説明

ポンプ装置及び油圧無段変速装置

【課題】 PTOクラッチ機構を備えたポンプ装置又は油圧無段変速装置において、該PTOクラッチ機構の係合/非係合に拘わらず、一対の作動油ラインへのチャージ圧を一定に保持する。
【解決手段】 補助ポンプ本体の吐出口の流体接続された吐出ラインと、吐出ラインからの圧油の一部を一対の作動油ラインのそれぞれにチェック弁を介して供給するチャージラインと、吐出ラインからの圧油の一部をPTOクラッチ機構にPTOリリーフ弁を介して供給するPTO作動油ラインと、一次側が前記吐出ラインに流体接続された減圧弁と、前記減圧弁の一次側に流体接続された抵抗弁とを備える。前記PTO作動油ライン及び前記チャージラインは、それぞれ、前記減圧弁の一次側及び二次側に流体接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置及び油圧無段変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作動連結された駆動源からの回転動力を一対の作動油ラインを介してアクチュエータに伝達し得るように構成されたポンプ装置や、作動連結された駆動源からの回転動力を一対の作動油ラインを流れる作動油の油圧を利用して無段変速して出力する油圧無段変速装置において、前記駆動源からの動力を分岐出力するPTO伝動機構を設けることは、従来から公知である。
【0003】
前記ポンプ装置又は前記油圧無段変速装置には、前記一対の作動油ラインに圧油を補給すると共に、前記PTO伝動機構に備えられるPTOクラッチ機構に作動油を供給する為に、前記駆動源によって作動的に駆動される補助ポンプ本体が備えられる場合がある(特許文献1参照)。
【0004】
従来のポンプ装置又は油圧無段変速装置は、油溜まりと前記補助ポンプ本体の吸引口との間を流体接続する吸引ラインと、前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続された吐出ラインと、該吐出ラインから減圧弁を介して分岐されたチャージラインであって、前記一対の作動油ラインへの補給油を流す為のチャージラインと、前記吐出ラインから前記減圧弁を介して分岐されたPTO作動油ラインであって、前記PTOクラッチ機構への作動油を流す為のPTO作動油ラインとを備えている。
【0005】
詳しくは、前記従来のポンプ装置又は油断油圧変速装置においては、前記チャージラインが前記減圧弁の二次側に流体接続され、且つ、前記PTO作動油ラインが前記減圧弁のバネ室に流体接続されていた為、前記PTOクラッチ機構の係合時又は非係合時に、前記チャージラインの油圧が変動し、従って、前記油圧ポンプ本体の吸引/吐出量を変更操作する出力調整部材の操作トルクが変動する不具合があった。
【0006】
即ち、前記減圧弁は、前記チャージラインの油圧を、バネ室に配設される油圧設定バネによって所定油圧に設定し得るようになっているが、前述の通り、従来のポンプ装置又は油圧無段変速装置においては、前記PTO作動油ラインが前記減圧弁のバネ室から作動油の供給を受けるようになっている。
ところで、前記PTO作動油ラインには、前記PTOクラッチ機構への作動油の供給/遮断を切り換える切換弁に加えて、前記PTOクラッチ機構の作動油圧を設定するPTOリリーフ弁が介挿されている。その為、該PTO作動油ラインは、前記PTOクラッチ機構の非係合時には油溜まりに連通された自然圧となり、且つ、前記PTOクラッチ機構の係合時には前記PTOリリーフ弁によって設定される作動圧となる。
【0007】
従って、斯かるPTO作動油ラインが接続される前記減圧弁のバネ室は、該PTO作動油ラインの油圧変動に伴って油圧が変化することになり、該バネ室内の油圧設定バネによって油圧が設定される前記チャージラインの油圧も前記PTO作動油ラインの油圧変動に伴って変化することになる。
【0008】
このように、従来のポンプ装置又は油圧無段変速装置においては、前記PTOクラッチ機構の係合時及び非係合時において、前記チャージラインの油圧が異なり、前記油圧ポンプ本体の出力調整部材の操作トルクが変動するという不都合があった。
【0009】
又、前記PTO作動油ラインの油圧を前記PTOリリーフ弁によって設定される作動油圧まで漸増させ、これにより、前記PTOクラッチ機構の急激な係合動作を防止させる為に、該PTO作動油ラインにアキュームレータが介挿される場合がある。
しかしながら、従来のポンプ装置又は油圧無段変速装置においては、斯かるアキュームレータの配置に関し、十分な考慮がなされていなかった。
【0010】
さらに、前記ポンプ装置においては、一対の油圧ポンプ本体が備えられる場合がある。斯かるポンプ装置は、作動連結された駆動源からの回転動力を、一対の第1作動油ライン及び一対の第2作動油ラインを介して左右の駆動車輪を駆動する第1及び第2油圧モータユニットに伝達し得るように構成されている。
即ち、前記ポンプ装置における一対の油圧ポンプ本体と前記一対の油圧モータユニットとは、左右一対の駆動車輪を独立して駆動する一対のHSTを形成するようになっている。
【0011】
ところで、斯かる一対の油圧ポンプ本体を備えた従来のポンプ装置においては、前記一対の油圧モータユニットが同一出力状態となるように前記一対のHSTにおける各出力調整部材を操作したにも拘わらず、製造誤差や組立誤差等に起因して、前記一対の油圧モータユニットの出力に差異が生じる場合があった。
斯かる一対の油圧モータユニットの出力の差異は、車輌を直進させるように操作しているにも拘わらず、車輌が蛇行するいわゆるワンダリング現象を招く。
【特許文献1】特開2003−291674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、PTOクラッチ機構を備えたポンプ装置又は油圧無段変速装置であって、該PTOクラッチ機構の係合/非係合に拘わらず、一対の作動油ラインへのチャージ圧を一定に保持し得るポンプ装置又は油圧無段変速装置の提供を、一の目的とする。
又、本発明は、PTOクラッチ機構への作動油の油圧を漸増させるアキュームレータを備えたポンプ装置又は油圧無段変速装置において、装置の大型化を可及的に防止しつつ、該アキュームレータの配管作業の効率化を図り得るポンプ装置又は油圧無段変速装置の提供を、他の目的とする。
又、本発明は、駆動源に作動連結される一対の油圧ポンプ本体を備え、該駆動源からの回転動力を、一対の第1作動油ライン及び一対の第2作動油ラインを介して左右の駆動車輪を駆動する第1及び第2油圧モータユニットに伝達し得るように構成された走行駆動用のポンプ装置であって、左右の駆動車輪を独立して変速駆動可能としつつ、直進操作時におけるワンダリング現象の発生を有効に防止し得るポンプ装置の提供を、さらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記目的を達成する為に、作動連結された駆動源からの回転動力を一対の作動油ラインを介してアクチュエータに伝達し得るように構成されたポンプ装置であって、前記駆動源に作動連結される入力軸と、前記入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体であって、前記一対の作動油ラインを介して前記アクチュエータに流体接続される油圧ポンプ本体と、前記入力軸によって作動的に駆動されるPTO軸と、前記入力軸から前記PTO軸への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構と、補助ポンプ本体と、一端部が油溜まりに流体接続され且つ他端部が前記補助ポンプ本体の吸引口に流体接続される吸引ラインと、前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続された吐出ラインと、前記吐出ラインからの圧油の一部を前記一対の作動油ラインのそれぞれにチェック弁を介して供給するチャージラインと、前記吐出ラインからの圧油の一部を前記PTOクラッチ機構にPTOリリーフ弁を介して供給するPTO作動油ラインと、一次側が前記吐出ラインに流体接続された減圧弁と、前記減圧弁の一次側に流体接続された抵抗弁とを備え、前記PTO作動油ライン及び前記チャージラインは、それぞれ、前記減圧弁の一次側及び二次側に流体接続されているポンプ装置を提供する。
【0014】
又、本発明は、作動連結された駆動源からの回転動力を油圧の作用を利用して無段変速して作業車輌を走行させる為の油圧無段変速装置であって、前記駆動源に作動連結される入力軸と、前記入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体と、前記油圧ポンプ本体に流体接続される油圧モータ本体と、前記油圧モータ本体によって回転駆動され、且つ、駆動車輪に駆動的に連結されるモータ軸と、前記入力軸によって作動的に駆動されるPTO軸と、前記入力軸から前記PTO軸への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構と、補助ポンプ本体と、前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体を流体接続する一対の作動油ラインと、一端部が油溜まりに流体接続され且つ他端部が前記補助ポンプ本体の吸引口に流体接続される吸引ラインと、前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続された吐出ラインと、前記吐出ラインからの圧油の一部を前記一対の作動油ラインのそれぞれにチェック弁を介して供給するチャージラインと、前記吐出ラインからの圧油の一部を前記PTOクラッチ機構にPTOリリーフ弁を介して供給するPTO作動油ラインと、一次側が前記吐出ラインに流体接続された減圧弁と、前記減圧弁の一次側に流体接続された抵抗弁とを備え、前記PTO作動油ライン及び前記チャージラインは、それぞれ、前記減圧弁の一次側及び二次側に流体接続されている油圧無段変速装置を提供する。
【0015】
本発明に係る前記ポンプ装置又は油圧無段変速装置において、好ましくは、前記抵抗弁の二次側を前記油溜まりに流体接続するドレンラインをさらに備えることができる。
より好ましくは、前記ドレンラインにオイルクーラーを介挿することができる。
【0016】
又、好ましくは、前記ドレンラインから分岐される外部作動油取出ラインをさらに備えることができる。
より好ましくは、一次側が前記吐出ラインに流体接続される外部作動油圧用リリーフ弁をさらに備え、該外部作動油圧用リリーフ弁によって、前記外部作動油取出ラインの作動油圧が設定されるように構成し得る。
例えば、一端部が前記吐出ラインに流体接続され且つ他端部が前記吸引ラインに流体接続されるリターンラインをさらに備え、前記外部作動油圧用リリーフ弁を、前記リターンラインに介挿させることができる。
【0017】
前記種々の態様において、好ましくは、前記PTO作動油ラインは、絞りを介して前記減圧弁の一次側に流体接続され得る。
【0018】
又、本発明は、前記目的を達成する為に、作動連結された駆動源からの回転動力を一対の作動油ラインを介してアクチュエータに伝達し得るように構成されたポンプ装置であって、前記駆動源に作動連結される入力軸と、前記入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体であって、前記一対の作動油ラインを介して前記アクチュエータに流体接続される油圧ポンプ本体と、前記入力軸によって作動的に駆動されるPTO軸と、前記入力軸から前記PTO軸への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構と、補助ポンプ本体と、前記油圧ポンプ本体及び前記PTOクラッチ機構を収容するハウジングと、前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続される吐出ラインと、前記吐出ラインに流体接続されるPTO作動油ラインであって、前記PTOクラッチ機構に作動油を供給するPTO作動油ラインと、前記PTO作動油ラインの油圧を設定するPTOリリーフ弁と、前記PTO作動油ラインに介挿され、該PTO作動油ラインの油圧を前記PTOリリーフ弁の設定圧まで漸増させるアキュームレータとを備え、前記アキュームレータが前記ハウジングに内蔵されているポンプ装置を提供する。
