説明

ポータブルのキーボード

【解決手段】電子装置用のキーボードは、表面部と底面部と第1側面部と第2側面部とを有するハウジングを備える。複数のキーは、該ハウジングの底面部から操作可能であり、任意のキーが前記ハウジングの片側又は両側の側面部から操作されるかも知れない。所定の手段が、前記ハウジングの底面部から操作される複数のキーの文字や機能を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、そこに盛り込まれた開示の全体に言及することにより、2003年9月22日に出願された米国仮出願 No.60/504,686の利益を主張する。
【0002】
この発明は電子入力装置に関する。より詳しくは、本発明はキーボードに関する。
【背景技術】
【0003】
既存のコンピュータ用キーボードは、一般に、満足できるようなものではない。それらは大型の傾向があり(通常、〜18インチ×〜6インチ)、タイプするためには何らかの物理的な支持を必要とする。机の上に置いたり、膝の上のような何らかの他のタイプの物理的支持の上に置いたりしなければならない。キーボードは堅固な面に置かれている必要があることから、タイピング中に自由に移動させることは困難である。タイプする人の姿勢の変更は、しばしば、新たな支持を見つけるという意味のキーボードの再配置を必要とする。一般的に、立ちながら、或いは歩きながらのタイピングは実行不可能である。多くの既存のキーボードのデザインは、使用者の姿勢に制限を課し、不快を引き起こすと共に、筋骨格疾患(例えば、脊柱側弯症や、他の整形外科的病気)のような健康上の問題を引き起こすかも知れない。
【0004】
一般的には、ラップトップやノートブックの一部であるキーボードは、タイプする人の手のひらを不自然に回転させた位置(手根管症候群を引き起こすかも知れない位置)に置く必要がある。加えて、もしラップトップが、カフェテリアや会議室の中のテーブル上に置かれているならば、手のひらや手は若干高くなり、もしラップトップを膝の上に置いたなら、その人の手のひらはとても低くなり、より回転させた状態となる。
【0005】
市場における携帯端末(PDAs)の普及は、小さなポータブルのキーボードの需要を増加させる結果となった。PDAsには2つのタイプのキーボードが使用されてきている。すなわち、PDAsから独立している、小型化された、しばしば折り畳まれる従来のコンピュータ・キーボードと、PDAユニットに付けられた小型化キーボードとである。第1のものは上述のような問題を有し、一方では、PDAユニットに付けられた小型化キーボードは、使用者が彼の10本の指を完全に使用するには概して小さすぎる。該小型化キーボードは通常は1本指(親指)のタイピングを求めている。
【0006】
既存のキーボードの一般的な問題は、キーの視認性である。タイプする人の手のひらや指が視野を狭めてしまい、タイプする人がもしキーボードを見る必要があるなら、例えば、ノンタッチのタイピスト(non−touch typist)は、どのキーを押すかを決めるために指を後ろや前に動かさなければならない。
【発明の開示】
【0007】
詳細な説明
明細書では、発明とみなされる対象は特許請求の範囲で特別に指摘されてはっきりと主張されるけれども、その発明は、図面に関連させて行われる好適な実施例の詳細な説明に言及することによりさらに説明される。
【0008】
本発明は、電子装置用のキーボードを構成する。電子装置は、特に限定されるものではないが、コンピュータやPDAや携帯電話機を含む。該キーボードには、他の電子入力装置(特に限定するものではないが、タッチパッドやジョイスティックを含む、現在知られているか、将来開発される装置)の何らかの特徴を盛り込むことができる。
【0009】
ここに開示されているキーボードは、使用者が自然で人間工学的な位置に保持できるような形状である。その人間工学的位置は、タイプによる手根管症候群の危険性を減少させる。加えて、キーが人間工学的位置に配置されるかも知れない。
【0010】
図1に示されるように、キーボード100は、表面部110と底面部112と第1側面部114と第2側面部116とを有するハウジングを備える。第1側面部114と第2側面部116とは互いに同じであるが、それらの側面部114,116は互いに異なるように作製されても良い。
【0011】
該キーボード100は、任意のサイズ規格に作られるか知れないが、図1のキーボード100は、使用者の手104の中に保持されることのできる大きさである。該キーボード100は使用者の手のひら106の中に置かれる。使用者の手のひら106,106の曲線に大体一致するように曲げられた、或いは成形された側面部114,116(108)を有することで、キーボード100は使用者の手のひら106に置かれ、強く握ったり掴んだりする必要は無い。
