説明

ポンプモジュール

【課題】各種平板ディスプレーの製造工程において、流体の吐出精度が向上できるだけでなく、吐出量の再現性を十分に確保できるポンプモジュールを提供する。
【解決手段】本発明のポンプモジュールは、内部空間を有し、側面に吸入口と吐出口とが形成されたシリンダーと前記シリンダー内に挿入された状態で回転及び往復移動し、回転位置によって前記吸入口と吐出口を選択的に開放させる開口溝が形成されたピストンと、ピストンを回転させる回転アクチュエーターと、ピストンを往復移動させるリニアアクチュエーターと、吸入口を通じて流体を一回吸入した後、吐出口を通じて流体を設定量で2回以上吐出できるように、回転アクチュエーター及びリニアアクチュエーターを制御する制御部と、を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプモジュールに係り、より詳細には各種平板ディスプレーの製造工程において、基板に流体を吐出するポンプモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、平面ディスプレー(Flat Panel Dispaly、FPD)とは、ブラウン管を採用したテレビやモニターより薄くて軽い映像表示装置を称する。このような平面ディスプレーとしては、液晶ディスプレー(Liquid Crystal Display、LCD)、プラズマディスプレーパネル(Plazma Display Panel、PDP)、電界放出ディスプレー(Field Emission Display、FED)、有機ELディスプレー(Organic Light Emitting Dispaly、OLED)などが開発されて使われている。
【0003】
この中で、液晶ディスプレーはマトリックス形態で配列された液晶セルに画像情報によるデータ信号を個別的に供給して液晶セルの光透過率を調節することによって、所要の画像を表示できるようにした表示装置である。液晶ディスプレーは薄くて軽く、消費電力と動作電圧が低いなどの長所があって広く利用されている。
【0004】
このような液晶ディスプレーに一般的に採用する液晶パネルの製造方法を一例として説明すれば、次のようである。
まず、上部ガラス基板にカラーフィルター及び共通電極をパターン形成し、上部ガラス基板と対向する下部ガラス基板に薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、TFT)及び画素電極をパターン形成する。続いて、基板にそれぞれ配向膜を塗布した後、これらの間に形成される液晶層の液晶分子にプレチルト角(pretilt angle)と配向方向を提供するために配向膜をラビングする。
【0005】
そして、基板間のギャップを維持する一方、液晶が外部に漏れることを防止し、基板間を密封させることができるように、いずれか一つの基板にペーストを所定パターンで塗布してペーストパターンを形成する。この時、基板にそれぞれ形成された共通電極と画素電極との間を連通させることができるように導電性ペーストを打点(dotting)する過程をさらに行う
次に、基板間に液晶層を形成した後、液晶パネルを製造するようになる。液晶層を形成する方式として、最近は液晶積荷方式を主に利用している。液晶積荷方式は基板のシールペーストにより限定した空間に液晶積荷装置を利用して液晶を積荷した後、基板間を合着してシールペーストを硬化、及び接合する方式である。
【0006】
このような液晶積荷方式は液晶パネルの品質を十分に確保するために、液晶セルごとに液晶の積荷量を一定に維持することが主な課題である。したがって、液晶積荷方式に利用するポンプモジュールは、定量吐出ができるように吐出精度の高い性能が必要であり、また毎度吐出する量が一定になるように吐出量の再現性に優れた性能を有する必要がある。
【0007】
このような液晶積荷方式に利用するポンプモジュールとしては、回転機構を介して、軸を回転さ、軸とスリーブ内面の隙間に存在する液晶を、らせん溝の影響によりノズル先端方向に押し下げ、液晶の滴下を行う方式がある(例えば特許文献1参照)。この方式は、軸の回転数、あるいは溝の形状、角度を変えることによって、液晶の滴下量を任意に変えることができるが、この方式は、液晶の吐出精度が悪く、吐出速度も充分なものではなかった。
【0008】
また、シリンダと、傾斜した回転軸の周りを回転し、歳差運動によって1回転で1往復する様に構成されたピストンと、を含む吐出ポンプの報告がある(例えば特許文献2,3参照)。この吐出ポンプは、ピストンの回転軸の角度を変えることで液晶の吐出量を調節することができる。
