説明

マイクロコンピュータの識別情報管理システム及び方法

【課題】フラッシュメモリを備えるマイクロコンピュータにおいて、識別情報の管理を容易にする。
【解決手段】本発明に係るシステム1は、フラッシュメモリ21にユーザプログラムを含む情報を書き込むフラッシュプログラミング手段2と、ユーザプログラムを通信ネットワーク15を介してユーザ側からホスト側に送信する第1のユーザプログラム送信手段3と、ユーザプログラムを受信するユーザプログラム受信手段4と、ユーザプログラムの識別を可能にするカスタムコードを採番するカスタムコード採番手段5と、カスタムコードを前記フラッシュプログラミング手段2に送信する第1のカスタムコード送信手段6と、カスタムコードを前記マイクロコンピュータ11内において記憶するカスタムコード記憶手段7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムメモリとしてフラッシュメモリを用いたマイクロコンピュータの識別情報を管理するためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、組み込み向けのマイクロコンピュータに用いられるプログラムメモリとして、書き込み不可能なマスクROM等の他に、書き込み可能なフラッシュメモリ等を用いることが増えている。通常、マスクROMを用いたマイクロコンピュータ(以下、マスクマイコンと称する)のパッケージには、識別コードとして、カスタムコードを含んだコードが捺印されている。このカスタムコードは、マスクROMに書き込まれたユーザプログラムのバージョン等の付帯情報と一意に対応付けられたものであり、通常、マイクロコンピュータを製造する半導体メーカにおいて採番され、捺印されるものである。このようなマスクマイコンが組み込まれた所定の装置を製造する装置メーカにおいては、カスタムコードに基づいて、生産管理や出荷後の保守管理等を行っている。
【0003】
一方、フラッシュメモリを用いたマイクロコンピュータ(以下、フラッシュマイコンと称する)においては、通常、前記カスタムコードが半導体メーカにおいて採番及び捺印されることはない。これは、フラッシュマイコンの場合には、装置メーカにおいてユーザプログラムが書き込まれることが通常だからである。
【0004】
図9(a)は、マスクマイコン101の外観図であり、図9(b)は、このマスクマイコン101のパッケージに捺印された識別コード102を示す図である。図9(b)に示すように、この識別コード102は、製品の種類やパッケージ種別を示す品名コード103と、マスクROMに書き込まれたユーザプログラムを判別するための前記カスタムコード104とから構成されている。
【0005】
図10(a)は、フラッシュマイコン111の外観図であり、図10(b)は、このフラッシュマイコン111のパッケージに捺印された識別コード112を示す図である。上述の通り、フラッシュマイコン111においては、装置メーカがユーザプログラムを書き込むことが慣例となっており、半導体メーカからの出荷時にカスタムコードを記載することはない。従い、図10(b)に示すように、この識別コード112は、品名コード113のみからなり、前記カスタムコードに相当する記載がない。
【0006】
図11において、従来の一般的なフラッシュマイコン111へのユーザプログラムの書き込み方法が示されている。ユーザプログラムは、通常装置メーカ内の開発部門201等において開発され、所定の媒体202に複写されて、複数の生産工場203へ配布される。この時、フラッシュマイコン111の品種及び使用モード(書き込みに使用するインターフェース等)に応じて異なる書き込みモード設定値205も配布される。各生産工場203では、配布された書き込みモード設定情報205に基づいてフラッシュプログラマ204が設定され、媒体202によって配布されたユーザプログラムがフラッシュマイコン111のフラッシュメモリ115に書き込まれる。
【0007】
また、フラッシュマイコンにおけるユーザプログラムの書き込み方法に関する技術が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に係るマイクロコンピュータは、フラッシュメモリのバージョン情報とロット情報とのいずれか又は両方を記憶する不揮発性メモリを有し、更にこの不揮発性メモリには、CPUによる情報書き込み処理に必要なパラメータを保存するためのメモリ領域を有するものであり、これにより最適なフラッシュファーム及びパラメータを選択して情報書き込み処理を可能にするものである。
