説明

マイクロボール搭載装置およびその搭載方法

【課題】 基板の端子領域上に導電性ボールをより正確にかつ確実に搭載することができる導電性ボールの搭載装置を提供する。
【解決手段】 マイクロボール搭載装置200は、基板100の一面に形成された複数の端子領域108が開放されるように基板100を載置するバックアッププレート220と、金属マスクを含み、基板の複数の端子領域108と対応する複数の貫通孔216が形成された振込みマスク210と、振込みマスク210が基板の一面と対向するように振込みマスクの端部210aを固定する固定ブロック230と、振込みマスク210を磁力によりバックアッププレート220側に引き付けるマグネット部240とを有し、マグネット部240は、振込みマスクの中央部の引き付け力を、周縁部の引き付け力より小さくしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BGAやCSPパッケージ等の表面実装型の半導体装置にマイクロボールを搭載するためのマイクロボールマウンタに関し、特に、振込みマスクを用いてマイクロボールを基板の端子領域上に搭載する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯型コンピュータ、その他の小型電子機器の普及に伴い、これらに搭載する半導体装置の小型化・薄型化の要求が高まっている。こうした要求に応えるべくBGAパッケージやCSPパッケージが開発され、実用化されている。
【0003】
BGAまたはCSPパッケージは、表面実装用の半導体装置であり、パッケージの基板の一面には、外部接続端子用のマイクロボールが搭載され、そこに接続されている。このようなマイクロボールを搭載する方法には、吸着ヘッドを利用した方法と、振込みマスクを利用した方法がある。
【0004】
前者の方法は、図9(a)に示すように、半導体チップ1を樹脂2でモールドした基板3をステージ上に載置する。基板3の端子領域(電極ランド)4には、フラックスまたははんだペーストが形成されている。吸着ヘッド5には、マイクロボール(はんだボール)6を真空吸着するための吸着孔7が形成され、マイクロボール6を吸着した状態で吸着ヘッド5を基板3へ向けて移動させ、吸着ヘッド5でマイクロボール6を加圧し、マイクロボール6を端子領域4に搭載する。このようなマイクロボールの搭載方法は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0005】
後者の方法は、図9(b)に示すように、基板3に対向するように振込みマスク10を配置させる。振込みマスク10には、基板3の端子領域4のパターンと同一パターンの貫通孔11が形成されている。振込みマスク10上に供給されたマイクロボール6が貫通孔11内に落とし込まれ、端子領域4上に搭載される。その後、リフローによりマイクロボール6と端子領域4とを金属間接合し、BGAまたはCSPパッケージの外部接続用のバンプ電極が形成される。このようなマイクロボールの搭載方法は、例えば特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−332899号
【特許文献2】特開平8−335771号
【特許文献3】特開2004−327536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の振込みマスクによるマイクロボール搭載装置には、次のような課題がある。図10(a)に示すように、基板3は、樹脂2をバックアッププレート20に載置され、振込みマスク10は、その端部10aを図示しない固定台に固定され、振込みマスク10と基板3とが対向してに配置されている。また、バックアッププレート20の下部には、マグネット22が設けられ、マグネット22の磁力により金属マスクを含む振込みマスク10がバックアッププレート20側に引き付けられ、振込みマスク10が基板3に密着されている。この状態でマイクロボール6が貫通孔11を介して端子領域4上に落とし込まれる。
【0008】
マイクロボール6の搭載後、図10(b)に示すように、バックアッププレート20およびマグネット22が下降され、振込みマスク10から基板3が離型される。このとき、マグネット22の磁力の作用により、端部10aを固定された振込みマスク10の中央部10bが下方に凹状に撓んでしまい、振込みマスク10の離型がその中央部ほど遅れてしまう。振込みマスク10に撓みが生じると、振込みマスク10の貫通孔111の垂直方向の位置がずれるため、基板上に搭載されたマイクロボール6の位置が貫通孔11によりずらされてしまうという課題がある。
