マイクロバルブ・アクチュエータの制御方法
マイクロバルブのアクチュエータを制御する方法において、アクチュエータに電圧を供給するためのコントローラが提供される。コントローラは、マイクロバルブを動作させるのに有効な初期電圧をアクチュエータに供給する。次いで、コントローラは、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効なパルス電圧をアクチュエータに供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に微小電子機械システム(MEMS)[Micro Electro Mechanical Systems]に関し、より詳細にはマイクロバルブ(microvalve)のアクチュエータを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSは物理的に小さなシステムの部類であり、マイクロメートル範囲内の寸法であることを特徴とする。これらのシステムは電気的要素および機械的要素の両方を有する。用語「ミクロ機械加工」(micromachining)は、MEMSデバイスの3次元構造体および可動部の製造を意味するものと一般に理解されている。MEMSは、もともと改良集積回路(コンピュータ・チップ)製造技術(化学的エッチングなど)および材料(シリコン半導体材料など)のように非常に小さなメカニカル・デバイスのミクロ機械加工に使用された。今日、さらに多くのミクロ機械加工の技術および材料が利用可能である。本出願で使用される用語「マイクロバルブ」は、寸法がマイクロメートルの範囲内であるという特徴を有し、したがって少なくとも部分的にミクロ機械加工で形成されるものと定義されるバルブを意味する。本出願で使用される用語「マイクロバルブ・デバイス」は、マイクロバルブを含むデバイスおよび他の構成要素を含み得るデバイスを意味する。マイクロバルブとは別の構成要素がマイクロバルブ・デバイスに含まれるとき、これら別の構成要素は、ミクロ機械加工された構成要素または標準サイズの(より大きな)構成要素でよいことに留意されたい。
【0003】
様々なマイクロバルブ・デバイスが、流体回路内の流量制御のために提案されている。例えば、様々なマイクロバルブ・デバイスが、米国特許第6,019,437号、米国特許第6,279,606号B1、米国特許第6,494,804号B1、米国特許第6,505,811号B1、米国特許第6,533,366号B1、米国特許第6,540,203号B1、および米国特許第6,637,722号B2に開示されている。一般的なマイクロバルブ・デバイスは、本体によって移動可能に支持され、閉位置と完全な開位置との間での運動のためにアクチュエータに効果的に結合された変位可能な要素またはバルブを含む。閉位置にあるとき、マイクロバルブは、通常第2の流体口と流体伝達する第1の流体口を塞ぐかまたは閉じて、それによって両流体口間を流体が流れるのを防ぐ。マイクロバルブが閉位置から完全な開位置に移動するとき、流体が、両流体口間を漸増的に流れ得るようになる。通常閉のマイクロバルブは、電気的アクチュエータからの電流の印加など外部の励磁信号がない状態では閉になるものである。通常開のマイクロバルブは、外部の励磁信号の印加がない状態では開になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクチュエータは、通常電源から供給された電圧によって駆動される。マイクロバルブを動作させるのに必要な電力の全体量を低減することができると有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マイクロバルブのアクチュエータの制御方法に関する。アクチュエータに電圧を供給するためにコントローラが与えられる。コントローラは、マイクロバルブを動作させるのに有効な初期電圧をアクチュエータに供給する。次いで、コントローラは、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効なパルス電圧をアクチュエータに供給する。好ましくは、パルス電圧はパルス幅変調された電圧である。
【0006】
本発明は、マイクロバルブのアクチュエータを制御するためのコントローラにも関する。コントローラは、入力ポートと出力ポートを有する論理回路を含む。論理回路は、入力ポートでのトリガ信号に応答して、出力ポートに所定の時間一定の出力信号を生成し、その後出力ポートにパルス出力信号を生成する。コントローラは、電源とマイクロバルブ・アクチュエータの間に接続されるように適合された通常開のスイッチも含む。このスイッチは、論理回路の出力ポートに接続され、マイクロバルブ・アクチュエータに初期の定電圧を供給するために出力信号に応答して所定の時間閉じ、次いで、マイクロバルブ・アクチュエータにパルス電圧を供給するためにパルス出力信号に応答して二者択一的に(alternatively)交互に開閉する。
【0007】
本発明は、車両制御システム中のマイクロバルブの運転方法にさらに関する。この方法は、(a)電源とマイクロバルブ・アクチュエータの間に接続されるコントローラを供給するステップと、(b)コントローラがトリガを受け取り次第、マイクロバルブ・アクチュエータに定電圧を供給するステップと、(c)所定の時間が経過すると直ちにマイクロバルブ・アクチュエータにパルス電圧を供給するステップとを含む。
【0008】
添付図面を参照して読めば、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、本発明の様々な利点が当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、マイクロバルブのアクチュエータの制御方法、その方法で使用するのに適したコントローラ、および車両制御システム内でマイクロバルブを動作させる方法に関する。マイクロバルブは、任意のタイプのマイクロバルブ・デバイスの一部であり得る。いくつかの実施形態では、マイクロバルブ・デバイスが、車両アンチロック・ブレーキ・システムまたは他の自動車システムの構成要素である。例えば、本発明は、制動の期間はオンに保たれ、短期間オフになり、再度圧力が供給される必要があるアンチロック・ブレーキ・システムのマイクロバルブと共に使用することができる。また、本発明はマイクロバルブの任意タイプのアクチュエータを制御するために使用することもできる。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、アクチュエータを加熱することが、マイクロバルブを開くかまたは閉じるためにアクチュエータを動かす原因となる熱アクチュエータである。
【0010】
マイクロバルブ・デバイスの例
本発明と共に使用するのに適したマイクロバルブ・デバイスの一例が、2003年4月1日にハニカット(ハイunnicutt)に発行された米国特許第6,540,203号B1(参照により本明細書に組み込む)に説明されている。米国特許第6,540,203号の図1A、図1Bおよび図2が添付されている。話を簡単にするために、米国特許第6,540,203号の、本発明に特に関係のある部分だけが、ここで議論されることになる。図1Aでは、流体回路内の流量を制御するためのマイクロバルブ・デバイスが、全体的に10で示されている。マイクロバルブ・デバイス10は、全体的に12で示された本体を含む。本体12は、第1のプレート14、第2のプレート16および第3のプレート18を含む。好ましくは、各プレート14、16、18はシリコンなどの半導体材料で作成される。
【0011】
第1のプレート14が、第1のパイロット・ポート20および第2のパイロット・ポート22を画定する。第1のパイロット・ポート20は、「低圧」の液状媒体または流体源(図示せず)、および「高圧」の液状媒体または流体源(図示せず)のうち1つと接続されるように適合される。第2のパイロット・ポート22は、「低圧」流体源および「高圧」流体源の他方と接続されるように適合される。
【0012】
図2を参照すると、第3のプレート18は、第1のパイロット・ポート20の反対側の第1のパイロット・ポート20’、および第2のパイロット・ポート22の反対側の第2のパイロット・ポート22’を画定する。パイロット・ポート20’および22’は、それぞれ第1および第2のパイロット・ポート20および22に関連した流体源と接続されるように適合される。
【0013】
図1Aに示されるように、第3のプレート18は、第3のプレート18内に形成されている対応する開口内に配設された一対の電気接点32aおよび32bを含む。電気接点32a、32bは、第2のプレート16と接触し、接点32aと32bの間に電圧を供給するための適当な電源(図示せず)と接続されるように適合される。
【0014】
第2のプレート16は、固定部分34と、パイロット・ポート20、20’、22、22’を完全に開いたり閉じたりするための、固定部分34に支持されたパイロット・バルブ36として実施された第1のマイクロバルブと、パイロット・バルブ36を動かすためのアクチュエータ38との主要構成要素を含む。固定部分34は、空洞42を画定し、第1のプレート14および第3のプレート16に固定的に取り付けられる。
【0015】
パイロット・バルブ36は、固定部分34に取り付けられた終端を有する細長い梁として形成されたマイクロバルブである。パイロット・バルブ36は、第1の位置と第2の位置の間で運動するために、空洞42内に移動可能に配設される。図1Aおよび図1Bは、パイロット・バルブ36がそれぞれ第1および第2の位置にある状態を示す。第1の位置では、パイロット・バルブ36は、第2のパイロット・ポート22、22’を塞ぐか実質的に閉じ、第1のパイロット・ポート20、20’を塞ぐのを止めるか完全に開く。第2の位置では、パイロット・バルブ36は、第2のパイロット・ポート22、22’を塞ぐのを止めるか完全に開き、第1のパイロット・ポート20、20’を塞ぐか実質的に閉じる。
【0016】
アクチュエータ38は、第1と第2の位置の間でパイロット・バルブ36を動かすために、パイロット・バルブ36に動作可能に結合される。アクチュエータ38は、複数の対の対向するリブ44aおよび44bを含む。各リブ44a、44bは、第1の終端および第2の終端を有する。リブ44aおよび44bは、直線状でその全長に沿った均一の断面として示されているが、リブ44aおよび44bは、特定の用途に適するのであれば、湾曲するか、角を成すか、または不均一の断面でよいことを理解されたい。リブ44aおよび44bの第1の終端は、それぞれ電気接点32aおよび32bと隣接する固定部分34に取り付けられる。リブ44a、44bの第2の終端は、それぞれの角度で脊柱相当部46(spine)に取り付けられる。リブ44aおよび44bの各対は、一般に、互いに脊柱相当部46で頂点を有する山形を形成する角度にある。電気接点32a、32bが電圧を供給されると、電圧は、リブ44a、44bを通って電気接点32a、32bの間を通る。その結果として、リブ44a、44bは熱膨張する。リブ44a、44bが膨張するのにつれて、リブ44a、44bが延長し、結果として脊柱相当部46が変位する原因となる。リブ44a、44bを通して供給された電圧の量を調整することによって、リブ44a、44bの膨脹量が制御され得て、それによって脊柱相当部46の変位量を制御する。
【0017】
脊柱相当部46は、パイロット・バルブ36の支持端から間隔の離れた箇所でパイロット・バルブ36に取り付けられる。脊柱相当部46が変位すると、パイロット・バルブ36の支持端まわりのモーメントをもたらす力をパイロット・バルブ36上に与える。このモーメントは、パイロット・バルブ36の支持端まわりの第1の方向にパイロット・バルブ36を弾性的に曲げ、パイロット・バルブ36が第1の位置から第2の位置へ動く原因となる。電気接点32a、32bが電源を切られると、リブ44a、44bが冷えてその結果収縮する。リブ44a、44bが収縮すると、リブ44a、44bの膨脹による脊柱相当部46の変位方向の反対方向に脊柱相当部46を変位させる原因となる。リブ44a、44bの収縮によって脊柱相当部46が変位すると、パイロット・バルブ36がパイロット・バルブ36の支持端まわりの第2の方向に曲がり、パイロット・バルブ36が第2の位置から第1の位置へ動く原因となる。
【0018】
パイロット・バルブ36は、流体口を開閉可能な任意の適当なマイクロバルブと取り替えられ得ることを理解されたい。そのうえ、アクチュエータ38は、パイロット・バルブ36または適切な別のマイクロバルブを動作させるのに適する任意の作動手段と取り替えられ得る。
【0019】
本発明による初期電圧およびパルス電圧
本発明は、マイクロバルブを動作させるのに有効な初期電圧をコントローラからアクチュエータに供給し、次いで、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効なパルス電圧をコントローラからアクチュエータに供給することによりマイクロバルブ・アクチュエータを制御する。パルス電圧は、結果として初期電圧より電力使用が少なくなり、それによって、マイクロバルブを動作させるのに必要な電力の全体量を低減する。
【0020】
コントローラからアクチュエータに供給される初期電圧は、マイクロバルブを動作させるのに有効な任意のタイプの電圧でよい。例えば、初期電圧は、マイクロバルブが使用される特定のシステム次第で、全閉位置から全開位置へ、または全開位置から全閉位置へ、マイクロバルブを動かすのに有効であり得る。初期電圧は、任意の適当な方法でこれを達成することができる。完全オン電圧より低い電圧でもマイクロバルブを動作させるのに有効であれば使用することができるにもかかわらず、一般に初期電圧は、完全にオンであるデジタル電気信号に応じた完全オン電圧である。初期電圧は、通常は比較的短期間の電圧であり、一般に短期の初期パルスである。例えば、初期電圧は、約1ミリ秒から約1000ミリ秒の範囲の持続時間を有してよい。
