二酸化炭素含有ガスの微細気泡を含む流れは前記水耕栽培の時と同様に槽内を良好に回流し、藻類増殖に適した環境を作る。
【0051】
さらに別形態の使用例として、前述の図8で実施の円形タンク曝気装置74の形態は、藻類などの植物栽培用の培養槽としても使用できる。藻類の増殖には円形タンクの水面付近に藻類育成用の網状のものを取付けたりして、前述の図1におけるエアポンプ11により供給された二酸化含有ガスを中空回転軸3の散気孔から微細化した気泡を放出し、吐出し流れが円形タンク42内の流れに旋回流れRを与えることによって、気泡の上昇速度を抑え、二酸化炭素含有ガスの気泡の滞留時間を大きくできることから、効率良く藻類を増殖出来る。
【0052】
以上、全体をまとめると、本発明のポンプエアレ−ション装置は曝気、養殖、培養槽関連など広い分野のエアレ−ション技術として貢献できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のエアレ−ション技術は、貫流ポンプ特有の幅広で安定した吐出し流れとともに微細化した多量の気泡を一様に供給できることから、曝気、養殖、植物栽培などに関連したエアレ−ション供給装置として、従来技術より効率良い利用が可能である。また、使用用途や槽の形状に応じて柔軟に対応できるという有利性がる。
【符号の説明】
【0054】
3 散気孔を有する羽根車中空回転軸
5、5b 散気孔
6 羽根
7 貫流ポンプ羽根車
8、8b ケ−シング舌部
9 ポンプ吸込側
10 ポンプ吐出側
11 エアポンプ
11b 液体ポンプ
12 駆動用モ−タ
12b 駆動用水中モ−タ
13 ホ−ス
14 水面
15 濾過装置
16 垂直仕切網
17 エア分散発生器
18 垂直仕切壁
19 養殖槽
20 池
21 ゴミ回収スクリ−ン
22、23 魚侵入防止網
24 魚水槽
25 水平仕切板
26 吸込み流路
27 生簀
28 中空回転軸の外周面から放射状に突き出した棒状の小突起
29 回転軸に平行で羽根車幅に渡って設置した細長パイプ状の棒
30,31,32,33,34、35、36、37 ポンプケ−シング
39 電動ル−バ−
40 ガイドベ−ン
41 矩形型タンク
42 円形タンク
45 廃水処理場
46 合流式の下水道
47 バイパス放流路
50、50b、51 貫流ポンプ本体
53、54 ポンプエアレ−ション装置(曝気、養殖および培養用共通)
55、55b、57、59、60 ポンプエアレ−ション装置(曝気用)
61、62、62b、63、64 ポンプエアレ−ション装置(魚水槽用)
65,66 ポンプエアレ−ション装置(池循環用)
67 ポンプエアレ−ション装置(生簀用)
68、68b、69 ポンプエアレ−ション装置(培養槽用)
70,71、72 矩形型タンク曝気装置
74 円形タンクエアレ−ション装置(曝気槽および培養槽用)
77 インライン型ポンプ曝気装置
93 培養槽
94 植物
95 水耕栽培用フロ−ト
B 微小気泡
K 河川
R 旋回流
【技術分野】
【0001】
本発明は下水処理場における水質浄化、魚介類全般の養殖用の水槽内流れの改善および水耕栽培や藻類栽培などにおけるエアレ−ション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
曝気、養殖および植物栽培における従来の技術は以下のようである。
曝気に関する従来技術では、下水処理などで必要な工程の一つであるエアレ−ションによる処理方法として、散気式、気泡噴射式、水中攪拌式などがあるが(例えば特許文献1に開示されたもの)、いずれも気泡径は微小とは言いがたく、浮上速度が速いため短時間に大気に放出される傾向にある。また、エアレ−ションの槽内での一様性に問題がある。
【0003】
曝気に使用されるポンプ型エアレーション装置としては、特許文献2に開示されているように、プロペラタイプの旋回翼の吐出し側の流れに微細気泡を混入させる方法もあるが、曝気槽は、ポンプ回りの流れ方向の特性を考慮して、基本的に四角槽に限定され、種々の形状の水槽に対応できないこと、および均一な微細気泡が得られにくいなどの問題がる。
【0004】
養殖に関する従来技術の微小気泡発生装置と水流供給装置は以下のようものがある。
微小気泡発生装置として、例えば特許文献3、特許文献4および特許文献5に開示されているようにセラミックス材料などを利用した多孔質のエア分散発生器を水槽底面に設置した例もあるが、実際には気泡径は微小とは言いがたく、浮上速度が早く、短時間に大気に放出され、効率が悪い。
【0005】
また、水流供給装置としては、例えば特許文献6に開示されているように送水ポンプに接続された複数のノズル孔を設けたパイプを水面下に設置し、ノズルからの噴流によって流れを供給するものもあるが、噴流後の拡散、乱れのため、水流が遠くまで達せず、安定した自然な流れが得られない。
【0006】
従って、養殖に関する従来技術では河川と同様の良好な流れが得られず、また微小な気泡を効率よく水槽内に供給できないため、水中への酸素溶存性を高める効果が小さいなど、水環境の改善が不十分である。
【0007】