【0009】
また、振込みマスク10は、図11(a)に示すように、金属マスク30とその下層に形成された樹脂層32を含み、金属マスク30には、マイクロボール6の径よりも幾分大きな貫通孔11が形成され、樹脂層32には、貫通孔11の径よりも大きな開口34が形成されている。マイクロボール6が基板3の端子領域4上に搭載された後、基板3が振込みマスク10から離型されるとき、上記したように、振込みマスク10が撓んだり、貫通孔11の精度が悪いと、図11(b)に示すように、マイクロボール6が貫通孔11の側面に接触してそこに留まり、マイクロボール6が端子領域4上にうまく落とし込まれないという課題がある。
【0010】
このようなマイクロボールの位置ずれや搭載不良は、半導体装置の不良、欠陥の原因となり、その結果、歩留まりが低下し、製造コストが上昇してしまう。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、基板の端子領域上に導電性ボールをより正確にかつ確実に搭載することができる導電性ボールの搭載装置およびその搭載方法を提供することを目的とする。
さらに本発明の他の目的は、BGAやCSP等の表面実装型の半導体装置の歩留りを向上させ、製造コストを低減することができる導電性ボールの搭載装置およびその搭載方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る導電性ボールの搭載装置は、基板の一面に形成された複数の端子領域に導電性ボールを搭載するものであって、基板の一面が開放されるように基板を載置する載置部材と、金属製の部材を含み、当該金属製の部材に前記基板の複数の端子領域と対応する複数の貫通孔が形成されたマスクと、マスクが基板の一面と対向するようにマスクの端部を固定する固定手段と、前記載置部材の基板を載置する側と反対側に設けられ、マスクを磁力により載置部材側に引き付けるものであり、かつ基板の中央部におけるマスクの引き付け力を基板の周縁部におけるマスクの引き付け力よりも小さくした引き付け手段を含む。
【0013】
好ましくは引き付け手段は、基板の周縁部に対応する第1のマグネット部と、基板の中央部に対応する第2のマグネット部とを有し、第2のマグネット部の磁力は第1のマグネット部の磁力よりも小さい。第1および第2のマグネット部は、例えば磁力の異なる永久磁石を用いることができる。
【0014】
また引き付け手段は、基板の周縁部におけるマスクまでの距離が基板の中央部におけるマスクまでの距離よりも小さくなるように厚さが可変された磁石を有するものでもよい。さらに引き付け手段は、基板の周縁部の厚さが基板の中央部の厚さよりも小さくなるように構成された載置部材と、載置部材に近接して設けられた磁石とを有するようにしてもよい。
【0015】
さらに本発明に係る導電性ボールの製造装置は、基板の一面に形成された複数の端子領域に導電性ボールを搭載するものであって、基板の一面が開放されるように基板を載置する載置部材と、前記基板の複数の端子領域と対応する複数の貫通孔が形成されたマスクと、マスクが基板の一面と対向するようにマスクの端部を固定する固定手段と、前記載置部材が前記マスクから離間しまたは接近するように前記載置部材を移動させる移動手段と、マスクの貫通孔を介して導電性ボールが端子領域に搭載された後、前記マスクを振動させる振動手段とを有する。
【0016】
好ましくは振動手段は、少なくとも1回の衝撃をマスクの水平方向に与えるものであってもよい。また、振動手段は、基板の端子領域がマスクから一定距離だけ離れたとき、マスクへ振動を与えることが望ましい。
【0017】
本発明に係る導電性ボールの搭載方法は、基板の一面に形成された複数の端子領域への導電性ボールを搭載する方法であって、基板の複数の端子領域に対応する複数の貫通孔が形成されたマスクに対向するように基板を配置させ、複数の貫通孔から導電性ボールを基板上に落とし込み、導電性ボールを対応する端子領域上に搭載し、基板がマスクから一定距離だけ離間されたとき、マスクを振動させる工程を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マスクから基板を離型させる際に、基板の中央部におけるマスクの引き付け力を、基板の周縁部におけるマスクの引き付け力よりも小さくするようにしたので、マスクの中央部の撓みが抑制され、基板に搭載された導電性ボールがマスクによって位置ずれを起こすことが防止される。さらに、マスクから基板を離型させる際に、マスクに振動を与えることで、マスクの貫通孔内に留まっている導電性ボールを基板の端子領域上に落とし込ませることができる。これにより、半導体装置の歩留まりが改善され、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例に係る半導体装置の製造工程を示す概略フローである。