【0019】
又、本発明は、作動連結された駆動源からの回転動力を油圧の作用を利用して無段変速する油圧無段変速装置であって、前記駆動源に作動連結される入力軸と、前記入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体と、前記油圧ポンプ本体に流体接続される油圧モータ本体と、前記油圧モータ本体によって回転駆動されるモータ軸と、前記入力軸によって作動的に駆動されるPTO軸と、前記入力軸から前記PTO軸への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構と、補助ポンプ本体と、前記油圧ポンプ本体,前記油圧モータ本体及び前記PTOクラッチ機構を収容するハウジングと、前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続される吐出ラインと、前記吐出ラインに流体接続されるPTO作動油ラインであって、前記PTOクラッチ機構に作動油を供給するPTO作動油ラインと、前記PTO作動油ラインの油圧を設定するPTOリリーフ弁と、前記PTO作動油ラインに介挿され、該PTO作動油ラインの油圧を前記PTOリリーフ弁の設定圧まで漸増させるアキュームレータとを備え、前記アキュームレータが、前記ハウジングに内蔵されている油圧無段変速装置を提供する。
【0020】
前記ハウジングは、前記油圧ポンプ本体の回転軸方向一方側に、前記油圧ポンプ本体、又は、前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体が挿通可能な開口が設けられたハウジング本体と、該開口を液密に閉塞するように前記ハウジング本体に着脱可能に連結されるセンターセクションとを備え得る。
前記ハウジング本体は、前記開口が設けられた第1端面部と、前記第1端面部とは前記油圧ポンプ本体の回転軸方向を基準にして反対側に位置する第2端面部と、前記第1端面部及び前記第2端面部の間において前記油圧ポンプ本体の回転軸方向に沿って延びる壁部とを有する。
一態様においては、前記アキュームレータは、軸線方向が前記油圧ポンプ本体の回転軸方向に沿うように前記壁部に内蔵され得る。
他態様においては、前記アキュームレータは、軸線方向が油圧ポンプ本体の回転軸方向と略直交するように前記第1端面部又は第2端面部に内蔵され得る。
【0021】
さらに、本発明は、作動連結された駆動源からの回転動力を、一対の第1作動油ライン及び一対の第2作動油ラインを介して左右の駆動車輪を駆動する第1及び第2油圧モータユニットに伝達し得るように構成された走行駆動用のポンプ装置であって、前記駆動源に作動連結される入力軸と、前記入力軸によって作動的に駆動される第1及び第2油圧ポンプ本体であって、それぞれ、前記一対の第1作動油ライン及び前記一対の第2作動油ラインを介して前記第1及び第2油圧モータユニットに流体接続される第1及び第2油圧ポンプ本体と、前記第1及び第2油圧ポンプ本体を囲繞するハウジング本体と、前記第1及び第2油圧ポンプ本体を当接支持するセンターセクションであって、前記ハウジング本体との協働下に第1及び第2油圧ポンプ本体の収容空間を画するセンターセクションとを備え、前記一対の第1作動油ラインのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第1作動油ライン及び前記一対の第2作動油ラインのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第2作動油ラインの間を連通する連通ラインであって、絞りが介挿された連通ラインを備えたポンプ装置を提供する。
【0022】
好ましくは、前記センターセクションには、前記一対の第1作動油ライン及び前記一対の第2作動油ラインの一部をそれぞれ構成する一対の第1作動油路及び一対の第2作動油路が形成される。
斯かる態様において、前記連通ラインは、前記一対の第1作動油路のうち前進時に高圧となる前進時高圧側第1作動油路及び前記一対の第2作動油路のうち前進時に高圧となる前進時高圧側第2作動油路の間を連通するように構成され得る。
【0023】
前記一対の第1作動油路及び前記一対の第2作動油路が略平行に形成される場合には、前記連通ラインは、前記一対の第1作動油路及び前記一対の第2作動油路と直交するように、前記センターセクションに穿孔された連通油路とされ得る。
好ましくは、前記前進時高圧側第1作動油路及び前記前進時高圧側第2作動油路が隣接配置される。
【0024】
他態様においては、前記連通ラインは、前記前進時高圧側第1作動油路及び前記前進時高圧側第2作動油路の間を連通するように、前記センターセクションに着脱可能に連結される配管とされ得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るポンプ装置又は油圧無段変速装置によれば、補助ポンプ本体の吐出ラインに流体接続された減圧弁の一次側にPTO作動油ラインを、且つ、該減圧弁の二次側にチャージラインをそれぞれ流体接続したので、前記PTO作動油ラインの油圧変動の影響を受けることなく、前記チャージラインの油圧を減圧弁によって画されるチャージ圧に保持することができる。
従って、PTOクラッチ機構の係合又は非係合に拘わらず、一対の作動油ラインへのチャージ圧を一定に保持でき、これにより、出力調整部材の操作トルクを一定に維持することができる。
【0026】
又、本発明に係るポンプ装置又は油圧無段変速装置によれば、補助ポンプ本体から圧油が供給されるPTO作動油ラインに介挿されるアキュームレータであって、該PTO作動油ラインの油圧をPTOリリーフ弁によって画される所定油圧まで漸増させるアキュームレータを、油圧ポンプ本体、又は、油圧ポンプ本体及び油圧モータ本体を収容するハウジングに内蔵したので、配管作業効率の向上及びPTO作動油の漏れだし防止を図りつつ、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0027】
さらに、本発明に係るポンプ装置によれば、第1油圧ポンプ本体及び第1油圧モータユニットを流体接続する一対の第1作動油ラインのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第1作動油ラインと、第2油圧ポンプ本体及び第2油圧モータユニットを流体接続する一対の第2作動油ラインのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第2作動油ラインとを、絞りが介挿された連通ラインで連通するように構成したので、前記第1油圧ポンプ本体及び前記第1油圧モータユニットによって構成される第1HSTと、前記第2油圧ポンプ本体及び前記第2油圧モータユニットによって構成される第2HSTとの独立変速を維持しつつ、車輌を直進させるべく前記第1HST及び前記第2HSTが同一出力状態となるように操作したにも拘わらず、車輌が蛇行するワンダリング現象を有効に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
実施の形態1
以下に、本発明に係るポンプ装置の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係るポンプ装置100が適用された作業車輌1の油圧回路図を示す。又、図2に、本実施の形態に係るポンプ装置100の横断平面図を示す。さらに、図3及び図4に、それぞれ、図2におけるIII-III線及びIV-IV線に沿った前記ポンプ装置の縦断面側面図を示す。
【0029】
本実施の形態に係るポンプ装置100は、作動連結された駆動源(図示せず)からの回転動力を一対の作動油ライン400a,400bを介してアクチュエータに伝達する主伝動経路を形成すると共に、前記駆動源からの回転動力を分岐して外部に出力する副伝動経路を形成し得るように構成されている。
【0030】
具体的には、該ポンプ装置100は、図1〜図4に示すように、前記駆動源に作動連結される入力軸220と、前記入力軸220によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体300a,300bであって、前記一対の作動油ライン400a,400bを介して前記アクチュエータに流体接続される油圧ポンプ本体300a,300bと、前記入力軸220によって作動的に駆動されるPTO軸610と、前記入力軸200から前記PTO軸610への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構600Aとを備えており、前記油圧ポンプ本体300a,300bが前記主伝動経路の一部を構成し、且つ、前記PTO軸610及び前記PTOクラッチ機構600Aが前記副伝動経路の一部を構成している。
なお、本実施の形態に係るポンプ装置100は、前記PTOクラッチ機構600Aに連動するPTOブレーキ機構600Bを備えており、前記入力軸220から前記PTO軸610への動力遮断時に、該PTO軸610が慣性力によって回転し続けることを防止している。
【0031】
本実施の形態に係るポンプ装置100は、前記油圧ポンプ本体として、一対の第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bを有している。
該一対の第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bは、それぞれ、一対の第1及び第2作動油ライン400a,400bを介して前記アクチュエータとして作用する一対の第1及び第2油圧モータユニット10a,10bに流体接続されており、前記第1油圧ポンプ本体300a及び前記第1油圧モータユニット10aが一対の駆動車輪50の一方を変速駆動する走行用第1HSTを構成し、且つ、前記第2油圧ポンプ本体300b及び前記第2油圧モータユニット10bが前記一対の駆動車輪50の他方を変速駆動する走行用第2HSTを構成し得るようになっている。
【0032】
即ち、前記第1油圧ポンプ本体300a及び前記第1油圧モータユニット10aにおけるモータ本体は、少なくとも何れか一方が可変容積型とされている。
同様に、前記第2油圧ポンプ本体300b及び前記第1油圧モータユニット10bにおけるモータ本体は、少なくとも何れか一方が可変容積型とされている。
なお、本実施の形態においては、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bが可変容積型とされ、且つ、前記第1及び第2油圧モータユニット10a,10bが固定容積型とされている。
【0033】
より詳しくは、前記ポンプ装置100は、前記入力軸220、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300b、前記PTO軸610及び前記PTOクラッチ機構600Aに加えて、前記入力軸220及び前記PTO軸610を支持すると共に、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300b並びに前記PTOクラッチ機構600Aを収容するハウジング200と、前記入力軸220から前記第1油圧ポンプ本体300a,第2油圧ポンプ本体300b及び前記PTOクラッチ機構600Aに動力を伝達する伝動機構280であって、前記ハウジング200に収容された伝動機構280とを備えている。
【0034】
図5〜図8に、それぞれ、図2におけるV-V線,VI-VI線,VII-VII線及びVIII-VIII線に沿った断面図を示す。
図2及び図5〜図7に示すように、前記ハウジング200は、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300b並びに前記PTOクラッチ機構600Aを収容するハウジング本体210と、該ハウジング本体210に着脱自在に連結されるセンターセクション360であって、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bに流体接続される油路が形成されたセンターセクション360と、前記センターセクション360とは前記油圧ポンプ本体300a,300bの回転軸方向を基準にして反対側において前記ハウジング本体210に着脱自在に連結される蓋部材250とを備えている。