【特許文献1】特開2001−306543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、マスクマイコンにおいては、カスタムコードがパッケージに捺印され、製品の生産管理や保守管理において、重要な情報として扱われている。しかしながら、近年増加傾向にあるフラッシュマイコンにおいては、半導体メーカから出荷された時点ではカスタムコードが捺印されていないため、装置メーカ側で個々のフラッシュマイコンに対してカスタムコードを割り付ける作業が必要であり、識別管理に関する装置メーカの負担が大きいという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献1に開示される技術は、フラッシュメモリのバージョン情報とロット情報とのいずれか又は両方をマイクロコンピュータ個々に記憶させる必要があり、これによっても、上述の識別情報管理に関する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決を図る本発明は、マイクロコンピュータに内蔵されるフラッシュメモリに、ユーザプログラムを含む情報を書き込むフラッシュプログラミング手段と、前記フラッシュプログラミング手段により書き込まれたユーザプログラムを、通信ネットワークを介してホスト側に送信する第1のユーザプログラム送信手段と、前記第1のユーザプログラム送信手段が送信したユーザプログラムを、前記通信ネットワークを介して受信するユーザプログラム受信手段と、前記ユーザプログラム受信手段が受信したユーザプログラムに基づいて、該ユーザプログラムの識別を可能にするカスタムコードを採番するカスタムコード採番手段と、前記カスタムコード採番手段が採番したカスタムコードを、前記通信ネットワークを介して前記フラッシュプログラミング手段に送信する第1のカスタムコード送信手段と、前記フラッシュプログラミング手段が受信したカスタムコードを記憶する、前記マイクロコンピュータに内蔵されたカスタムコード記憶手段とを有する識別情報管理システムである。
【0011】
このシステムによれば、装置メーカ等のユーザが所定の端末を操作してインターネット等の通信ネットワークを介して前記ユーザプログラムをサーバシステム等を備えるホスト側に送信することにより、ホスト側においてこのユーザプログラムにカスタムコードが採番され、このカスタムコードがユーザ側に送信される。そして、このカスタムコードはフラッシュメモリを備えるマイクロコンピュータ内に記憶され、生産管理や保守管理に利用される。
【0012】
また、本発明は、マイクロコンピュータに内蔵されるフラッシュメモリにフラッシュプログラマにより書き込まれたユーザプログラムを、通信ネットワークを介してホスト側に送信するステップと、ユーザ側が送信したユーザプログラムを、前記通信ネットワークを介して受信するステップと、前記受信したユーザプログラムに基づいて、該ユーザプログラムを識別するカスタムコードを採番するステップと、前記カスタムコードを、前記通信ネットワークを介してユーザ側に送信するステップと、前記ホスト側から送信されたカスタムコードを受信し、前記マイクロコンピュータ内に記憶するステップとを有する識別情報管理方法である。
【0013】
この方法における作用は、上記システムと同様である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カスタムコードの採番等の処理がホスト側のシステムによって行われ、ユーザ側(装置メーカ等)は、ホスト側のシステムにインターネット等を介してカスタムコードを取得し、これをフラッシュマイコンのメモリに記憶させることが可能となる。これにより、識別管理に関するユーザ側の負担が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して説明する。図1は、本発明の識別情報管理システム1の基本的な構成を示すブロック図である。この識別情報管理システム1は、フラッシュプログラミング手段2、ユーザ側ユーザプログラム送信手段3、ホスト側ユーザプログラム受信手段4、カスタムコード採番手段5、ホスト側カスタムコード送信手段6、及びカスタムコード記憶手段7を有して構成されている。
【0016】
前記フラッシュプログラミング手段2は、マイクロコンピュータ11に内蔵されるフラッシュメモリ21に、ユーザプログラムを含む情報を書き込むものである。
【0017】
前記ユーザ側ユーザプログラム送信手段3は、前記フラッシュプログラミング手段2により書き込まれるユーザプログラムを、通信ネットワーク15を介してユーザ側からホスト側に送信するものである。
【0018】
