説明

ポンプ付容器に用いられるポンプホルダー

【課題】引き上げ過ぎて外れたりしないと共に、詰め替えに便利なポンプホルダーを提供する。
【解決手段】ポンプ14又はポンプキャップ13に対する取付部を上部に形成すると共に、中間部に注入口4を形成し、下部に容器本体10の口縁12に上方から係合するポンプ保持ストッパー7を形成し、このポンプ保持ストッパー7の下部に、容器本体10の口部11内において、ポンプ14を一定量以上引き上げたときに外れるのを阻止する抜け止めストッパー6を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー、洗剤等の詰め替え容器から、ポンプ付容器内に内容物を注入する際に、容器内から引き上げたポンプを容器本体の口上に保持して詰め替え作業時におけるポンプ及びキャップ等に付着した内容物により辺りを汚したり、あるいはポンプシリンダー等に埃やゴミ類が付着して不衛生となったりしないようにポンプを容器本体の口のところに保持しておくためのポンプホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、洗剤等の場合、ポンプ容器内の内容物を使い切ると、詰め替え容器内に入った同一種のものを詰め替えて使用する使用例が普及している。
この種用途に用いられる詰め替え容器には、パウチ又は簡易な細口ボトルが用いられていて、詰め替えを行うときは、パウチの注入口をカットしたり、ボトルのキャップをあけ、その上でポンプを取り外した容器本体の口から詰め替え液を注入する形態となっている。
このようにして詰め替えを行う場合には、容器本体から一旦ポンプを引き上げて脇に置く必要があるため、ポンプのシリンダーや吸上げパイプに付着した内容物が手や衣類、あるいは辺りに付着して汚れるという欠点がある。
また、シャンプーや洗剤についてはそれ程問題とならないが、除菌液等の場合には、詰め替え時に外して置いたポンプのシリンダーや吸上げパイプに雑菌が付着する心配がある。
【0003】
このような観点から、詰め替え時にポンプを引き上げて容器本体の口のところに保持したまま詰め替えを行うことができるようにした液体噴出器の提案がある(特開2004−292034号公報)。
この公知例の内容は、「容器と、下端に吸上げパイプを垂設したポンプと、容器口部に取着されたポンプ受け体とからなるディスペンサー付き容器であって、ポンプ受け体は、容器口部に取着される取付筒と保持筒とを具備しており、保持筒の下端に、先端を吸上げパイプの嵌挿部とした保持杆が連設され、保持杆の間が流通孔となっていることを特徴とするディスペンサー付き容器。」(請求項1)及び「容器と、下端に吸上げパイプを垂設したポンプと、容器口部に取着されたポンプ受け体とからなるディスペンサー付き容器であって、ポンプ受け体は、取付筒と、該取付筒に連杆を介して連設された保持部とを具備しており、保持部は、連杆に連設された外筒とポンプを保持する嵌挿筒とを具備し、前記連杆の間が流通孔となっていることを特徴とするディスペンサー付き容器。」(請求項2)である。
【0004】
しかし、上記公知例の場合、ポンプ受け体を容器口部に取着し、この受け体の保持筒にポンプ側の吸上げパイプを嵌挿しているだけのため、ポンプを引き上げすぎると外れたりすることがあると共に、引き上げたときにポンプのシリンダーや吸上げパイプは露出しているため、ここで手が汚れたり、雑菌が付着したりするという欠点がある。
また、保持筒を経由して詰め替え液が流入する構造のため、流入量が少なく、詰め替えに時間がかかると共に、勢いが良いと溢れ出ることがある。
【0005】
次に、同一の目的を持った公知例として、特開2004−298804号公報に掲載されているものがある。
この公知例は、「容器体2内部へシリンダ9を垂下させた状態でその口頸部7を閉塞して容器体にポンプ3を着脱可能に装着するとともに、シリンダ9下端より容器体2内底部へ液吸い上げ用のパイプ10を垂設し、且つ、上記ポンプの作動により上記容器体内液体を噴出する如く構成した液体噴出器であって、上記口頸部に上端部を固定させた注入窓22付きの大径部23を上記シリンダと隙間をあけて垂下するとともに、上記容器体内の下向き面fに当接して抜け出しを防止する係止片24を上記大径部より斜め上方へ突設し、且つ、上記パイプ外周に摺動可能に密嵌させた小径部25を上記大径部下方へ延設した筒部材4を設け、上記ポンプを上記口頸部からの液注入が可能な位置まで引き上げた際に上記小径部による上記ポンプの起立状態維持が可能に構成したことを特徴とする」ものである。
【0006】
