説明

ポータブルオーディオシステム

【課題】スピーカー部から出力される音楽を複数の同行者で同時に楽しむことができ、しかも、音楽に合わせてLED群の発光状態を変化させて視覚的に雰囲気を盛り上げることができるポータブルオーディオシステムを提供する。
【解決手段】音源部1と、スピーカー部2とを備えている。スピーカー部2は、スピーカーケース11と、スピーカーケース11に組み込まれるスピーカー12と、スピーカーケース11を装着するための装着具13と、スピーカーケース11に組み込まれる一群のLED14などで構成する。スピーカー部2を装着具13で上腕部や前腕部などに装着して、音源部1から送給されるオーディオ信号でスピーカー12を駆動し、同時に一群のLED14を音楽に合わせて明滅させて、視覚的に雰囲気を盛り上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば使用者の身体に装着した状態で携行しながら音楽などを楽しむことができ、さらに音楽に合わせてLED群の発光状態を変化させて視覚的に雰囲気を盛り上げることができる、ハンドフリーのポータブルオーディオシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のオーディオシステムとして、ポータブル式のCDプレーヤーや、ポータブル式のICプレーヤーなどが広く知られている。この種のオーディオシステムは、プレーヤーで再生した音響信号をイヤフォンやヘッドフォンなどを介して聴く。本発明のポータブルオーディオシステムでは、スピーカー部にオーディオ信号に応じて明滅制御される一群のLEDを組み込むが、この種のスピーカーシステムは特許文献1に公知である。そこでは、オーディオ信号の変化に応じてLED群を点滅させ、音楽に合わせてLED群の発光状態が変化するようになっている。同様のスピーカーシステムは、特許文献2にも開示してある。ただし、特許文献1、2は、いずれも定置した状態で使用するスピーカーシステムであり、体の一部に装着して携行使用することはできない。
【0003】
本発明のポータブルオーディオシステムは、スピーカー部を例えば上腕部に装着して携行し、スピーカーを駆動するのと同時に一群のLEDを発光させて、スピーカー部が発光機能を備えた装身具を兼ねるようにするが、このような発光機能を備えた装身具は、例えば特許文献2に公知である。そこでは、複数個の装飾体でネックレスを構成し、ダイヤモンドを模した透明プラスチック材製の装飾体の内部に一群の発光素子(LED)を配置して、一群の発光素子の発光状態を制御プログラムに基づいて明滅制御できるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−252671号公報(段落番号0028、図2)
【特許文献2】特開平9−212107号公報(段落番号0019、図3)
【特許文献3】特開2002−315615号公報(段落番号0019、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CDプレーヤーや、ICプレーヤーなどのオーディオシステムでは、プレーヤーで再生した音響信号をイヤフォンやヘッドフォンなどを介して聴く。そのため、音楽などを複数人数で同時に聞くことができない。さらに、複数人が同行しているときは、ヘッドフォンなどを外さない限りは、ポータブル式プレーヤーの使用者と他の同行者との間で会話を行うことが困難となる。そのため、同行している仲間の間で、暗黙のうちにポータブル式プレーヤーの使用が嫌がられ、その使用を躊躇する状況が生まれやすい。
【0006】
本発明の目的は、スピーカー部を例えば上腕部に装着して携行でき、スピーカーを駆動するのと同時に一群のLEDを発光させて、音楽などを複数の同行者で同時に楽しむことができ、しかも、音楽に合わせてLED群の発光状態を変化させて視覚的に雰囲気を盛り上げることができ、さらに、ポータブルオーディオシステムを携行している者と他の同行者との間で、自然な会話を行うことができるポータブルオーディオシステムを提供することにある。本発明の目的は、スピーカー部を発光する装飾体として機能させることができ、これによりポータブルオーディオシステムを携行している使用者、および同行者の存在を強調して目立たせることができるポータブルオーディオシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポータブルオーディオシステムは、音源部1と、音源部1から送給されるオーディオ信号で駆動されるスピーカー部2とを備えている。スピーカー部2は、スピーカーケース11と、スピーカーケース11に組み込まれるスピーカー12と、スピーカーケース11を使用者の身体に装着するための装着具13と、スピーカーケース11と装着具13の少なくともいずれか一方に組み込まれて、オーディオ信号に応じて明滅制御される一群のLED14を光源とする発光構造15とを含んで構成する。