しかしこの吐出ポンプは、ピストンの回転軸の角度と液晶の吐出量との微細な調整が必要であり、吐出量の精度、再現性とも満足のいくものではなかった。また、ピストン1回転で液晶を1回吐出するので、吐出速度も充分なものではなかった。
【0009】
【特許文献1】特開平6−51256号公報
【特許文献2】特開2005−18078号公報
【特許文献3】特開2005−18083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような点に鑑みてなされた本発明は、流体の吐出精度が向上できるだけでなく、吐出量の再現性を十分に確保できるポンプモジュールを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するための本発明に係るポンプモジュールは、内部空間を有し、側面に吸入口と吐出口とが形成されたシリンダーと、シリンダーの内部で回転及び往復移動し、回転位置によって吸入口又は吐出口のいずれか一方を選択的に開放する開口溝が形成されたピストンと、ピストンを回転させる回転アクチュエーターと、前記吸入口の開放時に、ピストンを内部空間の体積が増加する方向に移動させることによって流体を吸入し、吐出口の開放時にピストンを体積が減少する方向に移動させることによって流体を吐出するために、ピストンを往復移動させるリニアアクチュエーターと、吸入口を通じて流体を一回吸入した後、吐出口を通じて流体を設定量で2回以上吐出するように、回転アクチュエーターとリニアアクチュエーターとを制御する制御部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、流体を一度吸入した後、流体をさらに吸入しないで、設定量の流体を少なくとも2回以上吐出できるので、流体を一回吸入し一回吐出する過程を繰り返し行うことに比べて、より効率的で迅速な流体吐出が可能になる。
そして、本発明によれば、2回目の流体の吐出からはピストンが90°範囲で往復回転しながら流体を吐出するようになるので、流体吐出のためにピストンが360°ずつ回転することに比べて、一回の吐出に必要とする時間を十分に短縮できるだけでなく、ピストンの加工誤差による吐出量の誤差も低減できる。
【0013】
また、ピストンの回転とは独立してピストンが往復移動し、吐出回数に比例してピストンが段階的に移動することによって流体が吐出できるので、吐出精度が向上するだけでなく、吐出量の再現性を十分に確保することができる。したがって、液晶パネルで液晶を積荷する場合に適用すると、液晶パネルの品質確保に効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るポンプモジュールを示す斜視図であり、図2は図1に示したポンプモジュールの分解斜視図である。
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態に係るポンプモジュール100は、各種平板ディスプレー製造工程において、流体を吸入した後設定量の流体を基板に吐出させる機能を有する。
【0015】
ポンプモジュール100の上部には流体貯蔵容器11が設けられている。流体貯蔵容器11はポンプモジュール100に流体を供給できるように、内部に流体が満たされている。ここで、ポンプモジュール100が液晶を基板に積荷して液晶セルを形成する液晶積荷装置である場合、流体は液晶であることができる。
このように流体が満たされた流体貯蔵容器11は、流体との反応を防ぐため、ポリエチレンなどのような素材で製造することができる。流体貯蔵容器11を前記素材で製造する場合、外部からの弱い衝撃でも変形する恐れがあるので、ステンレススチールなどのような剛性素材で製作したケース12に収納することが好ましい。
【0016】
流体貯蔵容器11は支持部13により支持される。支持部13は注射針のように内部に流路が形成されたピン14を有する。ピン14は第1連結管15の一端部に結合して連結している。そして、第1連結管15の他端部はポンプモジュール100のハウジング110に設けられた流体吸入部111に結合して連結している。
これによって、流体貯蔵容器11に貯蔵されている流体がピン14と第1連結管15を通じてポンプモジュール100の流体吸入部111に流入することができる。そして、ピン14を流体貯蔵容器11に挿入または脱離することで流体貯蔵容器11との着脱が可能になるので、流体貯蔵容器11の交換が容易になる。
【0017】
そして、ポンプモジュール100の下側にはノズル16が設けられる。ノズル16はハウジング110に設けられた流体吐出部112と第2連結管17により連結される。これによって、流体吐出部112から吐出された流体は第2連結管17を経てノズル16を通じて基板に吐出できる。ここで、流体吐出部112は流体吸入部111の反対側に設けることができる。そして、ノズル16はポンプモジュール100のブラケット101に設けた支持ブロック102により支持することができる。
