説明

マイクロアレイ装置及びマイクロアレイ解析方法

【課題】マイクロアレイ基板の所定位置からスポットが位置ズレした場合でも、スポットの位置を特定して測定出来るマイクロアレイ装置を提供する。
【解決手段】複数のスポットを有するマイクロアレイ基板を撮像しデジタル画像データを出力する撮像部14とスポットに関する情報を記憶したスポット情報記憶部16とデジタル画像データからスポット毎の輝度分布曲線を算出しスポットの位置を解析するスポット位置解析部15とスポット位置解析部15が出力するスポット毎の輝度分布曲線のピークとなる座標とスポット情報記憶部から読み出したスポットに関する情報からスポット位置を特定するスポット位置特定部17とスポット位置特定部17が出力するスポット位置において測定を行う測定部18を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル検体をアレイ状に定着した複数のスポットを有するマイクロアレイ基板を測定するマイクロアレイ装置に関し、より詳細には、発光反応を利用するマイクロアレイの発光状態から試料中の生体分子の定性、定量を測定する際にスポット単位の位置を正確に検出し、スポットの測定誤りを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロアレイ基板は、生体分子の解析に利用され、生体分子として、主に遺伝子が広く利用されている。以下、遺伝子で例示するとマイクロアレイにより試料としての個々の細胞、組織あるいは個体での遺伝子の発現を網羅的に解析可能となっている。従来のマイクロアレイの製造方法として、1×3インチ大のガラス基板上にナノリットル単位の遺伝子溶液の液滴を点着させることによりマイクロメートル単位の微小なスポットを形成して、ガラス基板上に遺伝子断片を固定化する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように製造されたマイクロアレイは、マイクロアレイ上の遺伝子を蛍光色素により標識した後、励起光により蛍光色素を励起し発生した蛍光をスキャナーやCCD(Charge Coupled Device)カメラで撮像することで画像を生成し、画像解析を行うマイクロアレイの測定装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このような従来のマイクロアレイ装置では、マイクロアレイ上に形成されたスポット単位に測定を行うために、マイクロアレイ解析パラメータとして記憶している情報(行、列方向のスポット数、スポット半径、位置情報など)からスポット領域のテンプレート情報を生成し、撮像した画像上のスポット位置がテンプレート上のスポット位置に適合するように画像処理でスポット領域の位置補正を行い、テンプレート上のスポットの測定を行う方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特表平10−503841号公報
【特許文献2】特開2002−181708号公報
【特許文献3】特開2005−172840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、マイクロアレイ基板に遺伝子溶液の液滴を点着させるスポッタのばらつき等が原因で、マイクロアレイ基板上の一部のスポットのみ位置ズレした場合、テンプレート上のスポット位置から外れるため、位置ズレしたスポットの測定が出来ないという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、本来スポットされるべき所定位置からスポットが位置ズレした場合でもスポットの位置を特定し、測定することが出来るマイクロアレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のマイクロアレイ装置は、基板上にサンプル検体を定着した複数のスポットを有するマイクロアレイ基板を測定するマイクロアレイ装置において、前記マイクロアレイ基板を撮像して受光素子の各画素にて受光した輝度をデジタルで表したデジタル画像データを出力する撮像部と、前記スポットに関する情報を記憶したスポット情報記憶部と、前記デジタル画像データから前記スポット毎の輝度分布曲線を算出し前記スポットの位置を解析するスポット位置解析部と、前記スポット位置解析部が出力する前記スポット毎の輝度分布曲線のピークとなる座標と前記スポット情報記憶部から読み出した前記スポットに関する情報からスポット位置を特定するスポット位置特定部と、前記スポット位置特定部が出力するスポット位置において測定を行う測定部を含むことを特徴とするものである。
【0008】
さらにマイクロアレイ装置において、前記スポット位置解析部は、前記デジタル画像データからノイズ成分を除去するノイズ除去部と、前記ノイズ除去部で出力するノイズ除去画像データにおいて、スポットの所定位置から一定範囲をスポット検索領域として抽出する所定範囲抽出部と、前記所定範囲抽出部で出力するスポット検索領域において、X軸方向及びY軸方向の輝度分布曲線を算出し、輝度分布曲線のピーク座標を検出する輝度分布解析部を含み、前記撮像部で出力する前記デジタル画像データから前記スポット毎に前記スポット検索領域を抽出し、輝度分布曲線をX軸方向及びY軸方向それぞれについて算出することを特徴とするものである。
【0009】
さらにマイクロアレイ装置において、前記スポット位置特定部は、前記スポット位置解析部で出力する輝度分布曲線のピークとなる座標から前記スポットの配置状況を解析し測定可能なスポットかどうかを判定するスポット位置判定部と、前記スポット位置判定部で出力する前記スポット配置情報と前記スポット情報記憶部から読み出した前記スポットに関する情報から前記スポット位置を算出するスポット位置算出部を含み、前記スポット検索領域毎の輝度分布曲線のピークとなる座標から前記スポットの位置関係を判定し、その結果に応じてスポットの位置を算出することを特徴とするものである。
【0010】
さらにマイクロアレイ装置において、前記スポット位置判定部は、前記スポット位置解析部で出力する輝度分布曲線のピークとなる座標を前記スポットの中心点の座標と規定し、前記スポットの中心点と隣接するスポットの中心点との距離により、スポットが測定可能な位置にあるかどうかを判定することを特徴とするものである。
【0011】
さらにマイクロアレイ装置において、前記スポット位置算出部は、前記スポット位置判定部で出力する前記スポット配置情報において、スポットが測定可能な位置にある場合のみ、前記スポット位置を算出することを特徴とするものである。
【0012】
さらに本発明のマイクロアレイ解析方法において、基板上にサンプル検体を定着した複数のスポットを有するマイクロアレイ基板を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップで得たデジタル画像データから前記スポット毎の輝度分布曲線を算出しピークとなる座標を検出するスポット位置解析ステップと、前記スポット位置解析ステップで得た前記スポット毎の輝度分布曲線のピークとなる座標から前記スポットの位置関係を判定するスポット位置判定ステップと、前記スポット位置判定ステップで判定されたスポットの輝度を測定する測定ステップを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマイクロアレイ装置によれば、本来スポットされるべき所定位置からスポットが位置ズレした場合でも、スポットの位置を特定し、測定することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明のマイクロアレイ装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるマイクロアレイ装置のブロック図を示す。図1においてマイクロアレイ装置は、サンプル検体を定着した複数のスポットを有するマイクロアレイ基板11を設置して移動可能なステージ12と、ステージ12の移動方向と移動量を制御するステージ制御部13と、マイクロアレイ基板11の画像を撮像しデジタル画像データを出力する撮像部14と、マイクロアレイ基板上のスポットに関する情報(スポットの配列位置、スポット径など)を記憶したスポット情報記憶部16と、デジタル画像データからスポット毎の輝度分布曲線を算出しスポット位置を解析するスポット位置解析部15と、スポット位置解析部15が出力するスポット位置の解析結果とスポット情報記憶部16から読み出したスポットに関する情報からスポット位置を特定するスポット位置特定部17と、スポット位置特定部17が出力するスポット位置において測定を行う測定部18で構成される。以下、本発明の実施の形態において図1に示したマイクロアレイ装置の構成要素毎に詳細を説明する。