【0021】
図3A、図3Bおよび図3Cは、コントローラからマイクロバルブ・アクチュエータに供給された電圧のトリガ信号への応答の時間に対するグラフである。この電圧は、本発明によってパルス電圧が後続する初期電圧を含む。図3Aに示されるように、一定の初期電圧80が、トリガ信号に応答して初期電圧の開始時T0と初期電圧の終了時T1の間マイクロバルブ・アクチュエータに供給される。図3Bも、マイクロバルブ・アクチュエータに供給される一定の初期電圧80を示す。図3Cで、トリガ信号によって引き起こされた一定の初期電圧82は、図3Aおよび図3Bに示された電圧80より少し長い持続時間(時間T0と時間T1cの間)を有する。図3A〜図3Cにはトリガ信号によって引き起こされた所定の時間完全にオンである一定の初期電圧が示されているが、初期電圧は、マイクロバルブを動作させるのに有効であるならば、パルス幅変調された電圧などのパルス電圧でもよい。
【0022】
コントローラは任意の適当な構成要素を含むことができ、この要素は初期電圧を供給するために任意の適当な関連機器と連携して作動することができる。いくつかの実施形態では、コントローラが、コントローラの電子スイッチ(例えばFETスイッチ)に最初の電気信号を送り、電子スイッチが電源(例えばバッテリー)から供給された電圧を調整してアクチュエータへの初期電圧を供給する。電源はコントローラの構成要素であり得るが、またはコントローラと別々でもよい。図1Aおよび図1Bに示されるマイクロバルブ・デバイスでは、初期電圧が電気接点32aおよび32bに供給され、アクチュエータ38がマイクロバルブ36を動かす原因となる。
【0023】
初期電圧がマイクロバルブを起動した後、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効なパルス電圧がコントローラからアクチュエータに供給される。例えば、初期電圧によってアクチュエータがマイクロバルブを完全な開位置まで移動させると、アクチュエータにマイクロバルブを完全開に維持させるのにパルス電圧が有効である。通常初期電圧の終了直後に、続いてパルス電圧が供給される。
【0024】
パルス電圧は、結果として初期電圧より使用電力が少ない。その結果、マイクロバルブを開き、次いでそれを開に保つのに必要な電力の全体量は、完全にオンである定電圧を使用するのと比較して低減される。そのうえ、使用電力が低減されると、構成要素の加熱が低減する。例えば、図1Aおよび図1Bに示されるアクチュエータ38などのアクチュエータが熱アクチュエータであると、本発明では、アクチュエータが初期電圧の全電力で素早く熱くなり、次いで、パルス電圧によって供給された低減された電力で正しい位置に保持されることが可能になる。
【0025】
コントローラによって供給されるパルス電圧は、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効な任意のタイプのパルス電圧でよい。「パルス電圧」は、0ボルトと所定の電圧の間で周期的に切り替わる電圧を意味する。個々のオン・パルスおよびオフ・パルスは、任意のサイクル中で、同じかまたは異なる持続時間を有することができる。
【0026】
パルス電圧の「デューティ・サイクル」(duty cycle)は、サイクル時間の合計と比較して、電圧がオンである時間の割合を意味する。例えば、50%のデューティ・サイクルは、各サイクルの2分の1が「オン」で、各サイクルの2分の1が「オフ」のものである。本発明は、0%から100%の範囲内、好ましくは約5%から約50%の範囲内で、任意の適当なデューティ・サイクルを有するパルス電圧を考察する。好ましい実施形態では、パルス電圧は、約200ハイzから約100,000ハイzの範囲内、および好ましくは約200ハイzから約4000ハイzの範囲内の周波数を有する。
【0027】
好ましい実施形態では、パルス電圧はパルス幅変調された(PWM)電圧であるが、オン時間が一定の可変周波数電圧(PFM)で本発明を実行することもあり得る。「パルス幅変調された」電圧とは、デューティ・サイクルの「オン」の部分が全サイクル時間中で変化させられる電圧である。例えば、デューティ・サイクルが、1つのサイクルでは比較的低い割合であり、次いで後のサイクルでは比較的高い割合へと変化することがあり得る。PWM電圧のデューティ・サイクルは、上で述べた範囲内で変化し得る。
【0028】
図3Aに示されるように、コントローラは、初期電圧が終了してパルス電圧が開始する時間T1とパルス電圧が終了する時間T2の間、マイクロバルブ・アクチュエータに一定のデューティ・サイクルを有する複数の電圧パルス84を供給する。パルス電圧の実際の持続時間は、通常グラフ中に示される時間より長いものであろう。示された例では、電圧パルス84はすべて同じ周期Tpを有する。デューティ・サイクル(%)は、信号84の0N時間TONを周期Tpで割り、100倍して算出される。図3Aでは、デューティ・サイクルはおよそ50%であるが、本発明は、さらに他の一定のデューティ・サイクルでも実施され得る。
【0029】
図3Bに示される例では、時間T1と時間T2Bの間に一定の第1のデューティ・サイクルを有する第1の電圧パルス84が、また、時間T2Bと時間T3の間に一定の第2のデューティ・サイクルを有する第2の電圧パルス86が、マイクロバルブ・アクチュエータに供給されるようにパルス電圧が変更される。第2のデューティ・サイクルは第1のデューティ・サイクルより小さいので、第2の電圧パルス86は第1の電圧パルス84よりオン時間が短い。図示の実施形態では、時間T1と時間T2Bの間のデューティ・サイクルはおよそ50%であり、時間T2Bと時間T3の間のデューティ・サイクルはおよそ33%であるが、本発明は、他の変化するデューティ・サイクルでも実施され得る。このように、パルス電圧は、全サイクル時間中に複数の異なるデューティ・サイクルを有することができる。そのうえ、本発明は、第1のデューティ・サイクルより大きな第2のデューティ・サイクルを用いて実施されることもできる。
【0030】
図3Cは、全サイクル時間(時間T1cとT2cの間)にわたりデューティ・サイクルが減少されて、第1の電圧パルス84が第2の電圧パルス88より長く、そしてまた第2の電圧パルスが第3の電圧パルス90より長くなるパルス幅変調された電圧を示す。このように、パルス信号のデューティ・サイクルは、全サイクル時間中に変化することができる。同様に、デューティ・サイクルは、全サイクル時間にわたり増加され得る。最後に、デューティ・サイクルは、全サイクル時間中に増加および減少の両方の変化が可能である。上記に示されたように、周波数も変化することができる(図示せず)。
【0031】
コントローラは、任意の適当な要素を含むことができ、任意の適当な関連機器と連携して作動することができて、パルス電圧を供給する。いくつかの実施形態では、コントローラがコントローラの電子スイッチ(例えばFETスイッチ)にパルス電気信号を送り、スイッチが電源(例えばバッテリー)からの電圧を調整してアクチュエータにパルス電圧を供給する。コントローラは、パルス電気信号の周波数を与えるための発振器を含むことができる。
【0032】
マイクロバルブが使用される特定のシステムに依存して、マイクロバルブの動作を継続させるのに必要な間、パルス電圧は継続する。本発明のいくつかの実施形態では、パルス電圧が所定時間で終了する。例えば、通常閉のマイクロバルブを、もはや開位置に保持する必要がないとき、パルス電圧が終了される。別の実施形態では、パルス電圧は終了するのでなく、むしろコントローラが停止信号を受け取るまで継続する。後者の実施形態では、本発明は最小のデューティ・サイクルを維持することができる。
【0033】
本発明で使用することができる制御アルゴリズムおよび電子コントローラのいくつかの例が以下に説明される。様々なタイプの制御アルゴリズムおよびコントローラを使用して本発明を実施することができ、また、それは示されたものに限定されないことが理解されよう。
【0034】
制御アルゴリズム
図4Aは、本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができて、所定の持続時間がある初期電圧およびパルス電圧の両方を有する本発明よる制御アルゴリズムの流れ図である。流れ図はブロック91を通って始まる。次いで、アルゴリズムはブロック92へ進み、マイクロバルブを始動させるための初期電圧の起動時間であるタイマTがゼロに設定される。次いで、アルゴリズムはブロック93へ続き、アクチュエータ(MEMSまたは「ヒータ」)に一定の初期電圧が加えられる。アルゴリズムはブロック94へ進み、タイマ・レジスタが1だけインデックスされる(indexed by one)。次いで、アルゴリズムは判定ブロック95に続き、タイマ・レジスタの内容が、一定初期電圧の指定終了時間である所定期間T1と比較される。TがT1未満であると、アルゴリズムはブロック94に戻って動作が継続する。
【0035】
判定ブロック95で、動作期間がT1以上であると初期動作の期間が終了してアルゴリズムがブロック96へ移り、タイマが、マイクロバルブの動作を継続させるためのパルス幅変調された(PWM)電圧の起動時間であるゼロにリセットされる。アルゴリズムはブロック97へ進み、アクチュエータ(ヒータ)にPWM電圧が加えられて動作が継続する。アルゴリズムはブロック98へ進み、タイマが1だけインデックスされる。次いで、アルゴリズムは判定ブロック99に続き、タイマが、PWM電圧の指定終了時間である所定期間T2と比較される。TがT2未満であると、アルゴリズムはブロック98に戻って動作が継続する。判定ブロック99で、動作期間がT2以上であるとPWM動作期間は終了し、アルゴリズムはブロック100へ移ってアクチュエータ(ヒータ)へのPWM電圧が切られる。次いで、アルゴリズムはブロック105で抜け出す。
【0036】
図4Bは、本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる制御アルゴリズムの別の一実施形態の流れ図である。図4Bに示される実施形態は、図4Aに示されたものと類似しており、アルゴリズムの類似部分は同じ数字の識別子を有する。しかし、図4Bにされるアルゴリズムは、動作の開始または終了を実行するべきか否か示す「オン・フラグ」を含むことが異なる。開始ブロック91の後、アルゴリズムはブロック101へ進み、オン・フラグが調べられる。判定ブロック102でオン・フラグがセットされていると、アルゴリズムは、図4Aに示されるような初期の一定の動作電圧を起動するためにブロック92へ進む。判定ブロック102でオン・フラグがセットされていないと、アルゴリズムは、オン・フラグを再度調べるためにブロック101へ戻る。
【0037】
図4Bに示されるアルゴリズムも、アルゴリズムの最後にオン・フラグを含む。(ブロック97で)初期電圧が終了しPWM電圧が起動された後、ブロック103でオン・フラグが再度調べられる。次いで、アルゴリズムは判定ブロック104へ進み、オン・フラグがセットされているとアルゴリズムはブロック103へ戻り、PWM動作が継続する。判定ブロック104でオン・フラグがセットされていないと、PWM動作は機能ブロック100で終了し、アルゴリズムはブロック105で抜け出す。
【0038】
図5は、本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、より詳細な制御アルゴリズムの流れ図である。流れ図は、ブロック120を通って始まり、1組のアルゴリズム変数が初期化される。次いで、アルゴリズムはブロック122へ進み、第1のパルス時間(初期電圧時間)および動作電流が算定される。これらの値は、例えば外部コンピュータまたは内蔵の組込み型コンピュータによる計算された入力でよい。
【0039】
次いで、アルゴリズムはブロック124へ進み、基準抵抗用にMEMS発熱体の抵抗が特定される。MEMSの抵抗は、MEMSにわずかな電流を供給することにより特定される。MEMSの両端の電圧および小サンプリング抵抗器(small sampling resistor)の両端の電圧降下が測定される。小サンプリング抵抗器両端の電圧降下はMEMS電流に比例する。MEMS抵抗は、MEMS電流で割ったMEMS電圧として算定され、格納される。MEMSの抵抗を測定する目的は、過熱しないことを確実にするためである。抵抗に所定の係数(例えば1.5)を掛けて、結果が所定量より上であると、MEMSは過熱である。MEMSが過熱すると、潜在的なフェイルセーフとして電源が切られる。あるいは、システムに基準抵抗値を格納し、測定された抵抗と比較してもよい。
【0040】
次いで、アルゴリズムは判定ブロック126へ進み、MEMS動作フラグがセットされているか否か判定される。動作フラグがセットされていなければ、アルゴリズムは流れ図の中央に示される経路に沿って進行し、ブロック128へ進む。ブロック128では、ブロック122からの情報が更新(第1のパルス時間および動作電流の計算)される。判定ブロック130では、再度MEMS抵抗が読まれて基準抵抗と比較される。MEMS抵抗が基準抵抗と比較して許容範囲内にあると、アルゴリズムは判定ブロック126に戻り、動作フラグがセットされているか否か再度判定される。MEMS抵抗が高すぎると、アルゴリズムはブロック132へ進み、リセット・フラグをセットしてコントローラを動作不能にし、ローED(図示せず)が点灯してMEMSが過熱していることを示す。任意選択で、ローEDを使用する代わりに、他のコントローラがユニットの運転停止について通知を受けるように、「過熱フラグ」がセットされて他のコントローラに伝達されてもよい。アルゴリズムは判定ブロック126に戻って継続し、MEMSが十分に冷えた後、リセット・フラグをキャンセルし、かつローEDを消灯させる。任意選択の過熱フラグも、もし含まれていればキャンセルされる。