前記ホスト側ユーザプログラム受信手段4は、前記ユーザ側ユーザプログラム送信手段3により送信されたユーザプログラムを、前記通信ネットワーク15を介して受信するものである。
【0019】
前記カスタムコード採番手段5は、前記ホスト側ユーザプログラム受信手段4により受信されたユーザプログラムに関する情報に基づいて、該ユーザプログラムの識別を可能にするカスタムコードを採番するものである。
【0020】
前記ホスト側カスタムコード送信手段6は、前記カスタムコード採番手段5により採番されたカスタムコードを、前記通信ネットワーク15を介して前記フラッシュプログラミング手段2に送信するものである。
【0021】
前記カスタムコード記憶手段7は、前記フラッシュプログラミング手段2により受信されたカスタムコードを、前記マイクロコンピュータ11内において記憶するものである。
【0022】
上記構成によれば、ユーザが所定の端末を操作してインターネット等の通信ネットワーク15を介して前記ユーザプログラムをサーバシステム等を備えるホスト側に送信することにより、ホスト側においてこのユーザプログラムにカスタムコードが採番され、このカスタムコードがホスト側からユーザ側に送信される。そして、このカスタムコードはフラッシュメモリ21を備えるマイクロコンピュータ11内に記憶され、生産管理や保守管理に利用される。
【0023】
以下に、本発明を実現するための具体的な構成を例示する。
【0024】
発明の実施の形態1.
図2に示すのは、上記本発明の識別情報管理システム1を実現するための具体的なハードウェア構成を例示するものである。この識別情報管理システム1は、フラッシュマイコン11、フラッシュプログラマ12、ユーザ端末13、管理サーバ14、及び通信ネットワーク15を含んで構成されている。前記通信ネットワーク15は、インターネット等を含んで構成される任意の情報通信網である。この通信ネットワーク15に前記ユーザ端末13と前記管理サーバ14とが接続されている。前記ユーザ端末13には、前記フラッシュプログラマ12が接続可能となっている。このフラッシュプログラマ12は、前記フラッシュマイコン11内に情報を書き込む(書き換えを含む)ための周知の装置である。
【0025】
図3において、前記フラッシュマイコン11の構成が示されている。このフラッシュマイコン11は、ユーザプログラムメモリとしてフラッシュメモリ21を備え、更にインターフェース部22、暗号・復号化部23、フラッシュ書き込み制御部24、及びカスタムコード読み出し制御部25を有して構成されている。
【0026】
前記フラッシュメモリ21は、情報の書き込みが可能な周知の半導体メモリであり、この情報の書き込みは、前記フラッシュプログラマ12により可能となる。本実施の形態に係るフラッシュメモリ21の記憶領域には、ユーザプログラム格納部26、カスタムコード格納部27、及びセキュリティコード格納部28が確保されている。前記ユーザプログラム格納部26は、任意のユーザプログラムを格納するための領域である。前記カスタムコード格納部27は、前記ユーザプログラムを識別するためのカスタムコードを格納するための領域である。前記セキュリティコード格納部28は、前記カスタムコード格納部内の情報の読み出しを許可するために設定されたセキュリティコードを格納する領域である。このセキュリティコードの認証が成功した場合に限り、前記カスタムコードの読み出し及び前記ユーザプログラムの書き込みが可能となる。
【0027】
前記インターフェース部22は、I/Oポート、CPU、前記フラッシュメモリ21を含んで構成される記憶装置(その他ROMやRAMは図示されていない)、この記憶装置に格納された所定のプログラム等の協働により構成され、前記フラッシュプログラマ12と接続し、両者間での情報の送受を可能にするものである。
【0028】
前記暗号・復号化部23は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記インターフェース部22から入力された信号を復号化して後述するフラッシュ書き込み制御部24に出力すると共に、このフラッシュ書き込み制御部24から入力された信号を暗号化して前記インターフェース部22に出力するものである。
【0029】
前記フラッシュ書き込み制御部24は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記暗号・復号化部23から入力された信号に基づいて、即ち前記フラッシュプログラマ12からのコマンド及び書き込み情報に基づいて、前記フラッシュメモリ21内に情報を書き込むための処理を行うものである。
【0030】
