説明

ポンプ

【課題】ポンプの騒音を抑制すること。
【解決手段】ニードル58が吸入弁搬器92に接触したとき、そして、引き続いて、吸入弁64が吸入弁搬器92の内部ストッパ138に接触したとき、吸入弁搬器92から吸入弁搬器ダンパー108までが、衝撃伝達経路として定義される。2回の別個の衝突が発生するので、より大きな質量を持った1つの対象物が、内部ストッパ138の端面113に衝突する場合よりも、ポンプ22からのノイズをより小さくすることができる。さらに、吸入弁搬器ダンパー108により、衝突による振動、衝撃、及びノイズが緩和され、軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに関し、より具体的には、衝撃を軽減する特徴を備えたポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションでは、本発明に関連する背景技術を提示するが、それは必ずしも公知技術に該当するものではない。ガソリンを燃料とするエンジンのような現代の内燃機関には、直噴と呼ばれるシステムを採用するものがある。このような直噴型内燃機関は、部分的に、ガソリンを気筒内に直接的に噴射する直噴型燃料噴射ポンプによって制御される。例えば、直噴型内燃機関に用いることが可能な燃料噴射ポンプとして、特許文献1,2に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2000/047888号パンフレット
【特許文献2】特許第4489951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなガソリンを利用する直噴型燃料噴射ポンプは、所期の目的を達成するために十分な性能を有するが、依然として改良の余地があった。そのような改良の余地のひとつは、圧力制御弁(PCV)の制御に存在する。作動時に、圧力制御弁の内部の部材は、それに隣接する部材と衝突する。そのような衝突は、動作中の直噴型燃料噴射ポンプから数フィート(例えば、3フィート、すなわち約1メートル)離れている人が聞き取ることができる騒音を発生する原因となる。よって、直噴型燃料噴射ポンプの可聴騒音を低減するための直噴型燃料噴射ポンプの改良が望まれていた。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、騒音を抑制したポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、このセクションは、本発明の概略について開示するものであり、本発明の全範囲に渡って、またはその特徴の全てに関して包括的に開示するものではない。
【0007】
本発明では、流体を移動させるための行程を有するポンプが開示される。ポンプは、第1の容積室と第2の容積室とを区画するポンプケーシングを有し、流体は、上記行程の間、第1の容積室から第2の容積室に移動する。ポンプは、第1の容積室に移動可能に配置されたニードルと、第2の容積室に摺動可能に配置された弁搬器も有している。弁搬器は、内部ストッパを備え、さらに、弁搬器は、部分的に内部ストッパによって区画される内室も有する。ポンプは、さらに、弁搬器の内室に摺動可能に配置された弁を有し、その弁は、上記行程において、ニードルによって衝撃が与えられる。また、ニードルは、上記行程の間、弁搬器にも衝突して衝撃を与える。さらに、弁は、上記行程の間、ニードルが弁搬器に衝撃を与えるのとは異なるときに、内部ストッパに衝突して衝撃を与える。
【0008】
また、本発明では、流体を移動させるための吸入行程を有するポンプが開示される。ポンプは、第1の容積室と第2の容積室とを区画するポンプケーシングを有し、流体は、吸入行程の間、第1の容積室から第2の容積室に移動する。ポンプは、第1の容積室に移動可能に配置されたニードルと、第2の容積室に摺動可能に配置された弁搬器も有している。弁搬器は、内部ストッパを備え、さらに、弁搬器は、内部ストッパによって部分的に区画される内室も有する。スリーブ開口が、弁搬器に形成され、内室へのアクセス通路を提供する。さらに、ポンプは、弁搬器を貫くように定められた流体通路を有し、その流体通路には弁座が設けられる。ポンプは、さらに、弁搬器の内室内に摺動可能に配置された弁を有し、その弁は、内室内への流体の流れを制御するために、弁座に着座したり、弁座から離座したりする。弁は、スリーブ開口から部分的に飛び出すように動作する。ニードルは、吸入行程の間、弁及び弁搬器に向かって移動し、やがて、弁に衝突して衝撃を与えるように動作する。また、ニードルは、吸入行程の間であって、弁に衝突した後に、その弁を内室内に推し進めて、弁を弁座から離座させるように動作する。さらに、ニードルは、吸入行程の間であって、弁を弁座から離座させた後に、弁搬器に衝突して衝撃を与えるように動作する。そして、弁は、吸入行程の間であって、ニードルが弁搬器に衝突した後に、内室内をさらに進んで、内部ストッパに衝突して衝撃を与えるように動作する。
【0009】
さらに、本発明では、燃料を移動させるための吸入行程及び加圧行程を有する車両の燃料ポンプが開示される。ポンプは、第1の容積室、第2の容積室、第3の容積室、及び第4の容積室を区画形成するポンプケーシングを有する。ポンプは、第1の容積室に移動可能に配置され、第2の容積室へ向けて力が加えられる(バイアスされる)ニードルも有している。ニードルの動きは、ソレノイドによって選択的に制御される。ポンプは、第2の容積室に摺動可能に配置された弁搬器も有している。弁搬器は、内部ストッパを備え、さらに、弁搬器は、内部ストッパによって部分的に区画される内室も有する。スリーブ開口が、弁搬器に形成され、内室に連なるアクセス通路を提供する。さらに、ポンプは、弁搬器を貫くように定められた第1の流体通路を有し、その第1の流体通路には弁座が設けられる。また、第2の流体通路が、内部ストッパを貫くように定められている。ポンプは、さらに、弁搬器の内室内に摺動可能に配置され、弁座に着座するように力が加えられ、スリーブ開口から部分的に飛び出る弁を有している。ポンプは、また、第3の容積室内に摺動可能に配置されたプランジャと、第3の容積室から第4の容積室への流れを制御するチェック弁とを有している。ニードルは、吸入行程の間、弁及び弁搬器に向かって移動し、やがて、弁に衝突して衝撃を与えるように動作する。また、ニードルは、吸入行程の間であって、弁に衝突した後に、その弁を内室内に推し進めて、弁を弁座から離座させるように動作する。