このようにして、流体貯蔵容器11から供給された流体を吸入してノズル16を通じて吐出することができる。
【0018】
ポンプモジュール100は更に、図3に示したようにハウジング110、シリンダー120、ピストン130、リニアアクチュエーター140、回転アクチュエーター150、及び制御部160を含んで構成される。
シリンダー120はハウジング110の開口を通じて内部空間に収容される。シリンダー120はピストン130の往復移動及び回転を案内できるように円筒状の内部空間を有する。シリンダー120は一方の側面に吸入口121が形成され、他方の側面には吐出口122が形成される。
【0019】
吸入口121をハウジング110の流体吸入部111に連通するように形成することによって、流体貯蔵容器11から供給される流体をシリンダー120の内部に吸入する。そして、吐出口122をハウジング110の流体吐出部112に連通するように形成することによって、シリンダー120の内部に吸入した流体をシリンダー120の外部に吐出する。吐出口122は吸入口121と約180°をなすように配置することができるが、本発明はそれに限定されるものではない。
シリンダー120をハウジング110内に収容した状態で、ハウジング110には開口を閉鎖するためのキャップ115が冠設される。キャップ115はシリンダー120内にピストン130を挿入させることができる構造になっている。そして、ハウジング110内のシリンダー120とキャップ115間に流体の漏洩を阻止するためにシーリング部材116が設けられる。
【0020】
ピストン130は円筒状の内部空間を有するシリンダー120に対応する円筒状の構造からなり、組み立てる時にシリンダー120内に挿入する。このような状態で、ピストン130はリニアアクチュエーター140により往復移動を行い、回転アクチュエーター150により回転を行う。そして、ピストン130には、回転位置によってシリンダー120の吸入口121又は吐出口122のいずれか一方を選択的に開放できるように開口溝131が形成される。
開口溝131は中心軸と平行にピストン130の側面に形成される。なお、開口溝131はV字状を有するように形成されたものを図示したが、回転位置によって吸入口121又は吐出口122を選択的に開放できる範囲で多様な形状を有するように形成することもできる。
【0021】
リニアアクチュエーター140はピストン130を往復移動させて流体を吸入及び吐出させることができるように設置する。すなわち、リニアアクチュエーター140は吸入口121の開放時にピストン130を前記シリンダー120の内部空間の体積が増加する方向に移動させることによって、シリンダー120内に吸入力を発生させて流体を吸入し、吐出口122の開放時にピストン130を前記空間の体積が減少する方向に移動させるにことによって、シリンダー120内に吐出力を発生させて流体を吐出する。
このように流体の吐出量はピストン130が前記体積が最大となる上死点と前記体積が最小となる下死点との間を往復する運動範囲、すなわちピストン130の行程長さによって左右される。ピストン130の行程長さが長いと、流体の吐出量が多くなり、この反対にピストン130の行程長さが短いと、流体の吐出量は少なくなる。
【0022】
本実施形態は、流体の吐出量を任意に設定できるように、リニアアクチュエーター140におけるピストン130の行程長さの調節ができるように構成する。そして、リニアアクチュエーター140は、回転アクチュエーター150によるピストン130の回転とは独立して、ピストン130を往復移動させることができるように構成する。これによって、リニアアクチュエーター140によるピストン130の往復移動が回転アクチュエーター150の影響を受けなくなるので、流体の吐出精度が向上するだけでなく、吐出量の再現成も十分に確保することができる。
【0023】
また、リニアアクチュエーター140は、図4に示したように、ピストン130が最大で移動できる範囲、すなわちピストン130の全体行程の長さの範囲内で少なくとも2段階以上にピストンを移動させることができるように、後述する制御部160により制御する。
【0024】
また、リニアアクチュエーター140は一例として、圧電素子を含んで構成することができる。圧電素子の逆圧電効果を利用する場合、電気を入力エネルギーとして機械的変位を起こすことができる。圧電素子は微小変位の高精度制御が可能で、応答性が速いという特性があるので、ノズル16を通じて吐出する流体量を微細に調整することができ、流体を速かに吐出させるのに有利である。また、圧電素子はポンプモジュール100にわずかな機構的な変更を加えるだけで流体の吐出精度を一層高めるのという利点がある。