前記カスタムコード読み出し制御部25は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記フラッシュメモリ21の記憶領域に確保されたカスタムコード格納部27内の情報を読み出し、前記インターフェース部22を介して前記フラッシュプログラマ12に出力するものである。このカスタムコード読み出し制御部25は、前記フラッシュプログラマ12からカスタムコード読み出し指令を受けると、前記カスタムコード格納部27から前記カスタムコードを読み出し、フラッシュプログラマ12に送信する。フラッシュプログラマ12は、受信したカスタムコードを、所定の表示部(自らの又は前記ユーザ端末13のディスプレイ等)に表示させる。また、カスタムコード制御部25は、前記セキュリティコード格納部28に格納されたセキュリティコードによる設定が、読み出し禁止になっている場合には、当該カスタムコードの読み出しを禁止する。
【0031】
図4において、前記フラッシュプログラマ12の構成が示されている。このフラッシュプログラマ12は、前記フラッシュメモリ21内に情報の書き込みを可能にするものであり、インターフェース部31、暗号・復号化部32、書き込み制御部33、及びユーザ端末接続部34を有して構成されている。
【0032】
前記インターフェース部31は、I/Oポート、CPU、記憶装置(ROM、RAM等)、この記憶装置に格納された所定のプログラム等の協働により構成され、前記フラッシュマイコン11のインターフェース部22と接続し、両者間での信号の送受を可能にするものである。
【0033】
前記暗号・復号化部32は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記インターフェース部31から入力された信号を復号化して後述する書き込み制御部33に出力すると共に、この書き込み制御部33から入力された信号を暗号化して前記インターフェース部31に出力するものである。
【0034】
前記書き込み制御部33は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記暗号・復号化部32及び前記インターフェース部31を介して、前記フラッシュマイコン11の前記フラッシュ書き込み制御部24にコマンドや書き込み情報を送信することにより、前記フラッシュメモリ21内に情報を書き込むことを可能にするものである。この書き込み制御部33は、ユーザプログラム書き込み部36及び書き込みモード設定部37を有している。前記ユーザプログラム書き込み部36は、前記ユーザプログラム格納部26内にユーザプログラムを書き込むための処理を行うものである。前記書き込みモード設定部37は、前記フラッシュマイコン11との通信に使用するインターフェースの種類や通信速度等を設定するものである。この書き込み制御部33において扱われるユーザプログラムや書き込みモードに関する情報は、後述するユーザ端末13からユーザ端末接続部34を介して受信される。
【0035】
前記ユーザ端末接続部34は、I/Oポート、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、後述するユーザ端末13と接続し、両者間での信号の送受を可能にするものである。
【0036】
図5において、前記ユーザ端末13の構成が示されている。このユーザ端末13は、フラッシュプログラマ接続部41、フラッシュプログラマ情報処理部42、通信処理部43、及び認証処理部44を有して構成されている。このユーザ端末13の代表的な構成は、汎用のパーソナルコンピュータに所定のプログラムがインストールされたものである。
【0037】
前記フラッシュプログラマ接続部41は、I/Oポート、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記フラッシュプログラマ12と接続し、両者間での信号の送受を可能にするものである。
【0038】
前記フラッシュプログラマ情報処理部42は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記フラッシュプログラマ12において利用される情報の作成、加工、送受等の処理を行うものである。このフラッシュプログラマ情報処理部42において扱われる情報は、前記フラッシュプログラマ12から送信される情報、及び後述する管理サーバ14から通信ネットワーク15及び通信処理部43を介して受信される情報である。
【0039】
前記通信処理部43は、モデム、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記通信ネットワーク15を介して、後述する管理サーバ14との間で情報の送受を可能にするものである。