【0041】
再び判定ブロック126に戻って、MEMS動作フラグがセットされていると、アルゴリズムは流れ図の左下側に示された経路に沿って進行し、ブロック136へ進む。ブロック136では、アルゴリズムは、マイクロバルブ・アクチュエータに電源を接続する電子スイッチに初期信号を供給するようにコントローラに指示する。電源が初期の定電圧を印加し、アクチュエータを通って電流が流れ始める。初期の定電圧は、個別のシステム次第で、マイクロバルブを開くか閉じるかのいずれかによってマイクロバルブを始動させるのに有効である。一般に、初期電圧は完全にオンになり、持続時間は比較的短い。
【0042】
初期電圧がオンにされた後、判定ブロック138でスイッチ・オン・フラグが調べられ、オン状態が確認される。初期のスイッチ・オン・フラグがセットされているのが確認されると、アルゴリズムは判定ブロック140に進み、MEMS抵抗が再度調べられて、高すぎないことが確認される。MEMS抵抗が高すぎると、アルゴリズムはブロック132に戻り、前述のように進む。MEMS抵抗が許容範囲内にあると、アルゴリズムは判定ブロック142に進み、初期電圧用に設定された時間が経過したか否か判定される。未経過であると、アルゴリズムは戻って、ブロック138でスイッチ・オン・フラグを調べる。初期電圧の持続時間が経過するまで、アルゴリズムは流れ図の左下隅のループ内で継続する。
【0043】
初期電圧用に設定された時間が経過した後、アルゴリズムはブロック144へ進んで流れ図の右上隅に示されたパルス幅変調(PWM)ループへ進む。ブロック144では、PWM電圧の初期のデューティ・サイクルが算定されて設定される。次いで、アルゴリズムはブロック146に続き、PWM電圧が起動される。アルゴリズムは、マイクロバルブ・アクチュエータに電源を接続する電子スイッチにパルス幅変調された信号を接続するように、コントローラに指示する。その結果生じるPWM電圧は、初期電圧より少ない使用電力でマイクロバルブの動作(マイクロバルブを開または閉に保つこと)を継続させるのに有効である。
【0044】
PWM電圧が起動された後、判定ブロック148で動作フラグが調べられる。フラグがまだセットされたままであると、判定ブロック150でMEMS抵抗が調べられる。MEMS抵抗が許容範囲内であると、アルゴリズムは判定ブロック152に進み、PWMループ時間が経過したかどうか調べて判断する。PWMループ時間が未経過であると、アルゴリズムはブロック148へ戻り、動作フラグが再度調べられ、ブロック150に進んでMEMS抵抗が調べられ、次いでブロック152へ続いてPWMループ時間が再度調べられる。PWMループ時間が経過した後、アルゴリズムはブロック144に戻り、デューティ・サイクルが再計算されて設定され得る。次いで、ブロック146では、PWMは新規のデューティ・サイクルで継続する。このように、PWMデューティ・サイクルは調節され得る。このように、PWMは、判定ブロック148で動作フラグがリセットされてプロセスが終了するまで継続する。
【0045】
別の一実施形態(図示せず)では、コントローラ内部のレジスタ上でPWMデューティ・サイクルを設定することによりアルゴリズムを単純化することができる。その実施形態では、アルゴリズムのPWM部分は、PWMを起動し、フラグを調べ、MEMS抵抗を調べることから構成される。
【0046】
マイクロコントローラ・ベースのMEMコントローラのブロック図
図6は、本発明を実施するために使用することができる、154で全体的に示されたマイクロコントローラ・ベースのMEMコントローラのブロック図である。MEMSコントローラ154はマイクロコントローラ156を含む。任意の適当なマイクロコントローラを使用することができるが、好ましい実施形態では、マイクロコントローラはマイクロチップ社のモデル(Microchip model)PIC16C73Aマイクロプロセッサである。
【0047】
MEMSコントローラ154は、バッテリー158として示される電源を含む。バッテリー158は、レギュレータ、好ましくは低ドロップアウト(ローDO)レギュレータ160に接続される。バッテリーからの電源電圧が低下すると、ローDOレギュレータ160は回路への定出力電圧を維持する。
【0048】
MEMSコントローラ154は、ブロック162に示されるプリドライバ(predriver)およびドライバ(driver)も含む。任意選択で、プリドライバは省略されてもよい。バッテリー158は、一般に電界効果トランジスタ(FET)であるドライバへ電圧を供給する。プリドライバは、マイクロプロセッサとFETのゲートの間のバッファとして作用する。マイクロプロセッサから信号を受け取り次第、プリドライバはドライバをオンに切り換える。動作すると同時に、ドライバは電子スイッチとして稼動し、マイクロバルブ・アクチュエータ164に電圧を供給する。
【0049】
「電圧サンプリング」という名称を与えられたブロック166は、ドライバ162とマイクロコントローラ156の間に接続され、マイクロコントローラ156へMEMS164の両端の電圧をフィードバックする。電圧サンプリング166は、分圧器およびマイクロコントローラ156のA/Dコンバータに接続されるバッファ増幅器を含む。バッファ増幅器は、マイクロコントローラ156用の保護を提供する。あるいは、この目的に1組の抵抗を使用してもよい。
【0050】
図の右下隅に示されるように、MEMS164からアース169に接続されているサンプリング抵抗168まで電流が流れる。サンプリング抵抗168は、MEMSを通る電流に比例した電圧をマイクロコントローラ156へフィードバックする。次いで、この電圧はアース169に向かう。標準的な差動型演算増幅器である第1の増幅器170がサンプリング抵抗168に接続され、サンプリング抵抗168の両端の電圧を検出する。第1の増幅器170は、マイクロコントローラ156のA/Dコンバータに接続される。あるいは、サンプリング抵抗168は、マイクロコントローラ156のA/Dコンバータに直接接続されてもよい。好ましい実施形態は電流サンプリング抵抗168利用するが、本発明は、電流サンプリング集積回路(IC)を用いても実施され得る。
【0051】
MEMSコントローラ154は、ブロック172に示されるバッファおよび低域通過(ローP)フィルタも含む。第1の増幅器170からの出力電圧が、出力に抵抗およびコンデンサを有する演算増幅器から構成されるローPフィルタに印加される。マイクロコントローラ156を保護するためにバッファが与えられている。バッファおよびローPフィルタ172は、マイクロコントローラ156のA/Dコンバータに接続される。あるいは、バッファをコンデンサおよび一対の抵抗と取り替えてもよい。
【0052】
MEMSコントローラ154は、マイクロコントローラ156に接続されるRS−232インタフェース174も含む。RS−232インタフェース174は、マイクロコントローラ156とコンピュータまたは他のデバイス(図示せず)の間のデータの交換を可能にする。
【0053】
MEMSコントローラ154は、さらに入力1および入力2として示された2つの入力を含む。入力の一方は、コントローラ154の動作信号を受け取る。他方の入力は、マイクロバルブがアンチロック・ブレーキ・システムの一部であるとき、制動条件などマイクロバルブの機能を含む別のパラメータに関係してよい。いくつかの実施形態では、入力端上にスイッチが有って、入力をハイ(high)またはロー(low)に調節することができる。入力保護176が、入力とマイクロコントローラ156の間に与えられる。例えば、入力保護をもたらすために抵抗を使用することができる。図6には2つの入力が示されているが、本発明は、入力1だけでも実施され得る。そのうえ、一方または両方の入力が、従来型のインタフェースを介して別のマイクロコントローラから通信され得る。
【0054】
一対のレベル設定ポテンショメータ(pot)178もマイクロコントローラ156に接続される。これらのポテンショメータは、マイクロコントローラ156内で選択された閾値を設定するために調節され得る。例えば、これらは初期電圧およびPWM電圧用の電圧レベルを設定するのに使用され得る。コントローラの動作を助長するために、マイクロコントローラ156に第2のクロック180が接続される。コントローラ154の調節またはトラブルシューティングを容易にするために、マイクロコントローラ156に複数のローED表示器182が接続される。
【0055】
MEMSコントローラの第1の別の実施形態のブロック図
図7Aおよび図7Bは、本発明を実施するために使用することができるMEMSコントローラ184および関連するシステム構成要素の第1の別の実施形態のブロック図である。図7Aは、MEMSコントローラ184がどのようにシステムの他の構成要素に関するかを説明するために、これを単一ブロックとして示すが、図7BはMEMSコントローラ184の様々な構成要素を詳細に示す。図6に示された実施形態とは対照的に、MEMSコントローラ184のこの実施形態はマイクロコントローラを含まない。図6に示される構成要素に似ているMEMSコントローラ184の構成要素は、同じ数字の識別子を有する。
【0056】
以下のステップは、MEMSコントローラの動作を手短に要約する。
【0057】
(1)MEMSコントローラ184へ始動信号が送られて動作を開始させる。始動信号は反転バッファ198によって反転される。反転バッファ198は、NORイネーブル200すなわちNORゲートに接続される。反転された始動信号が、反転バッファ198からNORイネーブル200へ送られる。on/PWM選択器204もNORイネーブル200に接続される。いずれかの入力が「ハイ」であるとNORイネーブル200の出力はゼロであり、両方の入力がゼロであると出力はハイである。NORイネーブル200は、プリドライバおよびドライバの162に接続される。on/PWM選択器204は当初オフであり、したがって、プリドライバ162の別の入力端子にもゼロが出る。NORイネーブル200の両方の入力がゼロであるので、NORの出力はハイになり、ドライバ162がオンに切り換わる。
【0058】
(2)ワンショット・タイマ(one shot timer)202が、反転バッファ198とon/PWM選択器204の間に接続される。ワンショット・タイマ202も始動信号によって始動される。タイマ202は、初期電圧の終了する時間T1に時間を設定される。
【0059】
(3)時間満了になり次第、on/PWM選択器204がオンに切り換わり、NORイネーブル200にPWM波を供給する。NORイネーブル200のPWM入力がハイのとき、ドライバ162が停止される。PWMがロー(ゼロ)のとき、ドライバ162はオンに戻される。
【0060】
(4)始動信号がゼロに向かう(なった)とき、反転バッファ198は対応するNOR入力端子を「ハイ」にし、ドライバ162が停止される。そのうえ、本発明は、始動信号の継続が終わり次第、上記サイクル中のどの時点でもドライバ162が停止されることを考えている。
【0061】
完全オン状態の時間が満了すると、PWMコンパレータ206が動作可能になる。PWMコンパレータ206からの出力は、プリドライバとドライバの162を駆動する。PWMコンパレータ206は、2つの入力を有する。1つの入力はPWM発振器208であり、三角波と周波数のセット(triangular wave frequency set)を出力する。デューティ・サイクルは、電流設定およびループ・ゲインのブロック210によって設定されたPWMコンパレータ206の閾値によって決定される。PWMコンパレータ206のレベルは、電流設定ポテンショメータの電圧から第1の増幅器170によって増幅されたサンプリング抵抗168の電圧を引いた差をとることにより設定される。この差は、電流設定(current set)およびループ・ゲイン増幅器210を介して、次いでPWMコンパレータを206に印加され、PWMコンパレータ206のレベルを設定する。したがって、第1の増幅器170は差動のサンプリング抵抗168の信号電圧を得て、それをシングル・エンド出力に変える。
【0062】
PWM電流は、電流設定およびループ・ゲイン増幅器210に含まれるポテンショメータで設定される。この電流が、コントローラ内の出力調節レベルを設定する。コントローラを多かれ少なかれ感度よくするために、増幅器210もループ・ゲイン調節器を含む。
【0063】
要約すると、MEMSコントローラ184はPWM発振器208を含み、これは三角波の形をしているPWM信号を生成する。コントローラ184は、パルスを作動させる(換言すれば、パルスのリーディング・エッジを確立する)ための三角波上のポイントを確立するバイアス設定器を含む。電流設定およびループ・ゲイン増幅器210からのスイッチ・ポイントのレベルを増加させると、デューティ・サイクルが増加する。
【0064】