このようにリニアアクチュエーター140を圧電素子を含んで構成する場合、圧電素子はピストン130とヘッド153の間に設置する。圧電素子に電圧を印加すると膨張し、印加電圧を遮断すると元の状態に収縮する。これによって、ピストン130の往復移動が可能になる。一方、リニアアクチュエーター140の他の例として、リニアモーターを含んでなる構成も可能である。
【0025】
回転アクチュエーター150はピストン130に回転力を提供し、これを回転させる。ピストン130の回転位置によって開口溝131はシリンダー120の吸入口121又は吐出口122のいずれか一方を選択的に開放する。
詳述すると、回転アクチュエーター150は開口溝131が吸入口121と連通するようにピストン130を回転させて、吸入口121を通じてシリンダー120内の内部空間に流体を吸入する。そして、回転アクチュエーター150はシリンダー120内の内部空間に流体が吸入した状態で、開口溝131が吸入口121に連通しないように吸入口121を閉鎖し、吐出口122を開放するようにピストン130を回転させて吐出口122を通じて流体が吐出できるようにする。すなわち、回転アクチュエーター150はピストン130が流体の吸入及び吐出を制御する弁の役割を行わせることができる。この実施形態においては、回転アクチュエーター150はピストン130を正逆回転させることができるように構成される。
【0026】
このような回転アクチュエーター150は図2に示したように、正逆回転が可能な回転モーター151を含んで構成することができる。即ち、回転モーター151からの回転力をピストン130に伝えることができるように、回転モーター151の回転軸を固定部103に回転自在に設けた回転部材152に固設し、回転部材152をピストン130の上側に設けたリニアアクチュエーター140を備えたヘッド153に固設する。
なお、回転アクチュエーター150は図2に示したような構成に限定されず、ピストン130を回転させることができるものであれば、いかなる構成でも採用できる。
【0027】
制御部160はピストン130の回転及び往復移動による流体の吸入及び吐出過程を制御するためのものである。すなわち、制御部160はピストン130を回転させて開口溝131が吸入口121と吐出口122を選択的に開放するように、回転アクチュエーター150を制御する一方、吸入口121の開放時にピストン130をシリンダーの内部空間の体積が増加する方向に移動させ、吐出口122の開放時にピストン130を内部空間の体積が減少する方向に移動させることができるように、リニアアクチュエーター140を制御することによって、流体の吸入及び吐出を制御する。
この実施形態によれば、制御部160は吸入口121を通じて流体を一回吸入した後、吐出口122を通じて流体が設定量で2回以上吐出できるように、リニアアクチュエーター140及び回転アクチュエーター150を制御する。
【実施例1】
【0028】
このような制御部160による液晶の吸入及び吐出過程について、図5ないし図8に示した一例を参照して説明する。
まず、図5に示すように、制御部160は回転アクチュエーター150によりピストン130の開口溝131を吸入口121に連通させる。吸入口121が開放されると、制御部160はシリンダー120内に吸入力が発生するようにリニアアクチュエーター140によりピストン130をA地点まで移動させる。この時、ピストン130がA地点まで移動した距離は、設定量の流体が少なくとも2回以上吐出できる量の流体が吸入できる距離である。前述した過程を行うと、流体は吸入口121を通じてシリンダー120内の内部空間に吸入される。
【0029】
その後、図6に示すように、制御部160は回転アクチュエーター150により開口溝131を吸入口121から、例えば、反時計回りに180°回転させて吐出口122に連通させる。吐出口122が開放されると、制御部160はシリンダー120内に吸入した流体に吐出力を加えるようにリニアアクチュエーター140によりピストン130をA地点からB地点に移動させる。この時、ピストン130がA地点からB地点まで移動した距離は、設定量の流体を1回吐出できる距離である。前述した過程を行うと、設定量の流体が吐出口122を通じてシリンダー120の外部に1回吐出できる。
【0030】
その後、図7及び図8に示したように、制御部160は回転アクチュエーター150により吸入口121を引き続き閉鎖した状態で吐出口122を開閉させた後、吐出口122の開放時リニアアクチュエーター140によりピストン130を内部空間の体積が減少する方向に移動させる。これによって、流体の2回目の吐出ができる。