【0035】
本実施の形態においては、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bは互いの回転軸方向が車輌前後方向に沿って平行となるように前記ハウジング200に収容されており、さらに、前記PTO軸610も回転軸線が前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bの回転軸方向と平行となるように前記ハウジング200に支持されている。
【0036】
具体的には、前記ハウジング本体210は、図2に示すように、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bの回転軸方向一方側に位置する第1端面部211と、該第1端面部211から前記回転軸方向他方側に離間された第2端面部212と、前記第1端面部211及び前記第2端面部212の間において前記回転軸方向に沿って延びる壁部213とを有している。
【0037】
前記第1端面部211は、前記ハウジング本体210の幅方向一方側に、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bが挿通し得る第1開口211aを有している。
そして、該第1開口211aは、前記センターセクション360によって液密に閉塞されるようになっている。
即ち、前記ハウジング200は、前記センターセクション360と前記第2端面部212との間に前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bを収容するポンプ収容空間201が画されるようになっている(図2参照)。
【0038】
前記第2端面部212は、前記ポンプ収容空間201に対応した部位に、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bにおける下記可動斜板353を滑動自在に当接支持する凹円弧状の案内面を備えた斜板受け部212aを有し、且つ、ハウジング200の車輌幅方向他方側に、前記PTOクラッチ機構600Aが挿通し得る第2開口212bを有している(図2参照)。
そして、該第2開口212bは、前記蓋部材250によって液密に閉塞されるようになっている。
即ち、前記ハウジング200は、前記蓋部材250と前記第1端面部211との間に前記PTOクラッチ機構600Aを収容するPTOクラッチ収容空間202が画されるようになっている。
【0039】
このように、本実施の形態においては、前記センターセクション360と前記第2端面部212とによって画されるハウジング200の幅方向一方側の内部空間を前記ポンプ収容空間201として用い、且つ、前記蓋部材250と前記第1端面部211とによって画されるハウジング200の幅方向他方側の内部空間を前記PTOクラッチ収容空間202として用いている。
【0040】
なお、本実施の形態においては、前記斜板受け部212aを前記ハウジング本体210に一体形成しており、従って、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bが挿通可能な前記第1開口211aと、前記PTOクラッチ機構600Aが挿通可能な第2開口212bとを、第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bの回転軸方向一方側及び他方側に設けているが、これに代えて、前記斜板受け部212aを前記ハウジング本体210とは別体とすることも可能である。
このように、前記斜板受け部212aを前記ハウジング本体210とは別体とすれば、前記第2端面部212を不要とすることができ、これにより、ハウジング本体210を鋳造する際に前記油圧ポンプ収容部201及び前記PTOクラッチ収容部202を形成する各鋳型を同一方向に抜くことが可能となる。
【0041】
前記蓋部材250は、前記ハウジング本体210の第2端面部212との間に、前記伝動機構280を収容する伝動機構収容部203(図2参照)を形成し得るように、該ハウジング本体210に着脱可能に連結されている。
なお、図3に示すように、前記第2端面部212には、前記油圧ポンプ収容部201と伝動機構収容部203との間で油流通自在とするための連通路215を形成することができる。
【0042】
図2及び図3に示すように、前記入力軸220は、前記駆動源に作動連結される伝動方向上流側の端部が外方に延在された状態で、前記ハウジング200に支持されている。
なお、本実施の形態においては、前記入力軸220は、前記第1油圧ポンプ本体300aにおける第1ポンプ軸310aと一体形成されている。
【0043】
本実施の形態においては、前記第1油圧ポンプ本体300aは、図2及び図3に示すように、アキシャルピストン式とされている。
具体的には、該第1油圧ポンプ本体300aは、前記入力軸220に作動連結される前記第1ポンプ軸310aと、該第1ポンプ軸310aに相対回転不能に支持された第1シリンダブロック320aと、該シリンダブロック320aに相対回転不能且つ軸線方向摺動可能に収容された第1ピストンユニット330aとを有している。
前述の通り、本実施の形態においては、前記第1油圧ポンプ本体300aは可変容積型とされている。
従って、前記第1ポンプ本体300aは、前記構成に加えて、前記ピストンユニット330aの摺動範囲を変化させて、吸引/吐出量を調整する出力調整部材340aを備えている。
本実施の形態においては、該出力調整部材340aとしてクレイドル式の可動斜板が用いられている。
詳しくは、該可動斜板340aは、凸円弧状の裏面が、前記斜板受け部212aの凹円弧面に固定したスラストメタルに密着されることでに摺動自在に当接支持され、且つ、前面が前記ピストンユニット330aの先端に設けたシューに当接されいる。なお、前記斜板受け部212aの凹円弧面の最深部位には、前記スラストメタルの傾転を防止するスラストメタル係止用突起216が設けられている(図3参照)。
また、該出力調整部材340aは、アーム351aを介して連結される制御軸350aによって外部操作可能とされている(図3参照)。
【0044】
前述の通り、本実施の形態においては、前記第1ポンプ軸310aの第一端は外方へ延在され前記入力軸220と一体形成されている。
そして、図2及び図3に示すように、該第1ポンプ軸310aの第二端は、伝動方向下流側の端部がセンターセクション360を貫通して外方へ延在された状態で、前記センターセクション360,前記第2端面部212及び前記蓋部材250によって軸線回り回転自在に支持されている。
なお、該第1ポンプ軸310aの外方延在部には、冷却ファン800が備えられている(図2参照)。
当然ながら、前記第1ポンプ軸310aの前記第二端側の外方延在部を前記入力軸220としてもよい。また、前記冷却ファン800は、後述する第2ポンプ軸310bの軸端を補助ポンプケース520より外方へ延在させた部位に備えさせることもできる。
【0045】
前記第2油圧ポンプ本体300bは、前記第1油圧ポンプ本体300aと実質的に同一構成を有している。
従って、該第2油圧ポンプ本体300bについては、前記第1油圧ポンプ本体300aにおける符号の末尾をbに代えて、適宜その詳細な説明を省略する。
【0046】
前記第2ポンプ軸310bは、伝動方向下流側の端部がセンターセクション360を貫通して外方に延在された状態で、前記センターセクション360,前記第2端面部212及び前記蓋部材250によって軸線回り回転自在に支持されている。
なお、該第2ポンプ軸310bの外方延在部には、後述する補助ポンプ本体510が支持されている。
【0047】
図2に示すように、前記PTO軸610は、伝動方向下流側の端部が、前記入力軸220とは反対側の外方に延在された状態で、前記第1端面部211及び前記蓋部材250によって軸線回り回転自在に支持されている。
【0048】
前記PTOクラッチ機構600Aは、前記PTO軸610に相対回転自在に支持された駆動側部材620であって、前記入力軸220に作動連結される駆動側部材620と、前記PTO軸610に相対回転不能に支持された従動側部材630と、前記駆動側部材620に相対回転不能に支持された駆動側摩擦板及び前記従動側部材630に相対回転不能に支持された従動側摩擦板を含む摩擦板群640とを備えており、油圧の作用によって前記駆動側摩擦群640を選択的に摩擦係合又は非係合させることで、前記入力軸220から前記PTO軸610への動力伝達を係合又は遮断させ得るようになっている。
【0049】
前記伝動機構280は、図2及び図4に示すように、前記入力軸220の回転動力を、前記第1ポンプ軸310a,第2ポンプ軸310b及び前記駆動側部材620に伝達し得るように構成されている。
本実施の形態においては、該伝動機構280は、前記入力軸220に相対回転不能に支持された第1ギヤ281と、該第1ギヤ281と噛合するように前記第2ポンプ軸310bに相対回転不能に支持された第2ギヤ282と、該第2ギヤ282と噛合するように前記駆動側部材620に設けられた第3ギヤ283とを有している。
【0050】
図1,図2及び図4に示すように、本実施の形態に係るポンプ装置100は、前記構成に加えて、さらに、前記入力軸220によって作動的に駆動される前記補助ポンプ本体510と、該補助ポンプ本体510を囲繞するように前記センターセクション360の外面に連結される補助ポンプケース520とを備えている。
本実施の形態においては、該補助ポンプ本体510は、前述の通り、第2ポンプ軸310bの外方延在部によって駆動されるようになっている。
【0051】
本実施の形態に係るポンプ装置100は、前記補助ポンプ本体510からの吐出油を、前記一対の第1作動油ライン400a及び前記一対の第2作動油ライン400bにチャージ油として供給すると共に、前記PTOクラッチ機構600Aに作動油として供給し得るように構成されている。
【0052】
詳しくは、該ポンプ装置100は、図1に示すように、一端部が油溜まり(本実施の形態においては、前記ハウジング200の内部空間)に流体接続され且つ他端部が前記補助ポンプ本体510の吸引口に流体接続される吸引ライン550と、前記補助ポンプ本体510の吐出口に流体接続された吐出ライン560と、前記吐出ライン560からの圧油の一部を前記一対の第1作動油ライン400a及び前記一対の第2作動油ライン400bのそれぞれにチェック弁425を介して供給するチャージライン420と、前記吐出ライン560からの圧油の一部を前記PTOクラッチ機構600AにPTOリリーフ弁478を介して供給するPTO作動油ライン470と、一次側が前記吐出ライン560に流体接続された減圧弁530と、前記減圧弁530の一次側に流体接続された抵抗弁540とを備えている。
【0053】
そして、前記PTO作動油ライン470及び前記チャージライン420は、それぞれ、前記減圧弁530の一次側及び二次側に流体接続されており、これにより、前記PTOクラッチ機構600Aの係合状態又は非係合状態に拘わらず、前記チャージライン420の油圧を一定に保持することができ、従って、油圧クラッチ機構600Aの状態変化に伴って前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bの出力調整部材350a,350bの操作トルクが変動するという従来の不都合を有効に防止することができるようになっている。
【0054】
即ち、従来のポンプ装置においては、チャージライン及びPTO作動油ラインが、それぞれ、減圧弁の二次側及びバネ室に流体接続されており、PTOクラッチ機構の係合時における際と非係合時における際とで、前記チャージラインの油圧が異なるという不具合があった。
【0055】
