説明

ポーリング信号の競合制御方法および競合制御プログラム

【課題】送信する信号と受信するポーリング信号との競合を回避することにより、ポーリング信号によるセッションの確立状態の検出を安定して行うことを可能とする。
【解決手段】通信ノード(発信側通信ノード1、着信側通信ノード2)間で確立される信号通信路を通じて対向する通信ノードに送信するポーリング信号により前記信号通信路の確立状態を検出する通信ノードにおけるセッション制御プロトコルにおいて、ポーリング信号を送信する発信側通信ノード1は、一定のポーリング間隔でポーリング信号を信号通信路を通じて送信する。ポーリング信号を受信する着信側通信ノード2は、ポーリング間隔に基づいてポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻の近傍で信号通信路を通じての信号送信を抑止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ノード間の信号セッション上で定期的にポーリングを行う通信ノード間におけるポーリング信号の競合制御方法および競合制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して接続されるコンピュータやネットワーク機器では、通信相手から長時間通信がないときに、その状態、すなわち送信するデータ等がないから通信がないのか、あるいはダウンしているのかを検出する術がない。仮想的に通信路(セッション)を確立してデータの送受信を行うコネクション型通信の場合、通信終了の合図がないまま通信相手が異常終了をしてしまうと永久にセッションを閉じることができなくなってしまう。
【0003】
このため、多くのアプリケーションでは、相手装置に対して一定時間毎にポーリング信号を送信し、このポーリング信号を受信した相手側装置は、「生きている(alive)」ことを相手装置に伝えるための応答信号を送信するように設計されている。これを「キープアライブ」という。
【0004】
ところで、同一装置内において、操作者が行う操作と、あらかじめ設定されたポーリングとの競合が発生した場合、操作者の操作の優先度を上げ、その間、保留されたポーリングを、操作者の操作が終了次第実行することで、ポーリングの確実性を向上する仕組みが提案されている(例えば、特許文献1(段落0009〜段落0010、図1)参照)。
【特許文献1】特開平7−162426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるような、ノード間におけるセッション上の任意のタイミングで信号の送受信が可能なネットワークシステムにおいて、あらかじめ設定したポーリングを行う場合、ポーリング信号と、当該ポーリング信号を受信するノードによって送信されるその他の信号とが、ネットワーク上、もしくはその受信ノード内ですれ違うことにより、競合が発生することがある。この場合、ポーリング信号に対する適切な応答を送信することができず、図4にその動作シーケンス図が示されるように、結果としてポーリングが失敗する場合がある。
【0006】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、ポーリング信号を受信する着信側通信ノードにおいて、送信する信号と受信するポーリング信号との競合を回避することにより、ポーリング信号によるセッションの確立状態の検出を安定して行うことを可能とするポーリング信号の競合制御方法および競合制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために本発明は、通信ノード間で確立される信号通信路を通じて対向する通信ノードに送信するポーリング信号により前記信号通信路の確立状態を検出する通信ノードにおけるポーリング信号の競合制御方法であって、前記ポーリング信号を送信する第1の通信ノードが、一定のポーリング間隔でポーリング信号を前記信号通信路を通じて送信する第1の送信ステップと、前記ポーリング信号を受信する第2の通信ノードが、前記ポーリング間隔に基づいて前記ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻の近傍で前記信号通信路を通じての信号送信を抑止する抑止ステップと、を有することを特徴とする競合制御方法である。
【0008】
本発明は、上記に記載の発明において、前記第1の送信ステップは、前記ポーリング信号を送信する第1の通信ノードが、前記第2の通信ノードから送信される前記ポーリング間隔の情報を含んだ信号を受信し、受信した信号に含まれる前記ポーリング間隔に基づいてポーリング信号を前記信号通信路を通じて送信し、前記抑止ステップは、前記ポーリング信号を受信する第2の通信ノードが、前記ポーリング間隔及び前記ポーリング間隔の情報を含む信号を前記第1の通信ノードに送信する時点とに基づいて前記ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻から前記信号通信路を通じての信号送信を抑止することを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記に記載の発明において、前記抑止ステップは、前記ポーリング信号を受信する第2の通信ノードが、前記ポーリング間隔及び自らが送信する信号と前記第1の通信ノードから送信される前記