【図2】図2(a)は半導体チップが実装された基板を例示する平面図、図2(b)は基板上の1つの半導体チップを樹脂でモールドしたときの断面図である。
【図3】本発明の実施例に係るマイクロボール搭載装置の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図4】振込みマスクの平面図である。
【図5】図5(a)は、振込みマスク、基板、およびマグネット部の平面的なサイズを垂直方向に投影した図、図5(b)は、それらのサイズを側面から模式的に表した図である。
【図6】マイクロボール搭載装置に基板を載置するときの状態を示す模式的な断面図である。
【図7】図7(a)は、振込みマスクに振動を与える状態を示し、図7(b)は振動によりマイクロボールが振り落とされた状態を示す図である。
【図8】本実施例のマグネット部の変形例を示す図である。
【図9】従来のマイクロボールの搭載方法を示す、図9(a)は、吸着ヘッドによる搭載方法、図9(b)は、振込みマスクによる搭載方法を示す図である。
【図10】従来の振込みマスクによる課題を説明する図である。
【図11】従来の振込みマスクによる課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の実施例に係る半導体装置の好ましい製造工程の概略フローである。本実施例では、表面実装用の半導体装置としてBGAパッケージを例にする。先ず、基板上に複数の半導体チップを実装し(ステップS101)、実装された半導体チップを樹脂でモールドする(ステップS102)。次に、基板の端子領域(電極ランド)にマイクロボールを搭載し(ステップS103)、リフローによりマイクロボールと端子領域とを金属接合させ(ステップS104)、半導体チップ毎に基板を切断するシンギュレーションが行われる(ステップS105)。
【0022】
図2(a)は、半導体チップを実装した基板の平面図、図2(b)は基板上に実装された1つの半導体チップの断面を示す図である。基板100は、その構成が特に限定されるものではないが、絶縁層と配線層を積層した多層配線基板やフィルム基板を用いることができる。基板100の外形は、例えば、長手方向が約230mm、短手方向が約62mmである。基板100の表面上には、半導体チップ102が2次元アレイ状に実装される。例えば、5×5の半導体チップを1つのブロック104Aとし、このようなブロック104B、104C、104Dを基板100の長手方向に配列している。
【0023】
一つの半導体チップ102は、図2(b)に示すようにダイアタッチ等の接着剤を介して基板100上に固定され、半導体チップ102の表面に形成された電極は、ボンディングワイヤ106により基板100上の配線パターンに接続される。あるいは、半導体チップ102は、その表面に形成されたバンプ電極をフェイスダウンし基板の配線パターンに接続するフリップチップ実装であってもよい。基板100の表面に形成された配線パターンは、内部配線を介して基板100の裏面にアレイ状に形成された複数の端子領域(図中、黒で示された部分)108にそれぞれ電気的に接続される。端子領域108は、後述するように、BGAパッケージの外部接続端子用のマイクロボールを接続する領域を提供し、例えば、1つのBGAパッケージ当り数十ないし数百個のマイクロボールを接続することができる。
【0024】
また、基板100上の個々の半導体チップ102は、樹脂110によりモールドされる。本実施例では、5×5の半導体チップから成る1つのブロックを一括してモールドする。但し、半導体チップ102の各々を個別にモールドしてもよい。例えば、基板100の表面からの樹脂110の高さは、約450ミクロンであり、基板100の厚さは、約240ミクロンである。
【0025】
次に、マイクロボール搭載装置について説明する。図3は、マイクロボール搭載装置の断面構造を模式的に示す図であり、ここでは、説明を分かり易くするため1つの半導体チップを搭載した基板とそれに対応する振込みマスクを例示している。従って、図示するマイクロボール搭載装置と、必ずしも実際のものと同一のスケールではない。
【0026】