さらに、ニードルは、吸入行程の間であって、弁を弁座から離座させた後に、弁搬器に衝突して衝撃を与えるように動作する。そして、弁は、吸入行程の間であって、ニードルが弁搬器に衝突した後に、内室内をさらに進んで、内部ストッパに衝突して衝撃を与えるように動作する。プランジャは、吸入行程の間、第1の容積室から、第1の流体通路を通り、内室を通り、第2の流体通路を通り、そして第3の容積室に至る流動経路に沿って燃料を引きこむために、第3の容積室内を移動するように動作する。さらに、チェック弁は、吸入行程の間、第3の容積室から第4の容積室への燃料の流れを妨げるように動作する。ソレノイドは、加圧行程の間、弁へのニードルの衝突を妨げるために励磁するよう動作し、それにより、弁が弁座に着座したままとなり、第2の容積室内の燃料の第1の容積室への流れが妨げられる。また、プランジャは、加圧行程の間、チェック弁を開き、第3の容積室内の流体を第4の容積室に吐出するべく、第3の容積室内を移動するように動作する。
【0010】
本発明のさらなる適用範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかとなる。ただし、その詳細な説明及び特定の例は、説明のみを目的とすることが意図され、本発明の範囲を制限することは何ら意図されない。また、添付図面も、厳選された実施形態の説明を目的とするだけのもので、本発明の範囲を制限することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御方法によって制御される燃料供給システムを搭載した車両の側面図である。
【図2】図1に図示された燃料供給システムのブロック図であって、燃料噴射弁と、コモンレールと、一実施形態に係る制御方法によって制御される直噴型燃料噴射ポンプとが図示されている。
【図3】一実施形態に係る、図2の燃料供給システムの燃料ポンプモジュールを示す側面図である。
【図4】一実施形態に係る直噴型燃料噴射ポンプを示す断面図である。
【図5】直噴型燃料噴射ポンプの断面図であって、ある作動状態における、プランジャと、ニードルと、吸入弁と、関連するポンプ構造を示している。
【図6】直噴型燃料噴射ポンプの断面図であって、ある作動状態における、プランジャと、ニードルと、吸入弁と、関連するポンプ構造を示している。
【図7】直噴型燃料噴射ポンプの断面図であって、ある作動状態における、プランジャと、ニードルと、吸入弁と、関連するポンプ構造を示している。
【図8】一実施形態に係る、カム位置に対する直噴型燃料噴射ポンプの異なる行程を図示したグラフである。
【図9】一実施形態に係る、直噴型燃料噴射ポンプのニードル、吸入弁、及び種々の物理的なストッパ構造の種々の位置及び接触箇所を示す図である。
【図10】一実施形態に係る、直噴型燃料噴射ポンプのニードル、吸入弁、及び種々の物理的なストッパ構造の種々の位置及び接触箇所を示す図である。
【図11】一実施形態に係る、直噴型燃料噴射ポンプのニードル、吸入弁、及び種々の物理的なストッパ構造の種々の位置及び接触箇所を示す図である。
【図12】一実施形態に係る直噴型燃料噴射ポンプを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面の図1−12を参照しつつ、本発明の代表的な構成の実施形態及び制御方法を詳細に説明する。なお、複数の図面に渡って、対応する参照番号は、対応する部分を示している。
【0013】
図1−3を参照すると、例えば自動車のような車両10は、エンジン12、燃料供給配管14、燃料タンク16、および燃料ポンプモジュール18を備えるものとして図示されている。燃料ポンプモジュール18は、フランジを用いることによって、燃料タンク16の内部に収容されている。燃料ポンプモジュール18は、燃料タンク16が液体の燃料を有しているとき、量が変動する燃料タンク16内の液体の燃料の中に浸漬されているか、または囲まれている。燃料ポンプモジュール18内の電動燃料ポンプ20は、燃料タンク16から直噴型燃料噴射ポンプ22へ燃料供給配管14を通して燃料を供給する。直噴型燃料噴射ポンプ22は、高圧ポンプである。液体燃料が、直噴型燃料噴射ポンプ22に到達すると、コモンレール24に向けて送出される前にさらに加圧される。複数の燃料噴射弁26が、コモンレール24から、エンジン12の燃焼シリンダー内における最終的な燃焼のための燃料を受け取る。図3は、燃料タンク16内に配置された燃料ポンプモジュール18の一例を図示している。より具体的には、燃料ポンプモジュール18は、燃料ポンプモジュールフランジ28を有し、それは、燃料ポンプモジュール18が据付位置に設置されたとき、燃料タンク16の上面に存在することになる。
【0014】
さらに図3の参照を続けると、燃料ポンプモジュール18は、電動燃料ポンプ20を有している。この電動燃料ポンプ20は、リザーバ30から燃料を吸引し、燃料ポンプチェック弁32及び電動燃料ポンプ20を取り囲む燃料フィルタ34を介して、燃料を吐出する。燃料ポンプチェック弁32は、電動燃料ポンプ20からの燃料圧力に応じて開弁し、電動燃料ポンプ20の上部から燃料フィルタ34へ燃料が流動することを許容する。このようにして、燃料ポンプチェック弁32は、燃料が反対方向、すなわち、例えば電動燃料ポンプ20がポンプ動作していないときに、電動燃料ポンプ20内に燃料が流れることを防止する一方で、燃料が電動燃料ポンプ20から吐出されることを許容する。そのため、燃料圧力は、燃料フィルタケース36内で、電動燃料ポンプ20の周囲に配置されたフィルタ34内において維持される。燃料は、フィルタ34内に吐出され、そのフィルタ34を通じて、リザーバ30の底部へ向けて押し出される。そこで、燃料は、貫通孔を通過し、プレッシャレギュレータケース40内に配置されたプレッシャレギュレータ38内に流入する。プレッシャレギュレータケース40は、燃料フィルタケース36に取り付けられていても良いし、もしくは燃料フィルタケース36と一体的に形成されても良い。プレッシャレギュレータ38は、給送経路42を介して、燃料供給配管14と液的に連通している。プレッシャレギュレータ38は、給送経路42及び燃料供給配管14内の燃料圧力を調節する。プレッシャレギュレータ38から送り出された燃料は、フランジ28に向かって給送経路42内を流動する。矢印44によって表される、流動している燃料は、電動燃料ポンプ20から吐出され、チェック弁32を介してエンジン12に達する燃料である。