ポーリング信号との競合を検出した時点とに基づいて前記ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻から前記信号通信路を通じての信号送信を抑止することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記に記載の発明において、前記第2の通信ノードが、前記信号通信路を通じての信号送信の抑止を一定時間後に解除する解除ステップと、抑止される信号を保持し、抑止が解除されたときに前記第1の通信ノードに前記抑止される信号を送信する第2の送信ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記に記載の発明において、通信ノード間で確立される信号通信路を通じて対向する通信ノードに送信するポーリング信号により前記信号通信路の確立状態を検出する第2の通信ノードのコンピュータに、前記ポーリング信号の第1の通信ノードにより前記ポーリング信号が送信される一定のポーリング間隔に基づいて前記ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻の近傍で前記信号通信路を通じての信号送信を抑止する手順、を実行させる競合制御プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信ノード間で確立される信号通信路を通じて対向する通信ノードに送信するポーリング信号により信号通信路の確立状態を検出する通信ノードにおけるポーリング信号の競合制御方法は、ポーリング信号を送信する第1の通信ノードが、一定のポーリング間隔でポーリング信号を信号通信路を通じて送信するステップと、ポーリング信号を受信する第2の通信ノードが、ポーリング間隔に基づいてポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻の近傍で前記信号通信路を通じての信号送信を抑止するステップとを有する構成とした。これにより、ポーリング信号を受信することが推定される時刻の近傍で第2の通信ノードによる信号送信が抑止され、第1の通信ノードから送信されるポーリング信号との競合を回避することが可能となる。その結果、第2の通信ノードは、確実に第1の通信ノードから受信するポーリング信号に対する応答を送信することができ、信号通信路の確立状態の検出を安定して行うことができる。
【0013】
また、この発明によれば、ポーリング信号を送信する第1の通信ノードが、第2の通信ノードから送信されるポーリング間隔の情報を含んだ信号を受信し、受信した信号に含まれるポーリング間隔に基づいてポーリング信号を前記信号通信路を通じて送信し、第2の通信ノードが、ポーリング間隔及びポーリング間隔の情報を含む信号を第1の通信ノードに送信する時点とに基づいてポーリング信号を受信する時刻を算出し、算出された時刻から前記信号通信路を通じての信号送信を抑止する構成とした。これにより、ポーリング信号を受信することが推定される時刻をポーリング間隔とポーリング間隔の情報を含む信号を送信した時点とに基づいて算出でき、算出したポーリング信号を受信することが推定される時刻から着信側通信ノードが信号送信を抑止することが可能となる。
【0014】
また、この発明によれば、第2の通信ノードが、ポーリング間隔及び自らが送信する信号と第1の通信ノードから送信される前記ポーリング信号との競合を検出した時点とに基づいてポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻から前記信号通信路を通じての信号送信を抑止する構成とした。これにより、ポーリング信号を受信することが推定される時刻をポーリング間隔とポーリング間隔の情報を含む信号を送信した時点とに基づいて算出でき、算出されたポーリング信号を受信することが推定される時刻から第2の通信ノードが信号送信を抑止することが可能となる。
【0015】
また、この発明によれば、第2の通信ノードが、信号通信路を通じての信号送信の抑止を一定時間後に解除するステップと、抑止される信号を保持し、抑止が解除されたときに前記第1の通信ノードに前記抑止される信号を送信するステップと、を有する構成とした。これにより、第2の通信ノードで送信が抑止された信号を保持し、ポーリング信号の処理が終了した後にその抑止された信号を第1の通信ノードに送信することで、再度の送信要求を受けることなく、必要な信号を送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明実施形態に係るポーリング信号の競合制御方法を実行する通信ノード(ネットワーク装置)の内部構成を示すブロック図である。
こでは、各ネットワーク装置は、上位アプリケーション部11と、セッション制御プロトコル部12で構成される。上位アプリケーション部11は、セッション制御プロトコル部12に対してパケットの送受信要求を発行し、セッション制御プロトコル部12は、キープアライブを実現すると共に、SIP(Session Initiation Protocol)等のプロトコルに従いパケットの送受信を行う。
【0017】
セッション制御プロトコル部12は、時刻管理部121と、抑止判定部122と、ポーリング実施部123で構成される。