【0008】
発光構造15は、発光色が異なる一群のLED14と、一群のLED14の発光パターンを制御する制御回路21とを含んで構成する。制御回路21は、一群のLED14の発光パターンを、オーディオ信号の音階ないしリズムの変化に対応して明滅制御できるように構成する。
【0009】
スピーカーケース11は、容器状のケース本体11aと、ケース本体11aの開口面を塞ぐケース蓋11bとで構成する。ケース本体11aの内部に、スピーカー12と、制御回路21および一群のLED14が実装された基板20を組み込む。ケース蓋11bに、スピーカー12から出力される音波を送出するための通口23と、各LED14に対応する投光窓24を設ける。
【0010】
音源部1は、ICレコーダー5と、ICレコーダー5に組み込まれる2次電池6、およびマイクロホン7とを含んで構成する。以て、ICレコーダー5から送給されるオーディオ信号と、マイクロホン7から送給される音声信号との一方ないし双方をスピーカー12に送給できるようにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、音源部1とスピーカー部2とで構成されるポータブルオーディオシステムにおいて、スピーカーケース11と、スピーカーケース11に組み込まれるスピーカー12と、スピーカーケース11を使用者の身体に装着するための装着具13と、例えばスピーカーケース11に組み込まれる一群のLED14などでスピーカー部2を構成して、スピーカー部2を例えば上腕部や前腕部などに装着した状態で携行し、スピーカー12から出力される音楽などを、直接耳で聞いて楽しめるようにした。
【0012】
上記のように、使用者の体の一部にスピーカー部2を装着し、そのスピーカー12から出力される音楽などを直接耳で聞いて楽しめるようにすると、スピーカー12から出力される音楽を複数の同行者で同時に楽しむことができ、しかも、音楽に合わせて一群のLED14の発光状態を変化させて視覚的に雰囲気を盛り上げることができる。さらに、音楽を再生している状態のままであっても、ポータブルオーディオシステムを携行している者と他の同行者との間で、自然な会話を行って意志の疎通を図ることができる。
【0013】
発光色が異なる一群のLED14と、一群のLED14の発光パターンを制御する制御回路21などで発光構造15を構成し、一群のLED14の発光パターンを、オーディオ信号の音階ないしリズムの変化に対応して明滅させると、耳で音楽を楽しむのと同時に、音楽に合った状態で変化するLED14の発光状態を視覚的に楽しむことができ、全体としてさらに興趣を向上できる。とくにポータブルオーディオシステムを夜間に使用する場合には、一群のLED14から放射される多色の光によって、スピーカー部2を発光する装飾体として機能させることができるので、オーディオシステムを携行している使用者および同行者の存在が際立つこととなり、周囲の目を惹きやすく注目されることとなる。
【0014】
ケース本体11aとケース蓋11bとでスピーカーケース11を構成し、ケース本体11aの内部にスピーカー12と、制御回路21および一群のLED14が実装された基板20を組み込むと、音の発信源と光の放射源とがスピーカーケース11に集約されるので、スピーカー12から出力される音と、LED14の一群から放射される光とのいずれか一方で注意を惹くのと同時に、他方の存在をも認識させることができ、その分だけ周囲の注目を惹きやすく注目を受けやすくなる。また、一群のLED14が実装された基板20や、スピーカー12などをスピーカーケース11に収容するので、スピーカー部2が他物と接触するような場合に、基板20やスピーカー12が壊れるのを防止できる。
【0015】
ICレコーダー5、2次電池6、およびマイクロホン7などで音源部1を構成し、ICレコーダー5から送給されるオーディオ信号と、マイクロホン7から送給される音声信号との一方ないし双方をスピーカー12に送給できるようにすると、マイクロホン7から入力した音声を音楽とともにスピーカー12から出力して、カラオケ風に楽しむことができ、あるいはマイクロホン7から入力した音声のみをスピーカー12から出力して、発声練習に利用できるなど、ポータブルオーディオシステムの楽しみ方を拡大できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施例) 図1ないし図3は本発明に係るポータブルオーディオシステム(以下単にオーディオシステムと言う)の実施例を示す。図1においてオーディオシステムは、音源部1と、音源部1から送給されるオーディオ信号で駆動されるスピーカー部2と、これら両者を接続する接続コード3とで構成してある。
【0017】
音源部1は、ICレコーダー5と、ICレコーダー5に組み込まれる2次電池6、およびマイクロホン7などで構成してあり、その前面には、ICレコーダー5の使用状況や作動モードなどを表示するための液晶ディスプレイ8を備えている。図示していないが、ICレコーダー5の外面には、電源のオン・オフ、再生・停止、音量の増・減などを制御する操作部が設けてある。ICレコーダー5の内部には、音楽データや音声データなどを記録するICメモリーが内蔵してある。ICメモリーは、SDカードに代表されるように、ICレコーダー5に対して着脱できる形態のICカードであってもよく、取り出しが不能なICメモリーであってもよい。
【0018】
図2に示すように、スピーカー部2は、円盤状のスピーカーケース11と、スピーカーケース11に組み込まれるスピーカー12と、スピーカーケース11を使用者の身体に装着するための装着具13と、スピーカーケース11に組み込まれて、音源部1から出力されるオーディオ信号に応じて明滅制御される一群のLED14を光源とする発光構造15などで構成してある。スピーカーケース11は、それぞれプラスチック成形品からなる容器状のケース本体11aと、ケース本体11aの開口面を塞ぐケース蓋11bとで構成されており、ケース本体11の背面中央に装着具13を挿通連結するための一対の連結枠17が形成してある。ケース蓋11bは、ケース本体11aに対してビスで締結固定される。
【0019】
ケース本体11aの内部には、スピーカー12を収容するリング状の区画壁18と、4個の取付ボス19が突設してあり、これらの取付ボス19に基板20とスピーカー12が係合固定してある。スピーカー12はコ−ン型のダイナミックスピーカーからなり、その背面側が先の区画壁18で密閉されている。基板20には、一群のLED14の発光パターンを制御する制御回路21が実装されており、この制御回路21によって一群のLED14の発光パターンを、オーディオ信号の音階、またはリズムの変化に対応して明滅制御できる。LED14、基板20、および制御回路21によって先の発光構造15を構成している。
【0020】
一群のLED14の発光パターンは複数種用意してあり、自律的に、あるいは使用者の好みに応じて変更することができる。基板20はリング状に形成してあり、その外面側に発光色が異なる一群のLED14が一定間隔おきに実装され、内面側に先の制御回路21を構成する電子部品が実装してある。この実施例では、赤、青、黄、緑、アンバー、白の各色を発光する6種類のLED14を基板20に16個実装した。ケース本体11aの周側面には、接続コード3のピンプラグを差し込み連結するためのジャック30が設けてある。
【0021】
ケース蓋11bの中央部分には、スピーカー12から出力される音波を送出するための円形の通口23が開口され、その周囲に各LED14に対応する投光窓24が開口してある。通口23は通気自在な布地25で覆われており、全ての投光窓24はケース蓋11bの内面に固定したリング状の透明な窓板26で塞いである(図2参照)。ケース蓋11bの外縁には、ICレコーダー5に設けた、再生・停止、音量の増・減、送りスキップ・戻しスキップなどを制御する操作部27が設けてある。つまり、スピーカー部2は、ICレコーダー5のリモートコントローラーを兼ねている。これらの操作部27のうち、再生用の操作部27を押すごとに、一群のLED14の発光パターンを使用者の好みに応じて選択し、変更することができる。
【0022】
装着具13は、布地で形成されるベルト13aと、ベルト13aの一端裏面と、ベルト13aの表面とに逢着される雌雄一対の面ファスナー32a・32bとで構成してある。この装着具13は、雌形の面ファスナー32bに対する雄形の面ファスナー32aの止着位置を変更することで、ベルト13aの巻き付け長さを任意量に変更調整できる。
【0023】
以上のように構成したオーディオシステムは、例えば図3(a)に示すように音源部1をシャツの胸ポケットに収め、スピーカー部2を装着具13で上腕部に装着した状態や、図3(b)に示すようにスピーカー部2を装着具13によって前腕部に装着した状態で携行使用することができる。また、図3(c)に示すようにスピーカー部2をウエストベルトに装着した状態で使用することができ、その場合には、連結枠17にウエストベルトを通して装着することができる。
【0024】
以上のように、使用者の体の一部にスピーカー部2を装着した状態で、ICレコーダー5を作動させると、スピーカー12から出力される音楽を複数の同行者で同時に楽しむことができ、しかも、音楽に合わせてLED14群の発光状態を変化させて視覚的に雰囲気を盛り上げることができる。さらに、音楽を再生している状態のままであっても、オーディオシステムを携行している者と他の同行者との間で、自然な会話を行うことができる。
【0025】