【0015】
プレッシャレギュレータ38は、当該プレッシャレギュレータ38の基準設定圧力に従った所望の圧力で、燃料を給送経路42内を通過させることに加え、基準圧力を維持するために必要とされる以上の、過剰な燃料をリザーバ30に戻して循環させる。リザーバ30に戻された燃料は、再び電動燃料ポンプ20によって吸引される。その相対的に低圧の燃料も、プレッシャレギュレータ38から、図3に示されるように、燃料タンク16の底部もしくはその近傍に配置されたジェットポンプ45へと送出される。燃料供給経路のチェック弁46は、プレッシャレギュレータ38から給送経路42を通って、燃料供給配管14へ燃料が流動することを許容すべく、給送経路42内の燃料圧力が基準圧力以上となったとき、給送経路42内の燃料圧力に応じて開弁するように調整されている。チェック弁46を開弁するために必要とされる圧力は、例えば適用されるエンジンに依存して変化する。
【0016】
図4も併せて参照しつつ、直噴型燃料噴射ポンプ22の構造、及びエンジンコントローラ又はポンプコントローラ11によって実行される直噴型燃料噴射ポンプ22に関連付けられた制御方法を説明する。直噴型燃料噴射ポンプ22は、外部ケーシング48(つまり、全体のケーシングまたはポンプケーシング)を有する。外部ケーシング48は、複数の小さな容積室を区画形成し、直噴型燃料噴射ポンプ22を通過する燃料を加圧し、制御するために作動する多様な構造および構成部品を収容する内部収容室50を区画形成する。外部ケーシング48は、その内部収容室50内に、第1の容積室54、第2の容積室62、第3の容積室72、及び第4の容積室84を区画形成し、ポンプ22は、以下に詳細に説明される様式で、各容積室54,62,72,84を通じて燃料(もしくは他の液体)を吐出する。
【0017】
液体の燃料、例えばガソリンは、燃料供給配管14を通って流れる。燃料供給配管14は、直噴型燃料噴射ポンプ22の入口52に接続され、最終的にそこに導かれる、矢印44に従って流れる燃料は、入口52を通過し、第1の容積室54に入る。ソレノイドコイル56、ニードル58、及びニードルスプリング60が、第1の容積室54内に配置されている。ニードルスプリング60は、ニードル58の端部に力を加えることが可能で、ニードル58は、第1の容積室54内に、移動可能に配置されている。スプリング60は、下記に説明されるように、第2の容積室62に向かって、ニードル58に力を加える。なお、ニードル58は、本発明の範囲から逸脱しない限り、スプリング60以外の他のバイアス部材によって力が加えられても良いことが理解されるべきである。
【0018】
吸入弁搬器92は、第2の容積室62に摺動可能に配置され、吸入弁64は、搬器92の内室100内に摺動可能に配置されている。内室100は、示されるように、内部ストッパ138によって部分的に区画形成されている。吸入弁64は、ニードル58と協働して作動し、直噴型燃料噴射ポンプ22を通る燃料の流れを制御するために、弁座66と係合したり、その係合を解いたりする(弁座66に着座、または離座する)。吸入弁64は、スプリング68により、第1の容積室54の方向、すなわちニードル58の方向への力を受けている。スプリング68は、搬器92の内部ストッパ138における壁70に支持されている。なお、吸入弁64は、本発明の範囲を逸脱しない限り、スプリング68以外の他のバイアス部材によって力を加えられても良い。
【0019】
吸入弁64が弁座66から離座すると、燃料は、第3の容積室72に流入することが可能になる。第3の容積室72は、加圧室72とも呼ばれ、この加圧室72内には、望ましい圧力まで燃料を加圧するプランジャ74が往復移動可能に配置されている。プランジャ74の外径は、加圧室72の内径または内面76に対してシール性を提供しながら、その移動を許容する。加圧室72から出力される燃料の圧力は、適用対象となっている内燃機関の要求圧力に依存して設定される。出力燃料圧力の調節をアシストするために、出口チェック弁78が、スプリング82のバネ定数にしたがって、弁座80に着座したり、離座したりする。チェック弁78は第4の容積室84に収容されている。加圧室72内における燃料の加圧をさらに促進するために、プランジャ74の端部89はカム86のカム山の上に沿って摺動するか、または接触する。カム86は、エンジン12の回転によって直接的に、または間接的に駆動される。したがって、プランジャの長さの違いと、カム山の数の違いが、加圧室72内における燃料の加圧に影響する。
【0020】
引き続き図4を参照すると、ニードル58は、ニードルガイド88と接触しており、ニードル58の移動は、ニードルガイド88によって案内される。ニードルガイド88は、ニードル58に接するニードルガイド端90を有している。さらに、ニードルガイド88は、環状に形成され、ニードル58と接触する内径を有している。
【0021】
吸入弁搬器92は、開放端面94(すなわち、スリーブの開口)を有している。その開放端面94のスリーブ開口を通じて、吸入弁64の一端が露出され、また、吸入弁64が部分的に飛び出すことができる。吸入弁搬器92は、1つ以上の流体入口導管(第1の流体通路)96と、1つ以上の流体出口導管(第2の流体通路)98を有する。それらの導管96,98は、搬器92の内室100への流体の流入、及び内室100からの流体の流出を許容する。例えば、流体入口導管96は、第1の容積室54から吸入弁搬器92の内室100への流体の通過を許容し、その一方で、流体出口導管98は、吸入弁搬器92の内室100から第3の容積室72の入口102への流体の通過を許容する。その結果、流体は、第3の容積室72に流入する。
【0022】
吸入弁搬器92は、第2の容積室62内において、固定端、すなわち仕切壁(第1の壁)109と、収入弁搬器92のダンパー108との間で移動可能である。仕切壁109は、第1の容積室54と第2の容積室62とを区分けする。ダンパー108は、環状のスプリング、もしくは衝撃力、振動負荷などを減衰させることが可能な他の部材からなる。ダンパー108は、吸入弁搬器92と仕切壁106との間に配置される。仕切壁106には、第3の容積室72の入口102が形成されている。図示されるように、ダンパー108は、吸入弁搬器92の外部で、かつ第2の容積室62の内部にあり、その一方で、スプリング68は、吸入弁搬器92の内部スプリングとして、吸入弁搬器92の内部、むしろ、吸入弁搬器92に完全に包含され、取り囲まれている。