詳しくは、前記PTO作動油ラインは、前記PTOクラッチ機構の係合時には、介挿されるPTOリリーフ弁によって所定油圧に保持され、且つ、前記PTOクラッチ機構の非係合時には、油溜まりにドレンされて自然圧とされる。
従って、従来のポンプ装置においては、前記チャージラインは、前記PTOクラッチ機構の非係合時には、前記減圧弁の油圧設定バネによって所定油圧に保持されるが、他方、前記PTOクラッチ機構の係合時には、前記PTOリリーフ弁の油圧が前記減圧弁のバネ室に作用することになる為、前記減圧弁の油圧設定バネの付勢力に前記PTOリリーフ弁の油圧を加えた圧力に保持されることになる。
【0056】
斯かるチャージラインの油圧変動は、前記第1ピストンユニット330aに作用する背圧を変動させることになり、これにより前記油圧ポンプ本体の出力調整部材の操作トルクの変動を招く。特に、前記PTOクラッチ機構の係合時においては、前記チャージラインの油圧が上昇し、これに伴い、一対の作動油ラインの油圧が上昇して、前記出力調整部材の操作トルクが大きくなる。従って、運転者に対して操作違和感を与えると共に、例えば、操作力の解除に伴い前記出力調整部材を自動的に中立位置へ戻す中立位置復帰機構を備えるような場合には、前記操作トルクの上昇によって中立位置への復帰に時間を要したり、場合によっては中立位置へ戻し切れないことが起こりえる。
【0057】
これに対し、本実施の形態においては、前述の通り、前記チャージライン420を前記減圧弁530の二次側に流体接続させると共に、前記PTO作動油ライン470を前記減圧弁530の一次側に流体接続させている。
従って、前記PTOクラッチ機構600Aの状態変化に伴って前記PTO作動油ライン470の油圧が変動しても、前記チャージライン420は前記減圧弁530の油圧設定バネによって画される所定油圧に保持され、これにより、前記PTOクラッチ機構600Aの作動又は非作動に拘わらず、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bの出力調整部材340a,340bの操作トルクを一定に保持することができ、従来のポンプ装置における前記不具合を有効に防止することができる。
【0058】
なお、本実施の形態においては、図1に示すように、前記PTO作動油ライン470は、絞り472を介して前記減圧弁530の一次側に流体接続され、且つ、前記抵抗弁540を介して前記吐出ライン540の余剰油が系外に排出されるように構成されている。
【0059】
より好ましくは、前記抵抗弁540の二次側を前記油溜まりに流体接続するドレンライン570をさらに備えると共に、該ドレンライン570にオイルクーラー575を介挿させることができる(図1参照)。
斯かる構成を備えることにより、前記油溜まり内の貯留油の温度上昇を有効に防止することができる。
【0060】
さらに好ましくは、前記ドレンライン570から、外部へ作動油を取り出す外部作動油取出ライン580を備えることができる。該外部作動油取出ライン580には、例えば、前記作業車輌1に搭載され前記PTO軸610によって駆動される対地作業機(例えば、芝刈り用モア装置)を地面から昇降させる油圧アクチュエータが接続される。
本実施の形態においては、前記ポンプ装置100は、一端部が前記ドレンライン570に流体接続された前記外部作動油取出ライン580と、一端部が前記ドレンライン570に流体接続された外部作動油戻しライン581と、前記外部作動油取出ライン580及び前記ドレンライン570の接続点580Tと前記外部作動油戻しライン581及び前記ドレンライン570の接続点581Tとの間において該ドレンライン570に介挿された,前記油圧アクチュエータ作動用の切換弁582とを備えている。
なお、前記外部作動油戻しライン581は、前記オイルクーラー575の上流側において前記ドレンライン570に接続されており、これにより、前記油溜まりの油温上昇をより有効に防止することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態に係るポンプ装置100は、一次側が前記吐出ライン560に流体接続される外部作動油圧用リリーフ弁595を備えており、該外部作動油圧用リリーフ弁595によって前記外部作動油取出ライン580の油圧が設定されるようになっている。
好ましくは、図1に示すように、一端部が前記吐出ライン560に流体接続され且つ他端部が前記吸引ライン550に流体接続されるリターンライン590を設け、前記外部作動油圧用リリーフ弁595を該リターンライン590に介挿させることができる。
【0062】
ここで、前記各油圧ラインの具体的構成について説明する。
図8に示すように、前記センターセクション360には、前記一対の第1作動油ライン400aの一部を構成する一対の第1作動油路410aと、前記一対の第2作動油ライン400bの一部を構成する一対の第2作動油路410bとが形成されている。
なお、前記一対の第1作動油路410a及び前記一対の第2作動油路410bは実質的に同一構成を有している。従って、前記一対の第2作動油路410bについては、前記一対の第1作動油路410aにおける符号の末尾をbに代えて、その詳細な説明を適宜省略する。
【0063】
前記一対の第1作動油路410aは、それぞれ、対応する前記第1油圧ポンプ本体300aとの流体接続口となるキドニーポートと、外表面に開口して前記第1油圧モータユニット10aとの流体接続口となる作動油ポート411aとを有している。
本実施の形態においては、図8に示すように、前記一対の第1作動油路410aは、一端部及び他端部が外表面に開口するように、前記センターセクションに穿孔されており、前記一端部が前記作動油ポート411aを形成し、且つ、中央部が前記キドニーポートを形成している。
なお、前記一対の第1作動油路410aのうち前進低圧側第1作動油路410a(2)の他端開口はプラグ412によって閉塞され、且つ、前進時高圧側第1作動油路410a(1)の他端開口には後述するリリーフ弁415が装着されている。
【0064】
好ましくは、前記一対の第1作動油路410a及び前記一対の第2作動油路410bのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第1作動油路410a(1)及び前進時高圧側第2作動油路410b(1)の油圧が所定油圧を超えると、該前進時高圧側第1作動油路410a(1)及び前進時高圧側第2作動油路410b(1)の油圧をそれぞれ前進時低圧側第1作動油路410a(2)及び前進時低圧側第2作動油路410b(2)へリリーフするリリーフ機構を備えることができる。
本実施の形態においては、図4及び図8に示すように、該リリーフ機構は、一端部が前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)の他端部に連通され、且つ、他端部が前記ハウジング本体210との当接面に開口するように、前記センターセクション360に形成されたリリーフ油路413と、前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)及び対応する前記リリーフ油路413の間に位置するように、前記センターセクション360に装着される前記リリーフ弁415とを有している。
なお、本実施の形態においては、仕様変更に容易に対応し得るように、前記センターセクション360には、前進時低圧側作動油路410a(2),410b(2)に対応するリリーフ油路413も形成されている。そして、該前進時低圧側作動油路410a(1),410b(2)と対応するリリーフ油路413との間は前記プラグ412によって遮断されるようになっている。
【0065】
該リリーフ弁415は、図8に示すように、前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)に連通する開口が形成された弁ケース及び該弁ケースに着脱自在に装着されるキャップを含む弁ハウジング416と、該弁ハウジング416内に摺動自在に収容された弁本体417であって、前記開口を遮断する遮断位置と該開口を連通させる連通位置とをとり得る弁本体417と、該弁本体417を遮断位置へ向けて付勢するリリーフバネ418とを備えている。
斯かるリリーフ弁415は、前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)の油圧が前記リリーフバネ418の付勢力によって画される所定油圧以下の場合には、該前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)を前記リリーフ油路413に対して遮断し、且つ、前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)の油圧が前記所定油圧を超えると、該前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)を前記リリーフ油路413に連通させるように作用する。これにより前進走行時で油圧モータユニット10a,10bが一時的に回転不能な状態に陥ったときなどでも前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)での異常高圧の発生が阻止され、第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bが保護される。
【0066】
より好ましくは、図8に示すように、前記弁ハウジング416に、前記弁本体の基端部が摺動自在に支持される圧力保持室416Cであって、前記リリーフ油路413とは分離される圧力保持室416Cを設け、且つ、前記弁本体417に、先端部及び基端部の間を貫通する軸線孔417Hであって、絞りが設けられた軸線孔417Hを設けることができる。
斯かる構成を備えることにより、前記弁本体417の遮断位置から連通位置への動き、及び、連通位置から遮断位置への動きを緩慢化させることができ、ダンピング・チャタリングを有効に防止できる。
【0067】
なお、本実施の形態においては、前述の通り、前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)と対応するリリーフ油路413との間にのみ前記リリーフ弁415を介挿させ、前進時低圧側作動油路410a(2),410b(2)と対応するリリーフ油路413との間は前記プラグ412によって遮断させたが、当然ながら、該前進時低圧側作動油路410a(2),410b(2)と対応するリリーフ油路413との間にも前記リリーフ弁415を装着させることも可能である。ここにも装着すれば後進走行時で油圧モータユニット10a,10bが一時的に回転不能な状態に陥ったときなどでも前進時低圧側作動油路410a(2),410b(2)での異常高圧の発生が阻止され、第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bが保護される。
【0068】
又、本実施の形態においては、前述の通り、前記圧力保持室416Cを有するリリーフ弁415を用いたが、図9に示すように、前進時高圧側作動油路410a(1)とリリーフ油路413との間に、該圧力保持室416Cを有しないリリーフ弁415Bを介挿させることも可能である。
斯かる図9に示す形態においては、コストの低廉化を図りつつ、前記弁本体417の遮断位置から連通位置への動きを緩慢にさせることができる。
なお、図9に示す形態においては、前進時低圧側作動油路410a(2),410b(2)にもリリーフ弁415B’を設けている。
該リリーフ弁415B’におけるリリーフ弁本体417’は、前記絞り付軸線孔417Hを有さないものとされている。
【0069】
さらに、前記センターセクション360には、図8に示すように、前記一対の第1作動油路410aの間、及び前記一対の第2作動油路410bの間を、それぞれ、連通する一対のバイパス油路430が形成されている。
そして、該センターセクション360には、前記一対のバイパス油路430を、それぞれ、連通/遮断する切換弁435が装着されている。
斯かるバイパス油路430及び切換弁435を備えることにより、エンジンの故障時等において車輌を強制的に牽引する際に、一対の第1作動油ライン400aの間、及び、一対の第2作動油ライン400bの間に油圧差が生じて抵抗となることを防止できる。