【0016】
まず、ステージ12は、マイクロアレイ基板11を設置可能な形状となっており、マイクロアレイ基板11上のスポット領域を撮像部14の撮影視野へ移動させる制御信号をステージ制御部13により出力する。
【0017】
撮像部14は、マイクロアレイ基板11上の複数のスポットから発生する蛍光または発光を撮像し、デジタル画像データを出力する。撮像は露光によって行われ、露光時間は蛍光または発光が十分観察できる時間に制御される。ここで撮像部14は、各受光素子(画素)が受光した光の強度を積分し、その値を輝度値として全受光素子のデータを出力する。この時、全受光素子が出力する輝度値はアナログデジタル変換により離散デジタルデータに変換(量子化)される。即ち、アナログデジタル変換のサンプリング時間(ΔT)毎に撮像部14の全受光素子の輝度値がデジタル画像データとして出力される。本発明においては、撮像部14は上記の如く動作するモノクロCCD(Charge Coupled Device)カメラなどが用いられる。
【0018】
撮像に供するマイクロアレイ基板11として、本発明の実施の形態で例示可能な構成を図2に示す。図2において、マイクロアレイ基板11は、縦横比1:3の無色透明なガラス基板であり、サンプル検体をアレイ状に定着した複数のスポット22がスポット領域21に配置されている。スポット領域21は、図3に例示した様なスポット22の配列がスポッタ等によりなされる。図3(a)は図2のスポット領域21を拡大した図であり、本発明の実施の形態を説明するため、6行6列でスポット22が配置された場合を例にして以後の説明を行う。図3(a)において、各スポット22を取り囲む正方形の領域は、撮像部14で出力したデジタル画像データからスポット22単位で位置を検出するためのデータ検索範囲であり、スポット検索領域32と呼ぶこととする。スポット検索領域32は、スポット22が本来配置されるべき所定位置を含む正方形の領域であり、スポット22が所定位置にある場合はその中心点37がスポット検索領域32の中心点と一致するように、スポット検索領域32の左上隅の座標であるスポット検索領域基準座標35とスポット検索領域幅36により規定する。また、図3(b)は図3(a)において隣接する任意の4つのスポット検索領域32を拡大した図である。図3(b)において、スポット22は、中心点37からスポット22の半径33の範囲の領域として規定し、隣接するスポット間の距離はスポット22の中心点37間の距離34により規定する。なお、図2において実線で示しているスポット領域21の外枠、及び図3において実線で示しているスポット検索領域32の外枠は説明のために明示したものであり、実際のマイクロアレイ基板11上では可視化しなくてもよい。
【0019】
これらマイクロアレイ基板11上のスポット22に関連する情報は、スポット情報記憶部16に記憶しており、撮像部14で出力したデジタル画像データからスポット22の位置を検出するために、スポット位置解析部15及びスポット位置特定部17で利用される。本発明の実施の形態では、スポット情報記憶部16に含まれる情報は、スポット22の配列情報31(行方向及び列方向のスポット数)、スポット半径33、スポット間の距離34(スポット22の中心点37間の距離)、スポット検索領域基準座標35、スポット検索領域幅36である。
【0020】
図3(a)の場合で例示すると、スポット領域21に6行6列でスポット22が配置されている場合、スポット情報記憶部16のスポット配列情報31には、6行6列という情報を記憶する。また、図3のように、スポット検索領域32の間にスペースが無く、互いに接するように、スポット22及びスポット検索領域32を規定した場合は、スポット検索領域32毎にスポット検索領域基準座標35を指定する必要は無く、スポット領域21内で1つのスポット検索領域基準座標35(例えば、スポット領域21内の左上隅のスポット検索領域32の基準座標)を指定すればよい。本発明の実施の形態では、図3のように、スポット検索領域32間のスペースが無く、互いに接するようにスポット22及びスポット検索領域32を規定し、更にスポット検索領域幅36は、スポット半径33の4倍の長さであるものとして以下の説明を行う。なお、上記のようなスポット22及びスポット検索領域32の配置条件は本発明の実施の形態の説明するための1つの例であり、適宜変更可能である。
【0021】
撮像部14で撮像したマイクロアレイ基板11の蛍光あるいは発光のデジタル画像データはスポット位置解析部15に送られる。スポット位置解析部15は、前述のスポット情報記憶部16に記憶してある情報を元に、撮像部14で獲得したデジタル画像データからスポット22の位置を特定するための前処理として、スポット検索領域32毎に輝度分布曲線の算出を行い、輝度分布曲線のピークとなる座標を検出する。このスポット位置解析部15のデータ処理について図4から図17を用いて説明する。図4はスポット位置解析部15のブロック図であり、スポット位置解析部15はノイズ除去部41と所定範囲抽出部42と輝度分布解析部43で構成される。以下、ノイズ除去部41、所定範囲抽出部42、輝度分布解析部43の処理について詳細を説明する。
【0022】
まず、ノイズ除去部41の処理内容について図5を用いて説明する。マイクロアレイ基板11のスポット領域21を撮像部14で撮像し出力されるデジタル画像データ51には、図5(a)に示すように、不規則雑音52が含まれている。デジタル画像データ51に不規則雑音52が含まれている場合、後述する輝度分布解析部43の入力となるスポット検索領域32のデータに不規則雑音52が含まれ、輝度分布解析部43で算出される輝度分布曲線に、輝度値の変化が急峻な箇所が現れ、以降の処理に影響を及ぼす可能性があるため、ノイズ除去部41で予め不規則雑音52を除去しておく必要がある。本発明の実施の形態では、平滑化フィルタを適用することで、デジタル画像データ51から不規則雑音52を除去する。代表的な平滑化フィルタとしては、注目画素とその周辺8画素の平均値を注目画素の輝度値とする平均値フィルタや、領域内の輝度値の中央値を注目画素の輝度値とするメディアンフィルタがあるが、平均値フィルタはエッジ部分がぼけやすいため、メディアンフィルタを適用する方が望ましい。図5(a)のデジタル画像データ51に対して、ノイズ除去部41でメディアンフィルタを適用すると、図5(b)に示すような不規則雑音52が除去されたノイズ除去画像データ53が出力される。なお、ここでは2種類の平滑化フィルタを例示したが、その他の平滑化フィルタについても適用可能である。
【0023】
次に、ノイズ除去部41にて不規則雑音52を除去したノイズ除去画像データ53からスポット検索領域32を抽出する所定範囲抽出部42の処理内容について図6を用いて説明する。所定範囲抽出部42は、図5で示したノイズ除去画像データ53とスポット情報記憶部16に記憶しているスポット検索領域基準座標35、スポット検索領域幅36及びスポット配列情報31から、スポット22が配置されるべき所定位置から一定の範囲(スポット検索領域32)をスポット22毎に抽出する。例えば、図6のようにスポット領域21に複数のスポット22が配置されており、スポット領域21内のm行目n列目のスポット61を抽出すべき対象スポットとし、そのスポット61の検索領域62の基準座標63は、次の数1で算出可能である。
【0024】
【数1】

【0025】
ここで、(Xb、Yb)はスポット検索領域基準座標35であり、Wはスポット検索領域幅36とする。図6の場合、抽出対象スポット61は、m=2、n=3であるため、(Xb、Yb)=(10、20)、W=50とすると、基準座標63(X、Y)=({10+50X(3−1)}、{20+50X(2−1)})=(110、70)となる。
【0026】