【0023】
上述したように、第3の容積室72は加圧室であり、第4の容積室84は、直噴型燃料噴射ポンプ22から流出する流体のための出口室である。プランジャ74は、第3の容積室72内の流体を加圧するために、第3の容積室72に入り込む方向及び飛び出る方向、すなわち、第3の容積室に近づく方向及び遠ざかる方向に移動する。出口チェック弁78は、出口チェック弁スプリング82と協働して作動し、第4の容積室84を閉じたり、開いたりする。出口チェック弁スプリング82は、加圧された流体が第4の容積室84に流入し、その後、流出燃料114として、ポンプ出口112を介して第4の容積室84から流出することを可能とするために、出口チェック弁78に力を加える。
【0024】
さて、図5−7に基づき、また図8も参照して、本実施形態による直噴型燃料噴射ポンプ22のより詳細な制御方法について説明する。ポンプ22の作動は、図5−8に示される代表的な実施形態において、ポンプ22の「行程」との関連において説明される。
【0025】
例えば、ポンプ22は、図5に示される吸入行程を有している。吸入行程では、矢印44に従って、第1の容積室54に燃料が流入する。ソレノイドコイル56への通電を遮断して無励磁にし、かつプランジャ74が下向きに移動することにより(つまり、加圧室72から遠ざかる方向へ移動することにより)、プランジャ74が加圧室72から遠ざかるときに形成される負圧によって、入口52から加圧室72に渡って吸引力が生成される。同時に、プランジャ74が矢印115に従って加圧室72から離れる方向に移動したとき、チェック弁78が弁座80に着座し、シールを形成する。スプリング82による力が、加圧室72内に流体を引き込むためのプランジャ74の吸入行程の間、弁座80へのチェック弁78の着座を助長する。加圧室72内に生成された負圧も、チェック弁78を弁座80に引き寄せる。このように、図5は、ソレノイドコイル56が電気的に無励磁とされ、その結果、燃料がプランジャ74によって加圧室72内に引き込まれる様子を示している。図8に示されるように、図5の吸入行程におけるプランジャ74の位置は、カムのリフト量の減少過程または低下過程において生じ、例えば曲線116の位置118である。
【0026】
ソレノイドコイル56が無励磁化されたとき、ニードルスプリング60は、ニードル58に対して、ニードル58がソレノイドコイル56から離れる方向に力を加え、それにより、ニードル58が吸入弁64の方向に移動する。その結果、ニードル58は、搬器92から飛び出している吸入弁64の先端面に当接(接触、衝突)し、スプリング68によって付与されるバイアス力に抗して吸入弁64を搬器92内部方向に進ませる。すなわち、吸入弁64との初期の当接の後、ニードル58は、さらに、吸入弁搬器92の方向に移動し、ついには、搬器92の開放端の端面94に衝突(当接、接触)する。その結果、ニードル58は、吸入弁搬器92のダンパー108とは反対側の面に力を加えて、ダンパー108を押し縮める。
【0027】
スプリング68が押し縮められるにつれて、吸入弁64は吸入弁搬器92内を移動し、弁座66から離座する。すると、燃料が、吸入弁64を通り、加圧室72に流入することが許容される。(矢印44によって示される)燃料流れは、矢印115に従って下向きに移動するプランジャ74によって生成される負圧によって助長され、促進される。
【0028】
図6を参照すると、予備加圧行程及び低圧復帰行程としても知られているプレストロークが図示され、それは、プランジャ74がシリンダーすなわちスリーブ120内を矢印117に従って上向きに移動を介したしたときに生じる。図6に図示されるように、プレストロークの段階は、(図4に図示される)カム86がプランジャ74を持ち上げる初期の過程の動きからなる。しかし、燃料は、短時間の間、矢印122によって示されるように、直噴型燃料噴射ポンプ22を通って逆方向に流れることができる。このため、燃料はまだ加圧室72の中において噴射圧まで加圧されない。図6は、ソレノイドコイル56がOFF状態または無励磁状態であるときのポンピングの様子を示しており、プランジャ74の下死点(BDC)位置の直後に、プランジャ74が最初に加圧室72に向かって移動するとき、吸入弁64は弁座66に着座しておらず、燃料は、加圧室72から直噴型燃料噴射ポンプ22を通ってケーシングの入口、つまりポンプの入口52から流出する。出口チェック弁78は、出口チェック弁スプリング82により弁座80に向かって押圧されるので、図6のプレストロークの間中、弁座80に着座している。図8に図示されるように、図6のプレストロークにおけるプランジャ74の位置は、カムのリフト量が増加している過程において生じ、例えば曲線116の位置124である。
【0029】
図7は、矢印117に従って、プランジャ74がさらに上方向へ向けて、すなわち加圧室72に向けて移動する加圧行程を示している。プランジャ74が、スリーブ120内を移動すると、燃料は加圧室72内において加圧される。図7に図示されるように、加圧行程の段階は、(図4に示される)カム86の上昇能力、すなわち移動能力に関連して、上死点(TDC)に向けてプランジャ74を上昇、すなわち移動させる過程の動きからなる。燃料が、チェック弁スプリング82のスプリング力に打ち勝つ圧力まで加圧されることにより、矢印126に従って、直噴型燃料噴射ポンプ22を通り、ポンプ出口128において、直噴型燃料噴射ポンプ22から流出することができる。従って、燃料は加圧室72内において加圧され、出口室84への入口110を通って流出する。
【0030】
このように、図7は、ソレノイドコイル56がON状態または励磁状態であるとき、励磁されたソレノイドコイル56の力がニードル58を引き寄せ、それによってニードルスプリング60を圧縮し、ニードル58の端面130を吸入弁64の端面132との接触から引き離す様子を示している。このとき、スプリング68は吸入弁64に対して弁座66に着座するように力を加える。これにより、燃料が第1の容積室54、つまり入口室54に逆流することが阻止され、代わりに、燃料は第4の容積室84、つまり出口室84に流入させられ、出口112から流出させられる。
【0031】