【0070】
図10に、図2におけるX-X線に沿った前記補助ポンプケース520の断面図を示す。なお、図10においては、一部において断面を異ならせている。
又、図11に、図10におけるXI-XI線に沿った断面図を示す。
【0071】
図1,図2及び図10に示すように、前記補助ポンプケース520には、一端部が外表面に開口して吸引ポート550Pを形成し、且つ、他端部が前記補助ポンプ本体510の吸引口に流体接続される吸引油路551が形成されている。
前記吸引ポート550Pは、前記ハウジング300とは離間配置された外部タンク900に、フィルター553が介挿された外部配管552を介して流体接続されている(図1参照)。
本実施の形態においては、前記外部配管552及び前記吸引油路551が前記吸引ライン550を構成している。
【0072】
なお、前記外部タンク900は、前記ハウジング200の壁部213に形成された連通ポート200P(図1及び図6参照)及び該連通ポート200Pに接続される外部配管910を介して、該ハウジング200の内部空間と油流通自在に接続されている。即ち、本実施の形態においては、前記ハウジング200の内部空間及び前記外部タンク900が前記油溜まりを形成している。
【0073】
さらに、前記補助ポンプケース520には、図1,図4及び図10に示すように、一端部が前記補助ポンプ本体510の吐出口に流体接続された吐出油路561であって、前記吐出ライン560を構成する吐出油路561と、一端部が該吐出油路561に流体接続され且つ他端部が前記吸引油路551に流体接続されたリターン油路591(図10参照)と、該リターン油路591に介挿された前記外部作動油圧用リリーフ弁595(図10参照)とが設けられている。
【0074】
そして、前記補助ポンプケース520には、図10に示すように、一次側が前記吐出油路561に流体接続されるように前記減圧弁530が内蔵されており、且つ、該減圧弁530の一次側に流体接続されるように前記抵抗弁540が内蔵されている。
【0075】
さらに、前記補助ポンプケース520には、一端部が前記減圧弁530の二次側に流体接続され、且つ、他端部が前記センターセクション360との合わせ面に開口された補助ポンプケース側共通チャージ油路521であって、前記チャージライン520の一部を構成する補助ポンプケース側共通チャージ油路521が形成されている(図10及び図11参照)。
【0076】
詳しくは、本実施の形態においては、前記チャージライン520は、前記補助ポンプケース520に形成された前記補助ポンプケース側共通チャージ油路521(図10及び図11参照)と、一端部が該補助ポンプケース側共通チャージ油路521に流体接続され且つ他端部が前記ハウジング本体210の第1端面部211との合わせ面に開口するように、前記センターセクション360に形成されたセンターセクション側共通チャージ油路522(図5,図8及び図11参照)と、該センターセクション側共通チャージ油路522に流体接続されるように、前記ハウジング本体210の第1端面部211の外表面(センターセクション360との合わせ面)に形成されたチャージ油溝523(図5及び図11参照)と、一端部が該チャージ油溝523に流体接続され且つ他端部が前記一対の第1作動油路410aに流体接続されるように前記センターセクション360に形成された一対の第1チャージ油路524a(図5及び図8参照)と、一端部が前記チャージ油溝523に流体接続され且つ他端部が前記一対の第2作動油路410bに流体接続されるように前記センターセクション360に形成された一対の第2チャージ油路524b(図5及び図8参照)と、前記一対の第1チャージ油路524a及び前記一対の第2チャージ油路524bのそれぞれに介挿されたチェック弁425であって、対応するチャージ油路524a,524bから対応する作動油路410a,410bへの油の流れを許容し且つ逆向きの流れを防止するチェック弁425(図1及び図4参照)とを備えている。
【0077】
なお、前記チェック弁425のうち,前進時低圧側作動油路410a(2),410b(2)とチャージ油路524aとの間には前記チェック弁425と並列に絞りが設けられており、これにより、前進時の伝動効率の低下を防止つつ、走行用第1HST及び走行用第2HSTの中立幅の拡大を図っている(図1参照)。
なお、この絞りは後進用のチェック弁425の弁ケースに設けても良いし、図14に示すようにプラグ412に設けることもできる。後者の構造によれば、チェック弁425の弁ケースは前進用、後進用ともに共通の部品で済ませることができるうえ、組み付けの誤りを無くすことができる。
【0078】
又、本実施の形態においては、前記リリーフ油路413の他端部は前記チャージ油溝523に開口されている(図4及び図5参照)。
即ち、前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)の異常高圧時には、該前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)から、前記リリーフ油路413,前記チャージ油溝523及びチャージ油路524を介して、前進時低圧側作動油路410a(2),410b(2)に圧油が流れ込むようになっている。
【0079】
さらに、本実施の形態に係るポンプ装置100は、図1に示すように、前記各油圧ラインに加えて、一端部が前記油溜まり(前記ハウジング200の内部空間)に流体接続され、且つ、他端部が前記チャージライン420に流体接続された自吸ライン440であって、前記油溜まりから前記チャージライン420への油の流れを許容し且つ逆向きの流れを防止するチェック弁445が介挿された自吸ライン440を備えている。
該自吸ライン440は、前記補助ポンプ本体510の停止時において前記一対の第1作動油ライン400aの何れか一方又は前記一対の第2作動油ライン400bの何れか一方が負圧となった際に、前記油溜めから該負圧とされた作動油ラインへ油を自吸する為に備えられる。
【0080】
即ち、例えば、HST中立状態でエンジン40を停止して坂道等に作業車輌を停車させた場合、駆動輪40に作動連結されたモータ軸に回転力が加わり、油圧モータユニット10a,10bがポンプ作用をしようとする。
この際、前記一対の第1作動油ライン400a及び前記一対の第2作動油ライン400bに作動油が充満されていると、該作動油によって前記油圧モータユニット10a,10bにブレーキ力が作用するが、その一方で、斯かる油圧モータユニット10a,10bのポンプ作用によって、前記一対の第1作動油ライン400aの一方及び前記一対の第2作動油ライン400bの一方が高圧となり、該高圧の作動油ラインから作動油がリークする恐れがある。
このような作動油リークが生じると、前記一対の第1作動油ライン400a及び前記一対の第2作動油ライン400bで、それぞれ、負圧側作動油ラインから高圧側作動油ラインへの油の循環が起こり、高圧側作動油ラインからの作動油リークが助長される。そして、最終的に、前記一対の第1作動油ライン400a及び前記一対の第2作動油ライン400b中の作動油が無くなり、駆動輪が自由に回転し始め、車輌が坂道を下降し始める(フリーホイール現象)。
【0081】
この点に関し、本実施の形態に係るポンプ装置は、前記自吸ライン440を備えることによって、前記一対の第1作動油ライン400aの何れか一方又は前記一対の第2作動油ライン400bの何れか一方が負圧となった際に、前記油溜め(図示の形態においては、前記ハウジング200の内部空間)から該負圧とされた作動油ラインへ油が補給されるようになっており、これにより、前記フリーホイール現象を有効に防止することができる。
【0082】
具体的には、前記自吸ライン440は、図11に示すように、一端部が前記ハウジング200の内部空間に開き且つ他端部が前記補助ポンプケース520との当接面に開口するように、前記センターセクション360に形成された第1自吸油路441と、一端部が該第1自吸油路441に流体接続されるように前記センターセクション360との当接面に開口し且つ他端部が補助ポンプケース側共通チャージ油路521に連通するように、前記補助ポンプケース520に形成された第2自吸油路442とを有している。
そして、前記チェック弁445は、前記補助ポンプケース520に装着されており、前記第1自吸油路441から、前記センターセクション360との合わせ面(当接面)を通過して前記第2自吸油路442へ向かう方向へのみ、油流通可能としている。
【0083】
図12に図10におけるXII-XII線断面図を示す。
さらに、図4,図10及び図12に示すように、前記補助ポンプケース520には、一端部が前記減圧弁530の一次側に流体接続され、且つ、他端部が前記センターセクション360との合わせ面に開口された第1PTO作動油路471aと、該第1PTO作動油路471に介挿された絞り472と、前記第1PTO作動油路に流体接続されたPTO作動油溝473であって、前記補助ポンプケース520及び前記センターセクション360の合わせ面に形成されたPTO作動油溝473と、電磁弁474と、一端部が前記PTO作動油溝473に流体接続され且つ他端部が前記電磁弁474の一次側に流体接続された第2PTO作動油路471bと、一端部が前記電磁弁474の二次側に流体接続され且つ他端部が前記PTO作動油溝473とは離間された位置で前記センターセクション360との合わせ面に開口された第3PTO作動油路471cと、一端部が該電磁弁474のドレンポートに流体接続され且つ他端部が前記センターセクション360との合わせ面に開口されたPTOドレン油路650aとが設けられている。
【0084】
そして、前記第1PTO作動油路471a,前記絞り472,前記PTO作動油溝473,前記電磁弁474,前記第2PTO作動油路471b及び前記第3PTO作動油路471cが、前記PTO作動油ライン470の一部を構成している(図1参照)。
なお、前記PTOドレン油路650aは、前記センターセクション360に形成されたPTOドレン油路650bを介して、前記ハウジング200の内部空間に開口されている(図12参照)。
【0085】
該PTO作動油ライン470は、さらに、図7,図10及び図12に示すように、一端部が前記第3PTO作動油路471cの下流端部に流体接続され且つ他端部が前記ハウジング本体210における前記第1端面部211との当接面に開口するように、前記センターセクション360に形成された第4PTO作動油路471dと、一端部が該第4PTO作動油路471dに流体接続され且つ他端部が前記ハウジング200の内部空間に開口するように、前記第1端面部211に形成された第5PTO作動油路471eと、該第5PTO作動油路471eに介挿されるように、前記第1端面部211に内蔵されたアキュームレータ660であって、該アキュームレータ660の油圧作用室に前記第5PTO作動油路471eを流体接続する入口ポート660aが備えられたアキュームレータ660と、一端部が該第5PTO作動油路471eの下流端部に流体接続され且つ他端部が前記蓋部材250の内面に到達するように、前記ハウジング200の内部空間に配設されたPTO内部配管475と、一端部が該PTO内部配管475の下流端部に流体接続され且つ他端部が前記PTO軸610を軸受支持する軸受孔内周面に開くように、前記蓋部材250に形成された第6PTO作動油路471fと、一端部が前記軸受孔内において外周面に開口し且つ他端部が前記PTOクラッチ機構600Aに向けて開くように、前記PTO軸610に穿孔された第7PTO作動油路471gと、前記第6PTO作動油路471fと前記第7PTO作動油路471gとを流体接続するように、前記軸受孔内周面と前記PTO軸610の外周面との間に形成されたロータリージョイント476と、一端部が前記ロータリージョイント476に流体接続され且つ他端部が前記ハウジング200内部空間に開くように、前記蓋部材250に形成されたPTOリリーフ油路477と、該PTOリリーフ油路477に介挿された前記PTOリリーフ弁478とを備えている。
【0086】