このように、上記の処理で対象スポットの検索領域基準座標63が特定できるため、次にスポット検索領域基準座標63から(スポット検索領域幅36×スポット検索領域幅36)の範囲をスポット検索領域62と規定し、ノイズ除去画像データ53からスポット検索領域62の範囲のデータを抽出する。
【0027】
次に、輝度分布解析部43は、所定範囲抽出部42で抽出された全てのスポット検索領域32について、スポット検索領域32毎にX軸方向及びY軸方向の輝度分布曲線を算出し、輝度分布曲線においてピークとなる座標を検出する。輝度分布解析部43の処理について、図7から図17を用いて説明する。図7は、スポット検索領域32内に配置されているスポット22を示しており、輝度分布解析部43では、まずスポット検索領域32のX軸方向に引いた走査線(図7の太線矢印)上の輝度分布曲線を算出する。輝度分布解析部43では、図7においてY座標がY0、Y1、…、Y9、Y10となる11本の走査線上の輝度分布曲線を順次算出する。以下、スポット検索領域32内でのスポット22の配置パターンについて例を挙げ、輝度分布解析部43で算出するX軸方向の輝度分布曲線を示す。
【0028】
まず、図8(a)に示すように、スポット22の位置ズレが小さく、スポット22の中心点37がスポット検索領域32内にある場合の輝度分布曲線を図8(b)に示す。図8(b)は、X軸方向に引いた走査線上の輝度分布曲線であり、82はY座標がY6、83はY座標がY5及びY7、84はY座標がY4及びY8、85はY座標が上記以外の場合の走査線上の輝度分布曲線をそれぞれ示している。図8(b)の縦軸は輝度値、横軸はX軸座標を示し、左端の座標がX0、右端の座標がX10となる。
【0029】
このように、X軸方向の輝度分布曲線は、ノイズ除去部41で不規則雑音52が除去されているため、輝度値に急峻な変化が無く、輝度分布曲線は図8(b)に示すようにスポット22の中心点37でのみ、輝度分布曲線のピークが現れる。
【0030】
次に、図9(a)に示すように、スポット22の位置ズレが大きく、スポット22の中心点37がスポット検索領域32外にある場合の輝度分布曲線を図9(b)に示す。図9(b)は、X軸方向に引いた走査線上の輝度分布曲線であり、91はY座標がY6、92はY座標がY5及びY7、93はY座標がY4及びY8、94はY座標が上記以外の場合の走査線上の輝度分布曲線をそれぞれ示している。図9(b)の縦軸は輝度値、横軸はX軸座標を示し、左端の座標がX0、右端の座標がX10となる。図9(a)に示すように、スポット22の中心点37のX座標はスポット検索領域32のX座標(X0〜X10)外にあるため、図9(b)のX軸方向の輝度分布曲線には輝度分布曲線にピークが現れず、位置ズレしている方向(X0に近い)ほど輝度値が大きくなっている。
【0031】
次に、図8及び図9のようにスポット22単体が位置ズレした場合ではなく、スポット領域21において、スポット22がまとまって位置ズレした場合の輝度分布曲線について説明する。図10は、スポット領域21において、行101に属するスポット22全体が左側に位置ズレした場合のスポット検索領域32を示しており、位置ズレした行101のスポット検索領域32には、複数のスポット22が含まれている。図10の例では、行101のスポット22が全体的に左側に位置ズレしているため、行101の左端のスポット検索領域102には2つのスポット22、右端のスポット検索領域103には1つのスポットが含まれている。
【0032】
また、図11は、スポット領域21全体が左上側へ位置ズレした場合のスポット検索領域32を示している。スポット領域21全体が位置ズレすると、多くのスポット検索領域32に複数のスポット22が含まれる可能性がある。図11の例では、スポット領域21全体が左上側へ位置ズレしているため、スポット検索領域32内のスポット22の数は4つまたは2つまたは1つの場合があり、スポット領域21の4隅のスポット検索領域(111、112、113、114)では、スポット22の配置状況が大きく異なっていることが分かる。以下、図10のようにスポット領域21の行101全体が位置ズレした場合のスポット検索領域(102、103)及び図11のようにスポット領域21全体が位置ズレした場合のスポット検索領域(111、112、113、114)の輝度分布曲線を示す。
【0033】
図12(a)は、図10において位置ズレした行101の左端のスポット検索領域102を拡大した図である。図12(b)は、X軸方向に引いた走査線上の輝度分布曲線であり、121はY座標がY5、122はY座標がY4及びY6、123はY座標がY3及びY7、124はY座標が上記以外の場合の走査線上の輝度分布曲線をそれぞれ示している。図12(b)の縦軸は輝度値、横軸はX軸座標を示し、左端の座標がX0、右端の座標がX10となる。図12(a)に示すように、スポット検索領域102の両端にスポット22が配置されているため、X軸方向の輝度分布曲線には両端に2つの山が現れる。左側のスポット22は中心点37がスポット検索領域102外にあるため輝度分布曲線にピークが現れないが、右側のスポット22は中心点37がスポット検索領域102内に含まれるため、輝度分布曲線にはピークが現れる。
【0034】
次に、図13(a)は、図10において位置ズレした行101の右端のスポット検索領域103を拡大した図である。図13(b)は、X軸方向に引いた走査線上の輝度分布曲線であり、131はY座標がY5、132はY座標がY4及びY6、133はY座標がY3及びY7、134はY座標が上記以外の場合の走査線上の輝度分布曲線をそれぞれ示している。図13(b)の縦軸は輝度値、横軸はX軸座標を示し、左端の座標がX0、右端の座標がX10となる。図13は、行全体が位置ズレした場合のスポット検索領域103であるが、X軸方向の輝度分布曲線にも山は1つずつしか現れず、図9で示したスポット22単体の位置ズレの場合と同様な輝度分布曲線となる。
【0035】
次に、図14(a)は、図11においてスポット領域21全体が位置ズレした場合の左上隅のスポット検索領域111を拡大した図である。図14(b)は、X軸方向に引いた走査線上の輝度分布曲線であり、141はY座標がY9、142はY座標がY0及びY8及びY10、143はY座標がY1及びY7、144はY座標が上記以外の場合の走査線上の輝度分布曲線をそれぞれ示している。図14(b)の縦軸は輝度値、横軸はX軸座標を示し、左端の座標がX0、右端の座標がX10となる。図14(a)に示すように、スポット検索領域111の4隅にスポット22が配置されており、各スポット22はX軸方向及びY軸方向でそれぞれ重なっている。X軸方向の輝度分布曲線には2つの山が現れる。スポット検索領域111の右下のスポット22は中心点37が含まれるため、X軸方向の輝度分布曲線にはピークが現れる。
【0036】
次に、図15(a)は、図11においてスポット領域21全体が位置ズレした場合の右上隅のスポット検索領域112を拡大した図である。図15(b)は、X軸方向に引いた走査線上の輝度分布曲線であり、151はY座標がY9、152はY座標がY0及びY8及びY10、153はY座標がY1及びY7、154はY座標が上記以外の場合の走査線上の輝度分布曲線をそれぞれ示している。図15(b)の縦軸は輝度値、横軸はX軸座標を示し、左端の座標がX0、右端の座標がX10となる。図15(a)に示すように、スポット検索領域112の左上と左下にスポット22が配置されているため、X軸方向の輝度分布曲線では山が1つしか現れない。これは、スポット検索領域112内の2つのスポット22で、X軸方向の位置ズレがないためである。
【0037】
次に、図16(a)は、図11においてスポット領域21全体が位置ズレした場合の左下隅のスポット検索領域113を拡大した図である。図16(b)は、X軸方向に引いた走査線上の輝度分布曲線であり、161はY座標がY0、162はY座標がY1、163はY座標が上記以外の場合の走査線上の輝度分布曲線をそれぞれ示している。図16(b)の縦軸は輝度値、横軸はX軸座標を示し、左端の座標がX0、右端の座標がX10となる。図16(a)に示すように、スポット検索領域113の左上と右上にスポット22が配置されているため、X軸方向の輝度分布曲線にはそれぞれ2つの山が現れる。スポット検索領域113の左上のスポット22の中心点37のX座標はスポット検索領域113に含まれないため、輝度分布曲線にはピークが現れないが、右上のスポット22は中心点37のX座標がスポット検索領域113に含まれるため、輝度分布曲線にはピークが現れる。