【0040】
前記認証処理部44は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記管理サーバ14との間でVPN等の暗号通信路の形成を可能にするものである。
【0041】
図6において、前記管理サーバ14の構成が示されている。この管理サーバ14は、通信処理部51、認証処理部52、顧客情報データベース53、識別情報管理部54、カスタムコードデータベース55、ユーザプログラムデータベース56、及び書き込みモードデータベース57を有して構成されている。
【0042】
前記通信処理部51は、モデム、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記通信ネットワーク15を介して、前記ユーザ端末13との間で情報の送受を可能にするものである。
【0043】
前記認証処理部52は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記ユーザ端末13との間でVPN等の暗号通信路の形成を可能にするものである。
【0044】
前記顧客情報データベース53は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記認証処理部52による前記ユーザ端末13に対する認証に必要な情報が格納されたものである。
【0045】
前記識別情報管理部54は、CPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、前記フラッシュマイコン11の識別情報を管理するものである。この識別情報管理部54は、後述するカスタムコードデータベース55、ユーザプログラムデータベース56、及び書き込みモードデータベース57に格納された情報に基づいて、前記フラッシュマイコン11に関する識別情報の管理を行う。
【0046】
前記カスタムコードデータベース55、ユーザプログラムデータベース56、及び書き込みモードデータベース57は、それぞれCPU、記憶装置、所定のプログラム等の協働により構成され、カスタムコードデータベース55には前記カスタムコードが格納され、ユーザプログラムデータベース56には前記ユーザプログラムが格納され、前記書き込みモードデータベース57には前記書き込みモード設定値が格納される。そして、これらのカスタムコード、ユーザプログラム、及び書き込みモード設定値は、互いに一意に対応するように関連付けられて格納されている。
【0047】
図7において、上記識別情報管理システム1によるカスタムコード採番時の処理の流れが示されている。先ず、前記ユーザ端末13からIDコード、パスワード等の認証情報が送信され(S101)、これを前記管理サーバ14が受信すると(S102)、認証が成功したか否かが判定される(S103)。ここで認証に失敗した場合には(N)、このルーチンを終了し、認証に成功した場合には(Y)、管理サーバ14とユーザ端末13との間でVPN接続を形成する(S104,S105)。
【0048】
次いで、前記ユーザ端末13が、前記フラッシュマイコン11のフラッシュメモリ21に書き込もうとしているユーザプログラム及び書き込みモード設定値を送信し(S106)、これを管理サーバ14が受信すると(S107)、前記識別情報管理部54は、このユーザプログラムに対し一意のカスタムコードを採番し(S108)、これらのカスタムコード、ユーザプログラム、及び書き込みモード設定値を関連付けて、各データベース55,56,57に格納する(S109)。
【0049】
その後、前記管理サーバ14は採番した前記カスタムコードを送信し(S110)、これを前記ユーザ端末13が受信すると(S111)、ユーザ端末13と管理サーバ14との間に形成されたVPN接続がクローズされ(S112,S113)、このルーチンが終了する。
【0050】
図8において、上記識別情報管理システム1におけるフラッシュメモリ21の書き込み時の処理の流れが示されている。先ず、前記ユーザ端末13からID、パスワード等の認証情報が送信され(S201)、これを前記管理サーバ14が受信すると(S202)、認証が成功したか否かが判定される(S203)。ここで認証に失敗した場合には(N)、このルーチンを終了し、認証に成功した場合には(Y)、管理サーバ14とユーザ端末13との間でVPN接続を形成する(S204,S205)。
【0051】