マイクロボール搭載装置200は、基板100の複数の端子領域108のパターンと同一パターンを有する複数の貫通孔が形成された振込みマスク210と、ステンレス等の金属から構成され、基板100のモールド樹脂面を載置するバックアッププレート220と、バックアッププレート220の周囲に配置され、振込みマスク210の端部210aを真空吸着等により固定する固定ブロック230と、バックアッププレート230の下部に配され、振込みマスク210を磁力により引き付けるマグネット部240と、バックアッププレート230およびマグネット部240を鉛直方向に移動させる駆動装置250と、固定ブロック230に固定された振込みマスク210の端部210aに振動を与える振動装置260とを備えている。
【0027】
図4は、振込みマスクの平面図を示すとともに、1つの半導体チップに対応するマスクの領域を拡大して示している。振込みマスク210は、基板100のブロック104A〜104Dに対応する領域に貫通孔216が形成されている。振込みマスク210は、図3に示すように、2層のマスクを整列させたものであり、1層目マスク212は、ステンレス等の金属から構成され、この金属マスクに貫通孔216が形成されている。2層目マスク214は、アクリル、エポキシ樹脂などの樹脂層からなり、そこには、1つの半導体チップの基板に形成された端子領域に対応する矩形状の開口218が形成されている。図4を例にすれば、1つの半導体チップの基板に形成された端子領域(5×5)に対応して、1層目マスク212には、5×5の貫通孔216が形成され、2層目マスク214には、5×5の貫通孔216の領域を含む矩形状の開口218が形成されている。
【0028】
振込みマスク210は、その外周を成す端部210aが固定ブロック230によって固定され、振込みマスク210の中央部は端部210aを支点に鉛直方向に撓むことができる。振込みマスク210の中央部は、後述するように、マイクロボールを搭載するとき、マグネット部240の磁力によりバックアッププレーと220側に引き付けられ、振込みマスク210が基板100のマイクロボール搭載面に密着される。
【0029】
本実施例では、マグネット部240が相対的に磁力の異なる2つの永久磁石を含んでいる。図5(a)は、振込みマスク、基板、およびマグネット部の平面的なサイズを垂直方向に投影した図、図5(b)は、それらのサイズを側部から模式的に表した図である。同図において、P1は、振込みマスク210のエッジ(外縁)を示し、P2は、固定ブロック230が固定する振込みマスク210の端部210aの境界を示し、P3は、基板100のエッジおよびマグネット部240のエッジを示し、P4は、マグネット部240の中央の相対的に磁力が弱い領域の境界を示している。
【0030】
振込みマスク210は、エッジP1から境界P2に示す端部210aを固定ブロック230により固定される。基板100がバックアッププレート220に載置されたとき、基板100は、振込みマスク210の中心線Cに関し線対称となるように配置される。マグネット部240は、基板100とほぼ同一の平面サイズであるが、基板100の周縁領域100aに対応して相対的に磁力が強いマグネット領域242と、基板100の周縁領域100aの内側の内部領域100bに対応して相対的に磁力が弱いマグネット領域244とを有している。
【0031】
次に、マイクロボール搭載装置の動作について説明する。初めに、図6に示すように、駆動装置250によってバックアッププレート220およびマグネット部240が所定位置まで降下され、基板100のマイクロボール搭載面(端子領域108が形成された面)が上方を向くようにモールド樹脂面がバックアッププレート220上に載置される。他方、振込みマスク210の端部210aが固定ブロック230によって固定される。
【0032】
次に、駆動装置250は、バックアッププレート220およびマグネット部240を一定の位置まで上昇させる。例えば、基板のマイクロボール搭載面が振込みマスク210の2層目マスク214に接触する位置までバックアッププレート220が上昇される。これにより、振込みマスク210は、マグネット部240の磁力によりバックアッププレート側に引き付けられ、振込みマスク210が基板のマイクロボール搭載面を押圧する。基板100に反りがある場合には、振込みマスク210による押圧により基板の反りが矯正される。
【0033】
次に、図3に示すように、振込みマスク210の表面にマイクロボール270が供給される。マイクロボール270は、例えば、銅等の金属や樹脂からなるコアの表面にはんだ層が形成された金属ボールであり、その径は、300ミクロン、180ミクロン、あるいは、ファインピッチに対応するもので、約100ミクロンである。貫通孔216の径は、マイクロボール270の径よりも10ないし20ミクロン程度大きい。ここで、振込みマスク210の厚さはマイクロボール270の約1.1倍程度が好ましく、また、振込みマスク210の樹脂層214の厚さは、マイクロボールの横ずれを防止する観点から、マイクロボール270の約1/3程度が好ましい。例えば、マイクロボール270の径を180ミクロンとすると、金属マスク212の厚さが140ミクロン程度であり、樹脂層140の厚さが60ミクロンであり、振込みマスク210の厚さは200ミクロン程度である。
【0034】
供給されたマイクロボール270は、貫通孔216内に落とし込まれ、マイクロボール270は、基板100の端子領域108上に搭載される。端子領域108には、好ましくは、フラックスまたははんだペーストが形成され、マイクロボール270を吸着する。
【0035】
マイクロボール270の搭載が完了すると、駆動装置250は、バックアッププレート220およびマグネット部240を下降させる。下降直後、振込みマスク210には、マグネット部240による磁力が作用するが、マグネット部240の中央部のマグネット領域244の磁力は、その周縁部のマグネット領域242の磁力よりも小さいため、振込みマスク210の中央部へ作用する磁力が周縁部に比べて緩和され、振込みマスク210の中央部の撓みが抑制される。これにより、振込みマスク210の貫通孔216によるマイクロボール270への干渉が防止され、マイクロボールに位置ずれを生じさせない。
【0036】
さらに、本実施例では、マイクロボールの搭載をより確実に行うため、駆動装置250は、バックアッププレート220を一定距離だけ下降させた時点でバックアッププレートを停止させ、この状態で、振動装置260により振込みマスク210に対して振動を与える。振動は、好ましくは水平方向の振動であり、また振動は、少なくとも1回の衝撃であってもよい。振動を与える方法は、公知の手段を用いることができ、例えば、モータによりカムを回転させ、カム面と振込みマスクの側面を摺動させることにより振込みマスクに水平方向の振動または衝撃を与えることができる。
【0037】
振込みマスクから基板を離型する際に、振込みマスク210に撓みが依然として残っているとき、あるいは貫通孔216の精度が良くないとき、図7(a)に示すように、振込みマスク210の貫通孔216内にマイクロボール270が接触しそこに留まることがある。本実施例では、振込みマスク210に振動を与えることで、貫通孔216内に留まっているマイクロボール270を、図7(b)に示すように、貫通孔216から離脱させ、端子領域108上へ振り落とすことができる。
【0038】
バックアッププレート220を停止させる位置は、好ましくは、振込みマスク210の厚さ程度である。振込みマスク210と基板のマイクロボール搭載面との間隔が大きくなり過ぎると、貫通孔216から落下されたマイクロボールが正確に端子領域108上に搭載されない可能性が生じるためである。さらに、振動により振込みマスク210を水平方向へ移動させる距離は、例えば、マイクロボールの径の1/2以下である。移動距離が大きくなりすぎると、やはりマイクロボール270が端子領域108上に正確に搭載されなくなるためである。
【0039】
以上の工程を経て、マイクロボールを搭載した基板が搭載装置から取り外され、次いで、リフロー工程に移され、そこでマイクロボール表面に形成されたはんだ層と端子領域106との金属間接合が行われる。そして、基板は、ブレードにより個々の半導体チップに切り落とされ、マイクロボール270を搭載したBGAパッケージが得られる。
【0040】
このように、本実施例によれば、振込みマスクに作用する磁力を周縁部よりも中央部で弱くすることにより、振込みマスクから基板を離型させるときの振込みマスクの撓みを抑制し、振込みマスクの干渉によるマイクロボールの位置ずれを防止することができる。さらに、振込みマスクに振動を与えることで、貫通孔内に留まっているマイクロボールをより確実にかつ正確に基板の端子領域上に搭載させることができる。
【0041】
次に、本実施例のマグネット部の変形例について説明する。上記実施例では、振込みマスクへの引き付け力を可変させるために磁力の異なる2つの永久磁石を用いたが、これ以外にも、例えば、1つの永久磁石を用いてその引き付け力を可変するようにしてもよい。図8(a)に示すように、マグネット領域302から基板100の周縁領域100aに対応する振込みマスク210までの距離D1を、マグネット領域304から基板100の内部領域100bに対応する振込みマスク210までの距離D2よりも小さくなるように永久磁石300の厚さを変えることができる。これにより、振込みマスク210への磁力による引き付けを、周縁部で大きくし、中央部で小さくすることができる。
【0042】