【0038】
次に、図17(a)は、図11においてスポット領域21全体が位置ズレした場合の右下隅のスポット検索領域114を拡大した図である。図17(b)は、X軸方向に引いた走査線上の輝度分布曲線であり、171はY座標がY0、172はY座標がY1、173はY座標が上記以外の場合の走査線上の輝度分布曲線をそれぞれ示している。図17(b)の縦軸は輝度値、横軸はX軸座標を示し、左端の座標がX0、右端の座標がX10となる。図17は、スポット領域21全体が位置ズレした場合のスポット検索領域114であるが、図9で示したスポット22単体の位置ズレの場合と同様に、X軸方向の輝度分布曲線で山が1つとなる。
【0039】
なお、ここでは輝度分布曲線を算出する際のX軸方向の走査線の本数として11本の場合を例示したが、走査線の本数を増やすと算出した輝度分布曲線の精度が高くなり、スポット検索領域32全体の輝度分布を把握しやすくなるため、走査線の本数は多いほどよい。また、スポッタのばらつきが少なく、スポットの位置ズレ量が予め小さいと予測できる場合は、所定範囲抽出部42で抽出するスポット検索領域32の検索領域幅36を小さくすることで、輝度分布解析部43で処理するデータ量少なくなり処理速度を向上することが可能である。輝度分布解析部43では、上記のように処理することで、スポット検索領域32毎に、X軸方向の輝度分布曲線を算出することが可能となる。
【0040】
次に、輝度分布解析部43では、算出したX軸方向の輝度分布曲線を加算する。輝度分布曲線を算出する際の走査線は、必ずしもスポット22上を通るとは限らない。スポット22上を通らない走査線上の輝度分布曲線は、ピーク及び傾斜が現れないため、1つの走査線上の輝度分布曲線だけでは、輝度分布曲線がピークとなる座標が検出できない可能性がある。本発明の実施の形態において、輝度分布解析部43では、スポット検索領域32全体の輝度分布を把握できるように、走査線を選択しているため、輝度分布解析部43で算出する輝度分布曲線には、スポット22上を通る走査線上の輝度分布曲線が必ず複数含まれおり、この輝度分布曲線を加算することで輝度分布曲線のピークが強調された輝度分布曲線を抽出でき、輝度分布曲線のピークの座標検出が容易になる。
【0041】
次に、加算したX軸方向の輝度分布曲線において、ピークとなる座標を検出する。スポット22の位置ズレ具合によっては、スポット検索領域32において、輝度分布曲線のピークとなる座標が検出できないことがある。この場合は、スポット検索領域32において、輝度分布曲線の傾斜において、輝度値が最大となる座標を検出する。次に、X軸方向の輝度分布曲線のピークとなるX座標、若しくは傾斜において輝度値が最大値となるX座標について、Y軸方向の輝度分布曲線を算出する。Y軸方向の輝度分布曲線の算出については、X軸方向の輝度分布曲線のように複数の輝度分布曲線の算出は行わない。これは、X軸方向の輝度分布曲線において、既にピークとなる座標または傾斜において輝度値が最大値となる座標が分かっているためである。次に、Y軸方向の輝度分布曲線において、X軸方向の輝度分布曲線と同様にピークとなる座標を検出する。ここで、X軸方向またはY軸方向の輝度分布曲線において、ピークとなる座標が検出できなかった場合は、輝度分布曲線の傾斜からスポット22の位置ズレ方向を推定し、位置ズレ方向に隣接するスポット検索領域32について再度ピーク検出を実施する。
【0042】
以下、輝度分布解析部43での輝度分布曲線の加算及びピーク検出について図8から図26を用いて説明する。
【0043】
まず、図8(a)に示すように、スポット22の中心点37がスポット検索領域32内にある場合、X軸方向の輝度分布曲線は、図18(a)の82、83、84、85で示した曲線である。これらX軸方向の輝度分布曲線を加算すると輝度分布曲線181のようになる。図18(a)において、輝度分布曲線181のピークとなるX座標はX4となり、スポット22の中心点37のX座標はX4と判定される。次に、X軸方向の輝度分布曲線がピークとなるX座標におけるY軸方向の輝度分布曲線を算出する。図18(a)では、ピークとなるX座標がX4であるため、図8(a)において、X座標がX4上のY軸方向の輝度分布曲線を算出すると、図18(b)の182のようになる。輝度分布曲線182において、ピークとなるY座標はY6となる。ここで、図8(a)のように、スポット22の中心点37が走査線上にある場合は、輝度分布曲線のピークとなる座標がスポット22の中心点37の座標と一致するが、必ずしもスポット22の中心点37が走査線上にあるとは限らない。そのため、走査線の本数が少ない場合は、輝度分布解析部43で算出した輝度分布曲線において、極大となる点と周辺の点を利用して近似曲線を算出し、近似曲線のピーク座標を算出することで、輝度分布曲線のピーク座標を算出するとよい。
【0044】
次に、図9(a)に示すように、スポット22の中心点37がスポット検索領域32外にある場合、X軸方向の輝度分布曲線は、図19(a)の91、92、93、94で示した曲線であり、これらを加算すると輝度分布曲線191のようになる。加算したX軸方向の輝度分布曲線191は、図19(a)に示すように、輝度分布曲線のピークとなる座標が検出できない。このように、輝度分布曲線のピークとなる座標が検出できない場合、輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となる座標を検出し、スポット22の位置ズレ方向を判定する。図19(a)の場合、加算した輝度分布曲線191において、輝度値が最大となるX座標はX0となり、スポット22はX軸の減少方向へ位置ズレしていると判定できる。次に、X軸方向の輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となるX座標でのY軸方向の輝度分布曲線を算出する。図19(a)では、輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となるX座標がX0であるため、図9(a)において、X座標がX0上のY軸方向の輝度分布曲線を算出すると、図19(b)の192のようになる。輝度分布曲線192において、ピークとなるY座標はY6となる。このように、X軸方向またはY軸方向の輝度分布曲線において、ピークとなる座標が検出できなかった場合、スポット22の位置ズレ方向に隣接するスポット検索領域32について、ピーク座標の検出を行う。図19(a)のように、Y軸方向の輝度分布曲線におけるピークが検出でき、X軸方向の輝度分布曲線におけるピーク座標が検出できない場合は、X軸の減少方向に隣接するスポット検索領域32において、Y軸方向の輝度分布曲線におけるピークとなるY座標上の輝度分布曲線を算出し、ピーク座標の検出を行う。
【0045】
図9(a)の場合を例に挙げ、隣接するスポット検索領域32においての輝度分布曲線のピーク検出について、図20を用いて説明する。図9(a)とその左側(X軸の減少方向)のスポット検索領域32の状況を図20(a)に示す。図20(a)において、隣接スポット22の検索領域32のX座標は(X0’、X1’、…、X9’、X10’)で表している。検出対象スポット201と隣接スポット22のスポット検索領域32は互いに接しているため、X10’とX0は同一座標であり、図中ではX0と表示している。
【0046】
図9(a)の場合、Y軸方向の輝度分布曲線のピークとなるY座標はY6であるため、Y6上のX軸方向の輝度分布曲線を算出すると、図20(b)の203のようになる。この例では、検出対象スポット201と隣接スポット22は、同等の発光を行うものとする。
【0047】
次に、図20(b)の輝度分布曲線203において、隣接するスポット22の範囲(X0’からX10’)では、輝度分布のピークとなるX座標が2箇所(X5’、X9’)検出できるため、検出対象スポット201のX軸方向の輝度分布曲線におけるピーク座標は、検出対象スポット201の検索領域32に近いX9’と判定する。ここでは、スポット22の位置ズレによってスポット検索領域32の領域内にてX軸方向の輝度分布曲線についてピークが検出できない場合を例示したが、Y軸方向の輝度分布曲線についてもピークが検出できない場合は同様に処理することで、Y軸方向の輝度分布のピークを検出が可能となる。
【0048】