【0012】
図2は、キーボード100の側面図を示す。ハウジングの深さ(又は厚さ)200は、製造業者が望む薄さ(又は厚さ)にすると良い。その厚さは、使用者に不快を与えないことの1つである。
【0013】
図1に戻ると、キー102は、キーボード100の底面部112から操作される。それらのキー102は、製造業者及び/又は使用者により望まれるどのような配列にもできる。それらのキー102は、透明な材料、半透明な材料、不透明な材料、又はその組み合わせで作られるかも知れない。図1において、それらのキー102は、一般の人々にも良く知られているクワーティ配列である。使用者が親指でキーを操作するように、少なくとも1つの側面部114,116に少なくとも1つのキーが配置されるかも知れない。例えば、クワーティ配列を使用する場合、シフトキー、TABキー及びスペースキーが、キーボードの側面部114,116の片方又は両方に配置されるかも知れない。別の方法として、これらのキーの幾つかだけが片側に配置されて、残りのキーが他側に配置されるかも知れない。
【0014】
図3に描写される1つの実施例においては、キーボード300は4つの層302,304,306,308から形成される。最上層302は透明なタッチ・スクリーンである。2番目の層304は透明なモニター又は同類の装置である。3番目の層306は透明なボード又は同類のものであり、4番目の層308はまた透明なタッチ・スクリーンである。キー310は透明か半透明か、或いは不透明かも知れないので、キー310の画像やアイコンや文字は透明層310の上に見い出される。代わりに、キー310の画像やアイコンや文字を前記層302,304,306,308のいずれか、又は全ての表面に印刷することができる。キーの画像やアイコンや文字の印刷は、シルクスクリーン法や、当業者に知られている他の何らかの印刷法により実行され得る。或いは、キーの画像やアイコンや文字は、透明なモニターや類似の装置304にて投影される。
【0015】
キーボードの他の種類のものが図4に示される。この図において、キーボード400は、発光ダイオード(LED)やレーザー・プロジェクター等のような画像投影装置402を装備しており、その投影装置は、動作可能な状態で透明ボード404に配置されている。該画像投影装置402は、ハウジングの表面部を見下ろす使用者がキーの文字や機能を見れるようにキーの画像406を投影する。また、前記画像投影装置402は、使用者に見えるように画像を投影できる限りは、ハウジングのどこにでも配置することもできる。
【0016】
キー402の文字やアイコンが投影されるとき、状況に応じて、絵やグラフや表や文書などを投影するために前記透明ボードが使用される。それらの絵等は、キーボード400に操作可能に配置されたボタンやスイッチ等によって起動され制御される。
【0017】
該キーボードでは、メカニカルなキーを使用しても良い。図5は、メカニカルなキーを使用したキーボードの一実施例を示す。該キーボード500は、透明ボード504に操作可能な状態に配置されたメカニカル・キー502を使用している。該メカニカル・キー502は、表面506及び底面508から操作可能な両面スイッチ操作キーである。該スイッチはキーボード入力コントローラに電気的に接続される。使用者516により操作されない時にスイッチをニュートラル位置に保持するために弾性部材514が配置されても良い。別の実施例においては、メカニカル・キーは、キーボードの底面から操作できる片面スイッチ操作キーである。
【0018】
本発明のさらなる他の実施例が図6に示される。該キーボード600は、湾曲(602,604)したハウジングに加えて、図1と同様の特徴を有する。その湾曲602,604は、使用者の手のひらが、さらに人間工学的位置になるようにする。
【0019】
さらなる他の実施例は図7に示されている。図7は図1と同じ特徴を有するが、キーのレイアウトは異なる。キー702は、使用者が従来のキーボードを打つことに慣れている場合にキー702の位置を覚える必要が無いように配置されている。図に示されるように、キー702は、あたかも従来のキーボードを使用しているようにキー702の操作に同じ指を使用するように配置されている。“Q”のキーは、使用者の小指がその操作に使用され得るような位置に配置されている。“Y”のキーは、使用者の人差し指の片方又は両方がそれを操作できるように配置されている。例えば、図7は、2つの位置704,706に配置された“Y”キーを示すが、該キーボード700は、704か706の1つの位置のみに“Y”キーが配置されるように作られるかも知れない。
【0020】
図8は、キーボードの他の実施例を示す。図8は、図7と同様の特徴を有し、加えて、より人間工学的である。キーボード800は人間工学的位置に配置されたキー702を有する。それだけではないが、クワーティ配列や非クワーティ配列を含む、キーの人間工学的な位置の使用は、ここで説明される如何なる実施例においても使用される。