第1の増幅器の信号が設定されたバイアス・レベル未満であると、PWMコンパレータ206はデューティ・サイクルをより長くする。デューティ・サイクルがより長くなると、電流が増加する。電流が増加すると第1の増幅器170は高電圧を出力し、これがデューティ・サイクル低下の原因となる。このように、MEMSコントローラ184は負帰還ループを含む。換言すれば、電流が存在しないとき、ある電流レベルが設定されていると、PWMは大きなデューティ・サイクルを有する。次いで、増加した電流により第1の増幅器170の出力が増加するのにつれて、PWMコンパレータ206が応答してそのデューティ・サイクルを低下させる。PWMコンパレータ206は、デューティ設定に近い均衡点に来る。別の実施形態として、このシステムで十分なPID調節器を作成することもできる。
【0065】
MEMSコントローラの第2の別の実施形態のブロック図
図8は、本発明を実施するために使用することができるMEMSコントローラ212および関連するシステム構成要素の別の一実施形態のブロック図である。MEMSコントローラ212のこの実施形態もまたマイクロプロセッサを含まない。図6および図7Bに示された構成要素に似ているMEMSコントローラ212の構成要素は同じ数字の識別子を有する。MEMSコントローラ212は、図7Bに示されたMEMSコントローラ184と同じ論理を使用するが、異なったPWM始動方法を含む。すなわち、MEMSコントローラ212はON/PWM選択器を含まない。前述のコントローラ184のように電圧を完全にオンにして次いで電圧を低下させる代わりに、図8のコントローラ212は、プロセスが進められる2つの電圧レベルを設定するハイ/ロー電流設定器213を含む。一方は最初のターンオン・レベル(初期電圧)に相当する高電圧レベルであり、他方はパルス電圧に相当する低電圧レベルすなわち動作レベルである。コントローラ212のこの実施形態は、そもそも電圧が完全にオンになる必要がなく、初期電圧に関連した電圧の量を制御することができ、また、動作PWM電圧に関連した電圧の量を制御することができる。
【0066】
より詳細には、MEMSコントローラ212は、始動信号を受け取り次第起動するワンショット・タイマ202を含む。時間が始動される一方で、ハイ/ロー電流設定器213は、バッファ増幅器215に初期電圧パルスに相当する高電圧値を供給する。ワンショット・タイマ202が時間満了となり次第、ハイ/ロー電流設定器213は、バッファ増幅器にPWM電圧に相当する低電圧を供給する。サンプリング抵抗168の両端でサンプリングされた、MEMS164を通る電流に比例する電圧は、バッファ増幅器およびレベル入力214を経由する。バッファ増幅器およびレベル入力214は、サンプリングされた電圧を所望の電圧と比較する。バッファ増幅器215からの電圧と第1の増幅器170からの電圧が比較され、コントローラ212がこれら2つの電圧間の差を小さくするように作用する。バッファ増幅器215からの電圧が第1の増幅器170からの電圧より大きいと、コントローラ212はPWM電圧のデューティ・サイクルを増加させる。バッファ増幅器215からの電圧が、第1の増幅器170からの電圧より小さいと、コントローラ212はPWM電圧のデューティ・サイクルを低下させる。これはコントローラによる負帰還システムである。ボックス216内に示されるように、ループ・ゲインが調整され得る。
【0067】
前述のように、コントローラはPWM発振器208も含む。PWM発振器208によって三角波の形をしている電圧が生成される。ループ・ゲイン設定器216からの電圧レベルがこの三角波と共に働いて、PWMコンパレータ206によって生成されたデューティ・サイクルを決定する。換言すれば、PWM発振器208が三角波を生成するので、ループ・ゲイン設定器216からの電圧レベルが増加するとデューティ・サイクルが増加し、一方、ループ・ゲイン設定器216からの電圧レベルが低下するとデューティ・サイクルが低下する。繰り返しになるが、これはコントローラ212による負帰還の形である。
【0068】
特許制定法の条項に従って、本発明の原理および動作モードが、その好ましい実施形態で説明され図示されてきた。しかし、その精神および範囲から逸脱することなく、特に説明され図示された通りの他に、本発明が実施され得ることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1A】本発明によって制御され得るアクチュエータを有するマイクロバルブ・デバイスの上面図である。この図は、第1の位置にあるマイクロバルブ・デバイスを示すために部分的に剥離されている。
【図1B】マイクロバルブ・デバイスが第2の位置に示されていることを除けば図1Aに類似した図である。
【図2】図1Aの線2−2に沿って得られたマイクロバルブ・デバイスの断面図である。
【図3A】本発明によるMEMSコントローラによってマイクロバルブ・デバイスのアクチュエータに供給された電圧の時間に対するグラフである。
【図3B】本発明によるMEMSコントローラによってマイクロバルブ・デバイスのアクチュエータに供給された電圧の時間に対するグラフである。
【図3C】本発明によるMEMSコントローラによってマイクロバルブ・デバイスのアクチュエータに供給された電圧の時間に対するグラフである。
【図4A】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる単純化された制御アルゴリズムの流れ図である。
【図4B】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる単純化された制御アルゴリズムの流れ図である。
【図5】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、より詳細な制御アルゴリズムの流れ図である。
【図6】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、マイクロコントローラ・ベースのMEMSコントローラのブロック図である。
【図7A】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、MEMSコントローラの第1の実施形態のブロック図である。
【図7B】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、MEMSコントローラの第1の別の実施形態のブロック図である。
【図8】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、MEMSコントローラの第2の別の実施形態のブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に微小電子機械システム(MEMS)[Micro Electro Mechanical Systems]に関し、より詳細にはマイクロバルブ(microvalve)のアクチュエータを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSは物理的に小さなシステムの部類であり、マイクロメートル範囲内の寸法であることを特徴とする。これらのシステムは電気的要素および機械的要素の両方を有する。用語「ミクロ機械加工」(micromachining)は、MEMSデバイスの3次元構造体および可動部の製造を意味するものと一般に理解されている。MEMSは、もともと改良集積回路(コンピュータ・チップ)製造技術(化学的エッチングなど)および材料(シリコン半導体材料など)のように非常に小さなメカニカル・デバイスのミクロ機械加工に使用された。今日、さらに多くのミクロ機械加工の技術および材料が利用可能である。本出願で使用される用語「マイクロバルブ」は、寸法がマイクロメートルの範囲内であるという特徴を有し、したがって少なくとも部分的にミクロ機械加工で形成されるものと定義されるバルブを意味する。本出願で使用される用語「マイクロバルブ・デバイス」は、マイクロバルブを含むデバイスおよび他の構成要素を含み得るデバイスを意味する。マイクロバルブとは別の構成要素がマイクロバルブ・デバイスに含まれるとき、これら別の構成要素は、ミクロ機械加工された構成要素または標準サイズの(より大きな)構成要素でよいことに留意されたい。
【0003】
様々なマイクロバルブ・デバイスが、流体回路内の流量制御のために提案されている。例えば、様々なマイクロバルブ・デバイスが、米国特許第6,019,437号、米国特許第6,279,606号B1、米国特許第6,494,804号B1、米国特許第6,505,811号B1、米国特許第6,533,366号B1、米国特許第6,540,203号B1、および米国特許第6,637,722号B2に開示されている。一般的なマイクロバルブ・デバイスは、本体によって移動可能に支持され、閉位置と完全な開位置との間での運動のためにアクチュエータに効果的に結合された変位可能な要素またはバルブを含む。閉位置にあるとき、マイクロバルブは、通常第2の流体口と流体伝達する第1の流体口を塞ぐかまたは閉じて、それによって両流体口間を流体が流れるのを防ぐ。マイクロバルブが閉位置から完全な開位置に移動するとき、流体が、両流体口間を漸増的に流れ得るようになる。通常閉のマイクロバルブは、電気的アクチュエータからの電流の印加など外部の励磁信号がない状態では閉になるものである。通常開のマイクロバルブは、外部の励磁信号の印加がない状態では開になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクチュエータは、通常電源から供給された電圧によって駆動される。マイクロバルブを動作させるのに必要な電力の全体量を低減することができると有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マイクロバルブのアクチュエータの制御方法に関する。アクチュエータに電圧を供給するためにコントローラが与えられる。コントローラは、マイクロバルブを動作させるのに有効な初期電圧をアクチュエータに供給する。次いで、コントローラは、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効なパルス電圧をアクチュエータに供給する。好ましくは、パルス電圧はパルス幅変調された電圧である。
【0006】
本発明は、マイクロバルブのアクチュエータを制御するためのコントローラにも関する。コントローラは、入力ポートと出力ポートを有する論理回路を含む。論理回路は、入力ポートでのトリガ信号に応答して、出力ポートに所定の時間一定の出力信号を生成し、その後出力ポートにパルス出力信号を生成する。コントローラは、電源とマイクロバルブ・アクチュエータの間に接続されるように適合された通常開のスイッチも含む。このスイッチは、論理回路の出力ポートに接続され、マイクロバルブ・アクチュエータに初期の定電圧を供給するために出力信号に応答して所定の時間閉じ、次いで、マイクロバルブ・アクチュエータにパルス電圧を供給するためにパルス出力信号に応答して二者択一的に(alternatively)交互に開閉する。
【0007】
本発明は、車両制御システム中のマイクロバルブの運転方法にさらに関する。この方法は、(a)電源とマイクロバルブ・アクチュエータの間に接続されるコントローラを供給するステップと、(b)コントローラがトリガを受け取り次第、マイクロバルブ・アクチュエータに定電圧を供給するステップと、(c)所定の時間が経過すると直ちにマイクロバルブ・アクチュエータにパルス電圧を供給するステップとを含む。
【0008】
添付図面を参照して読めば、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、本発明の様々な利点が当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、マイクロバルブのアクチュエータの制御方法、その方法で使用するのに適したコントローラ、および車両制御システム内でマイクロバルブを動作させる方法に関する。マイクロバルブは、任意のタイプのマイクロバルブ・デバイスの一部であり得る。いくつかの実施形態では、マイクロバルブ・デバイスが、車両アンチロック・ブレーキ・システムまたは他の自動車システムの構成要素である。例えば、本発明は、制動の期間はオンに保たれ、短期間オフになり、再度圧力が供給される必要があるアンチロック・ブレーキ・システムのマイクロバルブと共に使用することができる。また、本発明はマイクロバルブの任意タイプのアクチュエータを制御するために使用することもできる。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、アクチュエータを加熱することが、マイクロバルブを開くかまたは閉じるためにアクチュエータを動かす原因となる熱アクチュエータである。
【0010】
マイクロバルブ・デバイスの例
本発明と共に使用するのに適したマイクロバルブ・デバイスの一例が、2003年4月1日にハニカット(ハイunnicutt)に発行された米国特許第6,540,203号B1(参照により本明細書に組み込む)に説明されている。米国特許第6,540,203号の図1A、図1Bおよび図2が添付されている。話を簡単にするために、米国特許第6,540,203号の、本発明に特に関係のある部分だけが、ここで議論されることになる。図1Aでは、流体回路内の流量を制御するためのマイクロバルブ・デバイスが、全体的に10で示されている。マイクロバルブ・デバイス10は、全体的に12で示された本体を含む。本体12は、第1のプレート14、第2のプレート16および第3のプレート18を含む。好ましくは、各プレート14、16、18はシリコンなどの半導体材料で作成される。
【0011】
第1のプレート14が、第1のパイロット・ポート20および第2のパイロット・ポート22を画定する。第1のパイロット・ポート20は、「低圧」の液状媒体または流体源(図示せず)、および「高圧」の液状媒体または流体源(図示せず)のうち1つと接続されるように適合される。第2のパイロット・ポート22は、「低圧」流体源および「高圧」流体源の他方と接続されるように適合される。