しかし、この公知例の場合も、ポンプを引き上げすぎると外れたりすることがあると共に、詰め替え液の注入シリンダー9と筒部材4との間において液体の流入スペースが小さく、詰め替えに時間がかかると共に、ポンプを引き上げたときにシリンダーが露出して(図3参照)、手を汚したり、雑菌が付着する。
また、ポンプの引き上げ量が定まっていないことから、使い勝手が悪い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き欠点を解消した詰め替え時にポンプを保持するポンプホルダーを提供するのが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、ポンプ付容器に用いられるポンプホルダーにおいて、ポンプ又はポンプキャップに対する取付部を上部に形成すると共に、中間部に注入口を形成し、下部に容器本体の口縁に上方から係合するポンプ保持ストッパーを形成し、このポンプ保持ストッパーの下部に、容器本体の口部内において、ポンプを一定量以上引き上げることにより外れるのを阻止する抜け止めストッパーを形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
更に、請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載のポンプ付容器に用いられるポンプホルダーにおいて、全体がくの字形に屈曲していると共に、注入口はこの屈曲した外側に位置するように形成されていること、を特徴とするものである。
この発明によると、注入口が大きく開くため、詰め替えを簡単に行うことができる。
【0010】
更に、請求項3に記載の発明においては、請求項1又は2の何れか1項に記載のポンプ付容器に用いられるポンプホルダーにおいて、柔軟性を有する樹脂を用いて一体成形されていること、を特徴とするものである。
この発明によると、ポンプホルダーの製造コストを安く抑えることができる。
【0011】
[作用]
ポンプ又はポンプキャップに取り付けられたポンプホルダーは、詰め替えのためにポンプを容器本体から一定量引き上げると、抜け止めストッパーが容器本体の口部内に係合することによって、それ以上のポンプの引き上げはできない。このとき、ポンプ保持ストッパーが容器本体の口縁に上方から係合するため、ポンプをそのまま容器本体の口上に保持させておくことができる。この結果、前記注入口に詰め替え容器の注入口を臨ませて詰め替え液を容器本体内に注入することができる。注入を終えてポンプを容器本体内に押し込むようにすると、ポンプ保持ストッパー及びホルダー自体がその弾性作用で変形することから、たやすくポンプを再度容器本体内に組み入れることができる。、
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るポンプホルダーは以上の如き構成から成るため、次の効果を奏する。
1.詰め替えのためにポンプを引き上げると、抜け止めストッパーが容器本体の口部内 に当り、それ以上の引き上げを阻止するので、ポンプが不用意に抜け出たりしないと 共に、ポンプ保持ストッパーが容器本体の口部の上に露出するので、ここでポンプを 手放すと、ポンプ保持ストッパーが口縁に上から係合する。この結果、注入口から詰 め替え液を簡単に注入することができる。
2.万一、注入中に容器本体が倒れてもポンプホルダーは抜け止めストッパーとポンプ 保持ストッパーにより口部にしっかりと止められているため、外れたりする心配がな い。
3.ポンプホルダーは、弾性樹脂で一体成形されているため、ストッパーの変形に併せ てストッパー自体が変形してスムーズにポンプの出し入れを行うことができる。
4.ホルダー自体を中空形成法により成形するようにすると、金型コストを抑えること ができる。
【実施例1】
【0013】
上記した本発明に係るポンプホルダーの実施例を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。図1はポンプホルダーの全体を示す斜視図、図2はポンプホルダーを装着したポンプ容器のポンプ側上半の説明図、図3はポンプ側を容器本体の口部から引き上げた状態の説明図、図4は詰め替え液を容器本体内に注入している状態の説明図である。
【0014】
ポンプホルダー1は、図1に示すように、上端部にパッキン兼用のリング2を形成し、このリング2の内縁から支持片3を等間隔で垂下させ、この支持片3の下端を環体5で連結し、この環体5の下縁から水平方向に約90°の広がり角で引き上げ阻止ストッパー6を形成すると共に、前記支持片3の略中間に、ポンプ保持ストッパー7を突出させた構造であって、このポンプ保持ストッパー7は、ポンプホルダー1を一定の力で押し込むと口縁に当って変形し、口部内への挿入を許容し、反対に引き上げてポンプから手を離すと、元の形状に戻る。4は、支持片3間に開口している注入口である。