本発明の実施の形態のように、スポット検索領域32間のスペースが無く、互いに接するようにスポット検索領域32を規定した場合は、輝度分布曲線のピークとなる座標が検出できなくても、上記のように、隣接するスポット22の検索領域32まで輝度分布のピーク検索範囲を広げて、ピーク位置の検出を行うことが可能である。しかし、検出対象スポット201の位置ズレ量が大きく、検出対象スポット201の中心点202と隣接するスポット22の中心点37の距離が近くなると、互いの輝度分布が干渉し、輝度分布のピーク位置が分離できない可能性がある。このような場合は、後述するスポット位置特定部17において測定対象外のスポットと判断する。
【0049】
次に、図10のようにスポット領域21の行101全体が位置ズレした場合の輝度分布曲線(図12、図13)及び図11のようにスポット領域21全体が位置ズレした場合の輝度分布曲線(図14、図15、図16、図17)における輝度分布解析部43での輝度分布曲線の加算及びピーク検出について説明する。
【0050】
まず、図12(a)に示すように、位置ズレした行101の左端のスポット検索領域102の輝度分布解析部43の処理について、図21を用いて説明する。図12(a)の場合、X軸方向の輝度分布曲線は、図21(a)の121、122、123、124で示した曲線であり、これらを加算すると輝度分布曲線211のようになる。加算したX軸方向の輝度分布曲線211においては、ピークとなるX座標X9.5(X9とX10の中間点)は検出できるが、左側にも輝度分布の傾斜が見られる。このように、X軸方向の輝度分布曲線において、ピークの座標が1箇所と別の輝度分布の傾斜が検出された場合、スポット検索領域102には、X軸方向に位置ズレした位置に2つのスポット22があると判定できる。加算した輝度分布曲線211の左側にある輝度分布の傾斜において、輝度値が最大となるX座標はX0であり、スポット22がX軸の減少方向へ位置ズレしていると判定できる。
【0051】
次に、X軸方向の輝度分布曲線のピークとなるX座標、及び傾斜において輝度値が最大となるX座標でのY軸方向の輝度分布曲線を算出する。図21(a)では、輝度分布曲線のピークとなるX座標がX9.5、傾斜において輝度値が最大となるX座標がX0であるため、図12(a)において、X座標がX0上とX9.5上のY軸方向の輝度分布曲線を算出すると、どちらも図21(b)の212のようになる。輝度分布曲線212において、ピークとなるY座標はY5となる。ここで、X軸方向の輝度分布曲線211において左側の傾斜については、ピークとなる座標が検出できなかったため、X軸の減少方向に隣接するスポット検索領域32について、X軸方向の輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。図21(a)のように、Y軸方向の輝度分布曲線におけるピークが検出でき、X軸方向の輝度分布曲線におけるピーク座標が検出できない場合は、X軸の減少方向に隣接するスポット検索領域32において、Y軸方向の輝度分布曲線におけるピークとなるY座標上の輝度分布曲線を算出し、ピーク座標の検出を行う。
【0052】
次に、図13(a)に示すように、位置ズレした行101の右端のスポット検索領域103の輝度分布解析部43の処理について、図22を用いて説明する。図13(a)の場合、X軸方向の輝度分布曲線は、図22(a)の131、132、133、134で示した曲線であり、これらを加算すると輝度分布曲線221ようになる。加算したX軸方向の輝度分布曲線221は、図22(a)に示すように、輝度分布のピークとなる座標が検出できない。このように、X軸方向の輝度分布曲線において、左側に輝度分布の傾斜が検出された場合、スポット検索領域103には1つのスポット22が配置されていると判定できる。また、X軸方向の輝度分布曲線において、輝度値が最大となるX座標がX0であり、スポット22がX軸の減少方向へ位置ズレしていると判定できる。次に、X軸方向の輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となるX座標でのY軸方向の輝度分布曲線を算出する。図22(a)では、輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となるX座標がX0であるため、図13(a)において、X座標がX0上のY軸方向の輝度分布曲線を算出すると、図22(b)の222のようになる。輝度分布曲線222において、ピークとなるY座標はY5となる。ここで、X軸方向の輝度分布曲線において、ピークとなる座標が検出できなかったため、X軸の減少方向に隣接するスポット検索領域32について、X軸方向の輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。図22(a)のように、Y軸方向の輝度分布曲線におけるピークが検出でき、X軸方向の輝度分布曲線におけるピーク座標が検出できない場合は、X軸の減少方向に隣接するスポット検索領域32において、Y軸方向の輝度分布曲線におけるピークとなるY座標上の輝度分布曲線を算出し、ピーク座標の検出を行う。
【0053】
次に、図14(a)に示すように、スポット領域21全体が位置ズレした場合の左上隅のスポット検索領域111の輝度分布解析部43での輝度分布曲線の加算及びピーク検出について、図23を用いて説明する。図14(a)の場合、輝度分布算出部15で出力されるX軸方向輝度分布曲線は、図23(a)の141、142、143、144で示した曲線であり、これらを加算すると輝度分布曲線231のようになる。加算したX軸方向の輝度分布曲線231において、ピークとなるX座標X9.5(X9とX10の中間点)は検出できるが、左側にも輝度分布の傾斜が見られる。このように、X軸方向の輝度分布曲線において、ピークの座標が1箇所と別の輝度分布の傾斜が検出された場合、スポット検索領域111には、X軸方向に位置ズレした位置に2つのスポット22があると判定できる。加算した輝度分布曲線231で検出した輝度分布の傾斜において、輝度値が最大となる座標はX0であり、スポット22がX軸の減少方向へ位置ズレしていると判定できる。
【0054】
次に、X軸方向の輝度分布曲線のピークとなるX座標、及び傾斜において輝度値が最大となるX座標でのY軸方向の輝度分布曲線を算出する。図23(a)では、輝度分布曲線のピークとなるX座標がX9.5、傾斜において輝度値が最大となるX座標がX0であるため、図14(a)において、X座標がX0上とX9.5上のY軸方向の輝度分布曲線を算出すると、どちらも図23(b)の232のようになる。輝度分布曲線232において、ピークとなるY座標Y9は検出できるが、左側にも輝度分布の傾斜が見られる。このように、Y軸方向の輝度分布曲線においては、ピークの座標が1箇所と別の輝度分布の傾斜が検出された場合、スポット検索領域111には、Y軸方向位置ズレした位置にそれぞれ2つのスポット22があると判定できる。輝度分布曲線232で検出した輝度分布曲線の傾斜において、輝度値が最大となる座標はY0であり、スポット22がY軸の減少方向へ位置ズレしていると判定できる。図23のように、X軸方向及びY軸方向の輝度分布曲線において、それぞれ2つのピーク及び傾斜が検出された場合、スポット検索領域111の4隅には1つずつスポット22があると判定できる。左上隅のスポット22はX軸及びY軸の減少方向に位置ズレしていると判定できるため、左斜め上方向に隣接するスポット検索領域32について輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。右上隅および左下隅のスポット22についても同様に隣接するスポット検索領域32について輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。
【0055】