【0012】
図2を参照すると、第3のプレート18は、第1のパイロット・ポート20の反対側の第1のパイロット・ポート20’、および第2のパイロット・ポート22の反対側の第2のパイロット・ポート22’を画定する。パイロット・ポート20’および22’は、それぞれ第1および第2のパイロット・ポート20および22に関連した流体源と接続されるように適合される。
【0013】
図1Aに示されるように、第3のプレート18は、第3のプレート18内に形成されている対応する開口内に配設された一対の電気接点32aおよび32bを含む。電気接点32a、32bは、第2のプレート16と接触し、接点32aと32bの間に電圧を供給するための適当な電源(図示せず)と接続されるように適合される。
【0014】
第2のプレート16は、固定部分34と、パイロット・ポート20、20’、22、22’を完全に開いたり閉じたりするための、固定部分34に支持されたパイロット・バルブ36として実施された第1のマイクロバルブと、パイロット・バルブ36を動かすためのアクチュエータ38との主要構成要素を含む。固定部分34は、空洞42を画定し、第1のプレート14および第3のプレート16に固定的に取り付けられる。
【0015】
パイロット・バルブ36は、固定部分34に取り付けられた終端を有する細長い梁として形成されたマイクロバルブである。パイロット・バルブ36は、第1の位置と第2の位置の間で運動するために、空洞42内に移動可能に配設される。図1Aおよび図1Bは、パイロット・バルブ36がそれぞれ第1および第2の位置にある状態を示す。第1の位置では、パイロット・バルブ36は、第2のパイロット・ポート22、22’を塞ぐか実質的に閉じ、第1のパイロット・ポート20、20’を塞ぐのを止めるか完全に開く。第2の位置では、パイロット・バルブ36は、第2のパイロット・ポート22、22’を塞ぐのを止めるか完全に開き、第1のパイロット・ポート20、20’を塞ぐか実質的に閉じる。
【0016】
アクチュエータ38は、第1と第2の位置の間でパイロット・バルブ36を動かすために、パイロット・バルブ36に動作可能に結合される。アクチュエータ38は、複数の対の対向するリブ44aおよび44bを含む。各リブ44a、44bは、第1の終端および第2の終端を有する。リブ44aおよび44bは、直線状でその全長に沿った均一の断面として示されているが、リブ44aおよび44bは、特定の用途に適するのであれば、湾曲するか、角を成すか、または不均一の断面でよいことを理解されたい。リブ44aおよび44bの第1の終端は、それぞれ電気接点32aおよび32bと隣接する固定部分34に取り付けられる。リブ44a、44bの第2の終端は、それぞれの角度で脊柱相当部46(spine)に取り付けられる。リブ44aおよび44bの各対は、一般に、互いに脊柱相当部46で頂点を有する山形を形成する角度にある。電気接点32a、32bが電圧を供給されると、電圧は、リブ44a、44bを通って電気接点32a、32bの間を通る。その結果として、リブ44a、44bは熱膨張する。リブ44a、44bが膨張するのにつれて、リブ44a、44bが延長し、結果として脊柱相当部46が変位する原因となる。リブ44a、44bを通して供給された電圧の量を調整することによって、リブ44a、44bの膨脹量が制御され得て、それによって脊柱相当部46の変位量を制御する。
【0017】
脊柱相当部46は、パイロット・バルブ36の支持端から間隔の離れた箇所でパイロット・バルブ36に取り付けられる。脊柱相当部46が変位すると、パイロット・バルブ36の支持端まわりのモーメントをもたらす力をパイロット・バルブ36上に与える。このモーメントは、パイロット・バルブ36の支持端まわりの第1の方向にパイロット・バルブ36を弾性的に曲げ、パイロット・バルブ36が第1の位置から第2の位置へ動く原因となる。電気接点32a、32bが電源を切られると、リブ44a、44bが冷えてその結果収縮する。リブ44a、44bが収縮すると、リブ44a、44bの膨脹による脊柱相当部46の変位方向の反対方向に脊柱相当部46を変位させる原因となる。リブ44a、44bの収縮によって脊柱相当部46が変位すると、パイロット・バルブ36がパイロット・バルブ36の支持端まわりの第2の方向に曲がり、パイロット・バルブ36が第2の位置から第1の位置へ動く原因となる。
【0018】
パイロット・バルブ36は、流体口を開閉可能な任意の適当なマイクロバルブと取り替えられ得ることを理解されたい。そのうえ、アクチュエータ38は、パイロット・バルブ36または適切な別のマイクロバルブを動作させるのに適する任意の作動手段と取り替えられ得る。
【0019】
本発明による初期電圧およびパルス電圧
本発明は、マイクロバルブを動作させるのに有効な初期電圧をコントローラからアクチュエータに供給し、次いで、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効なパルス電圧をコントローラからアクチュエータに供給することによりマイクロバルブ・アクチュエータを制御する。パルス電圧は、結果として初期電圧より電力使用が少なくなり、それによって、マイクロバルブを動作させるのに必要な電力の全体量を低減する。
【0020】
コントローラからアクチュエータに供給される初期電圧は、マイクロバルブを動作させるのに有効な任意のタイプの電圧でよい。例えば、初期電圧は、マイクロバルブが使用される特定のシステム次第で、全閉位置から全開位置へ、または全開位置から全閉位置へ、マイクロバルブを動かすのに有効であり得る。初期電圧は、任意の適当な方法でこれを達成することができる。完全オン電圧より低い電圧でもマイクロバルブを動作させるのに有効であれば使用することができるにもかかわらず、一般に初期電圧は、完全にオンであるデジタル電気信号に応じた完全オン電圧である。初期電圧は、通常は比較的短期間の電圧であり、一般に短期の初期パルスである。例えば、初期電圧は、約1ミリ秒から約1000ミリ秒の範囲の持続時間を有してよい。
【0021】
図3A、図3Bおよび図3Cは、コントローラからマイクロバルブ・アクチュエータに供給された電圧のトリガ信号への応答の時間に対するグラフである。この電圧は、本発明によってパルス電圧が後続する初期電圧を含む。図3Aに示されるように、一定の初期電圧80が、トリガ信号に応答して初期電圧の開始時T0と初期電圧の終了時T1の間マイクロバルブ・アクチュエータに供給される。図3Bも、マイクロバルブ・アクチュエータに供給される一定の初期電圧80を示す。図3Cで、トリガ信号によって引き起こされた一定の初期電圧82は、図3Aおよび図3Bに示された電圧80より少し長い持続時間(時間T0と時間T1cの間)を有する。図3A〜図3Cにはトリガ信号によって引き起こされた所定の時間完全にオンである一定の初期電圧が示されているが、初期電圧は、マイクロバルブを動作させるのに有効であるならば、パルス幅変調された電圧などのパルス電圧でもよい。
【0022】
コントローラは任意の適当な構成要素を含むことができ、この要素は初期電圧を供給するために任意の適当な関連機器と連携して作動することができる。いくつかの実施形態では、コントローラが、コントローラの電子スイッチ(例えばFETスイッチ)に最初の電気信号を送り、電子スイッチが電源(例えばバッテリー)から供給された電圧を調整してアクチュエータへの初期電圧を供給する。電源はコントローラの構成要素であり得るが、またはコントローラと別々でもよい。図1Aおよび図1Bに示されるマイクロバルブ・デバイスでは、初期電圧が電気接点32aおよび32bに供給され、アクチュエータ38がマイクロバルブ36を動かす原因となる。
【0023】
初期電圧がマイクロバルブを起動した後、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効なパルス電圧がコントローラからアクチュエータに供給される。例えば、初期電圧によってアクチュエータがマイクロバルブを完全な開位置まで移動させると、アクチュエータにマイクロバルブを完全開に維持させるのにパルス電圧が有効である。通常初期電圧の終了直後に、続いてパルス電圧が供給される。
【0024】
パルス電圧は、結果として初期電圧より使用電力が少ない。その結果、マイクロバルブを開き、次いでそれを開に保つのに必要な電力の全体量は、完全にオンである定電圧を使用するのと比較して低減される。そのうえ、使用電力が低減されると、構成要素の加熱が低減する。例えば、図1Aおよび図1Bに示されるアクチュエータ38などのアクチュエータが熱アクチュエータであると、本発明では、アクチュエータが初期電圧の全電力で素早く熱くなり、次いで、パルス電圧によって供給された低減された電力で正しい位置に保持されることが可能になる。
【0025】
コントローラによって供給されるパルス電圧は、マイクロバルブの動作を継続させるのに有効な任意のタイプのパルス電圧でよい。「パルス電圧」は、0ボルトと所定の電圧の間で周期的に切り替わる電圧を意味する。個々のオン・パルスおよびオフ・パルスは、任意のサイクル中で、同じかまたは異なる持続時間を有することができる。
【0026】
パルス電圧の「デューティ・サイクル」(duty cycle)は、サイクル時間の合計と比較して、電圧がオンである時間の割合を意味する。例えば、50%のデューティ・サイクルは、各サイクルの2分の1が「オン」で、各サイクルの2分の1が「オフ」のものである。本発明は、0%から100%の範囲内、好ましくは約5%から約50%の範囲内で、任意の適当なデューティ・サイクルを有するパルス電圧を考察する。好ましい実施形態では、パルス電圧は、約200ハイzから約100,000ハイzの範囲内、および好ましくは約200ハイzから約4000ハイzの範囲内の周波数を有する。
【0027】
好ましい実施形態では、パルス電圧はパルス幅変調された(PWM)電圧であるが、オン時間が一定の可変周波数電圧(PFM)で本発明を実行することもあり得る。「パルス幅変調された」電圧とは、デューティ・サイクルの「オン」の部分が全サイクル時間中で変化させられる電圧である。例えば、デューティ・サイクルが、1つのサイクルでは比較的低い割合であり、次いで後のサイクルでは比較的高い割合へと変化することがあり得る。PWM電圧のデューティ・サイクルは、上で述べた範囲内で変化し得る。
【0028】
図3Aに示されるように、コントローラは、初期電圧が終了してパルス電圧が開始する時間T1とパルス電圧が終了する時間T2の間、マイクロバルブ・アクチュエータに一定のデューティ・サイクルを有する複数の電圧パルス84を供給する。パルス電圧の実際の持続時間は、通常グラフ中に示される時間より長いものであろう。示された例では、電圧パルス84はすべて同じ周期Tpを有する。デューティ・サイクル(%)は、信号84の0N時間TONを周期Tpで割り、100倍して算出される。図3Aでは、デューティ・サイクルはおよそ50%であるが、本発明は、さらに他の一定のデューティ・サイクルでも実施され得る。
【0029】
図3Bに示される例では、時間T1と時間T2Bの間に一定の第1のデューティ・サイクルを有する第1の電圧パルス84が、また、時間T2Bと時間T3の間に一定の第2のデューティ・サイクルを有する第2の電圧パルス86が、マイクロバルブ・アクチュエータに供給されるようにパルス電圧が変更される。第2のデューティ・サイクルは第1のデューティ・サイクルより小さいので、第2の電圧パルス86は第1の電圧パルス84よりオン時間が短い。図示の実施形態では、時間T1と時間T2Bの間のデューティ・サイクルはおよそ50%であり、時間T2Bと時間T3の間のデューティ・サイクルはおよそ33%であるが、本発明は、他の変化するデューティ・サイクルでも実施され得る。このように、パルス電圧は、全サイクル時間中に複数の異なるデューティ・サイクルを有することができる。そのうえ、本発明は、第1のデューティ・サイクルより大きな第2のデューティ・サイクルを用いて実施されることもできる。
【0030】
図3Cは、全サイクル時間(時間T1cとT2cの間)にわたりデューティ・サイクルが減少されて、第1の電圧パルス84が第2の電圧パルス88より長く、そしてまた第2の電圧パルスが第3の電圧パルス90より長くなるパルス幅変調された電圧を示す。このように、パルス信号のデューティ・サイクルは、全サイクル時間中に変化することができる。同様に、デューティ・サイクルは、全サイクル時間にわたり増加され得る。最後に、デューティ・サイクルは、全サイクル時間中に増加および減少の両方の変化が可能である。上記に示されたように、周波数も変化することができる(図示せず)。
【0031】
コントローラは、任意の適当な要素を含むことができ、任意の適当な関連機器と連携して作動することができて、パルス電圧を供給する。いくつかの実施形態では、コントローラがコントローラの電子スイッチ(例えばFETスイッチ)にパルス電気信号を送り、スイッチが電源(例えばバッテリー)からの電圧を調整してアクチュエータにパルス電圧を供給する。コントローラは、パルス電気信号の周波数を与えるための発振器を含むことができる。
【0032】
マイクロバルブが使用される特定のシステムに依存して、マイクロバルブの動作を継続させるのに必要な間、パルス電圧は継続する。本発明のいくつかの実施形態では、パルス電圧が所定時間で終了する。例えば、通常閉のマイクロバルブを、もはや開位置に保持する必要がないとき、パルス電圧が終了される。別の実施形態では、パルス電圧は終了するのでなく、むしろコントローラが停止信号を受け取るまで継続する。後者の実施形態では、本発明は最小のデューティ・サイクルを維持することができる。
【0033】