また、図8(b)に示すように、永久磁石310と振込みマスク210との間に位置するバックアッププレート222の厚さを、基板100の周縁領域100aに対応する領域224を基板の内部領域100bに対応する領域よりも薄くするようにしてもよい。これにより、永久磁石310による振込みマスク210の磁力による引き付け力を、周縁部で強くし、中央部で小さくすることができる。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0044】
マグネット部240の磁力による引き付け力が異なる中央部および周縁部は、振込みマスクの大きさ、形状、および剛性等に応じて適宜変更することができ、さらには、基板の大きさ、形状、端子領域の配列等に応じて適宜変更することができる。本発明において、重要なことは、振込みマスクへの引き付け力が周縁部よりも中央部で相対的に小さくなっていることである。
【0045】
また上記実施例では、BGAパッケージを例にしたが、本発明は、CSPパッケージやその他の表面実装型の半導体装置についても適用することができる。また、上記実施例では、振込みマスクが金属層とレジストの2層構造からなる例を示したが、振込みマスクは、単層構造であってもよいし、さらには3層以上の積層構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る導電性ボールの搭載装置は、表面実装型の半導体装置を製造する半導体製造装置において利用される。
【符号の説明】
【0047】
100:基板
102:半導体チップ
104A、104B、104C、104D:ブロック
106:ボンディングワイヤ
108:端子領域
110:モールド樹脂
200:マイクロボール搭載装置
210:振込みマスク
212:1層目マスク
214:2層目マスク
216:貫通孔
218:開口
220:バックアッププレート
230:固定ブロック
240:マグネット部
242、244:マグネット領域
250:駆動装置
260:振動装置
270:マイクロボール
300、310:永久磁石
302、304:マグネット領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面に形成された複数の端子領域に導電性ボールを搭載する搭載装置であって、
基板の一面が開放されるように基板を載置する載置部材と、
前記基板の複数の端子領域と対応する複数の貫通孔が形成されたマスクと、
マスクが基板の一面と対向するようにマスクの端部を固定する固定手段と、
前記載置部材が前記マスクから離間しまたは接近するように前記載置部材を移動させる移動手段と、
マスクの貫通孔を介して導電性ボールが端子領域に搭載された後、前記マスクを振動させる振動手段と、
を有する搭載装置。
【請求項2】
前記振動手段は、少なくとも1回の衝撃をマスクの水平方向に与える、請求項1に記載の搭載装置。
【請求項3】
前記振動手段は、基板の端子領域がマスクから一定距離だけ離れたとき、マスクへ振動を与える、請求項1または2に記載の搭載装置。
【請求項4】
基板は、前記一面と対向する面に半導体チップと当該半導体チップを封止する樹脂とを含み、当該樹脂が載置部材上に載置される、請求項1ないし3いずれか1つに搭載装置。
【請求項5】
基板の一面に形成された複数の端子領域への導電性ボールの搭載方法であって、
基板の複数の端子領域に対応する複数の貫通孔が形成されたマスクに対向するように基板を配置させ、
複数の貫通孔から導電性ボールを基板上に落とし込み、導電性ボールを対応する端子領域上に搭載し、
基板がマスクから一定距離だけ離間されたとき、マスクを振動させる、工程を含む搭載方法。
【請求項6】
マスクを磁力により載置位置に引き付ける工程であって、基板の中央のマスクの引き付け力が基板の周辺部のマスクの引き付け力よりも小さい、工程を更に含む請求項5に記載の搭載方法。
【請求項7】
振動は、マスクへの少なくとも1回の水平方向の衝撃を含む、請求項5または6に記載の搭載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−88574(P2009−88574A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18433(P2009−18433)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【分割の表示】特願2007−25596(P2007−25596)の分割
【原出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)