時刻管理部121は、時刻を計時することでポーリングの間隔を監視し、所定の時刻になったときにポーリング実施部123に対してポーリング信号の送信指示を行う。また、抑止判定部122は、予め設定される条件に一致する場合に、ポーリング実施部123に、ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻になった時点で、ポーリング実施部123に抑止を開始させる。
【0018】
ポーリング実施部123は、ポーリングを行う通信ノードの選択、時刻管理部121からの指示によるポーリング信号の送信及びポーリング信号を受信した際の応答信号の送信を行う。また、上位アプリケーション11から要求される信号の送信を行い、抑止判定部122からの抑止の指示を受けた場合は、上位アプリケーション11からの特定の信号送信要求の抑止を行う。
【0019】
図2は、本発明実施形態の処理手順を説明するために引用した通信シーケンス図である。
図2において、符号1、2は、ともに通信ノードであり、便宜上、符号1を発信側通信ノード1、符号2を着信側通信ノード2とし、いずれも図1で説明した上位アプリケーション部と、セッション制御プロトコル部とを備えており、発信側通信ノード1は、上位アプリケーション部11及びセッション制御プロトコル部12とを具備しており、着信側通信ノード2は、上位アプリケーション部21及びセッション制御プロトコル部22とを具備している。なお、図1にて説明したセッション制御プロトコル部に含まれる時刻管理部、抑止判定部、ポーリング実施部は、セッション制御プロトコル部22においては、発信側と着信側で区別するため、時刻管理部221、抑止判定部222、ポーリング実施部223という符号を付与して以下の説明を行う。
また、図2では、抑止判定部222に予め設定される条件は、後述する「ポーリング間隔」の情報と「どちらがポーリングを行うか」を示す情報とを含む応答信号を送信した時点であるとする。
【0020】
まず、発信側通信ノード1の上位アプリケーション部11から要求信号要求を受信したセッション制御プロトコル部12は(ステップS21)、要求信号を対向ノードである着信側通信ノード2に送信する(ステップS22)。要求信号は、着信側通信ノード2のセッション制御プロトコル部22で受信され、要求信号通知として上位アプリケーション部21に通知される(ステップS23)。
上位アプリケーション部21は、応答信号要求をセッション制御プロトコル部22に送信し(ステップS24)、これを受信したセッション制御プロトコル部22は、応答信号を対向ノードである発信側通信ノード1に送信する(ステップS25)。
【0021】
着信側通信ノード2は、応答信号を送信することでセッション確立状態となる。応答信号には、「ポーリング間隔」の情報と、「どちらの通信ノードがポーリングを行うか」を示す情報が記述されている。ここでは、発信側通信ノード1がポーリングを行う情報が設定されているものとして説明する。
応答信号を受信した発信側通信ノード1のセッション制御プロトコル部12は、応答信号通知を上位アプリケーション部11に通知する(ステップS26)。同時にセッション制御プロトコル部12は時刻管理部121で、応答信号を受信した時点、あるいは前回ポーリング信号を送信した時点からの経過時間を計測しており、経過時間がポーリング間隔に一致した時点でポーリング実施部123にポーリング信号(図2に示されるポーリング要求信号)を生成させ、生成されたポーリング信号を対向ノードである着信側通信ノード2に送信させる(ステップS27)。
【0022】
一方、着信側通信ノード2のセッション制御プロトコル部22の抑止判定部222は、応答信号を送信したタイミングと、応答信号に含まれるポーリング間隔とに基づいてポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、当該算出された時刻になった時点で、上位アプリケーション部21からのあらかじめ定められている信号を対向ノードである発信側通信ノード1に送信させないように抑止を開始させる指示をポーリング実施部223に送信する。
【0023】
ここで、前記推定される時刻とは、着信側通信ノードが応答信号を送信するタイミングと、発信側通信ノード1が応答信号を受信するタイミングには通信遅延による時間差が存在し、また、発信側通信ノード1がポーリング信号を送信して着信側通信ノード2が受信する際にも通信遅延による時間差が存在するため、応答信号送出時点にポーリング間隔を加え、さらにこれらの時間差を含めて算出される時刻である。
【0024】
着信側通信ノード2は、抑止が有効となっている間に、上位アプリケーション部21からのあらかじめ定められている信号に対応する要求信号要求を受信した際(ステップS28)、セッション制御プロトコル部22のポーリング実施部223は、該当する要求信号を対向ノードである発信側通信ノード1に送信せず、内部の記憶領域等に保持する(図2中の斜線部分「ブロックの開始」)。
【0025】
その後、ポーリング信号を受信した着信側通信ノード2のセッション制御プロトコル部22は、ポーリング実施部223でそのポーリング信号を処理し、ポーリング信号に対応する応答信号(図2に示されるポーリング応答信号)を対向ノードである発信側通信ノード1に送信した後に、抑止を解除にする(ステップS29)。そして、セッション制御プロトコル部22は、抑止が解除された後、送信が抑止されていた要求信号要求の存在を検出し、存在すれば、該当する要求信号を発信側通信ノード1のセッション制御プロトコル部12に送信する(ステップS30)。一方、存在しない場合には、そのまま終了する。送信される要求信号は、セッション制御プロトコル部12によって受信され、セッション制御プロトコル部12から上位アプリケーシン部11に通知される(ステップS31)。
【0026】
なお、上記の処理では、抑止判定部222に予め設定される条件として、後述する「ポーリング間隔」の情報と「どちらがポーリングを行うか」を示す情報とを含む応答信号を送信した時点であるとしたが、当該条件以外に、例えば、競合が発生した際に対向する通信ノードに送信するエラー応答の信号の送信した時点を条件としてもよい。また、ポーリング応答信号を送信した後に抑止を解除するのではなく、一定時間経過後に解除にするようにしてもよい。
【0027】
図3は、セッション制御プロトコルとしてSIPを用いた場合のセッション制御プロトコルの具体的な通信シーケンスを示す図である。
図3において、まず、発信側通信ノード1の上位アプリケーション部11からINVITE送信要求(S21:要求信号要求)を受信したセッション制御プロトコル部12は、INVITE送信要求(S22:要求信号)を対向ノードである着信側通信ノード2に送信する。INVITEは、着信側通信ノード2のセッション制御プロトコル部22で受信したINVITE受信通知(S23:要求信号通知)として上位アプリケーション部21に通知される(ステップS301)。
【0028】
上位アプリケーション部21では、INVITEに対する200応答送信要求(S24:応答信号要求)をセッション制御プロトコル部22に送信し、これを受信したセッション制御プロトコル部22は、INVITEに対する200応答(S25:応答信号)を対向ノードである発信側通信ノード1に送信する(ステッブS302)。
上記したように、INVITEに対する200応答を送信することで、着信側通信ノード2はセッション確立状態となる。INVITEに対する200応答のSession−Expiresヘッダ内には、「ポーリング間隔」の情報、「どちらの通信ノードがポーリングを行うか」を示す情報が記述されている。ここでは、ポーリングは発信側通信ノードが行うと記述されているものとする。
【0029】
INVITEに対し200応答を受信した発信側通信ノード1のセッション制御プロトコル部12は、INVITEに対する200応答受信通知(S26:応答信号通知)を上位アプリケーション部11に通知する。
そして、ポーリングの間隔に一致した時点で、発信側通信ノード1のセッション制御プロトコル部12は、セッションリフレッシュのre−INVITEまたはUPDATE(S27:ポーリング要求信号)を対向ノードである着信側通信ノード2に送信する(ステップS303)。
【0030】
また、着信側通信ノード2のセッション制御プロトコル部22では、ポーリングの間隔に一致した時点で、一定時間、上位アプリケーション部21からのre−INVITEおよびUPDATE(あらかじめ定められている信号)を対向ノードである発信側通信ノード1に送信しないように、抑止を開始にする。
なお、SIPは、特定の応答を返却することでポーリング信号のすれ違いを認識する機能を持っているため、そのエラー応答の受信を契機に抑止を開始し、その間にポーリング信号の再送を発信側通信ノード1にさせるようにしてもよい。
【0031】
着信側通信ノード2では、抑止が有効である間、上位アプリケーション部21からre−INVITEおよびUPDATE送信要求(S28:要求信号要求)を受信した際には、そのre−INVITEおよびUPDATE送信要求を対向ノードである発信側通信ノード1に送信することなく、内部で保持する。
セッションリフレッシュのre−INVITEまたはUPDATEを受信した着信側通信ノード2のセッション制御プロトコル部22は、セッションリフレッシュのre−INVITEまたはUPDATEに対する200応答(S29:ポーリング応答信号)を対向ノードである発信側通信ノード1に送信し、抑止を解除する(ステップS304)。
【0032】
着信側通信ノード2で抑止が解除された後、上位アプリケーション部21から受信したre−INVITEおよびUPDATE送信要求の存在を検出し、存在すれば、re−INVITEおよびUPDATEを送信する(ステップS305)。
【0033】
なお、別紙特許請求の範囲に記載の第1の通信ノードは、上記の実施形態における要求信号を送信する発信側通信ノードに対応し、第2の通信ノードは、要求信号を受信する着信側通信ノードに対応するように記載した。しかし、本実施形態において通信ノードがポーリング信号の送信側になるか否かは、図2のステップS25の応答信号中の「どちらがポーリング」を行うかを示す情報に基づいて定められ、着信側通信ノードがポーリング信号を発信する場合もあり、このとき、着信側通信ノードが第1の通信ノードとなり、発信側通信ノードが第2の通信ノードとなる。
【0034】
以上説明のように本発明は、対向する通信ノードに送信するポーリング信号によりセッションの確立状態を検出するセッション制御プロトコルにおいて、発信側通信ノード1から送信されるポーリング信号を受信する着信側通信ノード2が、ポーリング信号を受信することが推定される時刻の近傍で信号の送信を抑止することにより競合を回避するものであり、このことにより、着信側通信ノード2は、確実に発信側通信ノード1から受信するポーリング信号に対する応答を送信することができ、セッションの確立状態の検出、すなわちキープアライブを安定して行うことができる。
また、着信側通信ノード2で送信が抑止された信号を保持し、ポーリング信号の処理が終了した後にその抑止された信号を発信側通信ノード1に送信することで、再度の送信要求を受信することなく、必要な信号を送信することができる。
【0035】
なお、図1に示す上位アプリケーション部、およびセッション制御プロトコル部を構成する時刻管理部、抑止判定部、ポーリング実施部のそれぞれで実行される手順をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって本発明を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺機器等のハードウェアを含む。
【0036】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0037】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明実施形態に係るポーリング信号の競合制御方法を実行する通信ノードの内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明実施形態に係るコンピュータプログラムの処理手順を説明するために引用した通信シーケンス図である。
【図3】SIPを用いて本発明を実現する場合の具体的な通信シーケンスを示す図である。
【図4】従来の通信シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1…発信側通信ノード、2…着信側通信ノード、11、21…上位アプリケーション部、12、22…セッション制御プロトコル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ノード間で確立される信号通信路を通じて対向する通信ノードに送信するポーリング信号により前記信号通信路の確立状態を検出する通信ノードにおけるポーリング信号の競合制御方法であって、
前記ポーリング信号を送信する第1の通信ノードが、一定のポーリング間隔でポーリング信号を前記信号通信路を通じて送信する第1の送信ステップと、
前記ポーリング信号を受信する第2の通信ノードが、前記ポーリング間隔に基づいて前記ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻の近傍で前記信号通信路を通じての信号送信を抑止する抑止ステップと、
を有することを特徴とする競合制御方法。
【請求項2】
前記第1の送信ステップは、
前記ポーリング信号を送信する第1の通信ノードが、前記第2の通信ノードから送信される前記ポーリング間隔の情報を含んだ信号を受信し、受信した信号に含まれる前記ポーリング間隔に基づいてポーリング信号を前記信号通信路を通じて送信し、
前記抑止ステップは、
前記ポーリング信号を受信する第2の通信ノードが、前記ポーリング間隔及び前記ポーリング間隔の情報を含む信号を前記第1の通信ノードに送信する時点とに基づいて前記ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻から前記信号通信路を通じての信号送信を抑止することを特徴とする請求項1に記載の競合制御方法。
【請求項3】
前記抑止ステップは、
前記ポーリング信号を受信する第2の通信ノードが、前記ポーリング間隔及び自らが送信する信号と前記第1の通信ノードから送信される前記ポーリング信号との競合を検出した時点とに基づいて前記ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻から前記信号通信路を通じての信号送信を抑止することを特徴とする請求項1または2に記載の競合制御方法。
【請求項4】
前記第2の通信ノードが、
前記信号通信路を通じての信号送信の抑止を一定時間後に解除する解除ステップと、
抑止される信号を保持し、抑止が解除されたときに前記第1の通信ノードに前記抑止される信号を送信する第2の送信ステップと、
を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の競合制御方法。
【請求項5】
通信ノード間で確立される信号通信路を通じて対向する通信ノードに送信するポーリング信号により前記信号通信路の確立状態を検出する第2の通信ノードのコンピュータに、
前記ポーリング信号の第1の通信ノードにより前記ポーリング信号が送信される一定のポーリング間隔に基づいて前記ポーリング信号を受信することが推定される時刻を算出し、算出した時刻の近傍で前記信号通信路を通じての信号送信を抑止する手順、
を実行させる競合制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−37014(P2007−37014A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221113(P2005−221113)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504126835)エヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社 (60)
【Fターム(参考)】