次に、図15(a)に示すように、スポット領域21全体が位置ズレした場合の右上隅のスポット検索領域112の輝度分布解析部43の処理について、図24を用いて説明する。図15(a)の場合、輝度分布算出部15で出力されるX軸方向の輝度分布曲線は、図24(a)の151、152、153、154で示した曲線であり、これらを加算すると輝度分布曲線241のようになる。加算したX軸方向の輝度分布曲線241においては、図24(a)に示すように、輝度分布曲線のピークとなる座標が検出できない。加算した輝度分布曲線241の左側にある輝度分布の傾斜において、輝度値が最大となるX座標がX0であり、スポット22がX軸の減少方向へ位置ズレしていると判定できる。次に、X軸方向の輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となるX座標でのY軸方向の輝度分布曲線を算出する。図24(a)では、輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となるX座標がX0であるため、図15(a)において、X座標がX0上上のY軸方向の輝度分布曲線を算出すると、図24(b)の242のようになる。輝度分布曲線232において、ピークとなるY座標Y9は検出できるが、左側にも輝度分布の傾斜が見られる。このように、Y軸方向の輝度分布曲線において、ピークの座標が1箇所と別の輝度分布の傾斜が検出された場合、スポット検索領域112には、Y軸方向で位置ズレした位置に2つのスポット22があり、それらのスポット22はX軸方向で重なっていると判定できる。図24では、スポット検索領域112の左上隅及び左下隅に1つずつスポット22があると判定できる。左上隅のスポット22はX軸及びY軸の減少方向に位置ズレしていると判定できるため、左斜め上方向に隣接するスポット検索領域32について輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。左下隅のスポット22についても同様に隣接するスポット検索領域32について輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。
【0056】
次に、図16(a)に示すように、スポット領域21全体が位置ズレした場合の左下隅のスポット検索領域113の輝度分布解析部43の処理について、図25を用いて説明する。図16(a)の場合、X軸方向の輝度分布曲線は、図25(a)の161、162、163で示した曲線であり、これらを加算すると輝度分布曲線251のようになる。加算したX軸方向の輝度分布曲線251においては、ピークとなるX座標X9.5(X9とX10の中間点)は検出できるが、左側にも輝度分布の傾斜が見られる。このように、X軸方向の輝度分布曲線において、ピークの座標が1箇所と別の輝度分布の傾斜が検出された場合、スポット検索領域113には、X軸方向に位置ズレした位置に2つのスポット22があると判定できる。加算した輝度分布曲線251の左側にある輝度分布の傾斜において、輝度値が最大となるX座標がX0であり、スポット22がX軸の減少方向へ位置ズレしていると判定できる。次に、X軸方向の輝度分布曲線のピークとなるX座標、及び傾斜において輝度値が最大となるX座標でのY軸方向の輝度分布曲線を算出する。
【0057】
図25(a)では、輝度分布曲線のピークとなるX座標がX9.5、傾斜において輝度値が最大となるX座標がX0であるため、図16(a)において、X座標がX0上とX9.5上のY軸方向の輝度分布曲線を算出すると、どちらも図25(b)の252のようになる。輝度分布曲線242において、ピークとなる座標は検出できないが、輝度分布の傾斜が見られる。このように、Y軸方向の輝度分布曲線において、輝度分布の傾斜が検出された場合、スポット検索領域113には、X軸方向で位置ズレした位置に2つのスポット22があり、それらのスポット22はY軸方向で重なっていると判定できる。図25では、スポット検索領域32の左上隅及び右上隅に1つずつスポット22があると判定できる。左上隅のスポット22はX軸及びY軸の減少方向に位置ズレしていると判定できるため、左斜め上方向に隣接するスポット検索領域32について輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。右上隅のスポット22についても同様に隣接するスポット検索領域32について輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。
【0058】
次に、図17(a)に示すように、スポット領域21全体が位置ズレした場合の右下隅のスポット検索領域114の輝度分布解析部43の処理について、図26を用いて説明する。図17(a)の場合、輝度分布算出部15で出力されるX軸方向の輝度分布曲線は、図26(a)の171、172、173で示した曲線であり、これらを加算すると輝度分布曲線251のようになる。加算したX軸方向の輝度分布曲線261において、図26(a)に示すように、輝度分布曲線のピークとなる座標が検出できない。加算した輝度分布曲線261の輝度分布の傾斜において、輝度値が最大となるX座標がX0であり、スポット22がX軸の減少方向へ位置ズレしていると判定できる。次に、X軸方向の輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となるX座標でのY軸方向の輝度分布曲線を算出する。図26(a)では、輝度分布曲線の傾斜において輝度値が最大となるX座標がX0であるため、図17(a)において、X座標がX0上のY軸方向の輝度分布曲線を算出すると、どちらも図26(b)の262のようになる。輝度分布曲線262において、ピークとなる座標は検出できないが、輝度分布の傾斜が見られる。このように、Y軸方向の輝度分布曲線において、輝度分布の傾斜が検出された場合、スポット検索領域114におけるスポット22はY軸の減少方向に位置ズレしていると判定できる。図26では、スポット22はX軸及びY軸の減少方向に位置ズレしていると判定できるため、左斜め上方向に隣接するスポット検索領域32について輝度分布曲線におけるピーク座標を検出する。
【0059】
次に、スポット位置特定部17では、まずスポット位置解析部15で出力する輝度分布曲線のピークとなる座標をスポット22の中心点37と規定し、隣接するスポット22の中心点37間の距離を算出することで、スポット22が測定可能な位置にあるかどうかを判定する。その後、各スポット22の中心点37とスポット情報記憶部16の情報を参照し、各スポット22の位置を特定する。このスポット位置特定部17について、図8から図30を用いて説明する。図28はスポット位置特定部17のブロック図であり、スポット位置特定部17はスポット位置判定部271とスポット位置算出部272で構成される。これらスポット位置特定部17の各構成要素について詳細を説明する。
【0060】
まず、スポット位置判定部271は、スポット位置解析部15が出力するスポット検索領域32におけるX軸方向及びY軸方向の輝度分布曲線のピーク座標をスポット22の中心点37と規定し、スポット22の中心点37間の距離から測定可能なスポットかどうかを判定する。
【0061】
これは、図20(a)のようにスポット201が所定位置81から位置ズレしている場合、スポット位置解析部15で算出される検出対象スポット201とその左側の隣接スポット22のX軸方向の輝度分布曲線は図20(b)で示した曲線のようになり、輝度分布曲線が相互に干渉した形となる。そのため、位置ズレしたスポット201だけでなく、位置ズレしたスポットに隣接する所定位置にあるスポット22の測定結果にも影響を及ぼすことになる。よって、スポット位置判定部271は、スポット22と隣接するスポット22との位置関係を把握し、隣接するスポット22の発光の影響が測定結果にあるかどうかを判定する。
【0062】
次に、スポット22が測定可能な位置かどうかの判定処理について図28を用いて説明する。判定対象のスポット22の中心点37と隣接するスポット22の中心点37間の距離から隣接するスポット22から影響を受けるかどうかの判定を行う。図28(a)は本来配置されるべき所定位置81から位置ズレしたスポット281とそれに隣接する8つのスポット282の様子を示している。まず、スポット位置解析部15が出力するスポット22の中心点283の座標と隣接スポット282の中心点37との距離を算出する。対象スポット281の中心点283の座標を(Xm、Ym)、隣接スポット282の中心点37の座標を(Xn、Yn)とすると、中心点間の距離dは次の数2で算出できる。
【0063】
【数2】

【0064】