【0031】
詳述すれば、図7に示すように、制御部160は前述した過程により流体を1回吐出した後、回転アクチュエーター150により開口溝131を吐出口122から吸入口121に向かって90°回転させて移動させる。すなわち、制御部160は開口溝131を吸入口121と吐出口122との間でシリンダー120の内壁に対向して位置させることによって、吸入口121と吐出口122の両者を閉鎖する。
【0032】
この時、制御部160は吸入口121及び吐出口122の閉鎖のための開口溝131を90°回転させる方向が、前述した流体の1回吐出のための開口溝131が180°回転する方向と反対回りになるように回転方向を制御できる。例えば、制御部160は流体の1回吐出のために開口溝131を反時計回りに180°回転させる場合、吸入口121及び吐出口122の閉鎖のために開口溝131を時計回りに90°回転させるように回転方向を制御できる。これは流体を2回以上吐出する間、流体吐出のための開口溝131の回転方向を全て同一になるようにすることによって、流体の吐出精度と吐出量の再現性がより一層向上することができるようにするためである。
【0033】
一方、制御部160は吸入口121及び吐出口122を閉鎖するために開口溝131を90°回転させる方向が、流体を1回吐出させるために開口溝131を180°回転させる方向と同一になるように、回転方向を制御することも可能であるので、回転方向はこれに限定しないことは勿論である。
【0034】
さらに、制御部160は、回転アクチュエーター150により開口溝131が吐出口122から吸入口121に向かって90°回転する間は流体の1回吐出後ピストン130の位置がB地点まで移動した状態をそのまま維持できるように、リニアアクチュエーター140を制御することが好ましい。これは流体を1回吐出した後、シリンダー120内に残っている流体に加わる圧力をそのまま維持できるようにすることによって、継続して流体を吐出する時に、流体吐出の精度と吐出量の再現性を十分に確保するためである。
【0035】
前述した、開口溝131が吸入口121と吐出口122との間で90°回転した状態から、図8に示すように、制御部160は回転アクチュエーター150により開口溝131を90°回転させて吐出口122に再度連通させる。吐出口122が開放されると、制御部160はリニアアクチュエーター140によりピストン130を次段階、すなわちB地点からC地点に移動させる。この時、ピストン130がB地点からC地点まで移動する距離は流体が設定量で一度吐出できる距離である。前述した過程を行うと、設定量の流体を2回目の吐出ができる。
【0036】
このように2回目に流体が吐出された後、シリンダー120内に残っている流体の量が設定量でもう一度吐出される量に比べて多い状態であれば、制御部160は3回目の吐出を行うように制御する。この時、制御部160は流体が2回目に吐出される過程と同一な過程を通じて流体を吐出させる。
すなわち、制御部160は回転アクチュエーター150により開口溝131を吐出口122から吸入口121の方向に向かって90°回転させて吐出口122と吸入口121との両者を閉鎖する。この時、制御部160は流体の2回吐出後ピストン130の状態をそのまま維持できるように、リニアアクチュエーター140を制御する。その後、制御部160は回転アクチュエーター150により開口溝131を90°回転させて吐出口122に再連通させる。吐出口122が開放されると、リニアアクチュエーター140により流体が設定量で一度吐出できるようにピストン130を内部空間の体積が減少する方向に移動させる。これによって、流体の3回目の吐出ができる。
【0037】
このように、本発明によれば、制御部160により流体が一回吸入された後、さらに流体を吸入しない状態で、設定量の流体が少なくとも2回以上吐出できるように制御する。これによって、流体を一回吸入して一回吐出する過程を繰り返し行うことに比べて、より効率的で迅速な流体吐出が可能になる。また、本発明によれば、流体が吐出される2回目からはピストン130が90°角度の範囲を往復回転しながら流体を吐出するので、流体吐出のためにピストンが360°ずつ回転することに比べて、吐出に必要とする時間を十分に短縮することができるだけでなく、ピストンの加工誤差による吐出量の誤差も低減することができる。したがって、流体の吐出精度及び吐出再現性を向上することができる。
【0038】