引き続き図7を参照すると、燃料が出口112から流出するとき、燃料の流れの力、および/または第3の容積室72内の関連する圧力は、燃料が出口112から流出できるようにスプリング82の圧縮とチェック弁78の移動とを許容するために、チェック弁78に対するスプリング82の抵抗力、すなわち圧縮力より大きい。スプリング68は、吸入弁64が閉じようとしているとき、及び吸入弁64を弁座66に押し付けているとき、燃料が流体入口導管96を流動することを防止すべく、壁70を固定端として吸入弁64に力を及ぼす。同様に、スプリング82は、チェック弁78が弁座80から離れて移動しているとき、及び弁座80に着座しているとき(すなわち、開弁又は閉弁のそれぞれ)、壁134を固定端としてチェック弁78に力を及ぼす。
【0032】
このように、図5−7は、それぞれ、プランジャ74の位置、ソレノイドコイル56の対応する状態(例えばON状態またはOFF状態)、および直噴型燃料噴射ポンプ22における燃料の流れへのプランジャ74の位置とソレノイドコイル56の状態との影響および効果を示している。図8に図示されるように、図7の加圧行程におけるプランジャ74の位置は、カムのリフト量が上昇する過程において生じ、例えば曲線116の位置136である。
【0033】
図9−11は、異なる行程、或いは動作の段階における直噴型燃料噴射ポンプ22の内部部品の位置を示している。図9は、図7を用いて説明したように、ソレノイドコイル56が励磁されたときの加圧行程の間の、ニードル58と吸入弁64の位置を示している。この状況では、吸入弁64は弁座66に着座し、ソレノイドコイル56は励磁されて、ニードル58をスプリング保持器61に引き寄せており、ニードル58と吸入弁64との間に隙間が生じているので、ニードル58と吸入弁64との接触によるノイズは発生しない。この状況は、プランジャ74が、プランジャTDC位置に向かって接近しているとき(図7参照)に発生する。吸入弁64は弁座66に着座しているので、加圧行程の間は、少なくとも流体入口導管96を流体が流れることはない。
【0034】
図10は、ソレノイドコイル56への電流が遮断され、その結果、ソレノイドコイル56が無励磁状態となり、スプリング保持器61に対するニードル58の引き寄せ力がなくなり、プランジャ74の下向きのストローク(例えば、吸入行程)が開始された状況を示している。ニードル58は、スプリング保持器61との物理的な接触を断ち、スプリング保持器61に保持されたスプリング60の力によって吸入弁64に向かって移動する。スプリング60は、ソレノイドコイル56の間、つまり、ソレノイドコイル56の内部に配置されている。よって、スプリング60は、ニードル58の端面130が吸入弁64の端面132に向かって移動し、衝突を生じさせるように、ニードル58に力を加える。図10に示されるように、ニードル58が吸入弁64に衝突したとき、可聴ノイズが発生する。ニードル58が吸入弁64に衝突した後、ニードル58は、吸入弁搬器92に向かって移動を続ける。そして、吸入弁64が、吸入弁搬器92の端面94を越えて移動し、完全にかつ全体として吸入弁搬器92の領域内に入り込んだとき、ニードル58の端面130が、吸入弁搬器92の端面94に衝突する。そのような衝突によっても可聴ノイズが発生する。また、この衝突によって、衝撃負荷や振動も発生する。図10に示されるように、衝撃負荷や振動(すなわち、第1の負荷)は、矢印146,148によって図示されるように、搬器92を通じて伝達され、ダンパー108によって弱められる。すなわち、ダンパー108は、緩衝器として動作し、ニードル58と吸入弁搬器92の端面94との衝突の衝撃を緩和する。ダンパー108は、柔軟なものであり、例えばスプリングであったり、もしくは吸入弁搬器92からのエネルギーを吸収するためのスプリングとしての役割を果たすものであれば良い。
【0035】
図11は、図10において開始された吸入行程の続きを図示するものであり、そこにおいて、流体は、流体入口導管96から吸入弁内室100、流体出口導管98を経て、加圧室72内に引き込まれる。吸入弁64が弁座66から(離れるように)移動する際、吸入弁64は、吸入弁搬器92の内部ストッパ138に向かって進み、その端面113と衝突する。内部ストッパ138は、吸入弁搬器92の一部である。内部ストッパ138は、吸入弁スプリング68の受容器として定義されるものである。つまり、内部ストッパ138は、壁144によって取り囲まれ、定義される空洞142を有する。吸入弁スプリング68は、その一端のみが壁144の端面113を越えて突き出るように、空洞142内に配置される。吸入弁64によって圧縮されるとき、吸入弁スプリング68は、空洞142内において壁70に対して圧縮される。その結果、吸入弁スプリング68は、内部ストッパ138の端面113を越えて突き出す部分が無くなる(吸入弁スプリング68の全体が、空洞142内に入り込む)。吸入弁64が、完全に吸入弁搬器92の領域内に置かれた内部ストッパ138の端面113に衝突したとき、その衝突によって発生する振動負荷や衝撃負荷(すなわち、第2の負荷)が、矢印147(図11)に従って吸入弁搬器92を介してダンパー108に伝達される。ダンパー108は、緩衝器として動作し、吸入弁64と吸入弁搬器92の内部ストッパ138の端面113との衝突の衝撃を緩和する。ダンパー108は、柔軟なものであり、例えばスプリングであったり、もしくは吸入弁搬器92からのエネルギーを吸収するためのスプリングとしての役割を果たすものである。従って、ダンパー108が設けられておらず、吸入弁搬器92が、直接的に、第2の容積室62と第3の容積室72との間に存在し、両室を区分けする仕切壁106に衝突するものと比較して、本実施液体の構成によれば、振動、衝撃、及びノイズが緩和され、軽減される。
【0036】
ポンプ22を制御する方法は、入口52を定める外部ケーシング48内に第1の容積室54を設けることを含む。本実施形態の方法は、流体が吸入弁搬器92へ流れることを可能とするために、第1の開口53(図4)を定める第1の壁109を設けることも含む。第1の容積室54はソレノイドコイル56を収容しており、ソレノイドコイル56の励磁、非励磁がニードル58の移動を制御する。また、本実施形態の方法は、外部ケーシング48内に、吸入弁64を有する第2の容積室62を設けることも含む。第2の容積室62は、第1の容積室54の隣に配置され、第1の開口53が、第1の容積室54と第2の容積室62との間の流体通路を定める。さらに、本実施形態の方法は、外部ケーシング48内に、スリーブ120に開口する第3の容積室72を設けることも含む。スリーブ120は、