【0021】
ここでは図1に関して説明されているけれども、次の説明は上述のキーボードの様々な実施例にも適用される。
【0022】
使用者は、側面部114,116が手のひら106の曲線に置かれるように、キーボード100を自分の手104の間に入れる。操作の典型的なモードでは、使用者の手はキーボードの後ろにあるので、使用者は、常に、キーやキーボードのアイコンや画像や文字をはっきりと見る。図示されていないけれども、使用者が親指で操作できるように、側面部114,116に配置された任意のキーをキーボード100は有する。
【0023】
前記キーボード100は、何らかの適当な剛体材料か、実質的な剛体材料か、半剛体材料か、それらの組み合わせにより形成される。1つの実施例において、キーボード100は透明であって、各キー102が示す、文字や機能の画像やアイコン102は、キーボード100の表面部104を眺めたときに見ることができる。側面に配置されたキー102を描く画像やアイコンは、キーボード100を見下ろしたときに見えるかも見えないかも知れない。
【0024】
また、前記キーボード100は、半透明、不透明、又は、透明、半透明及び/又は不透明材料の組み合わせとされるかも知れない。キーボード100の底面部に配置されたキー102に対応すると共に該キーを示す画像やアイコンが表面部104から見える。透明なバージョンのキーボードと同様に、側面部114,116に配置されたキー(もしあるならば)が、(使用者がキーボード100の表面部を見たときに特定の機能をキーが実行することを容易に判断することができるように)関連する画像を有するかどうかを、製造業者が決定する。キーを操作している自分の指を使用者が見ることを許容する材料を使用する利点は、キーを操作する自分の指を見ることができない場合に比べて、タイピング時に使用者がより正確になり、新しいキーボードにより迅速に適合されることである。
【0025】
両側面部114,116に少なくとも1つのキーが配置されている場合のキーボード100は10本指のタイピングが可能となる。また、使用者が特にキー102を操作することなくキーボード100を保持することを許容する。キーボードがコンパクトなため、制限されることなく、座ったり、立ったり、歩いたりという如何なる状態でもキーボード100を保持し或いは使用することができる。
【0026】
さらにもう一つの別の実施例においては(不図示)、操作可能な状態で前記ハウジングに配置された支持構造を備えている。そのような支持構造の一つが脚である。脚は、平坦な面にキーボードを置くことができるように、キーボードに動作可能な状態で取り付けられている。該脚は、平坦な面と接しているときに使用者の指が、該面とキーボードの底面部との間に入るような長さにすると良い。キーボードが平坦な面に置かれた場合にキーボードの表面部からキーのほとんど又は多くを使用者が操作できるように、状況に応じて、表面操作キーを配置しても良い。使用され得る他の支持構造はハーネスである。ハーネスは、使用者が手を使用せずにキーボードを支持したり運んだりすることを可能にするのに適した装置である。さらにもう一つの、使用され得る支持構造は、使用者がキーボードを保持しなくてもキーを操作できる、キーボードを受けるようにされたハウジングである。
【0027】
キーボード表面における使用者の指の位置を探知することのできる光学センサーが、キーを作動させるために使用されるかも知れない。また、キーボードは、その大きさを調整できるように、すなわち、手によりフィットするように使用者がキーボードを拡げたり或いは丈を高くしたりできるように構成されるかも知れない。
【0028】
ここで説明されるキーボードは電子装置に電気的に接続される。この電気的な接続は、有線、ワイヤレス、赤外線、或いは、1つの装置から他の装置へ電気信号を送ることが可能な他の技術によるかも知れない。
【0029】
本発明は、精神や絶対不可欠な特質から逸脱すること無しに他の特定の形態において具体化されるかも知れない。加えて、発明の範囲を示す上で、前述の明細書よりも、クレームが参照されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面には、1つ又はそれ以上の好適な実施例が示されており、本発明の同じ部分には、図面を通して同じ参照番号が付されている。ここで、図面に描かれる実施例に本発明が限定されるもので無いことは当然であり、本発明は、この文書に付加された特許請求の範囲及び等価構成により定義される。
【図1】図1は、本発明に係るキーボードの正面図である。
【図2】図2は、図1のキーボードの側面図である。
【図3】図3は、本発明に係るキーボードの他の実施例を示す分解図である。