次いで、前記ユーザ端末13が、前記カスタムコードを送信し(S206)、これを管理サーバ14が受信すると(S207)、前記識別情報管理部54は、このカスタムコードが前記カスタムコードデータベース55内にあるか否かを判定し(S208)、ないと判定された場合(N)には、前記VPN接続をクローズした後(S214,S215)、このルーチンを終了し、あると判定された場合(Y)には、前記識別情報管理部54は、このカスタムコードに対応するユーザプログラム及び書き込みモード設定値を、それぞれのデータベース56,57から読み出す(S209)。
【0052】
その後、前記管理サーバ14(前記識別情報管理部54)は、読み出した前記ユーザプログラム及び書き込みモード設定値を送信し(S210)、これらを前記ユーザ端末13が受信すると(S211)、ユーザ端末13は、接続された前記フラッシュプログラマ12に、これらのユーザプログラム及び書き込みモード設定値を送信する(S212)と共に、カスタムコードを送信する(S213)。そして、ユーザ端末13と管理サーバ14との間に形成されたVPN接続がクローズされ(S214,S215)、このルーチンが終了する。
【0053】
上記図7に示す処理によれば、前記フラッシュメモリ21に所定のユーザプログラムを書き込もうとするユーザが、前記ユーザ端末13によりこのユーザプログラムに関する情報を送信すると、前記管理サーバ14によりこのユーザプログラムにカスタムコードが採番され、このカスタムコードが前記ユーザ端末13に送信される。
【0054】
また、上記図8に示す処理によれば、前記ユーザ端末13にカスタムコードを入力して前記管理サーバ14に送信することにより、このカスタムコードに対応するユーザプログラム及び書き込みモード設定値が、管理サーバ14からユーザ端末13に送信される。そして、このユーザ端末13に接続された前記フラッシュプログラマ12に、受信したユーザプログラム及び書き込みモード設定値を送信し、このフラッシュプログラマ12を用いて前記フラッシュメモリ21にユーザプログラムを書き込むことができる。
【0055】
これにより、ユーザは、インターネット等の通信ネットワーク15を通じて、前記フラッシュメモリ21に書き込もうとするユーザプログラムのカスタムコードを入手することができ、このカスタムコードを生産管理や保守管理に用いることが可能となる。
【0056】
更に、ユーザは、ユーザプログラムや書き込みモード設定値等の情報をCD−ROM等の媒体に複写して配布するという図11に示す手順を行う必要がなくなるので、情報漏洩等の心配をなくすことができる。
【0057】
尚、上記実施の形態においては、前記フラッシュプログラマ12と前記ユーザ端末13とが接続し、互いに情報の送受が可能な構成となっているが、この構成は本発明の一例である。本発明においては、例えばフラッシュプログラマ12に上述したユーザ端末13の機能を内蔵し、フラッシュプログラマ12を通信ネットワーク15に直接接続する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の識別情報管理システムの基本的な構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る識別情報管理システムの全体的なハードウェア構成を示す概念図である。
【図3】図3は、実施の形態1におけるフラッシュマイコンの構成を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態1におけるフラッシュプログラマの構成を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1におけるユーザ端末の構成を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態1における管理サーバの構成を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態1に係る識別情報管理システムにおけるカスタムコード採番時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施の形態1に係る識別情報管理システムにおけるフラッシュメモリの書き込み時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9(a)は、従来のマスクマイコンのパッケージの状態を示す図であり、図9(b)は、該パッケージに捺印された識別コードの構成を示す図である。
【図10】図10(a)は、従来のフラッシュマイコンのパッケージの状態を示す図であり、図10(b)は、該パッケージに捺印された識別コードの構成を示す図である。
【図11】図11は、従来フラッシュマイコンへのユーザプログラムの書き込み方法を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 識別情報管理システム