円筒状を呈し、プランジャ74を保持するものである。本実施形態の方法は、第2の容積室62と第3の容積室72との間の流体通路としての第2の開口102を定める第2の壁106を設けることも含む。さらに、本実施形態の方法は、出口チェック弁78を有する第4の容積室84、及び第3の容積室72と第4の容積室84との間に第3の開口110を定める第3の壁111を設けることも含む。
【0037】
僅かに異なって説明されるが、本実施形態によれば、ポンプ22は、ニードル58,吸入弁64、及び、吸入弁搬器92を備え、吸入弁搬器92内には、吸入弁64が移動可能に配置される。ポンプ22の吸入行程の動作の間の順序において、ニードル58が、吸入弁64に当接し、そして、ニードル58が、(図10の接触箇所119において)吸入弁搬器92に当接する。その結果、衝撃が、矢印146,148のように、吸入弁搬器92を通じて吸入弁搬器ダンパー108に伝達される。引き続いて、吸入弁64は、(図11の接触箇所121において)吸入弁搬器92の内部ストッパ138に当接する。その結果、衝撃が、矢印147のように、端面113から吸入弁搬器92の内部ストッパ138、及び吸入弁搬器92の残りの部分を通じて、吸入弁搬器ダンパー108に伝達される。
【0038】
ポンプ22は、さらに、外部ケーシング48を有する。外部ケーシング48は、ポンプ22の外部ケーシングであって、第1の容積室54を区画形成するとともに、その第1の容積室54内にあるソレノイドコイル56を固定する。また、外部ケーシング48は、第2の容積室62を区画形成し、吸入弁搬器92は、吸入弁搬器ダンパー108と、くい、円環状のリング、ホルダーとしても表現される仕切壁109とに対して(それらの間において)第2の容積室62内に配置される。外部ケーシング48は、第3の容積室72も区画形成する。この際、壁106が、第2の容積室62と第3の容積室72との間の境界を区分する。吸入弁搬器ダンパー108は、吸入弁搬器92と壁106との間にある。吸入弁搬器92は、流体が、吸入弁搬器92の外部から吸入弁搬器92の内室100に流入することを許容する第1の流体通路(流体入口導管)96を有する。(流体は、プランジャ74のストロークに依存して、逆方向にも流れる。)吸入弁搬器92は、さらに、流体が、吸入弁搬器92の内室100から吸入弁搬器92の外部に流出することを許容する第2の流体通路(流体出口導管)98も有している。吸入弁64は、第1の流体通路96から内室100への流体の通過を制御する。吸入弁搬器ダンパー108は、ニードル58が、吸入弁搬器92の端面94に衝突する衝撃、吸入弁64が内部ストッパ138に衝突する衝撃、及びニードル58が吸入弁64に衝突する衝撃を緩和するために、(例えば、スプリングのようなもしくは片持ちはり式の柔軟さで)吸入弁搬器92に接触している。吸入弁スプリング68は、吸入弁搬器92の内部ストッパ138内にあり、内部ストッパ138の端面113を超えた長さから、その端面113と同一平面となる長さまで圧縮可能なものである。プランジャ74は、外部ケーシング48によって区画形成される第3の容積室72内にあり、第3の容積室72は、流体的に第2の容積室62と連結されている。出口チェック弁78は、外部ケーシング48によって区画形成される第4の容積室84内に配置され、第4の容積室84は、流体的に第3の容積室72と連結されている。
【0039】
吸入弁搬器92は、流体貯蔵器としての内室100内においてスリーブ107(図4参照)を定め、吸入弁64は、部分的にスリーブ107に置かれるとともに、一部が吸入弁搬器92の端面94から飛び出す。ニードル58の幅(例えば、直径)は、スリーブ107の開口の幅(例えば、内径)よりも大きい。従って、吸入弁搬器92は、ニードル58に対してのストッパとなる(つまり、搬器92に対するニードル58の移動を制限する。)。壁106は、第2の容積室62と第3の容積室72とを区分けし、吸入弁搬器ダンパー108は、吸入弁搬器92と壁106との間に置かれている。
【0040】
他の配置例において、ポンプ22は、外部ケーシング48内に第1の容積室54を有し、壁109が、第1の開口53を定める。第1の容積室54は、ソレノイドコイル56を収容し、そのソレノイドコイル56が、ニードル58の往復動を制御する。ポンプ22は、外部ケーシング48内に、吸入弁搬器92を有する第2の容積室62を備える。吸入弁搬器92内には、移動可能な吸入弁64が包含される。第1の壁109は、第1の開口53を定め、第1の容積室54と第2の容積室62との間での流体の通過を許容する。第3の容積室72は、外部ケーシング48内に区画形成され、プランジャ74を含むスリーブ120に開口している。第2の壁106は、第2の容積室62と第3の容積室72との間の流体通路として、第2の開口102を定める。第4の容積室84は、出口チェック弁78を収容し、第3の壁111が、第3の容積室72と第4の容積室との間に第3の開口110を定める。ポンプ22が動作する間、以下のことが順番に起こる。(a)ニードル58と吸入弁64とが互いに接触する。(b)ニードル58と吸入弁搬器92とが互いに接触する。(c)吸入弁64が吸入弁搬器92の内部ストッパ138に接触する。
【0041】
図9−11を参照すると、以下の接触が以下の順序で起こることも可能である。(a)ニードル58の端面130が吸入弁64の端面132に接触する。(b)ニードル58の端面130が吸入弁搬器92の端面94に接触する。(c)吸入弁64の端面が、吸入弁搬器92の内部ストッパ138の端面113に接触する。
【0042】
ニードル58が吸入弁搬器92に接触したとき、そして、引き続いて、吸入弁64が吸入弁搬器92の内部ストッパ138の端面113に接触したとき、吸入弁搬器92から吸入弁搬器ダンパー108までが、固形物質を通じていの振動経路として定義される。2回の別個の衝突が発生するので、より大きな質量を持った1つの対象物(例えば、ニードル58と吸入弁64とを組み合わせたものが単一のユニットとして、一緒に移動し、一緒に接触する)が、内部ストッパ138の端面113に衝突する場合よりも、ポンプ22からのノイズをより小さくすることができる。
【0043】
図12は、本発明による実施形態の断面図を示すものである。複数の図面の図示にわたって、対応する参照符号は、対応する部分を指している。
【0044】