なお、本実施例1において、ポンプ保持ストッパー7は、上辺にRをつけた直角三角形状を呈しているが、上下辺にそれぞれ傾斜又はRをつけた三角形状、あるいは半円形状としても良いし、特にこの形状は、ストッパーとしての機能を有し、力をかけたときに口部内に出入りがスムーズな形状ならば、どのような形状であっても良い。
【0015】
上記ポンプホルダー1は、図2に示すように、容器本体10の口部11の上縁12とポンプキャップ13間にリング2を挟み込むようにしてポンプ14側に取り付けられる。ポンプ14のシリンダー15は、このポンプホルダー1の中央を通って下方に向き、このシリンダー15には吸上げパイプ16が容器本体10内の底部近くまで垂下されている。このようにしてポンプ14に取り付けられたポンプホルダー1を最初に容器本体10の口部11内に挿入するとき、抜け止めストッパー6、ポンプ保持ストッパー7及びホルダー自体が変形するため、ポンプ14及びポンプホルダー1を容器本体10内に簡単に押し込むことができる。
ポンプ14は、ポンプヘッド17を駆動することにより、容器本体10内の液体を吸い上げてノズル18から噴出させることができる。
【0016】
図3は、ポンプキャップ13を弛めてこのポンプキャップ13を持ち、ポンプ14を引き上げた状態、図4は、詰め替えを行っている状態を示すもので、この引き上げ時に、ポンプホルダー1は、ポンプ14と一緒に引き上げられ、抜け止めストッパー6が容器本体10の口部11の肩に内側から当ることにより引き上げが阻止される。
この引き上げ時に、ポンプ保持ストッパー7及びポンプホルダー1は、その弾性により変形するため、引き上げの障害とはならず、ポンプ保持ストッパー7は口部11から外に出て元の三角形状に復元する。この結果、ポンプ14から手を離すと、ポンプ保持ストッパー7が容器本体10の口部11の上縁12に当り、ポンプ14は容器本体10の口部11上に保持される。
【0017】
このようにしてポンプホルダー1の作用でポンプ14を引き上げたまま、図4に示すように、支持片3間の注入口4のところに注入口21をカットした詰め替えパウチ20内から詰め替え液を容器本体10内に注入すると、詰め替え液は、ポンプホルダー1の中央を通って容器本体10内に流下する。
詰め替えが終り、ポンプ14を口部11内に押し込むと、ポンプ保持ストッパー7及びポンプホルダー1自体が変形し、ポンプホルダー1は元通り口部11内に入るため、、支障なくポンプキャップ13を容器本体10の口部11にねじ込んでポンプ14を容器本体10に取り付けることができる。
【実施例2】
【0018】
本実施例2は、請求項2に記載の本願発明に対応するもので、実施例1のポンプホルダー1との違いは、図5に示すように、支持片3において、ポンプ保持ストッパー7の上のところを少し傾けることにより、全体をくの字形に屈曲させ、注入口4の位置をこの屈曲させた外側において大きく開口させて図8に示すように詰め替え時に注入しやすいように工夫したものである。
図6はポンプキャップ13を容器本体10に締め付けた時のポンプホルダー1の状態を示すもので、この時、ポンプホルダー1の下部は、シリンダー15及び吸上げパイプ16の邪魔にならない程度にくの字形に傾いている。
【0019】
図7はポンプ14を引き上げてポンプ保持ストッパー7を容器本体10の口縁12に引っ掛けた状態、図8は詰め替え容器20から詰め替え液を注入している状態を示すものである。
なお、本実施例2において、ポンプホルダー1の傾け角は約20°であるが、あまり傾けすぎるとポンプ14を容器本体10にセットしたときにホルダーの傾きが大きくなりすぎ、傾き角が小さいと注入口4の開きが小さくなるので、実用的には15°〜25°位の範囲が有効である。
本実施例2を示す図5乃至図8において、図1乃至図4と同一の符号は、同一物及び同一構造及び同一の作用を奏するもののため、重複を避けるためにその説明は省略する。
【実施例3】
【0020】
本実施例3と実施例1との相違点は、図9に示すように、ポンプホルダー1をポンプ14のシリンダー15の先端(下端)に取り付けるようにしたもので、実施例1のリング2に相当する構成が無いことと、ポンプホルダー1は、天板1aの中心に取付孔1bを設けた円筒体の側面に略180°の広がりの注入口4を形成したもので、このポンプホルダー1は、図10に示すように、吸上げパイプ16を取り付けたシリンダー15の先端固定部15aに前記取付孔1bを外嵌し、図9に示す固定部材15bをポンプホルダー1の内方から先端固定部15aに嵌合させることにより、シリンダー15の下に取り付けられる。