2 フラッシュプログラミング手段
3 第1のユーザプログラム送信手段
4 ユーザプログラム受信手段
5 カスタムコード採番手段
6 第1のカスタムコード送信手段
7 カスタムコード記憶手段
11 マイクロコンピュータ(フラッシュマイコン)
12 フラッシュプログラマ
13 ユーザ端末
14 管理サーバ
15 通信ネットワーク
21 フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコンピュータに内蔵されるフラッシュメモリに、ユーザプログラムを含む情報を書き込むフラッシュプログラミング手段と、
前記フラッシュプログラミング手段により書き込まれたユーザプログラムを、通信ネットワークを介してホスト側に送信する第1のユーザプログラム送信手段と、
前記第1のユーザプログラム送信手段が送信したユーザプログラムを、前記通信ネットワークを介して受信するユーザプログラム受信手段と、
前記ユーザプログラム受信手段が受信したユーザプログラムに基づいて、該ユーザプログラムの識別を可能にするカスタムコードを採番するカスタムコード採番手段と、
前記カスタムコード採番手段が採番したカスタムコードを、前記通信ネットワークを介して前記フラッシュプログラミング手段に送信する第1のカスタムコード送信手段と、
前記フラッシュプログラミング手段が受信したカスタムコードを記憶する、前記マイクロコンピュータに内蔵されたカスタムコード記憶手段と、
を有する識別情報管理システム。
【請求項2】
ユーザ側から前記カスタムコードを送信する第2のカスタムコード送信手段と、
前記第2のカスタムコード送信手段が送信したカスタムコードを受信するカスタムコード受信手段と、
前記カスタムコード受信手段が受信したカスタムコードに基づいて、該カスタムコードに対応する前記ユーザプログラムを送信する第2のユーザプログラム送信手段と、
を更に有する請求項1記載の識別情報管理システム。
【請求項3】
前記フラッシュメモリへの前記ユーザプログラムの書き込み処理を最適化するための設定情報である書き込みモード設定値をホスト側に送信する書き込みモード送信手段と、
前記書き込みモード送信手段から受信した複数の前記書き込みモード設定値を、対応する前記ユーザプログラム及び前記カスタムコードと関連付けて格納する書き込みモード格納手段と、
前記カスタムコード格納手段が受信したカスタムコードに基づいて、該カスタムコードに対応する前記書き込みモード設定値を選択し、ユーザ側に送信するホスト側書き込みモード送信手段と、
を更に有する請求項2記載の識別情報管理システム。
【請求項4】
マイクロコンピュータに内蔵されるフラッシュメモリにフラッシュプログラマにより書き込まれたユーザプログラムを、通信ネットワークを介してホスト側に送信するステップと、
ユーザ側が送信したユーザプログラムを、前記通信ネットワークを介して受信するステップと、
前記受信したユーザプログラムに基づいて、該ユーザプログラムを識別するカスタムコードを採番するステップと、
前記カスタムコードを、前記通信ネットワークを介してユーザ側に送信するステップと、
前記ホスト側から送信されたカスタムコードを受信し、前記マイクロコンピュータ内に記憶するステップと、
を有する識別情報管理方法。
【請求項5】
前記カスタムコードをホスト側に送信するステップと、
前記カスタムコードを受信するステップと、
前記ホスト側が受信したカスタムコードに基づいて、該カスタムコードに対応する前記ユーザプログラムをユーザ側に送信するステップと、
を更に有する請求項4記載の識別情報管理方法。
【請求項6】
前記フラッシュメモリへの前記ユーザプログラムの書き込み処理を最適化するための設定情報である書き込みモード設定値をユーザ側からホスト側に送信するステップと、
前記ユーザ側から送信された書き込みモード設定値をホスト側で受信し、対応する前記ユーザプログラム及び前記カスタムコードと関連付けて格納するステップと、
前記受信したカスタムコードに対応する前記書き込みモード設定値をユーザ側に送信するステップと、
を更に有する請求項5記載の識別情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−282666(P2009−282666A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132907(P2008−132907)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】