本実施形態の利点は、より大きな質量を持ったより少ない部品が衝突する代わりに、比較的小さい質量を持った部品間において、複数の衝突が連続して起こる(例えば、ニードル58が吸入弁64に衝突し、ニードル58の端面130が吸入弁搬器92の端面94に衝突し、そして、吸入弁64が吸入弁搬器92の内部ストッパ138の端面140に衝突する)ように直噴型燃料噴射ポンプ22を構成したことにより、衝突によるノイズレベルが軽減され、それにより、ポンプ22の動作を全体的に静かなものとすることができる。さらに、本実施形態は、どのような回転数で動作するエンジンにも首尾よく適用され得る。
【0045】
上述した実施形態の記載は、例示と説明の目的のためになされたものである。全ての例を網羅することや、本発明を限定することは意図されない。特定の実施形態の個々の要素や特徴は、その特定の実施形態に制限されず、具体的に図示されたり説明されたりしていないとしても、適用可能であれば、置き換え可能であり、選択された実施形態において使用され得る。また、上述した実施形態は、種々の方法で変形しえる。そのような変形は、本発明から逸脱するものとみなされるべきではなく、そのようなすべての変更は、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
22 直噴型燃料噴射ポンプ
48 ケーシング
52 入口
54 第1の容積室
56 ソレノイドコイル
58 ニードル(第1の弁部材)
60 スプリング
62 第2の容積室
64 吸入弁(第2の弁部材)
66 弁座
68 スプリング
72 第3の容積室
74 プランジャ
78 チェック弁(第3の弁部材)
82 スプリング
84 第4の容積室
92 吸入弁搬器
108 吸入弁搬器ダンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を移動させるための行程を有するポンプ(22)であって、
第1の容積室(54)と第2の容積室(62)とを区画形成するポンプケーシング(48)を有し、流体は、前記行程の間、前記第1の容積室から前記第2の容積室に移動するものであり、
ポンプは、さらに、
第1の容積室に移動可能に配置されたニードル(58)と、
第2の容積室に移動可能に配置され、内部ストッパ(138)を備え、当該内部ストッパによって部分的に区画される内室(100)を有する弁搬器(92)と、
弁搬器の内室に移動可能に配置された弁(64)と、を有し、
前記弁は、前記行程において、前記ニードルによって衝撃が与えられるように動作し、前記ニードルは、前記行程の間、弁搬器にも衝突して衝撃を与えるように動作し、さらに、前記弁は、前記行程の間であって、前記ニードルが前記弁搬器に衝撃を与えるのとは異なるときに、前記内部ストッパに衝突して衝撃を与えるように動作することを特徴とするポンプ。
【請求項2】
さらに、前記第1の容積室内に配置されたソレノイドコイル(56)を有し、前記ソレノイドコイルの励磁及び非励磁が、前記ニードルの移動を選択的に引き起こすことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
さらに、前記弁に向けて前記ニードルに力を加えるニードルバイアス部材(60)を有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項4】
さらに、前記ニードルが前記弁搬器に衝撃を与えたことにより生じる第1の負荷と、前記弁が前記内部ストッパに衝撃を与えたことにより生じる第2の負荷との少なくとも1つを弱めるように動作する弁搬器ダンパー(108)を有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項5】
前記ポンプケーシングは、第3の容積室(72)を区画形成するものであり、
さらに、前記第2の容積室と第3の容積室との間の境界を区分する壁(106)を有し、
前記弁搬器ダンパーは、弁搬器と壁との間に配置されることを特徴とする請求項4に記載のポンプ。
【請求項6】
前記弁搬器ダンパーは、前記第1及び第2の負荷の両方を弱めるように動作することを特徴とする請求項4に記載のポンプ。
【請求項7】
前記弁搬器は、弁搬器の内室へ流入及び流出する流体の移動のための、少なくとも1つの流体通路(96,98)を有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流体通路は、前記行程の間に、前記弁搬器の外部から内室への流体の流入を可能とする第1の流体通路(96)と、前記内室の内部から前記内室の外部への流体の流出を可能とする第2の流体通路(98)とを有することを特徴とする請求項7に記載のポンプ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流体通路に形成された弁座(66)と、
当該弁座に対して選択的に着座及び離座する弁(64)と、を有し、
前記弁の弁座に対する着座もしくは離座により、前記少なくとも1つの流体通路を通る流体の流れを制御することを特徴とする請求項7に記載のポンプ。
【請求項10】
さらに、前記弁が前記弁座に着座する位置に向けて前記弁にバイアス負荷を与える弁バイアス部材(68)を有し、前記弁に対して前記ニードルが与える衝撃は、当該弁を前記バイアス負荷に抗して移動させるもので、それにより、前記弁は、前記弁座から離座することを特徴とする請求項9に記載のポンプ。
【請求項11】
弁搬器には、スリーブ開口(107)があり、そのスリーブ開口を通じて、前記弁が弁搬器から突出するものであって、前記弁に対して前記ニードルが与える衝撃は、前記弁を、前記スリーブ開口及び前記内室の内部に推し進めるものであることを特徴とする請求項10に記載のポンプ。
【請求項12】
前記ニードルの幅は、前記スリーブ開口の幅よりも大きいものであって、それにより、前記弁に衝撃を与えて、前記弁を前記スリーブ開口及び前記内室の内部へ推し進めた後、前記ニードルは、前記弁搬器に衝突して衝撃を与えることを特徴とする請求項11に記載のポンプ。
【請求項13】
流体を移動させるための吸入行程を有するポンプ(22)であって、
第1の容積室(54)と第2の容積室(62)とを区画形成するポンプケーシング(48)を有し、流体は、前記吸入行程の間、前記第1の容積室から前記第2の容積室に移動するものであり、
ポンプは、さらに、
第1の容積室に移動可能に配置されたニードル(58)と、
第2の容積室に移動可能に配置され、内部ストッパ(138)を備え、当該内部ストッパによって部分的に区画される内室(100)と、前記内室に連なる通路を提供するスリーブ開口(107)と、を有する弁搬器(92)と、
前記弁搬器を貫くように区画形成され、弁座(66)を形成する流体通路(96,98)と、