本発明の実施の形態のように、スポット検索領域32間のスペースが無く、互いに接するようにスポット検索領域32を規定し、スポット検索領域幅36はスポット半径33の4倍の長さとした場合、スポット半径33をrとすると、スポット検索領域幅36は4rとなる。ここで、各スポット22が所定位置にある場合、スポット22の中心点間の距離dは上下左右方向のスポットについては4r、斜め方向のスポットについては4√2rとなるが、図28のように所定位置81から位置ズレした場合、このスポット22の中心点37間の距離が4r及び4√2rから変化する。
【0065】
例えば、図28(b)に示すようにスポット281が所定位置81からスポット半径33の長さr分、X軸の減少方向に位置ズレした場合、隣接するスポット282と接する位置関係になり、スポットの中心点間の距離は2rとなる。この時、接している部分で互いの輝度分布が干渉し、このままそれぞれのスポットを測定しても、互いのスポットの影響が結果に含まれることになる。そこで、スポット22の中心点間の距離dが2r以下、つまりスポット22が接する位置よりも中心点間の距離が近くなった場合は測定対象外のスポットと判定し、それ以外は測定対象のスポットとして判定する。このように、スポット22の中心点37間の距離により、スポット22の位置関係を把握することで、測定対象のスポット22かどうかを判定でき、測定対象外のスポット22の測定を行う必要を排除する。
【0066】
次に、スポット位置算出部272では、スポット位置判定部271でのスポット位置判定結果で、測定可能なスポット22と判定された場合のみ、スポット22の中心点37の座標とスポット情報記憶部16から読み出したスポットに関する情報からスポット22の位置を算出する。スポット位置算出部272の処理について、図29を用いて説明する。まずスポット位置判定結果を参照し、スポット22が測定可能かどうかをチェックする。測定可能なスポット22の場合は、まずスポット位置解析部15が出力するスポット22の中心点37の座標を(Xp、Yp)を、図29(a)に示すように規定する。次に、図29(b)に示すようにスポット22の中心点37から、スポット半径33の範囲291(図29(b)の点線内)を対象スポットの領域として特定する。一方、測定対象外のスポット22の場合は、隣接するスポット22の発光の影響を受けているため、スポット22の領域特定は行わない。
【0067】
スポット位置特定部17では、上記のように処理することで、スポット検索領域32の輝度分布から各スポット22が測定可能か否かを判定し、測定対象のスポット22のみ位置を特定することが可能となる。
【0068】
次に、測定部18では、スポット位置特定部17で出力するスポット検索領域32毎のスポット位置情報を利用して、デジタル画像データからスポットの光量を測定する。
【0069】
以上のようにマイクロアレイ装置を構成することにより、本来スポットされるべき所定位置からスポット22が位置ズレした場合でも、スポット22の位置を特定することができ、更に位置ズレを起こしたスポット22に隣接するスポット22を特定し測定誤りを防止することが可能となる。
【0070】
図1から図29において、本発明のマイクロアレイ装置の構成要素について説明したが、次に本発明の実施の形態におけるマイクロアレイ装置の測定手順を図30に示すフローチャートを用いて説明する。
【0071】
まず、マイクロアレイ基板11をステージ12へ設置し、撮像部14の撮像視野にマイクロアレイ基板11のスポット領域21が入る位置へステージ12を移動するようにステージ制御部13から指示する。ステージ12の移動が完了すると、撮像部14によりマイクロアレイ基板11のスポット領域21の撮像を行う(ステップS101)。
【0072】
次に、図5(a)に示したように撮像部14で出力するデジタル画像データ51をスポット位置解析部15へ入力し、スポット位置解析部15ではノイズ除去部41で、図5(b)に示したように平滑化フィルタを適用し不規則雑音52を除去する(ステップS102)。
【0073】
次に、ノイズ除去部41で出力するノイズ除去画像データ53を所定範囲抽出部42へ入力し、所定範囲抽出部42は図6に示したように、スポット領域21内からスポット22毎の検索領域32を規定し抽出する。次に、所定範囲抽出部42で出力するスポット検索領域32を輝度分布解析部43へ入力し、まず図8に示したようにスポット検索領域32についてX軸方向の輝度分布曲線を算出し、ピークとなる座標を検出し、次にY軸方向の輝度分布を算出し、ピークとなる座標を検出する(ステップS103)。
【0074】
次に、スポット位置解析部15で出力するX軸方向及びY軸方向の輝度分布曲線のピーク座標をスポット位置特定部17へ入力する。スポット位置特定部17ではまずスポット位置判定部271により、スポット位置解析部15で出力する輝度分布曲線のピーク座標をスポット22の中心点37の座標と規定し、図28で示したように判定対象のスポット281の中心点37と隣接スポット282の中心点37間の距離を算出し、スポット22の直径の長さ以下の場合は、スポット位置がNGと判定し測定対象外のスポットとする。一方、スポット22の中心点間の距離がスポット22の直径の長さより大きい場合は、スポット位置がOKと判定し測定対象のスポットとする(ステップS104)。
【0075】
次に、スポット位置判定部271で出力するスポット位置判定結果をスポット位置算出部272に入力し、ステップS104でスポット22が測定対象のスポットと判定された場合、スポット位置解析部15で出力するスポット22の中心点37の座標とスポット情報記憶部16に記憶しているスポットに関する情報から図29で示したようにスポット22の中心点37を特定し、そこからスポット半径33の範囲291を対象スポットの領域として規定し、測定部18により測定を行う。一方、ステップS104でスポット22が測定対象外のスポットと判定された場合は測定部18による測定は行わない(ステップS105)。
【0076】
以上のように、実施の形態においては、マイクロアレイ基板上のスポット毎にスポット検索領域を設定して輝度分布曲線を生成した後、スポットの中心点を検出しスポット位置を特定することにより、本来スポットされるべき所定位置からスポットが位置ズレした場合でも、スポットの位置を特定することができ、更に位置ズレしたスポットに隣接するスポットを特定し測定誤りを防止することができる。
【0077】
また、本発明のマイクロアレイ装置において、撮像部の素子としてモノクロCCDを例示したが、これに限定することなく、カラーCCD、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、電荷注入素子(CID)、横型埋め込み式電荷蓄積部を有する増幅型撮像センサ(LBCAST)、フォトダイオードあるいは光電子倍増管等も適用可能である。また、撮像部にイメージインテンシファイアを導入することも可能である。
【0078】
また、本発明のマイクロアレイ装置において、マイクロアレイ基板として無色透明なガラス基板を例示したが、これに限定することなく、シリコン基板、有色で不透明な基板、あるいはプラスチック基板も適用可能である。さらに、本発明の実施の形態で示したマイクロアレイ基板の大きさやスポット領域のサイズも一例であり、適時変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明にかかるマイクロアレイ装置は、マイクロアレイ基板上に本来スポットされるべき所定位置からスポットが位置ズレした場合でも、スポットの位置を特定することができ、更に位置ズレしたスポットに隣接するスポットを特定し測定誤りを防止することが可能であり、基板に定着したサンプルを撮像する撮像装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明におけるマイクロアレイ装置のブロック図
【図2】マイクロアレイ基板の構成図
【図3】スポット領域の構成図
【図4】本発明におけるスポット位置解析部のブロック図
【図5】ノイズ除去部の効果を説明する図
【図6】スポット検索領域を説明する図
【図7】輝度分布解析部でのスポット検索領域の走査方法を説明する図
【図8】輝度分布曲線の算出を説明する第1の図
【図9】輝度分布曲線の算出を説明する第2の図
【図10】行単位で位置ズレしたスポット領域を説明する図
【図11】スポット領域全体が位置ズレした場合を説明する図
【図12】輝度分布曲線の算出を説明する第3の図
【図13】輝度分布曲線の算出を説明する第4の図
【図14】輝度分布曲線の算出を説明する第5の図