シリンダー120内に残っている流体の量が設定量でもう一度吐出する量に比べて少ない状態であるが、流体を引き続き吐出させる必要があれば、制御部160は図5に示したように回転アクチュエーター150により開口溝131を吸入口121に連通させる。吸入口121が開放されると、制御部160はピストン120をA地点まで移動させることによって、吸入口121を通じてシリンダー120内に流体を新しく吸入するようにリニアアクチュエーター140に指令する。このように流体が新しく吸入された状態で、流体吐出過程は前述したのと同一に行うことができる。
【実施例2】
【0039】
制御部160は前述した過程において、流体が吐出される2回目から吸入口121と吐出口122の両者を閉鎖できる位置へピストン130の開口溝131を移動させる過程を省略するように、回転アクチュエーター150を制御することも可能である。すなわち、制御部160は開口溝131を吸入口121に位置させて流体が一度吸入できるようにピストン130を内部空間の体積が増大する方向に移動させた後、開口溝131を吐出口122に位置させたまま、ピストン130を吐出回数に比例して段階的に内部空間の体積が減少する方向に移動させるように、回転アクチュエーター150及びリニアアクチュエーター140を制御できる。
【0040】
詳述すれば、制御部160は図5に示したように、ピストン130の開口溝131を吸入口121に位置させた後、ピストン130をA地点まで移動させることによって、流体を吸入口121を通じてシリンダー120内の下部空間に吸入するように制御する。その後、制御部160は図6に示したように、開口溝131を吸入口121から180°回転させて吐出口122に位置させた後、ピストン130をA地点からB地点に移動させることによって、設定量の流体を吐出口122を通じてシリンダー120の外部に1回吐出するように制御する。
【0041】
その後、制御部160は、図7に示した過程を省略したままで、開口溝131を吐出口122に連通する一方、ピストン130にはB地点の位置をそのまま維持させる。このような状態で、制御部160は図8に示したように、ピストン130をB地点からC地点に移動させることによって、設定量の流体を吐出口122を通じてシリンダー120の外部に2回吐出できる。
【0042】
このように流体を2回吐出した後、シリンダー120内に残っている流体の量が設定量でもう一回吐出する量に比べて多ければ、制御部160は流体が2回目と同一な過程で流体を吐出するようにすることによって、設定量の流体の3回目の吐出ができる。このように、制御部160により流体の吐出が制御されることによって、本発明によれば、流体を吐出するためにピストンが360°ずつ回転することに比べて、一回の吐出に必要とする時間を短縮することができるだけでなく、ピストンの加工誤差による吐出量の誤差も低減することができる。したがって、流体の吐出精度及び吐出の再現性を向上させることができる。
【0043】
もし、シリンダー120内に残っている流体の量が設定量でもう一度吐出される量に比べて少ないが、流体を引き続き吐出させる必要があれば、制御部160は図5に示したように開口溝131を吸入口121に連通させた後、ピストン120をA地点まで移動させることによって、吸入口121を通じてシリンダー120内に新しく流体を吸入できるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、流体を一回吸入した後、流体をさらに吸入しない状態で、設定量の流体を少なくとも2回以上吐出できるので、流体を一回吸入して一回吐出する過程を繰り返し行うことに比べて、より効率的で迅速な流体吐出が可能になる。
【0045】
そして、流体が吐出される2回目からはピストンが90角度範囲で往復回転しながら流体を吐出したり、吐出口が開放された状態でピストンが段階的に移動しながら流体を吐出するようになるので、流体吐出のためにピストンが360°ずつ回転することに比べて、一回の吐出に必要とする時間を十分に短縮できるだけでなく、一度吐出する時ごとにピストンの加工誤差による吐出量の誤差も低減できる。
【0046】
また、ピストンの回転とは独立してピストンが往復移動し、吐出回数に比例してピストンが段階的に移動することによって流体が吐出できるので、吐出精度が向上するだけでなく、吐出量の再現性を十分に確保することができる。したがって、液晶パネルで液晶を積荷する場合に適用すると、液晶パネルの品質確保に効果がある。従って、本発明の産業利用性はきわめて高いものといえる。
一方、本明細書内で本発明をいくつかの好ましい実施形態によって記述したが、当業者ならば、添付の特許請求範囲に開示した本発明の範疇及び思想から外れずに、多くの変形及び修正がなされ得ることがわかるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るポンプモジュールを示す斜視図である。
【図2】図1に示したポンプモジュールの分解斜視図である。
【図3】図2に示したポンプモジュールの一部を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示したピストンが段階的に移動する過程を説明するための図面である。
【図5】図1に示したポンプモジュールによる流体吐出過程を説明するための図面である。
【図6】図1に示したポンプモジュールによる流体吐出過程を説明するための図面である。
【図7】図1に示したポンプモジュールによる流体吐出過程を説明するための図面である。
【図8】図1に示したポンプモジュールによる流体吐出過程を説明するための図面である。
【符号の説明】
【0048】
110 ハウジング
120 シリンダー
121 吸入口
122 吐出口
130 ピストン
131 開口溝
140 リニアアクチュエーター
150 回転アクチュエーター
160 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有し、側面に吸入口と吐出口とが形成されたシリンダーと、
一端部に開口溝が形成され、かつ前記シリンダーの内部で回転及び往復するピストンと、
前記ピストンを回転させて、前記開口溝を前記吸入口または前記吐出口のいずれか一方に選択的に連通させる回転アクチュエーターと、
前記ピストンを、前記吸入口の開放時に前記内部空間の体積が増加する方向に移動させ、前記吐出口の開放時に前記ピストンを前記体積が減少する方向に移動させるリニアアクチュエーターと、
前記吸入口を通じて前記流体を一回吸入した後、前記吐出口を通じて前記流体を設定量で複数回吐出するように、前記回転アクチュエーターとリニアアクチュエーターとを制御する制御部と、
を含むことを特徴とするポンプモジュール。
【請求項2】
前記制御部は、
前記回転アクチュエーターにより前記開口溝を前記吸入口に連通させかつ前記リニアアクチュエーターにより前記ピストンを前記体積が増加する方向に移動させて前記シリンダー内に流体を吸入する吸入工程と、
前記回転アクチュエーターにより前記吸入口と前記吐出口の両方を閉じる工程と、
前記回転アクチュエーターにより前記開口溝を前記吐出口に連通させ、次いで前記リニアアクチュエーターにより前記ピストンを前記体積が減少する方向に移動させて前記シリンダー内の流体の一部を吐出する操作を複数回行う吐出工程と、
を行うように、前記回転アクチュエーター及び前記リニアアクチュエーターを制御することを特徴とする請求項1に記載のポンプモジュール。
【請求項3】
前記制御部は、
前記吸入口を閉鎖した状態で前記吐出口を開閉させるために、前記開口溝が前記シリンダーの内壁に対向する位置と前記吐出口に連通する位置との間を回転移動するように、前記回転アクチュエーターを制御することを特徴とする請求項2に記載のポンプモジュール。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ピストンを前記体積が減少する方向に移動させ、前記流体を吐出した後に、前記ピストンを回転させて前記吐出口を閉鎖する間、前記ピストンの位置を変えないように、前記リニアアクチュエーターを制御することを特徴とする請求項2または3に記載のポンプモジュール。
【請求項5】
前記制御部は、
前記吐出口を通じて前記流体が設定量で2回以上吐出される間、前記吐出口の開放のために前記開口溝を回転させる方向が全て同一になるように、前記回転アクチュエーターを制御することを特徴とする請求項4に記載のポンプモジュール。
【請求項6】
前記制御部は、
前記開口溝を前記吸入口に連通させて前記流体を一回吸入するように前記ピストンを前記体積が増大する方向に移動させた後、前記開口溝を前記吐出口に連通させると共に、前記ピストンを段階的に前記体積が減少する方向に移動させるように、前記回転アクチュエーター及びリニアアクチュエーターを制御することを特徴とする請求項1に記載のポンプモジュール。
【請求項7】
前記リニアアクチュエーターは、圧電素子を備えることを特徴とする請求項1に記載のポンプモジュール。
【請求項8】
前記リニアアクチュエーターは、リニアモーターを備えることを特徴とする請求項1に記載のポンプモジュール。
【請求項9】
前記回転アクチュエーターは、回転モーターを備えることを特徴とする請求項1に記載のポンプモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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