前記内室への流体の流れを制御すべく、前記弁座に対して着座もしくは離座するように、弁搬器の内室に移動可能に配置された弁(64)と、を有し、
前記弁は、前記スリーブ開口から部分的に飛び出すように動作し、
前記ニードルは、前記吸入行程の間、前記弁及び弁搬器に向かって移動し、やがて、前記弁に衝突して衝撃を与えるように動作し、
また、前記ニードルは、前記吸入行程の間であって、前記弁に衝突した後に、前記弁を前記内室内に推し進めて、前記弁を前記弁座から離座させるように動作し、
さらに、前記ニードルは、前記吸入行程の間であって、前記弁を前記弁座から離座させた後に、前記弁搬器に衝突して衝撃を与えるように動作し、そして、
前記弁は、前記吸入行程の間であって、前記ニードルが前記弁搬器に衝突した後に、前記内室内をさらに進んで、前記内部ストッパに衝突して衝撃を与えるように動作することを特徴とするポンプ。
【請求項14】
さらに、前記ニードルが前記弁搬器に衝撃を与えたことにより生じる第1の負荷と、前記弁が前記内部ストッパに衝撃を与えたことにより生じる第2の負荷との両方を弱めるように動作する弁搬器ダンパー(108)を有することを特徴とする請求項13に記載のポンプ。
【請求項15】
さらに、前記弁が前記弁座に着座する位置に向けて前記弁にバイアス負荷を与える弁バイアス部材(68)を有し、前記弁に対して前記ニードルが与える衝撃は、当該弁を前記バイアス負荷に抗して移動させるもので、それにより、前記弁は、前記弁座から離座することを特徴とする請求項13に記載のポンプ。
【請求項16】
前記ニードルの幅は、前記スリーブ開口の幅よりも大きいものであって、それにより、前記弁に衝撃を与えて、前記弁を前記スリーブ開口及び前記内室の内部へ推し進めた後、前記ニードルは、前記弁搬器に衝突して衝撃を与えることを特徴とする請求項13に記載のポンプ。
【請求項17】
前記ポンプケーシングは、前記第2の容積室と流体的に接続された第3の容積室(72)を区画形成するものであり、
前記第3の容積室に移動可能に配置されたプランジャ(74)をさらに有し、
前記プランジャは、前記吸入行程の間、前記流体が、前記第1の容積室から、前記第2の容積室を通り、前記第3の容積室に流入するように、前記第3の容積室内を移動することを特徴とする請求項13に記載のポンプ。
【請求項18】
前記ポンプケーシングは、前記第3の容積室と流体的に接続された第4の容積室(84)を区画形成するものであり、
前記第3の容積室から前記第4の容積室への流体の流れを制御するチェック弁(78)をさらに有することを特徴とする請求項17に記載のポンプ。
【請求項19】
前記ポンプは、加圧行程を有し、その加圧行程において、ソレノイドコイル(56)が、前記弁へのニードルの衝突を妨げるために励磁するよう動作し、それにより、前記弁が前記弁座に着座したままとなって、前記第2の容積室内の燃料が前記第1の容積室へ流れることが妨げられ、
前記プランジャは、前記加圧行程の間、前記チェック弁を開き、第3の容積室内の流体を第4の容積室に吐出するべく、第3の容積室内を移動するように動作することを特徴とする請求項18に記載のポンプ。
【請求項20】
燃料を移動させるための吸入行程及び加圧行程を有する車両用燃料ポンプ(22)であって、
第1の容積室(54)、第2の容積室(62)、第3の容積室(72)、及び第4の容積室(84)を区画形成するポンプケーシング(48)と、
第1の容積室に移動可能に配置され、第2の容積室へ向けて力が加えられ、その動きが、ソレノイドコイル(56)によって選択的に制御されるニードル(58)と、
第2の容積室に移動可能に配置され、内部ストッパ(138)を備え、当該内部ストッパによって部分的に区画される内室(100)と、前記内室に連なる通路を提供するスリーブ開口(107)と、を有する弁搬器(92)と、
前記弁搬器を貫くように区画形成され、弁座(66)を形成する第1の流体通路(96)と、
前記内部ストッパを貫くように区画形成される第2の流体通路(98)と、
前記内室内に移動可能に配置され、前記弁座に着座し、かつ前記スリーブ開口から部分的に飛び出るように力が加えられる弁(64)と、
前記第3の容積室に移動可能に配置されるプランジャ(74)と、
前記第3の容積室から前記第4の容積室への流体の流れを制御するチェック弁(78)と、を有し、
前記ニードルは、前記吸入行程の間、前記弁及び弁搬器に向かって移動し、やがて、前記弁に衝突して衝撃を与えるように動作し、
また、前記ニードルは、前記吸入行程の間であって、前記弁に衝突した後に、前記弁を前記内室内に推し進めて、前記弁を前記弁座から離座させるように動作し、
さらに、前記ニードルは、前記吸入行程の間であって、前記弁を前記弁座から離座させた後に、前記弁搬器に衝突して衝撃を与えるように動作し、
前記弁は、前記吸入行程の間であって、前記ニードルが前記弁搬器に衝突した後に、前記内室内をさらに進んで、前記内部ストッパに衝突して衝撃を与えるように動作し、
前記プランジャは、前記吸入行程の間、前記第1の容積室から、前記第1の流体通路を通り、前記内室を通り、前記第2の流体通路を通り、そして前記第3の容積室に至る流動経路に沿って燃料を引きこむために、前記第3の容積室内を移動するように動作し、
前記チェック弁は、前記吸入行程の間、前記第3の容積室から前記第4の容積室への燃料の流れを妨げるように動作し、
前記ソレノイドコイルは、前記加圧行程において、前記弁へのニードルの衝突を妨げるために励磁するよう動作し、それにより、前記弁が前記弁座に着座したままとなって、前記第2の容積室内の燃料が前記第1の容積室へ流れることが妨げられ、
前記プランジャは、前記加圧行程の間、前記チェック弁を開き、第3の容積室内の流体を第4の容積室に吐出するべく、第3の容積室内を移動するように動作することを特徴とする車両用燃料ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−211583(P2012−211583A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−74381(P2012−74381)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(500164385)デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド (49)
【Fターム(参考)】