【図4】図4は、本発明に係るキーボードの他の実施例を示す。
【図5】図5は、本発明に係るキーボードの他の実施例を示す。
【図6】図6は、本発明に係るキーボードの他の実施例を示す。
【図7】図7は、本発明に係るキーボードの他の実施例を示す。
【図8】図8は、本発明に係るキーボードの他の実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部、底面部、第1側面部及び第2側面部を有するハウジングと、
該ハウジングの底面部から操作することのできる複数のキーと、
該ハウジングの底面部から操作することのできる複数のキーの文字や機能を表示するための手段と、
を備えた、電子装置用キーボード。
【請求項2】
前記複数のキーはクワーティ・キーボード配列である、請求項1のキーボード。
【請求項3】
さらに、前記ハウジングの少なくとも1つの側面部から操作することのできるキーを少なくとも1つ有する、請求項1のキーボード。
【請求項4】
前記ハウジングは透明である、請求項1のキーボード。
【請求項5】
前記キーは、透明か、半透明か、不透明か、その組み合わせである、請求項1のキーボード。
【請求項6】
さらに、動作可能な状態で前記ハウジングに配置された支持構造を備える、請求項1のキーボード。
【請求項7】
前記支持構造はハーネスを含む、請求項6のキーボード。
【請求項8】
前記支持構造は脚を含む、請求項6のキーボード。
【請求項9】
前記電子装置にワイヤレスで接続された、請求項1のキーボード。
【請求項10】
前記ハウジングは、使用者の手のひらに置かれるように成形されている、請求項1のキーボード。
【請求項11】
複数のキーの文字や機能を示す手段がアイコンや投影画像を含む、請求項1のキーボード。
【請求項12】
前記複数のキーは人間工学的な位置に配置された、請求項1のキーボード。
【請求項13】
使用者の手のひらに置かれる形状であって、表面部、底面部、第1側面部及び第2側面部を有するハウジングと;
該ハウジングの前記底面部から操作することのできる複数のキーと;
を有する電子装置用キーボード。
【請求項14】
さらに、前記ハウジングの少なくとも1つの側面部から操作することのできるキーを少なくとも1つ有する、請求項13のキーボード。
【請求項15】
前記ハウジングは透明である、請求項13のキーボード。
【請求項16】
さらに、該ハウジングの底面部から操作することのできる複数のキーの文字や機能を表示するための手段、を備える請求項13のキーボード。
【請求項17】
複数のキーの文字や機能を示す手段がアイコンや投影画像を含む、請求項16のキーボード。
【請求項18】
前記複数のキーはクワーティ・キーボード配列である、請求項13のキーボード。
【請求項19】
前記複数のキーは人間工学的に配置された、請求項13のキーボード。
【請求項20】
使用者の手のひらに置かれる形状であって、表面部、底面部、第1側面部及び第2側面部を有するハウジングと;
該ハウジングの前記底面部から操作することのできる複数のキーと;
前記ハウジングの第1側面部から操作することのできる少なくとも1つのキーと;
前記ハウジングの第2側面部から操作することのできる少なくとも1つのキーと;
を備えた電子装置用キーボード。
【請求項21】
前記ハウジングは透明である、請求項20のキーボード。
【請求項22】
前記ハウジングの底面部から操作することのできる前記複数のキーが透明、半透明、不透明、或いはそれらの組み合わせである、請求項20のキーボード。
【請求項23】
さらに、該ハウジングの底面部から操作することのできる複数のキーの文字や機能を表示するための手段、を備える請求項20のキーボード。
【請求項24】
複数のキーの文字や機能を示す手段がアイコンや投影画像を含む、請求項23のキーボード。
【請求項25】
前記複数のキーはクワーティ・キーボード配列である、請求項20のキーボード。
【請求項26】
前記複数のキーは人間工学的に配置された、請求項20のキーボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−519065(P2007−519065A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527141(P2006−527141)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/030948
【国際公開番号】WO2005/031511
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506094378)スクリバ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】