前述のように、本実施の形態に係るポンプ装置100は、前記PTO作動油ライン470の油圧を前記PTOリリーフ弁478によって設定される所定油圧まで漸増させるアキュームレータ660を、前記第1油圧ポンプ本体300a,前記第2油圧ポンプ本体300b及び前記PTOクラッチ機構600Aを収容するハウジング200に内蔵させており、これにより、配管作業の効率化,作動油の漏れだし防止及び装置自体のコンパクト化を図っている。
【0087】
詳しくは、図12に示すように、本実施の形態においては、前記第1端面部211は、前記PTO軸610を支持する部位以外の部位(本実施の形態においてはPTO軸610を支持する部位の上側)が肉厚部とされている。
そして、図5及び図10に示すように、前記アキュームレータ660は、回転軸線が前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bの回転軸線と略直交するように、前記第1端面部211の肉厚部に内蔵されている。
【0088】
これに代えて、図13に示すように、前記アキュームレータ660を、回転軸線が前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bの回転軸線と略平行となるように、前記ハウジング本体210の壁部213に内蔵することも可能である。
即ち、図13に示す形態においては、前記アキュームレータ660を前記壁部213に内蔵すると共に、前記第1端面部211と前記センターセクション360との合わせ面に、前記第4PTO作動油路471d又は前記第5PTO作動油路471eと前記アキュームレータ660の入口ポート660aとを流体接続する油溝665を形成している。
斯かる構成においても、本実施の形態におけると同様、配管作業の効率化,作動油の漏れだし防止及び装置自体のコンパクト化を図ることができる。
【0089】
さらに、前記補助ポンプケース520には、図4,図10及び図11に示すように、前記減圧弁530の一次側に流体接続されるように装着された前記抵抗弁540と、一端部が該抵抗弁540の二次側に流体接続され且つ他端部が外表面に開口して吐出ポート570Poutを形成するドレン油路571と、一端部が前記抵抗弁540のバネ室に流体接続され且つ他端部が前記センターセクション360との合わせ面に開口された第1戻し油路651とが設けられている。
なお、前記第1戻し油路651は、図11に示すように、前記センターセクション360に形成された第2戻し油路652を介して、前記油溜まり(本実施の形態においては、前記ハウジング200の内部空間)に開口されている。
【0090】
前記ドレン油路571は、前記ドレンライン570の一部を構成している。
詳しくは、該ドレンライン570は、図1に示すように、前記ドレン油路571に加えて、一端部が前記ドレンポート570Pを介して前記ドレン油路571に流体接続され且つ他端部が前記ハウジング本体210における前記壁部213に形成された受入ポート570Pin(図2参照)を介してハウジング200の内部空間に流体接続されたドレン外部配管572を有している。
なお、前記外部作動油取出ライン580及び前記外部作動油戻しライン581は、それぞれ、前記ドレン外部配管572に接続されている。
又、前記オイルクーラー575は該ドレン外部配管572に介挿されている。
【0091】
なお、本実施の形態においては、ハウジング200内に第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bが収容されるデュアルポンプ装置を例に説明したが、当然ながら、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
即ち、本発明を、単一の油圧ポンプ本体が収容されるシングルポンプ装置に適用することも可能であるし、ハウジング内に油圧ポンプ本体及び油圧モータ本体が収容される無段変速装置に適用することも可能である。
【0092】
実施の形態2
以下、本発明に係るポンプ装置の好ましい他の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0093】
本実施の形態に係るポンプ装置100Bは走行系伝動経路の一部を構成するように車輌に適用されるものであり、作動連結された駆動源からの回転動力を、一対の第1作動油ライン400a及び一対の第2作動油ライン400bを介して左右の駆動車輪50をそれぞれ駆動する第1及び第2油圧モータユニット10a,10bに伝達し得るように構成されている。
なお、前記実施の形態1におけると同一又は相当部材には同一符号を付して、適宜その説明を省略する。
【0094】
図15に、本実施の形態に係るポンプ装置100Bが適用された車輌の油圧回路図を示す。
具体的には、該ポンプ装置100Bは、図15に示すように、前記駆動源に作動連結される入力軸220と、前記入力軸220によって作動的に駆動される第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bであって、それぞれ、前記一対の第1作動油ライン400a及び前記一対の第2作動油ライン400bを介して、前記第1及び第2油圧モータユニット10a,10bに流体接続される第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bと、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bを囲繞するハウジング本体(図示せず)と、前記第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bを当接支持するセンターセクション360B(図16参照)であって、前記ハウジング本体との協働下に第1及び第2油圧ポンプ本体300a,300bの収容空間を画するセンターセクション360Bとを備えている。
【0095】
詳しくは、前記第1油圧ポンプ本体300aは、前記第1油圧モータユニット10aにおける第1油圧モータ本体との共働下に第1HSTを形成し、且つ、前記第2油圧ポンプ本体300bは、前記第2油圧モータユニット10bにおける第2油圧モータ本体との共働下に第2HSTを形成するようになっている。
即ち、前記第1油圧ポンプ本体300a又は前記第1油圧モータ本体の少なくとも一方は出力調整部材の操作に基づき吸引/吐出量が変化する可変容積型とされる。
同様に、前記第2油圧ポンプ本体300b又は前記第2油圧モータ本体の少なくとも一方も出力調整部材の操作に基づき吸引/吐出量が変化する可変容積型とされている。
そして、前記第1HST及び前記第2HSTにおける各出力調整部材を操作することによって、左右の駆動車輪が独立して変速駆動されるようになっている。
【0096】
さらに、該ポンプ装置100Bは、図15に示すように、前記一対の第1作動油ライン400aのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第1作動油ライン400a(1)及び前記一対の第2作動油ライン400bのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第2作動油ライン400b(1)の間を連通する連通ライン1000であって、絞り1100が介挿された連通ライン1000を備えており、これにより、前記第1及び第2HSTの独立変速を有効に維持しつつ、該第1及び前記第2HSTが同一出力状態となるように該第1及び第2HSTの各出力調整部材を操作したにも拘わらず、車輌が蛇行するワンダリング現象の発生を有効に防止又は低減させ得るようになっている。
【0097】
即ち、絞り付の前記連通ライン1000を備えることにより、前記第1及び第2HSTの出力状態を異ならせて車輌を旋回させる際の前進時高圧側第1作動油ライン400a(1)及び前進時高圧側第2作動油ライン400b(1)間の油圧差を確保しつつ、該第1及び第2HSTの出力状態を同一とさせて車輌を直進させる際の前進時高圧側第1作動油ライン400a(1)及び前進時高圧側第2作動油ライン400b(1)間の油圧差の発生を防止又は低減させている。
【0098】
本実施の形態においては、前記連通ライン1000は、前記センターセクション360Bに形成された連通油路1010を有している。
図16に前記センターセクション360Bの縦断正面図を示す。又、図17に、図16におけるXVII-XVII線断面図を示す。
【0099】
図16に示すように、前記センターセクション360Bには、前記一対の第1作動油ラインの一部を構成する一対の第1作動油路410aと、前記一対の第2作動油ライン400bの一部を構成する一対の第2作動油路410bとが形成されている。
なお、前記一対の第1作動油路410a及び前記一対の第2作動油路410bは実質的に同一構成を有している。従って、前記一対の第2作動油路410bについては、前記一対の第1作動油路410aにおける符号の末尾をbに代えて、その詳細な説明を適宜省略する。
【0100】
前記一対の第1作動油路410aは、それぞれ、対応する前記第1油圧ポンプ本体300aとの流体接続口となるキドニーポートと、外表面に開口して前記第1油圧モータユニット10aとの流体接続口となる作動油ポート411aとを有している。
本実施の形態においては、図16に示すように、前記一対の第1作動油路410aは、一端部及び他端部が外表面に開口するように、前記センターセクション360Bに穿孔されており、前記一端部が前記作動油ポート411aを形成し、且つ、中央部が前記キドニーポートを形成している。
【0101】
前記一対の第1作動油路410aのうち前進低圧側第1作動油路410a(2)の他端開口はプラグ412によって閉塞され、且つ、前進時高圧側第1作動油路410a(1)の他端開口にはリリーフ弁415が装着されている。
前記リリーフ弁415は、前進時高圧側第1作動油路410a(1)の油圧が所定油圧を超えると、該前進時高圧側第1作動油路410a(1)から前記前進時低圧側第1作動油路410a(2)へ圧油を流す為に備えられている。
【0102】
なお、前記リリーフ弁415は、対応する前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)の油圧を受ける弁本体417が絞り付軸線孔417Hを有し、且つ、弁ハウジング416が前記弁本体417の基端部によって画される圧力保持室416Cであって、後述するリリーフ油路413に対して分離された圧力保持室416Cを有している。
斯かる構成を備えることにより、対応する前進時高圧側作動油路410a(1),410b(1)の油圧変動に対して、前記弁本体417の動きを緩慢化させることができ、これにより、ダンピング・チャタリングの発生を有効に防止し得るようになっている。
【0103】
さらに、前記センターセクション360Bには、前記一対の第1作動油路410aの間、及び前記一対の第2作動油路410bの間を、それぞれ、連通する一対のバイパス油路430と、前記一対のバイパス油路430を、それぞれ、連通/遮断する一対の切換弁435とが設けられている。
斯かるバイパス油路430及び切換弁435を備えることにより、エンジンの故障時等において車輌を強制的に牽引する際に、一対の第1作動油ライン400aの間、及び、一対の第2作動油ライン400bの間に油圧差が生じることを防止できる。
【0104】
又、前記センターセクション360Bには、図16及び図17に示すように、該ポンプ装置100Bに付設される補助ポンプ本体510や、該ポンプ装置とは離間配置される補助ポンプユニット等の圧油供給装置からのチャージ油を前記一対の第1作動油路400aのそれぞれに送る為の一対の第1チャージ油路524aと、前記補助ポンプ本体又は前記圧油供給装置からのチャージ油を前記一対の第2作動油路410bのそれぞれに送る為の一対の第2チャージ油路524bと、前記一対の第1チャージ油路524a及び前記一対の第2チャージ油路524bのそれぞれに介挿されたチェック弁425(図15参照)とが設けられている。
【0105】
なお、図17中の符号523は、前記補助ポンプ本体又は前記圧油供給装置からのチャージ油を前記一対の第1チャージ油路524a及び前記一対の第2チャージ油路524bに送る為のチャージ油溝である。