【図15】輝度分布曲線の算出を説明する第6の図
【図16】輝度分布曲線の算出を説明する第7の図
【図17】輝度分布曲線の算出を説明する第8の図
【図18】輝度分布曲線の解析方法を説明する第1の図
【図19】輝度分布曲線の解析方法を説明する第2の図
【図20】位置ズレしたスポットの輝度分布曲線を説明する図
【図21】輝度分布曲線の解析方法を説明する第3の図
【図22】輝度分布曲線の解析方法を説明する第4の図
【図23】輝度分布曲線の解析方法を説明する第5の図
【図24】輝度分布曲線の解析方法を説明する第6の図
【図25】輝度分布曲線の解析方法を説明する第7の図
【図26】輝度分布曲線の解析方法を説明する第8の図
【図27】本発明におけるスポット位置特定部のブロック図
【図28】スポットの位置ズレを判定する方法を説明する図
【図29】スポットの位置を特定する方法を説明する図
【図30】マイクロアレイの測定処理のフローチャート
【符号の説明】
【0081】
11 マイクロアレイ基板
12 ステージ
13 ステージ制御部
14 撮像部
15 スポット位置解析部
16 スポット情報記憶部
17 スポット位置特定部
18 測定部
21 スポット領域
22 スポット
31 スポット配列情報
32 スポット検索領域
33 スポット半径
34 スポット間の距離
35 スポット検索領域基準座標
36 スポット検索領域幅
37 スポット中心点
41 ノイズ除去部
42 所定範囲抽出部
43 輝度分布解析部
51 デジタル画像データ
52 不規則雑音
53 ノイズ除去画像データ
61 対象スポット
62 対象スポットの検索領域
63 対象スポットの検索領域基準座標
81 スポットの所定位置
82、91 Y座標がY6の走査線上の輝度分布
83、92 Y座標がY5及びY7の走査線上の輝度分布
84、93 Y座標がY4及びY8の走査線上の輝度分布
85、94 Y座標がY0、Y1、Y2、Y3、Y9、Y10の走査線上の輝度分布
101 位置ズレした行
102 スポット検索領域の第1の状態
103 スポット検索領域の第2の状態
111 スポット検索領域の第3の状態
112 スポット検索領域の第4の状態
113 スポット検索領域の第5の状態
114 スポット検索領域の第6の状態
121、131 Y座標がY5の走査線上の輝度分布
122、132 Y座標がY4及びY6の走査線上の輝度分布
123、133 Y座標がY3及びY7の走査線上の輝度分布
124、134 Y座標がY0、Y1、Y2、Y8、Y9、Y10の走査線上の輝度分布
141、151 Y座標がY9の走査線上の輝度分布
142、152 Y座標がY0及びY8及びY10の走査線上の輝度分布
143、153 Y座標がY1及びY7の走査線上の輝度分布
144、154 Y座標がY2、Y3、Y4、Y5、Y6の走査線上の輝度分布
161、171 Y座標がY0の走査線上の輝度分布
162、172 Y座標がY1の走査線上の輝度分布
163、173 Y座標がY2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10の走査線上の輝度分布
181 X軸方向の輝度分布の加算曲線1
182 Y軸方向の輝度分布曲線1
191 X軸方向の輝度分布の加算曲線2
192 Y軸方向の輝度分布曲線2
201 位置ズレした対象スポット
202 位置ズレした対象スポットの中心点
203 Y座標がY6の走査線上の輝度分布曲線
211 X軸方向の輝度分布の加算曲線3
212 Y軸方向の輝度分布曲線3
221 X軸方向の輝度分布の加算曲線4
222 Y軸方向の輝度分布曲線4
231 X軸方向の輝度分布の加算曲線5
232 Y軸方向の輝度分布曲線5
241 X軸方向の輝度分布の加算曲線6
242 Y軸方向の輝度分布曲線6
251 X軸方向の輝度分布の加算曲線7
252 Y軸方向の輝度分布曲線7
261 X軸方向の輝度分布の加算曲線8
262 Y軸方向の輝度分布曲線8
271 スポット位置判定部
272 スポット位置算出部
281 位置ズレしたスポット
282 位置ズレしたスポットの隣接スポット
283 位置ズレしたスポットの中心点
291 スポット位置算出部で算出したスポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にサンプル検体を定着した複数のスポットを有するマイクロアレイ基板を測定するマイクロアレイ装置において、
前記マイクロアレイ基板を撮像して受光素子の各画素にて受光した輝度をデジタルで表したデジタル画像データを出力する撮像部と、
前記スポットに関する情報を記憶したスポット情報記憶部と、
前記デジタル画像データから前記スポット毎の輝度分布曲線を算出し前記スポットの位置を解析するスポット位置解析部と、
前記スポット位置解析部が出力する前記スポット毎の輝度分布曲線のピークとなる座標と前記スポット情報記憶部から読み出した前記スポットに関する情報からスポット位置を特定するスポット位置特定部と、
前記スポット位置特定部が出力するスポット位置において測定を行う測定部を含む、
ことを特徴とするマイクロアレイ装置。
【請求項2】
前記スポット位置解析部は、
前記デジタル画像データからノイズ成分を除去するノイズ除去部と、
前記ノイズ除去部で出力するノイズ除去画像データにおいて、スポットの所定位置から一定範囲をスポット検索領域として抽出する所定範囲抽出部と、
前記所定範囲抽出部で出力するスポット検索領域において、X軸方向及びY軸方向の輝度分布曲線を算出し、輝度分布曲線のピーク座標を検出する輝度分布解析部を含み、
前記撮像部で出力する前記デジタル画像データから前記スポット毎に前記スポット検索領域を抽出し、輝度分布曲線をX軸方向及びY軸方向それぞれについて算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項3】
前記スポット位置特定部は、
前記スポット位置解析部で出力する輝度分布曲線のピークとなる座標から前記スポットの配置状況を解析し測定可能なスポットかどうかを判定するスポット位置判定部と、
前記スポット位置判定部で出力する前記スポット配置情報と前記スポット情報記憶部から読み出した前記スポットに関する情報から前記スポット位置を算出するスポット位置算出部を含み、
前記スポット検索領域毎の輝度分布曲線のピークとなる座標から前記スポットの位置関係を判定し、その結果に応じてスポットの位置を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項4】
前記スポット位置判定部は、
前記スポット位置解析部で出力する輝度分布曲線のピークとなる座標を前記スポットの中心点の座標と規定し、前記スポットの中心点と隣接するスポットの中心点との距離により、スポットが測定可能な位置にあるかどうかを判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項5】
前記スポット位置算出部は、
前記スポット位置判定部で出力する前記スポット配置情報において、スポットが測定可能な位置にある場合のみ、前記スポット位置を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載のマイクロアレイ装置。
【請求項6】
基板上にサンプル検体を定着した複数のスポットを有するマイクロアレイ基板を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップで得たデジタル画像データから前記スポット毎の輝度分布曲線を算出しピークとなる座標を検出するスポット位置解析ステップと、
前記スポット位置解析ステップで得た前記スポット毎の輝度分布曲線のピークとなる座標から前記スポットの位置関係を判定するスポット位置判定ステップと、
前記スポット位置判定ステップで判定されたスポットの輝度を測定する測定ステップを含む、
ことを特徴とするマイクロアレイ解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−68996(P2009−68996A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237725(P2007−237725)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】