【0021】
この実施例3のポンプホルダー1によると、図11に示すように、ポンプ14を大きく引き上げて詰め替えを行うことができると共に、注入口4が大きいため、詰め替えに便利である。
本実施例3を示す図9乃至図11において、図1乃至図4と同一の符号は、同一物及び同一構造及び作用を奏するもののため、重複を避けるためにその説明は省略する。
【実施例4】
【0022】
本実施例4と実施例1との相違点は、ポンプホルダー1をポンプ14のシリンダー15の先端固定部15aに直接嵌合して取り付けることができるように、ポンプホルダー1の天板1aの中央に上向きにシリンダ−15の先端固定部15aに嵌合させるための嵌合口1cを形成し、支持片3を180°間隔で2枚板とすることにより、注入口4を左右に大きく開口させた点である。
【0023】
本実施例4のポンプホルダー1は、図13に示すように、シリンダー15の先端固定部15aに嵌合口1cを嵌合して取り付けられるもので、図14に示すように、ポンプ14を引き上げると抜け止めストッパー6が容器本体10の口部11内に係合し、ポンプ保持ストッパー7が口縁12上に係合することにより注入口4が左右に大きく開口するため、左右いずれの方向からでも詰め替えを行うことができて便利である。
本実施例4に示す図12乃至図14において、図1乃至図4と同一の符号は、同一物及び同一構造及び作用を奏するもののため、重複を避けるためにその説明は省略する。
なお、上記した実施例1乃至4において、ポンプホルダー1の成形用樹脂には、ポリプロピレン又はポリエチレンが用いられているが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るポンプホルダーの説明図
【図2】ポンプホルダーをポンプと一緒に容器本体内に組み付けた状態の説明図
【図3】ポンプを引き上げた時にポンプがホルダーにより保持されている状態の説明図
【図4】詰め替え液を注入している状態の説明図
【図5】実施例2のポンプホルダーの説明図
【図6】ポンプホルダーをポンプと一緒に容器本体内に組み付けた状態の説明図
【図7】ポンプを引き上げた時にポンプがホルダーにより保持されている状態の説明図
【図8】詰め替え液を注入している状態の説明図
【図9】実施例3のポンプホルダーの説明図
【図10】ポンプホルダーをポンプと一緒に容器本体内に組み付けた状態の説明図
【図11】ポンプを引き上げた時にポンプがホルダーにより保持されている状態の説明図
【図12】(A)はポンプホルダーの正面図、(B)(C)は平面図、(D)は下面図
【図13】ポンプホルダーをポンプと一緒に容器本体内に組みつけた状態の説明図
【図14】ポンプを引き上げた時にポンプがホルダーにより保持されている状態の説明図
【符号の説明】
【0025】
1 ポンプホルダー
2 リング
3 支持片
4 注入口
5 環体
6 抜け止めストッパー
7 ポンプ保持ストッパー
10 容器本体
11 口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ又はポンプキャップに対する取付部を上部に形成すると共に、中間部に注入口を形成し、下部に容器本体の口縁に上方から係合するポンプ保持ストッパーを形成し、このポンプ保持ストッパーの下部に、容器本体の口部内において、ポンプを一定量以上引き上げることにより外れるのを阻止する抜け止めストッパーを形成して成るポンプ付容器に用いられるポンプホルダー。
【請求項2】
前記ポンプホルダーは、全体がくの字形に屈曲していると共に、注入口はこの屈曲した外側に位置するように形成されていること、を特徴とする請求項1に記載のポンプ付容器に用いられるポンプホルダー。
【請求項3】
前記ポンプホルダーは、柔軟性を有する樹脂を用いて一体成形されていること、を特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載のポンプ付容器に用いられるポンプホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−18989(P2008−18989A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193584(P2006−193584)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(390024372)竹本容器株式会社 (3)
【Fターム(参考)】