植物栽培に関する従来技術の気泡発生装置としては、培養槽内にブロワにより圧力をかけてノズルより噴射するもの(特許文献7)やセラミックスなどを利用した分散発生器を使用したもの、空洞にした水中翼の内部に二酸化炭素ガスを供給し、翼後端より二酸化炭素ガスを微細化して噴出する方法(特許文献8)などがあるが、均一な微細気泡は得られ難く、乱れも大きいため、一様な気泡を伴う水流が遠くまで達しないという問題がる。また、撹拌機による流動(特許文献9)では槽内全体に一様に供給するのが難しい。
【0008】
上記のように、従来技術では気泡径の微小化の問題や微小気泡を含む流れを槽内全体に一様に供給するのが困難などの問題があり、エアレ−ションの効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平6−48898号広報
【特許文献2】特開2005−59002号広報
【特許文献3】特開平7−31327号広報
【特許文献4】特開平5−168981号公報
【特許文献5】特開2003−125671号広報
【特許文献6】特開平6‐181657号広報
【特許文献7】特公開平8−322553号広報
【特許文献8】特公開平6−78745号広報
【特許文献9】特公開平5−284962号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術では気泡の微細化が不十分であり、浮上速度が早く効率が悪い。さらに微細化した気泡を槽内全体に一様に供給するエアレ−ション技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は曝気槽や養殖槽および培養槽などの槽内に微細気泡を一様な流れとともに供給することにある。図1の(a)は貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)本体50の断面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図でポンプエアレーション装置53を示す。貫流ポンプ本体50は基本的には円筒状の多翼羽根車7を収容したケ−シング30と流れを制御する舌部8および散気孔5を有する中空回転軸3からなる。ポンプエアレーション装置53は貫流ポンプ本体50にエアなどを供給するためにホ−ス13により接続されたエアポンプ11と液体ポンプ11bおよび該中空回転軸3に接続した駆動用モ−タ12からなる。
【0012】
流れは図1(a)の羽根車断面図に示すように吸込み側9から吐出し側10に向って2回羽根6を通過する。即ち流れは吸込み側9では、羽根車7の外側から内側へ、吐出し側10では内側から外側へ流出して羽根車7を横断する。羽根車7は幅方向に長くとれること、また、流れが羽根車に接線方向に吐出されることから、吐出し流れは従来技術と異なり、幅広のシ−ト状で乱れも少なく、拡散せずに遠くまで達することができるので、水槽内全体に微小気泡の流れが行き渡る。
【0013】
また、吸込み側における羽根6の入口と出口が吐出し側では逆になるため、物が羽根間に詰まりにくい構造であることは運転上、優れた強みである。
【0014】
微細気泡を発生させる構造は、図1の(a)、(b)に示すように羽根車7内の中空回転軸3の外周面に多数の散気孔5を窄孔、あるいは多孔質材を貼り付け、中空回転軸3を通して羽根車外部のホ−ス13に接続したエアポンプ11および液体ポンプ11bにより、気体や液体を供給できるようになっている。外部から羽根車内に供給された気体が該中空回転軸3の散気孔5から気泡となって放出されることになるが、気泡は回転を伴って散気孔5から放出されるため、回転を伴う効果により気泡は微小径となって放出され、さらに回転する羽根6の間を通過することにより細分化され、理想的な微小気泡となって吐出し水流とともに槽内に吐出される。回転数は大きいほど微細化される。このように回転する羽根車7内の中空シャフト3の散気孔5からの微細気泡供給方法は、水中への溶存性を効率よく高める働きを有することから、優れた微細気泡供給装置である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、図2に示すようにポンプ吸込み側9にエア分散発生器17を設置した場合の例を示す。気体は前述の図1に示すエアポンプ11によりエア分散発生器17に供給される。この場合、エア分散発生器17から放出された気泡の大部分は流れと共に、吸込み側9から吐出し側10に向って2度、羽根6を通過して羽根車7を横断することになる。気泡は回転する羽根6を通過する毎に細分化されるために、吐出し側では微細化した気泡が得られる。エア分散発生器17はポンプ吐出側に取り付けても良いが、エアレ−ション効果は劣る。
【0016】
請求項3に記載の発明は、図3に示すように貫流ポンプ羽根車7の中空回転軸3の外周面に多数の棒状の小さな突起28を放射状に突き出した構造、請求項4に記載の発明は、図4に示すように中空回転軸3の外周面の外側に隙間を空けて数本の細長パイプ状の棒29を中空回転軸3に平行で略同芯状に配列して羽根車幅方向に差し渡した構造であることを特徴とする。羽根車の回転に伴い、前記2種の棒状体の後流乱れが散気孔5から放出された気泡を局部的に乱すことによってさらに微細化あるいは溶解した状態で槽内に放出される。
【0017】
本発明では、微小気泡を含む流れを撹拌機なしで槽内に一様に供給できるので効率が良い。また、その他、本発明のポンプエアレ−ション装置は請求項5〜8に示すように曝気、養殖および藻類栽培など各種の使用用途や槽の形状に応じて、貫流ポンプ本体のケ−シング形状や舌部の構造を適切にアレンジすることによって目的にあった流れの状態を得ることが出来るという優れた特徴を持っている。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポンプエアレ−ション装置によれば従来の技術では得られなかった空気やオゾンおよび炭酸ガスなどの微細気泡を含む幅広で良好な一様流れを各用途の使用状況に応じて槽内に供給できる。曝気槽ではエアレ−ション技術による水質改善において、養殖槽では魚類の飼育と水環境の改善に、培養槽では、エアレ−ション技術に加えて、微粒化した培養液も同時に供給できるようにすることによって水耕栽培や藻類栽培の技術改善に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明のポンプエアレ−ション装置の基本的構造を示す。(a)は貫流ポンプ本体の構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視のポンプエアレ−ション装置の断面図である。
【図2】図2は図1とは異なる別形態のポンプエアレ−ション装置の基本的構造を示す。(a)は貫流ポンプの構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視のポンプエアレ−ション装置の断面図である。
【図3】図3(a)は羽根車中空回転軸の外周表面に多数の棒状の小突起を放射状に突き出した構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視の羽根車断面図である。
【図4】図4(a)は数本の細長パイプ状の棒を回転軸に平行で略同芯状に配列して羽根車幅方向に差し渡した構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視の羽根車断面図である。
【図5】図5は矩形型曝気槽の中にポンプエアレ−ション装置を据付けた状態を示す。(a)は槽内の流れの状態を示す断面図、(b)は側断面図である。(実施例1)
【図6】図6はメインのポンプエアレ−ション装置55に加えて補助のポンプエアレ−ション装置55bを設置した構成を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。(実施例2)
【図7】図7は曝気槽の処理能力増強のために、幅方向に貫流ポンプを3台連結して曝気槽内に据付けた場合の断面図である。(実施例3)
【図8】図8はポンプケ−シング形状を円筒型曝気槽に対応するようにアレンジした構造を示す。(a)はポンプケ−シング内の流れと円筒タンク内の流れの関係を示す透視図、(b)はポンプケ−シング形状を示す平面図である。(実施例4)
【図9】図9は貫流ポンプのケ−シング形状をインライン型にアレンジしたときの配管途中におけるポンプの接続状態を示す。(a)は平面図、(b)は流れの状態を示す側断面図である。(実施例5)
【図10】図10は合流式の下水道廃水処理場の未処理放流バイパス流路に縦型のポンプエアレ−ション装置を据付けた状態を示す。(a)は流れの状態を示す平面断面図、(b)はY−Y矢視断面図である。(実施例6)
【図11】図11は魚水槽内にポンプエアレ−ション装置を据付けたときの流れの状態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。(実施例7)
【図12】図12は図11の実施例7とは異なる別の実施の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。(実施例8)
【図13】図13は貫流ポンプ本体を3台幅方向に連結して据付けた場合の平面図である。(実施例9)
【図14】図14は縦置きのポンプエアレ−ション装置を魚水槽内に据付けたときの流れの状態を示す。(a)は平面断面図、(b)は(a)のY−Y矢視の断面図である。(実施例10)
【図15】図15は縦置きのポンプエアレ−ション装置を魚水槽の両端に配置した場合の流れの状態を示す平面図である。(実施例11)
【図16】図16はポンプエアレ−ション装置を養殖槽の水面下の底面近くに据付けた場合の魚介類対応の使用例を示す。(a)はポンプエアレ−ション装置本体の平面図、(b)は養殖池の底面における据付け状態示す側断面図である。(実施例12)
【図17】図17(a)はポンプエアレ−ション装置を池に設置したときの平面図、(b)は装置の側断面図である。(実施例13)
【図18】図18は縦置きのポンプエアレ−ション装置を池に据え付けたときの流れの状態を示す。(a)は平面図、(b)は装置の側断面図である。(実施例14)
【図19】図19は縦置きのポンプエアレ−ション装置を生簀の入口に設置したときの生簀内の流れの循環状態を示す平面図である。(実施例15)
【図20】図20は水耕栽培用の回流型培養槽の水面下にポンプエアレ−ション装置を設置した場合の据え付け状態を示す。(a)は平面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図である。(実施例16)
【図21】図21は3連のポンプエアレ−ション装置68bを流路幅が大きい培養槽流路に設置した場合の装置近傍の平面図を示す。(実施例17)
【図22】図22は縦置きのポンプエアレ−ション装置69を培養槽93の流路に設置した場合の装置近傍の平面断面図を示す。(実施例18)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を利用分野ごとに図5〜図22を参照して説明する。図5〜図10は曝気関連、図11〜図19は養殖関連、図20〜図22は培養槽関連を示す。
【実施例1】
【0021】
図5は本発明の第1実施例の矩形型タンク曝気装置70の形態を示す。(a)は正面断面図、(b)は側断面図である。矩形型タンク41内に水中モ−タ12b駆動によるポンプエアレ−ション装置55を一方の壁面近くの水面下に設置し、タンク内に幅広で一様な水流を微細な気泡を伴って供給できるようにした装置である。エアはポンプ羽根車内部において前述の図1に示したようにエアポンプ11からエアホ−ス13により中空の回転軸3内に供給され、羽根車内部において中空回転軸外周部に穿孔された散気孔5から回転を伴いながら供給される。流れの方向はポンプ吐出口に取り付けた電動ル−バ−39によって制御される。
【0022】
この実施の形態によれば、ポンプエアレ−ション装置55によって供給される流れは、従来技術とは異なり、吐出し流れは幅広の水流で、遠くまで達することができるため、タンク内全体に渡って、吐き出し流れから吸込み側へ回り込む大きな循環流れが形成される。本図のようにポンプの出口部に電動ル−バ−39を設置し、流れを制御することによって、処理タンク内全域で理想的な循環流が得られ、しかも一様な微細気泡を伴うことから、エアレ−ションの効率が良い。従って処理時間を短縮できる。
【実施例2】
【0023】
図6は本発明の第2実施例の矩形型タンク曝気装置71の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。本装置は矩形型タンク41内のエアレ−ションの機能アップを図るために、メインのポンプエアレ−ション装置55に対して反対側側壁の水面側に補助のポンプエアレ−ション装置55bを設置した構成になっている。その他、第1実施例のル−バ−39の替わりにガイドベ−ン40を設置したこと以外の構成は図5の第1実施例の形態と同様である。
【0024】
この実施の形態によれば、タンクが大きくても、メインポンプと補助ポンプの間にタンク内全体に淀みのない大きな循環流れが形成され、効率の良いエアレ−ションが達成できる。
【実施例3】
【0025】
図7は本発明の第3実施例の矩形型タンク曝気装置72の形態を示す断面図である。貫流ポンプの流れは2次元的であるから、流量を増やすためには、単純に羽根車7の幅方向の長さを増やせばよい。あるいは本図に示すように貫流ポンプ本体50を数個幅方向につなげばよい。本実施例は貫流ポンプ本体50を3個接続したポンプエアレ−ション装置56の場合で、駆動用モ−タ−12はタンクの外に設置した場合を示す。他の構成は図5の第1実施例の形態と同様である。
【実施例4】
【0026】
図8は本発明の第4実施例の円形タンクエアレ−ション装置74の形態を示す。(a)は透視図、(b)はポンプ本体の形状を示す平面図である。円形タンク42内の中心部に縦置きのポンプエアレ−ション装置57を設置し、貫流ポンプのケ−シング形状31は円形タンクに沿った旋回流Rが得られるようにアレンジしている。ポンプの吐出口と吸込口の高さ方向の位置関係は図に示すように吐出口は底面近くに、吸込口は水面側に位置するようにケ−シング形状をアレンジすることにより、高さ方向を含めてタンク内全体に旋回流れを伴うエアレ−ションが行き渡るようにしている。
【0027】
この実施の形態によれば、第1実施例と同様に前述の図1の中空回転軸3の散気孔5から放出された微細化した気泡を伴う吐出し流れが円形タンク42内の流れに旋回流れRを与えることによって、気泡の上昇速度を抑え、気泡の滞留時間を大きくできることから、効率良く曝気できる。縦置きでは駆動用モ−タ−12が水面上に設置できることから、据付けおよびメンテナンスが容易である。
【実施例5】
【0028】
図9は本発明の第5実施例のインライン型曝気装置77の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。ポンプエアレ−ション装置59は請求項1に記載の貫流ポンプ本体のケ−シング形状と舌部形状をインライン型にアレンジしたケ−シング形状32と舌部形状8bを使用している。インライン型曝気装置77は数台のポンプエアレ−ション装置59を配管の途中に連結して接続し、流れを止めることなく連続的に処理水のエアレ−ションを十分に行うことにより、エアレ−ション用タンクを不要としたものである。
【実施例6】
【0029】
図10は本発明の第6実施例で、水路にポンプエアレ−ション装置60を設置した場合の形態を示す。(a)は平面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図である。下水と雨水を同じ管に集める合流式の下水道46を有する廃水処理場45では、大雨が降ると処理能力を超えた汚水は未処理のまま放流されるため、社会的問題になっている。未処理のまま放流される処理場のバイパス放流路47に本発明の縦型のポンプエアレ−ション装置60を設置し、軽度のエアレ−ション(曝気)を行ったり、前述の図1に示す中空回転軸の散気孔5から消毒液を注入したりして放流すれば水質汚染の改善が可能となる。
【0030】
あるいは、前述の図9のインライン型ポンプエアレ−ション装置59をバイパス放流路47に接続し、処理後、放流することも可能である。
【0031】
以上、曝気関連についての実施例に示したように、本発明によれば従来の技術では得られなかった微小な気泡を含む幅広で一様な流れを処理タンク内に供給できることから、本発明のポンプエアレ−ション技術は水質改善において貢献できる。
【0032】
次に養殖関連の実施例について図11〜図19に示す。
【実施例7】
【0033】
図11は本発明の第7実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置61の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。本発明は、水中モ−タ12b駆動によるポンプエアレ−ション装置61を水槽24内水面下に設置し、水槽内に幅広でシ−ト状の一様な水流を微細な気泡を伴って供給できるようにした装置である。エアは前述の図1に示したようにエアポンプ11からホ−ス13により中空回転軸3内に供給され、中空回転軸に穿孔された散気孔5から回転を伴いながら羽根車内部に微細気泡となって供給される。水面近くにポンプエアレ−ション装置61を設置した場合は、羽根車中空シャフト3が回転することによって、羽根車7内および中空シャフト3内が負圧になるため、エアポンプ11を介しなくても、自然にエアが供給される。従って、この場合はエアポンプを必要としない。
【0034】
この実施の形態によればポンプエアレ−ション装置61によって供給される流れは、従来技術とは異なり、吐出し流れはシ−ト状で乱れも少なく、拡散することなく、遠くまで達することができる。従って、水槽内で河川と同様の水流の中で魚類を育てられることから、従来の養殖魚より身の締まった魚が得られる。また、安定した一定方向の流れが得られることから、魚同士が衝突して傷つくこともない。魚の種類ごとに、それぞれに適した吐出し水流速度を変える場合はバルブ調節でなく、直接ポンプ回転数を変えることによって容易に変えることができる。
【実施例8】
【0035】
図12は本発明の第8実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置62の形態を示す。(a)は平面図、(b)は側断面図である。基本的には図11に示した第7の実施例と同じであるが、本実施例は水槽内において,吸込み側と吐出し側を分けるための水平仕切り壁25を設け、吸込み流路26の途中に濾過装置15を設置したものである。この装置は魚から排出される老廃物や食べ残しの餌などを濾過する水質浄化も兼ねたものである。駆動用モ−タ12は水槽外側の側壁に取付けられている。
【実施例9】
【0036】
図13は本発明の第9実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置62bの形態を示す平面図である。貫流ポンプ本体50の流れは2次元的であるから、流量を増やすためには、単純に羽根車7の幅方向の長さを増やせばよい。あるいは本図に示すように貫流ポンプ本体50を数個幅方向につなげばよい。本実施例はポンプ本体を3個幅方向に接続した場合で、魚の種類によって水槽内を垂直仕切り網16で仕切った場合を示す。
【実施例10】
【0037】
図14は本発明の第10実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置63の形態を示すもので、請求項5に関連する。(a)は平面断面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図である。本実施例では貫流ポンプ本体50bの据付けが第7〜第9の実施例とは異なり、図14に示すように縦置きになっているのが特徴である。縦置きでは駆動用のモ−タ−12が水面より上に設置できることから、据付およびメンテナンスが容易である。
【実施例11】
【0038】
図15は本発明の第11実施例の魚水槽のポンプエアレ−ション装置63の形態を示したもので、水槽を垂直仕切り壁18で2分割し、水槽の両端にそれぞれ縦置きの貫流ポンプ本体50bを据付けたときの平面断面図である。この実施例では、水槽内の流れの循環が非常に良好であること、および魚を2種類に分ける時に便利である。その他の構成は図14に示す第10の実施例の形態と同様である。
【実施例12】
【0039】
図16は貝や甲殻類を対象にした本発明の第12実施例で、養殖槽19の底面にポンプエアレ−ション装置64を据付けたときの流れとエアレ−ションの状態を示す。(a)はポンプエアレ−ション装置64の平面図、(b)は水面下の底面にポンプエアレ−ション装置64を据付けたときの使用状態における側断面である。この実施例で使用する貫流ポンプは水槽底面付近の流れに対応したケ−シング形状33が使用されている。本装置によれば、微細な気泡を含む安定した流れを養殖槽19の底面に沿って広い範囲に供給することができるので、養殖槽の底面近くに棲む海老、かにおよび貝類などを自然に近い流れ環境の中で育てることができる。
【実施例13】
【0040】
図17は本発明の第13実施例を示すもので、ポンプエアレ−ション装置65を水面が淀んだ養殖池や池20に設置することによって水面付近に流れを作り、池20全体の水面付近の流れの循環を活性化させることによって、水質を浄化するとともに、アオコやゴミなどの浮遊物もポンプの吸込側に設置したゴミ回収スクリ−ン21によって回収できるようにした装置である。池が広い場合はポンプ台数を増やした方が良い。本実施例では必ずしも微細気泡の供給は必要ではない。
【実施例14】
【0041】
図18は本発明の第14実施例で、池に循環流れが生じるようにケ−シング形状35を図に示すようにアレンジしたポンプエアレ−ション装置66を池に設置した場合の形態を示すもので、図17に関しての別形態のポンプにおける実施例である。本実施例では(b)に示すようにポンプ本体が縦置きであることが特徴である。縦置きでは前述のように駆動用のモ−タ−12が水面より上に据付けられるという有利さがある。その他の構成は図17に示す第13の実施例の形態と同様である。
【実施例15】
【0042】
図19は本発明の第15実施例で、生簀にポンプエアレ−ション装置67を設置した場合の形態を示す平面断面図である。前述の図18に示したのと類似の縦置きのポンプエアレ−ション装置67を生簀27の入口に据付け、外部河川からの流れの取り込みによって生簀内の水の循環を良くし、生簀内の養殖環境を良くしたものである。この実施例の形態は海の中での囲い込み槽による養殖にも利用出来る。
【0043】
以上、養殖関連についての実施例に示したように、本発明によれば従来の技術では得られなかった微小な気泡を含む幅広でシ−ト状の一様流れを水槽内に供給することができることから、魚類の飼育と水環境の改善に貢献できる。
【0044】
次に培養槽関連の実施例について図20〜図22に示す。
【実施例16】
【0045】
図20は本発明の第16実施例で、回流型の培養槽93の中の流路にポンプエアレ−ション装置68を設置した場合の形態を示す。(a)は平面図、(b)はY−Y矢視断面図である。本装置は培養槽93の水面側に植物94を育成する水耕栽培用フロ−ト95を浮かせ、水面下にポンプエアレ−ション装置68を設置した構成になっている。エアは前述の図1に示したようにエアポンプ11からエアホ−ス13により中空の回転軸3内に供給され、羽根車内部において中空回転軸に穿孔された散気孔5から回転を伴いながら微小気泡となって供給される。
【0046】
培養液は液体ポンプ11bによって同じ散気孔5から供給してもよいが、同時に微小気泡と培養液を供給する場合は前述の図2における吸込み側9に設置した図2のエア分散発生器17から供給することによって植物栽培に適した環境にすることができる。
【0047】
この実施の形態によれば、ポンプエアレ−ション装置68によって培養槽93の水面に浮かべた水耕栽培用フロ−ト95の下を回流する幅広の一様な流れが得られ、ポンプの吐出し流れとともに微細気泡や培養液を槽内全体に供給することができる。また、流れは乱れも少なく拡散せず遠くまで達することから、従来のように撹拌機がなくても槽内に安定した回流が得られる。さらに反対側の流路のBの位置にもポンプエアレ−ション装置68を設置すれば効率アップになる。
【実施例17】
【0048】
図20に示す培養槽93の流路幅が大きい場合は、図21の実施例17に示すようにポンプを複数台連結して、図20におけるポンプの据付け位置に同形態で設置すればよい。
【実施例18】
【0049】
図20に示す培養槽93の流路幅が小さい場合は、図18の実施例14における縦型のポンプエアレ−ション装置66と類似のエアレ−ション装置69を図22の実施例18に示すように流路に設置してもよい。このように本発明のポンプエアレ−ション装置は培養槽の大きさや流路幅に柔軟に対応できるのが特徴である。
【0050】
別形態の使用例として、海洋バイオマスとして注目される藻類の増殖培養に本発明のポンプエアレ−ション装置を利用すれば効果的である。図20において、水耕栽培用フロ−ト95を外すか、替わりに藻類育成用の網状のものを取付け、他は略同様の構成とした藻類培養槽において、二酸化炭素含有ガスをエアポンプ11から前述の図1に示す中空回転軸3を通して散気孔5から放出させることによって、ポンプ吐出口から槽内に二酸化炭素含有ガスの微細気泡を供給する。その二酸化炭素含有ガスの微細気泡を含む流れは前記水耕栽培の時と同様に槽内を良好に回流し、藻類増殖に適した環境を作る。
【0051】
さらに別形態の使用例として、前述の図8で実施の円形タンク曝気装置74の形態は、藻類などの植物栽培用の培養槽としても使用できる。藻類の増殖には円形タンクの水面付近に藻類育成用の網状のものを取付けたりして、前述の図1におけるエアポンプ11により供給された二酸化含有ガスを中空回転軸3の散気孔から微細化した気泡を放出し、吐出し流れが円形タンク42内の流れに旋回流れRを与えることによって、気泡の上昇速度を抑え、二酸化炭素含有ガスの気泡の滞留時間を大きくできることから、効率良く藻類を増殖出来る。
【0052】
以上、全体をまとめると、本発明のポンプエアレ−ション装置は曝気、養殖、培養槽関連など広い分野のエアレ−ション技術として貢献できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のエアレ−ション技術は、貫流ポンプ特有の幅広で安定した吐出し流れとともに微細化した多量の気泡を一様に供給できることから、曝気、養殖、植物栽培などに関連したエアレ−ション供給装置として、従来技術より効率良い利用が可能である。また、使用用途や槽の形状に応じて柔軟に対応できるという有利性がる。
【符号の説明】
【0054】
3 散気孔を有する羽根車中空回転軸
5、5b 散気孔
6 羽根
7 貫流ポンプ羽根車
8、8b ケ−シング舌部
9 ポンプ吸込側
10 ポンプ吐出側
11 エアポンプ
11b 液体ポンプ
12 駆動用モ−タ
12b 駆動用水中モ−タ
13 ホ−ス
14 水面
15 濾過装置
16 垂直仕切網
17 エア分散発生器
18 垂直仕切壁
19 養殖槽
20 池
21 ゴミ回収スクリ−ン
22、23 魚侵入防止網
24 魚水槽
25 水平仕切板
26 吸込み流路
27 生簀
28 中空回転軸の外周面から放射状に突き出した棒状の小突起
29 回転軸に平行で羽根車幅に渡って設置した細長パイプ状の棒
30,31,32,33,34、35、36、37 ポンプケ−シング
39 電動ル−バ−
40 ガイドベ−ン
41 矩形型タンク
42 円形タンク
45 廃水処理場
46 合流式の下水道
47 バイパス放流路
50、50b、51 貫流ポンプ本体
53、54 ポンプエアレ−ション装置(曝気、養殖および培養用共通)
55、55b、57、59、60 ポンプエアレ−ション装置(曝気用)
61、62、62b、63、64 ポンプエアレ−ション装置(魚水槽用)
65,66 ポンプエアレ−ション装置(池循環用)
67 ポンプエアレ−ション装置(生簀用)
68、68b、69 ポンプエアレ−ション装置(培養槽用)
70,71、72 矩形型タンク曝気装置
74 円形タンクエアレ−ション装置(曝気槽および培養槽用)
77 インライン型ポンプ曝気装置
93 培養槽
94 植物
95 水耕栽培用フロ−ト
B 微小気泡
K 河川
R 旋回流
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車形状が円筒状で多翼の貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)羽根車の回転軸を中空にし、羽根車内中空回転軸の外周面に多数の散気孔を穿孔、および多孔質材を貼付けた構造とし、羽根車外部より該中空回転軸へ接続したホ−スを通して空気、オゾン、二酸化炭素および培養液等を羽根車内中心部に供給できるようにした構造の貫流ポンプ装置を曝気槽や養殖槽および培養槽などの水面下に設置し、該中空回転軸の散気孔を通して羽根車内に噴出させた微細な気泡や微粒化した培養液等を吐出し流れとともに槽内に一様に放出できるようにしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項2】
請求項1に記載の貫流ポンプにおいて、ポンプの吸込み側ケ−シング内入口部および吐出し側ケ−シング内出口部に散気孔を有する中空パイプ状のエア−分散発生器あるいは多孔質材のエア−分散発生器を設置し、それらから噴出させた微細気泡や微粒化した培養液等を吐出し流れとともに槽内に供給できるようにしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項3】
請求項1に記載の貫流ポンプ羽根車において、気泡をさらに微細化させるために、散気孔を有する羽根車内中空回転軸の外周面に多数の棒状の小さな突起を放射状に突き出した構造にしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項4】