本発明で使用することができる制御アルゴリズムおよび電子コントローラのいくつかの例が以下に説明される。様々なタイプの制御アルゴリズムおよびコントローラを使用して本発明を実施することができ、また、それは示されたものに限定されないことが理解されよう。
【0034】
制御アルゴリズム
図4Aは、本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができて、所定の持続時間がある初期電圧およびパルス電圧の両方を有する本発明よる制御アルゴリズムの流れ図である。流れ図はブロック91を通って始まる。次いで、アルゴリズムはブロック92へ進み、マイクロバルブを始動させるための初期電圧の起動時間であるタイマTがゼロに設定される。次いで、アルゴリズムはブロック93へ続き、アクチュエータ(MEMSまたは「ヒータ」)に一定の初期電圧が加えられる。アルゴリズムはブロック94へ進み、タイマ・レジスタが1だけインデックスされる(indexed by one)。次いで、アルゴリズムは判定ブロック95に続き、タイマ・レジスタの内容が、一定初期電圧の指定終了時間である所定期間T1と比較される。TがT1未満であると、アルゴリズムはブロック94に戻って動作が継続する。
【0035】
判定ブロック95で、動作期間がT1以上であると初期動作の期間が終了してアルゴリズムがブロック96へ移り、タイマが、マイクロバルブの動作を継続させるためのパルス幅変調された(PWM)電圧の起動時間であるゼロにリセットされる。アルゴリズムはブロック97へ進み、アクチュエータ(ヒータ)にPWM電圧が加えられて動作が継続する。アルゴリズムはブロック98へ進み、タイマが1だけインデックスされる。次いで、アルゴリズムは判定ブロック99に続き、タイマが、PWM電圧の指定終了時間である所定期間T2と比較される。TがT2未満であると、アルゴリズムはブロック98に戻って動作が継続する。判定ブロック99で、動作期間がT2以上であるとPWM動作期間は終了し、アルゴリズムはブロック100へ移ってアクチュエータ(ヒータ)へのPWM電圧が切られる。次いで、アルゴリズムはブロック105で抜け出す。
【0036】
図4Bは、本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる制御アルゴリズムの別の一実施形態の流れ図である。図4Bに示される実施形態は、図4Aに示されたものと類似しており、アルゴリズムの類似部分は同じ数字の識別子を有する。しかし、図4Bにされるアルゴリズムは、動作の開始または終了を実行するべきか否か示す「オン・フラグ」を含むことが異なる。開始ブロック91の後、アルゴリズムはブロック101へ進み、オン・フラグが調べられる。判定ブロック102でオン・フラグがセットされていると、アルゴリズムは、図4Aに示されるような初期の一定の動作電圧を起動するためにブロック92へ進む。判定ブロック102でオン・フラグがセットされていないと、アルゴリズムは、オン・フラグを再度調べるためにブロック101へ戻る。
【0037】
図4Bに示されるアルゴリズムも、アルゴリズムの最後にオン・フラグを含む。(ブロック97で)初期電圧が終了しPWM電圧が起動された後、ブロック103でオン・フラグが再度調べられる。次いで、アルゴリズムは判定ブロック104へ進み、オン・フラグがセットされているとアルゴリズムはブロック103へ戻り、PWM動作が継続する。判定ブロック104でオン・フラグがセットされていないと、PWM動作は機能ブロック100で終了し、アルゴリズムはブロック105で抜け出す。
【0038】
図5は、本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、より詳細な制御アルゴリズムの流れ図である。流れ図は、ブロック120を通って始まり、1組のアルゴリズム変数が初期化される。次いで、アルゴリズムはブロック122へ進み、第1のパルス時間(初期電圧時間)および動作電流が算定される。これらの値は、例えば外部コンピュータまたは内蔵の組込み型コンピュータによる計算された入力でよい。
【0039】
次いで、アルゴリズムはブロック124へ進み、基準抵抗用にMEMS発熱体の抵抗が特定される。MEMSの抵抗は、MEMSにわずかな電流を供給することにより特定される。MEMSの両端の電圧および小サンプリング抵抗器(small sampling resistor)の両端の電圧降下が測定される。小サンプリング抵抗器両端の電圧降下はMEMS電流に比例する。MEMS抵抗は、MEMS電流で割ったMEMS電圧として算定され、格納される。MEMSの抵抗を測定する目的は、過熱しないことを確実にするためである。抵抗に所定の係数(例えば1.5)を掛けて、結果が所定量より上であると、MEMSは過熱である。MEMSが過熱すると、潜在的なフェイルセーフとして電源が切られる。あるいは、システムに基準抵抗値を格納し、測定された抵抗と比較してもよい。
【0040】
次いで、アルゴリズムは判定ブロック126へ進み、MEMS動作フラグがセットされているか否か判定される。動作フラグがセットされていなければ、アルゴリズムは流れ図の中央に示される経路に沿って進行し、ブロック128へ進む。ブロック128では、ブロック122からの情報が更新(第1のパルス時間および動作電流の計算)される。判定ブロック130では、再度MEMS抵抗が読まれて基準抵抗と比較される。MEMS抵抗が基準抵抗と比較して許容範囲内にあると、アルゴリズムは判定ブロック126に戻り、動作フラグがセットされているか否か再度判定される。MEMS抵抗が高すぎると、アルゴリズムはブロック132へ進み、リセット・フラグをセットしてコントローラを動作不能にし、ローED(図示せず)が点灯してMEMSが過熱していることを示す。任意選択で、ローEDを使用する代わりに、他のコントローラがユニットの運転停止について通知を受けるように、「過熱フラグ」がセットされて他のコントローラに伝達されてもよい。アルゴリズムは判定ブロック126に戻って継続し、MEMSが十分に冷えた後、リセット・フラグをキャンセルし、かつローEDを消灯させる。任意選択の過熱フラグも、もし含まれていればキャンセルされる。
【0041】
再び判定ブロック126に戻って、MEMS動作フラグがセットされていると、アルゴリズムは流れ図の左下側に示された経路に沿って進行し、ブロック136へ進む。ブロック136では、アルゴリズムは、マイクロバルブ・アクチュエータに電源を接続する電子スイッチに初期信号を供給するようにコントローラに指示する。電源が初期の定電圧を印加し、アクチュエータを通って電流が流れ始める。初期の定電圧は、個別のシステム次第で、マイクロバルブを開くか閉じるかのいずれかによってマイクロバルブを始動させるのに有効である。一般に、初期電圧は完全にオンになり、持続時間は比較的短い。
【0042】
初期電圧がオンにされた後、判定ブロック138でスイッチ・オン・フラグが調べられ、オン状態が確認される。初期のスイッチ・オン・フラグがセットされているのが確認されると、アルゴリズムは判定ブロック140に進み、MEMS抵抗が再度調べられて、高すぎないことが確認される。MEMS抵抗が高すぎると、アルゴリズムはブロック132に戻り、前述のように進む。MEMS抵抗が許容範囲内にあると、アルゴリズムは判定ブロック142に進み、初期電圧用に設定された時間が経過したか否か判定される。未経過であると、アルゴリズムは戻って、ブロック138でスイッチ・オン・フラグを調べる。初期電圧の持続時間が経過するまで、アルゴリズムは流れ図の左下隅のループ内で継続する。
【0043】
初期電圧用に設定された時間が経過した後、アルゴリズムはブロック144へ進んで流れ図の右上隅に示されたパルス幅変調(PWM)ループへ進む。ブロック144では、PWM電圧の初期のデューティ・サイクルが算定されて設定される。次いで、アルゴリズムはブロック146に続き、PWM電圧が起動される。アルゴリズムは、マイクロバルブ・アクチュエータに電源を接続する電子スイッチにパルス幅変調された信号を接続するように、コントローラに指示する。その結果生じるPWM電圧は、初期電圧より少ない使用電力でマイクロバルブの動作(マイクロバルブを開または閉に保つこと)を継続させるのに有効である。
【0044】
PWM電圧が起動された後、判定ブロック148で動作フラグが調べられる。フラグがまだセットされたままであると、判定ブロック150でMEMS抵抗が調べられる。MEMS抵抗が許容範囲内であると、アルゴリズムは判定ブロック152に進み、PWMループ時間が経過したかどうか調べて判断する。PWMループ時間が未経過であると、アルゴリズムはブロック148へ戻り、動作フラグが再度調べられ、ブロック150に進んでMEMS抵抗が調べられ、次いでブロック152へ続いてPWMループ時間が再度調べられる。PWMループ時間が経過した後、アルゴリズムはブロック144に戻り、デューティ・サイクルが再計算されて設定され得る。次いで、ブロック146では、PWMは新規のデューティ・サイクルで継続する。このように、PWMデューティ・サイクルは調節され得る。このように、PWMは、判定ブロック148で動作フラグがリセットされてプロセスが終了するまで継続する。
【0045】
別の一実施形態(図示せず)では、コントローラ内部のレジスタ上でPWMデューティ・サイクルを設定することによりアルゴリズムを単純化することができる。その実施形態では、アルゴリズムのPWM部分は、PWMを起動し、フラグを調べ、MEMS抵抗を調べることから構成される。
【0046】
マイクロコントローラ・ベースのMEMコントローラのブロック図
図6は、本発明を実施するために使用することができる、154で全体的に示されたマイクロコントローラ・ベースのMEMコントローラのブロック図である。MEMSコントローラ154はマイクロコントローラ156を含む。任意の適当なマイクロコントローラを使用することができるが、好ましい実施形態では、マイクロコントローラはマイクロチップ社のモデル(Microchip model)PIC16C73Aマイクロプロセッサである。
【0047】
MEMSコントローラ154は、バッテリー158として示される電源を含む。バッテリー158は、レギュレータ、好ましくは低ドロップアウト(ローDO)レギュレータ160に接続される。バッテリーからの電源電圧が低下すると、ローDOレギュレータ160は回路への定出力電圧を維持する。
【0048】
MEMSコントローラ154は、ブロック162に示されるプリドライバ(predriver)およびドライバ(driver)も含む。任意選択で、プリドライバは省略されてもよい。バッテリー158は、一般に電界効果トランジスタ(FET)であるドライバへ電圧を供給する。プリドライバは、マイクロプロセッサとFETのゲートの間のバッファとして作用する。マイクロプロセッサから信号を受け取り次第、プリドライバはドライバをオンに切り換える。動作すると同時に、ドライバは電子スイッチとして稼動し、マイクロバルブ・アクチュエータ164に電圧を供給する。
【0049】
「電圧サンプリング」という名称を与えられたブロック166は、ドライバ162とマイクロコントローラ156の間に接続され、マイクロコントローラ156へMEMS164の両端の電圧をフィードバックする。電圧サンプリング166は、分圧器およびマイクロコントローラ156のA/Dコンバータに接続されるバッファ増幅器を含む。バッファ増幅器は、マイクロコントローラ156用の保護を提供する。あるいは、この目的に1組の抵抗を使用してもよい。
【0050】
図の右下隅に示されるように、MEMS164からアース169に接続されているサンプリング抵抗168まで電流が流れる。サンプリング抵抗168は、MEMSを通る電流に比例した電圧をマイクロコントローラ156へフィードバックする。次いで、この電圧はアース169に向かう。標準的な差動型演算増幅器である第1の増幅器170がサンプリング抵抗168に接続され、サンプリング抵抗168の両端の電圧を検出する。第1の増幅器170は、マイクロコントローラ156のA/Dコンバータに接続される。あるいは、サンプリング抵抗168は、マイクロコントローラ156のA/Dコンバータに直接接続されてもよい。好ましい実施形態は電流サンプリング抵抗168利用するが、本発明は、電流サンプリング集積回路(IC)を用いても実施され得る。
【0051】
MEMSコントローラ154は、ブロック172に示されるバッファおよび低域通過(ローP)フィルタも含む。第1の増幅器170からの出力電圧が、出力に抵抗およびコンデンサを有する演算増幅器から構成されるローPフィルタに印加される。マイクロコントローラ156を保護するためにバッファが与えられている。バッファおよびローPフィルタ172は、マイクロコントローラ156のA/Dコンバータに接続される。あるいは、バッファをコンデンサおよび一対の抵抗と取り替えてもよい。
【0052】
MEMSコントローラ154は、マイクロコントローラ156に接続されるRS−232インタフェース174も含む。RS−232インタフェース174は、マイクロコントローラ156とコンピュータまたは他のデバイス(図示せず)の間のデータの交換を可能にする。
【0053】
MEMSコントローラ154は、さらに入力1および入力2として示された2つの入力を含む。入力の一方は、コントローラ154の動作信号を受け取る。他方の入力は、マイクロバルブがアンチロック・ブレーキ・システムの一部であるとき、制動条件などマイクロバルブの機能を含む別のパラメータに関係してよい。いくつかの実施形態では、入力端上にスイッチが有って、入力をハイ(high)またはロー(low)に調節することができる。入力保護176が、入力とマイクロコントローラ156の間に与えられる。例えば、入力保護をもたらすために抵抗を使用することができる。図6には2つの入力が示されているが、本発明は、入力1だけでも実施され得る。そのうえ、一方または両方の入力が、従来型のインタフェースを介して別のマイクロコントローラから通信され得る。
【0054】
一対のレベル設定ポテンショメータ(pot)178もマイクロコントローラ156に接続される。これらのポテンショメータは、マイクロコントローラ156内で選択された閾値を設定するために調節され得る。例えば、これらは初期電圧およびPWM電圧用の電圧レベルを設定するのに使用され得る。コントローラの動作を助長するために、マイクロコントローラ156に第2のクロック180が接続される。コントローラ154の調節またはトラブルシューティングを容易にするために、マイクロコントローラ156に複数のローED表示器182が接続される。
【0055】
MEMSコントローラの第1の別の実施形態のブロック図
図7Aおよび図7Bは、本発明を実施するために使用することができるMEMSコントローラ184および関連するシステム構成要素の第1の別の実施形態のブロック図である。図7Aは、MEMSコントローラ184がどのようにシステムの他の構成要素に関するかを説明するために、これを単一ブロックとして示すが、図7BはMEMSコントローラ184の様々な構成要素を詳細に示す。図6に示された実施形態とは対照的に、MEMSコントローラ184のこの実施形態はマイクロコントローラを含まない。図6に示される構成要素に似ているMEMSコントローラ184の構成要素は、同じ数字の識別子を有する。
【0056】
以下のステップは、MEMSコントローラの動作を手短に要約する。
【0057】
(1)MEMSコントローラ184へ始動信号が送られて動作を開始させる。始動信号は反転バッファ198によって反転される。反転バッファ198は、NORイネーブル200すなわちNORゲートに接続される。反転された始動信号が、反転バッファ198からNORイネーブル200へ送られる。on/PWM選択器204もNORイネーブル200に接続される。いずれかの入力が「ハイ」であるとNORイネーブル200の出力はゼロであり、両方の入力がゼロであると出力はハイである。NORイネーブル200は、プリドライバおよびドライバの162に接続される。on/PWM選択器204は当初オフであり、したがって、プリドライバ162の別の入力端子にもゼロが出る。NORイネーブル200の両方の入力がゼロであるので、NORの出力はハイになり、ドライバ162がオンに切り換わる。
【0058】
(2)ワンショット・タイマ(one shot timer)202が、反転バッファ198とon/PWM選択器204の間に接続される。ワンショット・タイマ202も始動信号によって始動される。タイマ202は、初期電圧の終了する時間T1に時間を設定される。
【0059】
(3)時間満了になり次第、on/PWM選択器204がオンに切り換わり、NORイネーブル200にPWM波を供給する。NORイネーブル200のPWM入力がハイのとき、ドライバ162が停止される。PWMがロー(ゼロ)のとき、ドライバ162はオンに戻される。
【0060】
(4)始動信号がゼロに向かう(なった)とき、反転バッファ198は対応するNOR入力端子を「ハイ」にし、ドライバ162が停止される。そのうえ、本発明は、始動信号の継続が終わり次第、上記サイクル中のどの時点でもドライバ162が停止されることを考えている。
【0061】
完全オン状態の時間が満了すると、PWMコンパレータ206が動作可能になる。PWMコンパレータ206からの出力は、プリドライバとドライバの162を駆動する。PWMコンパレータ206は、2つの入力を有する。1つの入力はPWM発振器208であり、三角波と周波数のセット(triangular wave frequency set)を出力する。デューティ・サイクルは、電流設定およびループ・ゲインのブロック210によって設定されたPWMコンパレータ206の閾値によって決定される。PWMコンパレータ206のレベルは、電流設定ポテンショメータの電圧から第1の増幅器170によって増幅されたサンプリング抵抗168の電圧を引いた差をとることにより設定される。この差は、電流設定(current set)およびループ・ゲイン増幅器210を介して、次いでPWMコンパレータを206に印加され、PWMコンパレータ206のレベルを設定する。したがって、第1の増幅器170は差動のサンプリング抵抗168の信号電圧を得て、それをシングル・エンド出力に変える。
【0062】
PWM電流は、電流設定およびループ・ゲイン増幅器210に含まれるポテンショメータで設定される。この電流が、コントローラ内の出力調節レベルを設定する。コントローラを多かれ少なかれ感度よくするために、増幅器210もループ・ゲイン調節器を含む。
【0063】
要約すると、MEMSコントローラ184はPWM発振器208を含み、これは三角波の形をしているPWM信号を生成する。コントローラ184は、パルスを作動させる(換言すれば、パルスのリーディング・エッジを確立する)ための三角波上のポイントを確立するバイアス設定器を含む。電流設定およびループ・ゲイン増幅器210からのスイッチ・ポイントのレベルを増加させると、デューティ・サイクルが増加する。
【0064】
第1の増幅器の信号が設定されたバイアス・レベル未満であると、PWMコンパレータ206はデューティ・サイクルをより長くする。デューティ・サイクルがより長くなると、電流が増加する。電流が増加すると第1の増幅器170は高電圧を出力し、これがデューティ・サイクル低下の原因となる。このように、MEMSコントローラ184は負帰還ループを含む。換言すれば、電流が存在しないとき、ある電流レベルが設定されていると、PWMは大きなデューティ・サイクルを有する。次いで、増加した電流により第1の増幅器170の出力が増加するのにつれて、PWMコンパレータ206が応答してそのデューティ・サイクルを低下させる。PWMコンパレータ206は、デューティ設定に近い均衡点に来る。別の実施形態として、このシステムで十分なPID調節器を作成することもできる。
【0065】
MEMSコントローラの第2の別の実施形態のブロック図
図8は、本発明を実施するために使用することができるMEMSコントローラ212および関連するシステム構成要素の別の一実施形態のブロック図である。MEMSコントローラ212のこの実施形態もまたマイクロプロセッサを含まない。図6および図7Bに示された構成要素に似ているMEMSコントローラ212の構成要素は同じ数字の識別子を有する。MEMSコントローラ212は、図7Bに示されたMEMSコントローラ184と同じ論理を使用するが、異なったPWM始動方法を含む。すなわち、MEMSコントローラ212はON/PWM選択器を含まない。前述のコントローラ184のように電圧を完全にオンにして次いで電圧を低下させる代わりに、図8のコントローラ212は、プロセスが進められる2つの電圧レベルを設定するハイ/ロー電流設定器213を含む。一方は最初のターンオン・レベル(初期電圧)に相当する高電圧レベルであり、他方はパルス電圧に相当する低電圧レベルすなわち動作レベルである。コントローラ212のこの実施形態は、そもそも電圧が完全にオンになる必要がなく、初期電圧に関連した電圧の量を制御することができ、また、動作PWM電圧に関連した電圧の量を制御することができる。
【0066】
より詳細には、MEMSコントローラ212は、始動信号を受け取り次第起動するワンショット・タイマ202を含む。時間が始動される一方で、ハイ/ロー電流設定器213は、バッファ増幅器215に初期電圧パルスに相当する高電圧値を供給する。ワンショット・タイマ202が時間満了となり次第、ハイ/ロー電流設定器213は、バッファ増幅器にPWM電圧に相当する低電圧を供給する。サンプリング抵抗168の両端でサンプリングされた、MEMS164を通る電流に比例する電圧は、バッファ増幅器およびレベル入力214を経由する。バッファ増幅器およびレベル入力214は、サンプリングされた電圧を所望の電圧と比較する。バッファ増幅器215からの電圧と第1の増幅器170からの電圧が比較され、コントローラ212がこれら2つの電圧間の差を小さくするように作用する。バッファ増幅器215からの電圧が第1の増幅器170からの電圧より大きいと、コントローラ212はPWM電圧のデューティ・サイクルを増加させる。バッファ増幅器215からの電圧が、第1の増幅器170からの電圧より小さいと、コントローラ212はPWM電圧のデューティ・サイクルを低下させる。これはコントローラによる負帰還システムである。ボックス216内に示されるように、ループ・ゲインが調整され得る。
【0067】
前述のように、コントローラはPWM発振器208も含む。PWM発振器208によって三角波の形をしている電圧が生成される。ループ・ゲイン設定器216からの電圧レベルがこの三角波と共に働いて、PWMコンパレータ206によって生成されたデューティ・サイクルを決定する。換言すれば、PWM発振器208が三角波を生成するので、ループ・ゲイン設定器216からの電圧レベルが増加するとデューティ・サイクルが増加し、一方、ループ・ゲイン設定器216からの電圧レベルが低下するとデューティ・サイクルが低下する。繰り返しになるが、これはコントローラ212による負帰還の形である。
【0068】
特許制定法の条項に従って、本発明の原理および動作モードが、その好ましい実施形態で説明され図示されてきた。しかし、その精神および範囲から逸脱することなく、特に説明され図示された通りの他に、本発明が実施され得ることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1A】本発明によって制御され得るアクチュエータを有するマイクロバルブ・デバイスの上面図である。この図は、第1の位置にあるマイクロバルブ・デバイスを示すために部分的に剥離されている。
【図1B】マイクロバルブ・デバイスが第2の位置に示されていることを除けば図1Aに類似した図である。
【図2】図1Aの線2−2に沿って得られたマイクロバルブ・デバイスの断面図である。
【図3A】本発明によるMEMSコントローラによってマイクロバルブ・デバイスのアクチュエータに供給された電圧の時間に対するグラフである。
【図3B】本発明によるMEMSコントローラによってマイクロバルブ・デバイスのアクチュエータに供給された電圧の時間に対するグラフである。
【図3C】本発明によるMEMSコントローラによってマイクロバルブ・デバイスのアクチュエータに供給された電圧の時間に対するグラフである。
【図4A】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる単純化された制御アルゴリズムの流れ図である。
【図4B】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる単純化された制御アルゴリズムの流れ図である。
【図5】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、より詳細な制御アルゴリズムの流れ図である。
【図6】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、マイクロコントローラ・ベースのMEMSコントローラのブロック図である。
【図7A】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、MEMSコントローラの第1の実施形態のブロック図である。
【図7B】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、MEMSコントローラの第1の別の実施形態のブロック図である。
【図8】本発明によってマイクロバルブ・アクチュエータを制御するために使用することができる、MEMSコントローラの第2の別の実施形態のブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コントローラから、マイクロバルブを動作させるのに有効な初期の定電圧をアクチュエータに供給するステップと、
(b)前記コントローラから、前記マイクロバルブの前記動作を継続させるのに有効なパルス電圧を前記アクチュエータに供給するステップとを含み、前記コントローラを使用して前記アクチュエータに電圧を供給する、マイクロバルブのアクチュエータの制御方法。
【請求項2】
前記パルス電圧がパルス幅変調された電圧である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントローラが少なくとも1個のスイッチに接続されて前記スイッチに初期信号およびパルス信号を供給し、前記スイッチが前記初期電圧および前記パルス幅変調された電圧に応答して電源からの電力を調整し、前記アクチュエータに初期信号およびパルス信号を供給する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b)で供給された前記パルス幅変調された電圧が、約200ハイzから約100,000ハイzの範囲内の周波数を有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)で供給された前記初期電圧が、約1ミリ秒から約1000ミリ秒の範囲内の持続時間を有する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(b)の期間、前記パルス電圧のデューティ・サイクルが一定である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)の期間、前記パルス幅変調された電圧が複数のデューティ・サイクルを有する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b)の期間、最小のデューティ・サイクルが維持される請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(b)の期間、前記デューティ・サイクルが連続的に変化する請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記アクチュエータが熱アクチュエータである請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記初期電圧が所定の持続時間を有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コントローラが、トリガ信号に応答して前記アクチュエータに前記電圧を供給する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マイクロバルブが自動車システムの構成要素である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(b)の期間に供給される前記電圧が、一定のオン時間および可変周波数を有する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記コントローラがトリガを受け取り次第、ステップ(a)における前記定電圧が供給される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
所定の期間が経過すると直ちにステップ(b)における前記パルス電圧が供給される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(b)が、前記マイクロバルブ・アクチュエータの電流の大きさに応答して前記マイクロバルブ・アクチュエータを流れる電流の大きさを検出し、かつ前記パルス電圧の前記デューティ・サイクルを調節するステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
入力ポートおよび出力ポートを有し、前記入力ポートでのトリガ信号に応答して前記出力ポートに所定の時間一定の出力信号を生成し、その後前記出力ポートにパルス出力信号を生成する論理回路と、
電源とマイクロバルブ・アクチュエータの間に接続されるように適合され、前記論理回路の出力ポートに接続された制御ポートを有し、前記マイクロバルブ・アクチュエータに初期の定電圧を供給するために、前記出力信号に応答して前記所定の時間閉じ、次いで、前記マイクロバルブ・アクチュエータにパルス電圧を供給するために、前記パルス出力信号に応答して交互に開閉する通常開のスイッチとを備える、マイクロバルブのアクチュエータを制御するためのコントローラ。
【請求項19】
前記アクチュエータが熱アクチュエータであり、前記コントローラが前記アクチュエータの温度に比例するフィードバック信号を受け取り、前記フィードバック信号が所定の閾値を超えたとき前記論理回路が前記アクチュエータの電源を切るルーチンを含む請求項18に記載のコントローラ。
【請求項20】
前記パルス出力信号がパルス幅変調された出力信号である請求項19に記載のコントローラ。
【請求項21】
前記論理回路が、前記一定の出力信号および前記パルス幅変調された出力信号の両方の持続時間を決定する請求項20に記載のコントローラ。
【請求項22】
前記コントローラが電源をさらに含む請求項19に記載のコントローラ。
【請求項23】
前記論理回路がマイクロプロセッサをさらに含む請求項22に記載のコントローラ。
【請求項24】
前記通常開のスイッチが電子スイッチであり、さらに前記コントローラが前記マイクロプロセッサと前記電子スイッチの前記制御ポートの間に接続されたドライバを含み、前記ドライバが前記マイクロプロセッサによって生成された出力信号に応答して前記電子スイッチを導通状態と非導通状態の間で遷移させる原因となる請求項23に記載のコントローラ。
【請求項25】
前記コントローラが、前記入力ポートと前記一定の出力信号または前記パルス幅変調された出力信号のいずれかを選択する前記ドライバとの間のワンショット・タイマをさらに含む請求項22に記載のコントローラ。
【請求項26】
前記コントローラが、前記ドライバに効果的に接続されたコンパレータおよび前記コンパレータに接続された発振器をさらに含み、前記発振器が前記パルス幅変調された信号を生成して前記コンパレータに前記信号を送り、前記コンパレータが前記パルス幅変調された信号の前記デューティ・サイクルを調節して前記ドライバに前記調整された信号を送る請求項25に記載のコントローラ。
【請求項27】
前記コントローラが、前記マイクロバルブ・アクチュエータを通って流れる電流の大きさを検出するためのセンサおよび前記マイクロバルブ・アクチュエータに供給される前記パルス電圧のための負帰還ループをさらに含み、増加したアクチュエータ電流に応答して前記パルス出力信号の前記デューティ・サイクルを低下させ、減少したアクチュエータ電流に応答して前記パルス出力信号の前記デューティ・サイクルを増加させる請求項26に記載のコントローラ。
【請求項28】
前記出力信号が一定のオン時間および可変周波数を有する請求項19に記載のコントローラ。
【請求項1】
(a)コントローラから、マイクロバルブを動作させるのに有効な初期の定電圧をアクチュエータに供給するステップと、
(b)前記コントローラから、前記マイクロバルブの前記動作を継続させるのに有効なパルス電圧を前記アクチュエータに供給するステップとを含み、前記コントローラを使用して前記アクチュエータに電圧を供給する、マイクロバルブのアクチュエータの制御方法。
【請求項2】
前記パルス電圧がパルス幅変調された電圧である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントローラが少なくとも1個のスイッチに接続されて前記スイッチに初期信号およびパルス信号を供給し、前記スイッチが前記初期電圧および前記パルス幅変調された電圧に応答して電源からの電力を調整し、前記アクチュエータに初期信号およびパルス信号を供給する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b)で供給された前記パルス幅変調された電圧が、約200ハイzから約100,000ハイzの範囲内の周波数を有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)で供給された前記初期電圧が、約1ミリ秒から約1000ミリ秒の範囲内の持続時間を有する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(b)の期間、前記パルス電圧のデューティ・サイクルが一定である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)の期間、前記パルス幅変調された電圧が複数のデューティ・サイクルを有する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b)の期間、最小のデューティ・サイクルが維持される請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(b)の期間、前記デューティ・サイクルが連続的に変化する請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記アクチュエータが熱アクチュエータである請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記初期電圧が所定の持続時間を有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コントローラが、トリガ信号に応答して前記アクチュエータに前記電圧を供給する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マイクロバルブが自動車システムの構成要素である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(b)の期間に供給される前記電圧が、一定のオン時間および可変周波数を有する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記コントローラがトリガを受け取り次第、ステップ(a)における前記定電圧が供給される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
所定の期間が経過すると直ちにステップ(b)における前記パルス電圧が供給される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(b)が、前記マイクロバルブ・アクチュエータの電流の大きさに応答して前記マイクロバルブ・アクチュエータを流れる電流の大きさを検出し、かつ前記パルス電圧の前記デューティ・サイクルを調節するステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
入力ポートおよび出力ポートを有し、前記入力ポートでのトリガ信号に応答して前記出力ポートに所定の時間一定の出力信号を生成し、その後前記出力ポートにパルス出力信号を生成する論理回路と、
電源とマイクロバルブ・アクチュエータの間に接続されるように適合され、前記論理回路の出力ポートに接続された制御ポートを有し、前記マイクロバルブ・アクチュエータに初期の定電圧を供給するために、前記出力信号に応答して前記所定の時間閉じ、次いで、前記マイクロバルブ・アクチュエータにパルス電圧を供給するために、前記パルス出力信号に応答して交互に開閉する通常開のスイッチとを備える、マイクロバルブのアクチュエータを制御するためのコントローラ。
【請求項19】
前記アクチュエータが熱アクチュエータであり、前記コントローラが前記アクチュエータの温度に比例するフィードバック信号を受け取り、前記フィードバック信号が所定の閾値を超えたとき前記論理回路が前記アクチュエータの電源を切るルーチンを含む請求項18に記載のコントローラ。
【請求項20】
前記パルス出力信号がパルス幅変調された出力信号である請求項19に記載のコントローラ。
【請求項21】
前記論理回路が、前記一定の出力信号および前記パルス幅変調された出力信号の両方の持続時間を決定する請求項20に記載のコントローラ。
【請求項22】
前記コントローラが電源をさらに含む請求項19に記載のコントローラ。
【請求項23】
前記論理回路がマイクロプロセッサをさらに含む請求項22に記載のコントローラ。
【請求項24】
前記通常開のスイッチが電子スイッチであり、さらに前記コントローラが前記マイクロプロセッサと前記電子スイッチの前記制御ポートの間に接続されたドライバを含み、前記ドライバが前記マイクロプロセッサによって生成された出力信号に応答して前記電子スイッチを導通状態と非導通状態の間で遷移させる原因となる請求項23に記載のコントローラ。
【請求項25】
前記コントローラが、前記入力ポートと前記一定の出力信号または前記パルス幅変調された出力信号のいずれかを選択する前記ドライバとの間のワンショット・タイマをさらに含む請求項22に記載のコントローラ。
【請求項26】
前記コントローラが、前記ドライバに効果的に接続されたコンパレータおよび前記コンパレータに接続された発振器をさらに含み、前記発振器が前記パルス幅変調された信号を生成して前記コンパレータに前記信号を送り、前記コンパレータが前記パルス幅変調された信号の前記デューティ・サイクルを調節して前記ドライバに前記調整された信号を送る請求項25に記載のコントローラ。
【請求項27】
前記コントローラが、前記マイクロバルブ・アクチュエータを通って流れる電流の大きさを検出するためのセンサおよび前記マイクロバルブ・アクチュエータに供給される前記パルス電圧のための負帰還ループをさらに含み、増加したアクチュエータ電流に応答して前記パルス出力信号の前記デューティ・サイクルを低下させ、減少したアクチュエータ電流に応答して前記パルス出力信号の前記デューティ・サイクルを増加させる請求項26に記載のコントローラ。
【請求項28】
前記出力信号が一定のオン時間および可変周波数を有する請求項19に記載のコントローラ。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公表番号】特表2008−508485(P2008−508485A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523546(P2007−523546)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/012712
【国際公開番号】WO2006/022883
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(599153493)ケルシ・ヘイズ、カムパニ (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/012712
【国際公開番号】WO2006/022883
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(599153493)ケルシ・ヘイズ、カムパニ (7)
【Fターム(参考)】
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