又、図16及び図17中の符号413は、前記リリーフ弁415の二次側を前記チャージ油溝523に連通させるリリーフ油路である。
【0106】
そして、前記連通油路1010は、図16に示すように、前進時高圧側第1作動油路410a(1)及び前進時高圧側第2作動油路410b(1)の間を連通するように、前記センターセクション360Bに形成されている。
【0107】
より詳しくは、本実施の形態においては、前記一対の第1作動油路410a及び前記一対の第2作動油路410bは、それぞれ、略平行且つセンターセクション360Bの厚み方向に関し略同一位置に形成されている。
そして、前記連通油路1010は、図15及び図16に示すように、前進時高圧側第1作動油路410a(1)と前進時高圧側第2作動油路410b(1)とのみを連通し得るように、前記センターセクション360Bの厚み方向に関して前記一対の第1作動油路410a及び前記一対の第2作動油路411bから変位された位置において、前記一対の第1作動油路410a及び前記一対の第2作動油路410bに対して略直交する方向に延びている。
【0108】
なお、本実施の形態においては、図16に示すように、前記連通油路1010を、第1及び第2ポンプ軸310a,310bを基準にして、前記バイパス油路430と同一側に形成し、且つ、絞りを1つのみ備えたが、これに代えて、第1及び第2ポンプ軸310a,310bを基準にして、前記バイパス油路430とは反対側に連通油路1010’を設けることも可能である。
該連通油路1010’は、前進時高圧側第1作動油路410a(1)及び前進時高圧側第2作動油路410b(1)の双方との連通部位に絞りが設けられている。
【0109】
又、本実施の形態においては、前記連通ライン1000を前記センターセクション360Bに形成した前記連通油路1010(又は1010’)によって構成したが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
例えば、図18に示すように、前進時高圧側第1作動油路410a(1)と前進時高圧側第2作動油路410b(1)とを、センターセクション360に連結される外部連通配管1020によって連通させることも可能である。
詳しくは、図18に示す形態においては、前記外部連通配管1020は、前進時高圧側第1作動油路410a(1)に対応した前記リリーフ弁415の圧力保持室416Cと、前進時高圧側第2作動油路410b(1)に対応した前記リリーフ弁415の圧力保持室416Cとを連通するように構成されている。
斯かる構成においては、図16及び図17に示す形態に比して、センターセクション360の厚みを薄くできると共に、前記リリーフ弁本体417の軸線孔417Hに設けられたダンピング・チャタリング防止用絞りを、前記連通ライン1000に介挿される絞り1100としても兼用させることができる。
【0110】
なお、前記外部連通配管1020を用いて前記連通ライン1000を構成する態様において、前記リリーフ弁本体417の軸線孔417Hに絞りを設けない場合には、図19に示すように、該外部連通配管1020と、前進時高圧側第1作動油路410a(1)に設けられたリリーフ弁415における圧力保持室416C又は前進時高圧側第2作動油路410bに設けられたリリーフ弁415における圧力保持室416Cの少なくとも何れか一方とを、絞りを介して連通させることができる。
【0111】
さらに、図16,図18及び図19に示す形態においては、前記一対の第1作動油路410a及び前記一対の第2作動油路410bを、ポンプ軸310a,310bの軸線に沿って視た際に、一方側及び他方側に集約させている。
即ち、図16,図18及び図19に示す形態においては、前進時高圧側第1作動油路410a(1)と前進時高圧側第2作動油路410b(1)との間に、一方の前進時低圧側作動油路(図示の形態においては、前進時低圧側第1作動油路410a(2))が配置されている。
これに代えて、図20に示すように、前進時高圧側第1作動油路410a(1)と前進時高圧側第2作動油路410b(1)とが隣接されるようにセンターセクション360Cを形成すれば、前記一対のバイパス油路430の何れか一方又は双方を構成する孔を利用して、前記連通ライン1000を容易に形成することができる。
【0112】
即ち、前進時高圧側第1作動油路410a(1)及び前進時高圧側第2作動油路410b(1)をセンターセクション360Cの中央部で隣接配置させ、且つ、前進時低圧側第1作動油路410a(2)及び前進時低圧側第2作動油路410b(2)をそれぞれセンターセクション360Cの外方に配置させると共に、前記一対のバイパス油路430の一方又は双方の内端部を延長させ、該延長油路1030によって前進時高圧側第1作動油路410a(1)及び前進時高圧側第2作動油路410b(1)の間を連通する前記連通ライン1000を形成することができる。
なお、図19に示す形態においては、前記一対のバイパス油路430を同軸上に配置させると共に、該一対のバイパス油路430の双方の内端部を延長させ、該一対の延長油路1030の対向端部の間に前記絞りを形成している。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るポンプ装置が適用された作業車輌の油圧回路図である。
【図2】図2は、図1に示すポンプ装置の横断平面図である。
【図3】図3は、図2におけるIII-III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図2におけるIV-IV線に沿った断面図である。
【図5】図5は、図2におけるV-V線に沿った断面図である。
【図6】図6は、図2におけるVI-VI線に沿った断面図である。
【図7】図7は、図2におけるVII-VII線に沿った断面図である。
【図8】図8は、図2におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
【図9】図9は、前記ポンプ装置におけるセンターセクションの変形例を示す断面図である。
【図10】図10は、図2におけるX-X線に沿った前記ポンプ装置における補助ポンプケースの断面図であり、一部異なる断面を示している。
【図11】図11は、図10におけるXI-XI線に沿った断面図である。
【図12】図12は、図10におけるXII-XII線に沿った断面図である。
【図13】図13は、前記ポンプ装置におけるハウジング本体の変形例の断面図である。
【図14】図14は、前記ポンプ装置におけるセンターセクションのさらに他の変形例を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施の形態に係るポンプ装置が適用された車輌の油圧回路図である。
【図16】図16は、図15に示すポンプ装置におけるセンターセクションの断面図である。
【図17】図17は、図16におけるXVII-XVII線に沿った断面図である。
【図18】図18は、前記センターセクションの変形例の断面図である。
【図19】図19は、前記センターセクションの他の変形例の断面図である。
【図20】図20は、前記センターセクションのさらに他の変形例の断面図である。
【符号の説明】
【0114】
10a,10b 第1及び第2油圧モータユニット
100,100B ポンプ装置
200 ハウジング
210 ハウジング本体
211 第1端面部
212 第2端面部
213 壁部
250 蓋部材
220 入力軸
300a,300b 第1及び第2油圧ポンプ本体
360 センターセクション
400a(1) 前進時高圧側第1作動油ライン
400a(2) 前進時低圧側第1作動油ライン
400b(1) 前進時高圧側第2作動油ライン
400b(2) 前進時低圧側第2作動油ライン
410a(1) 前進時高圧側第1作動油路
410a(2) 前進時低圧側第1作動油路
410b(1) 前進時高圧側第2作動油路
410b(2) 前進時低圧側第2作動油路
420 チャージライン
425 チェック弁
470 PTO作動油ライン
472 絞り
478 PTOリリーフ弁
510 補助ポンプ本体
530 減圧弁
540 抵抗弁
550 吸引ライン
560 吐出ライン
570 ドレンライン
575 オイルクーラー
580 外部作動油取出ライン
590 リターンライン
595 外部作動油圧用リリーフ弁
610 PTO軸
600A PTOクラッチ機構
660 アキュームレータ
1000 連通ライン
1010 連通油路
1020 外部配管
1100 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動連結された駆動源からの回転動力を一対の作動油ラインを介してアクチュエータに伝達し得るように構成されたポンプ装置であって、
前記駆動源に作動連結される入力軸と、
前記入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体であって、前記一対の作動油ラインを介して前記アクチュエータに流体接続される油圧ポンプ本体と、
前記入力軸によって作動的に駆動されるPTO軸と、
前記入力軸から前記PTO軸への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構と、
補助ポンプ本体と、
一端部が油溜まりに流体接続され且つ他端部が前記補助ポンプ本体の吸引口に流体接続される吸引ラインと、
前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続された吐出ラインと、
前記吐出ラインからの圧油の一部を前記一対の作動油ラインのそれぞれにチェック弁を介して供給するチャージラインと、
前記吐出ラインからの圧油の一部を前記PTOクラッチ機構にPTOリリーフ弁を介して供給するPTO作動油ラインと、
一次側が前記吐出ラインに流体接続された減圧弁と、
前記減圧弁の一次側に流体接続された抵抗弁とを備え、
前記PTO作動油ライン及び前記チャージラインは、それぞれ、前記減圧弁の一次側及び二次側に流体接続されていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
前記抵抗弁の二次側を前記油溜まりに流体接続するドレンラインをさらに備え、
前記ドレンラインにはオイルクーラーが介挿されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記抵抗弁の二次側を前記油溜まりに流体接続するドレンラインと、
前記ドレンラインから分岐される外部作動油取出ラインとをさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
一次側が前記吐出ラインに流体接続される外部作動油圧用リリーフ弁をさらに備え、
該外部作動油圧用リリーフ弁によって、前記外部作動油取出ラインの作動油圧が設定されるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
一端部が前記吐出ラインに流体接続され且つ他端部が前記吸引ラインに流体接続されるリターンラインをさらに備え、
前記外部作動油圧用リリーフ弁は、前記リターンラインに介挿されていることを特徴とする請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記PTO作動油ラインは、絞りを介して前記減圧弁の一次側に流体接続されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のポンプ装置。
【請求項7】
作動連結された駆動源からの回転動力を油圧の作用を利用して無段変速して作業車輌を走行させる為の油圧無段変速装置であって、
前記駆動源に作動連結される入力軸と、
前記入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体と、
前記油圧ポンプ本体に流体接続される油圧モータ本体と、
前記油圧モータ本体によって回転駆動され、且つ、駆動車輪に駆動的に連結されるモータ軸と、
前記入力軸によって作動的に駆動されるPTO軸と、