請求項1に記載の貫流ポンプ羽根車において、気泡をさらに微細化させるために、散気孔を有する羽根車内中空回転軸の外周面の外側に隙間を空けて、数本の細長パイプ状の棒を回転軸に平行で略同芯状に配列して羽根車幅方向に差し渡した構造にしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の貫流ポンプ本体を縦置きにし、駆動用のモ−タ−が水面上に設置できるようにして、据付およびメンテナンスが容易にできるようにしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載の貫流ポンプ本体を配管途中に組み込むために、ポンプケ−シング形状をインライン型にアレンジしたことを特徴とする曝気用のポンプエアレ−ション装置
【請求項7】
未処理で放流される場合がある汚水処理場の出口流路内に請求項1乃至請求項6に記載の貫流ポンプ装置を設置し、軽度のエアレ−ション処理を行った後、河川へ放流する簡易的浄化を目的としたことを特徴とする曝気用のポンプエアレ−ション装置
【請求項8】
円筒型のエアレ−ションタンクにおいて、請求項5に記載の縦置きの貫流ポンプをタンク中心部の水面下に設置し、ポンプの吐出口と吸込口の方向をタンクの円周に沿った方向になるようにケーシング形状をアレンジすると同時に吐出口の高さを吸込口より下方に位置するようにしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置。
【請求項1】
羽根車形状が円筒状で多翼の貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)羽根車の回転軸を中空にし、羽根車内中空回転軸の外周面に多数の散気孔を穿孔、および多孔質材を貼付けた構造とし、羽根車外部より該中空回転軸へ接続したホ−スを通して空気、オゾン、二酸化炭素および培養液等を羽根車内中心部に供給できるようにした構造の貫流ポンプ装置を曝気槽や養殖槽および培養槽などの水面下に設置し、該中空回転軸の散気孔を通して羽根車内に噴出させた微細な気泡や微粒化した培養液等を吐出し流れとともに槽内に一様に放出できるようにしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項2】
請求項1に記載の貫流ポンプにおいて、ポンプの吸込み側ケ−シング内入口部および吐出し側ケ−シング内出口部に散気孔を有する中空パイプ状のエア−分散発生器あるいは多孔質材のエア−分散発生器を設置し、それらから噴出させた微細気泡や微粒化した培養液等を吐出し流れとともに槽内に供給できるようにしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項3】
請求項1に記載の貫流ポンプ羽根車において、気泡をさらに微細化させるために、散気孔を有する羽根車内中空回転軸の外周面に多数の棒状の小さな突起を放射状に突き出した構造にしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項4】
請求項1に記載の貫流ポンプ羽根車において、気泡をさらに微細化させるために、散気孔を有する羽根車内中空回転軸の外周面の外側に隙間を空けて、数本の細長パイプ状の棒を回転軸に平行で略同芯状に配列して羽根車幅方向に差し渡した構造にしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の貫流ポンプ本体を縦置きにし、駆動用のモ−タ−が水面上に設置できるようにして、据付およびメンテナンスが容易にできるようにしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載の貫流ポンプ本体を配管途中に組み込むために、ポンプケ−シング形状をインライン型にアレンジしたことを特徴とする曝気用のポンプエアレ−ション装置
【請求項7】
未処理で放流される場合がある汚水処理場の出口流路内に請求項1乃至請求項6に記載の貫流ポンプ装置を設置し、軽度のエアレ−ション処理を行った後、河川へ放流する簡易的浄化を目的としたことを特徴とする曝気用のポンプエアレ−ション装置
【請求項8】
円筒型のエアレ−ションタンクにおいて、請求項5に記載の縦置きの貫流ポンプをタンク中心部の水面下に設置し、ポンプの吐出口と吸込口の方向をタンクの円周に沿った方向になるようにケーシング形状をアレンジすると同時に吐出口の高さを吸込口より下方に位置するようにしたことを特徴とするポンプエアレ−ション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−5947(P2012−5947A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143412(P2010−143412)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(709003735)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(709003735)
【Fターム(参考)】
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