また、オーディオシステムを夜間に使用する場合には、一群のLED14から放射される多色の光によって、スピーカー部2を発光する装飾体として機能させることができ、これによりオーディオシステムを携行している使用者、および同行者の存在を強調して目立たせることができる。ICレコーダー5を片手で持って音声をマイクロホン7から入力すると、音楽と同時に音声を同時に拡声して、カラオケのように楽しむことができる。もちろん、音楽の再生を停止した状態では、マイクロホン7から入力した音声のみを拡声することもできる。
【0026】
図4はスピーカー部2の別の実施例を示す。そこでは、想像線で示すように丸筒状にくせ付けされた板ばねと、その外面を覆う布地製のカバー34とで装着具13を構成し、カバー34の外面に一群のLED14を装着するようにした。一群のLED14はフレキシブルプリント基板に実装されて、その外面が透明なカバーで覆ってある。したがって、装着具13を腕に巻き付け装着する場合に、LED14群をフレキシブルプリント基板と共に装着具13の周面に沿って湾曲変形させることができる。
【0027】
上記の実施例では、スピーカーケース11を円形に形成したが、その必要はなくスピーカーケース11は多角形状や楕円状に形成することができる。必要があれば、動物、虫、花などを模した外形形状に形成することができる。音源部1は、ICレコーダー5で構成する以外に、CDプレーヤーや、MDプレーヤーなどの既存のプレーヤーで構成することができる。スピーカー12としては、より廉価な圧電形のスピーカーを適用することができ、その場合には複数のスピーカー12を使用して、再生される音楽などをステレオ化できる。装着具13はベルト状に形成する必要はなく、装着部位に応じてクリップ状に形成することができ、あるいは首に掛けるための紐や鎖を装着具13とすることができる。
【0028】
音源部1のオーディオ信号をFM波で送給すると、接続コード3を省略してワイヤレス化できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】オーディオシステムの全体正面図である。
【図2】スピーカー部の縦断側面図である。
【図3】スピーカー部の装着例を示す説明図である。
【図4】スピーカー部の別の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 音源部
2 スピーカー部
11 スピーカーケース
12 スピーカー
13 装着具
14 LED
15 発光構造
21 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源部(1)と、音源部(1)から送給されるオーディオ信号で駆動されるスピーカー部(2)とを備えており、
スピーカー部(2)は、スピーカーケース(11)と、スピーカーケース(11)に組み込まれるスピーカー(12)と、スピーカーケース(11)を使用者の身体に装着するための装着具(13)と、スピーカーケース(11)と装着具(13)の少なくともいずれか一方に組み込まれて、オーディオ信号に応じて明滅制御される一群のLED(14)を光源とする発光構造(15)とを含んで構成してあるポータブルオーディオシステム。
【請求項2】
発光構造(15)が、発光色が異なる一群のLED(14)と、一群のLED(14)の発光パターンを制御する制御回路(21)とを含んで構成されており、
制御回路(21)が、一群のLED(14)の発光パターンを、オーディオ信号の音階ないしリズムの変化に対応して明滅制御できるように構成してある請求項1記載のポータブルオーディオシステム。
【請求項3】
スピーカーケース(11)が、容器状のケース本体(11a)と、ケース本体(11a)の開口面を塞ぐケース蓋(11b)とで構成されており、
ケース本体(11a)の内部に、スピーカー(12)と、制御回路(21)および一群のLED(14)が実装された基板(20)が組み込まれており、
ケース蓋(11b)に、スピーカー(12)から出力される音波を送出するための通口(23)と、各LED(14)に対応する投光窓(24)が設けてある請求項1または2記載のポータブルオーディオシステム。
【請求項4】
音源部(1)が、ICレコーダー(5)と、ICレコーダー(5)に組み込まれる2次電池(6)、およびマイクロホン(7)とを含んで構成されており、
ICレコーダー(5)から送給されるオーディオ信号と、マイクロホン(7)から送給される音声信号との一方ないし双方をスピーカー(12)に送給できる請求項1から3のいずれかに記載のポータブルオーディオシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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