前記入力軸から前記PTO軸への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構と、
補助ポンプ本体と、
前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体を流体接続する一対の作動油ラインと、
一端部が油溜まりに流体接続され且つ他端部が前記補助ポンプ本体の吸引口に流体接続される吸引ラインと、
前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続された吐出ラインと、
前記吐出ラインからの圧油の一部を前記一対の作動油ラインのそれぞれにチェック弁を介して供給するチャージラインと、
前記吐出ラインからの圧油の一部を前記PTOクラッチ機構にPTOリリーフ弁を介して供給するPTO作動油ラインと、
一次側が前記吐出ラインに流体接続された減圧弁と、
前記減圧弁の一次側に流体接続された抵抗弁とを備え、
前記PTO作動油ライン及び前記チャージラインは、それぞれ、前記減圧弁の一次側及び二次側に流体接続されていることを特徴と油圧無段変速装置。
【請求項8】
前記抵抗弁の二次側を前記油溜まりに流体接続するドレンラインをさらに備え、
前記ドレンラインにはオイルクーラーが介挿されていることを特徴とする請求項7に記載の油圧無段変速装置。
【請求項9】
前記抵抗弁の二次側を前記油溜まりに流体接続するドレンラインと、
前記ドレンラインから分岐される外部作動油取出ラインとをさらに備えていることを特徴とする請求項7又は8に記載の油圧無段変速装置。
【請求項10】
一次側が前記吐出ラインに流体接続される外部作動油圧用リリーフ弁をさらに備え、
該外部作動油圧用リリーフ弁によって、前記外部作動油取出ラインの作動油圧が設定されるように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の油圧無段変速装置。
【請求項11】
一端部が前記吐出ラインに流体接続され且つ他端部が前記吸引ラインに流体接続されるリターンラインをさらに備え、
前記外部作動油圧用リリーフ弁は、前記リターンラインに介挿されていることを特徴とする請求項10に記載の油圧無段変速装置。
【請求項12】
前記PTO作動油ラインは、絞りを介して前記減圧弁の一次側に流体接続されていることを特徴とする請求項7から11の何れかに記載の油圧無段変速装置。
【請求項13】
作動連結された駆動源からの回転動力を一対の作動油ラインを介してアクチュエータに伝達し得るように構成されたポンプ装置であって、
前記駆動源に作動連結される入力軸と、
前記入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体であって、前記一対の作動油ラインを介して前記アクチュエータに流体接続される油圧ポンプ本体と、
前記入力軸によって作動的に駆動されるPTO軸と、
前記入力軸から前記PTO軸への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構と、
補助ポンプ本体と、
前記油圧ポンプ本体及び前記PTOクラッチ機構を収容するハウジングと、
前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続される吐出ラインと、
前記吐出ラインに流体接続されるPTO作動油ラインであって、前記PTOクラッチ機構に作動油を供給するPTO作動油ラインと、
前記PTO作動油ラインの油圧を設定するPTOリリーフ弁と、
前記PTO作動油ラインに介挿され、該PTO作動油ラインの油圧を前記PTOリリーフ弁の設定圧まで漸増させるアキュームレータとを備え、
前記アキュームレータは、前記ハウジングに内蔵されていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記油圧ポンプ本体の回転軸方向一方側に前記油圧ポンプ本体が挿通可能な開口が設けられたハウジング本体と、
前記油圧ポンプ本体と当接した状態で前記ハウジング本体の開口を液密に閉塞するように前記ハウジング本体に着脱可能に連結されるセンターセクションであって、前記一対の作動油ラインの一部を構成する一対の作動油路が形成されたセンターセクションとを備え、
前記ハウジング本体は、前記開口が設けられた第1端面部と、前記第1端面部とは前記油圧ポンプ本体の回転軸方向を基準にして反対側に位置する第2端面部と、前記第1端面部及び前記第2端面部の間において前記油圧ポンプ本体の回転軸方向に沿って延びる壁部とを有しており、
前記アキュームレータは、軸線方向が前記油圧ポンプ本体の回転軸方向に沿うように前記壁部に内蔵されていることを特徴とする請求項13に記載のポンプ装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、前記油圧ポンプ本体の回転軸方向を基準にして一方側に前記油圧ポンプ本体が挿通可能な開口が設けられたハウジング本体と、
前記油圧ポンプ本体と当接した状態で前記ハウジング本体の開口を液密に閉塞するように前記ハウジング本体に着脱可能に連結されるセンターセクションであって、前記一対の作動油ラインの一部を構成する一対の作動油路が形成されたセンターセクションとを備え、
前記ハウジング本体は、前記開口が設けられた第1端面部と、前記第1端面部とは前記油圧ポンプの回転軸方向を基準にして反対側に位置する第2端面部と、前記第1端面部及び前記第2端面部の間において前記油圧ポンプ本体の回転軸方向に沿って延びる壁部とを有しており、
前記アキュームレータは、軸線方向が油圧ポンプ本体の回転軸方向と略直交するように前記第1端面部又は第2端面部に内蔵されていることを特徴とする請求項13に記載のポンプ装置。
【請求項16】
作動連結された駆動源からの回転動力を油圧の作用を利用して無段変速する油圧無段変速装置であって、
前記駆動源に作動連結される入力軸と、
前記入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体と、
前記油圧ポンプ本体に流体接続される油圧モータ本体と、
前記油圧モータ本体によって回転駆動されるモータ軸と、
前記入力軸によって作動的に駆動されるPTO軸と、
前記入力軸から前記PTO軸への伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構と、
補助ポンプ本体と、
前記油圧ポンプ本体,前記油圧モータ本体及び前記PTOクラッチ機構を収容するハウジングと、
前記補助ポンプ本体の吐出口に流体接続される吐出ラインと、
前記吐出ラインに流体接続されるPTO作動油ラインであって、前記PTOクラッチ機構に作動油を供給するPTO作動油ラインと、
前記PTO作動油ラインの油圧を設定するPTOリリーフ弁と、
前記PTO作動油ラインに介挿され、該PTO作動油ラインの油圧を前記PTOリリーフ弁の設定圧まで漸増させるアキュームレータとを備え、
前記アキュームレータは、前記ハウジングに内蔵されていることを特徴とする油圧無段変速装置。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記油圧ポンプ本体の回転軸方向一方側に前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体が挿通可能な開口が設けられたハウジング本体と、
前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体と当接した状態で前記ハウジング本体の開口を液密に閉塞するように前記ハウジング本体に着脱可能に連結されるセンターセクションであって、前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体の間を流体接続する一対の作動油路が形成されたセンターセクションとを備え、
前記ハウジング本体は、前記開口が設けられた第1端面部と、前記第1端面部とは前記油圧ポンプ本体の回転軸方向を基準にして反対側に位置する第2端面部と、前記第1端面部及び前記第2端面部の間において前記油圧ポンプ本体の回転軸方向に沿って延びる壁部とを有しており、
前記アキュームレータは、軸線方向が前記油圧ポンプ本体の回転軸方向に沿うように前記壁部に内蔵されていることを特徴とする請求項16に記載の油圧無段変速装置。
【請求項18】
前記ハウジングは、前記油圧ポンプ本体の回転軸方向一方側に前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体が挿通可能な開口が設けられたハウジング本体と、
前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体と当接した状態で前記ハウジング本体の開口を液密に閉塞するように前記ハウジング本体に着脱可能に連結されるセンターセクションであって、前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体の間を流体接続する一対の作動油路が形成されたセンターセクションとを備え、
前記ハウジング本体は、前記開口が設けられた第1端面部と、前記第1端面部とは前記油圧ポンプ本体の回転軸方向を基準にして反対側に位置する第2端面部と、前記第1端面部及び前記第2端面部の間において前記油圧ポンプ本体の回転軸方向に沿って延びる壁部とを有しており、
前記アキュームレータは、軸線方向が前記油圧ポンプ本体の回転軸方向と略直交するように前記第1端面部又は前記第2端面部に内蔵されていることを特徴とする請求項16に記載の油圧無段変速装置。
【請求項19】
作動連結された駆動源からの回転動力を、一対の第1作動油ライン及び一対の第2作動油ラインを介して左右の駆動車輪を駆動する第1及び第2油圧モータユニットに伝達し得るように構成された走行駆動用のポンプ装置であって、
前記駆動源に作動連結される入力軸と、
前記入力軸によって作動的に駆動される第1及び第2油圧ポンプ本体であって、それぞれ、前記一対の第1作動油ライン及び前記一対の第2作動油ラインを介して前記第1及び第2油圧モータユニットに流体接続される第1及び第2油圧ポンプ本体と、
前記第1及び第2油圧ポンプ本体を囲繞するハウジング本体と、
前記第1及び第2油圧ポンプ本体を当接支持するセンターセクションであって、前記ハウジング本体との協働下に第1及び第2油圧ポンプ本体の収容空間を画するセンターセクションとを備え、
前記一対の第1作動油ラインのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第1作動油ライン及び前記一対の第2作動油ラインのうち前進時に高圧となる前進時高圧側第2作動油ラインの間を連通する連通ラインであって、絞りが介挿された連通ラインを備えていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項20】
前記センターセクションには、前記一対の第1作動油ライン及び前記一対の第2作動油ラインの一部をそれぞれ構成する一対の第1作動油路及び一対の第2作動油路が形成されており、
前記連通ラインは、前記一対の第1作動油路のうち前進時に高圧となる前進時高圧側第1作動油路及び前記一対の第2作動油路のうち前進時に高圧となる前進時高圧側第2作動油路の間を連通するように構成されていることを特徴とする請求項19に記載のポンプ装置。
【請求項21】
前記一対の第1作動油路及び前記一対の第2作動油路は略平行に形成されており、
前記連通ラインは、前記一対の第1作動油路及び前記一対の第2作動油路と直交するように、前記センターセクションに穿孔された連通油路とされていることを特徴とする請求項20に記載のポンプ装置。
【請求項22】
前記前進時高圧側第1作動油路及び前記前進時高圧側第2作動油路が隣接配置されていることを特徴とする請求項21に記載のポンプ装置。
【請求項23】
前記連通ラインは、前記前進時高圧側第1作動油路及び前記前進時高圧側第2作動油路の間を連通するように、前記センターセクションに着脱可能に連結される配管とされていることを特徴とする請求項20に記載のポンプ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate